JP4802960B2 - ブレ補正装置、撮像装置、ブレ補正方法、撮像方法およびプログラム - Google Patents

ブレ補正装置、撮像装置、ブレ補正方法、撮像方法およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、光学結晶または光学材料からなるブレ補正素子を用いたブレ補正装置、撮像装置、ブレ補正方法、撮像方法およびプログラムに関する。
スチルカメラを手持ちで撮影する場合、焦点距離の長いレンズやマクロ撮影、暗い被写体などの場合には、レリーズ時の手ブレや姿勢ブレ、被写体の動き(動体ブレ)などによる像ブレが目立つ場合がある。このような像ブレは、レンズを明るくしたり、撮像感度を上げたり、シャッタ速度を速く設定したり、撮影者の習熟などによってもある程度防ぐことができるが、限界があった。
特に、ビデオカメラでは、カメラワークやズームを多用するので、カメラ移動や手ブレが激しいと、像ブレや画面揺れで観賞しにくくなる問題があり、各種の手ブレ補正装置が提案されてきた。
このような手ブレ補正装置にあっては、光学補正方式では、検出ブレ量に応じてレンズなどの光学系を機械的に動かして像ブレを補正している(例えば、特許文献1参照)。
ところで、光学材料(電気光学結晶)の一例として、屈折率を変化可能な光学材料が報告されている。従来、絶縁体と考えられていたKTN(タンタル酸ニオブ酸カリウム)からなる40mm角サイズの電気光学結晶に電流を注入することによって、屈折率のグラデーションを誘起するという新しい動作原理(空間電荷制御モード)を利用して、スキャン効率(長さ1cm、厚さ1mmの結晶に、1kvの電圧をかけたときに生じる光のスキャン角度)が12度となり、従来EOビームスキャナと比べて80倍という高効率の超小型・超高速なEOビームスキャナなどの開発が報告されている。
電気光学結晶の一例であるKTN結晶は、カリウム(K)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)と酸素(O)から成る透明な光学結晶であり、1950〜60年代に初めて合成され、2次の電気光学効果(カー効果)が極めて大きい材料であることが知られていた。しかし、結晶成長が難しく、昨今まで実用化が阻まれていた。
2003年、温度の精密制御を行うことなどにより、KTNからなる大型結晶の作製成功が報告され、40mm角という実用的な大きさを達成するに至った。KTN結晶の電気光学効果の大きさを表す電気光学係数は、600pm/V以上で、従来材料のニオブ酸リチウム(LiNb0)などの20倍(電界60V/mm以上の場合)以上に達するため、電気光学結晶による素子のサイズや駆動電圧を一桁以上向上させ、光スイッチなどでは、駆動電圧を1/10にできると発表されている(NTT発表資料、NTTフォトニクス研究所)。
また、2006年5月に、KTN結晶(タンタル酸ニオブ酸カリウム、KTa(1‐X)Nb(X))を用いて光を自在に曲げられることができる現象を発見し、従来技術に比べて80倍のスキャン効率を有する超小型・超高速なEO(E1ectro‐opt1c=電気光学)ビームスキャナが開発された(2006年5月18日、前述NTT報道発表資料)。
特開昭62−47012号公報
しかしながら、特許文献1にあっては、光学系内部の補正用シフトレンズを光軸と垂直の上下左右に偏心移動させる方法を採用しているので、可変角度範囲が狭く、補正角が大きくなるほど偏心収差の変化が大きいといった問題があった。
また、上述した電気光学結晶を光学系の内部に挿入して光軸の補正に用いるには、2軸を曲げる必要があるが、未だ実現していなかった。
さらに、このような手ブレ補正装置では、動画撮影でのパーン操作やチルト操作など意図的なカメラワークによる像ブレと手ブレによる像ブレとを判別する判別手段を設けて、手ブレによる像ブレのみを補正し、また、パーン・チルト操作時の揺れ戻し現象を軽減するようにしているが、手ブレとパーン・チルトとの判別処理や揺れ戻しの補正処理が複雑になり、パーン・チルトの判別を誤ると手ブレ補正が十分に行われないといった問題があった。
また、ブレ補正装置を流用して、ブレ補正以外にも、ユーザ操作によるパーン・チルト駆動や、光軸の微調整などを行えるようにした提案もあるが、可変頂角プリズム式やシフトレンズ式、撮像素子シフト式などの従来の光学式補正装置では、撮影方向を移動できる角度範囲が狭く、また、角度を大きくするほど収差などが大きくなる問題があり、ブレ補正や光軸調整などには利用できても、動画撮影用の電動式パーン・チルト駆動などに用いるには難点があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、静止画撮影や動画撮影において、手ブレによる像ブレのない良好な撮影が行い易く、また手ブレが発生した場合には効果的にブレを補正するとともに、単純な駆動機構を構成でき、小型、薄型の搭載機器を実現することができるブレ補正装置、ブレ補正方法およびプログラムを提供することにある。
さらに、動画撮影などにおけるパーン・チルト操作時などの手ブレの発生を軽減でき、かつ、パーン・チルト動作時のブレ補正装置の揺れ戻しなどを回避でき、またパーン・チルト動作中に手ブレが発生した場合にも、十分なブレ補正も行うことができ、単純な駆動機構を構成でき、小型、薄型の搭載機器を実現することができる撮像装置、撮像方法およびプログラムを提供することにある。
(1)本発明は、印加電圧に応じて層内で屈折率のグラデーションを発生する光学材料と、前記光学材料を撮影光軸上に配置してなる撮影光学系と、前記撮影光学系により撮像面に結像された被写体像を撮像する撮像手段と、発生したブレのブレ量を検出するブレ検出手段と、前記ブレ検出手段により検出されたブレ量に応じてブレ補正量を算出する補正量算出手段と、前記光学材料に電圧を印加する駆動手段と、前記補正量算出手段により算出された補正量に従って、前記撮像手段の撮像面での像ブレを抑制するように前記駆動手段を制御する制御手段とを備えるブレ補正装置であって、前記光学材料は、前記撮影光軸の方向と直交する第1の方向の対向面に第1の電極が形成され、前記第1の電極に印加された電圧に応じて、前記撮影光軸を傾斜させる第1のブレ補正素子と、前記撮影光軸の方向と直交し、かつ、前記第1の方向と直交する第2の方向の対向面に第2の電極が形成され、前記第2の電極に印加された電圧に応じて、前記撮影光軸を傾斜させる第2のブレ補正素子とからなるブレ補正素子を構成することを特徴とする。
本発明によれば、静止画撮影や動画撮影において、手ブレによる像ブレのない良好な撮影が行い易く、また手ブレが発生した場合には効果的にブレを補正するとともに、単純な駆動機構を構成でき、小型、薄型の搭載機器を実現することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<動作原理>
図1を参照して、電気光学結晶からなるブレ補正素子の動作原理と特性の例について説明する。
KTN結晶(タンタル酸ニオブ酸カリウム、KTa(1‐X)Nb(X))からなるブレ補正素子の動作原理は、従来、絶縁体と考えられていたEO結晶に電流を注入することによって、屈折率のグラデーションを誘起するという概念に基づくものである。従来型EOビームスキャナと比べて80倍という高スキャン効率を達成しているとされる。また、ポリゴンミラーやガルバノミラーなどの現行のスキャナ素子と比べると、素子サイズと動作速度について、KTN結晶からなるブレ補正素子は、素子体積1/100、動作速度100倍と、2桁性能を向上することが期待できる。
なお、このような結晶に、電界を加えることにより材料の屈折率が変化する現象を「電気光学効果」といい、加えた電界に屈折率変化が比例する効果を「1次の電気光学効果」(ポッケルス効果)、加えた電界の二乗に屈折率変化が比例する効果を「2次の電気光学効果」(カー効果)と呼ばれている。
また、この「電気光学効果」により、結晶に電圧をかけることにより、その屈折率が変化する特性を有する結晶を「電気光学結晶」(EO結晶、Electro‐optic結晶)という。なお、KTN結晶(タンタル酸ニオブ酸カリウム)結晶の場合には「2次の電気光学効果」(カー効果)を示す。
