JP4810144B2 - 牽引式四輪作業機のサスペンション装置およびこれを用いた牽引式四輪作業機 - Google Patents

牽引式四輪作業機のサスペンション装置およびこれを用いた牽引式四輪作業機 Download PDF

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Description

本発明は、圃場において農作物に薬液を散布するスプレーヤ等の牽引式四輪作業機に用いられるサスペンション装置に関し、特に、四輪の作業機について左右の車輪間隔を変更することなく、ステアリング機構を併存させるのに好適な牽引式四輪作業機のサスペンション装置に関するものである。
従来より、圃場において薬液を散布するためのスプレーヤが知られている。このスプレーヤには、薬液を貯留するためのタンクをトラクタに直接搭載する直装式と、タンクを搭載した作業機をトラクタによって牽引する牽引式とがあるが、近年では、各農家が経営する農地面積が増大しているため、タンク容量の大きな牽引式スプレーヤの需要が高まっている。
上記のような牽引式スプレーヤとして、例えば、実公平6−1254号公報等に記載の牽引式スプレーヤが知られている(特許文献1)。この牽引式スプレーヤは、二輪作業機の機体フレーム上にタンクが載置されており、このタンクは、機体フレームと嵌合する形状に形成され、かつ、車輪との干渉を回避するための凹欠部が形成されている。これにより、タンクがより低位置に設置されてスプレーヤの重心が低くなり、走行安定性が向上するとされている。
実公平6−1254公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明を含め、従来の牽引式二輪作業機は、一輪当たりの輪荷重が大きいため、タンク容量を大きくするとその重みによって圃場に窪みができたり損傷してしまうという問題がある。このため、農薬の散布量が少ないヨーロッパでは、二輪式のスプレーヤが主流となっているが、薄めの農薬を多量に散布する日本では、ほとんどの農家で輪荷重の小さい四輪式のスプレーヤが使用されている。
上述した四輪式スプレーヤに代表される従来の牽引式四輪作業機は、図および図に示すように、機体フレームに支持されたホーシングの両端に、スイングアームが回転自在に軸支されており、これらスイングアームの前端部および後端部に、前輪および後輪が軸支されている。そして、牽引式四輪作業機が圃場の凹凸面を走行した際、その凹凸面の段差に合わせてスイングアームがホーシングを中心にして揺動することによりサスペンションの役割を果たし、機体フレームの揺れを抑制するようになっている。
しかしながら、従来の四輪式スプレーヤにおいては、スイングアームにステアリング機構が併設されていない。その理由は、車輪とスイングアームとの間にステアリング機構を設ける場合、そのステアリング機構を配置するスペースを確保する必要がある。この設置スペース確保には、スイングアームを機体の内側に寄せるか、車輪を機体の外側に出して幅方向のスペースを確保することが考えられるが、スプレーヤ等の作業機は、左右の車輪を畝と畝との間に通す必要があるため、車輪の間隔を変更することはできない。
一方、車輪の間隔を変えずにタンクを上方に高く形成することが考えられるが、重心位置が高くなるため作業機の走行が安定せず倒れてしまうおそれがある。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、四輪作業機であっても車輪間隔を変化させず、かつ、重心を低く保ちながらタンク容量を十分に確保し、ステアリング機構とサスペンション機構を併存させてなる牽引式四輪作業機のサスペンション装置を提供することを目的としている。
本発明に係る牽引式四輪作業機のサスペンション装置は、前輪および後輪をナックルスピンドルを介してホーシングの両端に回転自在に軸支するとともに、各ナックルスピンドル同士をタイロッドで連結し、いずれか一方のナックルスピンドルに車軸方向の力を付与することによって各車輪の方向を変更するステアリング機構を備え、左右の車輪間隔が変化しない牽引式四輪作業機のサスペンション装置であって、前記牽引式四輪作業機の機体フレームを、前後のホーシングのうち少なくとも一方の長手方向の略中心位置において揺動自在に軸支するとともに、当該ホーシングと前記機体フレームとの間に緩衝部材を狭持している
