JP4807795B2 - 温度測定回路 - Google Patents

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Description

本発明は、温度センサを用いた3線式結線の温度測定回路に係り、特に高精度で温度を計測するに好適な3線式結線の温度測定回路に関する。
従来、温度によって抵抗値が変換する温度センサを用いた3線式結線の温度測定回路が知られている(例えば、特許文献1,2を参照)。この温度測定回路の温度センサには、3線式の測温抵抗体が用いられている。
この種の3線式結線の温度測定回路は、例えば図6の原理的な構成図に示されるように温度センサRsの一方の端子に接続された第一の電流供給ラインL1と、温度センサRsの他方の端子に接続された第二の電流供給ラインL2とに、所定の一定電流を供給する第一の定電流源I1および第二の定電流源I2がそれぞれ接続される。そして、これら第一および第二の電流供給ラインL1,L2には、これら両ラインL1,L2間の電圧値を計測する電圧計Vが接続されている。尚、温度センサRsの他端には、第一および第二の定電流源I1,I2にそれぞれの電流を戻す帰路となる第三の電流供給ラインL3が接続される。
ここに第一〜第三の電流供給ラインがそれぞれ有する配線抵抗の抵抗値をそれぞれr1,r2,r3、温度センサRsの抵抗値をrsとし、第一および第二の定電流源I1,I2の電流値をそれぞれi1,i2とすれば、電圧計Vが計測する電圧値V0は、
V0=i1×rs+(i1×r1−i2×r2)
となる。いま、第一〜第三の電流供給ラインL1,L2,L3の各配線抵抗の抵抗値が等しくrであるとすれば、電圧計Vが計測する電圧値V0は、
V0=i1×rs+(i1−i2)×r
になる。したがって、第一および第二の定電流源I1,I2の電流値を等しく[i1=i2]にすれば、電圧計Vが検出する電圧値V0は、
V0=i1×rs
となる。よって、この式を変形すると温度センサRsの抵抗値rsは、
rs=V0/i1
と求まる。したがって、温度センサRsが検出した温度は、温度センサRsの抵抗値rsと温度との関係を示す特性から得ることができる。
特許第3222367号公報 実用新案登録第2531789号公報
しかしながら、前述した3線式結線の温度測定回路は、二つの定電流源から出力される電流値が互いに等しくなければ、電流供給ラインの配線抵抗による電圧降下の影響を受けるため、温度を高精度に計測することができないという問題がある。もちろん従来の温度測定回路は、第一および第二の定電流源の電流値を等しくすれば、高精度に温度を測定することが可能である反面、二つの定電流源の電流を等しくするには回路が複雑になり、高価になることが否めない。
本発明は、このような従来の事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、簡易にしてしかも高精度に温度を計測することができる3線式結線の温度測定回路を提供することにある。
上述した目的を達成するべく本発明の3線式結線の温度測定回路は、温度によって抵抗値が変化する温度センサと、この温度センサの一方の端子に接続された第一の電流供給ラインおよび前記温度センサの他方の端子に接続された第二の電流供給ラインにそれぞれ接続されて、これら電流供給ラインにそれぞれ一定の電流を供給する第一および第二の定電流源と、前記第一の供給ラインおよび前記第二の供給ラインとの間の電圧差を計測する測定部と、前記第一の電流供給ラインに前記第一の定電流源を接続し、前記第二の電流供給ラインに前記第二の定電流源を接続したとき、前記測定部が計測した第一の電圧値と、前記第一の電流供給ラインに前記第二の定電流源を接続し、前記第二の電流供給ラインに前記第一の定電流源を接続したとき、前記測定部が計測した第二の電圧値との平均電圧値を求め、この平均電圧値から前記温度センサが検出した温度を求める演算部とを備えることを特徴としている。
