次に、本発明の好適な実施形態について図面に基づいて説明する。まずパチンコ機について説明する。図1はパチンコ機1の前側全体を示す正面図であり、図2はパチンコ機1の外枠2の一側に本体枠3が開かれその本体枠3の一側に前面枠4が開かれた状態を示す斜視図であり、図3は本体枠3と遊技盤5とを分離して斜め右上前方から示す斜視図であり、図4はパチンコ機1の後側全体を示す背面図であり、図5はパチンコ機1の後側全体を右上後方から示す斜視図であり、図6は図5に示すパチンコ機1の斜視図から後カバー体136及び各種制御基板等を取り外した状態を示す斜視図であり、図7は本体枠3に各種部材が組み付けられた状態を斜め右上後方から示す斜視図であり、図8は本体枠3単体を斜め右上後方から示す斜視図であり、図9は遊技盤5の背面斜視図である。なお、図1及び図2においては遊技領域における装飾部材を省略して示している。
[1.パチンコ機の全体構成]
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4、及び遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
[1−1.本体枠の構成]
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12及び機構装着体13を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図2参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。そして、前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対してヒンジピン及びヒンジ孔によって開閉回動可能に装着されている。つまり、外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピン及びヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されている。
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域にはスピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着板17が装着されている。そして、スピーカ装着板17にはスピーカ18が装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内において、その上半部分には発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出ボタン34が配設されている。
[1−2.前面枠の構成]
前枠体11の前面の片側には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4がヒンジ機構36によって前方に開閉可能に装着されている。また、前面枠4の略中央部には、遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。また、前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39にはガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。また、前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、該開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58、及びリフレクタ体(図示しない)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。また、上皿51の左側には、遊技者が操作可能なボタン59が設けられている。
[1−3.施錠装置の構成]
前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。つまり、本実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱可能に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱可能に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵が挿入されて解錠操作可能に、前枠体11及び下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75とを備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に回動操作されることで、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠されるようになっている。
[1−4.遊技盤装着枠の構成]
図2及び図3に示すように、本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられかつ遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。遊技盤5は、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に形成されている(図9参照)。遊技盤5の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の隙間が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、その遊技球は、その隙間から排出され下皿31に案内されるように構成されている。また、遊技盤5の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着されている。
一方、図4に示すように、遊技盤5の後側下部には、その中央部から下部にわたる部分において、各種入賞装置に流入した遊技球を受けかつその遊技球を所定位置まで導く集合樋としての機能とボックス装着部としての機能を兼ね備えたボックス装着台91が設けられている。このボックス装着台91には、音声制御基板、ランプ制御基板等の副制御基板92が収納された副制御基板ボックス93が装着され、その副制御基板ボックス93の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板94が収納された主制御基板ボックス95が装着されている。さらに、遊技盤5の後側に対しボックス装着台91、副制御基板ボックス93及び主制御基板ボックス95がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から遊技盤5を嵌込んで装着できるように、遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなくボックス装着台91、副制御基板ボックス93及び主制御基板ボックス95が配置されている。
[1−5.本体枠の機構装着体、球タンク及びタンクレールの構成]
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部111、レール装着部112、及び払出装置装着部113等がそれぞれ形成され、タンク装着部111には球タンク114が装着されている。球タンク114は、透明な合成樹脂材よりなり、島設備から供給される多数の遊技球が貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。そして、球タンク114の遊技球の貯留状態が球タンク114の後側壁を透して視認可能となっている。また、球タンク114の底板部115の後側隅部には遊技球を放出する放出口116が形成されるとともに、底板部115は放出口116に向けて下傾する傾斜面に形成されている。
本体枠3の機構装着体13には、そのタンク装着部111に下方に接近してレール装着部112が一体に形成され、そのレール装着部112にレール構成部材117が装着されることでタンクレール118が構成されるようになっている。つまり、本実施形態において、レール装着部111は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール118の前壁部119とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図8に向かって左端)から他端(図8に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚120が形成されている。そして、レール棚120の横方向に延びる上向き面をレール受け部121としている。
レール装着部112に装着されてタンクレール118を構成するレール構成部材117は、レール装着部112の前壁部119との間にレール通路を構成する後壁部122と、傾斜状をなす下板部と、その下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設されレール通路を前後複数列(本実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(いずれも図示しない)とを一体に備えて形成されている。このレール構成部材117は、レール装着部112に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール118が構成されている。そして、球タンク114の放出口116から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール118の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。また、本実施形態において、レール構成部材117は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材117の後壁部122を透して視認可能となっている。
タンクレール118(レール装着部112)の前壁部119は、遊技盤5の後側に突出する装備品(例えば役物)における後部の上端部との干渉を避けるため第1空間部を隔てた状態で設けられている。また、本実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚120の後端と、タンクレール118の後壁部は、球タンク114の後側壁と略同一面をなしている。言い換えると、球タンク114の後壁部に対しタンクレール118の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール118が遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、遊技盤5の後側とタンクレール118の前壁部119との間に装備品(例えば役物)の後部との干渉を避けるための第1空間部が設けられるようになっている。
また、タンクレール118の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体123がその上部において軸124を中心として揺動可能に装着されている。この整流体123には、その中央部から下部において錘が設けられている。
[1−6.払出装置装着部及び球払出装置の構成]
本体枠3の機構装着体13の片側寄りの上下方向には、次に述べる球払出装置(球払出ユニット)125に対応する縦長の払出装置装着部113が形成されている。払出装置装着部113は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。また、払出装置装着部113の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置125の払出用モータ126(図3参照)が突出可能な開口部127が形成されている。
払出装置装着部113の凹部に球払出装置125が装着された状態において、遊技盤5との間には、第1空間部と前後方向に略同一レベルとなる第2空間部が設けられている。これによって、レール通路と球通路とが前後方向に略同一レベルで配置されている。また、本体枠3の後端、つまり払出装置装着部113の周壁部後端、レール棚120の後端、球タンク114、タンクレール118及び球払出装置125のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
球払出装置125は、払出装置装着部113の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関する各種部品が装着されることでユニット化されている。なお、球払出装置125は、払出装置装着部113の凹部の後方開口部から嵌込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
また、図示しないが、球払出装置125は、タンクレール118におけるレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されて前後複数列の賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路とがそれぞれ形成されている。そして賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
[1−7.本体枠の後側下部の装備]
本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図4に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを作動する発射モータ128等が取付基板129に組み付けられてユニット化された発射装置ユニット130が装着されている。また、前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板131を収容する電源基板ボックス132が装着され、その電源基板ボックス132の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板133を収容する払出制御基板ボックス134が装着されている。払出制御基板133は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板94から送信される払出用信号に従って遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に伝達して払出用モータ126を作動制御するようになっている。
[1−8.後カバー体の構成]
遊技盤5後面に配置された表示装置制御基板ボックス135(図9参照)及び主制御基板ボックス95の後端部は機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。そして、機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他側壁を構成する払出装置装着部113の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体136がカバーヒンジ機構137によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
後カバー体136は、略四角形状の後壁部138と、その後壁部138の外周縁から前方に向けて突出された周壁部139とから一体に構成されている。後カバー体136の周壁部139のうち、一側の壁部139aには、機構装着体13の側壁部の上下及び中間の計3箇所に形成されたヒンジ体140のヒンジ孔の上方からそれぞれ着脱可能に嵌込まれるヒンジピン141を下向きに有するヒンジ体142が一体に形成されている。また、後カバー体136の周壁部139のうち、他側の壁部139bには、払出装置装着部113の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有する弾性閉止体143が一体に形成されている。
つまり、後カバー体136は、その上下及び中間のヒンジ体142の各ヒンジピン141が機構装着体13の側壁部のヒンジ体140のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌込まれる。この状態で、ヒンジピン141を中心として後カバー体136が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体143を払出装置装着部113の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体136が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体136によって、遊技盤5後面の表示装置制御基板ボックス135(図9参照)全体及び主制御基板ボックス95の略中間部から上端にわたる部分が後カバー体136によって覆われるようになっている。これによって、主制御基板ボックス95の上部に露出された主制御基板94の基板コネクタ(主として表示装置制御基板と接続するための基板コネクタ)が後方から視認不能に隠蔽されている。
