以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の実施形態に係る測定装置100の構成を示す図である。測定装置100は、複数の電子デバイスが形成されるウェハ500の電気的特性を測定する装置であって、テストヘッド10、ADC12、制御部14、特性測定部16、表示装置18、識別情報格納部20、及び一致検出部22を備える。
テストヘッド10は、ウェハ500に設けられる複数の電子デバイスと電気的に接続され、当該電子デバイスに形成されるテスト用回路と信号の授受を行う。制御部14は、テストヘッド10を介して、それぞれの電子デバイスのテスト用回路を制御する。ADC12は、テストヘッド10を介して、それぞれのテスト用回路が出力する信号を、デジタルデータに変換する。
特性測定部16は、ADC12が出力するデジタルデータに基づいて、それぞれのテスト用回路の電気的特性を測定する。例えば、特性測定部16は、当該テスト用回路に含まれる複数のテスト用素子の電気的特性を測定する。当該テスト用素子は、例えばトランジスタであって、特性測定部16は、それぞれのテスト用素子の閾値電圧、電流電圧特性、リーク電流等を測定する。
特性測定部16が測定した当該電気的特性に基づいて、それぞれの電子デバイスの良否を判定することができる。例えば、それぞれの電子デバイス毎に、電子デバイスに含まれるテスト用素子の電気的特性のバラツキに基づいて、電子デバイスの良否を判定することができる。
表示装置18は、各テスト用素子の電気的特性を表示する。例えば、表示装置18は、各テスト用素子の閾値電圧の電圧値に応じた特性情報を、表示装置18の表示面において各テスト用素子に対応する座標に表示する。
識別情報格納部20は、それぞれの電子デバイス毎に、電子デバイスに含まれるテスト用素子の電気的特性を、当該電子デバイスの識別情報として格納する。例えば、識別情報格納部20は、それぞれのテスト用素子の電気的特性の値を、予め定められた基準値と比較し、比較結果を識別情報として格納する。ここで、識別情報格納部20は、それぞれの電子デバイスの識別情報を、ウェハ500のロット番号、ウェハ500の識別番号(ウェハ500のシリアル番号等)、ウェハ500における当該電子デバイスの位置、特性測定部16が測定した電気的特性の値等と対応付けて格納してよい。また、識別情報を格納する場合、特性測定部16は、複数の電子デバイスが同一のウェハ500に形成されている状態で、テスト用素子の電気的特性を測定することが好ましい。
このような構成により、電子デバイスを識別する情報を取得することができる。また、電子デバイスの特性評価用に設けられるテスト用素子の電気的特性を、識別情報として格納するので、電子デバイスに識別情報を付与する専用の構成を設けなくともよく、電子デバイスの面積効率、製造効率等を向上させることができる。
また、測定装置100は、電子デバイスの識別情報と、電子デバイスのロット番号、ウェハ500上の位置等の製造履歴とを対応付けて格納する。測定装置100は、電子デバイスの製造工程のうち、複数のタイミングで電子デバイスに含まれるテスト用回路の電気的特性を測定してよい。そして、当該電気的特性を、当該電子デバイスの識別情報と対応づけて格納してよい。このような構成により、電子デバイスに不良、故障等が生じた場合に、当該電子デバイスの識別情報を検出し、予め格納した識別情報と比較することにより、不良等が生じた電子デバイスの製造履歴を調査することができる。このため、不良等の解析を詳細に行うことができる。
例えば、ウェハ500を切断することによりデバイス毎に分離された後に、電子デバイスに不良、故障等が生じた場合、測定装置100は、当該電子デバイスのテスト用回路の電気的特性を測定する。この場合の測定装置100の動作は、分離前のデバイスを測定する場合の動作と同様である。例えば、特性測定部16は、当該電子デバイスのテスト用回路に含まれる複数のテスト用素子の電気的特性を測定する。そして、特性測定部16は、当該電気的特性に基づいて、当該電子デバイスの識別情報を取得する。
一致検出部22は、特性測定部16が取得した識別情報を、識別情報格納部20が予め格納している識別情報と比較し、いずれかの識別情報と一致するか否かを検出する。一致検出部22は、識別情報が一致した場合に、同一の電子デバイスと判定する。このような構成により、ウェハ500を切断し、デバイス毎に分離した後であっても、電子デバイスがいずれの電子デバイスであるかを識別することができ、当該電子デバイスの製造履歴を調査することができる。
例えば、電子デバイスが市場に出荷され使用された後に故障等が生じた場合、電子デバイスの供給者は、当該電子デバイスを回収し、故障解析を行う。この場合、当該電子デバイスがどのような履歴で製造されたかを調査する必要がある。本例における測定装置100によれば、電子デバイスの識別情報に基づいて、当該電子デバイスの製造履歴を容易に調査することができる。また、テスト用回路は、電子デバイスの実動作時には動作しないので、テスト用回路の含まれるテスト用素子の電気的特性の変動は小さい。このため、電子デバイスを精度よく識別することができる。
図2は、ウェハ500に形成される電子デバイス510の一例を示す図である。図2に示すように、ウェハ500には複数の電子デバイス510が形成される。電子デバイス510は、例えば半導体回路を含むデバイスである。
電子デバイス510は、電子デバイス510の実動作時に動作する実動作回路520と、電子デバイス510の試験時に動作するテスト用回路300とを備える。電子デバイス510の試験時とは、電子デバイス510の識別情報を取得する場合を含む。テスト用回路300は、複数のテスト用素子が設けられる。例えば、テスト用回路300は、複数のテスト用素子として、複数のトランジスタを有してよい。
図3は、テスト用回路300の構成の一例を示す図である。テスト用回路300は、列方向選択部302、行方向選択部304、複数の列方向選択トランジスタ(306−1、306−2、以下306と総称する)、複数の電流源(318−1、318−2、以下318と総称する)、出力部320、及び複数のセル(310−1〜310−4、以下310と総称する)を有する。列方向選択トランジスタ306及び電流源318は、行方向に沿って設けられるセル310群毎に設けられる。