次に、図1(A)はブレ補正素子の一例を示す斜視図である。図1(A)に示すように、ブレ補正素子11は、前述のようなKTN結晶などの電気光学結晶を直方体形状の平行平板として作製され、その対向する両面13a,13bに導電体金属やITOなどの電極15a,15bが形成され、検出したブレ量に応じて補正量を算出し、補正量に従って電極15a,15b間に印加する電圧を可変制御することで、そのまま電子制御可能な光屈折素子を実現でき、ブレ補正素子として利用できる。
前述の屈折率のグラデーション分布(空間電荷制御モードEO効果)を用いる場合には、光軸(図1に示すA−A’線)上に電極15a,15bを設けないので、従来の電気光学結晶による偏向子のように必ずしも透明電極にする必要はなく、電極15a,15bによる透過率劣化や光量の損失もない。
次に、図1(B)は図1(A)に示すブレ補正素子11に電圧波形を印加した場合に発生する屈折率分布の様子を示す模式図であり、図1(C)はこのブレ補正素子11の層厚方向と屈折率の変化を表すグラフである。
このKTN結晶を用いた屈折率変化の動作原理は、図1(B)に示すように、電気光学結晶の対向する両面に形成された電極15a,15b間に所定の電圧波形を印加することにより、電気光学結晶内に電子を注入すると、屈折率は電極対間に誘起された電界の大きさに応じて線形に変化し、結晶の層内で屈折率のグラデーション分布が発生して(「空間電荷制御モードEO効果」と呼ばれる)、入射光は方向を変えながら進み、方向変化の蓄積により、出射光の角度が変化するので、ブレ量を検出しておけば、このブレ量に応じて撮影光軸を傾斜させ、撮像面への像ブレをキャンセルする新しい光学式のブレ補正装置を実現することができる。この現象は、電気光学結晶一般に適用できるといわれているが、KTN結晶では、誘電率10000以上という巨大な誘電率を有するので、顕著に発現することができる。
次に、図1(D)はブレ補正素子の例として、KTN結晶とニオブ酸リチウム(LiNbO)の電界−屈折率変化の特性を示すグラフである。
図1(D)に示すグラフの勾配は、電気光学定数に相当し、勾配が急なほど屈折率の変化がより大きく、より低電圧で同などの屈折率変化を起こすことができることを示している。
屈折率は、任意の直交座標系では楕円体の表面(屈折率楕円体)で示される。この楕円体の主軸の長さが主屈折率を示す場合が多いため、結晶の光学特性を説明する場合にこの屈折率楕円体がよく用いられる。ここで、光学パラメータ(1/nij )を電界で展開すると、次式となる。
(1/nij )=(1/nij )+γijk・E+gijkl・E・El(1)
上記(1)式で、γijkは1次電気光学定数(ポッケルス定数)、gijklは2次電気光学定数(カー定数)と呼ばれる。
例えば、光変調器などに用いる場合の電気光学結晶に要求される特性は、100%変調に必要な電圧(半波長電圧)が低く、結晶の光学均一性が優れ、光損傷が無く挿入損失が少ないこと、広帯域の変調特性を持つことなどである。
一般に、強誘電体結晶では、1次電気光学定数(ポッケルス定数)γijkが大きい。強誘電体においては、自発分極Psによって誘起される屈折率変化の扱いから、下記(2)式の関係が得られる。
γij2=2ε(ε−1)・gij3l・Ps (2)
すなわち、室温相である強誘電相のγ定数は、高温相である常誘電相における2次電気光学定数(カー定数)gに自発分極Psによるバイアスがかかったものといえ、誘電率(ε)の高い強誘電体は1次電気光学定数γが大きいことを示している。屈折率(n)やg定数といった基本的な値は、多くの強誘電体結晶に共通しているBO型の酸素八面体構造に強く関係していて、特にg定数(カー定数)は結晶構造によらず略一定の値である。従って、上記(2)式から、γ定数(ポッケルス定数)が大きい強誘電体結晶を探すには、自発分極Psが大きく、かつ、誘電率εの大きなものが1つの指針となる。
次に、図2(A)はブレ補正素子の第2の構成例を示す図である。図2(A)に示すように、ブレ補正素子21は、前述のようなKTN結晶などの電気光学結晶を直方体形状の平行平板として作製され、Y方向に対向する面23a、面23bに導電体金属やITOなどの電極25a、電極25bが形成されてY方向の屈折を行うブレ補正素子21Yとされ、さらに、X方向に対向する面27a、面27bに導電体金属やITOなどの電極29a、電極29bが形成されてX方向の屈折を行うブレ補正素子21Xとしておくことで、X方向だけでなく、X方向に直交するY方向にも対向電極を設けた同様の素子を光軸B−B’上に重ねて配置される。
次に、図2(B)はブレ補正素子の第3の構成例を示す図である。図2(B)に示すように、ブレ補正素子31は、単一のKTN結晶などの電気光学結晶を直方体形状の平行平板として作製され、Y方向に対向する面33a、面33bに導電体金属やITOなどの電極35a、電極35bが形成され、X方向に対向する面33c、面33dに導電体金属やITOなどの電極35c、電極35dが形成される。
次に、図3(A)はブレ補正素子の第4の構成例を示す図である。KTN結晶など電気光学効果の大きい光学結晶は大きな結晶が作製しにくい材料も多いので、同図3(A)に示すように、電気光学効果は大きいが大きな径の結晶が作製しにくいようKTN結晶42aと、比較的大きなバルクの結晶も作製し易いニオブ酸リチウム(LiNbO)やタンタル酸リチウム(LiTaO)などの光学結晶42bを鉛直方向に貼り合わせ、KTN結晶42aの面43aに電極45aを形成し、光学結晶42bの面43bに電極45bを形成してもよい。なお、ニオブ酸リチウム(LiNbO)に代わって、水晶(SiO)や石英ガラス、各種光学ガラス材料などによる光学部品などと組み合わせたり、張り合わせたりして構成しても良い。
次に、図3(B)はブレ補正素子の第5の構成例を示す図である。KTN結晶など電気光学効果の大きい光学結晶は大きな結晶が作製しにくい材料も多いので、同図3(B)に示すように、電気光学効果は大きいが大きな径の結晶が作製しにくいようなKTN結晶52aと、比較的大きなバルクの結晶も作製し易いニオブ酸リチウム(LiNbO)やタンタル酸リチウム(LiTaO)などの光学結晶52bを光軸E−E’方向に貼り合わせ、KTN結晶52aの面53a、53bにそれぞれ電極54a、電極54bを形成し、光学結晶52bの面55a、55bにそれぞれ電極56a、電極56bを形成してもよい。なお、ニオブ酸リチウム(LiNbO)に代わって、水晶(SiO)や石英ガラス、各種光学ガラス材料などによる光学部品を組み合わせたり、張り合わせたりして構成しても良い。
次に、図3(C)はブレ補正素子の第6の構成例を示す図である。光学ガラス材料により作製されたプリズム62と、KTN結晶からなる図2(B)に示すブレ補正素子31を接合して、一体のブレ補正素子として構成した例であり、屈曲光軸式ズームレンズに用いられる。
次に、図4(A)は光学式手ブレ補正装置のズームレンズ・ユニット70の構成を示す図であり、図3(C)に示すプリズム62とブレ補正素子31とが接合された状態でズームレンズ・ユニットに配置される。
ズームレンズ・ユニット70は、カメラに設けられており、カメラ前方から入射する光軸I−Jをプリズム62により45度直角に屈曲させる屈曲光軸型のズームレンズ・ユニットであり、光軸I−J方向から入射された入射光を斜辺部分により光軸J−K方向に屈曲させるプリズム62と、プリズム62から出射された光を屈折させるブレ補正素子31と、ブレ補正素子31から出射された光の像を拡大する撮影レンズ群71と、撮影レンズ群71から出射された光の像を撮像する撮像素子73とから構成されている。なお、図4(A)は上述した構成に加えて、カメラに手ブレが加わっていない状態をも示している。
次に、図4(B)はカメラに手ブレが加わった状態を示している。この図において、ブレ補正素子31に設けられた電極35a、電極35b間には電圧が加わっておらず、ズレ補正がされていない状態にある。このとき、カメラの光軸I−Jに対して角度θのブレが発生しており、撮像素子73に投影される像の位置はKからK’まで移動している。