また、主制御基板ボックス95の略中間部から下端にわたる部分は後カバー体136によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス95の下部には、その主制御基板94上に配置された検査用コネクタ144が露出されており、後カバー体136が閉じられた状態で主制御基板94上の検査用コネクタ144に基板検査装置(図示しない)を接続して検査可能となっている。
後カバー体136には、多数の放熱孔145、146、147、148が貫設されており、これら多数の放熱孔145、146、147、148から内部の熱が放出されるようになっている。本実施形態において、後カバー体136には、その周壁部139から後壁部138に延びる多数のスリット状の放熱孔145が貫設され、後壁部138の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔146が貫設され、後壁部138の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔147と所定数の横長四角形状の放熱孔148が貫設されている。
また、横長四角形状の放熱孔148は、主制御基板ボックス95の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部149の列の大きさ及び配設位置に対応する大きさ及び位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体136が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス95の複数の並列状の封印部149が放熱孔148の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体136が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス95の封印部149の封印状態を容易に視認することができる。また、不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体136を安価に製作することができる。
後カバー体136の周壁部139のうち、上側壁部139cの所定位置(本実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体150が上方のタンクレール118の後壁面(レール構成部材117の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体150の先端部には、同コード保持体150を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
電源コードは、その一端が分電基板151の基板コネクタ152に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体136にコード保持体150を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機1を運搬、保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
[1−9.本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成]
本体枠3の後下部領域の他側寄り部分(ヒンジ寄り部分)には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体153が装着されている。この下皿用球誘導体153は、球払出装置125の賞球及び貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
なお、本実施形態において、下皿用球誘導体153の後壁外面には、インタフェース基板154を収納している基板ボックス155が装着されている。なお、インタフェース基板154は、パチンコ機1に隣接して設置される球貸機と払出制御基板133との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板133との間で送受信可能に電気的に接続するようになっている。
[2.遊技盤及び遊技領域の構成]
次に、遊技盤5に区画形成された遊技領域37内に設けられている各種構成部材について説明する。図10は遊技領域37の構成を示す拡大正面図であり、図11は遊技領域37の要部を示す斜視図であり、図12は役物210内における遊技媒体の動きを説明する説明図であり、図13は役物210における振分手段の概略構成を示す斜視図であり、図27はアタッカ装置230の開閉部材231の開閉機構を表す概略図である。
[2−1.遊技盤]
遊技盤5には、上述した通り外レール76、及び内レール77からなる案内レール78が備えられており、この案内レール78の内側には、遊技領域37が区画形成されている。
[2−2.遊技領域]
この遊技領域37には、その略中央部分に役物210が配設されているとともに、役物210の後方に、前方から視認可能とされた演出表示装置211が備えられている。この役物210の左側には、ゲート212が設けられており、このゲート212には、図示は省略するがゲート212を通過した遊技球を検出するゲートスイッチが設けられている。
[2−2−1.可変入賞装置]
また、遊技領域37には、役物210の中央下方には、可変入賞装置213が配設されている。この可変入賞装置213は、上方から遊技球が入賞可能な第一始動口214と、第一始動口214の下方に設けられた第二始動口215と、第一始動口214に入賞した遊技球を検出する第一始動口スイッチと、第二始動口215に入賞した遊技球を検出する第二始動口スイッチと、第二始動口215の両側に配置されソレノイド(図示は省略する)により下部を支点として回動可能な一対の可動片216とを備えている。
この可変入賞装置213における第二始動口215は、通常、上方に位置する第一始動口214と、第二始動口215の両側に位置する可動片216により塞がれて遊技球が入賞不可能な閉塞状態となっており、図示しないソレノイドを可動して一対の可動片216が拡開するように回動させ、遊技球が左右方向から入賞可能な開放状態に制御する。この可動片216の開閉制御は、ゲート212を遊技球が通過してゲートスイッチによって検出されたことに基づいて、制御されるようになっている。なお、本実施形態では、第一始動口214に遊技球が入賞し、第一始動口スイッチによって検出されたことに基づいて所定数(例えば、3個)の遊技球の払い出しが行われ、第二始動口215に遊技球が入賞し、第二始動口スイッチによって検出されたことに基づいて所定数(例えば、4個)の遊技球の払い出しが行われる。
[2−2−2.一般入賞口等]
また、遊技領域37には、その最下部に、流下していずれの入賞口や入賞装置にも入賞しなかった遊技球を遊技領域37から排出するアウト口217が設けられている。また、遊技領域37には、上方から遊技球が入賞可能な複数の一般入賞口218も設けられ、一般入賞口218に遊技球が入賞したことに基づいて所定数の遊技球の払い出しが行われる。なお、一般入賞口218に入賞した遊技球は一般入賞口スイッチ(図示は省略する)によって検出され、一般入賞口218に遊技球が入賞し、一般入賞口スイッチによって検出されたことに基づいて所定数(例えば、10個)の遊技球の払い出しが行われる。
更に、遊技領域37には、多数の障害釘が所定のゲージ配列をなして設けられているとともに、適宜位置に風車219が設けられており、遊技球の流下方向を変化させて、遊技球の挙動が面白くなるようにしている。
[2−2−3.役物]
本実施形態における役物210は、図示するように、後方に配置された演出表示装置211が前方から視認可能となるように、全体として額縁状(枠状)に構成されており、その枠内を通して演出表示装置211が前方から視認可能となっている。また、役物210には、その枠の前面に透明な前面板220が備えられ、前面板220と演出表示装置211との間に所定規模の流通空間221が形成されているとともに、この前面板220によって遊技盤5の前面の遊技領域37と流通空間221とが互いに隔てられ、遊技領域37と流通空間221との間を遊技球の行き来が阻止されている。
この役物210は、岩等を模した装飾体が形成されており、役物210のデザインによってパチンコ機1の機種やゲームコンセプト等が特徴付けられている。具体的には、本実施形態では、遊技球をゴルフボールに見立てて、その流通空間221内にフェアウエイやグリーン、カップ等に相当する装飾体を配置し、全体としてゴルフ場をイメージした役物210となっている。
この役物210の上縁部には、後述するアタッカ装置230が配置されており、アタッカ装置230は、遊技球が進入可能な大入賞口235(図12参照)と、大入賞口235を閉鎖する横長の矩形状に形成された開閉部材231と、開閉部材231を開閉動作させるアタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324b(図14参照)と、から構成されている。このアタッカ装置230には大入賞口235に入賞した遊技球をカウントするカウントセンサ319(図14参照)が備えられており、カウントセンサ319に検出された遊技球が流通空間221内に進入するようになっている。
また、アタッカ装置230は、遊技球が第一始動口214や第二始動口215への入賞によって「大当り」、「確変短当り」及び「小当り」のいずれかが抽選されると、それぞれの「当り」に応じて開閉部材231が所定の開閉動作をし、開閉部材231が開状態の時に遊技球が大入賞口235に入賞すると、所定数(例えば、14個)の遊技球が払い出されるようになっている。
ここで、「大当り」及び「確変短当り」とは、アタッカ装置230の開閉部材231を開状態として、その間に所定数の遊技球が大入賞口235に入賞するか、又は所定時間経過すると開閉部材231を閉状態とし、その開閉部材231の開閉動作を複数回繰り返すことで、遊技球が大入賞口235に入賞し易くしてより多くの遊技球が払い出されるようにするものであり、開閉部材231の一回の開閉動作を1ラウンドと呼ぶものである。特に、「確変短当り」は、「大当り」よりも開閉部材231が開状態となる時間が短いとともに、開閉動作を繰り返すラウンド数が少なく(例えば、2〜3ラウンド)、大入賞口235に殆んど遊技球が入らないような「当り」である。
なお、本実施形態では、「大当り」の場合は、開閉部材231が開状態の時に大入賞口235に所定数として例えば10個の遊技球が入賞するか、又は所定時間として例えば30秒経過すると1ラウンドとして開閉部材231を閉状態とし、そのラウンドを、例えば8ラウンド又は16ラウンド繰り返すものである。また、「確変短当り」の場合は、開閉部材231を、例えば0.3〜0.9秒間(0.3秒は、遊技球が1つのみ入賞する(受け入れる)ことができる時間である。)、開状態とした後に閉状態とし、このラウンドを例えば2ラウンド繰り返すものであり、「大当り」と比較して「確変短当り」は蓋然的に大入賞口235に入賞させる機会が少なく、遊技球の払い出しが少ないものとなっている。
また、「小当り」とは、アタッカ装置230の開閉部材231が、「確変短当り」と同様の開閉動作をするものであり、アタッカ装置230における開閉部材231の開閉動作だけでは「確変短当り」と「小当り」の区別が略付かないようになっている。
更に、抽選結果が「小当り」及び「確変短当り」の時は、「大当り」の時と比較して、アタッカ装置230の開閉部材231が、短時間且つ少回数だけ開閉動作するので、演出表示装置211に図柄等からなる演出画像が変動表示することで、アタッカ装置230の開閉動作に気付き難いようになっている。
なお、本実施形態では、「大当り」及び「確変短当り」には、「大当り」及び「確変短当り」が抽選される確率を、次回の抽選から通常時の確率よりも高確率に変更する「確変大当り」及び「確変短当り」と、高確率に変更しない「非確変大当り」と、をそれぞれ有している。
[2−2−3(a).誘導棚]
また、この役物210は、アタッカ装置230の下側に、役物210の上部に供給された遊技球を役物210の左右へと導く誘導棚233とが備えられている(図10及び図12参照)。この誘導棚233は、アタッカ装置230の直下が最も高くなるような緩い円弧状の誘導面を有し、本実施形態では、岩を模した装飾体とされている。
この、誘導棚233により導かれる図中右側の誘導路は、役物210の内部と言うよりは、役物210の表面を遊技球が流下するような流路であり、流通する遊技球がジグザグに流下するように千鳥状に障害部234が複数配置されているものである。これら障害部234の遊技球と当接する当接部には、後述する低反発性部材が用いられており、遊技球が不用に跳ね回るのを防止して、滑らかに流下するようになっている。この障害部234は、滝の途中に水面から突出したような岩を模した装飾体とされており、遊技球と当接する低反発性部材の部分がゴルフ場におけるフェアウエイに見立てたものとされている。なお、障害部234の配置された誘導路を流通する遊技媒体が、アタッカ装置230の大入賞口235から進入する流通空間221内へは流通しないようになっている。
[2−2−3(b).振分装置]
また、役物210には、その流通空間221内に複数の遊技球の流路が形成されており、アタッカ装置230の大入賞口235から進入した遊技球をいずれかの流路に振り分ける振分装置240を更に備えている。この振分装置240は、図13に示すように、大入賞口235から進入した遊技球を受けるとともに、その底部に遊技球が通過可能な複数(本実施形態では三つ)の通孔241が穿設された皿状の受部242と、受部242の各通孔241に対応し遊技球を各流路に誘導する誘導部243と、具体的な構成は省略するが受部242の傾きを変化させることのできる振分駆動手段244(図14参照)とから構成されている。本実施形態では、誘導部243が、演出表示装置211の前面で且つその上縁部よりやや下方に下がった位置に配置されている。
詳しくは、受部242の底部には、その前方左側に第一通孔241a、前方右側に第二通孔241b、中央後方に第三通孔241cがそれぞれ穿設されておる。また、それら通孔241に対応した誘導部243は、第一通孔241aと対応し遊技球を役物210内部の左縁部に誘導する第一誘導部243a、第二通孔241bと対応し遊技球を役物210内部の右縁部に誘導する第二誘導部243b、第三通孔241cと対応し遊技球を役物210の略中央に誘導する第三誘導部243c、とされている。
この振分装置240では、受部242や誘導部243がそれぞれ透光性を有する(例えば、透明)素材により形成されており、振分装置240内の遊技球を外部から視認することができ、振り分けられる遊技球を見せることで期待感を持たせられるようになっている。なお、受部242へ供給される遊技球を、受部242内でその周方向に回転するように供給させるようにしても良く、遊技球がルーレットの如く回転することで興趣を高めることができる。
また、この振分装置240では、各通孔241がそれぞれ受部242の周方向に略均等に配置されているとともに、それぞれ略同じ大きさとされているので、受部242が略水平状態の時には受部242に供給された遊技球がそれぞれの通孔241を通過する確率はそれぞれ1/3となっているとともに、振分駆動手段244の駆動により受部242を傾斜させることで、第三通孔241cに振り分けられる確率が他の通孔よりも高くなるようになっている。なお、通孔241の配置を変更したり、大きさを互いに異ならせたりしても良く、これにより、遊技球が各通孔241を通過する確率を互いに異ならせることができる。
[2−2−3(c).跳躍装置]
この役物210には、振分装置240により各流路に振り分けられた遊技球に、各流路に応じて種々の動きを付与させて遊技者を楽しませる様々なギミックが備えられている。その一つとして遊技球を跳躍させることのできる跳躍装置250を備えおり、本実施形態では、跳躍装置250は、遊技球自身の持つ運動エネルギーを利用して遊技球を跳躍させるもので、電気等による駆動力を必要としないものである。
この跳躍装置250には、所定速度で転動する遊技球の移動方向を水平方向以上の方向に接触誘導させることで遊技球を跳躍させる第一跳躍装置250a、高反発性部材で遊技球を反発させることで遊技球を跳躍させる第二跳躍装置250b及び第三跳躍装置250c、が含まれている。本実施形態では、跳躍装置250が演出表示装置211の前面且つ下縁部付近にそれぞれ配置され、第一跳躍装置250aと第二跳躍装置250bが互いに対向するように左右方向に所定距離離反して配置されているとともに、第二跳躍装置250bの近傍に第三跳躍装置250cが配置されている。
第一跳躍装置250aは、図10〜図12に示すように、岩を模した装飾体からなり、上方が開放され遊技球が転動可能な所定の幅を有した湾曲状の誘導面251を有しており、所定の初速度で遊技球をこの誘導面251に供給すると、遊技球が誘導面251に沿って転動し、その開放端から放出されることでジャンプするように跳躍させることができるようになっている。
