JP4813829B2 - 放熱装置、および放熱方法 - Google Patents

放熱装置、および放熱方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体レーザ等の発熱体を冷却する技術に関するものである。
図7は発熱源が1個の場合の冷却方法を示す図である。
同図において符号1はLDホルダ、2はLD、3は熱電変換部材、4はLDソケット、5は放熱器をそれぞれ示す。
図8は発熱源が複数の場合の問題点を説明するための図である。
同図において符号6は熱電変換部材、7は放熱器をそれぞれ示す。
従来、電子冷却で缶タイプのパッケージに封止されたデバイスたる発熱源、例えば半導体レーザ(以下LDと表記する)や、CCD等を放熱する場合の構成は、発熱源+熱電変換部材(例えばペルチエ素子)+放熱器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。LD素子の場合で言えば、LDが配線基板に直接形成されている構成の場合は放熱経路に関して特に問題はないが(例えば、非特許文献1 参照。)、缶タイプのLDの場合、図7に示すように、熱電変換部材と放熱器に穴を開けて、そこにソケットをつけて電気的な接続を確保していた。ところが、発熱源が多数個になった場合、その方式では、図8に示すように、熱電変換部材と放熱器にあける穴の数が多く、効率が悪くなる。したがって、冷却能力を確保するために、熱電変換器と放熱器の大きさが必然的に大きくなってしまう。この場合、熱電変換部材に穴が開くと、ペルチエ素子の配置に制限を受け、穴の開いた部分の全周はデッドスペースとなり、穴が開いた部分の面積以上の面積を確保しなければならない。
発熱体の端子をそのままにして、放熱器の後ろから配線する構造にすると、配線領域に風が当たらなくなり、放熱器も配線領域分大きくする必要がある。発熱体が複数ある場合は、この影響が大きくなり、ファンの大型化、放熱器の大型化により、装置が大型化する。
特開平11−330327号公報 SONYレーザーダイオードガイド、第3章使用方法、3−3−3「外付けTEクーラを用いて放熱する方法」。
配線用スペースを確保するために、放熱器や、熱電変換部材、発熱体固定部材が大きくなりがちで、放熱効率が悪くなるという問題点を克服し、かつ、低消費電力・省スペース化を実現する。
請求項1に記載の発明は、電気的接続用の端子がパッケージの底面の法線方向に向けてパッケージの外部に出ている発熱体を冷却するための放熱装置であって、該発熱体を嵌められて固定する第1の固定部材と、発熱体の底面側に接触して、前記第1の固定部材とともに前記発熱体を挟んで固定する第2の固定部材と、第2の固定部材の発熱体に接触するのと反対側に配備され、表面側が端子に接続される配線板と配線板の裏面側に表面側が接触する熱伝導板と、この熱伝導板の裏面側に吸熱面を接触させる熱電変換部材と、この熱電変換部材の放熱側に接触する放熱器とを有し第1および第2の固定部材が、熱の良導体であり第1の固定部材が、前記熱伝導板に接触していることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放熱装置において、前記発熱体からの放熱器への伝熱経路が、発熱体側面・第1の固定部材・熱伝導板・熱電変換部材・放熱器の経路と、発熱体底面・第2の固定部材・第1の固定部材・熱伝導板・熱電変換部材・放熱器の経路の2つの経路を有することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、電気的接続用の端子がパッケージの底面の法線方向に向けてパッケージの外部に出て、所定の方向に直角もしくは鋭角に折り曲げられた発熱体を冷却するための放熱装置であって、発熱体を嵌められて固定する固定部材と、この固定部材とともに発熱体を挟み、前記発熱体側の面に、前記端子を、接触することなく収める溝が形成され、前記溝以外の面部分が、発熱体の底面に接触する熱伝導板と、熱伝導板の溝の形成されたのと逆の面に、吸熱面を接触させた熱電変換部材と、熱電変換部材の放熱側に接触する放熱器と、端子に接続される配線板を有し、固定部材が、熱の良導体であることを特徴とする