複数のセル310は、ウェハ500の面内において行列のマトリックスをなす行方向及び列方向に沿って、それぞれが並列に設けられる。本例においては、行方向及び列方向に2つずつのセル310を設けた回路を示すが、行方向及び列方向に更に多数のセル310を設けることができる。例えば、テスト用回路300は、行方向に128列、列方向に512行のセル310を有する。
各セル310は、テスト用素子314、スイッチ用トランジスタ312、及び行方向選択トランジスタ316を有する。各セル310のトランジスタは、電子デバイス510の実動作回路520が有する実動作トランジスタと同一のプロセスにより形成されるMOSトランジスタであってよい。
各セル310のテスト用素子314は、互いに電気的に並列に設けられる。それぞれのテスト用素子314のドレイン端子には、予め定められた電圧VDDが与えられる。テスト用素子314のウェル電圧を与える端子は図示していないが、ウェル電圧端子は接地電位に接続してよく、またウェル電圧をトランジスタ毎に独立に制御できるようにして、テスト用素子314のウェル電圧端子とソース端子とを接続してもよい。また、テスト用素子314は、NMOSトランジスタ又はPMOSトランジスタのいずれであってもよい。図4に示す電圧VDD、電圧VG、電圧φj、電圧VREFは、図1に示した制御部14がテスト用回路300に供給してよい。
各セル310のスイッチ用トランジスタ312は、各セルのテスト用素子314と対応して設けられ、予め定められたゲート電圧を、それぞれ対応するテスト用素子314のゲート端子に印加する。本例において、スイッチ用トランジスタ312のドレイン端子には予め定められた電圧VGが与えられ、ゲート端子にはスイッチ用トランジスタ312の動作を制御する電圧φjが与えられ、ソース端子はテスト用素子314のゲート端子に接続される。つまり、スイッチ用トランジスタ312は、電圧φjによってオン状態に制御された場合、電圧VGと略等しい電圧をテスト用素子314のゲート端子に印加し、オフ状態に制御された場合、初期電圧が略VGの浮遊状態の電圧をテスト用素子314のゲート端子に印加する。
図3では、電圧φjを全セル310一括に印加する例を示したが、他の例においては、PN接合リーク電流測定時のリーク時間を全セル同一にするために、電圧φjを行方向選択部304から、行方向に並ぶセル310毎にパルス信号として順次印加してもよい。
各セル310の行方向選択トランジスタ316は、各セルのテスト用素子と対応して設けられる。本例においてそれぞれの行方向選択トランジスタ316のドレイン端子は、テスト用素子314のソース端子に接続される。また、行方向選択トランジスタ316のソース端子は、対応する列方向選択トランジスタ306のソース端子に接続される。つまり、それぞれの列方向選択トランジスタ306のソース端子は、対応する複数の行方向選択トランジスタ316のソース端子と接続される。
行方向選択部304は、行方向に沿って設けられる複数のセル310群(本例においては、セル群(310−1、310−2)及びセル群(310−3、310−4))を順次選択する。また、列方向選択部302は、列方向に沿って設けられる複数のセル310群(本例においては、セル群(310−1、310−3)及びセル群(310−2、310−4))を順次選択する。このような構成により、行方向選択部304及び列方向選択部302は、各セル310を順次選択する。
本例において、行方向選択部304は、制御部14から与えられる選択信号に応じた行方向の位置毎に、各行方向のセル群に設けられた行方向選択トランジスタ316を順次オン状態に制御する。また、列方向選択部302は、制御部14から与えられる選択信号に応じた列方向の位置毎に、各列方向のセル群に対応して設けられた列方向選択トランジスタ306を順次オン状態に制御する。制御部14は、各セル310を順次選択する選択信号を、行方向選択部304及び列方向選択部302に供給する。また、列方向選択部302及び行方向選択部304は、与えられる選択信号を、選択すべきセル310の位置を示す位置信号に変換するデコーダ、シフトレジスタ等の回路であってよい。ここで、位置信号とは、選択信号に応じて選択すべきセル310に対応する列方向選択トランジスタ306及び行方向選択トランジスタ316をオン状態に制御する信号である。
このような構成により、各セル310に設けられたテスト用素子314を順次選択する。そして、順次選択されたテスト用素子314のソース電圧が出力部320に順次与えられる。出力部320は、与えられるソース電圧をテストヘッド10に順次出力する。出力部320は、例えばボルテージフォロワバッファである。測定装置100は、それぞれのテスト用素子314のソース電圧に基づいて、テスト用素子314の閾値電圧、電流電圧特性、低周波雑音、PN接合リーク電流等の電気的特性を測定する。
また、各電流源318は、予め定められた電圧VREFをゲート端子に受け取るMOSトランジスタである。各電流源318のドレイン端子は、対応する複数の行方向選択トランジスタ316のソース端子に接続される。つまり、各電流源318は、行方向において略同一の位置に設けられる複数のテスト用素子314に対して共通に設けられ、対応するテスト用素子314に流れるソースドレイン間電流を規定する。
図3に示した回路構成によれば、それぞれのテスト用回路300において、複数のテスト用素子314を電気的に順次選択し、選択したテスト用素子314のソース電圧を順次出力することができるので、それぞれのテスト用素子314のソース電圧を短時間に高速に測定することができる。このため、多数のテスト用素子314をウェハ500に設けた場合であっても、短時間で全てのテスト用素子314について測定することができる。本例においては、ウェハ500の面内に、1万〜1000万個程度のテスト用素子314を設けてよい。多数のテスト用素子314について測定を行うことにより、テスト用素子314の特性のバラツキを精度よく算出することができる。
図4は、それぞれのテスト用素子314の閾値電圧を測定し、電子デバイス510の識別情報を生成するデバイス識別方法の一例を示すフローチャートである。当該デバイス識別方法は、特性測定段階(S440〜S448)、識別情報生成段階S450、及び識別情報格納段階S452を備える。
