JP4813696B2 - イチゴ栽培装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イチゴの苗を植え付ける栽培槽と、その栽培槽を地面より高位置に設置する架台とを備えたイチゴ栽培装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来装置は、例えば図7に示すように、培土を入れてイチゴの苗60を植え付ける培地61を形成する栽培槽62が、プラスチック製のプランタ型容器で成り、その栽培槽62を地面より高位置に設置する架台63が、多数の金属パイプ65、70で組み立てられている。
【0003】
栽培槽62は、上端のフランジ部64を架台63の支柱となる金属パイプ70に水平に固定された二本の平行な金属パイプ65、65間に引っ掛けてそのパイプ間に吊り下げた状態に設置される。
【0004】
そして、栽培槽62の上に沿って配管した給液チューブ67から培地61に水分や栽培養液が補給され、その培地61に植え付けられたイチゴの苗60が成育して、栽培槽62内から伸び出た花柄68の先端に果実69が着生すると、その果実69を栽培槽62の左右両側に垂らして成熟させるのが一般的である(実用新案登録第3028744号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、栽培槽62の左右両側に垂れ下がった果実69は、時間帯により栽培槽62の陰になって日差しが遮られるので、成熟が遅れ、糖度が低くて、色づきも悪いものとなり、特に、栽培槽62の側面と対面する部分は、日差しの反射光も当りにくいため、色づきが極端に悪くなるという問題があった。
【0006】
また、栽培槽62から垂れ下がった果実69が、その栽培槽62の側面と擦れ合って傷つくおそれもあった。
【0007】
また、イチゴの花柄68は、果実69が着生する先端側よりも根元側の方が折れやすく、特に、その根元側が図7の如く栽培槽62の上端を成すフランジ部64に当ってそこから果実69の重みで真下に向かって急激に曲がった状態になると非常に折れやすくなる。
【0008】
そこで本発明は、イチゴの果実の成熟を早め、糖度を高め、色づきも良くすると同時に、その果実が栽培槽と擦れ合って傷ついたり、果実の重みで花柄が折れたりするおそれを解消することを技術的課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、イチゴの苗を植え付ける栽培槽と、その栽培槽を地面より高位置に設置する架台とを備えたイチゴ栽培装置において、前記栽培槽内から伸び出たイチゴの花柄をその栽培槽に触れさせないように受け止める受紐を栽培槽の左右両側に沿って平行に張るための紐張り用ブラケットが設けられ、該紐張り用ブラケットに、前記栽培槽から離反する方向に向かって下方に傾斜する紐掛け部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、栽培槽内から伸び出たイチゴの花柄が栽培槽に触れないようにその栽培槽の左右両側に沿って平行に張られた受紐で受け止められる。したがって、花柄の根元側が栽培槽の上端に当って果実の重みで折れるおそれが解消され、また、花柄の先端に着生する果実が栽培槽の側面と擦れ合って傷つくおそれがなくなり、日差しやその反射光が栽培槽で遮られて果実に当らなくなるという不具合も解消される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面によって具体的に説明する。
図1は本発明に係るイチゴ栽培装置の一例を示す正面図、図2〜図4は夫々その平面図、側面図、斜視分解図、図5は図4の部分拡大図、図6は紐張り用ブラケットの変形例を示す斜視図である。
【0012】
栽培槽1は、イチゴの苗を長手方向に沿って一定の間隔で植え付ける硬質プラスチック製の溝形ラック2をその長手方向に複数継ぎ合わせて形成されるようになっている。
【0013】
栽培槽1を地面より高位置に設置する架台3は、溝形ラック2の継ぎ合わせ箇所を保持固定する硬質プラスチック製の桁材4と、その桁材4の左右両端を支持する支柱5とで形成され、桁材4の左右両端には、支柱5の上端部を挿通する円筒形の支柱取付孔6R、6Lが形成され、支柱5には、支柱取付孔6R、6Lに挿通させる上端部の長さを適宜に調節して桁材4を所望の高さに係止するストッパ7と、地面に突き立てた下端部の沈下を防止する円盤型の沈下防止具8が取り付けられている。
