JP6394637B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

本発明は、弾球遊技機に代表される遊技機に関する。
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある。従来の典型的なパチンコ機において、遊技領域に設けられた始動口に入球した場合に、その入球に応じて抽選を行い、当該抽選において大当りに当選した場合に、特別遊技状態となって多数の遊技球が入賞口へ入球可能となる構成が知られている。また、かかるパチンコ機は表示装置を備えており、当該表示装置では、上記抽選が行われたことに基づいて図柄の変動表示が開始され、当該変動表示の最終的な停止表示として上記抽選結果に応じた停止結果が表示される。
また、従来のパチンコ機には、遊技球が、表示装置にて図柄の変動表示が行われている最中に始動口に入球した場合、大当りの抽選に用いる当り情報が予め定められた所定数(例えば、4個)を上限として保留記憶されるよう構成されたものがある。このとき、保留記憶された当り情報は、図柄の変動表示が終了した後に、大当りか否かの抽選に供され、それに伴って次回の図柄の変動表示が開始される。
近年では、複数の始動口(例えば、2つの始動口)を設け、始動口毎に、当り情報を各始動口に対して許容される上限数まで保留記憶可能にした遊技機が知られている。そのような遊技機において、複数の始動口の各々に接続された複数の分岐通路と、所定の入口から進入した遊技球をこれら分岐通路のいずれかに振り分ける振分手段とを備えた入賞装置を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016−22147号公報参照
しかしながら、上記従来の遊技機のように、振分手段によって振り分けられた遊技球が通過することで所定の特典を付与する有利領域を備えた遊技機について未だ改良の余地があった。
そこで、本発明に係る遊技機では、振分手段によって振り分けられた遊技球が通過することで所定の特典を付与する有利領域を備えた遊技機を好適に改良することを目的としている。
本発明に係る遊技機は、上記の課題を解決するために、
操作部の操作量に応じた強度で遊技球を発射可能な発射手段と、該発射手段により発射された遊技球が流下する遊技領域と、遊技球を検出可能な検出部と、該検出部により遊技球が検出されたことに基づき、遊技球を検出した前記検出部に応じた特典を付与する特典付与手段と、を備えた遊技機であって、
前記遊技領域のうち前記操作部の操作量を第1操作量とした場合に遊技球が進入可能な第1遊技領域に設けられる振分用入口に進入した遊技球を複数の振り分け先のいずれかに振り分け可能に構成されるとともに、遊技球が前記複数の振り分け先のうち第1の振り分け先に振り分けられた場合に、次回の振り分け先を、前記複数の振り分け先のうち前記第1の振り分け先とは異なる第2の振り分け先に設定する振分手段と、
該振分手段の下流側であって前記第1の振り分け先に設けられ、前記検出部のうち前記特典付与手段によって第1の特典が付与される第1の検出部まで延びる第1球通路と、
前記振分手段の下流側であって前記第2の振り分け先に設けられ、前記検出部のうち前記特典付与手段によって前記第1の特典とは異なる第2の特典が付与される第2の検出部まで延びる第2球通路と、
前記振分用入口とは異なる位置に設けられる遊技球の通過口であって、前記第2の検出部または前記第2の特典を付与する他の検出部により検出される通過口と、
前記遊技領域のうち前記操作部の操作量を第2操作量とした場合に遊技球が進入可能な第2遊技領域に設けられた振り分け先変更用入口と、
前記振り分け先変更用入口を通過した遊技球により作動する作動部と、
前記振分手段が前記第2の振り分け先に遊技球を振り分ける状態において前記作動部が作動したことに基づいて前記振分手段に作用し、該第2の振り分け先とは別の振り分け先であって、前記第1の特典を付与可能な振り分け先に変更可能な振分変更手段と、
を備えていることを特徴としている。
本発明に係る遊技機であれば、振分手段によって振り分けられた遊技球が通過することで所定の特典を付与する有利領域を備えた遊技機を好適に改良することができる。
遊技機の一例としてのパチンコ機の正面側斜視図 パチンコ機を開放状態で示す斜視図 パチンコ機を他の開放状態で示す斜視図 パチンコ機を更に他の開放状態で示す斜視図 パチンコ機の正面図 パチンコ機の前ブロックを取り外した状態を示す正面図 遊技盤の正面図 パチンコ機の背面側斜視図 パチンコ機の背面図 パチンコ機の電気的な構成を示すブロック図 主制御メイン処理の一例を示すフローチャート 主制御割込み処理の一例を示すフローチャート 前側から見た中始動入賞装置の分解斜視図 前カバーと台板との間の構造を説明するための斜視断面図 (a)は、図14に示す中始動入賞装置を正面から見た断面図であり、(b)は、従球通路を通る平面で切断した中始動入賞装置の概略的な正面断面図である (a)は、図15(a)のA−A線における中始動入賞装置の断面図であり、(b)は、誘導部に沿って流下する遊技球を説明するための概略的な断面図である 図15(a)のB−B線における中始動入賞装置の断面図 第2実施形態の中始動入賞装置を説明するための断面図 第3実施形態の中始動入賞装置における、各従球通路を通る平面で切断した概略的な正面断面図 (a)は、リンク機構の正面図であり、(b)は、図20(a)における矢印C方向に見たリンク機構の側面図である 第3実施形態のリンク機構の動作を説明する図 第4実施形態のパチンコ機における遊技領域の概略的な正面図 第4実施形態のリンク機構の構成および動作を説明する図である。
本発明に係る遊技機の実施形態について、遊技機の一種である弾球遊技機の一例としてのパチンコ機100を説明し、その後に変形例や他の種類の遊技機を説明する。まず、パチンコ機100の実施形態について、構造的な構成、電気的な構成、各種の制御処理を順に説明する。
<構造的な構成>
まず、図1から図9を主に参照して、パチンコ機100の構造部分の構成について説明する。図1〜図4は、パチンコ機100の各種状態を示す斜視図であり、図1はパチンコ機100の閉鎖状態を示し、図2は外枠101に対して前ブロック102及び中間ブロック103が一体的に開放されている状態を示し、図3は中間ブロック103に対して前ブロック102が開放されている状態を示し、図4は中間ブロック103に対して後ブロック104が開放されている状態を示している。また、図5は、パチンコ機100の正面図であり、図6は、図5の状態からパチンコ機100の前ブロック102を取り外した状態を示している。なお、各図において各種の配線は省略されており、また、図3及び図6において遊技盤400の構成の一部は省略されている。
パチンコ機100は、例えば、図1〜図4に示すように、外枠101と、前ブロック102と、中間ブロック103と、後ブロック104とを備え、これら各部位を所定の操作により相対的に変位可能に構成されている。
外枠101は、パチンコ機100の本体部分を支持する本体支持手段としての機能を有している。外枠101は、例えば、図2に示すように、天板部111、底板部112、左側板部113及び右側板部114が組み付けられた略四辺形状の枠体であり、パチンコ機100を設置する遊技場に設けられた遊技機設置設備(島設備)に嵌め込まれると共に固定具(図示せず)によって強固に固定される。なお、パチンコ機100において外枠101は必須の構成ではなく、外枠101又は外枠101と同一の内形形状を有し、外枠101を除いたパチンコ機100の構成に相当する本体部分を支持する支持機構や、その本体部分を施錠する施錠機構の一部が島設備に備え付けられた構成としても良い。
外枠101における左右方向の一方側(左側板部113側)には、中間ブロック支持機構121,122が設けられている。この中間ブロック支持機構121,122によって外枠101と中間ブロック103とが接続(連結)され、パチンコ機100の本体部分が、パチンコ機100の正面視における左右方向の一端側(左側)を回動基端側とし、他端側(右側)を回動先端側として前方へ回動可能に構成されている。
中間ブロック支持機構121,122は、例えば、図1に示すように、外枠101の上端部と下端部とに離間して設けられている。中間ブロック支持機構121,122の各々は、例えば、外枠101に設けられる軸支持部によって、中間ブロック103に設けられる軸部が下側より支持され、軸支持部に設けられる軸孔に軸部が差し込まれた状態とされることにより、回動可能に構成されている。なお、中間ブロック103を含むパチンコ機100の本体部分を回動可能とする構成は、上記構成に限らず、中間ブロック103側に軸孔を設け、外枠101側に軸部を形成するなど、他の構成としても良い。
中間ブロック支持機構121,122には、所定の取り外し操作によって外枠101と中間ブロック103との接続状態を解除する機能が設けられ、中間ブロック103を含むパチンコ機100の本体部分が外枠101に対して取り外し可能に取り付けられている。例えば、外枠101に対して中間ブロック103を一定量以上開放し、且つ、上方側へ一定量移動させるという所定の取り外し操作をすることにより、外枠101に対する中間ブロック103の接続状態が解除される。これにより、外枠101に対してパチンコ機100の本体部分が取り外し可能とされている。
中間ブロック103に対して前側には、前ブロック102が重なるようにして配置され、正面視左側に設けられる前ブロック支持機構131,132によって中間ブロック103と前ブロック102とが接続されている。前ブロック支持機構131,132は、中間ブロック支持機構121,122と同様の構成とされ、中間ブロック103に対して前ブロック102を前方へ回動可能に支持し、且つ、所定の取り外し操作により取り外し可能に構成されている。
中間ブロック103に対して後側には、後ブロック104が重なるようにして配置され、正面視左側に設けられる後ブロック支持機構136,137(図8参照)によって中間ブロック103と後ブロック104とが接続されている。後ブロック支持機構136,137には、中間ブロック支持機構121,122及び前ブロック支持機構131,132と同様の構成とされ、中間ブロック103に対して後ブロック104を後方へ回動可能に支持し、且つ、所定の取り外し操作により取り外し可能に支持する構成とされている。
また、パチンコ機100には、外枠101に対する中間ブロック103の開閉を規制する中間ブロック施錠機構と、中間ブロック103に対する前ブロック102の開閉を規制する前ブロック施錠機構と、中間ブロック施錠機構及び前ブロック施錠機構の解錠や施錠を行うために操作される錠操作機構とが設けられている。また、図3に示すように、中間ブロック103には、前ブロック102の開口を通してパチンコ機100の前面側に露出する錠操作機構としてのキーシリンダ141が設けられている。
キーシリンダ141に対する所定の操作として、操作キー(図示せず)による右回転操作をした場合には、中間ブロック103に設けられた中間ブロック施錠機構の可動部143が作動する。これにより、中間ブロック施錠機構の一部として外枠101に設けられた被係合部142と可動部143との係合が解除されて、中間ブロック103は外枠101に対して開閉許容状態となる。
一方、キーシリンダ141に対する所定の操作キーによる左回転操作に応じて、中間ブロック103に設けられた前ブロック施錠機構の可動部144が作動する。これにより、前ブロック施錠機構の一部として前ブロック102に設けられた被係合部145と可動部144との係合が解除されて、前ブロック102は中間ブロック103に対して開閉許容状態となる。
また、パチンコ機100には、中間ブロック103に対する後ブロック104の開閉を規制する後ブロック開閉規制機構が設けられている。この後ブロック開閉規制機構により、中間ブロック103に対して後ブロック104は、開閉が禁止された状態(開閉禁止状態)と開閉が許容された状態(開閉許容状態)とを所定の操作によって切り替え可能とされている。
後ブロック開閉規制機構は、例えば、図4に示すように、中間ブロック103に設けられる2つの開閉規制部150A,150Bと、後ブロック104に設けられる1つの開閉規制部150Cとによって構成されている。これら3つの開閉規制部150A〜150Cには、回転操作が可能な回動片151A〜151Cが設けられている。回動片151A〜151Cは、回転操作により、後ブロック104の閉鎖状態において前後に重なるように配置される開口部分との係合状態が変化し、これにより、開閉禁止状態に対応した開閉禁止姿勢と、開閉許容状態に対応した開閉許容姿勢とを切り替え操作可能とされている。全ての回動片151A〜151Cを開閉許容姿勢にすると各回動片151A〜151Cが開口を通過可能となって、後ブロック104が中間ブロック103に対して開閉許容状態となる。なお、開閉禁止姿勢及び開閉許容姿勢としては、開閉禁止状態と開閉許容状態が回動片151A〜151Cの位置及び向きの少なくともいずれかの変化により切り替えられれば良く、一定位置で回転のみする構成としても良いし、一定方向に移動する構成としても良いし、移動と回転との組合せにより動作する構成としても良い。以下、各装置における構成部材が複数の姿勢の間を移行する場合における姿勢の変化についても同様とする。
3つの回動片151A〜151Cのうち、それらの一部に相当する2つの回動片151A,151Bは、図2に示すように、後ブロック104の開閉禁止状態において後ブロック104に形成された開口を通してパチンコ機100の背面側に露出し、残り部分に相当する1つの回動片151Cは、図6に示すように、中間ブロック103の前側に露出している。このため、パチンコ機100の背面側、又は中間ブロック103の前面側といった一方側からの操作だけでは、全ての回動片151A〜151Cを開閉許容姿勢に切り替えることはできず、これにより、防犯性が高められている。
また、パチンコ機100には、中間ブロック103から前ブロック102への遊技球の移動を規制する遊技球移動規制機構が設けられている。遊技球移動規制機構は、例えば、図3及び図6に示すように、中間ブロック103に設けられた流下規制片161と、前ブロック102に設けられた規制変更部162との組合せにより構成され、前ブロック102が位置する前方側へ流下規制片161がコイルバネ(図示せず)により付勢される構成とされている。
中間ブロック103に対して前ブロック102が閉鎖された状態(前ブロック102の閉鎖状態)においては、流下規制片161は、遊技球の流下を許容する移動許容状態とされ、具体的には、規制変更部162により中間ブロック103の後方側へ押圧されて押し込まれる。流下規制片161は、移動許容状態において中間ブロック103から前ブロック102に遊技球を誘導するための誘導通路(図示せず)に対して後側にずれて配置される。これにより、前ブロック102の閉鎖状態においては、中間ブロック103から前ブロック102への遊技球の移動が許容される。
一方、中間ブロック103に対して前ブロック102が開放された状態(前ブロック102の開放状態)においては、規制変更部162による流下規制片161の押圧が解除され、前ブロック102の閉鎖状態に比べて流下規制片161が前ブロック102側へ突出する移動禁止状態とされる。流下規制片161は、移動禁止状態において誘導通路内に突出し、下流側への遊技球の流下を阻止する。これにより、中間ブロック103から前ブロック102への遊技球の移動が禁止される。
また、パチンコ機100には、図2に示すように、例えば中間ブロック103の後側であって回動先端側(背面視左側)における下端部に、外枠101に対して中間ブロック103が閉鎖されているか否かを検出する開閉検出スイッチ108が設けられ、また、図3に示すように、例えば中間ブロック103の前側であって回動先端側(正面視右側)における下端部に、中間ブロック103に対して前ブロック102が閉鎖されているか否かを検出する開閉検出スイッチ109が設けられている。
次に、前ブロック102、中間ブロック103及び後ブロック104の各構成について順に説明する。
前ブロック102は、図1及び図3に示すように、パチンコ機100の前面の略全体を形成し、前後方向に厚みを有する略長方形状の部材であり、パチンコ機100の前側表面部分を装飾する前面装飾手段としての機能を有している。前ブロック102は、合成樹脂製の基枠201を主体に構成され、基枠201の前後に複数の機能部品を取り付けて構成されている。基枠201の前面側には、パチンコ機100の前面を形成する前面装飾体210が、前ブロック102の正面視中央部分を含んで形成される開口210Aの外縁に沿って開口210Aを囲った状態にして取り付けられている。前ブロック102を構成する基枠201と前面装飾体210とを組み合わせた状態においては、前面装飾体210が取り付けられた外周部を除いた広範囲にわたって開口210Aが前後方向に貫通形成される。この開口210Aを通じて、前ブロック102の後側に位置する遊技盤400を含む中間ブロック103が遊技者から視認可能に構成されている。
また、前ブロック102には、図1及び図3に示すように、開口210Aを塞ぐように基枠201の背面側に設けられた中央パネル220と、遊技球を貯留する主貯留機構230と、遊技球を貯留する補助貯留機構240と、主貯留機構230に貯留されている遊技球を発射するために遊技者によって操作される発射操作装置250とを備えている。
また、前ブロック102には、図1及び図5に示すように、前面装飾体210の一部として、開口210Aの周縁を囲う開口周縁部211と、開口210Aに対して下側において前方に突出する上側突出部217と、上側突出部217に対して下側に位置して前方に突出する下側突出部218と、下側突出部218の右側であって上側突出部217及び下側突出部218より奥側に位置する概ね平坦な領域で構成されて発射操作装置250が配置される平坦部219とが形成されている。上側突出部217には、主貯留機構230が配置され、下側突出部218には、補助貯留機構240が配置される。
中央パネル220は、基枠201と前面装飾体210とを組み合わせた状態において前後方向に貫通形成される開口210Aを塞ぎつつ後方側を視認可能とするカバー体としての機能を有している。中央パネル220は、例えば、図1及び図3に示すように、基枠201の後方側から取着されるパネル枠221(図3参照)と、パネル枠221の前側に嵌め込まれた光透過性の前方板222(図1参照)と、パネル枠221の後側に前方板222と所定の間隙を隔てて略平行に嵌め込まれた光透過性の後方板223(図3参照)とを備えている。
主貯留機構230は、遊技進行に応じて獲得した遊技球や、遊技場から貸し出された遊技球を貯留する機能を有している。主貯留機構230は、例えば、図1に示すように、貯留部231と、球抜き機構(図示せず)と、その球抜き機構を作動させる球抜き操作部材232とを備えている。貯留部231には、パチンコ機100の内部から貯留部231へ遊技球を流入させる流入口231Aと、貯留部231からパチンコ機100の内部へ遊技球を流出させる流出口(図示せず)と、流出口より上流側に形成される放出口(図示せず)とが設けられている。この放出口の開放により貯留部231から遊技球がパチンコ機100の内部に取り込まれることなく遊技者側に放出される。球抜き機構は、遊技球の放出先を、流出口と放出口との間で切り換える機能を有している。
遊技進行に応じて獲得した遊技球や、後述する貸出操作装置292に対する貸出操作に応じて貸し出された遊技球は、主に流入口231Aを通して貯留部231に流入する。また、貯留部231は、上方側に開口形成されており、この開口部分を通じて、遊技者が所有する遊技球が手操作により投入されたり、遊技場において貸し出される遊技球が供給されたりする。
貯留部231に流入した遊技球は一列に整列させられながら流出口及び放出口の形成されている側(図1の右上側)へ順次に案内される。球抜き操作部材232に対する球抜き操作(例えば、押下操作)が行われていない場合には遊技球は流出口を通して後述する発射装置330(図3参照)に誘導される。一方、球抜き操作部材232に対する球抜き操作が行われている場合には、遊技球は放出口を通して補助貯留機構240(図1参照)に誘導される。
補助貯留機構240は、図1及び図5に示すように、遊技球の流入口241A,241C(図5参照)及び放出口241B(図1参照)を有する貯留部241と、放出口241Bを開閉させる球抜き機構243と、その球抜き機構243を作動させる球抜き操作部材242とを備えている。遊技進行に応じて獲得した遊技球等は主に主貯留機構230に流入するが貯留部231が満杯であれば流入口241Aを通して貯留部241に流入する。また、球抜き操作部材232に対する球抜き操作に応じても、遊技球は流入口241Cを通して貯留部231から貯留部241に流入する。
貯留部241の底面は放出口241Bに向けて下降傾斜している。球抜き操作部材242に対する球抜き操作(例えば、押圧操作)によって放出口241Bを開放すると、貯留部241に貯留されている全ての遊技球を順次にパチンコ機100の外部に放出できる。なお、球抜き操作部材242に対する球抜き操作によって放出口241Bが完全に開放された場合には、球抜き操作部材242に対する復帰操作(例えば、再度の押圧操作)がなされるまで、その開放状態に維持される。流入口241Aの奥方には貯留部241に過剰に遊技球が貯留されているか否かを検出する球溢れスイッチ249(図10参照)が設けられている。
発射操作装置250は、図1及び図5に示すように、前面装飾体210の平坦部219から前方に突出する台座251と、台座251の周囲に設けられた回動自在な発射ハンドル252と、発射ハンドル252の回転操作量を検出する可変抵抗器253(図10参照)と、発射ハンドル252に遊技者が接触していることを検出する接触センサ254(図10参照)と、発射ハンドル252の回転操作に伴う遊技球の射出を遊技者の操作によって無効化する発射停止スイッチ255(図5参照)とを含んでいる。遊技者によって発射ハンドル252が回転操作されると、その回転操作量に対応する強度で発射装置330(図3参照)から遊技球が遊技盤400(図3参照)に向けて射出される。なお、接触センサ254によって発射ハンドル252と遊技者との接触が検出されていない場合や、発射停止スイッチ255の操作によって発射操作が無効化されている場合には、発射ハンドル252が回転操作されていても発射装置330から遊技球は射出されない。
また、前ブロック102における前面装飾体210の奥方には、枠発光装置271〜275(図10参照)が設けられている。枠発光装置271〜275は、前面装飾体210の開口周縁部211に対して奥側に重なるようにして配置され、基枠201に取り付けられている。開口周縁部211は、図5に示すように、上側中央縁部211Aと、上側中央縁部211Aに対して左右両側に位置する左上側縁部211B及び右上側縁部211Cと、左上側縁部211Bに対して下側に位置する左側縁部211Dと、右上側縁部211Cに対して下側に位置する右側縁部211Eとを発光部として有し、それぞれの発光部に対応して枠発光装置271〜275が設置されている。
枠発光装置271〜275は、上側中央縁部211Aに対応する上中央枠発光装置271と、左上側縁部211Bに対応する左上枠発光装置272と、右上側縁部211Cに対応する右上枠発光装置273と、左側縁部211Dに対応する左側枠発光装置274と、右側縁部211Eに対応する右側枠発光装置275(図10参照)とにより構成されている。枠発光装置271〜275の各々は、1又は複数の発光手段としての発光ダイオード(LED)と、LEDを制御するための抵抗等の電子部品と、これら電子部品を一体化して電気的に接続するプリント基板とを有している。
また、前ブロック102には、図5に示すように、例えばその開口周縁部211の上部に、左上音響出力口211Fと、右上音響出力口211Gとが設けられ、また、それら左上音響出力口211F及び右上音響出力口211Gのそれぞれに対応して左上音響装置281及び右上音響装置282(図3及び図10参照)が設けられている。左上音響装置281及び右上音響装置282は、前面装飾体210の開口周縁部211の奥方(後方)に位置するようにして基枠201に取り付けられている。
また、前ブロック102には、図1に示すように、例えば上側突出部217の上面右側部分に、遊技球貸出装置290が設けられている。遊技球貸出装置290は、パチンコ機100に並んで配置されるカードユニット(図示せず)に投入された紙幣やカード等の残額に応じた数値を表示する度数表示装置291と、遊技球の貸し出しを受ける際に遊技者によって操作される貸出操作装置292と、カードユニットに投入された紙幣やカード等を返却させる際に遊技者によって操作される返却操作装置293とを含んでいる。カードユニットに紙幣やカード等を投入して、それらの金額に対応する数値が度数表示装置291に表示されている有効状態において、貸出操作装置292に対して貸出操作が行われると、貸出操作に応じて所定の個数の遊技球が後ブロック104の払出装置540(図8参照)から貸し出され、遊技球の貸し出しに伴って度数表示装置291の表示が更新される。一方、有効状態において返却操作装置293に対して返却操作が行われると、返却操作に応じて残額に対応する紙幣の等価物や残額を記録したカードがカードユニットから返却される。
また、前ブロック102には、図1に示すように、遊技者によって発射操作とは別の入力操作が可能な入力操作装置260が設けられている。入力操作装置260は、例えば、押込操作が可能な押圧操作装置261と、回転操作が可能な回転操作装置262と、上下左右の方向操作が可能な選択操作装置263とを備えている。これら操作装置261〜263により、パチンコ機100において実行される演出を選択する演出選択操作や、パチンコ機100の演出を実行する各装置の音量や光量を設定する装置設定操作、或いは、遊技者に関する情報を入力して前回以前の遊技に応じたパチンコ機100の演出を実行可能とする演出設定操作等が実行可能とされ、これら操作を必要に応じて遊技者や遊技場の管理者が実行可能とされている。なお、入力操作装置260において遊技者が接触する入力操作部(例えば、回転操作装置262における円環状の回転操作部)は、モータやソレノイド等の入力操作部駆動手段によって回転、上下動、又は、振動等の動作がパチンコ機100の制御(例えば、副制御基板940(図10参照)の制御)により実行可能に構成されることが好ましく、入力操作の前後、又は、入力操作中のいずれか又は複数のタイミングで入力部分を動作させることにより、入力操作を積極的に促すなど入力操作を伴う演出を多様にすることができる。
次に、中間ブロック103について説明する。中間ブロック103は、前ブロック102と略同一サイズの略長方形状をした部材であり、前ブロック102と後ブロック104とが取り付けられることにより、パチンコ機100の本体部分を一体化した状態にする機能を有している。中間ブロック103は、基枠301に対して遊技盤400を含む複数の機能部品を取り付けて構成されている。
中間ブロック103は、図3及び図4に示すように、開口を有する基枠301と、基枠301の開口を覆いつつ前面側より取着される遊技盤400(図3参照)と、基枠301に対して遊技盤400を回動自在及び着脱自在に支持する遊技盤支持機構と、基枠301に対して遊技盤400の位置を固定する遊技盤固定機構と、遊技盤400に遊技球を射出する発射装置330(図3参照)と、遊技盤400の背面側に装着されて遊技進行を統括的に制御する主制御装置370(図4参照)と、主制御装置370からの命令に基づいて遊技演出や状態報知を制御する副制御装置390(図4参照)とを備えている。
基枠301には、図3に示すように、後述する払出装置540(図8参照)から放出された遊技球を前ブロック102に誘導する誘導通路が内部に形成される誘導通路部301Aと、複数の配線(図示せず)や信号中継装置311が位置する開孔301Bとが設けられている。開孔301Bは、遊技盤400より下側において前後方向に貫通する形状をなし、開孔301Bに挿通される複数の配線は、前ブロック102に設けられる種々の装置(例えば、枠発光装置271〜275、左上音響装置281及び右上音響装置282)と、中間ブロック103の背面側や後ブロック104に設けられる装置(例えば、主制御装置370や副制御装置390)とを電気的に接続するための配線を含み、信号中継装置311は、その配線の一部を中継する中継基板としての機能を有している。
遊技盤400は、図3に示すように、排出口401A等の遊技球が前後に通過可能な貫通孔を有する平板状の基体401と、基体401の左下から右上に亘り滑らかに湾曲する外レール402と、基体401の右下から左上に亘り滑らかに湾曲する内レール403と、内レール403の左上側の先端に取着された戻り球防止機構404と、外レール402の右上側の先端に取着される反跳防止部材405とを備えている。外レール402は、後述する発射装置330から発射された遊技球を遊技領域内へ誘導するものである。戻り球防止機構404は、外レール402及び内レール403が平行に対向する間部分で形成される発射通路401Bから遊技領域内へ一旦放出された遊技球が発射通路401Bに戻ることを防止する。反跳防止部材405は、遊技盤400の上部中央を越えて右側に向かった遊技球が再び上部中央を経由して左側に戻るような遊技球の大幅な反跳を防止する衝撃吸収性を有し、例えば、制振ゴム等の材料により形成されている。
前ブロック102の背面側下部には、図3に示すように、戻り球通路部163が形成されている。発射装置330から発射通路401Bの方向へ遊技球を誘導する誘導部材335と外レール402との間には間隙があり、発射装置330から発射されたが戻り球防止機構404を超えるに至らず発射通路401Bを逆戻りする遊技球は、この間隙の下方に配置される戻り球通路部163を介して流入口241A(図5参照)から補助貯留機構240(図5参照)に返却される。
戻り球防止機構404を超えて進行した遊技球は、遊技領域に到達し、遊技領域内を自重により落下しながら移動(流下)する。遊技領域は、略円形状の外周形状をなし、遊技球の直径より僅かに大きな前後幅を有する領域を大部分とする形状に区画されている。遊技領域は、概ね、外レール402及び内レール403とで外周部分が区画され、前側が中央パネル220の後方板223によって略平面状に区画され、後側が遊技盤400の基体401によって略平面状に区画されている。なお、遊技領域に設けられる各種の構造物については後述する。
発射装置330は、図3に示すように、主貯留機構230に貯留されている遊技球を順次に発射位置に送り出す球送り機構331と、球送り機構331を駆動する球送りソレノイド332(図10参照)と、発射位置に配置された遊技球を射出する発射機構333と、発射機構333を駆動する発射ソレノイド334(図10参照)と、発射機構333から発射された遊技球を遊技盤400の発射通路401Bに誘導する誘導部材335とを備えている。発射装置330は、上述のように発射操作装置250に対する発射操作に応じて作動し、発射操作装置250に対する発射操作に応じて発射ソレノイド334の駆動制御が変化して発射力が調整される。
主制御装置370は、図4に示すように、主制御基板920(図10参照)と、主制御基板920を収容する2つ割り構造の基板ケース371とを備えている。主制御基板920は、痕跡を残さずには開封できないように封止された透光性を有する基板ケース371の内部に収容されている。
また、主制御装置370は、遊技盤400の背面側に回動自在に取り付けられている。具体的には、遊技盤400の基体401に対して背面側に取り付け部372が回動可能に連結固定され、その取り付け部372に主制御装置370が取り付けられている。これにより、主制御装置370の背面側(表面側)だけでなく、取り付け部372を回動操作することで主制御装置370の前面側(裏面側)も、遊技盤400に主制御装置370を取り付けたままで容易に確認可能とされている。取り付け部372に対して主制御装置370は、痕跡を残さずには取り外しできないように連結しても良く、主制御装置370の取り外し状況を管理し易くしても良い。