まず、制御部14は、テスト用回路300に、図3において説明した電圧VDD、電圧VG、電圧φj、電圧VREFを供給する(S440)。このとき、制御部14は、一定の電圧VREFを各電流源318に供給し、各電流源318に同一の定電流を生成させる。また、制御部14は、テスト用素子314をオン状態に制御するゲート電圧VGを供給し、それぞれのスイッチ用トランジスタ312をオン状態に制御する電圧φjを供給する。このような制御により、制御部14は、それぞれのテスト用素子314のゲート端子に、当該テスト用素子314をオン状態に制御するゲート電圧が印加させる。
次に、制御部14は、閾値電圧を測定するべきテスト用素子314を選択する選択信号を、列方向選択部302及び行方向選択部304に供給する(S442)。そして、ADC12は、出力部320の出力電圧を測定する(S444)。ADC12は、当該出力電圧を測定した旨を、制御部14に通知してよい。制御部14は、当該通知を受けた場合に、次のテスト用素子314を選択してよい。
次に、特性測定部16は、当該テスト用素子314に印加されるゲート電圧VG、及び出力部320の出力電圧に基づいて、それぞれのテスト用素子314の閾値電圧を算出する(S446)。テスト用素子314の閾値電圧は、例えばゲート電圧VGと出力電圧との差分、即ちテスト用素子314におけるゲートソース間電圧を算出することにより得ることができる。
次に、制御部14は、全てのテスト用素子314について閾値電圧を測定したか否かを判定し(S448)、まだ測定していないテスト用素子314がある場合には、次のテスト用素子314を選択し、S444及びS446の処理を繰り返す。全てのテスト用素子314について閾値電圧を測定した場合、特性測定部16は、それぞれのテスト用素子314の閾値電圧に基づいて、電子デバイス510の識別情報を生成する。そして、識別情報格納部20は、電子デバイス510の識別情報を格納する(S452)。
このような動作により、電子デバイス510の識別情報を生成し、格納することができる。また、電子デバイス510の試験に用いるテスト用回路300の電気的特性に基づいて識別情報を生成するので、電子デバイス510に識別情報を保持させる手段を新たに設けずとも、電子デバイス510を識別することができる。
図5は、識別情報格納部20が格納する電子デバイス510の識別情報の一例を示す図である。特性測定部16は、例えば図3に示したように、マトリックス状に配置されたテスト用素子314の電気的特性に基づいて、識別情報を生成する。特性測定部16は、それぞれのテスト用素子314の閾値電圧等の電気的特性の特性値と、予め定められた基準値とを比較した結果に基づいて、識別情報を生成してよい。例えば、図5に示すように、それぞれのテスト用素子314の特性値が、当該基準値より大きい場合に1を示し、当該基準値より小さい場合に0を示す行列の識別情報を生成する。また、電気的特性値を基準値と比較して二値化する他に、電気的特性値そのものを識別情報として格納してもよく、電気的特性値のパターンにおける特徴を抽出して識別情報として格納してもよい。例えば、上述したように、電気的特性値の二値化により特徴抽出を行ってよく、テスト用素子314の電気的特性値の二次元パターンにおける特徴を抽出してもよい。また、これらの識別情報をデータ圧縮して格納してもよい。
多数のテスト用素子314の電気的特性に基づいて、電子デバイス510の識別情報を生成することにより、それぞれの電子デバイス510に対して異なる識別情報を生成することができる。また、識別情報格納部20は、当該識別情報を圧縮して格納してもよい。例えば、識別情報のデータ値が0となる行列上の位置(本例では、例えば[X1、Y3]、[X3、Y1]、[X4、Y3])を格納してよい。
図6は、それぞれの電子デバイス510の劣化を評価する評価方法の一例を示すフローチャートである。図6において、テスト用素子の電気的特性を測定する段階S430は、例えば図4において説明したS440〜S448の処理により行うことができる。また、図6におけるS450及びS452の処理は、図5において説明したS450及びS452の処理と同一である。
所望の電子デバイス510の評価を行う場合、当該電子デバイス510に含まれる複数のテスト用素子314の電気的特性を測定し、電子デバイス510の識別情報を取得する(識別情報取得段階S454)。当該電子デバイス510は、例えばウェハ500が切断され、それぞれの電子デバイス510が分離した状態のデバイスである。
次に、取得した識別情報と、識別情報格納部20が格納した識別情報とを比較し、識別情報が一致した場合に、当該電子デバイス510が、識別情報格納部20が格納した識別情報に対応する電子デバイス510と、同一の電子デバイスであると判定する(マッチング段階S456)。そして、マッチング段階S456において識別情報が一致した場合に、特性測定段階S430において測定した電気的特性と、識別情報取得段階S454で測定した電気的特性との差分に基づいて、電子デバイス510の劣化を評価する(評価段階S458)。このような処理により、電子デバイス510の劣化を評価することができる。
また、電子デバイス510に含まれる複数のテスト用素子314は、複数のグループに分割されており、グループ毎に異なるプロセスルール、デバイスサイズで形成されてよく、グループ毎に異なる形態、配向で形成されてよい。これにより、電子デバイス510の実動作回路に含まれる、それぞれのデバイスサイズ等のデバイスの劣化を評価することができる。
図7は、特性測定部16が識別情報を生成する方法の一例を示す図である。図7(a)は、複数の電子デバイス510が同一のウェハ500に形成されている状態で識別情報を生成する場合を示し、図7(b)は、ウェハ500が切断され、それぞれの電子デバイス510が分離した状態で識別情報を生成する場合を示す。
図7(a)に示したように、特性測定部16は、各セル310に含まれるテスト用素子314の閾値電圧と、予め定められる第1の基準値との比較結果に基づいて、識別情報を生成する。上述したように、特性測定部16は、それぞれのテスト用素子314の閾値電圧が、第1の基準値より大きい場合に1を示し、第1の基準値より小さい場合に0を示す行列の識別情報を生成する。識別情報格納部20は、当該識別情報を格納する。