また、第二跳躍装置250b及び第三跳躍装置250cは、図示するように、略平面に形成された反発面252を有しており、この反発面252に遊技球が衝突(当接)することで高反発性部材の反発力によって遊技球を跳躍させることができるとともに、各第二跳躍装置250b及び第三跳躍装置250cに供給される遊技球の速度や移動方向、遊技球の跳躍先等の条件に応じてそれぞれの反発面252の向きや角度が適宜選択されている。
これら第二跳躍装置250b及び第三跳躍装置250cは、岩を模した一つの装飾体とされ、それらの反発面252がゴルフ場におけるフェアウエイに見立てられている。また、第二跳躍装置250b及び第三跳躍装置250cを有した装飾体には、右側の誘導棚233から流出した遊技球が流下する誘導路内に配置された障害部234の一つが、一体に形成されている。
なお、第一跳躍装置250aには、振分装置240において第一誘導部243aに振り分けられた遊技球を受け取って誘導面251の開放端とは反対側の端部に供給する誘導スロープ253が接続されており、この誘導スロープ253を遊技球が転動落下することで所定量の運動エネルギーが付与されて、遊技球が第一跳躍装置250aによって確実に跳躍するようになっている。また、高反発性部材として、ゴム、バネ(金属製、樹脂製など)、等の弾性部材を適宜用いることができ、本実施形態では、高反発性樹脂が用いられている。
[2−2−3(d).ステージ]
また、役物210には、流通空間221内に進入した遊技球に所定の動きを付与して遊技者を楽しませるものとして、役物210内部の下縁部で、且つ、第一跳躍装置250aと第二跳躍装置250bとの間に配置され、遊技球を左右前後方向に転動可能なステージ260を更に備えている。
このステージ260は、役物210の流通空間221内に供給された遊技球の運動エネルギーを減衰させるとともに、前後左右方向に遊技球を転動可能とされた第一ステージ261と、第一ステージ261の下方に配置され所定幅を有し遊技球を左右方向に転動可能とされた第二ステージ262とから構成されている。
第一ステージ261は、平面視、扇状に形成された捕捉転動面263(図11参照)と、捕捉転動面上263に開口する第一受入口264とで構成されており、捕捉転動面263が正面視では左右方向の中央が窪んだ緩い円弧状とされるとともに、高さの異なる複数段(本実施形態では三段)の転動面からなり、捕捉転動面263における最下段の転動面の略中央に第一受入口264が設けられている。この第一ステージ261は、ゴルフ場におけるグリーン見立てられており、第一受入口264がグリーン上に設けられたカップに相当している。なお、この第一ステージ261の捕捉転動面263は、低反発性部材により形成されており、当接(衝突)した遊技球の運動エネルギーを減衰させることができるようになっている。また、捕捉転動面263上に第一受入口264に受入れられた遊技球は、排出センサ322(図14参照)に検出された後に、遊技状態制御に関わらないように、遊技領域37に戻されることなく、パチンコ機1の外部へ排出されるようになっている。
この第一ステージ261は、供給された遊技球の運動エネルギーをその物理的な変形により減衰させることで、その捕捉転動面263上で遊技球が弾んだり跳ねたりするのを防止して、その面形状に沿うように遊技球を転動させることができ、供給された遊技球がその上段の転動面から下段の転動面へ流下するような面形状となっており、最下段の転動面からは更に第二ステージ262へ流下するようになっている。この第二ステージ262の略中央には、第二受入口265が備えられており、第一受入口264に受入れられなかった遊技球を受入れて、排出センサ322により検出した後に、第一受入口264と同様に遊技状態制御に関わらないように、遊技領域37に戻すことなくパチンコ機1の外部へ排出するものである。
なお、第一ステージ261の捕捉転動面263は、遊技球の運動エネルギーをその物理的な変形により減衰させるものとして、「粘弾性を有したゴムや樹脂」、「発泡成形されたゴムや樹脂」、「液体や粘性流体を内包したもの」、「ゲル状物質を内包したもの」、「粉体又は粒状体を内包したもの」、「不織布」、「モケット」、「パイル織状物又はパイル状物」、等の低反発性部材を用いることができ、本実施形態では、例えば、内外ゴム株式会社の「ハネナイト(登録商標)」が用いられている。
一方、第二ステージ262は、第一ステージ261から流下してきた遊技球を転動可能とし、その転動面の形状が、上方に開放された円弧形状とされるとともに、特に中央部では緩い円弧形状とされ、遊技球が左右方向に転動し易いようになっている。
[2−2−3(e).ミニステージ]
更に、役物210の流通空間221内には、第三跳躍装置250cの上方に配置され、振分装置240における第二誘導部243bの端部から放出(落下)された遊技球を一旦受け取って、その運動エネルギーを減衰させた上で、第三跳躍装置250cに落下供給させる棚状のミニステージ270を備えている。このミニステージ270は、上方から供給される遊技球と当接可能とされ低反発性部材からなる傾斜面271と、傾斜面271の下端付近に設けられ遊技球を下方に流出させる流出部272とを備えている。なお、流出部272は遊技球が通過可能な穴とされており、この流出部272を遊技球が通過することで遊技球の水平方向の運動エネルギーを無くすことができ、第三跳躍装置250cに安定して落下させることができるようになっている。
このミニステージ270は、上方から供給された遊技球が傾斜面271と当接することで、傾斜面271を構成する低反発性部材によりその運動エネルギーを減衰させ、殆んど傾斜面271上を弾むことなく遊技球を受け止めた上で、傾斜面271の傾斜に沿って遊技球をその下端に配置された流出部272へと転動させて、流出部272から遊技球を下方へ流出させるものである。つまり、ミニステージ270により落下する遊技球を一旦、受け止めてから下方に供給させるので、遊技球の動きにアクセントを付けることができ、その動きを楽しませることができるようになっている。
また、ミニステージ270により、遊技球の運動エネルギーを減衰させた上で第三跳躍装置250cに供給させることができるので、第三跳躍装置250cに供給される遊技球の運動エネルギーを均質化させて、遊技球の跳躍ムラが発生するのを防止できるようになっている。
このミニステージ270は、全体を岩に、傾斜面271をフェアウエイに、それぞれ模した装飾体とされ、右側の誘導棚233から流出した遊技球が流下する誘導路内に配置された障害部234の一つと一体に形成されている。
なお、ミニステージ270を役物210の流通空間221内において、上下方向に移動可能とするようにしても良く、これにより、ミニステージ270と第三跳躍装置250cとの高低差を変化させることで、第三跳躍装置250cに供給される遊技球の運動エネルギーが変化して、第三跳躍装置250cから第一ステージ261へ跳躍する遊技球の飛距離を変化させることが可能となり、遊技球が第一ステージ261の案内孔264に入球する確率を変化させることができ、より興趣の高められるものとすることができる。
本実施形態の役物210では、演出表示装置211の上縁部に振分装置240を配置するとともに、演出表示装置211の下縁部に跳躍装置250やステージ260を配置しており、振分装置240と、跳躍装置250やステージ260との間に所定の高低差を設けることで、その間を流下(落下)する遊技球に重力を用いて所定の運動エネルギーを付与することができるようになっており、それらの高低差による運動エネルギーが、遊技球を各跳躍装置250において所望の跳躍となるように選択されている。
また、本実施形態の役物210は、第一始動口214又は第二始動口215への遊技球の入賞により抽選される抽選結果が「確変短当り」の場合、振分装置240が、振分駆動手段244の駆動によって、アタッカ装置230の大入賞口235に入賞した遊技球を、特別流路に振り分けられるようにしており、「確変短当り」の時に大入賞口235に遊技球を入賞させると、第一受入口264に遊技球が受入れられる割合が高くなるようになっている。
[2−2−3(f).役物内での遊技球の流れ]
次に、役物210内での遊技球の流れについて、詳細に説明する。図12にも示すように、役物210の上部に配置された後述するアタッカ装置230の大入賞口235に遊技球が入賞すると、振分装置240の受部242へと送られ、受部242の底部に穿設された三つの通孔241のいずれから通孔241と対応する誘導部243へと送られる。
まず、遊技球が振分装置240において、第一通孔241aを通過して第一誘導部243aに振り分けられた場合、遊技球の流れとしては、遊技球が第一誘導部243aに沿って左側の端部へと転動し、その左端部から誘導スロープ253へと受け渡され、誘導スロープ253に受け渡された遊技球が、重力加速度により急激にその速度を速めるとともに、誘導スロープ253に沿って下方に接続された第一跳躍装置250aに向かって転動する。そして、第一跳躍装置250aでは、その湾曲状の誘導面251に誘導されて、移動方向を上方に変更されて、誘導面251の開放端からジャンプするように跳躍する。
そして、第一跳躍装置250aから跳躍した遊技球が、第一ステージ261を飛び越して、演出表示装置211の前面側且つ右縁部付近に配置された第二跳躍装置250bへと跳躍する。この第二跳躍装置250bは、その反発面252の角度が、第一跳躍装置250aから跳んできた遊技球を反発させた場合に、反発した遊技球が第一ステージ261上に跳ぶような角度とされており、第一跳躍装置250aから跳んできた遊技球が第二跳躍装置250bにより跳躍して第一ステージ261上に落下し、第一ステージ261の捕捉転動面263を形成する低反発性部材により殆んど反発することなく第一ステージ261に供給されるような遊技球の流れとなる(第一跳躍流路)。
これにより、この第一跳躍流路では、遊技球が、第一ステージ261を飛び越した上で第二跳躍装置250bによって跳躍して第一ステージ261上に載るので、遊技球を可変入賞装置213の第一始動口214へ案内させる契機となる第一ステージ261を飛び越すような従来にない躍動感に溢れた遊技球の動きをさせることができ、飽き難くすることが可能となって、興趣が低下するのを抑制することができる。また、遊技球が第一ステージ261を飛び越してしまうので、遊技者に遊技球が第一ステージ261に載らなくて第一始動口214に案内されないように思わせて一瞬興趣を低下させることができ、その後、第二跳躍装置250bにより跳躍して第一ステージ261に載ることで興趣を高めることができ、遊技者をよりハラハラ、ドキドキさせることが可能となり、抑揚に富んだ興趣を高められるものとすることができる。
一方、遊技球が振分装置240において、第二通孔241bを通過して第二誘導部243bに振り分けられた場合、遊技球の流れとしては、遊技球が第二誘導部243bに沿って右側の端部へと転動し、その右端部から下方に配置されたミニステージ270へと落下する。このミニステージ270の傾斜面271に落下した遊技球は、傾斜面271を形成する低反発性部材により殆んど反発することなく傾斜面271に受け取られ、その傾斜面271に沿って下端へと転動する。そして、傾斜面271の下端に設けられた流出部272から第三跳躍装置250cに向かって落下する。
この第三跳躍装置250cも、その反発面252の角度が、ミニステージ270から落下した遊技球を反発させた場合、反発した遊技球が第一ステージ261上に跳躍するような角度とされており、ミニステージ270の流出部272を介して落下してきた遊技球が第三跳躍装置250cにより跳躍して第一ステージ261上に落下し、第一ステージ261の捕捉転動面263を形成する低反発性部材により殆んど反発することなく第一ステージ261に供給されるような遊技球の流れとなる(第二跳躍流路)。
これにより、この第二跳躍流路では、下方に落下する遊技球の落下途中で、遊技球がミニステージ270に載ることで、一旦、遊技球の落下が停止して静かな動きとなり、ミニステージ270から流出すると再び落下して速い動きとなり、第三跳躍装置250cで跳躍して第一ステージ261に載るような緩急があり躍動感のあるこれまでにない遊技球の動きをさせることができ、遊技者の興趣を高めることができる。
また、遊技球が振分装置240において、第三通孔241cを通過して第三誘導部243cに振り分けられた場合、遊技球の流れとしては、遊技球が第三誘導部243cから放出されると、役物210の略中央で、演出表示装置211の前面を、第一ステージ261に向かって一気に落下し、第一ステージ261の捕捉転動面263を形成する低反発性部材により殆んど反発することなく第一ステージ261に供給されるような流れとなる(特別流路)。
これにより、この特別流路では、上記の第一跳躍流路や第二跳躍流路と異なり、遊技球が跳躍することなく、一気に第一ステージ261へと落下供給されるため、遊技者にいきなりチャンスが到来したような感覚を持たせることが可能となり、より興趣の高められるものとすることができる。
ところで、大入賞口235から進入した遊技球は、いずれの流路に振り分けられても第一ステージ261上に供給されるが、特別流路を介して第一ステージ261に供給された遊技球は、左右方向の運動エネルギーを殆んど有していないので、第一ステージ261上の第一案内口264に受入れられる確率が高くなる。それに対して、第一跳躍流路や第二跳躍流路を介して第一ステージ261に供給された遊技球は、左右方向の運動エネルギーが比較的大きいため、第一ステージ261上を左右方向に転動し易くなり、第一受入口264に受入れられる確率が低くなる。これにより、特別流路に遊技球が振り分けられると第一受入口264に受入れられる確率が高くなるようになっている。
一方、遊技球が第一ステージ261において、その第一受入口264に受入れられなかった場合、第一ステージ261から第二ステージ262へと流下し、第二ステージ262上を転動した後に、第二受入口265へと受入れられて、遊技領域37へ再度戻すことなくパチンコ機1の外部へと排出されるようになっている。
[2−2−4.アタッカ装置]
次に、大入賞口235の開放又は閉鎖する開閉機構について説明する。アタッカ装置230は、上述したアタッカソレノイド324a、ストッパソレノイド324b及び開閉部材231に加えて、図27に示すように、開閉アーム500及びストッパアーム600を備えている。
[2−2−4(a).アタッカソレノイド]
アタッカソレノイド324aは、伸縮運動可能なプランジャ324apを備えており、このプランジャ324apにはプランジャ324apの復帰用バネである復帰スプリング324asが装着されている。アタッカソレノイド324aへの励磁が開始されると、プランジャ324apは図27(a)中左方へ駆動され(以下、「プランジャ324apによる縮運動」という。)、復帰スプリング324asが圧縮される。一方、アタッカソレノイド324aへの励磁が停止されると、圧縮された復帰スプリング324asの復元力によって、プランジャ324apは図27(a)中右方へ駆動され(以下、「プランジャ324apによる伸運動」という。)、原位置に復帰する。このように、プランジャ324apによる伸縮運動が行われる。この伸縮運動は、プランジャ324apの先端に形成されたプランジャ頭部324apaによって、開閉アーム500に伝達される。なお、図27(a)に示すプランジャ324apの位置が原位置となる。
[2−2−4(b).開閉アーム]
プランジャ324apの伸縮運動が伝達される開閉アーム500は、この伸縮運動を受けるプル側運動受部500a及びプッシュ側運動受部500bと、この受けた伸縮運動を開閉部材231に伝達する運動伝達部500cとが、L字形状を有する板状の開閉アーム本体500dを介して、段付軸500eに一体成形されている。この段付軸500eの両端には、段付部500fがそれぞれ設けられている。
アタッカソレノイド324aへの励磁が開始されると、プランジャ324apによる縮運動が開始される。この縮運動を受けるプル側運動受部500aは、プランジャ頭部324apaによって、アタッカソレノイド324aの方向に引っ張られる動きとなる。このため、開閉アーム500は、段付軸500eを中心軸として、図27(a)中反時計方向に回転し、その後、開閉アーム本体500dがアタッカ装置230に設けられた過回転防止部230aと干渉することによって停止する。この反時計方向の回転運動は、運動伝達部500cによって、開閉部材231に伝達される。
一方、アタッカソレノイド324aへの励磁が停止されると、プランジャ324apによる伸運動が開始される。この伸運動を受けるプッシュ側運動受部500bは、プランジャ頭部324apaによって、アタッカソレノイド324aの方向と反対方向に押し出される動きとなる。このため、開閉アーム500は、段付軸500eを中心軸として、図27(a)中時計方向に回転する。この時計方向の回転運動は、運動伝達部500cによって、開閉部材231に伝達される。このように、開閉アーム500は、プランジャ324apによる伸縮運動に応じて、段付軸500eを中心軸として、時計方向又は反時計方向に回転運動する。そして、この回転運動は、開閉アーム500によって、開閉部材231に伝達される。なお、段付軸500eの両端にそれぞれ設けられた段付部500fは、アタッカ装置230に設けられた図示しない軸受部にそれぞれ挿入されており、開閉アーム500の回転運動が開閉部材231に滑らかに伝達される。
