JP4814573B2 - 置換又は無置換の飽和炭化水素の製造方法 - Google Patents

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本発明は、置換又は無置換の飽和炭化水素の製造方法に関する。本発明により製造された炭化水素は、界面活性剤の中間体等に使用できる。
3〜C20(以下、炭素数3〜20の炭化水素を中鎖長とする)のハロゲン化炭化水素の合成方法として、テロメリゼーションが知られている。テロメリゼーションとは、テロゲン(XYで表される化合物)とタキソゲン(Mで表される不飽和炭化水素)とを反応させ、テロマー(XMnY)を得る反応である。
例えば、ポリフルオロカーボンハライドは、ペルフルオロカーボンヨージド(テロゲン)及びオレフィン(タキソゲン)を光照射下又は高温高圧下で反応させることにより得られる。ペルフルオロカーボンヨージドとしてCF3I、C25I、及びI(CF22Iを用い、オレフィンとしてC24を用いる場合、Cn2n+1I(n=4,6)及びI(CF2nI(n≧4)が得られる(非特許文献1及び2参照)。
しかし、これらの文献に記載された光反応の条件では、生成したテロマーが再び解離してラジカルとなり、このラジカルが気相のC24とさらに反応して高分子量のペルフルオロカーボンハライドを生成する。その結果、重合度の制御が難しく、中鎖長の化合物の選択率が低下してしまうという問題がある。熱反応の場合には、200℃の高温下で反応を行うために反応圧力が2MPaを超え、高価な耐圧容器を必要とする。それに加え、光反応と同様に、重合度の制御が難しく選択率が低いという問題もある。従って、これらの方法は工業的なものとはいえない。
これらの不利益を解消するため、光反応を応用した新しい方法も種々考案されている。例えば、50〜150℃及び8〜25kPaの条件下で中圧水銀灯を光源とし、BrCF2Br及びC24の気相反応によりポリフルオロカーボンブロミドが合成された(非特許文献3)。しかし、この方法においても生成物の分布は広く、目的化合物を選択的に得ることは難しい。
KrFレーザー光や高圧Xe灯の波長248±10nmの光、またはメタノールフィルターを透過させた低圧水銀灯の光を照射して、BrC24Br及びC24からBrC48Brを気相及び液相で合成する方法も報告されている(特許文献1)。しかし、この方法では光エネルギーの利用率が低く、長時間に渡る反応制御が困難である。
中圧水銀灯を光源とし、20〜150℃及び10〜100kPaの減圧条件下で、ペルフルオロカーボンハライド及びオレフィンを気相で反応させる方法も報告されている(非特許文献4)。しかし、減圧下での反応では空気の混入に起因する酸素ラジカルによって反応が阻害されやすい。その一方、反応圧力を上げると多量の固体状ポリマーが発生し、目的の中鎖長ペルフルオロカーボンハライドの収率及び選択率が低下する。それに加え、この方法においてテロゲンとしてペルフルオロカーボンモノブロマイド(例えば、CF3Br及びFC24Br)を使用すると、副生成物としてペルフロカーボンジブロマイドが生じ、目的化合物からの分離が困難となるという問題があった。
ドイツ国特許4,025,154号明細書 Haszeldine, J.Chem.Soc.,3761(1953) Bedfbrd及びBaum, J.Org.Chem.,45,347(1980) Ashtonら, Trans. Far Soc. 70, 299 (1974). Zhangら, J. Fluorine. Chem. 88, 153 (1998).
