本発明は、ガス配管等の樹脂製分岐管の撤去方法及びその方法を実施するのに好適な樹脂分岐管撤去工具に関する。特には、作業の一層の簡素化及び高信頼性化を実現することが可能な樹脂製分岐管の撤去方法等に関する。
本発明の背景技術について、以下、都市ガス配管の分野を例に挙げて説明する。
近年、都市ガス配管には、ポリエチレンパイプ等の樹脂製配管が多用されるようになってきている。これは、このような樹脂製配管が、耐震性や耐腐食性に優れ、また配管工事の施工性にも優れるからである。このような樹脂製配管において、既存の配管(元管)に樹脂製分岐管を接続する場合には、電気融着継手を用いているのが一般的である。
図32は、チー型の電気融着継手を用いた樹脂製配管の一例を示す一部断面側面図である。
図32には、図の表裏方向に延びる樹脂製の元管701と、図の右方向に延びる樹脂製の分岐管703とが、電気融着継手(サービスチー)705を介して接続された状態が示されている。サービスチー705は、ポリエチレン等の熱可塑性プラスチック製である。このサービスチー705は、円筒状の立上り管部705aと、この立上り管部705aの下端に一体化した鞍状のサドル部705bと、立上り管部705aの側面から横方向に分岐した分岐部705cとを備えている。
サービスチー705の立上り管部705a内には、内蔵タッピングカッター706が収納されている。カッター706は、元管701にサービスチー705を融着した後に、元管701の側壁にタッピング孔701aを開けるためのものである。カッター706で開けられたタッピング孔701aは、元管701側壁とサービスチー705のサドル部705bを貫通しており、元管701内部と分岐管703内部との連通孔となる。
サービスチー705のサドル部705bには、不図示の電熱線が埋設されている。この電熱線に電流を流して発熱させ、サドル部705bを元管701の側面に気密に融着する。サービスチー705の分岐部705cには、ソケット707を介して分岐管703が接続される。このソケット707は、サービスチー705の分岐部705cと分岐管703との接続端部同士をシールしつつ固定する。
ところで、このような樹脂製配管において、建物の撤去等により不要となった分岐管を取り外す場合は、従来、以下に述べる(1)〜(3)のような手順で既存の分岐管703を撤去している。図33〜図35は、従来の樹脂製分岐管の撤去方法の概要を示す一部断面側面図である。
(1)まず、図33に示すように、分岐管703の途中をスクイズバー710で挟んで圧縮遮断(スクイズオフ)する。このとき、分岐管703をスクイズオフする位置703xは、ソケット融着部に圧縮による悪影響が及ばないようにするために、ソケット707の端部(図の右端部)から分岐管703の外径Dの3倍以上離れた位置とする必要がある。このスクイズオフを行うことで、分岐管703内部のガス流が遮断される。
(2)次いで、図34に示すように、分岐管703の先方(図の右端側、元管701と反対側)703zをノコ等で切断し、その後に分岐管703の切断端部703yにキャップ711を取り付ける。このとき、分岐管703は、スクイズオフ位置703xから分岐管外径Dの3倍以上離れた位置(切断端部703y)で切断する。これは、(1)の場合と同様に、ソケット融着部に圧縮による悪影響が及ばないようにするためである。分岐管703の切断作業が完了した後は、切断された分岐管703の先方703′を撤去する。
(3)最後に、図35に示すように、分岐管703の残存部703″をスクイズオフしているスクイズバー710を開放する。スクイズオフを開放すると、樹脂製の分岐管703が弾性変形して、元の状態に復帰する。元管701から分岐管703側へと流れるガスは、キャップ711で遮断されるので、分岐管703の切断後もガスが漏れないようになっている。
このように、例えば建物の撤去などでガスの供給が不要となった場合には、分岐管703を所定位置で切断して、切り離された側の分岐管を撤去することが行われている。一連の撤去作業が終了したら、サービスチー及び分岐管703残存部703″は再び地中に埋められる。ここで、残存部703″が長く残っていると、次のような不具合が生じるおそれがあった。すなわち、残存部703″が長く残ったままであると、撤去作業後にある期間を経て掘削工事等の他の工事を行う際に、掘削工具等が残存部703″に当たってしまうことも考えられる。掘削工具が当たり、残存部703″が損傷すればそこからガス漏れが生じるおそれがある。
特に、上記従来の樹脂製分岐管の撤去方法においては、分岐管703のスクイズオフを、ソケット707の右端部から分岐管外径Dの約3倍以上離れた位置703xで行わなければならない等の制約があり、撤去作業終了後も、分岐管の一部703″(残存部)が長く残りやすいものであった(図35参照)。
これに対し、本出願人は、特許文献1(特開2002−295724号公報)において、分岐管残存部をできる限り短くすることを目的として、分岐管を撤去した後の他の工事で、残存した分岐管が損傷する危険性を低減できる『樹脂製分岐管の撤去方法』を提案した。これは、概略次に述べる第1〜第4段階の作業を行い、元管に融着されたサービスチーの一部及びこれに接続された分岐管を撤去するものである。
第1段階:サービスチーの立上り管部に内蔵されたカッターを、元管の側壁の孔(タッピング孔)内に挿入する。
第2段階:カッターの上側でサービスチーの立上り管部の根元を切断した後、この立上り管部とともに分岐管を撤去する。ここで、元管に接続されたサービスチーの根元を切断し、分岐管全体を撤去するため、撤去作業後に分岐管が全く残らず、分岐管を撤去した後の他の工事で、残存した配管が損傷する危険性を低減できる。
第3段階:サービスチーの切断部にノーブローガスバッグ(封止作業バッグ)を取付け、このバッグ内部において元管側壁の孔内からカッターを取り外した後、この孔に仮栓を取り付ける。ここで、ノーブローガスバック内部でカッターを取り外し、仮栓の取付けを行うので、これらの作業時に、ガス漏れが生じること等を防ぐことができる。
第4段階:仮栓の外側から樹脂製の本閉止栓を回転させながら当て、本閉止栓と孔端部との間に生じる摩擦熱で、本閉止栓をサービスチーの切断部に融着する。
ところで、前述したような樹脂製分岐管の撤去作業をよりスムーズに行って、作業を簡略化、低コスト化することが求められている。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、サービスチーの立上り管部の切断、及びその切断面への本栓の融着をスムーズに行うことができ、しかも融着の信頼性も向上させることができる樹脂分岐管の撤去方法を提供することにある。また、この本発明の樹脂分岐管撤去方法に好適に使用することができる樹脂分岐管撤去工具を提供することにある。
上記目的を達成するための、本発明の樹脂分岐管の撤去方法は、元管にサービスチーを介して接続された樹脂製分岐管を撤去する方法であって、前記サービスチーは、元管と連通する貫通孔を有すると共に前記元管の外面に融着されたサドル部と、該サドル部の貫通孔周囲から立ち上がった立上り管部と、該立上り管部から分岐して延び出し、その先端側が前記樹脂製分岐管に接続される分岐部と、を備えるものであり、前記立上り管部内に仮栓を入れて、前記元管と前記立上り管部との間を仮に封止するA工程と、前記仮栓の下流側で前記サービスチーの立上り管部の根元付近を切断するB工程と、この切断した立上り管部の切断面に、融着により本栓を取り付けるC工程と、を含み、前記B工程における前記立上り管部の切断を、前記元管に取付固定したベース装置に装着した切断工具を用いて行い、前記C工程における前記本栓の取付けを、前記切断工具に替えて前記ベース装置に装着した融着工具を用いて行うことを特徴とする。
本発明の樹脂分岐管の撤去方法によれば、元管に取り付けたベース装置に切断工具を装着し、その切断工具を用いてサービスチーの立上り管部を切断する。その後、切断工具を取り外し、同じベース装置に、今度は融着工具を装着して本栓の融着工程を行う。このように、元管に取り付けたベース装置を、切断工具及び融着工具の共通の支持手段として利用するものであるため、作業の簡素化を図ることができる。
また、このように切断工具と融着工具とを共通のベース装置に取り付けて作業を行う方法によれば、切断工具及び融着工具を別々に元管に固定して作業を行う方法と比較して、本栓の取付位置のズレを最小限に抑えることができる点でも有利である。
上記本発明の樹脂分岐管の撤去方法は、ベース装置を前記元管に対してチェーン又はバンドで固定するものであってもよい。このように、チェーン又はバンドで固定が行われる場合、狭い作業スペースでも、ベース装置を元管に対し安定的に固定することができる。
上記本発明の樹脂分岐管の撤去方法は、また、前記融着工具として、前記立上り管部根元の切断面を面取りする面取り工具と、面取りが行われた後の面に融着される前記本栓を保持する本栓セット工具と、を用い、前記面取り工具と前記本栓セット工具とを、いずれも、前記切断面に対し進退移動可能に構成された共通の支持プレートに取り付けて使用するものであることが好ましい。
このような方法によれば、上記支持プレートを、面取り工具及び本栓セット工具の共通の支持部材として利用することができるため、作業が簡素化する。また、面取り工具や本栓セット工具が、支持プレートに保持されて上下動(立上り管部の切断面に対する進退移動を意図する)するようになっているため、正確な軌道が得られ、結果的に、本栓をより正確な位置に取り付けることが可能となる。
上記本発明の樹脂分岐管の撤去方法は、また、前記ベース装置を、芯出し装置を用いて、前記立上り管部を基準として芯出しするものであることが好ましい。このように、立上り管部を基準としてベース装置の芯出しを行うようにすれば、それ以降の工程、すなわち立上り管部の切断工程や切断面への本栓の融着工程を位置精度よく行うことができる。
この場合、前記芯出しは、前記芯出し装置に備えられた、雌ネジが形成された螺合部材を、前記立上り管部の外周部上端のネジに螺合させて行うことが好ましい。このように、螺合により両部材同士が固定される構成の場合、両部材同士の位置出しが比較的正確に行われるという利点がある。
また、上記本発明の樹脂分岐管の撤去方法は、前記B工程において、前記立上り管部を、前記元管と平行な方向に押し切りするものであることが好ましい。
押し切りは、刃物(カッター刃を)スライドさせるだけでよいため、比較的簡単な構成の切断工具で管の切断を行うことができる。
また、上記本発明の樹脂分岐管の撤去方法は、前記B工程において、前記立上り管部を切断する前に、前記サービスチーの前記分岐部を切断するものであってもよい。作業対象となるサービスチーの形状や、上記切断工具の形状によっては、作業性を考慮して、先に分岐部を切断してから立上り管部を切断するようにした方が効率が良いためである。
また、上記本発明の樹脂分岐管の撤去方法は、前記B工程において、前記面取り工具が備える、記立上り管部の軸線周りに回転する回転式面取り刃を、前記切断面に押し付けながら前記切断面を面削りしていくものであることが好ましい。
このような方法によれば、面取り工具を押し付ける押付け力を適宜調整することで、加圧面に対する削り込み量の調整を行うことが可能である。
この場合、上記B工程は、ハンディ式の市販回転工具を駆動源として、前記回転式面取り刃を回転させる工程をさらに含むことが好ましい。このように、回転面取り刃を回転させるための駆動源が市販回転工具(例えばチャックを備えた電動ドリル)であるということは、工具側に専用の駆動源を設ける必要がないことを意味し、工具が小型・軽量化する。したがって、工具の持ち運びが容易となり、作業を行い易くなる。
また、上記本発明の樹脂分岐管の撤去方法は、前記C工程において、前記切断面に前記本栓をバット融着するものであることが好ましい。
本栓として、例えば、立上り管部とほぼ同じ外径に形成された有底円筒部材を用いることができる。この場合、該円筒部材の端面(開口側端面)を、立上り管部の切断面に面接触させるようにして融着が行われる。このように本栓の端面と、立上り管部の切断面とを、面接触の形態で突き合わせて融着する場合には、面同士を融着させるバット融着が好適である。バット融着後には、融着面の外側にはみ出したビードを、融着が正確に行われたかどうかの判断基準として利用することもできる。
また、上記本発明の樹脂分岐管の撤去方法は、前記C工程において、工具に適正押圧力表示部を設け、前記融着工具を取り付けた姿勢の変化にも関わらず、前記本栓を一定の押圧力で押し付けるものであることが、本栓の融着を正確に行う点で好ましい。