次に、例えば市場、ユーザ等から回収した電子デバイス510の劣化を評価する場合、図7(b)に示すように、特性測定部16は、当該電子デバイス510の各セル310に含まれるテスト用素子314の閾値電圧と、予め定められる第2の基準値との比較結果に基づいて、当該電子デバイス510の識別情報を取得する。
このとき、電子デバイス510の使用状態等に応じて、テスト用素子314の閾値電圧が劣化している場合がある。係る場合に、第1の基準値と、テスト用素子314の閾値電圧とを比較すると、図7(b)に示すように、誤った識別情報を取得するおそれがある。
本例において特性測定部16は、第1の基準値とは異なる第2の基準値と、テスト用素子314の閾値電圧とを比較する。例えば、電子デバイス510の使用により減少する傾向を有する電気的特性を用いて識別情報を取得する場合、特性測定部16は、第1の基準値より小さい第2の基準値を用いて識別情報を取得する。
特性測定部16は、識別情報格納部20に格納した識別情報を生成するときに測定した閾値電圧に基づいて、第2の基準値を定めてよい。例えば、特性測定部16は、識別情報格納部20に格納した識別情報を生成するときに測定した閾値電圧のうち、第1の基準値より小さい閾値電圧を検出し、検出した閾値電圧のうちの最大の閾値電圧に基づいて、第2の基準値を定めてよい。例えば、第1の基準値を越えない範囲で、当該閾値電圧に所定の値を加算した値を、第2の基準値として用いてよい。図7(a)に示した例においては、セル番号X1Y3のテスト用素子314の閾値電圧に、所定の値を加算した値を、第2の基準値として用いてよい。このような制御により、使用により特性が劣化した電子デバイス510の識別情報を精度よく検出することができる。
図8は、それぞれのテスト用素子314の電流電圧特性を測定し、電子デバイス510の識別情報を生成するデバイス識別方法の一例を示すフローチャートである。図8における処理S400〜S410は、図6において説明した特性測定段階S430として行うことができる。
まず、制御部14は、テスト用回路300に、図3において説明した電圧VDD、電圧VG、電圧φj、電圧VREFを供給する(S400)。このとき、制御部14は、一定の電圧VREFを各電流源318に供給し、各電流源318に同一の定電流を生成させる。また、制御部14は、テスト用素子314をオン状態に制御するゲート電圧VGを供給し、それぞれのスイッチ用トランジスタ312をオン状態に制御する電圧φjを供給する。
次に、制御部14は、電流電圧特性を測定するべきテスト用素子314を選択する選択信号を、列方向選択部302及び行方向選択部304に供給する(S402)。そして、制御部14は、所定の範囲内において、所定の分解能でVREFを変化させる(S406〜S408)。このとき、ADC12は、それぞれのVREF毎に、出力部320の出力電圧を測定する(S404)。つまり、測定装置100は、電流源318が生成するソースドレイン間電流を順次変化させ、ソースドレイン間電流毎に、テスト用素子314のソース電圧を測定する。これにより、テスト用素子314の電流電圧特性を測定することができる。
そして、全てのテスト用素子314について、電流電圧特性を測定したか否かを判定する(S410)。測定していないテスト用素子314が有る場合、S400〜S410の処理を繰り返す。このとき、S402において次のテスト用素子314を選択する。全てのテスト用素子314について、電流電圧特性を測定した場合、特性測定部16は、当該電流電圧特性に基づいて、電子デバイスの識別情報を生成する。例えば、特性測定部16は、それぞれの電流電圧特性の傾き、相互コンダクタンスgm等に基づいて、識別情報を生成してよい。
図9は、それぞれのテスト用素子314のPN接合リーク電流を測定し、電子デバイス510の識別情報を生成するデバイス識別方法の一例を示すフローチャートである。図9における処理S460〜S470は、図6において説明した特性測定段階S430として行うことができる。また、それぞれのスイッチ用トランジスタ312は、対応するテスト用素子314のゲート端子と接続されるPN接合を有する。本例においては、当該PN接合におけるリーク電流を測定する。
まず、制御部14は、テスト用回路300に、図3において説明した電圧VDD、電圧VG、電圧φj、電圧VREFを供給する(S460)。このとき、制御部14は、一定の電圧VREFを各電流源318に供給し、各電流源318に同一の定電流を生成させる。また、制御部14は、テスト用素子314をオン状態に制御するゲート電圧VGを供給し、それぞれのスイッチ用トランジスタ312をオン状態に制御する電圧φjを供給する。また、行方向選択部304から行方向に並ぶセル310毎にパルス信号を順次供給することで、全セルのリーク電流測定時間を同一にすることができる。
次に、制御部14は、PNリーク電流を測定するべきテスト用素子314を選択する選択信号を、列方向選択部302及び行方向選択部304に供給する(S462)。そして、制御部14は、選択したテスト用素子314に対応するスイッチ用トランジスタ312をオフ状態に制御する(S464)。つまり、制御部14は、それぞれのスイッチ用トランジスタ312に、対応するテスト用素子314をオン状態とするゲート電圧と、テスト用素子314をオフ状態とするゲート電圧とを、テスト用素子314に順次印加させる。
次に、特性測定部16は、当該テスト用素子314に対して、オン状態時のソース電圧と、オン状態からオフ状態に切り替わってから所定の時間経過した後のソース電圧とを測定する(S466)。本例では、特性測定部16は、当該所定時間における出力部320の出力電圧の変化を測定する。
次に、特性測定部16は、ソース電圧の変化に基づいて、PN接合におけるリーク電流を算出する(S468)。スイッチ用トランジスタ312がオン状態のとき、テスト用素子314のゲート容量には、ゲート電圧に応じた電荷が蓄積されている。そして、スイッチ用トランジスタ312がオフ状態に切り替わったとき、ゲート容量の電荷は、PN接合におけるリーク電流により放電される。このため、PN接合リーク電流の大きさは、所定時間におけるテスト用素子314のソース電圧の変化量により定まる。