本発明は上記のような事情に鑑みなされたものであり、中鎖長の置換又は無置換の炭化水素を高選択率で安価かつ簡便に製造する方法を提供することを目的とする。特に、炭素数3〜14のポリフルオロカーボンハライド及びペルフルオロカーボンを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らはこれらの課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、置換又は無置換の飽和炭化水素(テロゲン)及びオレフィン化合物(タキソゲン)を撹拌下で接触させて光照射によって反応させることにより、重合度を制御して目的の化合物を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
通常、反応系を撹拌すると重合が促進され、高分子量の生成物、例えば固体状ポリマーや長鎖長ペルフルオロカーボンハライドが生じやすい。しかし、本発明の製造方法では、後述のテロゲン及びタキソゲンを用い撹拌下で反応させることにより、目的の中鎖長テロマーが選択的に得られることを見出した。
即ち本発明は以下のものを提供する。
[1] 式(1):
11
(式中、X1は、直鎖又は分枝状である置換又は無置換の飽和炭化水素基であり、該炭化水素基の炭素数は1〜18の範囲にある;Y1はH、F、Cl、Br、又はIから選択される)
で表される化合物、及び
式(2):
Figure 0004814573
(式中、R11、R12、R13、及びR14は、独立してH、F、Cl、Br、I、及び、直鎖又は分枝状である置換又は無置換の炭化水素基から選択され、同じであっても異なってもよい;式(2)の化合物の炭素数は、2〜6の範囲にある)
で表される化合物を、撹拌及び光照射下で反応させ、式(3):
Figure 0004814573
(式中、nは1〜10の範囲にある整数であり、X1、Y1、R11、R12、R13、及びR14は式(1)及び(2)に記載の通りである)
で表される化合物を得る工程を含む、式(3)の化合物の製造方法。
[2] 撹拌され光照射されている、式(1)で表される化合物を含む液体に、式(2)で表される化合物を含む気体を接触させることによって、式(1)の化合物及び式(2)の化合物を反応させ、式(3)で表される化合物を得る工程を含む、式(3)の化合物の製造方法。
[3] 式(1)の化合物及び式(2)の化合物の反応が、N2、He、Ne、Ar、Xe、CF4、C26、C38、C410、SF6、又はそれらの組み合わせを含む気体の存在下で行われる、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 2.5 ≦ Int1/Q1 ≦300
(Q1は式(1)の化合物の体積(L)、Int1は照射光強度(W)を表す)
の条件を満たす[1]〜[3]の何れかに記載の製造方法。
[5] 撹拌され光照射されている式(2)で表される化合物を含む気体に、式(1)で表される化合物を噴霧することによって、式(1)の化合物と式(2)の化合物を反応させ、式(3)で表される化合物を得る工程を含む、式(3)の化合物の製造方法。
[6] 式(2)の化合物を含む気体が、N2、He、Ne、Ar、Xe、CF4、C26、C38、C410、SF6、又はその組み合わせをさらに含む、[5]に記載の製造方法。
[7] 式(1)の化合物が、N2、He、Ne、Ar、Xe、CF4、C26、C38、C410、SF6、又はその組み合わせを含む気体とともに噴霧される、[5]又は[6]に記載の製造方法。
[8] 撹拌が回転撹拌及び/又は循環撹拌によって行われる[1]〜[7]の何れかに記載の方法。
[9] 式(1)の化合物が直鎖状である[1]〜[8]の何れかに記載の方法。
[10] Y1がBrである[1]〜[9]の何れかに記載の方法。
[11] 式(1)の化合物の炭素数が2である、[1]〜[10]の何れかに記載の製造方法。
[12] 式(2)のR11、R12、R13、及びR14が独立してH、F、Cl、及びCF3から選択される、[1]〜[11]の何れかに記載の製造方法。