融着工具は、鉛直な姿勢で元管に取り付けられるのみでなく、場合によっては水平な姿勢で元管に取り付けられることとなる。この場合、図28などを参照しながら後述するように、工具の自重による影響を受けて押圧力に差が生じることとなるが、この差を見込んで目盛りが振られた上記適正押圧力表示部を用い、融着工具の姿勢に影響されることなく、本栓を一定の押圧力で切断面側に押し付けることができるようになっていることが好ましい。これにより、融着工具が垂直に取り付けられる場合であっても、水平に取り付ける場合であっても、その姿勢に関わらず、本栓の融着を正確に行うことができる。
また、上記本発明の樹脂分岐管の撤去方法は、前記A工程において、前記立上り管部の上端に取り付けられていたチーキャップを取り外す工程と、前記元管からのガスの漏出を防止するための、ガスバッグなどの封止作業用具を前記前記立上り管部に取り付ける工程と、をさらに含み、前記封止作業用具の内部で、前記仮の封止を行うものであることが好ましい。ここで、「ガスバッグ」とは、立上り管部側に取り付けられる開口部と、作業者が手を入れることができる他の開口部と有する袋状体(ノーブローガスバッグ)を意図する。
このようなノーブローガスバッグを用いて仮栓を取り付ける方法によれば、元管のガスを止めずに作業を行う場合であっても、ガス漏れを生じることなく、樹脂分岐管の撤去作業を行うことが可能となる。
次に、上記目的を達成する本発明の樹脂分岐管撤去工具は、元管と連通する貫通孔を有すると共に前記元管の外面に融着されたサドル部と、該サドル部の貫通孔周囲から立ち上がった立上り管部と、該立上り管部から分岐して延び出し、その先端側が樹脂製分岐管に接続された分岐部と、を備えるサービスチーの前記立上り管部の根元付近を切断し、その切断面に本栓を融着するための樹脂分岐管撤去工具であって、前記元管に取付固定されるベース装置と、前記立上り管部を切断するカッター刃を有する切断工具と、前記立上り管部の切断面に前記本栓を融着する融着工具と、を備え、前記切断工具と前記融着工具とが、前記ベース装置に取替えて装着されることを特徴とする。
上記本発明の樹脂分岐管撤去工具によれば、切断工具及び融着工具が、元管に固定されたベース装置に対して交互に装着可能となっているものであるため、上記本発明による樹脂分岐管の撤去方法を好適に行うことが可能である。すなわち、元管に取り付けたベース装置に切断工具を装着し、その切断工具を用いてサービスチーの立上り管部を切断する。その後、切断工具を取り外し、同じベース装置に、今度は融着工具を装着して本栓の融着工程を行う。このように、元管に取り付けたベース装置を、切断工具及び融着工具の共通の支持手段として利用するものであるため、作業の簡素化を図ることができる。また、このように切断工具と融着工具とを共通のベース装置に取り付けて作業を行う方法によれば、切断工具及び融着工具を別々に元管に固定して作業を行う方法と比較して、本栓の取付位置のズレを最小限に抑えることができる点でも有利である。
上記本発明の樹脂分岐管撤去工具おいて、前記ベース装置は、前記立上り管部を挟んだ両側において、それぞれ前記元管に取り付けられる一対の基部と、該一対の基部同士を連結する連結ロッドと、を備え、前記各基部が、チェーン又はバンドにより前記元管に取り付けられるものあることが好ましい。このようにチェーン又はバンドによってベース装置が元管に固定される構成の場合、作業スペースが狭くても、ベース装置を元管に対し安定的に固定することができる。
また、上記ベース装置に関し、前記各基部における前記元管の外面に対向する部位にV溝が形成されていることが好ましい。各基部は、このV溝が元管の外周に押し当たるようにして元管に取付けられるため、ベース装置の固定がより安定化する。
また、上記ベース装置に関し、前記一対の基部のそれぞれに、前記切断工具及び前記融着工具を取り付けるための取付け部が設けられていることが好ましい。このように、各基部に取付け部が設けられていれば(すなわち、取付け部が1ヶ所ではなく、サービスチーを挟む基部のそれぞれに設けられていれば)、ベース装置による切断工具及び融着工具の保持がより安定化する。
次に、前記融着工具は、前記立上り管部根元の切断面を面取りする面取り工具と、面取りが行われた後の面に融着される前記本栓を保持する本栓セット工具と、前記切断面に対して進退移動可能に構成された支持プレートと、を備え、前記面取り工具と前記本栓セット工具とが、前記支持プレートに取替えて装着される構成であることが好ましい。
このような構成によれば、上記支持プレートを、面取り工具及び本栓セット工具の共通の支持部材として利用することができるため、作業が簡素化し、また、本栓をより正確な位置に取り付けることも可能となる。
また、前記融着工具は、前記ベース装置に設けられた前記取付け部のそれぞれに先端が挿入される、互いに平行な2本のガイドバーと、該2本のガイドバーのそれぞれの基端を支持する上板と、を有し、前記支持プレートが、前記上板と平行となるように、前記2本のガイドバーに移動可能に取り付けられているものとすることができる。
このような構成によれば、前記支持プレートが2本のガイドバーに沿って移動するものであるため、支持プレートの前記進退移動の軌道がより安定化する。
また、前記融着工具は、作業者から付与された外力を前記支持プレートに伝達することで前記支持プレートを前記切断面側に移動させる加圧機構をさらに有していることが好ましい。
この加圧機構を利用することで、切断面への前記面取り工具の押付け、及び、面取りされた後の面への本栓の押付け(融着)を、適切な押圧力で良好に行うことが可能となる。
上記加圧機構は、具体的には、前記上板と前記支持プレートとの間で、前記2本のガイドバーに移動可能に取り付けられた可動プレートと、前記上板の上面片側に設けられた支持部に基端が回動可能に支持されると共に、他端が作業者によって操作される加圧レバーと、該加圧レバーの中間部と前記可動プレートとを連結し、前記加圧レバーの揺動に合わせて前記可動プレートを前記ガイドバーに沿って移動させる加圧シャフトと、前記可動プレートに伝達された前記作業者からの外力を弾性力に変換して該弾性力を前記支持プレートに付与する弾性部材と、を備えるものとすることができる。
このような構成の加圧機構によれば、加圧レバーを片手で操作して可動プレート(及び実質的にそれに連結された上記支持プレート)を移動させることができる。また、この作業者からの外力は、弾性部材を介して支持プレートに伝達されるようになっているため、後で詳しく述べるように、支持プレートに加わる衝撃力を緩和することができる。
ここで、前記弾性部材は、前記可動プレートと前記支持プレートとの間で、前記各ガイドバーを取り巻くようにして配置された2つのコイルバネとすることができる。このように、各ガイドバーにコイルバネが設けられている場合、支持プレートの左右2箇所に力が伝達されることとなり、支持プレートを均一な力で押すことができるものとなる。
前記加圧シャフトは、前記可動プレートを貫通して前記支持プレート側にさらに延び出し、その先端が、バネを介して前記支持プレートに連結されていることが好ましい。これにより、加圧シャフトを引っ張り上げ、支持プレートを持ち上げる際に、同プレートに加わる衝撃力が緩和される。
前記加圧機構は、前記支持プレートに加わる前記作業者からの外力の大きさを表示する適正押圧力表示部をさらに有することが好ましい。このような構成によれば、本栓を融着する工程において、本栓を適正な力で切断面に押し付けることができるものとなる。
この場合、上記適正押圧力表示部は、前記融着工具が第1の姿勢(垂直姿勢)で用いられるときの前記外力の大きさを表示する第1の表示部と、前記融着工具が第2の姿勢(水平姿勢)で用いられるときの前記外力の大きさを表示する第2の表示部とを別個に有していることが好ましい。これにより、工具の自重による影響を受けることなく、本栓を立上り管部の切断面に適正な押圧力で押し付けることができる、
上記本発明の樹脂分岐管撤去工具は、ベース装置、切断工具、及び融着工具に加え、前記サービスチーの立上り管部を基準として、前記元管に対し前記ベース装置を芯出しする芯出し装置をさらに備えていることが好ましい。
具体的には、この芯出し装置は、前記ベース装置に設けられた前記取付け部のそれぞれに先端が挿入される、互いに平行な2本のロッドと、前記2本のロッドのそれぞれの基端を支持するベースプレートと、前記2本のロッドの間の位置で前記ベースプレートに支持され、立上り管部の外周部上端に形成されたネジに螺合可能な螺合部材と、を有しているものとすることができる。この場合、前記螺合部材は、前記2本のロッドの間の真ん中からずれて配置されていてもよい。
上記前記切断工具は、より具体的には、前記立上り部を挟んで前記元管の径方向両側に配置される一対のガイドロッドを含むフレームと、該一対のガイドロッドに移動可能に取り付けられた、前記カッター刃を保持する移動刃物台と、該移動刃物台を前記ガイドロッドに沿って移動させる、前記フレームに取り付けられた送り機構と、を備える構成とすることができる。
この場合、前記フレームには、該フレームを前記ベース装置に位置決め固定するための係合部が設けられており、前記ベース装置が、前記係合部が係合する部材として、さらに、前記一対のガイドロッドに移動可能に取り付けられた受け部材を備える構成とすることができる。これにより、切断工具の上記係合部をベース装置側の受け部材に係合させるようにして、切断工具をベース装置上に取り付けることが可能となる。
前記係合部の一例としては、前記フレームから外側に向かって突出するボルトであってもよく、この場合、前記受け部材には該ボルトを受けるための溝が形成され、該溝は、前記ベース装置に対する前記フレームの装着方向と同じ方向に掘り込まれていることが好ましい。このような構成によれば、溝が、切断工具の装着方向と同じ方向に掘り込まれているため、フレーム側に取り付けられたボルトを、その溝に入れやすいという利点がある。
切断工具の前記送り機構は、前記フレームに取り付けられた送りネジであり、前記フレームには、作業者が該送りネジを回す際に把持することが可能な把持部がさらに設けられていることが、作業性の観点からして好ましい。
前記融着工具の面取り工具は、前記立上り管部の軸線周りに回転可能な回転式面取り刃を有するものであってもよく、また、この場合、この回転面取り刃の回転の駆動源が、ハンディ式の市販回転工具であることが好ましい。
記面取り工具が、前記回転式面取り刃を回転させるための軸を有する構成の場合、前記ハンディ式の市販回転工具は、そのチャックで該軸の突出端側を保持し、その状態で前記支持プレートの上面側にセットされるような構成となっていてもよい。この場合、前記可動プレート及び前記上板には、前記ハンディ式市販回転工具が干渉しないように略U字型の逃げ部が形成されていることが好ましい。このような構成の場合、該逃げ部内に上記ハンディ式市販回転工具を収めた状態でそれを使用することができるため、狭い作業スペースでも良好に作業を行うことができる。
本発明によれば、上述したように、サービスチーの立上り管部の切断、及びその切断面への本栓の融着をスムーズに行うことができ、しかも融着の信頼性も向上させることができる。
発明を実施するための形態
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る樹脂製分岐管の撤去方法において切断の対象となるサービスチー、及びそれが取り付けられる元管を示す斜視図である。図1(A)は、サービスチーが切断される前の状態(初期状態)を示し、図1(B)はサービスチーが切断された状態を示し、図1(C)はその切断面に最終的に本栓が取り付けられた状態(完成状態)を示している。図2は、図1のサービスチー及びその周辺構造を示す一部断面側面図である。
サービスチー115は、ガスの元管111と分岐管113(図2参照)とを接続するためのものであり、ポリエチレン等の熱可塑性プラスチック製である。図1に示すように、サービスチー115は、元管の外周面に融着された鞍状のサドル部116と、このサドル部116の上面ほぼ中央から立ち上がった筒状の立上り管部117と、この立上り管部117から横方向に分岐して延び出した分岐部119とに大別される。
サドル部116は、輪郭形状が略長方形の板を元管111の外周面に添うように湾曲させたような形状となっており、その内側面が元管外周面に融着されている。図1(B)に示すように、サドル部116のほぼ中央(立上り管部117の付根近傍)には、サドル部116をその厚み方向に貫通する貫通孔116hが形成され、図2に示すように、このサドル部の貫通孔116hが、元管111の周壁に開けられた貫通孔111hと連通することで、元管111の内部と立上り管部117の内部とが連通し合うようになっている。
