JP4813712B2 - 薬物−担体複合体およびその使用方法 - Google Patents

薬物−担体複合体およびその使用方法 Download PDF

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Description

【0001】
関連出願
本願は、米国仮特許出願第60/147,919号(1999年8月9日出願)の利益を主張する。その教示はすべて参照により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
発明の背景
多くの薬物は、細胞内において核酸配列と相互作用(例えば、結合)することによって細胞に対するその作用に影響している。細胞内における薬物と核酸配列(例えば、癌性細胞のDNA)との相互作用は細胞増殖を停止させ得るか、または細胞死をもたらし得る。それにより、疾患状態の進行が停止させられる。しかし、疾患を治療するために用いられている多くの薬物は、水溶液における溶解性が不十分であるか、あるいは処置を必要とする細胞または生物(例えば、哺乳動物)に薬物を送達する好適な物質がないために、健全な細胞の死などの有害な副作用を有するかのいずれかである。
【0003】
薬物送達に一般に関連する問題を克服するために多くの試みがなされている。例えば、化学的に会合させた薬物分子を伴う水溶性高分子であることが最も一般的である高分子の薬物担体が、多くの場合、薬物の循環を延ばすために、腎臓クリアランスを制限するために、標的組織または標的細胞における薬物蓄積を増加させるために、そして正常な組織における薬物濃度を低下させるために用いられている。このタイプのいくつかのモデル担体および原型担体が開発されている。潜在的には、これらの担体は、5〜10ナノメートル(nm)ほどの小ささであり得るが、薬物の構造および含有量に依存して、より大きな(20〜50nm)の会合体を形成することが多い。このタイプの担体は、本質的にはプロドラッグとして、すなわち、薬物−担体の結合が分解する結果としての薬物物質として作用することを目的としている。このタイプの担体のいくつかは癌細胞マーカーを標的化する。この種類の薬物−担体の例には、デキストラン−マイトマイシン結合体;薬物分子と骨格ポリマーとの間に酵素分解性ペプチド結合を有するHPMA−ドキソルビシン結合体;ドキソルビシン分子とFabとの間にpH感受性結合を有するドキソルビシン−Fab結合体がある。このタイプの担体は、潜在的には有用であるが、少なくとも2つの潜在的な欠点を有している。
【0004】
第1に、薬物−担体結合の分解を介した薬物の放出は、一般には不可逆的である。従って、担体から放出された薬物は、担体とは無関係に体内を循環する。これにより、薬物送達の効力が低下することがある。酵素依存的な加水分解またはpH依存的な加水分解による薬物の放出は、正常な組織に対する標的における薬物活性の比を改善することが報告されている。しかし、腫瘍および他の病理学的状態における酵素(プロテアーゼなど)の発現は非常に変わりやすく、このため、薬物の放出速度を予測することは困難である。一方、酵素に依存しない生分解が病理学的組織および正常な組織の両方で生じ得る。
【0005】
第2の問題は、高分子骨格に結合している薬物分子の環境にさらされることに関連する。これは、分子内ミセルおよび分子間ミセルの形成を伴う薬物成分の交差相互作用、薬物−担体付加物の生体分布を変化させる組織成分との相互作用、ならびに他の望ましくない作用をもたらし得る。これらの作用は、「立体的保護」によって、すなわち、親水性ポリマー鎖(例えば、ポリエチレングリコール、デキストランまたはPHF(ポリヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)など)による担体骨格の修飾によって部分的に抑制されることが予想される。しかし、立体的に保護された担体では、酵素感受性の薬物−担体結合に対する酵素の接近もまた抑制され得る。
【0006】
薬物送達に関連する問題を克服する別の試みには、薬物をマイクロ粒子およびエマルションと組み合わせることが含まれる。マイクロ粒子およびエマルションは、薬物分子を化学的に結合させず、むしろ担体物質に吸着させるか、または担体物質に溶解させる代替法として開発された。しかし、粒子およびエマルションは、粒子(小滴)表面がPEGなどの親水性ポリマーで修飾されていない限り、生体内では十分に長く循環せず、また細網内皮系(RES)および他の臓器に蓄積しない。立体的に保護された粒子(小滴)の全体的なサイズは、通常、約25nmよりも大きい。そのような担体を開発する際の大きな問題には下記の事実が含まれる:(1)エマルションは、貯蔵において、一般に比較的不安定であり、変化する(例えば、合体する);(2)サブミクロンの粒子およびエマルションの両方を大規模に製造することは典型的には困難である;そして(3)粒子または小滴から放出された薬物分子は担体とは無関係に循環する。エマルションおよびほとんどの粒子は、親水性薬物の輸送には適していない。
【0007】
薬物送達における特異的な開発は、粒子およびエマルションと類似する「自己集合性」の薬物担体として開発されたミセルを用いることであった。ミセルは、通常、ブロックの一方が親水性であり、もう一方が疎水性であるブロックコポリマーである界面活性剤から作製される。ミセルの全体的な流体力学的サイズは、通常、10〜30nmである。疎水性の薬物分子は、疎水性コアの中に取り込まれるか、あるいはブロックの一方と化学的に結合させられ、疎水性コアを形成するかのいずれかである。そのような担体を開発する際の問題のいくつかは、上記に記載された問題と類似する。さらに、これらの担体はいずれも、放出された薬物を特異的に再吸収することができず、薬物の放出速度を制御することが困難であり、そして両親媒性成分は毒性作用をもたらし得る。これらの担体は、親水性薬物の輸送には適していない。
【0008】
さらに別の試みには、典型的には直径が約50nm〜約1000nmの範囲内にある小胞であるリポソームの水性区画に薬物をカプセル化することが含まれる。しかし、リポソーム内への取込みによる薬物カプセル化の効力および薬物送達を制御する能力は疑問であり得る。例えば、リポソームからの薬物放出は一般には不可逆的である。さらに、血管透過性が比較的低い腫瘍内または腫瘍域内へのリポソームの浸透は、多くの場合、良好でない。また、多くの問題がリポソーム調製の大量製造および貯蔵に関連しており、これらは大きな技術的課題を生じさせている。
【0009】
細胞または生物に送達させる薬物を結合させるために用いられる他のシステムは類似する欠点を有している。従って、上記の問題を最小限にするか、または克服する薬物送達方法が求められている。
【0010】
発明の開示
本発明は、薬物送達の分野に関し、詳細には、薬物−担体複合体を形成する方法、および生物、組織培養物または細胞において薬物を送達し、かつ標的化するための医薬組成物としての薬物−担体複合体の使用に関する。
【0011】
1つの実施形態において、本発明の方法は、少なくとも1つのヌクレオチド鎖を薬物と合わせ、それにより薬物およびヌクレオチド鎖を可逆的に相互に会合させて、薬物−担体複合体を形成させることによって薬物−担体複合体を形成させることを含む。
【0012】
別の実施形態において、本発明の方法は、薬物を、互いにハイブリダイズする少なくとも2つのヌクレオチド鎖と合わせ、それにより薬物をヌクレオチド鎖と会合させて、水溶性の薬物−担体複合体を形成させることによって薬物−担体複合体を形成させることを含む。
【0013】
さらに別の実施形態において、本発明の方法は、薬物成分およびヌクレオチド成分を合わせることによって薬物−担体組成物を形成させることを含む。合わせた薬物成分およびヌクレオチド成分は、薬物−担体組成物を形成するために凍結乾燥される。
【0014】
さらにまた別の実施形態において、本発明の方法は、薬物成分を凍結乾燥し、ヌクレオチド成分を凍結乾燥し、そして凍結乾燥された薬物成分および凍結乾燥されたヌクレオチド成分を合わせて、薬物−担体組成物を形成させることによって薬物−担体組成物を形成させることを含む。
【0015】
本発明の別の実施形態は、二本鎖ヌクレオチドと、前記二本鎖ヌクレオチドの少なくとも1つの鎖に共有結合したポリマー成分とを含む薬物担体である。ポリマー成分は、25℃で少なくとも1mg/リットルの水溶性を有する。
【0016】
本発明のさらなる実施形態は、二本鎖ヌクレオチドと、前記二本鎖ヌクレオチドの少なくとも1つの鎖に共有結合したオリゴマー成分とを含む薬物担体である。
【0017】
さらなる実施形態において、本発明は、一本鎖ヌクレオチド、前記一本鎖ヌクレオチドと可逆的に会合した(reversibly associated with)薬物、および前記薬物または前記一本鎖ヌクレオチドと会合したポリマーを含む薬物−担体複合体である。
【0018】
さらにまた別の実施形態において、本発明は、一本鎖ヌクレオチド、前記一本鎖ヌクレオチドと会合したオリゴマー、および前記オリゴマーまたは前記一本鎖ヌクレオチドと可逆的に会合した薬物を含む薬物−担体複合体である。
【0019】
さらに別の実施形態において、本発明は、一本鎖ヌクレオチド、および前記一本鎖ヌクレオチドと会合した少なくとも2つのポリマーを含む薬物担体である。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、オリゴマー、前記オリゴマーによって包まれた(entrapped)一本鎖ヌクレオチド、および前記一本鎖ヌクレオチドと可逆的に会合した薬物を含む薬物担体である。
【0021】
さらに別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド担体成分および薬物成分を含む薬物−担体組成物である。この薬物−担体組成物は、約5重量%未満の水分含有量を有する。
【0022】
さらにまた別の実施形態において、本発明は、薬物成分およびヌクレオチド成分から本質的になる薬物−担体組成物を含む。
【0023】
さらなる実施形態において、本発明は、ヌクレオチド担体成分、および前記ヌクレオチド担体成分と可逆的に会合している(in reversible association with)薬物を含む医薬製剤(pharmaceutical formulation)である。
【0024】
さらに別の実施形態において、本発明の方法は、薬物−担体複合体を生物に投与することによって薬物を生物に送達することを含む。この薬物−担体複合体は、互いに会合しているヌクレオチド担体および薬物を含む。
【0025】
別の実施形態において、本発明の方法は、薬物−担体複合体を組織培養物に投与することによって薬物を組織培養物に送達することを含む。この薬物−担体複合体は、互いに可逆的に会合しているヌクレオチド担体および薬物を含む。
【0026】
さらにまた別の実施形態において、本発明の方法は、薬物、および前記薬物と可逆的に会合して、薬物−担体複合体を形成するヌクレオチド担体を生物に投与することによって薬物を生物に送達することを含む。
【0027】
さらに別の実施形態において、本発明の方法は、薬物、および前記薬物と可逆的に会合しているヌクレオチド鎖を含む薬物担体複合体を形成させ、そして前記薬物担体複合体を生物に投与することによって薬物を生物に送達することを含む。
【0028】
別の実施形態には、薬物−担体複合体を生物に投与することによって薬物を生物に送達する方法が含まれる。この薬物−担体複合体は、互いに可逆的に会合している薬物成分および担体成分を含む。薬物は、薬物−担体複合体から解離し、かつ担体成分と再会合することができる。会合の程度は、例えば、薬物および担体の濃度に依存し得る。
【0029】
さらに別の実施形態において、本発明の方法は、物質をヌクレオチド担体と可逆的に会合させて、水溶性複合体を形成させることによって物質の水溶性を増加させることを含む。
【0030】
さらにまた別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド、前記ヌクレオチドと会合したポリマー成分、および前記ヌクレオチドまたは前記ポリマー成分と会合し、かつ細胞マーカーまたは組織マーカーと会合可能なリガンドを含む標的化担体(targeted carrier )である。細胞マーカーまたは組織マーカーは、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質およびヌクレオチドからなる群から選択される。
【0031】
さらに別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド、前記ヌクレオチドと会合したポリマー成分、およびリガンドを含む標的化担体に関する。リガンドは、前記ヌクレオチドまたは前記ポリマー成分と会合し、かつ細胞マーカーまたは組織マーカーと会合可能である。細胞マーカーまたは組織マーカーは、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質およびヌクレオチドからなる群から選択される。
【0032】
さらなる実施形態において、本発明は、ヌクレオチド、前記ヌクレオチドと可逆的に会合した薬物、および標的化成分(targeting component )を含む標的化薬物−担体複合体に関する。標的化成分は、前記ヌクレオチドまたは前記薬物と会合する。標的化成分は、細胞マーカーまたは組織マーカーと会合可能なリガンドを含む。細胞マーカーまたは組織マーカーは、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質およびヌクレオチドからなる群から選択される。
【0033】
