JP4814744B2 - 回転対陰極x線管及びx線発生装置 - Google Patents

回転対陰極x線管及びx線発生装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4814744B2
JP4814744B2 JP2006261326A JP2006261326A JP4814744B2 JP 4814744 B2 JP4814744 B2 JP 4814744B2 JP 2006261326 A JP2006261326 A JP 2006261326A JP 2006261326 A JP2006261326 A JP 2006261326A JP 4814744 B2 JP4814744 B2 JP 4814744B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cathode
rotating
passage
refrigerant
counter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006261326A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008084605A (ja
Inventor
裕 稲荷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bruker AXS KK
Original Assignee
Bruker AXS KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bruker AXS KK filed Critical Bruker AXS KK
Priority to JP2006261326A priority Critical patent/JP4814744B2/ja
Publication of JP2008084605A publication Critical patent/JP2008084605A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4814744B2 publication Critical patent/JP4814744B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • X-Ray Techniques (AREA)

Description

本発明は、回転対陰極X線管、及び、それを用いたX線発生装置に係り、特に、対陰極部の冷却性能の向上を図ることにより、輝度の高いフォーカスや幅方向の寸法の長い高出力のフォーカスを作れるようにしたものに関する。
X線発生装置の一つとして、回転対陰極型のX線発生装置がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この回転対陰極型のX線発生装置は、対陰極部を回転させながら、その表面に熱電子を衝突させることにより、X線を発生するものである。
この種の回転対陰極型のX線発生装置においては、対陰極部の表面(対陰極面)が熱電子の衝突によって高温になることから、電子線電流を大きくして強力なX線を発生させるためには、回転速度を高くして、温度の最高値が許容範囲を超さないようにしなければならない。
図6は、特許文献1に記載の従来の回転対陰極X線管の構成を示す断面図である。この回転対陰極X線管は、回転対陰極1と、回転対陰極1を収容する対陰極収容ケース2と、回転対陰極1を回転駆動する電動機3と、電子銃4と、を具備している。
回転対陰極1は、電子銃4から発射された熱電子eの衝突を受けることによって、回転軸線Lと平行な対陰極面13からX線5を発生する中空円筒状の対陰極部11と、対陰極部11に連なる中空円筒状の軸部12とを有している。
対陰極部11は、外周面が熱電子eの衝突を受ける対陰極面13とされた円筒壁11aと、その先端開口面を塞ぐ先端壁11bと、その基端開口面を塞ぐ基端壁11cとを有し、基端壁11cの中心開口の周縁に、中空円筒状の軸部12の先端が結合されている。
