JP4807912B2 - 中空糸膜モジュールおよびその製造方法 - Google Patents

中空糸膜モジュールおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空糸膜モジュールおよび中空糸膜モジュールの製造方法に関するものである。詳しく述べると、中空糸膜型透析器、中空糸膜型限外濾過器、中空糸膜型人工肺等の中空糸膜モジュールおよび中空糸膜モジュールの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
中空糸膜で隔てられる第1の流路を流れる第1流体と第2の流路を流れる第2流体との間で該中空糸膜を介して透析、濾過、拡散等の物質交換を行う中空糸膜モジュールでは、その交換効率を向上させるためにモジュール内での多数の中空糸膜を均一に充填率を高めることが検討されている。
【0003】
例えば、血液浄化療法において、血液と透析液との間で大量液置換をするために、従来の、血液透析濾過法、オンライン血液透析濾過法(Henderson,L.W.et al:Trans.Am.Soc.Artif.Intern.Organs 24 465-467(1978))およびプッシュアンドプル血液透析濾過法(Usuda,M.et al:Trans.Am.Soc.Artif.Intern.Organs 28 24-27(1982))を改善し発展させた、中空糸膜束とハウジングの間に透析液流路の狭窄部を設けたものが提案されている。具体的には、筒状のハウジング内に、中空糸膜の束と、該中空糸膜で隔てられた第1の流路および第2の流路を有し、該中空糸膜を介して該第1の流路を流れる体液と、該第2の流路を流れる透析液との間で透析および限外濾過を行う透析器であって、透析液膨潤性を有する材料を用いて該第2の流路の途中に狭窄部を設け、該狭窄部の透析液上流側と下流側とで該透析液に圧力差が生じるように構成されてなる透析器により達成するものである(特開平8−192031号)。
【0004】
また、中空糸膜型人工肺では、ハウジングと中空糸膜束の間に拡張性の流体室を設け、ハウジング外部より該流体室に流体を導入し、流体室を拡張させ、結果として、中空糸膜束の充填率を高めることも提案されている(実開昭60−52843号)。
【0005】
さらには、中空糸膜束とハウジングの間に発泡体を配置することも提案されている(特開昭51−133185号、特開平8−967号)。
【0006】
しかしながら、従来の方法においては、組み立て作業が複雑となり、また、特に中空糸膜モジュールが治療のために用いられる場合、安全性を担保するために使用できる材料が制限されるという欠点を有していた。
【0007】
さらに、ハウジングの内部に多数の中空糸膜を収納する場合に、ハウジングの内径が狭窄しているところで、中空糸膜の膜束の外周部が狭窄部を構成する硬い部分で押圧されることになるので、該集束外周部付近の中空糸膜が歪み、また、該膜束の芯部では充填率が変わらない、すなわち、中空糸膜同士の間隙が変わらないという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記欠点を解決した新規な中空糸膜モジュールおよび中空糸膜モジュールの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の構成により達成される。
【0010】
(1) 内腔と外面と開口した両端部を有する筒状体に、濡れた状態の多数の中空糸膜からなる中空糸膜束を挿入し、該筒状体に挿入したままの状態の該中空糸膜束を乾燥させた後、該筒状体の端部の形状に適合した部分を有するハウジングの該適合した部分に該筒状体を契合し、該筒状体と該ハウジングを固定し、該中空糸膜束の両端部において該ハウジングと各該中空糸膜の外面を中空糸膜内腔が開口した状態で液密に固定することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
【0011】
(2) 前記適合した部分が、前記ハウジングの内面であることを特徴とする上記(1)に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
【0012】
(3) 前記筒状体の端部の形状が、該筒状体のテーパ形状を有する外面であり、前記適合した部分が、前記ハウジングのテーパ形状を有する内面であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
【0013】
(4) 前記筒状体において、前記内腔がテーパ形状を有し、該内腔のテーパ角度が前記外面のテーパ角度よりも小さいことを特徴とする上記(1)ないし(3)の何れかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
【0014】
(5) 前記ハウジングが二つの部材からなり、一方の該部材が、前記筒状体の一方の端部の形状に適合した部分を有し、他方の該部材が、前記筒状体の他方の端部の形状に適合した部分を有し、該筒状体の両端とそれぞれ適合する該部材のそれぞれの部分を契合し、該筒状体の両端と該ハウジングの二つの部材をそれぞれ液密に固定することを特徴とした上記(1)に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
【0015】
(6) 前記筒状体に、該筒状体の内腔断面積に対して前記中空糸膜外径基準で充填率68%以上78%以下、長さが30mm以上212mm以下で前記中空糸膜束を装填することを特徴とする上記(1)ないし(5)の何れかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