さらにまた別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド、前記ヌクレオチドと可逆的に会合した薬物、前記ヌクレオチドまたは前記薬物と会合したポリマー成分、および標的化成分を含む標的化薬物−担体複合体に関する。標的化成分は、前記ヌクレオチド、前記薬物または前記ポリマーと会合する。標的化成分は、細胞マーカーまたは組織マーカーと会合可能なリガンドを含む。細胞マーカーまたは組織マーカーは、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質およびヌクレオチドからなる群から選択される。
【0034】
さらなる実施形態において、本発明は、マトリックス、前記マトリックスと会合した、または前記マトリックス内に包まれたヌクレオチド、および前記ヌクレオチドと可逆的に会合している薬物を含む薬物送達システムに関する。
【0035】
別の実施形態には、インプラントマトリックス、前記マトリックスと会合した、または前記マトリックス内に包まれたヌクレオチド、および前記ヌクレオチドと可逆的に会合している薬物を含むインプラントが含まれる。
【0036】
本明細書中に記載されている本発明は、薬物−担体複合体、薬物−担体組成物、薬物担体、医薬製剤、薬物を生物および組織培養物に送達する方法、薬物を生物、組織培養物または細胞の組合せ(combination of cells )に送達するための標的化担体およびインプラントを提供する。本発明のヌクレオチド型薬物送達システムは多くの利点を有している。例えば、本発明のシステムは、化学的に修飾されていない形態で薬物を輸送することができ、そして放出された薬物を再吸収することができる。可逆的な薬物の会合を用いることによって、本発明の薬物送達システムは、放出された薬物を再び取り込むことができる。従って、組織内の薬物挙動は、薬物放出システムが機能的であり続ける限り、薬物放出システムに依存し続けると考えられる。これは、薬物動態学および薬効学の調節における新しい機会の可能性を提供する。臨床的な状況では、これにより、より良好な生物学的機能性がもたらされ、そして医薬製剤およびデバイスの安全域がより広がることが期待される。
【0037】
他の利点には、例えば、薬物−担体複合体のサイズが比較的小さいこと(例えば、約3nmまたは約5nmなど)が含まれる。本発明の薬物−担体複合体は、例えば、ポリマー型担体およびミセル型担体の1/5〜1/10であり、そしてリポソームの1/10〜1/20であり得る。従って、癌性組織などの特定の組織内への薬物の浸透が、内皮バリアおよび間質バリアが大きい場合には特に、著しく効率的になり得る。また、本発明の薬物−担体複合体の安定性および放出速度を広範囲に制御することができ、それにより、特定の臨床目的に従った生成物を設計する機会が提供され得る。さらに、本発明の薬物−担体複合体による薬物の放出は、酵素、細胞または他の因子との相互作用を必要とせず、従って、薬物−担体複合体は生物および組織の状態とはより無関係になる。しかし、あるいは、本発明の複合体は、生物または組織の状態の特定の条件(pHまたは酵素含有量など)を利用するために設計することができる。さらに、本発明の薬物−担体複合体の成分は、完全に生分解性であり、かつ非毒性であることが知られている生物学的システムの天然成分の類似したアナログから作製することができる。
【0038】
本発明の他の特異的な利点には、担体のクリアランスおよび薬物の不活性化に対する立体的な保護の可能性が含まれる。また、本発明の薬物−担体複合体は、一般には、薬物分子の分子内会合または分子間会合に対する問題を有していない。さらに、本発明の薬物−担体複合体を形成および処理する方法は容易に規模を変えることができる。また、薬物−担体複合体は凍結乾燥することができ、そして複合体のすべての成分は空気の存在下で安定であり得る。さらに、毒性の界面活性剤は用いられておらず、複合体のサイズは、一般には安定であり、条件および濃度に依存していない。生物内の薬物放出速度は、非常に変化しやすい吸着力には一般に依存していない。限外ろ過は、典型的には、薬物−担体複合体のサイズおよび構造に影響を及ぼさない。
【0039】
発明の詳細な説明
本発明の特徴及びその他の詳細を、本発明の工程として、又は本発明の部分の組み合わせとして、より具体的に記載し、特許請求の範囲に示す。本発明の特定の実施態様は、例示のために示され、本発明を制限するものではないことが理解されよう。本発明の原理的な特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な実施態様において利用されうる。
【0040】
本発明は、薬物とヌクレオチドとが相互に可逆的に会合するよう、ヌクレオチド(例えばヌクレオチド鎖)を薬物と合わせることにより、有用な薬物−担体複合体が形成され得るという発見に関する。薬物−担体複合体は、薬物を、例えば生物、組織培養物、又は個別の細胞へと輸送するために使用されうる。本発明は、本発明の薬物−担体複合体が、薬物の溶解度を増加させるため、標的化担体として、薬物輸送システムとして、そしてインプラントとして、医薬製剤において使用され得るという発見に、さらに関する。
【0041】
一つの実施態様において、薬物−担体複合体は、少なくとも1つのヌクレオチド鎖を薬物と合わせることにより形成される。薬物は、ヌクレオチド成分と可逆的に会合し、薬物−担体複合体を形成する。従って、「薬物−担体複合体」(「ヌクレオチド−担体複合体」とも呼ばれる)とは、本明細書において使用されるように、相互に可逆的に会合している少なくとも1つのヌクレオチド鎖と薬物をさす。
【0042】
「会合する」、「会合」、又は「会合可能な」という用語は、本明細書において使用されるように、可逆的、不可逆的、又はその両方であり得る。会合は、物理学的会合、化学的会合、又はその両方であり得る。例えば、会合は、共有結合、疎水性相互作用等でありうる。
【0043】
「可逆的会合」とは、本明細書において定義されるように、成分が元の会合前の状態に復元されうる会合である。例えば、本発明の薬物−担体複合体の成分の可逆的会合は、解離して、それにより元の別個の薬物成分とヌクレオチド成分とに復元されうる。
【0044】
一つの実施態様において、可逆的会合の成分の会合の量は、少なくとも部分的には、薬物及び担体の濃度に依る。もう一つの実施態様において、成分は生理学的条件下で解離可能である。特定の実施態様において、可逆的会合は、静電結合、水素結合、ファンデルワールス力、イオン相互作用、又はドナー/アクセプター結合からなる群より選択される会合である。可逆的会合は、薬物とヌクレオチド鎖との間の1つ以上の会合により媒介されうる。例えば、可逆的会合は、薬物とヌクレオチド鎖との間の水素結合とイオン結合との組み合わせを含みうる。さらに、又は別法として、可逆的会合は、例えば、成分間、例えば薬物とヌクレオチドとの間の共有結合性相互作用、又はその他の非共有結合性相互作用と組み合わされうる。
【0045】
本発明の薬物−担体複合体のもう一つの特定の実施態様においては、金属含有物質(例えば、プラチナ、シスプラチン(cis-platinum)、カルボプラチン、プラチナ、金、銀)を含む物質が、ヌクレオチド担体と可逆的に会合する。会合は非共有結合性であり、薬物−担体複合体を形成させるために元々利用された物質とは異なっていてもよい、金属を含有する生物学的に活性な薬物成分を可逆的に放出しうると考えられる。
【0046】
本明細書において利用されるように、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド鎖」、又は「ヌクレオチド担体」という用語は、天然に存在するヌクレオチド(例えば、塩基成分グアニン(G)、チミン(T)、ウラシル(U)、シトシン(C)、アデニン(A)を含有)又はそれらの誘導体もしくは構造的アナログのいずれかから本質的になる分子を記載するものである。ヌクレオチド鎖には、2つ以上のヌクレオチド、例えばオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、又はそれらの化学的誘導体もしくはアナログが含まれる。「オリゴヌクレオチド」という用語は、一般的に、よく解明された構造及び長さを有する分子(例えば、
Figure 0004813712
(配列番号:13))を記載するものである。「ポリヌクレオチド」という用語は、一般的に、配列又は長さのいずれかが変動する、多数のヌクレオシドから組み立てられた分子(例えば、細胞溶解物から得られたDNA又はRNAの調製物、構造An m k l のランダムなポリマー)をさす。
【0047】
天然に存在するオリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドにおいては、塩基は通常ホスホジエステル結合を介して連結されている。塩基が非ホスホジエステル結合により連結されている、いくつかの化学的アナログが既知である。
【0048】
ヌクレオチド鎖は、直鎖又は環の形態で存在することができ、多様な構造、例えばらせん状二本鎖(ヘリックス)、三本鎖(しばしば三重鎖とも呼ばれる)、ループ、折り畳み構造(fold)、クロス(cross)、又は超らせんを形成することが既知である。
【0049】
本発明は、例えば、直鎖状デオキシリボヌクレオチド、直鎖状リボヌクレオチド、リボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチドの両方を含む直鎖状オリゴヌクレオチド、環状DNA(例えば、プラスミド)、折り畳まれたリボヌクレオチド(例えば、リボザイム、t−RNA)、ウイルスRNA、ウイルスDNA、細胞溶解物由来のDNA及びRNA、合成のポリデオキシリボヌクレオチド及びポリリボヌクレオチド、化学的に架橋された二本鎖オリゴヌクレオチド、部分的又は完全にメチル化又はその他の化学的改変を受けた型の前記のうちのいずれかを含む、あらゆる型のヌクレオチド鎖、構造、及びそれらから形成された組み合わせを利用する。
【0050】
本発明の好ましいヌクレオチドは、合成オリゴヌクレオチド、プラスミド、RNA転写物、ウイルスDNA、及びウイルスRNA(例えば、ウイルスエンベロープ、完全ビリオン、ウイルスの中のウイルスヌクレオチド)のような、よく解明された構造を有するヌクレオチドである。その他の好ましいヌクレオチドは、たとえば、生分解速度を調節するため(例えば、ホスホロチオエート結合を含むオリゴヌクレオチド)、又は他の分子との結合(conjugation )を可能にするための(例えば、3’末、5’末、又は1つ以上の塩基の位置にカルボキシル基又はアミノ基が取り込まれている合成オリゴヌクレオチド)、化学的に修飾された合成オリゴヌクレオチドである。
【0051】
ヌクレオチド鎖のDNAは、B DNA(Drew,H.R.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,78:2179−2183(1981);Edwards,K.J.,et al.,J.Mol.Biol.,226:1161−1173(1992)(いずれの教示も参照により完全に本明細書に組み込まれる));Z DNA(Gessner,R.V.,et al.,J.Biol.Chem.,264:7921−7935(1989)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる));三重鎖DNA(Van Meervelt,L.,et al.,Nature,374,742−744(1995)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる));分子内三重鎖DNA(Koshlap,K.M.,et al.,Biochemistry 36:2659(1997));インターカレーティッド(intercalated)四本鎖DNA(Kang,C.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,91:11636−11640(1994);Kang,C.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,92:3874−3878(1995)(いずれの教示も参照により完全に本明細書に組み込まれる));四重鎖DNA(Kang,C.,et al.,Nature,356,26−131(1992)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる));又はバルジループDNA(Joshua−Tor,L.,et al.,J.Mol.Biol.,225:397−431(1992)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる))でありうる。
【0052】
ヌクレオチド又はヌクレオチド鎖は、天然に存在するもの(例えば、生物の細胞、組織培養細胞、ウイルスより単離されたもの)であってもよいし、又は例えばヌクレオチド合成装置により合成的に生成されたものであってもよい。残基は、ヌクレオチド鎖を合成した後、さらに修飾されうる。例えば、ヌクレオチド鎖の5’アミノ基は、カルボキシ−ポリエチレングリコールのN−ヒドロキシスクシンイミドエステルで修飾されうる。典型的には自然に存在するヌクレオシドを、典型的には自然に存在しないヌクレオシドと共に使用して、本発明により利用されるヌクレオチド及びヌクレオチド鎖を合成してもよい。細胞、組織、又は生物からヌクレオチド又はヌクレオチド鎖を単離するための方法、及び市販されているDNA/RNA合成機でヌクレオチド又はヌクレオチド鎖を合成するための方法は、当分野において周知である。例示的な技術は、例えば「Current Protocols in Molecular Biology」(Ausubel et al.,John Wiley & Sons(1999)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる))に記載されている。