回転対陰極1の中空部には、対陰極面13の裏側の被冷却面13aに沿って冷媒が流れるように構成された冷媒通路(冷却ジャケット)30が設けられている。回転対陰極1の内部には、回転対陰極1と同心に円筒管状を呈したセパレータ20が静止状態で配されており、このセパレータ20により、回転対陰極1の内部の冷媒通路30が、被冷却面13aに向かって冷媒が流れる流入通路31と、被冷却面13aから遠ざかるように冷媒が流れる流出通路32とに仕切られている。
流入通路31は、主にセパレータ20と回転対陰極1の間の空間によって構成され、流出通路32は、主にセパレータ20の内側の空間によって構成されており、冷媒は矢印で示す方向に流れる。
セパレータ20の軸部22の先端には、対陰極部11の基端壁11cと平行な円板状隔壁21が設けられており、その円板状隔壁21の外周端に、対陰極部11の被冷却面13aと対面させて、該被冷却面13aとの間に円筒状通路33を形成する円筒隔壁21aが連設されている。
そして、円筒状通路33の軸線方向の一端に、流入通路31の終端部に形成されて回転対陰極1の半径方向内周側から外周側へ向かって冷媒の流れる径方向通路31aの外周端が連通され、円筒状通路33の軸線方向の他端に、流出通路32の始端部に形成されて回転対陰極1の半径方向外周側から内周側へ向かって冷媒の流れる径方向通路32aの外周端が連通されている。
前者の径方向通路31aは、対陰極部11の基端壁11cとセパレータ20の円板状隔壁21との間に確保されたものである。また、後者の径方向通路32aは、対陰極部11の先端壁11bとセパレータ20の円板状隔壁21との間に確保されたものである。
また、対陰極収容ケース2は、対陰極部11及び電子銃4の周囲を真空雰囲気に保つ気密ケース部2aと、回転対陰極1の軸部12に外嵌する軸受8を介して回転対陰極1を回転自在に支持する軸支用ケース部2bとを備えている。
気密ケース部2aの所定位置には、図示のように、対陰極部11から発射された線状のX線5を透過させるX線透過窓2cが設けられている。また、軸支用ケース部2bの後端部(図の右端部)は、セパレータ20の基端部に液密に固定され、更に、軸支用ケース部2bの後端部寄りの位置には、図示のように流入通路31に連通する冷媒供給口2dが設けられている。
また、電動機3は、回転出力部となるロータ3aと、駆動用のコイル3bとからなり、ロータ3aは対陰極部11の外周部近傍に固定され、コイル3bは軸支用ケース部2bに突設された環状部2cに固定され、ロータ3aがコイル3bの外周を囲うように構成されている。なお、図において、符号9aは気密ケース部2a内の真空状態を維持するための気密シールであり、また9bは冷媒が軸受8や電動機3側に流入しないようにする液密シールである。
特開平7−192664号公報 特開2006−179240号公報
ところで、この種の回転対陰極X線管においては、前述したように、回転対陰極1の耐負荷性能を高める方法として、回転対陰極1の更なる高速回転化が検討されている。回転速度の超高速化を実現する方法としては、まず、回転駆動源の性能アップが挙げられるが、その他の有力な方法として、高速回転する回転対陰極1の内部に冷媒を流通させるものであることから、冷媒の流動抵抗をできるだけ小さくして、冷媒が流れやすい条件を作り出すことが挙げられる。
この点、図6に示した従来の回転対陰極X線管では、対陰極部11の被冷却面13aに対向する円筒隔壁21aを静止状態で保持しているので、つまり、円筒隔壁21aをセパレータ20の円板状隔壁21に一体に設けているので、冷媒が、高速回転する壁面(被冷却面13a)と静止した壁面(円筒隔壁21aの外周面)との間を流れることになり、そのため、冷媒の粘性摩擦による大きな流動抵抗を受けることになっていた。従って、回転負荷が大き過ぎて高速回転化に限界が生じていた。
また、図6に示した従来の回転対陰極X線管では、対陰極部11の被冷却面13aに対向する円筒隔壁21aが静止状態であったので、高速化するに当たっては、例えば、特許文献2に記載のように、円筒隔壁21aの長さを短くして粘性抵抗の影響を減らす等の対策を採る必要があった。しかし、そうした場合、その結果として、幅方向の寸法の長いフォーカスを作れなくなるという問題があった。
また、従来の回転対陰極X線管のように、円筒隔壁2が静止している場合は、回転する対陰極部11との間に万一の接触の危険が存在していた。