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の放熱装置において、前記発熱体から放熱器に至る伝熱経路が、発熱体側面・固定部材・熱伝導板・熱電変換部材・放熱器の経路と、発熱体底面・熱伝導板・熱電変換部材・放熱器の経路の2つの経路を有することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、電気的接続用の端子がパッケージの底面の法線方向に向けてパッケージの外部に出て、所定の方向に直角もしくは鋭角に折り曲げられた発熱体を冷却するための放熱装置であって、発熱体を嵌められて固定する固定部材と、この固定部材とともに発熱体を挟み、吸熱面側に、端子を、接触することなく収める溝が形成され、溝以外の面部分が、発熱体の底面に接触する熱電変換部材と、熱電変換部材の放熱側に接触する放熱器と、端子に接続される配線板と、を有し、固定部材が熱の良導体であって、熱電変換部材の吸熱面に接触することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の放熱装置において、前記発熱体からの伝熱経路が、発熱体側面・固定部材・熱電変換部材・放熱器の経路と、発熱体底面・熱電変換部材・放熱器の経路の2つの経路を有することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、電気的接続用の端子がパッケージの底面の法線方向に向けてパッケージの外部に出ている発熱体を冷却するための放熱装置であって、発熱体を嵌められて固定する第1の固定部材と、面の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率の数十倍以上の熱伝導異方性を有し、角型の筒状に形成され、一方の幅広面を前記発熱体の底面部に接触させて、第1の固定部材と共に発熱体を挟んで固定する熱伝導異方性部材と、熱伝導異方性部材を第1の固定部材とともに挟んで、発熱体を固定する第2の固定部材と、熱伝導異方性部材の筒状の内部に設けられて、端子を接続する配線板と、熱伝導異方性部材の他方の幅広面を熱電変換部の吸熱面に接触させ、吸熱面とともに、熱伝導異方性部材の他方の幅広面をなす部分を挟んで固定する熱伝導異方性部材固定部材とを有し、第1の固定部材が熱の良導体であって、熱伝導異方性部材の表面に接触していることを特徴とする
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の放熱装置において、前記熱伝導異方性部材はグラファイトシートであることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の放熱装置において、前記第2の固定部材は熱の不良導体であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項7ないし9のいずれか1つに記載の放熱装置において、前記熱伝導異方性部材固定部材は熱の不良導体であることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の放熱装置において、前記熱電変換部材の吸熱面はダイヤモンド焼結体であることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項1ないし11のいずれか1つに記載の放熱装置を有する光学装置を特徴とする。
請求項13に記載の発明は、電気的接続用の端子がパッケージの外部に出ている発熱体を冷却するための放熱方法であって、発熱体を2つの固定部材で挟んで固定し、発熱体からの熱を一方の固定部材から熱伝導板を経て熱電変換部材の吸熱側に伝え、熱電変換部材の放熱側の熱を放熱器に伝え、放熱器から放熱する経路と、発熱体の他方の固定部材から熱伝導板を経て、熱電変換部材の吸熱側に伝え、熱電変換部材の放熱側の熱を放熱器に伝え、放熱器から放熱する経路の2つの経路を有することを特徴とする