【0053】
「ヌクレオチド成分」という用語は、本発明の薬物−担体複合体の薬物結合(薬物運搬)成分をさす。薬物結合成分は、少なくとも1つのヌクレオチド鎖を含む。ヌクレオチド成分は、他の成分(例えば、ポリマー、オリゴマー、リガンド)を含むか、又はそれらとさらに会合して、薬物担体、薬物輸送システム、又は薬物担持インプラントを形成していてもよい。一つの実施態様において、ヌクレオチド鎖はオリゴヌクレオチド鎖である。
【0054】
薬物−担体複合体の薬物は、本発明のヌクレオチド又はヌクレオチド鎖と可逆的に結合する(本明細書において「可逆的に会合する」もしくは「可逆的に会合している」とも呼ばれる)任意の物質、又は該鎖により形成された任意の構造であり得る。薬物は、例えばドナー−アクセプター結合を介して、1つ以上のヌクレオチド鎖のうちの単一のヌクレオチドと可逆的に会合しうる。薬物は、1つ以上のヌクレオチド鎖のうちの複数のヌクレオチドと可逆的に会合することもできる。薬物は、2つのヌクレオチド鎖からなる薬物−担体複合体の1つのヌクレオチド鎖と可逆的に会合することができる。同様に、薬物は、2つのヌクレオチド鎖からなる薬物−担体複合体の2つのヌクレオチド鎖と可逆的に会合することもできる。同様に、薬物は、3つのヌクレオチド鎖からなる薬物−担体複合体の単一のヌクレオチド鎖と可逆的に会合することができる。
【0055】
「薬物」という用語は、本明細書において、「薬物成分」という語句と交換可能に使用される。一つの実施態様において、医薬製剤の薬物は、治療用薬物である。「治療」という用語は、本発明において使用される薬物をさす場合、障害又は疾患(例えば、遺伝病、エイズのようなウイルス性疾患、癌)を処置、矯正、又は治癒させるために使用される薬物をさす。もう一つの実施態様において、医薬製剤の薬物は、診断用薬物(例えば、放射性診断用薬物、蛍光性診断用薬物、常磁性診断用薬物、超常磁性診断用薬物、高x線密度(x−ray dense)診断用薬物、又は高電子密度診断用薬物)である。「診断」という用語は、本発明において利用される薬物をさす場合、疾患の性質もしくは程度を決定するために利用されるか、又は障害もしくは疾患の存在を確認するために利用される薬物をさす。
【0056】
他の実施態様において、薬物は、例えば、抗癌薬、抗ウイルス薬、抗菌薬、又は抗原生動物薬でありうる。薬物は、例えば、アントラサイクリン、アクチノマイシン、アントラセンジオン、ブレオマイシン、ミトラマイシン、クロモマイシン、オリボマイシン(olivomycin)、タンパク質、ペプチド、炭水化物、ポリアミン、ポリカチオン、アクチノマイシンD、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ビスアントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシンA2、ジスタマイシン(distamycin)、ネトロプシン(netropsin)、シスプラチン、カルボプラチン、銀のイオン及び粒子、又は金のイオン及び粒子であってもよい。
【0057】
一つの実施態様において、薬物はオリゴヌクレオチド薬物である。「オリゴヌクレオチド薬物」という語句は、本明細書において使用されるように、薬物−担体複合体のヌクレオチド鎖と可逆的に結合する、少なくとも2つのヌクレオチドを含有する分子をさす。オリゴヌクレオチド薬物は、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド又はリボザイムでありうる。その他の適当な薬物の例には、金属含有物質(例えば、プラチナ、シスプラチン、カルボプラチン、プラチナ、金、銀)又はDNAもしくはRNAのらせんのマイナーグルーブ(minor groove)又はメジャーグルーブ(major groove)と結合する薬物のような成分が含まれる。さらにもう一つの実施態様において、薬物には、少なくとも1つのアミノ基が含まれる。例えば、薬物ドキソルビシンは、アミノ基を含む。
【0058】
もう一つの実施態様において、図1A及び1Bに示されるように、薬物複合体10は、ヌクレオチド12と、ヌクレオチド12とインターカレート(intercalates)する薬物14とを含む。
【0059】
もう一つの実施態様において、図2に示されるように、薬物複合体16は、薬物(示していない)を運搬する二本鎖オリゴヌクレオチドコア18を含む。ポリマー20が、例えば共有結合により、オリゴヌクレオチドコア18と会合し、それにより立体的保護を提供している。
【0060】
図3A〜3Eは、本発明の薬物−担体複合体のさらなる実施態様を表している。特に、図3Aは、二本鎖オリゴヌクレオチド26と可逆的に会合した薬物24を含むミセル22を示している。ポリマー28が、二本鎖オリゴヌクレオチド26から放射状に整列している。
【0061】
図3Bは、薬物32が一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド34と可逆的に会合している、ポリマーにより修飾されたDNA30を示している。ポリマー36がポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド34から延びている。
【0062】
図3Cは、ポリマー骨格40が複数のオリゴヌクレオチド42と結合している薬物−担体複合体38を示している。薬物成分44がオリゴヌクレオチド42と可逆的に会合しており、ポリマー46が骨格から延び、オリゴヌクレオチド42を立体的に保護している。
【0063】
図3Dは、修飾型プラスミド48としての薬物−担体複合体を示している。薬物50及びポリマー52が相互に会合しており、薬物がプラスミド成分54と可逆的に会合している。
【0064】
図3Eは、オリゴヌクレオチド58及び会合した薬物分子60がゲル62内に包まれている、ゲル粒子56としての薬物−担体複合体を示している。ポリマー64がゲル62から延びている。
【0065】
本発明の薬物−担体複合体は、少なくとも1つの薬物を含む。例えば、薬物−担体複合体は、オリゴヌクレオチド薬物(例えば、リボザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチド)、抗菌薬、及び金属含有物質(例えば、プラチナ、シスプラチン、カルボプラチン、プラチナ、金、銀)と可逆的に会合した少なくとも1つのヌクレオチド鎖を含みうる。本発明の薬物−担体複合体は、癌における増殖関連遺伝子のようなある種の遺伝子の転写を抑制、又は阻害、又は調節する薬物を輸送するために利用されうる。
【0066】
一つの実施態様において、本発明の薬物−担体複合体において、薬物−担体複合体の薬物は、相互にハイブリダイズする少なくとも2つのヌクレオチド鎖と合わせられる。
【0067】
さらに、又は別法として、第2のヌクレオチド鎖が、薬物−担体複合体と合わせられる。一つの実施態様において、第2のヌクレオチド鎖は、薬物−担体複合体のヌクレオチド鎖のうちの少なくとも1つとハイブリダイズする。第2のヌクレオチド鎖は、前記の薬物−担体複合体のヌクレオチド鎖の場合と同様に、1つ以上のヌクレオチド、一本鎖、二本鎖のDNA、RNA、天然に存在する、又は合成のヌクレオチドでありうる。
【0068】
もう一つの実施態様において、本発明は、薬物を、相互にハイブリダイズする少なくとも2つのヌクレオチド鎖と合わせる工程を含む、薬物−担体複合体を形成する方法に関する。薬物及びヌクレオチドは、個別に、又は共に溶液(例えば、水)に添加されうる。薬物及びヌクレオチドを個別に合わせて薬物−担体複合体を形成する場合には、薬物を溶液に添加し、次いでヌクレオチドを溶液に添加してもよいし、又はヌクレオチドを溶液に添加し、次いで薬物を溶液に添加してもよい。別法として、薬物及びヌクレオチドは、同時に溶液に添加されうる。薬物−担体複合体のハイブリダイズしたヌクレオチド鎖の非存在下において、薬物は、非水溶性であるか、又は25℃において約1mg/リットル未満という溶解度のような、比較的低い水溶性を有する。
【0069】
好ましい実施態様においては、溶解した薬物−担体複合体を凍結乾燥する。凍結乾燥は、フリーズドライングとも呼ばれる。本発明の薬物−担体複合体を凍結乾燥するために使用されうる、物質を凍結乾燥させるための方法は、当分野において周知である。薬物−担体複合体の溶液を、(例えば、液体窒素又はドライアイスアルコール浴の中に置くことにより)凍結させ、凍結した薬物−担体複合体を高真空に置くことができる。次いで、融解させることなく真空において水(氷の形態)を蒸発(昇華)させると、水以外の成分(溶解した薬物−担体複合体)が粉末又はスポンジ様(脱水)の形態で残留する。
【0070】
本発明のもう一つの実施態様は、薬物成分とヌクレオチド成分とを合わせる工程を含む、薬物−担体組成物を形成する方法である。合わせた薬物成分及びヌクレオチド成分を、凍結乾燥して、薬物−担体組成物を形成する。好ましい実施態様においては、薬物成分(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アントラサイクリン、ジスタマイシン)及びヌクレオチド成分(例えば、一本鎖DNA又はRNA、二本鎖DNA又はRNA)のうちの少なくとも1つを、水に溶解させた後、それらの成分を合わせる。次いで、残りの成分を、合わせた薬物成分及びヌクレオチド成分へと添加することができる。
【0071】
さらにもう一つの実施態様において、薬物−担体組成物は、薬物成分を凍結乾燥させること、ヌクレオチド成分を凍結乾燥させること、及び凍結乾燥した薬物成分と凍結乾燥したヌクレオチド成分とを合わせて、薬物−担体組成物を形成することを含む方法により形成される。
【0072】
さらなる実施態様において、本発明は、二本鎖ヌクレオチド(例えば、DNA又はRNA)と、二本鎖ヌクレオチドの少なくとも1つの鎖と共有結合したポリマー成分とを含む薬物担体に関する。薬物担体のポリマー成分は、25℃において少なくとも1mg/リットルという水溶性を有する。
【0073】
「ポリマー」という用語は、一般的に、化学的に類似した、又は化学的に異なる単位(例えば、アミノ酸、グルコースのようなモノマー)の和合又は結合により形成された分子(例えば、タンパク質、ポリエーテル、ポリアセタール、多糖)をさす。一般的に、「ポリマー」とは、約30個超の単位を含む分子をさす。ポリマーは、例えば、シロキサン又はポリホスフェート及びそれらの誘導体のような無機ポリマーでありうる。別法として、又はさらに、ポリマーは、有機であり得る。有機ポリマーは、多糖類、デンプン、セルロース、ペクチン、イヌリン、アガロース、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、デキストラン、ポリペプチド(例えば、カゼイン、アルブミン、グロブリン、ケラチン、インスリン、ポリリジン)、及びそれらの誘導体のような天然の有機ポリマーでありうる。有機ポリマーは、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミン、及びそれらの誘導体のような合成の有機ポリマーであってもよい。有機ポリマーは、メチルセルロース、修飾型デンプン、及びそれらの誘導体のような半合成の有機ポリマーであってもよい。
【0074】
一つの実施態様において、薬物担体のポリマー成分は、生体適合性のポリマー成分である。「生体適合性」という用語は、本明細書において使用されるように、生物(例えば、哺乳動物)、組織培養物、又は細胞集合体から不都合な反応(例えば、免疫応答)を惹起しないか、又は惹起するとしても不都合な反応が許容可能なレベルを超えないようなポリマーをさす。より好ましい実施態様において、生体適合性ポリマー成分は、多糖(例えば、ポリα−D−グルコース、ポリシアル酸、デキストラン、コンドロイチン硫酸、デンプン)、ポリエーテル、及びポリアセタール(例えば、ポリ [ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール])からなる群より選択される。
【0075】
もう一つの実施態様において、生体適合性ポリマーは、架橋されている。
【0076】
薬物担体のポリマー成分は、1つ以上の化学的に類似したポリマー(例えば、多糖ポリマー:多糖ポリマー、ポリペプチドポリマー:ポリペプチドポリマー)であってもよいし、又は化学的に異なるポリマー (例えば、多糖ポリマーとポリペプチドポリマー;ポリエーテルポリマーとポリアセタールポリマー;多糖ポリマーとポリペプチドポリマーとポリエーテルポリマー)であってもよい。一つの実施態様において、薬物担体のポリマー成分は、少なくとも1つのヌクレオチド鎖と共有結合した少なくとも1つのポリマーを含む。もう一つの実施態様において、ポリマー成分は、少なくとも2つの化学的に類似した、又は化学的に異なるポリマーを含む。
【0077】
本発明のさらなる実施態様は、二本鎖ヌクレオチドと、二本鎖ヌクレオチドの少なくとも1つの鎖と共有結合したオリゴマー成分とを含む薬物担体に関する。
【0078】
「オリゴマー」という用語は、本明細書において使用されるように、一般的には約30個未満の単位を含む、化学的に類似した、又は化学的に異なる単位(例えば、アミノ酸、グルコース、ガラクトースのようなモノマー)の和合又は結合により形成された分子をさす。ポリマーと同様に、オリゴマーは、例えば、無機オリゴマー又は有機オリゴマーでありうる。有機オリゴマーは、天然の有機オリゴマー、合成のオリゴマー、又は半合成の有機オリゴマーでありうる。