[2−2−4(c).開閉部材]
開閉アーム500の回転運動が伝達される開閉部材231は、この回転運動を受ける開放側運動受部231a及び閉鎖側運動受部231bが、開閉部材本体231cに一体成形されている。この開閉部材本体231cにはボス穴231dが設けられており、このボス穴231dに支軸231eが挿入されている。また、開閉部材本体231cには規制部231fも設けられており、この規制部231fは、開閉部材231の最大回転角度(遊技球が大入賞口235に最も入賞しやすい角度)を規制する。
アタッカソレノイド324aへの励磁が開始されると、プランジャ324apによる縮運動が開始され、開閉アーム500は、段付軸500eを中心軸として、反時計方向に回転運動する。この反時計方向の回転運動を受ける開放側運動受部231aは、運動伝達部500cによって、図27(a)中上方に跳ね上げられる動きとなる。このため、開閉部材231は、支軸231eを中心軸として、図27(a)中時計方向に回転し、その後、規制部231fがアタッカ装置230に設けられた被規制部230bと干渉することによって停止する(このとき、遊技球が大入賞口235に最も入賞しやすくなる)。この時計方向の回転運動によって、大入賞口235が開放される。
一方、アタッカソレノイド324aへの励磁が停止されると、プランジャ324apによる伸運動が開始され、開閉アーム500は、段付軸500eを中心軸として、時計方向に回転運動する。この時計方向の回転運動を受ける閉鎖側運動受部231bは、運動伝達部500cによって、図27(a)中下方に押し下げられる動きとなる。このため、開閉部材231は、支軸231eを中心軸として、図27(a)中反時計方向に回転し、その後、開閉部材本体231cがアタッカ装置230に設けられた被規制部230cと干渉することによって停止する(このとき、遊技球が大入賞口235に入賞できなくなる)。この反時計方向の回転運動によって、大入賞口235が閉鎖される。このように、開閉部材231は、プランジャ324apによる伸縮運動に応じて、開閉アーム500の回転運動を介して、支軸231eを中心軸として、時計方向又は反時計方向に回転運動する。これにより、大入賞口235は開放又は閉鎖される。なお、ボス穴231dに挿入された支軸231eは、アタッカ装置230に設けられた図示しない軸受部にそれぞれ挿入されており、開閉部材231の回転運動が滑らかに行われる。
[2−2−4(d).レンチシール]
また、開閉部材231には、図27(a),(b)に示すように、印刷面にレンチキュラレンズを設けたレンチシール232が貼られている。このレンチシール232は、遊技者が、開閉部材231を見る角度(視線角度)によって、印刷面に表示される画像の変化が見えるように、レンチキュラレンズのピッチに合わせて、複数の画像が1つの合成画像として印刷面に印刷されている。
[2−2−4(e).ストッパソレノイド]
ストッパソレノイド324bは、伸縮運動可能なプランジャ324bpを備えており、このプランジャ324bpにはプランジャ324bpの復帰用バネである復帰スプリング324bsが装着されている。ストッパソレノイド324bへの励磁が開始されると、プランジャ324bpは図27(a)中左方へ駆動され(以下、「プランジャ324bpによる縮運動」という。)、復帰スプリング324bsが圧縮される。一方、ストッパソレノイド324bへの励磁が停止されると、圧縮された復帰スプリング324bsの復元力によって、プランジャ324bpは図27(a)中右方へ駆動され(以下、「プランジャ324bpによる伸運動」という。)、原位置に復帰する。このように、プランジャ324bpによる伸縮運動が行われる。この伸縮運動は、プランジャ324bpの先端に形成されたプランジャ頭部324bpaによって、ストッパアーム600に伝達される。なお、図27(a)に示すプランジャ324bpの位置が原位置となる。
[2−2−4(f).ストッパアーム]
プランジャ324bpの伸縮運動が伝達されるストッパアーム600は、この伸縮運動を受けるプル側運動受部600a及びプッシュ側運動受部600bと、この受けた伸縮運動を、上述したアタッカソレノイド324aのプランジャ324apの先端に形成されたプランジャ頭部324apaに伝達するストッパ部600cとが、板状のストッパアーム本体600dを介して、段付軸600eに一体成形されている。この段付軸600eの両端には、段付部600fがそれぞれ設けられている。
ストッパソレノイド324bへの励磁が開始されると、プランジャ324bpによる縮運動が開始される。この縮運動を受けるプル側運動受部600aは、プランジャ頭部324bpaによって、ストッパソレノイド324bの方向に引っ張られる動きとなる。このため、ストッパアーム600は、段付軸600eを中心軸として、図27(a)中反時計方向に回転し、その後、ストッパアーム本体600dがアタッカ装置230に設けられた過回転防止部230dと干渉することによって停止する。この反時計方向の回転運動は、ストッパ部600cによって、プランジャ頭部324apaに伝達され、プランジャ324apがアタッカソレノイド324aの方向と反対方向に押し出される(アタッカソレノイド324aに負荷を加える)動きとなる。
一方、ストッパソレノイド324bへの励磁が停止されると、プランジャ324bpによる伸運動が開始される。この伸運動を受けるプッシュ側運動受部600bは、プランジャ頭部324bpaによって、ストッパソレノイド324bの方向と反対方向に押し出される動きとなる。このため、ストッパアーム600は、段付軸600eを中心軸として、図27(a)中時計方向に回転し、その後、ストッパアーム本体600dがアタッカ装置230に設けられた過回転防止部230eと干渉することによって停止する。この時計方向の回転運動は、ストッパ部600cがプランジャ324apから離れる(アタッカソレノイド324aに加えた負荷を取り除く)動きとなる。なお、段付軸600eの両端に設けられた段付部600fは、アタッカ装置230に設けられた図示しない軸受部にそれぞれ挿入されており、ストッパアーム600の回転運動が滑らかに行われる。
[3.主基板と周辺基板]
次に、パチンコ機1の後側に設けられる主基板310及び周辺基板311について説明する。図14はパチンコ機1の制御構成を概略的に示すブロック図である。
パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板310のグループと周辺基板311のグループとで分担されており、このうち主基板310のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板311のグループが演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示等)を制御している。
[3−1.主基板]
主基板310は、主制御基板94と払出制御基板133とから構成されている。主制御基板94は、中央演算装置としてのCPU314、読み出し専用メモリとしてのROM315、読み書き可能メモリとしてのRAM316を備えている。CPU314は、ROM315に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板311や払出制御基板133に出力するコマンド信号を作成したりする。RAM316には、主制御基板94で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。
[3−1−1.主制御基板]
主制御基板94には、ゲートセンサ317、始動口センサ318(第一始動口センサ318a,第二始動口センサ318b)、カウントセンサ319、一般入賞口センサ321及び排出センサ322等からの検出信号が入力される。一方、主制御基板94は、始動口ソレノイド323、アタッカソレノイド324a、ストッパソレノイド324b及び特別図柄表示器325等へ駆動信号を出力する。なお、始動口ソレノイド323、アタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324bへの励磁信号(駆動信号)はON/OFF信号であるため、始動口ソレノイド323、アタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324bへの励磁信号(駆動信号)がそれぞれ1本、計3本となる。この3本の励磁信号(駆動信号)によって、始動口ソレノイド323、アタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324bの駆動制御がそれぞれ行われる。
[3−1−2.払出制御基板]
また、払出制御基板133は、中央演算装置としてのCPU333、読み出し専用メモリとしてのROM334、読み書き可能メモリとしてのRAM335を備えている。そして、払出制御基板133は、主制御基板94から入力したコマンド信号を処理し、球払出装置125に駆動信号を出力する。これにより、球払出装置125は、駆動信号に従って遊技球を払い出す。
主制御基板94と払出制御基板133との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、例えば主制御基板94が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板133から主制御基板94にACK信号が返される。
[3−2.周辺基板]
一方、周辺基板311には、サブ統合基板336のほかに例えば複数の電飾制御基板337,338や波形制御基板339等が含まれる。上記の主制御基板94とサブ統合基板336との間では、それぞれの入出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われており、主制御基板94からサブ統合基板336へのコマンドの送信はあっても、その逆は行われない。
[3−2−1.サブ統合基板]
サブ統合基板336もまた、CPU350をはじめROM351やRAM352等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。サブ統合基板336とその他の電飾制御基板337,338や波形制御基板339との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。また、サブ統合基板336は、役物210における振分装置240の受部242を傾動させる振分駆動手段244へ駆動信号を出力可能とされており、始動入賞による抽選結果が「確変短当り」の時に、主制御基板94から送信される所定の制御コマンドに基づいて、振分駆動手段244を駆動して、大入賞口235に入賞した遊技球を特別流路に振り分けられ易くして、第一受入口264に遊技球が受入れられる割合を高くすることができるようになっている。
[3−2−2.電飾制御基板]
このサブ統合基板336と接続された1つ目の電飾制御基板337には主に、サイド装飾装置52等を含む装飾ランプ354とが接続されており、サブ統合基板336から電飾制御基板337に対して装飾ランプ354の点灯信号が送信されると、これを受けて電飾制御基板337が装飾ランプ354を点灯させる処理を行う。2つ目の電飾制御基板338には演出表示装置211とともに演出ランプ355が接続されている。例えばサブ統合基板336から演出表示装置211に対する表示コマンドが電飾制御基板338に送信されると、これを受けて電飾制御基板338は実際に演出表示装置211を作動させる処理を行う。なお、電飾制御基板337,338には、それぞれ中央演算装置としてのCPU357,358と、読み出し専用メモリとしてのROM370,371と、読み書き可能メモリとしてのRAM373,374と、を備えている。
[3−2−3.波形制御基板]
波形制御基板339は、中央演算装置としての359と、読み出し専用メモリとしてのROM372と、読み書き可能メモリとしてのRAM375と、を備えており、音響出力としての可聴音波のほか、不可聴である超音波等の波形信号を生成、送受信する処理を実行している。例えば、サブ統合基板336から音響出力コマンドが波形制御基板339に送信されると、これを受けて波形制御基板339は上記のスピーカ18,57を駆動する処理を行う。このほかにも、波形制御基板339には超音波送受信装置356が接続されており、この超音波送受信装置356は、複数の台間で超音波による通信を可能とする。通常、ホールの島設備には複数台のパチンコ機1が並べて設置されるが、超音波送受信装置356を装備しているパチンコ機1同士の間では、相互に超音波通信が可能となる。この通信機能を用いて、複数のパチンコ機1で演出動作をシンクロナイズさせたり、特定の台間で遊技情報の交換を行ったりすることができる。
なお、本実施形態では、図示は省略するが、役物210における流通空間221へ進入する遊技球を検出するカウントセンサ319と、流通空間221から排出される遊技球を検出する排出センサ322とにより、流通空間221へ進入した遊技球の数と、排出された遊技球の数とを比較し、その数が一致しなければ球詰まりを報知する球詰まり報知器が備えられている。
[4.各種制御処理]
次に、パチンコ機1に実装される主制御基板94のCPU314により実行される各種制御処理について説明する。図15はメイン処理の一例を示すフローチャートであり、図16は電源断発生時処理の一例を示すフローチャートであり、図17はタイマ割込処理の一例を示すフローチャートであり、図18は遊技処理における機能的な概略構成を示すブロック図であり、図19は遊技処理の一例を示すフローチャートであり、図20は変動開始処理の一例を示すフローチャートであり、図21は当り判定処理の一例を示すフローチャートであり、図22は変動表示パターン設定処理の一例を示すフローチャートであり、図23は変動中処理の一例を示すフローチャートであり、図24は大当り遊技開始処理の一例を示すフローチャートであり、図25は大当り遊技中処理の一例を示すフローチャートであり、図26は小当り遊技処理の一例を示すフローチャートであり、図28は大入賞口開放処理の一例を示すフローチャートであり、図29はアタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324bの駆動状態を表す概略図であり、図30はレンチシール232で表示される画像であり、図31は大入賞口閉鎖処理の一例を示すフローチャートである。
[4−1.メイン処理]
パチンコ機1へ電力の供給が開始されるとメイン処理が開始される。このメイン処理が開始されると、図15に示すように、主制御基板94のCPU314は、ステップS1001において電源投入時処理を実行する。この電源投入時処理では、RAM316に記憶されているバックアップデータが正常であるか(停電発生時の設定値となっているか)否かを判定する。バックアップデータが正常であればRAM316に記憶されているバックアップデータに従って停電発生時の状態に戻す処理(復電時処理)を実行する。一方、バックアップデータが異常であればRAM316をクリアしてCPU周辺のデバイス設定(通常の初期設定:割込タイミングの設定等)を行う。
なお、遊技途中でパチンコ機1への電力供給が停止すると、RAM316に現在の遊技状態がバックアップデータとして記憶される。また、電源投入時処理では、RAM316に記憶されているバックアップデータのクリアを指示するRAM消去スイッチがオンであるときにはRAM316をクリアして通常の初期設定を行い、RAM316にバックアップデータが保存されていないときにはRAM316をクリアして通常の初期設定を行う。
また、電源投入時処理では、通常の初期設定を実行したときにサブ統合基板336に主制御基板94が起動したことを示す電源投入コマンドを送信可能な状態にセットする処理も実行される。電源投入コマンドは、主制御基板94が起動したことをサブ統合基板336に通知するものである。なお、遊技店の閉店時等にパチンコ機1への電力供給を停止した場合(電源を落とした場合)にもRAM316にバックアップデータが記憶され、再びパチンコ機1への電力供給を開始したときには電源投入時処理が実行される。
ステップS1001に続いて、CPU314では、遊技用の各処理を繰り返し実行するループ処理を開始する。このループ処理の開始時には、CPU102は、まず、ステップS1002において、停電予告信号が検知されているか否かを判定する。なお、この実施の形態では、パチンコ機1にて使用する電源電圧は、電源基板(図示しない)によって生成する。つまり、パチンコ機1に搭載される複数種類の装置はそれぞれ異なる電源電圧で動作するため、外部電源からパチンコ機1に供給される電源電圧を電源基板で所定の電源電圧に変換した後、各装置に供給している。しかして、停電が発生し、外部電源から電源基板に供給される電源電圧が所定の電源電圧以下となると、電源基板から主制御基板94に電源電圧の供給が停止することを示す停電予告信号が送信される。