【0016】
(7) 前記中空糸膜モジュールが、透析および限外濾過を行う透析器であることを特徴とする上記(1)ないし(の何れかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
【0017】
(8) 内腔とテーパを有する外面と開口した両端部を有する筒状体、該筒状体の内腔にその一部が覆われた多数の中空糸膜からなる中空糸膜束、および、該筒状体の外面のテーパ形状に適合した内面を有するハウジングを有し、該ハウジングは、前記筒状体の内腔にその一部が覆われた多数の中空糸膜からなる中空糸膜束を覆い、該中空糸膜束の両端部において各該中空糸膜の内腔が開口した状態で各該中空糸膜の外面と該ハウジングとの間を液密に固定する隔壁を有し、該筒状体と該ハウジングとが実質的に固定されていることを特徴とする中空糸膜モジュール。
【0018】
(9) 前記筒状体において、前記内腔がテーパ形状を有し、該内腔のテーパ角度が前記外面のテーパ角度よりも小さいことを特徴とする上記(8)に記載の中空糸膜モジュール。
【0019】
(10) 前記筒状体において、前記内腔のテーパ角度が該筒状体の両端部から該筒状体の軸方向中心に向かって径縮するように形成されていることを特徴とする上記(8)または(9)に記載の中空糸膜モジュール。
【0020】
(11) 内腔と外面と開口した両端部を有する筒状体、該筒状体の内腔にその一部が覆われた多数の中空糸膜からなる中空糸膜束、該筒状体の一方の端部と液密に接合したハウジング第1部材、および、前記筒状体の他方の端部と液密に接合したハウジング第2部材を有し、該ハウジング第1部材および該ハウジング第2部材は、該筒状体の内腔に覆われていない部分の該中空糸膜束を覆い、該中空糸膜束の両端部において各該中空糸膜の内腔が開口した状態で各該中空糸膜の外面と該ハウジング第1部材および該ハウジング第2部材との間をそれぞれ液密に固定する隔壁を有することを特徴とする中空糸膜モジュール。
【0021】
(12) 前記中空糸膜束が前記筒状体の内腔に、その断面において、中空糸膜外径基準で充填率68%以上78%以下、長さが30mm以上212mm以下で充填されていることを特徴とする上記(8)ないし(11)の何れかに記載の中空糸膜モジュール。
【0022】
(13) 前記筒状体の両端部間の長さが中空糸膜の有効長の13%以上90%以下であることを特徴とする上記(8)ないし(12)の何れかに記載の中空糸膜モジュール。
【0023】
(14) 前記中空糸膜モジュールが、前記中空糸膜で隔てられる第1の流路および第2の流路を有し、該中空糸膜を介して該第1の流路を流れる体液と、該第2の流路を流れる透析液との間で透析および限外濾過を行う透析器であることを特徴とする上記(8)ないし(13)の何れかに記載の中空糸膜モジュール。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の中空糸膜モジュールの製造方法および中空糸膜モジュールを図面を参照しつつ説明する。
【0025】
本発明の中空糸膜モジュールの一実施態様の透析器を図1に示す。同図に示すように、中空糸膜モジュール1はハウジング31と、その両端にそれぞれ液密に接続、固定されたヘッダー32および33とで構成される全ハウジング3とからなる。ヘッダー32の頂部には、血液流入口34が突出形成され、ヘッダー33の頂部には、血液流出口35が突出形成されている。また、ハウジング31のヘッダー33側の側部には、透析液流入口36が突出形成され、ハウジング31のヘッダー32側の側部には、透析液流出口37が突出成形されている。
【0026】
ハウジング31内には、該筒状体100が挿入されており、該筒状体100には中空糸膜41の束4が収納されており、該中空糸膜はハウジング31内のほぼ全長にわたっている。中空糸膜41としては、例えば、再生セルロース、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリスルフォン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルポリアミド、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル系ポリマーアロイで構成されるものが挙げられる。
【0027】
各中空糸膜41の両端部は、それぞれ、ハウジング31の端部において、中空糸膜41の内腔の端部開口が閉塞されない状態で、隔壁51および52により液密に支持固定されている。隔壁51および52は、例えばポリウレタン、シリコーン、エポキシ樹脂のようなポッティング材で構成され、中空糸膜41の束4の存在下で、液状のポッティング材を遠心注入法によりハウジング31の両端部に注入し、硬化させることにより形成される。
【0028】
ヘッダー32と隔壁51とで囲まれる空間には、血液流入室61が形成され、ヘッダー33と隔壁52とで囲まれる空間には、血液流出室62が形成されている。各中空糸膜41の内腔(中空部)には、血液が流れる第1の流路(血液流路)6が形成されており、該第1の流路6の両端は、それぞれ、前記血液流入室61および血液流出室62に連通している。
【0029】
また、全ハウジング3のハウジング31と、両隔壁51および52とで囲まれる空間において、中空糸膜41の束4とハウジング31の内周面との間隙および隣接する中空糸膜41同士の間隙、ならびに中空糸膜の束4と筒状体100の内腔との間隙には、透析液が流れる第2の流路(透析液流路)7が形成されている。すなわち、前記第1の流路6と第2の流路7とは、各中空糸膜41で隔てられている。第2の流路7の上流側は、透析液入口36に連通し、下流側は、透析液出口37に連通している。