[13] 式(2)の化合物がC24、C2HF3、C222、C23F、C24、又はC36である[1]〜[12]の何れかに記載の製造方法。
[14] 式(3)の化合物の炭素数が3〜20の範囲にある[1]〜[13]の何れかに記載の製造方法。
[15] nが1である[1]〜[14]の何れかに記載の製造方法。
[16] 反応が101kPa〜270kPaの範囲にある圧力で行われる[1]〜[15]の何れかに記載の方法。
[17] 照射光が紫外光である[1]〜[16]の何れかに記載の方法。
本発明の製造方法でテロゲンとして用いられる化合物は、式(1):
11
(式中、X1は、直鎖又は分枝状である置換又は無置換の飽和炭化水素基であり、該炭化水素基の炭素数は1〜18の範囲にある;Y1はH、F、Cl、Br、又はIから選択される)
で表される、直鎖又は分枝状である置換又は無置換の飽和炭化水素である。
式(1)の化合物は、好ましくはハロゲン置換の直鎖又は分枝状飽和炭化水素であり、ハロゲン置換とはF置換、Cl置換、Br置換、及びI置換を含み、F、Cl、Br、Iの2以上で置換されてもよい。式(1)の化合物の炭素数は、好ましくは1〜14、さらに好ましくは1〜6の範囲にあり、例えば2である。式(1)の化合物がハロゲン置換飽和炭化水素である場合、ハロゲンがY1となりうる。ハロゲンは、好ましくはCl,Br及びIであり、さらに好ましくはBr及びIであり、より好ましくはBrである。
式(1)の化合物の例として、C410、C512、C614、C716、C818、C920,C1022,C1226,C1430,CH22,C242,C362、C482、C5102、CH2Br2、C24Br2、C36Br2、C48Br2、CH22、C242、C362、C482、CF2Br2、C24Br2、C36Br2、C48Br2、CF22、C242、C362、C482、C5102、C2222、C222Br2、C222Br2、C44Br42が挙げられるが、これらに限定されない。なお、上記の式は全ての異性体を含み、例えばC410はCH3(CH22CH3、(CH32CHCH3を含む。
本発明の製造方法でタキソゲンとして用いられる式(2):
Figure 0004814573
(式中、R11、R12、R13、及びR14は、独立してH、F、Cl、Br、I、及び、直鎖又は分枝状である置換又は無置換の炭化水素基から選択され、同じであっても異なってもよい)
の化合物は、反応条件下で気体であることが好ましい。
11、R12、R13、及びR14が炭化水素基である場合、該炭化水素基は好ましくはハロゲン置換炭化水素基である。ハロゲン置換とはF置換、Cl置換、Br置換、及びI置換を含み、F、Cl、Br、Iの2以上で置換されてもよい。該炭化水素基にC=Cなどの不飽和結合が含まれる場合、そのような不飽和結合もテロメリゼーションに関与することがある。反応系を複雑にしない観点からは、上記炭化水素基は飽和炭化水素基であることが好ましい。
目的の最終生成物が直鎖状である場合、R11、R12、R13、及びR14はH,F,Cl,及びF置換炭化水素基から選択される。F置換炭化水素基は、好ましくはCpqr(pは1〜3の範囲にある整数であり、q及びrはq+r=2p+1を充たす1以上の整数である)で表されるF置換アルキル基であり、より好ましくはCF3及びC25である。
目的の最終生成物が分枝状である場合、R11、R12、R13、及びR14の少なくとも一つがCl,Br,及びI、Cl置換アルキル基、Br置換アルキル基、及びI置換アルキル基から選択することが好ましい。この場合、テロメリゼーションによって取り込まれた式(2)の化合物由来のC−Cl,C−Br,又はC−I結合間に更に式(2)の化合物が挿入され、式(2)の化合物由来の基が分枝状で結合した生成物が得られる。