そして、ステップS1002で主制御基板94に搭載されるCPU314により停電予告信号を検知すると、ステップS1003へと進み電源断発生時処理を実行する。この電源断発生時処理は、停電後に電源基板に供給される電源電圧が(この実施の形態では、24V)復旧した場合に(以下、「復電」と呼ぶ)、遊技機の動作を停電前の状態から開始するために停電発生時の状態をRAM316にバックアップデータとして記憶する処理である。処理内容は後述するが、本実施形態において電源断発生時処理は、割込処理ではなく、ループの開始直後に停電予告信号の検知有無に応じて実行される分岐処理としてメイン処理(主制御処理)内に組み込まれている。
ステップS1002で停電予告信号が検知されていない場合、つまり外部電源からの電力が正常に供給されている場合には、ステップS1004へと進み、遊技にて用いられる各種乱数を更新する乱数更新処理2を行う。なお、乱数更新処理2にて更新される乱数については後述する。
[4−2.電源断発生時処理]
次に、電源断発生時処理について説明する。この電源断発生時処理が開始されると、図16に示すように、主制御基板94のCPU314は、ステップS1101において、割込処理が実行されないように割込禁止設定を行う。そして、続くステップS1102において、RAM316のチェックサムを算出し、RAM316の所定領域に保存する。このチェックサムは、復電時に停電前のRAM316の内容が保持されているか否かをチェックするのに使用される。
続いて、ステップS1103において、RAM316の所定領域に設けられたバックアップフラグに、電源断発生時処理が行われたことを示す規定値を設定する。以上の処理を終えると、ステップS1104に進み、RAM316へのアクセスを禁止し、無限ループに入って電力供給の停止に備える。なお、この処理では、ごく短時間の停電等(以下、「瞬停」と呼ぶ)によって、電源電圧が不安定となることによって、電源断発生時処理が開始されてしまった場合、実際には電源電圧は停止されないため、上述した処理では、無限ループから復帰することができなくなるおそれがある。このような弊害を回避するため、本実施形態では、ウォッチドックタイマが設けられており、所定時間、ウォッチドックタイマが更新されないとリセットがかかるように構成されている。ウォッチドックタイマは、正常に処理が行われている間は定期的に更新されるが、電源断発生時処理に入り、更新が行われなくなる。この結果、瞬停によって、電源断発生時処理に入り、この無限ループに入った場合でも、所定期間経過後にリセットがかかり、電源投入時と同じプロセスでCPU314が起動することになる。
[4−3.タイマ割込処理]
次に、タイマ割込処理について説明する。本実施形態では、タイマ割込処理が4ms毎に実行されている。このタイマ割込処理が開始されると、図17に示すように、主制御基板94のCPU314は、ステップS1201において、レジスタの退避処理を実行した後、続くステップS1202のセンサ入力処理へと進む、このステップS1202では、上述したセンサ(ゲートセンサ317、始動口センサ318(第一始動口センサ318a,第二始動口センサ318b)、カウントセンサ319、一般入賞口センサ321、排出センサ322等)の検出信号を監視する処理を実行する。
続くステップS1203の払出動作処理では、ステップS1202のセンサ入力処理にて検出された信号に基づいて払出制御基板133に遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを設定する。次のステップS1204の乱数更新処理1では、遊技にて用いられる各種乱数を更新する処理を実行する。なお、この実施の形態では、乱数更新処理1にて更新される乱数と、上述した乱数更新処理2にて更新される乱数と、は異なる。乱数については後述するが、乱数更新処理2にて更新される乱数を乱数更新処理1でも更新するようにしてもよい。
また、次のステップS1205の遊技処理では、遊技の進行状態に応じてパチンコ機1を制御する処理が実行される。そして、続くステップS1206の普通図柄遊技では、普通図柄表示器(図示は省略する)に関わる制御処理を実行する。次のステップS1207の普通電動役物遊技では、可動片216の開閉制御するための処理を実行する。更に続くステップS1208の特別図柄遊技では、ステップS1205の遊技処理の処理結果に基づいて特別図柄表示器325を変動表示する制御を実行する。
更に、ステップS1209の特別電動役物遊技では、アタッカソレノイド324を制御して開閉部材231の開閉制御を実行する。次のステップS1210のコマンド伝送出力処理では、ステップS1205の遊技処理でセットされた制御コマンドをサブ統合基板336に送信する処理を実行する。また、このコマンド伝送出力処理では、パチンコ機1への電力供給が開始されたときに電源投入時処理(図15のステップS1001)でセットされた電源投入コマンドをサブ統合基板336に送信する処理も行われる。
次のステップS1211のI/Oポート出力処理では、パチンコ機1の外部(例えば、ホール側の管理コンピュータ等)に遊技状態を示す状態信号を出力する処理、特図始動記憶ランプ(図示せず)に駆動信号を出力する処理、等を実行する。そして、ステップS1202からステップS1211までの処理を実行すると、ステップS1212へと進み、レジスタの復帰処理を実行して、処理を終了する。
ここで、上述したステップS1204の乱数更新処理1、およびメイン処理におけるステップS1004の乱数更新処理2において、主制御基板94のCPU314により更新される各種乱数について簡単に説明する。本実施形態では、遊技にて用いられる各種乱数として、「大当り」及び「確変短当り」等の大当り判定に用いられる大当り判定乱数、「大当り」及び「確変短当り」が抽選される抽選確率を高確率とするか否かの判定に用いられる確率変更乱数、「小当り」の小当り判定に用いられる小当り判定乱数、特別図柄表示器325に表示されている特別図柄の変動表示パターンを決定するために用いられる変動表示パターン乱数、等がある。
これらの乱数のうち、乱数更新処理1では、大当り判定乱数、確率変更乱数等の更新を行う。つまり、「大当り」や「確変短当り」による大当り遊技状態の発生に用いられる乱数は所定のタイミングとして4ms毎に更新される。このようにすることにより、それぞれの乱数における所定期間における確率(「大当り」と判定する確率、「確変短当り」と判定する確率)を一定にすることができ、遊技者に不利な状態となることを防止できる。一方、乱数更新処理2では、変動表示パターン乱数、等の更新を行う。なお、主制御基板94で更新される乱数は、上述したものに限られず、乱数更新処理2では、大当り判定乱数を更新するカウンタが1周したときに次にカウントを開始させる大当り判定乱数の初期値を決定するための初期値決定乱数等の更新も行う。
[4−4.遊技処理における機能的構成]
次に、遊技プログラムとして実現される機能的な構成と、それらの構成を用いた具体的な遊技内容の一例を説明する。図18に示すように、主基板310には、第一始動口214、第二始動口215への遊技球の入賞を検出する始動口センサ318(第一始動口センサ318a、第二始動口センサ318b)からの検出信号に基づいて抽選手段として所定の乱数を発生させる乱数発生手段411と、乱数発生手段411により発生した乱数に応じて遊技者が有利となる特典として、例えば、「大当り」や「確変短当り」等の「当り」を付与するか否かを判定する当否判定手段412と、当否判定手段412により特典を付与すると判定されると、発生した乱数に応じて、「大当り」又は「確変短当り」のいずれの特典を付与するかを選択する特典選択手段413と、特典選択手段413により選択された特典が「確変短当り」であれば、変動表示された演出画像が停止表示される前に「確変短当り」を付与し、選択された特典が「大当り」であれば、変動表示された演出画像が停止表示された後に「大当り」を付与する特典付与手段414と、特典付与手段414により付与される特典が、「大当り」又は「確変短当り」が抽選される抽選確率が通常時の確率の時に、「確変大当り」又は「確変短当り」であれば、抽選確率を通常時の確率よりも高確率に変更すると判定し、抽選確率が通常時の確率よりも高確率の時に、「非確変大当り」であれば、抽選確率を通常時の確率に変更すると判定する確率変更判定手段415と、確率変更判定手段415により抽選確率を変更すると判定されると、「大当り」又は「確変短当り」の付与の終了後に、抽選確率を確率変更判定手段415の判定に従って変更する確率変更手段416とを備えているものである。
また、主基板310には、特典付与手段414によって付与される特典に応じて、アタッカ装置230の開閉部材231を開閉駆動するためのアタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324bの励磁開始又は励磁停止を制御する開閉制御手段417と、乱数発生手段411、当否判定手段412、特典選択手段、及び特典付与手段414からの情報を制御コマンドとして周辺基板311に送信するためのコマンド送信手段418とを更に備えている。
更に、主基板310には、当否判定手段412によって「当り」を付与しない、つまり、「ハズレ」と判定されると、小当り判定乱数に応じて「小当り」を付与するか否かを判定する小特典判定手段419と、小特典付与手段419によって「小当り」を付与すると判定されると、変動表示された演出画像が停止表示される前に「小当り」を付与する小特典付与手段420とを更に備えている。なお、小当り判定乱数は、乱数発生手段411により発生させるようにしても良いし、当否判定手段412により「ハズレ」と判定されると、別途設けられた乱数判定手段によって発生させられるようにしても良い。
一方、周辺基板311には、主基板310から送信される制御コマンドを受信するコマンド受信手段と、主基板310から送信される制御コマンドに応じて、演出表示装置211に表示された演出画像を変動表示させた後に、発生した乱数に基づいた抽選結果を示唆する演出画像で停止表示させる演出表示制御手段432と、振分装置240の受部242を傾動駆動する振分駆動手段244を制御する振分制御手段433とを備えている。この振分制御手段433は、特典選択手段413により選択された特典が「確変短当り」であると、アタッカ装置230の大入賞口235から役物210の流通空間221内に進入した遊技球を一つだけ、第一受入口264に受入れられる割合が高くされた特別流路に誘導するように、振分装置240の受部242を傾動させる振分駆動手段244を制御するものである。
[4−5.遊技処理]
次に、遊技処理について説明する。この遊技処理が開始されると、図19に示すように、主制御基板94のCPU314は、ステップS1301において第一始動口214又は第二始動口215に遊技球が入賞したか否かを判定する。具体的には、始動口センサ318(第一始動口センサ318a,第二始動口センサ318b)がONとなって検出信号が出力されたか否かを判定し、始動口センサ318から検出信号が出力された場合には第一始動口214又は第二始動口215に遊技球が入賞したと判定しステップS1302へと進む。なお、ステップS1301において始動口センサ318がONとなったと判定されると、各種乱数(大当り判定乱数、継続回数判定乱数、確率変更判定乱数、変動表示パターン乱数、小当り判定乱数等)を取得する。
そして、ステップS1301において、第一始動口214又は第二始動口215に遊技球が入球して所定の乱数を取得すると、続くステップS1302では、RAM316に設けられている留保球数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かを判断する。そして、留保球数カウンタの値が4未満であれば、ステップS1303へと進み、ステップS1301で取得した所定の乱数を記憶手段としてのRAM316に記憶格納させるための始動記憶格納処理が行われる。なお、ステップS1301において始動口センサ318がONでない場合、及びステップS1302において留保球数カウンタの値が4以上である場合、には始動記憶格納処理を実行しないようになっている。
ステップS1303における始動記憶格納処理では、留保球数カウンタに「1」を加算する処理と、留保球数カウンタの加算に伴って留保数表示制御手段による保留ランプ353に表示される留保球数の数を変更する処理(例えば、4つのランプからなる保留ランプ353とした場合は、留保球数を保留ランプ353の点灯数で示す処理)と、取得した乱数値(例えば、大当り判定乱数、継続回数判定乱数、確率変更判定乱数、小当り判定乱数等)をRAM316に設けられた始動記憶の保存領域に留保球数カウンタのカウント値に対応させて記憶する処理と、を行う。このように、留保球数カウンタは、始動記憶の保存領域に記憶される乱数値の数を示すカウンタである。また、ステップS1302において留保球数カウンタの値が上限値である場合にはステップS1301で取得した乱数値を破棄する。
なお、ステップS1301で第一始動口214又は第二始動口215に遊技球が入球したと判断したときには、ステップS1301〜ステップS1303の間で各種乱数を取得すればよく、例えば、ステップS1301で各種乱数を取得せずに、ステップS1302で留保球数カウンタが上限値未満であることを判別した後に、各種乱数を取得してもよいし、始動記憶格納処理(ステップS1303)で取得するようにしてもよい。
その後、遊技処理では、CPU314が遊技の進行状態を示す処理選択フラグの値を参照し、処理選択フラグが[0]であればステップS1304の変動開始処理を、処理選択フラグが[1]であればステップS1305の変動表示パターン設定処理を、処理選択フラグが[2]であればステップS1306の変動中処理を、処理選択フラグが[3]であればステップS1307の大当り遊技開始処理を、処理選択フラグが[4]であればステップS1308の大当り遊技中処理を、処理選択フラグが[5]であればステップS1309の小当り遊技処理を行うようになっている。
なお、本実施形態では、大当り判定乱数による抽選結果として、「ハズレ」、「大当り」、及び「確変短当り」の三種類が用意されている。具体的には、抽選結果の「ハズレ」は、アタッカ装置230の開閉部材231が基本的には開状態とならないものである。また、「大当り」は、開閉部材231が開状態の時に大入賞口235に所定数として例えば10個の遊技球が入賞するか、又は所定時間として例えば30秒経過すると1ラウンドとして開閉部材231を閉状態とし、そのラウンドを、例えば7ラウンド又は15ラウンド繰り返すものである。更に、「確変短当り」は、開閉部材231を例えば0.3〜0.9秒間、開状態とした後に閉状態とし、このラウンドを例えば2ラウンド繰り返すものであり、「大当り」と比較して、遊技球の払い出しが少ないものの、「ハズレ」と「大当り」しかなかった従来のパチンコ機よりも、「当り」の種類が多くなり、より興趣が高められるようになっている。
また、本実施形態では、大当り判定乱数による抽選結果が「大当り」又は「確変短当り」の「当り」となった時に用いられる確率変更判定乱数によって、先の「大当り」及び「確変短当り」が、「当り」が抽選される抽選確率を通常時の確率とする「非確変大当り」と、抽選確率を通常時の確率よりも高確率に変更する「確変大当り」及び「確変短当り」となるようになっている。この「確変大当り」及び「確変短当り」が抽選されることで、「当り」が抽選される抽選確率が、通常時の確率よりも高確率(例えば、通常時の確率の7倍の確率)となるので「当り」が抽選され易くなり、連続して「大当り」が抽選される場合があり、「大当り」が連続することで、より多くの遊技球が払い出されて、より興趣の高められるようになっている。
更に、本実施形態では、大当り判定乱数による抽選結果が「ハズレ」となった場合に用いられる小当り判定乱数による抽選結果には、「ハズレ」、及び「小当り」の二種類が用意されている。具体的には、抽選結果の「ハズレ」は、アタッカ装置230の開閉部材231が開状態とならないものであり、「小当り」は、アタッカ装置230の開閉部材231が「確変短当り」と同様の開閉動作をするものである。この「小当り」によって、アタッカ装置230の開閉部材231が「確変短当り」の時と同様の動きをするので、そのアタッカ装置230の開閉部材231が開閉動作をしても、「確変短当り」によるものであるのか否かを不明確にすることができ、「確変短当り」かも知れないと、遊技者をワクワク、ドキドキさせることができる。また、突然、高確率に変更されたようになるため、遊技者に得した気分にさせることができ、より興趣の高められるようになっている。
