JP4817753B2 - 路面状態推定方法、路面状態推定装置、及び、車両制御装置 - Google Patents
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従来、路面摩擦係数を推定する方法としては、アクセル、あるいはブレーキ操作を行ったときのスリップ率の変化と車両の車体加速度との関係から、路面状態、特に路面の最大摩擦係数を推定する手法が提案されている。これは、路面摩擦係数μの大きさが車体加速度Abと対応していることを利用したもので、車体加速度Ab−車輪滑りS特性曲線の安定領域内において、予め求めておいた、低μ路、中μ路、あるいは、高μ路を走行した時のAb/Sの値と比較して、走行中の路面の状態を推定する。これにより、車体加速度Abから路面摩擦係数μの大きさを容易に推定することができる(例えば、特許文献1参照)。
一方、タイヤトレッドの振動レベルを検出する方法では、例えば、路面μが低下した場合には、高周波の振動レベルは上昇し、低周波の振動レベルは逆に低下するので、路面状態の変化に対する振動のO.Aパワー値変化のゲインが小さくなってしまい、そのため、路面状態の推定精度が必ずしも十分とはいえなかった。
すなわち、本願の請求項1に記載の発明は、車両の走行する路面の状態を推定する方法であって、走行中のタイヤの振動を検出して上記タイヤの振動の時系列波形を求め、上記タイヤの振動の時系列波形を踏み込み領域の時系列波形と蹴り出し領域の時系列波形とに分離するとともに、上記蹴り出し領域の時系列波形を周波数解析して得られた周波数スペクトルから0.5〜3.5kHzの周波数帯域での振動レベルを算出し、上記算出された振動レベルに基づいて路面状態を推定することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、タイヤ振動の周波数スペクトルから振動レベルを算出して路面状態を推定する方法に代えて、上記蹴り出し領域の時系列波形をバンドパスフィルタに通して周波数帯域が0.5〜3.5kHzの蹴り出し領域の時系列波形を抽出し、上記抽出された蹴り出し領域の時系列波形から周波数帯域が0.5〜3.5kHzの振動レベルを算出し、上記算出された振動レベルに基づいて路面状態を推定するようにしたものである。
請求項4に記載の発明は、上記請求項3のタイヤ振動の周波数スペクトルから得られた振動レベルの演算値を用いて路面状態を推定する方法に代えて、上記蹴り出し領域の時系列波形をバンドパスフィルタに通して周波数帯域が0.5〜3.5kHzの蹴り出し領域の時系列波形を抽出するとともに、上記踏み込み領域の時系列波形をバンドパスフィルタに通して周波数帯域が6.5〜10kHzの踏み込み領域の時系列波形を抽出し、上記抽出された蹴り出し領域の時系列波形の振動レベルと上記抽出された踏み込み領域の時系列波形の振動レベルとを用いて振動レベルの演算値を算出し、上記算出された振動レベルの演算値に基づいて路面状態を推定するようにしたものである。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の路面状態推定方法において、上記ピーク位置を、タイヤ振動の踏み込み時または蹴り出し時に発生するタイヤ周方向振動のピーク位置としたものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の路面状態推定方法において、車輪速を測定し、上記測定された車輪速データから上記踏み込み領域または蹴り出し領域の時間の長さを決定するようにしたものである。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の路面状態推定方法において、様々な路面状態と上記振動レベルまたは上記振動レベル演算値との関係を予め求めておき、上記関係に基づいて路面状態を推定するようにしたものである。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の路面状態推定方法において、上記振動レベルまたは振動レベル演算値または上記振動レベル演算値の平均値が所定の閾値を超えたときに、路面が滑りやすいと判定するようにしたものである。