以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図6は、本発明の第1の実施の形態に係る電子機器を示す図である。
本実施形態の電子機器は、図1及び図2に示すような押圧式スイッチ10を、図3に示すように筐体17内に複数搭載した小型・薄型の電子機器1で、例えば図15に示した携帯電話機と略同様な外観形状を有するものである。なお、電子機器1はPDA(Personal Digital Assistant)のような携帯可能な他の小型・薄型の電子機器であってもよい。
図1に示すように、本実施形態の押圧式スイッチ10は、プリント基板11上の第1の接点部11aと、その第1の接点部に導通可能な第2の接点部11bとが、プリント基板11上を覆う絶縁シート13(絶縁層)の可撓性のクリック部13aの内方に配置され、クリック部13aが押圧されたとき、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの導通の有無が切り替わるようになっている。クリック部13aは、プリント基板11上の絶縁シート13の平坦なシート部分から電子機器1の操作面側に略円弧状の断面形状をなして所定高さに突出するとともに、プリント基板11から浮き上がった略円形の外周形状を有する突出部としている。なお、クリック部13aは必ずしも非押圧(非操作)時に突出した形状である必要はない。すなわち、所定の復帰位置で絶縁シートと略同一面上に位置する平坦なクリック部を押圧操作して略凹球面状に変形させることで、そのクリック部のプリント基板11側の面(内面)側に保持された可動接点部が変位し、押圧操作力が解放されたときにそのクリック部及び可動接点部が前記所定の位置に復帰するように構成されていてもよい。さらに、絶縁シートのみが前記所定位置への復帰力を発生させるものであってもよいし、接点部を構成する部材又はそれと導通する部材が主たる復帰力を発生させるものであってもよい。したがって、クリック部は、可動接点部を変位させるために押圧操作に応じて変形するのに十分な可撓性を有するものであればよい。また、クリック部の外周形状は押圧操作を加える部材の形状に応じて任意に設定し得る。
また、図3に示すように、プリント基板11及び押圧式スイッチ10は電子機器1の筐体17内に収納されており、筐体17内には更にキーシート16が収納されている。このキーシート16は、それぞれ絶縁シート13のクリック部13aを押圧可能な複数のボタン部16a(押圧部材)を柔軟な粘弾性シート16b上に装着したものであり、その粘弾性シート16bの下面側には、絶縁シート13側に突出する支持用の複数の突起部16cと、絶縁シート13のクリック部13aに当接する当接部16d(押圧部材)とが、粘弾性シート16bと一体に設けられている。
具体的には、図1に示すように、第2の接点部11bはプリント基板11上で互いに離間するよう複数設けられるか若しくは環状に形成されており、第1の接点部11aはプリント基板11の板面方向(図1の左右方向;以下、基板面方向という)において第2の接点部11bの間に位置している。これら第1の接点部11a及び第2の接点部11bは、それぞれプリント基板11の上面側又は下面側に構成された図示しない制御回路に接続されている。
また、図1中で第1の接点部11aの両側に位置する左右の第2の接点部11bには例えば導電性の金属製ダイヤフラム(略円弧状断面の皿状の導電性板ばね)からなる第3の接点部12が接触しており、第3の接点部12は絶縁シート13のクリック部13aの内面に固着され保持されている。第3の接点部12は、その中央部12cを可動接点として機能させるもので、絶縁シート13のクリック部13aを介してキーシート16のボタン部16aからの押圧力(使用者等によるボタン部16aを介した押圧操作)を受けたとき、図4に示すように、その中央部12cを第1の接点部11aに接近させるように撓んで、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの間を導通状態とすることができる。また、第3の接点部12は、キーシート16のボタン部16aからの押圧力が解除されたとき、図1及び図2(a)に示すようにその中央部12cを第1の接点部11aから離間させる復帰位置に復帰し、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの間を非導通状態とすることができる。
一方、絶縁シート13は、プリント基板11に沿って延在する熱伝導層14と、熱伝導層14に対してプリント基板11側に位置する最下層の絶縁層15a(下層の絶縁カバー層)と、熱伝導層14に対してプリント基板11とは反対側に位置する最上層の絶縁層15b(上層の絶縁カバー層)とを有している。ここで、熱伝導層14は、その熱伝導率が絶縁シート13の絶縁層15a,15bやプリント基板11の熱伝導率よりも大きい層で、例えばグラファイトシートや熱伝導性に優れた金属シート等で構成されている。最下層の絶縁層15aは絶縁性の樹脂材料、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)シートと、図示しない接着層又は絶縁性接着層とからなる。また、最上層の絶縁層15bも絶縁性の樹脂材料、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)シートからなる。
