JP4804895B2 - 熱交換器の製造方法 - Google Patents

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この発明は熱交換器の製造方法に関する。
この明細書および特許請求の範囲において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。但し、元素記号「Al」を用いた表記は、当然のことながら元素を表す。
たとえば、自動車に搭載される熱交換器として、互いに間隔をおいて配置された1対のアルミニウム製ヘッダタンクと、両ヘッダタンク間にヘッダタンクの長さ方向に間隔をおいて配置され、かつ両端部がそれぞれ両ヘッダタンクに形成された管挿入穴内に挿入されてヘッダタンクにろう付された複数のアルミニウム製熱交換管と、隣り合う熱交換管間に配置されて熱交換管にろう付されたアルミニウム製フィンとを備えたものが広く用いられている。
そして、この種の熱交換器を製造する方法として、外周面にろう材層を有するヘッダタンク形成体と、外周面にろう材層を有する熱交換管形成体とを用意し、熱交換管形成体の両端部をヘッダタンク形成体の管挿入穴に挿入するとともに、隣り合う熱交換管形成体間にフィンを配置した後、所定の温度に加熱することにより、ヘッダタンク形成体からヘッダタンクを形成するとともに、熱交換管形成体から熱交換管を形成し、さらに熱交換管をヘッダタンクに、フィンを熱交換管にそれぞれろう付する方法が広く知られている。
上述した熱交換器の製造方法において、各部材間のろう付性を向上させるために、次のような種々の提案がなされている。
a)外周面にろう材層を有する熱交換管形成体として、アルミニウム押出管の外周面にアルミニウムろう材を溶射してなる管を用いる方法(特許文献1参照)。
b)外周面にろう材層を有する熱交換管形成体として、アルミニウム押出管の外周面に微細な凹凸を形成した後、アルミニウムろう材を溶射してなる管を用いる方法(特許文献2参照)。
c)ヘッダタンク形成体の外周面における管挿入穴の周囲の部分に、当該管挿入穴に向かう溝を形成しておき、ろう付時に溶融したろう材を管挿入穴と熱交換管形成体との間の隙間に誘導する方法(特許文献3参照)。
しかしながら、外周面にろう材層を有するヘッダタンク形成体と、外周面にろう材層を有する熱交換管形成体と、フィンとを用いた場合、ろう付時に、ヘッダタンク形成体に設けられていたろう材層から溶け出した溶融ろう材が熱交換管形成体側に流れてろう材過剰となり、熱交換管形成体から形成された熱交換管の外周面におけるヘッダタンクに近い部分にエロージョンが発生するという問題があった。
特開昭59−10467号公報 特開平11−33709号公報 特開平8−170892号公報
この発明の目的は、上記問題を解決し、製造された熱交換器の熱交換管にエロージョンが発生することを防止しうる熱交換器の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく種々実験、研究を重ねた結果、特許文献1〜3記載の方法においては、熱交換管形成体の熱容量がヘッダタンク形成体の熱容量よりも小さいので、熱交換管形成体のろう材の昇温速度がヘッダタンク形成体のろう材よりも速くなり、その結果熱交換管形成体のろう材が、ヘッダタンク形成体のろう材よりも早く流動を開始することに起因して、熱交換管にエロージョンが発生することを見出した。すなわち、熱交換管形成体側のろう材がヘッダタンク形成体のろう材よりも早く流動すると、ヘッダタンク形成体側のろう材が流動を開始した際に、溶融ろう材が熱交管形成体側の溶融ろう材に誘導されて熱交換管形成体側に流れ、その結果熱交換管形成体側のろう材量が過剰となり、熱交換管にエロージョンが発生することを見出した。
この発明は、このような知見に基づいて完成されたものであり、以下の態様よりなる。
1)互いに間隔をおいて配置された1対のアルミニウム製ヘッダタンクと、両ヘッダタンク間にヘッダタンクの長さ方向に間隔をおいて配置され、かつ両端部がそれぞれ両ヘッダタンクに形成された管挿入穴内に挿入されてヘッダタンクにろう付された複数のアルミニウム製熱交換管と、隣り合う熱交換管間に配置されて熱交換管にろう付されたアルミニウム製フィンとを備えた熱交換器を製造する方法であって、
少なくとも管挿入穴が形成された部分の外面にろう材層を有するヘッダタンク形成体と、外周面にろう材層を有する熱交換管形成体とを用意し、熱交換管形成体の両端部をヘッダタンク形成体の管挿入穴に挿入した後、所定の温度に加熱することにより、ヘッダタンク形成体からヘッダタンクを形成するとともに、熱交換管形成体から熱交換管を形成し、さらに熱交換管をヘッダタンクにろう付することを含み、ヘッダタンク形成体のろう材層をAl−Si系合金ろう材により形成し、当該Al−Si系合金ろう材におけるSi晶出物の平均粒径を1μm以下としておくことを特徴とする熱交換器の製造方法。
2)ヘッダタンク形成体の少なくとも管挿入穴が形成された部分の外面に、Al−Si系合金ろう材の急冷凝固箔を配置することによりろう材層を形成する上記1)記載の熱交換器の製造方法。
3)Al−Si系合金ろう材の急冷凝固箔を、連続鋳造圧延法により製造する上記2)記載の熱交換器の製造方法。
4)ヘッダタンク形成体の少なくとも管挿入穴が形成された部分の外面に、Al−Si系合金ろう材を溶射することによりろう材層を形成する上記1)記載の熱交換器の製造方法。
5)Al−Si系合金ろう材の溶射を不活性ガス雰囲気中において行う上記4)記載の熱交換器の製造方法。
