JP4815209B2 - 硬化剤及び樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、球状シリカ粒子及びそれを含有する樹脂組成物に関する。
半導体パッケージは、熱的性質向上などを目的として、球状シリカ粒子を含有する樹脂組成物により封止されることが一般的である。樹脂組成物に含まれる樹脂は、何らかの硬化剤や硬化触媒によって硬化反応が進行するいわゆる熱硬化性樹脂が用いられることが多い。
硬化剤としては1級アミン、2級アミン、フェノール樹脂、酸無水物を用いることがあり、硬化触媒としてはブレンステッド酸、ルイス酸、3級アミンなどが用いられ、ルイス酸は3級アミン、オニウム塩などで錯体にして潜在的加熱触媒として使用することがある。
特開平6−298521号公報 特開平5−193928号公報
ところで、近年の電子機器の高性能化、高機能化、小型軽量化に伴い、搭載される半導体パッケージの高集積化、小型化、薄型化が進んでいる。そのために、半導体パッケージを構成する構成要素には従来よりも高い信頼性が求められるようになっている。
ここで、本発明者らは樹脂組成物が含有する硬化剤に着目し検討を重ねた。その結果、樹脂組成物が含有する硬化剤などは、硬化後の樹脂組成物中においても低分子化合物のまま一部残存しており、周囲の雰囲気によっては溶出が問題になる場合があることを見いだした。特に高集積化が進行した半導体素子においては無視できない問題になりうる。
本発明は上記実情に鑑み為されたものであり、半導体パッケージなどに用いられる樹脂組成物に好適に用いることができる球状シリカ粒子及びその製造方法、並びにその球状シリカ粒子を含む樹脂組成物を提供することを解決すべき課題とする。
(1)第1発明
本発明者らは上記課題を解決する目的で鋭意検討を行った結果、以下の知見に想到した。すなわち、一般的に球状シリカ粒子中において、ケイ素及び酸素以外の元素は、不純物と認識され、できる限り除去することが好ましいと考えられていた。しかしながら、アルミニウム元素が樹脂組成物中において硬化剤として作用するばかりか、半導体パッケージにおける封止材に適用した場合でもこれといった悪影響の発現も認められないことを発見した。
この発見に基づき、検討を行い、アルミニウム元素以外の同族元素(第13族)においても同様の効果を発現することが期待できることに想到した。球状シリカ粒子に含まれる13族元素は、実施例において説明する溶出試験の結果からも分かるように、半導体素子に影響を与えるような溶出物が少ない。
なお、従来技術において、アルミニウムを1質量%以上(実質的には5%以上10%以下)にする技術が開示されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1に記載の技術は不純物として含まれるリン酸を固定するために、リン酸の量に応じてアルミニウムを添加して好ましくないリン酸の機能を抑制するもので、本発明のように、アルミニウム(13族元素から選択される添加元素)自身が発揮する有利な効果に関するものではない。また、金属シリコン粉末中のアルミニウム濃度として1000ppm以下の値を規定する技術が開示されている(特許文献2)。しかしながら、特許文献2に記載の技術は、13族以外の他の元素の濃度についても規定しているうえに、濃度が低い方が好ましいとしている点から、本発明のように、アルミニウムなどの13族元素に好ましい作用があること、そして樹脂組成物中で好ましい効果を発揮できることについては開示されていない。
本発明はこれら知見に基づき完成されたものであり、本発明の球状シリカ粒子は、金属シリコン粉末を酸素と反応させて製造された球状シリカ粒子であって、アルミニウムを質量基準で410ppm以上、4500ppm含有し、真球度が0.8以上であって、カチオン重合性化合物の重合反応を促進させる硬化剤であることを特徴とする。更に、実質的に、前記アルミニウム、シリコン及び酸素にて構成されるものを採用することができる。
ここで、樹脂組成物中に混合される従来の球状シリカ粒子は高純度なシリコンを酸化させることで製造されることが一般的であり、シリコン以外の元素の含有量は極めて低く制御されている。