請求項14に記載の発明は、電気的接続用の端子がパッケージの底面の法線方向に向けてパッケージの外部に出ている発熱体を冷却するための放熱方法であって、端子を所定の方向に直角もしくは鋭角に折り曲げた前記発熱体からの熱を、発熱体を一方側に接触して固定する固定部材と、端子が接触しないように溝を形成されて他方側から発熱体に接触して固定する固定部材を兼ねる熱伝導板とに伝達し、さらに熱電変換部材を経て、放熱器を介して放熱することを特徴とする
請求項15に記載の発明は、電気的接続用の端子がパッケージの底面の法線方向に向けてパッケージの外部に出ている発熱体を冷却するための放熱方法であって、端子を所定の方向に直角もしくは鋭角に折り曲げた発熱体からの熱を、発熱体を一方側に接触して固定する固定部材と、端子が接触しないように溝を形成されて他方側から発熱体に接触して固定する固定部材を兼ねる熱電変換部材とに伝達し、さらに放熱器を介して放熱することを特徴とする
請求項16に記載の発明は、電気的接続用の端子がパッケージの外部に出ている発熱体を冷却するための放熱方法であって、発熱体の底面に、面方向に高い伝熱性を有する熱伝導異方性部材の面を密着させ、発熱体と熱伝導異方性部材を、固定部材と後側固定部材で挟んで固定し、熱伝導異方性部材の延長部を後側固定部材の後方に折り返して熱電変換部材の吸熱面に密着させることにより、発熱体からの熱を、熱伝導異方性部材を介して熱電変換部材に吸熱させることを特徴とする
本発明によれば、冷却面でのデッドスペースが減るために、熱電変換部材、放熱器、ファンのサイズを小さくすることが出来、放熱効率がアップし、低消費電力・省スペースが実現できる。
以下、本発明を実施例を以って説明する。
図1は本発明の第1の実施例を説明するための図である。同図(a)は分解斜視図、同図(b)は合体図である。
図2は第1の実施例の断面図である。
両図において符号8は第1の固定部材としてのLDホルダ、9はLD、10は第2の固定部材としてのLD押さえ、11は配線板、12は熱伝導板、13は熱電変換部材、14は放熱器をそれぞれ示す。
本発明では、熱電変換部材や放熱器に穴を開けないで済む放熱構造と、放熱経路を出来るだけ短縮して、放熱の効率化と、小型化を狙う。
本実施例の構成を説明する。
複数(図示例では8個)のLD9は、LDホルダ8に開けられた円形の穴8aに光束出射面のある小径部を挿入し、大径部であるつば部をLDホルダ8の裏面側の座繰り部に当接させる。LD押さえ10はLD9の配列に合わせて穴が開けられており、その穴の大きさは、LD9の端子には接触せず、つば部周辺は押さえ込める大きさにしてある。このLD押さえ10をLD9の後からはめ込み、LDホルダ8に対しLD9を挟んで密着させている。LDホルダ8とLD押さえ10の横方向(図1の左右方向)両側にはそれぞれ折り曲げ部があり、LD押さえ10の折り曲げ部はLDホルダ8の折り曲げ部に丁度はまりこむ大きさに形成されている。LDホルダ8とLD押さえ10は共に熱の良導体で形成しておく。それによって、発熱体であるLD9からの熱は、LDホルダ8とLD押さえ10によって後述の放熱構造に逃がすことができる。
配線板11はプリント基板として形成されており、LD9の各端子がはまりこむように、端子の太さに合わせた穴が開けられている。配線板11にはLD9用の駆動回路等が搭載されており、外部との信号授受や電源への接続用に小型のコネクタが配置されている。
配線板11はその穴にLD9の各端子を通してLD押さえ10の折り曲げ部頂部に面の両端を当接密着させる。配線板11はLDホルダ8の折り曲げ部の内側に収まる大きさに形成されている。この状態でLD9を配線板11に半田付け等を行う。なお、配線板11と、LD押さえ10、LD9は予め半田付けしたアセンブリとしておいても良い。