【0079】
薬物担体のオリゴマー成分は、少なくとも1つの多糖、又は少なくとも1つのオリゴペプチド、又はオリゴ糖とオリゴペプチド両方の組み合わせを含みうる。一つの実施態様において、オリゴマー成分は、少なくとも1つのヌクレオチド鎖と共有結合した少なくとも1つのオリゴマーを含む。もう一つの実施態様において、オリゴマー成分は、少なくとも2つのオリゴマーを含む。さらにもう一つの実施態様において、薬物担体のオリゴマー成分は、少なくとも2つの化学的に異なるオリゴマーを含む。さらにもう一つの実施態様において、薬物担体のオリゴマー成分は、少なくとも2つの化学的に類似したオリゴマーを含む。
【0080】
もう一つの実施態様において、本発明は、一本鎖ヌクレオチド、ポリマーおよび薬物を含む薬物−担体複合体である。薬物は、一本鎖ヌクレオチドと可逆的に会合している。一つの実施態様において、ポリマーは、一本鎖ヌクレオチドと会合している。もう一つの実施態様において、ポリマーは、薬物と会合している。
【0081】
さらにもう一つの実施態様において、本発明は、一本鎖ヌクレオチド、オリゴマーおよび薬物を含む薬物−担体複合体である。オリゴマーは、一本鎖ヌクレオチドと会合している。オリゴマーは、共有結合性の会合により一本鎖ヌクレオチドと会合している。オリゴマーは、薬物と会合していてもよい。一つの実施態様において、薬物は、一本鎖ヌクレオチドと可逆的に会合している。もう一つの実施態様において、薬物は、オリゴマーと可逆的に会合している。
【0082】
さらなる実施態様において、本発明は、一本鎖ヌクレオチドと、一本鎖ヌクレオチドと(例えば、可逆的に、不可逆的に)会合した少なくとも2つのポリマーとを含む薬物担体である。一つの実施態様において、ポリマーと一本鎖ヌクレオチドとの間の化学的会合(例えば、可逆的、不可逆的)は、共有結合である。もう一つの実施態様において、ポリマーと一本鎖ヌクレオチドとの間の化学的会合(例えば、可逆的、不可逆的)は、非共有結合性の結合である。
【0083】
もう一つの実施態様において、本発明は、一本鎖ヌクレオチドと、一本鎖ヌクレオチドと会合した少なくとも2つのオリゴマーとを含む薬物担体である。一つの実施態様において、オリゴマーと一本鎖ヌクレオチドとの間の化学的会合は、共有結合である。もう一つの実施態様において、オリゴマーと一本鎖ヌクレオチドとの間の化学的会合は、非共有結合性の結合である。
【0084】
さらにもう一つの実施態様において、本発明は、ヌクレオチド担体成分と薬物成分とを含む薬物−担体組成物に関する。薬物−担体組成物は、約5重量%未満の水分含有量を有する。
【0085】
本発明のさらなる実施態様は、水又は水蒸気のような他の成分が本質的に存在しない、薬物成分とヌクレオチド成分とから本質的になる薬物−担体組成物に関する。
【0086】
もう一つの実施態様において、本発明は、ヌクレオチド担体成分と、ヌクレオチド担体成分と可逆的に会合している薬物とを含む医薬製剤に関する。薬物とヌクレオチド担体成分との可逆的会合は、前記の薬物−担体複合体の薬物とヌクレオチドとの会合と同様であり、例えばファンデルワールス力、静電相互作用、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用、又はドナー/アクセプター結合を含みうる。
【0087】
医薬製剤の薬物とヌクレオチド担体成分との間の可逆的会合は、ファンデルワールス力、静電相互作用、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用、及びドナー/アクセプター結合からなる群より選択される少なくとも1個の可逆的会合を含みうる。可逆的会合は、薬物とヌクレオチド担体成分との間のインターカレーションも含みうる。医薬製剤の薬物とヌクレオチド担体成分との間の可逆的会合には、薬物とヌクレオチド担体成分との間の可逆的共有結合がさらに含まれうる。
【0088】
一つの実施態様において、医薬製剤のヌクレオチド担体成分は、ポリヌクレオチド担体成分である。もう一つの実施態様において、医薬担体成分のヌクレオチド担体成分は、オリゴヌクレオチド担体成分である。
【0089】
医薬製剤において使用される薬物は、前記の例えば本発明の薬物−担体複合体と同様である。例えば、医薬製剤中の薬物は、オリゴヌクレオチド薬物(例えば、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又はリボザイム)でありうる。薬物には、インターカレーター(intercalator)、金属含有物質(例えば、プラチナ、シスプラチン、カルボプラチン、プラチナ、金、銀)、マイナーグルーブバインダー(minor groove binder)、又はメジャーグルーブバインダー(major groove binder)からなる群より選択される成分が含まれうる。さらにもう一つの実施態様において、薬物には、少なくとも1つのアミノ基が含まれる。例えば、薬物ドキソルビシンは、アミノ基を含む。
【0090】
さらにもう一つの実施態様において、医薬製剤の薬物は、2つ以上のアミノ酸を含むタンパク質又はペプチドである。タンパク質薬物又はペプチド薬物のアミノ酸は、天然に存在するL−アミノ酸、D−アミノ酸、天然には存在しないアミノ酸、又はガンマアミノ酸及び環状アミノ酸のような合成アミノ酸でありうる。タンパク質は、翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、ミリスチル化、アセチル化)されうる。N末端アミノ基、C末端カルボキシル基、又はタンパク質内の1つ以上のペプチド結合は、例えば、非アミノ結合であり得る。
【0091】
さらにもう一つの実施態様において、医薬製剤の薬物には、診断用標識が含まれる。「診断用標識」という語句は、本発明の医薬製剤中の薬物をさす場合、薬物へと取り込まれた検出可能標識をさす。標識は、ある種の試料、液体、臓器、組織、細胞の組み合わせ、単一細胞、細胞小器官等の中の薬物又は薬物代謝物の濃度を決定するために使用される。標識には、例えば放射性核種、フルオロフォア、発色団、常磁性のイオン又は基、超常磁性ナノ粒子、バリウム又はその他の重金属のイオン、重金属(例えば、金)粒子、ヨウ素原子、酵素、又はビオチンが含まれる。標識は、例えば、放射能測定、ガンマシンチグラフィ、陽電子放射型断層撮影法、核磁気共鳴分光法、常磁性共鳴画像化法、蛍光分光法、フォトイメージング(photoimaging)、X線(コンピュータ連動)断層撮影法、電子顕微鏡、酵素アッセイ、又はその他のそれぞれの方法により、インビトロ又はインビボで検出可能であり得る。標識の位置又は含量に関する情報は、薬物の移動及び代謝の経路を決定するために使用されうる。診断用標識は、障害又は疾患の存在を確認するためにも使用されうる。
【0092】
本発明のさらなる実施態様は、ヌクレオチド担体−薬物複合体を生物へ投与することを含む、薬物を生物へ送達する方法に関する。ヌクレオチド担体−薬物複合体は、相互に可逆的に会合しているヌクレオチド担体と薬物を含む。一つの実施態様において、薬物を生物へ送達する方法において使用される、薬物とヌクレオチド担体成分との可逆的会合は、ファンデルワールス力、静電相互作用、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用、及びドナー/アクセプター結合からなる群より選択される。もう一つの実施態様において、薬物を生物へ送達する方法において使用される、薬物とヌクレオチド担体成分との可逆的会合は、インターカレーションである。
【0093】
好ましい実施態様において、本発明の方法を使用して薬物が送達される生物は、哺乳動物及び細胞からなる群より選択される。哺乳動物は、例えば霊長類(例えば、ヒト、アカゲザル)、齧歯類(例えば、ハムスター、マウス、ラット)、反芻類(例えば、ヒツジ、ウマ、ウシ)、又はペット用(domestic)(例えば、ネコ、イヌ)の哺乳動物でありうる。細胞は、原核細胞又は真核細胞でありうる。
【0094】
薬物を生物へ送達する方法の一つの実施態様において、薬物−担体複合体は、たとえば、全身投与又は局所投与により生物へ投与される。本方法のもう一つの実施態様においては、薬物−担体複合体は、生物の近位に投与される。「生物の近位」とは、本明細書において使用されるように、生物の近傍を意味する。例えば、生物が細胞である場合、ヌクレオチド担体は細胞培養培地へと投与されうる。
【0095】
さらなる実施態様において、本発明は、ヌクレオチド担体−薬物複合体を組織培養物へ投与することを含む、薬物を組織培養物又は細胞の組み合わせ(例えば、組織試料)へ送達する方法に関する。ヌクレオチド担体−薬物複合体は、相互に可逆的に会合しているヌクレオチド担体と薬物を含む。前記の、薬物を生物へ送達する方法の場合と同様に、該薬物と該ヌクレオチド担体との可逆的会合は、ファンデルワールス力、静電相互作用、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用、及びドナー/アクセプター結合からなる群より選択される。本方法における薬物とヌクレオチド担体成分との間の可逆的会合は、インターカレーションであってもよい。薬物−担体複合体は、組織培養物又は細胞の組み合わせへと投与されうる。別法として、又はさらに、ヌクレオチド担体は、組織培養物又は細胞の組み合わせの近位に投与されうる。
【0096】
本明細書に記載の、薬物を組織培養物へ送達する方法は、特定の細胞又は組織に対して特定の効果を有する薬物をスクリーニング又は選択するために利用されうる。例えば、ヌクレオチド担体−薬物複合体の薬物は、正常細胞又は癌細胞(例えば、黒色腫、乳腺癌細胞株293、組織バイオプテート(bioptates))、ウイルス(例えば、HIV、C型肝炎)、細菌、真菌、及び原生動物のような、組織培養細胞又は病原体の細胞増殖を、薬物が阻害するか否かを決定するために評価されうる。
【0097】
本発明のもう一つの実施態様は、薬物と、該薬物と可逆的に会合してヌクレオチド担体−薬物複合体を形成するヌクレオチド担体とを生物へ投与する工程を含む、薬物を生物へ送達する方法である。一つの実施態様において、薬物及びヌクレオチド担体は、同時に生物へ投与される。もう一つの実施態様において、薬物及びヌクレオチド担体は、別々に生物へ投与される。薬物及びヌクレオチドを、別々に生物へ投与する場合には、まず薬物を投与し、続いてヌクレオチド担体を投与してもよいし、又はまずヌクレオチド担体を投与し、続いて薬物を投与してもよい。
【0098】
さらにもう一つの実施態様において、本発明は、該薬物と、薬物と可逆的に会合しているヌクレオチド担体を含むヌクレオチド担体−薬物複合体を形成する工程、及びヌクレオチド担体−薬物複合体を生物へ投与する工程を含む、薬物を生物へ送達する方法に関する。
【0099】
さらにもう一つの実施態様において、本発明は、薬物−担体複合体を生物へ投与することを含む、薬物を生物へ送達する方法に関する。薬物−担体複合体は、相互に可逆的に会合している薬物成分と担体成分を含む。薬物は、薬物−担体複合体から解離し、担体成分と再会合する。会合及び解離の程度は、例えば薬物及び担体の濃度に依存しえ、紫外/可視分光法、蛍光分光法、NMR、又はその他の適当な方法を使用して評価されうる。好ましい実施態様において、担体成分は、ヌクレオチド担体成分である。ヌクレオチド担体成分は、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドでありうる。ヌクレオチド担体成分は、一本鎖ヌクレオチド、二本鎖ヌクレオチド、DNA、RNA、天然に存在する、又は合成のヌクレオチドでありうる。
【0100】
好ましい実施態様において、薬物を生物へ送達する方法において利用される薬物−担体複合体は、該生物内の細胞の組み合わせに送達される。細胞の組み合わせは、例えば癌(例えば、乳癌、脳の癌、前立腺癌、肺癌)、病原性生物(例えば、細菌、ウイルス、真菌)、又は臓器(例えば、心臓、腎臓、肺、腸、胃)でありうる。
【0101】
薬物を生物へ送達する方法の一つの実施態様において、薬物−担体複合体は生物へ投与され、薬物−担体複合体は、生物内の細胞の組み合わせの近くで、又は細胞の組み合わせ内で解離する。例えば、薬物−担体複合体は、ヒト生物へ投与され、ヒト体内の癌組織において、又はその内部で解離する。
【0102】
薬物−担体複合体は、目的の細胞の組み合わせから離れた位置で生物へ投与されうる。別法として、又はさらに、薬物−担体複合体は、目的の細胞の組み合わせの近位の位置で生物へ投与されうる。例えば、細胞の組み合わせが肺癌である場合、吸入を介した薬物−担体複合体の投与は、細胞の組み合わせの近位の位置での薬物の投与とみなしうる。同様に、細胞の組み合わせが小腸の癌である場合、腹腔への薬物−担体複合体の投与は、細胞の組み合わせの近位の位置での薬物の投与であるとみなしうる。
【0103】
本発明のヌクレオチド担体−薬物複合体及び医薬製剤は、全身的又は局所的に、例えば静脈内に、筋肉内に、非経口的に、経口的に、鼻腔内に、吸入により、又は坐剤により投与されうる。本発明のヌクレオチド担体−薬物複合体及び医薬製剤は、単回投与されてもよいし、又は所望の効果(例えば、癌細胞を放射線感受性にするため、又は細胞増殖を減少もしくは停止させるための、腫瘍への薬物の送達)を達成するため必要とされる期間にわたり、複数回投与されてもよい。
【0104】
本発明のヌクレオチド担体−薬物複合体及び医薬製剤は、生物、組織培養物、又は細胞の組み合わせへの投与を促進するため、滅菌水、(リンゲル溶液のような)塩溶液、アルコール、又はタルクのような他の医薬用担体又は賦形剤と混合、又は組み合わされうる。本発明のヌクレオチド担体−薬物複合体及び医薬製剤は、滅菌され、所望により、ヌクレオチド担体−薬物複合体及び医薬製剤と有害な反応を起こさない補助物質、例えば凍結保護剤、着色剤、又は保存剤と混合されうる。