式(2)の化合物の例としては、C24、C36、C48、C510、C23F、C222、C2HF3、C24、C35F、C342、C333、C324、C3HF5、C36、C471、C462、C453、C444、C435、C426、C4HF7が挙げられるが、これらに限定されない。なお、上記の式は全ての異性体を含み、例えばC222はCF2=CH2及びCHF=CHFを含む。好ましい式(2)の化合物には、C24、C23F、C222、C2HF3、C24、及びC36が含まれる。
式(1)の化合物及び式(2)の化合物を光照射下で反応させることにより、式(3):
Figure 0004814573
の化合物が得られる。なお、式(3)中の−(CR1112−CR1314n−は、繰り返し単位(CR1112−CR1314)が直鎖状に結合した基に加え、分枝状に結合した分枝異性体も含むものとする。例えば、X1=Br(CF22、Y1=Br、R11=R12=R13=F、R14=Br,n=3の場合、−(CR1112−CR1314n−には
−(CF2−CFBr)3−に加え、
−(CF2−CF(CF2CFBr2))−(CF2−CFBr)−も含まれる。
本発明の製造方法では、テロゲン及びタキソゲンとしてそれぞれ式(1)及び式(2)の化合物を使用し、そして以下に述べる反応条件を適宜選択することにより、nを調整することができる。本発明の製造方法では、転化率を大きく損なうことなくnを低く保つことができるため、高分子量のポリフルオロカーボン及び/又は固体状ポリマーの生成を防ぎ、目的化合物を高選択的に得ることができる。
即ち、式(3)の炭素については、式(1)の化合物の炭素数をm1、式(2)の化合物の炭素数をm2と表すと、式(3)の化合物の炭素数はm1+n×m2となる。(m1+n×m2)は好ましくは3〜20、より好ましくは3〜14の範囲にある。
本発明の製造方法では、撹拌下で式(1)の化合物及び式(2)の化合物の光テロメリゼーションを行う。ここで撹拌下とは、式(1)の化合物が含まれる液体及び/又は(2)の化合物が含まれる気体を撹拌することを指す。光テロメリゼーションとは、光照射下で行うテロメリゼーションをいう。
本発明の一つの態様では、式(1)の化合物を含む液体を撹拌しながら式(2)の化合物を含む気体を接触させ、そして光照射することよって、式(1)の化合物及び式(2)の化合物を反応させ、式(3)の化合物を得る。
式(1)の化合物を含む液体は、式(1)の化合物のみからなることが好ましいが、さらに溶媒を含んでもよい。式(1)の化合物が反応条件下で気体である場合には、溶媒に溶解及び/又は懸濁させることが好ましい。ここで、式(1)の化合物を含む液体には、溶液及び懸濁液が含まれる。溶媒としては、n−オクタン、シクロヘキサン、CFCl2−CF2Cl、アセトニトリル、t−ブタノール、各種のエーテルが挙げられる。これらの溶媒は単独で使用しても、2以上を混合して使用してもよい。
撹拌方法に特に制限はなく、回転撹拌及び循環撹拌を用いることができる。ここで回転撹拌とは、水平方向に回転移動させて撹拌することを指し、メカニカルスターラーやマグネティックスターラーによる撹拌を含む。循環撹拌とは、鉛直方向に移動させて撹拌することを指し、ポンプにより下層を上層に汲み上げることによる撹拌を含む。撹拌方法は1の方法のみを用いても2以上を用いてもよく、回転撹拌及び循環撹拌を組み合わせて用いてもよい。
式(1)の化合物を含む液体と式(2)の化合物を含む気体との接触は、式(2)の化合物を含む気体を式(1)の化合物を含む液体に直接吹き込むことにより行うことができる。あるいはまた、式(1)の化合物を含む液体と接する気相に供給し、気液界面を通じて接触させてもよい。
式(2)の化合物を含む気体は、別のガス(以下、混合ガスと表記する)をさらに含んでもよい。具体的な混合ガスとしてN2、He、Ne、Ar、Xe等の不活性ガス、CF4、C26、C38、C410、SF6等のペルフルオロ化合物が挙げられる。これらのガスは単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。何れの理論にも拘泥されるものではないが、後述の通り、不活性ガス及び/又はペルフルオロ化合物を混合することによって選択率及び収率を向上することができる。