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の路面状態推定方法において、車輪速を測定するとともに、上記閾値を車輪速データに基づいて変更することを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項10に記載の路面状態推定方法において、上記閾値をタイヤ種に基づいて変更することを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、車両の走行する路面の状態を推定する装置であって、タイヤトレッド部のインナーライナー部の気室側に貼り付けまたは埋め込みにより配設されて走行中のタイヤの振動を検出するタイヤ振動検出手段と、上記タイヤ振動検出手段で検出された上記タイヤの振動の時系列波形を求める振動波形検出手段と、上記タイヤ振動の時系列波形から蹴り出し領域の時系列波形を抽出する信号抽出手段と、上記信号抽出手段で抽出された蹴り出し領域の時系列波形から0.5〜3.5kHzの周波数帯域の時系列波形を抽出するバンドパスフィルタと、上記抽出された蹴り出し領域の時系列波形から0.5〜3.5kHzの周波数帯域の振動レベルを算出する振動レベル算出手段と、上記振動レベルのデータを車体側に無線送信する手段とを備えた路面状態推定用タイヤと、上記路面状態推定用タイヤから無線送信された振動レベルのデータを受信する手段と、上記受信された振動レベルのデータに基づいて路面状態を推定する路面状態推定手段と、を備えたものである。
請求項16に記載の発明は、車両の走行する路面の状態を推定する装置であって、タイヤトレッド部のインナーライナー部の気室側に貼り付けまたは埋め込みにより配設されて走行中のタイヤの振動を検出するタイヤ振動検出手段と、上記タイヤ振動検出手段で検出された上記タイヤの振動の時系列波形を求める振動波形検出手段と、上記タイヤ振動の時系列波形から蹴り出し領域の時系列波形と踏み込み領域の時系列波形とを抽出する信号抽出手段と、上記信号抽出手段で抽出された蹴り出し領域の時系列波形と踏み込み領域の時系列波形とをそれぞれ入力し、互いに異なる所定の周波帯域の信号をそれぞれ抽出するバンドパスフィルタと、上記抽出された蹴り出し領域の時系列波形から0.5〜3.5kHzの周波数帯域の振動レベルを算出し、踏み込み領域の時系列波形から6.5〜10kHzの周波数帯域の振動レベルを算出する振動レベル算出手段と、上記算出された蹴り出し領域の振動レベルと踏み込み領域の振動レベルとを用いて、振動レベルの演算値を演算する手段と、上記振動レベル演算値のデータを車体側に無線送信する手段とを備えた路面状態推定用タイヤと、上記路面状態推定用タイヤから無線送信された振動レベル演算値のデータを受信する手段と、上記受信された振動レベル演算値のデータに基づいて路面状態を推定する路面状態推定手段と、を備えたことを特徴とするものである。
請求項18に記載の発明は、請求項13〜請求項16のいずれかに記載の路面状態推定装置において、上記タイヤ振動検出手段を、タイヤ幅方向の振動を検出するタイヤ振動検出手段としたものである。
請求項19に記載の発明は、請求項13〜請求項18のいずれかに記載の路面状態推定装置において、上記タイヤ振動検出手段をタイヤ幅方向中心に配設したものである。
請求項20に記載の発明は、請求項13〜請求項19のいずれかに記載の路面状態推定装置において、上記タイヤ振動検出手段を、タイヤ幅方向中心から幅方向に所定距離だけ離隔して配設したものである。
請求項22に記載の発明は、請求項13〜請求項21のいずれかに記載の路面状態推定装置において、上記タイヤ振動検出手段をタイヤ周上の少なくとも2点に配設したものである。