また、本発明において、前記緩衝部材と前記ホーシングとの間、または前記緩衝部材と前記機体フレームとの間に上下移動可能な剛性可変用スペーサーを介在させ、この剛性可変用スペーサーの位置を、前記ホーシングおよび前記機体フレームの間隔を変えずに上下方向に移動することによって前記緩衝部材の圧縮度合を変えてその剛性を調整する剛性調整部材を設けることが好ましい。
さらに、本発明において、前記機体フレームにおける前記緩衝部材を狭持している面の裏側面に、別途、補強用緩衝部材を配置するとともに、この補強用緩衝部材の上面に剛性可変用プレートを載置し、この剛性可変用プレートから前記補強用緩衝部材、前記機体フレームおよび前記ホーシングまでを挿通しているとともに前記剛性可変用プレートの位置を上下方向に移動することによって前記補強用緩衝部材の圧縮度合を変えてその剛性を調整する補強用剛性調整部材を設けることが好ましい。
また、本発明に係る牽引式四輪作業機のサスペンション装置は、前輪および後輪をホーシングの両端に回転自在に軸支し、各車輪の方向を変更するステアリング機構を備え、圃場においてトラクタにより牽引される牽引式四輪作業機のサスペンション装置であって、前記牽引式四輪作業機の機体フレームを、前後のホーシングのうち少なくとも一方の長手方向の略中心位置において揺動自在に軸支するとともに、当該ホーシングと前記機体フレームとの間に緩衝部材を狭持してなり、前記緩衝部材は、前記後輪を支持するホーシングに設けられる油圧シリンダから構成されているとともに、この油圧シリンダの伸縮量を制御する制御手段を有しており、この制御手段は、前記トラクタの走行速度に基づいて、前記後輪が凹凸面を通過するタイミングを算出するとともに、前記前輪を支持するホーシングの傾斜情報を取得し、前記タイミングに合わせて、前記傾斜情報に基づいて前記油圧シリンダを伸縮制御することによって、前記後輪を支持するホーシングを前記前輪を支持するホーシングと同様に傾斜させる。
さらに、本発明に係る牽引式四輪作業機のサスペンション装置は、前輪および後輪をホーシングの両端に回転自在に軸支し、各車輪の方向を変更するステアリング機構を備え、圃場においてトラクタにより牽引される牽引式四輪作業機のサスペンション装置であって、前記牽引式四輪作業機の機体フレームを、前後のホーシングのうち少なくとも一方の長手方向の略中心位置において揺動自在に軸支するとともに、当該ホーシングと前記機体フレームとの間に緩衝部材を狭持してなり、前記緩衝部材は、前記前輪および後輪を支持するホーシングのいずれか一方に設けられる油圧シリンダから構成されているとともに、この油圧シリンダの伸縮量を制御する制御手段を有しており、この制御手段は、前記トラクタの走行速度に基づいて、前記前輪または前記後輪が凹凸面を通過するタイミングを算出するとともに、前記トラクタの車の傾斜情報を取得し、前記タイミングに合わせて、前記傾斜情報に基づいて前記油圧シリンダを伸縮制御することによって、前記前輪または前記後輪を支持するホーシングを前記トラクタの車軸と同様に傾斜させる。
本発明に係る牽引式四輪作業機の特徴は、請求項1から請求項のいずれかに記載のサスペンション装置が設けられている点にある。
本発明によれば、四輪作業機であっても車輪間隔を変化させず、かつ、重心を低く保ちながらタンク容量を十分に確保し、ステアリング機構とサスペンション機構を併存させることができる。
以下、本発明に係る牽引式四輪作業機のサスペンション装置およびこれを用いた牽引式四輪作業機の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本第1実施形態のサスペンション装置1Aを備えた牽引式四輪作業機2を示す側面図であり、図2および図3は、本第1実施形態のサスペンション装置1Aを示す斜視図および機体の裏側から見た図である。なお、図面を理解し易くするため、図2では、手前側のタイヤを省略している。