従って、上述の球状シリカ粒子は、人為的にアルミニウムを金属シリコン粉末中に含有させた上で、酸素と反応させて製造されたものであることが望ましい。更には、アルミニウムを、そのまま及び/又は化合物として含有する添加物粉末と、金属シリコン粉末との混合物を酸素と反応させて製造することで、アルミニウムの含有濃度を調節した球状シリカ粒子から成る硬化剤であることが望ましい。
(2)第2発明
本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂である前記カチオン重合性化合物と、硬化剤と、を有することを特徴とする。上述の硬化剤を含有させることで、実質的に他の硬化を含まない樹脂組成物も必要に応じて実現できる
(3)第3発明
ところで、前述したようなアルミニウム(第13族元素)が発揮する硬化剤としての作用効果は、場合によっては回避した方が好ましい場合も想定される。例えば、硬化前の樹脂組成物の保存性を問題にする場合に、アルミニウムなどの存在により硬化が進行し、粘度が上昇することで、想定する粘度範囲を超えることが考えられる。粘度が想定する範囲よりも高くなると、流動性が悪くなり封入性の低下やワイヤスイープといった好ましくない減少を引き起こす。従って、硬化剤を含有させないことにより適用する樹脂組成物の保存性が向上する。
そこで、保存性に優れた樹脂組成物に好適に採用できる球状シリカ粒子として、シリカ原料を高温火炎中で溶融乃至軟化させることで球状化した球状シリカ粒子であって、
組成中に含まれる周期表の13族元素からなる不純物元素の含有量が質量基準で400ppm以下であることを特徴とする球状シリカ粒子を発明した。これらの不純物元素の含有量は150ppm未満であることが更に望ましい。特に不純物元素としてはアルミニウム単独についてのみ考慮することもできる。
ところで、金属シリコンを酸化させることで製造するシリカと比べて、シリカを溶融乃至軟化させることで球状化した球状シリカ粒子においては、不純物を除去することが困難であり、アルミニウムなどの第13族元素が比較的多く含まれていることがある。前述したように、第13族元素を含んでいても半導体素子に影響を与えるおそれが少ないので、従来は、あまり問題にされていなかったものと推測される。
特に、本発明の球状シリカ粒子では、前記シリカ原料が天然に産出するシリカ含有鉱物由来である場合によりいっそうの効果を発揮できる。
そして、真球度は0.7以上であることが望ましい。また、本発明の球状シリカ粒子は樹脂組成物に用いられ、エポキシ樹脂中に分散して用いられることが望ましい。
(4)第4発明
本発明の樹脂組成物は、前述した(3)に記載の球状シリカ粒子と、その球状シリカ粒子を分散する硬化性樹脂化合物と、そのの硬化剤と、その硬化剤における硬化反応を触媒する触媒と、を有する。エポキシ樹脂などの硬化性樹脂化合物の硬化反応を促進する硬化触媒として作用するアルミニウムなどの含有量を調節した球状シリカ粒子を充填材として採用することで、保存性などに高い性能が発揮できる樹脂組成物が提供できる。
本発明の球状シリカ粒子は、従来、不純物として考えられていた13族元素が発現する機能を効果的に利用しており、樹脂組成物に適用した場合に硬化剤を減少できるという効果のほかに、球状シリカ粒子を製造する際の13族元素に対する不純物管理を低減できる点からも優れている(第1及び第2発明)。
反対に、13族元素における硬化触媒としての作用が必要でない場合には所定量以下に低減させることで、半導体素子などに対する封止材として保存性に優れたものが提供できる(第3及び第4発明)。
以下、本発明の球状シリカ粒子及びその球状シリカ粒子を含有する樹脂組成物について詳しく説明する。なお、本発明の球状シリカ粒子及び樹脂組成物は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
〈球状シリカ粒子及びその製造方法:第1発明〉
本発明の球状シリカ粒子は真球度(本明細書では、SEMで写真を撮り、その観察される粒子の面積と周囲長から、(真球度)={4π×(面積)÷(周囲長)2}で算出される値として算出する。1に近づくほど真球に近い。具体的には画像処理装置を用いて100個の粒子について測定した平均値を採用する。)が0.8以上である。後述する樹脂組成物などの分散性が要求される用途に適用した場合、粘性の観点などから、特に0.9以上が望ましい。本球状シリカ粒子の平均粒子径は、0.01μm以上10μm以下にすることが望ましい。特に0.1μm以上、5μm以下の範囲が望ましい。そして、球状シリカ粒子として、粒径分布に2以上のピークを有するものを採用することもできる。また、必要に応じて、24μm以上、45μm以上等の粗粒を除去することもできる。