請求項24に記載の発明は、請求項13〜請求項22のいずれかに記載の路面状態推定装置において、予め求められた、当該タイヤ種の様々な路面状態と上記振動レベルまたは上記振動レベル演算値との関係のマップを記憶する記憶手段をタイヤ側に設けるとともに、上記マップの情報を読み取る手段を車体側に設けて、車体側にて、上記読み取ったマップ情報に基づいて路面状態を推定するようにしたものである。
請求項26に記載の発明は、請求項25に記載の路面状態推定装置において、上記無線伝送された路面状態の情報を受信する手段と、自車より前方の車両から送信された路面状態の情報から前方の路面状態を把握する手段を備えたものである。
請求項27に記載の発明は、車両の走行状態を制御する車両制御装置であって、請求項25に記載の路面状態推定装置と、先行車との車間距離を推定する手段と車輪速検出手段とを備えるとともに、上記前方の路面状態を把握する手段からの路面情報と、上記車間距離推定手段からの車間距離情報と、上記車輪速検出手段からの車輪速情報とに基づいて車両の走行状態を制御する走行状態制御手段とを備えたものである。
このとき、上記踏み込み領域の時系列波形についても、上記蹴り出し領域の時系列波形と同様に周波数解析して周波数スペクトルを求め、その6.5〜10kHzの周波数帯域における振動レベルについて算出し、上記算出された蹴り出し領域の振動レベルと踏み込み領域の振動レベルとを用いて算出される振動レベルの演算値に基づいて路面状態を推定するようにすれば、路面状態の推定精度を更に向上させることができる。
なお、上記蹴り出し領域の振動レベルと踏み込み領域の振動レベルとを、それぞれ、タイヤの振動の時系列波形を所定周波数帯域のバンドパスフィルタを通して得られた時系列波形から算出して振動レベルの演算値を求めても、同様の効果を得ることができる。
また、上記振動レベル演算値が所定の閾値を超えたときに路面が滑りやすいと判定するようにすれば、車両の走行安全性を向上させるための情報を容易に得ることができる。
図1は、本最良の形態に係わる路面状態推定システムの構成を示す機能ブロック図で、同図において、10は当該タイヤに入力する振動を検出する振動検出手段である加速度センサ11と、上記加速度センサ11の出力を信号処理してタイヤ振動の振動レベルの演算値を算出して車体側に送信する信号処理装置12とを備えた路面状態推定用タイヤ、20は回転センサ21を備え、車輪の回転速度を検出する車輪速検出手段である。また、30は上記送信手段19から送信される振動レベル演算値のデータを受信する受信手段31と、予め求めておいた路面状態と上記振動レベルの演算値との関係を示すマップ32Mを記憶する記憶手段32と、上記受信された振動レベルの演算値のデータと上記マップ32Mとに基づいて車両の走行している路面の状態を推定する路面状態推定手段33とを備え、上記路面状態推定用タイヤ10から送信された振動レベル演算値に基づいて路面状態を推定する路面状態推定装置で、この路面状態推定装置30は車体側に設けられる。
上記信号処理装置12は、詳細には、上記加速度センサ11の出力である走行中の路面状態推定用タイヤ(以下、タイヤという)10に入力する振動を時系列に配列した振動波形を求める振動波形検出手段13と、上記回転センサ21からの出力パルスを用いて、上記振動波形をタイヤの所定の位置に対応する振動波形に変換して振動レベルの分布を求める振動レベル分布演算手段14と、タイヤ接地面近傍に現れる上記タイヤ振動のピーク位置から、当該タイヤ10の正確な蹴り出し位置を特定するとともに、上記振動レベル分布のデータを、踏み込み領域と蹴り出し領域との2つの領域のデータに分割し、上記各領域における振動レベルのデータをそれぞれ抽出する信号抽出手段15と、この抽出された各振動レベルの時系列波形を周波数分析するFFTアナライザーなどの周波数分析手段16と、この周波数分析手段16で得られた上記各領域の周波数スペクトルの所定周波数帯域における振動レベルを算出する振動レベル算出手段17と、上記算出された各領域における振動レベルを用いて振動レベルの演算値を算出する振動レベル演算値算出手段18と、上記算出された振動レベルの演算値のデータを車体側に送信するための送信手段19とを備えている。
