JP4817232B2 - 板状不規則形状体の3次元形状の測定方法及び装置 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、板状不規則形状体の3次元形状を測定するための板状不規則形状体の3次元形状の測定方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の板状不規則形状体の3次元形状の測定方法としては、例えば、特開2001−241928号公報に示すように、第12図のような装置を用いたものがある。この測定方法では、測定ヘッド101からのスリット光等を不規則形状体103に照射する。この不規則形状体103を上方のステレオカメラ105により撮像し、前記板状不規則形状体103の表面の3次元形状を測定する。
しかしながら、上記従来の測定方法及び装置では、板状不規則形状体103の表面に現れない形状、特に厚みを測定することができなかった。
【0003】
さらに説明すると、真珠核は、大きいもの程大きな真珠を形成することができるため、その価値は大きさに依存する。従って、真珠核を切り出し形成するドブ貝等の全体的な厚み変化を知った上で、厚い箇所からはその厚みに応じた可能な限り大きな真珠核を切り出し形成することが肝要である。しかし、前記従来の測定方法及び装置では、ドブ貝等の厚み方向を含めた3次元形状の測定を行うことができなかった。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、板状不規則形状体の厚み方向を含めた3次元形状を測定することができる板状不規則形状体の3次元形状の測定方法及び装置の提供を目的とする。
【0005】
本発明の目的は、一対の接触を検出するセンサ部を相対位置を固定して対向支持するフレーム部を板状不規則形状体の厚み方向に移動させて、前記一対のセンサ部を前記板状不規則形状体の表裏に接触させると共に同離反した時に接触位置をずらし再び接触させて厚みを測定し、前記板状不規則形状体の複数箇所における厚みの測定値と前記各接触位置とから板状不規則形状体の全体的な厚みの変化を測定して前記板状不規則形状体の3次元形状を測定することにより達成される。
【0006】
従って、板状不規則形状体の全体的な厚みの変化を測定して前記板状不規則形状体の3次元形状を測定することができる。このため、板状不規則形状体の厚み方向を含めた3次元形状を測定することができる。
【0007】
また、フレーム部の移動により一対のセンサ部を板状不規則形状体の表裏に対して接触離反移動させることで、板状不規則形状体の厚みをより確実に測定することができる。
【0008】
本発明の板状不規則形状体の3次元形状の測定方法は、前記板状不規則形状体の厚みをマトリックス状に測定することによって前記厚みの変化の測定を行う。
【0009】
従って、板状不規則形状体の厚みをマトリックス状に測定することによって前記厚みの変化の測定を行うことができる。このため、測定点を結ぶことによって、板状不規則形状体の厚み方向を含む3次元形状を確実に測定することができる。
【0010】
本発明の板状不規則形状体の3次元形状の測定装置は、板状不規則形状体の厚み方向に移動自在に支持されたフレーム部及び該フレーム部に相対位置を固定して対向支持された一対の接触を検出するセンサ部を備え前記フレーム部の厚み方向への移動によって前記一対のセンサ部を前記板状不規則形状体の表裏に接触させると共に同離反した時に接触位置をずらし再び接触させて厚みを検出する厚み測定手段と、前記板状不規則形状体の複数箇所における前記厚み測定手段の測定値と前記各接触位置とに基づいて前記板状不規則形状体の3次元形状を演算する演算手段とを備えている。
【0011】
従って、厚み測定手段を板状不規則形状体の表裏に接触させて厚みを測定することができる。そして、板状不規則形状体の複数箇所における前記厚み測定手段の測定値と各接触位置とに基づいて、前記演算手段により前記板状不規則形状体の3次元形状を演算することができる。このため、板状不規則形状体の厚み方向を含めた3次元形状を容易に且つ確実に測定することができる。
【0012】
また、フレーム部の移動により一対のセンサ部を板状不規則形状体の表裏に対して接触離反移動させることで、板状不規則形状体の厚みをより確実に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係る母貝の切出装置を示す一部断面側面図である。
第2図は、第1図に示す母貝の切出装置のSA−SA線における平面図である。
第3図は、第1図に示す切出装置に設けられた切出機の正面図である。