また本発明の3線式結線の温度測定回路は、更に前記第一および第二の電流供給ラインと前記測定部との間に介装されて、前記第一および第二の電流供給ライン間の電圧によって充電されるサンプルホールド回路を備え、前記測定部は、このサンプルホールド回路に充電された充電電圧値に応じた電圧値を計測することを特徴としている。
好ましくは前記測定部は、計測した電圧値に応じた所定のディジタル値を出力するAD変換手段を具備し、前記演算部は、このAD変換手段が出力する前記ディジタル値を用いて前記平均値を求めるMPU演算部とを備えることが望ましい。
より好ましくは前記測定部および前記サンプルホールド回路は、これら測定部およびサンプルホールド回路を含むΔΣ型AD変換器により構成されことが望ましい。
また本発明の3線式結線の温度測定回路は、前記第一および前記第二の電流供給ラインに前記第一および前記第二の定電流源をそれぞれ切り替えて供給する切り替え周期は、前記ΔΣ型AD変換器のサンプリング周期と略等しいことを特徴としている。
上述の温度測定回路は、前記第一の電流供給ラインに前記第一の定電流源を接続し、前記第二の電流供給ラインに前記第二の定電流源を接続したときの前記測定部(例えば、電圧計)が計測した第一の電圧値V1と前記第一の電流供給ラインに前記第二の定電流源を接続し、前記第二の電流供給ラインに前記第一の定電流源を接続したときの前記計測部が計測した第二の電圧値V2を求め、この電圧の平均値(1/2)(V1+V2)を求めて前記温度センサが検出した温度を導く。
本発明の請求項1に記載の3線式結線の温度測定回路によれば、温度センサに至る第一および第二の電流供給ラインに電流を供給する二つの定電流源の接続を切り替えて、それぞれの接続状態における電圧値をそれぞれ計測して得られた電圧値の平均値から前記温度センサが検出した温度を求めているので、例え二つの定電流源の電流値が異なっていたとしても高精度に温度を計測することができる。
本発明の請求項2に記載の3線式結線の温度測定回路によれば、測定部の入力段にサンプルホールド回路を設け、電流供給ライン間の電圧によってサンプルホールド回路が有するコンデンサを充電した後、電流供給ラインとサンプルホールド回路との接続を切り離して、そのコンデンサに充電された電圧を測定部によって計測しているので、定電流源の接続切り替えに伴うノイズの影響を除去することができ、高精度に温度を計測することが可能となる。
また本発明の請求項3に記載の3線式結線の温度測定回路によれば、測定部に計測した第一および第二の電流供給ライン間の電圧値(アナログ値)に応じた所定のディジタル値を出力するAD変換手段を備え、このAD変換手段によって出力されるディジタル値を用いてMPU演算部がその平均値を求めているので、電圧ラッチ回路やアナログ加算回路を用いることなく高精度に温度を計測することが可能な温度測定回路を簡易に構成することができる。
また本発明の請求項4に記載の3線式結線の温度測定回路によれば、測定部およびサンプルホールド回路を含むΔΣ型AD変換器によって構成しているので回路構成が簡易になり、またΔΣ型AD変換器のオーバサンプリングの効果によって、より高精度に温度を計測することができる。
更に本発明の請求項5に記載の3線式結線の温度測定回路によれば、第一および第二の電流供給ラインにそれぞれ切り替えて供給する第一および第二の定電流源の切り替え周期を、きわめて短い時間でサンプリングするΔΣ型AD変換器のサンプリング周期と略等しくしているので、それぞれの接続状態における温度センサの抵抗値の変化を受けることなく高精度に温度を計測することができる等の実用上多大なる効果を奏する。
以下、本発明の3線式結線の温度測定回路に係る実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
尚、図1〜図5は、本発明の一実施形態であり、これらの図中、従来の3線式結線の温度測定回路を示す図6と同一の符号を付した部分は同一物を表し、基本的な構成は図に示す従来のものと同様である。また図1〜図5は、本発明の一実施形態であって、これらの図によって本発明が限定されるものではない。
