JP4810804B2 - 静電塗装される被塗物のアース状態検査方法及び装置 - Google Patents

静電塗装される被塗物のアース状態検査方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、電気絶縁性の高い被塗物に導電性を付与し、これに静電塗装を行う場合に用いて好ましいアース状態検査方法及び装置に関する。
樹脂部品などの電気絶縁性の高い被塗物に静電塗装を施す場合には、素材自体にカーボンブラックなどの導電性フィラーを混入して素材に導電性を付与したり、素材表面に導電性塗膜を形成して表面のみに導電性を付与したりするが、何れの場合においても、これら被塗物の導電部をアースし、アースされた被塗物の塗装面に対して静電塗装を行うのが一般的である。
この種の樹脂部品の静電塗装においては、塗装面の導電性が金属などの良導体と異なり、一般的には極めて低いため、導電性能の良否や接地の良否が静電塗装の品質を左右する。すなわち、導電性が高い被塗物には静電塗装によって多くの塗料が付着するのに対し、導電性の低い被塗物には塗料の付着量が少なくなる。これにより、製品の仕上がり品質において膜厚が不均一になったり、塗膜の色目にムラができたりする。また、導電性が高くてもアースが不確実であると被塗物に静電塗装による電荷が蓄積され、スパークが発生するなどのおそれもある。
このため、静電塗装を行う前に被塗物のアースチェックが行われている。従来のアースチェックは、測定端子を被塗物の表面に接触させることで表面抵抗値を測定し、これにより導電性とアースの適正を検査していた。
しかしながら、こうした従来の接触式アースチェックでは、被塗物の表面が乾いている必要があり、また測定端子部に付着した塵埃が被塗物に付着するおそれがあり、さらに測定端子部を接触させることにより被塗物に傷を付けてしまうおそれがあった。
また、接触式アースチェックは測定端子を確実に被塗物に接触させる必要があるが、多種混合ラインのように異なる形状の被塗物が流れるラインではその対応が困難であり、誤検出が少なくなかった。
ところで、上述のような静電塗装前のアースチェックは、樹脂部品のプライマー塗装工程や上塗り塗装工程の何れに際しても必要であるが、塗装工程の短縮化を図るためにプライマー塗装と上塗り塗装とをウェットオンウェットで行う場合には、これらの工程が同一ブース内に設けられているため、アースチェック装置を防爆仕様とする必要があり、設備の信頼性の確保が困難になったり、設備投資の増加を招来することとなる。
本発明は、被塗物の表面状態や形状に拘わらず、被塗物に塵埃や傷を付けることのないアース状態検査方法及び装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点によれば、静電塗装される被塗物の塗装面のアース状態を検査する方法であって、前記被塗物の素材自体又は素材の表面に導電性を付与する工程と、前記導電性が付与された被塗物をアースする工程と、コロナ放電によるイオンを、塵埃及び水分を除去する異物除去手段を介し且つ雰囲気温度及び雰囲気湿度に基づく結露しない温度に維持されたエアーにより前記塗装面に案内し、非接触の状態で電荷を印加する電荷印加工程と、前記イオンが案内された前記塗装面の表面電位を、非接触式表面電位計を用いて測定する表面電位測定工程と、前記表面電位測定工程で測定された表面電位の絶対値が所定値以下かどうかを判断し、前記表面電位の絶対値が前記所定値を超える場合は、前記被塗物のアース状態が適切でないと判定する判定工程と、を有する静電塗装される被塗物のアース状態検査方法が提供される。
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の観点によれば、静電塗装される被塗物であって当該被塗物の素材自体又は素材の表面に導電性が付与されるとともにアースされる被塗物の塗装面のアース状態を検査する装置であって、前記塗装面に対し非接触の状態で電荷を印加する電荷印加手段と、前記電荷が印加された被塗物の塗装面の表面電位を非接触の状態で測定する表面電位測定手段と、前記表面電位測定手段で測定された表面電位の絶対値が所定値以下かどうかを判断し、前記表面電位の絶対値が前記所定値を超える場合は、前記被塗物のアース状態が適切でないと判定する判定手段と、を有し、前記電荷印加手段は、コロナ放電によりイオンを発生させるイオン発生手段と、前記イオン発生手段により発生したイオンをエアーにより前記被塗物の塗装面に導くエアー供給手段と、前記エアー供給手段により供給されるエアーに含まれる塵埃及び水分を除去する異物除去手段と、前記エアー供給手段により供給されるエアーの温度を、雰囲気温度及び雰囲気湿度に基づく結露しない温度に維持するエアー温度維持手段と、を有する静電塗装される被塗物のアース状態検査装置が提供される。
本発明では、塗装面に対し非接触状態で電荷を印加するとともに、塗装面に対し非接触状態で表面電位を測定するので、被塗物のアース状態を非接触で検査することができる。したがって、被塗物の表面が未乾燥状態であっても測定することができ、また測定端子に付着した塵埃が被塗物に付着したり、測定端子によって被塗物が傷付いたりするおそれもない。さらに、非接触状態で測定できるので異なる形状の被塗物に対しても容易に対応することができる。
発明の実施の形態
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係る被塗物のアース状態検査装置の構成を示すブロック図、図2は同じくアース状態検査装置の電荷印加器の構造例を示す断面図、図3は同じくアース状態検査装置の電荷印加器及び電荷量測定器の移動機構の一例を示す斜視図、図4は本発明の第1実施形態に係る被塗物のアース状態検査方法の判定手順の一例を示すグラフである。