【0014】
また、桁材4は、前後両面に、溝形ラック2の継ぎ合わせ箇所を嵌め付ける凹形の切欠部9、9が形成されると共に、底部に、溝形ラック2の継ぎ合わせ箇所から洩れ出た余浄水や栽培養液を支柱5に取り付けられた回収樋10へ滴下させる排水孔11が形成された桝樋形状に成形され、切欠部9、9には、これに嵌め付けた溝形ラック2を下支えする補強パイプ12、12を架設するための切欠部13、13が夫々形成されている。
【0015】
そして、この桁材4の左右両端に、栽培槽1内から伸び出たイチゴの花柄を栽培槽1に触れさせないように受け止める受紐14を栽培槽1の左右両側に沿って平行に張るための紐張り用ブラケット15、15が脱着自在に設けられている。
【0016】
紐張り用ブラケット15は、桁材4の支柱取付孔6R、6Lを成す円筒部16の外面に沿って垂直に形成した突条部17に対して上方から嵌合する鞘溝19を有した柱状部18と、その柱状部18の上端からくの字状に折れて栽培槽1から離反する方向に向かって下方に傾斜する紐掛け部20とで形成され、それら柱状部18と紐掛け部20は金属もしくは硬質プラスチックで一体成形されている。
【0017】
紐掛け部20は、栽培槽1の上端からその外方へ約5cm離反した位置と、約10cm離反した位置に夫々受紐14を張ることが可能な長さに形成されると共に、その長さ方向に沿って、受紐14を張る位置を微調整するための凹凸部21が形成されている。
【0018】
なお、受紐14としては、ポリエチレン(PE)あるいはポリプロピレン(PP)の延伸フィルムを三つ折り加工した三つ折り紐や、ツイスト加工した撚り紐で成る市販の荷造り紐を用いる。
【0019】
しかして、本例のイチゴ栽培装置は、まず、図4の分解状態から図1〜3の如く組み立てて、各桁材4の左右両端に夫々紐張り用ブラケット15、15を取り付ける。そして、それらブラケット15により、受紐14を栽培槽1の左右両端に沿って平行に例えば二本ずつ並設するように張る。なお、受紐14は、栽培槽1の長手方向に沿って一定の間隔で配された各ブラケット15の紐掛け部20に夫々一巻ずつして連続的に張って行く。
【0020】
これにより、図1鎖線図示の如く、栽培槽1内から伸び出たイチゴの花柄22を受紐14で受け止めて栽培槽1の上端や側面等に触れさせないようにすることができると同時に、受紐14で受け止められた花柄22の先端に着生するイチゴの果実23は、栽培槽1から離反した所に垂れ下がるので、その栽培槽の陰になって日差しや反射光が遮られることがなくなり、成熟が早まって、糖度が増し、色づきも良くなると同時に、栽培槽1と擦れ合って傷つくおそれもなくなり、その品質が著しく向上する。
【0021】
特に、図2の如く、栽培槽1の左右両側に沿って夫々5cm間隔で二本ずつ受紐14、14を張れば、花柄22の伸び具合に合わせてこれを内側の受紐14から外側の受紐14へと掛け換え、その花柄22の先端に着生した果実23を栽培槽1からより遠ざけて、栽培期間の全般にわたって日当たりの良い状態を確保することができる。
【0022】
また、栽培槽1内から伸び出た花柄22は、栽培槽1の上端に当ってその上端から果実23の重みで真下に向かって急激に曲がることがないため、花柄22の根元側が簡単に折れるおそれもない。
【0023】
特に、栽培槽1内から伸び出た花柄22を栽培槽1の上端からその外方へ5cm以上離れた所に張られた受紐14で受け止めれば、花柄22の根元側には殆ど曲げ応力が加わらないので、その根元側が折れるおそれが確実に解消される。
【0024】
また、紐掛け用ブラケット15の紐掛け部20は、栽培槽1から離反する方向に向かって下方に傾斜しているので、二本の受紐14、14を段違いに張ることにより、果実23の成熟期には、花柄22に急激な曲がりを生じさせることなくその花柄22に加わる果実23の荷重を二点支持することができる。更に、ポリエチレン(PE)あるいはポリプロピレン(PP)の延伸フィルムで作られた三つ折り紐や、撚り紐を用いた受紐14は、花柄22に対する当りが非常に軟らかい。したがって、花柄22は、受紐14で受け止められた部分が折れたり受紐14で傷つけられるおそれもない。