本実施形態の遊技処理において、処理選択フラグが[0]のときに実行される変動開始処理(ステップS1304)では、始動記憶数を確認し、始動記憶数が0でなければ、特別図柄の変動表示を開始するための設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、ステップS1301において取得した大当り判定乱数及び小当り判定乱数に応じた抽選結果としての「大当り」、「確変短当り」、「小当り」及び「ハズレ」のいずれであるかの判定を行い、処理選択フラグを[1]に更新する。処理選択フラグが[1]のときに実行される変動表示パターン設定処理(ステップS1305)では、特別図柄および図柄の変動表示に関わる設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、特別図柄の変動表示パターンを決定し、当該変動表示パターンに対応して設定される変動時間(特別図柄表示器325にて特別図柄の変動表示を開始してから停止表示するまでの時間)をタイマにセットし、処理選択フラグを[2]に更新する。処理選択フラグが[2]のときに実行される変動中処理(ステップS1306)では、変動表示パターン設定処理(ステップS1305)で変動時間が設定されたタイマ等を監視し、タイマがタイムアウトしたことに基づいて特別図柄表示器325における特別図柄の変動表示を停止させる処理を行うとともに、変動開始処理(ステップS1304)にて抽選結果が「大当り」又は「確変短当り」であれば処理選択フラグを[3]に更新し、「ハズレ」であれば処理選択フラグを[0]に更新し、「小当り」であれば処理選択フラグを[5]に更新する。
また、処理選択フラグが[3]のときに実行される大当り遊技開始処理(ステップS1307)では、大当り遊技状態を開始するための設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、アタッカ装置230における開閉部材231の開閉回数等の設定を行う。処理選択フラグが[4]のときに実行される大当り遊技中処理(ステップS1308)では、詳しくは後述するが具体的には、カウントセンサ319によって検出された遊技球の個数を判別し、所定個数の遊技球が大入賞口235に入賞したとき、または、設定された開放時間がタイムアップしたとき大入賞口235を閉塞状態にするための処理を行う。また、大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数に達していなければ、再び、大入賞口235を開放状態にするための処理を行い、大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数に達したときには、「大当り」であれば処理選択フラグを[0]に、「確変短当り」であれば[2]に更新する。
更に、処理選択フラグが[5]のときに実行される小当り遊技処理(ステップS1309)では、詳しくは後述するが具体的には、「確変短当り」と同じ開閉回数及び開放時間をセットして、大入賞口235の開閉処理を行った後に処理選択フラグを[2]に更新する。
[4−6.変動開始処理]
次に、変動開始処理について説明する。この変動開始処理が開始されると、図20に示すように、主制御基板94のCPU314は、ステップS1401において、留保球数カウンタの値が0であるか否か判定する。上述したように、留保球数カウンタの値は、始動記憶の保存領域に格納される乱数値の数を示すものであるため、ステップS1401で留保球数カウンタの値が0であれば、始動記憶がないと判別されて、図示は省略するが大当り終了フラグをOFFにして、本ルーチンを終了する。なお、詳細は後述するが、大当り終了フラグは、大当り遊技が終了するとONとなるものである。
一方、ステップS1401で留保球数カウンタの値が0でなければ、ステップS1402に進み、始動記憶移行処理を実行する。ステップS1402の始動記憶移行処理では、留保球数カウンタを「1」減算する処理と、RAM316に設けられた始動記憶の保存領域に記憶される各種乱数をシフトした後、始動記憶の保存領域のうち留保球数カウンタの0に対応する保存領域に保存される各種乱数(大当り判定乱数、確率変更判定乱数、小当り判定乱数等)を読み出す処理と、を行う。具体的には、始動記憶の保存領域にて留保球数カウンタのn(n=1、2、3、4)に対応する保存領域に記憶されている各種乱数を始動記憶の保存領域における留保球数カウンタのn−1(n=0、1、2、3)に対応する保存領域に記憶させる。
ステップS1402に続いて、ステップS1403では、留保記憶の保存領域のうち留保球数カウンタの0に対応する保存領域から読み出した大当り判定乱数、確率変更判定乱数、及び小当り判定乱数を用いて当り判定処理を行い、抽選結果が、「確変大当り」、「非確変大当り」、「確変短当り」、「小当り」及び「ハズレ」のいずれであるかの判定を行い、続くステップS1404において、処理選択フラグを[1]に更新する。処理選択フラグを[1]に更新することにより、次にタイマ割込処理が発生し、遊技処理(図19参照)が実行されたときに変動表示パターン設定処理(ステップS1305)が実行可能となる。
[4−7.当り判定処理]
次に、当り判定処理について説明する。この当り判定処理が開始されると、図21に示すように、主制御基板94のCPU314は、ステップS1501において、確変フラグがONであるか否かを判定する。この判定は、現在の遊技状態が高確率の状態であるか否かを判定するものであり、確変フラグを用いて判定する。この確変フラグは、「大当り」及び「確変短当り」を抽選する抽選確率が高確率の状態であるときにはON、抽選確率が通常時の状態であるときにはOFFにそれぞれ設定されている。ステップS1501において、確変フラグがONであるときにはステップS1502へと進み、確変時大当り判定テーブルを選択する。一方、ステップS1501において確変フラグがOFFであるときには、ステップS1503へと進み、非確変時大当り判定テーブル(通常時大当り判定テーブル)を選する。
ステップS1502又はステップS1503において、大当り判定テーブルを選択すると、ステップS1504へと進み、選択した大当り判定テーブルを用いて、図20に示した変動開始処理におけるステップS1402の始動記憶移行処理で読み出した大当り判定乱数の値が当り値であるか否かを判定し、大当り判定乱数が当り値であれば、続くステップS1505へと進む。
ステップS1505では、更に大当り判定乱数が「大当り」であるか否かを判定し、「大当り」であるときにはステップS1506へと進み、大当りフラグをONにする。一方、大当り判定乱数が「大当り」でないとき、つまり「確変短当り」であるときにはステップS1507へと進み、短当りフラグをONにする。なお、本実施形態では、大当りフラグ、短当りフラグ、及び後述の小当りフラグは、いずれか一つしかONとはならないようになっている。
そして、ステップS1506又はステップS1507のいずれかにおいて、大当りフラグ又は短当りフラグのいずれかがONとされると、ステップS1508において、先の始動記憶移行処理において読み出した確率変更乱数が、確変値であるか否かを判定する。具体的には、確変判定テーブルを用いて、確率変更乱数が確変値であるか否かを判定し、確変値であるときにはステップS1509へと進み、確変フラグをONにし、このルーチンを終了する。なお、ステップS1509において、ステップS1509で既に確変フラグがONであれるときには、その状態が維持されるようになっている。
一方、ステップS1508において、確率変更乱数が確変値でないと判定したときにはステップS1510へと進み、更に大当りフラグがONであるか否かを判定し、大当りフラグがONであればステップS1511へと進み、確変フラグをOFFにし、このルーチンを終了する。一方、ステップS1510において、大当りフラグがONでなければ、そのままこのルーチンを終了する。なお、ステップS1510において、ステップS1510に至った確変フラグの状態が維持されるようになっている。
一方、ステップS1504において、大当り判定乱数の値が当り値でないと判定したときには、ステップS1512へと進み、小当り判定テーブルを選択し、続くステップS1513へと進む。このステップS1513では、先の小当り判定テーブルを用いて、小当り判定乱数の値が小当り値であるか否かを判定し、小当り値であるとき、つまり「小当り」であるときには、ステップS1514へと進み、小当りフラグをONにし、このルーチンを終了する。なお、ステップS1513において、小当り判定乱数の値が小当り値でないと判定したとき、つまり「ハズレ」であるときには、そのままこのルーチンを終了する。
このステップS1508〜ステップS1511の処理は、「大当り」や「確変短当り」の「当り」が抽選される抽選確率を変更するか否かを判定する処理である。具体的には、抽選確率が通常時の確率の時に、「非確変大当り」が抽選されると通常時の確率を維持し、「確変大当り」又は「確変短当り」が抽選されると通常時よりも高確率に変更するように判定する。また、抽選確率が通常時よりも高確率の時に、「確変大当り」又は「確変短当り」が抽選されると高確率の状態を維持し、「非確変大当り」が抽選されると高確率から通常時の確率に変更するように判定するものである。また、「小当り」又は「ハズレ」の場合は、上述したステップS1508〜ステップS1511の処理が行われないので、抽選確率は変更されず、現状の状態が維持されるようになっている。これにより、抽選確率が高確率の状態になると、「非確変大当り」が抽選されるまで、高確率の状態が維持されるので、遊技者に有利な有利遊技状態が連続して抽選される可能性を高くすることができ、より興趣の高められるものとなっている。
なお、本実施形態では、例えば、確変状態時大当り判定テーブルでは、0〜979までの980個の大当り判定乱数のうち大当り判定乱数と一致することにより「大当り」又は「確変短当り」と判定される大当り判定値が14個設定されており、「当り」が抽選される抽選確率が1/70となっている。一方、非確変時大当り判定テーブルでは、0〜979までの980個の大当り判定乱数のうち大当り判定値が2個設定されており、「当り」の抽選確率が1/490となっている。
また、本実施形態では、例えば、「小当り」が抽選される抽選確率は、1/50とされており、「確変短当り」、「確変大当り」及び「非確変大当り」が抽選される確率よりも高い確率とされており、アタッカ装置230が「小当り」と同様の開閉動作をする「確変短当り」の抽選価値を高めることができるようになっている。
更に、例えば、確変突入率(「当り」のうちの「確変大当り」と「確変短当り」の割合)が3/4となるように、つまり0〜7までの8個の確率変更乱数のうち高確率の状態とすることに決定される6個の判定値が確変判定テーブルに設定されている。具体的には、「確変大当り」の割合が5/8となり、「確変短当り」の割合が1/8となり、「非確変大当り」の割合が1/4となるように、判定値が確変判定テーブルにそれぞれ設定されている。
[4−8.変動表示パターン設定処理]
次に、変動表示パターン設定処理について説明する。この変動表示パターン設定処理が開始されると、図22に示すように、主制御基板94のCPU314は、ステップS1601において、大当りフラグがONであるか否かを判定し、大当りフラグがON、つまり抽選結果が「確変大当り」又は「非確変大当り」であれるときには、ステップS1602へと進み、ROM315に記憶されている大当り時変動表示パターンテーブルを選択する。
一方、ステップS1601において、大当りフラグがONでないときには、ステップS1603へと進み、短当りフラグ又は小当りフラグがONであるか否かを判定する。短当りフラグ又は小当りフラグがONであるとき、つまり抽選結果が「確変短当り」又は「小当り」であるときには、ステップS1604へと進み、ROM315に記憶されている短当り時変動表示パターンテーブルを選択する。一方、ステップS1603において、短当りフラグ又は小当りフラグがONでないとき、つまり抽選結果が「ハズレ」であるときには、ステップS1605へと進み、ROM315に記憶されているハズレ時変動表示パターンテーブルを選択する。
そして、変動表示パターンテーブルが選択されると、ステップS1606において、変動表示パターン乱数を用いて先に選択した変動表示パターンテーブルから対応する変動表示パターンを決定し、続くステップS1607において、決定した変動表示パターンの変動表示パターンコマンドをセットしてステップS1608へと進む。このステップS1608では、ステップS1607において決定した変動表示パターンに応じた変動時間をタイマにセットする。
ステップS1608において、変動時間がタイマにセットされると、続くステップS1609へと進み、短当りフラグ又は小当りフラグがONであるか否かを判定し、短当りフラグ又は小当りフラグがONであるときには、ステップS1610へと進み、ステップS1606において決定した変動表示パターンに応じた短当り実行時間を、ステップS1608においてセットした変動時間とは別のタイマにセットし、ステップS1611へと進み、処理選択フラグを[2]に更新し、このルーチンを終了する。
このステップS1610においてセットする短当り実行時間は、ステップS1608においてセットする変動時間よりも短い時間である。これにより、後述する変動中処理において、特別図柄等の演出画像の変動時間中に、「確変短当り」や「小当り」を実行(開閉部材231の開閉動作)させることができるので、遊技者を変動表示中の演出画像に注目させて、「確変短当り」及び「小当り」の実行に気づき難くすることができる。また、特に「確変短当り」の場合では、開閉部材231の開閉動作を遊技者に気付かずに、高確率の状態となるので、遊技者にとって、突然、確変状態となったように思わせることができ、得した気分にさせて興趣を高められる。
一方、ステップS1609において、短当りフラグ及び小当りフラグがONでないときには、ステップS1611へと進み、処理選択フラグを[2]に更新し、このルーチンを終了する。その後、決定された変動表示パターンに基づいて、特別図柄表示器325の特別図柄や、演出表示装置211における普通図柄等の演出画像の変動表示が開始される。
[4−9.変動中処理]
次に、変動中処理について説明する。この変動中処理が開始されると、図23に示すように、主制御基板94のCPU314は、ステップS1701において、特別図柄表示器325で変動表示されている特別図柄の変動時間がタイムアップしたか否かを判定し、変動時間がタイムアップしているときには、ステップS1702へと進み、更に、大当りフラグがONであるか否かを判定する。このステップS1702において、大当りフラグがONであるときには、ステップS1703へと進み、処理選択フラグを[3]に更新し、抽選結果が「大当り」を示唆する特別図柄を停止表示し、図19に示した遊技処理のステップS1307の大当り遊技開始処理を実行する。
一方、ステップS1701において、変動時間がタイムアップしていないときには、ステップS1704へと進み、短当りフラグ又は小当りフラグがONであるか否かを判定する。このステップS1704において、短当りフラグ又は小当りフラグがONでないとき、つまり変動時間がタイムアップする前で、抽選結果が「大当り」又は「ハズレ」であるときには、そのままこのルーチンを終了する。
一方、ステップS1704において、短当りフラグ又は小当りフラグがONであるときには、続くステップS1705において、短当り実行時間がタイムアップしたか否かを判定し、短当り実行時間がタイムアップしていないときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS1705において、短当り実行時間がタイムアップしたときには、ステップS1706へと進む。このステップS1706では、短当りフラグがONであるか否かを判定し、短当りフラグがONであるときには、ステップS1703へと進み、処理選択フラグを[3]に更新し、このルーチンを終了する。一方、ステップS1706において、短当りフラグがONでないとき、つまり「小当り」であるときには、ステップS1707へと進み、処理選択フラグを[5]に更新し、このルーチンを終了する。
ところで、変動時間がタイムアップした後に、ステップS1702において、大当りフラグがONでないときには、ステップS1708へと進み、処理選択フラグを[0]に更新し、このルーチンを終了する。その際に、図22に示した変動表示パターン設定処理で決定した変動表示パターンに応じて、「ハズレ」を示唆する特別図柄を停止表示する。
なお、この変動中処理では、抽選結果が「確変短当り」又は「小当り」であると、変動時間がタイムアップする前に、短当り実行時間がタイムアップして、処理選択フラグを[3]又は[5]に更新し、図19に示した遊技処理のステップS1307の大当り遊技開始処理又は同図に示したステップS1309の小当り遊技処理を実行する。つまり、抽選結果が「確変短当り」」又は「小当り」のときには、演出画像が変動表示中に、大当り遊技開始処理又は小当り遊技処理を実行する。
また、この変動中処理では、短当りフラグ又は小当りフラグがONの場合、変動時間中に後述の大当り遊技開始処理及び大当り遊技中処理、又は小当り遊技処理を実行し、短当りフラグ又は小当りフラグがOFFとされた後に、再び変動中処理に戻って、変動時間がタイムアップするのを待つ。
[4−10.大当り遊技開始処理]