副制御装置390は、副制御基板940(図10参照)と、副制御基板940を収容する2つ割り構造の基板ケース391とを備えている。副制御基板940は、例えば、主制御基板920と同様に痕跡を残さずには開封できないように封止された透光性を有する基板ケース391の内部に収容された状態にして遊技盤400の背面側に取り付けられている。
ここで、遊技盤400において、遊技領域に配置される各種の構造物について、図7を主に参照して説明する。図7は、遊技盤400の正面図である。
遊技盤400は、図7に示すように、基体401と、遊技球の流下方向や流下速度に変化を与える釘411や風車412等の流下変化部材と、基体401の概ね中央に配置された中央構造体420と、中央構造体420に対して下側に配置された中始動入賞装置431と、中央構造体420に対して右下側に配置された第2特別図柄に係る始動装置(具体的には、右始動入賞装置432)と、右始動入賞装置432の下方に配置された大入賞装置433,434(具体的には、下大入賞装置433及び上大入賞装置434)と、右始動入賞装置432の上側(上流側)に配置された普通図柄に係る始動装置436と、遊技盤400の右上側であって上下の大入賞装置433,434に対して上方(上流側)に配置された役連作動装置435と、中始動入賞装置431の左右両側に配置された一般入賞装置439A,439Bとを備えている。
なお、中始動入賞装置431は、2つの入賞装置(具体的には、左側中始動入賞装置431A及び右側中始動入賞装置431B)が一体化された入賞装置である。左側中始動入賞装置431Aは、第1特別図柄に係る始動装置であり、右側中始動入賞装置431Bは、右始動入賞装置432と同様の第2特別図柄に係る始動装置である。つまり、中始動入賞装置431は、第1特別図柄に係る始動装置、及び、第2特別図柄に係る始動装置としての2つの機能を有する入賞装置である。
中始動入賞装置431は、入口611から進入した遊技球を、左側中始動入賞装置431Aまたは右側中始動入賞装置431Bのいずれかに振り分ける振分部620を備える。振分部620は、遊技球が入口611から進入する毎に、遊技球の振り分け先となる入賞装置431A,431Bが交互に切り替えられるよう構成される。これにより、中始動入賞装置431に進入した遊技球は、基本的に、左側中始動入賞装置431Aまたは右側中始動入賞装置431Bへと交互に進入する。
なお、中始動入賞装置431は、入口611から進入した遊技球の一部を、いずれの中始動入賞装置431A,431Bに進入させることなく、非常に低確率で中始動入賞装置431から排出する機能を有し、その詳細については後述する。入口611から進入した遊技球が、始動入賞装置431A,431Bに進入することなく、排出される確率は、例えば、1/100程度であり、好ましくは、1/1000程度であってもよい。
また、遊技盤400には、上記した左側中始動入賞装置431A等に対応して遊技球の通過を検出する検出手段としてのスイッチが複数設けられており(図10参照)、各スイッチに対応した所定領域への遊技球の進入が検出可能とされている。例えば、左側中始動入賞装置431Aに進入した遊技球を検出する中始動入賞スイッチ(左側中始動入賞スイッチ441A)、右側中始動入賞装置431Bに進入した遊技球を検出する中始動入賞スイッチ(右側中始動入賞スイッチ441B)、右始動入賞装置432に進入した遊技球を検出する右始動入賞スイッチ442、下大入賞装置433に進入した遊技球を検出する下大入賞スイッチ443、上大入賞装置434に進入した遊技球を検出する上大入賞スイッチ444、役連作動装置435に進入した遊技球を検出する役連作動スイッチ445、始動装置436に進入した遊技球を検出する始動スイッチ446、下大入賞装置433の内部に形成された非特定通路(図示せず)に進入した遊技球を検出する非特定通路スイッチ447、下大入賞装置433の内部に形成された特定通路(図示せず)に進入した遊技球を検出する特定通路スイッチ448、一般入賞装置439A,439Bに進入した遊技球を各々検出する一般入賞スイッチ449A,449B等が遊技盤400に設置されている。
中央構造体420及び始動装置436の遊技球の入口部分は入球口を構成し、各入球口に進入した遊技球は遊技領域に放出される。各入賞装置、具体的には、左側中始動入賞装置431A、右側中始動入賞装置431B、右始動入賞装置432、下大入賞装置433、上大入賞装置434及び一般入賞装置439A,439Bの遊技球の入口部分は入賞口を構成し、各入賞口に進入した遊技球は基体401に形成された貫通孔を通して基体401の背面側に形成された回収排出通路(図示せず)に案内される。また、各入賞装置に進入しなかった遊技球は、遊技領域の最下流側部分に設けられる排出口401Aを通して回収排出通路へ案内される。回収排出通路に案内された遊技球は、パチンコ機100から遊技場に設けられた遊技球循環装置(図示せず)に排出される。いずれかの入賞装置に遊技球が進入した場合には、入賞装置の種類に応じた所定の個数の遊技球が払出装置540(図8及び図9参照)から払い出される。なお、各入賞装置は、他の入賞装置と別々に構成されても良いし、中始動入賞装置431のように、2以上の入賞装置(例えば、左側中始動入賞装置431A及び右側中始動入賞装置431B)が一体化された装置によって入賞装置が構成されても良い。また、中始動入賞装置431A等の始動装置については必ずしも遊技球が進入した場合に所定の個数の遊技球が払い出される入賞口とする必要はなく、遊技球が払い出されることなく遊技領域に再び放出される入球口としても良い。
一般入賞装置439A及び一般入賞装置439Bの各々は、それらへの遊技球の進入確率を変化させず、進入した遊技球を基体401の背面側へ誘導する。中始動入賞装置431は、入口611への進入確率は変化させないものの、上述したように、中始動入賞装置431に進入した遊技球の一部は、左右の中始動入賞装置431A,431Bのいずれにも進入することなく(すなわち、基体401の背面側へ誘導されることなく)、遊技盤400上(すなわち、遊技領域)に排出される。
また、第2特別図柄に係る右始動入賞装置432は、その内部への遊技球の進入確率を変化させる機構を有している。なお、遊技球の進入確率を変化させる機構は、第2特別図柄に係る始動装置のみに設ける必要はなく、それに代えて、又は、それに加えて、第1特別図柄に係る始動装置、一般入賞装置439A,439B、第1特別図柄に係る始動装置と第2特別図柄に係る始動装置とを含む中始動入賞装置431のような入賞装置のいずれか又は複数に設けても良い。また、遊技球の進入確率を変化させる機構は、電気的に駆動されるソレノイド等の駆動手段により構成しても良いし、所定領域へ入球した遊技球の自重により動作する機構に代表される機械的に動作する機構により構成しても良い。
第2特別図柄に係る右始動入賞装置432は、進入許容姿勢と進入禁止姿勢との間の移行によって、その内部への遊技球の進入確率を変化させる右進入規制機構452と、右進入規制機構452を駆動する右進入規制ソレノイド462(図10参照)とを備えている。右進入規制機構452は、右進入規制ソレノイド462によって駆動される2つの可動片を備えており、右進入規制機構452が進入禁止姿勢である場合には、2つの可動片が進入口(入賞口)を狭窄する(又は閉鎖する)配置をとることによって遊技球は右始動入賞装置432に進入できないが、右進入規制機構452が進入許容姿勢である場合には、2つの可動片がそれらの先端部の間隔が拡大するような配置をとることによって遊技球は右始動入賞装置432に進入できるようになる。右進入規制機構452は、普通図柄に係る始動装置436へ進入した遊技球が始動スイッチ446で検出されることに基づく抽選(以下において「普通図柄抽選」とも称す)で当選した場合に、右進入規制ソレノイド462による駆動に応じて所定の回数及び所定の時間だけ進入許容姿勢に移行する。
下大入賞装置433には、図7に示すように、進入許容姿勢と進入禁止姿勢との間の移行によって、その内部への遊技球の進入を規制する下進入規制機構453と、下進入規制機構453の姿勢を変化させる下進入規制ソレノイド463(図10参照)と、非誘導姿勢と誘導姿勢との間の移行によって、下大入賞装置433に進入した遊技球を非特定通路又は特定通路に振り分ける振分機構(図示せず)と、振分機構の姿勢を変化させて遊技球の誘導先を切り換える切換ソレノイド465(図10参照)とが設けられている。下大入賞装置433の下進入規制機構453が進入禁止姿勢である場合には、下進入規制機構453が進入口(入賞口)を閉鎖することによって遊技球は下大入賞装置433に進入できないが、下進入規制機構453が進入許容姿勢である場合には、下進入規制機構453が進入口を開放することによって遊技球は下大入賞装置433に進入できるようになる。また、下大入賞装置433に進入した遊技球は、振分機構が前方に突出する非誘導姿勢である場合には非特定通路に案内され、振分機構が後方に没入する誘導姿勢である場合には特定通路に誘導される。特定通路、非特定通路及び振分機構は、遊技状態の移行を多様にするために設けられ、特定通路へ遊技球が進入した場合には、遊技者に特典として有利な遊技状態が付与される。
上大入賞装置434には、図7に示すように、進入許容姿勢と進入禁止姿勢との間の移行によって、その内部への遊技球の進入を規制する上進入規制機構454と、上進入規制機構454の姿勢を変化させる上進入規制ソレノイド464(図10参照)とが設けられている。上進入規制機構454が進入禁止姿勢である場合には、上進入規制機構454が進入口(入賞口)を閉鎖することによって遊技球は上大入賞装置434に進入できないが、上進入規制機構454が進入許容姿勢である場合には、上進入規制機構454が進入口を開放することによって遊技球は上大入賞装置434に進入できるようになる。
なお、右進入規制機構452等の内部への遊技球の進入確率を変化させる機構としての進入許容姿勢及び進入禁止姿勢としては、各機構を構成して各装置の入賞口(又は入球口)に遊技球が進入可能な特別状態と、遊技球が進入不能な通常状態とを切り替える動作部材の姿勢変化に対応し、各姿勢に応じて動作部材の位置及び向きの少なくともいずれかが異なるものであれば良い。また、右進入規制機構452等の遊技球の進入確率を変化させる機構として、遊技球が進入不能な状態を通常状態とする必要は必ずしもなく、通常状態においても遊技球の進入を許容し、特別状態においては通常状態より遊技球が進入し易い状態に動作部材の姿勢が変化する構成としても良い。
下大入賞装置433及び上大入賞装置434には、大当りの抽選に当選した場合に遊技球が進入可能となる。具体的には、第1特別図柄に係る左側中始動入賞装置431Aへ進入した遊技球が左側中始動入賞スイッチ441Aで検出されることに基づく抽選(以下において「第1特別図柄抽選」とも称す)に当選した場合、又は、第2特別図柄に係る右側中始動入賞装置431B若しくは右始動入賞装置432へ進入した遊技球が右側中始動入賞スイッチ441B若しくは右始動入賞スイッチ442で検出されることに基づく抽選(以下において「第2特別図柄抽選」とも称す)に当選した場合には、下進入規制ソレノイド463又は上進入規制ソレノイド464の少なくとも一方が作動する。この作動によって所定の回数に亘り所定の時間だけ下進入規制機構453又は上進入規制機構454の少なくとも一方が進入許容姿勢をとる。また、振分機構は、下進入規制機構453の進入許容姿勢への移行から所定の時間後に切換ソレノイド465の作動に応じて誘導姿勢に移行し、更に誘導姿勢への移行から所定の時間後に切換ソレノイド465の停止に応じて非誘導姿勢に戻る。
役連作動装置435は、下大入賞装置433及び上大入賞装置434が作動を開始するために必要な条件を設定するための装置である。大当りの抽選に当選した後には、役連作動装置435の遊技球の通過を条件として、下大入賞装置433又は上大入賞装置434のいずれかが作動を開始する。このため、遊技者は、大当りに当選した場合、自らの意図するタイミングで特別遊技状態を開始させることができる。なお、必ずしも役連作動装置435の遊技球の通過を条件として、下大入賞装置433又は上大入賞装置434のいずれかが作動を開始する構成とする必要はなく、それに代えて、又は、それに加えて、予め定めた時間の経過により下大入賞装置433又は上大入賞装置434のいずれかが作動を開始する構成としても良い。
また、遊技盤400には、図7に示すように、図柄の変動表示や抽選結果を表示する表示装置471〜473と、遊技の保留回数を表示する表示装置476〜478とが一体化された複数の発光部を有する表示器が、遊技盤400の一部に相当する左下部分に設けられている。複数の発光部は、各装置に対応する発光領域に予め区画され、各装置の状態が発光状態によって表示される。
具体的には、遊技盤400には、第1特別図柄抽選に伴って、第1特別図柄を変動表示したり、第1特別図柄を抽選結果に応じた停止図柄で確定表示したりする第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471と、第2特別図柄抽選に伴って、第2特別図柄を変動表示したり、第2特別図柄を抽選結果に応じた停止図柄で確定表示したりする第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472と、第1特別図柄に係る単位遊技の保留回数を表示する特別図柄保留表示装置476と、第2特別図柄に係る単位遊技の保留回数を表示する特別図柄保留表示装置477とが設けられている。第1特別図柄に係る単位遊技の権利及び第2特別図柄に係る単位遊技の権利はそれぞれ最大4回まで保留される。ここで、単位遊技とは、1回の始動入賞に基づいて実行される1回分の遊技であり、1回の始動入賞に基づいて実行される抽選の当否判定と、その当否判定に基づいた抽選結果を表示するまでの変動表示の開始から終了までを含む一連の遊技をいう。
第1特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されている場合には、左側中始動入賞装置431Aに進入した遊技球が左側中始動入賞スイッチ441A(図10参照)によって検出されたとしても第1特別図柄に係る単位遊技の権利は追加されない。同様に、第2特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されている場合に、右側中始動入賞装置431B又は右始動入賞装置432に進入した遊技球が右側中始動入賞スイッチ441B(図10参照)又は右始動入賞スイッチ442(図10参照)によって検出されたとしても第2特別図柄に係る単位遊技の権利は追加されない。
第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471及び第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472の各々は、複数の発光部で構成されており、主制御基板920(図10参照)によって制御される。第1特別図柄の表示及び第2特別図柄の表示の各々は、複数の発光部の発光パターン(発光色を含む発光状態(消灯、点灯、点滅)の組合せ)によって表現される。第1特別図柄に係る特別図柄保留表示装置476及び第2特別図柄に係る特別図柄保留表示装置477は、2個の単色の発光部の発光状態(消灯、点灯、点滅)の組合せによって保留回数を表示する。
また、遊技盤400には、普通図柄抽選に伴って、普通図柄を変動表示したり、普通図柄を抽選結果に応じた停止図柄で確定表示したりする普通図柄表示装置473と、普通図柄に係る単位遊技の権利の保留回数を表示する普通図柄保留表示装置478とが設けられている。普通図柄に係る単位遊技の権利は最大4回まで保留される。普通図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されている場合には、始動装置436に進入した遊技球が始動スイッチ446によって検出されたとしても普通図柄に係る単位遊技の権利は追加されない。
普通図柄表示装置473は、複数の発光部で構成されており、主制御基板920(図10参照)によって制御される。普通図柄は、複数の発光部の発光パターンによって表現される。また、普通図柄保留表示装置478は、2個の単色の発光部の発光状態(消灯、点灯、点滅)の組合せによって保留回数を表示する。
また、遊技盤400には、中央構造体420の後方に重なるようにして、第1特別図柄及び第2特別図柄に係る単位遊技において、装飾図柄を変動表示したり、装飾図柄を確定表示したりする装飾図柄表示装置479が設けられている。装飾図柄の変動表示及び確定表示は、副制御基板940により制御され、主制御基板920による第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示及び確定表示と同期している。装飾図柄の変動表示においては、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示よりも複雑かつ多様な演出が実行される。なお、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示及び確定表示と装飾図柄の変動表示及び確定表示とは、必ずしも完全に一致するタイミングで変動開始したり、確定表示として停止表示をしたりする必要はなく、各タイミングに僅かな時間差を設けつつ略同じタイミングで変動を開始し、略同じタイミングで確定表示が行われる設定としても良い。
また、遊技盤400は、各種の構造物の裏側に設けられた盤面発光装置490(図10参照)を備えており、盤面発光装置490は、副制御基板940による制御に基づいて遊技進行に伴う各種の発光演出や発光による状態報知を実行する。
ここで、各種の遊技状態及び遊技状態間の移行について説明する。通常時の遊技状態(以下において「通常遊技状態」とも略記する)は、第1特別図柄、第2特別図柄及び普通図柄の変動表示時間が長い状態(以下において「非時短状態」とも称す)に対応する。
第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選において大当りに当選した場合には、その当選に基づいて移行する特別遊技状態中に遊技球が特定通路(下大入賞装置433の内部通路)へ進入するか否かに対応して、特別遊技状態後に移行する遊技状態が異なる。特別遊技状態中に遊技球が特定通路へ進入しなかった場合には、第1特別図柄抽選、第2特別図柄及び普通図柄の変動表示時間が非時短状態よりも短い状態(以下において「時短状態」とも称す)であって、かつ、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選における大当りの当選確率が通常遊技状態と同一の状態(以下において「低確率状態」とも称す)である遊技状態(以下において「時短遊技状態」とも称す)へ移行する。一方、特別遊技状態中に遊技球が特定通路へ進入した場合には、時短状態であって、かつ、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選における大当りの当選確率が通常遊技状態より高い状態(以下において「高確率状態」とも称す)である遊技状態(以下において「確変遊技状態」とも称す)へ移行する。
時短遊技状態は、第1特別図柄及び第2特別図柄に係る単位遊技の総数が所定の回数(例えば、50回)となるまで維持されるが、その後は通常遊技状態に戻る。また、確変遊技状態は、第1特別図柄及び第2特別図柄に係る単位遊技の総数が所定の回数(例えば、100回)となるまで維持されるが、その後は通常遊技状態に戻る。
なお、遊技状態及び遊技状態間の移行について、必ずしも上述した構成とする必要はなく、例えば、高確率状態が次回の大当りの当選まで継続する構成としても良いし、他の内容によって上記遊技状態の少なくとも1つを構成しても良いし、上述した各遊技状態とは別の遊技状態を更に含む構成としても良いし、上述した条件とは異なる条件によって遊技状態間が移行する構成としても良い。
次に、遊技盤400の主要な装置の動作について概ね時系列に沿って説明する。主制御基板920においては、特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄で共通)に係る当選乱数、大当り図柄乱数、停止パターン乱数、各種の変動パターン乱数が生成されており、各種の遊技状態において第1特別図柄に係る始動装置である左側中始動入賞装置431A)に進入した遊技球が左側中始動入賞スイッチ441A(図10参照)によって検出された場合に第1特別図柄の始動入賞となる。第1特別図柄の始動入賞時に、第1特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されていない場合には、特別図柄に係る当選乱数、大当り図柄乱数及び停止パターン乱数が取得されて、主制御基板920のRAMの所定の領域に格納される。
第1特別図柄の始動入賞に基づいて取得された乱数による単位遊技は、特別遊技状態中でなく、第1特別図柄又は第2特別図柄に係る単位遊技中でもなく、第1特別図柄及び第2特別図柄に係る単位遊技の権利が保留されていない場合には、それらの乱数の格納の直後に開始される。また、特別遊技状態中でない場合であっても、第1特別図柄又は第2特別図柄に係る単位遊技中や第1特別図柄又は第2特別図柄に係る単位遊技の権利が保留されている場合には、今回の入賞より前に保留されていた全ての特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)に係る単位遊技の終了後に、今回の始動入賞に基づく単位遊技が開始される。特別遊技状態中に第1特別図柄の始動入賞に基づいて各乱数が取得された場合には、その乱数による単位遊技は、特別遊技状態後において今回の始動入賞より前に保留されていた全ての特別図柄に係る単位遊技の後に開始される。
また、第1特別図柄の始動入賞に基づいて取得された乱数による単位遊技は、当該始動入賞より前に始動入賞が発生した第1特別図柄及び第2特別図柄に係る単位遊技の終了後に開始される。すなわち、始動入賞の順に第1特別図柄と第2特別図柄に係る単位遊技が実行される。
なお、必ずしも始動入賞の順に第1特別図柄と第2特別図柄に係る単位遊技が実行される構成とする必要はなく、いずれか一方の特別図柄が他の特別図柄に優先して実行される構成としても良く、例えば、第2特別図柄の始動入賞に基づく単位遊技が第1特別図柄に係る単位遊技に優先して実行される構成であっても良い。すなわち、第1特別図柄又は第2特別図柄に係る単位遊技中に、第1特別図柄の始動入賞となり、その後に第2特別図柄の始動入賞となった場合には、後から始動入賞となった第2特別図柄の始動入賞に基づく単位遊技が優先して実行される構成であっても良い。また、2つの特別図柄が択一的でなく同時に変動可能な構成であっても良い。
第1特別図柄の始動入賞に基づく第1特別図柄抽選において大当りに当選している場合には、更に、取得された大当り図柄乱数に基づいて第1特別図柄抽選の大当り当選に対応する停止図柄(大当り図柄)の種類が決定される。この停止図柄の種類と大当りの種類とが対応し、例えば、下進入規制機構453又は上進入規制機構454が進入許容姿勢をとる回数に相当するラウンド数(例えば、6ラウンドと16ラウンド)や、特別遊技状態後に移行する遊技状態(確変遊技状態へ移行させるか否か)といった遊技状態の種類に対応して大当りの種類が複数種類設定され、その種類毎に大当り図柄が設定されている。第1特別図柄抽選において大当りに当選しなかった場合には、大当り図柄とは別のハズレ図柄が停止図柄として設定される。
第1特別図柄抽選の後に、現在の遊技状態、抽選結果、停止パターン乱数の値、各種の変動パターン乱数の値、第1特別図柄に係る単位遊技の権利の保留回数に基づいて、第1特別図柄の変動表示時間が決定されると共に、装飾図柄の変動パターンが選択される。その後、第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471における第1特別図柄の変動表示及び装飾図柄表示装置479における装飾図柄の変動表示(変動演出)が開始され、第1特別図柄にあっては変動表示時間に亘って一定のパターンによる変動表示が継続され、装飾図柄にあっては変動表示時間に亘って変動パターンに従った変動表示が継続される。その後、変動表示時間の経過に伴って、第1特別図柄に係る停止図柄が確定表示され、また、装飾図柄として第1特別図柄の停止図柄に対応する図柄が確定表示される。第1特別図柄及び装飾図柄の確定表示は少なくとも所定の一定時間に亘って継続される。
第1特別図柄に係る停止図柄が大当り図柄である場合には、第1特別図柄の確定表示後に、遊技状態は特別遊技状態に移行する。特別遊技状態においては、下大入賞装置433の下進入規制機構453及び上大入賞装置434の上進入規制機構454が、大当りの種類に応じた所定の順序で所定の回数だけ進入許容姿勢となる。下進入規制機構453及び上進入規制機構454における各回の進入許容姿勢中において、所定の個数(例えば、8個)の遊技球が大入賞スイッチ443,444によって検出された場合、又は、所定の最大進入許容時間(例えば、29.5秒)が経過した場合には、下進入規制機構453又は上進入規制機構454は進入禁止姿勢に移行する。その後、所定の進入禁止時間の経過後に、再度、下進入規制機構453又は上進入規制機構454のいずれかが進入許容姿勢に復帰する。この進入規制動作が大当りの種類に対応した所定の順序で所定の回数だけ繰り返される。
下進入規制機構453及び上進入規制機構454は、特別遊技状態中においていずれか一方のみが進入許容姿勢をとる構成とされ、特別遊技状態の開始から所定の待機時間が経過した後(オープニング期間後)に初回の進入許容姿勢に一方が移行する。また、最終回の進入禁止姿勢への復帰から所定の進入禁止時間が経過し、更にその後に所定の待機時間が経過した後(エンディング期間後)に特別遊技状態は終了する。特別遊技状態の終了後には、上述のように、時短遊技状態又は確変遊技状態に移行する。
各種の遊技状態において、第2特別図柄に係る始動装置である右側中始動入賞装置431B又は右始動入賞装置432に進入した遊技球が右側中始動入賞スイッチ441B(図10参照)又は右始動入賞スイッチ442(図10参照)によって検出された場合に第2特別図柄の始動入賞となる。第2特別図柄の始動入賞に基づく単位遊技の制御は、上述した第1特別図柄に係る制御と同様に実行される。すなわち、第2特別図柄の始動入賞時に第2特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されていなければ、特別図柄に係る各乱数が取得されて、この始動入賞に基づく単位遊技が実行される。また、第2特別図柄抽選に応じた停止図柄の決定、装飾図柄の変動パターンの選択、変動表示の実行、及び、遊技状態の移行制御等についても、第1特別図柄に係る制御と同様に実行される。
各種の遊技状態において、始動装置436に進入した遊技球が始動スイッチ446によって検出された場合、普通図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されていなければ、普通図柄に係る当選乱数が取得されて、主制御基板920のRAMの所定の領域に格納される。このとき、普通図柄に係る単位遊技中でなければ、その格納の直後に、その取得された普通図柄に係る単位遊技が開始される。一方、普通図柄に係る単位遊技中であれば、既得の普通図柄に係る単位遊技の権利に基づく単位遊技の終了後に、その取得された普通図柄に係る単位遊技が開始される。
普通図柄に係る単位遊技においては、当選乱数の値に基づいて当選したか否かが判定され、当選した場合には、停止図柄として所定の当り図柄が設定される。一方、普通図柄抽選において当選しなかった場合には、停止図柄として所定のハズレ図柄が設定される。普通図柄抽選後に、普通図柄表示装置473において普通図柄の変動表示が開始され、非時短状態にあっては所定の変動表示時間に亘って一定のパターンによる変動表示が継続され、時短状態にあっては非時短状態よりも短い所定の変動表示時間に亘って一定のパターンによる変動表示が継続される。遊技状態に応じた所定の時間の経過に伴って、普通図柄に係る停止図柄が一定時間に亘って確定表示される。
普通図柄に係る停止図柄が当り図柄である場合には、普通図柄の確定表示後に、右始動入賞装置432の右進入規制機構452が少なくとも1回は進入許容姿勢に移行する。具体的には、非時短状態(通常遊技状態及び特別遊技状態)において当選した場合には、右始動入賞装置432が所定の最大進入許容時間(例えば、略0.1秒)に亘って進入許容状態へ移行し、時短状態(時短遊技状態及び確変遊技状態)における当選の場合には、右始動入賞装置432が非時短状態の場合より長い所定の最大進入許容時間(例えば、略4.8秒)に亘って間欠的に(例えば、3回に分けて)進入許容姿勢に移行する。但し、所定の個数(例えば、10個)の遊技球が右始動入賞スイッチ442によって検出された場合には、右進入規制機構452は最大進入許容時間の経過を待たずに進入禁止姿勢に移行し、また、進入許容姿勢への移行回数が所定の回数に到達していなくても、今回の普通図柄に係る単位遊技における右始動入賞装置432の動作が終了する。
次に、本実施形態のパチンコ機100の遊技性に関する構成について説明する。
右始動入賞装置432への始動入賞に基づく第2特別図柄抽選(以下、この抽選を「右側特別図柄抽選」と称することがある)を受けるためには、まず、普通図柄抽選において当選しなければならず、更に、その当選に基づく右始動入賞装置432の進入許容状態において遊技球が右始動入賞装置432へ進入しなければならない。通常遊技状態における普通図柄に係る当りの当選確率は時短遊技状態における当選確率と同一であるが、通常遊技状態における当りの当選に基づく右始動入賞装置432の進入許容状態の滞在時間(例えば、略0.1秒)が時短状態における滞在時間(例えば、略4.8秒)に比べて極めて短く設定されているために、通常遊技状態において、右側特別図柄抽選を受けられる単位時間当りの機会は、中始動入賞装置431への始動入賞に基づく第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選(以下、これらの抽選を「中央側特別図柄抽選」と称することがある)を受けられる単位時間当りの機会よりも大幅に小さくしている。逆に、時短遊技状態や確変遊技状態等の時短状態においては、右側特別図柄抽選を受けられる単位時間当りの機会は、中央側特別図柄抽選を受けられる単位時間当りの機会よりも大幅に大きくしている。
したがって、遊技者は、中央側特別図柄抽選において大当りに当選し、その後の特別遊技状態において遊技球を特定通路へ進入させることによる確変遊技状態への移行を目指して遊技する。一方、時短遊技状態及び確変遊技状態においては、各遊技状態が終了する前に右側特別図柄抽選において大当りに当選することを目指して遊技する。
具体的には、遊技盤400には、遊技球が流下する遊技領域の中央部に中央構造体420が設けられ、主に中央構造体420の左側から遊技球を流下させる遊技手法(左打ち遊技手法)と、主に中央構造体420の右側から遊技球を流下させる遊技手法(右打ち遊技手法)とが選択的に行える構成となっている。遊技者は、通常遊技状態においては、左打ち遊技手法によって遊技を行い、時短遊技状態及び確変遊技状態においては、右打ち遊技手法によって遊技を行う。また、下大入賞装置433及び上大入賞装置434が中央構造体420に対して右側に配置されているので、特別遊技状態においても右打ち遊技手法によって遊技を行う。
次に、後ブロック104について説明する。図8及び図9は、それぞれ、パチンコ機100を示す背面側斜視図及び背面図である。なお、図8においては、理解の容易のために、外枠101を省略して示している。