絶縁シート13の最下層の絶縁層15aは、第3の接点部12を固着・保持するとともにプリント基板11に固着された絶縁保持層となっており、絶縁シート13の最上層の絶縁層15bは、熱伝導層14を覆って保護するよう熱伝導層14に固着された絶縁保護層となっている。また、図2(b)に示すように、熱伝導層14は、全てのクリック部13aに及ぶ操作面域の範囲に配置され、あるいは少なくとも1つのクリック部13aをカバーする範囲に配置されている。そして、絶縁層15a,15bは、熱伝導層14の上下両面のみならず外周面部14eをも被覆するように、熱伝導層14の外周面部14eに沿って互いに接着等により固着・接合された接合部15eを有している。なお、絶縁シート13の周縁部を裁断することで熱伝導層14の外周面部14eが露出するようなものも考えられるが、絶縁被覆するのが好ましい。また、絶縁層15a,15bのうち絶縁保護層となる一方の絶縁層、例えば絶縁層15bは、熱伝導層14を覆うために熱伝導層14より広い面積を有しているが、絶縁シート13の全域に及ぶ他方の絶縁層、例えば絶縁層15aと同一面積のものであってもよいし、それより面積の狭いものであってもよい。
本実施形態では、上述のように、第3の接点部12を保持しプリント基板11に固着された絶縁保持層としての絶縁層15aと、熱伝導層14を保護するための絶縁保護層としての絶縁層15bとの間に、熱伝導層14が配置されており、熱伝導層14は絶縁保持層としての絶縁層15aに対して例えばプリント基板11側とは反対側に配置されている。そして、これら絶縁層15a、熱伝導層14及び絶縁層15bの3層が積層され一体的に固着されて絶縁シート13が形成され、その絶縁シート13は最下層下面の図示しない固着面でプリント基板11上に接着等により固着されている。
また、この絶縁シート13のクリック部13aでは、絶縁シート13の最下層下面の接着剤層(図示していない)により、第3の接点部12がプリント基板11の第1の接点部11a及び第2の接点部11b上に位置するように位置決め・保持され、第3の接点部12の下端部が第1の接点部11aの両側で第2の接点部11bに接触している。
さらに、キーシート16は絶縁シート13に対してプリント基板11とは反対側に配置されており、キーシート16上の複数のボタン部16aがキートップとして筐体17の対応する開口部17aから筐体17の外表面側に露出するとともに、キーシート16の下面側の各当接部16dが対応するボタン部16aの直下で絶縁シート13の対応する各クリック部13aに当接している。
なお、図3に示すように、プリント基板11の上面側、すなわちキーシート16側の面には、ダイヤル操作キー等の複数のボタン部16aを筐体17の内部側から照光するための複数の発光部材、例えばLED(Light Emitting Diode)18が装着されており、プリント基板11の下面側にはパワーアンプ等の発熱部品19と図示しない多数の電子部品が実装されている。
次に、動作について説明する。
キーシート16のボタン部16aのいずれかが押圧操作されると、そのボタン部16aの裏面側の当接部16dが絶縁シート13の対応するクリック部13aを介してその内部の第3の接点部12を押圧する。このとき、押圧力を受けた第3の接点部12は、図4に示すように、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの双方に接触した状態となるまでその中央部12cを第1の接点部11aに接近させるように撓み、両接点部11a,11bの間を導通させる。これにより、両接点部11a,11bの導通の有無、すなわち押圧式スイッチ10の開閉状態が例えば閉状態に切り替わることになる。なお、押圧式スイッチ10の複数の接点部の形状と配置を変更することで、常開型のスイッチを常閉型のスイッチとすることも可能である。
一方、キーシート16のボタン部16aのいずれかに加えられていた押圧力が解除されると、絶縁シート13の対応するクリック部13a及びその内部の第3の接点部12がそれぞれ弾性回復して図1に示す復帰位置に戻るとともに、押圧力が解除されたボタン部16aが所定の復帰位置に押し戻される。このとき、第3の接点部12は、図2に示すように、第1の接点部11aから離間するように初期の略円弧状の湾曲形状に復帰し、両接点部11a,11bの間を非導通状態とする。これにより、両接点部11a,11bの導通の有無、すなわち押圧式スイッチ10の開閉状態が、例えば開状態に切り替わることになる。