第4図は、(a)は第1図に示す切出装置に用いられている切出刃を示す斜視図、(b)は切出刃の別の実施例を示す斜視図、(c)は切出刃のさらに別の実施例を示す斜視図である。
第5図は、第1図に示す母貝の切出装置に設けられているクランプ部の拡大平面図である。
第6図は、第5図に示す母貝の切出装置に設けられているクランプ部の正面図である。
第7図は、第5図に示すクランプ部の概略構成の斜視図である
第8図は、第1図に示す切出装置に設けられた厚みセンサの測定状態を示す説明図である。
第9図は、第1図に示す厚みセンサによる母貝の厚みの測定点の平面図である。
第10図は、第1図に示す切出機による母貝の切出片経路を平面図である。
第11図は、第1図の切出装置により切り出した切出片を示す斜視図である。
第12図は、従来の板状不規則形状体の3次元形状の測定装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る板状不規則形状体の3次元形状の測定方法及び装置の実施例1について、真珠核を切り出し形成するための母貝の切出装置に適用した例を説明する。第1図は本発明にかかる板状不規則形状体の測定装置を適用した母貝の切出装置を示す一部断面側面図、第2図は第1図に示す母貝の切出装置のSA−SA線における一部断面平面図、第3図は第1図に示す切出装置の正面図である。
【0014】
本実施例の母貝の切出装置1は、第1図〜第3図のように、ドブ貝等の母貝3から真珠核を切り出すものである。母貝3の切出装置1は、母貝3の厚みを検出する厚み測定手段としての厚み測定装置11と、母貝3から切出片5を切り出す切出機7と、母貝3を支持するための支持台9とを備えている。
【0015】
前記厚み測定装置11は、測定対象物である前記母貝3の表裏に接触してその厚みを検出する。この厚み測定装置11には、相対向する一対のセンサ部69が設けられている。各センサ部69は、上下移動ステージ67に支持されている。上下移動ステージ67は、上下方向(第1図のZ方向)に移動可能となっている。各センサ部69は、上下移動ステージ67を介して母貝3に接触離反移動可能となっている。従って、上下移動ステージ67は支持手段を構成している。
【0016】
前記上下移動ステージ67は、第1図のように、前記ベース23に固定された支持台部65と、この支持台部65に設けられたボールネジ71と、このボールネジ71に支持されているフレーム部73とからなる。
【0017】
前記ボールネジ71は、前記支持台部65にZ方向に沿って配置されている。このボールネジ71は、下端が支持台部65に固定された軸受け75に回転自在に支持され、上端が支持台部65に固定されたネジ駆動部77に結合されている。このため、ボールネジ71は、前記ネジ駆動部77により軸周りに回転駆動可能となっている。前記ネジ駆動部77は、例えば、ステッピングモータからなり、図示しない制御装置により駆動制御される。
【0018】
前記フレーム部73は、縦フレーム73aの上下にアーム73c、73dが結合され、側面視の形状が前記切出機7側に向けて開口している。前記縦フレーム73aには、上下中間部にネジ受け部73bが設けられている。ネジ受け部73bは、内部にナット部を備えている。ナット部は、前記ボールネジ71に螺合している。従って、フレーム部73は、ボールネジ71の回転によってZ方向に移動可能に支持されている。
【0019】
前記センサ部69は、それぞれ相互に対向するようにフレーム部73のアーム73c、73dの先端に突設されている。センサ部69は、内部に接触検出回路が設けられている。センサ部69の先端には、前記接触検出回路を動作させる接触部69aが設けられている。前記接触部69aは、ばね等の図示しない付勢部材により突出方向へ付勢され、その付勢部材の付勢力に抗してセンサ部69の内部側に押し込み可能となっている。
【0020】
この厚み測定装置11では、上下移動ステージ67のフレーム部73をZ方向に移動させて両センサ部69を母貝3に対し接触離反移動可能としている。前記接触離反移動により前記両センサ部69の接触部69aが母貝3に接触して押し込まれると、接点が接触し、その信号を前記制御装置に入力する。制御装置は、前記入力された信号により、母貝3に対する接触時に接触部69aの上下位置を記憶する。
【0021】
前記切出機7は、第1図〜第3図のように、ベース23に固定された機台25を備えている。この機台25上には、切出刃13が支持されている。
【0022】
前記切出刃13は、例えば、第4図のようになっている。第4図(a)は第1図に示す切出装置に用いられている切出刃の斜視図、(b)は切出刃の別の実施例を示す斜視図、(c)は切出刃のさらに別の実施例を示す斜視図である。