次に、全てのテスト用素子314について、PN接合リーク電流を測定したか否かを判定する(S470)。測定していないテスト用素子314が有る場合、S462〜S470の処理を繰り返す。このとき、S462において次のテスト用素子314を選択する。全てのテスト用素子314について、PN接合リーク電流を測定した場合、特性測定部16は、当該PN接合リーク電流に基づいて、電子デバイスの識別情報を生成する。例えば、それぞれのテスト用素子314のPN接合リーク電流の電流値に基づいて、電子デバイスの識別情報を生成する。
図10は、テスト用回路300に含まれるそれぞれのセル310の構成の他の例を示す図である。本例におけるテスト用回路300は、テスト用素子372に電気的ストレスを印加し、テスト用素子372のゲート絶縁膜に一定の電界を印加した状態における、テスト用素子372のゲートリーク電流により、積分容量388を充放電する。そして、測定装置100は、所定の時間における積分容量388の電圧値の変化に基づいて、それぞれのテスト用素子372のゲートリーク電流を算出する。
各セル310は、ストレス印加部394、テスト用素子372、ゲート電圧制御部371、第1のスイッチ374、第2のスイッチ376、電圧印加部382、積分容量388、列方向選択トランジスタ392、リセット用トランジスタ378、380、及び出力用トランジスタ390を有する。
ストレス印加部394は、第1のスイッチ374を介して、テスト用素子372のゲート絶縁膜に電気的ストレスを印加する。例えば、テスト用素子372をFLASHメモリの記憶セルとして見た場合に、ストレス印加部394は、テスト用素子372に対してデータの書き込み、データの消去を行わせるための電圧を印加する。
ストレス印加部394がストレスを印加する場合、第1のスイッチ374は、テスト用素子372のソース端子及びドレイン端子をストレス印加部394にそれぞれ接続し、第2のスイッチ376は、オフ状態となる。このような制御により、テスト用素子372の各端子に所望の電圧を印加し、ストレスを印加することができる。
本例において、ストレス印加部394は以下の4種のストレスを、テスト用素子314に対して独立に、又は順次に印加する。
(1)FN(Fowler−Nordheim) Gate injection
(2)FN Substrate injection
(3)Hot Electron injection
(4)Source Erase
上記の(1)〜(4)は、テスト用素子372にデータを書き込み、又はテスト用素子372のデータを消去することにより、テスト用素子372にストレスを印加する手法である。ここで、ストレス印加部394は、実動作時において、テスト用素子372にデータを書き込み、又はテスト用素子372のデータを消去する場合に印加するべき電圧を、テスト用素子372の各端子に印加してよく、または実動作時に印加するべき電圧より大きい電圧を、テスト用素子372の各端子に印加してもよい。
また、各セル310には、制御部14から、リセット信号φRES、制御電圧VRN、VRP、VR1、VR2、VDD、及びゲート電圧VGが与えられる。ゲート電圧制御部371は、制御部14から与えられる所定のゲート電圧VGを、テスト用素子372のゲート端子に印加する。
第2のスイッチ376は、テスト用素子のソース端子及びドレイン端子を、電圧印加部382を介して積分容量に接続するか否かを切り替える。電圧印加部382は、テスト用素子372のソース端子及びドレイン端子に対して、第2のスイッチ376を介して一定の電圧を印加する。第2のスイッチ376がオン状態の場合、電圧印加部382が生成する電圧が、テスト用素子372のソース端子及びドレイン端子に印加される。つまり、電圧印加部382は、一定の電圧をテスト用素子372のソース端子及びドレイン端子に印加することにより、テスト用素子372のゲート絶縁膜に印加される電界を略一定に制御する。
電圧印加部382は、NMOSトランジスタ384及びPMOSトランジスタ386を有する。NMOSトランジスタ384は、テスト用素子372のソース端子及びドレイン端子に印加するべき電圧に応じたゲート電圧VRNが与えられ、ソース端子が第2のスイッチ376を介してテスト用素子372のソース端子及びドレイン端子に接続され、ドレイン端子が積分容量388に接続される。また、PMOSトランジスタ386は、NMOSトランジスタ384と並列に設けられ、テスト用素子372のソース端子及びドレイン端子に印加するべき電圧に応じたゲート電圧VRPが与えられ、ドレイン端子が第2のスイッチ376を介してテスト用素子372のソース端子及びドレイン端子に接続され、ソース端子が積分容量388に接続される。NMOSトランジスタ384及びPMOSトランジスタ386は、積分容量388にゲートリーク電流が積分されて電位が変化しても、テスト用素子372のゲート・ソース又はゲート・ドレイン間に印加される電圧を略一定に保つ働きをする。
このような構成により、テスト用素子372がP型又はN型のいずれであっても、テスト用素子372のゲート絶縁膜に一定の電界を印加することができ、またテスト用素子372のゲートリーク電流により積分容量388を充放電させることができる。
積分容量388は、テスト用素子372のソース端子及びドレイン端子から出力されるゲートリーク電流により充放電される。つまり、積分容量388は、当該ゲートリーク電流を積分し、電圧値に変換する。また、リセット用トランジスタ378、380は、ゲート端子にリセット信号φRESを受け取った場合に、積分容量388における電圧値を所定の電圧VR1に初期化する。
出力用トランジスタ390は、ゲート端子に積分容量388における電圧を受け取り、当該電圧に応じたソース電圧を出力する。列方向選択トランジスタ392は、行方向選択部(VSR)304からの信号に応じて、出力用トランジスタ390のソース電圧を、列方向選択トランジスタ306に出力する。
図11は、それぞれのテスト用素子372のゲートリーク電流を測定し、電子デバイス510の識別情報を生成するデバイス識別方法の一例を示すフローチャートである。図11における処理S416〜S428は、図6において説明した特性測定段階S430として行うことができる。それぞれのテスト用素子372のゲートリーク電流を測定する前に、まず制御部14は、各セル310のテスト用素子372に、電気的ストレスを印加する。