本発明の球状シリカ粒子は、周期表の13族元素から選択される一種以上の添加元素を含有する。13族元素としてはホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)である。特に、ホウ素、アルミニウムが望ましく、アルミニウムがより望ましい。
球状シリカ粒子が添加元素を含有する濃度は150ppm以上、10%以下である。150ppm以上にすることで、カチオン重合性化合物を硬化させる効果を充分に発揮することができる。10%以下にすることで、球状シリカ粒子内での添加元素由来の化合物が偏析する(例えば添加元素がアルミニウムの場合に、アルミナが偏析して、シリカ非晶質−アルミナ結晶質の粒子となるおそれがある)ことを防止できる。添加元素が偏析すると、樹脂組成物中での硬化を促進する効果が期待できなくなるおそれがある。更に好ましい上限としては1%以下を挙げることができ、好ましい下限としては410ppm以上又は超、更に好ましい下限としては1000ppm以上又は超を挙げることができる。
ここで、本球状シリカ粒子としては、実質的に、前記添加元素、シリコン及び酸素にて構成されるものを採用することができる。なお、「実質的に、前記添加元素、シリコン及び酸素にて構成される」とは、他に含まれる元素の濃度が、通常の精製工程により、金属シリコン粉末中の添加元素含有量を前述の含有量が実現できる濃度にまで減少させた場合に通常含有される濃度よりも少なくなっていることをいう。つまり、本発明の球状シリカ粒子は金属シリコン粉末を精製、若しくは混合時、人為的に添加元素の含有量を制御したものと考えられる。
球状シリカ粒子の製造方法は、金属シリコン粉末を酸素と反応させて行われる。例えば、周期表の13族元素から選択される一種以上の添加元素を、そのまま及び/又は化合物として含有する添加物粉末と、金属シリコン粉末との混合物を酸素と反応させて製造される。例えば、VMC(Vaperized Metal Combustion)法により、シリコン粉末を燃焼して製造することが望ましい。VMC法とは、酸素を含む雰囲気中でバーナーにより化学炎を形成し、この化学炎中に目的とする酸化物粒子の一部を構成する金属粉末を粉塵雲が形成される程度の量投入し、爆燃を起こさせて酸化物粒子を得る方法である。
VMC法の作用について説明すれば以下のようになる。まず、容器中に反応ガスである酸素を含有するガスを充満させ、この反応ガス中で化学炎を形成する。次いで、この化学炎に金属粉末を投入し高濃度(500g/m3以上)の粉塵雲を形成する。すると、化学炎により金属粉末表面に熱エネルギが与えられ、金属粉末の表面温度が上昇し、金属粉末表面から金属の蒸気が周囲に広がる。この金属蒸気が酸素ガスと反応して発火し火炎を生じる。この火炎により生じた熱は、さらに金属粉末の気化を促進し、生じた金属蒸気と反応ガスが混合され、連鎖的に発火伝播する。このとき金属粉末自体も破壊して飛散し、火炎伝播を促す。燃焼後に生成ガスが自然冷却されることにより、酸化物粒子の雲ができる。得られた酸化物粒子は、バグフィルターや電気集塵器等により捕集される。
VMC法は粉塵爆発の原理を利用するものである。VMC法によれば、瞬時に大量の酸化物粒子が得られる。得られる酸化物粒子は、略真球状の形状をなす。例えば、シリカ粒子を得る場合にはシリコン粉末を投入すればよい。投入するシリコン粉末の粒子径、投入量、火炎温度等を調整することにより、得られる酸化物粒子の粒子径を調整することが可能である。また、原料物質としてはシリコン微粉末に加えて、シリカ微粉末も添加することができる。
本発明の球状シリカ粒子を製造するには、(1)原料になる金属シリコン粉末として、必要量の添加元素を含有するものを採用するか、(2)金属シリコン粉末に必要量の添加元素をそのまま及び/又は化合物として含有する添加物粉末を混合して用いるか、のいずれかの方法により添加元素を加えた上で、上述のVMC法にて製造することが望ましい。添加物粉末に含有させる添加元素の化合物としては、添加元素の酸化物、窒化物、水酸化物、水素化物、酢酸などのモノカルボン酸、マレイン酸などのジカルボン酸など有機物との塩などが例示できる。