【0030】
本発明の中空糸膜モジュールの製造方法は、内腔と外面と開口した両端部を有する筒状体100に、濡れた状態の多数の中空糸膜41からなる中空糸膜束4を挿入し、該筒状体100に挿入したままの状態の該中空糸膜束4を乾燥させ、ついで、少なくとも該筒状体100の端部の形状に適合した部分を有するハウジングの該適合した部分に該筒状体を契合し、該筒状体100と該ハウジングを固定する工程を有するものを含む。さらに、上記の通り、該中空糸膜束4の両端部において、該ハウジングと各中空糸膜の外面を中空糸膜内腔が開口した状態で液密に固定するものである。ここで、該筒状体と該ハウジングの間の固定とは、図1の実施例の如く、該筒状体の端部が適合する部分が、該ハウジングの内面であって、該筒状体が該ハウジングに覆われて、第2の流路が形成される場合には、接着、融着等により固着させることだけではなく、該ハウジング内に形成した突起を該筒状体を乗り越えさせる等して、実質的に所定の個所から移動することのないようにすることも含む。また、後に説明する図4の実施例の如く、ハウジングが二つの部材からなり、該二つの部材の端部が、それぞれ筒状体のそれぞれの端部とが接合することで、第2の流路が形成される場合には、接着、融着等により液密に接合されなければならない。
【0031】
中空糸膜束4の一部は、筒状体100で覆われており、筒状体100の内腔の直径(内径)は、ハウジング31の内径より小さくなっているので、ハウジング内側31と中空糸膜束4の間にあって、第2の流路7の狭窄部8を形成している。筒状体100の外面は、ハウジング31の内面に実質的に密着するように設定されており、ハウジング31の内面は筒状体100の外面に適合した形状をしている。すなわち、ハウジング31の内面のテーパ角度と筒状体100の外面のテーパ角度は、ほぼ一致する。したがって、狭窄部8は、中空糸膜束4の他の部分と較べ、中空糸膜の充填率が高くなっている。
【0032】
ここで、中空糸膜束の充填率とは、ハウジング31、あるいは筒状体100の内面により形成される中空糸膜長さ方向に垂直の断面の面積に対する、同じ断面における各中空糸膜の外径により求められる中空糸膜の占有する断面積の総和の割合である(中空糸膜外径基準の充填率とする)。
【0033】
本発明の中空糸膜モジュールは、上記充填率を容易に高めることができるので、透析器の場合には、各中空糸膜の隙間への透析液の分散が良好となり、透析性能が向上し、また、中空糸膜型人工肺においては、ガス交換能の向上が期待できる。さらに、透析器の場合、第2の流路を流れる透析液の透析液入口と透析液出口との圧力差(透析液側圧力損失)が大きくなるので、近年、検討が進んでいる逆濾過推進型の透析器として機能させることができ、物質除去能が飛躍的に向上することが期待できる。これについては、特開平8−192031号で確認されている。
【0034】
本発明においては、上記充填率を高めるために、中空糸膜束を濡れた状態で筒状体100に装填し、ついで筒状体100に装填したまま、中空糸膜束を乾燥させる。さらに、筒状体100と共に中空糸膜束4をハウジング31に挿入する。中空糸膜束4における各中空糸膜41は、乾燥状態では、隣り合う中空糸膜同士の角度の違い、湾曲の違い等により互いの間に間隙が形成されるため、コンパクトな中空糸膜束を得ることができない。中空糸膜束の外周部より外力を加えて、中空糸膜束を圧縮した場合、中空糸膜束の外周近傍の各中空糸膜は隣接する中空糸膜に圧迫され、中空糸膜内径の潰れを来たしてしまう。一方、中空糸膜束が濡れた状態では、水の表面張力等により、各中空糸膜の隙間は、乾燥状態に較べ小さくなり、コンパクトな中空糸膜束を得ることが容易である。しかしながら、濡れた状態の中空糸膜束をハウジングに直接挿入した場合、ハウジングには、隔壁形成部分や透析液ポート等の第2流体の流出入口が設けられているので、前記隔壁を形成するためのポッティング操作の準備として中空糸膜束の乾燥、その他の操作を行う際、嵩高く、煩わしものとなる。
【0035】
本発明に従えば、前記の問題は解決され、容易に充填率の高い中空糸膜モジュールを得ることができる。
【0036】
本発明は、前記中空糸膜束が前記筒状体の内腔に、その断面において、中空糸膜外径基準で68%以上78%以下の充填率で装填されていることが好ましい。より好ましくは、70%以上78%以下、さらに好ましくは73%以上76%以下である。下限値よりも低い場合、筒状体100を追加することによる部品点数と工程の増加に見合うだけの性能向上を得る事ができず、上限値より高い場合、中空糸膜の潰れ、キズの頻度が高くなってしまう。
【0037】
また、本発明の中空糸膜モジュールは、中空糸膜で隔てられる第1の流路および第2の流路を有し、該中空糸膜を介して該第1の流路を流れる体液と、該第2の流路を流れる透析液との間で透析および限外濾過を行う透析器であることが好ましい。このような透析器であれば、第2の流路の流体である透析液を整流化することによる各中空糸膜間への分散の向上による効果だけでなく、透析液の圧力損失の上昇による逆濾過を増加させることができる。
【0038】
また、前記筒状体の両端部間の長さが中空糸膜の有効長の13%以上90%以下であることが好ましい。より好ましくは20%以上65%以下、さらに好ましくは40%以上65%以下である。下限値よりも低い場合、筒状体100を追加することによる部品点数と工程の増加に見合う性能向上を得る事ができず、上限値より高い場合、作業の煩雑さと中空糸膜の潰れ、キズの発生頻度が高くなってしまう。ここで、中空糸膜の有効長とは、ハウジングに収容されている中空糸膜のうち、隔壁に埋め込まれていない部分であり、実質的に濾過や透析が行われる部分の長さである。