図1に示すように、本第1実施形態の牽引式四輪作業機2は、薬液を散布するためのスプレーヤであり、トラクタ(図示せず)によって牽引するためのヒッチ21を備えた作業機本体22と、この作業機本体22に設けられる前輪23および後輪24と、農薬等の薬液を貯留する薬液タンク25と、この薬液タンク25内の薬液を噴射するノズル26を備えたブーム27とを有している。そして、本第1実施形態においては、前輪23および後輪24のいずれにもステアリング機構3が設けられているとともに、本第1実施形態のサスペンション装置1Aが設けられている。
図2および図3に示すように、前輪23および後輪24は、ナックルスピンドル31を介してホーシング32の両端に回転自在に軸支されており、前輪23のナックルスピンドル31同士および後輪24のナックルスピンドル31同士が、それぞれタイロッド33で連結されている。また、前輪23および後輪24の各ホーシング32,32には、いずれか一方のナックルスピンドル31に車軸方向の力を付与する操舵用油圧シリンダ34が設けられている。以上の構成により、図示しないトラクタからのハンドル操作によって操舵用油圧シリンダ34を伸縮させると、左右のナックルスピンドル31,31がタイロッド33によって同期されながら回転し、各車輪の方向を変更するため、ステアリング機構3を構成するようになっている。
そして、本第1実施形態のサスペンション装置1Aは、前輪23および後輪24を支持する各ホーシング32,32に、作業機本体22を揺動自在に軸支させるとともに、各ホーシング32,32と作業機本体22との間に緩衝部材4を狭持させるようになっている。具体的には、図2から図4に示すように、各ホーシング32,32の長手方向の略中心位置には、揺動支持板11が上方に突設されている。また、作業機本体22における前輪23および後輪24を支持する位置には、左右方向に機体フレーム12,12が架設されており、これら機体フレーム12,12の長手方向の略中心位置には、揺動支持部13が下方に向けて突設されている。そして、各ホーシング32,32の揺動支持板11、および各機体フレーム12,12の揺動支持部13には、略同径の軸穴14が形成されており、これら軸穴14に揺動軸15が挿通されている。これにより、機体フレーム12は、各ホーシング32の長手方向の略中心位置において揺動自在に支持されている。
なお、本第1実施形態では、前輪23および後輪24の双方のホーシング32,32を機体フレーム12に揺動自在に軸支させているが、これに限られるものではなく、いずれか一方のみを揺動自在に軸支し、他方を機体フレーム12に固定するようにしてもよい。これにより、サスペンション機能は低減してしまうが、作業機本体22の安定性が向上する。
また、緩衝部材4は、作業機本体22の揺動を抑制する役割を果たすものであり、ゴムブッシュやコイルバネ等から構成される。本第1実施形態では、ホーシング32の上面であって揺動軸15を中心として左右対称位置に載置板41,41が設けられており、これら載置板41,41と機体フレーム12との間に二段重ね形状のゴムブッシュ4を狭持させている。また、載置板41とゴムブッシュ4の間には、剛性可変用スペーサー42を介在させており、この剛性可変用スペーサー42は剛性調整部材43である剛性調整ボルト43によって上下動可能に設けられている。具体的には、載置板41に貫通されたネジ穴44を形成して前記剛性調整ボルト43を螺合させ、この剛性調整ボルト43の端部を載置板41から突出させて剛性可変用スペーサー42を上下動させる。このように剛性可変用スペーサー42の位置を移動させることによってゴムブッシュ4を圧縮し、その硬度を適当に可変させることによってその剛性を調整するようになっている。なお、ゴムブッシュ4は、予め圧縮させて狭持しているため、仮に揺動によって機体フレーム12と剛性可変用スペーサー42との間隔が空いても追従して伸びるようになっており隙間が生じてしまうことはない。