次に、図4(C)はカメラに手ブレが加わった状態において、手ブレ補正した状態を示している。この図において、ブレ補正素子31に設けられた電極35a,35b間に電圧Vが加えられたことで、ブレ補正素子31内で手ブレ方向とは逆方向に光軸を傾斜させいるので、撮像素子73に投影される像の位置はKに補正されている。
上述したように、KTN結晶やニオブ酸リチウム(LiNbO )などの透明で電気光学効果特性を有する誘電体や電気光学結晶などを用いて、電子制御可能なブレ補正装置を実現する例を示したが、透明な(可視光域での光透過率の高い)材料で、電気光学効果や、特に2次の電気光学定数(カー定数)の大きい材料であれば、その他の電気光学結晶や強誘電体材料、透明セラミック材料などを用いて構成してもよい。
また、上記のブレ補正素子を複数段重ねて配置して、屈折角がより大きくなるように構成しても良い。さらに、プリズムの後方などに、直方体の光学結晶の両面に対向電極を設けたブレ補正素子を設ける構成としたが、屈曲光軸方式のズーム系などにおけるプリズム自体を、電気光学結晶を用いて作製し、その所定の対向面に電極を構成して、ブレ補正素子を構成してもよい。
KTN(タンタル酸ニオブ酸カリウム)などの電気光学結晶では、従来のLiNbO(ニオブ酸リチウム)などの電気光学結晶などに比べ誘電率が高く、電子注入により誘起される屈折率分布(空間電荷制御モードEO効果)による屈折角が大きくとれるので、従来の可変頂角プリズム式やシフトレンズ式などの光学式ブレ補正装置に比べ広い角度範囲にて、パーン・チルト駆動ができる。
電気光学結晶を用いた薄小型のブレ補正素子を光軸上に配置するだけでよいので、従来の光学ブレ補正装置に比べて、機械式の駆動部が無く、駆動機構が極めて簡素になり、所定電圧の交流波形などの電流信号を電極対間に加えるだけで、駆動も容易になる。また、従来の光学式ブレ補正装置よりも広い角度範囲で光軸を傾斜させることができるので、電動パーン・チルト駆動などにも利用できる。
また、図4に示すように、上記のブレ補正素子を屈曲光軸式ズームと組み合わせる場合でも、従来の回転ミラー式ブレ補正装置などに比べて、駆動機構が簡素にでき、光軸屈曲用のプリズムの後方に薄小型のブレ補正素子を配置するだけでよいので、光学系を大幅に変えることなく、小型薄型のブレ補正機構付ズームレンズ・ユニットを構成することができる。
さらに、従来の可変頂角プリズム方式のような色収差やシフトレンズ方式での偏心収差などが発生せず、高画質の撮影にも利用できる。また、各種の撮影レンズと組合せて利用できるので、従来の交換レンズや撮影光学系にも利用することができる。
<第1の実施形態>
図5は本発明の第1の実施形態に係るブレ補正装置が搭載されるカメラ101の前面図(A)、背面図(B)、側面断面図(C)である。
まず、図5(A)に示すように、電源スイッチ103、静止画の撮影レリーズ、または動画撮影の開始/停止を行うシャッタスイッチ104、ストロボ105、受光窓106、グリップ部107がカメラ101の前面に設けられており、さらに、カメラ101の内部には、例えば振動ジャイロからなるY方向の角速度センサ108、例えば振動ジャイロからなるX方向の角速度センサ109が設けられている。
次に、図5(B)に示すように、撮影モード切替スイッチ110、撮影条件やその他の設定などを行うためのMENUキー111、カーソルキー(↑、↓、←、→)112、SETキー113、表示の切り替えを行うためのDISPキー114、ズームスイッチ115、ブレ補正機能ON/OFFスイッチ11、画像モニタ117がカメラ101の背面に設けられている。
次に、図5(C)は、図5(A)に示すカメラ101をL−L’線で切断した場合の断面図を示しており、プリズム62、ブレ補正素子31、撮影レンズ群71、撮像素子73が設けられたズームレンズ・ユニット70が内蔵されていることを示している。
次に、図6は、図4および図5に示すズームレンズ・ユニット70(図4参照)の具体的構成を示す図である。
図6に示すように、ズームレンズ・ユニット70は、図4および図5に示したプリズム62とブレ補正素子31とを連結接続して一面に保持する固定部122と、一面に設けられたレンズ部71aからの光像を撮像するCCD撮像素子回路基板123を他面に保持する固定部124とを固定するユニット基板121を備えている。この固定部124には、フォーカス駆動用モータ125の回転を減速してピニオン126に伝達するギア127と、ズーム駆動用モータ128の回転を減速してピニオン129に伝達するギア130とが回転自在に固定されている。固定部122と固定部124との間には、Z軸方向に長手構造を有するガードレール131が固定され、ガードレール131と平行にピニオン126とピニオン129とが回転自在に固定されている。フォーカス駆動ラック132は、フォーカスレンズ部71cを有し、ピニオン126の回転に応じてガードレール131上でZ軸方向に移動する。また、ズーム駆動ラック133は、ズームレンズ部71bを有し、ピニオン129の回転に応じてガードレール131上でZ軸方向に移動する。CCD撮像素子回路基板123には、コネクタ134が設けられており、コネクタ134に接続されたフレキシブル配線がカメラ制御部(図示しない)に接続されている。
次に、図7は本発明に係るブレ補正装置140が搭載されたカメラの構成例を示す図であり、ブレ補正装置140には図6に示したズームレンズ・ユニット70が搭載されている。ブレ補正装置140は、撮像素子73から出力される映像信号に基づいて、動きベクトルを検出して、画像処理により像ブレ量を検出して、ブレ補正素子31を駆動する例である。
ブレ補正装置140は、撮像素子73から順次に画像信号を読み出してデジタルの画像データに変換する信号処理部141と、信号処理部141から出力された画像データを1フレーム毎に記憶する画像データ記録部142と、信号処理部141から出力された画像データを複数ブロックに分割してフレーム間の動きベクトルの方向を求める動きベクトル検出部143と、動きベクトル検出部143からの各ブロックの動きベクトルが一定の方向であるかブロックマッチング法により判別して全体が特定方向に同じ量だけ移動していれば像ブレと判断してブレ量と方向を出力するブレ量演算部144と、ブレ量演算部144から出力されたブレ量と方向に基づいてブレ量が消滅するようにX方向・Y方向の補正量を算出する補正量算出部145と、補正量算出部145から出力されたX方向の補正量に応じた大きさの電圧信号を生成するブレ補正部146Xと、補正量算出部145から出力されたY方向の補正量に応じた大きさの電圧信号を生成するブレ補正部146Yと、ブレ補正部146Xとブレ補正部146Yとから出力されたそれぞれの電圧信号を入力するブレ補正素子31とから構成されている。
なお、ブレ量記録部147はブレ量演算部144から出力されたブレ量と方向を記録する。表示部148はブレ量記録部147に記録されたブレ量と方向を表示する。カメラ制御部149はブレ補正装置140に設けられた各部を制御する。
次に、図8に示すブロック毎の像ブレの例を参照して、図7に示すブレ補正装置140の動作を説明する。
いま、ブレ補正装置140が搭載されたカメラが動画モードに設定され、動作していることとする。このとき、撮像素子73はフレーム毎の画像信号を出力しており、撮像素子73から順次に画像信号を読み出して信号処理部141によりデジタルの画像データに変換され、信号処理部141から出力された画像データは1フレーム毎に画像データ記録部142に記憶される。
次いで、信号処理部141から出力された画像データは動きベクトル検出部143により複数ブロックに分割されてフレーム間の動きベクトルの方向が求められる。ブレ量演算部144では、動きベクトル検出部143からの各ブロックの動きベクトルが一定の方向であるかブロックマッチング法により判別して全体が、図8(A),(B),(D)に示すように、特定方向に同じ量だけ移動していれば像ブレと判断してブレ量と方向を出力する。