ところで、プリント基板11には、電子機器1における通信及び入出力の制御を行なうための制御回路を構成するために図示しない多数の電子部品が実装され、そのプリント基板11が筐体17内に収納されることから、電子機器1の動作中には、プリント基板11上のパワーアンプ等の発熱部品19が発熱する。そして、その発熱により、筐体17内の温度が上昇し、発熱部品19とその近傍の部材の温度が上昇する。
この状態においては、プリント基板11上で発生した熱が熱伝導層14によって熱伝導層14の面方向(広がり方向)に拡散される。すなわち、熱伝導層14がプリント基板11に沿って延在しているので、プリント基板11の面方向に十分な熱伝導がなされ、多数の電子部品が実装されるプリント基板11における均熱効果が高められる。しかも、熱伝導層14がプリント基板11に近接して基板面方向に延在しているので、プリント基板11上の発熱部品19から基板面方向の広範囲に熱が拡散され、発熱部近傍からの放熱効果が高まる。その結果、電子機器1内の発熱部品19やその近傍の部品の温度を確実に抑えることが可能となり、使用者に違和感を与えるような筐体17の局所的な温度上昇が確実に防止される。
また、プリント基板11上の絶縁保持層15aと、熱伝導層14を保護するための絶縁保護層15bとの間に、熱伝導層14が配置されているので、絶縁シート13の所要の絶縁性能を確保しつつ、熱伝導率の大きな熱伝導層14を配置することができ、上述の放熱効果を高めることができる。例えば、熱伝導層14がグラファイトで形成される場合、そのグラファイトシートの面方向への熱伝導率は700W/(m・K)以上と高い値であるので、大きな放熱効果が得られる。
また、熱伝導層14がグラファイトで形成される場合、100マイクロメートル以下の層厚に薄くすることができるので、絶縁シート13の厚みをより薄くすることができ、電子機器をより薄型化することができるのに加え、第3の接点部12を絶縁シート13のクリック部13aの内面に沿った断面形状の板ばねとしていることと相俟って、主として可撓性の第3の接点部12の持つばね特性に起因する、ボタン部16aのいわゆるクリック感をも向上させることができる。その結果、耐久性と押圧操作フィーリング(いわゆるクリック感)に優れた押圧式スイッチ10を構成することができる。
また、本実施形態においては、絶縁シート13が、熱伝導層14に対してプリント基板11とは反対側に位置する上層の絶縁層15bと、熱伝導層14に対してプリント基板11側に位置する下層の絶縁層15aとを有し、下層及び上層の絶縁層15a,15bが熱伝導層14の外周面部14eを覆うように接合されているので、絶縁層15a,15bの間に熱伝導層14を挟んだ熱伝導性の良い絶縁シート13を作製することができる。
また、絶縁シート13が、プリント基板11に沿って延在する絶縁層15a,15bと、これら絶縁層15a,15bのうち少なくとも一方に固着された熱伝導層14とを有し、絶縁シート13のプリント基板11上への装着と同時に熱伝導層14をプリント基板11に近接して積層することができるので、組立工数も削減できる。
さらに、プリント基板11に実装されたLED18の発光によりキーシート16のボタン部16aを照光する場合に、絶縁シート13bの絶縁層15a,15bが少なくとも最上層の絶縁層15bの全体又は一部(表層部)で白色又は光沢色であることから、キーシート16全体のボタン部16aを明るさや色のむらのないように照光することができる。
図5は本実施形態の電子機器における発熱部品19の位置や発熱量等を基に、筐体17の操作面上にける温度分布を計算により求めた一実施例のシミュレーション結果を示しており、同図(a)はその操作面全域の温度分布を複数の等温線で区画した温度分布図、同図(b)は図5(a)中のX−X断面における操作面上の温度の分布を示すグラフである。
このシミュレーションにおいては、筐体17は厚さ0.9mmで熱伝導率0.3W/(m・K)、プリント基板11は厚さ0.5mmでの熱伝導率35W/(m・K)、キーシート16は厚さ0.5mm(突出部16cの下端からの高さ1.0mm)で熱伝導率0.2W/(m・K)、発熱部品19は厚さ1.0mmで熱伝導率1W/(m・K)とし、熱伝導層14にグラファイトシートを用いた絶縁シート13は厚さ0.1mmで熱伝導率(面方向)700W/(m・K)とした。また、絶縁シート13の範囲は複数のボタン部16aの設置範囲をカバーするが、プリント基板11の全域を覆うものではない。
この場合、一実施例の電子機器1においては、筐体17の操作面の温度は、図5(a)に示すようにグラファイトシートを用いた絶縁シート13の設置範囲で均熱化され、複数のボタン部16aの設置範囲でほぼ一定温度範囲に収まっている。また、図5(b)のグラフは、発熱の影響を受け難い筐体周縁部(同図中のグラフの左右両端)の温度に対して、操作面各部の温度上昇は数度の範囲内であることを示している。