なお、本第1実施形態では、ゴムブッシュ4と載置板41との間に剛性可変用スペーサー42を介在させているが、これに限られるものではなく、ゴムブッシュ4と機体フレーム12との間に剛性可変用スペーサー42を介在させるようにしてもよい。この場合、機体フレーム12に形成されるネジ穴44に剛性調整ボルト43を螺合させ、この剛性調整ボルト43の端部を機体フレーム12の下面から突出させることで剛性可変用スペーサー42を上下動させるようにすればよい。
つぎに、本第1実施形態における牽引式四輪作業機2のサスペンション装置1Aおよびこれを用いた牽引式四輪作業機2による作用を説明する。
まず、牽引式四輪作業機2により、圃場の農作物に薬液を散布する場合、前輪23および後輪24が畝と畝の間に位置するように配置した後、ヒッチ21を介してトラクタにより牽引する。このとき、平坦な圃場においては、各ホーシング32と機体フレーム12との間に狭持される各ゴムブッシュ4が、揺動軸15の左右位置で機体フレーム12を支持するため、機体が揺動軸15まわりに揺動して傾斜してしまうのを防止する。
つづいて、牽引式四輪作業機2のいずれか一つの車輪がたとえば圃場の段差や凹凸面を走行して、当該車輪が上方向の押圧力を受けた場合、この押圧力により当該車輪を支持するホーシング32が、機体フレーム12に対して揺動軸15まわりに揺動する。このとき、ホーシング32は、当該車輪側に狭持されるゴムブッシュ4を載置板41と機体フレーム12との間で圧縮しつつ揺動するため、凹凸面から受ける衝撃が緩衝される。また、ゴムブッシュ4は、作業機本体22の揺動を素早く減衰させるとともに、その復元力により、傾いたホーシング32を迅速に初期位置に復帰させる。以上により、牽引式四輪作業機2は、地面から大きな衝撃を受けることがなく、かつ、作業機本体22をほぼ水平状態に保持したまま、凹凸面を乗り越えるようになっている。
また、走行中、作業機の方向を変更する場合には、作業者がトラクタに設けられたハンドルを操作する。このハンドル操作に伴って前輪23および後輪24に設けられた操舵用油圧シリンダ34が伸縮し、これらに連結された各ナックルスピンドル31を回転させる。このとき、各ナックルスピンドル31は、タイロッド33によって連結された他方のナックルスピンドル31を同期回転させるため、各車輪の方向が連動して変更され、作業機の進行方向が変更される。
また、本サスペンション装置1Aの緩衝作用を調節する場合、剛性調整ボルト43を回転させて剛性可変用スペーサー42の上下位置を調節する。このとき、剛性調整ボルト43を締め付けると剛性可変用スペーサー42がゴムブッシュ4を圧縮するため、その剛性が高められる。一方、剛性調整ボルト43を緩めると、剛性可変用スペーサー42がゴムブッシュ4の圧縮度合を緩和するため、その剛性が弱められる。したがって、走行安定性を重視する場合には、剛性を高めて作業機本体22の揺動を抑制すればよく、サスペンション機能を重視する場合には、剛性を弱めてホーシング32を揺動しやすくすればよい。
以上のような本第1実施形態によれば、
1.四輪式の作業機において、左右の車輪間隔を広げる必要がなく、かつ、重心位置を低く保持しながらタンク容量を十分に確保するにも関わらず、ステアリング機構とサスペンション機構を併設することができる。
2.四輪式の作業機において、スイングアームを用いることなくサスペンション機能を実現することができ、走行安定性を向上させることができる。
3.圃場の状況等に応じて緩衝部材4の剛性を適宜調整することができる等の効果を奏する。
つぎに、本発明に係る牽引式四輪作業機2のサスペンション装置1Bおよびこれを用いた牽引式四輪作業機2の第2実施形態について図面を用いて説明する。
図5は、本第2実施形態のサスペンション装置1Bを示す斜視図である。なお、本第2実施形態のうち、前述した第1実施形態の構成と同一若しくは相当する構成については同一の符号を付して再度の説明を省略する。また、要部を理解し易くするため、図5では、タイヤを省略している。