【0023】
前記切出刃13は、例えば、第4図(a)のように、断面円形形状の鋼性の線材の外周面に複数のダイアモンド片17を電着して刃を形成したものである。なお、第4図(b)の切出刃19は線材状に形成され一側にのみ一体的に刃19aを有する糸鋸で構成したものであり、第4図(c)の切出刃21は糸鋸を螺旋状に形成したようなものである。
【0024】
前記機台25には、上下に対向する下側支持部27及び上側支持部15が設けられている。
【0025】
前記下側支持部27は、機台25に直接的に支持され、一定範囲で上下動可能となっている。下側支持部27に、切出刃13の端部を差し込みネジ33の締結により固定している。
【0026】
前記上側支持部15は、アーム部29の先端に着脱可能に取り付けられている。アーム部29は、前記機台25から延びている。前記上側支持部15は、可動クランプ部31を備えている。可動クランプ部31は、上側支持部15の内方向(第1図では上方向)へ図示しない内蔵スプリングにより付勢されている。可動クランプ部31には、前記切出刃13の端部が着脱可能に差し込まれて結合支持されている。この結合支持で、可動クランプ部31を介し切出刃13にテンションが与えられている。
【0027】
前記機台25内には、切出刃13を駆動するための駆動部16が設けられている。駆動部16は、例えば、モータと運動変換機構とからなっている。この駆動部16は、モータの回転を運動変換機構により直線運動に変換し、下側支持部27を上下方向一定範囲で直線的に駆動するようになっている。この下側支持部27の駆動によって、前記切出刃13を往復駆動し、切出走行させる。前記駆動部16の駆動制御は、前記制御装置により行われる。
【0028】
前記支持台9は、前記厚み測定装置11と切出機7との間に配置されている。この支持台9は、母貝3をクランプするためのクランプ部35と、このクランプ部35を平面方向(第2図のXY方向)に移動可能に支持するXYステージ37とからなる。
【0029】
前記クランプ部35は、第1図,第2図,第5図〜第7図のようになっている。第5図は第1図に示す母貝の切出装置に設けられているクランプ部の拡大平面図、第6図は第5図に示す母貝の切出装置に設けられているクランプ部の正面図、第7図は第5図に示すクランプ部の概略構成の斜視図である。
【0030】
前記クランプ部35は、板状体からなり切出刃13の側方に水平に配置されている。このクランプ部35は、3つの枠部35c,35d,35eからなり、平面視形状で前記切出刃13側に開口するように形成されている。前記クランプ部35は、開口側から枠部35d,35e間に前記切出刃13を相対的に導入可能としている。クランプ部35の各枠部35c,35d,35eの上面には、第5図のように複数のネジ孔35bがそれぞれ連設されている。
【0031】
前記クランプ部35の内周側には、凹状の段部35aが設けられている。この段部35aは、母貝3の外周側を載置し位置決めるものである。
【0032】
前記クランプ部35には、各枠部35c,35d,35e上面に複数の治具39が着脱自在に取り付けられている。前記各治具39の下面には、例えば、硬質ゴムからなる緩衝用の当接部39bが設けられている。各治具39には、長孔39aが貫通形成されている。この長孔39aにボルト41を挿通し前記ネジ穴35bに選択的に締結できるようになっている。
【0033】
このような治具39は、前記ボルト41を締めることにより、クランプ部35に取り付けられると共に当接部39bが母貝3の表面に当接し、母貝3をクランプ部35に支持可能としている。前記治具39を、複数のネジ穴35bを選択的に用いてクランプ部35に取り付けること、及び前記長孔39aによってクランプ部35への取付位置をずらすことで、不規則な形状の母貝3をクランプ部35上に確実に支持することができる。
【0034】
前記XYステージ37は、第1図,第2図のように左右方向(第2図のY方向)に移動自在な下板43と、この下板43に対して前後方向(第2図のX方向)に移動自在な上板45とからなっている。下板43及び上板45はほぼ同一形状に形成されている。
【0035】
前記下板43は、上板45の下側に位置し、その平面形状は第2図において上板45にほぼ重なる。この下板43の平面形状を、上板45を参照しながら説明する。下板43は、前記クランプ部35と対応した形状に形成され、前記切出機7側に開いている。下板43は、X方向の寸法が切出機7よりも大きく形成され、その両側が切出機7の両側よりもX方向に突出している。下板43は、X方向の両側がガイドレール47,49によってY方向にスライド自在に支持されている。