本実施形態に係る被塗物のアース状態検査方法及び装置は、樹脂製バンパなどの電気絶縁性の高い素材に静電塗装を行う場合に適用して好ましく、静電塗装工程の前工程に設けられる。この場合、部品の素材自体に導電性を付与するケースと、部品に導電性プライマーなどを塗布することで素材の表面の塗装面に導電性を付与するケースがあるが、本実施形態では何れのケースにも適用することができる。
なお、図1に示すように素材自体又は素材の表面に導電性が付与された被塗物2は、搭載台車3に載置された状態で静電塗装工程に搬入されるが、塗装面のアース性を確保するために、被塗物2の一部と搭載台車3(コンベアを介して接地されている。)との間にアース線4が接続されている。
本実施形態に係るアース状態検査装置1は、被塗物2の塗装面に対し非接触の状態で電荷を印加する電荷印加装置11と、電荷が印加された被塗物2の塗装面の電荷量を非接触の状態で測定する電荷量測定センサ12とを有する。
電荷印加装置11は、マイナスイオンを発生させるイオン発生装置112と、当該イオン発生装置112で発生したマイナスイオンを被塗物2の塗装面に導くためのエアー供給装置113と、エアー供給装置113により供給されるエアーに含まれる塵埃及び水分を除去する異物除去装置114と、エアー供給装置113により供給されるエアーの温度を所定範囲に維持するエアー温度維持装置115とを有する。
マイナスイオン発生装置112の一例を図3に示すが、本例のマイナスイオン発生装置112は、高電圧電源1121から高電圧が印加されることによりコロナ放電を発生させる、先端が尖鋭状に形成された導電体からなるエミッタ(放電電極)1122と、このエミッタ1122を内包するとともにエアー供給装置113から供給されたエアーが流れる電気絶縁体からなる導風管1123とを有する。そして、高電圧電源1121によりエミッタ1122に高電圧を印加すると、その尖鋭状の先端部でコロナ放電が生じ、これによりその近傍にマイナスイオンが発生する。このマイナスイオンを導風管1123を流れるエアーで吹出口1124から被塗物2に案内することで、被塗物2の塗装面に電荷を印加することができる。
なお、図2に示すマイナスイオン発生装置112は本発明に係る電荷印加手段の一例であって、これ以外にも被塗物2に電荷を印加できる装置であれば適用することができる。また、イオンにて電荷を印加する場合、マイナスイオンに限定されずプラスイオンを印加することもできる。
図1に戻り、本例の検査装置1では、エアー供給装置113に異物除去装置114とエアー温度維持装置115が設けられている。マイナスイオン発生装置112のエミッタ1122には高電圧が印加されるため、このエミッタがいわゆる集塵機となって供給エアーに含まれたゴミを吸着し、これによりコロナ放電が生じ難くなる。また、供給エアーに含まれた水分がエミッタ1122にて結露しても、コロナ放電が生じ難くなる。本例の異物除去装置114は、マイナスイオン発生装置112の導風管1123に供給されるエアーから塵埃や水分を除去するエアーミストセパレータであって、これを通過させることにより供給エアーから塵埃や水分を除去し、エミッタ1122におけるコロナ放電が適切に行われるようにする。また、エアー温度維持装置115はたとえば供給エアーを加温するヒータで構成することができ、雰囲気温度及び雰囲気湿度を考慮して結露しない温度範囲に加温する。たとえば雰囲気温度が16℃以上、雰囲気湿度が60%以下の場合にはエアー温度維持装置115により供給エアーを24℃〜26℃の温度範囲に維持すると結露の発生が防止される。なお、異物除去装置114は塵埃及び水分が除去できる機能を有していればエアーミストセパレータに限定されず、またエアー温度維持装置115も供給エアーの温度が所定範囲に維持される機能があればヒータにのみ限定されることはない。また、本発明において異物除去装置114及びエアー温度維持装置115は必須のものではなく、適宜省略することもできる。
以上の電荷印加装置11により被塗物2の塗装面にマイナスイオンが印加されるが、被塗物2に付与された導電性が良好な場合はアース線4を介してこのマイナスイオンは接地ポイントに流れる。したがって、ある一定時間経過後においては、被塗物2の塗装面には電荷は蓄積されていないはずである。仮に印加されたマイナスイオンによる電荷が観察されたら、それはアース不良と判定することができる。この場合のアース不良には、被塗物2の塗装面の導電性不良とアース線4の接続不良の両者が含まれるが、何れにしても静電塗装を行う際に塗着効率が低下したり電荷の蓄積によるスパークの発生の原因となる。
本例では、電荷印加装置11によりマイナスイオンが印加された被塗物2の電荷量を電荷量測定センサ12にて測定する。この電荷量測定センサ12は非接触式表面電位計であって、その出力値は判定装置13に送出される。判定装置13では、電荷量測定センサ12からの測定値が、予め決められた範囲内にあるかどうかを判定し、所定範囲内にある場合は「良」の判定を行い、所定範囲内にない場合には「否」の判定を行う。
そして、判定装置13による判定が「否」の場合には、その旨の指令信号を警報器19に送出し、警報を鳴らすことで異常の発生を喚起する。
上述した電荷印加装置11のマイナスイオン発生装置112と電荷量測定センサ12は、三次元移動が可能とされた移動機構16に設けられ、被塗物2の仕様に応じて適切な位置に移動する。この移動機構16の一例を図3に示す。
同図に示す移動機構16は、被塗物2を搬送するコンベア(不図示)のサイドに固定されたスタンド161と、このスタンド161に設けられた第1レール162に沿って図示するZ軸方向に第1基台163を往復移動させる第1シリンダ164と、第1基台163に設けられた第2レール165に沿って図示するY軸方向に第2基台166を往復移動させる第2シリンダ167と、第2基台166に設けられロッドの先端にマイナスイオン発生装置112と電荷量測定センサ12が固定されたブラケット168を図示するX軸方向に往復移動させる第3シリンダ169とを有する。