本例では、上記加速度センサ11として、20000Hzまでの振動加速度が検出可能なセンサを用いるとともに、上記加速度センサ11と信号処理装置12とを、図2に示すように、タイヤトレッド10aのインナーライナー部10bのタイヤ気室側のほぼ中央部に配置して、当該タイヤ10に入力する振動を検出するようにしている。なお、本例では、上記加速度センサ11の検出方向をタイヤ周方向になるように配置して、路面から入力するタイヤ周方向振動を検出する。
まず、加速度センサ11にて走行中のタイヤ10のタイヤ周方向振動を検出し、その出力を振動波形検出手段13に送り、時系列に配列したタイヤ周方向の振動波形を求める。そして、この振動波形を振動レベル分布演算手段14にて処理し、上記時系列に配列した振動波形の時間軸に踏み込み位置及び蹴り出し位置を対応させる。具体的には、タイヤ接地面近傍に現れる上記タイヤ周方向振動のピーク位置から、蹴り出し領域の始点を決定した後、回転センサ21から求めた車輪速度のデータとタイヤ径とから踏み込み領域の始点を決定するとともに、図3に示すように、上記時系列に配列した振動波形である振動レベル分布のデータを、踏み込み領域と蹴り出し領域の2つの領域のデータに分割する。
図4は、本発明による路面状態推定システムを搭載した車両をDRYアスファルト路面(μ≒1)において一定速度で走行させたときのタイヤ周方向振動の時系列波形に踏み込み位置及び蹴り出し位置を対応させたもので、図5は、ICE路面(μ≒0.1)における時系列波形にタイヤトレッド位置を対応させたものである。このように、タイヤ振動の時系列波形から蹴り出し位置を特定し、この蹴り出し位置から踏み込み位置を特定するようにすれば、回転センサ21からの出力パルスのデータから踏み込み位置及び蹴り出し位置を特定する場合に比べて、上記2つの領域を精度よく特定することができる。
なお、上記蹴り出し位置に代えて、振動波形から当該タイヤ10の実際の踏み込み位置を特定し、この特定された踏み込み位置を基準として蹴り出し位置を特定することも可能であるが、SNOW路面やWET路面等では、後述するように、踏み込み位置近傍では高周波成分が多くピーク位置の検出精度が若干低下するので、本例のように、先に蹴り出し位置を特定して、この蹴り出し位置から踏み込み位置を特定する方が好ましい。
図6は、図4に示したDRYアスファルト路面におけるタイヤ周方向振動と図5に示したICE路面におけるタイヤ周方向振動の踏み込み領域における周波数スペクトル(FFT波形)同士を比較したもので、踏み込み領域では、全体に、DRYアスファルト路面での振動レベルがICE路面での振動レベルよりも小さく、6.5〜10kHz、特に、8〜10kHzの周波数帯域においては、DRYアスファルト路面での振動レベルとICE路面での振動レベルとの差が大きくなっている。
また、図7は、図4に示したDRYアスファルト路面におけるタイヤ周方向振動と図5に示したICE路面におけるタイヤ周方向振動の蹴り出し領域における周波数スペクトル(FFT波形)同士を比較したもので、蹴り出し領域では、上記の踏み込み領域とは逆に、全体に、ICE路面での振動レベルがDRYアスファルト路面での振動レベルよりも小さくなっており、0.5kHz〜3.5kHz、特に、1〜3kHzの周波数帯域においては、DRYアスファルト路面での振動レベルとICE路面での振動レベルの差が大きくなっている。
そこで、上記踏み込み領域の周波数スペクトルから、8〜10kHzの周波数帯域での振動レベル(踏み込み振動レベル)を算出するとともに、上記蹴り出し領域の周波数スペクトルから、1〜3kHzの周波数帯域での振動レベル(蹴り出し振動レベル)をそれぞれ算出し、上記蹴り出し振動レベルに対する踏み込み振動レベルの比を求めてこれを振動レベル演算値とする。上記のように、DRYアスファルト路面での蹴り出し振動レベルはICE路面での蹴り出し振動レベルよりも高く、逆に、DRYアスファルト路面での踏み込み振動レベルはICE路面での踏み込み振動レベルよりも低いので、上記振動レベルの演算値を用いて路面状態を推定するようにすれば、路面状態を精度よく推定することができる。