一方、図6は上記一実施例の構成から熱伝導層14のみを取り除いた比較例の電子機器における筐体操作面上の温度分布を計算により求めたシミュレーション結果を示しており、同図(a)はその操作面全域の温度分布を複数の等温線で区画した温度分布図、同図(b)は図6(a)中のX−X断面における操作面上の温度の分布を示すグラフである。
この場合、比較例の電子機器においては、筐体操作面の温度は、図6(a)に示すように発熱部品の近傍ほど顕著に高くなっており、均熱化されていないことがわかる。また、図6(b)のグラフから、発熱の影響を受け難い筐体周縁部(同図中のグラフの左右両端)の温度に対して、操作面各部の温度上昇は発熱部品の近傍では上記一実施例の場合の温度上昇値の倍程度となっており、局部的な温度上昇が見られる。
これら図5に示す本実施形態の一例のシミュレーション結果と図6に示す比較例のシミュレーション結果から明らかなように、本実施形態の電子機器1においては、プリント基板11の基板面方向における均熱効果を高めて、発熱部品19近傍での局所的な筐体温度上昇を有効に防止することができる。
(第2の実施の形態)
図7〜図9は本発明の第2の実施の形態に係る電子機器を示す図である。
本実施形態の電子機器は、上述の第1の実施形態と同様に、押圧式スイッチを筐体内に複数搭載した薄型の小型電子機器で、例えば図15に示した携帯電話機と略同様な外観形状を有するものである。なお、以下の説明においては、第1の実施の形態と同一の構成要素については第1の実施の形態の対応する構成要素と同一符号を用いて簡単に説明し、上述の実施形態との相違点について詳細に説明する。
図7に示すように、本実施形態の押圧式スイッチ20は、プリント基板11上の第1の接点部11aと、その第1の接点部に導通可能な第2の接点部11bとが、プリント基板11上を覆う絶縁シート23(絶縁層)の可撓性のクリック部23aの内方に配置され、クリック部23aが押圧されたとき、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの導通の有無が切り替わるようになっている。また、プリント基板11及び押圧式スイッチ20は電子機器1の筐体17内に収納されており、筐体17内には更にキーシート16が収納されている。
具体的には、図7に示すように、第1の接点部11aはプリント基板11の板面方向において第2の接点部11bの間に位置しており、第1の接点部11aの両側に位置する第2の接点部11bに第3の接点部12が接触している。
ここで、第3の接点部12は、絶縁シート23のクリック部23aを介してキーシート16のボタン部16aからの押圧力を受けたとき、図9に示すように、可動接点としてのその中央部12cを第1の接点部11aに接近させるように撓んで、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの間を導通状態とすることができる。また、第3の接点部12は、キーシート16のボタン部16aからの押圧力が解除されたとき、図7及び図8に示すようにその中央部12cを第1の接点部11aから離間させる復帰位置に復帰し、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの間を非導通状態とすることができる。
一方、絶縁シート23はプリント基板11に沿って延在する熱伝導層24及び絶縁層25a,25b(絶縁カバー層)を有している。ここで、熱伝導層24は、その熱伝導率が絶縁シート23の絶縁層25a,25bやプリント基板11の熱伝導率よりも大きい層で、例えばグラファイトシートや熱伝導性に優れた金属シート等で構成されている。また、絶縁層25a,25bはそれぞれ絶縁性の樹脂材料、例えばPETシートからなる。
より具体的には、例えば図8(a)に示すように、絶縁シート23の最下層の絶縁層25a(下層の絶縁カバー層)は、第3の接点部12を固着・保持するとともにプリント基板11に固着された絶縁保持層となっており、絶縁シート23の最上層の絶縁層25b(上層の絶縁カバー層)は、熱伝導層24を覆って保護するよう熱伝導層24に固着された絶縁保護層となっている。ここで、熱伝導層24及び最上層の絶縁層25bは、絶縁シート23のクリック部23aでクリック部23aの輪郭形状に沿って例えば円形に開口しており、図8(a)に示すように、第3の接点部12の円形の外周縁部12eと熱伝導層24及び最上層の絶縁層25bの開口内周部24e,25eとが重合している。すなわち、絶縁シート23は、第3の接点部12の可動接点部となる中央部12cとの重なり部分では絶縁層25aのみの薄いシートとなっており、十分な可撓性が得られるように構成されている。