6)ヘッダタンク形成体が、ヘッダ部形成用プレートと、管接続用プレートと、これら両プレート間に介在させられた中間プレートとよりなり、ヘッダ部形成用プレートに、ヘッダ部形成用プレートの長さ方向にのびかつ中間プレートにより開口が閉鎖された外方膨出部が形成され、管接続用プレートにおける外方膨出部と対応する部分に、複数の管挿入穴が管接続用プレートの長さ方向に間隔をおいて貫通状に形成され、中間プレートに、管接続用プレートの各管挿入穴をヘッダ部形成用プレートの外方膨出部内に通じさせる連通穴が貫通状に形成されており、管接続用プレートにおける中間プレートとは反対側を向いた面に、Si晶出物の平均粒径が1μm以下であるAl−Si系合金ろう材からなるろう材層が形成されている上記1)〜5)のうちのいずれかに記載の熱交換器の製造方法。
7)熱交換管形成体が、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートに圧延加工を施すことにより形成され、かつ2つの平坦壁形成部と、両平坦壁形成部を一体に連結しかつ一方の側壁を形成する連結部と、両平坦壁形成部における連結部とは反対側の側縁に、それぞれ平坦壁形成部から隆起するように設けられた側壁形成部と、各平坦壁形成部に側壁形成部と同方向に突出するように一体成形された補強壁形成用凸条とを備えた管製造用板状体を、連結部においてヘアピン状に曲げて側壁形成部どうしおよび補強壁形成用凸条どうしを突き合わせることにより形成されており、各平坦壁形成部、連結部および両側壁形成部の外面に、ろう材層が形成されている上記1)〜6)のうちのいずれかに記載の熱交換器の製造方法。
8)上記1)〜7)のうちのいずれかに記載の方法により製造された熱交換器。
9)圧縮機、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器を備えており、かつ超臨界冷媒を用いる超臨界冷凍サイクルであって、ガスクーラが上記8)記載の熱交換器からなる超臨界冷凍サイクル。
10)圧縮機、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器を備えており、かつ超臨界冷媒を用いる超臨界冷凍サイクルであって、エバポレータが上記8)記載の熱交換器からなる超臨界冷凍サイクル。
11)上記9)または10)記載の超臨界冷凍サイクルがカーエアコンとして搭載されている車両。
上記1)の熱交換器の製造方法によれば、ヘッダタンク形成体のろう材層を形成するAl−Si系合金ろう材におけるSi晶出物の平均粒径を1μm以下としておくので、熱交換管形成体の熱容量がヘッダタンク形成体の熱容量よりも小さく、熱交換管形成体のろう材の昇温速度がヘッダタンク形成体のろう材よりも速くなった場合であっても、熱交換管形成体のろう材が、ヘッダタンク形成体のろう材よりも早く流動を開始することが防止される。すなわち、ろう付時には、Al−Si系合金ろう材はSi晶出物の周囲の部分で溶融を開始するが、ろう材中のSi晶出物の平均粒径が1μm以下であれば、Si晶出物は広い範囲に分布することになり、ろう材中の広範囲で溶融が始まり、溶融開始から流動開始までの時間が短縮される。したがって、ヘッダタンク形成体のろう材が熱交換管形成体のろう材よりも早く流れ出し、熱交換管とのろう付部以外のろう付部へも流れる。その結果、熱交換管形成体側のろう材が流れ出した際にも、ヘッダタンク形成体側の溶融ろう材が熱交管形成体側の溶融ろう材に誘導されて熱交換管形成体側に流れることが抑制され、製造された熱交換器の熱交換管にエロージョンが発生することを防止することができる。
上記1)の熱交換器の製造方法において、ヘッダタンク形成体のろう材層を形成するAl−Si系合金ろう材におけるSi晶出物の平均粒径を1μm以下に限定したのは、これよりも大きくなるとろう材の溶融開始が遅くなるとともに、溶融したろう材の流動性が低下するおそれがあるからである。
上記2)および3)の熱交換器の製造方法によれば、急冷凝固箔を作製する際に超急冷することが可能となり、Si晶出物の平均粒径を1μm以下にすることが可能になる。
上記4)および5)の熱交換器の製造方法によれば、ヘッダタンク形成体の少なくとも管挿入穴が形成された部分の外面にろう材層を形成する際に超急冷することが可能となり、Si晶出物の平均粒径を1μm以下にすることが可能になる。
上記6)の熱交換器の製造方法によれば、熱交換管形成体のろう材よりも早く流れ出したヘッダタンク形成体のろう材は、まず3つのプレートのろう付部に流れる。したがって、熱交換管形成体側のろう材が流れ出した際にも、ヘッダタンク形成体側の溶融ろう材が熱交管形成体側の溶融ろう材に誘導されて熱交換管形成体側に流れることが抑制され、製造された熱交換器の熱交換管にエロージョンが発生することを防止することができる。
上記7)の熱交換器の製造方法によれば、熱交換管形成体の外面に、比較的簡単にろう材層を形成することができる。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明の方法を、超臨界冷凍サイクルのガスクーラとして用いられる熱交換器の製造に適用したものである。
なお、以下の説明において、図1および図2の上下、左右をそれぞれ上下、左右という。また、隣接する熱交換管どうしの間の通風間隙を流れる空気の下流側(図1に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後というものとする。
図1および図2はこの発明の方法により製造された熱交換器を適用したガスクーラの全体構成を示し、図3〜図6はその要部の構成を示し、図7〜図9はガスクーラの製造方法を示す。