なお、図1(B)では、このサドル部の貫通孔116h内に仮栓121、135が詰められた状態が描かれているが、この仮栓については他の図面を参照して後述するものとする。
図示しないが、サドル部116の内部には電熱線が埋設されている。この電熱線に電圧を印加することで、サドル部116の内側面が加熱され、この加熱作用によりこの内側面が元管111の外周面に融着されるようになっている。サドル部116上面には、立上り管部117を挟むようにして左右両側に2つのターミナル116aが形成されている。詳細には図示していないが、これらのターミナル116aのそれぞれには、サドル部116内に埋設された上記電熱線に電力を供給するための電気的接続部が形成されている。これにより、電源(例えばバッテリーなど)から引き出された電源供給コードを、これらターミナル116aのそれぞれに接続することで、サドル部116内の電熱線に電力が供給され、該電熱線が加熱されるようになっている。
立上り管部117は、図1(A)、図2に示すように、サドル部116から上方にまっすぐ立ち上がっている。立上り管部117の上端外周には、図2に示すようなチーキャップ118を取り付けるための雄ネジ117cが形成されている。チーキャップ118は、樹脂製のキャップ部材であり、上記雄ネジ117cに取り付けられることで、立上り管部の上端を密閉する。
ちなみに、この立上り管部の雄ネジ117cには、第3の実施形態として後述するように、分岐管の切除・撤去作業の工程内で用いられるノーブローガスバッグ131(図29参照)を取り付けるためのバッグ固定治具133も着脱自在に取り付けられるようになっている。雄ネジ117cのすぐ下には、立上り管部の径方向外側に向かって形成された鍔部117aが形成されている。この鍔部117aは上記ノーブローガスバッグの下部開口部を引っ掛けるための構造部である。
図2に示すように、立上り管部117の高さ方向ほぼ中央(鍔部117aよりやや下の部位)からは、円管状の分岐部119が水平方向横向きに延び出している。この分岐部119の先端部には、一例として、電気融着ソケット123を介して分岐管113が接続固定されている。このような構成により、元管111と分岐管113とがサービスチー115を介して相互連通した状態となっている。
上記の例では、電気融着ソケット123を介して、サービスチーの分岐部119と分岐管113とが接続されていたが、電気融着ソケットを介さず両部材同士が直接融着されていてもよい。また、サービスチーの構成に関し、より具体的には、サービスチーの立上り管部117内に、孔開けカッター121(図29等参照)などが内蔵されているものがあるが、これについては第2の実施形態で具体的に説明するものとする。
ここで、本発明に係る樹脂製分岐管の撤去方法(以下、単に切断・撤去方法とも言う)について簡単に説明すると、この撤去方法は、以上のような構成のガス配管を、図1(A)、(B)に示すようにその立上り管部117の根元部分で切断し、その切断面に図1(C)に示すような本栓137を融着し、切断部分の封止を行うものである。なお、本栓137の詳細な構成などについては、本栓の融着工程の説明と合わせて再度後述するものとする。
次に、上記本発明に係る切断・撤去方法を実施するのに用いられる工具について図面を参照して説明する。
まず、図3の斜視図に示すように、本発明に係る切断・撤去方法に用いられる樹脂分岐管撤去工具は、元管111上に固定されるベース装置200、このベース装置200に装着されて使用される、サービスチーの立上り管部117を切断するための切断工具400、及び、同じくベース装置200に装着されて使用される、本栓137(図1(C)参照)を融着するための融着工具500を備えている。図3では、これらに加えてさらに芯出し装置300が描かれているが、この装置は、後述するようにベース装置200を元管111に固定する際に使用されるものである。付属的ではあるが、この芯出し装置300も本発明に係る樹脂分岐撤去工具の1つである。
以下、これらの装置及び工具の具体的な構成について順に説明していく。
まず、ベース装置200について図4〜図6を参照して説明する。
図4は、ベース装置200が、元管111上にセットされた状態を示す斜視図である。
図5は、ベース装置200を示す図であり、図5(A)が同装置を上面側から見た平面図であり、図5(B)が正面図である。図5(C)は右側面図であり、図5(D)はX−X線で見た断面図である。
図6(A)、(B)は、図5の右側面図(C)、(D)のそれぞれを拡大して示す図である。
図4に示すように、ベース装置200は、大別して、サービスチー115を挟んだ両側においてそれぞれ元管111上に取り付けられる一対の基部241A、241Bと、それらを連結する2本の連結ロッド261と、該2本の連結ロッド261にスライド可能に取り付けられた受け部材252と、を備えている。
両基部241A、241Bは、いずれも同様の構成となっているため、一方についてのみ説明する。各基部241は、元管111上に載せられる略ブロック状の基台247と、この基台247と同じような形状をした、該基台247に隣接して配置された側板243とを有している。基台247の側板243との間には、所定の隙間が形成されており、この隙間のところにチェーン257(詳しくは下記参照)が取り付けられている。
基台247の下面側には、図6(A)に示すように、2つの傾斜面244a、244bからなるV溝244が形成されている。基台247を元管111上に載せると、このV溝244の各傾斜面244a、244bが元管111の外周面に当接するようになっている。このようなV溝244が形成されていることにより、基台247が元管111にしっかりと取り付けられるようになっている。
図6(A)に示すように、基台247の上面側は、中央部(元管111の真上となる部位)が上方に向かって突起した山型の形状となっている。この山型形状の頂上部は、フラットな水平面247tとなっており、この水平面247tの上に支持部材263(詳細後述)が取り付けられている。
次に、この基台247に隣接して配置された側板243について説明する。図4に示すように、側板243は、上記基台247の外側に配置され、元管111と平行に延びる連結軸245を介して基台247に固定されている。側板243自体は、基台247の厚み(図4の左右方向の寸法)を薄くしたような形状の部材である。すなわち、側板243も、上記基台247と同じように、その下面側にV溝が形成されると共に、上面側は山型形状となっており、その頂上部にはフラットな水平面となっている。
上記のようにして基台247と側板243との間に形成された隙間には、図5、図6に示すようにチェーン257が掛けられている。具体的には、チェーン257は、図6に示すように、V溝244の左右両側の端部247a、247b同士を繋ぐようにして掛けられている。図6(B)に点線で描かれているように、チェーン257は、基台247の片側の端部247bから引き出されており、反対側の端部(チェーン先端側)は自由端となっている。
チェーン257の根元部分は、基台247に取り付けられた回転可能なノブ256の下端に連結されている。詳細な図示は省略するが、ノブ256の下端側は基台247の一部に螺合しており、ノブ256を回すと、このノブが、基台247に対して上方に移動するようになっている。そして、このノブ256の移動に応じて、ノブ下端に連結されたチェーン257が締め上げられるようになっている。
なお、図6(A)に示すように、チェーン257の先端部にはピン257pが通され、このピン257pの両端がチェーンの両側(図6の表裏方向)から延び出している。図4に示されているように、基台247及び側板243のそれぞれには、このピン257pを引っ掛けるための溝247d、243dが形成されている。チェーン先端部のピン257pをこの溝247d、243dに引っ掛け、その状態でノブ256を回すことで、チェーン257が締め上げられ、基台247及び側板243(これらをまとめて「基部241」という)が元管111に固定されるようになっている。
ちなみに、ベース装置200を元管111に固定するための手段は、上記にしたようなチェーン257ではなくバンドであってもよい。チェーンやバンドといった手段は、元管111の外周面に沿うようにして巻き付けられる。このような手段の場合、例えば、本実施形態のベース装置200の基部241(基台247)のようなものを一対用意して、それらで元管111を両側から挟むようにして固定する手段と比べて、小さな作業スペースで済むという利点がある。
再び図4を参照する。ベース装置の各基台247の上面(水平面247t)には、後述する各種工具(芯出し装置300等)を取り付けるための支持部材263が固定されている。図7に示すように、この支持部材263には中央に孔263hが鉛直方向にあけられており、この孔263hに、例えば後述する芯出し装置のロッド361の下端が差し込まれるようになっている。支持部材263の高さ方向ほぼ中央には、セットネジ264が水平方向に通されており、これを締め付けることで、ロッド361の下端を孔部263h内に固定することができる。
次に、再び図4等を参照して、2本の連結ロッド261にスライド可能に取り付けられた受け部材252について説明する。この受け部材252は、比較的厚い板状部材であり、図6(B)の側面図に示すように、左右の下隅部のそれぞれが、各連結ロッド261に摺動可能に支持されている。受け部材252の下側中央部には、左右両側に部材をいくらか残した状態で切欠き部252bが形成されている。この切欠き部252bは上方に向かって切り込まれており、その中央上部が、最も切り込まれた部位(逃げ部252a)となっている。このように切欠き部252bが形成されていることにより、受け部材252が、サービスチーのサドル部上のターミナル116a(図4参照)などと干渉しないようになっている。これにより、受け部材252を、サービスチーの立上り管部117のすぐ横まで移動させることができることとなる。
図4、あるいは図3にも示すように、受け部材252の上面には、互いに所定の間隔をおいて2つの係合溝252dが形成されている。この2つの係合溝252dは、図3に示す切断工具400の外周部に設けられた2本の固定用ボルト452を入れるための溝である。詳細については後述するが、この固定用ボルト452を締め付けることで、切断工具400が、受け部材252を介してベース装置200に取り付けられるようになっている。
受け部材252のこれらの係合溝252dは、図6(B)にも示すように、受け部材上面から、鉛直下方に向かってまっすぐに掘り込まれている。このような構成によれば、係合溝252dの掘込み方向が、切断工具400の取付け方向(詳細は後述する)に一致するため、切断工具の取付け(換言すれば、固定用ボルト452の係合溝252dへの導入)を行い易くなる。
次に、芯出し装置300について図3及び図8、図9を参照して説明する。
図8は芯出し装置300を斜め上方から見た斜視図であり、図9は芯出し装置300の平面図(図9(A))及び縦断面図(図9(B))である。
図8に示すように、芯出し装置300は、細長い板状のベースプレート311と、その両端から下向きに、かつ、互いに平行に延び出した2本のロッド361を備えている。各ロッド361の下端361aは、上述したベース装置の支持部材263の孔部に差し込み易いように、先細り形状とされている。
各ロッド361の根元(基端)は、図9に示すような構成でベースプレート311に固定されている。すなわち、ベースプレート311の下面両端に、ロッド361の基端を挿入するための孔が1つずつ設けられ、この孔内にロッドの基端が挿入されるようになっている。各ロッド361の根元のところには、鍔付きスリーブ363が設けられており、この鍔付きスリーブ363の鍔部363aがベースプレート311の下面に固定されると共に、その鍔部363aから下向きに延び出した筒状部363bがロッドの基端に固定される。
このように、鍔付きスリーブ363を介して、各ロッド361がベースプレート311に固定される構成となっている場合、スリーブの筒状部363bによってロッドの基端がガイドされ、ロッドの延び出し方向(ベースプレートに対するロッドの角度)が良好に規定されることとなる。したがって、最終的なロッド361同士の平行度も良好に維持される。