絶縁シート23は、あるいは、図8(b)に示すように、絶縁シート23の最下層の絶縁層25aが熱伝導層24と共にクリック部23aで開口し、第3の接点部12の円形の外周縁部12eと熱伝導層24及び最下層の絶縁層25aの開口内周部24e,25eとが重合するものであってもよい。その場合、絶縁シート23の最上層の絶縁層25bが第3の接点部12を保持するとともに熱伝導層24及び最下層の絶縁層25aを介してプリント基板11に固着された絶縁保持層となり、絶縁シート23の最下層の絶縁層25aが熱伝導層24を覆って保護するよう熱伝導層24に固着された絶縁保護層となる。この場合も、絶縁シート23は第3の接点部12の可動接点部となる中央部12cとの重なり部分では絶縁層25bのみの薄いシートとなっており、十分な可撓性が得られる。
これら絶縁層25a,25b及び熱伝導層24の3層は、図8(a)又は図8(b)に示すような態様で、上述した第1の実施の形態と同様に互いに積層され一体的に固着されて絶縁シート23となる。また、絶縁シート23は最下層下面の図示しない固着面でプリント基板11上に接着等により固着されている。また、絶縁シート23のクリック部23aでは、絶縁シート23の最下層下面の接着剤層(図示していない)により、第3の接点部12がプリント基板11の第1の接点部11a及び第2の接点部11b上に位置するように位置決め・保持され、第3の接点部12の下端部が第1の接点部11aの両側で第2の接点部11bに接触している。
その他の構成については、上述した第1の実施の形態と同一である。
本実施形態においても、熱伝導層24がプリント基板11に沿って延在しているので、プリント基板11の面方向に十分な熱伝導がなされ、多数の電子部品が実装されるプリント基板11における均熱効果が高められる。しかも、熱伝導層24がプリント基板11に近接して基板面方向に延在しているので、プリント基板11上の発熱部品19から基板面方向の広範囲に熱が拡散され、発熱部近傍からの放熱効果が高まる。その結果、上述の第1の実施形態と同様な効果が得られる。
さらに、本実施形態においては、絶縁層25a,25bのうちいずれか一方と熱伝導層24をクリック部23aで開口させることにより、絶縁シート23のクリック部23aの厚さがキーシート16の当接部16dに当接する部分で絶縁層25a又は25bのみの厚さまで薄くなっているので、プリント基板11上のクリック部高さを低くして電子機器1の小型化・薄型化を図ることができるとともに、主として可撓性の第3の接点部12の持つばね特性に起因する、ボタン部16aのいわゆるクリック感を向上させることができる。ここにいうクリック感とは、例えばボタン部16aの押圧操作が一定の操作ストローク(操作力)を超える際にその操作反力がスイッチ操作の完了と感じさせる程度に急減するときのボタン部16aの操作感である。
また、本実施形態においては、図8(a)に示したように最下層の絶縁層25aをクリック部23aで外部に露出させれば、熱伝導層24を導電性にしても第3の接点部12とショートするのを確実に防止することができるし、図8(b)に示したように最上層の絶縁層25bをクリック部23aで外部に露出させれば、絶縁層25aの剥れを確実に防止することができる。
(第3の実施の形態)
図10及び図11は本発明の第3の実施の形態に係る電子機器を示す図である。
本実施形態の電子機器は、上述の第1の実施形態と同様に、押圧式スイッチを筐体内に複数搭載した薄型の小型電子機器で、例えば図15に示した携帯電話機と略同様な外観形状を有するものである。なお、本実施形態の説明においても、第1の実施の形態と同一の構成については、図1〜図4に示したのと同一の符号を用いて説明し、その詳細な説明と図示は省略する。
図10(a)及び図10(b)に示すように、本実施形態の押圧式スイッチ30は、プリント基板11上の第1の接点部11aと、その第1の接点部に導通可能な第2の接点部11bとが、プリント基板11上を覆う絶縁シート33(絶縁層)の可撓性のクリック部33aの内方に配置され、クリック部33aが押圧されたとき、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの導通の有無が切り替わるようになっている。また、プリント基板11及び押圧式スイッチ30は電子機器1の筐体17内に収納されており、筐体17内には更にキーシート16が収納されている。
ここで、第3の接点部12は、その中央部12cが可動接点として機能し、絶縁シート33のクリック部33aを介してキーシート16のボタン部16aからの押圧力を受けたとき、図11(a)及び図11(b)に示すように、その中央部12cを第1の接点部11aに接近させるように撓んで、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの間を導通状態とすることができる。また、第3の接点部12は、キーシート16のボタン部16aからの押圧力が解除されたとき、図10(a)及び図10(b)に示すようにその中央部12cを第1の接点部11aから離間させる復帰位置に復帰し、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの間を非導通状態とすることができる。