一方、ブレ量演算部144では、動きベクトル検出部143からの各ブロックの動きベクトルが、図8(C)に示す中央部分のように、被写体が移動している場合には被写体移動による像ブレと判断してブレ量と方向を出力しない。
上述したように像ブレと判断した場合には、補正量算出部145は、ブレ量演算部144から出力されたブレ量と方向に基づいてブレ量が消滅するようにX方向・Y方向の補正量を算出する。次いで、ブレ補正部146Xは、補正量算出部145から出力されたX方向の補正量に応じた大きさの電圧信号を生成し、この電圧信号をブレ補正素子31に設けられた電極35a、電極35bに出力する。また、ブレ補正部146Yは、補正量算出部145から出力されたY方向の補正量に応じた大きさの電圧信号を生成し、この電圧信号をブレ補正素子31に設けられた電極35c、電極35dに出力する。
ブレ補正素子31は、X,Y各方向の電極対間に印加された電圧信号に応じて、ブレの方向とは逆方向に光軸方向を屈折変化させるので、ブレによる撮像面の像ブレを抑えることができる。
この結果、手ブレが発生した場合には効果的にブレを補正でき、ブレ補正装置の駆動機構を単純な構成として、ブレ補正装置付きのカメラなどの機器を小型、薄型に実現することができる。
このように、加える電界によって屈折率が変化したり、層内で屈折率のグラデーション分布が生成されるKTN結晶などの電気光学結晶を用いるブレ補正素子により、ブレ補正装置を構成したので、機械式の駆動部や磨耗部の無い、極めて簡素な構成のブレ補正装置が実現でき、駆動制御が容易になる他、ブレ補正装置の信頼性や耐久性を高めることができ、また、屈曲光軸式のズームレンズ・ユニットなどと組合せて、薄型小型の光学式ブレ補正機能付きカメラを実現することができる。
<第2の実施形態>
次に、図9は本発明の第2の実施形態に係るブレ補正装置150が搭載されたカメラの構成例を示す図である。ブレ補正装置150は、振動ジャイロなどの角速度センサにより検出されたカメラのブレ量に基づいて、ブレ補正量を算出し、算出された補正量に従って電気光学結晶の対向電極に電圧波形を加えて、撮影光軸を屈曲させて、撮像面での像ブレを抑制する例である。
図9に示す角速度センサ108,109としては、音片型振動ジャイロ、振動ジャイロ、圧電振動ジャイロが好ましい。三角柱の音片型振動ジャイロでは、共振型の高感度の利点を生かしながら、振動方向の稜線のトリミングにより振動姿勢や他辺に影響を与えずに共振周波数を調整できる利点がある。また、セラミックバイモルフ振動子を用いた圧電式の振動ジャイロ、圧電セラミックスを用いた圧電振動ジャイロがある。動かない地面上に立って撮影する場合には、一般に3〜1Hz程度の手ブレが多いが、歩きながら撮影する場合にはやや高い10〜18Hz程度、列車や車両に乗って撮影する場合には20〜25Hz程度のブレも発生するので、0.5〜25Hz程度のブレの発生に対応できるように、応答性が50Hz、検出範囲が±360deg./sec程度の超小型センサが利用できる。
また、周囲温度の変化による静止時出力の温度ドリフトを除去するために、センサ出力に(カットオフ周波数fc=0.3〜0.5Hz程度の)HPFを接続してDC成分を除去し、またセンサ内部の振動ノイズ(20〜25kHz付近など)を除去するために、応答周波数以上の高周波成分を除去する(カットオフ周波数fc=1kHz〜4kHz程度の)LPF(ローパスフィルタ)を接続するとよい。
積分器151,155は、角速度センサ108,109により検出された信号から高域信号を除去して低域(0.5〜25Hz程度)通過させ、積分演算して角度変位に変換して角速度信号またはブレ量信号を出力する。補正量算出部152,156は、積分器151,155から出力される角速度もしくはブレ量に応じて、ブレ補正量を算出する。
ドライバ(X)153,ドライバ(Y)157は、補正量算出部152,156により算出された補正量に従って、ブレ補正素子21X,21Yの対向面の電極対間に印加する電圧波形を生成する。
次に、図9に示すブレ補正装置150の動作を説明する。
いま、ブレ補正装置150が搭載されたカメラが動画モードに設定され、動作していることとする。このとき、角速度センサ109により検出された信号は積分器151に入力されて高域信号が除去され積分演算されて角度変位に変換されて角速度信号またはブレ量信号が出力される。補正量算出部152では、積分器151から出力される角速度もしくはブレ量に応じてブレ補正量が算出されて出力される。さらに、ドライバ(X)153では、補正量算出部152により算出された補正量に従って、ブレ補正素子21Xの対向面の電極対間に印加する電圧信号が生成される。
このドライバ(X)153からの電圧信号をブレ補正素子21Xに設けられた電極29a、電極29bに出力する。ブレ補正素子21Xは、X方向の電極対間に印加された電圧信号に応じて、ブレの方向とは逆方向に光軸方向を屈折変化させるので、ブレによる撮像面の像ブレを抑えることができる。
同様に、角速度センサ108により検出された信号は、積分器155により角度変位に変換されて角速度信号またはブレ量信号が出力される。積分器155から出力される角速度もしくはブレ量に応じて補正量算出部156によりブレ補正量が算出される。さらに、ドライバ(Y)157では、補正量算出部156により算出された補正量に従って、ブレ補正素子21Yの対向面の電極対間に印加する電圧信号が生成される。このドライバ(Y)157からの電圧信号をブレ補正素子21Yに設けられた電極25a、電極25bに出力する。ブレ補正素子21Yは、Y方向の電極対間に印加された電圧信号に応じて、ブレの方向とは逆方向に光軸方向を屈折変化させるので、ブレによる撮像面の像ブレを抑えることができる。
この結果、手ブレが発生した場合には効果的にブレを補正でき、ブレ補正装置の駆動機構を単純な構成として、ブレ補正装置付きのカメラなどの機器を小型、薄型に実現することができる。
上記のブレ補正装置では、角度変化に対して単にそれを打ち消すように補正量を定めて駆動すると、遅れが出るので、検出時の角速度と、前回検出時角速度の差分を取って角加速度を算出し、2周期分以上の角加速度など履歴情報を用いて加減速の程度を判断して、次回検出時の角速度を予測算出するような制御を行ってもよい。
また、ブレ補正角が補正可能な範囲の限界に近くなると、ブレ補正素子に印加する電圧を徐々に低電圧に切替えて、補正可能な範囲内もしくは中点位置に徐々に戻すセンタリング処理や復帰処理を行うように制御してもよい。
上述のように、電気光学結晶でも電気光学効果が大きく、スキャン効率が12度となり効率の大きなKTN(タンタル酸ニオブ酸カリウム)などの電気光学結晶を利用すれば、駆動電圧や消費電力も小さく、手ブレ補正角度(通常±2.5度程度)も十分で、カメラの手ブレ補正装置などにも十分用いることができる。
また、電気光学結晶を用いたX方向のブレ補正素子だけでなく、それと直交するY方向に屈折させるブレ補正素子を光軸上に隣接し並べて設ければ、振動ジャイロなどで検出したX,Y方向のブレ量に応じて、X,Y両方向の対向電極対間にそれぞれ補正用の駆動電流波形を加えることにより、X,Y両方向のブレ補正を行うことができ、薄小型のブレ補正素子を実現することができる。
また、1つの電気光学結晶による直方体のブレ補正素子に、X方向に加えY方向の対向面にも電極対を設ければ、X,Y両方向のブレ補正を行うことも可能である。
いずれも、従来の光学補正装置に比べて、機械駆動部や磨耗部品が無く、駆動機構が極めて簡素になり、所定電圧の交流波形などの電流信号を加えるだけで、駆動も容易になる。
例えば、プリズムを利用した屈曲光軸式のズームレンズを用いた薄型カメラなどにもプリズムの後方に、このような小型の電気光学結晶によるブレ補正素子を設けるだけで、光学式のブレ補正装置が簡単に構成することができる。
<第3の実施形態>
次に、図10は本発明の第3の実施形態に係るブレ補正装置が搭載されたカメラ200の構成例を示す図である。