【0105】
特定の例における本発明のヌクレオチド担体−薬物複合体及び医薬製剤の実際の有効量は、利用される具体的なヌクレオチド担体−薬物複合体及び医薬製剤、例えば投与様式、並びに生物(例えば、ヒト)の年齢、体重、及び疾患又は障害によって変動しうる。
【0106】
さらにもう一つの実施態様において、本発明は、物質をヌクレオチド担体と可逆的に会合させ、水溶性複合体を形成させることを含む、物質の水溶性を増加させる方法に関する。例えば、ドキソルビシン、WP−631、及びDMP840(Raghavan,K.S.et al.,Pharm.Dev.Technol.37:3078−85(1988)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる))のようないくつかの既知のビスインターカレーターは、生理学的pHにおいて限定された溶解度を有する。DNAと結合しうる可能性のある構造を含有するいくつかの物質(例えば、高度に疎水性のインターカレーター)は、極わずかにしか水性培地に溶解しないことから細胞培養物における試験が妨害されているため、未だ研究がなされていない。「水溶性」という語句は、一般的に、水を基本とした溶液と混和(例えば、溶解)する物質の能力をさす。水を基本とした溶液は、その成分の1つとして水を含有する任意の溶液であり得る。例えば、水を基本とした溶液は、血漿、又はリン酸緩衝生理食塩水もしくはリンゲル溶液のような生理学的緩衝塩溶液でありうる。一つの実施態様において、物質は、ヌクレオチド担体と会合していない場合、本質的に非水溶性である。非水溶性は、物質を、生物への投与にとって不適切又は不十分なものとしうる。従って、本発明の方法を利用して水溶性を増加させることは、疾患を処置し、そのメカニズムを研究するため、薬物を細胞、生物(例えば、哺乳動物)、及び組織培養物へ送達するための改良された方法を提供し、薬物として使用されうる化合物の数を増加させる。
【0107】
さらにもう一つの実施態様において、本発明は、ヌクレオチドと、該ヌクレオチドと会合したポリマー成分と、該ヌクレオチド又はポリマー成分と会合した、かつ細胞マーカー又は組織マーカーと会合可能なリガンドとを含む、標的化担体に関する。
【0108】
標的化担体のリガンドとヌクレオチド成分又はポリマー成分との間の会合は、可逆的会合(例えば、ファンデルワールス力、静電相互作用、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用、又はドナー/アクセプター結合)、不可逆的会合、又は共有結合でありうる。
【0109】
標的化担体のリガンドが会合する細胞マーカー又は組織マーカーは、例えば、タンパク質、多糖類、ポリペプチド、炭水化物、及び脂質からなる群より選択されうる。「タンパク質」、「多糖類」、「ポリペプチド」、「炭水化物」、及び「脂質」という用語は、糖タンパク質、糖脂質、リポ多糖、プロテオグリカン、リポタンパク質、脂質−タンパク質複合体、ヌクレオソーム、及びリポテイコ酸(lipoteichoic acid)のような関連化合物又は誘導体もさすものとする。例えば、細胞マーカー又は組織マーカーは、膜貫通型受容体(例えば、Gタンパク質共役受容体、チロシンキナーゼ受容体、増殖因子受容体)のような細胞表面受容体でありうる。標的化担体のリガンドは、例えば疾患状態を処置するため、又は欠損を補充するための薬物を送達するため、標的化担体を特定の細胞又は組織へと特異的に標的化するため選択されうる。
【0110】
組織マーカーは、例えば2つの群に大別されうる。1つの群には、病理学的細胞の表面上に、又は病理学的細胞外マトリックスにおいて、又はある種の細胞の組み合わせ(細胞型、細胞クラス、臓器、又は組織)において、排他的、又はほぼ排他的に発現している分子が含まれうる。もう一つの群には、病理学的部位に特有ではないが、該病理学的部位において過剰発現している分子が含まれうる。細胞マーカー又は組織マーカーと会合する適当なリガンドの例は、血小板由来増殖因子(PDGF)、マクロファージコロニー刺激因子、及び上皮増殖因子である。
【0111】
第1の群の典型的な代表は、アシアロフェチュイン(asialofetuin)受容体(肝細胞)、ウイルス抗原(ヘルペスウイルス又はその他のウイルスに感染した細胞)、スカベンジャー受容体(マクロファージ)、HER−2/neu(いくつかの乳癌型)である。第2の群には、いくつかの型の炎症及び癌に典型的なマーカー、例えばサイトカイン受容体、増殖因子の受容体、表面糖脂質及び糖タンパク質、インテグリン、セレクチン等の受容体が含まれる。例えば、原発性ヒト肺癌における悪性上皮細胞は、インビボでPDGF(リガンド)及びPDGF受容体(細胞マーカー又は組織マーカー)を共発現している(Antoniades,H.N.,et al.,Proceedings of the National Academy of Sciences,89:3942−6(1992)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる));マクロファージコロニー刺激因子(リガンド)及びその受容体(細胞マーカー又は組織マーカー)は卵巣癌及び子宮内膜癌腫(endometrial carcinoma )において発現される(Baiocchi,G.,et al.,Cancer,67:990−6(1991)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる));HER−2/neu及び上皮増殖因子受容体(細胞マーカー又は組織マーカー)の共発現は、上皮卵巣癌の65%に観察されているが、ドナーの一部からの正常組織には限られた数にしか観察されていない(Bast,R.C.,Jr.,et al.,Cancer,71:1597−601(1993)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる));肺癌においては、Fuc−GM1の細胞発現が、一般的にNCAMと共に見られた(Brezicka,F.T.,et al.,Tumour Biology,13:308−15(1992)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる));トロンボスポンジン−1は、侵潤性小葉乳癌細胞の大部分(40〜80%)においてCD51と共分布し、そしてこれらの細胞の亜集団(30〜40%)においてCD36と共分布している(Clezardin,P.,et al.,Cancer Research,53:1421−30(1993)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる));H−2及びLe(y)はこれらの血液型抗原の両方を発現する癌の92%において同一の個別の結腸直腸癌細胞において共発現していた(Cooper,H.S.,et al.,Am.J.Pathol.,138:103−10(1991)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる));uPAR及びプラスミノーゲンアクチベーター阻害剤−1は、正常及び良性乳房組織と比較して、侵潤性乳癌において過剰発現していた(Costantini,V.,et al.,Cancer,77:1079−88(1996)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる));肺新生物においては、サイトケラチン、神経フィラメント、ビメンチン、及びデスミンのうちの少なくとも2つの共発現が見出されているが、正常組織においては、これらは異なる、重複しない分布を有する(Gatter,K.C.,et al.,J.of Clinical Pathology,39:950−4(1986)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる));小児髄芽腫症例の大部分は、EGFRファミリーのメンバー(EGFR、HER2、HER3、及びHER4)の受容体タンパク質を2つ以上発現していた;HER2受容体及びHER4受容体の共発現は、54%に起こっていた (Gilbertson,R.J.,et al.,Cancer Research,57:3272−80(1997)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる));胃腺癌においては、複数(3つ以上)のムチンコアタンパク質の共発現が、初期(I期及びII期)癌の8例中1例(12.5%)と比較して、進行した(III期及びIV期)癌においては25例中15例(60%)で起こっていた(Ho,S.B.,et al.,Cancer Research,55:2681−90(1995)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる));結腸直腸癌においては、EGFR陽性悪性腫瘍がIL−4受容体の共発現を示した(Kaklamanis,L.,et al.,Brit.J.of Cancer,66:712−6(1992)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる));悪性唾液腺腫瘍においては、p53タンパク質の過剰発現が、c−erbB−2の過剰発現と密接に相関していた(Kamio,N.,et al.,Virchows Archiv.,428:75−83(1996));上皮増殖因子受容体EGF−R及びC−erbB−2は、ヒト腫瘍において発現しており、いくつかの症例においては、病変の組織学的悪性度分類及び臨床的結果と関係していることが示されている(Lakshmi,S.,et al.,Pathobiology,65:163−8(1997)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる));乳房腺管癌においてはMMP−9と高分子量黒色腫関連抗原、周皮細胞マーカーとの共局在が見られた(Nielsen,B.S.,et al.,Lab.Investigation,77:345−55(1997)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる));結腸腺癌においては、侵潤前線(invasion front)におけるラミニン−5−陽性発芽(budding)癌細胞の分布が、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターの受容体での分布と同一であった(Pyke,C.,et al.,Cancer Research,55:4132−9(1995)(この教示は参照により完全に本明細書に組み込まれる))、等である。
【0112】
本発明のもう一つの実施態様は、ヌクレオチドとポリマーとを含む標的化担体である。標的化担体のポリマー成分は、細胞マーカー又は組織マーカーと会合可能なリガンドである。細胞マーカー又は組織マーカーは、タンパク質、ポリペプチド、炭水化物、脂質、及びヌクレオチド、並びにそれらの誘導体からなる群より選択される。細胞マーカー又は組織マーカーは、糖脂質、糖タンパク質、グリコペプチド、膜貫通型タンパク質、および細胞外マトリックスの糖タンパク質とプロテオグリカン、並びに組織中に存在し、細胞外環境へ曝されているその他の分子であってもよい。これには、疾患において細胞外環境へ曝された細胞内成分(例えば、ヌクレオソーム)も含まれる。
【0113】
さらにもう一つの実施態様において、本発明は、ヌクレオチドと、該ヌクレオチドと可逆的に会合した薬物と、標的化成分とを含む標的化薬物−担体複合体である。標的化成分は、ヌクレオチド又は薬物と会合している。標的化成分は、細胞マーカー又は組織マーカーと会合可能なリガンドを含む。リガンドは、例えば、共有結合性会合、非共有結合性会合、又は可逆的会合により、細胞マーカー又は組織マーカーと会合可能である。細胞マーカー又は組織マーカーは、タンパク質、ポリペプチド、炭水化物、脂質、及びヌクレオチドからなる群より選択される。薬物は、ヌクレオチドと可逆的に会合している。標的化成分は、薬物又はヌクレオチドのいずれかと会合している。
【0114】
さらにもう一つの実施態様において、本発明は、ヌクレオチドと、該ヌクレオチドと可逆的に会合した薬物と、ポリマー成分と、標的化成分とを含む標的化薬物−担体複合体である。ポリマー成分は、ヌクレオチド又は薬物と会合している。標的化成分は、ヌクレオチド、薬物、又はポリマーと会合している。標的化成分と薬物又はポリマーとの間の会合は、例えば、共有結合、非共有結合、又は可逆的会合であり得る。標的化成分には、細胞マーカー又は組織マーカー及び薬物と会合可能なリガンドが含まれる。標的化成分とリガンドとの会合は、例えば、共有結合、非共有結合、又は可逆的会合であり得る。細胞マーカー又は組織マーカーは、タンパク質、ポリペプチド、炭水化物、脂質、及びヌクレオチドからなる群より選択される。
【0115】
さらなる実施態様において、本発明は、マトリックスと、該マトリックスと会合した、又はその内部に包まれたヌクレオチドと、該ヌクレオチドと可逆的に会合(例えば、ファンデルワールス力、静電相互作用、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用、及びドナー/アクセプター結合)している薬物とを含む、薬物送達システムに関する(図4)。
【0116】
