JP4810591B2 - 伸縮継手のベローズピッチ調整具 - Google Patents
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Description
このような伸縮継手のうち金属製のものは、設置や補修の際に、伸縮継手を構成する各部材同士の接合、又は伸縮継手と金属製のダクトとの接合が溶接により行われる。
例えば、特許文献1には、補修用伸縮継手の設置方法について記載されている。この発明は、予め薄肉金属製のベローズに厚肉金属製のサブフランジ部材を溶接一体化した補修用伸縮継手を形成しておき、ダクト部に対しては厚肉金属製の主フランジ部材を溶接により固定しておく。そして、サブフランジ部材と主フランジ部材とを現場にて溶接一体化するというものである。
ここで、ベローズ同士の接合方法の一例について図6に基づいて説明する。図6は、従来のベローズ同士の接合について説明する図である。
伸縮継手部材100の伸縮部分であるベローズ101は薄肉の金属からなり、両端部にフランジ102、103が溶接接合されている。ベローズ101の肉厚は、薄いものでは1.6mm程度である。そのため、ベローズ101が重力により変形し、或いは振動により波打ちやすい。ベローズ101が変形した状態では正常に接合できないため、接合部分の山部104、105間の間隔P11を適正な間隔P12となるまで拡開させた上で溶接する必要がある。
従来、この間隔P11を適正な間隔P12となるまで拡開させるために、テーパージャッキ110を利用していた。テーパージャッキ110は、油圧ポンプ112から送出されたオイルの圧力によって支軸111を支点としてV字状に開閉する。このテーパージャッキ110をベローズ101の山部104、105間に挿入し、テーパージャッキ110を開くことにより、接合部分の間隔P11を拡開させていた。
また、テーパージャッキ110はV字状に開くため、先端側を適正な間隔P12にまで開いたとしても、支軸111側が間隔P12にまで開くことはない。同一の開度であってもテーパージャッキ110の挿入深度によって、山部104、105間の拡開度合いが変化して一定とならない。そのため隣接する山部の内側面の間隔が山側と谷側で異なる場合、すなわち図6に示すように山側の間隔が狭く、谷側の間隔が広いものである場合にテーパージャッキ110を深く挿入しすぎると、支軸111側が山部104、105の隣接する内側面と当接せず、山部104、105が互いに寄り合うこととなる。従って、山部104、105の間隔を適切に拡開させるためには、テーパージャッキ110を挿入する深さも考慮しなければならないという問題があった。
さらに、山部104、105間が規定のピッチP12にまで拡開されたか否かの判断を人間の感覚に頼らなければならず、適切に拡開できないという問題があった。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、ベローズの山部間の間隔を簡単に寸法精度よく拡開できるようにして、伸縮継手の品質向上及び溶接に要する作業時間の短縮を図ることを目的とする。
この発明では、固定側拡開片と可動側拡開片とにより、ベローズ型伸縮継手の隣接し合う山部間の間隔が拡開される。可動側拡開片は一定の直線的な移動経路に沿って移動するため、ベローズの山部の内側面との接触箇所に関係なく常に一定のピッチで山部の間隔を拡張することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、一方の前記山部の内側面と当接する固定側拡開片の当接面と、他方の前記山部の内側面と当接する可動側拡開片の当接面との距離を測定する測定手段を備えたことを特徴とする。
この発明では、固定側拡開片と前記可動側拡開片とが調整したベローズ型伸縮継手の隣接し合う山部間の間隔を確認することができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態に係る伸縮継手のベローズピッチ調整具(以下単に「ピッチ調整具」という。)は、可動側拡開片が直線的な軌跡を描いてベローズを拡開させる点に特徴がある。
[伸縮継手]