後ブロック104は、図8及び図9に示すように、基体501に他の部材や装置が取着されて構成されている。この基体501と中間ブロック103とが後ブロック支持機構136,137によって接続されることにより、後ブロック104が中間ブロック103に対して開閉可能に支持されている。
後ブロック104は、遊技球を貯留する球貯留部としての遊技球タンク510と、遊技球タンク510の下流側に連続して遊技球を(例えば、1列に)整流させると共に1段に整列させる球整列部としてのタンクレール520と、タンクレール520の下流側においてタンクレール520から流入した遊技球を誘導する球誘導部としてのケースレール530と、ケースレール530の下流側において遊技球の払い出しや遊技球の貸し出しを実行する払出装置540と、払出装置540の下流側において払出装置540から流出した遊技球を基体501に形成された誘導通路(図示せず)に誘導する球誘導部としての誘導部材550と、払出装置540による遊技球の払い出しや遊技球の貸し出しを制御する払出制御装置560と、外部電力を各種の装置等で必要とする所定の電圧の電力に変換して出力する電力供給手段としての機能と発射操作装置250に対する発射操作に基づく遊技球の射出を主制御基板920と協同して制御する発射制御手段としての機能とを有する電源・発射制御装置570と、払出制御装置560及び遊技球貸出装置290(図1参照)とパチンコ機100の側方に配置されるカードユニット(図示せず)との間の信号を中継する中継装置950とを備えている。
基体501は、樹脂(例えば、ABS樹脂)により一体成型されており、前側部分に対応するベース部502と、ベース部502よりも後方に位置した保護カバー部503とを含んでいる。ベース部502は、その上側部分が後ブロック104の外形に沿って略枠状に形成されると共に、下側部分が前後方向に厚みを有する略平坦状に形成されており、他の装置が取り付けられる被取付部としての機能を有している。
保護カバー部503は、前後方向に厚みを有する略板状に形成されている。また、保護カバー部503は、中間ブロック103の背面全域を覆う形状でなく、主制御装置370の一部といった頻繁に検査や確認が必要な中間ブロック103の背面における一部をパチンコ機100の背面に露出するための窓部を形成する大きさに設定されている。保護カバー部503の背面には、主制御装置370及び副制御装置390における発熱の放熱性を向上させる機能を有する多数の通気孔503Aが形成されている。
遊技球タンク510は、上方に開口した横長の箱型容器であり、その長手方向の一端側に、島設備の球循環装置(図示せず)から供給される遊技球が逐次補給される。遊技球タンク510における遊技球の供給される側と異なる長手方向の一端側には開口(図示せず)が形成されている。遊技球タンク510の底面は長手方向に緩やかに傾斜し、遊技球タンク510に供給された遊技球は開口側に自重によって移動する。また、遊技球タンク510の底面は、長手方向に比して、長手方向と直交する方向(前後方向)にも傾斜し、開口が設けられる側(例えば、前側)に優位に遊技球を誘導する。また、遊技球タンク510の底面には、その上に重なるようにして金属製の帯電防止板(図示せず)が取着され、帯電防止板が接地電位に接続されて遊技球タンク510内及びその下流側の遊技球の静電気が除去される。
タンクレール520は、遊技球タンク510の開口が形成される側に取り付けられ、遊技球タンク510の開口を通して遊技球が流入する。タンクレール520は、遊技球が1列に並んで通過する幅を有する略樋状の遊技球の通路を形成する通路形成部材521と、通路形成部材521により形成される通路の上面として次第に高さが低くなる天面部を有してその通路を流下する遊技球を上下に重なった高さから次第に1段の高さに整流する整流部材522とを備えている。タンクレール520により形成される通路は、下流側に向けて緩やかに傾斜しており、遊技球タンク510とは反対側へ遊技球を誘導する。
ケースレール530は、タンクレール520の下側に連続するように縦長に形成されており、タンクレール520からの遊技球が流入する。ケースレール530には、遊技球が勢いよく流れないように左右に湾曲しつつ下方に連続している。また、ケースレール530における球通路の途中部分には、球切れを検出するための球切れ検出部539が設けられている。球切れ検出部539には、貯留球スイッチ591(図10参照)が内蔵され、貯留球スイッチ591によって、ケースレール530又はその上流側で球詰り等が発生してケースレール530内に遊技球が正常に補給されていない球切れ状態を検出する。
払出装置540は、遊技球を送り出す送出機構と、送出機構を駆動する駆動手段としての払出モータ542(図10参照)と、払出計数スイッチ592(図10参照)とを備えている。払出制御装置560による制御に基づく払出モータ542の作動に応じて、球通路に貯留されている遊技球が下流側へ放出される。放出された遊技球の球通路の通過は、払出計数スイッチ592に検出され、これにより、払出制御装置560(払出制御基板930)が遊技球の払い出し数を計数する。
払出制御装置560及び電源・発射制御装置570は、図8及び図9に示すように、後ブロック104の背面側下部に位置するように基体501のベース部502における下部背面に重なるようにして取り付けられている。これら払出制御装置560及び電源・発射制御装置570を含む後ブロック104は、機種変更等において遊技盤400を別の遊技盤に交換した場合にも、継続利用可能とされている。
払出制御装置560は、払出制御基板930(図10参照)と、払出制御基板930を収容する基板ケースとを備え、払出制御基板930は、主制御基板920と同様に、開封の痕跡を残さずに開封できないように封止された基板ケースの内部に収容されている。
電源・発射制御装置570は、電源・発射制御基板900(図10参照)と、電源・発射制御基板900を収容する基板ケースとを備え、電源・発射制御基板900は、主制御基板920と同様に、封止された基板ケースの内部に収容されている。
<電気的な構成>
次に、パチンコ機100の電気的構成について説明する。図10は、パチンコ機100の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機100は、図10に示すように、電源・発射制御基板900、電源監視基板910、主制御基板920、払出制御基板930、副制御基板940等の制御回路装置を備えている。なお、図10において、各種の信号を中継するだけの中継回路装置については省略している。以下に、これらの主要な制御回路装置を個別に詳細に説明する。
電源・発射制御基板900は、パチンコ機100の各部に電源供給路(図中の破線)を介して所定の電圧の電力を供給する電源部901と、発射操作装置250の操作に応じて発射装置330の駆動を制御する発射制御部902と、初期化スイッチ907からの初期化信号や球溢れスイッチ249からの球溢れ信号を中継する信号中継部903とを備えている。
電源部901は、外部より供給される外部電力(例えば、交流24ボルト)を取り込んで内部電力(例えば、直流24ボルト)に変換すると共に、その内部電力から各種の電力を生成する。電源部901により生成される電力は、各種のソレノイドや各種のモータ等の機器を駆動するための駆動用電圧(例えば、直流12ボルト)の電力、各種のスイッチを駆動したり制御処理を実行したりするための制御用電圧(例えば、直流5ボルト)の電力、主制御基板920のRAMの内容を保持させるためのバックアップ用電圧の電力等を含んでいる。
電源部901は、内部電力から生成した各種の電力を、電源監視基板910、主制御基板920、払出制御基板930、副制御基板940等に供給する。具体的には、電源監視基板910に対しては、内部電力、駆動用電圧、制御用電圧及びバックアップ電圧の電力が供給される。主制御基板920に対しては、駆動用電圧、制御用電圧及びバックアップ電圧の電力が供給され、これら電力は、電源監視基板910の電源監視部911を介して供給される。払出制御基板930に対しては、駆動用電圧及び制御用電圧の電力が供給される。副制御基板940に対しては、駆動用電圧及び制御用電圧の電力が供給される。発射制御部902及び信号中継部903に対しては、駆動用電圧及び制御用電圧の電力が供給される。
電源部901には、電源スイッチ909が接続されており、電源スイッチ909がオフ状態である場合には外部電力の取り込みが停止される。なお、電源スイッチ909をオフ状態にしたり、電源スイッチ909を介して電源部901に接続される電源プラグ(図示せず)を外部電力の供給コンセント(図示せず)から抜脱したりすることによってパチンコ機100の内部への電力の供給が停止している状態や、外部電力自体の供給が停止している状態を「停電状態」と総称する。
電源部901は、停電状態への移行後においても所定の期間にわたり制御用電圧の電力を正常に出力するように構成されている。これによって、主制御基板920は、現在の制御状態に復帰できるように状態を保存して制御を終了させることができる。
発射制御部902は、主制御基板920と協同して、発射装置330の球送りソレノイド332及び発射ソレノイド334の駆動を制御する。なお、球送りソレノイド332及び発射ソレノイド334は、所定条件が整っている場合に作動が許可される。具体的には、遊技者が発射ハンドル252(図1参照)に触れていることが接触センサ254からの接触センサ信号に基づいて検知されていること、発射を停止させるための発射停止スイッチ255が操作されていないことを条件に、発射制御部902はオン状態の発射許可信号を主制御基板920に出力する。また、発射許可信号と発射異常信号とに基づいて主制御基板920は発射ソレノイド制御信号及び球送りソレノイド制御信号を発射制御部902に出力する。発射制御部902は、オン状態の球送り制御信号に基づいて球送りソレノイド332を作動させ、オン状態の発射ソレノイド制御信号の受信と可変抵抗器253の抵抗値とに基づいて発射ソレノイド334を作動させる。これによって、発射装置330から可変抵抗器253の抵抗値(発射ハンドル252の回転操作量)に応じた強さで遊技球が順次に発射される。
信号中継部903は、初期化スイッチ907が押下された場合に、主制御基板920へオン状態の初期化信号を出力する。主制御基板920においては、オン状態の初期化信号の受信に応じて主制御基板920のRAMに保存された保存情報を初期化する。なお、初期化スイッチ907は、必ずしも信号中継部903を介して主制御基板920に信号を出力する構成とする必要はなく、例えば、初期化スイッチ907を主制御基板920に直接搭載する等して基板ケース371内に初期化スイッチ907が収容される構成としても良く、これにより信号が伝送される区間を狙った不正な信号入力を抑止することができる。
また、信号中継部903は、球溢れスイッチ249が遊技球を検出した場合に、主制御基板920へオン状態の球溢れ信号を出力する。主制御基板920においては、オン状態の球溢れ信号の検知に基づいて払出制御基板930に低速払出信号を出力し、低速払出信号を受信した払出制御基板930は、払出モータ542の回転速度(払出装置540からの遊技球の払出速度)を低速化させる。また、主制御基板920は、オフ状態の球溢れ信号の検知に基づいて払出制御基板930に高速払出信号を出力し、高速払出信号を受信した払出制御基板930は、払出モータ542の回転速度を高速化させる。
電源監視基板910は、電源・発射制御基板900からの電力供給状態を監視する電源監視部911と、電源・発射制御基板900と主制御基板920との間の電力供給及び各種の信号の伝達を中継する信号中継部912とを含んでいる。電源監視部911は、停電状態への移行に応じて主制御基板920へ停電信号を出力するものでもあり、電源部901から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満である状態が所定の時間だけ継続した場合に停電状態であると判断して、オン状態の停電信号を主制御基板920へ出力する。主制御基板920は、オン状態の停電信号の受信によって停電状態への移行を認識する。
主制御基板920は、パチンコ機100の動作を統括的に制御する。主制御基板920には、1チップマイコンとしてのMPU(図示せず)が搭載されている。MPUは、演算処理装置としてのCPU(図示せず)と、CPUにより実行される各種の制御プログラムや固定データを記憶したROM(図示せず)と、制御プログラムの実行に際して一時的に各種のデータ等を記憶するRAM(図示せず)とを含んでいる。主制御基板920には、その他、タイマ回路(図示せず)、カウンタ回路(図示せず)、クロック発生回路(図示せず)、信号送受信回路(図示せず)等の各種回路が搭載されている。主制御基板920のRAMは、停電状態への移行後においても電源・発射制御基板900からのバックアップ電圧の電力供給によって内部データを維持(バックアップ)できる構成となっている。
払出制御基板930は、主制御基板920からの指示に応じた払出装置540による遊技球の払い出し動作や遊技球貸出装置290の操作に応じた払出装置540による遊技球の貸し出し動作を制御する。払出制御基板930は、主制御基板920と同様に、CPU(図示せず)、ROM(図示せず)及びRAM(図示せず)を含む1チップマイコンとしてのMPU(図示せず)、タイマ回路(図示せず)、カウンタ回路(図示せず)、クロック発生回路(図示せず)、信号送受信回路(図示せず)等の各種回路が搭載されている。払出制御基板930は、他の装置と情報通信可能に接続する接続手段としての入出力ポートが搭載されており、例えば、主制御基板920及び中継装置950とは双方向の情報入出力通信が可能に接続され、開閉検出スイッチ108,109、貯留球スイッチ591、及び、払出計数スイッチ592とは、一方向のみの情報入力通信のみが可能に接続され、払出モータ542とは、一方向のみの情報出力通信のみが可能に接続されている。なお、払出制御基板930のRAMは、主制御基板920のRAMと同様に、停電状態において一定の期間にわたって内部データを維持可能とするバックアップ機能を有する構成としても良いし、主制御基板920のRAMとは異なり、停電状態において内部データを維持しない構成としても良い。
副制御基板940は、主制御基板920からの指示に基づいて、各種の演出装置や各種の発光装置や各種の音響装置等の動作を制御する。副制御基板940は、他の装置と情報通信可能に接続する接続手段としての入出力ポートが搭載されており、例えば、主制御基板920とは一方向のみの情報入力通信のみが可能に接続され、入力操作装置260とは双方向に情報通信可能に接続され、装飾図柄表示装置479等とは一方向の情報出力通信のみが可能に接続されている。
<各種の制御処理>
次に、主制御基板920によって実行される各種の制御処理について説明する。主制御基板920における制御処理は、大別すると、停電状態からの復帰に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本形態では2ms(ミリ秒)周期で)メイン処理に割込みをかけて実行されるタイマ割込み処理とで構成されている。
まず、図11を参照して、主制御基板920によって実行されるメイン処理について説明する。図11は、主制御基板920のメイン処理(図11においては「主制御メイン処理」と略記)を示すフローチャートである。
主制御基板920のメイン処理において、まず、主制御基板920の立ち上げや各種の情報を初期設定するための一連の制御開始処理(プログラム開始処理S1001〜乱数初期設定処理S1019)が一度だけ実行され、その後は、割込みを禁止する割込み禁止処理S1020と、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタ(RAMの一部の領域)及び大当り図柄乱数初期値カウンタ(RAMの一部の領域)並びに普通図柄に係る当選乱数初期値カウンタ(RAMの一部の領域)の値を更新する乱数初期値更新処理S1021と、変動時間や変動パターン等を決定するための第1の変動種別カウンタ〜第4の変動種別カウンタ(RAMの一部の領域)の値を更新する変動用カウンタ更新処理S1022と、割込みを許可する割込み許可処理S1023とが繰り返し実行される。なお、割込み許可処理S1023の前にタイマ割込みの要求が発生した場合には、割込み許可処理S1023の直後にタイマ割込み処理が実行される。
一連の制御開始処理において、プログラムの実行を制御するスタックポインタ(RAMの一部の領域)に初期値を設定するプログラム開始処理S1001と、割込みモードを設定する割込みモード設定処理S1002と、払出制御基板930及び副制御基板940等が立ち上がるまで所定の時間だけ待機する立上待機処理S1003とが実行される。
立上待機処理S1003の後に、電源・発射制御基板900の初期化スイッチ907からの初期化信号の出力状態の判定処理S1004、停電情報(RAMの一部の領域)の値の判定処理S1005、保存情報の記憶状態の判定処理S1007が行われ、これらの判定結果に基づいてRAMの保存情報を消去するか否かが判定される。ここで、保存情報とは、停電前の遊技の状態に復帰させるために必要な情報であって、停電前に遊技の進行に応じて更新されていたRAMの一部の領域に対応し、実行中の単位遊技に関するカウンタの値や、始動入賞によって格納されたカウンタの値等が例示される。
保存情報の記憶状態は、次のように判定される。まず、RAMの所定の範囲の記憶領域に対するチェックサム値を算出して(チェックサム算出処理S1006)、その現在のチェックサム値と前回の停電状態への移行に伴い停電監視処理S1202(図12参照)において算出されたチェックサム値の2の補数であるRAM判定値との排他的論理和が「0」であるか否か(判定処理S1007)が判定され、これにより、現在のチェックサム値と停電状態への移行時のチェックサム値とが同一であるか否かが判定される。
初期化信号がオン状態である場合(S1004:Y)、停電情報が停電状態への移行時に保存情報を保存して終了したことを示す所定の停電値でない場合(S1005:N)、又は、保存情報が正常に保持されていない場合(S1007:N)には、RAMの保存情報を消去するRAMクリア処理S1008が実行される。保存情報が正常に保持されていると判断された後(S1007:Y)、又は、RAMクリア処理S1008が実行された後には、主制御基板920に接続されている各種の装置を初期化するハードウェア初期化処理S1009が実行される。
ハードウェア初期化処理S1009の後には、停電情報が停電値であるか否かの判定処理S1010が実行される。停電情報が停電値である場合(S1010:N)には、保持情報の復帰を含め各種の情報を初期設定するRAM復帰設定処理S1011と、その設定完了を示す復帰コマンドが設定される(復帰コマンド出力処理S1012)。RAM復帰設定処理S1011における保持情報の復帰によって、前回の停電状態への移行直前の制御状態に主制御基板920の制御状態が復帰する。
一方、停電情報が停電値でない場合(S1010:Y)には、保持情報の復帰は行わずに各種の情報が初期設定され(RAM初期設定処理S1013)、その設定完了を示す初期化コマンドが出力される(初期化コマンド出力処理S1014)。
なお、RAM復帰設定処理S1011及びRAM初期設定処理S1013において、停電情報は停電値と異なる所定の通電値に設定され、また、前回の停電状態への移行直前において不正検知エラー等の各種のエラー状態が発生していてもそれらのエラー状態は全て解除される。また、主制御基板920から払出制御基板930及び副制御基板940の双方に復帰コマンドか初期化コマンドのいずれかが出力され、復帰コマンド又は初期化コマンドを受信した払出制御基板930及び副制御基板940の各々においても所定の初期化処理が実行される。
立上時の状況に応じたRAMの初期設定(判定処理S1004〜初期化コマンド出力処理S1014)の後に、前回の停電状態への移行時に条件装置が作動していた場合には、特別遊技状態に復帰させるための準備が行われる(特別遊技状態復帰準備処理S1015)。具体的には、特別遊技状態復帰準備処理S1015においては、条件装置と役物連続作動装置の作動状態が判定され、停電状態時における遊技の状況に対応した処理が、副制御基板940において実行される。
特別遊技状態復帰準備処理S1015の後には、時短状態フラグが設定されているか否かを判定することにより時短状態であるか非時短状態であるかが判定され(判定処理S1016)、時短状態である場合(S1016:Y)には、時短コマンドが出力される(時短コマンド出力処理S1017)。一方、非時短状態である場合(S1016:N)には、非時短コマンドが出力される(非時短コマンド出力処理S1018)。その後、特別図柄に係る当選乱数カウンタ(RAMの一部の領域)の値が初期化される(乱数初期設定処理S1019)。
次に、図12を参照して、主制御基板920によって実行されるタイマ割込み処理について説明する。図12は、主制御基板920によって実行されるタイマ割込み処理(図中では「主制御割込み処理」と略記)を示したフローチャートである。
主制御基板920のタイマ割込み処理では、まず、タイマ割込みを開始させるための割込み開始処理S1201が実行される。具体的には、割込み制御レジスタに所定の値が設定される。これにより、本タイマ割込み以外の割込みが禁止される。その後に、パチンコ機100の遊技の進行制御や各種センサの監視等といった実質的な制御に係る停電監視処理S1202〜外部情報出力処理S1221が順次に実行される。但し、各種の不正の検知に基づいて遊技進行が停止されている場合(S1207:Y)には、制御信号出力処理S1208〜外部情報出力処理S1221は実行されない。最後に、次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理S1222が実行されて、今回のタイマ割込み処理が終了する。以下において、各種の主要な処理について個別に説明する。
停電監視処理S1202においては、電源監視基板910の電源監視部911から出力されている停電信号の出力状態に基づいて停電情報(RAMの一部の領域)の値が更新される。具体的には停電信号の出力状態が3度に亘り確認され、3度ともオン状態が検出された場合に停電状態であると判定される。この判定において停電状態であると判定されなかった場合には、停電情報は通電値に維持される。
一方、停電監視処理S1202において停電状態であると判定された場合には、以下の処理が実行される。まず、停電情報の値がRAM復帰設定処理S1011又はRAM初期設定処理S1013(図11参照)において設定された通電値から所定の停電値に変更される。また、RAMの所定の範囲の記憶領域に対するチェックサム値を算出し、そのチェックサム値の2の補数をRAM判定値として設定する。これにより、パチンコ機100は、遊技の進行や各種センサの監視等といった実質的な制御を行わない無限ループに入り、RAM判定値が設定された後のRAMの状態がバックアップ電力に基づいて保持される。なお、停電信号の出力状態が3度に亘り確認されるために、停電信号の受信を初めて検知してから、タイマ割込みの各処理は2回に亘り実行される。
乱数更新処理S1203においては、特別図柄に係る当選乱数カウンタ、大当り図柄乱数カウンタ、停止パターン選択カウンタ及び普通図柄に係る当選乱数カウンタが更新される。具体的には、特別図柄に係る当選乱数カウンタの値が、規定最大値(例えば、「576」)と異なる値である場合には、現在値より「1」だけ大きい値に変更され、特別図柄に係る当選乱数カウンタの値が規定最大値である場合には、規定最小値(「0」)に変更される。但し、変更後の値が特別図柄に係る当選乱数カウンタに対する循環初期値と同一の値となる場合には、特別図柄に係る当選乱数カウンタの値が、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタと同一の値に設定され、また、循環初期値も当選乱数初期値カウンタと同一の値に設定される。
大当り図柄乱数カウンタ、停止パターン選択カウンタ及び普通図柄に係る当選乱数カウンタについても、特別図柄に係る当選乱数カウンタの場合と同様にして更新される。ただし、各カウンタの規定最大値と規定最小値とにより定められる更新範囲としては各カウンタに固有の値が設定され、複数のカウンタが非同期で更新される構成とされ、各カウンタの循環初期値には各カウンタに固有の初期値カウンタが参照される。例えば、特別図柄に係る当選乱数カウンタと特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタとは値の範囲が同一であり、大当り図柄乱数カウンタと大当り図柄乱数初期値カウンタとは値の範囲が同一であり、普通図柄に係る当選乱数カウンタと普通図柄に係る当選乱数初期値カウンタとは値の範囲が同一である。
乱数初期値更新処理S1204においては、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタ、大当り図柄乱数初期値カウンタ及び普通図柄に係る当選乱数初期値カウンタが更新される。具体的には、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタの値が規定最大値(例えば、「576」)と異なる値である場合には、現在値より「1」だけ大きい値に変更され、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタの値が規定最大値である場合には、規定最小値(「0」)に変更される。特別図柄に係る図柄乱数初期値カウンタ及び普通図柄に係る当選乱数初期値カウンタについても、規定最大値や規定最小値がそれらのカウンタに固有の値であること以外は、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタの場合と同様にして更新される。
変動用カウンタ更新処理S1205においては、変動時間や変動パターン等を決定するための第1の変動種別カウンタ〜第4の変動種別カウンタの値が更新される。具体的には、第1の変動種別カウンタの値が規定最大値(例えば、「187」)と異なる値である場合には、現在値より「1」だけ大きい値に変更され、第1の変動種別カウンタの値が規定最大値である場合には、規定最小値(「0」)に変更される。第2の変動種別カウンタ〜第4の変動種別カウンタについても、規定最大値や規定最小値がそれらのカウンタに固有の値であること以外は、第1の変動種別カウンタの場合と同様にして更新される。
なお、特別図柄及び普通図柄に係る各当選乱数カウンタ、大当り図柄乱数カウンタ、停止パターン選択カウンタ並びに各変動種別カウンタは、必ずしも上記構成とする必要はなく、上記カウンタの少なくとも一部を他の構成としても良く、例えば、初期値カウンタを利用しないで一定の初期値から更新する構成としても良いし、プログラムを利用しないで乱数生成用ICにより構成して必要に応じて値を参照する構成としても良い。
遊技停止判定処理S1206においては、不正検知情報が不正検知値である場合には、遊技停止値に更新されると共に、遊技進行を停止させるための各種の情報が設定される。一方、不正検知情報が不正検知値でない場合や既に遊技停止値である場合には、遊技進行を停止させるための各処理は実行されずに遊技停止判定処理S1206は終了する。なお、不正検知情報は、不正検知処理S1211において各種の不正の発生が検知された場合に不正検知値に設定される。また、判定処理S1207においては、不正検知情報が遊技停止値であるか否かによって遊技停止中であるか否かが判定される。
制御信号出力処理S1208においては、出力バッファに格納された制御データに基づいて、第1の特別図柄に係る特別図柄表示装置471、第2の特別図柄に係る特別図柄表示装置472及び普通図柄に係る普通図柄表示装置473等の各種の報知装置を制御する信号が出力される。また、出力バッファに格納された制御データに基づいて、球送りソレノイド332、発射ソレノイド334、右進入規制ソレノイド462、下進入規制ソレノイド463、上進入規制ソレノイド464、切換ソレノイド465等の各種のアクチュエータを制御する信号が出力される。
スイッチ読込処理S1209においては、中始動入賞スイッチ441A,441B、右始動入賞スイッチ442、下大入賞スイッチ443、上大入賞スイッチ444、役連作動スイッチ445、始動スイッチ446、非特定通路スイッチ447、特定通路スイッチ448、及び、一般入賞スイッチ449A,449Bの各々からの信号状態が読み込まれて、各種のスイッチによる遊技球の検出状態の変化が検知される。
具体的には、スイッチ読込処理S1209において、各種のスイッチからの信号状態が所定の時間間隔を隔てて2度に亘り入力バッファ(RAMの一部の領域)に読み込まれ、各種のスイッチからの信号ごとに、1回目に読み込まれた信号状態(以下において「第1の信号状態」と略記する)と、2回目に読み込まれた信号状態(以下において「第2の信号状態」と略記する)と、前回のタイマ割込みで検知された検出状態(以下において「前回の検出状態」と略記する)とに基づいて、各種のスイッチの検出状態の変化が検知される。そして、各スイッチに対して、前回の検出状態がオフ状態である場合において、第1の信号状態がオン状態であり、第2の信号状態がオン状態である場合には、オン状態移行と判断されて、スイッチの種類に応じた検出フラグ(RAMの一部の領域)が設定される。なお、停電監視処理S1202で説明したように、電源供給が停止したとしても、タイマ割込みの各処理が2回に亘り実行されるために、電源供給が停止した直後に各種のスイッチのオン状態が開始された場合であっても各種のスイッチの検出フラグを正確に設定することができる。
タイマ更新処理S1210においては、特別図柄及び普通図柄の変動表示、各遊技状態の制御、及び、不正監視等に使用される各種のタイマ(RAMの所定の領域)が更新される。
不正検知処理S1211においては、各種の入賞装置に強制的に遊技球を進入させたり、各種の入賞装置を強制的に作動させたりするような不正行為が検知される。具体的には、右始動入賞装置432、下大入賞装置433及び上大入賞装置434の強制的な進入許容姿勢への移動、加振による下大入賞装置433の特定通路への遊技球の誘導、電波による右始動入賞装置432、下大入賞装置433及び上大入賞装置434の強制的な誤作動の誘発、磁気吸着による各種の入賞装置への遊技球の誘導、左側中始動入賞装置431A、右側中始動入賞装置431B、右始動入賞装置432、下大入賞装置433及び上大入賞装置434への異常なタイミングでの遊技球の誘導等の不正行為が行われた可能性の高い状況の発生を検知する。
入賞検知応答処理S1212においては、遊技盤400に設けられた各種のスイッチによる遊技球の検出に基づく制御が実行される。具体的には、左側中始動入賞スイッチ441A(図10参照)及び右側中始動入賞スイッチ441B(図10参照)による遊技球の検出に基づいて、中始動入賞スイッチ検出フラグが設定されている場合には、中始動入賞カウンタ(RAMの所定の領域)及び第1払出カウンタ(RAMの所定の領域)が更新される。また、右始動入賞スイッチ442(図10参照)による遊技球の検出に基づいて右始動入賞スイッチ検出フラグが設定されている場合には、第1払出カウンタが更新される。また、下大入賞スイッチ443(図10参照)による遊技球の検出に基づいて下大入賞スイッチ検出フラグが設定されている場合や、上大入賞スイッチ444(図10参照)による遊技球の検出に基づいて上大入賞スイッチ検出フラグが設定されている場合には、大入賞カウンタ(RAMの所定の領域)及び第2払出カウンタ(RAMの所定の領域)が更新される。
発射制御処理S1213においては、発射装置330による遊技球の発射を制御するための発射関連情報が更新される。具体的には、球送り機構331を駆動する球送りソレノイド332の作動フラグ及び発射機構333を駆動する発射ソレノイド334の作動フラグが更新される。