好ましい実施態様において、薬物送達システムのマトリックスは、ゲル、フィルム、又は粒子である。マトリックスは、薬物送達システムの構造基盤を提供する。さらに、マトリックスは、生物、細胞、又は組織培養物が薬物送達システムに対して有するかもしれない任意の有害な反応を最小限に抑えることができる。好ましくは、マトリックスは生体適合性である。
【0117】
マトリックス材料は、一般的に、薬物放出システムの投与方法に応じて選択される。ゲル、フィルム、貼付剤、及び外用適用のその他の系のような局所的な系においては、親水性ゲルがマトリックス材料として高頻度に使用される。ゲルは、例えば、コラーゲン、フィブリン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリレート、又はそれらの組み合わせのような生体適合性のポリマーからなっている。リニメント剤のようなその他のシステムは、相互に混合しているか、又はゲル内に包まれていてもよい、乳濁液、懸濁液、及びリポソーム調製物を含む。内用のシステムは、しばしば、注射可能ゲル(例えば、ポリエチレングリコール)又は生分解性縫糸(例えば、乳酸とグリコール酸とのコポリマー)のいずれかに基づき工作される。移植可能な薬物送達システムは、インプラントとして後述される。
【0118】
一般的に、薬物放出システムのマトリックスは、薬物放出システムが機能を維持している限り、例えば薬物が望ましい速度で放出されている限り、安定なままであることが好ましい。いくつかの場合には、薬物が実質的に放出された後、薬物放出システムの構造マトリックスは迅速に崩壊することが好ましいであろう。本発明の一つの実施態様において、この効果は、薬物によるマトリックス安定化により達成される。好ましい実施態様において、薬物放出システム66のマトリックス(例えば、図4における親水性ポリマーゲル)は、マトリックス材料68と化学的に会合(例えば、共有結合)した短いオリゴヌクレオチド70のクロスハイブリダイゼーションを介して可逆的に架橋されている(図4)。好ましくは、ハイブリダイゼーションの結果として形成された二本鎖リンクの融解温度は、通常の体温付近又はそれ未満である。薬物72の二本鎖オリゴヌクレオチドとの会合は、二本鎖オリゴヌクレオチドを安定化し、融解温度を上昇させ、ゲルを体温において安定化する(図4)。薬物放出は、オリゴヌクレオチドリンクの融解温度を低下させ、それによりマトリックスが不安定化される(マトリックスの溶解、生分解、又は生体吸収の速度が上昇する)。
【0119】
さらにもう一つの実施態様において、本発明は、インプラントマトリックスと、該マトリックスと会合した、又はその内部に包まれたヌクレオチドと、該ヌクレオチドと可逆的に会合(例えば、ファンデルワールス力、静電相互作用、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用、及びドナー/アクセプター結合)している薬物とを含むインプラントに関する。
【0120】
持続的に薬物を放出することができるインプラント(移植可能な薬物送達システム)は、例えば、単回投与後の長期にわたる全身性の薬物送達、移植部位から排液する局所リンパ節への薬物送達、又は術後の局所創傷処置にとって有用であり得る。インプラントは、例えば、固体材料又はゲルからなり、単一ブロック(錠剤、フィルム)として作製されていてもよいし、又は複数の粒子からなっていてもよい。又は、インプラントの構造基盤は、スポンジ(sponge)、フォーム(foam)、ファブリック(fabric)、糸(thread)またはその他として工作されていてもよい。
【0121】
インプラントは、移植に適した任意のサイズ及び形を有しうる。粒状、糸状、又はフィルム状のインプラントは、(針又はその他の外科用具による移植のような)侵襲性が最小の方法により適しているかもしれず、その他の型のインプラントは従来手術により適しているかもしれない。
【0122】
移植可能な材料及び装置に関する一般的な要件は、適用が単純で、かつ侵襲性が最小であること、(一つ以上の)生物学的効果の大きさ及び経過が較正されていること、有害な反応のリスクが最小であること、モニタリング及び維持が最小であることであり、多くの適用においては、臨床上の目的が達成された後、完全に生分解されることも要件とされる。インプラントは、例えば、生物学的に活性な化合物の制御された放出により媒介されるような、正確な生物学的機能を発揮すべきであり、並びに/又は組織及び/もしくは細胞培養物の構造的及び機能的な維持を指向するべきであり、それは、専門の機能ドメインを含む高分子又は超分子のマトリックスにより最も良好に実施されうる。マトリックスは、予定された期間にわたり、インビボで安定、かつ生物学的に不活性であり、機能が完了した後、完全に分解可能であるべきである。生分解は、排液リンパ節において毒性生成物もポリマー沈積物も生成させないべきである。インプラントマトリックス材料の例は、シリコーン、乳酸とグリコール酸とのコポリマー、アガロース、多孔質金属(例えば、チタン)、珊瑚マトリックス、アクリレートである。その他の可能な材料には、ポリエチレングリコール、ポリアセタール、多糖類、変性又は架橋されたタンパク質(例えば、アルブミン、ゼラチン)、又は天然タンパク質(例えば、コラーゲン、フィブリン)が含まれる。(Implantation Biology ,Greco,R.S.編、CRC Press,Boca Raton,FL(1994);Holmdahl,L.,et al.,European Journal of Surgery−Supplement,577:56−62(1997);Karel,I.,et al.,Graefes Archive for Clinical & Experimental Ophthalmology,235:186−9(1997);Mikos,A.G.,et al.,Biotechnol.Bioeng.,42:716−723(1993);Wald,H.L.,et al.,Biomaterials,14:270−278 (1993);Galetti,P.M.,Trans.Am.Soc.Artif.Inter.Organs,25:510(1979);Sheardown,H.,et al.,Current Eye Research,16:183−90(1997);Gordon,R.D.,et al.,Advances in Surgery,21:49−64(1998);diZerega,G.S.,European Journal of Surgery−Supplement,577:10−6(1997);Fulton,G.J.,et al.,Journal of Vascular Surgery,25:453−63(1997);Chandrashekar,G.,et al.,Journal of Pharmacy & Pharmacology,48:669−74(1996);Rehman,I.U.,Journal of Biomaterials Applications,11:182−257(1996);Miller,B.H.,et al.,Journal of the American Academy of Dermatology,36:72−7(1997);Chowdhury,S.M.,et al.,Journal of Surgical Research,61:58−64(1996);Bourke,R.D.,et al.,Eye,10:501−8(1996);Rohrich,R.J.,et al.,Plastic & Reconstructive Surgery,98:552−62(1996);Gabka,C.J.,et al.,Seminars in Surgical Oncology,12:67−75(1996);Raso,D.S.,et al.,Journal of the American Academy of Dermatology,35:32−6 (1996);Yoshida,S.H.,et al.,Life Sciences,56:1299−310(1995);Sanchez−Guerrero,J.,et al.,New England Journal of Medicine,332:1666−70(1995);Ahn,C.Y.,et al.,Aesthetic Plastic Surgery,19:361−7(1995);Sittinger,M.,et al.,Biomaterials,15:451−6(1994);Muzzarelli,R.A.,et al.,Biomaterials,14:39−43(1993);Henderson,R.,et al.,Spine,18:1268−72(1993);Tal,H.,et al., Journal of Clinical Periodontology,23:1−6(1996);Smith,J.P.,et al.,Anti−Cancer Drugs,6:717−26(1995);Nakayama,Y.,et al.,ASAIO Journal,4:M374−8(1995);Schuman,L.,et al.,Biomaterials,16:809−14(1995);Khare,A.R.,et al., Biomaterials,16(7):559−67(1995);Sawada,Y.,et al.,British Journal of Plastic Surgery,46:576−9(1993);Karel,I.,et al.,Graefes Archive for Clinical & Experimental Ophthalmology,235:186−9(1997)(これらすべての教示は、参照により完全に本明細書に組み込まれる)。
【0123】
インプラントは、ある用量の薬物を特定の期間にわたり放出するよう設計されうる。一つの実施態様において、マトリックスは、ヌクレオチド/ヌクレオチド会合により可逆的に架橋された材料である。もう一つの実施態様において、インプラントからの薬物の放出は、インプラントマトリックスを不安定化する。
【0124】
以下の実施例により本発明をさらに説明するが、実施例は本発明を制限するものではない。
【0125】
【実施例】
実施例1:一本鎖オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション
特注で合成した2種類の一本鎖オリゴヌクレオチド、
Figure 0004813712
(配列番号:1)
および、tがアミノ修飾されたTを表す
Figure 0004813712
(配列番号:2)
を業者から購入した。これらのオリゴヌクレオチドは、各10mg/mlになるよう、pH=7の50mMのリン酸ナトリウム緩衝液(PBS)に溶解させた。等モル量の上記溶液を室温(25℃)下で混合した。得られた溶液(全容量22μl)を蓋付きの1mlバイアル瓶に移し、このバイアル瓶を100mlの水浴で10分間95℃まで加熱した。次いで、水浴を25℃まで冷却した。こうしてできた産物である二本鎖オリゴヌクレオチドを水中サイズ排除HPLCによって精製し、凍結乾燥した。収率:91%
【0126】
実施例2:担体−薬物複合体の形成と単離
任意に選択した18塩基の配列をもつオリゴヌクレオチド、
Figure 0004813712
(配列番号:3)
および、これに相補的な5’アミノ修飾されたオリゴヌクレオチド、
Figure 0004813712
(配列番号:4)
を製造販売業者から購入した。二本鎖オリゴヌクレオチドを形成させるため、実施例1に記載したように、一本鎖オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせてから凍結乾燥させた。得られた二本鎖オリゴヌクレオチドは、室温(25℃)および体温(37℃)で安定していた。
【0127】
ドキソルビシンをpH=5、0.2mg/mlで水に溶かした。二本鎖オリゴヌクレオチドは、pH調整を行なうことなく、2mg/mlで水に溶かした。これらの溶液を0.1mlずつ混合した。続いて、pH=7のPBSを0.3ml加え、得られた溶液を室温下で10分間インキュベートした。インキュベーション後、反応混合液を、水中、セファデックス(Sephadex)G−25上でゲルクロマトグラフィーにより精製した。ドキソルビシン溶出液を、470nmで光度測定によってモニターした。本質的にすべてのドキソルビシンがオリゴヌクレオチド画分の中に存在していた。対照ゲルクロマトグラフィー実験では、ドキソルビシンは同じ画分に溶出されなかった(実施例5も参照)。ゲルクロマトグラフィー後、ドキソルビシン−オリゴヌクレオチド付加体を凍結乾燥させた。凍結乾燥した調製物は、生理学的なpH(pH=7から8)で、水および水性媒体に簡単に溶解することが分かった。
【0128】
実施例3:薬物含有量の高い薬物−担体付加体
本質的には実施例2に記載された通りに、4塩基対あたりドキソルビシン分子1個にほぼ相当する比率であるドキソルビシン:オリゴヌクレオチド比=1:5(w/w)、及び同じ二本鎖オリゴヌクレオチドを用いて、薬物含有量の高い薬物−担体付加体を調製した。得られた付加体をゲルクロマトグラフィー(PD−10カラム、水)によって精製してから凍結乾燥した。収率:98±2%。
【0129】
実施例4:凍結乾燥および再構成
実施例2および3に記載のようにして得られた付加体を凍結乾燥した状態で用いた。ドキソルビシン粉末(ミズーリ州セントルイスにあるシグマケミカル社製(Sigma Chemical Co.,St. Louis,MO))、および凍結乾燥した「注射用ドキソルビシン」を対照用調製物として使用した。4種類の調製物のそれぞれを、ドキソルビシンが1ミリグラムの量になるよう、0.1mlの50mM PBS、pH=7に懸濁させた。どちらのオリゴヌクレオチド付加体もすぐに溶解したが、2種類の対照用調製物は懸濁液を形成した。得られた溶液であるオリゴヌクレオチド−ドキソルビシン付加体溶液を0.22mmのPTFE膜フィルターで濾過し、濾液中に(470nmでの吸光で)少なくとも98%の収率でドキソルビシンを回収した。対照用調製物の懸濁液を0.22mmのPTFE膜フィルターで濾過したところ、濾液中のドキソルビシンの回収率は5%よりも低かった。残りはフィルターに保持されていた。