熱伝導板12はLDホルダ8やLD押さえ10と同様熱の良導体から構成され、LDおさえ10の折り曲げ部頂部に密着して熱を吸収する役目を担う。
熱電変換部材13は通電することにより、片面が吸熱性、他面が発熱性となる部材で、これの吸熱面を熱伝導板12に密着させる。そして発熱面に放熱器14を密着させる。熱伝導板12から熱電変換部材13を経て放熱器14までが放熱構造を形成する。熱の流れは発熱体から熱電変換部材の吸熱面で途切れ、発熱面と放熱器が別の熱の流れを形成するのであるが、吸熱面の吸熱と、発熱面の発熱は一体的に生じ分離不可能なので、ここでは熱の流れを発熱体から放熱器までとして取り扱う。
以上の構成による作用を説明すると、LD9からの発熱の内、缶タイプのLDパッケージのつば部(ステムとも言う)前面と缶側面からは第1の固定部材であるLDホルダ8に直接伝わり、つば部後面からは第2の固定部材であるLD押さえ10を経てLDホルダ8に伝わるという2つの伝熱経路がある。
LDホルダ8からは熱伝導板12に伝わり、熱伝導板12の全面に拡がった熱は熱電変換部材13によって吸熱される。一方、熱電変換部材13の発熱面に発生した熱は放熱板14によって環境中へ放熱される。この放熱は自然対流による自然放熱の場合と、空冷ファン等による強制放熱の場合があり、発熱の程度と、機器の構成の状態等によって選択される。
図3は本発明の第2の実施例を説明するための分解斜視図である。
同図において符号15はLDホルダ、16はLD、17はLD押さえを兼ねる熱伝導板、18は配線板、19は熱電変換部材、20は放熱器をそれぞれ示す。
本実施例の構成を説明する。
本実施例では複数のLD9の端子を途中から互いに接触しない方向に曲げている。同図の例では、左右方向に4個ずつ上下2列に並べたLD16は、それぞれの端子を、上の列は上方向に、下の列は下方向にそれぞれ折り曲げている。勿論各端子は互いに接触しないよう、折り曲げた後も相互の間隔がほぼ等間隔になるよう離してある。このような構造のため、当然のことながら、配線板18はそれぞれの列対応で上下に分かれて配置される。
熱伝導板17はそれ自身がLD押さえの機能を兼ねる。熱伝導板17はLD16の折り曲げた端子に接触しないようそれぞれのLDに対応する位置に端子を逃げるための溝が形成してある。熱伝導板としての機能を損なわないよう、溝の幅や深さは極力小さくしてある。また、万一、端子が接触しても障害を起こさないように、熱伝導板17の材質は電気的に絶縁性のものを用いるのがよい。あるいは、熱伝導性のことを考慮して金属材料を用い、表面(少なくとも溝の部分)に絶縁性の処理を施したものでも良い。熱伝導板17の溝の縁はLD16のつば部を後から押さえることができる幅に選んである。したがって、LDホルダ15と熱伝導板17はLD16を間に挟んで密着している。
熱電変換部材19の吸熱面は熱伝導板17の裏面の平面部に密着させてある。以下は実施例1と同様に、放熱器20が熱電変換部材19の発熱面に密着させてある。
本実施例の作用を説明する。
LD16からの熱の伝熱経路も2つある。パッケージ側面とつば部前面からの熱は固定部材としてのLDホルダ15に伝わり、次いで熱伝導板17に伝わる。パッケージのつば部裏面からの熱は熱伝導板17に直接伝わる。熱伝導板17の背面の平面部に拡がった熱は熱電変換部材19の吸熱面に伝わる。熱電変換部材19の発熱面からの熱は、放熱器20に伝わり、そこから環境中に放熱される。
本実施例の構成にすることにより、LD16から熱電変換部材19迄の放熱経路を短縮することができ、放熱効率を上げることができる。
本実施例では、LDの端子をほぼ90°の角度に折り曲げた形で説明したが、90°よりも鋭角にし、熱伝導板17の溝部をその端子形状に合わせて上下の端に行くほど溝の深さを浅くすることによって、熱伝導板としての熱容量を大きくすることができ、伝熱抵抗を小さくすることができる。