混合ガスと式(2)の化合物の体積比((混合ガスの体積の総和)/(式(2)の化合物の体積))は目的化合物に応じて適宜選択されるが、0.2以上、更に1以上、特に2以上であることが好ましく、100以下、特に10以下であることが好ましい。
式(1)の化合物と式(2)の化合物を閉鎖系で反応させてもよいが、選択率や生産性といった観点から、式(2)の化合物を反応器に連続的に供給することが好ましい。式(2)の化合物を連続的に供給する場合、好ましい供給速度は反応スケールに依存する。1〜2L程度の反応器において式(1)の化合物を0.4〜1L程度使用する場合、式(2)の化合物の供給速度は2ml/min以上、好ましくは5ml/min以上であり、20ml/min以下、好ましくは10ml/min以下である。なお、体積の表示は標準状態でのものである。上記範囲を超えると経済的でなく、上記範囲未満では選択率及び/又は収率が低下する。
本反応は、本反応に関与しないガス及び/又は本反応の選択率や収率を向上するガスの共存下で行うことが好ましい。具体的には、式(1)の化合物を含む液体を入れた反応容器に、N2、He、Ne、Ar、Xe等の不活性ガス、CF4、C26、C38、C410、SF6等のペルフルオロ化合物、又はこれらの混合物を予め導入し、反応を開始することが好ましい。前述の通り、不活性ガス及び/又はペルフルオロ化合物を式(2)の化合物と混合して供給し、反応容器の気相部分を置換してもよい。
使用する照射光の波長、光源、光の強度は式(1)及び(2)の化合物に依存するが、照射光としては紫外光が好ましい。光源の例として中圧水銀灯又は低圧水銀灯が挙げられる。
照射光の強度は、反応スケールや原料に応じて選択される。1〜50Lの反応器を用いる場合、式(1)の化合物の体積をQ1リットル、光の強度をInt1ワットとすると、通常、Q1/Int1は2.5以上、好ましくは15以上、更に好ましくは30以上であり、300以下、好ましくは150以下、更に好ましくは75以下である。
目的化合物の収率、及び、望ましくない高分子量の化合物の生成量は、照射光の波長、及び、反応体の体積あたりの照射光強度に依存することがある。そのような場合には、波長及び強度を適宜調整することが好ましい。
本発明は光反応に基づくものであるため、熱反応とは異なり温和な反応条件を用いることができる。反応圧力は、81kPa以上、好ましくは101kPa以上であり、270kPa以下、好ましくは140kPa以下である。上記範囲より低い場合には反応速度が低下し、転化率の低下につながる。上記範囲より高い場合には、望ましくない高分子量の化合物が生成しやすい。
反応温度は、0℃以上、好ましくは10℃以上、さらに好ましくは20℃以上であり、140℃以下、好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。上記範囲より低い場合には収率が低下し、上記範囲より高い場合には選択率が低下する。
反応時間は、反応を行う態様に依存する。連続型の反応を行う場合、例えば式(1)の化合物及び式(2)の化合物を連続的に供給し、生成物を回収するという方式で反応を行う場合には、反応時間に特に制限はない。バッチ式の反応を行う場合、例えば式(1)の化合物及び/又は式(2)の化合物の一定量を使用して反応を行う場合には、反応時間は4時間以上、好ましくは8時間以上であり、48時間以下、好ましくは24時間以下、好ましくは16時間以下である。上記範囲より短い場合には収率が低下し、上記範囲より長い場合には選択率が低下する。
本発明の方法では、反応圧力、反応時間、反応温度、照射光の強度、波長、及び反応体の供給速度を調整することにより、中鎖長の置換又は無置換の炭化水素が高い選択率で得られる。特に、従来の方法で用いられる2MPa以上の高圧にすることなく、また200℃以上の高温にすることなく、中鎖長のハロゲン化炭化水素を高収率かつ高選択率で得ることができるという利点がある。