【0036】
前記ガイドレール47,49は、前記ベース23に脚部50を介して固定されている。これらのガイドレール47,49は、切出機7に対してそのX方向両側でY方向に沿って平行に延設配置されている。
【0037】
前記一方のガイドレール47は、上方が開口する樋状に形成されガイド溝47aを有している。このガイドレール47には、ガイド溝47aの幅方向中央部に長手方向に沿ってボールネジ47bが配置されている。ガイドレール47の一端には、例えばステッピングモータからなるネジ駆動部47cが設けられている。ネジ駆動部47cには、前記ボールネジ47bの一端が連結されている。ガイドレール47の他端には、軸受け47dが設けられている。ボールネジ47bの他端は、前記軸受け47dに回転自在に支持されている。前記ネジ駆動部47cは、前記制御装置により駆動制御され、前記ボールネジ47bが軸周りに回転駆動する。
【0038】
前記下板43の下面には、X方向の両側でガイドレール47,49上に係合部51,53が取り付けられている。なお、第2図では、係合部51,53が上板45の後述する係合部61,63の下側に位置するため図上明確には現れない。
【0039】
前記係合部51は、ガイドレール47に対応して配置され、内部にナット部を備えている。この係合部51は前記ガイドレール47のガイド溝47aに入り込んでナット部が前記ボールネジ47bに螺合している。従って、ボールネジ47bが軸周りに回転駆動されると、係合部51が前記ガイド溝47aに沿って移動する。
【0040】
前記係合部53は、前記ガイドレール49に対応して配置され、第1図で示す後述する係合部63と同様な断面形状に形成され、下方開口のガイド溝53aを有している。この係合部53は、前記ガイド溝53aが前記ガイドレール49にスライド自在に係合する。
【0041】
従って、前記下板43は、前記ボールネジ47bの駆動により、ガイドレール47,49に沿ってY方向に移動可能となっている。
【0042】
前記上板45は、第2図から明らかなように、前記下板43と同様、前記クランプ部35と対応した形状に形成されて、下板43上に水平に配置されている。上板45の上面には、内法に沿って凹状の段部45aが設けられている。段部45aは、その内周側に前記クランプ部35を嵌合、位置決めするものである。この段部45aに前記クランプ部35が嵌合するように位置決められ、上板45に対しボルト55により着脱自在に固定されている。この上板45は、Y方向の両側がガイドレール57,59によってX方向にスライド自在に支持されている。
【0043】
前記ガイドレール57,59は、前記下板43のY方向両側上面に固定されX方向に延設されている。
【0044】
前記一方のガイドレール57は、上記ガイドレール47と同様に構成されている。すなわち、ガイドレール57は、上方が開口する樋状に形成されている。前記ガイドレール57には、ガイド溝57aの幅方向中央部に長手方向に沿ってボールネジ57bが配置されている。ボールネジ57bは、例えばステッピングモータからなるネジ駆動部57cにより駆動されるようになっている。前記ネジ駆動部57cは、前記制御装置により駆動制御される。
【0045】
前記他方のガイドレール59は、X方向で一対備えられている。一対のガイドレール59は、間隔を持って直線的に配置されている。各ガイドレール59の対向間を通じて前記切出刃13が前記クランプ35側へ移動できるようになっている。各ガイドレール59は、基部59aを備え、その基部59aが下板43上面に固定されている。
【0046】
前記上板45の下面には、Y方向の両側でガイドレール57,59上に係合部61,63が設けられている。
【0047】
前記係合部61は、上記係合部51と同様に形成され、内部にナット部を備えている。係合部61は、前記ガイド溝57a内でそのナット部が前記ボールネジ57bに螺合している。ボールネジ57bがネジ駆動部57cによって軸周りに回転駆動されると、係合部61が前記ガイド溝57aに沿って移動する。
【0048】
前記係合部63は、前記係合部53と同様に形成され、ガイド溝63aを備えている。係合部63は、ガイド溝63aが前記ガイドレール59にスライド自在に係合する。
【0049】
従って、前記上板45は、前記ボールネジ57bの駆動により、下板43に対しガイドレール57,59に沿ってX方向に移動可能となっている。
このようなXYステージ37では、前記下板43のY方向への移動及び上板45のX方向への移動により、前記クランプ部35をXY方向の平面内で自由に移動させることができる。
