JP4815209B2 - 硬化剤及び樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明者らは上記課題を解決する目的で鋭意検討を行った結果、以下の知見に想到した。すなわち、一般的に球状シリカ粒子中において、ケイ素及び酸素以外の元素は、不純物と認識され、できる限り除去することが好ましいと考えられていた。しかしながら、アルミニウム元素が樹脂組成物中において硬化剤として作用するばかりか、半導体パッケージにおける封止材に適用した場合でもこれといった悪影響の発現も認められないことを発見した。
本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂である前記カチオン重合性化合物と、硬化剤と、を有することを特徴とする。上述の硬化剤を含有させることで、実質的に他の硬化剤を含まない樹脂組成物も必要に応じて実現できる。
ところで、前述したようなアルミニウム(第13族元素)が発揮する硬化剤としての作用効果は、場合によっては回避した方が好ましい場合も想定される。例えば、硬化前の樹脂組成物の保存性を問題にする場合に、アルミニウムなどの存在により硬化が進行し、粘度が上昇することで、想定する粘度範囲を超えることが考えられる。粘度が想定する範囲よりも高くなると、流動性が悪くなり封入性の低下やワイヤスイープといった好ましくない減少を引き起こす。従って、硬化剤を含有させないことにより適用する樹脂組成物の保存性が向上する。
組成中に含まれる周期表の13族元素からなる不純物元素の含有量が質量基準で400ppm以下であることを特徴とする球状シリカ粒子を発明した。これらの不純物元素の含有量は150ppm未満であることが更に望ましい。特に不純物元素としてはアルミニウム単独についてのみ考慮することもできる。
本発明の樹脂組成物は、前述した(3)に記載の球状シリカ粒子と、その球状シリカ粒子を分散する硬化性樹脂化合物と、そのの硬化剤と、その硬化剤における硬化反応を触媒する触媒と、を有する。エポキシ樹脂などの硬化性樹脂化合物の硬化反応を促進する硬化触媒として作用するアルミニウムなどの含有量を調節した球状シリカ粒子を充填材として採用することで、保存性などに高い性能が発揮できる樹脂組成物が提供できる。
本発明の球状シリカ粒子は真球度(本明細書では、SEMで写真を撮り、その観察される粒子の面積と周囲長から、(真球度)={4π×(面積)÷(周囲長)2}で算出される値として算出する。1に近づくほど真球に近い。具体的には画像処理装置を用いて100個の粒子について測定した平均値を採用する。)が0.8以上である。後述する樹脂組成物などの分散性が要求される用途に適用した場合、粘性の観点などから、特に0.9以上が望ましい。本球状シリカ粒子の平均粒子径は、0.01μm以上10μm以下にすることが望ましい。特に0.1μm以上、5μm以下の範囲が望ましい。そして、球状シリカ粒子として、粒径分布に2以上のピークを有するものを採用することもできる。また、必要に応じて、24μm以上、45μm以上等の粗粒を除去することもできる。
本発明の樹脂組成物は、上述した本発明の球状シリカ粒子と、カチオン重合性化合物とを有する組成物である。本樹脂組成物は半導体素子の封止に用いることができるほか、基板材料、無機ペースト、接着剤、コーティング剤、精密成形樹脂などに用いることができる。
本発明の球状シリカ粒子は前述の第1発明の球状シリカ粒子と異なり、設定された不純物元素の含有量が400ppm以下に制限されている。また、金属シリコン粉末を酸化して製造する方法に代えて、シリカ原料を高温火炎中で溶融乃至軟化させることで球状化したものである。そのために、真球度は特に限定されない。それ以外の点については概ね第1発明に記載の球状シリカ粒子と同様である。
硬化剤及び硬化触媒を必須構成要素とすること、そして、カチオン重合性化合物に代えてカチオン重合性化合物以外の化合物も含む硬化性樹脂化合物を対象とする点以外は前述の第2発明の樹脂組成物と同じである。硬化剤としては1級アミン、2級アミン、フェノール樹脂、酸無水物を用いることができる。硬化触媒としてはリン系イミダゾール化合物、3級アミンなどが用いられ、その他、ルイス酸も3級アミン、オニウム塩などで錯体にして潜在的加熱触媒として使用することができる。
本発明の球状シリカ粒子及び樹脂組成物について試験例に基づき、更に詳細に説明を行う。各試験例の球状シリカ粒子は図1に示す爆発燃焼装置中に原料粉末を投入することで製造した。
原料粉末として、アルミニウム含有量が960ppmの金属シリコン粉末を用い、球状シリカ粒子を製造した。生成した球状シリカ粒子は平均粒径が0.51μm、比表面積が6.8m2/gであった。球状シリカ粒子中のアルミニウム含有量はICPにて測定した結果、430ppmであった。
原料粉末として、金属シリコン粉末と、全体に対してアルミニウム含有量が8000ppmになる量のアルミニウム粉末との混合粉末を用い、球状シリカ粒子を製造した。生成した球状シリカ粒子は平均粒径が0.54μm、比表面積が6.5m2/gであった。球状シリカ粒子中のアルミニウム含有量はICPにて測定した結果、3720ppmであった。