本発明の別の態様では、式(2)の化合物を含む気体を撹拌しながら式(1)の化合物を含む液体を噴霧することにより式(2)の化合物と式(1)の化合物を接触させ、式(1)の化合物及び式(2)の化合物を光照射下で反応させて式(3)の化合物を得る。
式(1)の化合物を含む液体は、さらに溶媒を含んでもよい。溶媒として、前述のものが使用できる。式(2)の化合物を含む気体はさらに混合ガスを含んでもよく、混合ガスについては前述の通りである。
噴霧方法には、従来公知の何れの方法も使用できる。式(1)の化合物及び式(2)の化合物を均一に混合し、反応を均一に進行させるため、噴霧の際に生じる液滴は小さいことが望ましい。式(1)の化合物を含む液体の噴霧の際、N2、He、Ne、Ar、Xe、CF4、C26、C38、C410、SF6、及びこれらの組み合わせを同伴してもよい。
使用する撹拌方法、照射光の波長、強度、光源、反応圧力、反応温度、及び反応時間は、式(1)の化合物を含む液体を撹拌する前述の方法と同様の条件が用いられる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示す反応装置を用いて反応を行った。この反応装置は、内部にランプ収容部を有するほぼ円筒形の反応器、ランプ、冷却器、及びトラップを含む。更に本実施例で用いた反応器の断面図を図2(A)に、側面図を図2(B)に示す。反応器は1Lの石英ガラス製であり、撹拌装置としてマグネティックスターラー及びポンプを備えた。マグネティックスターラーは反応器の下に設置し、撹拌子は反応器の底部に入れた。ポンプにより、反応器内の液体を鉛直方向に循環させた。この反応器を遮光し、ランプの光のみが反応器内に到達するようにした。
反応器内部を窒素で充分置換した後、921gのBrC24Br(比重2.175、427ml相当)を加えた。さらに反応器内部を窒素でパージし、常圧とした。
液体の状態にあるBrC24Brをマグネティックスターラー及びポンプで撹拌しながら、所定の供給速度でC24を吹き込み、光照射下で、25〜50℃において8時間反応を行った。マグネティックスターラーの撹拌速度は120〜500rpmとし、光源には30W低圧水銀灯(水銀蒸気圧:1Torr以下、照射光の強度(主に254nmの紫外線):12W)を用いた。反応の間、光照射、撹拌、及びC24の供給を継続した。本実施例で、式(1)の化合物の容積(Q1)は0.427Lであり、照射光の強度(Int1)は12Wであるため、Int1/Q1は28.1となる。
反応中に生成したガス状反応混合物は、−10℃に冷却した冷却器で液体とし、反応器に戻した。冷却器を通過したガス状反応混合物は−70℃のトラップで捕集した。トラップ出口では、未反応ガス及びトラップで捕集されなかったガス状反応混合物に窒素を加えて排出した。
反応終了後、反応器中の反応混合物を回収し、ガスクロマトグラフィーにより定性及び定量分析を行った。分析には、島津製作所社製GC−8Aを用いた。結果を表1に示す。
Figure 0004814573
生成物分布中の数値は収量を表し、( )内の数値は選択率を表す。選択率は、Br(CF2pBr(p=4,6,8,10,12,14,16,18,20)の総和を100%とし、重量に基づいて計算した。転化率は、Br(CF22Brの仕込み量と反応後に残存した量から反応で消費された量を求め、消費量を仕込量で割ることにより求めた。表中、置換ガスとは、反応開始時に反応器の気相にあるガスである。これらの算出方法及び表記は、以下の表2〜4でも同様である。
[実施例2〜4]
Br(CF22Brの仕込み量及び/又は反応時間を表1に記載の通りに変更し、実施例1と同様に反応を行った。C24供給速度は実施例1と同じ値に設定した。その結果を表1に示す。
[実施例5〜6]
24をN2と混合して供給した点を除き、実施例1と同様に反応を行った。N2:C24の体積比は75:25とし、C24の供給速度は実施例1と同じ値とした。結果を表2に示す。
表2から、C24を不活性ガスと混合して供給することにより、転化率及び選択率が改善されることがわかる。