図10に示すように、カメラ200は、ズームレンズ・ユニット210、カメラ制御部241を含む制御回路240を有している。カメラ制御部241には、ブレ補正量算出部245により算出されたブレ補正量に従って、図2(A)に示したブレ補正素子21Xの対向面の電極対間に印加する電圧信号を生成するブレ補正素子X方向駆動部215、ブレ補正量算出部245により算出されたブレ補正量に従ってブレ補正素子21Yの対向面の電極対間に印加する電圧信号を生成するブレ補正素子Y方向駆動部216、AF処理を行うフォーカスレンズ駆動部217、ズームレンズ・ユニット210を駆動するためのズームレンズ駆動部218、絞り部211を駆動する絞り駆動部219、シャッタ部212を駆動するシャッタ駆動部220、図4に示した撮像素子73から出力される画像信号をA/D変換してデジタルの画像データに変換する映像信号処理部221、カメラ制御部241からのスタート信号に応じて撮像素子73に撮像に関するタイミング信号を与えて駆動するタイミング制御部222が接続されている。
また、カメラ制御部241には、図9に示した角速度センサ109が接続された角速度検出部223からの信号から高域信号が除去され積分演算されて角度変位に変換されたブレ量(θx)信号をカメラ制御部241に出力する積分器224、角速度センサ(Y)109が接続された角速度検出部223が接続されている。また、カメラ制御部241には、積分器226、角速度センサ(X)108が接続された角速度検出部225が接続されている。さらに、カメラ制御部241には、ホワイトバランス処理や測距処理を行う測距センサ228が接続されホワイトバランス処理や測距処理を行う測距処理部229、ストロボ105を駆動するストロボ駆動部230が接続されている。
また、カメラ制御部241には、図5に示す各種キーからの信号を出力する操作部253が接続されている。さらに、カメラ制御部241には、映像信号処理部221から入力された画像データを所定のデータ形式にフォーマット変換する画像処理部250、画像データを圧縮符号化するとともに当該符号化されたデータを伸長復号化して画像データに戻す圧縮符号化/伸長復号化部251、静止画または動画の画像データや圧縮符号化されたデータを記憶する静止画/動画画像メモリ252が接続されている。
また、カメラ制御部241には、撮像された画像データや静止画/動画画像メモリ252から読み出された画像データを表示するために記憶する表示メモリ247、表示メモリ247から所定のレートで読み出して画像モニタ117に表示するように駆動する表示駆動部248が接続されている。
さらに、カメラ制御部241の内部には、撮像された後の画像データを画像処理するデジタル画像処理部242、画像データをスルー表示するために遅延時間を調整する画像バッファメモリ243、積分器224,226からのブレ量信号(θx,θy)から順次にブレ量(θx,θy)を検出する手ブレ量演算部244、手ブレ量演算部244により検出されたブレ量(θx,θy)に基づいてX/Y方向のブレ補正量を算出するブレ補正量算出部245、X/Y方向のブレ補正量に応じてパーン操作量またはチルト操作量を算出するパーン/チルト操作量算出部246が接続されている。
次に、図11A,図11Bに示すフローチャートを参照して、図10に示したカメラ200の動作を説明する。なお、図11A,図11Bは静止画撮影時のブレ補正処理に関するフローチャートである。
いま、カメラ200を静止画モードで使用するために、図5に示したMENUキー111が静止画像モードに設定されたことが操作部253からカメラ制御部241に入力されたこととする。
まず、ステップS10では、カメラ制御部241は、操作部253を介してシャッタスイッチ(レリーズ)104が半押し状態にあるか否かを判断する。
ここで、図5に示したシャッタスイッチ(レリーズ)104が半押し状態にある場合、ステップS20に進み、カメラ制御部241は、測光処理や測距処理を行うように測距処理部229により測距センサ228を制御し、AE/AFロック処理を行うためにフォーカスレンズ駆動部217を制御し、測光値と設定されている露出条件に応じて露出時間T1を設定する。
次いで、ステップS30では、カメラ制御部241は、ブレ補正機能を有効にするために、図5に示したブレ補正機能ON/OFFスイッチ116がONされたことが操作部253から入力されたか否かを判断する。
角速度センサ109が接続された角速度検出部223から積分器224に信号が入力され高域信号が除去され積分演算されて角度変位に変換されたブレ量(θx)信号がカメラ制御部241に入力されている。同時に、角速度センサ108が接続された角速度検出部225から積分器226に信号が入力され高域信号が除去され積分演算されて角度変位に変換されたブレ量(θy)信号がカメラ制御部241に入力されている。
ここで、ステップS50では、カメラ制御部241は、積分器224、積分器226からのブレ量信号(θx,θy)を手ブレ量演算部244に出力し、手ブレ量演算部244に順次にブレ量(θx,θy)を検出させる。
次いで、ステップS60では、カメラ制御部241は、手ブレ量演算部244に順次ブレ量(θx,θy)が検出されたことに応じて、ファインダーとして用いる画像モニタ117上にブレ補正ONと表示されブレ補正処理の準備ができたか否かを判断する。ブレ補正処理の準備ができていない場合にはステップS90に進む。
ブレ補正処理の準備ができた場合には、ステップS70に進み、カメラ制御部241は、手ブレ量演算部244により検出されたブレ量(θx,θy)に基づいて、ブレ補正量算出部245にX/Y方向のブレ補正量を算出させる。
次いで、ステップS80では、カメラ制御部241は、ブレ補正量算出部245に算出させたX方向のブレ補正量をブレ補正素子X方向駆動部215に出力し、算出させたY方向のブレ補正量をブレ補正素子Y方向駆動部216に出力する。
ここで、ブレ補正素子X方向駆動部215では、ブレ補正量算出部245により算出されたブレ補正量に従って、ブレ補正素子21Xの対向面の電極対間に印加する電圧信号が生成されるので、この電圧信号をブレ補正素子21Xに設けられた電極29a、電極29bに出力する。ブレ補正素子21Xは、X方向の電極対間に印加された電圧信号に応じて、ブレの方向とは逆方向に光軸方向を屈折変化させるので、ブレによる撮像面の像ブレを抑えることができる。
同様に、ブレ補正素子Y方向駆動部216では、ブレ補正量算出部245により算出されたブレ補正量に従って、ブレ補正素子21Yの対向面の電極対間に印加する電圧信号が生成されるので、この電圧信号をブレ補正素子21Yに設けられた電極25a、電極25bに出力する。ブレ補正素子21Yは、Y方向の電極対間に印加された電圧信号に応じて、ブレの方向とは逆方向に光軸方向を屈折変化させるので、ブレによる撮像面の像ブレを抑えることができる。
このとき、カメラ制御部241は、タイミング制御部222にスタート信号を与えて撮像を開始させる。これに応じて撮像素子73から出力される画像信号が映像信号処理部221に入力されデジタルの画像データに変換され、さらに、デジタル画像処理部242において画像処理を行わせ、次いで、表示メモリに画像データを出力する。さらに、表示メモリ247から所定のレートで読み出して画像モニタ117に表示するように表示駆動部248を駆動することで、画像モニタ117から被写体の画像が表示される。この結果、ブレが抑制された画像を表示することができる。
次いで、ステップS90では、カメラ制御部241は、操作部253を介してシャッタスイッチ(レリーズ)104が全押し状態にあるか否かを判断する。
ここで、シャッタスイッチ(レリーズ)104が全押し状態にある場合、ステップS100に進み、カメラ制御部241は、露出時間タイマーに計時を開始させる。
次いで、ステップS110では、カメラ制御部241は、ブレ補正機能ON/OFFスイッチ116がONされているか否かを判断する。ブレ補正機能ON/OFFスイッチ116がONされていない場合には、ステップS150に進む。
いま、積分器224および積分器226からブレ量(θx,θy)信号がカメラ制御部241に入力されている。ここで、ブレ補正機能ON/OFFスイッチ116がONされている場合には、ステップS120に進み、カメラ制御部241は、積分器224、積分器226からのブレ量信号(θx,θy)を手ブレ量演算部244に出力し、手ブレ量演算部244に順次にブレ量(θx,θy)を検出させ、さらに、検出されたブレ量(θx,θy)を順次にメモリ(図示しない)に記録する。