本実施形態に係るピッチ調整具が適用される伸縮継手について図1、図2に基づいて説明する。図1は、ダクト及びダクトに取り付けられる伸縮継手の斜視図である。図2は、ダクト及び伸縮継手の要部拡大斜視図であり、ベローズ同士の接合部分を説明する図である。
角形ダクト1は、流体の流通経路であるダクト本体2と、伸縮継手と溶接接合される主フランジ部材3と、から構成される。本実施形態に係る角形ダクト1の断面形状は矩形状であるが、本発明ではダクトの断面形状を円筒形、角形等に限定するものではなく、多様な形状を有したダクトに対して適用することができる。
伸縮継手10は、薄肉金属製のベローズ11と、ベローズ11の流体流通方向両端部に溶接接合されたサブフランジ部材12、13と、から構成される。サブフランジ部材13は角形ダクト1の主フランジ部材3と溶接接合される。なお、ベローズ11とサブフランジ部材12又はサブフランジ部材13とは、予め工場にて溶接接合されたものである。
本実施形態に係る伸縮継手10は、角形ダクト1の角隅部4と接続される4つの角隅部用の伸縮継手部品14と、角形ダクト1の直線部5と接続される4つの直線部用の伸縮継手部品15の合計8つの部材から構成され、各伸縮継手部品14、15のベローズ11の端縁14a、15a同士を後から溶接接合して一体の伸縮継手10とするものである。図1において点線で示した部分が溶接接合された部分である。なお、伸縮継手10の周方向における分割数は特に限定されるものではない。
ピッチ調整具について図3、図4に基づいて説明する。図3は本実施形態に係るピッチ調整具の分解立体図である。図4は、油圧ジャッキの内部構造を示した断面図である。
ピッチ調整具20は、出没自在なピストンロッド33(プランジャ)を有した油圧ジャッキ30と、ピストンロッド33の動力源となる圧力を生成する油圧ポンプ40(流体ポンプ)と、油圧ジャッキ30を固定する固定部材50と、ピストンロッド33に固定されてシリンダ32(ベース部)に沿って移動する可動部材70と、から構成される。
図4に示すように油圧ジャッキ30は、ピストンロッド収容部31(プランジャ収容部)を有したシリンダ32と、シリンダ32の一端部から出没自在となるようにピストンロッド収容部31内に支持されたピストンロッド33と、ピストンロッド33の動力源となるオイルをシリンダ32の他端部側に貯留するオイル貯留部34と、オイル貯留部34内のオイルをシールするためにピストンロッド33とシリンダ32との間に嵌められたOリング35(パッキン)と、シリンダ32の他端部側の側面に配置されて油圧ポンプ40と接続されるカップラ36と、を備える。油圧ポンプ40が生成する圧力は、カップラ36を介してピストンロッド33に伝達される。なお、ジャッキ及びポンプは油圧式のものに限らず、オイル以外の流体(例えば、空気)を用いたものであってもよい。また、ポンプの駆動形式(手動、電動等)によらず、本発明を実施可能である。
また、ピストンロッド33には、後述するセットボルト75が螺着されるセットボルト穴37を備える。
固定部材50は、固定部材50のベースとなるベース板51と、ベース板51から突設してシリンダ32の一部を包囲する包囲片52と、ベース板51から包囲片52と同方向に突設して夫々対向配置された一組のアーム53、54と、ベース板51の一端縁から延在してベローズ11の一方の山部16の内側面16a(図5参照)と接する一組の固定側拡開片55、56と、を備える。夫々の固定側拡開片55、56は、所定の間隔P1を空けて並列配置されている。また、夫々のアーム53、54は、所定の間隔P2を空けて並列配置されている。
シリンダ32は、包囲片52と、カップラ36と圧接するようにベース板51に固定されたUボルト57と、によって固定部材50のベース板51に固定される。
可動部材70は、ベローズ11の他方の山部17の内側面17a(図5参照)と接する可動側拡開片71と、可動側拡開片71とピストンロッド33とを連結するためのリンク片72と、リンク片72をピストンロッド33に固定するためにリンク片に開けられた繋止孔73と、リンク片72から突設して可動側拡開片71をガイドするガイド片74と、を備える。ガイド片74は、シリンダ32の側面形状に沿った形状を有し、可動部材70の移動時にシリンダ32側面と摺接することにより、可動側拡開片71がピストンロッド33の軸方向に沿って移動するように案内する部材である。このように構成された可動部材70は、繋止孔73に挿通されたセットボルト75によりピストンロッド33に固定され、一体化される。