【0025】
また、市販のPE紐やPP紐は、花柄22に対する当りが軟らかい上に、丈夫で耐水性に優れ、水切れも非常に良く、しかも安価であるから、受紐14として最適である。
【0026】
また、安価なPE紐やPP紐で成る受紐14を張る紐張り用ブラケット15も製造コストが嵩まない簡易な構成であるから、イチゴ栽培装置のコストアップを最小限に抑えることができる。
【0027】
なお、受紐14は、撚り紐や三つ折り紐に限らず、PEやPPの延伸フィルムを幅50mmの薄い平たいまま用いる平紐や、網戸等に用いるプラスチック製メッシュシートを幅50mm程度に裁断した帯紐であっても良く、これらプラスチックフィルムの平紐やプラスチック製メッシュシートの帯紐で成る受紐14を張る紐張り用ブラケット15の紐掛け部20は、図6の如く、その平紐あるいは帯紐を挟持するクリップ形状に成形されている。
【0028】
図2の如く、5cm間隔で二本ずつ受紐14、14を張る場合は、花柄22の伸び具合に合わせてこれを内側の受紐14から外側の受紐14へと掛け換えなければならないが、図6の如く、幅50mmのPE平紐、PP平紐やメッシュシートの帯紐等で成る受紐14を張れば、花柄の掛け換えを行う面倒がないという利点がある。
【0029】
しかも、花柄は、薄くて幅広なPE平紐やPP平紐によってしなやかに受け止められるので、傷ついたり折れたりするおそれは皆無である。また、プラスチック製メッシュシートの帯紐は水切れが良く、紐掛け部20に傾斜して係止されプラスチックフィルムの平紐も、三つ折り紐や撚り紐に比べて水切れが格段に良いので、受紐14として最適である。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、コストの嵩まない簡易な手段によって、イチゴの果実の成熟を早め、糖度を高め、色づきも良くすることができると同時に、その果実が栽培槽と擦れ合って傷ついたり、果実の重みで花柄が折れたりするおそれを確実に解消することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るイチゴ栽培装置の一例を示す正面図
【図2】図1に示すイチゴ栽培装置の平面図
【図3】図1に示すイチゴ栽培装置の側面図
【図4】図1に示すイチゴ栽培装置の斜視分解図
【図5】図4に示すイチゴ栽培装置の部分拡大図
【図6】紐張り用ブラケットの変形例を示す斜視図
【図7】従来一般のイチゴ栽培装置を示す斜視図
【符号の説明】
1……………栽培槽 5………………支柱
2……………溝形ラック 14………………受紐
3……………架台 15………………紐張り用ブラケット
4……………桁材 20………………紐掛け部

Claims (4)

  1. イチゴの苗を植え付ける栽培槽と、その栽培槽を地面より高位置に設置する架台とを備えたイチゴ栽培装置において、前記栽培槽(1)内から伸び出たイチゴの花柄をその栽培槽(1)に触れさせないように受け止める受紐(14)を栽培槽(1)の左右両側に沿って平行に張るための紐張り用ブラケット(15)が設けられ、該紐張り用ブラケット(15)に、前記栽培槽(1)から離反する方向に向かって下方に傾斜する紐掛け部(20)が形成されていることを特徴とするイチゴ栽培装置。
  2. 前記紐掛け部(20)の長さ方向に沿って、受紐(14)を張る位置を微調整するための凹凸部(21)が形成されている請求項1記載のイチゴ栽培装置。
  3. 前記紐掛け部(20)が、プラスチックフィルムの平紐もしくプラスチック製メッシュシートの帯紐で成る受紐(14)を挟持するクリップ形状に成形されている請求項1記載のイチゴ栽培装置。
  4. 前記栽培槽(1)が、両端が開放された溝形ラック(2)を複数本継ぎ合わせて形成され、前記架台(3)が、前記溝形ラック(2)の継ぎ合わせ箇所を保持固定する桁材(4)と、該桁材(4)を支持する支柱(5)とで形成されると共に、該桁材(4)の左右両端に、夫々前記紐張り用ブラケット(15)が脱着自在に設けられている請求項1、2又は3記載のイチゴ栽培装置。
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