さらに、1度折り曲げた端子を元へ戻す方向に再度折り曲げることもできる。曲げ角度を敢えて直角にする必要はないので円弧型に曲げればアルファベットのUの字型になる。端子の先端は固定部材の前面より前に飛び出す位置とし、各LDで揃えて、配線板に取り付けることができる。この場合、配線板は図3、図5に示すような2枚に分ける必要はなくなり、固定部材より前に1枚配置することができる。ただし、LDの光束出射を阻害しないように所定位置に穴を開けておく必要がある。
図4は本発明の第3の実施例を説明するための図である。
同図において符号21はLD、22はLDホルダ、23はグラファイトシート、24はLD押さえ、25は配線板、26はグラファイトシート押さえ、27は熱電変換部材、28は放熱器をそれぞれ示す。
本実施例では、面方向の熱伝導率が、厚み方向の熱伝導率の数十倍以上の熱伝導異方性部材を用いて実効的な放熱経路を短縮する。このような部材として、例えばグラファイトシートを挙げることができる。
グラファイトシート23は断面が長方形の角形の筒状に形成し、一方の幅広の面に、LD21の端子が貫通できる大きさの穴を所定の位置に開け、LD21を挿入した熱伝導性のLDホルダ22の裏面からはめ込み、LD押さえ24と配線板25で固定する。グラファイトシート23の他方の幅広面は、折り曲げた両端を突き当てた状態で、グラファイトシート押さえ(熱伝導異方性部材固定部材)26を筒の内側から当てて熱電変換部材27に固定する。
グラファイトシート23は予め筒状に形成しておく必要はない。LDと共に、2つの固定部材(LDホルダ22とLD押さえ24)でに挟んでから、両側に延ばしておいた延長部を必要な大きさに折り曲げて、グラファイトシート押さえ26で熱電変換部材27に固定すればよい。
以下、放熱器までの構成は他の実施例と同様である。
本実施例の作用を説明する。
LD21のパッケージからの熱は、LDホルダ22を経由するか、または直接に、グラファイトシート23に表面を介して伝わる。グラファイトシート23の面内における熱伝導率は厚さ方向に比べて格段に大きいので、素早く熱電変換部材27側に伝わる。熱電変換部材27に対するグラファイトシート23の接触面積は、グラファイトシート23の熱伝導断面積より1桁以上大きいので、熱電変換部材27による十分な吸熱が行われる。
なお、LD押さえ24とグラファイトシート押さえ26は熱の不良導体を用いる方が、グラファイトシート23の筒の中に不要な熱が拡散して配線板25が温度上昇してしまうのを防ぐことができる。
本実施例において、LDホルダ22は単に熱の良導体として示したが、これをグラファイトシート23と同様の熱伝導異方性部材で構成し、その熱良導方向をLDホルダ22の厚み方向にもたせて放熱の効率を上げることもできる。
図5は本発明の第4の実施例を説明するための分解斜視図である。
同図において符号29はLD、30はLDホルダ、31は配線板、32は熱電変換部材、33は放熱器をそれぞれ示す。
本実施例では熱電変換部材が熱伝導板とLD押さえの機能を兼ねる
本実施例の構成を説明する。
LDホルダ30とLD29、配線板31の関係は実施例2と同様なので説明を省略する。
熱電変換部材32の吸熱面に熱伝導性の良い材質で、実施例2に示したのと類似のLD押さえを形成する。こうすることにより、実施例2における熱伝導板を省略した形にすることができ、伝熱経路をそれだけ短くすることができる。ただし、伝熱経路が2つ存在することは変わらない。なお、この実施例ではLD29の端子の折り曲げ位置を、実施例2の場合よりもLD本体に近い方に寄せてある。そのためLD端子の逃げの溝も浅くて済むようになり、熱電変換部材32の熱伝導板としての熱抵抗を小さく保つことができる。
本実施例の構成にすることにより、LD29から熱電変換部材32迄の放熱経路をさらに短縮することができ、放熱効率をさらに上げることができる。
本発明の実施例1、実施例2、実施例4の性能を計算により比較してみる。
各実施例の違いを確認すると、実施例1と実施例2は熱伝導板を用いている。この計算例では材質として銅を用いることにした。ただし、実施例2の熱伝導板は溝付きのため実施例1のそれより厚さが大きくなる。実施例2の熱伝導板と実施例4の熱電変換素子の吸熱面は発熱体の折り曲げた端子を逃げるための溝が形成されている。比較を容易にするため溝形状は同じものとした。