本第2実施形態のサスペンション装置1Bの特徴は、狭いスペースを上下方向で有効に利用し、作業機本体22に架設された機体フレーム12を上下から挟み込むように緩衝部材4を配置して緩衝作用を高める点にある。具体的には、第1実施形態と同様に、機体フレーム12と載置板41との間にゴムブッシュ4を狭持させるとともに、別途、機体フレーム12がゴムブッシュ4を狭持する面の裏側面、すなわち、機体フレーム12の上面に補強用緩衝部材5としての補強用ゴムブッシュ5を配置する。そして、この補強用ゴムブッシュ5の上面に略円盤状の剛性可変用プレート51を載置するとともに、この剛性可変用プレート51から補強用ゴムブッシュ5、機体フレーム12およびホーシング32にかけて補強用剛性調整部材52を挿通させている。本第2実施形態では、補強用剛性調整部材52として補強用剛性調整ボルト52を使用しており、その一端をナット53で締め付けている。また、本第2実施形態では、ゴムブッシュ4と機体フレーム12との間に剛性可変用スペーサー42を狭持させ、機体フレーム12の上方から剛性調整ボルト43を螺合させて前記剛性可変用スペーサー42を押下するようになっている。
以上の構成により、牽引式四輪作業機2のいずれか一つの車輪が、圃場における段差や突起等の凹凸面を乗り越える場合、当該車輪を支持するホーシング32が、機体フレーム12に対して揺動軸15まわりに揺動する。このとき、ホーシング32は、図6に示すように、当該車輪側に狭持されるゴムブッシュ4を機体フレーム12との間で圧縮するとともに、他方側においては、補強用剛性調整ボルト52を介して剛性可変用プレート51を下方に引っ張り、補強用ゴムブッシュ5を圧縮する。これにより、ゴムブッシュ4および補強用ゴムブッシュ5による剛性が、凹凸面の衝撃を緩衝するため、走行時の安定性がより一層高められるようになっている。
また、本サスペンション装置1Bの緩衝作用を調節する場合、ゴムブッシュ4および補強用ゴムブッシュ5の双方において剛性を変更し得るようになっている。ゴムブッシュ4の剛性を変更する場合、第1実施形態と同様、剛性調整ボルト43の回転により剛性可変用スペーサー42を上下方向に移動させ、ゴムブッシュ4の圧縮度合を調節する。また、補強用ゴムブッシュ5の剛性を変更する場合、補強用剛性調整ボルト52を締め付けると剛性可変用プレート51が補強用ゴムブッシュ5を圧縮するため、その剛性が高められる。一方、補強用剛性調整ボルト52を緩めると、剛性可変用プレート51が補強用ゴムブッシュ5の圧縮度合を緩和するため、その剛性が弱められるようになっている。
以上のような本第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の効果に加えて、ゴムブッシュ4を並列関係に配置するスペースが無い場合であっても、上下方向のスペースを利用して補強用ゴムブッシュ5を追加し、その剛性を高めることができる。
つぎに、本発明に係る牽引式四輪作業機2のサスペンション装置1Cおよびこれを用いた牽引式四輪作業機2の第3実施形態について図面を用いて説明する。
図7は、本第3実施形態のサスペンション装置1Cを示す斜視図である。なお、本第3実施形態のうち、前述した第1実施形態の構成と同一若しくは相当する構成については同一の符号を付して再度の説明を省略する。
本第3実施形態のサスペンション装置1Cの特徴は、緩衝部材4として、ゴムブッシュ4の代わりに緩衝用油圧シリンダ6を使用しアクティブ制御する点にある。具体的には、図7に示すように、前輪23を支持するホーシング32については、何ら緩衝部材4を設けることなく機体フレーム12に揺動自在に軸支させ、当該ホーシング32の傾斜角度を検知する傾斜センサ7を設置する。また、後輪24を支持するホーシング32については、左右のいずれか一方にのみ緩衝用油圧シリンダ6を設けており、初期位置でホーシング32と機体フレーム12が平行となるように設定されている。そして、傾斜センサ7および緩衝用油圧シリンダ6は、それぞれ図示しない制御手段に接続されている。なお、本第3実施形態の傾斜センサ7は、機体の傾斜を検出し得るものであれば特に限定されず、たとえばチャンバ内に液体を封入してこの液体の傾斜による液面変化を、静電容量変化として出力するものを採用すればよい。