【0039】
また、前記筒状体の両端部間の長さ、すなわち中空糸膜充填率の相対的に高い部分の長さが30mm以上212mm以下であることが好ましい。より好ましくは50mm以上155mm以下、さらに好ましくは100mm以上155mm以下である。下限値よりも低い場合、筒状体100を追加することによる部品点数と工程の増加に見合う性能向上を得る事ができず、上限値より高い場合、作業が煩雑となり、また、有効膜面積の低下により、部品点数と工程の増加に見合う性能向上を得る事ができなくなってしまう。
【0040】
さらに本発明は、前記筒状体において、前記内腔のテーパ角度が前記外面のテーパ角度よりも小であることが好ましい。筒状体の外面のテーパ角度は、ハウジング内面のテーパ角度に適合しており、好ましくは同一のテーパ角度を有する。通常、中空糸膜モジュールのハウジングは、合成樹脂を射出成型することによって製造されるので、成型用の芯金を抜き取るために、ハウジング内面には、少なからずテーパ角度を有している。本発明の筒状体の内腔のテーパ角度を筒状体の外面のテーパ角度よりも小さくすることによって、筒状体の一方の端部の中空糸膜束の充填率と、他方の端部の充填率をほぼ同じにすることができるので、第2の流体の圧力損失を効果的に高めることができる。
【0041】
ハウジング31、ヘッダー32、および33は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、アクリル系樹脂、硬質ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、ポリスチレン等の各種硬質樹脂で構成されており、内部の視認性を確保するために、透明または半透明であるのが好ましい。また、血液の入側と出側の区別を容易にするために、ヘッダー32を異なる色に着色してもよい。
【0042】
ハウジング31内には、そのほぼ全長にわたり、中空糸膜41の束4が収納されている。この場合、束4を構成する中空糸膜41は、例えば、100〜70,000本程度であり、各中空糸膜41は、ハウジング31の長手方向に沿って並列的に配置されている。
【0043】
図2は、本発明の透析器を含む血液体外循環回路の構成例を模式的に示す回路構成図である。同図に示すように、血液体外循環回路10は、脱血ライン11Aと透析器1と、返血ライン11Bと、除水コントロール手段17とを有している。
【0044】
脱血ライン11Aは、チューブ12と、該チューブ12の途中に設置された送血用のポンプ13および除泡用のチャンバー14で構成されており、脱血ライン11Aの一端は、針管を介して患者の動脈に接続され、他端は、透析器1の血液流入口34に接続される。
【0045】
また、返血ライン11Bは、チューブ15と、該チューブ15の途中に設置された除泡用のチャンバー16とで構成されており、返血ライン11Bの一端は、針管を介して患者の静脈に接続される。
【0046】
除水コントロール手段17は、一端が透析器1の透析液流入口36に接続されたチューブ18と、一端が透析器1の透析液流出口37に接続されたチューブ19と、透析液をチューブ18および19内にそれぞれ同流量でかつ反対方向に送液する複式ポンプ20と、複式ポンプ20を迂回するようにその両端がチューブ19に接続されたバイパスチューブ21と、バイパスチューブ21の途中に設けられた除水ポンプ22とで構成されている。
【0047】
複式ポンプ20は、モーターの回転運動をプランジャーの往復運動に変換し、逆止弁機構により透析液および透析液排液の受入・排出を交互に行う構成のものである。
【0048】
除水ポンプ22は、モーターの回転運動をプランジャーの往復運動に変換し、シリンダー内の透析液排液を一定方向に送り出す構成のものである。
【0049】
図3に筒状体のより好ましい形態の一つを示す。筒状体500は外面501、内腔504および端部502、503を有する。端部502は大径側であり端部503は小径側である。さらに内腔504は、小径側テーパ部510、大径側テーパ部530、中間テーパ部520からなる。そして筒状体500において、小径側テーパ部510と大径側テーパ部530は、それぞれのテーパ角度が該筒状体の両端部から該筒状体の軸方向中心に向かって径縮するように形成されている。これによって、内腔を単一のテーパ部で形成する場合と比べ、両端部の中空糸膜充填率の差を少なくすることができ、より効果的に本発明の中空糸膜モジュールを作製することができる。
【0050】
図4は、本発明の中空糸膜モジュールの別の一実施態様を示す縦断面図である。前記第1の実施態様と共通する事項の説明は省略する。
【0051】
図4に示すように、中空糸膜モジュール2はハウジング231と331と、その両端に固定されたヘッダー32および33とで構成されるハウジング203、303を有する。ハウジング231の端部281ともう一つのハウジング331の端部381は、筒状体200の端部201、202とそれぞれ接続・固定されている。
【0052】
ハウジング203、303内には、筒状体200を介して、そのほぼ全長にわたり、中空糸膜41の束4が収納されている。
【0053】
本実施態様において、内腔と外面と開口した両端部を有する筒状体200に、濡れた状態の多数の中空糸膜41からなる中空糸膜束4を挿入し、該中空糸膜束4を該筒状体200に挿入したままの状態で乾燥の後、隔壁形成部204と該筒状体200と接合する端部281を有するハウジング231に挿入し、また、他方を隔壁形成部304と該筒状体200と接合する端部381を有するハウジング331に挿入し、該筒状体200と該ハウジング231、331を固定する工程を有するものである。