そして、図1に示す制御装置18からの指令信号によりこれら第1シリンダ164,第2シリンダ167及び第3シリンダ169を動作させ、被塗物2の塗装面に対するマイナスイオン発生装置112及び電荷量測定センサ12の位置を調節する。こうした移動機構16を設けることで、形状が異なる被塗物2が流れる多種混合ラインであっても、マイナスイオン発生装置112及び電荷量測定センサ12の位置を適切な位置に設定することができる。
なお、図3に示す移動機構16は本発明の移動手段の一例であってこれに限定される趣旨ではない。たとえば、被塗物2の形状等の仕様によっては二次元移動又は一次元移動の移動機構としてもよく、さらに同じ形状の被塗物2しか流れないラインにあっては移動機構16そのものを省略してもよい。
図1に戻り、上述した移動機構16を制御する制御装置18は、塗装ラインの生産管理システム(不図示)からの情報を取得することで、マイナスイオン発生装置112及び電荷量測定センサ12の位置を適切な位置に設定する。このために、生産管理システムからラインを流れる被塗物2の仕様情報を取得する被塗物情報取得装置14と、被塗物の形状仕様に応じた適切なマイナスイオン発生装置112及び電荷量測定センサ12の位置を予め記憶しておく位置記憶装置15と、被塗物情報取得装置14により取得された被塗物の形状仕様に基づいて、位置記憶装置15に記憶された適正位置を抽出する位置抽出装置17とを有する。
次に動作を説明する。
たとえば導電性プライマーを塗布することで被塗物2に導電性を付与し、これを搭載台車3に搭載し、アース線4を接続する。このとき導電性プライマーは未硬化であってもよい。この被塗物2を、静電塗装工程の前に設けられた本実施形態に係るアース状態検査工程に搬送する。このとき、被塗物情報取得装置14によってその被塗物2の仕様を取り込む。ここでいう仕様とは、被塗物2の部品名(バンパ、フロントグリルなど)や品番など、マイナスイオン発生装置112及び電荷量測定センサ12との相対位置が変化する要因となるワークの形状などの仕様をいう。
被塗物情報取得装置14でその被塗物2の仕様を取得したらこれを位置抽出装置17に送出し、位置抽出装置17では、被塗物情報取得装置14により取得された仕様に最適なマイナスイオン発生装置112及び電荷量測定センサ12の位置を、位置記憶装置15から抽出し、これを制御装置18へ送出する。
制御装置18は、被塗物2が検査工程に到着したら移動機構16の第1シリンダ164,第2シリンダ167及び第3シリンダ169を動作させ、その被塗物2に対して最適な測定位置にマイナスイオン発生装置112及び電荷量測定センサ12を移動させる。
次いで、マイナスイオン発生装置112のエミッタ1122に高電圧を印加するとともに、エアー供給装置113によって導風管1123にエアーを供給する。このとき、異物除去装置114により取り入れ空気から塵埃及び水分を除去するとともに、エアー温度維持装置115により供給エアーを所定の温度範囲に維持する。これにより、エミッタ1122に塵埃や水滴が付着するのが防止され、円滑なコロナ放電が行われてマイナスイオンが被塗物2の塗装面に吹き付けられる。このマイナスイオンの吹き付け時間をt1秒(たとえば10秒)とする。
マイナスイオンの吹き付けを開始してからt2秒後(たとえば3秒後)に、電荷量測定センサ12により被塗物2の塗装面の電荷量をt3秒間(たとえば17秒)測定する。マイナスイオンの吹き付けを開始してから電荷量を測定するまでにt2秒のタイムラグを設けるのは、図4に示すようにマイナスイオンの吹き付けを開始した直後はアース状態が正常であっても塗装面の表面電位が不安定となるからである。
電荷量測定センサ12で測定した電位は判定装置13に送出され、ここで予め設定された基準範囲と比較される。この基準範囲とは、たとえば図4に示す例では±2kV以内である。
同図に、アース線4を適切に接続してアース状態を「良」とした被塗物2の測定結果を実線で示し、アース線4を接続しないでアース状態を「否」とした被塗物2の測定結果を点線で示す。マイナスイオンを印加すると一部は大気に放電するが残余は被塗物2の導電性が付与された部分に流れる。ここで、アース線4を適切に接続した被塗物2においては、マイナスイオンは被塗物2及びアース線4を介してグランドに流れるため、電荷量測定センサ12にて測定される表面電位は±2kVの範囲内にある。これに対し、アース線4を接続しない被塗物2においては、マイナスイオンは被塗物2の表面に蓄積され、これが電荷量測定センサ12によって検出されるので表面電位が−2kVよりも低くなる。
こうした原理を用いて、判定装置13によりアース状態の良否を判定し、アース状態が「良」の場合はその被塗物2をそのまま静電塗装工程へ流すが、アース状態が「否」の場合には警報器19によって警報を発し、その被塗物2のアース状態が適切でない旨を喚起する。
以上、本実施形態のアース状態検査装置1及び方法によれば、静電塗装される被塗物2のアース状態を事前にチェックすることができ、塗着効率の向上とスパークの防止が図られる。特に、本実施形態の装置及び方法によれば、被塗物2の表面が未乾燥状態であっても検査することができ、またマイナスイオン発生装置112や電荷量測定センサ12に付着した塵埃が被塗物2に付着したり、これらによって被塗物2が傷付いたりするおそれもない。さらに、本実施形態の装置及び方法によれば、非接触状態で測定できるので異なる形状の被塗物2に対しても容易に対応することができる。
[第2実施形態]
図5は本発明の第2実施形態に係るウェットオンウェットの静電塗装工程を示す概略平面図、図6は本発明の第2実施形態に係る被塗物のアース状態検査装置の構成を示すブロック図、図7は本発明の第2実施形態に係る被塗物のアース状態検査装置の外観を示す正面図である。