入力信号監視処理S1214においては、払出制御基板930を介した開閉検出スイッチ108(図10参照)からの信号の出力状態に基づいて、外枠101(図1及び図2参照)に対して中間ブロック103(図1及び図2参照)が閉鎖されているか否かが検知される。また、払出制御基板930(図10参照)を介した開閉検出スイッチ109からの信号の出力状態に基づいて、中間ブロック103(図2及び図3参照)に対して前ブロック102(図2及び図3参照)が閉鎖されているか否かが検知される。
払出状態監視処理S1215においては、払出制御基板930から出力される払出制御状態を示す情報が監視され、必要に応じて、払出制御状態に応じた各種の払出状態コマンドが設定される。なお、払出状態コマンドを受信した副制御基板940は、払出状態コマンドの種類に応じた報知を装飾図柄表示装置479、左上音響装置281及び右上音響装置282等に実行させる。
払出信号出力処理S1216においては、必要に応じて、第1払出カウンタ及び第2払出カウンタの値に基づいて各種の賞球コマンドを設定し、払出制御基板930に出力する。なお、第1払出カウンタ及び第2払出カウンタは、賞球コマンドの設定に応じて更新される。例えば、第1払出カウンタは、1回の入賞に相当する遊技球が検出される毎に1ずつ加算され、その入賞に基づく賞球コマンドが設定される毎に1ずつ減算される。払出制御基板930では、その入賞に対応する数(例えば、3個)の遊技球を払い出す制御を実行する毎に(詳細には、払い出しが完了する少し前に)、主制御基板920に賞球コマンドを要求し、賞球の払い出しが継続している状況においては、主制御基板920から更なる賞球コマンドが出力される。第2払出カウンタは、第1払出カウンタとは賞球数が異なる入賞(例えば、13個)に対応して更新されるカウンタであり、第2払出カウンタの値に基づく賞球コマンドを払出制御基板930が受信した場合には、払出制御基板930は、その賞球コマンドに対応した数分の遊技球を払い出す制御を実行する。
特別図柄関連処理S1217においては、第1特別図柄に係る単位遊技の権利の保留制御及び第1特別図柄に係る単位遊技の制御が実行される。具体的には、第1特別図柄に係る単位遊技の権利の保留制御において、第1特別図柄に係る特別図柄保留表示装置476の動作制御が実行される。また、第1特別図柄に係る単位遊技の制御において、第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471の動作制御が実行され、第1特別図柄抽選において大当りに当選した場合には、下大入賞装置433及び上大入賞装置434の動作制御が更に実行される。
また、特別図柄関連処理S1217においては、第2特別図柄に係る単位遊技の権利の保留制御及び第2特別図柄に係る単位遊技の制御が実行される。具体的には、第2特別図柄に係る単位遊技の権利の保留制御において、第2特別図柄に係る特別図柄保留表示装置477の動作制御が実行される。また、第2特別図柄に係る単位遊技の制御において、第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472の動作制御が実行され、第2特別図柄抽選において大当りに当選した場合には、下大入賞装置433及び上大入賞装置434の動作制御が更に実行される。
普通図柄関連処理S1218においては、普通図柄に係る単位遊技の権利の保留制御並びに普通図柄に係る単位遊技の制御が実行される。具体的には、普通図柄に係る単位遊技の権利の保留制御において、普通図柄保留表示装置478の動作制御が実行される。また、普通図柄に係る単位遊技の制御において、普通図柄に係る普通図柄表示装置473の動作制御が実行され、普通図柄抽選に当選した場合には更に右始動入賞装置432の動作制御が実行される。
表示制御処理S1219においては、特別図柄関連処理S1217における第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471、第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472、第1特別図柄に係る特別図柄保留表示装置476及び第2特別図柄に係る特別図柄保留表示装置477等の動作を制御するために更新される各種の情報に基づいて、それらの装置を具体的に作動させるための出力データが合成される。合成された出力データは、次回のタイマ割込みに基づく制御信号出力処理S1208において各装置に出力される。
モータ制御処理S1220においては、各種のモータの動作制御が実行される。外部情報出力処理S1221においては、パチンコ機100に電気的に接続されるデータ表示装置(図示せず)や管理装置(図示せず)等の外部装置に出力する出力データが設定される。
<中始動入賞装置431>
次に、図13から図17を参照して、中始動入賞装置431について説明する。まず、図13および図14を参照して、中始動入賞装置431の構造的な構成について説明する。
図13は、前側から見た中始動入賞装置431の分解斜視図である。なお、図13において、中始動入賞装置431を組み立てるためのビスの図示は省略している。また、図14は、前カバー610と台板630との間の構造を説明するための斜視断面図である。具体的に、図14は、前カバー610における前面の板部分が切除された中始動入賞装置431の斜視断面図である。
図13に示すように、中始動入賞装置431は、前カバー610と、振分部620と、台板630と、中始動入賞スイッチ441(441A,441B)と、裏カバー640とを備えている。
台板630は、中始動入賞装置431を遊技盤400に取り付けるための樹脂製の部材であり、その周縁に、ビス(図示せず)を挿通可能な取付孔631が形成されている。中始動入賞装置431は、遊技盤400に形成された貫通孔に前方から挿入され、取付孔631に前方から挿通されたビスで遊技盤400に固定される。これにより、中始動入賞装置431は、台板630より前方部分が露出した状態で遊技盤400に取り付けられる(図16(a),図17参照)。
台板630の前面には、その上部中央に、振分部620を前方から収容可能な収容部632が形成されている。収容部632の内部には、振分部620の軸621の後端側を挿入するための軸穴633が設けられている。
台板630の前面には、収容部632より下方に、当該前面から前方に突出する突起部634が形成されている。突起部634は、中始動入賞装置431内に形成された後述する主球通路652A,652B(図15参照)の経路上の位置に形成される。つまり、突起部634は、左側主球通路652Aまたは右側主球通路652Bを流下する遊技球が衝突し得る位置に形成されている。
台板630には、入口611から進入して左側主球通路652Aまたは右側主球通路652Bを通過する(流下する)遊技球を、台板630の前面側から背面側へと通過させるための貫通孔635が、突起部634の下方に形成されている。
台板630の裏側に配置される中始動入賞スイッチ441は、貫通孔635を通過した、金属球である遊技球を非接触で検出する近接センサである。本実施形態では、中始動入賞スイッチ441として、左側主球通路652A(図15参照)に連設された貫通孔635を通過した遊技球を検出する左側中始動入賞スイッチ441Aと、右側主球通路652B(図15参照)に連設された貫通孔635を通過した遊技球を検出する右側中始動入賞スイッチ441Bとが設けられている。
中始動入賞スイッチ441(441A,441B)は、遊技球を検出するための検出コイル(図示せず)が内包された検出部J1と、当該検出コイルに接続された回路基板(図示せず)が内包された回路部J2とが、長手方向に並べて配置された略板状に構成される。検出部J1には、遊技球が通過可能な開口J1aが形成されており、検出コイルは、開口J1aの外周に巻回されている。
回路部J2に内包される回路基板は、遊技球が開口J1aを通過した場合に、検出コイルからの出力に基づいて遊技球を検出したことを示す検出信号を主制御装置370へ出力する。中始動入賞スイッチ441(441A,441B)は、開口J1aが台板630の貫通孔635と連通するよう、検出部J1を下側に向け、回路部J2を上側に向けて設置される。
裏カバー640は、中始動入賞スイッチ441を介して台板630の裏側に取り付けられる樹脂製のカバーである。裏カバー640には、左側中始動入賞スイッチ441Aまたは右側中始動入賞スイッチ441Bの開口J1aを通過した遊技球を、裏カバーの裏側へと通過させるための開口641が形成されている。
振分部620は、金属製の軸621と、軸621周りに揺動可能な樹脂製の本体622とを備えている。振分部620は、軸621の後端側を台板630の軸穴633に挿入し、前端側を前カバー610の裏側に形成された軸穴に挿入することで、図14に示すように、前カバー610と台板630との間に軸架される。
本体622は、前面が平面に構成された略かまぼこ状の基体622Aと、基体622Aの外周における直線部分の近傍から前方に突出して、軸621を挿通可能な軸穴が形成された軸挿通部622Bと、基体622Aの前面に立設された、軸挿通部622Bの外周に接続する左アーム622C、右アーム622Dおよび上アーム622Eを備えている。
左アーム622Cおよび右アーム622Dは、基体622Aの直線部分に沿ってそれぞれ左側および右側に延びる。一方、上アーム622Eは、左右のアーム622C,622Dに対して直交する方向に延びる。左アーム622Cと上アーム622Eとの間に形成される、基体622Aに対する前方の空間は、左側の球受け部622Fを構成する。一方、右アーム622Dと上アーム622Eとの間に形成される、基体622Aに対する前方の空間は、右側の球受け部622Gを構成する。
振分部620が前カバー610と台板630との間に軸架された状態において、基体622Aは台板630の収容部632に収容される。これにより、振分部620は、収容部632の内壁の形状によって制限された範囲内で、軸621周りに左または右方向に揺動(回動)する。詳細は後述するが、入口611から中始動入賞装置431に進入した遊技球は、振分部620の球受け部622F,622Gのいずれかに入ることで、左側主球通路652A(図15参照)または右側主球通路652B(図15参照)のいずれかに振り分けられる。
前カバー610は、振分部620を介して台板630の前面側に取り付けられる樹脂製のカバーである。なお、前カバー610は、その前面が透明または半透明に構成され、それにより、遊技者は、主球通路652A,652Bなどの、中始動入賞装置431内に形成された通路部を通過する遊技球を、前カバー610を介して視認することが可能である。これにより、遊技者は、中始動入賞装置431に進入した遊技球の行方を視認することができるので、振分部620による振り分けを伴う遊技の興趣が向上する。
前カバー610の上側には、入口611を構成する開口が形成されている。前カバー610の裏側には、入口611から中始動入賞装置431に進入した遊技球が通過する通路部を形成するリブや切欠きなどが形成されている。かかるリブおよび切欠きは、台板630の前面とともに、前記通路部として、案内通路651(図15参照)、主球通路652A,652B(図15参照)、従球通路653A,653B,653C(図15参照)、および、主球通路652A,652Bから分岐した従球通路653A,653B,653Cの入口部654A1,654A2,654B1,654B2を形成する。なお、これらの通路部は、遊技球の直径よりやや広い通路幅に構成され、2以上の遊技球が同時に通過することができない。
また、前カバー610の裏側には、主球通路652A,652Bの経路上となる位置に、誘導部612が設けられている。詳細は後述するが、誘導部612は、左側主球通路652Aまたは右側主球通路652Bを上側から下向きに流下する遊技球を、各主球通路652A,652Bに対する貫通孔635がある奥側へと奥向きに誘導する機能を有する。
ここで、図15から図17を参照して、入口611から中始動入賞装置431に進入した遊技球の通過経路(流下経路)について説明する。図15(a)は、図14に示す中始動入賞装置431を正面から見た断面図である。なお、図15(a)では、断面のハッチングを省略している。図15(b)は、従球通路653A,653B,653Cを通る平面で切断した中始動入賞装置431の概略的な正面断面図である。
図16(a)は、図15(a)のA−A線における中始動入賞装置431の断面図である。図16(b)は、誘導部612に沿って流下する遊技球を説明するための概略的な断面図であり、具体的には、図16(a)の矢印Cの位置で中始動入賞装置431を前後方向に切断したときの、上側から見た左側主球通路652Aの概略的な断面図である。また、図17は、図15(a)のB−B線における中始動入賞装置431の断面図である。なお、図16(a)および図17では、図15(a)では一部が切断されている前カバー610の全てを図示している。
入口611から中始動入賞装置431に進入した遊技球は、案内通路651に進入する。案内通路651に進入した遊技球は、振分部620における左右の球受け部622F,622Gのうち、入口611の側を向いている方の球受け部に進入する。
遊技球が球受け部622F,622Gに進入すると、遊技球の自重が左アーム622Cまたは右アーム622Dにかかることで、振分部620は、軸621周りに、収容部632によって制限される範囲で左または右方向に回動する。これにより、遊技球は、左側主球通路652Aまたは右側主球通路652Bのいずれかに振り分けられる。
つまり、図15(a)に示す例では、入口611から案内通路651へと進入した遊技球は、左側の球受け部622Fに進入し、遊技球の自重によって振分部620が左方向に回動することで、左側主球通路652Aに振り分けられる。なお、左側の球受け部622Fが入口611の側を向く状況では、振分部620は、収容部632によってそれ以上の右回転が制限されているため、左側の球受け部622Fに進入した遊技球は、上アーム622Eが障害となって、右側主球通路652Bに進入することはない。
遊技球が左側の球受け部622Fまたは右側の球受け部622Gに進入したことで、振分部620が左または右方向に回動すると、入口611の側を向く球受け部が、今回遊技球が進入した球受け部とは異なる球受け部に切り替わる。よって、次回に入口611から進入した遊技球は、左側の球受け部622Fまたは右側の球受け部622Gのうち、今回進入した球受け部とは異なる球受け部に進入する。つまり、図15(a)に示す例では、次回に入口611から進入した遊技球は、右側の球受け部622Gに進入する。
これにより、左側主球通路652Aまたは右側主球通路652Bのうち、振分部620による遊技球の振り分け先となる主球通路は、今回進入した主球通路とは異なる主球通路となる。つまり、入口611から進入した遊技球は、振分部620によって、左側主球通路652Aまたは右側主球通路652Bへ交互に振り分けられる。よって、入口611から中始動入賞装置431に進入した遊技球は、振分部620によって、50%の確率で、左側主球通路652Aまたは右側主球通路652Bのいずれかに振り分けられる。
左側主球通路652Aは、遊技球を、上から下向き(矢印Q1方向)に誘導した後、貫通孔635や左側中始動入賞スイッチ441Aのある奥向き(矢印Q3方向)へと誘導する。左側主球通路652Aは、遊技球の誘導方向が下向きから奥向きへと変化する部分(以下、この部分を「流下方向変化部」と称することがある)にて、流下方向変化部における遊技球の流下方向(上下方向および前後方向)に対して交差する向きである、遊技機正面視の左右方向に分岐する。
左側従球通路653Aは、左側主球通路652Aから遊技機正面視における左側に分岐した球通路であり、中央従球通路653Cは、左側主球通路652Aから遊技機正面視における右側に分岐した球通路である。
矢印Q5で示すように、左側主球通路652Aから入口部654A1を経て左側従球通路653Aに進入した遊技球は、左側従球通路653Aの出口から、遊技盤400上の、中始動入賞装置431に対して左側の遊技領域に排出される。同様に、矢印Q7で示すように、左側主球通路652Aから入口部654A2を経て中央従球通路653Cに進入した遊技球は、中央従球通路653Cの出口から、遊技盤400上の、中始動入賞装置431に対して下側の遊技領域に排出される。
このように、振分部620によって左側主球通路652Aに振分けられた遊技球であっても、左側従球通路653Aまたは中央従球通路653Cに進入した場合には、その遊技球は、左側中始動入賞スイッチ441Aにより検出されることなく(すなわち、入賞が発生することなく)、中始動入賞装置431から排出される。
従球通路653A,653Cに進入することなく、左側主球通路652Aを流下する遊技球は、左側中始動入賞装置431Aに誘導され、当該左側中始動入賞装置431Aから排出される。本実施形態では、左側主球通路652Aを流下する遊技球が、左側従球通路653Aまたは中央従球通路653Cに進入することなく、左側中始動入賞スイッチ441Aによって必ず検出されるようになる境界位置を、図17に示すように、左側中始動入賞装置431Aの入口(以下、「左側中始動入賞口431Aa」と称す)とする。
なお、本実施形態の中始動入賞装置431においては、左側主球通路652Aから従球通路653A,653Cへの入口部654A1,654A2は、その周縁の一部が台板630の前面によって構成されているので(図17参照)、左側中始動入賞口431Aaは、台板630に形成された貫通孔635の前面側の開口端に相当する。
よって、左側主球通路652Aに進入した後、従球通路653A,653Cの側へ進行することなく、左側主球通路652Aを進行した遊技球が、左側中始動入賞装置431Aの入口部分(すなわち、左側中始動入賞口431Aa)へ進入した場合、その遊技球は、左側中始動入賞スイッチ441Aにより検出され、それにより、第1特別図柄に係る始動入賞が発生する。
従って、中始動入賞装置431において、左側中始動入賞口431Aaの下流側が左側中始動入賞装置431Aとして機能する部分であり、左側中始動入賞スイッチ441Aを含む。なお、図16(a)に示すように、回路部J2を上側に向けて左側中始動入賞スイッチ441Aを配置することで、当該回路部J2を、遊技球を上から下向きに誘導した後で奥向きへ誘導する左側主球通路652Aにおいて、上下方向の通路部分の裏側(奥側)に形成されるデッドスペースに収めることができる。
右側主球通路652Bは、遊技球を、上から下向き(矢印Q2方向)に誘導した後、貫通孔635や右側中始動入賞スイッチ441Bのある奥向き(矢印Q4方向)へ誘導する。右側主球通路652Bは、遊技球の誘導方向が下向きから奥向きへと変化する部分(つまり、流下方向変化部)にて、流下方向変化部における遊技球の流下方向(上下方向および前後方向)に対して交差する向きである、遊技機正面視の左右方向に分岐する。
右側従球通路653Bは、右側主球通路652Bから遊技機正面視における右側に分岐した球通路であり、中央従球通路653Cは、右側主球通路652Bから遊技機正面視における左側に分岐した球通路である。
矢印Q6で示すように、右側主球通路652Bから入口部654B1を経て右側従球通路653Bに進入した遊技球は、右側従球通路653Bの出口から、遊技盤400上の、中始動入賞装置431に対して右側の遊技領域に排出される。同様に、矢印Q8で示すように、右側主球通路652Bから入口部654B2を経て中央従球通路653Cに進入した遊技球は、中央従球通路653Cの出口から、遊技盤400上の、中始動入賞装置431に対して下側の遊技領域に排出される。
このように、振分部620によって右側主球通路652Bに振分けられた遊技球であっても、右側従球通路653Bまたは中央従球通路653Cに進入した場合には、その遊技球は、右側中始動入賞スイッチ441Bにより検出されることなく(すなわち、入賞が発生することなく)、中始動入賞装置431から排出される。
従球通路653B,653Cに進入することなく、右側主球通路652Bを流下する遊技球は、右側中始動入賞装置431Bに誘導され、当該右側中始動入賞装置431Bから排出される。本実施形態では、右側主球通路652Bを流下する遊技球が、右側従球通路653Bまたは中央従球通路653Cに進入することなく、右側中始動入賞スイッチ441Bによって必ず検出されるようになる境界位置を、図17に示すように、右側中始動入賞装置431Bの入口(以下、「右側中始動入賞口431Ba」と称す)とする。
なお、本実施形態の中始動入賞装置431においては、右側主球通路652Bから従球通路653B,653Cへの入口部654B1,654B2は、その周縁の一部が台板630の前面によって構成されているので(図17参照)、右側中始動入賞口431Baは、台板630に形成された貫通孔635の前面側の開口端に相当する。
よって、右側主球通路652Bに進入した後、従球通路653B,653Cの側へ進行することなく、右側主球通路652Bを進行した遊技球が、右側中始動入賞装置431Bの入口部分(すなわち、右側中始動入賞口431Ba)へ進入した場合、その遊技球は、右側中始動入賞スイッチ441Bにより検出され、それにより、第2特別図柄に係る始動入賞が発生する。
従って、中始動入賞装置431において、右側中始動入賞口431Baの下流側が右側中始動入賞装置431Bとして機能する部分であり、右側中始動入賞スイッチ441Bを含む。なお、回路部J2を上側に向けて配置された右側中始動入賞スイッチ441Bもまた、左側中始動入賞スイッチ441Aと同様、当該回路部J2が、遊技球を上から下向きに誘導した後で奥向きへ誘導する右側主球通路652Bにおいて、上下方向の通路部分の裏側(奥側)に形成されるデッドスペースに収納される。
図16(a)に示すように、左側主球通路652Aにおいて、誘導部612は流下方向変化部に設けられている。右側主球通路652Bについても同様に、誘導部612は流下方向変化部に設けられている。誘導部612は、図15(a)および図16(a)に示すように、主球通路652A,652Bの通路幅の略中央に当該通路幅より細い幅で形成された、当該誘導部612の外縁である傾斜面612Aが遊技球の流下方向に沿って延びる凸部である。
なお、流下方向変化部において、遊技球が実質的に通過可能な空間を構成する境界の一部は、誘導部612によって支持された遊技球の外形により規定される。本実施形態において、「主球通路652A,652B」とは、前カバー610の裏面と前カバー10の裏側に形成されたリブの側面と台板630の前面とからなる壁面によって囲まれた空間でなく、遊技球が実質的に通過可能な空間に相当する。
また、誘導部612は、図16(a)に示すように、傾斜面612Aが、遊技球の流下方向における上流側から下流側になるにつれて、略重力方向の傾きから略水平方向の傾きまで次第に傾斜が緩くなる(すなわち、傾斜角度が次第に小さくなる)曲線形状に構成される。つまり、誘導部612は、流下方向変化部を流下する遊技球を、かかる傾斜面612Aによって、水平方向に対する遊技球の誘導角度が遊技球の流下方向における上流側から下流側になるにつれて次第に小さくなるよう誘導する。
上述のように構成される誘導部612が主球通路652A,652Bの流下方向変化部に設けられたことで、主球通路652A,652Bに進入して流下する遊技球は、当該流下方向変化部において、下向きの流下方向が、誘導部612によって徐々に下向きの成分を失いつつ奥向きへと変化する。このように、誘導部612は、流下方向変化部において、下向きに流下する遊技球がスムースに奥向きに流れるよう、遊技球の流れを整流する機能を有する。
また、左側主球通路652Aと入口部654A1(左側従球通路653Aへの入口部)とを右側(図16(a)における紙面手前側)から見たとき、誘導部612の傾斜面612Aは、入口部654A1の周縁に対して外方に位置する。同様に、左側主球通路652Aと入口部654A2(中央従球通路653Cへの入口部)とを左側(図16(a)における紙面奥側)から見たとき、誘導部612の傾斜面612Aは、入口部654A2の周縁に対して外方に位置する。
また、右従球通路635Bの入口部654B1,654B2についても、入口部654B1または入口部654B2と右側主球通路652Bとを左または右側から見たときに、誘導部612の傾斜面612Aは、それらの入口部654A2,654B1,654B2の周縁に対して外方に位置する。
誘導部612は、主球通路652A,652Bの通路幅より細い幅で立設されるため、図16(b)に示すように、入口部654A1または入口部654A2と、誘導部612との間には、誘導部612の設置面を底とする2つの凹部662が形成される。なお、右側主球通路652Bについても、入口部654B1または入口部654B2と、誘導部612との間には、凹部662と同様の、誘導部612の設置面を底とする2つの凹部(以下、当該凹部についても、便宜上、凹部662と称す)が形成される。以下、左側主球通路652Aに形成される凹部662について説明するが、右側主球通路652Bに形成される凹部662についても同様である。
凹部662の幅は遊技球の径より狭いため、流下方向変化部を流下する遊技球が入口部654A1または入口部654A2の側に寄った場合、当該遊技球は、入口部654A1または入口部654A2の周縁と誘導部612とによって支持される。例えば、図16(b)に示すように、遊技球Pが入口部654A1の側に寄った場合、遊技球Pは、入口部654A1の周縁と誘導部612とによって支持される。誘導部612のみで遊技球が支持される場合には、その遊技球は凹部662に落ち込まないのに対し、入口部654A1の周縁と誘導部612により遊技球が支持される場合、その遊技球の一部が凹部662に落ち込む。
誘導部612のみで支持されて凹部662に落ち込むことなく流下する遊技球が入口部654A1または入口部654A2の側に寄った場合、当該遊技球は、入口部654A1または入口部654A2の周縁と誘導部612とによって支持されるまでの間、凹部662に落ち込んでいく動き、すなわち、凹部662の底に近づく動きをする。
入口部654A1または入口部654A2の周縁は誘導部612の外縁(傾斜面612A)より高い位置にあるので、入口部654A1または入口部654A2の周縁と誘導部612とによって支持される遊技球が、入口部654A1または入口部654A2を経て左側従球通路653Aまたは中央従球通路653Cに進入するためには、遊技球は凹部662の底から離れる側に動く必要がある。
つまり、誘導部612のみで支持されて流下方向変化部を流下する遊技球が、入口部654A1または入口部654A2を経て左側従球通路653Aまたは中央従球通路653Cに進入するためには、当該遊技球は、図16(b)に矢印で示すように、凹部662の底に一旦近づいた後、当該底から離れる動きをする必要がある。
図16(a)に示すように、突起部634は、左側主球通路652Aにおける奥側の壁(すなわち、台板630の前面により構成される壁)に設けられている。なお、右側主球通路652Bについても、突起部634は、右側主球通路652Bにおける奥側の壁に設けられている。以下、左側主球通路652Aに形成される突起部634について説明するが、右側主球通路652Bに形成される突起部634についても同様である。
左側主球通路652Aを流下する遊技球は、突起部634に衝突した場合、当該突起部634によって前方(すなわち、突起部634の突出方向)に弾かれる。例えば、遊技球は、突起部634に衝突したことで矢印Rに示す軌道で前方に弾かれる。突起部634の下流側には、誘導部612が設けられており、突起部634に弾かれた遊技球は、誘導部612へと案内される。
本実施形態における突起部634は、遊技球を、誘導部612における傾斜面612Aの傾斜角度(水平方向に対する角度)、すなわち、誘導部612による遊技球の誘導角度が所定角度(例えば、略80度)より大きい部分に案内するよう構成される。このように、遊技球が、突起部634との衝突によって、誘導部612における、遊技球の誘導角度が所定角度より大きい部分に案内されることで、誘導部612による遊技球の誘導を好適に機能させることができる。
なお、突起部634は、遊技球を、誘導部612における、遊技球の誘導角度(すなわち、傾斜面612Aの傾斜角度)が、略45度より大きい部分に案内することが良く、略70度より大きい部分に案内することが好ましく、略85度より大きい部分に案内されることが好適である。
また、図16(a)に示すように、左側主球通路652Aにおいて、左側従球通路653Aへの入口部654A1は、突起部634より下流側に形成されている。また、入口部654A1は、当該入口部654A1と左側主球通路652Aとを左側主球通路652Aの右側(図16(a)における紙面手前側)から見たときに、左側主球通路652Aの周縁(つまり、誘導部612によって支持された遊技球の外形により規定される、遊技球が実質的に通過可能な空間における仮想的な左側主球通路652Aの境界)に対し、当該主球通路652Aの内側(すなわち、奥側)にオフセットされた位置に形成されている。
このように、入口部654A1は、当該入口部654A1と左側主球通路652Aとを右側から見たときに、左側主球通路652Aの周縁に対し、突起部634が設けられている側(すなわち、奥側)にオフセットされている。また、入口部654A2もまた、入口部654A1と同様、突起部634より下流側に形成されるとともに、入口部654A2と左側主球通路652Aとを左側から見たときに、左側主球通路652Aの周縁に対し、突起部634が設けられている側にオフセットされている。
つまり、突起部634との衝突によって前方に弾かれた遊技球は、左側主球通路652Aにおける入口部654A1が形成されていない側(つまり、それと同じ方向から見たときに、左側主球通路652Aにおける、当該左側主球通路652Aと入口部654A1,654A2に重ならない側)に案内される。
また、左側従球通路653Aは、図15(b)に示すように、入口部654A1から下流側(図15(b)における左側)へ向かって、その通路の底面(すなわち、遊技球を支持する支持面)が下流側(矢印Q5の方向側)に下降傾斜する傾斜面により構成されている。このため、左側従球通路653Aに対して下流側に相当する遊技領域側から遊技球が逆方向(矢印Q5の反対方向)に進行し、遊技球が左側主球通路652Aに進入することが防止されている。これにより、中始動入賞装置431の入口611を経由しないで遊技領域を流下する遊技球が左側中始動入賞口431Aaへ進入する確率を低く抑え、中始動入賞装置431の入口611に対する遊技球の進入量に対して左側中始動入賞口431Aaへの入賞量が比例し易くし、左側中始動入賞口431Aaへの遊技球の入賞確率を設定し易くすることができる。この左側従球通路653Aの底面を構成する傾斜面の長さは、遊技球の半径より長く設定することが好ましく、直径より長く設定することが好適である。なお、右側従球通路653Bの入口部654B1、及び、中央従球通路653Cの入口部654A2,B2についても、各通路の底面が下流側(矢印Q6〜Q8の方向側)に下降傾斜する傾斜面により構成され、これにより、右側従球通路653B及び中央従球通路653Cを逆方向に進行した遊技球が、左側主球通路652A及び右側主球通路652Bに進入することを防止することができる。
また、左側従球通路653Aは、図15(b)に示すように、入口部654A1から下流側(図15(b)における左側)へ向かう方向側の上面(天面)と底面との長さとして、上面側の方が底面側より下流側に長く連続している。右側従球通路653Bについても同様の構成とされ、これにより、左側従球通路653A及び右側従球通路653Bの出口部分において遊技領域を上側から下方に流下した遊技球が左側主球通路652A及び右側従球通路653Bに進入することを防止することができる。