【0050】
次に、上記切出装置1における母貝3の3次元形状の測定方法及び切出方法について説明する。
(測定方法)
【0051】
母貝3の3次元形状の測定方法は、厚み測定装置11により母貝3の全体的な厚みの変化を測定することに基づいて行われる。母貝3の厚みの変化を測定する際には、XYステージ37上のクランプ部35に予め上記のように母貝3を支持する。規定位置で待機する前記厚み測定装置11に対しXYステージ37によりクランプ部35を移動させ、母貝3を前記センサ部69a間に配置する。
【0052】
前記ネジ駆動部77の駆動により、ネジ受け部73bを介して前記フレーム部73をZ方向に移動させる。このZ方向移動により両接触部69aを母貝3に対し接触離反移動させる。これにより、第8図のように測定することができる。第8図は、測定状態を示す説明図である。
【0053】
第8図のように、前記上下の各センサ部69の接触部69aが母貝3の表裏に交互に接触し、且つ押し込まれる。すなわち、フレーム部73をZ方向に移動させ、一方のセンサ部69を母貝3に対して接触移動させて接触部69aを押し込む。次に、フレーム部73をZ方向の反対側に移動させ、他方のセンサ部69を母貝3に対して接触移動させて接触部69aを押し込む。この押し込みで両センサ部69の接触検出回路が導通する。この導通により両接触部69aの初期待機位置からの移動距離を算出し、両接触部69a間の固定距離から差し引くことで、前記接触位置(第9図の測定点78)での母貝3の厚みが制御装置で演算されることになる。厚みの測定に際しては、接触部69aの接触位置も記憶される。
【0054】
そして、第9図のように、XYステージ37により前記クランプ部35をXY方向にずらして前記センサ部69の母貝3への接触位置を変更し、上記同様の作業を連続的に行う。これにより、前記母貝3の厚みを複数の測定点78(複数箇所)において測定する。この測定は、例えば、母貝3に対しマトリックス状に行っている。
【0055】
前記制御装置では、複数の測定点78における厚みの演算結果に基づいて母貝3の3次元形状を演算する。すなわち、マトリックス状の各測定点78での厚みと接触部69aの接触位置の記憶値とからクランプ部35上での母貝3の表裏面の3次元形状を演算する。従って、母貝3の厚みを測定しながらその表面の3次元形状をも測定し、母貝3の厚み方向を含む3次元形状を容易に且つ確実に測定することができる。
(切出方法)
【0056】
前記母貝3の切出方法は、上記母貝3の全体的な3次元形状に基づいて実行される。切出機7により前記母貝3から前記厚みの変化に応じて厚い箇所ほど大きな切出片5を切り出す。
【0057】
この切出方法では、切出片5を大きく切り出せる領域、例えば厚みの厚い部位から順に切出片5の切出片軌跡を決定していく。この切出片軌跡の決定は、制御装置が前記演算した3次元形状に基づいて、前記領域内で最も大きく切出片5を切り出せるように行われる。例えば、3次元形状から最も大きな真珠核に対応した直径の円柱を決定する。この作業を3次元形状の全領域で順次行い、例えば、第5図,第10図のように複数の切出片軌跡79を決定する。その後、決定された複数の切出片軌跡79に基づいて前記切出機7の切出刃13が通る切出経路81を決定する。この切出経路81は、切り出しに影響しない程度に最短のものが決定される。
【0058】
そして、前記切出経路81、切出片軌跡79に基づいて切出機7により切り出しが行われる。この切り出しは、予め切出機7の切出刃13を前記のように切出走行駆動しておき、XYステージ37によりクランプ部35をXY方向に移動させることで行われる。これらは全て前記制御装置で制御される。この制御により、前記クランプ部35が切出刃13との関係で相対的に移動する。この移動によって、母貝3が切出機7の切出刃13に対して相対移動し、切出刃13が切出片軌跡79及び切出経路81を相対的にたどる。
【0059】
この結果、第11図のように、母貝3からその厚みの変化に応じて厚い箇所ほど母貝3表面での面積割合を大きくして大きな直径で円柱形状の切出片5を的確に切り出すことができる。
【0060】
その後、例えばバレル研磨機等により研磨することで、前記切出片5の大きさに応じた球状の真珠核を製造することができる。
【0061】
このため、本実施例では、できるだけ大きな切出片5を切り出すことができながら、歩留まりを向上することができる。
【0062】
本実施例では、厚み測定装置11と切出機7とXYステージ37及びクランプ35とが一定の関係に有るため、前記のように、母貝3の3次元形状を測定した後、そのデータを用いてそのまま切出作業に移ることができる。このため、種々の形状の母貝3から厚み変化に応じた切出片5を的確且つ迅速に切り出すことができ、作業性も著しく向上する。