なお、本球状シリカ粒子は、好ましいと考えられるVMC法以外にも、乾式法としてのPVS(Physical Vapor Synthesis)法等の燃焼法や、湿式法としての沈降法やゲル法などによって製造できる。
球状シリカ粒子は、樹脂組成物に混合する場合、樹脂との密着性を向上させるため、表面処理を施すことができる。例えば、シラン系、チタネート系、アルミネート系、ジルコネート系の各種カップリング剤、カチオン、アニオン、両性、中性の各種界面活性剤を混合することができる。
〈樹脂組成物:第2発明〉
本発明の樹脂組成物は、上述した本発明の球状シリカ粒子と、カチオン重合性化合物とを有する組成物である。本樹脂組成物は半導体素子の封止に用いることができるほか、基板材料、無機ペースト、接着剤、コーティング剤、精密成形樹脂などに用いることができる。
球状シリカ粒子については上述した通りなので更なる説明は省略する。球状シリカ粒子は全体の質量を基準として40質量%以上含有することが望ましく、更には50質量%以上含有することがより望ましい。
カチオン重合性化合物は、エポキシ樹脂、オキシラン樹脂、オキセタン化合物、環状エーテル化合物、環状ラクトン化合物、チイラン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物、ビニル化合物などが挙げられ、これらの化合物を単独で、又は複数種類混合して用いることができる。
特に、エポキシ樹脂が入手性、取扱性などの観点から好ましい。エポキシ樹脂は特に限定されないが、1分子中に2以上のエポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーが挙げられる。例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂以外の具体例としては、フェニルグリシジルエーテル、エチレンオキシド、エピクロロヒドリンなどのオキシラン化合物;トリメチレンオキサイド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタンなどのオキセタン化合物;テトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテトラヒドロフラン、トリオキサン、1,3−ジオキソフラン、1,3,6−トリオキサシクロオクタンなどの環状エーテル化合物;β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトンなどの環状ラクトン化合物;エチレンスルフィド、3,3−ジメチルチイランなどのチイラン化合物;1,3−プロピンスルフィド、3,3−ジメチルチエタンなどのチエタン化合物;テトラヒドロチオフェン誘導体などの環状チオエーテル化合物;エポキシ化合物とラクトンとの反応によって得られるスピロオルトエステル化合物;スピロオルトカルボナート化合物;環状カルボナート化合物;エチレングリコールジビニルエーテル、アルキルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテルなどのビニル化合物;スチレン、ビニルシクロヘキセン、イソブチレン、ポリブタジエンなどのエチレン性不飽和化合物が例示できる。カチオン重合性化合物としては、エポキシ樹脂及びこれらの化合物を単独で、又は複数種類混合して用いることができる。
〈球状シリカ粒子及びその製造方法:第3発明〉
本発明の球状シリカ粒子は前述の第1発明の球状シリカ粒子と異なり、設定された不純物元素の含有量が400ppm以下に制限されている。また、金属シリコン粉末を酸化して製造する方法に代えて、シリカ原料を高温火炎中で溶融乃至軟化させることで球状化したものである。そのために、真球度は特に限定されない。それ以外の点については概ね第1発明に記載の球状シリカ粒子と同様である。
含有量が制限される不純物元素としては第13族元素全体として制限する場合のほか、第13族元素に属する元素を個別又は任意に組み合わせて制限することもできる。例えば、第13族元素のうちのホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)を個別に又は任意に組み合わせて不純物元素としてその含有量を制限することができる。特に、ホウ素及びアルミニウムの含有量を制限することが望ましく、特にアルミニウムだけについて制限することがより望ましい。