【0130】
実施例5:ドキソルビシンとセファデックスG−25との相互作用
セファデックスG−25(PD−10、ファルマシア社(Pharmacia))を充填したカラムに、0.1mg/mlのドキソルビシン溶液0.1mlを負荷した。ドキソルビシン−セファデックス付加体が形成されたことを、特徴的に赤く色づいた層の形成によって検出した。水で溶出すると、最初の10mlでは、ドキソルビシンの回収率は0%であり、その後ゆっくり溶出された。同様の実験を、モデル担体(実施例2、3)とのドキソルビシン付加体で行なったところ、2.5ml画分(2.5から5.0ml)にドキソルビシンが全量溶出される結果となった。
【0131】
その次の実験で、上記したように、PD−10カラムにドキソルビシンを吸着させ、10mlのH2 Oでカラムを洗浄した。次いで、実施例2の二本鎖オリゴヌクレオチドの1mg/ml溶液を0.1mlを同じカラムに通した。セファデックスG−25に吸着したドキソルビシンをカラムから完全に脱着したところ、オリゴヌクレオチド画分(2.5から5.0ml)中に溶出した。
【0132】
実施例6:モデル薬物−担体複合体とのドキソルビシン付加体の電気泳動
実施例2および3の付加体の電気泳動による移動度を、0.8%水平アガロースゲル、0.47kV/m、0.01Mトリス塩酸緩衝液、pH=8で調べた。対照にはドキソルビシンを用いた。ドキソルビシンの蛍光によって測定したところ、ドキソルビシン付加体と遊離のドキソルビシンは反対の方向に移動した。
【0133】
実施例7:ポリマーによる担体の修飾(立体構造保護)
ポリマー鎖によるヌクレオチドコアの立体構造保護の程度を測定するため、一連の二本鎖オリゴヌクレオチドを合成した。モデル抗原(フルオレセイン)およびモデル保護鎖(ポリエチレングリコール)をさまざまな間隔でオリゴヌクレオチド上に配置した。次いで、立体構造保護の程度を評価するために、蛍光消光抗フルオレセインウサギIgG(オレゴン州にあるモレキュラープローブズ社製(Molecular Probes、OR))とのフルオレセイン部分の相互作用の反応速度を測定した。後者を、抗原と保護鎖との間の距離の関数として調べた。同一の配列
Figure 0004813712
(配列番号:5)をもつ4種類のアミノ修飾されたオリゴヌクレオチドを業者から入手した。合成過程で、5’末端から2番目、9番目、16番目または20番目のいずれかで、フルオレセインによってオリゴヌクレオチドをさらに修飾した。本質的に、実施例2に記載した通りに、これらのオリゴヌクレオチド(第一鎖)を相補的なヌクレオチド、
Figure 0004813712
(配列番号:6)(第二鎖)とハイブリダイズさせた。
【0134】
得られた二本鎖オリゴヌクレオチドをSEC HPLCによって精製し、第一鎖の5’−アミノ基を介して、カルボキシ−ポリエチレングリコールのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MW=2kDaおよび20kDa)、および分枝型「PEG2」ポリエチレングリコール(10kDa)のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルによって修飾した。ポリマーはすべてシアウォータポリマーズ社(Shearwater Polymers,Inc.)から購入した。得られた結合体(conjugates)をSEC HPLCによって精製した。ほぼ同じオリゴヌクレオチド濃度(1±0.1nM)をもつ溶液を20mMのPBS、pH=7.5で調製した。抗フルオレセインIgGを10倍濃度で加えて、擬一次条件を確実にした。抗体によるフルオレセイン蛍光の消光によって、フルオレセイン−抗体の相互作用を記録した。蛍光は、515nm(490nmでの励起)で記録した。蛍光消光の反応速度は、ポリマー鎖に対するフルオレセイン部の位置に依存していた。
【0135】
16〜20塩基のところに位置したポリマー鎖は、フルオレセイン−抗体の相互作用を減衰させることはなかったが、2〜9番目の塩基の中に位置したポリマー鎖は、速度定数を20%(2kDaポリマー)から80%(20kDaポリマー)低下させた。すなわち、ポリマー鎖間の距離(塩基対当たりの鎖数)、およびポリマーの分子量を最適化することによって、ヌクレオチドの立体構造保護の程度を最適化することができる。以下の実施例に記載されているデータに基づけば、担体コアの50%から80%の障害でも(タンパク質結合反応速度(protein access kinetics )で測定したところ)、数時間内に担体の循環を遅延させるのに十分でありうる。
【0136】
実施例8:立体的に保護された(ポリマー修飾された)モデル担体
生物学的実験を行うために2種類のモデル担体を調製した。配列
Figure 0004813712
(配列番号:7)および
Figure 0004813712
(配列番号:8)(小文字の「c」はRNAの塩基であることを示す)を有する相補オリゴヌクレオチドを特注で合成した。担体の一つは、本質的に実施例2に記載通りに、未修飾のオリゴヌクレオチドを用いて調製した。オリゴヌクレオチドの5’末端から数えて1番目、2番目、12番目、および19番目の位置でアミノ修飾されている
Figure 0004813712
(配列番号:9)を用いて、もう一つの担体を調製した。オリゴヌクレオチドを、pH=7の水中、全オリゴヌクレオチド濃度1mg/mlでハイブリダイズさせ、HPLCで精製した。アミノ修飾された担体を、20%アルデヒド基を含む10kDaのポリ(ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(PHF)によって修飾した。後者のポリマーは、デキストランB512を糖環あたり1.8過ヨウ素酸塩分子によって酸化し、その後、ホウ化水素で還元してから、得られたグリコール基を2度目に過ヨウ素酸塩酸化することによって調製した。シアノホウ化水素(cyanoborohydride)存在下(アルデヒド1モル当たり1モル)の存在下で、アルデヒド−PHF(50倍過剰)を、アミノ修飾された担体コアと室温で一晩反応させた。産物(オリゴヌクレオチド−PHF結合体)をSEC HPLCによって単離した。どちらの担体も凍結乾燥させた。
【0137】
実施例9:薬物−担体複合体のモデル抗体との結合
構造的には実施例8の担体に近いが、ポリマー鎖の中にグリコール基を含むPHF−修飾された担体を改良された技術を用いて調製した。アミノ修飾された担体を、10%アルデヒド基および10%グリコール基を含む10kDaポリ(ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(PHF)によって修飾した。後者は、(デキストランB512を糖環あたり1.8過ヨウ素酸塩分子によって酸化し、続いてホウ化水素で還元して調製された)実施例8と同じポリマーを不完全に過ヨウ素酸塩酸化して調製した。この担体(0.1mg)を1mlの10mM過ヨウ素酸塩で5分間処理し、PD−10カラムで精製して、ウサギ抗フルオレセインIgG(0.01mg) (オレゴン州にあるモレキュラープローブズ社製)と、0.1mg/mlのシアノホウ化水素ナトリウムの存在下、pH=8、25℃で一晩インキュベートすることにより結合させた。この結合体を、HPLCによって未反応のIgGから分離した(280nmでのIgG吸光による収率:22±9%)。フルオレセイン蛍光の消光(10nMフルオレセイン、pH=8、25℃)によって、結合体における活性IgGの存在を測定した。担体中の活性IgG量を計算したところ1±0.3%w/wであった。
【0138】
実施例10:ラクトースとの担体結合体
実施例8と同様にして調製されたアミノ修飾された担体を、10mMのPBS、pH=8の中で微量のジエチレントリアミンペンタ酢酸(diethylenetriaminepentaacetic)無水物によって修飾した。この生成物を、1mg/mlのシアノホウ化水素ナトリウム存在下、担体およびラクトース各10mg/ml、pH=8で48時間インキュベートして、ラクトースと接合させた。産物をHPLCによって単離した。
【0139】
実施例11:(アミノオキシ)ドキソルビシンを介する、PHFによる薬物−担体付加体の修飾。
ドキソルビシンのアミノオキシ誘導体であるN−(3−アミノオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−ドキソルビシン(AHD)は、ドキソルビシンをN−オキシラニルメトキシエタンアミド酸 (N−oxyranylmetoxyethanamidic acid)エチルエステルと反応させ、その後、生成物を2NのHClで処理して合成した。生成物を薄層クロマトグラフィーで精製した。実施例2と同様にして、AHDを負荷した担体を作製した。得られた付加体をアルデヒド−PHF(実施例8記載のポリマー)とともに、pH=6.5、25℃で24時間インキュベートした。SEC HPLC(バイオラド社製(BioRad)BioSil 125カラム)によって結合体を単離した。付加体の溶出時間が減少する(未修飾付加体では8.5分に対して6.2分)ことによって、付加体のポリマーによる修飾を検出した。対照実験、つまり、負荷のない類似の担体とのポリマーインキュベーションにおいては、後者の溶出時間は変化しなかった。
【0140】
実施例12:放射能標識したドキソルビシンを負荷した担体
14C標識したドキソルビシン(アマーシャム社製(Amersham)、2.00GBq/mmol)25mCiを100mlの水に溶解した。次いで、この溶液10mlを2mg/mlの未標識(「コールド」)ドキソルビシン0.25mlと混合した。実施例8の担体を水に溶かし(ヌクレオチドコアは11mg/ml)、計算された量のドキソルビシン溶液と混合して10塩基対当たりドキソルビシン分子を1個もつ付加体を得た。10分間インキュベートした後、この付加体をセファデックスG−25で精製して凍結乾燥した。高分子量のDNA(ポリC/ポリG、ミズーリ州セントルイスにあるシグマケミカル社製)を用いて、同様の複合体を調製した。未標識ドキソルビシンを用いて、同様のコールド(未標識)調製物を調製した。
【0141】
実施例13:毒性
細胞培養物における担体の毒性。5%子ウシ血清入りのDMEMの中でほぼコンフルエントな状態に培養したヒト上皮細胞(ATCC番号CRL1573由来、腎臓、293細胞株)において未標識担体(実施例7)を調べた。担体を、1mg/mlから1mg/mlまでのさまざまな濃度で細胞培養液に加えた。16時間インキュベートした後、トリパンブルーで染色して細胞の生存率を測定した。すべての担体濃度で、細胞毒性は検出されなかった。
【0142】
細胞培養物における付加体の毒性。ドキソルビシンを負荷した担体(実施例12)を、5%子ウシ血清入りのDMEMの中でほぼコンフルエントな状態のヒト上皮細胞(腎臓、293細胞株)と、増殖中の該細胞培養物において調べた。この細胞株は、ドキソルビシンに対して比較的抵抗性である。16時間インキュベートした後、トリパンブルーで染色して細胞の生存率を測定した。コンフルエントな培養細胞においては、2mMまでのドキソルビシン濃度で細胞毒性は検出されなかったが、増殖中の培養細胞においては、2mMで15〜20%の細胞がトリパンブルー染色された。対照実験において、遊離のドキソルビシンは、本質的に同じ細胞毒作用を示した。本実施例は、ドキソルビシンを、ヌクレオチドを主材料とする担体と会合させても、休止細胞でのドキソルビシン毒性を上昇させたり、分裂細胞での細胞毒性を抑制したりしなかったことを示している。
【0143】
インビボにおける担体の毒性。立体構造上保護された、実施例8のモデル担体を、麻酔した非近交系(outbred )マウスの尻尾の静脈から100mg/kgで静脈内に注射した(n=6、雄、31±2g)。30日間動物を観察した。いずれの動物も毒性の徴候を示さなかった。すべての動物が生き残った。
【0144】
インビボにおける付加体の毒性。文献(Chaires,J.B.ら、J.Med.Chem.40:261−6(1997)、この教示内容は、その全部が参照してここに組み込まれる)に記載されているようにして、立体構造上保護された、実施例8の薬物−担体複合体()に、2つのダウノルビシン分子をαα−ジブロモ−p−キシレンと架橋させることによって合成したビス−インターカレーターWP−631を負荷した。ビス−インターカレーターの含有量はヌクレオチドコアの6塩基対当たり1分子であった。このビス−インターカレーターのDNA付加体は、安定性が高く、ビス−インターカレーターの放出はゆっくりしていた(0.9%NaCl、10mMのPBS、pH=7.5で測定したところ、放出の半減期は9±1時間であった)。上記のようにして、雄の非近交系マウス(30±2g、各グループあたりn=4)に付加体および遊離のビス−インターカレーター 30mg/kgを静脈内に投与した。第3のグループでは、30mg/kgのビス−ドキソルビシンを投与してから15分以内に、100mg/kgの非負荷担体を注射した。
【0145】
30日間マウスを観察した。遊離のビス−インターカレーターを注射したグループでは、一匹の動物だけが生き残ったが、付加体を注射したグループではすべての動物が生き残った。ビス−ドキソルビシンを投与した後、担体を投与したグループでは、すべての動物が生き残った。これらのデータは、該薬物が、本発明に係る薬物−担体複合体と会合することによって、おそらく、血漿内での遊離薬物の濃度が低下するため、インビボでの毒性が低下することを示している。