路面状態推定装置30では、上記振動レベル演算値のデータを受信手段31で受信し、路面状態推定手段33にて、上記振動レベル演算値と記憶手段32に記憶された、予め求めておいた路面状態とタイヤ振動の振動レベルの演算値との関係を示すマップ32Mとに基づいて車両の走行している路面の状態を推定する。
これにより、車両の走行している路面の状態を精度よく推定することができるとともに、上記踏み込み領域の8〜10kHzの周波数帯域での振動レベルと、上記蹴り出し領域の1〜3kHzの周波数帯域での振動レベルとは、ともに、温度による影響が少ないので、温度外乱に対するロバスト性についても向上させることができる。
なお、上記マップ32Mに代えて、振動レベル演算値と路面摩擦係数μとの関係を示すマップを準備すれば、路面摩擦係数μを精度良く推定することができる。
また、本例では、路面状態を推定するための振動レベルとして、温度による影響の少ない、蹴り出し領域の1〜3kHzでの振動レベルと踏み込み領域の8〜10kHzでの振動レベルとを用いるようにしているので、温度外乱に対するロバスト性を向上させることができる。
また、上記蹴り出し振動レベルと上記踏み込み振動レベルはいずれも温度依存性が低いので、温度外乱に対するロバスト性についても向上させることができる。なお、どちらか一方の振動レベルを用いるとすれば、蹴り出し領域での差の方が大きく、かつ、温度依存性が若干いいので、蹴り出し領域の振動レベルを用いた方が有利である。
また、上記例では、加速度センサ11により、タイヤトレッド10aの幅中心部のタイヤ周方向振動を検出するようにしたが、加速度センサ11の振動検出方向をタイヤ幅方向とし、上記中心近傍とは逆の変形をするトレッド端部の振動についても検出し、タイヤ幅方向の振動を検出するようにしてもよい。
また、ICE路面では振動レベルのデータのばらつきが大きいので、複数個の加速度センサ11をタイヤ周上に配置し、路面状態を推定するための振動レベル演算値として上記複数のセンサで得られた平均値を用いることが好ましい。これにより、路面状態の判定精度を更に向上させることができる。
また、上記例では、蹴り出し領域の周波帯域を1〜3kHzとし踏み込み領域の周波帯域を8〜10kHzとしたが、これに限るものではなく、タイヤ種や車速等により、適宜設定すればよい。
また、上記例では、予め求めたタイヤ振動の振動レベル演算値と路面の状態との関係を示すマップ32Mを用いて路面状態を推定したが、上記マップ32Mに代えて、振動レベル演算値に対する閾値Kを設けて、上記振動レベル演算値が上記閾値K以下であれば高μ路面であり、上記閾値Kを超えた場合には低μ路面であると判定するようにしてもよい。あるいは、複数の閾値K1,K2を設けて、R≦K1なら高μ路面、K1<R≦K2なら中μ路面、K2<Rなら低μ路面と判定するようにしてもよい。
また、蹴り出し振動レベルまたは踏み込み振動レベルを用いて路面状態を推定する場合にも、上記振動レベルの演算値を用いた場合と同様に、振動レベルに対する閾値kを設けて、路面が高μ路面であるか低μ路面であるかを判定するようにしてもよい。
なお、この閾値についても、タイヤ種や車速等により、適宜変更するようにすれば、路面状態の推定精度を更に向上させることができる。
また、上記車両に、上記路面状態推定用タイヤ10,車輪速検出手段20,路面状態推定装置30に加えて、先行車との車間距離を推定する手段を設けるとともに、上記前方の路面状態を把握する手段からの路面情報と、上記車間距離推定手段からの車間距離情報と、上記車輪速検出手段からの車輪速情報とに基づいて車両の走行状態を制御する走行状態制御手段とを設けるようにすれば、走行中の路面状態の情報に加えて、前方の路面状態の情報や、先行車との車間距離の情報に基づいて車両の走行状態を制御することができるので、走行の安全性を大幅に高めることができる。
同図から明らかなように、車両がICE路面に入ったと同時に上記振動レベル演算値が増大し、車両が高μ路から低μ路に進入したことが分かる。このように、適当な閾値を設けることにより、路面の滑りやすさを判定することができることが確認された。