シリカ原料を高温火炎中で溶融乃至軟化させることで球状化するためにはシリカ原料は微粉末状であることが望ましい。特に、シリカ原料の大きさは、球状シリカ粒子として最終的に必要な大きさよりもほぼ同等若しくは大きくすることが望ましい。シリカ原料は火炎中に投入されることで高温に曝され、溶融乃至軟化する。シリカ原料を火炎中に投入する方法は特に限定しないが、火炎を形成するための燃料や酸素などの酸化剤などに混入することで行うことが望ましい。例えば、燃料ガスと酸素ガスとを混合して火炎を形成する場合には燃料ガスや酸素ガス中にシリカ原料を混合して燃焼させる。
シリカ原料としては、天然に産出するシリカ含有鉱物(シリカ含有鉱物としては、例えば、ケイ石、石英など)由来のものを採用し、安価なものにすることができる。不純物元素の含有量を制御するためには、不純物元素の含有量が少ないシリカ含有鉱物を用いた上で、粉末化する際に不純物元素を接触させないようにすることで簡単に不純物元素の含有量が所定値以下のシリカ原料を得ることができる。
不純物元素の含有量として好ましくは150ppm未満が採用できる。更には100ppm以下が採用できる。真球度としては0.7以上が望ましく、更には0.9以上がより望ましい。
更に、粒径は75μm以下が望ましい。75μm以下にすることで半導体パッケージの小型化・薄型化に対応することが容易になる。
〈樹脂組成物:第4発明〉
硬化剤及び硬化触媒を必須構成要素とすること、そして、カチオン重合性化合物に代えてカチオン重合性化合物以外の化合物も含む硬化性樹脂化合物を対象とする点以外は前述の第2発明の樹脂組成物と同じである。硬化剤としては1級アミン、2級アミン、フェノール樹脂、酸無水物を用いることができる。硬化触媒としてはリン系イミダゾール化合物、3級アミンなどが用いられ、その他、ルイス酸も3級アミン、オニウム塩などで錯体にして潜在的加熱触媒として使用することができる。
具体的には硬化剤として、ジアミノジフェニルメタン、無水ヘキサヒドロフタル酸、フェノール樹脂(ノボラック)が挙げられる。また、硬化触媒として、2−メチルイミダゾール、トリフェニルホスフィン、1,8−ジアザビシクロウンデセンが挙げられる。
(試験1)
本発明の球状シリカ粒子及び樹脂組成物について試験例に基づき、更に詳細に説明を行う。各試験例の球状シリカ粒子は図1に示す爆発燃焼装置中に原料粉末を投入することで製造した。
図1の装置は、反応容器15と原料供給部10と生成物分離部20とから構成されている。反応容器15は内壁を耐熱レンガ5にて内張されており、側壁に設けられた排出通路11に連通する排出口11aと、上面側に設けられた原料供給部10に接続されるバーナ8とを有する。
原料供給部10では、原料粉末2を貯蔵するホッパ1と、原料粉末2を搬送するキャリアガス12の通路になるパイプ3と、可燃ガス13の導入通路になるパイプ4との端部が開口する。
生成物分離部20は、排出口11aに一端部が接続される排出通路11と、排出通路11の他端部が接続される粉末集塵装置6と、粉末集塵装置6からの排ガスを排出するブロア7とが配備されている。
この製造装置を用い、まず原料供給部10において、キャリアガス(酸素)12をパイプ3を通じて、可燃ガス(プロパンガス)13をパイプ4を通じて、それぞれ反応容器15内に導入した後、バーナ8で着火して火炎9を形成して反応容器15内を充分に乾燥させた。キャリアガス12は20Nm3/時間、可燃ガスは1.0Nm3/時間の流速で反応容器15内に導入した。
次いで、各試験例にて用いる単一又は混合原料粉末をホッパ1から前記キャリアガス12により10kg/時間の供給速度で、バーナ8を通じて反応容器15内に導入し火炎9中に噴出させることで酸化させた。原料粉末2は酸化により球状シリカ粒子を形成した。
燃焼排ガスはブロア7にて形成された流れにより吸引され、排出口11a及び排出通路11に流れ込んでいく。反応容器15内にて形成された球状シリカ粒子は、そのキャリアガス12の流れに従い、排出口11a、排出通路11、そして粉末集塵装置6の順に流れていき、粉末集塵装置6にて捕集分離される。
(試験例1)
原料粉末として、アルミニウム含有量が960ppmの金属シリコン粉末を用い、球状シリカ粒子を製造した。生成した球状シリカ粒子は平均粒径が0.51μm、比表面積が6.8m2/gであった。球状シリカ粒子中のアルミニウム含有量はICPにて測定した結果、430ppmであった。
