JP4807795B2 - 温度測定回路 - Google Patents
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Description
この種の3線式結線の温度測定回路は、例えば図6の原理的な構成図に示されるように温度センサRsの一方の端子に接続された第一の電流供給ラインL1と、温度センサRsの他方の端子に接続された第二の電流供給ラインL2とに、所定の一定電流を供給する第一の定電流源I1および第二の定電流源I2がそれぞれ接続される。そして、これら第一および第二の電流供給ラインL1,L2には、これら両ラインL1,L2間の電圧値を計測する電圧計Vが接続されている。尚、温度センサRsの他端には、第一および第二の定電流源I1,I2にそれぞれの電流を戻す帰路となる第三の電流供給ラインL3が接続される。
V0=i1×rs+(i1×r1−i2×r2)
となる。いま、第一〜第三の電流供給ラインL1,L2,L3の各配線抵抗の抵抗値が等しくrであるとすれば、電圧計Vが計測する電圧値V0は、
V0=i1×rs+(i1−i2)×r
になる。したがって、第一および第二の定電流源I1,I2の電流値を等しく[i1=i2]にすれば、電圧計Vが検出する電圧値V0は、
V0=i1×rs
となる。よって、この式を変形すると温度センサRsの抵抗値rsは、
rs=V0/i1
と求まる。したがって、温度センサRsが検出した温度は、温度センサRsの抵抗値rsと温度との関係を示す特性から得ることができる。
好ましくは前記測定部は、計測した電圧値に応じた所定のディジタル値を出力するAD変換手段を具備し、前記演算部は、このAD変換手段が出力する前記ディジタル値を用いて前記平均値を求めるMPU演算部とを備えることが望ましい。
また本発明の3線式結線の温度測定回路は、前記第一および前記第二の電流供給ラインに前記第一および前記第二の定電流源をそれぞれ切り替えて供給する切り替え周期は、前記ΔΣ型AD変換器のサンプリング周期と略等しいことを特徴としている。
更に本発明の請求項5に記載の3線式結線の温度測定回路によれば、第一および第二の電流供給ラインにそれぞれ切り替えて供給する第一および第二の定電流源の切り替え周期を、きわめて短い時間でサンプリングするΔΣ型AD変換器のサンプリング周期と略等しくしているので、それぞれの接続状態における温度センサの抵抗値の変化を受けることなく高精度に温度を計測することができる等の実用上多大なる効果を奏する。
尚、図1〜図5は、本発明の一実施形態であり、これらの図中、従来の3線式結線の温度測定回路を示す図6と同一の符号を付した部分は同一物を表し、基本的な構成は図に示す従来のものと同様である。また図1〜図5は、本発明の一実施形態であって、これらの図によって本発明が限定されるものではない。
概略的には上述したように構成された本発明の温度測定回路が特徴とするところは、スイッチS1,S2を切り替えて第一の電流供給ラインL1に第一の定電流源I1を接続し、第二の電流供給ラインL2に第二の定電流源I2を接続(フェーズφ1)したとき、電圧計Vが計測した第一の電圧値V1と、スイッチS1,S2を切り替えて第一の電流供給ラインL1に第二の定電流源I2を接続し、第二の電流供給ラインL2に第一の定電流源I1を接続(フェーズφ2)したときの電圧計Vが計測した第二の電圧値V2とから、平均電圧値Vave=(1/2)(V1+V2)を求め、この平均電圧値Vaveから温度センサRsが検出した温度を求めることを特徴としている。
V1=i1×rs+(i1−i2)×r
となる。次にスイッチS1,S2を切り替えてフェーズφ2としたとき、電圧計Vが検出する電圧値V2は、
V2=i2×rs+(i2−i1)×r
となる。
Vave=(1/2)(V1+V2)=(1/2)(i1+i2)×rs
となる。一方、従来の温度測定回路で計測される電圧値V0は、前述したように、
V0=i1×rs+(i1−i2)×r
である。したがって、本発明の3線式結線の温度測定回路は、従来の温度測定回路に比べて測定誤差が小さくなることがわかる。これは本発明の3線式結線の温度測定回路が二つの電流供給ラインL1,L2にそれぞれ接続する二つの定電流源I1,I2の接続を変えて、それぞれの状態(フェーズφ1,φ2)における電圧値を求め、この電圧値を平均化しているためである。