本発明は、上記事情を考慮し、回転対陰極を超高速で回転させることができて、それにより、性能のアップが図れると共に、幅方向の寸法の長いフォーカスを取ることができ、しかも、セパレータと対陰極部の接触の危険を無くした回転対陰極X線管、及び、その回転対陰極X線管を使用したX線発生装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明の回転対陰極X線管は、外周面が熱電子の衝突を受ける対陰極面とされた円筒状の対陰極部を有する回転対陰極と、該回転対陰極の内部に形成され、前記対陰極面の裏側の被冷却面に沿って冷媒が流れるように構成された冷媒通路と、前記回転対陰極の内部に静止状態で配置され、前記冷媒通路を、前記被冷却面に向かって冷媒が流れる流入通路と前記被冷却面から遠ざかるように冷媒が流れる流出通路とに仕切るセパレータと、を具備する回転対陰極X線管において、前記被冷却面の内周側に該被冷却面と対面させて、該被冷却面との間に円筒状通路を形成する円筒隔壁を、前記回転対陰極と一体に形成することで配置し、前記円筒状通路の軸線方向の一端に前記流入通路を連通させると共に、他端に前記流出通路を連通させたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の回転対陰極X線管であって、前記円筒状通路の軸線方向の一端に連通された前記流入通路の終端部に、前記回転対陰極の半径方向内周側から外周側へ向かって冷媒の流れる径方向通路が設けられており、その径方向通路中に、前記回転対陰極の回転軸線を中心とする放射状に形成され、且つ、回転対陰極に一体に形成されることで、回転対陰極と一体に回転し、それにより、前記径方向通路を流れる冷媒に対して回転エネルギを付与する回転翼が設けられていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の回転対陰極X線管であって、前記円筒状通路の軸線方向の他端に連通された前記流出通路の始端部に、前記回転対陰極の半径方向外周側から内周側へ向かって冷媒の流れる径方向通路が設けられており、その径方向通路中に、前記回転対陰極の回転軸線を中心とする放射状に形成され、且つ、静止状態に保持されることで、前記径方向通路を流れる冷媒の回転エネルギを減殺する固定翼が設けられていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載の回転対陰極X線管であって、前記固定翼として、回転エネルギを持つ冷媒の流れに沿った方向に渦巻いた渦巻き羽根が設けられており、その渦巻き羽根の外周側に位置させて、前記円筒状通路から出て来た冷媒を前記固定翼に案内する案内翼が、前記回転対陰極に固定して設けられていることを特徴とする。
請求項5の発明のX線発生装置は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転対陰極X線管と、該回転対陰極X線管の冷媒通路に冷媒を供給する冷媒供給装置と、前記回転対陰極X線管に管電圧と管電流を供給する高圧電源と、を備えることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、冷媒が対陰極面の裏側の被冷却面と円筒隔壁との間に形成された円筒状通路を流れることで、対陰極部が冷却される。その際、円筒隔壁は、対陰極部と一緒に回転するため、円筒状通路を流れる冷媒は、粘性摩擦による抵抗をあまり受けない。即ち、従来例では、高速回転する壁面と静止した壁面との間を冷媒が流れるので、冷媒の粘性摩擦による大きな抵抗を受けることになっていたが、本発明では、同じ回転をする2つの壁面間を冷媒が流れるので、この段階での粘性摩擦による抵抗をほとんど受けなくなる。従って、回転対陰極の回転負荷が低減し、また、冷媒の流通抵抗が低減することによって、回転対陰極の大幅な高速回転化が可能となる。例えば、従来では最大でも10000rpm付近が限界であったが、30000rpm近辺の超高速化も実現可能となる。
また、従来例のように対陰極部の被冷却面に対向する円筒隔壁が静止状態である場合には、円筒隔壁と被冷却面との間を流通する冷媒の粘性抵抗が回転対陰極の回転負荷として働くので、高速化するに当たっては、円筒隔壁の長さを短くする等の対策を採ることが必要となり、その結果として、幅方向の寸法の長いフォーカスを作れなくなるおそれがあったが、本発明によれば、冷媒の粘性抵抗の影響を考慮することなく、円筒隔壁の長さを自由に設定できるようになるので、幅方向の寸法の長い高出力のフォーカスを作れるようになる。