(試験例2)
原料粉末として、金属シリコン粉末と、全体に対してアルミニウム含有量が8000ppmになる量のアルミニウム粉末との混合粉末を用い、球状シリカ粒子を製造した。生成した球状シリカ粒子は平均粒径が0.54μm、比表面積が6.5m2/gであった。球状シリカ粒子中のアルミニウム含有量はICPにて測定した結果、3720ppmであった。
(試験例3)
原料粉末として、金属シリコン粉末と、全体に対してアルミニウム含有量が1000ppmになる量の酸化アルミナ(アルミニウムの化合物)粉末との混合粉末を用い、球状シリカ粒子を製造した。生成した球状シリカ粒子は平均粒径が0.52μm、比表面積が7.0m2/gであった。球状シリカ粒子中のアルミニウム含有量はICPにて測定した結果、460ppmであった。
(試験例4)
原料粉末として、金属シリコン粉末と、全体に対してアルミニウム含有量が1000ppmになる量の酢酸アルミニウム(アルミニウムの化合物)粉末との混合粉末を用い、球状シリカ粒子を製造した。生成した球状シリカ粒子は平均粒径が0.50μm、比表面積が7.1m2/gであった。球状シリカ粒子中のアルミニウム含有量はICPにて測定した結果、430ppmであった。
(試験例5)
原料粉末として、アルミニウム含有量が260ppmの金属シリコン粉末を用い、球状シリカ粒子を製造した。生成した球状シリカ粒子は平均粒径が0.52μm、比表面積が6.8m2/gであった。球状シリカ粒子中のアルミニウム含有量はICPにて測定した結果、120ppmであった。
(試験例6)
原料粉末として、アルミニウム含有量が20ppmの金属シリコン粉末を用い、球状シリカ粒子を製造した。生成した球状シリカ粒子は平均粒径が0.57μm、比表面積が5.8m2/gであった。球状シリカ粒子中のアルミニウム含有量はICPにて測定した結果、8.5ppmであった。
(硬化試験)
各試験例の球状シリカ粒子を用いて樹脂組成物を調製して硬化させた上で、それぞれの硬化物について硬化結果及び物性を測定した。各球状シリカ粒子と液状エポキシ樹脂(ZX−1059、東都化成株式会社)とを球状シリカ粒子が全体の質量に対して75質量になるように混合し、試験例1〜6の樹脂組成物とした。試験例7として、試験例6の球状シリカ粒子を用い、硬化剤(2−PHZ、四国化成工業株式会社)を2質量%加えた。
各試験例の樹脂組成物を3本ロールにて分散した後、型(100×10×t4mm)に注入し、脱泡後120℃で、3時間加熱した後、150℃で1時間加熱して硬化させた。硬化の様子及び硬化物の物性を表1に示す。
なお、粒径の測定は株式会社堀場製作所製LA-500を用い、分散媒に水、屈折率を1.1に設定して測定した。比表面積は株式会社島津製作所製Tristar3000を使用し、BET法にて測定した。ICP測定は株式会社島津製作所製ICPS-2000を使用し、シリカを硝酸−フッ酸混合液に溶解させた溶液を加熱濃縮後、イオン交換水で希釈して測定した。曲げ試験はインストロン社製INSTRON5582にて、JISK7171の条件に基づき測定した。具体的には支点間距離64mm、速度2.0mm/分、温度23℃にて4回測定した平均値を算出した。抽出試験は硬化した樹脂片を粉砕機にて粉砕後、1.7mmの篩を通過した画分を試験粉とした。この試験粉を10%イオン交換水に懸濁しスラリーとした状態で耐圧容器中に投入して、95℃、24時間加熱した。その後、ろ過した抽出液を株式会社堀場製作所製導電率メータES-51にて測定した。対照としたイオン交換水の導電率は1.4μS/cmであった。
Figure 0004815209
表より明らかなように、添加元素としてのアルミニウム元素の添加形態によらず、アルミニウムが添加された球状シリカ粒子は、カチオン重合性化合物としてのエポキシ樹脂を硬化させることができた。ここで、球状シリカ粒子中のアルミニウム含有量が硬化に与える影響を考察すると、試験例1及び4、試験例3、そして試験例2の順でアルミニウム含有量が増加するに従い、曲げ強度、曲げ弾性率共に向上することから、アルミニウム含有量が高いほど、硬化後の樹脂の物性が向上できることが判った。なお、アルミニウム含有量430ppmの試験例1及び4でも充分な物性を示していた。