図1および図2において、超臨界冷媒、たとえばCOを使用する超臨界冷凍サイクルのガスクーラ(1)は、左右方向に間隔をおいて配置されかつ上下方向にのびる2つのヘッダタンク(2)(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間に、上下方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の偏平状熱交換管(4)と、隣接する熱交換管(4)どうしの間の通風間隙、および上下両端の熱交換管(4)の外側に配置されて熱交換管(4)にろう付されたアルミニウムベア材製コルゲートフィン(5)と、上下両端のコルゲートフィン(5)の外側にそれぞれ配置されてコルゲートフィン(5)にろう付されたアルミニウムベア材からなるサイドプレート(6)とを備えている。なお、この実施形態において、右側のヘッダタンク(2)を第1ヘッダタンク、左側のヘッダタンク(3)を第2ヘッダタンクというものとする。
図3および図4に示すように、第1ヘッダタンク(2)は、両面にろう材層を有するブレージングシート、ここではアルミニウムブレージングシートから形成されたヘッダ部形成用プレート(7)と、両面にろう材層を有するブレージングシート、ここではアルミニウムブレージングシートから形成された管接続用プレート(8)と、金属ベア材、ここではアルミニウムベア材からなりかつヘッダ部形成用プレート(7)と管接続用プレート(8)との間に介在させられた中間プレート(9)とが、積層されて互いにろう付されることにより構成されている。
ヘッダ部形成用プレート(7)に、上下方向にのび、かつ膨出高さ、長さおよび幅の等しい複数、ここでは2つのドーム状外方膨出部(11A)(11B)が上下方向に間隔をおいて形成されている。ヘッダ部形成用プレート(7)における各外方膨出部(11A)(11B)の左側を向いた開口の周縁部は中間プレート(9)にろう付され、各外方膨出部(11A)(11B)の左側を向いた開口は中間プレート(9)により塞がれている。その結果、各外方膨出部(11A)(11B)内は上下両端が閉鎖された冷媒流通部となっている。
ヘッダ部形成用プレート(7)の上側外方膨出部(11A)の頂部に冷媒入口(12)が形成されており、外方膨出部(11A)外面に、冷媒入口(12)に通じる冷媒流入路(14)を有する金属製、ここではアルミニウムベア材製入口部材(13)が、ヘッダ部形成用プレート(7)の外面のろう材を利用してろう付されている。また、下側外方膨出部(11B)の頂部に冷媒出口(15)が形成されており、外方膨出部(11B)外面に、冷媒出口(15)に通じる冷媒流出路(17)を有する金属製、ここではアルミニウムベア材製出口部材(16)が、ヘッダ部形成用プレート(7)の外面のろう材を利用してろう付されている。
管接続用プレート(8)に、前後方向に長い複数の貫通状管挿入穴(18)が、上下方向に間隔をおいて形成されている。上半部の複数の管挿入穴(18)は、ヘッダ部形成用プレート(7)の上側外方膨出部(11A)の上下方向の範囲内に形成され、同じく下半部の複数の管挿入穴(18)は、下側外方膨出部(11B)の上下方向の範囲内に形成されている。また、管挿入穴(18)の前後方向の長さは、各外方膨出部(11A)(11B)の前後方向の幅よりも若干長く、管挿入穴(18)の前後両端部は外方膨出部(11A)(11B)の前後両側縁よりも外方に突出している(図4参照)。管接続用プレート(8)の前後両側縁部に、それぞれ右方に突出して先端がヘッダ部形成用プレート(7)の外面まで至り、かつヘッダ部形成用プレート(7)と中間プレート(9)との境界部分を全長にわたって覆う被覆壁(19)が一体に形成され、ヘッダ部形成用プレート(7)および中間プレート(9)の前後両側面にろう付されている。各被覆壁(19)の突出端に、ヘッダ部形成用プレート(7)の外面に係合する複数の係合部(21)が、上下方向に間隔をおいて一体に形成され、ヘッダ部形成用プレート(7)にろう付されている。
中間プレート(9)に、管接続用プレート(8)の管挿入穴(18)をヘッダ部形成用プレート(7)の外方膨出部(11A)(11B)内に通じさせる貫通状連通穴(22)が、管挿入穴(18)と同じ数だけ形成されている。各連通穴(22)は、管接続用プレート(8)の各管挿入穴(18)と対応する位置に形成されており、連通穴(22)の大きさは管挿入穴(18)と同じになっている。いる。中間プレート(9)の連通穴(22)の前後両端部において、その内周面における中間プレート(9)の板厚方向の中間部に、連通穴(22)の内方に突出しかつ熱交換管(4)の端面が当接する段部(25)が形成されている。中間プレート(9)の段部(25)における連通穴(22)内周面からの突出高さは、熱交換管(4)の後述する冷媒通路(4a)を塞がないような高さとされている。そして、管接続用プレート(8)の上半部の複数の管挿入穴(18)は、中間プレート(9)の上半部の複数の連通穴(22)を介して上側外方膨出部(11A)内に通じさせられ、同じく下半部の複数の管挿入穴(18)は、中間プレート(9)の下半部の複数の連通穴(22)を介して下側外方膨出部(11B)内に通じさせられている。上側外方膨出部(11A)内に通じるすべての連通穴(22)、および下側外方膨出部(11B)内に通じるすべての連通穴(22)は、それぞれ中間プレート(9)における隣り合う連通穴(22)間の部分を切除することにより形成された連通部(23)により連通させられている。そして、上側外方膨出部(11A)内に通じるすべての連通穴(22)およびこれらの連通穴(22)を連通させる連通部(23)により、上側外方膨出部(11A)内の冷媒流通部と通じる冷媒流通部が形成されており、これにより入口ヘッダ部が形成されている。また、下側外方膨出部(11B)内に通じるすべての連通穴(22)およびこれらの連通穴(22)を連通させる連通部(23)により、下側外方膨出部(11B)内の冷媒流通部と通じる冷媒流通部が形成されており、これにより出口ヘッダ部が形成されている。