一方、絶縁シート33はプリント基板11に沿って延在する熱伝導層34及び絶縁層35a,35b(絶縁カバー層)を有している。熱伝導層34は、その熱伝導率が絶縁シート33の絶縁層35a,35bやプリント基板11の熱伝導率よりも大きい層で、例えばグラファイトシートや熱伝導性に優れた金属シート等で構成されている。また、絶縁層35a,35bはそれぞれ絶縁性の樹脂材料、例えばPETシートからなる。
具体的には、例えば絶縁シート33の絶縁層35a,35bは、クリック部33aの周囲で熱伝導層34を挟んで対向するとともに、クリック部33aの外周付近でかつ熱伝導層34の開口内周部34eの内側において互いに固着されており、クリック部33a内では絶縁層35a,35bの一方又は双方の層厚を持って第3の接点部12を保持している。より具体的には、例えば図10(a)に示す態様では、絶縁シート33の最下層の絶縁層35a(下層の絶縁カバー層)は、第3の接点部12を固着・保持するとともにプリント基板11に固着された絶縁保持層となっており、絶縁シート33の最上層の絶縁層35b(上層の絶縁カバー層)は、熱伝導層34を上方から覆って保護するよう熱伝導層34に固着された絶縁保護層となっている。図10(b)に示す態様では、絶縁シート33の最上層の絶縁層35bは、第3の接点部12を保持するとともに熱伝導層34及び最下層の絶縁層35aを介してプリント基板11に固着された絶縁保持層となっており、絶縁シート33の最下層の絶縁層35aは、熱伝導層34を下方(基板側)から覆って保護するよう熱伝導層34に固着された絶縁保護層となっている。
また、熱伝導層34は、絶縁シート33のクリック部33aの外方でクリック部33aの輪郭形状に沿って例えば円形に開口しており、図10(a)及び図10(b)に示すように、第3の接点部12の円形の外周縁部12eと熱伝導層34の開口内周部34eとは重合せず、熱伝導層34の開口内周部34eが第3の接点部12の円形の外周縁部12eを取り囲んだ状態で、両者がプリント基板11の板面方向にわずかに離間しているか若しくは隣接している。すなわち、絶縁シート33は、第3の接点部12の可動接点部となる中央部12cとの重なり部分ではクリック部33a以外の部分より薄いシートとなっており、クリック部33aでの十分な可撓性が得られるように構成されている。
これら絶縁層35a,35b及び熱伝導層34の3層は、上述した第1の実施の形態と同様に互いに積層され一体的に固着されて絶縁シート33となる。また、絶縁シート33は最下層下面の図示しない固着面でプリント基板11上に接着等により固着されている。また、絶縁シート33のクリック部33aでは、絶縁シート33の最下層下面の接着剤層(図示していない)により、第3の接点部12がプリント基板11の第1の接点部11a及び第2の接点部11b上に位置するように位置決め・保持され、第3の接点部12の下端部が第1の接点部11aの両側で第2の接点部11bに接触している。
その他の構成については、上述した第1の実施の形態と同一である。
本実施形態においても、熱伝導層34がプリント基板11に沿って延在しているので、プリント基板11の面方向に十分な熱伝導がなされ、多数の電子部品が実装されるプリント基板11における均熱効果が高められる。しかも、熱伝導層34がプリント基板11に近接して基板面方向に延在しているので、プリント基板11上の発熱部品19から基板面方向の広範囲に熱が拡散され、発熱部近傍からの放熱効果が高まる。その結果、上述の第1の実施形態と同様な効果が得られる。
さらに、本実施形態においては、絶縁シート33のクリック部33aの厚さがキーシート16の当接部16dに当接する部分で薄くなっているので、プリント基板11上のクリック部高さを低くして電子機器1の小型化・薄型化を図ることができるとともに、主として可撓性の第3の接点部12の持つばね特性に起因する、ボタン部16aのいわゆるクリック感を向上させることができる。
(第4の実施の形態)
図12及び図13は本発明の第4の実施の形態に係る電子機器を示す図である。
本実施形態の電子機器は、上述の第1の実施形態と同様に、押圧式スイッチを筐体内に複数搭載した薄型の小型電子機器で、例えば図15に示した携帯電話機と略同様な外観形状を有するものである。なお、本実施形態の説明においても、第1の実施の形態と同一の構成については、図1〜図4に示したのと同一の符号を用いて説明し、その詳細な説明と図示は省略する。
図12(a)及び図12(b)に示すように、本実施形態の押圧式スイッチ40は、プリント基板11上の第1の接点部11aと、その第1の接点部に導通可能な第2の接点部11bとが、プリント基板11上を覆う絶縁シート43(絶縁層)の可撓性のクリック部43aの内方に配置され、クリック部43aが押圧されたとき、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの導通の有無が切り替わるようになっている。また、プリント基板11及び押圧式スイッチ40は電子機器1の筐体17内に収納されており、筐体17内には更にキーシート16が収納されている。