本実施形態に係る被塗物のアース状態検査方法及び装置は、樹脂製バンパ等の電気絶縁性の高い素材にプライマー塗装及び上塗り塗装をウェットオンウェットで静電塗装を行う場合に適用して好ましい。この場合、部品に導電性プライマー等を塗布することで素材の表面に導電性を付与するケースに適用することが出来る。なお、図6に示すように、素材自体又は素材表面に導電性が付与された被塗物2は、搭載台車3に載置された状態で静電塗装工程に搬入されるが、塗装面のアース性を確保するために、被塗物2の一部と搭載台車3(コンベアCを介して接地されている。)との間にアース線4が接続されている。
この静電塗装工程は、図5に示すように、搭載台車3(図6及び図7参照)に載置された被塗物2を搬送するコンベアCに沿って、プライマー塗装用ロボットP、上塗りベース塗装用ロボットUB、及び、上塗りクリア塗装用ロボットUCが同一ブース内に設けられており、各ロボットP、UB及びUCにより被塗物2をウェットオンウェットでプライマー塗装及び上塗り塗装を静電塗装し、塗装後の被塗物2をコンベアCにより焼付炉に搬送するようになっている。本実施形態に係る被塗物のアース状態検査装置20は、このウェットオンウェット静電塗装工程において、プライマー塗装用ロボットPと上塗りベース塗装用ロボットUBとの間に設けられている。
本実施形態に係るアース状態検査装置20は、図6に示すように、被塗物2の塗装面に対して非接触の状態で当該塗装面の反射率を検出する反射率検出装置21と、この反射率検出装置21により検出された反射率が所定の範囲にあるか否かを比較することで被塗物2の塗装面のアース状態が正常であるか否かを判断する判断装置22と、を有している。
反射率検出装置21は、LED等により所定光量の光を投光可能な光源装置211と、この光源装置211により投光された光Lを、照射用光ファイバを介して被塗物2に照射すると共に、当該照射光が被塗物2の塗装面に反射した反射光Lを、受光用光ファイバを介して受光して、アンプ部(不図示)にて被塗物2の塗装面の反射率を検出する光ファイバセンサ212、213と、を有しており、この反射率検出装置21は、被塗物2の塗装面に対して非接触の状態で当該塗装面におけるプライマーの塗布状態を検出することが可能となっている。
本実施形態では、反射率検出装置21は、図6及び図7に示すように、2つの光ファイバセンサ212、213を有している。このうちの一方の光ファイバセンサ212は、同図に示すように、コンベアCにより搬送される被塗物2の上方に位置するように設けられており、当該被塗物2の上面の反射率を検出することが可能となっている。これに対し、他方の光ファイバセンサ213は、同図に示すように、コンベアCにより搬送される被塗物2の側方に位置するように設けられており、当該被塗物2の側面の反射率を検出することが可能となっている。
なお、上述の光ファイバセンサ212、213を用いた反射率検出装置21は、本発明に係る塗布状態検出手段の一例であって、これ以外にも被塗物2の塗装面の塗布状態を検出する装置であれば適用することが出来る。
本実施形態では、この反射率検出装置21により検出された塗装面の反射率の値は、判断装置22に送出される。そして、判断装置22では、反射率検出装置21により検出された反射率の値が、予め決められた所定の範囲内にあるか否か比較を行う。
この判断装置22における比較のために、本実施形態に係るアース状態検査装置20は、生産管理システム(不図示)からラインに流れる被塗物2の仕様情報を取得する被塗物情報取得装置23と、被塗物2の仕様に応じた塗装面の反射率の所定範囲を予め記憶しておく範囲記憶装置24と、被塗物情報取得装置23により取得された被塗物2の仕様に基づいて、範囲記憶装置24に記憶された反射率の所定範囲を抽出する範囲抽出装置25と、を有する。なお、範囲記憶装置24には、反射率の所定範囲として、被塗物2の形状やプライマーの塗色等の仕様に応じた、プライマーが適切に塗装された場合の被塗物2の上面及び側面それぞれの反射率の範囲が記憶されている。
そして、範囲抽出装置25により抽出された反射率の所定範囲は判断装置22に送出され、判断装置22は、反射率検出装置21により検出された反射率の値が、当該反射率所定範囲にあるか否かの比較を行う。判断装置22は、この比較において、反射率検出装置21により検出された値が当該所定範囲内にある場合には、被塗物2の塗装面に適切にプライマーが塗装されているので、被塗物2の塗装面のアース状態が正常であると判断する。これに対し、上記比較において、反射率検出装置21により検出された値が当該所定範囲内にない場合には、被塗物2の塗装面にプライマーが未塗装であるか或いは塗膜厚が十分でないので、被塗物2の塗装面のアース状態は正常でないと判断する。このような被塗物情報取得装置23、範囲記憶装置24及び範囲抽出装置25を設けることで、多種多様な被塗物2が流れる多品種混合ラインであっても、被塗物2のアース状態を的確に検査することが可能となっている。
そして、判断装置22によりアース状態が正常であると判断された場合には、その旨の指令信号を警報器30に送出し、警報を鳴らすことで異常の発生を喚起する。
本実施形態における反射率検出装置21が有する2つの光ファイバセンサ212、213は、二次元移動が可能とされた移動機構26に設けられ、被塗物2の仕様に応じて適切な位置に移動することが可能となっている。この移動機構26の一例を図7に示す。