次いで、ステップS130、S140では、上述したステップS70、S80の処理を行わせる。この結果、ブレ補正素子21Xは、X方向の電極対間に印加された電圧信号に応じて、ブレの方向とは逆方向に光軸方向を屈折変化させるので、ブレによる撮像面の像ブレを抑えることができる。同時に、ブレ補正素子21Yは、Y方向の電極対間に印加された電圧信号に応じて、ブレの方向とは逆方向に光軸方向を屈折変化させるので、ブレによる撮像面の像ブレを抑えることができる。
次いで、ステップS150では、カメラ制御部241は、露出時間タイマーから計時時間Tを読み出し、計時時間Tが露出時間T1に到達したか判断する。計時時間Tが露出時間T1に到達していない場合にはステップS110に戻り、上述した処理を繰り返す。
計時時間Tが露出時間T1に到達した場合には、ステップS160に進み、カメラ制御部241は、タイミング制御部222にスタート信号を与えて撮像を開始させる。これに応じて撮像素子73から出力される画像信号が映像信号処理部221に入力されデジタルの画像データに変換され、さらに、デジタル画像処理部242において画像処理を行わせ、次いで、圧縮符号化/伸長復号化部251に画像データを圧縮符号化させ、圧縮符号化された静止画の画像データを静止画/動画画像メモリ252に記録するように制御する。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施の形態について、図10に示すカメラ200の構成例に適用して説明する。図12A,図12Bに示すフローチャートを参照して、カメラ200の動作を説明する。なお、図12A,図12Bは動画撮影時にパーン/チルト操作を行ったときブレ補正処理に関するフローチャートである。
いま、カメラ200を動画撮影モードで使用するために、図5に示すMENUキー111が動画撮影モードに設定されたことが操作部253からカメラ制御部241に入力されたこととする。
まず、カメラ制御部241は、ステップS210では、図10に示す操作部253を介してMENUキー111が動画撮影モードに設定されたか否かを判断する。
MENUキー111が動画撮影モードに設定されている場合には、ステップS220に進み、カメラ制御部241は、測光処理や測距処理やWB(ホワイトバランス)処理を行うように測距処理部229を制御する。
次いで、ステップS230では、カメラ制御部241は、ブレ補正機能が有効か否かを判断するために、ブレ補正機能ON/OFFスイッチ116がONされたことが操作部253から入力されたか否かを判断する。
ところで、図10において、角速度センサ109が接続された角速度検出部223から積分器224に信号が入力されると、高域信号が除去され積分演算されて角度変位に変換されたブレ量(θx)信号がカメラ制御部241に入力される。同時に、角速度センサ108が接続された角速度検出部225から積分器226に信号が入力されると、高域信号が除去され積分演算されて角度変位に変換されたブレ量(θy)信号がカメラ制御部241に入力される。
ここで、ステップS250では、カメラ制御部241は、積分器224、積分器226からのブレ量信号(θx,θy)を手ブレ量演算部244に出力し、手ブレ量演算部244に順次にブレ量(θx,θy)を検出させる。
次いで、ステップS260では、カメラ制御部241は、操作部253からカーソルキー(←or→)が押されることによるパーン(X方向)操作があるか否かを判断する。パーン(X方向)操作がない場合には、ステップS280に進む。一方、ステップS260において、パーン(X方向)操作がある場合には、ステップS270に進む。
ステップS260において、パーン(X方向)操作があると判断した場合には、ステップS270に進み、カメラ制御部241は、パーン/チルト操作量算出部246により算出されたパーン操作量をブレ補正素子X方向駆動部215に出力する。
ここで、ブレ補正素子X方向駆動部215では、パーン/チルト操作量算出部246により算出されたパーン操作量に従って、ブレ補正素子21Xの対向面の電極対間に印加する電圧信号が生成されるので、この電圧信号をブレ補正素子21Xに設けられた電極29a、電極29bに出力する。ブレ補正素子21Xは、X方向の電極対間に印加された電圧信号に応じて屈折率が変化し、X方向に光軸方向を傾斜させるので、撮像素子73に対して撮像面をパーン移動することができる。
一方、ステップS260において、パーン(X方向)操作がないと判断した場合には、ステップS280では、カメラ制御部241は、操作部253からカーソルキー(↑or↓)が押されることによるチルト(Y方向)操作があるか否かを判断する。チルト(Y方向)操作がない場合には、ステップS300に進む。ステップS280において、チルト(Y方向)操作がある場合には、ステップS290に進む。
ステップS280において、チルト(Y方向)操作があると判断した場合には、ステップS290に進み、カメラ制御部241は、パーン/チルト操作量算出部246により算出されたチルト操作量をブレ補正素子Y方向駆動部216に出力する。
ここで、ブレ補正素子Y方向駆動部216では、パーン/チルト操作量算出部246により算出されたチルト操作量に従って、ブレ補正素子21Yの対向面の電極対間に印加する電圧信号が生成されるので、この電圧信号をブレ補正素子21Yに設けられた電極25a、電極25bに出力する。ブレ補正素子21Yは、Y方向の電極対間に印加された電圧信号に応じて屈折率が変化し、Y方向に光軸方向を傾斜させるので、撮像素子73に対して撮像面をチルト移動することができる。
次いで、ズームスイッチ115が押された状態にある場合、ステップS300に進み、カメラ制御部241は、ズーム処理を行うようにズームレンズ駆動部218によりレンズ部71a、ズームレンズ部71bを制御し、AF処理を行うためにフォーカスレンズ駆動部217を制御する。
次いで、ステップS310では、カメラ制御部241は、ブレ補正機能ON/OFFスイッチ116がONされているか否かを判断する。ブレ補正機能ON/OFFスイッチ116がONされていない場合には、ステップS400に進む。一方、ブレ補正機能ON/OFFスイッチ116がONされている場合には、ステップS320に進む。
次いで、ステップS310において、ブレ補正機能ON/OFFスイッチ116がONされていると判断された場合には、ステップS320では、カメラ制御部241は、パーン(X方向)動作中か否かを判断する。パーン(X方向)動作中の場合には、ステップS330に進む。一方、パーン(X方向)動作中ではない場合には、ステップS350に進む。
次いで、ステップS330では、カメラ制御部241は、積分器224からのブレ量信号(θy)を手ブレ量演算部244に出力し、手ブレ量演算部244に順次にブレ量(θy)を検出させ、さらに、検出されたブレ量(θy)に基づいて、ブレ補正量算出部245にY方向のブレ補正量を算出させる。
次いで、ステップS340では、カメラ制御部241は、ブレ補正量算出部245に算出させたY方向のブレ補正量をブレ補正素子Y方向駆動部216に出力する。
この結果、ブレ補正素子21Yは、Y方向の電極対間に印加された電圧信号に応じて、ブレの方向とは逆方向に光軸方向を屈折変化させるので、ブレによる撮像面の像ブレを抑えることができる。
ステップS320において、パーン(X方向)動作中ではないと判断された場合には、ステップS350に進み、カメラ制御部241は、チルト(Y方向)動作中か否かを判断する。チルト(Y方向)動作中の場合には、ステップS360に進む。一方、チルト(Y方向)動作中ではない場合には、ステップS380に進む。
次いで、ステップS360では、カメラ制御部241は、積分器226からのブレ量信号(θx)を手ブレ量演算部244に出力し、手ブレ量演算部244に順次にブレ量(θx)を検出させ、さらに、検出されたブレ量(θx)に基づいて、ブレ補正量算出部245にX方向のブレ補正量を算出させる。