実施例4については、熱電変換部材の吸熱面を形成する材質として従来通りのセラミックを用いた場合(実施例4)と、ダイヤモンド焼結体を用いた場合(実施例4’)の2通りに分けた。
また、実施例2と実施例4(実施例4’)は発熱体の端子を折り曲げていることにより、配線板が熱伝達経路の外側に位置しているのに対し、実施例1は配線板が見かけ上熱伝達経路の中に入っている。したがって、実効的な熱伝達経路を同等にするため、実施例1の場合は熱伝導板の大きさを配線板の大きさ分だけ大きくする。
性能を示す数値として、ここでは発熱体パッケージの温度と、熱電変換部材の吸熱面との温度差を用いる。この温度差が低いほど、熱伝達経路の熱抵抗が低く、熱伝達率が大きいことを示している。なお、実施例4、実施例4’では熱電変換部材の吸熱面に溝を形成した分も考慮に入れて計算してある。
結果は以下の通りになった。
実施例1 1.8℃
実施例2 0.7℃
実施例4 3.3℃
実施例4’ 0.7℃
実施例4の吸熱面に溝付きセラミックを用いた熱電変換部材では、温度差が3.3℃もあって、実用に耐えないことが分かった。
なお、詳細は割愛するが、熱伝導板に穴を開けたり、溝を形成したりしても、計算上熱抵抗には余り大きな差が出ないことが分かった。
次に本発明の実施例と従来例の比較を行う。
従来例としては、図7に示した構成で実施例と同じ大きさ、発熱体の数も実施例と同数にしたものを想定する。したがって、LDホルダ1、熱電変換部材3、および放熱器5には8個の穴が空いた状態のものを対象とする。
また熱電変換部材は、穴が開けられている部分を避けて熱電変換素子を配置するため、その分有効に機能する領域が小さくなる。したがって、実施例1の熱伝導板と同程度の放熱機能を持たせるため、熱電変換部材の大きさは、実施例1の熱伝導板の大きさに加えて、ほぼ配線板の大きさ(20mm)分を考慮する。放熱器は熱電変換部材と同じ外形とする。
図6は配線板と放熱器の大きさを比較して示した図である。
同図において1点鎖線は配線板の大きさを示す。フィンの存在する範囲が実質の冷却部分(ヒートシンク)になる。
実施例1では、計算上放熱器の大きさは、幅63.5mmとなったが、対応する従来例を計算すると、86.5mmとなり、本発明に比べて大幅なサイズアップになる。これを避けるため、従来例で放熱器の幅を実施例1と同程度にして強制空冷で同等の放熱機能を持たせるとしたら、冷却用の風速を実施例1の2.78m/secに対し約2倍の6.6m/secの風速が必要になる。
現状では、本発明と同じサイズのファンでこの風速を満足できる物がないため、やはり、従来例で実施する限り、サイズの拡張で所望の冷却機能を達成するしかない。
仮に、実施例1で使用しているファンのサイズで、この風速を実現できるようになったとしても、温度分布の均一性を考慮すると、フードなどでの均一化が必要で、実質的にサイズ、消費電力ともアップする。したがって、実施例1の構成が所期の目的を達成していることがわかる。
次に熱応答性について従来例と実施例1、実施例2の違いを考察する。
熱容量の違いによる1秒あたりの温度上昇は、従来例で0.9℃、実施例1で0.5℃、実施例2で0.3℃程度で、実施例2<実施例1<従来例の順に早くなり、で実施例1に比べ、従来例が2倍ほど早い。
実施例1の実測値では、温度制御時の温度勾配が0.1度/分程度で、上昇、下降
を繰り返していて、実用上問題がない。
実施例2は実施例1よりもスピードが約2/3程度であるが、これでも十分実用に
耐えられる。
以上、本発明を実施例を元に放熱装置として説明してきたが、本発明の主旨に基づく発熱体の放熱方法も本発明に含まれる。