次に本発明の第二の実施形態に係る3線式結線の温度測定回路について、図2を参照しながら説明する。この第二の実施形態が上述した第一の実施形態と異なるところは、測定部20の前段にスイッチトキャパシタ回路からなるサンプルホールド回路10を設けた点にある。
まず温度測定回路は、スイッチS1,S2、それぞれの切り替えポジションをフェーズφ1にする。このフェーズφ1において第一の電流供給ラインL1には、第一の定電流源I1が接続され、第二の電流供給ラインL2には、第二の定電流源I2が接続される。次いでサンプルホールド回路10は、所定の時間が経過した後、スイッチS3a,S3bを閉じる(以下、この状態をフェーズφ3と称する)。このフェーズφ3に移行する前の所定の時間は、スイッチS1,S2の切り替えに伴う過渡現象を取り除くために必要な時間をとることが望ましい。
次にサンプルホールド回路10は、コンデンサC1,C2の両端の電圧を測定するべくスイッチS4a,S4bを閉じるフェーズφ4に移行する。このフェーズφ4のとき、次段の測定部20は、コンデンサCの電圧を測定する(電流経路2トランスファー)。そうしてコンデンサCの両端の電圧測定が終了するとサンプルホールド回路10は、フェーズφ4で閉じたスイッチS4a,S4bを開く。これで一連のデータ更新期間が終了する。
かくして本発明の第二の実施形態に係る3線式結線の温度測定回路は、測定部20の入力段にサンプルホールド回路10を設け、第一および第二の電流供給ライン間の電圧を一度、サンプルホールド回路10に保持させた後、第一および第二の電流供給ラインとサンプルホールド回路10の接続を切り離し、サンプルホールド回路10に蓄えられた電荷(電圧)を測定部20で測定しているので、定電流源の接続切り替え(フェーズφ1とフェーズφ2の相互切り替え)に伴う過渡現象によって生じるノイズの影響を除去することができ、高精度に温度を計測することができる。
次に本発明の第四の実施形態に係る3線式結線の温度測定回路について図5を参照しながら説明する。この第四の実施形態が前述した第一〜第三の実施形態と異なるところは、サンプルホールド回路10および測定部20を含むΔΣ型AD変換器40を用いたところにある。尚、図4と同符号を付した箇所は、第三の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
サンプルホールド回路41のコンデンサC1とスイッチS4aとの接続点には、コンデンサC3の一端が接続される。またコンデンサC3の他端には、負の基準電位(−Vref)に接続されたスイッチS9および正の基準電位Vrefに至るスイッチS10が接続される。そしてこれらスイッチS9とスイッチS10が接続されたノードには、シグナルグランドSGに至るスイッチS13が接続される。
このオペアンプAMPの正負二つの出力端子は、コンパレータからなる量子化器QUAに入力される。この量子化器QUAは、サンプルホールド回路41から出力される信号をシグナルグランドSGと比較して、その結果を「0」または「1」の信号とし、更にこの信号をサンプリングクロックCLKでサンプリングすることによって、サンプルホールド回路41の出力信号、すなわち第一および第二の電流供給ライン間の電圧差を量子化した信号およびフィードバック信号を生成する。そして量子化器QUAから出力されたフィードバック信号は、サンプルホールド回路41に与えられてスイッチS9,S10,S11,S12の開閉を制御する。
まず、スイッチS1,S2のそれぞれの切り替えポジションをフェーズφ1にする。このフェーズφ1において第一の電流供給ラインL1には、第一の定電流源I1が接続され、第二の電流供給ラインL2には、第二の定電流源I2が接続される。次いでサンプルホールド回路41は、所定の時間が経過した後、スイッチS3a,S3b,S7,S8を閉じるフェーズφ3に移行する。このフェーズφ3に移行する前の所定の時間は、スイッチS1,S2の切り替えに伴う過渡現象を取り除くために必要な時間をとることが望ましい。
そして所定の時間を経過した後、サンプルホールド回路41は、フェーズφ3で閉じたスイッチS3a,S3b,S7,S8を開く(電流経路1アクイジョン)と共に、コンデンサC3,C4を短絡していたスイッチS13,S14を開く。このときコンデンサC1,C2には、それぞれ充電された電荷が蓄えられ、その両端の電圧は、それぞれVc1,Vc2となる。