固定側拡開片55、56が内側面16aと当接する固定側当接面55a、56a(不図示)と、可動側拡開片71が内側面17aと当接する可動側当接面71aとは、ピストンロッド33の出没状態如何に関わらず略平行に設定されている。
リンク片72の幅W2は、アーム53とアーム54とが有する間隔P2と略同一に設定されている。ピストンロッド33の出没過程において、リンク片72は一組のアーム53、54の間に挟まれた状態で移動するので、可動側拡開片71はピストンロッド33の軸方向に移動するように案内される。
なお、固定側拡開片と可動側拡開片は、それぞれ一枚、又は複数の板状部材から構成することが可能である。また、板状部材の代わりに複数の棒状部材を並列に配置して、同様の機能を果たすようにすることも可能である。
ピッチ調整具20の適所には、ピストンロッド33の出没状態に応じて固定側当接面55a、56aと可動側当接面71aとが成す距離、すなわちピッチ調整具20が調整した山部16、17の間隔を測定する測定手段80を設ける。この測定手段80は、ピッチ調整具20の非可動部分(油圧ジャッキ30、固定部材50)に付された目盛又は目盛の位置を示すマークと、可動部分(可動部材70)に付されたマーク又は目盛との組合せから構成することができる。
具体的には、例えばシリンダ32の側面に所定の間隔にて付された目盛81と、目盛81の位置を指すためにガイド片74に付されたマーク82とにより構成することかできる。
各伸縮継手部品14、15のベローズ11同士を溶接接続する前に、サブフランジ部材12、13を主フランジ部材3に仮接合する等して、接続しようとする伸縮継手部品14、15の夫々のサブフランジ部材12、13の位置同士を揃える。
ピッチ調整具20の固定側拡開片55、56と可動側拡開片71とを、伸縮継手部品15のベローズ11の隣接し合う山部16、17間に挿入し、一方の山部16の内側面16aと固定側当接面55a、56aとを当接させる。そして、油圧ポンプ40にて圧力を加えて可動側拡開片71を固定側拡開片55、56から離間させていき、(b)に示すように、隣接する山部16、17間の間隔が適切なピッチPとなるまで拡開する。(b)においては、ピストンロッド33のストロークが70mmのときに正規ピッチP(75mm)にまで拡開されている。この作業は伸縮継手部品14に対しても同様に行う。
変形が解消されたら、ベローズ11同士を溶接接合する。ベローズ11は薄肉金属であるので、ティグ溶接法を用いることが望ましい。ティグ溶接法を用いる際には、不図示の溶接トーチと溶加棒とをベローズ11の山部間に挿入して溶接接合する。
また、測定手段により山部間の間隔を正確に拡開させることができるので、伸縮継手の品質を向上させることができる。
Claims (2)
- ベローズ型伸縮継手の隣接し合う山部間の間隔を拡開させる伸縮継手のベローズピッチ調整具であって、
プランジャ収容部を有したベース部と、該ベース部の一端部から出没自在となるように前記プランジャ収容部内に支持されたプランジャと、該プランジャ収容部に流体を供給することにより前記プランジャを突出させる圧力を生成する流体ポンプと、
前記ベース部に固定されて一方の前記山部の内側面と接する固定側拡開片と、
前記プランジャに固定されて他方の前記山部の内側面と接する可動側拡開片と、を備え、
前記プランジャの突出時に前記可動側拡開片が前記固定側拡開片から離間する方向へ移動するように構成したことを特徴とする伸縮継手のベローズピッチ調整具。 - 請求項1において、一方の前記山部の内側面と当接する固定側拡開片の当接面と、他方の前記山部の内側面と当接する可動側拡開片の当接面との距離を測定する測定手段を備えたことを特徴とする伸縮継手のベローズピッチ調整具。
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