このとき、制御部14は、第1のスイッチ374をオン状態に制御し、第2のスイッチ376をオフ状態に制御する。そして、制御部14は、各セル310のストレス印加部394を制御し、テスト用素子372にストレスを印加させる。また、制御部14は、図10において説明した(1)〜(4)のストレスを独立に、又は順次にテスト用素子372に印加させてよい。また、制御部14は、各セル310のテスト用素子372に対して、略同時にストレスを印加する。
以上の動作を行った後、制御部14は、それぞれのテスト用素子372を順次選択肢、選択したテスト用素子372のゲートリーク電流を測定するが、テスト用素子372の選択動作は、図5及び図8において説明した選択動作と同一であるので、その説明を省略する。本例においては、一つのテスト用素子372のゲートリーク電流を測定する動作について説明する。
まず、制御部14は、第1のスイッチ374をオフ状態に制御し、第2のスイッチ376をオン状態に制御する。そして、制御部14は、テスト用素子372のゲート端子に、略0Vのゲート電圧を印加する(S416)。このとき、テスト用素子372にゲートリーク電流は生じない。
次に、制御部14は、積分容量388の電圧を、所定の初期電圧値に設定する。このとき、制御部14は、リセット用トランジスタ380を制御して、積分容量388に初期電圧VR1を設定する。当該設定は、リセット用トランジスタ378、380をオン状態に制御するリセット信号φRESを供給することにより行う。
次に、特性測定部16は、積分容量388の電圧を初期電圧値に設定してから、所定の時間における、積分容量388の電圧値の変化を読み出す(S418)。このとき、制御部14は、列方向選択部302及び行方向選択部304に、当該セル310を選択させる。また、特性測定部16は、出力部320が出力する電圧を、積分容量388の電圧として受け取る。
次に、特性測定部16は、当該所定の期間における、出力部320が出力する電圧の変化量に基づいて、セル310のバックグラウンド電流の電流値(第1の電流値)を算出する(S420)。このとき、テスト用素子372には、ゲートリーク電流が生じていないので、積分容量388は、バックグラウンド電流により充放電される。このため、所定の期間における積分容量388の電圧変化に基づいて、バックグラウンド電流を測定することができる。
次に、制御部14は、テスト用素子372のゲート端子に、正又は負のゲート電圧を印加する(S422)。このとき、電圧VRN、VRPを制御し、テスト用素子372のゲート・ソース又はゲート・ドレイン間に印加される電圧を、略一定に保つ。このとき、テスト用素子372には、ゲート電圧に応じたゲートリーク電流が生じる。
次に、制御部14は、積分容量388の電圧を、所定の初期電圧値に設定する。そして、特性測定部16は、積分容量388の電圧を初期電圧値に設定してから、前述した所定の期間における、積分容量388の電圧値の変化を読み出す(S424)。
次に、特性測定部16は、当該所定の期間における、積分容量388の電圧値の変化量に基づいて、バックグラウンド電流とゲートリーク電流との和を示す第2の電流値を算出する(S426)。このとき、積分容量388は、バックグラウンド電流とゲートリーク電流との和の電流により充放電される。このため、所定の期間における積分容量388の電圧変化に基づいて、バックグラウンド電流とゲートリーク電流との和の電流を測定することができる。
次に、特性測定部16は、算出した第2の電流値から、第1の電流値を減算することにより、ゲートリーク電流の電流値を算出する(S428)。このような制御により、バックグラウンド電流の影響を排除して、テスト用素子372のゲートリーク電流を精度よく測定することができる。また、ゲートリーク電流を積分して測定するので、微小なゲートリーク電流を測定することができる。特性測定部16は、それぞれのテスト用素子372のゲートリーク電流の電流値に基づいて、識別情報を生成する。
図12は、セル310の構成の他の例を示す図である。本例における各セル310には、制御部14から、電圧VDD、VSE、VG、信号φSE、φS、φD、φHEが与えられ、行方向選択部(VSR)304から選択信号を変換した位置信号が与えられる。
各セル310は、テスト用素子372、ストレス印加部394、及び列方向選択トランジスタ396を有する。ストレス印加部394には、電圧VSE、VDDが与えられ、信号φSE、φS、φD、φHEが与えられる。ストレス印加部394は、テスト用素子372のソース端子及びドレイン端子に接続され、与えられる信号に応じて、テスト用素子372のソース端子及びドレイン端子に電圧を印加する。
本例において、ストレス印加部394は、テスト用素子372のソース端子に接続されるソース側ストレス印加部394−1と、テスト用素子372のドレイン端子側に接続されるドレイン側ストレス印加部394−2とを有する。
ソース側ストレス印加部394−1は、電圧VSEが与えられるバスラインと、接地電位との間に直列に設けられた2つのトランジスタ(395−1、395−2)を有する。また、2つのトランジスタ(395−1、395−2)を接続するソースドレイン接続点が、テスト用素子372のソース端子に接続される。また、バスライン側のトランジスタ395−1のゲート端子には、信号φSEが与えられる。また、接地電位側のトランジスタ395−2のゲート端子には、信号φSが与えられる。
ドレイン側ストレス印加部394−2は、電圧VDDが与えられるバスラインと、接地電位との間に直列に設けられた2つのトランジスタ(397−1、397−2)を有する。また、2つのトランジスタ(397−1、397−2)を接続するソースドレイン接続点が、テスト用素子372のドレイン端子に接続される。また、バスライン側のトランジスタ397−1のゲート端子には、信号φHEが与えられる。また、接地電位側のトランジスタ397−2のゲート端子には、信号φDが与えられる。
制御部14は、信号φSE、信号φS、信号φD、信号φHEを、ストレス印加部394に印加する。ストレス印加部394は、与えられる信号に応じて、図10において説明した(1)〜(4)のストレスを、テスト用素子372に印加する。例えば、(4)Source Eraseのストレスをテスト用素子372に印加する場合、制御部14は、Hレベルを示す信号φSを、ストレス印加部394に供給する。