さて図1は、本発明に係る3線式結線の温度測定回路における第一の実施形態を図示するものであって、この図においてRsは、温度センサである。この温度センサRsは、例えば測温抵抗体のように温度によってその抵抗値が変化する特性を備える。この温度センサRsの一方の端子には、第一の電流供給ラインL1、他方の端子には、第二の電流供給ラインL2および第三の電流供給ラインL3が接続されている。これらの電流供給ラインL1,L2,L3は、温度センサRsが配設された場所と、温度測定回路の本体(図1に図示せず)とを電気的に接続する役割を担っている。
また温度測定回路の本体は、温度センサRsに電流供給ラインI1,I2を介してそれぞれ所定の定電流を供給する二つの定電流源I1,I2を備える。これら定電流源I1,I2には、それぞれ二つの切り替えスイッチS1,S2のコモン端子が接続されている。このスイッチS1,S2は、2回路の接続が連動して切り替わるようになっており、一方のスイッチS1のコモン端子と第一の電流供給ラインL1が接続されるときには、他方のスイッチS2のコモン端子と第二の電流供給ラインL2が接続されるようになっている。つまりこの場合、第一の電流供給ラインL1には、第一の定電流源I1が接続され、第二の電流供給ラインL2には、第二の定電流源I2が接続される(以下、この状態をフェーズφ1と称する)。
また第一の定電流源I1が接続されたスイッチS1のコモン端子と第二の電流供給ラインL2が接続されるときには、第二の定電流源I2が接続されたスイッチS2のコモン端子と第一の電流供給ラインL1が接続されるようになっている。つまりこの場合、第一の電流供給ラインL1には、第二の定電流源I2が接続され、第二の電流供給ラインL2には、第一の定電流源I1が接続される(以下、この状態を、フェーズφ2と称する)。また第一の電流供給ラインL1と第二の電流供給ラインL2との間には、これらライン間の電圧を計測する測定部20が接続される。この測定部20は、例えばアナログ電圧計、ディジタル電圧計等の電圧を計測するものであれば、その種類は限定されない。
一方、温度センサRsの第三の電流供給ラインは、定電流源から第一および第二の電流供給ラインL1,L2に送り込まれた電流を第一および第二の定電流源I1,I2に戻す帰路の役割を担い、各定電流源I1,I2に接続されている。
概略的には上述したように構成された本発明の温度測定回路が特徴とするところは、スイッチS1,S2を切り替えて第一の電流供給ラインL1に第一の定電流源I1を接続し、第二の電流供給ラインL2に第二の定電流源I2を接続(フェーズφ1)したとき、電圧計Vが計測した第一の電圧値V1と、スイッチS1,S2を切り替えて第一の電流供給ラインL1に第二の定電流源I2を接続し、第二の電流供給ラインL2に第一の定電流源I1を接続(フェーズφ2)したときの電圧計Vが計測した第二の電圧値V2とから、平均電圧値Vave=(1/2)(V1+V2)を求め、この平均電圧値Vaveから温度センサRsが検出した温度を求めることを特徴としている。
ここに温度センサRsの抵抗値をrs、第一、第二および第三の電流供給ラインL1,L2,L3のそれぞれの抵抗値が等しく、その抵抗値をrとし、第一および第二の定電流源I1,I2のそれぞれが出力する電流をi1,i2とすれば、フェーズφ1のとき電圧計Vが検出する電圧値V1は、
V1=i1×rs+(i1−i2)×r
となる。次にスイッチS1,S2を切り替えてフェーズφ2としたとき、電圧計Vが検出する電圧値V2は、
V2=i2×rs+(i2−i1)×r
となる。
したがって、これらの電圧値V1,V2の平均電圧値Vaveは、
Vave=(1/2)(V1+V2)=(1/2)(i1+i2)×rs
となる。一方、従来の温度測定回路で計測される電圧値V0は、前述したように、
V0=i1×rs+(i1−i2)×r
である。したがって、本発明の3線式結線の温度測定回路は、従来の温度測定回路に比べて測定誤差が小さくなることがわかる。これは本発明の3線式結線の温度測定回路が二つの電流供給ラインL1,L2にそれぞれ接続する二つの定電流源I1,I2の接続を変えて、それぞれの状態(フェーズφ1,φ2)における電圧値を求め、この電圧値を平均化しているためである。