次に、大当り遊技開始処理について説明する。この大当り遊技開始処理は、第一始動口214又は第二始動口215への遊技球の入賞により発生する大当り判定乱数に基づく抽選結果が「大当り」又は「確変短当り」の場合に開始される処理である。大当り遊技開始処理が開始されると、図24に示すように、主制御基板94のCPU314は、ステップS1801において、大当りフラグ及び短当りフラグがONとなっているフラグに応じて、アタッカ装置230における開閉部材231の開閉回数を初期値にセットする。具体的には、本実施形態では、抽選結果が「大当り」のときには、継続回数判定乱数によってその開閉回数が初期値として予め設定されており、例えば7回又は15回のいずれかが設定される。一方、抽選結果が「確変短当り」のときには、開閉回数が初期値として2回に予め設定されている。
ステップS1801において、所定の開閉回数を初期値にセットし、続くステップS1802では、上述した大当りフラグ及び短当りフラグがONとなっているフラグに応じて、アタッカ装置230における開閉部材231の開放時間を初期値にセットする。具体的には、本実施形態では、抽選結果が「大当り」のときには開放時間が初期値として30秒に予め設定されている。一方、抽選結果が「確変短当り」のときには開放時間が初期値として0.3〜0.9秒に予め設定されている。
そして、ステップS1802において、所定の開放時間を初期値にセットし、ステップS1803へと進み、処理選択フラグを[4]に更新し、このルーチンを終了する。
[4−11.大当り遊技中処理]
次に、大当り遊技中処理について説明する。この大当り遊技中処理が開始されると、図25に示したように、主制御基板94のCPU314は、図示しないが、「大当り」及び「確変短当り」におけるアタッカ装置230の開閉部材231の開閉回数をカウントするラウンドカウンタをリセットする(本実施形態では、ラウンドカウンタの値を「1」にする)。
ステップS1901において、所定の入賞球数カウンタに「0」をセットし、続くステップS1902において、図24に示した大当り遊技開始処理で初期値にセットされた開放時間を、タイマにセットする。具体的には、上述したように、抽選結果が「大当り」であるときには開放時間として約30秒をタイマにセットし、一方、抽選結果が「確変短当り」であるときには開放時間として約0.3〜0.9秒をタイマにセットする。そして、開放時間をタイマにセットすると、続くステップS1903では、後述する大入賞口開閉処理を実行し、次のステップS1904へと進む。この大入賞口開閉処理では、後述するように、アタッカソレノイド324aの励磁開始する制御を行うことによって、アタッカ装置230の開閉部材231を開状態とし、大入賞口235を開放する。
ステップS1904では、開放時間がタイムアップしたか否かを判定し、開放時間がタイムアップしていないときには、次のステップS1905において大入賞口235への遊技球の入賞球数をカウントする入賞球数カウンタの値が10未満であるか否かを判定する。このステップS1905で入賞球カウンタの値が10に満たないときには、次のステップS1906において、大入賞口235に対応するカウントセンサ319の検出信号がONになったか否かを判定する。
このステップS1906において、大入賞口235への遊技球の入賞によりカウントセンサ319がONとなると、カウントセンサ319がONと判定する。続くステップS1907へ進み、入賞球数カウンタに「1」を加算して、ステップS1904へと戻る。一方、ステップS1906で、大入賞口235への遊技球の入賞がないことにより、カウントセンサ319がONでないと判定したときには、入賞球数カウンタを加算することなくステップS1904へと戻る。
そして、ステップS1904〜ステップS1907の処理は、開放時間がタイムアップ(ステップS1904)するか、又は入賞球数カウンタの値が10に達する(ステップS1905)ときには、ステップS1908へと進み、後述する大入賞口閉鎖処理を実行する。この大入賞口閉鎖処理は、後述するように、アタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324bの励磁停止する制御を行うことによって、アタッカ装置230の開閉部材231を閉状態とし、大入賞口235を閉鎖する。
ステップS1908に続いてステップS1909において、ラウンドカウンタの値が、大当り遊技開始処理でセットされた開閉回数の初期値に達したか否かを判定し、初期値に達していないと判断されると、ステップS1910へと進み、ラウンドカウンタに「1」を加算してステップS1901へと戻る。
そして、ラウンドカウンタが、開閉回数の初期値に達するまで、上述のステップS1901〜ステップS1910までの処理が繰り返し行う。ここで、本実施形態では、上述したステップS1901〜ステップS1910までの処理を1ラウンドとして、大当り遊技は、継続回数判定乱数に応じて、複数回のラウンドを繰り返し行う。
なお、本実施形態では、大入賞口235が開状態となる1回のラウンドでは、最大10個の遊技球を入賞させることができ、大入賞口235に遊技球が入賞することで、球払出装置125によって14個の遊技球が払い出される。つまり1ラウンドで最大140個の遊技球を払い出すことができる。このため、抽選結果が「大当り」のときには、上述した遊技球の払い出しに期待することができ、「大当り」が抽選されることで、遊技者の興趣を高めることができる。
一方、抽選結果が「確変短当り」のときには、「大当り」にセットされる開放時間と異なり、開放時間が約0.3〜0.9秒であり、その開閉時間が短い。また、「大当り」にセットされる開閉回数も異なり、開閉回数が2回であり、その開閉回数が少ない。このため、アタッカ装置230の開閉部材231の開閉動作は、短時間にパカパカと開閉して終了する。このため、遊技者は、開閉動作に気付き難くい。また、開閉部材231が開状態のときには、大入賞口235に入賞する遊技球の数が少なく、「大当り」のときと比べて遊技球の払い出しに期待することができない。
一方、ステップS1909において、ラウンドカウンタが初期値の開閉回数に達したときには、ステップS1911へと進み、短当りフラグがONであるか否かを判定し、短当りフラグがONでないとき、つまり抽選結果が「大当り」であるときには、ステップS1912へと進み、大当りフラグをOFFにし、次のステップS1913では処理選択フラグを[0]に更新し、このルーチンを終了する。
一方、ステップS1911において、短当りフラグがONであるときには、次のステップS1914に進み、短当りフラグをOFFにし、続くステップS1915では処理選択フラグを[2]に変更し、このルーチンを終了する。ここで、ステップS1915において、処理選択フラグを[2]に変更することで、図19に示した遊技処理のステップS1306の変動中処理へと戻り、変動時間がタイムアップするまで、この変動中処理を実行する。その後、変動時間がタイムアップすると、大当りフラグがOFFとなっているので、処理選択フラグを[0]に更新し、変動中処理を終了する。その際に、変動時間のタイムアップにより、変動表示している特別図柄が「確変短当り」かも知れないことを示唆するように停止表示する。
なお、図示しないが、短当りフラグがONのとき、つまり抽選結果が「確変短当り」のときには、図19に示した遊技処理のステップS1307の大当り遊技開始処理又は同図に示したステップS1308の大当り遊技中処理が開始されると、振分装置240における振分駆動手段244を駆動し、アタッカ装置230の大入賞口235に入賞した遊技球を、特別流路に振り分けられるようにしており、アタッカ装置230の開閉部材231が開状態となったときには、大入賞口235に遊技球が入賞すると、第一受入口264に遊技球が受入れられる割合が高くなっているため、第一受入口264に遊技球が受入れられると、あたかも第一受入口への入球によって、高確率(確変)になったように、遊技者に錯覚させることができる。
[4−12.小当り遊技処理]
次に、小当り遊技処理について説明する。この小当り遊技処理は、アタッカ装置230の開閉部材231の開閉動作が、「確変短当り」が抽選されたときに実行される大当り遊技におけるアタッカ装置230の開閉部材231の開閉動作と同様の動作をさせる処理である。小当り遊技処理が開始されると、主制御基板94のCPU314は、図示しないが、「小当り」におけるアタッカ装置230の開閉部材231の開閉回数をカウントする開閉回数カウンタをリセットする(本実施形態では、開閉回数カウンタの値を「1」にする)。
ステップS2001において、アタッカ装置230における開閉部材231の開閉回数を初期値にセットする。具体的には、本実施形態では、開閉回数が初期値として、上述した「確変短当り」と同じ回数(2回)に予め設定されている。
ステップS2001において「確変短当り」と同じ所定の開閉回数を初期値にセットし、続くステップS2002では、開閉部材231の開放時間を初期値にセットする。この開放時間は、「確変短当り」のときにセットされる開放時間と同じ時間(0.3〜0.9秒)をセットする。そして、ステップS2002において、「確変短当り」と同じ所定の開放時間をセットし、ステップS2003へと進み、開閉回数カウンタに「1」をセットし、次のステップS2004へと進む。
ステップS2004では、ステップS2002において設定した初期値の開放時間をタイマにセットし、続くステップS2005では、後述する大入賞口開放処理を実行し、次のステップS2006へと進む。この大入賞口開閉処理では、後述するように、アタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324bの励磁開始する制御を行うことによって、アタッカ装置230の開閉部材231を開状態とし、大入賞口235を開放する。
ステップS2006では、ステップS2004でセットした開放時間がタイムアップしたか否かを判定し、タイムアップしていなければタイムアップするまでステップS2006をループする。一方、開放時間がタイムアップしたときには、続くステップS2007で、後述する大入賞口閉鎖処理を実行する。この大入賞口閉鎖処理は、後述するように、アタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324bの励磁停止する制御を行うことによって、アタッカ装置230の開閉部材231を閉状態とし、大入賞口235を閉鎖する。
なお、本実施形態では、「小当り」における開閉動作が上述した「確変短当り」における開閉動作と同じ、開放時間(0.3〜0.9秒)及び開閉回数(2回)であるため、アタッカ装置230の開閉部材231の開閉動作は、短時間にパカパカと開閉して終了する。このため、遊技者は、開閉動作に気付き難くい。また、開閉部材231が開状態のときには、大入賞口235に入賞する遊技球の数が少なく、「大当り」のときと比べて遊技球の払い出しに期待することができない。
ステップS2007で大入賞口235が閉鎖されると、続くステップS2008では、開閉回数カウンタの値がステップS2001においてセットした初期値の開閉回数に達したか否かを判定し、初期値に達していないときには、ステップS2009へと進み、開閉回数カウンタに「1」を加算してステップS2004へと戻る。そして、開閉回数カウンタが、開閉回数の初期値に達するまで、上述のステップS2004〜ステップS2009までの処理を繰り返し行う。
一方、ステップS2008において、開閉回数カウンタが初期値の開閉回数に達したときには、ステップS2010へと進み、小当りフラグをOFFにし、次のステップS2011では処理選択フラグを[2]に更新し、このルーチンを終了する。ここで、処理選択フラグを[2]に更新するで、図19に示した遊技処理のステップS1306の変動中処理へと戻り、変動時間がタイムアップするまで、この変動中処理を実行する。その後、変動時間がタイムアップすると、大当りフラグがOFFとなっているので、処理選択フラグを[0]に更新し、変動中処理を終了する。その際に、変動時間のタイムアップにより、変動表示している特別図柄が「確変短当り」かも知れないことを示唆するように停止表示する。
なお、図示しないが、この小当り遊技処理が開始されても、「確変短当り」の時とは異なって、振分装置240における振分駆動手段244が駆動されないので、アタッカ装置230の大入賞口235に入賞した遊技球は、第一跳躍流路、第二跳躍流路、及び特別流路のいずれかの流路に略均等に振り分けられようになっており、各流路に対応した遊技球の動きを遊技者に楽しませることができる。
[4−13.大入賞口開閉処理]
次に、大入賞口開閉処理について説明する。この大入賞口開閉処理は、上述したアタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324bを励磁開始する制御を行うことによって、大入賞口235を開放する処理である。
大入賞口開放処理が開始されると、図28に示すように、主制御基板94のCPU314は、小当りフラグがONであるか否かを判定する(ステップS2101)。上述したように、小当りフラグは、抽選結果が「小当り」であるときON、「小当り」でないときOFFにそれぞれ設定されている。ステップS2101で小当りフラグがONであるとき、つまり抽選結果が「小当り」であるときには、ストッパソレノイド324bの励磁を開始する(ステップS2102)。上述したように、ストッパソレノイド324bの励磁が開始されると、プランジャ324bpによる縮運動が行われる。この縮運動にともない、図29(a)に示すように、ストッパアーム600が段付軸600eを中心軸として、図29(a)中反時計方向に回転する。
ステップS2102に続いて、アタッカソレノイド324aの励磁を開始し(ステップS2103)、このルーチンを終了する。上述したように、アタッカソレノイド324aの励磁が開始されると、プランジャ324apによる縮運動が行われる。この縮運動にともない、図29(a)に示すように、開閉アーム500が段付軸500eを中心軸として、図29(a)中反時計方向に回転する。開閉部材231は、この回転運動を介して、支軸231eを中心軸として、図29(a)中時計方向に回転し、大入賞口235を開放する。このとき、ステップS2102でストッパソレノイド324bの励磁が開始されたため、ストッパアーム600に設けられたストッパ部600cがアタッカソレノイド324aに負荷を加える。このため、開閉部材231の回転角度は、上述した最大回転角度(遊技球が大入賞口235に最も入賞しやすい角度)に満たない状態となる。このように、開閉部材231が図29(a)に示す回転角度の状態となると、開閉部材231に貼られたレンチシール232は、その印刷面に表示される画像232aが、図30(a)に示すキャラクタ画像「おっちゃん」となって、遊技者の目に映る。
一方、ステップS2101で小当りフラグがONでないとき、つまり抽選結果が「小当り」でないときには、大当りフラグがONであるか否か又は短当りフラグがONであるか否かを判定する(ステップS2104)。上述したように、大当りフラグは、抽選結果画が「大当り」であるときON、「大当り」でないときOFFにそれぞれ設定されている。また短当りフラグは、抽選結果が「確変短当り」であるときON、「確変短当り」でないときOFFにそれぞれ設定されている。ステップS2104で大当りフラグ又は短当りフラグのいずれかがONであるとき、つまり抽選結果が「大当り」又は「確変短当り」であるときには、ステップS2103でアタッカソレノイド324aの励磁を開始し、このルーチンを終了する。上述したように、アタッカソレノイド324aの励磁が開始されると、プランジャ324apによる縮運動が行われる。この縮運動にともない、図29(b)に示すように、開閉アーム500が段付軸500eを中心軸として、図29(b)中反時計方向に回転する。開閉部材231は、この回転運動を介して、支軸231eを中心軸として、図29(b)中時計方向に回転し、大入賞口235を開放する。このとき、開閉部材231の回転角度は、上述した最大回転角度(遊技球が大入賞口235に最も入賞しやすい角度)に達する状態となる。このように、開閉部材231が最大回転角度となると、つまり図29(b)に示す回転角度の状態となると、開閉部材231に貼られたレンチシール232は、その印刷面に表示される画像232aが、図30(b)に示すキャラクタ画像「猿丸」となって、遊技者の目に映る。
一方、ステップS2104で大当りフラグ及び短当りフラグがOFFであるとき、つまり抽選結果が「大当り」でも「確変短当り」でもないときには、そのままこのルーチンを終了する。このように、上述したステップS2101では小当りフラグがONであるか否か、そしてステップS2104では大当りフラグ及び短当りフラグがONであるか否か、それぞれ判定している。これらの小当りフラグ、大当りフラグ及び短当りフラグがいずれもOFFのときには、大入賞口開放処理は行われないようにプログラムされている。しかしながら、パチンコ機1は、遊技球による摩擦等によって、ノイズが発生する環境下にあるため、パチンコ機1に搭載された主制御基板94等の制御基板は、このノイズの影響を受けて誤動作する恐れがある。
そこで、図25に示した大当り遊技中処理及び図26に示した小当り遊技処理が行われている場合に、ノイズの影響によって、小当りフラグ、大当りフラグ及び短当りフラグがONからOFFに変わったときでも、大入賞口開放処理のステップS2104でルーチンを終了することによって、大当り遊技中処理又は小当り遊技処理にその制御処理を返している。