次いで、ステップS370では、カメラ制御部241は、ブレ補正量算出部245に算出させたX方向のブレ補正量をブレ補正素子X方向駆動部215に出力する。
この結果、ブレ補正素子21Xは、X方向の電極対間に印加された電圧信号に応じて、ブレの方向とは逆方向に光軸方向を屈折変化させるので、ブレによる撮像面の像ブレを抑えることができる。
ステップS350において、チルト(Y方向)動作中ではないと判断された場合には、すなわち、パーン(X方向)動作中でもチルト(Y方向)動作中でもない場合には、通常のブレ補正処理を行うためステップS380に進む。
ステップS380では、カメラ制御部241は、手ブレ量演算部244により検出されたブレ量(θx,θy)に基づいて、ブレ補正量算出部245にX/Y方向のブレ補正量を算出させる。
次いで、ステップS390では、カメラ制御部241は、ブレ補正量算出部245に算出させたX方向のブレ補正量をブレ補正素子X方向駆動部215に出力し、算出させたY方向のブレ補正量をブレ補正素子Y方向駆動部216に出力する。
ここで、ブレ補正素子X方向駆動部215では、ブレ補正量算出部245により算出されたブレ補正量に従って、ブレ補正素子21Xの対向面の電極対間に印加する電圧信号が生成されるので、この電圧信号をブレ補正素子21Xに設けられた電極29a、電極29bに出力する。ブレ補正素子21Xは、X方向の電極対間に印加された電圧信号に応じて、ブレの方向とは逆方向に光軸方向を屈折変化させるので、ブレによる撮像面の像ブレを抑えることができる。
同様に、ブレ補正素子Y方向駆動部216では、ブレ補正量算出部245により算出されたブレ補正量に従って、ブレ補正素子21Yの対向面の電極対間に印加する電圧信号が生成されるので、この電圧信号をブレ補正素子21Yに設けられた電極25a、電極25bに出力する。ブレ補正素子21Yは、Y方向の電極対間に印加された電圧信号に応じて、ブレの方向とは逆方向に光軸方向を屈折変化させるので、ブレによる撮像面の像ブレを抑えることができる。
次いで、ステップS400では、カメラ制御部241は、タイミング制御部222にスタート信号を与えて撮像を開始させる。これに応じて撮像素子73から出力される画像信号が映像信号処理部221に入力されデジタルの画像データに変換され、さらに、デジタル画像処理部242において画像処理を行わせ、次いで、表示メモリに画像データを出力する。さらに、表示メモリ247から所定のレートで読み出して画像モニタ117に表示するように表示駆動部248を駆動することで、画像モニタ117から被写体の画像がスルー表示される。この結果、ブレが抑制された画像を表示することができる。
なお、ブレ量の検出では、例えば、Y軸周りの横方向の回転(ヨー回転)とX軸周りの縦方向の回転(ピッチ回転)とを検出する2軸の圧電振動ジャイロなど、2〜3軸の角速度センサを用いる。また、検出された角速度を積分して角度変位を求めることができる。さらには、X軸方向の平行移動、Y軸方向の平行移動などの加速度を検出する加速度センサなどを設けて、回転角速度だけでなく各軸に平行な方向の加速度や振動をも検出できるようにしてもよい。
また、本実施形態においては、動画(ムービー)撮影時のブレ補正処理フローチャートに従って、スルー表示中や動画撮影中には、ユーザ操作に応じてパーン/チルト動作を行いながらスルー表示および撮影記録動作を行うようにしたが、本発明はこのような場合に限定されるものではない。すなわち、パーン(横移動)操作時には、水平(ヨー)回転方向のブレ補正を行わずに、垂直(ピッチ)回転方向のブレ補正のみ行い、逆に、チルト(縦移動)操作時には、垂直(ピッチ)回転方向のブレ補正を行わずに、水平方向(ヨー回転)のブレ補正のみ行いながら、スルー表示および撮影記録動作するよう制御してもよい。
また、本実施の形態によれば、ユーザのスイッチ操作に応じてパーン・チルト動作を行うので、カメラ自体の向きを移動しなくてもスイッチ操作で撮影方向を移動できるので、パーン・チルト操作時の手ブレの発生を抑制することができる。
また、ゆっくりと一定の速度でパーンニングやチルテイングを行うことが初心者でも容易にできるので、パーン・チルト動作によるカメラのブレが生じにくくなり、撮影者はカメラの保持姿勢に集中できる。また、従来では、再生時に表示された画面が揺れるのを見ていた観賞者が酔ってしまうことも考えられるが、本実施の形態によれば、再生時に表示された画面が揺れないので、観賞者が酔うこともなく、見易い動画像を提供することができる。
屈折角度変化の大きなKTN結晶からなるブレ補正素子を用いるようにしたので、従来の光学補正装置と違って、ブレ補正だけでなく、動画撮影にも十分な広い角度範囲でパーン・チルト駆動を行うことができる。
また、ユーザの操作に応じてカーソルスイッチなどのパーン・チルト操作スイッチが押され、電動パーン・チルトの動作中か否かを判断するだけで、手ブレかパーン・チルト操作かを確実に判断できるので、従来のような手ブレ処理とパーン・チルト操作処理との複雑な判別処理が不要になる。
また、本実施の形態によれば、動画撮影において、横方向のパーン動作時に垂直方向(ピッチ)のブレ補正を行う場合には水平方向(ヨー)のブレ補正を行わず、逆に、縦方向のチルト動作時に水平方向(ヨー)のブレ補正を行う場合には垂直方向(ピッチ)のブレ補正を行わないように制御し、パーン動作中でもチルト動作中でもない場合には、水平方向(ヨー)および垂直方向(ピッチ)のブレ補正を共に行うように制御するので、パーン・チルトと判断された場合にブレ補正を制限したり、センタリング速度を補正したりするなどの面倒な処理も不要にできるとともに、パーン・チルト動作後の揺れ戻しも生じない。また、誤判別が生じないので、追従性がよく、かつ、パーン・チルト動作中も動作回転方向とは直交する回転方向でのブレ補正を十分に行うことができる。
また、ユーザ操作に応じたパーン・チルト動作時には、ズーム光学系の焦点距離もしくは撮影画角(写角)に応じて、ブレ補正素子の屈折角を可変する駆動速度を切替えるように制御し、焦点距離が長くなるほど、もしくは、画角範囲が狭くなるほど遅い駆動速度となるようにしてもよい。これにより、ファインダー画面の枠内範囲に対して略一定の移動速度(角速度)になり、自然な操作感覚で撮影することができる。
また同様に、動画撮影などでは、操作スイッチを用いた電子的なパーン/チルト操作の入力に応じて、ブレ補正素子により意図的に撮影光軸を傾斜させて、光学系の撮影画角の範囲内で、電動式パーン/チルト動作を行うこともでき、動画撮影における手ブレの発生を抑制することもできる。
例えば、静止画の撮影時には、ユーザ操作によりパーン・チルト動作を行った際には、パーン・チルト動作やズーム操作を行った後に、レリーズキーで撮影時に検出された水平・垂直軸周りの角速度に応じて、ブレ補正を行って撮影する。また、スルー表示中や動画撮影中には、ユーザ操作によるパーン・チルト動作を行いながらスルー表示および撮影記録動作を行うが、パーン(横移動)操作時には、垂直軸周りの水平(ヨー)回転方向のブレ補正を行わずに、水平軸周りの垂直(ピッチ)回転方向のブレ補正のみ行い、逆に、チルト(縦移動)操作時には、水平軸周りの垂直(ピッチ)回転方向のブレ補正を行わずに、垂直軸周りの水平方向(ヨー回転)のブレ補正のみ行いながら、スルー表示および撮影記録動作するよう制御するなどすればよい。
パーン・チルト操作に用いる操作スイッチが押されたか否か、または、パーン・チルト動作中か否かで、パーン・チルトを確実に判断できるので、手ブレとパーン・チルトの複雑な判別処理が不要になる。また、カメラの向きを移動しなくてもスイッチ操作に応じてパーン・チルト駆動させるので、パーン・チルト操作時に手ブレが生じにくくなるとともに、パーン動作時にはパーン操作方向(ヨー回転)のブレ補正を行わず、チルト動作時にはチルト操作方向(ピッチ回転)のブレ補正を行わないので、揺れ戻し現象が生じず、揺れ戻しの補正処理も不要となり、かつ、パーン・チルトの各動作中にも他方向のブレ補正は十分に行うことができる。