また、左側従球通路653Aの出口部分に対して上方側には、前カバー610の外形形状によって正面視円弧状で中央側(入口611側))に向かって連続する壁部が設けられ、この壁部に支持されて下方側に誘導される遊技球が左側従球通路653Aの出口部分に対して外側(図15(b)における左側)へ離間するように誘導される。右側従球通路653Bの出口部分に対して上方側の前カバー610の外形形状についても同様の構成とされ、これにより、前カバー610の外形によって下側を支持されつつ誘導された遊技球が左側主球通路652A及び右側従球通路653Bに進入することを防止し、中始動入賞装置431の入口611を経由しないで左側中始動入賞口431Aa及び右側中始動入賞口431Baへ遊技球が進入することを防止することができる。
次に、以上説明した本実施形態のパチンコ機100の作用及び効果を説明する。
本実施形態のパチンコ機100においては、中始動入賞装置431の主球通路652A,652Bが、遊技球を、上から下向きに誘導した後、奥向きへ誘導する球通路として構成され、中始動入賞スイッチ441A,441Bが、主球通路652A,652Bにおいて奥向きに誘導される遊技球を検出可能な位置に設けられている。よって、中始動入賞スイッチ441A,441Bのような検出手段を、下方向に延びる通路の下方に設ける場合に比べ、中始動入賞装置431の上下方向のサイズを小さくすることができる。中始動入賞装置431の上下方向のサイズが小さくなった分、遊技球が流下する遊技領域を大きく確保することが可能となる。
また、回路部J2を上側に向けて中始動入賞スイッチ441A,441Bを配置することで、当該回路部J2を、遊技球を上から下向きに誘導した後で奥向きへ誘導する主球通路652A,652Bにおいて、上下方向の通路部分の裏側(奥側)に形成されるデッドスペースに収めることができる。これにより、中始動入賞装置431のサイズを上下方向だけでなく奥行き方向にも好適に小型化することができる。
また、本実施形態のパチンコ機100においては、主球通路652A,652Bの流下方向変化部(遊技球の誘導方向が下向きから奥向きへと変化する部分)には、当該流下方向変化部を流下する遊技球を、水平方向に対する遊技球の誘導角度が遊技球の流下方向における上流側から下流側になるにつれて次第に小さくなるよう誘導する誘導部612が設けられている。
かかる誘導部612が流下方向変化部に設けられたことで、振分部620による振り分けによって左側主球通路652Aまたは右側主球通路652Bに進入して下向きに流下する遊技球は、流下方向変化部において、その流下方向が、誘導部612によって徐々に下向きの成分を失いつつ奥向きへと変化する。このように、誘導部612は、流下方向変化部において、下向きに流下する遊技球がスムースに奥向きに流れるよう、遊技球の流れを整流する機能を有する。
流下方向変化部を流下する遊技球が誘導部612によってスムースに奥側へと流れるようになったことで、振分部620による振り分けによって左側主球通路652Aまたは右側主球通路652Bに振り分けられた遊技球が、中始動入賞スイッチ441A,441Bによって検出されるまでのタイムラグを好適に短くできる。これにより、上側から下向きに遊技球を誘導した後、該遊技球を奥向きに誘導する主球通路652A,652Bを備える中始動入賞装置431において、遊技球が左側主球通路652Aまたは右側主球通路652Bに振り分けられてから中始動入賞スイッチ441A,441Bにより検出されるまでのタイムラグが大きくなって遊技のテンポが悪くなることを好適に抑制できる。
また、主球通路652A,652Bの流下方向変化部では、従球通路653A,653B,653Cが、主球通路652A,652Bから遊技球の流下方向に対して交差する方向に分岐するが、流下方向変化部を流下する遊技球は、上述のように、誘導部612によってスムースに奥側へと流れるので、遊技球が、入口部654A1,654A2,654B1,654B2から排出され難い。これにより、流下方向変化部を流下する遊技球が、従球通路653A,653B,653Cへ進入することが抑制される。
特に、主球通路652A,652Bにおける奥側の壁には、誘導部612より上流側の位置に突起部634が設けられており、主球通路652A,652Bを流下する遊技球が突起部634に衝突した場合、当該遊技球は、突起部634との衝突によって、誘導部612における遊技球の誘導角度が所定角度より大きい部分に案内される。これにより、下向きに流下する遊技球が、流下方向変化部において、流下方向が急激に奥向きに変化することが好適に抑制される。よって、誘導部612による遊技球の誘導を好適に機能させることができ、それにより、従球通路653A,653B,653Cへの遊技球の進入をより好適に抑制することができる。
また、誘導部612の傾斜面612Aは、入口部654A1,654A2,654B1,654B2と球通路652A,652Bとを左または右側から見たときに、入口部654A2,654B1,654B2の周縁に対して外方に位置する。つまり、入口部654A1,654A2,654B1,654B2は、入口部654A1,654A2,654B1,654B2と主球通路652A,652Bとを左または右側から見たときに、各主球通路652A,652Bの周縁(すなわち、誘導部612によって支持された遊技球の外形により規定される、遊技球が実質的に通過可能な空間における仮想的な境界)に対し、各主球通路652A,652Bの内側(すなわち、奥側)にオフセットされた位置に形成されている。
このように、誘導部612の傾斜面612Aと、入口部654A2,654B1,654B2の周縁との位置関係が設定されたことで、これらの入口部654A2,654B1,654B2と主球通路652A,652Bとを左または右側から見たときに、主球通路652A,652Bを流下する遊技球が従球通路653A,653B,653Cへと進入するためには、主球通路652A,652Bに対する従球通路653A,653B,653Cの分岐方向(すなわち、左または右向き)への移動だけでなく、入口部654A2,654B1,654B2がオフセットされている方向(すなわち、主球通路652A,652Bの内側への移動が必要となる。よって、かかる点においても、中始動入賞装置431は、主球通路652A,652Bを流下する遊技球が、従球通路653A,653B,653Cへ進入し難く構成されている。
特に、入口部654A1,654A2,654B1,654B2の上流に形成される突起部634は、主球通路652Aの奥側、すなわち、入口部654A1,654A2,654B1,654B2と主球通路652A,652Bとを左または右側から見たときにおける、主球通路652A,652Bに対する入口部654A1,654A2,654B1,654B2のオフセット方向と同じである。よって、突起部634との衝突によって前方(前記オフセット方向とは反対の方向)に弾かれた遊技球は、主球通路652A,652Bにおける入口部654A1,654A2,654B1,654B2が形成されていない側に案内される。よって、かかる点においても、主球通路652A,652Bを流下する遊技球が、入口部654A1,654A2,654B1,654B2から従球通路653A,653B,653Cへと進入する可能性を好適に低減できる。
なお、遊技球が主球通路652A,652Bの奥側を流下し、それにより、遊技球が誘導部612の傾斜面612Aにおける傾斜角度が水平に近い部分に落下した場合、当該遊技球が上方に跳ね上がって、入口部654A1,654A2,654B1,654B2を超えて従球通路653A,653B,653Cへと進入する可能性が高まる。しかしながら、突起部634が、主球通路652A,652Bにおける、入口部654A1がオフセットされる側(すなわち、奥側)に形成されたことで、遊技球が傾斜面612Aの傾斜角度が水平に近い部分に落下する可能性が抑制される。よって、かかる点においても、主球通路652A,652Bを流下する遊技球が、入口部654A1,654A2,654B1,654B2から従球通路653A,653B,653Cへと進入する可能性が低減されている。
また、入口部654A1または入口部654A2と誘導部612との間、および、入口部654B1または入口部654B2と誘導部612との間には、遊技球が入口部654A1,654A2,654B1,654B2の周縁と誘導部612とにより支持された場合に、当該遊技球の一部が落ち込む凹部662が形成される。上述したように、誘導部612のみで支持されて流下方向変化部を流下する遊技球が、入口部654A1,654A2,654B1,654B2を経て従球通路653A,653B,653Cに進入するためには、当該遊技球は、凹部662の底に一旦近づいた後、当該底から離れる動きをする必要があるので、かかる点においても、中始動入賞装置431は、主球通路652A,652Bを流下する遊技球が、従球通路653A,653B,653Cへ進入し難く構成されている。
本実施形態の中始動入賞装置431は、上述のように構成されることで、入口611から進入した遊技球の一部を、いずれの中始動入賞装置431A,431Bに進入させることなく、非常に低確率で中始動入賞装置431から排出する機能を有する。
また、本実施形態のパチンコ機100においては、主球通路652A,652Bから分岐する従球通路653A,653B,653Cを設けたことで、主球通路652A,652Bを流下する遊技球の全てが入賞とならず、中始動入賞装置431に遊技球を進入させる遊技に意外性を付与することができ、それにより、当該遊技が単調化することを抑制できる。また、従球通路653A,653B,653Cが設けられたことで、これらの従球通路653A,653B,653Cが逃げ道となって、主球通路652A,652Bにおける球詰まりの発生を抑制できる。
しかしながら、主球通路652A,652Bに進入した遊技球の多くが、従球通路653A,653B,653Cに進入した場合、左右の中始動入賞装置431A,431Bへの進入確率(すなわち、入賞の発生確率)が低くなるため、中始動入賞装置431に進入したことで入賞を期待した遊技者を落胆させ、それによって、遊技の興趣が低下する虞がある。
これに対し、本実施形態の中始動入賞装置431によれば、上述したように、従球通路653A,653B,653Cへの進入確率が非常に低確率に構成されているので、入口611から進入した遊技球の殆どが、左右の中始動入賞口431Aa,431Ba(すなわち、左右の中始動入賞装置431A,431Bの入口部分)に進入して、第1特別図柄また第2特別図柄に係る始動入賞が発生する。よって、中始動入賞装置431に遊技球を進入させる遊技の単調化を抑制しつつ、左右の中始動入賞装置431A,431Bへの進入確率(すなわち、入賞の発生確率)を好適に担保することができる。
<第2実施形態>
次に、図18を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態のパチンコ機100では、上述した実施形態(以下、「第1実施形態」と称す)の中始動入賞装置431に代えて、中始動入賞装置731が配設されている。なお、以下の説明において、第1実施形態における構成と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
第1実施形態においては、中始動入賞装置431は、従球通路653A,653Bの入口部654A1,654B1が、その周縁が遊技盤400の前面にほぼ接する位置に配置される構成とした(図16,図17参照)。つまり、第1実施形態の中始動入賞装置431では、従球通路653A,653Bの入口部654A1,654B1が、当該入口部654A1,654B1と主球通路652A,652Bとを左または右側から見たときに、遊技盤400の前面に対してオフセットのない状態で配置されていた。
これに対し、第2実施形態の中始動入賞装置731において、従球通路753A,753Bの入口部754A,754Bは、当該入口部754A,754Bを左または右側から見たときに遊技盤400の前面に対して奥側にオフセットされて配置されていることを特徴とする。
図18は、第2実施形態の中始動入賞装置731の、入口部754A,754Bを通る平面で切断した断面を上から見た断面図である。中始動入賞装置731は、1の主球通路752を備えている。つまり、中始動入賞装置731は、中始動入賞装置431とは異なり、第1特別図柄または第2特別図柄のうち、予め決められた1の特別図柄に係る単独の始動装置である。
主球通路752は、第1実施形態における左右の主球通路652A,652Bと同様に、上から下向きに遊技球Pを誘導した後、当該遊技球を奥向き(矢印Q13方向)へ誘導する球通路である。主球通路752を奥向きに流下する遊技球が、従球通路753A,753Bに進入することなく、中始動入賞スイッチ741によって検出されると、第1特別図柄または第2特別図柄のうち、予め決められている特別図柄に係る始動入賞が発生する。なお、中始動入賞スイッチ741は、中始動入賞スイッチ441A,441Bと同様の構成および機能を有するスイッチである。
よって、中始動入賞装置731では、主球通路752を流下する遊技球が左右の従球通路753A,753Bに進入することなく必ず中始動入賞スイッチ741により検出されるようになる境界位置Zより下流側が、「通過したことで所定の特定を付与する有利領域」として機能する。
主球通路752の流下方向変化部(遊技球の誘導方向が下向きから奥向きへと変化する部分)には、左右の主球通路652A,652Bと同様、誘導部612が設けられており、当該流下方向変化部において、下向きに流下する遊技球がスムースに奥向きに流れるように構成されている。
主球通路752は、左右の主球通路652A,652Bと同様、流下方向変化部にて、流下方向変化部における遊技球の流下方向(上下方向および前後方向)に対して交差する向き(すなわち、遊技機正面視の左右方向)に分岐する。左側従球通路753Aは、主球通路752から左側に分岐した球通路であり、右側従球通路753Bは、主球通路752から右側に分岐した球通路である。
従球通路753A,753Bの入口部754A,754Bは、当該入口部754A,754Bを左または右側から見たときに、遊技盤400の前面に対して奥側にオフセットされて配置されている。よって、主球通路752から左側の入口部754Aを経て左側従球通路753Aに進入した遊技球Pは、矢印Q15に示すような、奥側から手前側に移動する経路を含む移動経路を通り、左側従球通路753Aの出口から、遊技盤400上の、中始動入賞装置731に対して左側の遊技領域に排出される。
また、主球通路752から右側の入口部754Bを経て右側従球通路753Bに進入した遊技球Pについても、矢印Q16に示すような、奥側から手前側に移動する経路を含む移動経路を通り、右側従球通路753Bの出口から、遊技盤400上の、中始動入賞装置731に対して右側の遊技領域に排出される。
次に、以上説明した中始動入賞装置731を備えるパチンコ機100の作用及び効果を説明する。
本実施形態のパチンコ機100においては、中始動入賞装置731において、従球通路753A,753Bの入口部754A,754Bが、当該入口部754A,754Bを左または右側から見たときに、遊技盤400の前面に対して奥側にオフセットされて配置されている。そのため、主球通路752から分岐して従球通路753A,753Bを通過する遊技球は、少なくとも、奥側から手前側に移動する必要がある。
ここで、遊技盤400を流下する遊技球が、従球通路753A,753Bの出口から当該従球通路753A,753Bに進入することを考えた場合、当該従球通路753A,753Bを逆流する(すなわち、矢印Q15,Q16と逆方向に移動する)遊技球が、主球通路752に合流するためには、遊技球が手前側から奥側に移動する必要がある。よって、遊技盤400を流下する遊技球が、従球通路753A,753Bを経由して、主球通路752に進入することは難しい。これにより、遊技球が中始動入賞装置731の入口を経由せずに(すなわち、意図しない経路を通って)、入賞が発生してしまうことを好適に抑制できる。
なお、上述した中始動入賞装置731は、1の主球通路752を備える構成としたが、第1実施形態の中始動入賞装置431と同様、複数の主球通路752を備え、入口から進入した遊技球をこれら複数の主球通路752のいずれかに振り分ける構成としてもよい。
また、中始動入賞装置731の入口(図示せず)は、1つに限らず、複数設ける構成であってもよい。中始動入賞装置731の入口を複数設ける場合、これら複数の入口から進入した遊技球は、各入口に連設される各通路を通って、主球通路752に合流する。
このとき、入口位置を移動させたり、蓋の開閉などによって、1の入口または複数の入口への進入可否が変化するように構成してもよい。かかる場合、タイミングによって入口に進入できたりできなかったりすることになるので、入口に進入できなかったことで、中始動入賞装置731の周辺を流下する遊技球が増加する。よって、このような場合に、第2実施形態の中始動入賞装置731の構成、すなわち、従球通路753A,753Bの入口部754A,754Bが、当該入口部754A,754Bを左または右側から見たときに遊技盤400の前面に対して奥側にオフセットされた位置に設けられている構成は特に好ましい。
また、第2実施形態の中始動入賞装置731のように、従球通路753A,753Bの入口部754A,754Bが、当該入口部754A,754Bを左または右側から見たときに遊技盤400の前面に対して奥側にオフセットされた位置に設けられている構成においては、従球通路が主球通路から分岐する位置(すなわち、従球通路の入口部が形成される位置)は、流下方向変化部のような、遊技球の誘導方向が下向きから奥向きへと変化する通路の部分に限らず、そのように流下方向が変化する部分より下流側の、単に奥側を向く通路の部分であってもよい。
<第3実施形態>
次に、図19から図21を参照して、第3実施形態について説明する。第1実施形態に係る中始動入賞装置431においては、遊技球が入口611から進入する毎に、振分部620の振り分け先が左側主球通路652Aと右側主球通路652Bとで交互に切り替わる構成であった。つまり、第1実施形態に係る中始動入賞装置431によれば、振分部620によって左または右側の主球通路652A,652Bに振り分けられた遊技球によって第1または第2の特別図柄に係る始動入賞が発生したか否かにかかわらず、振分部620の振り分け先が左側主球通路652Aと右側主球通路652Bとで交互に切り替わる。
これに対し、第3実施形態に係る中始動入賞装置431においては、入口611から進入した遊技球が振分部620によって左側主球通路652Aに振り分けられたものの、左側従球通路653Aに進入したことで、第1特別図柄に係る始動入賞の発生機会が失われた場合には、振分部620による次回の振り分け先が、今回の振り分け先と同じ左側主球通路652Aとなるよう変更される。なお、以下の説明において、第1および第2実施形態における構成と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図19は、第3実施形態の中始動入賞装置431における、従球通路653A,653B,653Cを通る平面で切断した概略的な正面断面図である。より詳細には、図19(a)には、振分先変更レバー810が非作動状態である場合を図示し、図19(b)には振分先変更レバー810が作動した状態を図示する。
なお、図19では、振分先変更レバー810と、当該振分先変更レバー810の作動に基づき変化する部位(すなわち、後述するリンク機構820、および振分部620)とを強調して図示するとともに、中始動入賞装置431における球通路(すなわち、主球通路652A,652Bおよび従球通路653A〜653C)に関連する部分を細線で図示する。また、図19では、断面のハッチングは省略している。
振分先変更レバー810は、板状のレバー部811と、レバー部811における後方上端側から後方側に突出する軸部812とを備えている。振分先変更レバー810は、台板630に貫通形成された挿通口(図示せず)に軸部812を挿通することで、中始動入賞装置431に取り付けられる。図19(a)に示すように、振分先変更レバー810は、非作動状態において、レバー部811が軸部812を上側として垂下し、それにより、左側従球通路653Aにおける出口側を覆う。
図19(a)に示すように、入口611から中始動入賞装置431に進入した遊技球Pが、振分部620における左側の球受け部622Fに進入した場合、当該遊技球Pは、振分部620の左回り方向(図19における反時計回り)への回動によって左側主球通路652Aに振り分けられる。遊技球Pが左側主球通路652Aに振り分けられたことで、振分部620は、右側の球受け部622Gが入口611の側を向けられることになる。
左側主球通路652Aに振り分けられた遊技球Pは、左側主球通路652Aを上から下向き(矢印Q1方向)に誘導される。このとき、左側主球通路652Aを上から下向きに誘導される遊技球Pが、従球通路653A,653Cに進入することなく、流下方向変化部を経て奥向きに誘導された場合、左側中始動入賞スイッチ441Aにより検出され、それにより、第1特別図柄に係る始動入賞が発生する。
一方、左側主球通路652Aを上から下向きに誘導される遊技球Pが、左側従球通路653Aに進入した場合(すなわち、矢印Q5方向に進んだ場合)、当該遊技球Pは、左側従球通路653Aの出口にてレバー部811に当接する。レバー部811は、遊技球Pの進行に伴って左方向に押され、それにより、図19(b)に示すように、軸部812を回動軸として、軸部812とともに右回り方向(矢印R1方向)に回動する。これにより、振分先変更レバー810が作動する。
詳細は後述するが、振分先変更レバー810の軸部812と、振分部620の軸621との間には、後述するリンク機構820が設けられている。なお、本実施形態において、振分部620の軸621は、本体622に固着され、本体622の回転とともに回転するよう構成されているものとする。振分先変更レバー810が作動すること(すなわち、レバー部811が軸部812ごと回動すること)で、リンク機構820が作動し、それにより、図19(b)に示すように、左側の球受け部622Fが入口611の側を向くよう、振分部620が回動される。
よって、振分部620が遊技球Pを左側主球通路652Aに振り分けたことで、右側の球受け部622Gが入口611の側を向けられていたところ、当該遊技球Pが左側従球通路653Aに進入した場合には、リンク機構820が振分先変更レバー810の作動に基づいて作動し、それにより、左側の球受け部622Fが、再度、入口611の側に向けられる。
つまり、振分部620による今回の振り分けにおいて左側主球通路652Aに振り分けられた遊技球Pが、流下方向変化部を経て奥向きに進むことなく、左側従球通路653Aに進入した場合、振分部620は、次回に入口611から進入した遊技球を、右側主球通路652Bでなく、再度、左側従球通路653Aに振り分ける。
振分先変更レバー810はまた、レバー部811における軸部812と異なる端側に埋設された錘813を備えている。これにより、遊技球Pが左側従球通路653Aから排出されてレバー部811から離れた場合、作動状態にある振分先変更レバー810は、錘813によって生じる付勢力によって非作動状態の位置に復帰する。
図20(a)は、リンク機構820の正面図であり、図20(b)は、図20(a)における矢印C方向に見たリンク機構820の側面図である。なお、図20(a)では、リンク機構820に対して前方側に位置する、振分先変更レバー810のレバー部811および振分部620の本体622を、二点鎖線で図示している。
図20(a)に示すように、リンク機構820は、振分先変更レバー810側に配置される第1リンク部821と、振分部620側に配置される第2リンク部822と、第1リンク部821と第2リンク部822との間に配置される第3リンク部823とから構成される。
第1リンク部821は、一端側が振分先変更レバー810の軸部812に固定される細長形状の部材である。第1リンク部821の一端側には、軸部812を差込可能な孔が形成され、当該孔に軸部812を差し込むことで、第1リンク部821は軸部812に固定される。
第2リンク部822は、中心側が振分部620の軸621に固定される扇形状の部材である。扇形状の第2リンク部822における中心側には、軸621を差込可能な孔が形成され、当該孔に軸621を差し込むことで、第2リンク部822は軸621に固定される。
第3リンク部823は、棒状の部材であり、その一端側が、第1リンク部821における軸部812とは異なる端側の裏面側(すなわち、軸部812が固定される面とは反対面の側)に配置され、他端側が、扇状の第2リンク部822における円弧側の裏面側(すなわち、軸621が固定される面とは反対面の側)に配置される。
第1リンク部821における軸部812が固定される側とは異なる端側には、当該第1リンク部821がピン823Aの軸部に対して回動可能となるよう、ピン823Aを挿通可能な孔が貫通形成されている。当該孔に対し、第1リンク部821の前面側から挿通されたピン823Aを、第3リンク部823の前面側に固定することで、第1リンク部821と第3リンク部823とが相対的に回動可能に接続される。
一方、第2リンク部822における円弧側には、当該第2リンク部822に対して第3リンク部823をスライド可能にする長孔822Aが形成されている。長孔822Aの外周側(第2リンク部822における円弧に近い側)は、軸621の軸心からの距離が一定の円弧形状とされている。かかる長孔822Aに対し、第2リンク部822の前面側から挿通されたピン823Bを、第3リンク部823の前面側に固定することで、第3リンク部823が、第2リンク部822に対してスライド可能に接続される。
図21は、リンク機構820の動作を説明する図である。なお、図21において、中始動入賞装置431における振分先変更レバー810のレバー部811付近の形状を図示するとともに、レバー部811および振分部620の本体622を、二点鎖線で図示している。
図21(a)に示すように、振分部620における左側の球受け部622Fが上方(入口611の側)を向き、かつ、振分先変更レバー810が非作動状態である場合、リンク機構820は、第3リンク部823のピン823Bが、長孔822Aにおける第1リンク部821から離れる方の端側に配置された状態で静止を保つ。
図21(b)に示すように、遊技球Pが振分部620における左側の球受け部622Fに進入したことで、遊技球Pを左側主球通路652Aに振り分けるべく、振分部620(本体622)が軸621を回動軸として左回り方向(矢印L1方向)に回動した場合、第2リンク部822は、振分部620の回動に連動して、軸621を回動軸として左回り方向に回動し、それにより、長孔822Aがピン823Bに対して右方向にスライドする。
これにより、リンク機構820は、ピン823Bが、長孔822Aにおける第1リンク部821に近い方の端側に配置された状態となる。なお、長孔822Aにおける外周側の形状は、軸621の軸心からの距離が一定の円弧形状とされている。そのため、長孔822Aがピン823Bに対してスライドした場合においても、軸621の軸心からピン823Bまでの距離に変化は生じない。よって、かかる場合に、第3リンク部823および第1リンク部821が動作することはない。従って、遊技球Pを振り分けるために振分部620が回動した場合であっても、リンク機構820によって振分先変更レバー810が動作することはない。
図21(c)に示すように、左側主球通路652Aに振り分けられた遊技球Pが左側従球通路653Aに進入した場合、当該遊技球Pは、振分先変更レバー810のレバー部811を左方向に押し退け、それにより、レバー部811は、軸部812を回動軸として右回り方向(矢印R1方向)に回動する。第1リンク部821は、レバー部811の回動に連動して、軸部812を回動軸として右回り方向に回動する。
第1リンク部821が右回り方向に回動したことで、リンク機構820が作動し、振分部620(本体622)を、軸621を回動軸として右回り方向(矢印R2方向)に回動させる。第1リンク部821が、軸部812を回動軸として右回り方向(矢印R1方向)に回動したことで、第3リンク部823が第1リンク部821の方へ引かれる。
これにより、第3リンク部823のピン823Bが、長孔822Aにおける第1リンク部821に近い方の端を第1リンク部821の方へ引くので、第2リンク部822が、軸621を回動軸として右回り方向(矢印R2方向)に回動する。第2リンク部822が軸621を回動軸として右回り方向に回動したことで、振分部620(本体622)は、第2リンク部822の回動に連動して、軸621を回動軸として右回り方向(矢印R2方向)に回動する。このように、振分先変更レバー810の作動に基づいてリンク機構820が作動した結果、振分部620は、図21(c)に示すように、左側の球受け部622Fが上方(入口611の側)を向いた状態とされる。
遊技球Pが左側従球通路653Aから排出されると、遊技球Pがレバー部811に接触しなくなるので、レバー部811は、錘813によって生じる付勢力によって、軸部812を回動軸として左回り方向(矢印L2方向)に回動する。これにより、振分先変更レバー810は、非作動状態の位置に復帰する。
レバー部811が軸部812を回動軸として左回り方向に回動したことで、第1リンク部821も軸部812を回動軸として左回り方向に回動する。これにより、第3リンク部823が、第2リンク部822の側に押されるが、第3リンク部823のピン823Bは、第2リンク部822の長孔822Aに対して右方向にスライドするので、第2リンク部822は動作しない。ピン823Bが、第2リンク部822の長孔822Aに対して右方向にスライドした結果、リンク機構820は、図21(a)に示す状態に戻る。
なお、左側主球通路652Aに振り分けられた遊技球Pが、流下方向変化部を経て奥向きに進むなどで、左側従球通路653Aに進入しなかった場合、振分先変更レバー810が作動しないので、振分部620は、図21(b)に示すように、右側の球受け部622Gが上方(入口611の側)を向いた状態とされる。
この状態で、入口611から次の遊技球が進入し、それにより、振分部620(本体622)が軸621を回動軸として右回り方向(図21(b)における矢印L1方向と反対の方向)に回動した場合、第2リンク部822が、振分部620の回動に連動して、軸621を回動軸として右回り方向に回動する。しかし、かかる場合、長孔822Aがピン823Bに対して左方向にスライドするため、第3リンク部823および第1リンク部821は動作しない。これにより、リンク機構820は、図21(a)に示す状態に戻る。
つまり、第2リンク部822に長孔822Aを形成したことで、振分先変更レバー810の作動によってリンク機構820を作動できる一方で、振分部620の動作(回動)でリンク機構820が作動しないようにすることができる。
次に、以上説明したリンク機構820を備えるパチンコ機100の作用及び効果を説明する。
本実施形態のパチンコ機100においては、振分部620によって左側主球通路652Aに振り分けられた遊技球が左側従球通路653Aに進入した場合、その遊技球が左側従球通路653Aの出口に設けられた振分先変更レバー810を作動させ、それにより、振分部620に作用するリンク機構820が作動して、振分部620による次回の振り分け先が今回の振り分け先と同じ左側主球通路652Aに変更される。
本実施形態の中始動入賞装置431においては、振分部620は、遊技球の振り分けを行う毎に左右交互に回動し、それにより、遊技球の振り分け先が、左側主球通路652Aと右側主球通路652Bとで交互に切り替えられる。よって、振分部620により振り分けられた遊技球が全て、左側中始動入賞スイッチ441Aまたは右側中始動入賞スイッチ441Bにより検出された場合には、第1特別図柄の始動入賞と第2特別図柄の始動入賞とが交互に発生することになる。
しかしながら、本実施形態の中始動入賞装置431においては、主球通路652A,652Bには、それらの主球通路652A,652Bから分岐する従球通路653A〜653Cが、中始動入賞スイッチ441A,441Bより上流側に設けられているので、振分部620により振り分けられた遊技球が全て、左側中始動入賞スイッチ441Aまたは右側中始動入賞スイッチ441Bにより検出されるわけではない。そのため、振分部620によって振り分けられた遊技球により発生する始動入賞が、第1特別図柄または第2特別図柄のうち、一方の特別図柄の始動入賞に偏る虞がある。