第2ヘッダタンク(3)は、第1ヘッダタンク(2)とほぼ同様な構成であり、同一物および同一部分に同一符号を付す。両ヘッダタンク(2)(3)は、管接続用プレート(8)どうしが対向するように配置されている。第2ヘッダタンク(3)における第1ヘッダタンク(2)との主な相違点は、ヘッダ部形成用プレート(7)に、第1ヘッダタンク(2)の外方膨出部(11A)(11B)の数よりも1つ少ない数、ここでは1つのドーム状外方膨出部(24)が、第1ヘッダタンク(2)の両外方膨出部(11A)(11B)にまたがるようにヘッダ部形成用プレート(7)の上端部から下端部にかけて形成されている点、外方膨出部(24)に冷媒入口および冷媒出口が形成されていない点、管接続用プレート(8)のすべての管挿入穴(18)が中間プレート(9)のすべての連通穴(22)を介して外方膨出部(24)内に通じている点、ならびに中間プレート(9)のすべての連通穴(22)が、隣り合う連通穴(22)間の部分を切除することにより形成された連通部(23)により連通させられている点である。外方膨出部(24)の膨出高さおよび幅は、第1ヘッダタンク(2)の外方膨出部(11A)(11B)の膨出高さおよび幅と等しくなっている。また、ヘッダ部形成用プレート(7)における外方膨出部(24)の右側を向いた開口の周縁部は中間プレート(9)にろう付され、外方膨出部(24)の右側を向いた開口は中間プレート(9)により塞がれている。その結果、外方膨出部(24)内は上下両端が閉鎖された冷媒流通部となっている。また、外方膨出部(24)内に通じるすべての連通穴(22)およびこれらの連通穴(22)を連通させる連通部(23)により、外方膨出部(24)内の冷媒流通部と通じる冷媒流通部が形成されており、これにより中間ヘッダ部が形成されている。
熱交換管(4)は、図5および図6に示すように、互いに対向する平らな上下壁(31)(32)(1対の平坦壁)と、上下壁(31)(32)の前後両側縁どうしにまたがる前後両側壁(33)(34)と、前後両側壁間(33)(34)において上下壁(31)(32)にまたがるとともに長さ方向に伸びかつ相互に所定間隔をおいて設けられた複数の補強壁(35)とよりなり、内部に幅方向に並んだ複数の冷媒通路(4a)を有するものである。
前側壁(33)は2重構造であり、上壁(31)の前側縁より下方隆起状に一体成形されかつ熱交換管(4)の全高にわたる外側側壁用凸条(36)と、外側側壁用凸条(36)の内側において上壁(31)より下方隆起状に一体成形された内側側壁用凸条(37)と、下壁(32)の前側縁より上方隆起状に一体成形された内側側壁用凸条(38)とよりなる。外側側壁用凸条(36)は、下端部が下壁(32)の下面前側縁部に係合された状態で両内側側壁用凸条(37)(38)および下壁(32)にろう付されている。両内側側壁用凸条(37)(38)は、相互に突き合わされてろう付されている。後側壁(34)は、上下壁(31)(32)と一体に形成されている。下壁(32)の内側側壁用凸条(38)の先端面に、その長手方向に伸びる凸起(38a)が全長にわたって一体に形成され、上壁(31)の内側側壁用凸条(37)の先端面に、その長手方向に伸びかつ凸起(38a)が圧入される凹溝(37a)が全長にわたって形成されている。
補強壁(35)は、上壁(31)より下方隆起状に一体成形された補強壁用凸条(40)(41)と、下壁(32)より上方隆起状に一体成形された補強壁用凸条(42)(43)とが、相互に突き合わされてろう付されることにより形成されている。上壁(31)および下壁(32)には、それぞれ突出高さの異なる高低2種の補強壁用凸条(40)(41)(42)(43)が前後方向に交互に形成されており、上壁(31)における突出高さの高い補強壁用凸条(40)と下壁(32)における突出高さの低い補強壁用凸条(43)とがろう付され、上壁(31)における突出高さの低い補強壁用凸条(41)と下壁(32)における突出高さの高い補強壁用凸条(42)とがろう付されている。以下、上下両壁(31)(32)の突出高さの高い補強壁用凸条(40)(42)をそれぞれ第1補強壁用凸条といい、同じく低い補強壁用凸条(41)(43)をそれぞれ第2補強壁用凸条というものとする。上下両壁(31)(32)の第2補強壁用凸条(41)(43)の先端面に、その長手方向に伸びかつ他方の壁(32)(31)の第1補強壁用凸条(42)(40)の先端部が嵌る凹溝(44)(45)が全長にわたって形成されており、上下両壁(31)(32)の第1補強壁用凸条(40)(42)の先端部が凹溝(45)(44)内に嵌め入れられた状態で両補強壁用凸条(40)(43)および(41)(42)がろう付されている。
熱交換管(4)の両端部は、それぞれ両ヘッダタンク(2)(3)の管接続用プレート(8)の管挿入穴(18)および中間プレート(9)の連通穴(22)内に挿入されるとともに、その端面が中間プレート(9)の段部(25)に当接した状態で、管接続用プレート(8)のろう材層および上述した管製造用金属板(50)のろう材層を利用して、管接続用プレート(8)の管挿入穴(18)および中間プレート(9)の連通穴(22)の内周面にろう付されている。上半分の複数の熱交換管(4)の右端部は上側外方膨出部(11A)内に通じるように第1ヘッダタンク(2)に接続され、左端部は外方膨出部(24)内に通じるように第2ヘッダタンク(3)に接続されている。また、下半分の複数の熱交換管(4)の右端部は下側外方膨出部(11B)内に通じるように第1ヘッダタンク(2)に接続され、左端部は外方膨出部(24)内に通じるように第2ヘッダタンク(3)に接続されている。
ガスクーラ(1)は、圧縮機、エバポレータ、減圧器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器とともに超臨界冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。
以下、ガスクーラ(1)の製造方法について、図7〜図9を参照して説明する。
まず、次に述べるようにしてヘッダタンク形成体を製造する。