原料粉末として、金属シリコン粉末と、全体に対してアルミニウム含有量が1000ppmになる量の酸化アルミナ(アルミニウムの化合物)粉末との混合粉末を用い、球状シリカ粒子を製造した。生成した球状シリカ粒子は平均粒径が0.52μm、比表面積が7.0m2/gであった。球状シリカ粒子中のアルミニウム含有量はICPにて測定した結果、460ppmであった。
原料粉末として、金属シリコン粉末と、全体に対してアルミニウム含有量が1000ppmになる量の酢酸アルミニウム(アルミニウムの化合物)粉末との混合粉末を用い、球状シリカ粒子を製造した。生成した球状シリカ粒子は平均粒径が0.50μm、比表面積が7.1m2/gであった。球状シリカ粒子中のアルミニウム含有量はICPにて測定した結果、430ppmであった。
原料粉末として、アルミニウム含有量が260ppmの金属シリコン粉末を用い、球状シリカ粒子を製造した。生成した球状シリカ粒子は平均粒径が0.52μm、比表面積が6.8m2/gであった。球状シリカ粒子中のアルミニウム含有量はICPにて測定した結果、120ppmであった。
原料粉末として、アルミニウム含有量が20ppmの金属シリコン粉末を用い、球状シリカ粒子を製造した。生成した球状シリカ粒子は平均粒径が0.57μm、比表面積が5.8m2/gであった。球状シリカ粒子中のアルミニウム含有量はICPにて測定した結果、8.5ppmであった。
各試験例の球状シリカ粒子を用いて樹脂組成物を調製して硬化させた上で、それぞれの硬化物について硬化結果及び物性を測定した。各球状シリカ粒子と液状エポキシ樹脂(ZX−1059、東都化成株式会社)とを球状シリカ粒子が全体の質量に対して75質量になるように混合し、試験例1〜6の樹脂組成物とした。試験例7として、試験例6の球状シリカ粒子を用い、硬化剤(2−PHZ、四国化成工業株式会社)を2質量%加えた。
・試料の調製
(1)アルミニウムの含有量が80ppm以下である球状シリカ粒子としてのシリカA(比表面積1.5m2/g、平均粒径28.5μm)30gと液状エポキシ樹脂ZX−1059(東都化成製)20gとを入れ、遊星式撹拌機にて撹拌し(回転数:2000rpm、時間:5分間)、樹脂組成物としてのシリカ樹脂混合物Aを得た。
(2)アルミニウムの含有量が30ppmである球状シリカ粒子としてのシリカB(比表面積1.8m2/g、平均粒径2.0μm)30gと、液状エポキシ樹脂ZX−1059を20gとを入れ、遊星式撹拌機にて撹拌し(回転数:2000rpm、時間:5分間)、樹脂組成物としてのシリカ樹脂混合物Bを得た。
(3)アルミニウムの含有量が2000ppmである球状シリカ粒子としてのシリカC(比表面積1.8m2/g、平均粒径29.2μm)30gと、液状エポキシ樹脂ZX−1059を20gとを入れ、遊星式撹拌機にて撹拌し(回転数:2000rpm、時間:5分間)、シリカ樹脂混合物Cを得た。
(4)アルミニウムの含有量が300ppmである球状シリカ粒子としてのシリカD(比表面積7m2/g、平均粒径0.5μm)30gと、液状エポキシ樹脂ZX−1059を20gとを入れ、遊星式撹拌機にて撹拌し(回転数:2000rpm、時間:5分間)、シリカ樹脂混合物Dを得た。
(i)各々のシリカ樹脂混合物A〜Dを製造直後にE型粘度計にて粘度を測定し最小トルクを記録した。
(ii)シリカ樹脂混合物A〜Dをそれぞれ110℃で24時間加熱することで、経時変化を模した。
(iii)加熱終了後、再度、遊星式撹拌機にて再撹拌した。ここで、撹拌条件は製造条件と同様にした。
(iv)E型粘度計にて粘度を測定し最小トルクを記録した。
(v)初期粘度と加熱後の粘度との差を求めた。
5:耐熱レンガ5 11:排出通路 11a:排出口 8:バーナ
10:原料供給部
1:ホッパ 2:原料粉末 12:キャリアガス 3:パイプ 13:可燃ガス 4:パイプ
20:生成物分離部
11:排出通路 6:粉末集塵装置 7:ブロア
Claims (5)
- 質量基準で410ppm以上、4500ppm以下の範囲でアルミニウムが含有され、且つ、金属シリコン粉末を酸素と反応させて製造された、真球度が0.8以上である球状シリカ粒子からなり、カチオン重合性化合物の重合反応を促進させる硬化剤。
- 前記球状シリカ粒子は、実質的に、アルミニウム、シリコン、及び酸素にて構成される請求項1に記載の硬化剤。
- 前記球状シリカ粒子は、アルミニウムを、そのまま及び/又は化合物として含有する添加物粉末と、金属シリコン粉末との混合物を酸素と反応させて製造された請求項1又は2に記載の硬化剤。
- エポキシ樹脂である前記カチオン重合性化合物と、請求項1〜3の何れか1項に記載の硬化剤と、を有する樹脂組成物。
- 実質的に他の硬化剤を含まない請求項4に記載の樹脂組成物。
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