図9(B)に示すように、ベースプレート311の左右方向ほぼ中央には、同プレートを垂直に貫通する孔があけられており、この孔に、スリーブ356を介して支持軸357が垂直に通されている。このような構成により、支持軸357はベースプレート311に対して上下方向に移動可能となっている。支持軸357の下端には、前述したサービスチー上端の雄ネジ117cに螺合するキャップ型の螺合部材317が取り付けられている。
この螺合部材317は、比較的扁平な略円筒状部材であり、その内周面には、上記立上り管部側の雄ネジ117cと螺合する雌ネジ317cが形成されている。
支持軸357の上端には、把手部材357aが取り付けられており、作業者が、この把手部材357aを握って支持軸357及びそれに保持された螺合部材317を上下移動させることができるようになっている。
図9(B)に示すように、この螺合部材317は、2本のロッド361のちょうど真ん中ではなく、そこから横方向にややずれた位置に配置されている。別な言い方をすれば、図9の横方向(水平方向)に見て、一方のロッド361と螺合部材317との間の寸法L1と、他方のロッド361と螺合部材317との間の寸法L2とに差を持たせた構成となっている。このような構成により、図22に示すように、ベース装置200と切断装置400とが当たらないようになっている。
次に、切断工具400について図3及び図10、図11を参照して説明する。
図10は、切断工具400を斜め上方から見た斜視図であり、図11は切断工具400の三面図である。
図10に示すように、切断工具400は、互いに対向するネジ支えプレート431及び係合プレート432と、両部材431、432の間に設けられた一対の平行なガイドロッド461とを備えている。これら2つのプレート431、432と、一対のガイドロッド461は枠状に組まれ、この切断工具400のフレームを構成している。
図10に示すように、係合プレート432の外側面の、横方向ほぼ中央には、同プレートの厚みを部分的に薄くした凹部432aが形成されている。また、その凹部432aの両側には、固定用ボルト452が外側に突出した状態で1本ずつ取り付けられている。この固定用ボルト452は、その先端部が、係合プレート432に開けられたネジ孔に螺合した状態となっている。この状態から、固定ボルト452を締め付け方向に回すと、ボルト頭部が徐々に係合プレート432に近接する。このような構成により、このボルト頭部と係合プレートとの間で、前述したベース装置の受け部材252(図3参照)を挟み込むことができるようになっている。
図11に示すように、ネジ支えプレート431の外側面には、雌ネジ部材456がネジ固定されている。この雌ネジ部材456の中心を貫通するようにして、送りネジ457が進退可能に螺合している。この送りネジ457の外側突出端には、レンチ等の工具(不図示)を係合させるための工具係合頭部457aが形成されている。一方、送りネジ457の連結端457bは、下記する移動刃物台475に回動可能に連結されている。
一対のガイドロッド461には、略コ字型に形成されたブロック状の移動刃物台475がスライド可能に支持されている。図11(A)の平面図に示すように、移動刃物台475は、係合プレート432の内側面に対向する端部の中央部にU字型の凹部475cが形成されている。カッター刃473は、このU字型凹部475cの入り口部(係合プレート432側)のところに取り付けられている。カッター刃473は、その刃先を係合プレート432側に向けて、水平な姿勢で(ガイドロッド461と平行となる向きで)移動刃物台475に取り付けられている。
このように構成された切断工具400では、図11(A)に示すように移動刃物台475がネジ支えプレート431側にある状態(初期状態)から、送りネジ457を回すことで、カッター刃473が係合プレート432側に向かって少しずつ送られることとなる。具体的には、送りネジ457の回転量に応じた寸法だけ、移動刃物台475及びそれに支持されたカッター刃473が進出するようになっている。
ところで、図11の三面図に示すように、ネジ支えプレート431の上面には、握り易い丸棒状の把持バー459が垂直に設けられている。この把持バー459は、送りネジ457のネジ送り操作時に作業者が手で掴むための部材である。このような把持バー459が設けられていることから、送りネジ457を送る作業(本構成で言えば、レンチ等を用いて送りネジ457を回す作業)を行い易いようになっている。
サービスチーの立上り管部117を切断する際には、図11(A)の想像線で示すように、立上り管部117をカッター刃473とそれに対向する係合プレート432との間に位置させる。そして、上記のように送りネジ457を回転させることでカッター刃473が押し進められ、これにより、サービスチーの立上り管部117が押し切られることとなる。このように、押し切りによって立上り管部117の切断を行う構成によれば、その切断面がフラットかつきれいなものとなる。切断面がフラットであるということは、その後に行う、切断面への本栓137(図1参照)の融着を良好に行うことができるという利点がある。
次に、融着工具500について図12〜図14を参照して説明する。
図12は、融着工具500を斜め上方から見た斜視図であり、加圧レバー524(詳細後述)が初期位置にある状態を示している。なお、融着工具500と一緒に、それに取り付けられる面取り工具630及び本栓セットアダプター670も図示されている。
図13はこの融着工具の縦断面図であり、図14はその使用方法を説明するための図である。
図12に示すように、融着工具500は、上下方向に延びる一対のガイドバー561とそれを支持する上板541とからなるコ字型のフレームを備えている。また、該一対のガイドバー561の下部にスライド可能に取り付けられた支持プレート545と、この支持プレート545を上下に移動させるための加圧機構520(可動プレート521もこれに含む)とを備えている。
図13に示すように、一対のガイドバー561は、上板541の下面両端に取り付けられ、互いに平行に鉛直下方に向かって延び出している。これらガイドバー561は、その下端561aが、前述したベース装置200の支持部材263の孔部263h(図7参照)に差し込まれる。この、孔部263h内への差し込みを行い易いように、ガイドバーの下端561aは先細り部とされている。各ガイドバー561と上板541との取付けは、図13に示すように、ボルト563によって行われる。このボルト563は、上板541を貫通するようにして、同上板の上面側から同板を通り、ガイドバー561の上端にねじ込まれる。
図12に示すように、支持プレート545は、上記上板541とほぼ同じ大きさに形成された板材である。支持プレート545の両端部には、ガイドスリーブ513(図13参照)が1つずつ設けられている。このガイドスリーブ513を介して支持プレート545の両端部がガイドバー561にスライド可能に取り付けられている。このような構成により、支持プレート545は一対のガイドバー561に沿って上下方向に移動できるようになっている。
図12、図13に示すように、支持プレート545の、左右方向(横方向)の真ん中よりやや左寄りの部位には円孔533hが形成されている。この円孔533hには、サービスチーの立上り管部117(図1参照)の切断面を面取りするための面取り工具630(詳細は後述する)等が取り付けられるようになっている。
また、同じ部位に、この面取り工具630に替えて、本栓137(図1参照)を保持する本栓セットアダプター670も取り付けられるようになっている。つまり、支持プレート545は、これら面取り工具630及び本栓セットアダプター670の共通の支持手段として機能する。
図13に示すように、支持プレート545において上記円孔533hの右側には、後述する加圧機構520の加圧シャフト526が通されるスリーブ517が取り付けられている。スリーブ517は有頂円筒部材であり、その頂部が上側となるようにして支持プレート545に取り付けられている。このスリーブ517内には、加圧シャフト526を取り巻くようにしてコイルバネ568が配置されているが、このコイルバネ568の機能については他の図面(図26)を参照して後述する。
続いて、上記支持プレート545を上下移動させるための加圧機構520について説明する。
この加圧機構520は、図12等に示すように、上板541の上面に揺動可能に設けられた加圧レバー524と、該加圧レバー524の中間部に連結され、上板541を貫通して上下移動する加圧シャフト526と、この加圧シャフト526の長さ方向(上下方向)ほぼ中央にピン結合された可動プレート521とを備えている。また、可動プレート521と支持プレート545との間に設けられた2つのコイルバネ528も、この加圧機構520の構成要素である。
加圧レバー524は長細い棒状の部材であり、その基端が、上板541の上面片端に配置されたピン529pによって回動可能に支持されている。このピン529pは、上板上面の片端に取り付けられた、やや薄型のブロック状の支持部材529の一部に設けられている。加圧レバー524は、このピン529pによって支持された基端から斜め上方に向かって延び出している。加圧レバー524の延び出した側の端部(図13の図示右側の端部)は、作業者が握る把持部となっている。
加圧レバー524の長さ方向ほぼ中央には、レバーの長手方向に沿って延びる長孔524a(図13参照)が形成されている。この長孔524aには、この加圧レバー524と加圧シャフト526とを連結するための連結部材527のピン527pが通されている。連結部材527の下端部には、加圧シャフト526の上端部が連結されている。
加圧シャフト526は例えば丸棒部材であり、この、連結部材527との連結部から下向きにまっすぐに延び出している。加圧シャフト526の長さは、図13に示すような初期姿勢(加圧レバー524がほぼ30°の角度で斜め上方に延び出している姿勢を言う)で、その下端526aが、支持プレート545に取り付けられた上記スリーブ517内に存在する程度とされている。加圧シャフトの下端526aは、スリーブ517等には連結されおらず、スリーブ517内で上下動するようになっている。加圧シャフトの下端526aには、リング526bが取り付けられている。加圧シャフトの下端がスリーブ517内で上下動する際、上記リング526bの外周面とスリーブ517の内周面とが摺動するようになっている。
図13からも分かるように、加圧シャフト526は、上板541、可動プレート(中板)521、及び支持プレート(下板)545の3枚を貫通するようにして上下方向に延びている。上板541のところでは、加圧シャフト526は、上板541に取り付けられたスリーブ516内に通されている。これにより、加圧シャフト526は上板541を貫通する方向に上下移動可能となっている。可動プレート521のところでは、ピン526pによって、加圧シャフト526と可動プレート521とがピン結合されている。
可動プレート521の両端には、上記支持プレート545における構成と同じように、ガイドスリーブ514が1つずつ設けられている。このガイドスリーブ514を介して可動プレート521の両端部がガイドバー561にスライド可能に取り付けられている。このような構成により、支持プレート545同様、可動プレート521も、上記一対のガイドバー561に沿って上下方向に移動できるようになっている。
可動プレート521のガイドスリーブ514と、支持プレート545のガイドスリーブ513との間には、各ガイドバー561を取り巻くようにしてコイルバネ(弾性部材)528が設けられている。コイルバネ528は、後述するように、加圧レバーに付与された作業者からの外力を、弾力的に支持プレート545に伝達するためのものである。図13に示す初期状態では、各コイルバネ528は、ほぼ自然長となっている。
以上のように構成された融着工具500の使用方法の一例について、図14を参照して説明する。図14(A)は融着工具500の初期姿勢を示しており、加圧レバー524がほぼ30°の角度で斜め上方に延び出している。図14(B)は、加圧レバー524を下向きに押し下げた状態を示している。また、この例では、支持プレート545に、本栓137を保持する本栓セットアダプター670が取り付けられた場合について説明する(本栓セットアダプター670自体の構成などについては再度後述する)。実際の融着は、後述する面取りの後の工程であるが、説明のつながり上、ここで融着について説明するものとし、一連の工程の流れについてはまとめて後述する。
図14(A)に示すように、融着工具500は、その各ガイドバー561の下端がベース装置200の支持部材263の孔部に差し込まれ、固定されることで、ベース装置200上に取り付けられる。この状態では、支持プレート545の下面に取り付けられた本栓セットアダプター670によって本栓137が保持され、この本栓137の取付け面(下端面)が、サービスチーの立上り管部117の切断面の上方で対向した状態となっている。