すなわち、図7および図8に示すように、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより、外方膨出部(11A)(11B)(24)を有するヘッダ部形成用プレート(7)を形成する。なお、第1ヘッダタンク(2)のヘッダ部形成用プレート(7)には冷媒入口(12)および冷媒出口(15)を形成しておく。また、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより、管挿入穴(18)、被覆壁(19)および被覆壁(19)に真っ直ぐに連なった係合部形成用突片(21A)を有する管接続用プレート(8)を形成する。さらに、アルミニウムベア材にプレス加工を施すことにより、連通穴(22)、段部(25)および連通部(23)を有する中間プレート(9)を形成する。
ヘッダ部形成用プレート(7)および管接続用プレート(8)を形成するアルミニウムブレージングシートのろう材層を構成する第1ろう材は、Al−Si系合金にZnが添加されたAl−Si−Zn系合金からなり、当該Al−Si−Zn系合金中のZn含有量は1〜20質量%、望ましくは1.5〜10質量%である。すなわち、この第1ろう材は、Si7〜12質量%、Zn1〜20質量%、望ましくは1.5〜10質量%を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなる。
第1ろう材として、上述したAl−Si−Zn系合金に代えて、Al−Si系合金にCuが添加されたAl−Si−Cu系合金からなり、当該Al−Si−Cu系合金中のCu含有量が0.3〜5質量%、望ましくは0.5〜2質量%となっているものを用いてもよい。すなわち、この第1ろう材は、Si7〜12質量%、Cu0.3〜5質量%、望ましくは0.5〜2質量%を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなる。
上述した2種類の第1ろう材の融点は540〜565℃であり、後述する熱交管形成体(55)のろう材層を構成する第2ろう材の融点よりも10℃以上低くなっている。
なお、ヘッダ部形成用プレート(7)および管接続用プレート(8)の両面のろう材層のすべてが、上述した2種類の第1ろう材で構成されている必要はなく、少なくとも管接続用プレート(8)における中間プレート(9)とは反対側を向いた面のろう材層が、上述した2種類の第1ろう材で構成されていればよい。
そして、3つのプレート(7)(8)(9)を積層状に組み合わせた後、突片(21A)を曲げて係合部(21)を形成し、係合部(21)をヘッダ部形成用プレート(7)に係合させて2つのヘッダタンク形成体(60)(70)を製造する。
一方、図9に示すようにして、管製造用金属板(50)(図9(a)参照)を用いて熱交換管形成体(55)を製造する。
管製造用金属板(50)は両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートに圧延加工を施すことにより形成されており、平らな上壁形成部(51)(平坦壁形成部)および下壁形成部(52)(平坦壁形成部)と、上壁形成部(51)および下壁形成部(52)を連結しかつ後側壁(34)を形成する連結部(53)と、上壁形成部(51)および下壁形成部(52)における連結部(53)とは反対側の側縁より上方隆起状に一体成形されかつ前側壁(33)の内側部分を形成する内側側壁用凸条(37)(38)と、上壁形成部(51)における連結部(53)とは反対側の側縁を外側方に延長することにより形成された外側側壁用凸条形成部(54)と、管製造用金属板(50)の幅方向に所定間隔をおいて上壁形成部(51)および下壁形成部(52)よりそれぞれ上方隆起状に一体成形された複数の補強壁用凸条(40)(41)(42)(43)とを備えており、上壁形成部(51)の第1補強壁用凸条(40)と下壁形成部(52)の第2補強壁用凸条(43)、および上壁形成部(51)の第2補強壁用凸条(41)と下壁形成部(52)の第1補強壁用凸条(42)とが、それぞれ連結部(53)の幅方向の中心線に対して対称となる位置にある。下壁形成部(52)の内側側壁用凸条(38)の先端面に凸起(38a)が、上壁形成部(51)の内側側壁用凸条(37)の先端面に凹溝(37a)がそれぞれ形成されている。また、上壁形成部(51)および下壁形成部(52)の第2補強壁用凸条(41)(43)の先端面には、他方の壁形成部(52)(51)の第1補強壁用凸条(42)(40)の先端部が嵌る凹溝(44)(45)が形成されている。
管製造用金属板(50)を形成するアルミニウムブレージングシートのろう材層を構成する第2ろう材としては、通常のろう材、たとえばSi7〜12質量%を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなるもの、たとえばJIS BA4343、JIS BA4045などが用いられる。第2ろう材の融点は、560〜585℃であり、かつヘッダ部形成用プレート(7)および管接続用プレート(8)を形成するアルミニウムブレージングシートのろう材層を構成する第1ろう材の融点よりも10℃以上高い。なお、第2ろう材におけるSi晶出物の平均粒径は3〜100μmである。
両面にろう材がクラッドされたアルミニウムブレージングシートに圧延加工を施してその片面に側壁用凸条(37)(38)および補強壁用凸条(40)(41)(42)(43)が一体成形されていることにより、側壁用凸条(37)(38)および補強壁用凸条(40)(41)(42)(43)の両側面および先端面と、上下壁形成部(50)(51)および外側側壁用凸条形成部(54)の上下両面とにろう材層(図示略)が形成される。