具体的には、第1の接点部11aはプリント基板11の板面方向において第2の接点部11bの間に位置しており、第1の接点部11aの両側に位置する第2の接点部11bに第3の接点部12が接触している。
ここで、第3の接点部12は、その中央部12cが可動接点として機能し、絶縁シート43のクリック部43aを介してキーシート16のボタン部16aからの押圧力を受けたとき、図13(a)及び図13(b)に示すように、その中央部12cを第1の接点部11aに接近させるように撓んで、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの間を導通状態とすることができる。また、第3の接点部12は、キーシート16のボタン部16aからの押圧力が解除されたとき、図12(a)及び図12(b)に示すようにその中央部12cを第1の接点部11aから離間させる復帰位置に復帰し、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの間を非導通状態とすることができる。
一方、絶縁シート43はプリント基板11に沿って延在する熱伝導層44及び絶縁層45a,45b(絶縁カバー層)を有している。ここで、熱伝導層44は、その熱伝導率が絶縁シート43の絶縁層45a,45bやプリント基板11の熱伝導率よりも大きい層で、例えばグラファイトシートや熱伝導性に優れた金属シート等で構成されている。また、絶縁層45a,45bはそれぞれ絶縁性の樹脂材料、例えばPETシートからなる。
より具体的には、例えば図12(a)に示すように、絶縁シート43の最下層の絶縁層45a(下層の絶縁カバー層)は、第3の接点部12を固着・保持するとともにプリント基板11に固着された絶縁保持層となっており、絶縁シート43の最上層の絶縁層45b(上層の絶縁カバー層)は、熱伝導層44を覆って保護するよう熱伝導層44に固着された絶縁保護層となっている。ここで、熱伝導層44及び最上層の絶縁層45bは、絶縁シート43のクリック部43aのうちキーシート16の当接部16d(押圧部材)により押圧される範囲内でのみ熱伝導層44が開口し、第2の実施の形態に比べて開口径の小さいものとなっている。すなわち、絶縁シート43は、第3の接点部12の可動接点部となる中央部12cとの重なり部分では絶縁層45aのみの薄いシートとなっている。なお、図12(b)に示すように、絶縁シート43の最上層の絶縁層45bが第3の接点部12を固着・保持するとともに熱伝導層44及び絶縁層45aを介してプリント基板11に固着された絶縁保持層となり、熱伝導層44及び最下層の絶縁層45aが絶縁シート43のクリック部43aのうちキーシート16の当接部16dにより押圧される範囲内で開口していてもよい。
これら絶縁層45a,45b及び熱伝導層44の3層は、上述した第1の実施の形態と同様に互いに積層され一体的に固着されて絶縁シート43となる。また、絶縁シート43は最下層下面の図示しない固着面でプリント基板11上に接着等により固着されている。また、絶縁シート43のクリック部43aでは、絶縁シート43の最下層下面の接着剤層(図示していない)により、第3の接点部12がプリント基板11の第1の接点部11a及び第2の接点部11b上に位置するように位置決め・保持され、第3の接点部12の下端部が第1の接点部11aの両側で第2の接点部11bに接触している。
その他の構成については、上述した第1の実施の形態と同一である。
本実施形態においても、熱伝導層44がプリント基板11に沿って延在しているので、プリント基板11の面方向に十分な熱伝導がなされ、多数の電子部品が実装されるプリント基板11における均熱効果が高められる。しかも、熱伝導層44がプリント基板11に近接して基板面方向に延在しているので、プリント基板11上の発熱部品19から基板面方向の広範囲に熱が拡散され、発熱部近傍からの放熱効果が高まる。その結果、上述の第1の実施形態と同様な効果が得られる。
さらに、本実施形態においては、絶縁シート43のクリック部43aの厚さがキーシート16の当接部16dに当接する部分でのみ薄くなっているので、熱伝導層44による均熱効果を十分に高めながらも、プリント基板11上のクリック部高さを実質的に低くして電子機器1の小型化・薄型化を図ることができる。
(第5の実施の形態)
図14は本発明の第5の実施の形態に係る電子機器を示す図である。
本実施形態の電子機器は、上述の第1の実施形態と同様に、押圧式スイッチを筐体内に複数搭載した薄型の小型電子機器で、例えば図15に示した携帯電話機と略同様な外観形状を有するものである。なお、本実施形態の説明においても、第1の実施の形態と同一の構成については、図1〜図4に示したのと同一の符号を用いて説明し、その詳細な説明と図示は省略する。