【0054】
筒状体200の一方の端部と一方のハウジングの端部を接合・固定し、さらに筒状体200の他方の端部と他方のハウジングの端部を接合・固定する。この接合・固定は、一般にプラスチック成型品に用いられる接着剤による固定、超音波融着、熱融着、テーパ角度勘合等、全ての方法を用いることができる。
【0055】
各中空糸膜41の両端部は、それぞれ、隔壁形成部204、304において、中空糸膜41の端部開口が閉塞されない状態で、隔壁51および52により液密に支持固定されている。
【0056】
本実施態様によっても、中空糸膜束を傷つけることなく、高い充填率を有し、第2の流体流路に狭窄部を有する中空糸膜モジュールを製造することができ、第1の実施態様と同様の効果を得ることができる。
【0057】
以下、本発明の透析器を実施例を挙げて詳述する。
【0058】
【実施例1】
外径290μm及び内径200μmのポリスルホン中空糸膜約10,000本の束(有効膜面積1.5m2)を用意し、RO水に浸漬させる。この中空糸膜束を内腔径33.6mm、テーパ角度0度、外面径大径部39.6mm、小径部38.0mm、長さ 100mm、テーパ角度0.9度を有するポリカーボネート製筒状体に挿入し、乾燥した。この時中空糸膜束の外径基準充填率は75%であった。
【0059】
次にハウジング内面が大径部40.5mm、小径部37.9mm、テーパ角度0.9度のハウジング内に前記中空糸膜束と筒状体を挿入した。各中空糸膜の両端部にポリウレタンポッティング剤を注入、硬化して各中空糸膜を固定し、その両端をスライスして各中空糸膜を開口させた。この時、中空糸膜の有効長は 235mmであった。ハウジングの両端部に、それぞれ、血液流入口付きヘッダーおよび血液流出口付きヘッダーを装着し、これらを融着により液密に固定して、図2に示す構造の透析器を得た。
【0060】
【比較例1】
実施例1と同様のポリスルホン中空糸膜束を筒状体を用いずに、透析液流入口および流出口付きのハウジング内に挿入し、乾燥した。ついでハウジング内に挿入された各中空糸膜の両端部にポッティング剤を注入、硬化して各中空糸膜を固定し、その両端をスライスして各中空糸膜を開口させた。ハウジングの両端部に、それぞれ、血液流入口付きカバーおよび血液流出口付きカバーを装着し、これらを融着により液密に固定して、透析器を得た。この時、ハウジングの最高充填率の部分は 59%であった。
【0061】
【比較例2】
外径290μm及び内径200μmのポリスルホン中空糸膜約10,000本の束(有効膜面積1.5m2)を用意し、RO水に浸漬させた。この中空糸膜束を内腔径大径部35.7mm、小径部34.9mm、テーパ角度角0.9度、外面径大径部39.2mm、小径部38.4mm、長さ50mm、テーパ角度角0.9度を有するポリカーボネート製筒状体に挿入し、乾燥した。この時中空糸膜束の充填率は大径部66%、小径部69%であった。
【0062】
次にハウジング胴内面形状が大径部40.8mm、小径部37.9mm、テーパ角度0.9度ハウジング内に前記中空糸膜束と筒状体を挿入した。各中空糸膜の両端部にポリウレタンポッティング剤を注入、硬化して各中空糸膜を固定し、その両端をスライスして各中空糸膜を開口させた。ハウジングの両端部に、それぞれ、血液流入口付きヘッダーおよび血液流出口付きヘッダーを装着し、これらを融着により液密に固定して、図1に示す構造の透析器を得た。
【0063】
【比較例3】
実施例1と同様のポリスルホン中空糸膜束を乾燥状態で、ハウジングの内面形状が大径部34.8mm、小径部32.6mm、テーパ角度0.9度ハウジング内に挿入し、透析器を得た。この時中空糸膜束の充填率は大径部70%、小径部80%であった。
【0064】
【比較例4】
実施例1と同様に、濡れた状態の中空糸膜束を内腔径37.0mm、テーパ角度0度、外面径大径部39.6mm、小径部38.0mm、長さ100mm、テーパ角度0.9度を有するポリカーボネート製筒状体に挿入し、乾燥した。この時中空糸膜束の充填率は62%であった。
【0065】
次にハウジング内面大径部40.5mm、小径部37.9mm、テーパ角度0.9度のハウジング内に前記中空糸膜束と筒状体を挿入した。各中空糸膜の両端部にポリウレタンポッティング剤を注入、硬化して各中空糸膜を固定し、その両端をスライスして各中空糸膜を開口させた。ハウジングの両端部に、それぞれ、血液流入口付きヘッダーおよび血液流出口付きヘッダーを装着し、これらを融着により液密に固定して、図1に示す構造の透析器を得た。
【0066】
【比較例5】
中空糸膜束を内腔径32.5mm、テーパ角度0度、外面径大径部39.6mm、小径部38.0mm、長さ 100mm、テーパ角度0.9度を有するポリカーボネート製筒状体に挿入した以外は、実施例1と同様にして、透析器を得た。この時、筒状体部分の中空糸膜束の外径基準充填率は82%であった。
【0067】
【比較例6】
中空糸膜束を内腔径33.6mm、外面径大径部38.2mm、小径部38.0mm、長さ 15mm、テーパ角度0.9度を有するポリカーボネート製筒状体に挿入した以外は、実施例1と同様にして、透析器を得た。この時、筒状体部分の中空糸膜束の外径基準充填率は70%であった。
【0068】
【比較例7】
中空糸膜束を内腔径34.8mm、外面径大径部40.5mm、小径部37.0mm、長さ220mm、テーパ角度0.9度を有するポリカーボネート製筒状体に挿入した以外は、実施例1と同様にして、透析器を得た。この時、筒状体部分の中空糸膜束の外径基準充填率は75%であった。