また、従来例のように円筒隔壁が静止している場合は、回転する対陰極部との間に万一の接触の危険が存在していたが、円筒隔壁を回転対陰極に一体に設けたことにより、円筒隔壁を被冷却面にたとえ接近して設けても、回転時の接触の危険を無くすことができる。
請求項2の発明によれば、回転対陰極と一緒に回転する回転翼によって、流入通路の終端部を流れる冷媒に対して積極的に回転エネルギを付与することができるので、回転する冷媒に作用する遠心力によって、円筒状通路に向かう冷媒の流れを助長することができる。従って、回転翼を設けるだけで、冷媒が流れやすい条件を作り出すことができ、回転対陰極の冷却性能の向上が図れる。
請求項3の発明によれば、静止状態に保持された固定翼によって、流出通路の始端部を流れる冷媒の回転エネルギを減殺することができるので、回転する冷媒に作用する遠心力をできるだけ減らすことができて、それにより、冷媒が流れやすい条件を作り出すことができ、回転対陰極の冷却性能の向上が図れる。
また、流入通路の終端部に回転翼を設けると共に、流出通路の始端部に固定翼を設けた場合は、冷媒が内周側から外周側へ向かって流通するときは、遠心力によってその流れを助長することができ、外周側から内周側へ向かって流通するときは、遠心力を減殺することによって、内周側へ冷媒が流れやすくすることができ、対陰極部内にポンプ作用を発生させることができる。従って、冷媒通路に冷媒が流れやすい条件を作り出すことができ、回転対陰極の冷却性能の向上が図れる。
請求項4の発明によれば、固定翼が渦巻き羽根によって構成されており、その外周側に位置させて案内翼が設けられているので、冷媒の回転エネルギをスムーズに減殺しながら、流動抵抗を増大させずに冷媒を流出通路に導くことができる。
請求項5の発明によれば、回転対陰極X線管が上記の効果を奏するので、輝度の高いX線を発生することができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は実施形態の回転対陰極X線管の断面図、図2は図1のII−II矢視断面図、図3は図1のIII−III矢視断面図である。
この回転対陰極X線管は、回転対陰極1と、回転対陰極1を収容する対陰極収容ケース2と、回転対陰極1を回転駆動する電動機3と、電子銃4と、を具備している。
回転対陰極1は、電子銃4から発射された熱電子eの衝突を受けることによって、回転軸線Lと平行な対陰極面13からX線5を発生する中空円筒状の対陰極部11と、対陰極部11に連なる中空円筒状の軸部12とを有している。
対陰極部11は、外周面が熱電子eの衝突を受ける対陰極面13とされた円筒壁11aと、その先端開口面を塞ぐ先端壁11bと、その基端開口面を塞ぐ基端壁11cとを有し、基端壁11cの中心開口の周縁に、中空円筒状の軸部12の先端が結合されている。
また、回転対陰極1の中空部には、対陰極面13の裏側の被冷却面13aに沿って冷媒が流れるように構成された冷媒通路(水冷ジャケット)30が設けられている。回転対陰極1の内部には、回転対陰極1と同心に円筒管状を呈したセパレータ20が静止状態で配されており、このセパレータ20により、回転対陰極1の内部の冷媒通路30が、被冷却面13aに向かって冷媒が流れる流入通路31と、被冷却面13aから遠ざかるように冷媒が流れる流出通路32とに仕切られている。
流入通路31は、主にセパレータ20と回転対陰極1の間の空間によって構成され、流出通路32は、主にセパレータ20の内側の空間によって構成されており、冷媒は矢印で示す方向に流れる。
また、対陰極部11の被冷却面13aの内周側には、被冷却面13aと平行に対面させて、被冷却面13aとの間に円筒状通路33を形成する円筒隔壁11fが配置されている。この場合の円筒隔壁11fは、従来例のようにセパレータ20側にではなく、回転対陰極1側に一体に形成されており、回転対陰極1と一緒に回転するようになっている。
そして、円筒状通路33の軸線方向の一端に、流入通路31の終端部に形成されて回転対陰極1の半径方向内周側から外周側へ向かって冷媒の流れる径方向通路31a(後述)の外周端が連通され、また、円筒状通路33の軸線方向の他端に、流出通路32の始端部に形成されて回転対陰極1の半径方向外周側から内周側へ向かって冷媒の流れる径方向通路32aの外周端が連通されている。