尚、上述の平均演算は、測定部の後段に位置する演算部(図1には、図示せず)により実行されるものであり、当該演算部はアナログ演算器、ディジタル演算器を問わない。
次に本発明の第二の実施形態に係る3線式結線の温度測定回路について、図2を参照しながら説明する。この第二の実施形態が上述した第一の実施形態と異なるところは、測定部20の前段にスイッチトキャパシタ回路からなるサンプルホールド回路10を設けた点にある。
サンプルホールド回路10は、コンデンサCの両端にそれぞれ2組のスイッチS3a,S3bの一端および二組のスイッチS4b,S4bの一端をそれぞれ接続した回路として構成される。このサンプルホールド回路10の一組のスイッチS3a,S3bの他端は、それぞれ第一の電流供給ラインL1および第二の電流供給ラインL2にそれぞれ接続される。またサンプルホールド回路10のもう一組のスイッチS4a,S4bは、それぞれ次段の測定部20に接続されて電圧値が計測される。この測定部20は、例えば電圧計(アナログ電圧計、ディジタル電圧計等)によって構成される。
このようなスイッチトキャパシタ回路を用いて構成されたサンプルホールド回路10を備えた本発明の第二の実施形態に係る3線式結線の温度測定回路の作動について、図3に示すタイミングチャートを用いながら説明する。
まず温度測定回路は、スイッチS1,S2、それぞれの切り替えポジションをフェーズφ1にする。このフェーズφ1において第一の電流供給ラインL1には、第一の定電流源I1が接続され、第二の電流供給ラインL2には、第二の定電流源I2が接続される。次いでサンプルホールド回路10は、所定の時間が経過した後、スイッチS3a,S3bを閉じる(以下、この状態をフェーズφ3と称する)。このフェーズφ3に移行する前の所定の時間は、スイッチS1,S2の切り替えに伴う過渡現象を取り除くために必要な時間をとることが望ましい。
このフェーズφ3においてコンデンサCは、第一の電流供給ラインL1と第二の電流供給ラインL2との間に接続されることになり、これら電流供給ラインL1,L2との差電圧によって充電される。そして所定の時間を経過した後、サンプルホールド回路10は、フェーズφ3で閉じられたスイッチS3a,S3bを開く(電流経路1アクイジョン)。このときコンデンサCには、充電された電荷が蓄えられ、その両端の電圧は、Vcとなる。次いで温度測定回路は、フェーズφ1で閉じたスイッチS1,S2を開く。
そうしてサンプルホールド回路10は、コンデンサCの両端の電圧を次段の測定部20で測定するべくスイッチS4a,S4bを閉じる(以下、この状態をフェーズφ4と称する)。このフェーズφ4のとき測定部20は、コンデンサCの両端の電圧を測定する(電流経路1トランスファー)。そうして測定部20によるコンデンサCの電圧測定が終了するとサンプルホールド回路10は、フェーズφ4で閉じたスイッチS4a,S4bを開く。
次に温度測定回路は、スイッチS1,S2、それぞれの切り替えポジションをフェーズφ2にする。このフェーズφ2において第一の電流供給ラインL1には、第二の定電流源I2が接続され、第二の電流供給ラインL2には、第一の定電流源I1が接続される。次いでサンプルホールド回路10は、スイッチS1,S2の切り替えに伴う過渡現象の影響を受けない程度の所定時間の経過を待ち、スイッチS3a,S3bを閉じてフェーズφ3に移行する。このフェーズφ3においてコンデンサCは、第一の電流供給ラインL1と第二の電流供給ラインL2との差電圧によって充電される。
そしてサンプルホールド回路10は、所定の時間を経過した後、フェーズφ3で閉じたスイッチS3a,S3bを開く(電流経路2アクイジョン)。このときコンデンサCには、充電された電荷が蓄えられる。次いで温度測定回路は、フェーズφ2で閉じたスイッチS1,S2を開く。