特に、本実施形態のパチンコ機100においては、各特別図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)について、各特別図柄に係る単位遊技の権利を、特別図柄毎にそれぞれ、所定の最大回数を上限として保留可能に構成されている。そのため、特別図柄に係る始動入賞が、第1特別図柄または第2特別図柄のうち、一方の特別図柄のものに偏って発生した場合には、当該一方の特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数に達し易くなる。これにより、当該一方の特別図柄に係る始動入賞が発生したとしても、当該一方の特別図柄に係る単位遊技を保留できず無駄にした場合、遊技者はそれによって遊技の興趣を失う虞がある。
また、第1特別図柄の始動入賞と第2特別図柄の始動入賞とで、遊技者に付与される有利度(例えば、特別図柄抽選における大当り確率や賞球数など)が異なるよう設計されている場合、偏って発生した始動入賞が比較的有利度の低いものであれば、遊技者は遊技に不満を覚える可能性がある。また、発生した始動入賞が特定の特別図柄のものに偏っていることで、遊技者が遊技に単調さを感じる可能性もある。
これに対し、上述したように、本実施形態のパチンコ機100においては、入口611から進入した遊技球が振分部620によって左側主球通路652Aに振り分けられたものの、左側従球通路653Aに進入したことで、第1特別図柄に係る始動入賞の発生機会が失われた場合には、振分部620による次回の振り分け先が、今回の振り分け先と同じ左側主球通路652Aとなるよう変更されるので、第1特別図柄に係る始動入賞の発生機会を再度得ることができる。これにより、振分部620により振り分けられた遊技球に基づき発生する特別図柄の始動入賞が、一方の特別図柄のものに偏ることを抑制することができる。
また、遊技球が左側従球通路653Aに進入したことに基づく振分部620による次回の振り分け先の変更は、遊技球の当接により作動する振分先変更レバー810と、振分先変更レバー810の作動に基づき作動するリンク機構820とにより機械的に行うので、主制御基板920などにかかる制御負荷を抑制しつつ、振分部620により振り分けられた遊技球に基づき発生する特別図柄の始動入賞が、一方の特別図柄のものに偏ることを抑制することができる。
<第4実施形態>
次に、図22および図23を参照して、第4実施形態について説明する。第3実施形態に係るパチンコ機100においては、入口611から中始動入賞装置431に進入した遊技球が、振分部620によって左側主球通路652Aに振り分けられたものの、左側従球通路653Aに進入したことで、第1特別図柄に係る始動入賞の発生機会が失われた場合には、振分部620による次回の振り分け先が、今回の振り分け先と同じ左側主球通路652Aとなるよう変更される構成であった。
これに対し、第4実施形態に係るパチンコ機100においては、遊技球が右始動入賞装置432に進入したことに基づいて、第2の特別図柄に係る始動入賞が発生した場合に、振分部620による次回の振り分け先が、今回の振り分け先と同じ左側主球通路652Aとなるよう変更される。なお、以下の説明において、第1から第3実施形態における構成と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図22は、遊技領域の概略的な正面図である。図22では、遊技領域に設けられる主な構造物について、その概略的な外形を図示している。上述したように、遊技領域は、概ね、外レール402及び内レール403とで外周部分が区画されている。遊技領域の中央部には中央構造体420が設けられているため、遊技者は、発射ハンドル252の回転操作量を変えることで、左打ち遊技手法と右打ち遊技手法とを選択的に行うことができる。
つまり、遊技者は、発射ハンドル252を、遊技球が中央構造体420の右側を主として流下しないような回転操作量で操作することで、左打ち遊技手法を行うことができる。一方、遊技者は、発射ハンドル252を、遊技球が中央構造体420の右側を主に流下するような回転操作量、すなわち、左打ち遊技手法で遊技を行う場合より強めの回転操作量で操作すること、右打ち遊技手法を行うことができる。
遊技領域は、左打ち遊技手法でのみ遊技球が流下する左側遊技領域と、右打ち遊技手法でのみ遊技球が流下する右側遊技領域と、左打ち遊技手法でも右打ち遊技手法でも流下可能な下側遊技領域とに区分することができる。
中始動入賞装置431および一般入賞装置439Aは、左側遊技領域に設けられている。つまり、遊技者は、左打ち遊技手法を行うことで、中始動入賞装置431および一般入賞装置439Aに遊技球を入球させることができる。
一方、役連作動装置435、始動装置436、右始動入賞装置432、下大入賞装置433、上大入賞装置434、および一般入賞装置439Bは、右側遊技領域に設けられている。つまり、遊技者は、右打ち遊技手法を行うことで、役連作動装置435、始動装置436、右始動入賞装置432、下大入賞装置433、上大入賞装置434、および一般入賞装置439Bに遊技球を入球させることができる。
本実施形態において、右始動入賞装置432に入球した遊技球を回収排出通路(図示せず)に案内する球通路830には、右始動入賞スイッチ442の下流側に、当該球通路830を流下する遊技球が当接して、当該遊技球の自重で下方に作動する振分先変更レバー850が設けられている。振分先変更レバー850は、リンク機構840を介して振分部620に接続されている。
詳細は後述するが、球通路830を流下する遊技球によって振分先変更レバー850が作動した場合、リンク機構840が作動して、入口611に進入した遊技球が左側主球通路652Aに振り分けられるよう、すなわち、左側の球受け部622Fが入口611の側を向くよう、振分部620が回動される。
図23は、リンク機構840の構成および動作を説明する図である。なお、図23において始動入賞装置432に入球した遊技球が通過する球通路830の形状を図示するとともに、リンク機構840より前方に位置するレバー部851および本体622を、二点鎖線で図示している。
振分先変更レバー850は、板状のレバー部851と、レバー部851における後方左端側から後方側に突出する軸部852とを備えている。振分先変更レバー850は、非作動状態において、図23(a)に示すように、レバー部851の面が、球通路830における左上から右下方向へ流れる通路部分の下面の一部となるよう、球通路830内に配置される。
右始動入賞装置432に遊技球Pが入球した場合、当該遊技球Pは、球通路830を流下し、その流下途中においてレバー部851の上を通過する。レバー部851の上を遊技球Pが通過した場合、レバー部851は、遊技球Pの重さによって下方向(重力方向)に押され、それにより、図23(b)に示すように、軸部852を回動軸として、軸部852とともに右回り方向(矢印R3方向)に回動する。これにより、振分先変更レバー850が作動する。
なお、振分先変更レバー850は、遊技球Pによって右回り方向に回動したレバー部851を非作動状態の位置に復帰させるための付勢力を発生させるばね機構(図示せず)を備えている。これにより、遊技球Pがレバー部851の上を通り過ぎた場合、作動状態にある振分先変更レバー810は、ばね機構によって生じる付勢力によって非作動状態の位置(すなわち、図23(a)に示す状態)に復帰する。
図23(a)に示すように、リンク機構840は、振分先変更レバー850側に配置される第1リンク部841と、振分部620側に配置される第2リンク部842と、第1リンク部841と第2リンク部842との間に配置される第3リンク部843とから構成される。
第1リンク部841は、一端側が振分先変更レバー850の軸部852に固定される細長形状の部材である。第1リンク部841の一端側には、軸部852を差込可能な孔が形成され、当該孔に軸部852を差し込むことで、第1リンク部841は軸部852に固定される。
第2リンク部842は、中心側が振分部620の軸621に固定される扇形状の部材である。扇形状の第2リンク部842における中心側には、軸621を差込可能な孔が形成され、当該孔に軸621を差し込むことで、第2リンク部842は軸621に固定される。
第3リンク部843は、棒状の部材であり、その一端側が、第1リンク部841における軸部852とは異なる端側の裏面側(すなわち、軸部852が固定される面とは反対面の側)に配置され、他端側が、扇状の第2リンク部842における円弧側の裏面側(すなわち、軸621が固定される面とは反対面の側)に配置される。
第1リンク部841における軸部852が固定される側とは異なる端側には、当該第1リンク部841がピン843Aの軸部に対して回動可能となるよう、ピン843Aを挿通可能な孔が貫通形成されている。当該孔に対し、第1リンク部841の前面側から挿通されたピン843Aを、第3リンク部843の前面側に固定することで、第1リンク部841と第3リンク部843とが相対的に回動可能に接続される。
一方、第2リンク部842における円弧側には、当該第2リンク部842に対して第3リンク部843をスライド可能にする長孔842Aが形成されている。長孔842Aの外周側(第2リンク部842における円弧に近い側)は、軸621の軸心からの距離が一定の円弧形状とされている。かかる長孔842Aに対し、第2リンク部842の前面側から挿通されたピン843Bを、第3リンク部843の前面側に固定することで、第3リンク部843が、第2リンク部842に対してスライド可能に接続される。
図23(a)に示すように、振分部620における右側の球受け部622Gが上方(入口611の側)を向き、かつ、振分先変更レバー850が非作動状態である場合、リンク機構840は、第3リンク部843のピン843Bが、長孔842Aにおける第1リンク部841から離れる方の端側に配置された状態で静止を保つ。
図23(b)に示すように、右始動入賞装置432に入球した遊技球Pがレバー部851の上を通過した場合、レバー部851は、遊技球Pの重さによって下方向(重力方向)に押され、それにより、軸部852を回動軸として、軸部852とともに右回り方向(矢印R3方向)に回動する。第1リンク部841は、レバー部851の回動に連動して、軸部852を回動軸として右回り方向に回動する。
第1リンク部841が右回り方向に回動したことで、リンク機構840が作動し、振分部620(本体622)を、軸621を回動軸として右回り方向(矢印R4方向)に回動させる。具体的に、第1リンク部841が、軸部852を回動軸として右回り方向(矢印R3方向)に回動したことで、第3リンク部823が第2リンク部822の方へ押される。
これにより、第3リンク部843のピン843Bが、長孔842Aにおける第1リンク部841から離れる方の端を第2リンク部842の側へ押すので、第2リンク部842が、軸621を回動軸として右回り方向(矢印R4方向)に回動する。第2リンク部842が軸621を回動軸として右回り方向に回動したことで、振分部620(本体622)は、第2リンク部842の回動に連動して、軸621を回動軸として右回り方向(矢印R4方向)に回動する。このように、振分先変更レバー850の作動に基づいてリンク機構840が作動した結果、振分部620は、図23(c)に示すように、左側の球受け部622Fが上方(入口611の側)を向いた状態とされる。
遊技球Pがレバー部851の上を通り過ぎると、レバー部851は、図示されないばね機構によって生じる付勢力によって、軸部852を回動軸として左回り方向に回動する。これにより、振分先変更レバー850は、非作動状態の位置に復帰する。
レバー部851が軸部852を回動軸として左回り方向に回動したことで、第1リンク部841も軸部852を回動軸として左回り方向に回動する。これにより、第3リンク部843が、第1リンク部841の側に引っ張られるが、第3リンク部843のピン843Bは、第2リンク部842の長孔842Aに対して右方向にスライドするので、第2リンク部842は動作しない。つまり、振分先変更レバー850が非作動状態の位置に復帰しても、振分部620は、左側の球受け部622Fが上方(入口611の側)を向いたまま変化しない。
左側の球受け部622Fが上方を向いた状態で、入口611から次の遊技球が進入し、それにより、振分部620(本体622)が軸621を回動軸として左回り方向(図23(b)における矢印R4方向と反対の方向)に回動した場合、第2リンク部842が、振分部620の回動に連動して、軸621を回動軸として左回り方向に回動する。しかし、かかる場合、長孔842Aがピン843Bに対して右方向にスライドするため、第3リンク部843および第1リンク部841は動作しない。
つまり、第2リンク部842に長孔842Aを形成したことで、振分先変更レバー850の作動によってリンク機構840を作動できる一方で、振分部620の動作(回動)でリンク機構840が作動しないようにすることができる。
次に、以上説明したリンク機構840を備えるパチンコ機100の作用及び効果を説明する。
本実施形態のパチンコ機100においては、遊技球が第2特別図柄に係る右始動入賞装置432に入球した場合、その遊技球が球通路830の通路内に設けられた振分先変更レバー850を作動させ、それにより、振分部620に作用するリンク機構840が作動して、振分部620による次回の振り分け先が、第1特別図柄の始動入賞を発生可能な主球通路、すなわち、左側主球通路652Aに変更される。
本実施形態の中始動入賞装置431においては、振分部620は、遊技球の振り分けを行う毎に左右交互に回動し、それにより、遊技球の振り分け先が、左側主球通路652Aと右側主球通路652Bとで交互に切り替えられる。よって、振分部620により振り分けられた遊技球が全て、左側中始動入賞スイッチ441Aまたは右側中始動入賞スイッチ441Bにより検出された場合には、第1特別図柄の始動入賞と第2特別図柄の始動入賞とが交互に発生することになる。
しかしながら、本実施形態のパチンコ機100においては、中始動入賞装置431とは別に、第2特別図柄に係る右始動入賞装置432が設けられているので、第2特別図柄の始動入賞に偏って始動入賞が発生する虞がある。
特に、右始動入賞装置432は、上述したように、時短遊技状態や確変遊技状態のような時短状態において、右進入規制機構452の進入許容状態の滞在時間が通常遊技状態に比べて長く設定されており、通常遊技状態のときに比べて右始動入賞装置432への進入確率が高められている。そのため、遊技者は、時短遊技状態および確変遊技状態において、遊技球を右始動入賞装置432に入球させるべく、右打ち遊技手法による遊技を行う。よって、かかる場合に、発生する始動入賞が第2特別図柄の始動入賞に偏りやすい。
また、本実施形態のパチンコ機100においては、各特別図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)について、各特別図柄に係る単位遊技の権利を、特別図柄毎にそれぞれ、所定の最大回数を上限として保留可能に構成されている。そのため、特別図柄に係る始動入賞が、第2特別図柄の始動入賞に偏って発生した場合には、第2特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数に達し易くなる。これにより、第2特別図柄に係る始動入賞が発生したとしても、第2特別図柄に係る単位遊技を保留できず無駄にした場合、遊技者はそれによって遊技の興趣を失う虞がある。
また、第1特別図柄の始動入賞と第2特別図柄の始動入賞とで、遊技者に付与される有利度(例えば、特別図柄抽選における大当り確率や賞球数など)が異なるよう設計されている場合、偏って発生した始動入賞が比較的有利度の低いものであれば、遊技者は遊技に不満を覚える可能性がある。また、発生した始動入賞が特定の特別図柄のものに偏っていることで、遊技者が遊技に単調さを感じる可能性もある。
これに対し、上述したように、本実施形態のパチンコ機100においては、遊技球が第2特別図柄に係る右始動入賞装置432に入球した場合には、振分部620による次回の振り分け先が、左側主球通路652A、すなわち、第1特別図柄の始動入賞を発生可能な主球通路に変更される。これにより、振分部620により振り分けられた遊技球に基づき発生する特別図柄の始動入賞が、一方の特別図柄(すなわち、第2特別図柄)のものに偏ることを抑制することができる。 また、遊技球が右始動入賞装置432に入球したことに基づく振分部620による次回の振り分け先の変更は、遊技球の当接により作動する振分先変更レバー850と、振分先変更レバー850の作動に基づき作動するリンク機構840とにより機械的に行うので、主制御基板920などにかかる制御負荷を抑制しつつ、振分部620により振り分けられた遊技球に基づき発生する特別図柄の始動入賞が、一方の特別図柄のものに偏ることを抑制することができる。
また、本実施形態のパチンコ機100においては、右側遊技領域を狙って遊技球を発射することで、遊技球を、第2特別図柄の始動入賞のみを発生可能な始動入賞装置(すなわち、右始動入賞装置432)に進入させることができる。よって、主球通路652A,652Bから分岐する従球通路653A〜653Cを設けたことで、必ずしも、第1特別図柄の始動入賞と第2特別図柄の始動入賞とが交互に発生しない始動入賞装置(すなわち、中始動入賞装置431)の構成において、右打ち遊技手法を行うことで、第2特別図柄の始動入賞を発生させつつ、振分先変更レバー850およびリンク機構840の作動によって、振分部620による次回の振り分け先を、第2特別図柄の始動入賞でなく第1特別図柄の始動入賞を発生可能な左側主球通路652Aに変更するので、第1特別図柄の始動入賞と第2特別図柄の始動入賞とをバランスよく発生させることが可能となる。この点においても、振分部620により振り分けられた遊技球に基づき発生する特別図柄の始動入賞が、一方の特別図柄のものに偏ることを抑制することができる。
上述した第4実施形態においては、右始動入賞装置432に進入した遊技球が、振分先変更レバー850を作動させる構成であったが、右始動入賞装置432に進入する予定の遊技球によって振分先変更レバー850を作動させる構成としてもよい。
なお、本発明は、上記各実施形態に限られることはなく、例えば、以下に記載するように変形して実施しても良い。この場合に、以下に記載する各構成を上記各実施形態に対して適用しても良く、以下に記載する複数の構成を組み合わせて上記各実施形態に対して適用しても良い。
(1)中始動入賞装置431
上記各実施形態においては、中始動入賞装置431は、中始動入賞スイッチ441A,441Bを内包する構成としたが、必ずしも、中始動入賞スイッチ441A,441Bが中始動入賞装置431の一部である必要はない。中始動入賞スイッチ441A,441Bを中始動入賞装置431と別体とし、パチンコ機100の組み立て時において、中始動入賞装置431の裏側に中始動入賞スイッチ441A,441Bを取り付けてユニット化される構成であってもよい。
上記各実施形態においては、中始動入賞装置431は、主球通路652A,652Bが、遊技球を、上から下向きに誘導した後、奥向きへ誘導する球通路である構成としたが、主球通路652A,652Bの誘導経路は必ずしも上記経路である必要はない。
例えば、主球通路652A,652Bの誘導経路を、単に、上から下向きに遊技球を誘導する経路に構成してもよい。かかる場合も、上記各実施形態と同様、主球通路652A,652Bを流下する遊技球の、従球通路への進入を抑制できる。よって、かかる変形例において、中始動入賞装置431の上下方向のサイズは、上記各実施形態にて例示した中始動入賞装置431に比べて大きくなるが、上記各実施形態にて例示した中始動入賞装置431と同様、好適な興趣を付与できる。
また、例えば、主球通路652A,652Bの誘導経路を、上から下向きに遊技球を誘導した後、当該遊技球を左または右向きへ誘導する経路に構成してもよい。かかる変形例において、主球通路652A,652Bの方向変化部は、遊技球の誘導方向が下向きから左または右向きへと変化する部分となるので、当該方向変化部に、上側から下向きに流下する遊技球を右または左向きに誘導する誘導部を設けるとともに、主球通路652A,652Bから前または後ろ方向に分岐する従球通路を設けることで、上記第1実施形態において例示した中始動入賞装置431の誘導部612と同様の効果を奏することができる。
上記各実施形態においては、中始動入賞装置431は、遊技盤400の前面側から取り付けられることで、台板630より前方部分が露出した状態で遊技盤400に取り付けられる構成とした。中始動入賞装置431は、遊技盤400の裏面側から取り付けられるものであってもよい。また、中始動入賞装置431は、少なくとも、入口611が遊技盤400の前面に露出する構成であればよい。
上記各実施形態においては、中始動入賞装置431は、振分部620が、左右の主球通路652A,652のいずれかに遊技球を振り分ける構成としたが、遊技球を主球通路に振り分ける構成において、振り分け先となる主球通路は、複数であれば、3以上であってもよい。また、中始動入賞装置431は、振分部620によって始動入賞となる複数の主球通路652A,652に遊技球を振り分ける構成としたが、始動入賞となる主球通路を1つのみとし、他の主球通路を、遊技球が遊技領域に排出される排出球通路として構成してもよく、振り分け先となる主球通路が1つであってもよい。また、振分部620によって振り分けられて主球通路を進行する遊技球の一部が必ずしも始動入賞を発生させる必要はなく、遊技者に特典を付与する有利領域へ通じる他の通路としてもよい。例えば、抽選条件を成立させることなく一定数の遊技球が賞球として払い出される入賞口に通じる球通路としてもよいし、遊技者に有利な遊技状態が付与される特定通路としてもよい。
上記各実施形態においては、左右に揺動する振分部620を用いて、遊技球を左右の主球通路652A,652に振り分ける構成としたが、遊技球を振り分ける構成としては、振分部620のようなものに限らず、ステージやクルーンなどであってもよい。
(2)誘導部612
上記各実施形態においては、誘導部612は、傾斜角度が次第に小さくなる曲線形状の傾斜面612Aを有する構成としたが、必ずしも、傾斜面612Aが曲線形状である必要はない。例えば、誘導部612が、下流側に向かう従って段階的に誘導角度が小さくなる、傾斜の異なる直線からなる折れ線からなる傾斜面612Aを有する構成としてもよい。
上記各実施形態においては、誘導部612を、主球通路652A,652Bの通路幅より細い幅で延びる凸部とする構成としたが、誘導部612が、主球通路652A,652Bの通路幅全体に形成される構成としてもよい。つまり、流下方向変化部を、傾斜角度が次第に小さくなる曲線形状で傾斜する壁面で構成し、当該壁面を誘導部612とする構成であってもよい。
上記各実施形態においては、誘導部612を、主球通路652A,652Bの通路幅より細い幅で延びる1本の凸部とする構成としたが、平行に配列された複数本の凸部を誘導部612とする構成であってもよい。
(3)振分部620
上記各実施形態においては、振分部620は、遊技球の自重を利用する機械的構成によって遊技球の振り分けを行う構成としたが、振分部620による遊技球の振り分けは、モータなどの動力を用いて制御的に軸621回動させることで行う構成としてもよい。
(4)主球通路652A,652B及び従球通路653A〜653C
上記各実施形態においては、主球通路652A,652B及び従球通路653A〜653Cを樹脂により構成したが、必ずしも樹脂により各通路を構成する必要はなく、少なくとも一部に釘等の他の通路構成部材を含む構成としてもよい。
上記各実施形態において、従球通路653A〜653C側から主球通路652A,652Bへ遊技球が進行しないようにする進入抑止手段を設けてもよい。例えば、従球通路653A〜653Cの出口部分の上側に多数の釘を並べて配置し、従球通路653A〜653Cの下流側から上流側へ遊技球が進行し得ないようにしてもよい。
上記各実施形態においては、従球通路653A〜653Cは、主球通路652A,652Bに対して左右両側に設けられる構成について説明したが、従球通路は、主球通路652A,652Bに対して左右方向における一方側にのみ設けられ、他方側へは遊技球が進行し得ないようにしてもよい。
例えば、中始動入賞装置431の左右両側に向かって遊技球を出力可能な従球通路653A,653Bを省略する構成として、従球通路653A,653Bの入口部654A1,654B1を閉塞する壁部を設け、主球通路652A,652Bから中央従球通路653Cからのみ、遊技球が出力されるようにしてもよい。中央従球通路653Cは、その上方に振分部620が設けられて通路の上方側が閉塞され、中央従球通路653Cの入口部654A2,654B2が開口する側の上下に連続する通路部分に遊技領域を流下する遊技球が進入し得ず、左側中始動入賞口431Aaや右側中始動入賞口431Baへの遊技球の入賞確率を設定し易くすることができる。一方、中始動入賞装置431の左右両側に向かって遊技球を出力可能な従球通路653A,653Bのみを有し、中央従球通路653Cを省略する構成としてもよい。
上記実施形態においては、従球通路653A〜653Cは、主球通路652A,652Bに対して左右両側に設けられる構成について説明したが、各主球通路に対して左右両側に位置する従球通路へは、略同一の確率で遊技球が出力されるようにしてもよいし、左右方向における一方側の方が他方側より高確率で遊技球が出力されるようにしてもよい。
ここで、中央従球通路653Cの直下には排出口401Aが設けられる一方、左右の従球通路653A,653Bから出力された遊技球は、一方側に出力された後に下方に進行し、更に逆方向に進行して排出口401Aへ誘導されることとなって出力された遊技球を遊技者が視認する経路が長く、遊技者を落胆させたり不満を抱かせ易い。このため、中央従球通路653Cの側の方が、左右の従球通路653A,653Bより高確率で遊技球が出力されるようにしてもよく、これにより、中始動入賞装置431に進入した遊技球が再び遊技領域に出力され、その遊技球を遊技者が視認することによる落胆等を低減することができる。
一方、左右の従球通路653A,653Bの方が、中央従球通路653Cより高確率で遊技球が出力されるようにしてもよく、この構成に代えて、又は、この構成に加えて、従球通路653A,653Bから出力された遊技球が進入可能な位置に遊技者に特典を付与する有利領域(例えば、一般入賞装置439A,439Bの入口)が設けられる構成としてもよい。これら構成を適用することにより、中始動入賞装置431から出力された遊技球に対して遊技者が特典の付与に対しての期待感を抱き易くすることができ、中始動入賞装置431に進入した遊技球が再び遊技領域に出力されることによる落胆等を低減することができる。
(5)リンク機構820,840を用いた、振分部620の振り分け先の変更に係る変形例
上記第3および第4実施形態では、振分先変更レバー810,850の作動に基づいてリンク機構820,840が作動し、それにより、振分部620が回動される構成とした。つまり、振分先変更レバー810,850が作動したことに基づく振分部620の回動を、リンク機構820,840によって機械的に行う構成とした。これに代えて、振分先変更レバー810,850の作動を電気的に検出する検出部を設け、振分先変更レバー810,850の作動が当該検出部によって検出された場合に、振分部620を、モータなどの駆動源を用いて電気的に回動させる構成としてもよい。
上記第3実施形態では、左側従球通路653Bの出口に振分先変更レバー810を設ける構成としたが、左側従球通路653Bの通路内に振分先変更レバーを設ける構成としてもよい。
上記第3実施形態では、左側主球通路652Aから分岐する従球通路のうち、左側従球通路653Bにのみ振分先変更レバー810を設ける構成としたが、左側主球通路652Aから中央従球通路653Cに進入する遊技球が当接可能な位置に振分先変更レバーを設け、当該振分先変更レバーが作動した場合にも、リンク機構が作動して、振分部620による次回の振り分け先が左側主球通路652Aとなるよう、振分部620を回動させる構成としてもよい。
なお、上記第3実施形態の中始動入賞装置431のように、左側主球通路652Aから分岐する従球通路が複数ある場合に、それら複数の従球通路から排出される確率が異なるように設計されている場合、排出され易くされている従球通路に振分先変更レバーを設ける構成としてもよい。
また、右側主球通路652Bから分岐する従球通路についても、振分先変更レバー、および、当該振分先変更レバーの作動によって作動するリンク機構を設け、当該リンク機構の作動によって、振分部620による次回の振り分け先が右側主球通路652Bとなるよう、振分部620を回動させる構成としてもよい。なお、左側主球通路652Aから分岐する従球通路には振分先変更レバーを設けず、右側主球通路652Bから分岐する従球通路にのみ振分先変更レバーを設ける構成としてもよい。
上記第3実施形態の中始動入賞装置431では、左右の主球通路652A,652Bを通過した遊技球は、中始動入賞スイッチ441Aまたは中始動入賞スイッチ441Bにより検出される構成としたが、1の主球通路が、従球通路との分岐よりさらに下流にて複数に分岐し、それら複数の分岐に対して複数の始動入賞スイッチが設けられる構成としてもよい。
かかる場合、これら複数の始動入賞スイッチは、第1特別図柄抽選に係る始動入賞スイッチまたは第2特別図柄抽選に係る始動入賞スイッチのみで構成されていてもよいし、第1特別図柄抽選に係る始動入賞スイッチと第2特別図柄抽選に係る始動入賞スイッチとが混在していてもよい。このように、1の主球通路に対し、複数の始動入賞スイッチが設けられる構成である場合、振分先変更レバーの作動によって変更される次回の振り分け先は、今回の振り分け先であった主球通路に設けられている複数の始動入賞スイッチが設けられている主球通路となるようにすることが好ましい。
上記第4実施形態では、右側中始動入賞装置431Bとは別に設けられた、第2特別図柄に係る始動入賞装置(右始動入賞装置432)が、右側遊技領域に設けられている場合を例示したが、第2特別図柄に係る始動入賞装置は、例えば、中始動入賞装置431の下方に設けられている、すなわち、左側遊技領域に設けられている構成としてもよい。
あるいは、第2特別図柄に係る始動入賞装置が下側遊技領域に設けられている構成であってもよい。第2特別図柄に係る始動入賞装置が下側遊技領域に設けられる場合、右側遊技領域から下側遊技領域への遊技球の通過経路(例えば、ワープ経路)に振分先変更レバーを設ける構成としてもよい。
上記第4実施形態では、右側遊技領域に設けられた右始動入賞装置432に遊技球が入球することで、振分先変更レバー850が作動する構成としたが、右始動入賞装置432のような第2特別図柄に係る始動入賞装置とは無関係に、右側遊技領域を流下する遊技球によって作動する振分先変更レバーを設ける構成としてもよい。例えば、右側遊技領域に進入した遊技球が必ず通過する役連作動装置435に進入した遊技球によって作動する振分先変更レバーを設ける構成としてもよい。かかる変形例によれば、振分先変更レバーが設けられている遊技領域を狙って遊技球を発射することで、振分部620による次回の振り分け先を変更することが可能となる。
上記第4実施形態では、右側遊技領域に設けられた右始動入賞装置432に遊技球が入球することで、振分先変更レバー850が作動する構成としたが、右始動入賞装置432に入球する可能性が高い経路上に振分先変更レバーを設ける構成としてもよい。
上記第3および第4実施形態では、リンク機構820,840の第2リンク部822,842に長孔822A,842Aを形成することで、第3リンク部823,843を、第2リンク部822,842に対してスライド可能とし、それによって、振分先変更レバー810,850の作動によってリンク機構820,840を作動できる一方で、振分部620の動作(回動)でリンク機構820,840が作動しないよう構成した。