本発明の第1の実施例を説明するための図である。 第1の実施例の断面図である。 本発明の第2の実施例を説明するための分解斜視図である。 本発明の第3の実施例を説明するための図である。 本発明の第4の実施例を説明するための分解斜視図である。 配線板と放熱器の大きさを比較して示した図である。 発熱源が1個の場合の冷却方法を示す図である。 発熱源が複数の場合の問題点を説明するための図である。
符号の説明
8、15、22、30 LDホルダ
9、16、21、29 LD
10、24 LD押さえ
12、17 熱伝導板
13、19、27、32 熱電変換部材
14、20、28、33 放熱器
23 グラファイトシート
24 グラファイトシート押さえ

Claims (16)

  1. 電気的接続用の端子がパッケージの底面の法線方向に向けてパッケージの外部に出ている発熱体を冷却するための放熱装置であって、
    該発熱体を嵌められて固定する第1の固定部材と、
    前記発熱体の底面側に接触して、前記第1の固定部材とともに前記発熱体を挟んで固定する第2の固定部材と、
    該第2の固定部材の前記発熱体に接触するのと反対側に配備され、表面側が前記端子に接続される配線板と
    該配線板の裏面側に表面側が接触する熱伝導板と、この熱伝導板の裏面側に吸熱面を接触させる熱電変換部材と、この熱電変換部材の放熱側に接触する放熱器とを有し
    前記第1および第2の固定部材が、熱の良導体であり
    前記第1の固定部材が、前記熱伝導板に接触していることを特徴とする放熱装置。
  2. 請求項1に記載の放熱装置において、
    前記発熱体から放熱器への伝熱経路が、
    発熱体側面・第1の固定部材・熱伝導板・熱電変換部材・放熱器の経路と、
    発熱体底面・第2の固定部材・第1の固定部材・熱伝導板・熱電変換部材・放熱器の経路の2つの経路を有することを特徴とする放熱装置。
  3. 電気的接続用の端子がパッケージの底面の法線方向に向けてパッケージの外部に出て、所定の方向に直角もしくは鋭角に折り曲げられた発熱体を冷却するための放熱装置であって、
    該発熱体を嵌められて固定する固定部材と、
    この固定部材とともに前記発熱体を挟み、前記発熱体側の面に、前記端子を、接触することなく収める溝が形成され、前記溝以外の面部分が、発熱体の底面に接触する熱伝導板と
    該熱伝導板の前記溝の形成されたのと逆の面に、吸熱面を接触させた熱電変換部材と、
    該熱電変換部材の放熱側に接触する放熱器と、
    前記端子に接続される配線板を有し、
    前記固定部材が、熱の良導体であることを特徴とする放熱装置。
  4. 請求項3に記載の放熱装置において、
    前記発熱体から放熱器に至る伝熱経路が、
    発熱体側面・固定部材・熱伝導板・熱電変換部材・放熱器の経路と、
    発熱体底面・熱伝導板・熱電変換部材・放熱器の経路の2つの経路を有することを特徴とする放熱装置。
  5. 電気的接続用の端子がパッケージの底面の法線方向に向けてパッケージの外部に出て、所定の方向に直角もしくは鋭角に折り曲げられた発熱体を冷却するための放熱装置であって、
    該発熱体を嵌められて固定する固定部材と、
    この固定部材とともに前記発熱体を挟み、吸熱面側に、前記端子を、接触することなく収める溝が形成され、前記溝以外の面部分が、発熱体の底面に接触する熱電変換部材と、
    該熱電変換部材の放熱側に接触する放熱器と、
    前記端子に接続される配線板と、を有し、
    前記固定部材が熱の良導体であって、前記熱電変換部材の吸熱面に接触することを特徴とする放熱装置。
  6. 請求項5に記載の放熱装置において、
    前記発熱体からの伝熱経路が、
    発熱体側面・固定部材・熱電変換部材・放熱器の経路と、発熱体底面・熱電変換部材・放熱器の経路の2つの経路を有することを特徴とする放熱装置。
  7. 電気的接続用の端子がパッケージの底面の法線方向に向けてパッケージの外部に出ている発熱体を冷却するための放熱装置であって、
    該発熱体を嵌められて固定する第1の固定部材と、