【0063】
本実施例では、切出片5が円柱形状であるため、真珠核を製造する際の研磨される部分を少なくし、より歩留まりを向上することができる。
【0064】
本実施例では、線材の切出刃13を用いているため、クランプ部35が切出刃13との関係で相対的に移動することによって、母貝3からその厚みの変化に応じて厚い箇所ほど母貝3表面での面積割合を大きくして切出片5を的確に切り出すことを容易に実現できる。また、切出刃13を細く形成することで歩留まりを、より容易に且つ確実に向上することができる。
【0065】
本実施例では、母貝3の全体的な厚みの変化を測定してその変化情報としての3次元形状を測定、取得することができ、母貝3からその厚みの変化に応じて厚い箇所ほど母貝3表面での面積割合を大きくして大きな直径で円柱形状の切出片5を、より的確に切り出すことができる。
【0066】
また、前記厚みの変化の測定は、母貝3の厚みをマトリックス状に測定することによって行われる。このため、測定点78を結ぶことで表面の3次元形状を測定することができ、その表面の3次元形状と母貝3の厚みとから母貝3の全体的な3次元形状を容易に且つ確実に測定することができる。従って、母貝3からその厚みの変化に応じて厚い箇所ほど母貝3表面での面積割合を大きくして円柱形状の切出片5を、より的確に切り出すことができる。
【0067】
以上、本発明の実施例1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、構成の要素に付随した各種の変更が可能である。例えば、上記実施例1では、厚み測定装置11を切出装置1に適用して母貝3の3次元形状を測定していたが、3次元形状の測定を要する各種の加工用機械に適用して3次元形状を測定する構成にすることもできる。
【0068】
前記上下移動ステージ67は、制御装置により駆動制御されていたが、手動により駆動制御してもよい。
【0069】
上記実施例では、上下移動ステージ67がZ方向のみに移動可能に構成されていたが、同時にXY方向にも移動可能に構成することもできる。
【0070】
前記XYZの縦横の関係を変更し、前記XY面を上下方向とし、同Z面を横方向とし、クランプ部35を上下左右方向へ移動させ、上下移動ステージ67を前後又は左右に移動させる構成にすることもできる。
【0071】
前記切出装置1では、線材からなる切出刃13を、上下往復駆動する構成にしたが、例えば、無端状の切出刃を上下の回転体間に巻掛け、上又は下側の一方向に走行駆動する構成、又は長尺の切出刃を上下の回転ドラムにテープレコーダのように取り付け、回転ドラムの駆動によりテープレコーダのようにして高速走行駆動する構成とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明した通り、本発明に係る板状不規則形状体の3次元形状の測定方法及び装置は、母貝などの種々の板状不規則形状体の厚みを含む3次元形状を測定するのに適している。
Claims (3)
- 一対の接触を検出するセンサ部を相対位置を固定して対向支持するフレーム部を板状不規則形状体の厚み方向に移動させて、前記一対のセンサ部を前記板状不規則形状体の表裏に接触させると共に同離反した時に接触位置をずらし再び接触させて厚みを測定し、
前記板状不規則形状体の複数箇所における厚みの測定値と前記各接触位置とから前記板状不規則形状体の3次元形状を測定することを特徴とする板状不規則形状体の3次元形状の測定方法。 - 請求項1記載の板状不規則形状体の3次元形状の測定方法であって、
前記板状不規則形状体の厚みをマトリックス状に測定することによって前記厚みの変化の測定を行うことを特徴とする板状不規則形状体の3次元形状の測定方法。 - 板状不規則形状体の厚み方向に移動自在に支持されたフレーム部及び該フレーム部に相対位置を固定して対向支持された一対の接触を検出するセンサ部を備え前記フレーム部の厚み方向への移動によって前記一対のセンサ部を前記板状不規則形状体の表裏に接触させると共に同離反した時に接触位置をずらし再び接触させて厚みを検出する厚み測定手段と、
前記板状不規則形状体の複数箇所における前記厚み測定手段の測定値と前記各接触位置とに基づいて前記板状不規則形状体の3次元形状を演算する演算手段とを備えた、
ことを特徴とする板状不規則形状体の3次元形状の測定装置。
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