JP4812394B2 - 鎮痛用組成物 - Google Patents
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Description
J. Neurosci., vol. 16(3), pp. 1066-1071 (1996) Biochem. Biophys. Res. Commun., vol. 237(3), pp. 527-531 (1997) J. Biol. Chem., vol. 274(18), pp. 12675-12684 (1999) J. Neurosci., vol. 22(9), pp. 3386-3391 (2002) FASEB J., vol. 19, pp. 623-625 (2005)
すなわち、本発明は、
(2) 該成分が、シスタチオニンγ−リアーゼ(CSE)阻害剤である上記(1)の鎮痛用組成物、
(3) 該シスタチオニンγ−リアーゼ(CSE)阻害剤が、DL−プロパルギルグリシン(PAG)およびβ−シアノアラニン(BCA)よりなる群から選択される上記(2)の鎮痛用組成物、および
(4) DDS製剤化されている上記(1)〜(3)のいずれかの組成物を提供するものである。
溶剤:精製水、注射用水、生理食塩水、ラッカセイ油、エタノール、グリセリン、
賦形剤:デンプン類、乳糖、ブドウ糖、白糖、結晶セルロース、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、トレハロース、キシリトール、
コーティング剤:白糖、ゼラチン、酢酸フタル酸セルロースおよび上記記載した高分子、
基剤:ワセリン、植物油、マクロゴール、水中油型乳剤性基剤、油中水型乳剤性基剤、
結合剤:デンプンおよびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、トラガント、アラビアゴム等の天然高分子化合物、ポリビニルピロリドン等の合成高分子化合物、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、
滑沢剤:ステアリン酸およびその塩類、タルク、ワックス類、コムギデンプン、マクロゴール、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、
崩壊剤:デンプンおよびその誘導体、寒天、ゼラチン末、炭酸水素ナトリウム、セルロースおよびその誘導体、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースおよびその塩類ならびにその架橋体、低置換型ヒドロキシプロピルセルロース、
溶解補助剤:シクロデキストリン、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
懸濁化剤:アラビアゴム、トラガント、アルギン酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、クエン酸、各種界面活性剤、
粘稠剤:カルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ホドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、トラガント、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、
乳化剤:アラビアゴム、コレステロール、トラガント、メチルセルロース、各種界面活性剤、レシチン、
安定剤:亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、トコフェロール、キレート剤、不活性ガス、還元性物質、
緩衝剤:リン酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸、
等張化剤:塩化ナトリウム、ブドウ糖、
無痛化剤:塩酸プロカイン、リドカイン、ベンジルアルコール、
保存剤:安息香酸およびその塩類、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、逆性石けん、ベンジルアルコール、フェノール、チロメサール、
矯味剤:白糖、サッカリン、カンゾウエキス、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、
芳香剤:トウヒチンキ、ローズ油、
着色剤:水溶性食用色素、レーキ色素。
ラット後肢で鎮痛効果を測定するRandall−Selitto法によりNaHS注射後の痛覚閾値を測定し、その効果を検討した。
1)実験方法
i)実験動物
6−9週齢の雄性Wistar系ラット(Japan SLC, Inc., Japan)を用いた。ラットは室温23±2℃、湿度50±5%及び12時間の明暗サイクル(明期:0700から1900)の環境下で1週間の予備飼育の後、実験に供した。予備飼育期間中は固型飼料(CRF−1、オリエンタル酵母) 及び水を自由に摂取させた。
ii)使用薬物および投与スケジュール
物理的に硫化水素を発生する硫化水素ナトリウム(NaHS)を用いた。当該NaHSを生理食塩水に溶解し、ラット右後肢足底内に投与した。生理食塩水を同様に投与し対照群とした。5,5'−ジチオ−ビス−(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)は1% DMSOに溶解し、ラット右後肢足底内に単独投与あるいはNaHS併用投与した。L−システインHClH2OおよびD−システインHClH2Oは生理食塩水に溶解し、ラット右後肢足底内に投与した。
iii)機械的侵害受容閾値の測定
機械的侵害受容閾値の測定はRandall−Selitto法により行った。すなわち、圧刺激鎮痛効果測定装置(MK−300, Muromachi Kikai Co., Japan)を使用し、ラットの右後肢に30g/秒で機械的圧刺激を加え、もがき反応もしくは鳴き声を指標として機械的侵害受容閾値を測定した。また、後肢の損傷を防ぐため、加える圧刺激は500gを限度とした。得られた結果は薬物投与前の機械的侵害受容閾値を100%とし、以下の数式により算出した値で示した。