図14(A)に示すこの初期姿勢から、作業者が加圧レバー524の把持部を下向きに押し下げると、図14(B)のような状態となる。この状態では、加圧レバー524が押し下げられたのに伴って、それに連結された加圧シャフト526が下方に移動させられ、さらに、その加圧シャフト526連結された可動プレート521も下方に移動させられている。
この可動プレート521を下方に移動させるための作業者からの外力は、加圧シャフト526を介して支持プレート545に直接伝達されるのではなく、左右2つのコイルバネ528を介して一番下の支持プレート545に弾力的に伝わるようになっている。
支持プレート545が図14(B)に示す状態まで下方に移動し、本栓137の下端が立上り管部117の切断面に当接した状態から、加圧レバー524をさらに押し下げると、一番下の支持プレート545はそれ以上動かず(正確には、融着時の潰れ代分は下がる)、中間にある可動プレート521のみが押し下げられることとなる。これにより、両プレート521、545の間にある左右2つのコイルバネ528が圧縮変形させられ、弾性反発力が生じる。この力が支持プレート545に下向きに作用するため、支持プレート545及びそれに保持された本栓137が、立上り管部117の切断面に向けて押し付けられる。
次に、図26を参照して、加圧シャフト526下端のところに配置されたコイルバネ568の機能について説明する。図26に示すように、加圧シャフト526の下端には、上記にも説明したようにリング526bが取り付けられている。このリング526bの外周面は、加圧シャフト526が上下動するのに伴って、支持プレート545側に固定されたスリーブ517の内周面と摺動可能となっている。このリング526bの上面と、スリーブ517の内側天井面との間には、加圧シャフト526を取り巻くようにしてコイルバネ568が配置されている。
このようにして設けられたコイルバネ568は、加圧シャフト526を引っ張り上げたときに機能する。すなわち、図26の矢印に示すように加圧レバー526を上方に引っ張り上げると、同時に、シャフト下端に取り付けられたリング526bもスリーブ517内で上方に移動する。リング526bが上方に移動すると、リング526bとスリーブ天井面との間のコイルバネ568が縮められる。コイルバネ568が縮んだ分のこの弾性力は、スリーブ天井面に上向きに作用し、これにより、スリーブ517が固定された支持プレート545全体が上方に持ち上がることとなる。
このような構成の場合、加圧シャフト526を勢いよく引っ張り挙げたとしても(図12の加圧レバー524を勢いよく持ち上げたとしても)、その力はコイルバネ568を介して支持プレート545に弾力的に伝わるようになっているため、支持プレート545にかかる衝撃が緩和されることとなる。仮に、コイルバネ568が設けられておらず、リング526bがスリーブ天井面にダイレクトに当たって支持プレート545が持ち上がるような構成となっている場合、リング526b及びスリーブ517相互間に大きな衝撃力が加わるため、これらの部材が損傷するおそれもある。これに対して、本実施形態の構成のように、コイルバネ568を介在させるようにすれば、上記の通り衝撃力が緩和され、リンク526bやスリーブ517等の損傷を防止することができる点で有利である。
次に、図15〜図17を参照して面取り工具630について説明する。この面取り工具630は、サービスチーの立上り管部117(図1参照)の切断面を面取りするための工具である。
図15は、面取り工具630を下面側から見た斜視図であり、図16は面取り工具の下面図である。図17は、この面取り工具630が前述した融着工具500の支持プレート545に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図15、図17に示すように、面取り工具630は、支持プレート545の下面に取付固定される略円柱状の本体部631を備えている。この本体部631は、大径部631Aと、この大径部631Aに連なって形成された小径部631Bとで構成され、段付き構造となっている。図17に示すように、この小径部631Bの外径は、前述した支持プレートの円孔533hの内径よりもやや小さく形成されている。これにより、この小径部631Bが円孔533hにちょうど嵌り込むようになっている。本体部631を支持プレート545に固定するためには、例えば、図17に示すように、支持プレート545を貫通して延びるボルト638を使用したビス止めとしてもよい。
このように段付き円柱状に形成された本体部631の中心軸線上には、図15に示すように軸643が回転可能に保持されている。図15では詳細には示していないが、軸643は本体部631をその高さ方向に貫通して上下に延びている。そして、本体部の大径部631A側の端面から突出した軸端部(不図示)には、カッター刃の保持部材である円柱状のカッターホルダー635が取付けられている。このような構成により、軸643とそれに固定されたカッターホルダー635とが、本体部631に対して相対的に回転するようになっている。
図15に示すように、カッターホルダー635の図示上端面には、該カッターホルダー635の径方向にまっすぐに延在するような溝637が掘られている。この溝637は、具体的には、カッター刃639が固定されるまっすぐな取付け溝637aと、それに連なって形成された、切り屑の逃げ溝637bとからなる。
逃げ溝637bは、カッター刃639の刃先639aに対向する部位に形成されている。この逃げ溝637bは、内側が曲面状に形成されており、これにより、カッター刃639により削りだされたサービスチーの削り片(樹脂性)が、この逃げ溝637bに案内されながら排出されるようになっている。
図16(A)からも分かるように、カッター刃の刃先639aはカッターホルダー635の径方向に延びるようにしてまっすぐに形成されている。また、同図に示すように、刃先639aの端部は、カッターホルダー635の外周部から外側に少し飛び出している。また、図16(B)の側面図に示すように、カッター刃639の刃先639aは、カッターホルダー635の図示上面よりも僅かに(高さh分だけ)突出した状態となっている。
上記のように構成された面取り工具630によれば、軸643周りにカッターホルダー635を回転させることで、カッター刃の刃先が立上り管部の切断面117sに食い込み、その切断面117s平らに削っていく。
図17を参照して、カッター刃639の回転駆動源について説明を加える。
図17に示すように、上記した面取り工具630は、融着工具500の支持プレート545下面に取り付けられた際に、その軸643が支持プレート545から上方に向かって突出するようになっている。また、軸643が上方に突出したこの部位に対応するようにして(軸643の上方領域において)、可動プレート521及び上板541のそれぞれに、略U字型(半円型)の切欠き部521k、541kが形成されている。
上記構成により、このU字型の切欠き部521k、541k内に、ハンディ式の市販回転工具680を位置させてこれを使用することができるようになっている。この市販回転工具680は、例えば、回転するチャック681を備えた電動ドリルである。この電動ドリルのチャック681を、上記支持プレートから突出した軸643に連結し、該電動ドリルを駆動することで、軸643、カッターホルダー635、及びそれに取り付けられたカッター刃639が回転することとなる。面取り工具630の上下方向の位置は、作業者がこの市販回転工具680を上下動させることで調整することができる。
上記構成によれば、面取り工具630は、支持プレート545に保持されており、この支持プレート545と共に上下動するようになっているため、面取り工具630(カッター刃639)を正確な姿勢(軌道)で上下動させることができる。そのため、立上り管部の切断面117sの面取りを良好に行うことができるという利点がある。その他の利点などについては、後述する一連の分岐管撤去工程の説明と併せて再度述べる。
次に、本栓セットアダプター670の詳細と本栓融着状態について図18、図19を参照して説明する。
図18は、本栓を保持する本栓セットアダプターの縦断面図である。図19は、最終的に本栓が融着されたガス配管の封止部(図1の切断線B−Bに対応)の縦断面図である。
図12にもその外観を示したが、本栓セットアダプター670は、金属製の、比較的扁平な円柱状部材であり、その底面中央に、本栓137を保持するための円柱状凹部670aが形成されている。この凹部670aは、圧入により本栓137を保持するが、本栓137を切断面に融着した後に、それほど大きな力を要することなく本栓137を該凹部670aから取り外すことができる程度の内径とされている。
本栓セットアダプター670の上面には、雌ネジ孔671が2箇所に形成されている。上述した面取り工具630(図17参照)を支持プレート545に取り付けるのと同じボルト638を用いて、この本栓セットアダプター670を支持プレート545の同じ箇所に取り付けることができるようになっている。
なお、図18の構成では、本栓セットアダプター670の上面がフラットとなっているが、これに限定されるものではない。上述した面取り工具630の本体部と同じように段付き円柱状とし、その小径部が、融着工具500(図3参照)の支持プレートの円孔533hに嵌るようになっていてもよい。
本実施形態で用いる本栓137は、図19に示すような有頂筒状であり、頂部となる水平部137aとその外周部に形成された周壁部137bとからなる。本栓137(周壁部137b)の外径は、一例として、対象となるサービスチー立上り部117の外径と同一である。本栓137は、融着性を考慮して、サービスチーの立上り管部117と同一、あるいは少なくとも同種の材料とされている。
次に、以上のように構成された各種工具を用いた、本発明に係る樹脂分岐管の撤去方法についてまとめて説明する。なお、この「樹脂分岐管の撤去方法」は、図1を参照して前述したように、サービスチー115(その立上り管部117)の根元部分を切断し(図1(A)及び(B)参照)、その切断面に本栓137を融着して最終的な封止を行う(図1(C))ものである。
この撤去方法の全工程を大まかに言えば、まず最初に、元管111に対してベース装置200(図3参照)を取り付ける工程と、次いで、このベース装置200上に切断工具400を装着し、これを用いて立上り管部117の根元を切断する工程と、次いで、同じくベース装置200上に今度は融着工具500を装着し、これを用いて立上り管部の切断面を面取りする工程と、次いで、同じ融着工具500を用いて本栓137をその面取りされた後の切断面に融着する工程と、を含んでいる。
以下、これらの工程について詳細に説明していく。
まず、サービスチーの立上り管部117が切断される前の状態では、ガス配管は図1(A)のような状態となっている。サービスチー115等の具体的な構成については、先の説明で既に述べているので重複した説明は省略し、ここでは先の記載で詳細には説明しなかった事項についてのみ説明を補足する。
図20は、図1のサービスチー115及びその周辺構造を示す一部断面側面図であり、サービスチー(立上り管部117)の内部が描かれている。
図20に示すように、サービスチーの立上り管部117内には、このサービスチー115を元管111に付設した当時に用いた孔開けカッター121が残ったままの状態となっている。
この孔開けカッター121は、元管111に向き合う側の端部が刃先として形成された金属製の円筒部材である。孔開けカッター121の外周面にはネジが切られており、このネジ部が立上り管部117の内周面に螺合している。サービスチー115を元管111に取り付ける際には、この孔開けカッター121を回しながら下方(元管側)に押し進め、刃先を元管111の壁面に押し込んで行くことで、この壁面が穿孔(図2、貫通孔111h参照)される。
孔開けカッター121で元管111に開けられた貫通孔111hは、前述したように、元管111の内部と、サービスチー115及び分岐管113との間の連通孔となる。孔開けカッター121の刃先(下端開口部)の内側には、元管に貫通孔111hを開けた際の切片が保持された状態となっている(図30も参照)。
穿孔の後、孔開けカッター121を、図20に示すような位置にまで上方に移動させることことで、元管111内と分岐部119内とが連通し、下流側へガスが供給される状態となる。