これに代えて、第3リンク部823,843が、第2リンク部822,842に対してスライドすることなく回動する構成としてもよい。つまり、第3リンク部823,843と第2リンク部822,842との接続を、第3リンク部823,843と第1リンク部821,841との接続と同様、第2リンク部822,842に形成されたピン823B,843Bを挿通可能な孔に対し、第2リンク部822,842の前面側から挿通されたピン823B,843Bを、第3リンク部823,843の前面側に固定することで、第3リンク部823,843と第2リンク部822,842とが相対的に回動可能となるよう接続し、それにより、振分先変更レバー810,850が作動した場合だけでなく、振分部620が動作した場合にも、リンク機構820,840が作動する構成としてもよい。
上記第4実施形態では、遊技球が右始動入賞装置432に入球したことに基づいてリンク機構840によって変更される振り分け先が、単位遊技の権利を保留できる特別図柄である、第1特別図柄の始動入賞を発生可能な左側主球通路652Aとしたが、遊技球が右始動入賞装置432に入球したことに基づいてリンク機構840によって変更される振り分け先は、必ずしも、保留の対象となる特別図柄を発生可能な球通路(主球通路)である必要はない。例えば、リンク機構840によって変更された振分部620の振り分け先が、一般入賞スイッチ449Aのような、保留対象とならない入賞の発生に係るスイッチへ遊技球を誘導可能な球通路であってもよい。このように、リンク機構840によって変更された振分部620の振り分け先が、保留対象とならない入賞を発生可能な球通路である場合においても、第2特別図柄の始動入賞の発生に偏る可能性が抑制され、それにより、振分部620により右側主球通路652Bに振り分けられた遊技球によって第2特別図柄の始動入賞が発生したにもかかわらず、当該第2特別図柄に係る単位遊技の権利が保留されないという事態を抑制することができる。つまり、かかる変形例のパチンコ機100においても、上述した第4実施形態と同様の効果を奏する。
(6)本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当りすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当り状態が発生するまで、大当り期待値が高められるようなパチンコ機として実施しても良い。また、大当り図柄が表示された後に、所定の領域に球が入賞することを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。また、球が循環する封入式のパチンコ機に実施しても良い。さらに、パチンコ機以外にも、アレンジボール型パチンコ、雀球等の各種遊技機として実施するようにしても良い。また、パチンコ機に限定されることはなく、スロットマシンに適用しても良く、パチンコ機とスロットマシンとを融合した形式のパロット等の遊技機に適用しても良い。
<上記各実施形態から抽出される発明>
以下、上記した各実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて課題及び効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
<特徴10>
遊技球が通過したことで所定の特典を付与する有利領域(左側中始動入賞装置431A,右側中始動入賞装置431B)を備えた遊技機(パチンコ機100)であって、
前記有利領域の上流側に設けられて、遊技球を複数の振分方向のいずれかに振り分ける振分手段(振分部620)と、
該振分手段と前記有利領域との間に形成され、前記振分手段により振り分けられた遊技球を、遊技機正面視における上側から下向きに誘導した後、遊技機正面視における奥向きに誘導することで前記有利領域に誘導可能な主球通路(主球通路652A,652B,752)と、
該主球通路における遊技球の誘導方向が前記下向きから前記奥向きへと変化する通路部分にて前記主球通路から遊技機正面視における左または右側に分岐し、前記主球通路に進入した遊技球を前記有利領域とは異なる領域に誘導する従球通路(従球通路653A,653B,653C,753A,753B)と、
前記主球通路において前記奥向きに誘導される遊技球を検出可能な位置に設けられ、前記主球通路により誘導された遊技球が前記有利領域に進入したことを検出する検出手段(中始動入賞スイッチ441A,441B,741)と、
を備え、
前記主球通路は、該主球通路における遊技球の誘導方向が前記下向きから前記奥向きへと変化する通路部分に設けられて、水平方向に対する遊技球の誘導角度が下流側に向かうに従って小さくなるよう変化する傾斜(傾斜面612A)を有する誘導部(誘導部612)を備えていることを特徴とする遊技機。
遊技機の代表例としてパチンコ機がある。従来の典型的なパチンコ機において、遊技領域に設けられた始動口に入球した場合に、その入球に応じて抽選を行い、当該抽選において大当りに当選した場合に、特別遊技状態となって多数の遊技球が入賞口へ入球可能となる構成が知られている。また、かかるパチンコ機は表示装置を備えており、当該表示装置では、上記抽選が行われたことに基づいて図柄の変動表示が開始され、当該変動表示の最終的な停止表示として上記抽選結果に応じた停止結果が表示される。
また、従来のパチンコ機には、遊技球が、表示装置にて図柄の変動表示が行われている最中に始動口に入球した場合、大当りの抽選に用いる当り情報が予め定められた所定数(例えば、4個)を上限として保留記憶されるよう構成されたものがある。このとき、保留記憶された当り情報は、図柄の変動表示が終了した後に、大当りか否かの抽選に供され、それに伴って次回の図柄の変動表示が開始される。
近年では、複数の始動口(例えば、2つの始動口)を設け、始動口毎に、当り情報を各始動口に対して許容される上限数まで保留記憶可能にした遊技機が知られている。そのような遊技機において、複数の始動口の各々に接続された複数の分岐通路と、所定の入口から進入した遊技球をこれら分岐通路のいずれかに振り分ける振分手段とを備えた入賞装置を用いることが知られている(例えば、特開2016−22147号公報参照)。
しかしながら、上記従来の遊技機における始動口のように、振分手段によって振り分けられた遊技球が通過することで所定の特典を付与する有利領域を備えた遊技機について未だ改良の余地があった。例えば、近年では、興趣向上のために表示装置などが大型化される傾向にあるため、遊技領域を十分に確保できるよう、入賞装置など、遊技領域に配設される各種構造物の小型化が望まれている。従来、遊技球を複数の振分方向のいずれかに振り分ける振分手段を含む入賞装置は、例えば、特開2016−22147号公報に開示される作動入球ユニット(入賞装置)のように、遊技機正面視における上下方向に延びる分岐通路の下流側に検知センサ(検出手段)が配設されているために、上下方向のサイズ縮小には限界があった。また、小型化された入賞装置が、好適な興趣を提供できることが望まれている。
これに対し、特徴10に記載の遊技機であれば、遊技球が有利領域に進入したことを検出する検出手段が、振分手段と有利領域との間に形成された主球通路において遊技機正面視における奥向きに誘導される遊技球を検出可能な位置に設けられているので、遊技機正面視の上下方向に延びる通路の下方に検出手段を設ける場合に比べ、主球通路、従球通路、振分手段、有利領域および検出手段を含む入賞装置として機能するユニットの上下方向のサイズを小さくすることができる。当該ユニットのサイズが小さくなった分、遊技領域を大きく確保することが可能となる。
また、特徴10に記載の遊技機であれば、主球通路から分岐して、主球通路に進入した遊技球を有利領域とは異なる領域に誘導する従球通路を備えているので、振分手段により振り分けられて主球通路に進入した遊技球が必ずしも有利領域を通過しないことになり、遊技に意外性を付与することができ、遊技の単調化を抑制できる。
特に、主球通路は、遊技球の誘導方向が遊技機正面視における下向きから奥向きへと変化する通路部分に、水平方向に対する遊技球の誘導角度が下流側に向かうに従って小さくなるよう変化する誘導部を備えている。そのため、主球通路に進入した遊技球は、前記通路部分において、下向きの流下方向が、誘導部を流下するにつれて次第に奥向きへと変化する。よって、主球通路を流下する遊技球は、誘導方向が下向きから奥向きへと変化する通路部分において、スムースに奥側へと流れるようになる。
その一方で、従球通路は、主球通路における遊技球の誘導方向が下向きから奥向きへと変化する通路部分にて、当該主球通路から遊技機正面視における左または右側に分岐する球通路であるので、誘導部によって遊技球が奥側へスムースに流れるようになったことで、従球通路への遊技球の進入が抑制される。よって、主球通路に振り分けられた遊技球が有利領域に進入する確率が好適に向上する。
これにより、主球通路から分岐する従球通路を設けたことで遊技の単調化を抑制しつつも、従球通路を設けたにもかかわらず有利領域への進入確率を好適に担保できるので、主球通路、従球通路、振分手段、有利領域および検出手段を含む入賞装置を、好適な興趣を付与可能に小型化されたものとして提供することができる。
また、主球通路において遊技球が奥側へとスムースに流れるようになったことで、振分手段による振り分けによって主球通路に振り分けられた遊技球が、検出手段によって検出されるまでのタイムラグを好適に短くできる。これにより、上側から下向きに遊技球を誘導した後、該遊技球を奥向きに誘導する主球通路を含む入賞装置において、遊技球が主球通路に振り分けられてから検出手段により検出されるまでのタイムラグが大きくなって遊技のテンポが悪くなることを好適に抑制できる。
なお、特徴10において「水平方向に対する遊技球の誘導角度が下流側に向かうに従って小さくなるよう変化する傾斜」とは、下流側に向かう従って連続的に誘導角度が小さくなる曲線であってもよいし、下流側に向かう従って段階的に誘導角度が小さくなる、傾斜の異なる直線からなる折れ線であってもよい。
なお、上述した特徴10に記載の遊技機に代えて、以下のように記載した特徴を有する構成としてもよい。
遊技球が前面側を流下する遊技板(遊技盤400)と、該遊技板の前面側に設けられた入口(入口611)から進入した遊技球を、通過したことで所定の特典を付与する有利領域(左側中始動入賞装置431A,右側中始動入賞装置431B)へ誘導可能な入賞装置(中始動入賞装置431,731)と、を備えた遊技機(パチンコ機100)であって、
前記入賞装置は、
該入賞装置の入口から進入した遊技球を複数の振分方向のいずれかに振り分ける振分手段(振分部620)と、
該振分手段により振り分けられた遊技球を、遊技機正面視における上側から下向きに誘導した後、遊技機正面視における奥向きに誘導することで、前記有利領域に誘導する主球通路(主球通路652A,652B,752)と、
該主球通路における遊技球の誘導方向が前記下向きから前記奥向きへと変化する通路部分にて前記主球通路から遊技機正面視における左または右側に分岐し、前記主球通路に進入した遊技球を前記有利領域とは異なる領域に誘導する従球通路(従球通路653A,653B,653C,753A,753B)と、
を備え、
前記遊技機は、
前記主球通路において前記奥向きに誘導される遊技球を検出可能な位置に設けられ、前記主球通路により誘導された遊技球が前記有利領域に進入したことを検出する検出手段(中始動入賞スイッチ441A,441B,741)を備え、
前記主球通路は、該主球通路における遊技球の誘導方向が前記下向きから前記奥向きへと変化する通路部分に設けられて、水平方向に対する遊技球の誘導角度が下流側に向かうに従って小さくなるよう変化する傾斜(傾斜面612A)を有する誘導部(誘導部612)を備えていることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、特徴10に記載の遊技機と同様の効果を奏することができる。
<特徴11>
特徴10に記載の遊技機であって、
前記主球通路は、遊技球を前記上側から前記下向きに誘導する通路部分内の前記奥側に、該通路部分を流下する遊技球が衝突可能に突出して形成され、衝突した遊技球を、前記誘導部における前記誘導角度が所定角度より大きい部分に案内可能な突起部(突起部634)を備えていることを特徴とする遊技機。
上側から下向きに遊技球を誘導した後、該遊技球を奥向きに誘導する主球通路を備える入賞装置において、主球通路を上側から下向きに流下する遊技球が、当該主球通路の奥側に寄って流下した場合、そのように流下する遊技球は、誘導部の下流側、つまり、遊技球の誘導角度が小さい部分に落下し、それにより、遊技球の誘導方向が下向きから奥向きへと変化する通路部分において、誘導部による遊技球の誘導角度が下向きから急激に奥向きに変化して、遊技球が奥側へとスムースに流れない可能性がある。
これに対し、特徴11に記載の遊技機であれば、主球通路における遊技球を上側から下向きに誘導する通路部分内の奥側には、該通路部分を流下する遊技球が衝突可能に突出する突起部が形成されている。かかる突起部は、該突起部に衝突した遊技球を、誘導部における誘導角度が所定角度より大きい部分に案内することができる。これにより、主球通路における遊技球の誘導方向が下向きから奥向きへと変化する通路部分において、遊技球が奥側へとスムースに流れるよう、誘導部を好適に機能させることができる。よって、遊技球の誘導方向が下向きから奥向きへと変化する通路部分において、遊技球の誘導方向が下向きから急激に奥向きに変化する状況の発生が抑制され、それによって、遊技球が奥側へとスムースに流れない状況の発生を好適に抑制できる。
<特徴12>
特徴10または11に記載の遊技機であって、
前記誘導部の傾斜は、前記主球通路の左または右側から、該主球通路から分岐する前記従球通路の入口部を見たときに、前記入口部の周縁に対して外方に位置することを特徴とする遊技機。
特徴12に記載の遊技機であれば、前記主球通路の左または右側から、該主球通路から分岐する前記従球通路の入口部を見たときに、前記誘導部の傾斜が入口部の周縁に対して外方に位置する。よって、誘導部に支持されて奥側へと誘導される遊技球は、主球通路の左または右側から従球通路の入口部を見たときに、その一部が、当該入口部の周縁より外方を通過することになる。これにより、誘導部に支持されて主球通路を奥側へと誘導される遊技球が、入口部を経て従球通路に進入することを好適に抑制できる。
<特徴13>
特徴10から12のいずれかに記載の遊技機であって、
前記主球通路は、該主球通路から分岐する前記従球通路の入口部と前記誘導部との間に形成された凹部(凹部662)を備え、
前記誘導部から前記入口部の側に寄って該入口部の周縁と前記誘導部とにより支持される遊技球は、該遊技球の一部が、前記誘導部のみで支持される場合に比べて前記凹部に落ち込むことを特徴とする遊技機。
特徴13に記載の遊技機であれば、主球通路は、当該主球通路から分岐する従球通路の入口部と誘導部との間に形成された凹部を備えている。誘導部から入口部の側に寄って該入口部の周縁と誘導部とにより支持される遊技球は、該遊技球の一部が、誘導部のみで支持される場合に比べて凹部に落ち込むので、誘導部のみで支持される遊技球が、入口部から従球通路へ排出されるためには、遊技球が凹部に一旦落ち込んだ後に、入口部を超えるために凹部から離れる方向に動く必要がある。よって、誘導部により誘導される遊技球が、入口部を経て従球通路に進入することを好適に抑制できる。
<特徴14>
特徴10から13のいずれかに記載の遊技機であって、
前記主球通路は、遊技機正面視における左右に複数設けられ、各々の前記主球通路には、異なる価値の前記特典を付与可能な前記有利領域が通じており、
前記振分手段は、前記複数の主球通路のいずれかに球を振り分け、
前記検出手段は、遊技球を検出する検出部(検出部J1)と、該検出部からの出力に基づいて遊技球を検出したことを示す検出信号を出力する回路部(回路部J2)とを有し、前記検出部と前記回路部とが長手方向に並べて配設されており、
前記検出手段は、前記複数の主球通路の各々に、前記主球通路に対する前記奥側に配設され、いずれの前記主球通路においても、前記検出部が、前記主球通路により前記奥側に誘導される遊技球を検出可能な位置に配置され、前記回路部が、前記検出部に対して前記上側に位置するとともに、前記主球通路において遊技球を前記上側から下向きに誘導する通路部分の裏側に位置するよう配置されていることを特徴とする遊技機。
特徴14に記載の遊技機であれば、振分手段による振り分け先となる複数の主球通路のそれぞれに、検出部と回路部とが長手方向に並べて配設された検出手段が、当該主球通路の奥側に配設される。具体的に、各主球通路に配設される検出手段は、検出部が、主球通路により奥側に誘導される遊技球を検出可能な位置に配置され、回路部が、検出部に対して上側であって、主球通路において遊技球を上側から下向きに誘導する通路部分の裏側に位置するよう配置されている。よって、振分手段により振り分けられた遊技球を上側から下向きに誘導した後で奥向きに誘導する主球通路の構成において、遊技球を上側から下向きに誘導する通路部分の裏側に形成される空間に、検出手段における回路部を配置することで当該空間を有効に利用できる。これにより、入賞装置と検出手段とを含むユニットのサイズを上下方向でなく奥行き方向にも好適に小型化することができる。
<特徴20>
遊技球が通過したことで所定の特典を付与する有利領域(左側中始動入賞装置431A,右側中始動入賞装置431B)を備えた遊技機(パチンコ機100)であって、
前記有利領域の上流側に設けられて、遊技球を複数の振分方向のいずれかに振り分ける振分手段(振分部620)と、
該振分手段と前記有利領域との間に形成され、前記振分手段により振り分けられた遊技球を前記有利領域に誘導可能な主球通路(主球通路652A,652B,752)と、
該主球通路から遊技機正面視における左または右側に分岐し、前記主球通路に進入した遊技球を前記有利領域とは異なる領域に誘導する従球通路(従球通路653A,653B,653C,753A,753B)と、
前記主球通路により誘導された遊技球が前記有利領域に進入したことを検出する検出手段(中始動入賞スイッチ441A,441B,741)と、
を備え、
前記主球通路から分岐する前記従球通路の入口部(入口部654A1,654A2,654B1,654B2,754A,754B)は、該入口部と前記主球通路とを左または右側から見たときに、前記主球通路を通過する遊技球を誘導する該主球通路の周縁に対して該主球通路の内側に相当する所定方向にオフセットされた位置に形成されていることを特徴とする遊技機。
遊技機の代表例としてパチンコ機がある。従来の典型的なパチンコ機において、遊技領域に設けられた始動口に入球した場合に、その入球に応じて抽選を行い、当該抽選において大当りに当選した場合に、特別遊技状態となって多数の遊技球が入賞口へ入球可能となる構成が知られている。また、かかるパチンコ機は表示装置を備えており、当該表示装置では、上記抽選が行われたことに基づいて図柄の変動表示が開始され、当該変動表示の最終的な停止表示として上記抽選結果に応じた停止結果が表示される。
また、従来のパチンコ機には、遊技球が、表示装置にて図柄の変動表示が行われている最中に始動口に入球した場合、大当りの抽選に用いる当り情報が予め定められた所定数(例えば、4個)を上限として保留記憶されるよう構成されたものがある。このとき、保留記憶された当り情報は、図柄の変動表示が終了した後に、大当りか否かの抽選に供され、それに伴って次回の図柄の変動表示が開始される。
近年では、複数の始動口(例えば、2つの始動口)を設け、始動口毎に、当り情報を各始動口に対して許容される上限数まで保留記憶可能にした遊技機が知られている。そのような遊技機において、複数の始動口の各々に接続された複数の分岐通路と、所定の入口から進入した遊技球をこれら分岐通路のいずれかに振り分ける振分手段とを備えた入賞装置を用いることが知られている(例えば、特開2016−22147号公報参照)。
しかしながら、上記従来の遊技機における始動口のように、振分手段によって振り分けられた遊技球が通過することで所定の特典を付与する有利領域を備えた遊技機について未だ改良の余地があった。例えば、前記振分手段と前記有利領域とを含む入賞装置において、より好適な興趣を提供できることが望まれている。
これに対し、特徴20に記載の遊技機であれば、主球通路から分岐して、主球通路に進入した遊技球を有利領域とは異なる領域に誘導する従球通路を備えているので、振分手段により振り分けられて主球通路に進入した遊技球が必ずしも有利領域を通過しないことになり、遊技に意外性を付与することができ、遊技の単調化を抑制できる。
特に、主球通路から分岐する従球通路の入口部は、当該入口部と前記主球通路とを左または右側から見たときに、該主球通路による遊技球の誘導方向に沿った該主球通路の周縁に対して誘導方向に交差する向きに相当する所定方向にオフセットされた位置に形成されているので、それと同じ方向から見たときに、主球通路により誘導される遊技球が入口部から従球通路へと進入するためには、遊技球は、主球通路に対する従球通路の分岐方向(すなわち、左または右向き)への移動だけでなく、入口部がオフセットされている所定方向(すなわち、入口部と主球通路とを左または右側から見たときに、主球通路を通過する遊技球を誘導する該主球通路の周縁に対して該主球通路の内側に相当する方向)への移動が必要となる。よって、主球通路を流下する遊技球は、入口部を介して従球通路へ進入し難くなるため、主球通路に振り分けられた遊技球が、従球通路に進入することなく有利領域に進入する確率が好適に向上する。
これにより、主球通路から分岐する従球通路を設けたことで遊技の単調化を抑制しつつも、従球通路を設けたにもかかわらず有利領域への進入確率を好適に担保できるので、主球通路、従球通路、振分手段、有利領域および検出手段を含む入賞装置を、より好適な興趣を付与可能なものとして提供することができる。
なお、特徴20において「主球通路の周縁」とは、遊技球が実質的に通過可能な空間の境界を意図する。よって、「主球通路の周縁」は、遊技球が通過する空間の周囲を囲う壁面に限られない。つまり、遊技球が通過する空間の周囲を囲う壁面に形成されたリブなどの凸部によって、遊技球が実質的に通過可能な空間が規定される場合、かかる凸部によって支持された遊技球の外形により規定される、遊技球が実質的に通過可能な空間における仮想的な境界が「主球通路の周縁」である。
なお、上述した特徴20に記載の遊技機に代えて、以下のように記載した特徴を有する構成としてもよい。
遊技球が前面側を流下する遊技板(遊技盤400)と、該遊技板の前面側に設けられた入口(入口611)から進入した遊技球を、通過したことで所定の特典を付与する有利領域(左側中始動入賞装置431A,右側中始動入賞装置431B)へ誘導可能な入賞装置(中始動入賞装置431,731)と、を備えた遊技機(パチンコ機100)であって、
前記入賞装置は、
該入賞装置の入口から進入した遊技球を複数の振分方向のいずれかに振り分ける振分手段(振分部620)と、
該振分手段により振り分けられた遊技球を前記有利領域に誘導する主球通路(主球通路652A,652B,752)と、
該主球通路から遊技機正面視における左または右側に分岐し、前記主球通路に進入した遊技球を前記有利領域とは異なる領域に誘導する従球通路(従球通路653A,653B,653C,753A,753B)と、
を備え、
前記遊技機は、
前記主球通路により誘導された遊技球が前記有利領域に進入したことを検出する検出手段(中始動入賞スイッチ441A,441B,741)を備え、
前記主球通路から分岐する前記従球通路の入口部(入口部654A1,654A2,654B1,654B2,754A,754B)は、該入口部と前記主球通路とを左または右側から見たときに、前記主球通路を通過する遊技球を誘導する該主球通路の周縁に対して該主球通路の内側に相当する所定方向にオフセットされた位置に形成されていることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、特徴20に記載の遊技機と同様の効果を奏することができる。
<特徴21>
特徴20に記載の遊技機であって、
前記主球通路は、該主球通路と前記入口部とを左または右側から見た場合における前記入口部のオフセット方向である前記所定方向の側に、該通路部分を流下する遊技球が衝突可能に突出して形成され、衝突した遊技球を、前記所定方向とは反対側の方向に案内可能な、前記入口部より上流側に形成された突起部(突起部634)を備え、
前記入口部は、該入口部と前記主球通路とを左または右側から見たときに、前記主球通路の一部に大きく重なるように形成されていることを特徴とする遊技機。
特徴21に記載の遊技機であれば、主球通路には、主球通路から従球通路が分岐する入口部より上流側であって、該入口部と主球通路とを左または右側から見た場合における該入口部のオフセット方向(所定方向)の側には、該主球通路を流下する遊技球が衝突可能に突出する突起部が形成されている。かかる突起部は、当該突起部に衝突した遊技球を、前記所定方向(すなわち、入口部がオフセットされた方向)とは反対側の方向に案内することができる。これにより、従球通路への遊技球の進入がより難しくなるので、主球通路を流下する遊技球が有利領域に進入する確率を好適に向上させることができる。
特に、入口部は、該入口部と主球通路とを左または右側から見たときに、主球通路の一部に大きく重なるように形成されているので、その分、主球通路、従球通路、振分手段、有利領域および検出手段を含む入賞装置をコンパクトに構成することができる。よって、そのような入賞装置をコンパクトにしながら、主球通路を流下する遊技球が有利領域に進入する確率を好適に向上させることができる。
なお、特徴21において、入口部が「該入口部と前記主球通路とを左または右側から見たときに該主球通路に重なる主球通路」とは、入口部と主球通路とを左または右側から見たときに、当該入口部と主球通路とが重なる場合に限らず、両者がほぼ重なる場合を含むことを意図する。入口部と主球通路を左または右側から主球通路見たときに、当該入口部が主球通路に重なる割合は、略70%以上であることが良く、略80%以上であることが好ましく、略90%以上であることが好適である。
<特徴22>
特徴20または21に記載の遊技機であって、
遊技球が前面側を流下する遊技板(遊技盤400)を備え、
前記入口部は、該入口部を左または右側から見たときに、前記遊技板の前面に対して前記奥側にオフセットされた位置に配置され、
前記従球通路は、前記遊技板の前面に遊技球を案内することを特徴とする遊技機。
特徴22に記載の遊技機であれば、入口部が、該入口部を左または右側から見たときに、遊技板の前面に対して前記奥側にオフセットされた位置に配置されているので、遊技板の前面を流下する遊技球が、誤って従球通路に進入したとしても、その遊技球が従球通路から主球通路に進入するには、従球通路を奥側に向けて逆流した上で入口部を経る必要がある。そのため、遊技板の前面を流下する遊技球が従球通路経由で主球通路に進入することは困難であり、遊技球が、入口を経由することなく有利領域を通過してしまう事象の発生を抑制できる。
<特徴30>
遊技球を検出可能な検出部(中始動入賞スイッチ441A,441B)と、該検出部により遊技球が検出されたことに基づいて、遊技球を検出した前記検出部に応じた特典(第1特別図柄抽選、第2特別図柄抽選)を付与する特典付与手段(主制御基板920)と、を備えた遊技機(パチンコ機100)であって、
所定の振分用入口(入口611)に進入した遊技球を複数の振り分け先のいずれかに振り分け可能に構成されるとともに、遊技球が前記複数の振り分け先のうち第1の振り分け先に振り分けられた場合に、次回の振り分け先を、前記複数の振り分け先のうち前記第1の振り分け先とは異なる第2の振り分け先に設定する振分手段(振分部620)と、
該振分手段の下流側であって前記第1の振り分け先に設けられ、少なくとも1の前記検出部まで延びる主球通路(主球通路652A,652B)と、
前記主球通路における前記検出部より上流側にて前記主球通路から分岐し、前記検出部とは異なる領域に遊技球を案内する従球通路(従球通路653A,653B,653C)と、
前記主球通路から前記従球通路に進入した遊技球により作動する作動部(振分先変更レバー810)と、
前記振分手段が前記第2の振り分け先に遊技球を振り分ける状態において前記作動部が作動したことに基づいて前記振分手段に作用し、該第2の振り分け先とは別の振り分け先であって、前記主球通路によって進入可能な前記少なくとも1の検出部に応じた特典を付与可能な振り分け先に変更可能な振分変更手段(リンク機構820)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
遊技機の代表例としてパチンコ機がある。従来の典型的なパチンコ機において、遊技領域に設けられた始動口に入球した場合に、その入球に応じて抽選を行い、当該抽選において大当りに当選した場合に、特別遊技状態となって多数の遊技球が入賞口へ入球可能となる構成が知られている。また、かかるパチンコ機は表示装置を備えており、当該表示装置では、上記抽選が行われたことに基づいて図柄の変動表示が開始され、当該変動表示の最終的な停止表示として上記抽選結果に応じた停止結果が表示される。
また、従来のパチンコ機には、遊技球が、表示装置にて図柄の変動表示が行われている最中に始動口に入球した場合、大当りの抽選に用いる当り情報が予め定められた所定数(例えば、4個)を上限として保留記憶されるよう構成されたものがある。このとき、保留記憶された当り情報は、図柄の変動表示が終了した後に、大当りか否かの抽選に供され、それに伴って次回の図柄の変動表示が開始される。
近年では、複数の始動口(例えば、2つの始動口)を設け、始動口毎に、当り情報を各始動口に対して許容される上限数まで保留記憶可能にした遊技機が知られている。そのような遊技機において、複数の始動口の各々に接続された複数の分岐通路と、所定の入口から進入した遊技球をこれら分岐通路のいずれかに振り分ける振分手段とを備えた入賞装置を用いることが知られている(例えば、特開2016−22147号公報参照)。
しかしながら、上記従来の遊技機のように、振分手段によって振り分けられた遊技球が通過することで所定の特典を付与する有利領域を備えた遊技機について未だ改良の余地があった。例えば、振り分け手段によって遊技球が振り分けられる主球通路において、有利領域より上流側に、該遊技領域とは異なる領域に遊技球を案内する従球通路が分岐して設けられている場合、振り分けられた遊技球が必ずしも有利領域に到達しないため、意外性を遊技に付与することができるが、振り分けられた遊技球が必ずしも有利領域に到達しないために、遊技者が獲得し得る特典に偏りが出やすい。そのため、遊技者は、獲得した特典が特定の検出部に応じた特典に集中したことで遊技を単調に感じたり、有利度が比較的低い特典ばかり獲得したことで遊技に不満を覚えたりする虞がある。
これに対し、特徴30に記載の遊技機であれば、所定の振分用入口に進入した遊技球を複数の振り分け先のいずれかに振り分け可能に構成されるとともに、遊技球が、それら複数の振り分け先のうち第1の振り分け先に振り分けられた場合に、次回の振り分け先を、前記複数の振り分け先のうち、第1の振り分け先とは異なる第2の振り分け先に設定する。
該振分手段の下流側であって第1の振り分け先には、主球通路が設けられている。該主球通路は、少なくとも1の検出部まで延びており、振分手段による振り分けによって主球通路に進入した遊技球が検出部により検出されると、特典付与手段により遊技球を検出した前記検出部に応じた特典が付与される。
主球通路における検出部より上流側には、該主球通路から分岐して検出部とは異なる領域に遊技球を案内する従球通路が設けられている。よって、振分手段により振り分けられて主球通路に進入した遊技球が必ずしも検出部により検出されないことになり、遊技に意外性を付与することができ、遊技の単調化を抑制できる。