機械的侵害受容閾値(%ベースライン)=得られた閾値(g)/薬物投与前の閾値(g)×100
2)実験結果
NaHS投与(1nmol/足蹠)により投与後約15〜20分に最大閾値低下を示し、NaHSが痛覚過敏を発生させることが分かった。この効果は用量依存性であった(図1)。このNaHSの痛覚過敏は酸化剤であるDTNBにより抑制された(図2)。このことからNaHSの作用はH2Sを介していることが考えられる。また、シスタチオニンγ−リアーゼ(CSE)あるいはシスタチオニンβ−シンターゼ(CBS)の基質であり、これら酵素を介して硫化水素を発生させるL-システインによってもNaHSと同様に用量依存的に痛覚過敏が惹起されたが、光学異性体であるD-システインでは痛覚過敏が観察されなかった(図3)。このように、天然に存在するL−システインがピリドキサル−5'−リン酸依存性酵素の基質となり、ラット足蹠にて当該L−システインより硫化水素を産生させることにより痛覚過敏が惹起されることが明らかとなった。
L−システインの痛覚過敏に対する、シスタチオニンγ−リアーゼ(CSE)阻害剤およびシスタチオニンβ−シンターゼ(CBS)阻害剤の効果について検討した。
1)実験方法
i)使用薬物および投与スケジュール
L−システインHClH2Oは生理食塩水に溶解し、ラット右後肢足底内に投与した。DL−プロパルギルグリシン(PAG)およびβ−シアノアラニン(BCA)は生理食塩水に溶かしL−システイン投与60分前に腹腔内投与した。また、アミノオキシ酢酸(AOAA) は生理食塩水に溶かしL−システイン 投与90分前に腹腔内投与した。
2)実験結果
実験結果を図4〜6に示す。以下の実験では、NaHS投与に代えて、ピリドキサル−5'−リン酸依存性酵素によりH2Sを産生するL−システインをラット足蹠に局所投与した。L−システインにより誘発されたラットの機械的痛覚過敏を、CSE阻害剤であるPAGおよびBCAは改善した(図4および5)。一方、L−システインにより誘発されたラットの機械的痛覚過敏を、CBS阻害剤であるAOAAは改善しなかった(図6)。従って、CSE阻害剤によりL−システインにより誘発された痛覚過敏が低下したのに対し、CBS阻害剤ではそれを低下させなかったことから、その鎮痛作用は中枢型ではなく、末梢型であることが示唆された。
リポ多糖(LPS)疼痛モデルを用いて、CSE阻害剤PAGの効果を検討した。
1)実験方法
以下の疼痛モデルを用いる以外は、実施例1に記載の方法により痛覚過敏に対する効果を測定した。
i)リポ多糖(LPS) 疼痛モデルの作製
生理食塩水に溶解させたLPSを 1μg/0.1mLの用量でラット後肢足底内に投与し疼痛モデルを作製した。PAG(3.75, 11.25および37.5mg/kg)はLPS足底内投与の30分前に腹腔内投与した。
2)実験結果
生理食塩水投与に比較し、CSE阻害剤PAGはLPS誘発痛覚過敏を改善した。その最大の改善効果は、PAG 11.25mg/kg投与群において観察された(図7)。一般にLPS誘発痛覚過敏は種々の炎症メディエーターに引き起こされる。本実験によりLPS誘発痛覚過敏がCSE阻害剤PAGにより改善されたことより硫化水素は炎症時の痛みに関与していることが推察された。
以下の処方に従い、常法により錠剤を調製した。
結晶セルロース 50mg
DTNB 50mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 50mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 10mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
乳糖 適量
合計 1000mg
以下の処方に従い、常法により錠剤を調製した。
結晶セルロース 50mg
PAG 50mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 50mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 10mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
乳糖 適量
合計 1000mg
以下の処方に従い、常法によりカプセル剤を調製した。
DTNB 50mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 50mg
架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム 5mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
乳糖 適量
合計 500mg
以下の処方に従い、常法によりカプセル剤を調製した。
PAG 50mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 50mg
架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム 5mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
乳糖 適量
合計 500mg
以下の処方に従い、常法により注射剤を調製した。
ブドウ糖 10mg
DTNB 50mg
注射用精製水 適量
合計 100mL
以下の処方に従い、常法により注射剤を調製した。
ブドウ糖 10mg
PAG 50mg
注射用精製水 適量
合計 100mL
これらの実施例4〜9で得られた製剤は、いずれも本発明の鎮痛用組成物として使用できる。
Claims (2)
- 生体内での硫化水素の産生を阻害、抑制または低下させる成分を有効成分として含有してなる鎮痛用組成物であって、
該成分が、DL−プロパルギルグリシン(PAG)およびβ−シアノアラニン(BCA)よりなる群から選択される該組成物。 - DDS製剤化されている請求項1記載の組成物。
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