【0146】
実施例14:担体の生体反応速度
非負荷担体(実施例8)をトリチウム(3 H)で標識した。過ヨウ素酸塩で担体を酸化して構造中に存在する3’−リボヌクレオチド塩基上にアルデヒド基を作出し、[3 H]ホウ化水素と反応させて、担体のコア構造の中にトリチウムを導入した。セファデックスG−25で担体を精製し、1mg/kgを正常な非近交系マウス(オス、30g)に尾静脈を介して注射した。さまざまな時点で血液試料を集めて測定した。血中の半減期は、非保護担体とPHF−保護担体のそれぞれについて、約30分と10時間であった。本実施例は、立体構造を保護することによってヌクレオチドを主原料とする担体の循環時間を最適化しうること、および親水性ポリマーを用いた修飾によって、長時間循環する担体を調製することができることを示す。
【0147】
実施例15:ドキソルビシンの生体内分布
14C)ドキソルビシンを負荷した担体(実施例12)と遊離の(14C)ドキソルビシン(対照)を、正常な非近交系マウス(オス、30g)に尾静脈を介して0.3mg/kgで注射した。注射してから20時間後に組織の放射能を測定して体内分布を調べた。組織試料を崩壊させ、可溶化し、シンチレーション用混合液と混合してから、シンチレーションカウンターで計測した。ドキソルビシン−DNA複合体は比較的不安定であることが知られているが、標識の蓄積に有意な差が見られた。
【0148】
非保護オリゴヌクレオチド担体との付加体としてドキソルビシンを投与したところ、遊離ドキソルビシンの生体内分布との偏差が最小になった。PHFで保護された担体とのドキソルビシン付加体を投与すると、骨格筋における標識含有量が2倍高く、すなわち、6±2対2±0.4%投与量/g(平均±標準偏差)となった。DNAとのドキソルビシン付加体は、肺(7±3.1%対4.6±1.6%投与量/g)および肝臓(12±6対3±0.6%投与量/g)への標識分布の増加が示された。これらのデータは、DNAに結合する薬物を、ヌクレオチドを主原料とする担体との付加体として投与すると、その薬物の生体内分布が有意に変化しうることを示している。特に、ドキソルビシン−DNAの会合は、他のインターカレーターよりも安定性が低い。他のより強いDNA結合因子(binder)にとって、再分布の効果はより重要なものとなるかもしれず、一般的に、ヌクレオチドを主原料とする担体と薬物物質の個々の具体的な組み合わせによって異なる可能性がある。
【0149】
実施例16:pCMVに基づくモデル担体
10mg/mlのpCMV(プロメガ社製(Promega))を含む、pH=7.5のPBSのプラスミド溶液0.1mlを、ビス−ドキソルビシン(実施例13記載)の1mg/ml溶液10mlと混合させた。1時間インキュベートした後、付加体をSEC HPLC(バイオラド社製(BioRad)BioSil 125カラム)によって単離した。排除体積において470nmでの吸光の出現により、ビス−ドキソルビシンとプラスミドの会合を検出した。
【0150】
実施例17:モデルゲル
20%アルデヒド置換をもつ親水性ポリアセタールマトリックス材料(PHF)、分子量=250kDaを、実施例9に記載した通りに調製した。1mlの50mMのPBS、pH=8の中で、50mgのポリマーを、
Figure 0004813712
という配列をもつ3’アミノ修飾されたオリゴヌクレオチド1mgに、シアノホウ化水素ナトリウム(1mg/ml)存在下で結合させた。同様に、
Figure 0004813712
という配列をもつ相補的な3’アミノ修飾オリゴヌクレオチドの結合体を調製した。どちらのオリゴヌクレオチドも業者からの特注品であった。
【0151】
この2種類の結合体を、それぞれ50mg/mlになるように溶解してから混合した。混合直後に、混合液の粘性が急速に上昇した。10mlのDMSO中0.5mgのダウノマイシンをこの混合液に加えた。すると直ちに、おそらく、ダウノマイシンのインターカレーションによって二本鎖オリゴヌクレオチドの分子間連結が安定する結果として、混合液はゲルを形成した。このゲルペレット(円盤、d=15mm、h=5mm)を、1リットルの0.9%NaCl、pH=7.5の中でゆっくりと撹拌しながらインキュベートした。ダウノマイシンの放出を分光光度測定法によって記録した。最初の放出半期は、40±12分であることが分かった。
【0152】
実施例18:ポリリジンとのオリゴヌクレオチド結合
配列
Figure 0004813712
(配列番号:10)をもつ、5’アミノ修飾されたオリゴヌクレオチドを相補的なオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせ、その生成物を、50mMのPBS、pH=8.5の中で、無水コハク酸1mg/ml(各試薬)によって室温下で3時間処理した。生成物をセファデックスG−25 (PD−10カラム)上でSECによって精製した。20kDaの臭化水素酸ポリリジンの2mg/ml溶液0.1mlを、PBS、pH=6中1mg/mlのオリゴヌクレオチド溶液0.1mlと混合した。その後、0.1mlの水中1mgのエチル−(N−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)を4℃で混合液に加え、混合液を4℃で一晩インキュベートしてから、その後25℃で3時間インキュベートした。この産物をセファデックスG−25(PD−10)上で脱塩した。SEC HPLCによって、接合体を単離した。
【0153】
実施例19:オリゴヌクレオチド−ポリリジン結合体の立体構造保護
PHFをメルカプトプロピオン酸と反応させた後、ジシクロヘキシルカルボジイミド存在下でN−ヒドロキシスクシンイミドによって修飾することによって、末端−カルボキシプロピルチオ−PHFのN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを調製した。実施例18で合成した結合体(水1ml中およそ0.1mg)を、0.5mlの50mMホウ酸緩衝液、pH=8と混合した。末端−カルボキシプロピルチオ−PHFのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル10mgを0.1mlのDMSOに溶解させた。溶液を混合し、室温で一晩インキュベートした。サイズ排除HPLC(BioSil 125カラム)によって生成物を単離した。
【0154】
実施例20:モデルオリゴヌクレオチドの立体構造保護付加体
任意に選択した5−アミノ修飾された18塩基のホスホジエステルオリゴヌクレオチド、
Figure 0004813712
(配列番号:11)、0.11mgを微量の無水エチレンジアミン四酢酸で修飾し、(a)相補的なオリゴヌクレオチド、
Figure 0004813712
(配列番号:12)、および(b)類似の相補オリゴヌクレオチドで、5’および3’末端、および(5’から数えて)4、9、15番目をアミノ修飾されたものとハイブリダイズさせた。ハイブリダイズしたアミノ修飾DSOを、分子量=10kDaのN−ヒドロキシスクシンイミド−ポリエチレングリコールの10mg/ml溶液1mlと、pH=8で8時間インキュベートした。この生成物である、PEG修飾された二本鎖オリゴヌクレオチドをHPLCで単離した。PEG修飾された二本鎖オリゴヌクレオチドと未修飾の二本鎖オリゴヌクレオチドを、pH=5.6の0.5Mクエン酸緩衝液の中で111によって標識した。標識した調製物をSEC HPLCで精製した。それぞれを4回分の等用量に分けて、非近交系マウス(各グループn=4、オス、31±2g)に静脈内注射した。注射直後、そして、0.25、0.5、1、2、4および8時間後に血液試料を採取した。未修飾型およびポリマー修飾型の付加体になったモデルオリゴヌクレオチドの血液における半減期は、それぞれ12±5分間と4.5±0.7時間であることが分かった。
【0155】
均等物
本発明の好適な実施態様を示しながら本発明を具体的に示し、説明してきたが、当業者においては、添付した請求の範囲に定義されている本発明の精神と範囲から逸脱することなく、これらにさまざまな形式上および細部にわたる変更を加えることができるものと理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aは、本発明の薬物−担体複合体の一つの実施態様の空間充填模型におけるドキソルビシン(暗い陰)のBらせん状(B−helical)DNAとのインターカレーションを示す図である。
図1Bは、本発明の薬物−担体複合体のもう一つの実施態様の棒玉模型におけるドキソルビシン(暗い陰)のBらせん状DNAとのインターカレーションを示す図である。
【図2】 図2は、本発明の薬物−担体複合体の立体的に保護された実施態様の概略を示す図である。
【図3】 図3A、3B、3C、3Dおよび3Eは、複合体の薬物成分、ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド成分、及びポリマー成分の様々な配置を描写している、本発明の薬物送達複合体のさらなる実施態様を示す図である。
【図4】 図4は、薬物を、相互にハイブリダイズするヌクレオチド鎖により架橋されたゲルマトリックスと組み合わせることによる、本発明の薬物送達システムを形成させる方法の概略を示す図である。

Claims (20)

  1. (1)ポリアセタールポリマー;
    (2)共有結合を介して該ポリアセタールポリマーと会合している、任意に化学的に修飾された第1の一本鎖オリゴヌクレオチド鎖;および
    (3)第2のオリゴヌクレオチド鎖
    を含む複合体を含んでなる、医薬製剤。
  2. 該共有結合が可逆的である、請求項1記載の医薬製剤。
  3. 第2のオリゴヌクレオチド鎖が、第1のオリゴヌクレオチド鎖と会合している、請求項1記載の医薬製剤。
  4. 第1のオリゴヌクレオチド鎖と第2のオリゴヌクレオチド鎖の会合が、ファンデルワールス力、静電相互作用、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用およびドナー/アクセプター結合からなる群より選択される少なくとも1種類を含む、請求項3記載の医薬製剤。
  5. ポリアセタールポリマーが、ポリ(ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)を含む、請求項1記載の医薬製剤。
  6. 複合体が、さらに標的化成分を含む、請求項1記載の医薬製剤。
  7. 標的化成分が、第1のオリゴヌクレオチド鎖またはポリアセタールポリマー成分と会合するリガンドを含み、リガンドが、細胞マーカーまたは組織マーカーと会合する、請求項6記載の医薬製剤。
  8. リガンドと、第1のオリゴヌクレオチド鎖またはポリアセタールポリマー成分の会合が、可逆的である、請求項7記載の医薬製剤。
  9. リガンドと、第1のオリゴヌクレオチド鎖またはポリアセタールポリマー成分の可逆的な会合が、ファンデルワールス力、静電相互作用、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用およびドナー/アクセプター結合からなる群より選択される少なくとも1種類を含む、請求項8記載の医薬製剤。
  10. リガンドと、第1のオリゴヌクレオチド鎖またはポリアセタールポリマー成分の会合が、不可逆的である、請求項7記載の医薬製剤。
  11. リガンドと、第1のオリゴヌクレオチド鎖またはポリアセタールポリマー成分の不可逆的な会合が、共有結合である、請求項10記載の医薬製剤。
  12. リガンドが、タンパク質、多糖類、ポリペプチド、炭水化物および脂質からなる群より選択される細胞マーカーまたは組織マーカーと会合する、請求項7記載の医薬製剤。
  13. 細胞マーカーまたは組織マーカーが、細胞表面受容体を含む、請求項7記載の医薬製剤。
  14. 細胞マーカーまたは組織マーカーが、表面糖脂質受容体、糖タンパク質受容体、インテグリン受容体、チロシンキナーゼ受容体、増殖因子受容体、サイトカイン受容体、およびGタンパク質共役受容体からなる群より選択される、請求項13記載の医薬製剤。
  15. 受容体が、アシアロフェチュイン(asialofetuin)受容体、アシアロ糖タンパク質受容体、トランスフェリン受容体、葉酸受容体、神経細胞接着分子(NCAM)受容体、分化のクラスター36(CD36)受容体、分化のクラスター51(CD51)受容体、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、上皮増殖因子受容体(EGFR)、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)、ヒト上皮増殖因子受容体3(HER3)、およびヒト上皮増殖因子受容体4(HER4)からなる群より選択される、請求項14記載の医薬製剤。
  16. 受容体が、神経細胞接着分子(NCAM)受容体、分化のクラスター36(CD36)受容体、および分化のクラスター51(CD51)受容体からなる群より選択される、請求項14記載の医薬製剤。
  17. 会合が、ハイブリダイゼーションによるものである、請求項3記載の医薬製剤。
  18. 第1の一本鎖オリゴヌクレオチド鎖が、結合(conjugation)が可能なように修飾されている、請求項1記載の医薬製剤。
  19. 結合(conjugation)が、ポリアセタールポリマーに対するものである、請求項18記載の医薬製剤。
  20. 第2のオリゴヌクレオチド鎖が一本鎖である、請求項1記載の医薬製剤。
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