次に温度測定回路は、スイッチS1,S2、それぞれの切り替えポジションをフェーズφ2にする。このフェーズφ2において第一の電流供給ラインL1には、第二の定電流源I2が接続され、第二の電流供給ラインL2には、第一の定電流源I1が接続される。次いでサンプルホールド回路41は、スイッチS1,S2の切り替えに伴う過渡現象の影響を受けない程度の所定時間の経過を待ち、スイッチS3a,S3b,S7,S8を閉じてフェーズφ3に移行する。このフェーズφ3においてコンデンサC1は、第一の電流供給ラインL1とシグナルグランドSGとの差電圧によって充電される。一方、コンデンサC2は、第二の電流供給ラインL2とシグナルグランドSGとの差電圧によって充電がなされる。またこのときスイッチS13,S14は閉じられ、コンデンサC3,C4がそれぞれ短絡される。
次いでサンプルホールド回路41は、コンデンサC1,C2の両端の電圧を測定するべくスイッチS4a,S4b,S5,S6を閉じるフェーズφ4に移行する。このフェーズφ4の期間においてAD変換部42は、直列に接続されたコンデンサC1,C2の両端の電圧を測定する(電流経路2トランスファー)。このときAD変換部42の量子化器QUAの出力が「0」のときは、スイッチS9,S12は閉じられ、スイッチS10,S11は開かれる。また量子化器QUAの出力が「1」のとき、スイッチS10,S11は閉じられ、スイッチS9,S12は、開かれる。こうしてコンデンサC3,C4に印加される電圧の極性は、量子化器QUAの出力によって互いに逆極性になるようにフィードバック制御される。
このように構成された本発明の第四の実施形態に係る3線式結線の温度測定回路は、ΔΣ型AD変換器40を用いているので、きわめて短い時間CLKでサンプリングする、いわゆるオーバサンプリング動作を行わせることができる。このためこの実施形態は、特に第一および第二の定電流源I1,I2を第一および第二の電流供給ラインにそれぞれ切り替える周期(データ更新周期)を、ΔΣ型AD変換器のサンプリング周期と略等しくすることで、それぞれの接続状態における温度センサの抵抗値の変化を無視できる程度に抑えることができる。このため本発明の第四の実施形態に係る温度測定回路は、より高精度に温度を計測することができる。
L1,L2,L3 電流供給ライン
S1,S2 スイッチ
Rs 温度センサ
V 電圧計
Claims (5)
- 温度によって抵抗値が変化する温度センサと、
この温度センサの一方の端子に接続された第一の電流供給ラインおよび前記温度センサの他方の端子に接続された第二の電流供給ラインにそれぞれ接続されて、これら電流供給ラインにそれぞれ一定の電流を供給する第一および第二の定電流源と、
前記第一の供給ラインおよび前記第二の供給ラインとの間の電圧差を計測する測定部と、
前記第一の電流供給ラインに前記第一の定電流源を接続し、前記第二の電流供給ラインに前記第二の定電流源を接続したときの前記測定部が計測した第一の電圧値と、前記第一の電流供給ラインに前記第二の定電流源を接続し、前記第二の電流供給ラインに前記第一の定電流源を接続したときの前記測定部が計測した第二の電圧値との平均値を求め、この平均値から前記温度センサが検出した温度を求める演算部と
を備えることを特徴とする3線式結線の温度測定回路。 - 請求項1に記載の3線式結線の温度測定回路であって、
更に前記第一および第二の電流供給ラインと前記測定部との間に介装されて、前記第一および第二の電流供給ライン間の電圧によって充電されるサンプルホールド回路を備え、
前記測定部はこのサンプルホールド回路に充電された充電電圧値に応じた電圧値を計測することを特徴とする3線式結線の温度測定回路。 - 請求項2に記載の3線式結線の温度測定回路であって、
前記測定部は、計測した電圧値に応じた所定のディジタル値を出力するAD変換手段を具備し、
前記演算部は、このAD変換手段が出力する前記ディジタル値を用いて前記平均値を求めるMPU演算部を備えることを特徴とする3線式結線の温度測定回路。 - 請求項2に記載の3線式結線の温度測定回路であって、
前記測定部および前記サンプルホールド回路は、これら測定部およびサンプルホールド回路を包むΔΣ型AD変換器により構成されることを特徴とする3線式結線の温度測定回路。 - 前記第一および前記第二の電流供給ラインにそれぞれ切り替えて供給する前記第一および前記第二の定電流源の切り替え周期は、前記ΔΣ型AD変換器のサンプリング周期と略等しいことを特徴とする請求項4に記載の3線式結線の温度測定回路。
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