【0069】
(透析実験)
実施例1、および比較例1から7の透析器について、図2に記載した循環回路を用いて、デキストランのクリアランス(デキストランCL)を測定した。ただし、透析器から戻ってきた試験溶液は、元の試験溶液とは混合させず、透析器には常に一定の組成の試験溶液を流通させた。また、透析液についても、一定の組成の透析液を流通させた。
【0070】
試験溶液:デキストランT10、T40(ファルマシア社製)をそれぞれ生理食塩水に溶解して、30g/l溶液として血液の代わりに測定に用いた。各透析器当たり、本試験溶液20リットルを37℃に加温して用いた。血液入口側流速は200ml/min、透析液には生理食塩水を用い、流速500ml/min、除水量10ml/min/m2とした。
【0071】
透析器を循環回路と接続し、循環回路に試験溶液を流通させると同時に、透析液側に生理食塩水を流通させた。このとき除水コントローラーにより、除水量を所定の速度とした。透析開始後30分に、脱血ライン(入口側)および返血ライン(出口側)から試験溶液を採取し、溶質濃度をGPCにより測定し、次式により、クリアランスを求める。
【0072】
D={(CBi−CBo)/CBi}×(QBi−QF)+QF
ここで、D:クリアランス(ml/min)、CBi:入口側溶質濃度(mg/dl)、CBo:出口側溶質濃度(mg/dl)、QBi:血液入口側流速(ml/min)、QF:濾過流速(除水量×膜面積m2)(ml/min)である。
【0073】
GPC測定に用いた装置は、測定装置:高性能GPC専用システム(Shodex GPC SYSYTEM−11,昭和電工社製)、カラム:Shodex汎用GFCカラム Ohpak高性能タイプ(OhpakKB−803)×2本+プレカラム(Ohpak KB−800p) (共に昭和電工社製)、移動相:生理食塩水であった。
【0074】
測定の結果を表1にまとめた。表1から、以下のことが確認された。比較例1より、本発明の中空糸膜モジュールのクリアランス性能が向上している。比較例2より、筒状体内腔のテーパ角が大きすぎるものは効果が、ほとんどない。比較例3から、乾燥状態では中空糸膜が損傷し、リークの発生がみられた。比較例4,5より、適当な充填率に設定しないと、透析性能向上があまり、みられないか、中空糸膜の損傷を招くこととなった。比較例6、7より筒状体の長さが短すぎると、効果が少なく、長すぎても透析性能が向上しないことがわかった。長すぎる場合に性能の向上しない理由については、充分に理解されていないが、透析に利用される膜面積が何らかの理由で減少していることが考えられる。
【0075】
【表1】
Figure 0004807912
【0076】
【実施例2】
外径290μm及び内径200μmのポリスルホン中空糸膜約10,000本の束(有効膜面積 1.5m2)を用意し、RO水に浸漬させた。この中空糸膜束を内腔径大径部34.9mm、小径部34.7mm、テーパ角度0.2度)、外面径大径部39.2mm、小径部38.4mm、長さ50mm、テーパ角度0.9度を有するポリカーボネート製筒状体に挿入した。この時中空糸膜束の外径基準充填率は大径部69%、小径部70%であった。
【0077】
次にハウジング胴内面大径部40.8mm、小径部37.9mm、テーパ角度0.9度の部分を有するハウジング内に前記中空糸膜束と筒状体を挿入した。各中空糸膜の両端部にポリウレタンポッティング剤を注入、硬化して各中空糸膜を固定し、その両端をスライスして各中空糸膜を開口させた。ハウジングの両端部に、それぞれ、血液流入口付きヘッダーおよび血液流出口付きヘッダーを装着し、これらを融着により液密に固定して、図1に示す構造の透析器を得た。
【0078】
【実施例3】
外径290μm及び内径200μmのポリスルホン中空糸膜約10,000本の束(有効膜面積 1.5m2)を用意し、RO水に浸漬させた。この中空糸膜束を両端部から軸方向中心に向かって内腔にテーパを有する内腔形状(両端部径34.9mm、中心部径34.7mm、テーパ角度0.3度、水平部24mm、外面形状大径部39.7mm、小径部38.0mm、長さ100mm、テーパ角度0.9度を有するポリカーボネート製筒状体に挿入した。この時中空糸膜束の外径基準充填率は 両端部69%、中心部70%であった。
【0079】
次にハウジング胴内面大径部40.8mm、小径部36.8mm、テーパ角度0.9度)の部分を有するハウジング内に前記中空糸膜束と筒状体を挿入した。各中空糸膜の両端部にポリウレタンポッティング剤を注入、硬化して各中空糸膜を固定し、その両端をスライスして各中空糸膜を開口させた。ハウジングの両端部に、それぞれ、血液流入口付きヘッダーおよび血液流出口付きヘッダーを装着し、これらを融着により液密に固定して、図1に示す構造の透析器を得た。
【0080】
【実施例4】
外径290μm及び内径200μmのポリスルホン中空糸膜約10,000本の束(有効膜面積 1.5m2)を用意し、RO水に浸漬させた。この中空糸膜束を両端部から軸方向中心に向かってテーパ角度を有する内腔径(両端部径34.4mm、中心部径 34.1mm、テーパ角度0.2度)、外径40mm、長さ100mmで、その両端部に201、202のハウジングとの接合部を有するポリカーボネート製筒状体に挿入した。この時中空糸膜束の外径基準充填率は 両端部71%、中心部72%であった。
【0081】