図14に示すように、本実施形態の押圧式スイッチ50は、プリント基板51上の第1の接点部51aと、その第1の接点部に導通可能な第2の接点部51bとが、プリント基板51上を覆う絶縁シート53(絶縁層)の可撓性のクリック部53aの内方に配置され、クリック部53aが押圧されたとき、第1の接点部51a及び第2の接点部51bの導通の有無が切り替わるようになっている。
また、プリント基板51及び押圧式スイッチ50は電子機器1の筐体17内に収納されており、筐体17内には更にキーシート16が収納されている。このキーシート16は、それぞれ絶縁シート53のクリック部53aを押圧可能な複数のボタン部16a(押圧部材)を柔軟な粘弾性シート16b上に装着したものであり、その粘弾性シート16bの下面側には、絶縁シート53側に突出する支持用の複数の突起部16cと、絶縁シート53のクリック部53aに当接する当接部16d(押圧部材)とが、粘弾性シート16bと一体に設けられている。
具体的には、第2の接点部51bはプリント基板51上で互いに離間するよう複数設けられるか若しくは環状に形成されており、第1の接点部51aはプリント基板51の板面方向(基板面方向)において第2の接点部51bの間に位置している。これら第1の接点部51a及び第2の接点部51bは、それぞれプリント基板51の上面側又は下面側に構成された図示しない制御回路に接続されている。
また、図14中で第1の接点部51aの両側に位置する左右の第2の接点部51bには例えば導電性の金属製ダイヤフラムからなる第3の接点部12が接触しており、第3の接点部12は絶縁シート53のクリック部53aの内面に固着され保持されている。第3の接点部12は、その中央部12cを可動接点として機能させるもので、絶縁シート53のクリック部53aを介してキーシート16のボタン部16aからの押圧力を受けたとき、その中央部12cを第1の接点部51aに接近させるように撓んで、第1の接点部51a及び第2の接点部51bの間を導通状態とすることができる。また、第3の接点部12は、キーシート16のボタン部16aからの押圧力が解除されたとき、その中央部12cを第1の接点部51aから離間させる復帰位置に復帰し、第1の接点部51a及び第2の接点部51bの間を非導通状態とすることができる。
一方、絶縁シート53はプリント基板51に沿って延在する熱伝導層54及び絶縁層55a,55b(絶縁カバー層)を有している。ここで、熱伝導層54は、その熱伝導率が絶縁シート53の絶縁層55a,55bやプリント基板51の熱伝導率よりも大きい層で、例えばグラファイトシートや熱伝導性に優れた金属シート等で構成されている。
絶縁層55a,55bはそれぞれ絶縁性の樹脂材料、例えばPETシートからなる。絶縁シート53の最下層の絶縁層55a(下層の絶縁カバー層)は、第3の接点部12を固着・保持するとともにプリント基板51に固着された絶縁保持層となっており、絶縁シート53の最上層の絶縁層55b(上層の絶縁カバー層)は、熱伝導層54を覆って保護するよう熱伝導層54に固着された絶縁保護層となっている。
これら絶縁保持層55a、熱伝導層54及び絶縁保護層55bの3層は互いに一体的に固着されて絶縁シート53となり、その絶縁シート53は最下層下面の図示しない固着面でプリント基板51上に接着等により固着されている。また、この絶縁シート53のクリック部53aでは、絶縁シート53の最下層下面の接着剤層(図示していない)により、第3の接点部12がプリント基板51の第1の接点部51a及び第2の接点部51b上に位置するように位置決め・保持され、第3の接点部12の下端部が第1の接点部51aの両側で第2の接点部51bに接触している。
キーシート16は絶縁シート53に対してプリント基板51とは反対側に配置されており、キーシート16の下面側の各当接部16dが対応するボタン部16aの直下で絶縁シート53の対応する各クリック部53aに当接している。
一方、熱伝導層54は導電性を有しており、この熱伝導層54はプリント基板51上に設けられた導電部であるグランドパターン51cに対し、導電性接着剤等の接続層58を介して電気的に接続されている。すなわち、本実施形態の絶縁シート53はプリント基板51上で露出する外表面部全体を絶縁層55bで覆われているものの、プリント基板51に対面する内表面側で第3の接点部12以外に導電性の接続層58を露出させる構成となっている。
本実施形態においても、熱伝導層54がプリント基板51に沿って延在しているので、プリント基板51の面方向に十分な熱伝導がなされ、多数の電子部品が実装されるプリント基板51における均熱効果が高められる。しかも、熱伝導層54がプリント基板51に近接して基板面方向に延在しているので、プリント基板51上の発熱部品19から基板面方向の広範囲に熱が拡散され、発熱部近傍からの放熱効果が高まる。その結果、上述の第1の実施形態と同様な効果が得られる。
さらに、本実施形態においては、導電性の熱伝導層54がプリント基板51のグランドパターン51cに電気的に接続されるので、プリント基板51の各接点部への静電気の侵入を防ぎ、静電気による電子機器1の誤動作等を防止することができる。