また、制御部14は、(2)FN Substrate injectionのストレスを印加する場合、Hレベルを示す信号φSEを供給してよい。また、制御部14は、(3)Hot Electron injectionのストレスを印加する場合、Hレベルを示す信号φHEを供給してよい。また、制御部14は、(1)FN Gate injectionのストレスを印加する場合、Hレベルとなる信号φDを印加してよい。
このように、制御部14が、印加するべきストレスに応じて信号φSE、信号φS、信号φD、信号φHEを制御することにより、テスト用素子372のソース端子及びドレイン端子に、印加するべきストレスに応じた電圧をそれぞれ印加することができる。
測定装置100は、ストレス印加部394に上述したストレスを順次印加させた後に、テスト用素子372のゲートリーク電流を測定する。このとき、テスト用素子372のゲート端子には、所定のゲート電圧VGが印加される。そして、行方向選択部304は、列方向選択トランジスタ396をオン状態に制御する。
列方向選択トランジスタ396は、テスト用素子372のソース端子に接続され、ソース電流を通過させるか否かを切り替えるトランジスタと、ドレイン端子に接続され、ドレイン電流を通過させるか否かを切り替えるトランジスタとを有する。このような構成により、テスト用素子372がP型又はN型のいずれであっても、ゲートリーク電流を通過させることができる。
また、各セル310が図12に示した構成を有する場合、出力部320にはゲートリーク電流が与えられる。本例において、出力部320は、電流値を出力する機能を有する。また、特性測定部16は、出力部320が出力した電流値に基づいて、テスト用素子372のゲートリーク電流特性を検出する。このような構成によっても、それぞれのテスト用素子372のゲートリーク電流を測定することができる。
図13は、電子デバイス510を製造するデバイス製造方法を説明する図である。本例においては、電子デバイス510の実動作時に動作する実動作回路520と、複数のテスト用素子314が設けられ、電子デバイス510の試験時に動作するテスト用回路300とを備える電子デバイス510を製造する。また、本例においては、図1に関連して説明した測定装置100を用いて、識別情報が取得された電子デバイス510を製造する。
まず、ウェハ500に、それぞれの電子デバイス510の実動作回路520を形成する。ウェハ500は、複数の電子デバイス510を形成するべき複数の領域に分割され、それぞれの分割領域に、実動作回路520を形成する。
そして、ウェハ500を電子デバイス510毎に切断するときの切断ライン上に、第1のテスト用回路300−1を形成する。第1のテスト用回路300−1は、電子デバイス510毎に形成される。また、ウェハ500の切断ラインと異なる領域に、第2のテスト用回路300−2を形成する。第2のテスト用回路300−2は、それぞれの電子デバイス510を形成すべき分割領域毎に形成される。第1のテスト用回路300−1及び第2のテスト用回路300−2は、図3、10、又は12に関連して説明したテスト用回路300と同一の構成を有してよい。
そして、ウェハ500に複数の電子デバイス510が形成された状態で、それぞれの電子デバイス510に対応する第1のテスト用回路300−1及び第2のテスト用回路300−2に含まれるテスト用素子314の電気的特性を測定する。当該測定により、それぞれの電子デバイス510の良否を判定してよい。
また、測定した電気的特性のうち、第2のテスト用回路300−2に含まれるテスト用素子314の電気的特性に基づいて、対応する電子デバイス510の識別情報を生成する。電気的特性の測定、及び当該識別情報の生成は、図4、8、9、又は11に関連して説明した処理により、測定装置100が行う。そして、識別情報格納部20は、特性測定部16が生成した識別情報を格納する。
そして、ウェハ500を、電子デバイス510毎に切断することにより、電子デバイス510を製造する。このような工程により、電子デバイス510を識別するための識別情報を保持する第2のテスト用回路300−2を、電子デバイス510に付加した状態で、電子デバイス510を製造することができる。また、電子デバイス510を試験するテスト用回路300のうち、識別情報に寄与しない部分を除去することができるので、電子デバイス510の面積効率を向上させることができる。
例えば、電子デバイス510の良否を、第1のテスト用回路300−1及び第2のテスト用回路300−2に含まれるテスト用素子314の電気的特性のバラツキにより判定する場合、第1のテスト用回路300−1及び第2のテスト用回路300−2には、より多くのテスト用素子314が含まれることが好ましい。例えば、テスト用回路300には、数万〜100万素子程度のテスト用素子314が含まれる。
しかし、電子デバイス510を識別する識別情報に必要となるビット数は、電気的特性のバラツキを精度よく算出するのに必要なテスト用素子314の数より小さい。また、テスト用素子314は、電子デバイス510の実動作時には動作しないので、電子デバイス510に含まれるテスト用素子314は、面積効率を考慮すると、より少ないことが好ましい。
本例においては、識別情報を生成する場合に余剰となるテスト用素子314を、第1のテスト用回路300−1に設け、識別情報を生成する適正な数のテスト用素子314を、第2のテスト用回路300−2に設ける。そして、ウェハ500の切断ラインに第1のテスト用回路300を設けるので、第1のテスト用回路300−1は、電子デバイス510から除去される。このため、電子デバイス510の試験時には、十分な数のテスト用素子314の電気的特性を測定することができ、且つ出荷時に電子デバイス510に含まれるテスト用素子314の数を低減させつつ、電子デバイス510の識別情報を、電子デバイス510に保持させることができる。
また、識別情報格納部20は、それぞれの電子デバイス510の識別情報を、電子デバイス510のウェハ500上の位置等の製造履歴情報と対応付けて格納することが好ましい。これにより、例えば電子デバイス510の故障原因等を精密に解析することができる。
図14は、電子デバイス510の構成の他の例を示す図である。本例における電子デバイス510は、実動作回路520、第3のテスト用回路300−3、第2のテスト用回路300−2、及び電源部530を備える。