本発明に係る切断・撤去方法では、最初に、地中に埋設されている配管の周囲を掘削して露出させ、図2にも示したように、サービスチー115のチーキャップ118を掴んで回し、立上り管部117から取り外す。
次いで、例えば六角レンチフライなどを用いて孔開けカッター121を回し、同カッターが元管111の貫通孔111h付近に位置するまで下方に移動させる。これにより、この孔開けカッター121が仮栓として機能し、元管111と立上り管部117との間が遮断される。
なお、このように孔開けカッター121を仮栓として使用する方法の他にも、専用の仮栓135を貫通孔111hに詰め込んで、元管111と分岐側との遮断を行うようにすることもできるが、これについては第3の実施形態(図30等参照)として説明するものとする。
次いで、ベース装置200を元管111上に載せることができるように(図4参照)、サービスチーの分岐部119(あるいは分岐管113)を所定長さのところで事前に切断する。
次いで、ベース装置200を、図4に示したように、その左右一対の基部241A、241Bがサービスチー115の両側に位置するようにして、元管111上に置く。この時点では、ベース装置200の最終的な取付固定はなされておらず、ベース装置200は横方向(元管111に沿う方向)に移動可能となっている。
次に、前述した芯出し装置300(図3、図9,図21等参照)用いてベース装置200の横方向の位置出し(芯出し)を行う。図21は、芯出し装置300をベース装置200に取り付けた状態を示す一部断面正面図である。
図21に示すように、芯出し装置300を取り付けるために、同装置に備えられた2本のロッド361の下端をそれぞれ、ベース装置の支持部材263の孔部263h(図7参照)内に差し込む。図7に示したように、この支持部材263の横方向に通されたセットネジ264を締め付けることで、ロッド361の下端が支持部材263の孔部内に固定される。これにより、芯出し装置300とベース装置200とが実質的に一体化する。
次いで、このように芯出し装置300とベース装置200とが一体化した状態で、図21に示すように、芯出し装置の螺合部材317をサービスチーの立上り管部117よりも高く持ち上げつつ、一体化した装置全体の位置を微調整する。すなわち、螺合部材317が立上り管部117の真上にくるように、装置全体の位置を横方向(図21の左右方向、元管に沿う方向に同じ)及び周方向に微調整する。
このように装置全体の位置を微調整したら、次いで、螺合部材317を下降させると共に、それを回して、立上り管部117の上端のネジに螺合させる。このように、螺合部材317をサービスチーの立上り管部117上端に取り付けることで、芯出し装置300及びそれと一体となったベース装置200が、立上り管部117を基準として芯出しされる。
次いで、螺合部材317を立上り管部117上端に取り付けたままの状態で、ベース装置200を元管111に対して本固定する。
すなわち、前述したように、ベース装置200に備えられたチェーン257(図6参照)を元管111の下側を通すようにして引き回し、チェーンの先端を反対側(基部241の溝243dが形成された側)に持ってくる。
そして、チェーン先端に取り付けられたピン257pを溝243d、247d内に引っ掛ける。次いで、チェーン257の基端部が連結されたノブ256を回すことで、徐々にチェーン257が締め上げられ、これにより、基部241A、Bが元管111上にしっかりとクランプされることとなる。
本実施形態のベース装置200では、図21にも示すように、立上り管部117を挟んだ左右2箇所の基部241A、241Bでこのようなチェーンクランプが行われる。したがって、元管111へのベース装置200の取付けは非常にしっかりしたものとなっている。
このようにベース装置200の取付けが完了したら、上記とは逆の手順で、ベース装置200から芯出し装置300を取り外す。すなわち、螺合部材317を回して立上り管部117上端から取り外すと共に、ベース装置の左右2箇所の支持部材のセットネジ264(図7参照)を緩めることで、芯出し装置300を取り外すことができる。
芯出し装置300を取り外すことで、再び、元管111上にベース装置200のみが載せられたような状態となる(図4参照)。
次に、ベース装置200上に切断工具400を装着して、サービスチーの立上り管部117の根元部分を切断する。
図22はベース装置200上に切断工具400を装着した状態の平面図であり、図23はその正面図である。
図22、図23に示すように、ベース装置の受け部材252は立上り管部117を挟んで片側に位置させられている。作業者は、切断工具400を持ち、その2本の位置決めボルト452がこの受け部材252に形成された2つの係合溝252d上となるような位置に移動させる。そこから、切断工具400を鉛直下方に移動させることで、各ボルト452の胴部がそれぞれの係合溝252dに入り込む。前述したように、係合溝252dは鉛直方向に掘り込まれ、この掘り込み方向が切断工具400の取付け方向と同じになっているので、作業性よく、各ボルト452を各係合溝252d内に入れることができる。
このようにして切断工具400がベース装置200上に載せられたら、切断工具400の各ボルト452を締め付ける。これにより、ボルトの頭部と、切断工具400の係合プレート432との間にベース装置の受け部材252が挟持され、切断工具400がベース装置200上に位置決め固定される。
この状態では、図22に示すように、サービスチーの立上り管部117が、切断工具400の係合プレート432及びカッター刃473に挟まれた状態となっている。切断工具400の送りネジ457は、ベース装置200の片方の基部241Bよりもさらに外側に向かって延び出している。切断工具400のフレームの一部(例としてネジ支えプレート431の下面)は、ベース装置の一対の連結ロッド261上に支持される。カッター刃473は水平姿勢(立上り管部117の軸芯と直交する姿勢)となっており、送りネジ457を回転させることで連結ロッドに沿って横方向に押し進められる。
ベース装置200上に切断工具400を装着した後、送りネジ457の工具係合頭部457aにクラッチ付きレンチ等の工具(不図示)を係合させて同ネジを回していく。このとき、図22に示すように、工具係合頭部457aよりもカッター刃473寄りの部位に、把持バー459が垂直に立っているため(図3に分かりやすく示す)、作業者はこの把持バー459を左手で掴みながら、右手で送りネジ457を回すことができる。したがって、力(モーメント力)が込め易くなりネジ送り操作性が向上する。
送りネジ457を徐々にネジ込んでいくと、カッター刃473の刃先が徐々に立上り管部117の外周面に近づいていく。そして、さらに送りネジ457をネジ込むと、カッター刃473が立上り管部117の根元付近に当たり、これを押し切っていく。このように、カッター刃473で立上り管部117を押し切り、サドル部116と分離した後、送りネジ457を前述とは逆方向に回すと、カッター刃473を立上り管部117から離すことができる。
この切断工具400によれば、ベース装置200上に位置決め固定した状態(カッター刃473の姿勢が保たれた状態)で用いることができるので、立上り管部の切断を安定してまっすぐに行うことができる。切断した後の、立上り管部117の切断面117s(図1参照)は、平坦な水平面となる。このような「押し切り」による立上り管部117の切断によれば、人手でノコ等を用いて切断作業を行う場合等と比較して、切断面117sがフラットできれいなものとなる。
一連の切断工程が完了したら、上記とは逆の手順で切断工具400をベース装置200から取り外す。切断工具400を取り外すことで、再び、元管111上にベース装置200のみが載せられたような状態となる(図4参照)。
なお、切断工具400のカッター刃473を元の位置(初期位置)に戻してから切断工具400を取り外しても良いし、戻すことなく取り外してもよい。
次に、ベース装置200上に前述した融着工具500を装着し、この融着工具500を用いて、立上り管部の切断面117sの面取りを行うと共に、面取りを行ったその面に対して本栓137を融着する。
まず、図24に示すように、支持プレート545の円孔533hに、上記した面取り工具630を取り付ける。この取付けは、支持プレート545にボルト638を通して、プレートの下面側に突き出たこのボルトの下端部を面取り工具630の係合孔に螺合させることで行われる。このようにして面取り工具630を取り付けると、同工具のカッター刃を回転させるための軸643が、支持プレート545から上向きに突出した状態となる。
次いで、面取り工具630が取り付けられたこの融着工具500を、ベース装置200上に装着する。なお、面取り工具630の支持プレート545への取り付けを、融着工具500をベース装置200に搭載した後に行ってもよい。ベース装置200上への融着工具500の装着は、図24に示すように、融着工具500の2本のガイドバー561の下端をそれぞれベース装置側の支持部材263の孔部内に差し込んで固定する。これにより、2本のロッドが固定され、融着工具500がベース装置200上に位置決め固定される。
次いで、図17、図24に示すように、ハンディ式の市販回転工具680のチャック681を支持プレートから突出した軸643に連結する。この場合、ハンディ式の市販回転工具680は、支持プレート545の上方にセットされることとなるが、支持プレート545の上にある2枚のプレート(可動プレート521及び上板541)のそれぞれには、前述の通、U字状の切欠き部521k、541kが逃げ部として形成されている。したがって、市販回転工具680をこの切欠き部内に収めて使用することができる。これは、狭い作業スペースであっても良好に作業が実施できることを意味し、また、このような切欠き部521k、541kは融着工具500の軽量化にも寄与する。
市販回転工具680のグリップ部分を把持しそのスイッチを押すことで、市販回転工具680が回転駆動され、それにより面取り工具630のカッター刃639が回転する。作業者が、この市販回転工具680のスイッチを押したまま、同工具680を下向きに押し込んでいくことで、カッター刃639が立上り管部の切断面に食い込み、該切断面が切削されていく。ここで、上述したように、面取り工具630は、支持プレート545に取り付けられており、ガイドバー561に沿って上下移動するようになっている。したがって、面取り工具630のカッター刃639も、立上り管部の切断面に対して、予め規定された所定の角度で当接することなる。そのため、切断面をフラットな状態で、きれいに面削りすることができる。
このよう面取り工具630を用いて面削りを行う場合、面取り工具630のカッター刃639が軸643周りに一周するごとに、切断面が徐々に面削りされていくこととなる。この面削り工程の目的は、立上り管部117の高さを調整するというということよりむしろ、切断面を面削りして平坦な切断面を得るという点にある。したがって、切断面が平坦になったのを見計らって、この面削り工程を終了すればよい。1つの目安として、例えば、均一な切り屑(らせん状の屑片)が出るようになった時点で、この工程を終了するようにしてもよい。
以上のようにして、融着前の事前工程である面取りが終了したら、市販回転工具680及び面取り工具630を支持プレート545から取り外す。次に、この支持プレート545に今度は本栓137を保持するための本栓セットアダプター670を取り付ける。
本栓セットアダプター670の支持プレート545へ取付けは、図18を参照して前述したように、ボルト止めで実施可能である。本栓セットアダプターの凹部670aに本栓137をセットするタイミングは特に限定されるものではなく、同アダプターを支持プレート545に取り付けた後であってもよいし、その前であってもよい。作業性の観点からすれば、本栓137をアダプターに予めセットした後、そのアダプターを支持プレート545に取り付ける方が好ましい。
本栓セットアダプター670に本栓137をセットすると、本栓137の端面137s(融着面)と、立上り管部117の切断面117sが互いに平行に向かい合った状態となる(図27参照)。本栓セットアダプター670(及びそれにセットされた本栓137)は融着工具の支持プレート545に取り付けられているため、本栓137は、ガイドバー561に沿って、立上り管部の切断面117sに対してまっすぐに近接することとなる。
ここで、本栓137を融着するための「バット融着」について図25を参照しながら説明する。