11 加速度センサ、12 信号処理装置、13 振動波形検出手段、
14 振動レベル分布演算手段、15 信号抽出手段、16 周波数分析手段、
17 振動レベル算出手段、18 振動レベル演算値算出手段、19 送信手段、
20 車輪速検出手段、21 回転センサ、30 路面状態推定装置、
31 受信手段、32 記憶手段、32M マップ、33 路面状態推定手段。
Claims (27)
- 走行中のタイヤの振動を検出して上記タイヤの振動の時系列波形を求め、上記タイヤの振動の時系列波形を踏み込み領域の時系列波形と蹴り出し領域の時系列波形とに分離するとともに、上記蹴り出し領域の時系列波形を周波数解析して得られた周波数スペクトルから0.5〜3.5kHzの周波数帯域での振動レベルを算出し、上記算出された振動レベルに基づいて路面状態を推定することを特徴とする路面状態推定方法。
- 走行中のタイヤの振動を検出して上記タイヤの振動の時系列波形を求め、上記タイヤの振動を踏み込み領域の時系列波形と蹴り出し領域の時系列波形とに分離するとともに、上記蹴り出し領域の時系列波形をバンドパスフィルタに通して周波数帯域が0.5〜3.5kHzの蹴り出し領域の時系列波形を抽出し、上記抽出された蹴り出し領域の時系列波形から周波数帯域が0.5〜3.5kHzの振動レベルを算出し、上記算出された振動レベルに基づいて路面状態を推定することを特徴とする路面状態推定方法。
- 走行中のタイヤの振動を検出して上記タイヤの振動の時系列波形を求め、上記タイヤの振動の時系列波形を踏み込み領域の時系列波形と蹴り出し領域の時系列波形とに分離した後、上記蹴り出し領域の時系列波形を周波数解析し、上記周波数解析して得られた蹴り出し領域の周波数スペクトルから周波数帯域が0.5〜3.5kHzの振動レベルを算出するとともに、上記踏み込み領域の時系列波形を周波数解析し、上記周波数解析して得られた踏み込み領域の周波数スペクトルから周波数帯域が6.5〜10kHzの振動レベルを算出し、上記算出された蹴り出し領域の振動レベルと踏み込み領域の振動レベルとを用いて算出される振動レベルの演算値に基づいて路面状態を推定することを特徴とする路面状態推定方法。
- 走行中のタイヤの振動を検出して上記タイヤの振動の時系列波形を求め、上記タイヤの振動を踏み込み領域の時系列波形と蹴り出し領域の時系列波形とに分離するとともに、上記蹴り出し領域の時系列波形をバンドパスフィルタに通して周波数帯域が0.5〜3.5kHzの蹴り出し領域の時系列波形を抽出するとともに、上記踏み込み領域の時系列波形をバンドパスフィルタに通して周波数帯域が6.5〜10kHzの踏み込み領域の時系列波形を抽出し、上記抽出された蹴り出し領域の時系列波形の振動レベルと上記抽出された踏み込み領域の時系列波形の振動レベルとを用いて振動レベルの演算値を算出し、上記算出された振動レベルの演算値に基づいて路面状態を推定することを特徴とする路面状態推定方法。
- タイヤ接地面近傍に現れる上記タイヤの振動のピーク位置から、上記踏み込み領域または蹴り出し領域の始点を決定することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の路面状態推定方法。
- 上記ピーク位置を、タイヤ振動の踏み込み時または蹴り出し時に発生するタイヤ周方向振動のピーク位置としたことを特徴とする請求項5に記載の路面状態推定方法。
- 車輪速を測定し、上記測定された車輪速データから上記踏み込み領域または蹴り出し領域の時間の長さを決定することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の路面状態推定方法。
- 走行中のタイヤの振動をタイヤの少なくとも2箇所において検出して、上記振動レベルまたは振動レベルの演算値をそれぞれ算出し、上記算出された振動レベルまたは振動レベルの演算値の平均値を用いて路面状態を推定するようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の路面状態推定方法。