次にサンプルホールド回路10は、コンデンサC1,C2の両端の電圧を測定するべくスイッチS4a,S4bを閉じるフェーズφ4に移行する。このフェーズφ4のとき、次段の測定部20は、コンデンサCの電圧を測定する(電流経路2トランスファー)。そうしてコンデンサCの両端の電圧測定が終了するとサンプルホールド回路10は、フェーズφ4で閉じたスイッチS4a,S4bを開く。これで一連のデータ更新期間が終了する。
以下、サンプルホールド回路10は、上述した一連のデータ更新期間を繰り返しながらサンプリング動作を繰り返し、第一の電流供給ラインL1と第二の電流供給ラインL2との間の電圧値を計測する。
かくして本発明の第二の実施形態に係る3線式結線の温度測定回路は、測定部20の入力段にサンプルホールド回路10を設け、第一および第二の電流供給ライン間の電圧を一度、サンプルホールド回路10に保持させた後、第一および第二の電流供給ラインとサンプルホールド回路10の接続を切り離し、サンプルホールド回路10に蓄えられた電荷(電圧)を測定部20で測定しているので、定電流源の接続切り替え(フェーズφ1とフェーズφ2の相互切り替え)に伴う過渡現象によって生じるノイズの影響を除去することができ、高精度に温度を計測することができる。
尚、この第二の実施形態においてサンプルホールド回路10は、図3のタイミング図に破線で示したようにフェーズφ3が終了した後、フェーズφ1が終了すれば、直ちにフェーズφ2に以降してもよい。同様にフェーズφ3が終了し、フェーズφ2が終了すれば、直ちにフェーズφ1に移行してもかまわない。このようにすることで、フェーズφ1またはフェーズφ2に移行した後、フェーズφ3に移行するまでの時間が長くとれるので、フェーズφ1またはフェーズφ2に移行するときに生じるノイズの影響をより軽減することが可能となる。
次に本発明の第三の実施形態に係る3線式結線の温度測定回路について説明する。この第三の実施形態が上述した第一および第二の実施形態と異なるところは、図4に示したように測定部20を検出した電圧値に応じた所定のディジタル値を出力するAD変換手段21として実現し、このAD変換手段21が出力したディジタル値を用いて、電圧の平均値を求めるMPU演算部22を備える点にある。ここにMPUとは、Micro Processing Unitのことである。
このように構成された第三の実施形態に係る3線式結線の温度測定回路は、AD変換手段21によってサンプルホールド回路10に保持された第一および第二の電流供給ライン間の電圧値(アナログ値)をディジタル値に変換してMPU演算部22に与えているので、電圧ラッチ回路やアナログ加算回路を用いることなく簡易な構成で計測した電圧値の平均値を求めることができるとともに、アナログ回路の特性変化の影響を軽減することができるので高精度の温度測定が可能となる。
尚、AD変換手段21は、フラッシュ型、パイプライン型などのAD変換器で構成される。
次に本発明の第四の実施形態に係る3線式結線の温度測定回路について図5を参照しながら説明する。この第四の実施形態が前述した第一〜第三の実施形態と異なるところは、サンプルホールド回路10および測定部20を含むΔΣ型AD変換器40を用いたところにある。尚、図4と同符号を付した箇所は、第三の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
さて図5のΔΣ型AD変換器40に含まれるサンプルホールド回路41には、第一の電流供給ラインにスイッチS3aを介装してコンデンサC1の一端が接続され、このコンデンサC1の他端にスイッチS4aを介装してAD変換部42を構成するオペアンプAMPの負入力端子に接続される。またサンプルホールド回路41には、第二の電流供給ラインL2にスイッチS3bを介装してコンデンサC2の一端が接続され、このコンデンサC2の他端にスイッチS4bを介装してAD変換部42を構成するオペアンプAMPの正入力端子に接続される。
これらコンデンサC1,C2の一端は、シグナルグランドSGにそれぞれスイッチS5,S6を介して接続される。またコンデンサC1,C2の他端は、シグナルグランドSGにそれぞれスイッチS7,S8を介して接続される。