そして、管製造用金属板(50)を、ロールフォーミング法により、連結部(53)の両側縁で順次折り曲げていき(図9(b)参照)、最後にヘアピン状に折り曲げて内側側壁用凸条(37)(38)どうしを突き合わせるとともに、第1補強壁用凸条(40)(42)の先端部を第2補強壁用凸条(43)(41)の凹溝(45)(44)内に嵌め入れ、さらに凸起(38a)を凹溝(37a)内に圧入する。
ついで、外側側壁用凸条形成部(54)を折り曲げていき、両内側側壁用凸条(37)(38)の外面に沿わせるとともに、その先端部を変形させて下壁形成部(52)に係合させて熱交換管形成体(55)を製造する(図9(c)参照)。
ついで、複数の熱交換管形成体(55)とコルゲートフィン(5)とを交互に配置し、熱交換管形成体(55)の両端部を、管接続用プレート(8)どうしが対向するように間隔をおいて配置した2つのヘッダタンク形成体(60)(70)における管接続用プレート(8)の管挿入穴(18)および中間プレート(9)の連通穴(22)に挿入するとともに、その端面を中間プレート(9)の段部(25)に当接させる。
ついで、両端のコルゲートフィン(5)の外側にサイドプレート(6)を配置するとともに、第1ヘッダタンク(2)を形成するヘッダ部形成用プレート(7)の外方膨出部(11A)(11B)に入口部材(13)および出口部材(16)を配置し、すべての部材を適当な手段により仮止めする。
その後、すべての部材を仮止めした仮止め体を所定温度に加熱し、ヘッダタンク形成体におけるヘッダ部形成用プレート(7)のろう材層および管接続用プレート(8)のろう材層を利用して3つのプレート(7)(8)(9)を相互にろう付するとともに、被覆壁(19)を中間プレート(9)およびヘッダ部形成用プレート(7)の前後両側面にろう付し、さらに係合部(21)をヘッダ部形成用プレート(7)にろう付し、両ヘッダタンク(2)(3)を形成する。これと同時に、熱交換管形成体(55)における内側側壁用凸条(37)(38)の先端部どうし、ならびに第1補強壁用凸条(40)(42)および第2補強壁用凸条(43)(41)の先端部どうしをそれぞれろう付するとともに、外側側壁用凸条形成部(54)と両内側側壁用凸条(37)(38)および下壁形成部(52)とをろう付することにより、熱交換管(4)を形成する。さらに、これと同時に、熱交換管(4)をヘッダタンク(2)(3)に、フィン(5)を熱交換管(4)に、サイドプレート(6)をフィン(5)に、入口部材(13)および出口部材(16)を外方膨出部(11A)(11B)にそれぞれろう付する。こうしてガスクーラが製造される。
上記実施形態においては、熱交換管形成体(55)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなる管製造用金属板(50)を曲げることにより形成されているが、これに限定されるものではなく、たとえば外周面にろう材層を有するアルミニウム押出形材からなるものであってもよい。また、ヘッダタンク形成体(60)(70)は、3枚のプレート(7)(8)(9)を積層することにより形成されているが、たとえば両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートを筒状に変形させること、あるいは両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなる複数のタンク構成部材、たとえば横断面略U字状の2つのタンク構成部材を組み合わせることにより形成されていてもよい。
また、上記実施形態においては、ヘッダタンク形成体(60)(70)におけるヘッダ部形成用プレート(7)および管接続用プレート(8)は、上述した第1ろう材からなるろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより形成されているが、これに代えて、ヘッダ部形成用プレート(7)および管接続用プレート(8)は、アルミニウム板にプレス加工を施すことにより形成された加工済み素材の両面に、Al−Si系合金ろう材からなり、かつSi晶出物の平均粒径が1μm以下となっているAl−Si系合金ろう材からなるろう材層が設けられたものを用いてもよい。このAl−Si系合金ろう材は、Si7〜12質量%を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなる。この場合、ろう材層は、たとえば連続鋳造圧延法などにより製造された急冷凝固箔を加工済み素材に巻き付けることにより形成されるか、あるいは加工済み素材に不活性ガス雰囲気中で溶射することにより形成される。ここで、不活性ガスとしては、周期表の不活性ガスの他に窒素ガスなどのアルミニウムに対して不活性なガスが用いられるが、この中では経済的な面から窒素ガスを用いることが好ましい。なお、上記実施形態の場合と同様に、ヘッダ部形成用プレート(7)および管接続用プレート(8)の両面のろう材層のすべてが、Si晶出物の平均粒径が1μm以下となっているAl−Si系合金ろう材で構成されている必要はなく、少なくとも管接続用プレート(8)における中間プレート(9)とは反対側を向いた面のろう材層が、Si晶出物の平均粒径が1μm以下となっているAl−Si系合金ろう材で構成されていればよい。
また、 上記実施形態においては、この発明による方法が、超臨界冷凍サイクルのガスクーラに用いられる熱交換器の製造に適用されているが、この発明による方法は、上述した超臨界冷凍サイクルのエバポレータに用いられる熱交換器の製造に適用されることもある。このエバポレータは、圧縮機、ガスクーラ、減圧器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器とともにCOなどの超臨界冷媒を使用する超臨界冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。