このように、開閉部材231に貼られたレンチシール232は、その印刷面に表示される画像232aは、抽選結果が「小当り」であるときには図30(a)に示すキャラクタ画像「おっちゃん」となって遊技者の目に映る。一方、抽選結果が「大当り」及び「確変短当り」であるときには図30(b)に示すキャラクタ画像「猿丸」となって遊技者の目に映る。上述したように、本実施形態では、「小当り」及び「確変短当り」における大入賞口235の開放時間(0.3〜0.9秒)及び開閉回数(2回)が同一であるため、遊技者にとって、「小当り」であるのか、それとも「確変短当り」であるとのか、を分かりにくくされている。このため、遊技者は、レンチシール232の印刷面に表示される画像を見ることによって、「小当り」であるか、それとも「確変短当り」であるかを遊技者の発想によって見出すことができる。
例えば、その印刷面に表示される画像232aがキャラクタ画像「おっちゃん」であるときには、「小当り」であると判断する遊技者もいれば、「確変短当り」であると判断する遊技者もいる。また、遊技者の姿勢によっては、印刷面に表示される画像232aが異なるキャラクタ画像として遊技者の目に映る。このように、「小当り」及び「確変短当り」の判断の一つとしてレンチシール232を用いることによって、遊技者にオカルト的な要素を与えることができ、遊技者の自由な発想を促し、遊技者自らが興味を見出すことができる。
[4−14.大入賞口閉鎖処理]
次に、大入賞口閉鎖処理について説明する。この大入賞口閉鎖処理では、上述したアタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324bを励磁開停止する制御を行うことによって、大入賞口235を閉鎖する処理である。
大入賞口閉鎖処理が開始されると、図31に示すように、主制御基板94のCPU314は、アタッカソレノイド324aの励磁を停止する(ステップS2201)。上述したように、アタッカソレノイド324aの励磁を停止すると、プランジャ324apによる伸運動が行われる。この伸運動にともない、図29(c)に示すように、開閉アーム500が段付軸500eを中心軸として、図29(c)中時計方向に回転する。開閉部材231は、この回転運動を介して、支軸231eを中心軸として、図29(c)中反時計方向に回転し、大入賞口235を閉鎖する。
ステップS2201に続いて、ストッパソレノイド324bの励磁を停止し(ステップS2202)、このルーチンを終了する。上述したように、ストッパソレノイド324bの励磁を停止すると、プランジャ324bpによる伸運動が行われる。この伸運動にともない、図29(c)に示すように、ストッパアーム600が段付軸600eを中心軸として、図29(c)中時計方向に回転する。このとき、ストッパアーム600に設けられたストッパ部600cは、プランジャ324apから離れ、アタッカソレノイド324aに加えた負荷を取り除き、その後、図29(c)に示す位置で停止する。
このように、大入賞口235が閉鎖されると、開閉部材231が図29(c)に示す回転角度の状態となる。このとき、開閉部材231に貼られたレンチシール232は、その印刷面に表示される画像232aが、図30(a)に示すデフォルト画像(初期画像)「OPEN」となって、遊技者の目に映る。
なお、図28に示した大入賞口開放処理では、「大当り」及び「確変短当り」のときにストッパソレノイド324bが励磁されていたが、大入賞口閉鎖処理のステップS2202では、ストッパソレノイド324bの励磁が常に停止されている。これは、上述したノイズによる影響を考慮して行っている。
以上詳述した本実施形態によれば、遊技領域37には、遊技球を入賞する(受け入れる)ことができる、第一始動口214、第二始動口215及び大入賞口235が設けられており、大入賞口235(アタッカ装置230)が第一始動口214及び第二始動口215と異なる位置にそれぞれ配置されている。大入賞口235は、アタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324bへの励磁が開始されることによって開閉部材231の開閉動作が行われる。この開閉部材231の開閉動作によって、大入賞口235が開放又は閉鎖され、遊技球の入賞(受け入れ)が可能又は不能となる。この開閉部材231には、レンチシール232が設けられており、開閉部材231に対する視線角度、つまり開閉部材231を見る角度によって、表示される画像が変化する。
第一始動口214または第二始動口215のいずれかに遊技球が入賞すると、この入賞に基づいて、大当り判定乱数、小当り判定乱数等を用いて当り判定処理を行う。この当り判定処理による抽選結果が「大当り」、「確変短当り」及び「小当り」うちのいずれかであるとき、大入賞口235を開放する。大当り遊技開始処理、大当り遊技中処理及び小当り遊技処理では、抽選結果が「大当り」及び「確変短当り」であるときには、開閉部材231の回転角度が最大回転角度に達し、開閉部材231に貼られたレンチシール232の印刷面に表示される画像232aがキャラクタ画像「猿丸」となる。一方、抽選結果が「小当り」であるときには、開閉部材231の回転角度が最大回転角度に達しない回転角度になり、レンチシール232の印刷面に表示される画像232aがキャラクタ画像「おっちゃん」となる。
このように、抽選結果が「大当り」及び「確変短当り」であるときの開閉部材231の回転角度と、抽選結果が「小当り」であるときの開閉部材231の回転角度とでは、レンチシール232の印刷面に表示される画像232aが異なって遊技者の目に映る。「確変短当り」及び「小当り」では、大入賞口235を開放する開放時間が0.3〜0.9秒、開閉回数が2回と同一であるため、遊技者は、「確変短当り」又は「小当り」のいずれが有利な状態であるか、発想によって見出すことができる。したがって、遊技者の自由な発想を促し、遊技者自らが興味を見出すことができる。
また、レンチシール232は、キャラクタ画像「おっちゃん」、キャラクタ画像「猿丸」及びデフォルト画像(初期画像)「OPEN」が1つの合成画像として印刷面に印刷されている。この印刷面に重ね合わせてレンチキュラレンズが設けられている。この合成画像は、開閉部材231を見る角度(視線角度)によって画像232aが、キャラクタ画像「おっちゃん」、キャラクタ画像「猿丸」及びデフォルト画像(初期画像)「OPEN」のいずれかが見えるよう、レンチキュラレンズのピッチに合わせて印刷面に印刷されている。このように、レンチシール232を用いることによって、遊技者に遊技に関する情報をさりげなく報知することができる。また、「小当り」におけるレンチシール232に表示される画像232aが、ある遊技者の目に映る画像(例えば、キャラクタ画像「おっちゃん」)と、他の遊技者の目に映る画像(例えば、キャラクタ画像「猿丸」)と、が異なる場合があり、同じ回転角度であっても、遊技者の目に映る画像に幅を持たせることができる。このため、レンチシール232に表示される画像がオカルト的な要素となり得る。したがって、遊技者がレンチシール232に表示される画像232aの変化に気付くと、遊技機の状態をオカルト的に判断することもできるため、遊技の興趣の低下を抑制することにつながる。また、例えばプレミア画像を他の画像(キャラクタ画像「おっちゃん」、キャラクタ画像「猿丸」及びデフォルト画像(初期画像)「OPEN」)とともに合成することによって、このプレミア画像の見たさに、遊技者を釘付けにすることもできる。
更に、キャラクタ画像「おっちゃん」、キャラクタ画像「猿丸」及びデフォルト画像(初期画像)「OPEN」を1つの合成画像として印刷面に印刷されているため、少なくとも、「確変短当り」又は「小当り」のいずれであるかを遊技者に報知する機会を与えることができる。なお、「大当り」になると、遊技者は、「大当り」に酔いしれるため(優越感に浸るため)、レンチシール232に表示される画像232aに注意を配らなくなる。
更にまた、「小当り」では、アタッカソレノイド324aへの励磁(駆動)が開始されると、この動作が開閉アーム500を介して開閉部材231に伝達される。またストッパソレノイド324bへの励磁(駆動)も開始されるため、この動作がストッパアーム600を介してアタッカソレノイド324aのプランジャ324apの先端に形成されたプランジャ頭部324apaに伝達されて、負荷を加える。このため、開閉部材231の回転角度は最大回転角度に達しない状態で大入賞口235を開放する。「大当り」及び「確変短当り」では、アタッカソレノイド324aのみ励磁(駆動)が開始されるため、この動作が開閉アーム500を介して開閉部材231に伝達される。このため、開閉部材231の回転角度は、最大回転角度に達した状態で大入賞口235を開放する。アタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324bへの励磁信号(駆動信号)はON/OFF信号であるため、アタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324bへの励磁信号(駆動信号)がそれぞれ1本、計2本となる。この2本の励磁信号(駆動信号)によって、大入賞口235の開放された状態として、(1)最大回転角度に達していない状態、(2)最大回転角度に達した状態、にそれぞれ制御することができる。したがって、簡単な制御によって、大入賞口235の開放された状態を、(1)の状態又は(2)の状態にすることができる。
そして、アタッカソレノイド324aに備えたプランジャ324apと、ストッパソレノイド324bに備えたプランジャ324bpとには、復帰用バネである復帰スプリング324as,324bsがそれぞれ装着されている。アタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324bへの励磁(駆動)が開始されるときには、プランジャ324ap,324bpの縮運動が行われることによって、復帰スプリング324as,324bsが圧縮される。一方、励磁(駆動)が停止されるときには、復帰スプリング324as,324bsの復元力によって、プランジャ324ap,324bpの伸運動が行われる。アタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324bへの励磁が停止されている場合に、作業者が直接、指で開閉部材231を開閉動作させても、プランジャ324ap,324bpに装着された復帰スプリング324as,324bsによって、プランジャ324ap,324bpが原位置に復帰する。このため、例えば大入賞口235中に異物が入っていないか、遊技機の電源を切断した状態であっても、作業者は容易に確認することができる。
そしてまた、プランジャ324apの伸縮運動が伝達される開閉アーム500は、この伸縮運動を受けるプル側運動受部500a及びプッシュ側運動受部500bと、この受けた伸縮運動を開閉部材231に伝達する運動伝達部500cとが、L字形状を有する板状の開閉アーム本体500dを介して、段付軸500eに一体成形されているため、開閉アーム500は、プランジャ324apの伸縮運動を滑らかに回転運動に変換して、開閉部材231に伝達することができる。また、この開閉アーム500の回転運動が伝達される開閉部材231は、この回転運動を受ける開放側運動受部231a及び閉鎖側運動受部231bが、開閉部材本体231cに一体成形されている。この開閉部材本体231cにはボス穴231dが設けられており、このボス穴231dに支軸231eが挿入されているため、開閉部材231は、開閉アーム500の回転運動を受けることができる。一方、プランジャ324bpの伸縮運動が伝達されるストッパアーム600は、この伸縮運動を受けるプル側運動受部600a及びプッシュ側運動受部600bと、この受けた伸縮運動を、上述したアタッカソレノイド324aのプランジャ324apの先端に形成されたプランジャ頭部324apaに伝達するストッパ部600cとが、板状のストッパアーム本体600dを介して、段付軸600eに一体成形されているため、負荷アーム600は、プランジャ324bpの伸縮運動を滑らかに回転運動に変換して、プランジャ頭部324apaに伝達することができる。
[5.別例]
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、アタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324bを用いて、開閉アーム500及びストッパアーム600を介して、開閉部材231を回転角度が制御されていたが、アタッカソレノイド324a及びストッパソレノイド324bに替えてステッピングモータを用いてもよい。ステッピングモータは、回転角度の制御がパルス数に応じて決まるため、開閉部材231の細やかな開閉動作を実現することができる。
また、上述した実施形態では、レンチシール232の印刷面には、キャラクタ画像「おっちゃん」、キャラクタ画像「猿丸」及びデフォルト画像(初期画像)「OPEN」が1つの合成画像として印刷されているが、モーフィング処理された複数の画像が1つの合成画像として印刷面に印刷されていてもよい。こうすれば、開閉部材231の回転角度が同じであっても、レンチシール232に表示される画像232aをさらに幅をもたせることができるため、レンチシール232に表示される画像がさらにオカルト的な要素となり得る。例えば、図32は見る角度によって変化するモーフィング処理されたキャラクタ画像である。図32(a)はキャラクタ画像「中丸」、図32(c)はキャラクタ画像「紅蜂」、図32(e)はキャラクタ画像「おっちゃん」、図32(g)はキャラクタ画像「ミスターX」、図32(i)はキャラクタ画像「猿丸」である。図32(b)は、図32(a)のキャラクタ画像「中丸」から図32(c)のキャラクタ画像「紅蜂」へのモーフィング処理された画像であり、キャラクタ画像「中丸」又はキャラクタ画像「紅蜂」のいずれにも見える画像となっている。図32(d)は、図32(c)のキャラクタ画像「紅蜂」から図32(e)のキャラクタ画像「おっちゃん」へのモーフィング処理された画像であり、キャラクタ画像「紅蜂」又はキャラクタ画像「おっちゃん」のいずれにも見える画像となっている。図32(f)は、図32(e)のキャラクタ画像「おっちゃん」から図32(g)のキャラクタ画像「ミスターX」へのモーフィング処理された画像であり、キャラクタ画像「おっちゃん」又はキャラクタ画像「ミスターX」のいずれにも見える画像となっている。図32(h)は、図32(g)のキャラクタ画像「ミスターX」から図32(i)のキャラクタ画像「猿丸」へのモーフィング処理された画像であり、キャラクタ画像「ミスターX」又はキャラクタ画像「猿丸」のいずれにも見える画像となっている。図32(j)は、図32(i)のキャラクタ画像「猿丸」から図32(a)のキャラクタ画像「中丸」へのモーフィング処理された画像であり、キャラクタ画像「猿丸」又はキャラクタ画像「中丸」のいずれにも見える画像となっている。このように、「中丸」→「紅蜂」→「おっちゃん」→「ミスターX」→「猿丸」→「中丸」→・・・とキャラクタ画像が連続し、キャラクタ画像間では、隣り合うキャラクタ画像がモーフィング処理されている。
ここで、「小当り」におけるレンチシール232に表示される画像232aが、例えば、ある遊技者の目には図32(d)のモーフィング処理された画像として映り、ある遊技者の目には図32(e)のキャラクタ画像「おっちゃん」として映り、またある遊技者の目には図32(f)のモーフィング処理された画像として映る。上述したように、図32(d)は図32(c)のキャラクタ画像「紅蜂」から図32(e)のキャラクタ画像「おっちゃん」へのモーフィング処理された画像であり、キャラクタ画像「紅蜂」又はキャラクタ画像「おっちゃん」のいずれにも見える画像となっている。また、図32(f)は図32(e)のキャラクタ画像「おっちゃん」から図32(g)のキャラクタ画像「ミスターX」へのモーフィング処理された画像であり、キャラクタ画像「おっちゃん」又はキャラクタ画像「ミスターX」のいずれにも見える画像となっている。このように、モーフィング処理された複数の画像を1つの合成画像として印刷面に印刷することによって、遊技者の目に映る画像の幅を広げることができ、レンチシール232に表示される画像232aがさらにオカルト的な要素となり得る。
更に、上述した実施形態では、パチンコ機1を例にとって説明したが、本発明が適用できる遊技機はパチンコ機に限定されるものではなく、パチンコ機以外の遊技機、例えばスロットマシン又はパチンコ機とスロットマシンとを融合させた融合遊技機(遊技球を用いてスロット遊技を行うもの。)などにも適用することができる。
1…パチンコ機(遊技機)、5…遊技盤、37…遊技領域(遊技領域)、94…主制御基板、125…球払出装置、210…役物、211…演出表示装置、214…第一始動口(始動口)、215…第二始動口(始動口)、230…アタッカ装置、231…開閉部材(開閉部材)、232…レンチシール、232a…画像、235…大入賞口、324a…アタッカソレノイド(駆動手段)、324b…ストッパソレノイド(駆動手段)、500…開閉アーム、600…ストッパアーム。