サンプルホールド回路41のコンデンサC1とスイッチS4aとの接続点には、コンデンサC3の一端が接続される。またコンデンサC3の他端には、負の基準電位(−Vref)に接続されたスイッチS9および正の基準電位Vrefに至るスイッチS10が接続される。そしてこれらスイッチS9とスイッチS10が接続されたノードには、シグナルグランドSGに至るスイッチS13が接続される。
またサンプルホールド回路41のコンデンサC2とスイッチS4bとの接続点には、コンデンサC4に一端が接続される。またコンデンサC4の他端には、負の基準電位(−Vref)に接続されたスイッチS11および正の基準電位Vrefに至るスイッチS12が接続される。そして、これらスイッチS11とスイッチS12が接続されたノードには、シグナルグランドSGに至るスイッチS14が接続される。
オペアンプAMPの負入力端子には、オペアンプAMPの正出力端子に至るフィードバックコンデンサC5が接続される。またオペアンプAMPの正入力端子には、オペアンプAMPの負出力端子に至るフィードバックコンデンサC6が接続される。
このオペアンプAMPの正負二つの出力端子は、コンパレータからなる量子化器QUAに入力される。この量子化器QUAは、サンプルホールド回路41から出力される信号をシグナルグランドSGと比較して、その結果を「0」または「1」の信号とし、更にこの信号をサンプリングクロックCLKでサンプリングすることによって、サンプルホールド回路41の出力信号、すなわち第一および第二の電流供給ライン間の電圧差を量子化した信号およびフィードバック信号を生成する。そして量子化器QUAから出力されたフィードバック信号は、サンプルホールド回路41に与えられてスイッチS9,S10,S11,S12の開閉を制御する。
また量子化器QUAの次段には、量子化器QUAから出力される信号のうち、所定の周波数帯域を通過させるディジタルフィルタDFが接続される。このディジタルフィルタDFは、量子化器QUAから出力される信号周波数帯域以外の量子化ノイズを取り除く役割を担う。またQUAから出力される信号は、サンプルホールド回路41へのフィードバック信号としても用いられる。
このようなΔΣ型AD変換器40を用いて構成された本発明の第四の実施形態に係る温度測定回路の作動について、図3に示すタイミングチャートを用いながら説明する。
まず、スイッチS1,S2のそれぞれの切り替えポジションをフェーズφ1にする。このフェーズφ1において第一の電流供給ラインL1には、第一の定電流源I1が接続され、第二の電流供給ラインL2には、第二の定電流源I2が接続される。次いでサンプルホールド回路41は、所定の時間が経過した後、スイッチS3a,S3b,S7,S8を閉じるフェーズφ3に移行する。このフェーズφ3に移行する前の所定の時間は、スイッチS1,S2の切り替えに伴う過渡現象を取り除くために必要な時間をとることが望ましい。
このフェーズφ3においてコンデンサC1は、第一の電流供給ラインL1とシグナルグランドSGとの間に接続されることになり、第一の電流供給ラインL1とシグナルグランドSGとの差電圧によって充電される。一方、コンデンサC2は、第二の電流供給ラインL2とシグナルグランドSGとの間に接続されるので、第二の電流供給ラインL2とシグナルグランドSGとの差電圧によって充電される。ちなみにこのシグナルグランドSGは、例えば[0]Vでもよいし、AD変換部42が[0〜5]Vの範囲で作動するものであれば、例えばその中間電位である[2.5]Vであってもよい。いずれにしてもシグナルグランドSGの電位は、任意に定めてよい。
またフェーズφ3においてスイッチS9,S10,S11,S12は、すべて開放される一方、スイッチS13,S14は閉じられる。このときコンデンサC3,C4の両端は、シグナルグランドSGに接続され、コンデンサC3,C4が短絡される。