次にヘッダー装着部、透析液流出入口、および筒状体接合部を有する図4、231、331のハウジングに、上記中空糸膜束を挿入した筒状体の両端部と接着接合した。ハウジングと各中空糸膜の両端部にポリウレタンポッティング剤を注入、硬化して各中空糸膜を固定し、その両端をスライスして各中空糸膜を開口させた。この時、中空糸膜の有効長は235mmであった。ハウジングの両端部に、それぞれ、血液流入口付きヘッダーおよび血液流出口付きヘッダーを装着し、これらを融着により液密に固定して、図4に示す構造の透析器を得た。
【0082】
実施例1と同様にして、実施例2から実施例4の透析器について、デキストランのクリアランスを測定した。結果を表2に示す。
【0083】
【表2】
Figure 0004807912
【0084】
【発明の効果】
上記の通り、本発明の中空糸膜モジュールの製造方法および中空糸膜モジュールは、中空糸膜の高い充填率を容易に達成することができるので、物質交換能に優れている。
【0085】
本発明の構成を有することによって、製造工程でのリークによる製品の歩留まりを向上させることができる非常に優れた中空糸膜モジュールの製造方法であり、その結果、中空糸膜の高い充填率を有するモジュールを容易に供給することができるものである。
【0086】
本発明は、内腔と外面と開口した両端部を有する筒状体に、濡れた状態の多数の中空糸膜からなる中空糸膜束を挿入し、該筒状体に挿入したままの状態の該中空糸膜束を乾燥させた後、少なくとも該筒状体の端部の形状に適合した部分を有するハウジングの該適合した部分に該筒状体を契合し、該筒状体と該ハウジングを固定し、該中空糸膜束の両端部において該ハウジングと各該中空糸膜の外面を中空糸膜内腔が開口した状態で液密に固定するので、中空糸膜の高い充填率を容易に達成することができ、物質交換能に優れる中空糸膜モジュールを提供することができる。
【0087】
また、本発明は、前記適合した部分が、前記ハウジングの内面である上記のほかさらに容易に中空糸膜モジュールを製造することができる。
【0088】
また、本発明は、前記筒状体の端部の形状が、該筒状体のテーパ形状を有する外面であり、前記適合した部分が、前記ハウジングのテーパ形状を有する内面であるので、ハウジング内での筒状体の位置決めが容易である。
【0089】
また、本発明は、前記ハウジングが二つの部材からなり、一方の該部材が、前記筒状体の一方の端部の形状に適合した部分を有し、他方の該部材が、前記筒状体の他方の端部の形状に適合した部分を有し、該筒状体の両端とそれぞれ適合する該部材のそれぞれの部分を契合し、該筒状体の両端と該ハウジングの二つの部材をそれぞれ液密に固定するので、全体の形状を小さくすることができる。
【0090】
また、本発明は、前記筒状体の内腔断面積に対し、前記中空糸膜外径基準で充填率68%以上78%以下、長さが30mm以上212mm以下で装填するので、膜性能を有効に引き出し、高い物質交換性能を示す中空糸膜モジュールを提供することができる。
【0091】
また、前記中空糸膜モジュールが、該中空糸膜で隔てられる第1の流路および第2の流路を有し、該中空糸膜を介して該第1の流路を流れる体液と、該第2の流路を流れる透析液との間で透析および限外濾過を行う透析器であるので、血液と透析液との間で逆ろ過効果による、高い透析性能を有する中空糸膜モジュールを提供することができる。
【0092】
また、前記筒状体において、前記内腔のテーパ角度が前記外面のテーパ角度よりも小さいので、充填率を高くした場合に、安定した高い性能を有する中空糸膜モジュールを提供することができる。
【0093】
さらに、本発明は、 内腔とテーパを有する外面と開口した両端部を有する筒状体、該筒状体の内腔にその一部が覆われた多数の中空糸膜からなる中空糸膜束、および、該筒状体の外面のテーパ形状に適合した内面を有するハウジングを有し、該ハウジングは、少なくとも該筒状体の内腔に覆われていない部分の該中空糸膜束を覆い、該中空糸膜束の両端部において各該中空糸膜の内腔が開口した状態で各該中空糸膜の外面と該ハウジングとの間を液密に固定する隔壁を有し、該筒状体と該ハウジングとが実質的に固定されている中空糸膜モジュールなので、容易に製造することができる。
【0094】
また、本発明は、前記中空糸膜束が前記筒状体の内腔にその断面において、前記中空糸膜外径基準で充填率68%以上78%以下、長さが30mm以上212mm以下で装填された中空糸膜モジュールであるので、安定した高い物質除去性能を得ることができる。
【0095】
また、本発明は、前記中空糸膜モジュールが、該中空糸膜で隔てられる第1の流路および第2の流路を有し、該中空糸膜を介して該第1の流路を流れる体液と、該第2の流路を流れる透析液との間で透析および限外濾過を行う透析器であるので、血液と透析液との間の逆ろ過現象を利用した、高い透析性能を有する。
【0096】
また、本発明は、前記筒状体の両端部間の長さが中空糸膜の有効長の13%以上90%以下であるので、筒状体を用いて中空糸膜外径基準の充填率を高くすることによる効果を得ることができると同時に、中空糸膜の性能を低下させることがない。
【0097】
また、本発明は、前記筒状体の両端部間の長さが30mm以上212mm以下であるので、筒状体を用いて中空糸膜外径基準の充填率を高くすることによる効果を得ることができると同時に、中空糸膜の性能を低下させることがない。
【0098】
また、本発明は、前記筒状体において、前記内腔のテーパ角度が前記外面のテーパ角度よりも小さいので、充填率が高く、安定した高い性能を有する。
【0099】
また、本発明は、前記筒状体において、前記内腔のテーパ角度が該筒状体の両端部から該筒状体の軸方向中心に向かって径縮するように形成されているので、充填率が高く、安定した高い性能を有する。
【0100】