さらに、上記実施形態においては、この発明による方法が、超臨界冷凍サイクルのガスクーラに用いられる熱交換器の製造に適用されているが、この発明による方法は、圧縮機、コンデンサ、減圧器およびエバポレータを備え、かつフロン系冷媒を使用する冷凍サイクルに用いられるコンデンサや、エバポレータに用いられる熱交換器の製造にも適用可能である。この冷凍サイクルは、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。
以下、この発明の具体的実施例を比較例とともに説明する。実施例および比較例は、図1〜図4に示すガスクーラ(1)を製造したものである。
実施例1〜4
両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより、ヘッダ部形成用プレート(7)および管接続用プレート(8)を形成した。ヘッダ部形成用プレート(7)および管接続用プレート(8)の両面のろう材層を構成する第1ろう材の組成、融点およびSi晶出物の平均粒径を表1に示す。なお、ヘッダ部形成用プレート(7)および管接続用プレート(8)を形成するアルミニウムブレージングシートの芯材は、JIS A3003からなる。そして、ヘッダ部形成用プレート(7)および管接続用プレート(8)と、アルミニウムベア材からなる中間プレート(9)を組み合わせてヘッダタンク形成体(60)(70)をつくった。
また、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートに圧延加工を施すことにより管製造用板状体(50)を形成し、この管製造用板状体(50)をロールフォーミングして熱交換管形成体(55)をつくった。管製造用板状体(50)の両面のろう材層を構成する第2ろう材は、Si8質量%を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなり、融点585℃、Si晶出物の平均粒径10μmである。なお、管製造用板状体(50)を形成するアルミニウムブレージングシートの芯材は、Al−Mn−Cu系合金からなる。
上記において、ヘッダ部形成用プレート(7)、管接続用プレート(8)および管製造用板状体(50)を形成するアルミニウムブレージングシートのろう材層の厚みは、それぞれ5〜100μmであることが好ましい。
ついで、ヘッダタンク形成体(60)(70)、熱交換管形成体(55)、コルゲートフィン、サイドプレート、入口部材(13)および出口部材(16)を配置し、すべての部材を適当な手段により仮止めした。その後、この仮止め体を、炉中において、600℃で3分間加熱し、ガスクーラ(1)を製造した。
実施例5〜8
ヘッダタンク形成体(60)(70)におけるヘッダ部形成用プレート(7)および管接続用プレート(8)として、JIS A3003からなるアルミニウムベア材製板にプレス加工を施すことにより形成された加工済み素材の両面に、Al−Si系合金ろう材からなるろう材層が設けられたものを用いた。このAl−Si系合金ろう材の組成、融点およびSi晶出物の平均粒径を表1に示す。
実施例5および6においては、連続鋳造圧延法により製造された急冷凝固箔を、上記加工済み素材に巻き付けることにより、ろう材層を設けておいた。実施例7および8においては、上記加工済み素材に、窒素ガス雰囲気中でAl−Si系合金ろう材を溶射することにより、ろう材層を設けておいた。
上記において、実施例5および6で用いた急冷凝固箔の厚み、および実施例7および8で形成した溶射層の厚みは、それぞれ20〜500μmであることが好ましい。
その他は、上記実施例1〜4と同じ条件でガスクーラ(1)を製造した。
比較例
ヘッダタンク形成体(60)(70)におけるヘッダ部形成用プレート(7)および管接続用プレート(8)として、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施したものを用いた。ヘッダ部形成用プレート(7)および管接続用プレート(8)の両面のろう材層を構成するろう材の組成および融点を表1に示す。なお、ヘッダ部形成用プレート(7)および管接続用プレート(8)を形成するアルミニウムブレージングシートの芯材は、JIS A3003からなる。
ヘッダ部形成用プレート(7)、管接続用プレート(8)および管製造用板状体(50)を形成するアルミニウムブレージングシートのろう材層の厚みは、それぞれ5〜100μmであることが好ましい。
その他は、上記実施例1〜4と同じ条件でガスクーラを製造した。
実施例1〜8および比較例のガスクーラの製造時のヘッダタンク形成体(60)(70)のろう材層からの溶融ろう材の流動開始時間と、熱交換管形成体(55)のろう材層からの溶融ろう材の流動開始時間との差を、次のようにして調べた。すなわち、ろう材が全体に均一に溶け始めて流動を開始する時間を目視により決定し、ガスクーラを製造する際のヘッダタンク形成体(60)(70)のろう材層からの溶融ろう材の流動開始時間と、熱交換管形成体(55)のろう材層からの溶融ろう材の流動開始時間との差を求めた。その結果も表1に示す。なお、この時間差が+であるということは、ヘッダタンク形成体(60)(70)のろう材層からの溶融ろう材の流動が、熱交換管形成体(55)のろう材層からの溶融ろう材の流動よりも早く開始することを意味する。
さらに、製造されたガスクーラにおいて、熱交換管にエロージョンが発生しているか否かを観察した。その結果も表1に示す。なお、エロージョンが発生していない場合を○、エロージョンが発生している場合を×で示す。
Figure 0004804895
なお、表1中のろう材の組成においては、残部はAlと不可避不純物とからなる。