Figure 0004814573
表中、混合ガスとは、C24の供給の際にC24に混合したガスを指す。以下の表3及び表4でも同様である。
[実施例7〜9]
24をN2及びSF6と、又はAr及びCF4と混合して供給した点を除き、実施例1と同様に反応を行った。実施例7〜9におけるC24:N2:CF4、C24:N2:SF6及びC24:Ar:CF4の体積比は何れも75:20:5とした。C24の供給速度は実施例1と同じ値とした。結果を表2に示す。
実施例1及び7〜9より、C24を不活性ガス及びペルフルオロ化合物と混合して供給することにより、転化率及び選択率が改善されることがわかる。
[実施例10]
実施例1に対してBr(CF22Br仕込量を1901gにし、C24の供給速度を2倍にして反応を行った。結果を表3に示す。
Figure 0004814573
[実施例11]
実施例5に対してBr(CF22Br仕込量を1901gにし、C24の供給速度を2倍にして反応を行った。結果を表3に示す。
実施例1、5、10、及び11の結果から、C24の供給速度が転化率及び選択率に影響を与えることがわかる。
[実施例12]
光源に60W低圧水銀灯を用いた点を除き、実施例1と同様に反応を行った。結果を表3に示す。
実施例1及び実施例12の結果から、照射光の強度を増大すると逐次的なテロメリゼーションが促進されることがわかる。
[実施例13]
マグネティックスターラーによる混合のみを行い、ポンプを稼働しなかった点を除き、実施例1と同様に反応を行った。結果を表4に示す。
[比較例1]
撹拌を行わなかった点を除き、実施例1と同様に反応を行った。結果を表4に示す。
[比較例2]
撹拌を行わなかった点を除き、実施例11と同様に反応を行った。結果を表4に示す。
Figure 0004814573
実施例1、5、13、比較例1及び2より、撹拌により選択率が大幅に改善されることがわかる。また、実施例1及び実施例13から、回転混合のみを行う場合と比較して、回転混合と循環混合の併用により選択率が改善されることがわかる。
本発明の製造方法によると、中鎖長である置換又は無置換の飽和炭化水素、特にハロゲン化炭化水素を、温和な条件において高選択率かつ高収率で得ることができる。本発明の製造方法によって得られる炭化水素は、界面活性剤等の各種化成品の中間体として利用できる。
図1は、本発明の製造方法に使用される反応装置を示す。 図2は、図1の装置の反応器の断面図及び側面図である。

Claims (9)

  1. 液体のBrC Brを、撹拌及び光照射下で 反応させ工程を含む、Br(CF Brの製造方法。
  2. 撹拌され光照射されている液体のBrC Brに、 を含む気体を接触させることによって、BrC Br及び を反応させ工程を含む、Br(CF Brの製造方法。
  3. BrC Br及び の反応が、N、He、Ne、Ar、Xe、CF、C、C、C10、SF、又はそれらの組み合わせを含む気体の存在下で行われる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 2.5 ≦ Int/Q ≦300
    (QBrC Brの体積(L)、Intは照射光強度(W)を表す)
    の条件を満たす請求項1〜3の何れかに記載の製造方法。
  5. 撹拌が回転撹拌及び/又は循環撹拌によって行われる請求項1〜の何れかに記載の方法。
  6. 撹拌が回転撹拌及び循環撹拌によって行われる請求項に記載の方法。
  7. 反応が101kPa〜270kPaの範囲にある圧力で行われる請求項1〜の何れかに記載の方法。
  8. 照射光が紫外光である請求項1〜の何れかに記載の方法。
  9. 反応液が、Br(CF Brを主生成物として含み、さらに、Br(CF Br、Br(CF Br、及びBr(CF 10 Brを副生成物として含む、請求項1〜8の何れかに記載の方法。
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