またさらに、本発明は、内腔と外面と開口した両端部を有する筒状体、該筒状体の内腔にその一部が覆われた多数の中空糸膜からなる中空糸膜束、該筒状体の一方の端部と液密に接合したハウジング第1部材、および、前記筒状体の他方の端部と液密に接合したハウジング第2部材を有し、該ハウジング第1部材および該ハウジング第2部材は、少なくとも該筒状体の内腔に覆われていない部分の該中空糸膜束を覆い、該中空糸膜束の両端部において各該中空糸膜の内腔が開口した状態で各該中空糸膜の外面と該ハウジング第1部材および該ハウジング第2部材との間をそれぞれ液密に固定する隔壁を有する中空糸膜モジュールであるので、中空糸膜の高い充填率を容易に達成することができ、物質交換能に優れ、ハウジングの重量を軽くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中空糸膜モジュールの一実施態様を示す縦断面図である。
【図2】本発明の透析器を含む血液体外循環回路の構成例を示す回路構成図である。
【図3】本発明の筒状体の一実施態様を示す縦断面図である。
【図4】本発明の中空糸膜モジュールの一実施態様を示す縦断面図である
【符号の説明】
1、2 透析器(中空糸膜モジュール)
3 全ハウジング
31、231,331、203,303 ハウジング
32、33 ヘッダー
34 血液流入口
35 血液流出口
36 透析液流入口
37 透析液流出口
4 束
41 中空糸膜
51、52 隔壁
6 第1の流路
61 血液流入室
62 血液流出室
7 第2の流路
8 狭窄部
10 血液体外循環回路
11A 脱血ライン
11B 返血ライン
12 チューブ
13 ポンプ
14 チャンバー
15 チューブ
16 チャンバー
17 除水コントロール手段
18、19 チューブ
20 複式ポンプ
21 バイパスチューブ
22 除水ポンプ
204,304 隔壁形成部
100、200、500 筒状体
201、202 筒状体端部
281、381 ハウジング端部
501 筒状体外面
502 筒状体端部大径側
503 筒状体端部小径側
504 筒状体内腔
510 小径側テーパ部
530 大径側テーパ部
520 中間テーパ部

Claims (10)

  1. 内腔と外面と開口した両端部を有する筒状体に、濡れた状態の多数の中空糸膜からなる中空糸膜束を挿入し、該筒状体に挿入したままの状態の該中空糸膜束を乾燥させた後、該筒状体の端部の形状に適合した部分を有するハウジングの該適合した部分に該筒状体を契合し、該筒状体と該ハウジングを固定し、該中空糸膜束の両端部において該ハウジングと各該中空糸膜の外面を中空糸膜内腔が開口した状態で液密に固定することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
  2. 前記適合した部分が、前記ハウジングの内面であることを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
  3. 前記筒状体の端部の形状が、該筒状体のテーパ形状を有する外面であり、前記適合した部分が、前記ハウジングのテーパ形状を有する内面であることを特徴とする請求項1または2に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
  4. 前記筒状体において、前記内腔がテーパ形状を有し、該内腔のテーパ角度が前記外面のテーパ角度よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
  5. 前記ハウジングが二つの部材からなり、一方の該部材が、前記筒状体の一方の端部の形状に適合した部分を有し、他方の該部材が、前記筒状体の他方の端部の形状に適合した部分を有し、該筒状体の両端とそれぞれ適合する該部材のそれぞれの部分を契合し、該筒状体の両端と該ハウジングの二つの部材をそれぞれ液密に固定することを特徴とした請求項1に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
  6. 前記筒状体に、該筒状体の内腔断面積に対して前記中空糸膜外径基準で充填率68%以上78%以下、筒状体の両端部間の長さが30mm以上212mm以下で前記中空糸膜束を装填することを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
  7. 前記中空糸膜モジュールが、透析および限外濾過を行う透析器であることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
  8. 内腔とテーパを有する外面と開口した両端部を有する筒状体、該筒状体の内腔にその一部が覆われた多数の中空糸膜からなる中空糸膜束、および、該筒状体の外面のテーパ形状に適合した内面を有するハウジングを有し、該ハウジングは、前記筒状体の内腔にその一部が覆われた多数の中空糸膜からなる中空糸膜束を覆い、該中空糸膜束の両端部において各該中空糸膜の内腔が開口した状態で各該中空糸膜の外面と該ハウジングとの間を液密に固定する隔壁を有し、該筒状体と該ハウジングとが実質的に固定されていることを特徴とする中空糸膜モジュール。
  9. 前記筒状体において、前記内腔がテーパ形状を有し、該内腔のテーパ角度が前記外面のテーパ角度よりも小さいことを特徴とする請求項8に記載の中空糸膜モジュール。
  10. 前記筒状体において、前記内腔のテーパ角度が該筒状体の両端部から該筒状体の軸方向中心に向かって径縮するように形成されていることを特徴とする請求項8または9に記載の中空糸膜モジュール。
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