そして所定の時間を経過した後、サンプルホールド回路41は、フェーズφ3で閉じたスイッチS3a,S3b,S7,S8を開く(電流経路1アクイジョン)と共に、コンデンサC3,C4を短絡していたスイッチS13,S14を開く。このときコンデンサC1,C2には、それぞれ充電された電荷が蓄えられ、その両端の電圧は、それぞれVc1,Vc2となる。
そしてサンプルホールド回路41は、コンデンサC1,C2の両端の電圧を測定するべくスイッチS4a,S4b,S5,S6を閉じるフェーズφ4に以降する。このフェーズφ4の期間において次段のAD変換部42は、直列に接続されたコンデンサC1,C2の両端の電圧を測定する(電流経路1トランスファー)。このときAD変換部42の量子化器QUAの出力が「0」のときは、スイッチS9,S12は閉じられ、スイッチS10,S11は開かれる。また量子化器QUAの出力が「1」のときは、スイッチS10,S11は閉じられ、スイッチS9,S12は開かれる。こうしてコンデンサC3,C4に印加される電圧の極性は、量子化器QUAの出力によって互いに逆極性になるように制御(フィードバック)される。
次いでコンデンサC1,C2の両端の電圧測定が終了するとサンプルホールド回路41は、フェーズφ4で閉じたスイッチS4a,S4b,S5,S6を開くと共に、量子化器QUAの出力のレベルによって閉じられたスイッチS9またはスイッチS10およびスイッチS11またはスイッチS12をそれぞれ開放する。
次に温度測定回路は、スイッチS1,S2、それぞれの切り替えポジションをフェーズφ2にする。このフェーズφ2において第一の電流供給ラインL1には、第二の定電流源I2が接続され、第二の電流供給ラインL2には、第一の定電流源I1が接続される。次いでサンプルホールド回路41は、スイッチS1,S2の切り替えに伴う過渡現象の影響を受けない程度の所定時間の経過を待ち、スイッチS3a,S3b,S7,S8を閉じてフェーズφ3に移行する。このフェーズφ3においてコンデンサC1は、第一の電流供給ラインL1とシグナルグランドSGとの差電圧によって充電される。一方、コンデンサC2は、第二の電流供給ラインL2とシグナルグランドSGとの差電圧によって充電がなされる。またこのときスイッチS13,S14は閉じられ、コンデンサC3,C4がそれぞれ短絡される。
そしてサンプルホールド回路41は、所定の時間を経過した後、フェーズφ3で閉じたスイッチS3a,S3b,S7,S8を開く(電流経路2アクイジョン)と共に、コンデンサC3,C4を短絡していたスイッチS13,S14を開く。このときコンデンサC1,C2には、それぞれ充電された電荷が蓄えられる。
次いでサンプルホールド回路41は、コンデンサC1,C2の両端の電圧を測定するべくスイッチS4a,S4b,S5,S6を閉じるフェーズφ4に移行する。このフェーズφ4の期間においてAD変換部42は、直列に接続されたコンデンサC1,C2の両端の電圧を測定する(電流経路2トランスファー)。このときAD変換部42の量子化器QUAの出力が「0」のときは、スイッチS9,S12は閉じられ、スイッチS10,S11は開かれる。また量子化器QUAの出力が「1」のとき、スイッチS10,S11は閉じられ、スイッチS9,S12は、開かれる。こうしてコンデンサC3,C4に印加される電圧の極性は、量子化器QUAの出力によって互いに逆極性になるようにフィードバック制御される。
このようにしてコンデンサC1,C2の両端の電圧測定が終了するとサンプルホールド回路41は、フェーズφ4で閉じたスイッチS4a,S4b,S5,S6を開くと共に、量子化器QUAの出力のレベルによって閉じられたスイッチS9またはスイッチS10およびスイッチS11またはスイッチS12を、それぞれ開放して一連のデータ更新期間が終了する。
以降、サンプルホールド回路41は、上述した一連のデータ更新期間を繰り返しながらサンプリング動作を繰り返し、第一の電流供給ラインL1と第二の電流供給ラインL2との間の電圧値を計測する。