同図に示す移動機構26は、被塗物2を搬送するコンベアCのサイドに固定されたスタンド261と、このスタンド261に設けられた第1レール262に沿って図示するZ軸方向に第2シリンダ264を往復移動させる第1シリンダ263と、ロッド先端に側方光ファイバセンサ213を支持して図示するX軸方向に往復移動させる第2シリンダ264と、コンベアCの上方に向かって水平方向に伸びるようにスタンド261の上部に固定支持された基台265と、この基台265に設けられた第2レール266に沿って図示するX軸方向に第4シリンダ268を往復移動させる第3シリンダ267と、ロッド先端に上方光ファイバセンサ212を支持して図示するZ軸方向に往復移動させる第4シリンダ268と、を有している。各シリンダ263、264、267及び268には、防爆式の位置決め機能付きの電気サーボモータや油圧モータ、エアモータ、エアシリンダ等を用いることが出来る。
なお、図7に示す移動機構26は本発明の移動手段の一例であってこれに限定される趣旨ではない。例えば、被塗物2の形状等の仕様によっては、一次元移動の移動機構又は第1実施形態の移動機構16のような三次元移動の移動機構としても良く、さらに同じ形状の被塗物2しか流れないラインにあっては移動機構26そのものを省略しても良い。
図6に戻り、上述した移動機構26を制御する制御装置27は、塗装ラインの生産管理システム(不図示)からの情報を取得することで、上方光ファイバセンサ212及び側方光ファイバセンサ213の位置を適切な位置に設定する。このために、上述の被塗物情報取得装置23に加えて、被塗物2の形状仕様に応じた適切な光ファイバセンサ212、213の位置を予め記憶しておく位置記憶装置28と、被塗物情報取得装置23により取得された被塗物の形状仕様に基づいて、位置記憶装置28に記憶された適正位置を抽出する位置抽出装置29と、を有する。
そして、図6に示す制御装置27からの指令信号により移動機構26の各シリンダ263、264、267及び268を動作させ、被塗物2の塗装面に対する上方光ファイバセンサ212及び側方光ファイバセンサ213の位置を調整する。こうした移動機構26を設けることで、形状が異なる被塗物2が流れる多種混合ラインであっても、上方光ファイバセンサ212及び側方光ファイバセンサ213の位置を適切な位置に設定することが可能となっている。
次に動作を説明する。
搭載台車3に搭載され、アース線4が接続された被塗物2がコンベアCにより図5に示す静電塗装ラインのブース内に搬送されると、プライマー塗装用ロボットPが、導電性プライマーを塗装する。これにより樹脂製の被塗物2に導電性が付与される。
プライマー塗装用ロボットPによりプライマーが塗装された被塗物2は、コンベアCにより、プライマー塗装工程と上塗り塗装工程との間に設けられたアース状態検査工程に搬送される。このとき、被塗物情報取得装置23によってその被塗物2の仕様を取り込む。ここでいう仕様とは、被塗物2の部品名(バンパ、フロントグリル等)や品番等の光ファイバセンサ212、213との相対位置が変化する要因となるワークの形状等に加えて、塗布されるプライマーの塗色等を含めた仕様をいう。
被塗物情報取得装置23でその被塗物2の仕様を取得したらこれを範囲抽出装置25に送出し、範囲抽出装置25では、被塗物情報取得装置23により取得された仕様に対応した反射率の所定範囲を範囲記憶装置24から抽出し、これを判断装置22に送出する。
また、被塗物情報取得装置23でその被塗物2の仕様を取得したらこれを位置抽出装置29に送出し、位置抽出装置29では、被塗物情報取得装置23により取得された仕様に最適な上方光ファイバセンサ212及び側方光ファイバセンサ213の位置を位置記憶装置28から抽出し、これを制御装置27に送出する。
制御装置27は、被塗物2がアース状態検査工程にコンベアCにより搬送されたら移動機構26の各シリンダ263、264、267及び268を動作させ、上方光ファイバセンサ212及び側方光ファイバセンサ213をその被塗物2に対して最適な検出位置に移動させる。なお、上方光ファイバセンサ212も側方光ファイバセンサ213も、被塗物2の塗装面の反射率を検出するのに最適な検出位置は、当該センサの先端から被塗物2の塗装面迄の距離が約50mm程度となる位置である。
次いで、光源装置211から光を投光し、上方光ファイバセンサ212により被塗物2の上面を照射すると共に、側方光ファイバセンサ213により被塗物2の側面を約5〜10秒程度照射する。なお、このアース状態検査に際して、コンベアCを一旦停止させて反射率の検出を行っても良く、或いは、上述の移動機構26をコンベアCと所定距離だけ同時に移動可能とすることによりコンベアCを停止させずに反射率の検出を行っても良い。
そして、各光ファイバセンサ212、213は、投光量に対する受光量の比率を求めることにより被塗物2の上面及び側面の反射率をそれぞれ算出して、これらの値を判断装置22に送出する。
次いで、判断装置22が、各光ファイバセンサ212、213により検出された各反射率の検出値を、範囲抽出装置25により抽出された反射率所定範囲とそれぞれ比較し、何れか一方の検出値が当該所定範囲にある場合には、被塗物2の塗装面に適切に塗装され、被塗物2のアース状態が正常であると判断する。これに対し、上記比較において、各光ファイバセンサ212、213により検出された何れの検出値も所定範囲内にない場合には、被塗物2の塗装面にプライマーが未塗装であるか或いは塗装が十分でなく、被塗物2の塗装面のアース状態は正常でないと判断する。
このような判断装置22の判断により被塗物2のアース状態の良否を判定し、アース状態が正常である場合はその被塗物2をそのまま上塗り塗装工程へ流すが、アース状態が正常でない場合には警報器30によって警報を発し、その被塗物2のアース状態が適切でない旨を喚起する。
以上、本実施形態にアース状態検査装置20及び方法によれば、静電塗装される被塗物2のアース状態を事前にチェックすることが出来、塗着効率の向上とスパークの防止が図られる。特に、本実施形態の装置及び方法によれば、被塗物2の表面が未乾燥状態であっても検査することが出来、またアース状態検査装置20に付着した塵埃が被塗物2に付着したり、これらによって被塗物2が傷付いたりするおそれもない。さらに、本実施形態の装置及び方法によれば、非接触状態で測定出来るので異なる形状の被塗物2に対しても容易に対応することが出来る。