実動作回路520は、電子デバイス510の実動作時に動作する。また、第3のテスト用回路300−3及び第2のテスト用回路300−2は、電子デバイス510の試験時に動作する。第3のテスト用回路300−3及び第2のテスト用回路300−2は、略同一の回路構成を有する。例えば、第3のテスト用回路300−3及び第2のテスト用回路300−2は、それぞれ図3、10、又は12に関連して説明したテスト用回路300と略同一の構成を有してよい。
電源部530は、電子デバイス510の実動作時に、第2のテスト用回路300−2に電源電圧を印加されない状態を維持して、実動作回路520及び第3のテスト用回路300−3に電源電圧を印加する。また、電源部530は、電子デバイス510の識別時に、第2のテスト用回路300−2に電源電圧を印加する。
このような構成により、第3のテスト用回路300−3に、電子デバイス510の実動作環境に応じた負荷を与えることができる。また、第2のテスト用回路300−2には、電子デバイス510の実動作時には電源電圧を印加しないので、第2のテスト用回路300−2に含まれるテスト用素子314の電気的特性の劣化は小さい。このため、第3のテスト用回路300−3に含まれるテスト用素子314の電気的特性と、第2のテスト用回路300−2に含まれるテスト用素子314の電気的特性との差分を測定することにより、電子デバイス510の使用状況に応じた劣化を解析することができる。
また、測定装置100は、第2のテスト用回路300−2に含まれるテスト用素子314の電気的特性に基づく識別情報を予め格納し、電子デバイス510の識別時には、第2のテスト用回路300−2に含まれるテスト用素子314の電気的特性に基づいて識別情報を取得する。第2のテスト用回路300−2に含まれるテスト用素子314の電気的特性の劣化は小さいので、電子デバイス510を精度よく識別することができる。
電源部530は、実動作回路520及び第3のテスト用回路300−3に、略同一の電源電圧を印加することが好ましい。つまり、第3のテスト用回路300−3に対して、実動作回路520と略同一の負荷を与えることが好ましい。これにより、第3のテスト用回路300−3に含まれるテスト用素子314の劣化を、実動作回路520に含まれる素子の劣化と略同一とすることができる。電源部530は、第3のテスト用回路300−3及び実動作回路520に対して、電源電圧を分岐して与えてよい。このような構成により、実動作回路520に電源電圧を印加した場合に、第3のテスト用回路300−3に電源電圧を同時に印加することができる。このため、実動作回路520及び第3のテスト用回路300−3に電源電圧を印加する期間を略同一とすることができる。
また、電源部530は、実動作回路520及び第3のテスト用回路300−3に電源電圧を印加する第1の電源線と、第1の電源線から独立して設けられ、第2のテスト用回路300−2に電源電圧を印加する第2の電源線を有することが好ましい。
また、第3のテスト用回路300−3は、電気的に並列に設けられたテスト用素子と、電子デバイス510の試験時において、それぞれのテスト用素子を順次オン状態に制御する選択部と、選択部が順次オン状態に制御したテスト用素子の端子電圧を順次出力する特性出力部と、電子デバイスの実動作時において、複数のテスト用素子をオン状態に維持する状態維持部とを備える。
例えば、第3のテスト用回路300−3が、図3において説明した回路構成を有する場合、列方向選択部302、行方向選択部304、列方向選択トランジスタ306、及び行方向選択トランジスタ316が、当該選択部として機能する。また、出力部320が、当該特性出力部として機能する。また、電源部530は、図3において説明した電圧VDD、電圧VG、電圧φj、電圧VREFを、第3のテスト用回路300−3に供給する。このとき、電源部530は、全てのスイッチ用トランジスタ312をオン状態に制御する電圧φjを供給することにより、当該状態維持部として機能してよい。
また、第2のテスト用回路300−2は、電気的に並列に設けられた複数のテスト用素子と、電子デバイス510の試験時において、それぞれのテスト用素子を順次オン状態に制御する選択部と、選択部が順次オン状態に制御したテスト用素子のそれぞれの端子電圧を、電子デバイス510の識別情報として出力する識別情報出力部とを備える。
例えば、第2のテスト用回路300−2が、図3において説明した回路構成を有する場合、列方向選択部302、行方向選択部304、列方向選択トランジスタ306、及び行方向選択トランジスタ316が、当該選択部として機能する。また、出力部320が、当該識別情報出力部として機能する。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
以上から明らかなように、本発明によれば、電子デバイスを識別する情報を取得することができる。また、電子デバイスの特性評価用に設けられるテスト用素子の電気的特性を、識別情報として格納するので、電子デバイスに識別情報を付与する専用の構成を設けなくともよく、電子デバイスの面積効率、製造効率等を向上させることができる。
10・・・テストヘッド、12・・・ADC、14・・・制御部、16・・・特性測定部、20・・・識別情報格納部、22・・・一致検出部、100・・・測定装置、300・・・テスト用回路、302・・・列方向選択部、304・・・行方向選択部、306・・・列方向選択トランジスタ、310・・・セル、312・・・スイッチ用トランジスタ、314・・・テスト用素子、316・・・行方向選択トランジスタ、318・・・電流源、320・・・出力部、371・・・ゲート電圧制御部、372・・・テスト用素子、374・・・第1のスイッチ、376・・・第2のスイッチ、378、380・・・リセット用トランジスタ、382・・・電圧印加部、384・・・NMOSトランジスタ、386・・・PMOSトランジスタ、388・・・積分容量、390・・・出力用トランジスタ、392・・・列方向選択トランジスタ、394・・・ストレス印加部、395・・・トランジスタ、396・・・列方向選択トランジスタ、397・・・トランジスタ、500・・・ウェハ、510・・・電子デバイス、520・・・実動作回路、530・・・電源部