また、主球通路から従球通路に遊技球が進入した場合、該遊技球によって作動部が作動する。振分手段が第2の振り分け先に遊技球を振り分ける状態において作動部が作動した場合には、当該作動部の作動に基づいて振分手段に作用する振分変更手段によって、振分手段による次回の振り分け先を、第2の振り分け先とは別の振り分け先であって、主球通路によって進入可能な前記少なくとも1の検出部に応じた特典を付与可能な振り分け先に変更することができる。
これにより、今回の振り分け先(第1の振り分け先)であった主球通路によって獲得可能であったものの、遊技球が従球通路に進入したことで獲得機会が失われた特典について、その特典を獲得する機会を振分変更手段によって再度得ることができる。よって、主球通路に従球通路を設けたことで好適な興趣を付与可能にしつつ、遊技者が獲得し得る特典に偏りが生じることを抑制できる。
なお、特徴30に記載の「検出部に応じた特典」としては、検出部によって検出された場合に複数の特典が付与される場合における一部の特典であっても良いし、全ての特典であっても良い。また、検出部に応じた特典としては、複数の検出部に対応して所定の上限数まで保留記憶可能な乱数値記憶手段が別々に設けられている場合における、乱数値記憶手段が異なるが、抽選条件など、他の特典が同一の場合を含む。また、検出部に応じた特典としては、抽選条件、抽選確率、抽選に当選した場合に発生する特別遊技状態、遊技球の払出数などが例示される。
また、特徴30に記載の「次回の振り分け先」としては、遊技球の通過によって機械的に動作することで設定される次回の振り分け先であってもよいし、一定時間が経過したことに基づき、遊技球の進入有無にかかわらず動作することで設定される次回の振り分け先であってもよい。
また、特徴30に記載の「…振り分け先に変更可能な振分変更手段」は、作動部の作動に基づいて振分手段が作用した場合には、作用しなかった場合に比べて、別の振り分け先に変更された状態となり易ければよい。すなわち、当該作用によって別の振り分け先に変更した後に次の遊技球が当該別の振り分け先に進入するまで状態が維持されても良いし、別の振り分け先に変更した後に一定時間が経過するなど他の条件成立によって次の遊技球が当該別の振り分け先に進入しなくても当該別の振り分け先とは異なる他の振り分け先に振分手段が設定されてもよい。
<特徴31>
特徴30に記載の遊技機であって、
前記振分手段は、前記複数の振り分け先の各々に遊技球を振り分け可能な各状態をとるよう動作可能に構成され、
前記作動部は、前記主球通路から前記従球通路に進入した遊技球が当接した場合に、該遊技球の進行方向に動くよう設けられた可動部(従球通路の出口に設けられた復帰レバー)により構成され、
前記振分変更手段は、前記可動部の動作によって前記振分手段を動作可能に設けられた機械的なリンク手段(リンク機構)により構成され、
前記リンク手段は、前記主球通路から前記従球通路に進入した遊技球に基づき前記可動部が動いた場合に、前記振分手段の状態が前記第1の振り分け先となるよう前記振分手段を動作させるよう構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴31に記載の遊技機であれば、作動部は、主球通路から従球通路に進入した遊技球が当接することで、該遊技球の進行方向に動くよう設けられた可動部として構成される。該可動部が主球通路から従球通路に進入した遊技球に基づいて動いた場合に、機械的なリンク手段により構成される振分変更手段によって、その状態が今回の振り分け先である第1の振分先となるよう振分手段が動作される。よって、振分手段による次回の振り分け先が、再度、第1の振り分け先(今回の振り分け先)となるため、遊技者が獲得し得る特典に偏りが生じることを好適に抑制できる。また、機械的なリンク手段によって振り分け先の変更が行われるので、制御負荷を抑制しつつ、遊技者が獲得し得る特典に偏りが生じることを抑制できる。
<特徴40>
操作部(発射ハンドル252)の操作量に応じた強度で遊技球を発射可能な発射手段(発射装置330)と、該発射手段により発射された遊技球が流下する遊技領域(遊技盤400)と、遊技球を検出可能な検出部(中始動入賞スイッチ441A,441B,741)と、該検出部により遊技球が検出されたことに基づき、遊技球を検出した前記検出部に応じた特典(第1特別図柄抽選、第2特別図柄抽選)を付与する特典付与手段(主制御基板920)と、を備えた遊技機(パチンコ機100)であって、
前記遊技領域のうち前記操作部の操作量を第1操作量とした場合に遊技球が進入可能な第1遊技領域(左側遊技領域)に設けられる振分用入口(入口611)に進入した遊技球を複数の振り分け先のいずれかに振り分け可能に構成されるとともに、遊技球が前記複数の振り分け先のうち第1の振り分け先に振り分けられた場合に、次回の振り分け先を、前記複数の振り分け先のうち前記第1の振り分け先とは異なる第2の振り分け先に設定する振分手段(振分部620)と、
該振分手段の下流側であって前記第1の振り分け先に設けられ、前記検出部のうち前記特典付与手段によって第1の特典(第1特別図柄抽選)が付与される第1の検出部まで延びる第1球通路(主球通路652A)と、
前記振分手段の下流側であって前記第2の振り分け先に設けられ、前記検出部のうち前記特典付与手段によって前記第1の特典とは異なる第2の特典(第2特別図柄抽選)が付与される第2の検出部まで延びる第2球通路(主球通路652B)と、
前記振分用入口とは異なる位置に設けられる遊技球の通過口であって、前記第2の検出部または前記第2の特典を付与する他の検出部(右始動入賞スイッチ442)により検出される通過口(右始動入賞装置432の入口部分)と、
前記遊技領域のうち前記操作部の操作量を第2操作量とした場合に遊技球が進入可能な第2遊技領域(右側遊技領域)に設けられた振り分け先変更用入口(右始動入賞装置432の入口部分)と、
前記振り分け先変更用入口を通過した遊技球により作動する作動部(振分先変更レバー850)と、
前記振分手段が前記第2の振り分け先に遊技球を振り分ける状態において前記作動部が作動したことに基づいて前記振分手段に作用し、該第2の振り分け先とは別の振り分け先であって、前記第1の特典を付与可能な振り分け先に変更可能な振分変更手段(リンク機構840)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
遊技機の代表例としてパチンコ機がある。従来の典型的なパチンコ機において、遊技領域に設けられた始動口に入球した場合に、その入球に応じて抽選を行い、当該抽選において大当りに当選した場合に、特別遊技状態となって多数の遊技球が入賞口へ入球可能となる構成が知られている。また、かかるパチンコ機は表示装置を備えており、当該表示装置では、上記抽選が行われたことに基づいて図柄の変動表示が開始され、当該変動表示の最終的な停止表示として上記抽選結果に応じた停止結果が表示される。
また、従来のパチンコ機には、遊技球が、表示装置にて図柄の変動表示が行われている最中に始動口に入球した場合、大当りの抽選に用いる当り情報が予め定められた所定数(例えば、4個)を上限として保留記憶されるよう構成されたものがある。このとき、保留記憶された当り情報は、図柄の変動表示が終了した後に、大当りか否かの抽選に供され、それに伴って次回の図柄の変動表示が開始される。
近年では、複数の始動口(例えば、2つの始動口)を設け、始動口毎に、当り情報を各始動口に対して許容される上限数まで保留記憶可能にした遊技機が知られている。そのような遊技機において、複数の始動口の各々に接続された複数の分岐通路と、所定の入口から進入した遊技球をこれら分岐通路のいずれかに振り分ける振分手段とを備えた入賞装置を用いることが知られている(例えば、特開2016−22147号公報参照)。
しかしながら、上記従来の遊技機のように、振分手段によって振り分けられた遊技球が通過することで所定の特典を付与する有利領域を備えた遊技機について未だ改良の余地があった。例えば、遊技球が通過することで所定の特典を付与する有利領域を、振分手段により振り分けられた遊技球が通過可能な有利領域とは別に設けた場合、振分手段による遊技球の振り分けによって特典を獲得する遊技だけでなく、別の有利領域を狙って遊技球を発射する遊技を行うこともできるので、遊技の単調化を抑制できるが、遊技者が獲得し得る特典に偏りが出やすい。そのため、遊技者は、獲得した特典が特定の検出部に応じた特典に集中したことで遊技を単調に感じたり、有利度が比較的低い特典ばかり獲得したことで遊技に不満を覚えたりする虞がある。
これに対し、特徴40に記載の遊技機であれば、遊技領域のうち操作部の操作量を第1操作量とした場合に遊技球が進入可能な第1遊技領域に設けられる振分用入口に進入した遊技球を複数の振り分け先のいずれかに振り分け可能に構成されるとともに、遊技球が、それら複数の振り分け先のうち第1の振り分け先に振り分けられた場合に、次回の振り分け先を、前記複数の振り分け先のうち、第1の振り分け先とは異なる第2の振り分け先に設定する。
振分手段の下流側であって第1の振り分け先には、第1球通路が設けられている。第1球通路は、第1の検出部まで延びており、振分手段による振り分けによって第1球通路に進入した遊技球が第1の検出部により検出されると、特典付与手段により第1の特典が付与される。
また、振分手段の下流側であって第2の振り分け先には、第2球通路が設けられている。第2球通路は、第2の検出部まで延びており、振分手段による振り分けによって第2球通路に進入した遊技球が第2の検出部により検出されると、特典付与手段により第1の特典とは異なる第2の特典が付与される。
振分用入口とは異なる位置には、遊技球の通過口が設けられている。遊技球が該通過口を通過した場合、該遊技球は、第2の検出部、または、第2の特典を付与する他の検出部により検出され、それにより、第2の特典が付与される。よって、振分手段による遊技球の振り分けによって第1または第2の特典を獲得する遊技だけでなく、通過口を狙って遊技球を発射する遊技を行うこともできるので、遊技の単調化を抑制できる。
遊技領域のうち操作部の操作量を第2操作量とした場合に遊技球が進入可能な第2遊技領域には、振り分け先変更用入口が設けられている。かかる振り分け先変更用入口を遊技球が通過した場合、該遊技球によって作動部が作動する。
振分手段が第2の振り分け先に遊技球を振り分ける状態において作動部が作動した場合には、当該作動部の作動に基づいて振分手段に作用する振分変更手段によって、振分手段による次回の振り分け先を、第2の振り分け先とは別の振り分け先であって、第1の特典を付与可能な振り分け先に変更することができる。
第2の特典を付与可能な通過口を設けたことで、遊技者が獲得し得る特典に偏りが出る虞がある。これに対し、特徴40に記載の遊技機によれば、振り分け先変更用入口が、操作部の操作量を変えることで、振分手段が設けられている第1遊技領域と打ち分けることが可能な第2遊技領域に設けられているので、遊技者は、必要に応じて操作部に対する操作量を変えることで、振分手段による次回の振り分け先を、第1の特典が付与される第1球通路に変更することができる。これにより、遊技者が複数の特典をバランスよく取ることが可能となり、遊技者が獲得し得る特典に偏りが生じることを抑制できる。
なお、特徴40に記載の「検出部に応じた特典」としては、検出部によって検出された場合に複数の特典が付与される場合における一部の特典であっても良いし、全ての特典であっても良い。また、検出部に応じた特典としては、複数の検出部に対応して所定の上限数まで保留記憶可能な乱数値記憶手段が別々に設けられている場合における、乱数値記憶手段が異なるが、抽選条件など、他の特典が同一の場合を含む。また、検出部に応じた特典としては、抽選条件、抽選確率、抽選に当選した場合に発生する特別遊技状態、遊技球の払出数などが例示される。
また、特徴40に記載の「次回の振り分け先」としては、遊技球の通過によって機械的に動作することで設定される次回の振り分け先であってもよいし、一定時間が経過したことに基づき、遊技球の進入有無にかかわらず動作することで設定される次回の振り分け先であってもよい。
また、特徴40に記載の「第2操作量」は、「第1操作量」と全く異なる量であってもよいし、「第2操作量」の一部範囲が、「第1操作量」の一部範囲と重なる量であってもよい。
<特徴41>
特徴40に記載の遊技機であって、
前記振り分け先変更用入口は、前記通過口であることを特徴とする遊技機。
特徴41に記載の遊技機であれば、振り分け先変更用入口は、通過したことで第2の特典が付与される通過口であるので、遊技者が第2の特典を獲得した場合に、振分手段による次回の振り分け先を、第1の特典を付与可能な振り分け先に変更することができる。これにより、遊技者が獲得する特典が第2の特典に偏ることを好適に抑制できる。
<特徴42>
特徴41に記載の遊技機であって、
所定の条件が成立したことに基づき発生する有利期間において、前記通過口への遊技球の進入確率を前記有利期間外に比べて高める進入確率変化手段(右始動入賞装置432の可動片、主制御基板)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴42に記載の遊技機であれば、通過口への遊技球の進入確率は、所定の条件が成立したことに基づき発生する有利期間において、進入確率変化手段により、有利期間外に比べて高まるように構成されるので、遊技者は、有利期間が発生した場合に、振り分け先変更用入口を兼ねる通過口が設けられた第2遊技領域を狙って遊技球を発射する可能性が高い。このように、第2遊技領域を狙って遊技球が発射される状況が生じ得る遊技機において、遊技者が獲得する特典が第2の特典に偏ることを好適に抑制できる。
<特徴43>
特徴41または42に記載の遊技機であって、
前記振分手段は、前記第1球通路および前記第2球通路を交互に振り分け先とするよう動作可能に構成され、
前記作動部は、前記振り分け先変更用入口である前記通過口を通過した遊技球が流下する通路における、重力方向に対して交差する向きに延びる通路に、該通路を通過する遊技球の重みで下方に動くよう設けられた可動部(振分先変更レバー850)により構成され、
前記振分変更手段は、前記可動部の動作によって前記振分部を動作可能に設けられた機械的なリンク部(リンク機構840)により構成され、
前記リンク部は、前記通過口を通過した遊技球によって前記可動部が動いた場合に、前記振分部の振り分け先が前記第1球通路となるよう前記振分部を動作させるよう構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴43に記載の遊技機であれば、振り分け先変更用入口である通過口を通過した遊技球が流下する通路における、重力方向に対して交差する向きに延びる通路に、該通路を通過する遊技球の重みで下方に動くよう設けられた可動部として構成される。該可動部が、通過口を通過した遊技球の重みで下方に動いた場合に、機械的なリンク手段により構成される振分変更手段によって、次回の振り分け先が第1球通路となるよう振分手段が動作される。よって、機械的なリンク手段によって振り分け先の変更が行われるので、制御負荷を抑制しつつ、遊技者が獲得する特典が第2の特典に偏ることを抑制できる。
<特徴44>
特徴40に記載の遊技機であって、
前記通過口は、前記遊技領域のうち、前記第2遊技領域以外の遊技領域に設けられ、
前記振り分け先変更用入口は、前記第2遊技領域から、前記通過口が設けられた前記遊技領域に移動する遊技球の通過位置に設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴44に記載の遊技機であれば、振り分け先変更用入口は、第2遊技領域から、通過口が設けられた、第2遊技領域以外の遊技領域に移動する遊技球の通過位置に設けられている。これにより、遊技者が第2遊技領域を狙って遊技球を発射したものの、振り分け先変更用入口を通過して、第2の特典が付与される通過口に遊技球が進入する可能性が生じた場合には、振分手段による次回の振り分け先が、第1の特典を付与可能な振り分け先に変更されるので、遊技者が獲得する特典が第2の特典に偏ることを抑制できる。
<特徴50>
遊技球を検出可能な検出部(中始動入賞スイッチ441A,441B)と、該検出部により遊技球が検出されたことに基づいて、遊技球を検出した前記検出部に応じた特典(第1特別図柄抽選、第2特別図柄抽選)を付与する特典付与手段(主制御基板920)と、を備えた遊技機(パチンコ機100)であって、
所定の振分用入口(入口611)に進入した遊技球を複数の振り分け先のいずれかに振り分け可能に構成されるとともに、遊技球が前記複数の振り分け先のうち第1の振り分け先に振り分けられた場合に、次回の振り分け先を、前記複数の振り分け先のうち前記第1の振り分け先とは異なる第2の振り分け先に設定する振分手段(振分部620)と、
該振分手段の下流側であって前記第1の振り分け先に設けられ、前記検出部のうち前記特典付与手段によって第1の特典(第1特別図柄抽選)が付与される第1の検出部まで延びる第1球通路(主球通路652A)と、
前記振分手段の下流側であって前記第2の振り分け先に設けられ、前記検出部のうち前記特典付与手段によって前記第1の特典とは異なる第2の特典(第2特別図柄抽選)が付与される第2の検出部まで延びる第2球通路(主球通路652B)と、
前記振分用入口とは異なる位置に設けられる遊技球の通過口であって、前記第2の検出部または前記第2の特典を付与する他の検出部(右始動入賞スイッチ442)により検出される通過口(右始動入賞装置432の入口部分)と、
前記第2の検出部または前記他の検出部によって遊技球が検出されたことに基づいて前記乱数値取得手段によって取得された乱数値を、所定の上限数まで保留記憶可能な乱数値記憶手段(主制御基板920のRAM)と、
前記通過口を通過した遊技球により作動する作動部(振分先変更レバー850)と、
前記振分手段が前記第2の振り分け先に遊技球を振り分ける状態において前記作動部が作動したことに基づいて前記振分手段に作用し、該第2の振り分け先とは別の振り分け先であって、前記第1の特典を付与可能な振り分け先に変更可能な振分変更手段(リンク機構840)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
<特徴51>
図柄を変動表示可能な図柄表示手段(装飾図柄表示装置479)と、遊技球を検出可能な、始動条件の成立に係る検出部(中始動入賞スイッチ441A,441B)と、該検出部による遊技球の検出によって始動条件が成立したことに基づき、遊技球の検出によって始動条件を成立させ、当否に関わる乱数値を取得する乱数値取得手段(主制御基板920)と、前記始動条件が成立したことに基づき、図柄の変動表示であって前記始動条件の成立に係る前記検出部に応じた種別の変動表示(第1特別図柄に係る単位遊技、第2特別図柄に係る単位遊技)を前記図柄表示手段にて実行する変動表示実行手段(主制御基板920)と、該変動表示実行手段により変動表示が実行された場合、該変動表示に対応する前記始動条件の成立に基づいて前記乱数値取得手段によって取得された乱数値が所定の値である場合に、実行中の前記変動表示を所定の態様で停止して所定の特典を付与する特典付与手段(主制御基板920)と、を備えた遊技機(パチンコ機100)であって、
所定の振分用入口(入口611)に進入した遊技球を複数の振り分け先のいずれかに振り分け可能に構成されるとともに、遊技球が前記複数の振り分け先のうち第1の振り分け先に振り分けられた場合に、次回の振り分け先を、前記複数の振り分け先のうち前記第1の振り分け先とは異なる第2の振り分け先に設定する振分手段(振分部620)と、
該振分手段の下流側であって前記第1の振り分け先に設けられ、前記変動表示の種別のうち第1変動表示(第1特別図柄に係る単位遊技)の実行に係る第1の検出部まで延びる第1球通路(主球通路652A)と、
前記振分手段の下流側であって前記第2の振り分け先に設けられ、前記第1変動表示とは異なる種別の第2変動表示(第2特別図柄に係る単位遊技)の実行に係る第2の検出部まで延びる第2球通路(主球通路652B)と、
前記振分用入口とは異なる位置に設けられる遊技球の通過口であって、前記第2の検出部または前記第2変動表示の実行に係る他の検出部(右始動入賞スイッチ442)により検出される通過口(右始動入賞装置432の入口部分)と、
前記変動表示の種別毎に、該変動表示に対応する前記始動条件の成立に基づいて前記乱数値取得手段によって取得された乱数値を、所定の上限数まで保留記憶可能な乱数値記憶手段(主制御基板920のRAM)と、
前記通過口を通過した遊技球により作動する作動部(振分先変更レバー850)と、
前記振分手段が前記第2の振り分け先に遊技球を振り分ける状態において前記作動部が作動したことに基づいて前記振分手段に作用し、該第2の振り分け先とは別の振り分け先であって、前記第1変動表示の実行に係る検出部が下流側に設けられる振り分け先に変更可能な振分変更手段(リンク機構840)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
遊技機の代表例としてパチンコ機がある。従来の典型的なパチンコ機において、遊技領域に設けられた始動口に入球した場合に、その入球に応じて抽選を行い、当該抽選において大当りに当選した場合に、特別遊技状態となって多数の遊技球が入賞口へ入球可能となる構成が知られている。また、かかるパチンコ機は表示装置を備えており、当該表示装置では、上記抽選が行われたことに基づいて図柄の変動表示が開始され、当該変動表示の最終的な停止表示として上記抽選結果に応じた停止結果が表示される。
また、従来のパチンコ機には、遊技球が、表示装置にて図柄の変動表示が行われている最中に始動口に入球した場合、大当りの抽選に用いる当り情報が予め定められた所定数(例えば、4個)を上限として保留記憶されるよう構成されたものがある。このとき、保留記憶された当り情報は、図柄の変動表示が終了した後に、大当りか否かの抽選に供され、それに伴って次回の図柄の変動表示が開始される。
近年では、複数の始動口(例えば、2つの始動口)を設け、始動口毎に、当り情報を各始動口に対して許容される上限数まで保留記憶可能にした遊技機が知られている。そのような遊技機において、複数の始動口の各々に接続された複数の分岐通路と、所定の入口から進入した遊技球をこれら分岐通路のいずれかに振り分ける振分手段とを備えた入賞装置を用いることが知られている(例えば、特開2016−22147号公報参照)。
しかしながら、上記従来の遊技機のように、振分手段によって振り分けられた遊技球が通過したことで当り情報の抽選が行われる有利領域を備えた遊技機について未だ改良の余地があった。例えば、遊技球が通過することで所定の特典を付与する有利領域を、振分手段により振り分けられた遊技球が通過可能な有利領域とは別に設けた場合、振分手段による遊技球の振り分けによって特典を獲得する遊技だけでなく、別の有利領域を狙って遊技球を発射する遊技を行うこともできるので、遊技の単調化を抑制できるが、遊技者が獲得し得る特典に偏りが出やすい。当り情報は特典毎に上限数まで保留記憶可能であるので、獲得し得る特典が偏ることで、特定の特典に対する当り情報の保留記憶数が上限数に達しやすい状況が生じる。遊技者は、特典として当り情報を得たにもかかわらず、その当り情報を保留記憶できず無駄にした場合、それによって遊技の興趣を失う虞がある。
これに対し、特徴50及び51に記載の遊技機であれば、振分用入口に進入した遊技球を複数の振り分け先のいずれかに振り分け可能に構成されるとともに、遊技球が、それら複数の振り分け先のうち第1の振り分け先に振り分けられた場合に、次回の振り分け先を、前記複数の振り分け先のうち、第1の振り分け先とは異なる第2の振り分け先に設定する。
振分手段の下流側であって第1の振り分け先には、第1球通路が設けられている。第1球通路は、変動表示の種別のうち第1変動表示に係る第1の検出部まで延びており、振分手段による振り分けによって第1球通路に進入した遊技球が第1の検出部により検出されると、変動表示実行手段により第1変動表示が実行される
また、振分手段の下流側であって第2の振り分け先には、第2球通路が設けられている。第2球通路は、第2変動表示の実行に係る第2の検出部まで延びており、振分手段による振り分けによって第2球通路に進入した遊技球が第2の検出部により検出されると、変動表示実行手段により第1変動表示が実行される
振分用入口とは異なる位置には、遊技球の通過口が設けられている。遊技球が該通過口を通過した場合、該遊技球は、第2の検出部、または、第2変動表示の実行に係る他の検出部により検出され、それにより、変動表示実行手段により第2変動表示が実行される。かかる通過口を遊技球が通過した場合、該遊技球によって作動部が作動する。
振分手段が第2の振り分け先に遊技球を振り分ける状態において作動部が作動した場合には、当該作動部の作動に基づいて振分手段に作用する振分変更手段によって、振分手段による次回の振り分け先を、第2の振り分け先とは別の振り分け先であって、第1変動表示の実行に係る検出部が下流側に設けられる振り分け先に変更することができる。
よって、遊技球が通過口を通過したことで、当該遊技球が、第2の検出部、または、第2変動表示の実行に係る他の検出部により検出された場合には、振分手段による次回の振り分け先を、第1変動表示の実行に係る検出部が下流側に設けられる振り分け先に変更することができるので、遊技球が第2変動表示の実行に係る検出部に偏って検出されることを抑制できる。乱数値記憶手段には変動表示の種別毎に保留記憶できる乱数値に上限があるので、特定の種別の変動表示(すなわち、第2変動表示)の実行に係る検出部に偏って遊技球が検出されることが抑制されることで、特定の種別の変動表示に対応する乱数値が保留記憶できなくなる状況を抑制できる。
<特徴52>
特徴51に記載の遊技機であって、
所定の条件が成立したことに基づき発生する有利期間において、前記通過口への遊技球の進入確率を前記有利期間外に比べて高める進入確率変化手段(右始動入賞装置432の可動片、主制御基板920)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴52に記載の遊技機であれば、通過口への遊技球の進入確率は、所定の条件が成立したことに基づき発生する有利期間において、進入確率変化手段により、有利期間外に比べて高まるように構成されるので、遊技球は、有利期間において通過口を通過しやすい。よって、遊技球が第2変動表示の実行に係る検出部に検出される機会は、有利期間において増大する。このように、遊技球が第2変動表示の実行に係る検出部に検出される機会が特定の時期(すなわち、有利期間)に増大し得る遊技機において、遊技球が第2変動表示の実行に係る検出部に偏って検出されることを抑制できる。
<特徴53>
特徴50〜52のいずれかに記載の遊技機であって、
前記振分手段は、前記第1球通路および前記第2球通路を交互に振り分け先とするよう動作可能に構成され、
前記作動部は、前記通過口を通過した遊技球が流下する通路における、重力方向に対して交差する向きに延びる通路に、該通路を通過する遊技球の重みで下方に動くよう設けられた可動部(振分先変更レバー850)により構成され、
前記振分変更手段は、前記可動部の動作によって前記振分部を動作可能に設けられた機械的なリンク部(リンク機構840)により構成され、
前記リンク部は、前記通過口を通過した遊技球によって前記可動部が動いた場合に、前記振分部の振り分け先が前記第1球通路となるよう前記振分部を動作させるよう構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴53に記載の遊技機であれば、通過口を通過した遊技球が流下する通路における、重力方向に対して交差する向きに延びる通路に、該通路を通過する遊技球の重みで下方に動くよう設けられた可動部として構成される。該可動部が、通過口を通過した遊技球の重みで下方に動いた場合に、機械的なリンク手段により構成される振分変更手段によって、次回の振り分け先が第1球通路となるよう振分手段が動作される。よって、機械的なリンク手段によって振り分け先の変更が行われるので、制御負荷を抑制しつつ、遊技球が第2変動表示の実行に係る検出部に偏って検出されることを抑制できる。
なお、特徴10〜53に記載の少なくとも1つの特徴を他のいずれか又は複数の特徴に組み合わせて適用しても良い。以下には、上記した各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ機:遊技者が操作する発射操作手段と、その発射操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く通路部と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:始動操作手段の操作に基づき周回体の回転を開始させ、停止操作手段の操作に基づき周回体の回転を停止させ、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。
以上のように、この発明は、弾球遊技機等の遊技機に適している。
100…遊技機、400…遊技盤、431…中始動入賞装置、431A…左側中始動入賞装置、431B…右側中始動入賞装置、441…中始動入賞スイッチ、J1…検出部、J2…回路部、612…誘導部、620…振分部、634…突起部、652A,652B…主球通路、653A,653B,653C…従球通路、654A1,654A2,654B1,654B2…入口部、810…振分先変更レバー、820…リンク機構、840…リンク機構、850…振分先変更レバー

Claims (2)

  1. 操作部の操作量に応じた強度で遊技球を発射可能な発射手段と、該発射手段により発射された遊技球が流下する遊技領域と、遊技球を検出可能な検出部と、該検出部により遊技球が検出されたことに基づき、遊技球を検出した前記検出部に応じた特典を付与する特典付与手段と、を備えた遊技機であって、
    前記遊技領域のうち前記操作部の操作量を第1操作量とした場合に遊技球が進入可能な第1遊技領域に設けられる振分用入口に進入した遊技球を複数の振り分け先のいずれかに振り分け可能に構成されるとともに、遊技球が前記複数の振り分け先のうち第1の振り分け先に振り分けられた場合に、次回の振り分け先を、前記複数の振り分け先のうち前記第1の振り分け先とは異なる第2の振り分け先に設定する振分手段と、
    該振分手段の下流側であって前記第1の振り分け先に設けられ、前記検出部のうち前記特典付与手段によって第1の特典が付与される第1の検出部まで延びる第1球通路と、
    前記振分手段の下流側であって前記第2の振り分け先に設けられ、前記検出部のうち前記特典付与手段によって前記第1の特典とは異なる第2の特典が付与される第2の検出部まで延びる第2球通路と、
    前記振分用入口とは異なる位置に設けられる遊技球の通過口であって、前記第2の検出部または前記第2の特典を付与する他の検出部により検出される通過口と、
    前記遊技領域のうち前記操作部の操作量を第2操作量とした場合に遊技球が進入可能な第2遊技領域に設けられた振り分け先変更用入口と、
    前記振り分け先変更用入口を通過した遊技球により作動する作動部と、
    前記振分手段が前記第2の振り分け先に遊技球を振り分ける状態において前記作動部が作動したことに基づいて前記振分手段に作用し、該第2の振り分け先とは別の振り分け先であって、前記第1の特典を付与可能な振り分け先に変更可能な振分変更手段と、
    を備えていることを特徴とする遊技機。
  2. 前記遊技機は、パチンコ遊技機であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。

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