それに対して、アルミニウム含有量が120ppmである試験例5、8.5ppmである試験例6の樹脂組成物は硬化が不十分であった。しかしながら、僅かでもアルミニウム含有量が大きい試験例5の方が試験例6よりも硬化が進行しているものといえた。また、試験例7の樹脂組成物は硬化剤を含有させているので、硬化が充分に進行しているが、抽出液の電気伝導率を比較すると、試験例1〜4の樹脂組成物の硬化物よりも2.2〜3.2倍程度の大きな電気伝導度を示し、残存する硬化剤が溶出していることが推察された。
(試験2)
・試料の調製
(1)アルミニウムの含有量が80ppm以下である球状シリカ粒子としてのシリカA(比表面積1.5m2/g、平均粒径28.5μm)30gと液状エポキシ樹脂ZX−1059(東都化成製)20gとを入れ、遊星式撹拌機にて撹拌し(回転数:2000rpm、時間:5分間)、樹脂組成物としてのシリカ樹脂混合物Aを得た。
(2)アルミニウムの含有量が30ppmである球状シリカ粒子としてのシリカB(比表面積1.8m2/g、平均粒径2.0μm)30gと、液状エポキシ樹脂ZX−1059を20gとを入れ、遊星式撹拌機にて撹拌し(回転数:2000rpm、時間:5分間)、樹脂組成物としてのシリカ樹脂混合物Bを得た。
(3)アルミニウムの含有量が2000ppmである球状シリカ粒子としてのシリカC(比表面積1.8m2/g、平均粒径29.2μm)30gと、液状エポキシ樹脂ZX−1059を20gとを入れ、遊星式撹拌機にて撹拌し(回転数:2000rpm、時間:5分間)、シリカ樹脂混合物Cを得た。
(4)アルミニウムの含有量が300ppmである球状シリカ粒子としてのシリカD(比表面積7m2/g、平均粒径0.5μm)30gと、液状エポキシ樹脂ZX−1059を20gとを入れ、遊星式撹拌機にて撹拌し(回転数:2000rpm、時間:5分間)、シリカ樹脂混合物Dを得た。
・試験
(i)各々のシリカ樹脂混合物A〜Dを製造直後にE型粘度計にて粘度を測定し最小トルクを記録した。
(ii)シリカ樹脂混合物A〜Dをそれぞれ110℃で24時間加熱することで、経時変化を模した。
(iii)加熱終了後、再度、遊星式撹拌機にて再撹拌した。ここで、撹拌条件は製造条件と同様にした。
(iv)E型粘度計にて粘度を測定し最小トルクを記録した。
(v)初期粘度と加熱後の粘度との差を求めた。
結果を表2に示す。
Figure 0004815209
シリカ樹脂混合物A及びBに関しては経時変化による粘度変化がほとんど認められなかったのに対し、シリカ樹脂混合物C及びDは粘度の大幅な上昇が認められた。これはシリカ樹脂混合物C及びDのシリカに含有されるアルミニウム元素(第13族元素)が硬化剤として作用して、エポキシ樹脂の硬化反応が進行したものと推測される。
同様のことは試験例1〜7からも導き出せる。すなわち、試験例1〜4では球状シリカ粒子中のアルミニウム含有量が400ppm超(430ppm、3720ppm、460ppm、430ppm)であり、そのアルミニウムがエポキシ樹脂の硬化反応を進行させているのに対し、試験例5及び6では球状シリカ粒子中のアルミニウム含有量が400ppm以下(120ppm、8.5ppm)であり、硬化反応の進行が遅くなっていることが明らかになった。
実施例にて使用した製造装置の模式断面図である。
符号の説明
15:反応容器
5:耐熱レンガ5 11:排出通路 11a:排出口 8:バーナ
10:原料供給部
1:ホッパ 2:原料粉末 12:キャリアガス 3:パイプ 13:可燃ガス 4:パイプ
20:生成物分離部
11:排出通路 6:粉末集塵装置 7:ブロア

Claims (5)

  1. 質量基準で410ppm以上、4500ppm以下の範囲でアルミニウムが含有され、且つ、金属シリコン粉末を酸素と反応させて製造された、真球度が0.8以上である球状シリカ粒子からなり、カチオン重合性化合物の重合反応を促進させる硬化剤
  2. 前記球状シリカ粒子は、実質的に、アルミニウム、シリコン及び酸素にて構成される請求項1に記載の硬化剤
  3. 前記球状シリカ粒子は、アルミニウムを、そのまま及び/又は化合物として含有する添加物粉末と、金属シリコン粉末との混合物を酸素と反応させて製造された請求項1又は2に記載の硬化剤
  4. エポキシ樹脂である前記カチオン重合性化合物と、請求項1〜3の何れか1項に記載の硬化剤と、を有する樹脂組成物。
  5. 実質的に他の硬化を含まない請求項に記載の樹脂組成物。
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