- 様々な路面状態と上記振動レベルまたは上記振動レベルの演算値との関係を予め求めておき、上記関係に基づいて路面状態を推定するようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の路面状態推定方法。
- 上記振動レベルまたは振動レベル演算値または上記振動レベル演算値の平均値が所定の閾値を超えたときに、路面が滑りやすいと判定するようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の路面状態推定方法。
- 車輪速を測定するとともに、上記閾値を車輪速データに基づいて変更することを特徴とする請求項10に記載の路面状態推定方法。
- 上記閾値をタイヤ種に基づいて変更することを特徴とする請求項10に記載の路面状態推定方法。
- タイヤトレッド部のインナーライナー部の気室側に貼り付けまたは埋め込みにより配設されて走行中のタイヤの振動を検出するタイヤ振動検出手段と、上記タイヤの振動検出手段で検出された上記タイヤの振動の時系列波形を求める振動波形検出手段と、上記タイヤの振動の時系列波形から蹴り出し領域の時系列波形と踏み込み領域の時系列波形とを抽出する信号抽出手段と、上記信号抽出手段で抽出された蹴り出し領域の時系列波形を周波数解析する周波数解析手段と、上記周波数解析手段で得られた蹴り出し領域の周波数スペクトルから0.5〜3.5kHzの周波数帯域の振動レベルを算出する振動レベル算出手段と、上記振動レベルのデータを車体側に無線送信する手段とを備えた路面状態推定用タイヤと、
上記路面状態推定用タイヤから無線送信された振動レベルのデータを受信する手段と、
上記受信された振動レベルのデータに基づいて路面状態を推定する路面状態推定手段と、
を備えたことを特徴とする路面状態推定装置。 - タイヤトレッド部のインナーライナー部の気室側に貼り付けまたは埋め込みにより配設されて走行中のタイヤの振動を検出するタイヤ振動検出手段と、上記タイヤ振動検出手段で検出された上記タイヤの振動の時系列波形を求める振動波形検出手段と、上記タイヤの振動の時系列波形から蹴り出し領域の時系列波形を抽出する信号抽出手段と、上記信号抽出手段で抽出された蹴り出し領域の時系列波形から0.5〜3.5kHzの周波数帯域の時系列波形を抽出するバンドパスフィルタと、上記抽出された蹴り出し領域の時系列波形から0.5〜3.5kHzの周波数帯域の振動レベルを算出する振動レベル算出手段と、上記振動レベルのデータを車体側に無線送信する手段とを備えた路面状態推定用タイヤと、
上記路面状態推定用タイヤから無線送信された振動レベルのデータを受信する手段と、
上記受信された振動レベルのデータに基づいて路面状態を推定する路面状態推定手段と、
を備えたことを特徴とする路面状態推定装置。 - タイヤトレッド部のインナーライナー部の気室側に貼り付けまたは埋め込みにより配設されて走行中のタイヤの振動を検出するタイヤ振動検出手段と、上記タイヤ振動検出手段で検出された上記タイヤの振動の時系列波形を求める振動波形検出手段と、上記タイヤの振動の時系列波形から蹴り出し領域の時系列波形と踏み込み領域の時系列波形とを抽出する信号抽出手段と、上記信号抽出手段で抽出された蹴り出し領域の信号と踏み込み領域の信号とを周波数解析する周波数解析手段と、上記周波数解析手段で得られた蹴り出し領域の周波数スペクトルから0.5〜3.5kHzの周波数帯域の振動レベルを算出し、踏み込み領域の周波数スペクトルから6.5〜10kHzの周波数帯域の振動レベルを算出する振動レベル算出手段と、上記算出された蹴り出し領域の振動レベルと踏み込み領域の振動レベルとを用いて振動レベルの演算値を演算する手段と、上記振動レベルの演算値のデータを車体側に無線送信する手段とを備えた路面状態推定用タイヤと、
上記路面状態推定用タイヤから無線送信された振動レベル演算値のデータを受信する手段と、
上記受信された振動レベル演算値のデータに基づいて路面状態を推定する路面状態推定手段と、