また、本実施形態の装置及び方法によれば、被塗物2の塗装面に非接触で当該塗装面の塗布状態を検出することにより、塗装面のアース状態を間接的に検査し、塗装面の導電状態を直接的に検査しないので、同一ブース内でプライマー塗装と上塗り塗装とをウェットオンウェットで塗装する場合にも、アースチェック装置の防爆性を確保し易くなり、設備の信頼性確保が容易となり、設備投資の増加を抑制することが出来る。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下の実施例は、上述した第2実施形態に係るアース状態検査方法における塗装面の反射率に基づいた被塗物のプライマー塗装の塗布状態の判断を確認するためのものである。
実施例1
実施例1の被塗物は、A車のリアバンパaを用いて、プライマー(グレー色、日本ビー・ケミカル株式会社製導電プライマーRB111CD)を4〜7μm程度塗装して作製した。この実施例1において作製した被塗物の作製条件を表1に示す。
Figure 0004810804
この実施例1の被塗物に対して、プライマーが未硬化の状態で、図7に示すような上方及び側方に設けられた2つの光ファイバセンサを用いて、当該被塗物の上面及び側面における反射率の測定を行った。因みに、上方光ファイバセンサは、その先端が床面から約1180mm、スタンドから約810mmに位置するように調整し、側面光ファイバセンサは、その先端が床面から約750mm、スタンドから約150mmに位置するように調整した。
この結果、表2に示すように実施例1における反射率の測定では、上面が290〜740となり、側面が320〜600となった。なお、この実施例における反射率は、0〜4095の4096段階で表現しており、0が全く反射しないことを表し、その数値が高くなるに従って反射し易くなることを意味している。
Figure 0004810804
実施例2
実施例2の被塗物は、A車のリアバンパbを用いて、実施例1と同様の条件でプライマーを塗布して作製した。この実施例2において作製した被塗物の作製条件を表1に示す。この実施例2の被塗物について、実施例1と同様の条件で、上面及び側面の反射率の測定を行った。その結果、表2に示すように、実施例2における反射率は、上面で260〜950となり、側面で330〜660となった。
実施例3
実施例3の被塗物は、A車のフロントバンパを用いて、実施例1と同様の条件でプライマーを塗布して作製した。この実施例3において作製した被塗物の作成条件を表1に示す。この実施例3の被塗物について、実施例1と同様の条件で、上面及び側面の反射率の測定を行った。その結果、表2に示すように、実施例3における反射率は、上面で200〜780となり、側面で1200〜3200となった。
実施例4
実施例4の被塗物は、B車のリアバンパを用いて、実施例1と同様の条件でプライマーを塗布して作製した。この実施例4において作製した被塗物の作製条件を表1に示す。この実施例4の被塗物について、実施例1と同様の条件で、上面及び側面の反射率の測定を行った。その結果、表2に示すように、実施例4における反射率は、上面で380〜430となり、側面で490〜660となった。
実施例5
実施例5の被塗物は、B車フロントバンパを用いて実施例1と同様の条件でプライマーを塗布して作製した。この実施例5において作製した被塗物の作製条件を表1に示す。この実施例5の被塗物について、実施例1と同様の条件で、上面及び側面の反射率の測定を行った。その結果、表2に示すように、実施例5における反射率は、上面で200〜570となり、側面で1500〜1800となった。
実施例6
実施例6の被塗物は、C車のリアバンパを用いて実施例1と同様の条件でプライマーを塗布して作製した。この実施例6において作製した被塗物の作成条件を表1に示す。この実施例6の被塗物について、実施例1と同様の条件で、上面及び側面の反射率の測定を行った。その結果、表2に示すように、実施例6における反射率は、上面で400〜2400となり、側面で1000〜2500となった。
実施例7
実施例7の被塗物は、C車のフロントバンパを用いて実施例1と同様の条件でプライマーを塗布して作製した。この実施例7において作製した被塗物の作製条件を表1に示す。この実施例7の被塗物について、実施例1と同様の条件で、上面及び側面の反射率の測定を行った。その結果、表2に示すように、実施例7における反射率は、上面で570〜870となり、側面で770〜2900となった。
実施例8
実施例8の被塗物は、D車のリアバンパを用いて実施例1と同様の条件でプライマーを塗布して作製した。この実施例8において作製した被塗物の作製条件を表1に示す。この実施例8の被塗物について、実施例1と同様の条件で、上面及び側面の反射率の測定を行った。その結果、表2に示すように、実施例8における反射率は、上面で80〜90となり、側面で810〜1200となった。
実施例9
実施例9の被塗物は、D車のフロントバンパを用いて実施例1と同様の条件でプライマーを塗布して作製した。この実施例9において作製した被塗物の作製条件を表1に示す。この実施例9の被塗物について、実施例1と同様の条件で、上面及び側面の反射率の測定を行った。その結果、表2に示すように、実施例9における反射率は、上面で360〜430となり、側面で1100〜2200となった。
比較例1
比較例1の被塗物は、実施例1と同様のA車のリアバンパaを用い、プライマーは塗布しなかった。この比較例1の被塗物の条件を表1に示す。この比較例1の被塗物について、実施例1と同様の条件で、上面及び側面の反射率の測定を行った。その結果、表2に示すように、比較例1における反射率は、上面で80〜180となり、側面で110〜160となった。