前記制御手段は、傾斜センサ7から前輪23を支持するホーシング32の傾斜情報を取得し、この傾斜情報に基づいて緩衝用油圧シリンダ6の伸縮量を制御するものである。具体的には、前輪23を支持するホーシング32の傾斜角度を単位時間毎に取得することで凹凸面の傾斜情報を取得し、後輪24が凹凸面を通過するタイミングに合わせて、後輪24を支持するホーシング32を前輪23を支持するホーシング32と同様に傾斜させるようになっている。なお、本第3実施形態の制御手段は、トラクタの走行速度を取得し、この走行速度に基づいて、後輪24が当該凹凸面を通過するタイミングを算出している。
以上の構成により、牽引式四輪作業機2が、圃場における石や突起等の凹凸面を乗り越える場合、まず、前輪23を支持するホーシング32が、機体フレーム12に対して揺動軸15まわりに揺動する。このとき、後輪24を支持するホーシング32は、緩衝用油圧シリンダ6によって水平に保持されているため、作業機本体22が傾斜することがない。また、制御手段が、傾斜センサ7から当該ホーシング32の傾斜角度を随時取得するとともに、トラクタの走行速度を取得し、後輪24が当該凹凸面を通過するタイミングを算出する。そして、このタイミングに合わせて、緩衝用油圧シリンダ6を伸縮制御し、後輪24を支持するホーシング32を前輪23を支持するホーシング32と同様に傾斜させる。これにより、後輪24を支持するホーシング32は、凹凸面に沿うように後輪24を上下動させるため、作業機本体22の揺動を抑制して水平状態に保持するとともに、凹凸面からの衝撃を緩衝する。
なお、本第3実施形態では、前輪23を支持するホーシング32の傾斜情報に基づいて、後輪24を支持するホーシング32を傾斜させているが、これに限られるものではなく、トラクタの車輪の傾斜情報に基づいて、前輪23あるいは後輪24を支持するホーシング32の一方を傾斜させるようにしてもよい。この場合、トラクタの車軸に傾斜センサ7を設けるとともに、前輪23あるいは後輪24を支持するホーシング32のうち、いずれか一方と機体フレーム12との間に緩衝用油圧シリンダ6を設置し、他方は揺動自在に軸支する。また、緩衝用油圧シリンダ6を複数設置して伸縮制御するようにしてもよい。
以上の構成において、制御手段が、トラクタの車軸の傾斜情報を傾斜センサ7から単位時間毎に取得し、その傾斜情報に基づいて緩衝用油圧シリンダ6の伸縮量をアクティブ制御する。これにより、緩衝用油圧シリンダ6が設けられたホーシング32は、圃場の凹凸面を乗り越える際、作業機本体22を水平状態に保持するように揺動されるため、作業機本体22の揺動を抑制するとともに、凹凸面からの衝撃を緩衝する。
以上のような本第3実施形態によれば、簡易な構造で上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、本発明に係る牽引式四輪作業機2のサスペンション装置1A〜1Cおよびこれを用いた牽引式四輪作業機2は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
例えば、上述した各実施形態では、緩衝部材としてゴムブッシュ4や緩衝用油圧シリンダ6を使用しているが、これに限られるものではなく、地面からの衝撃や振動を緩衝し得るものであれば、金属製のコイルスプリングやリーフスプリング等を使用してもよい。この場合、剛性の異なるスプリングを適宜選択することで緩衝作用を調節することができるが、揺動に対する減衰効果が小さいため、作業機本体22の安定性が低減してしまうというデメリットがある。
本発明に係る牽引式四輪作業機のサスペンション装置を備えた牽引式四輪作業機の実施形態を示す側面図である。 本第1実施形態のサスペンション装置を示す斜視図である。 本第1実施形態のサスペンション装置を機体の裏側から見た図である。 本第1実施形態のサスペンション装置を示す概略図である。 本第2実施形態のサスペンション装置を示す斜視図である。 本第2実施形態において、サスペンション装置の作用を示す概略図である。 本第3実施形態のサスペンション装置を示す斜視図である。 従来のサスペンション装置を示す斜視図である。 従来のサスペンション装置を機体の裏側から見た図である。