を備えたことを特徴とする路面状態推定装置。 - タイヤトレッド部のインナーライナー部の気室側に貼り付けまたは埋め込みにより配設されて走行中のタイヤの振動を検出するタイヤ振動検出手段と、上記タイヤ振動検出手段で検出された上記タイヤの振動の時系列波形を求める振動波形検出手段と、上記タイヤの振動の時系列波形から蹴り出し領域の時系列波形と踏み込み領域の時系列波形とを抽出する信号抽出手段と、上記信号抽出手段で抽出された蹴り出し領域の時系列波形と踏み込み領域の時系列波形とをそれぞれ入力し、互いに異なる所定の周波帯域の信号をそれぞれ抽出するバンドパスフィルタと、上記抽出された蹴り出し領域の時系列波形から0.5〜3.5kHzの周波数帯域の振動レベルを算出し、踏み込み領域の時系列波形から6.5〜10kHzの周波数帯域の振動レベルを算出する振動レベル算出手段と、上記算出された蹴り出し領域の振動レベルと踏み込み領域の振動レベルとを用いて、振動レベルの演算値を演算する手段と、上記振動レベルの演算値のデータを車体側に無線送信する手段を備えた路面状態推定用タイヤと、
上記路面状態推定用タイヤから無線送信された振動レベル演算値のデータを受信する手段と、
上記受信された振動レベル演算値のデータに基づいて路面状態を推定する路面状態推定手段と、
を備えたことを特徴とする路面状態推定装置。 - 上記タイヤ振動検出手段を、タイヤ周方向の振動を検出するタイヤ振動検出手段としたことを特徴とする請求項13〜請求項16のいずれかに記載の路面状態推定装置。
- 上記タイヤ振動検出手段を、タイヤ幅方向の振動を検出するタイヤ振動検出手段としたことを特徴とする請求項13〜請求項16のいずれかに記載の路面状態推定装置。
- 上記タイヤ振動検出手段を、タイヤ幅方向中心に配設したことを特徴とする請求項13〜請求項18のいずれかに記載の路面状態推定装置。
- 上記タイヤ振動検出手段を、タイヤ幅方向中心から幅方向に所定距離だけ離隔して配設したことを特徴とする請求項13〜請求項19のいずれかに記載の路面状態推定装置。
- 上記タイヤ振動検出手段を、20000Hzまでのタイヤ振動を検出可能なタイヤ振動検出手段としたことを特徴とする請求項13〜請求項20のいずれかに記載の路面状態推定装置。
- 上記タイヤ振動検出手段をタイヤ周上の少なくとも2点に配設したことを特徴とする請求項13〜請求項21のいずれかに記載の路面状態推定装置。
- 予め求められた、様々な路面状態と上記振動レベルまたは上記振動レベル演算値との関係のマップを記憶する記憶手段を設け、上記受信された振動レベルまたは振動レベル演算値のデータと上記マップとを用いて、路面状態を推定するようにしたことを特徴とする請求項13〜請求項22のいずれかに記載の路面状態推定装置。
- 予め求められた、当該タイヤ種の様々な路面状態と上記振動レベルまたは上記振動レベル演算値との関係のマップを記憶する記憶手段をタイヤ側に設けるとともに、上記マップの情報を読み取る手段を車体側に設けて、車体側にて、上記読み取ったマップの情報に基づいて路面状態を推定するようにしたことを特徴とする請求項13〜請求項22のいずれかに記載の路面状態推定装置。
- 上記推定された路面状態の情報を他の車両に無線伝送する手段を設けたことを特徴とする請求項13〜請求項24のいずれかに記載の路面状態推定装置。
- 上記無線伝送された路面状態の情報を受信する手段と、自車より前方の車両から送信された路面状態の情報から前方の路面状態を把握する手段を備えたことを特徴とする請求項25に記載の路面状態推定装置。
- 請求項25に記載の路面状態推定装置と、先行車との車間距離を推定する手段と車輪速検出手段とを備えるとともに、上記前方の路面状態を把握する手段からの路面情報と、上記車間距離推定手段からの車間距離情報と、上記車輪速検出手段からの車輪速情報とに基づいて車両の走行状態を制御する走行状態制御手段とを備えたことを特徴とする車両制御装置。
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