また、対陰極部11の基端壁11cの前面側には回転翼部(回転翼)11dが設けられている。この回転翼部11dは、図2に示すように、肉厚の壁部にその内周面から外周面に連通する複数の翼内通路11eを放射状に設けることにより構成されている。これら翼内通路11eは、回転対陰極1の回転軸線Lを中心とする半径方向に沿って直線状に貫通しており、これら翼内通路11eが、前述の、回転対陰極1の半径方向内周側から外周側へ向かって冷媒の流れる径方向通路31aに相当している。
このように翼内通路11eを放射状に複数設けたことにより、回転対陰極1が回転した際に、この通路11eを流通する冷媒に、回転エネルギを付与することができる。
また、前記の円筒隔壁11fは、その外周面が回転翼部11dの外周面と面一となるように設定されており、円筒状通路33の軸線方向の一端に、前記翼内通路11eの各外周端が連通している。
これら各翼内通路11eの内周端は、セパレータ20の軸部22と回転対陰極1の軸部12の間の空間の先端部に連通しており、その連通部分よりも先端側に、セパレータ20と回転対陰極1の間をシールする液密シール38が設けられている。これにより、回転翼部11dの翼内通路11eが、流入通路31の終端部に位置している。
また、セパレータ20の軸部22の先端には、回転翼部11dの前端面と平行な小径の円板状隔壁21が設けられており、その円板状隔壁21の前面に固定翼23が設けられている。固定翼23は、流出通路32の始端部の、回転対陰極1の半径方向外周側から内周側へ向かって冷媒の流れる径方向通路32a中に存在している。
固定翼23は、回転対陰極1の回転軸線Lを中心とする放射状に形成されており、静止状態に保持されていることで、径方向通路32aを流れる冷媒の回転エネルギを減殺する役目を果たす。
この場合の固定翼23としては、図3に示すように、回転対陰極1が矢印R方向に回転した際に、回転エネルギを持つ冷媒の流れに沿った方向に渦巻いた渦巻き羽根が設けられており、その渦巻き羽根の外周側に位置させて、対陰極部11の回転翼部11dの前面と円筒隔壁11fの内周面との間に、円筒状通路33から出て来た冷媒を固定翼23に案内する案内翼11gが設けられている。
その他の構成は、図6に示したものと同様であり、対陰極収容ケース2は、対陰極部11及び電子銃4の周囲を真空雰囲気に保つ気密ケース部2aと、回転対陰極1の軸部12に外嵌する軸受8を介して回転対陰極1を回転自在に支持する軸支用ケース部2bとを備えている。
気密ケース部2aの所定位置には、図示のように、対陰極部11から発射された線状のX線5を透過させるX線透過窓2cが設けられている。また、軸支用ケース部2bの後端部(図の右端部)は、セパレータ20の基端部に液密に固定され、更に、軸支用ケース部2bの後端部寄りの位置には、図示のように流入通路31に連通する冷媒供給口2dが設けられている。
また、電動機3は、回転出力部となるロータ3aと、駆動用のコイル3bとからなり、ロータ3aは対陰極部11の外周部近傍に固定され、コイル3bは軸支用ケース部2bに突設された環状部2cに固定され、ロータ3aがコイル3bの外周を囲うように構成されている。なお、図において、符号9aは気密ケース部2a内の真空状態を維持するための気密シールであり、また9bは冷媒が軸受8や電動機3側に流入しないようにする液密シールである。
このような構成の回転対陰極X線管では、冷媒が対陰極面13の裏側の被冷却面13aと円筒隔壁11fとの間に形成された円筒状通路33を流れることで、対陰極部11が冷却される。その際、円筒隔壁11fは、対陰極部11と一緒に回転するため、円筒状通路33を流れる冷媒は、粘性摩擦による抵抗をあまり受けなくなる。即ち、従来例では、高速回転する壁面と静止した壁面との間を冷媒が流れるので、冷媒の粘性摩擦による大きな抵抗を受けることになっていたが、本発明の回転対陰極X線管では、同じ回転をする2つの壁面(被冷却面13aと円筒隔壁11fの外周面)間を冷媒が流れるので、この段階での粘性摩擦による抵抗をほとんど受けなくなる。従って、回転対陰極1の回転負荷が低減し、また、冷媒の流通抵抗が低減することによって、回転対陰極1の大幅な高速回転化が可能となる。
図4は本発明の回転対陰極X線管のモータ負荷についての実験結果を示すグラフである。曲線Gは図6の従来例、曲線Hは図1の本発明の特性線である。グラフの横軸は回転対陰極1の回転速度、縦軸は電動機3のコイル3bに流す電流である。従来例では、回転速度を8000〜9000rpmまで上昇させることができたが、本発明では、同様の電流で20000rpm付近にまで上昇させることができた。