表1に示す結果から、ヘッダタンク形成体(60)(70)のろう材層を構成する第1ろう材の融点が、熱交換管形成体(55)のろう材層を形成する第2ろう材の融点よりも10℃以上低い場合、およびヘッダタンク形成体(60)(70)のろう材層を形成するAl−Si系合金ろう材におけるSi晶出物の平均粒径が1μm以下の場合に、製造されたガスクーラの熱交換管にエロージョンが発生しないことが明らかである。
この発明の方法により製造されたガスクーラの全体構成を示す斜視図である。 図1のガスクーラの後方から前方を見た一部省略垂直断面図である。 図2のA−A線拡大断面図である。 図2のB−B線拡大断面図である。 図1のガスクーラの熱交換管を示す横断面図である。 図5の部分拡大図である。 図1のガスクーラの第1ヘッダタンクの製造方法を示す分解斜視図である。 図1のガスクーラの第2ヘッダタンクの製造方法を示す分解斜視図である。 図1のガスクーラの熱交換管の製造方法を示す図である。
(1):ガスクーラ(熱交換器)
(2)(3):ヘッダタンク
(4):熱交換管
(7):ヘッダ部形成用プレート
(8):管接続用プレート
(9):中間プレート
(11A)(11B):外方膨出部
(18):管挿入穴
(22):連通穴
(24):外方膨出部
(25):段部
(31):上壁(平坦壁)
(32):下壁(平坦壁)
(33)(34):側壁
(35):補強壁
(37)(38):側壁用凸条
(40)(41)(42)(43):補強壁用凸条
(44)(45):凹溝
(50):管製造用板状体
(51):上壁形成部(平坦壁形成部)
(52):下壁形成部(平坦壁形成部)
(53):連結部
(55):熱交換管形成体
(60)(70):ヘッダタンク形成体

Claims (11)

  1. 互いに間隔をおいて配置された1対のアルミニウム製ヘッダタンクと、両ヘッダタンク間にヘッダタンクの長さ方向に間隔をおいて配置され、かつ両端部がそれぞれ両ヘッダタンクに形成された管挿入穴内に挿入されてヘッダタンクにろう付された複数のアルミニウム製熱交換管と、隣り合う熱交換管間に配置されて熱交換管にろう付されたアルミニウム製フィンとを備えた熱交換器を製造する方法であって、
    少なくとも管挿入穴が形成された部分の外面にろう材層を有するヘッダタンク形成体と、外周面にろう材層を有する熱交換管形成体とを用意し、熱交換管形成体の両端部をヘッダタンク形成体の管挿入穴に挿入した後、所定の温度に加熱することにより、ヘッダタンク形成体からヘッダタンクを形成するとともに、熱交換管形成体から熱交換管を形成し、さらに熱交換管をヘッダタンクにろう付することを含み、ヘッダタンク形成体のろう材層をAl−Si系合金ろう材により形成し、当該Al−Si系合金ろう材におけるSi晶出物の平均粒径を1μm以下としておくことを特徴とする熱交換器の製造方法。
  2. ヘッダタンク形成体の少なくとも管挿入穴が形成された部分の外面に、Al−Si系合金ろう材の急冷凝固箔を配置することによりろう材層を形成する請求項1記載の熱交換器の製造方法。
  3. Al−Si系合金ろう材の急冷凝固箔を、連続鋳造圧延法により製造する請求項2記載の熱交換器の製造方法。
  4. ヘッダタンク形成体の少なくとも管挿入穴が形成された部分の外面に、Al−Si系合金ろう材を溶射することによりろう材層を形成する請求項1記載の熱交換器の製造方法。
  5. Al−Si系合金ろう材の溶射を不活性ガス雰囲気中において行う請求項4記載の熱交換器の製造方法。
  6. ヘッダタンク形成体が、ヘッダ部形成用プレートと、管接続用プレートと、これら両プレート間に介在させられた中間プレートとよりなり、ヘッダ部形成用プレートに、ヘッダ部形成用プレートの長さ方向にのびかつ中間プレートにより開口が閉鎖された外方膨出部が形成され、管接続用プレートにおける外方膨出部と対応する部分に、複数の管挿入穴が管接続用プレートの長さ方向に間隔をおいて貫通状に形成され、中間プレートに、管接続用プレートの各管挿入穴をヘッダ部形成用プレートの外方膨出部内に通じさせる連通穴が貫通状に形成されており、管接続用プレートにおける中間プレートとは反対側を向いた面に、Si晶出物の平均粒径が1μm以下であるAl−Si系合金ろう材からなるろう材層が形成されている請求項1〜5のうちのいずれかに記載の熱交換器の製造方法。
  7. 熱交換管形成体が、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートに圧延加工を施すことにより形成され、かつ2つの平坦壁形成部と、両平坦壁形成部を一体に連結しかつ一方の側壁を形成する連結部と、両平坦壁形成部における連結部とは反対側の側縁に、それぞれ平坦壁形成部から隆起するように設けられた側壁形成部と、各平坦壁形成部に側壁形成部と同方向に突出するように一体成形された補強壁形成用凸条とを備えた管製造用板状体を、連結部においてヘアピン状に曲げて側壁形成部どうしおよび補強壁形成用凸条どうしを突き合わせることにより形成されており、各平坦壁形成部、連結部および両側壁形成部の外面に、ろう材層が形成されている請求項1〜6のうちのいずれかに記載の熱交換器の製造方法。
  8. 請求項1〜7のうちのいずれかに記載の方法により製造された熱交換器
  9. 圧縮機、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器を備えており、かつ超臨界冷媒を用いる超臨界冷凍サイクルであって、ガスクーラが請求項8記載の熱交換器からなる超臨界冷凍サイクル
  10. 圧縮機、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器を備えており、かつ超臨界冷媒を用いる超臨界冷凍サイクルであって、エバポレータが請求項8記載の熱交換器からなる超臨界冷凍サイクル
  11. 請求項9または10記載の超臨界冷凍サイクルがカーエアコンとして搭載されている車両
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