    面の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率の数十倍以上の熱伝導異方性を有し、角型の筒状に形成され、一方の幅広面を前記発熱体の底面部に接触させて、前記第1の固定部材と共に前記発熱体を挟んで固定する熱伝導異方性部材と、
    該熱伝導異方性部材を前記第1の固定部材とともに挟んで、前記発熱体を固定する第2の固定部材と、
    該熱伝導異方性部材の筒状の内部に設けられて、前記端子を接続する配線板と、
    前記熱伝導異方性部材の他方の幅広面を熱電変換部の吸熱面に接触させ、前記吸熱面とともに、前記熱伝導異方性部材の前記他方の幅広面をなす部分を挟んで固定する熱伝導異方性部材固定部材とを有し、
    前記第1の固定部材が熱の良導体であって、前記熱伝導異方性部材の表面に接触していることを特徴とする放熱装置。
  8. 請求項7に記載の放熱装置において、
    前記熱伝導異方性部材はグラファイトシートであることを特徴とする放熱装置。
  9. 請求項7または8に記載の放熱装置において、
    前記第2の固定部材は熱の不良導体であることを特徴とする放熱装置。
  10. 請求項7ないし9のいずれか1つに記載の放熱装置において、
    前記熱伝導異方性部材固定部材は熱の不良導体であることを特徴とする放熱装置。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1つに記載の放熱装置において、
    前記熱電変換部材の吸熱面はダイヤモンド焼結体であることを特徴とする放熱装置。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1つに記載の放熱装置を有することを特徴とする光学装置。
  13. 電気的接続用の端子がパッケージの外部に出ている発熱体を冷却するための放熱方法であって、
    該発熱体を2つの固定部材で挟んで固定し、前記発熱体からの熱を一方の固定部材から熱伝導板を経て熱電変換部材の吸熱側に伝え、該熱電変換部材の放熱側の熱を放熱器に伝え、該放熱器から放熱する経路と、前記発熱体の他方の固定部材から前記熱伝導板を経て、前記熱電変換部材の吸熱側に伝え、該熱電変換部材の放熱側の熱を前記放熱器に伝え、該放熱器から放熱する経路の2つの経路を有することを特徴とする放熱方法。
  14. 電気的接続用の端子がパッケージの底面の法線方向に向けてパッケージの外部に出ている発熱体を冷却するための放熱方法であって、
    前記端子を所定の方向に直角もしくは鋭角に折り曲げた前記発熱体からの熱を、該発熱体を一方側に接触して固定する固定部材と、前記端子が接触しないように溝を形成されて他方側から前記発熱体に接触して固定する固定部材を兼ねる熱伝導板とに伝達し、さらに熱電変換部材を経て、放熱器を介して放熱することを特徴とする放熱方法。
  15. 電気的接続用の端子がパッケージの底面の法線方向に向けてパッケージの外部に出ている発熱体を冷却するための放熱方法であって、
    前記端子を所定の方向に直角もしくは鋭角に折り曲げた前記発熱体からの熱を、該発熱体を一方側に接触して固定する固定部材と、前記端子が接触しないように溝を形成されて他方側から前記発熱体に接触して固定する固定部材を兼ねる熱電変換部材とに伝達し、さらに放熱器を介して放熱することを特徴とする放熱方法。
  16. 電気的接続用の端子がパッケージの外部に出ている発熱体を冷却するための放熱方法であって、
    該発熱体の底面に、面方向に高い伝熱性を有する熱伝導異方性部材の面を密着させ、
    前記発熱体と前記熱伝導異方性部材を、前側固定部材と後側固定部材で挟んで固定し
    前記熱伝導異方性部材の延長部を前記後側固定部材の後方に折り返して熱電変換部材の吸熱面に密着させることにより、前記発熱体からの熱を、前記熱伝導異方性部材を介して熱電変換部材に吸熱させることを特徴とする放熱方法。
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