このバット融着は、図25に模式的に示すように、ヒータ110を有する周知のバット融着機を用いるものである。ヒータ110は、発熱抵抗体(不図示)を内蔵しており、200℃以上の温度まで加熱させられる。このバット融着機を利用し、下記のような手順により本栓137を融着する。
まず事前処理として、両部材117、137各端面117s、137sに対し、アセトン等を染み込ませた専用ペーパータオルで清掃を行い、付着していたゴミ等を除去する。次に、バット融着機のヒータ110を所定温度(一例として約210℃)に加熱した状態で、その一面(図中下面)を立上り管部117の切断面117sに当てるとともに、ヒータ110の他面(図中上面)に本栓137の端面137sを当てる。すると、この熱で両端面117s、137sが溶融する。両端面117s、137sが融着に充分な程度にまで溶融した後、ヒータ110を抜き取る。ヒータ110を抜き取る際には、融着工具の加圧レバー524を少し持ち上げて、本栓137をヒータ110から退避させた後に、ヒータ110を引抜くようにすればよい。
ヒータ110を抜いたら、加熱された各端面117s、137sの熱が冷めないうちに、素早く、本栓137を立上り管部の切断面117sに押し付ける。具体的には、図14(B)に示すように、融着工具の加圧レバー524を作業者の人手により所定の押圧力(外力)で下方に押し下げる。これにより、この外力が融着工具の左右2箇所に設けられたコイルバネ528を介して支持プレート545に伝達され、支持プレート545及びそれに保持されている本栓137が、所定の押圧力で立上り管部の切断面117s側に向けて押し付けられることとなる。なお、押圧力を制御する方法については、図28等を参照しつつ後述する。
この押付け状態を所定時間(例えば30秒)継続することで、本栓117が立上り管部の切断面117sに融着される。この30秒という時間は、本栓137を切断面117sに圧着させるために押圧力を積極的に付与する時間である。この時間が経過した後、押圧力を解除して所定時間(例えば3分間)の冷却を行う。
このようにバット融着を用いて本栓137を立上り管部の切断面117sに融着した場合、図25(B)に示すように、最終的な融着面外周には、圧着時の押圧により部材が外側に向かって盛り上がった、リング状のビード126が生じることとなる。このビード126の形状は、本栓137や立上り管部117の材質、融着温度、押圧力の大きさ、及び押圧時間等によって変化する。逆に言えば、本栓の材質や、融着温度等が予め決まっていれば、同形状のビード126が得られるはずである。これを利用して、融着が正常に行われたかどうかの判断を行うこともできる。すなわち、最終的に得られたビード126の形状(例えば径方向外側への突出量など)を計測し、得られたその寸法に基づいて、融着が正常に行われたかどうかを判断することが可能である。このように融着後に生じるビード126を積極的に利用する場合、本栓137の外径が、立上り管部117の外径と同じであることが好ましい。
上記したような一連の工程により、分岐管側が撤去され、サービスチーの立上り管部117の根元部分には本栓137が取り付けられ、この部位が封止される。このような切断・撤去方法によれば、図33〜図35等を参照して説明した従来の撤去方法と比較して、撤去作業後の継手やパイプの残留部を最小とすることができる。
また、以上説明した本実施形態の切断・撤去方法及び樹脂分岐管撤去工具によれば、同じベース装置200に、切断工具400と融着工具500とを取替えて装着して本栓137の融着工程を行うものである。すなわち、元管111に取り付けたベース装置200を、切断工具400及び融着工具500の共通の支持手段として利用するものであるため、各工具400、500ごとに専用のベースを元管111に取り付ける必要がなく、作業の簡素化を図ることができる。また、このように切断工具400と融着工具500とを共通のベース装置に取り付けて作業を行う方法によれば、各工具を別々に元管に固定して作業を行う方法と比較して、本栓137の取付位置のズレを最小限に抑えることができる点でも有利である。その結果、本栓137の融着信頼性が向上し、高品質な分岐管の撤去ができるものとなる。
また、上記本実施形態の切断・撤去方法及び樹脂分岐管撤去工具では、ベース装置200(図3参照)がチェーン又はバンドによって元管111に固定されるものであるため、上述したように、小さな作業スペースであっても、しっかりとベース装置を元管に固定することができる。小さな作業スペースで済むということは、作業対象となるガス配管の周囲を大きく掘り込む必要がないことを意味し、したがって、作業の効率化及び低コスト化にも有利である。
また、上記本実施形態の切断・撤去方法及び樹脂分岐管撤去工具では、融着工具500に関し、図12に示したように、立上り管部の切断面を面取りするための面取り工具630と、面取りが行われた後のその切断面117sに本栓137を押し付けるための本栓セットアダプター670とが、同じ支持手段(支持プレート545)に取付け可能となっている。このため、作業が簡素化し、また、本栓137をより正確な位置に取り付けることができる。
特に、支持プレート545は、2本のガイドバー561に沿って進退移動するように構成されたものである。このように正確な軌道で進退移動する支持プレート545に、面取り工具630及び本栓セットアダプター670がそれぞれ取り付けられる構成となっているため、面取り工具630及び本栓セットアダプター670も、上記立上り管部の切断面117sに対して正確な軌道で進退移動することとなる。したがって、面取り工具630による面取りが高精度に行われることとなる。
また、本栓セットアダプター670も、同じ支持プレート545に取り付けられて進退移動するものであるので、当然ながら、その進退移動の軌道が面取り工具630の軌道と一致することとなり、したがって、立上り管部の切断面117sに対して、本栓137を正確な角度で押し付けることが可能となる。
また、上記本実施形態の切断・撤去方法及び樹脂分岐管撤去工具では、元管111にベース装置200を完全に固定する前に、芯出し装置300(図3、図21参照)を用い、サービスチーの立上り管部117を基準として、ベース装置200の芯出しが行われるようになっているため、ベース装置200が元管上の正確な位置に固定されることとなる。ベース装置200と元管111との相対位置関係が正確ということは、それ以降の工程(すなわち立上り管部の切断工程や、該切断面への本栓の融着工程など)を正確に行うことができることを意味する。
なお、上記形態では、芯出し装置300の螺合部材317内側の雌ネジが立上り管部上端の雄ネジ117cに螺合される構成であった。このように、螺合により両部材同士が固定される構成の場合、両部材同士の位置出しが比較的正確に行われ、その結果、芯出しを正確に行えるという利点がある。
もっともこれに限らず、例えば、螺合部材317に替えて、芯出し装置の支持軸357の下端に、立上り管部117の内部に嵌り込むような挿入部材(不図示)が取り付けられていてもよい。この挿入部材は例えばその下端(挿入される側の端部)がやや先細りとなる栓状の部材である。この挿入部材の下端を、立上り管部の内部に押し込むことで、該挿入部材が立上り管部117上端に固定され、これにより、ベース装置200の芯出し可能となる。あるいは、この挿入部材の外周面に雄ネジが切られており、この雄ネジが、立上り管部の内周面の雌ネジに螺合するようになっていてもよい。
上記本実施形態の切断・撤去方法及び樹脂分岐管撤去工具では、切断工具400によって、立上り管部117が元管と平行な方向に切断されるものであった。このように切断面が平行面の場合、次のような利点が得られる。すなわち、本実施形態に係る融着工具500は、前述の通り、本栓137を元管に対して垂直な方向に押し付けるものであった。したがって、立上り管部の切断面が水平面であれば、融着工具500を介して本栓137がこの水平面に対して垂直に押し付けられることとなる。このように本栓が垂直に押し付けられる構成となっていることにより、融着が行い易くなり、また、形成される融着部の信頼性も向上する。
また、切断工具400は、そのカッター刃を立上り管部に対して徐々に進行させて同管部を切断していく、いわゆる「押し切り」タイプのものである。押し切りの場合、カッター刃をスライドさせるだけでよいので、切断工具を比較的簡単な構成で作ることができるという利点がある。また、カッター刃がまっすぐに進むものであるため、最終的な切断面もフラットできれいなものとなる。
また、上記本実施形態の切断・撤去方法及び樹脂分岐管撤去工具では、面取り工具630のカッター刃639を回転させる駆動源にハンディ式の市販回転工具680を利用することができるものであった。このような構成によれば、工具に専用の駆動源(モーターや電源等)を設ける必要がないため、工具(融着工具500等)の構成が小型・簡素化し、また、軽量化にも有利である。特に、本発明に係るこれらの工具は、屋外に持ち出され、外で使用されることが多いものであるため、可搬性に優れていることが望ましいところ、上記構成によればそうした要求にも沿うことができる。
また、本実施形態の構成では、融着工具500のコイルバネ528が工具の左右2箇所に設けられ、支持プレート545の両端部に、このコイルバネ528からの弾性力が付与される構成となっている。このような構成によれば、支持プレート545に加わる力が均一化し、支持プレート545が傾いて押し下げられるといった不具合も生じにくくなる。したがって、面取り工具630の押し付けや、本栓137の押し付けを良好に行うことができるようになる。ここで、コイルバネ528は、支持プレート545のガイド部材であるガイドバー561に取付けられる構成となっている。すなわち、専用の保持具を新たに設けて、そこにコイルバネ528を取付けるのではなく、支持プレート545の支持部材であるガイドロッド561に取付ける構成としているので、比較的簡単な構成で済むという利点もある。
ここで、上記した本実施形態の切断・撤去方法及び各工具について説明を補足する。
まず、ベース装置200を元管111上に載せる際の事前工程として(図4参照)、サービスチーの分岐部119を切断する場合、この切断は例えばノコ等を用いて実施可能である。あるいは、本発明に係る工具の1つである切断工具400(図10参照)を用いて分岐部119を切断することも可能である。この場合、切断工具400のフレームを構成する係合プレート432が下側となるような向きで、該切断工具400を立てた状態で分岐部119のところにセットする。ここで、係合プレート432の外側面に形成された凹部432aがサービスチーの所定の突起部に係合するようになっていれば、切断工具400をこのように立てた姿勢でセットする場合であっても、そのセット及び切断を安定して行うことができる。
切断工具400を用いてサービスチーの立上り管部117の根元部分を切断する際に(図23等参照)、サービスチー上面のターミナル116a(電気的接続部、図4参照)がその切断の妨げとなるような場合、すなわち切断工具のカッター刃473がターミナル116aと干渉してしまうような場合、予めこのターミナル116aを除去しておくのが好ましい。この除去は、例えば喰い切りと呼ばれる工具を用いて実施可能である。作業者が喰い切りで左右2箇所のターミナル116aを除去することで、サービスチーのサドル部116上面がフラット化し、その後の切断工程を行い易くなる。
(第2の実施形態)
図27は、図12に示した上述の融着工具500に、支持プレート545に加わる外力の大きさを表示するための適正押圧力表示部590をさらに設けた構成を示す縦断面図である。図28は、図27の適正押圧力表示部の一部を示す斜視図である。
図27、図28に示す融着工具500′は、図示右側の側部(加圧レバー524の持ち手側)にこの適正押圧力表示部590を備えている。具体的には、この適正押圧力表示部590は、融着工具の支持プレート545の側面にその下端が取り付けられ、まっすぐに上方に延び出した平板状の目盛り板591を有している。
この目盛り板591は、例えば、金属製の細長い板材であり、その上端は、可動プレート521(中板)よりも上方に延び出している。目盛り板591と可動プレート521とは相互に固定されてなく、可動プレート521は、目盛り板591に対して相対的に移動可能となっている。
図27は、支持プレート545に保持された本栓137が立上り管部の切断面117sに当接した状態を示している。この状態では、加圧レバー524には、本栓137を押圧するのに寄与する力は加えられていない。この状態では、可動プレート521や支持プレート545(さらには、それらプレートに連結された種々の要素)の自重分の力のみが、本栓137を下向きに押し付ける力として同部材に作用している。