なお、図13は1次の電気光学効果を生じる結晶の特性例を示す図であり、図14は1次の電気光学効果を生じる他の結晶の特性例を示し、図15は2次の電気光学効果を生じる結晶の特性例を示す図である。なお、図13から図15に示す特性例は、朝倉書店から1976年に出版された「光学技術ハンドブック増補版」による。
このような各種の誘電体や光学結晶などで、1次電気光学係数(ポッケルス定数γ)や、特に、2次電気光学係数(カー定数g)が大きいものなどが本実施形態のブレ補正素子に利用できる。
また、圧電材料などにも使われているPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)やPLZT(ランタンをドーブしたジルコン酸チタン酸鉛)などの焼結体やセラミックスなども、可視光を透過し、透過率の高い透明セラミックス薄膜などが形成できれば、また、屈折率変化が大きく電気光学効果が大きいものであれば、同様にこれらを用いて、ブレ補正素子を構成することができる。
一般に、結晶の微粒子から成り立つ焼結体や金属酸化物のセラミックスでは、単結晶が透明であっても、空孔などが存在すると透過性が無い。これを均一な相の微粒子にして、また、内部の気孔を排除すると透過性があるセラミックスができる。焼結には減圧状態での高温処理で内部ガスを追い出した後に焼結するか、数百kg/cmに加圧しながら焼結する方法(ホットプレス法)などがある。
あるいは、PLZT粉末原料を低真空下で高速に吹きつける虹法(エアロゾルデポジション法)などを利用して、微結晶からなるPLZTの透明で緻密なセラミックス膜薄膜などを作製して利用しても良い。
例えば、PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)に、ランタン(La3+)やビスカス(Bi3+)などを少量添加して、200〜600kg/cm、1000〜1300℃で数時間ホットプレスして製造された透明セラミックスによる電気光学用材料の例がある。
(A)はブレ補正素子の一例を示す斜視図である。(B)はブレ補正素子11に電圧波形を印加した場合に発生する屈折率分布の様子を示す模式図である。(C)はこのブレ補正素子11の層厚方向と屈折率の変化を表すグラフである。(D)はブレ補正素子の例として、KTN結晶とニオブ酸リチウム(LiNbO)の電界−屈折率変化の特性を示すグラフである。 (A)はブレ補正素子の第2の構成例を示す図であり、(B)はブレ補正素子の第3の構成例を示す図である。 (A)はブレ補正素子の第4の構成例を示す図であり、(B)はブレ補正素子の第5の構成例を示す図であり、(C)はブレ補正素子の第6の構成例を示す図である。 (A)は光学式手ブレ補正装置のズームレンズ・ユニットの構成を示す図であり、(B)はカメラに手ブレが加わった状態を示す図であり、(C)はカメラに手ブレが加わった状態において、手ブレ補正した状態を示す図である。 本発明に係るブレ補正装置が搭載されるカメラ101の前面図(A)、背面図(B)、側面断面図(C)である。 ズームレンズ・ユニット70の具体的構成を示す図である。 本発明に係るブレ補正装置140が搭載されたカメラの構成例を示す図である。 (A),(B),(D)は、特定方向に同じ量だけ移動していれば像ブレと判断する例を示す図であり、(C)は、中央部分のように被写体が移動している例を示す図である。 本発明に係るブレ補正装置150が搭載されたカメラの構成例を示す図である。 本発明に係るブレ補正装置が搭載されたカメラ200の構成例を示す図である。 静止画撮影時のブレ補正処理に関するフローチャートその1である。 静止画撮影時のブレ補正処理に関するフローチャートその2である。 動画撮影時にパーン/チルト操作を行ったときブレ補正処理に関するフローチャートその1である。 動画撮影時にパーン/チルト操作を行ったときブレ補正処理に関するフローチャートその2である。 1次の電気光学効果を生じる結晶の特性例を示す図である。 1次の電気光学効果を生じる他の結晶の特性例を示す図である。 2次の電気光学効果を生じる結晶の特性例を示す図である。
符号の説明
21…ブレ補正素子、21X…ブレ補正素子、21Y…ブレ補正素子、62…プリズム、70…ズームレンズ・ユニット、71…撮影レンズ群、73…撮像素子、108…角速度センサ、109…角速度センサ、140…ブレ補正装置、141…信号処理部、142…画像デー記録部、143…ベクトル検出部、144…ブレ量演算部、145…補正量算出部、146…ブレ補正駆動部、146X…ブレ補正部、146Y…ブレ補正部、147…ブレ量記録部、148…表示部、149…カメラ制御部、150…ブレ補正装置、151…積分器、152…補正量算出部、155…積分器、156…補正量算出部、210…ズームレンズ・ユニット、216…方向駆動部、217…フォーカスレンズ駆動部、218…ズームレンズ駆動部、219…駆動部、221…映像信号処理部、222…タイミング制御部、223…角速度検出部、224…積分器、225…角速度検出部、226…積分器、228…測距センサ、229…測距処理部、230…ストロボ駆動部、240…制御回路、241…カメラ制御部、242…デジタル画像処理部、243…画像バッファメモリ、244…手ブレ量演算部、245…ブレ補正量算出部、246…パーン/チルト操作量算出部、247…表示メモリ、248…表示駆動部、250…画像処理部、251…伸長復号化部、252…動画画像メモリ、253…操作部

Claims (6)

  1. 印加電圧に応じて層内で屈折率のグラデーションを発生する光学材料と、
    前記光学材料を撮影光軸上に配置してなる撮影光学系と、
    前記撮影光学系により撮像面に結像された被写体像を撮像する撮像手段と、
    発生したブレのブレ量を検出するブレ検出手段と、
    前記ブレ検出手段により検出されたブレ量に応じてブレ補正量を算出する補正量算出手段と、
    前記光学材料に電圧を印加する駆動手段と、
    前記補正量算出手段により算出された補正量に従って、前記撮像手段の撮像面での像ブレを抑制するように前記駆動手段を制御する制御手段とを備えるブレ補正装置であって、
    前記光学材料は、
    前記撮影光軸の方向と直交する第1の方向の対向面に第1の電極が形成され、前記第1の電極に印加された電圧に応じて、前記撮影光軸を傾斜させる第1のブレ補正素子と、
    前記撮影光軸の方向と直交し、かつ、前記第1の方向と直交する第2の方向の対向面に第2の電極が形成され、前記第2の電極に印加された電圧に応じて、前記撮影光軸を傾斜させる第2のブレ補正素子とからなるブレ補正素子を構成することを特徴とするブレ補正装置。
  2. 前記第1のブレ補正素子と前記第2のブレ補正素子とが、前記撮影光学系の光軸上の異なる位置に隣接して並べて配置されたことを特徴とする請求項に記載のブレ補正装置。
  3. 前記第1のブレ補正素子と前記第2のブレ補正素子とが、前記撮影光学系の光軸上の同一位置に配置され、前記第1のブレ補正素子の第1の対向面と前記第2のブレ補正素子の第2の対向面とが直交するように配置されたことを特徴とする請求項に記載のブレ補正装置。
  4. 前記撮影光学系は、
    被写体からの入射光を45度屈曲させて当該撮影光学系に導く反射体と、
    焦点位置を可変可能なズームレンズ光学系とからなり、
    前記光学材料は、
    前記撮影光学系の撮影光軸上の前記反射体の像側後方、かつ、前記ズームレンズ光学系の被写体側前方に配置されてなることを特徴とする請求項1に記載のブレ補正装置。
  5. 前記光学材料は、
    KTN結晶、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、チタン酸バリウムのいずれか1つ、または、酸化物誘電体結晶であることを特徴とする請求項1に記載のブレ補正装置。
  6. 前記光学材料は、
    PLZTからなる電気光学特性を有するセラミックス、透明セラミックス、強誘電体の焼結体のいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載のブレ補正装置。
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