また、従来例のように対陰極部11の被冷却面13aに対向する円筒隔壁が静止状態にあった場合は、円筒隔壁と被冷却面との間を流通する冷媒の粘性抵抗が回転対陰極の回転負荷として働くので、高速化するに当たっては、円筒隔壁の長さを短くする等の対策を採ることが必要となり、その結果として、幅方向の寸法の長いフォーカスを作れなくなるおそれがあったが、上記実施形態の回転対陰極X線管では、冷媒の粘性抵抗の影響を考慮することなく、円筒隔壁23の長さを自由に設定できるようになるので、幅方向の寸法の長い高出力のフォーカスを作れるようになる。
また、従来例のように円筒隔壁が静止している場合は、回転する対陰極部11との間に万一の接触の危険が存在していたが、上記実施形態の回転対陰極X線管においては、円筒隔壁23を回転対陰極1に一体に設けていることにより、円筒隔壁23を被冷却面にたとえ接近して設けても、回転時の接触の危険を無くすことができる。
また、上記実施形態の回転対陰極X線管では、回転対陰極1と一緒に回転する回転翼部(回転翼)11dによって、流入通路31の終端部を流れる冷媒に対して積極的に回転エネルギを付与することができるので、回転する冷媒に作用する遠心力によって、円筒状通路33に向かう冷媒の流れを助長することができる。従って、回転翼部11dを設けるだけで、冷媒が流れやすい条件を作り出すことができ、回転対陰極1の冷却性能の向上が図れる。
また、上記実施形態の回転対陰極X線管では、静止状態に保持された固定翼23によって、流出通路32の始端部を流れる冷媒の回転エネルギを減殺することができるので、回転する冷媒に作用する遠心力をできるだけ減らすことができて、それにより、冷媒が流れやすい条件を作り出すことができ、回転対陰極1の冷却性能の向上が図れる。
また、上記実施形態の回転対陰極X線管では、固定翼23が渦巻き羽根によって構成されており、その外周側に位置させて案内翼11gが設けられているので、冷媒の回転エネルギをスムーズに減殺しながら、流動抵抗を増大させずに冷媒を流出通路32に導くことができる。
図5は、回転対陰極1の回転数と冷却水の供給水圧の関係を示している。ここでは、冷却水の流量は8リットル/minとしてある。この図の特性線から、回転数が低い段階では供給水圧を高く設定する必要があるが、回転数が高くなるにつれて、供給水圧を小さく設定することができるようになることが分かる。これは、回転数が高くなるにつれ、回転翼部11dと固定翼23の組み合わせによるポンプ作用が強まってきて、その分、供給水圧を低減できることを示している。つまり、それだけ回転翼部11dと固定翼23の効果が顕著であることが確認できる。
また、上記の構成の回転対陰極X線管を用いることによって、性能の良いX線発生装置を構成することができる。その場合のX線発生装置は、回転対陰極X線管と高圧電源と冷媒供給装置とで構成する。高圧電源は、回転対陰極X線管の電子銃4の陰極フィラメントと回転対陰極1(接地電位)との間に管電圧を印加して、管電流を流すものである。陰極フィラメントには回転対陰極1に対して負の高電圧が印加される。陰極フィラメントからは回転対陰極1の対陰極面13に対して熱電子(電子ビーム)が照射され,その照射領域からX線5が発生する。
冷媒供給装置は、回転対陰極X線管の冷媒供給口2dから冷媒(例えば冷却水)を導入し、セパレータ20の軸部22の基端部の出口から排出する。この戻り冷媒(冷却水)はそのまま放出してもよいし,冷媒供給装置で冷却して再循環させてもよい。
このようにX線発生装置を構成した場合は、回転対陰極X線管自体が上記の効果を奏するので、輝度の高いフォーカスや幅寸法の寸法の長い高出力のフォーカスのX線を発生することができる。
本発明の実施形態の縦断面図である。 図1のII−II矢視断面図である。 図1のIII−III矢視断面図である。 本発明の実施形態と従来例の性能を比較する特性図である。 本発明の実施形態において、回転対陰極の回転数と冷却水の供給水圧の関係を調査した結果を示す特性図である。 従来例の縦断面図である。
符号の説明
1 回転対陰極
11 対陰極部
11d 回転翼部(回転翼)
11f 円筒隔壁
11g 案内翼
13 対陰極面
13a 被冷却面
20 セパレータ
23 固定翼
30 冷媒通路
31 流入通路
31a 径方向通路
32 流出通路
32a 径方向通路
33 円筒状通路
L 回転軸線