この状態から、作業者が加圧レバー524を押し下げると、加圧レバー524に連結された加圧シャフト526及びそれにピン結合された可動プレート521が押し下げられる(図中の破線参照)。前述のように、このように可動プレート521が押し下げられることで、左右2つのコイルバネ528が圧縮させられる。それにより生じた弾性反発力が支持プレート545に対して下向きに作用することとなる。
このような構成の場合、コイルバネ528の変形量と、支持プレート545に加わる押圧力との間の比例関係が成立する。すなわち、コイルバネ528がどれくらい圧縮されたか(換言すれば、可動プレート521がどのくらいの位置まで押し下げられたか)が分かれば、支持プレート545にどれくらいの押圧力が作用しているかが分かる。上記適正押圧力表示部590は、このことを利用して、支持プレート545に一定の押圧力を加えることができるようにしたものである。
図28に示すように、目盛り板591の外側面には、支持プレート545の位置に応じた押圧力の大きさが目盛りとして表示されている。この目盛りは、「垂直時」として示す第1の表示部591aと、「水平時」として示す第2の表示部591bとを含んでいる。これは、融着工具500の使用時姿勢を考慮したものである。すなわち、この融着工具500は、多くの場合は、図27に示すような鉛直姿勢で使用されるものであるが、これに限らず、水平姿勢(つまり、元管111に対して横向きに取り付けられた状態)で使用することも可能である。
鉛直姿勢で使用する場合、上術したように、作業者からの押圧力とは別に、支持プレート545や可動プレート521等の自重による力が、支持プレートに加わる押圧力にプラスされる。一方、水平姿勢で使用する場合には、そうした自重による力が加わらない。本実施形態の構成では、このような自重による実押圧力の変化を考慮して、垂直姿勢用の第1の表示部591aと、水平姿勢用の第2の表示部591bとの2つが用意されている。これにより、使用姿勢の変化に関わらず、適正な押圧力が表示されるようになっている。
図28に示すように、第1、第2の表示部591a、591bのそれぞれに対応して、可動プレート521の側面には2つのインジケータ592A、592Bが、目盛り板591の左右両側に1つずつ設けられている。このインジケータ592A、592Bが示す各表示部591a、591bの値を読むことで、現在、支持プレート545にどれくらいの押圧力が作用しているのか(換言すると、本栓137をどれくらいの押圧力で切断面に押し付けているのか)が分かるようになっている。
図28の例では、本栓137の大きさが呼び径25の場合と呼び径30の場合との2種類の表示が用意されている。このように、異なる押圧力の数種類の表示が用意されていれば、様々な種類の本栓の融着に対応できるようになるため、好ましい。
以上説明したような本実施形態の融着工具500′では、本栓137を融着(圧着)する際に、作業者は、この適正押圧力表示部590を見ながら加圧レバー524の位置を適正に保ち、その結果、本栓137の押付けを一定の力で行うことができる。したがって、本栓融着時のミスを大幅に低減することができ、高信頼性の融着部を形成することが可能となる。
(第3の実施形態)
第1の実施形態として説明した上記分岐管の切断・撤去方法において、サービスチーの立上り管部117内に仮栓を詰める際に、ノーブローガスバッグと呼ばれる封止作業用具を用いてこの作業を行うようにしてもよい。以下、これについて図29〜図31を参照して説明する。
図29は、ノーブローガスバッグと、それが取り付けられたサービスチー及びその周辺を示す一部断面側面である。
図30は、図29の状態からサービスチー内の孔開けカッターを取り出して仮栓を詰めようとしている状態を示す一部断面側面である。
図31は、仮栓が詰められた状態のサービスチーの根元部分を拡大して示す一部断面側面図である。
図29に示すように、ノーブローガスバッグ131は、密閉袋の上下に2つの開口部が設けられた透明の樹脂製の袋状体である。上部の開口部は、その周囲はゴム等が取り付けられた絞り口131aとなっており、伸縮自在で、ここから作業者の手を入れることができるようになっている。下部の開口部の周囲には、ゴム等製の防護板131bが取り付けられている。
ノーブローガスバッグ131を取り付ける場合、作業者はまず、その下部開口部をサービスチーの立上り管部117の上端の雄ネジ117cの外周に嵌め込む。具体的には、下部開口部(防護板131b側)をサービスチーの立上り管部117上端に通し、鍔部117aまで下ろす。これにより、立上り管部117の上端の雄ネジ117cが、ノーブローガスバッグ131の内部に突出した状態となる。
次いで、図29に示すように、ノーブローガスバッグ131の絞り口131aからバッグ固定治具133をバッグ内に入れ、バッグ内部で、そのリング状のバッグ固定治具133を立上り管部117の雄ネジ117cに取り付ける。これにより、ノーブローガスバッグ131の下部開口部が、鍔部117aとバッグ固定治具133との間に挟持される。これにより、ガスバッグの下部開口部が密閉な状態となる。図29のように絞り口131aから手Hを入れると、絞り口131aの伸縮作用により絞り口131aと手Hとの間も密閉された状態となる。このように、図29のノーブローガスバッグ131ではバッグ内に手Hを入れ、その内部で気密に作業をすることができるようになっている。
次に、図30に示すように、ノーブローガスバッグ131の絞り口131aから手Hを入れた状態で、立上り管部117内に残ったままとなっていた孔開けカッター121を取り外す。この際、立上り管部117の上端開口部から六角レンチフライ等の工具を挿入し、孔開けカッター上部の係合孔に係合させて、孔開けカッター121を回しながら取り外すようにしてもよい。このようにして孔開けカッター121を取り外した後、仮栓135を立上り管部117内に押し込む。
図31に示すように、この仮栓135は、ゴム製等であり柔軟性を有する円柱状部材である。その長さ(高さ寸法)は、図31に示すように、元管111の貫通孔と、それに連通するサービスチー側のサドル部116の貫通孔との双方を封止できる程度であればよい。
そのため、柔軟性を有する上記仮栓135は、例えば押込みバー102等の工具を用い、立上り管部117内周面の雌ネジ117bのネジ山に抗しながら押し込まれるものであってもよい。仮栓135を挿入することで、元管111内部とサービスチーの分岐部119(及び分岐管113)内部との間がシールされる。よって、以降の工程(例えば、立上り管部の根元部分の切断工程、その切断面に対する面取り工程、及び、本栓の融着工程など)においても、ガスの漏出を伴うことなく良好に作業を行うことができる。
なお、仮栓135で元管111とサービスチー115との間をシールした後は、上記とは逆の手順で、バッグ固定治具133及びノーブローガスバッグ131を取り外し、以降、第1の実施形態で説明したような、サービスチーの分岐部119の切断及び立上り管部117の根元の切断等を実施することができる。
本発明に係る樹脂製分岐管の撤去方法において切断の対象となるサービスチー、及びそれが取り付けられる元管を示す斜視図である。
図1のサービスチー及びその周辺構造を示す一部断面側面図である。
本発明に係る樹脂分岐管切断工具をまとめて示す斜視図である。
ベース装置が、ガス配管の元管上にセットされた状態を示す斜視図である。
ベース装置単体の三面図であり、図5(A)は同装置を上面側から見た平面図、図5(B)は正面図、図5(C)は右側面図、図5(D)はX−X線のところから見た右側面図である。
図5の右側面図(C)、(D)をそれぞれ拡大して示す図である。
ベース装置の上面に設けられた工具取付け用の支持部材の構成を示す縦断面図である。
図3の芯出し装置を斜め上方からみた斜視図である。
図8の芯出し装置の平面図(図9(A))及び縦断面図(図9(B))である。
図3の切断工具を斜め上方から見た斜視図である。
図10の切断工具の三面図である。
図3の融着工具、及びそれに取り付けられる面取り工具及び本栓セットアダプターを斜め上方から見た斜視図である。
図12の融着工具の縦断面図である。
図12の融着工具の使用方法を説明するための縦断面図である。
面取り工具を下面側から見た斜視図である。
図15の面取り工具の下面図及び側面図である。
面取り工具が融着工具の支持プレートに取り付けられた状態を示す斜視図である。
本栓を保持する本栓セットアダプターの縦断面図である。
最終的に本栓が融着されたガス配管の封止部(図1の切断線B−Bに対応)の縦断面図である。
樹脂分岐管が撤去される前のサービスチー及びその周辺構造を示す一部断面側面図である。
芯出し装置をベース装置に取り付けた状態を示す一部断面正面図である。
ベース装置上に切断工具を装着した状態を上面側からみた平面図である。
図22の状態の正面図である。
融着工具をベース装置に取り付けた状態を示す一部断面正面図である。
バット融着について説明するための、本栓及び立上り管部などの縦断面図である。
図12の融着工具の構成をより具体的に説明するための一部断面正面図である。
融着工具に付加的要素として適正押圧力表示部を設けた例を示す一部断面正面図である。
図27の適正押圧力表示部の目盛り等に説明するための斜視図である。
本発明に係る撤去方法のより具体的な一例について説明するための図であり、ノーブローガスバッグとそれが取り付けられたサービスチー及びその周辺を示す一部断面側面である。
図29の状態からサービスチー内の孔開けカッターを取り出して仮栓を詰めようとしている状態を示す一部断面側面である。
仮栓が詰められた状態のサービスチーの根元部分を拡大して示す一部断面側面図である。
チー型の電気融着継手を用いた樹脂製配管の一例を示す一部断面側面図である。
従来の樹脂製分岐管の撤去方法の概要を示す一部断面側面図である。
従来の樹脂製分岐管の撤去方法の概要を示す一部断面側面図である。
従来の樹脂製分岐管の撤去方法の概要を示す一部断面側面図である。
符号の説明
110・・・ヒータ、111・・・元管、111h・・・貫通孔、113・・・分岐管、115・・・サービスチー、116・・・サドル部、116a・・・ターミナル、116h・・・貫通孔、117・・・立上り管部、117c・・・雄ネジ、117s・・・切断面、118・・・チーキャップ、119・・・分岐部、123・・・電気融着ソケット、126・・・ビード、131・・・ノーブローガスバッグ、133・・・バッグ固定治具、135・・・仮栓、137・・・本栓、137a・・・水平部、137b・・・周壁部、200・・・ベース装置、241A、241B・・・基部、243・・・側板、243d・・・溝、244・・・V溝、245・・・連結軸、247・・・基台、247a、247b・・・端部、247d・・・溝、247t・・・水平面、252・・・受け部材、252a・・・逃げ部、252d・・・切欠き部、252d・・・係合溝、256・・・ノブ、261・・・連結ロッド、263・・・支持部材、264・・・セットネジ、311・・・ベースプレート、317・・・螺合部材、317c・・・雌ネジ、356・・・スリーブ、357・・・支持軸、357a・・・把手部材、361・・・ロッド、361a・・・下端、363・・・鍔付きスリーブ、431・・・ネジ支えプレート、432・・・係合プレート、432a・・・凹部、452・・・固定用ボルト、456・・・雌ネジ部材、457・・・送りネジ、457a・・・工具係合頭部、459・・・把持バー、461・・・ガイドロッド、473・・・カッター刃、475・・・移動刃物台、475c・・・凹部、500、500′・・・融着工具、513、514・・・ガイドスリーブ、517・・・スリーブ、517a・・・天井面、520・・・加圧機構、521・・・可動プレート、524・・・加圧レバー、524a・・・長孔、526・・・加圧シャフト、526b・・・リング、526p・・・ピン、527・・・連結部材、527p・・・ピン、528・・・コイルバネ、529・・・支持部材、529p・・・ピン、533h・・・円孔、545・・・支持プレート、561・・・ガイドバー、563・・・ボルト、568・・・コイルバネ、590・・・適正押圧力表示部、591・・・目盛り板、592・・・インジケータ、617・・・雌ネジ孔、630・・・面取り工具、631・・・本体部、635・・・カッターホルダー、637・・・溝、638・・・ボルト、639・・・カッター刃、639a・・・刃先、643・・・軸、670・・・本栓セットアダプター、670a・・・凹部、680・・・市販回転工具、681・・・チャック