このように構成された本発明の第四の実施形態に係る3線式結線の温度測定回路は、ΔΣ型AD変換器40を用いているので、きわめて短い時間CLKでサンプリングする、いわゆるオーバサンプリング動作を行わせることができる。このためこの実施形態は、特に第一および第二の定電流源I1,I2を第一および第二の電流供給ラインにそれぞれ切り替える周期(データ更新周期)を、ΔΣ型AD変換器のサンプリング周期と略等しくすることで、それぞれの接続状態における温度センサの抵抗値の変化を無視できる程度に抑えることができる。このため本発明の第四の実施形態に係る温度測定回路は、より高精度に温度を計測することができる。
更に本発明の第四の実施形態に係る3線式結線の温度測定回路は、ΔΣ型AD変換器40を備えているので、例えば図4に示したフェーズφ1,φ2のそれぞれの期間で、複数回のフェーズφ3,φ4を実行させて得られたAD変換の出力結果に演算部で更に移動平均処理などを施せば、量子化誤差などの影響を排除することができ、より高精度に温度を計測することができる等の実用上多大なる効果を奏する。
尚、本発明の温度測定回路は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもかまわない。
本発明の第一の実施形態に係る3線式結線の温度測定回路の構成を示す回路図。 本発明の第二の実施形態に係る3線式結線の温度測定回路の構成を示す回路図。 本発明の第二〜四の実施形態に共通の3線式結線の温度測定回路の作動を示すタイミングチャート。 本発明の第三の実施形態に係る3線式結線の温度測定回路の構成を示す回路図。 本発明の第四の実施形態に係る3線式結線の温度測定回路の構成を示す回路図。 従来の3線式結線の温度測定回路の一例を示す回路図。
符号の説明
I1,I2 定電流源
L1,L2,L3 電流供給ライン
S1,S2 スイッチ
Rs 温度センサ
V 電圧計

Claims (5)

  1. 温度によって抵抗値が変化する温度センサと、
    この温度センサの一方の端子に接続された第一の電流供給ラインおよび前記温度センサの他方の端子に接続された第二の電流供給ラインにそれぞれ接続されて、これら電流供給ラインにそれぞれ一定の電流を供給する第一および第二の定電流源と、
    前記第一の供給ラインおよび前記第二の供給ラインとの間の電圧差を計測する測定部と、
    前記第一の電流供給ラインに前記第一の定電流源を接続し、前記第二の電流供給ラインに前記第二の定電流源を接続したときの前記測定部が計測した第一の電圧値と、前記第一の電流供給ラインに前記第二の定電流源を接続し、前記第二の電流供給ラインに前記第一の定電流源を接続したときの前記測定部が計測した第二の電圧値との平均値を求め、この平均値から前記温度センサが検出した温度を求める演算部と
    を備えることを特徴とする3線式結線の温度測定回路。
  2. 請求項1に記載の3線式結線の温度測定回路であって、
    更に前記第一および第二の電流供給ラインと前記測定部との間に介装されて、前記第一および第二の電流供給ライン間の電圧によって充電されるサンプルホールド回路を備え、
    前記測定部はこのサンプルホールド回路に充電された充電電圧値に応じた電圧値を計測することを特徴とする3線式結線の温度測定回路。
  3. 請求項2に記載の3線式結線の温度測定回路であって、
    前記測定部は、計測した電圧値に応じた所定のディジタル値を出力するAD変換手段を具備し、
    前記演算部は、このAD変換手段が出力する前記ディジタル値を用いて前記平均値を求めるMPU演算部を備えることを特徴とする3線式結線の温度測定回路。
  4. 請求項2に記載の3線式結線の温度測定回路であって、
    前記測定部および前記サンプルホールド回路は、これら測定部およびサンプルホールド回路を包むΔΣ型AD変換器により構成されることを特徴とする3線式結線の温度測定回路。
  5. 前記第一および前記第二の電流供給ラインにそれぞれ切り替えて供給する前記第一および前記第二の定電流源の切り替え周期は、前記ΔΣ型AD変換器のサンプリング周期と略等しいことを特徴とする請求項4に記載の3線式結線の温度測定回路。
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