Claims (5)

  1. 外周面が熱電子の衝突を受ける対陰極面とされた円筒状の対陰極部を有する回転対陰極と、
    該回転対陰極の内部に形成され、前記対陰極面の裏側の被冷却面に沿って冷媒が流れるように構成された冷媒通路と、
    前記回転対陰極の内部に静止状態で配置され、前記冷媒通路を、前記被冷却面に向かって冷媒が流れる流入通路と前記被冷却面から遠ざかるように冷媒が流れる流出通路とに仕切るセパレータと、
    を具備する回転対陰極X線管において、
    前記被冷却面の内周側に該被冷却面と対面させて、該被冷却面との間に円筒状通路を形成する円筒隔壁を、前記回転対陰極と一体に形成することで配置し、
    前記円筒状通路の軸線方向の一端に前記流入通路を連通させると共に、他端に前記流出通路を連通させたことを特徴とする回転対陰極X線管。
  2. 請求項1に記載の回転対陰極X線管であって、
    前記円筒状通路の軸線方向の一端に連通された前記流入通路の終端部に、前記回転対陰極の半径方向内周側から外周側へ向かって冷媒の流れる径方向通路が設けられており、その径方向通路中に、前記回転対陰極の回転軸線を中心とする放射状に形成され、且つ、回転対陰極に一体に形成されることで、回転対陰極と一体に回転し、それにより、前記径方向通路を流れる冷媒に対して回転エネルギを付与する回転翼が設けられていることを特徴とする回転対陰極X線管。
  3. 請求項1または2に記載の回転対陰極X線管であって、
    前記円筒状通路の軸線方向の他端に連通された前記流出通路の始端部に、前記回転対陰極の半径方向外周側から内周側へ向かって冷媒の流れる径方向通路が設けられており、その径方向通路中に、前記回転対陰極の回転軸線を中心とする放射状に形成され、且つ、静止状態に保持されることで、前記径方向通路を流れる冷媒の回転エネルギを減殺する固定翼が設けられていることを特徴とする回転対陰極X線管。
  4. 請求項3に記載の回転対陰極X線管であって、
    前記固定翼として、回転エネルギを持つ冷媒の流れに沿った方向に渦巻いた渦巻き羽根が設けられており、その渦巻き羽根の外周側に位置させて、前記円筒状通路から出て来た冷媒を前記固定翼に案内する案内翼が、前記回転対陰極に固定して設けられていることを特徴とする回転対陰極X線管。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転対陰極X線管と、該回転対陰極X線管の冷媒通路に冷媒を供給する冷媒供給装置と、前記回転対陰極X線管に管電圧と管電流を供給する高圧電源と、を備えることを特徴とするX線発生装置。
JP2006261326A 2006-09-26 2006-09-26 回転対陰極x線管及びx線発生装置 Active JP4814744B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006261326A JP4814744B2 (ja) 2006-09-26 2006-09-26 回転対陰極x線管及びx線発生装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006261326A JP4814744B2 (ja) 2006-09-26 2006-09-26 回転対陰極x線管及びx線発生装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008084605A JP2008084605A (ja) 2008-04-10
JP4814744B2 true JP4814744B2 (ja) 2011-11-16