符号の説明
1A,1B,1C サスペンション装置
2 牽引式四輪作業機(スプレーヤ)
3 ステアリング機構
4 ゴムブッシュ(緩衝部材)
5 補強用ゴムブッシュ(補強用緩衝部材)
6 緩衝用油圧シリンダ(緩衝部材)
7 傾斜センサ
11 揺動支持板
12 機体フレーム
13 揺動支持部
14 軸穴
15 揺動軸
21 ヒッチ
22 作業機本体
23 前輪
24 後輪
25 薬液タンク
26 ノズル
27 ブーム
31 ナックルスピンドル
32 ホーシング
33 タイロッド
34 操舵用油圧シリンダ
41 載置板
42 剛性可変用スペーサー
43 剛性調整部材(剛性調整ボルト)
44 ネジ穴
51 剛性可変用プレート
52 補強用剛性調整部材(補強用剛性調整ボルト)
53 ナット

Claims (4)

  1. 前輪および後輪をナックルスピンドルを介してホーシングの両端に回転自在に軸支するとともに、各ナックルスピンドル同士をタイロッドで連結し、いずれか一方のナックルスピンドルに車軸方向の力を付与することによって各車輪の方向を変更するステアリング機構を備え、左右の車輪間隔が変化しない牽引式四輪作業機のサスペンション装置であって、
    前記牽引式四輪作業機の機体フレームを、前後のホーシングのうち少なくとも一方の長手方向の略中心位置において揺動自在に軸支するとともに、当該ホーシングと前記機体フレームとの間に緩衝部材を狭持してなることを特徴とする牽引式四輪作業機のサスペンション装置。
  2. 前輪および後輪をホーシングの両端に回転自在に軸支し、各車輪の方向を変更するステアリング機構を備え、圃場においてトラクタにより牽引される牽引式四輪作業機のサスペンション装置であって、
    前記牽引式四輪作業機の機体フレームを、前後のホーシングのうち少なくとも一方の長手方向の略中心位置において揺動自在に軸支するとともに、当該ホーシングと前記機体フレームとの間に緩衝部材を狭持してなり、
    前記緩衝部材は、前記後輪を支持するホーシングに設けられる油圧シリンダから構成されているとともに、この油圧シリンダの伸縮量を制御する制御手段を有しており、
    この制御手段は、前記トラクタの走行速度に基づいて、前記後輪が凹凸面を通過するタイミングを算出するとともに、前記前輪を支持するホーシングの傾斜情報を取得し、前記タイミングに合わせて、前記傾斜情報に基づいて前記油圧シリンダを伸縮制御することによって、前記後輪を支持するホーシングを前記前輪を支持するホーシングと同様に傾斜させる、牽引式四輪作業機のサスペンション装置。
  3. 前輪および後輪をホーシングの両端に回転自在に軸支し、各車輪の方向を変更するステアリング機構を備え、圃場においてトラクタにより牽引される牽引式四輪作業機のサスペンション装置であって、
    前記牽引式四輪作業機の機体フレームを、前後のホーシングのうち少なくとも一方の長手方向の略中心位置において揺動自在に軸支するとともに、当該ホーシングと前記機体フレームとの間に緩衝部材を狭持してなり、
    前記緩衝部材は、前記前輪および後輪を支持するホーシングのいずれか一方に設けられる油圧シリンダから構成されているとともに、この油圧シリンダの伸縮量を制御する制御手段を有しており、
    この制御手段は、前記トラクタの走行速度に基づいて、前記前輪または前記後輪が凹凸面を通過するタイミングを算出するとともに、前記トラクタの車の傾斜情報を取得し、前記タイミングに合わせて、前記傾斜情報に基づいて前記油圧シリンダを伸縮制御することによって、前記前輪または前記後輪を支持するホーシングを前記トラクタの車軸と同様に傾斜させる、牽引式四輪作業機のサスペンション装置。
  4. 請求項1から請求項のいずれかに記載のサスペンション装置が設けられていることを特徴とする牽引式四輪作業機。
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