この結果を実施例1と比較すると、実施例1における上面の反射率は比較例1における上面の反射率の範囲と重複せず、実施例1における側面の反射率の範囲も比較例1における側面の反射率の範囲と重複していない。
なお、この比較例1及び比較例2〜9の被塗物にはプライマーが塗布されていないので、これらの反射率は、被塗物であるバンパの生地の反射率が測定されたこととなる。
比較例2
比較例2の被塗物は、実施例2と同様のA車のリアバンパbを用い、プライマーは塗布しなかった。この比較例2の被塗物の条件を表1に示す。この比較例2の被塗物について、実施例1と同様の条件で、上面及び側面の反射率の測定を行った。その結果、表2に示すように、比較例2における反射率は、上面で50〜120となり、側面で150〜160となった。
この結果を実施例2と比較すると、実施例2における上面の反射率の範囲は比較例2における上面の反射率の範囲と重複しておらず、実施例2における側面の反射率の範囲も比較例2における上面の反射率の範囲と重複していない。
比較例3
比較例3の被塗物は、実施例3と同様のA車のフロントバンパを用い、プライマーは塗布しなかった。この比較例3の被塗物の条件を表1に示す。この比較例3の被塗物について、実施例1と同様の条件で、上面及び側面の反射率の測定を行った。その結果、表2に示すように、比較例3における反射率は、上面で50〜120となり、側面で100〜1400となった。
この結果を実施例3と比較すると、実施例3における側面の反射率の範囲と比較例3における側面の反射率の範囲とが一部重複しているが、実施例3における上面の反射率の範囲は比較例3における上面の反射率の範囲と重複していない。
比較例4
比較例4の被塗物は、実施例4と同様のB車のリアバンパを用い、プライマーは塗布しなかった。この比較例4の被塗物の条件を表1に示す。この比較例4の被塗物について、実施例1と同様の条件で、上面及び側面の反射率の測定を行った。その結果、表2に示すように、比較例4における反射率は、上面で50〜130となり、側面で100〜380となった。
この結果を実施例4と比較すると、実施例4における上面の反射率の範囲は比較例4における上面の反射率と重複しておらず、実施例4における側面の反射率の範囲も比較例4における側面の反射率の範囲と重複していない。
比較例5
比較例5の被塗物は、実施例5と同様のB車のフロントバンパを用い、プライマーは塗布しなかった。この比較例5の被塗物の条件を表1に示す。この比較例5の被塗物について、実施例1と同様の条件で、上面及び側面の反射率の測定を行った。その結果、表2に示すように、比較例5における反射率は、上面で110〜130となり、側面で90〜100となった。
この結果を実施例5と比較すると、実施例5における上面の反射率の範囲は比較例5における上面の反射率の範囲と重複しておらず、実施例5における側面の反射率の範囲も比較例5における側面の反射率の範囲と重複していない。
比較例6
比較例6の被塗物は、実施例6と同様のC車のリアバンパを用い、プライマーは塗布しなかった。この比較例6の被塗物の条件を表1に示す。この比較例6の被塗物について、実施例1と同様の条件で、上面及び側面の反射率の測定を行った。その結果、表2に示すように、比較例6における反射率は、上面で90〜270となり、側面で150〜710となった。
この結果を実施例6と比較すると、実施例6における上面の反射率の範囲は比較例6における上面の反射率の範囲と重複しておらず、実施例6における側面の反射率の範囲も比較例6における側面の反射率の範囲と重複していない。
比較例7
比較例7の被塗物は、実施例7と同様のC車のフロントバンパを用い、プライマーは塗布しなかった。この比較例7の被塗物の条件を表1に示す。この比較例7の被塗物について、実施例1と同様の条件で、上面及び側面の反射率の測定を行った。その結果、表2に示すように、比較例7における反射率は、上面で90〜120となり、側面で100〜950となった。
この結果を実施例7と比較すると、実施例7における側面の反射率の範囲と比較例7における側面の反射率の範囲とが一部重複するが、実施例7における上面の反射率の範囲が比較例7における側面の反射率の範囲と重複していない。
比較例8
比較例8の被塗物は、実施例8と同様のD車のリアバンパを用い、プライマーは塗布しなかった。この比較例8の被塗物の条件を表1に示す。この比較例8の被塗物について、実施例1と同様の条件で、上面及び側面の反射率の測定を行った。その結果、表2に示すように、比較例8における反射率は、上面で200となり、側面で120〜390となった。
この結果を実施例8と比較すると、実施例8における上面の反射率の範囲は、比較例8における上面の反射率を包含せず、実施例8における側面の反射率の範囲は、比較例8における側面の反射率の範囲と重複していない。
比較例9
比較例9の被塗物は、実施例9と同様のD車のフロントバンパを用い、プライマーは塗布しなかった。この比較例9の被塗物の条件を表1に示す。この比較例9の被塗物について、実施例1と同様の条件で、上面及び側面の反射率の測定を行った。その結果、表2に示すように、比較例9における反射率は、上面で120となり、側面も120となった。
この結果を実施例9と比較すると、実施例9における上面の反射率の範囲は、比較例9における上面の反射率を包含しておらず、実施例9における側面の反射率の範囲は、比較例9における側面の反射率を包含していない。
考察
上記の実施例1〜9と比較例1〜9とのそれぞれの比較において、プライマーが塗布された被塗物の上面の反射率の範囲とプライマーが塗布されていない被塗物の上面の反射率の範囲とが重複し、且つ、プライマーが塗布された被塗物の側面の反射率の範囲とプライマーが塗布されていない被塗物の側面の反射率の範囲とが重複しているものはなかった。