Family

ID=39355252

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006261326A Active JP4814744B2 (ja) 2006-09-26 2006-09-26 回転対陰極x線管及びx線発生装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4814744B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2517671A (en) 2013-03-15 2015-03-04 Nikon Metrology Nv X-ray source, high-voltage generator, electron beam gun, rotary target assembly, rotary target and rotary vacuum seal
DE102017002210A1 (de) * 2017-03-08 2018-09-13 Heuft Systemtechnik Gmbh Kühlvorrichtung für Röntgengeneratoren

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4945562A (en) * 1989-04-24 1990-07-31 General Electric Company X-ray target cooling
JP3148273B2 (ja) * 1991-04-02 2001-03-19 理学電機株式会社 回転対陰極x線発生装置
JPH0729736U (ja) * 1993-10-29 1995-06-02 株式会社島津製作所 回転対陰極x線管
JP2000251810A (ja) * 1999-03-02 2000-09-14 Rigaku Corp X線管ターゲット
JP4210645B2 (ja) * 2004-12-21 2009-01-21 株式会社リガク 回転対陰極x線管およびx線発生装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008084605A (ja) 2008-04-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7042265B2 (ja) 分離された冷却気路を備えたターボ圧縮機
US20150214817A1 (en) Motor having cooling function
JP6674753B2 (ja) 電動冷却剤ポンプ
US9132542B2 (en) Power tool
US4013384A (en) Magnetically driven centrifugal pump and means providing cooling fluid flow
JP6127840B2 (ja) 電動工具
US20050269884A1 (en) Electric tool
JP6181609B2 (ja) エアパージ構造を備えた電動機
KR20160118612A (ko) 전동식 워터 펌프
JP4814744B2 (ja) 回転対陰極x線管及びx線発生装置
EP3032713B1 (en) Electrical machine with reduced windage
KR101040755B1 (ko) 베어링 냉각장치
KR101859542B1 (ko) 냉각 효과를 구비한 모터 구조
EP2710977B1 (en) Drive motor of dental handpiece
JP4423271B2 (ja) 電動機
US20040264645A1 (en) Apparatus with a rotationally driven body in a fluid-filled housing
JP5257607B2 (ja) 外囲器回転型x線管装置
JP4210645B2 (ja) 回転対陰極x線管およびx線発生装置
CN113948357B (zh) 包括用于产生x射线的阳极的x射线源设备
US10892134B2 (en) X-ray generator
US12060887B2 (en) Fan with cover plate on the rotor bell
US20230216377A1 (en) Air flow control apparatus
JP2014100024A (ja) 回転電機
JP4629739B2 (ja) 回転対陰極x線管の使用方法
JP3148273B2 (ja) 回転対陰極x線発生装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090305

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110804

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110811

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110826

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4814744

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140902

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250