従って、塗装面の反射率に基づいて被塗物のプライマー塗装の塗布状態を判断することが可能であることが確認された。
図1は、本発明の第1実施形態に係る被塗物のアース状態検査装置の構成を示すブロック図である。 図2は、本発明の第1実施形態に係る被塗物のアース状態検査装置の電荷印加器の構造例を示す断面図である。 図3は、本発明の第1実施形態に係る被塗物のアース状態検査装置の電荷印加器及び電荷量測定器の移動機構の一例を示す斜視図である。 図4は、本発明の第1実施形態に係る被塗物のアース状態検査方法の判定手順の一例を示すグラフである。 図5は、本発明の第2実施形態に係るウェットオンウェットの静電塗装工程を示す概略平面図である。 図6は、本発明の第2実施形態に係る被塗物のアース状態検査装置の構成を示すブロック図である。 図7は、本発明の第2実施形態に係る被塗物のアース状態検査装置の外観を示す正面図である。
符号の説明
1…アース状態検査装置
11…電荷印加装置(電荷印加手段)
112…イオン発生装置(イオン発生手段)
113…エアー供給装置(エアー供給手段)
114…異物除去装置(異物除去手段)
115…エアー温度維持装置(エアー温度維持手段)
12…電荷量測定装置(電荷量測定手段)
13…判定装置(判定手段)
14…被塗物情報取得装置(被塗物情報取得手段)
15…位置記憶装置(位置記憶手段)
16…移動機構(移動手段)
17…位置抽出装置(位置抽出手段)
18…制御装置(制御手段)
19…警報器(警報手段)
20…アース状態検査装置
21…反射率検出装置(反射率検出手段)
211…光源装置
212、213…光ファイバセンサ
22…判断装置(判断手段)
23…被塗物情報取得装置(被塗物情報取得手段)
24…範囲記憶装置(範囲記憶手段)
25…範囲抽出手段(範囲抽出手段)
26…移動機構(移動手段)
27…制御装置(制御手段)
28…位置記憶装置(位置記憶手段)
29…位置抽出装置(位置抽出手段)
30…警報器(警報手段)

Claims (4)

  1. 静電塗装される被塗物の塗装面のアース状態を検査する方法であって、
    前記被塗物の素材自体又は素材の表面に導電性を付与する工程と、
    前記導電性が付与された被塗物をアースする工程と、
    コロナ放電によるイオンを、塵埃及び水分を除去する異物除去手段を介し且つ雰囲気温度及び雰囲気湿度に基づく結露しない温度に維持されたエアーにより前記塗装面に案内し、非接触の状態で電荷を印加する電荷印加工程と、
    前記イオンが案内された前記塗装面の表面電位を、非接触式表面電位計を用いて測定する表面電位測定工程と、
    前記表面電位測定工程で測定された表面電位の絶対値が所定値以下かどうかを判断し、前記表面電位の絶対値が前記所定値を超える場合は、前記被塗物のアース状態が適切でないと判定する判定工程と、
    を有する静電塗装される被塗物のアース状態検査方法。
  2. 前記被塗物の仕様に関する情報を取得する被塗物情報取得工程と、
    前記被塗物の仕様に応じた電荷印加位置及び表面電位測定位置を記憶する位置記憶工程と、
    前記被塗物情報取得工程により取得された仕様に基づいて前記位置記憶工程で記憶された電荷印加位置及び表面電位測定位置を抽出する位置抽出工程と、をさらに有し、
    前記電荷印加工程は、前記位置抽出工程により抽出された電荷印加位置において前記塗装面に対し非接触の状態で電荷を印加し、
    前記表面電位測定工程は、前記位置抽出工程により抽出された表面電位測定位置において塗装面の表面電位を非接触の状態で測定する請求項1記載の静電塗装される被塗物のアース状態検査方法。
  3. 静電塗装される被塗物であって当該被塗物の素材自体又は素材の表面に導電性が付与されるとともにアースされる被塗物の塗装面のアース状態を検査する装置であって、
    前記塗装面に対し非接触の状態で電荷を印加する電荷印加手段と、
    前記電荷が印加された被塗物の塗装面の表面電位を非接触の状態で測定する表面電位測定手段と、
    前記表面電位測定手段で測定された表面電位の絶対値が所定値以下かどうかを判断し、前記表面電位の絶対値が前記所定値を超える場合は、前記被塗物のアース状態が適切でないと判定する判定手段と、を有し、
    前記電荷印加手段は、
    コロナ放電によりイオンを発生させるイオン発生手段と、
    前記イオン発生手段により発生したイオンをエアーにより前記被塗物の塗装面に導くエアー供給手段と、
    前記エアー供給手段により供給されるエアーに含まれる塵埃及び水分を除去する異物除去手段と、
    前記エアー供給手段により供給されるエアーの温度を、雰囲気温度及び雰囲気湿度に基づく結露しない温度に維持するエアー温度維持手段と、を有する静電塗装される被塗物のアース状態検査装置。
  4. 前記被塗物の仕様に関する情報を取得する被塗物情報取得手段と、
    前記被塗物の仕様に応じた電荷印加位置及び表面電位測定位置を記憶する位置記憶手段と、
    前記被塗物情報取得手段により取得された仕様に基づいて前記位置記憶手段に記憶された電荷印加位置及び表面電位測定位置を抽出する位置抽出手段と、
    前記電荷印加手段及び前記表面電位測定手段の前記被塗物に対する位置をそれぞれ移動させる移動手段と、
    前記位置抽出手段により抽出された電荷印加位置及び表面電位測定位置に前記電荷印加手段及び前記表面電位測定手段のそれぞれを移動させる指令を前記移動手段に送出する制御手段と、をさらに有する請求項3記載の静電塗装される被塗物のアース状態検査装置。
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