JP4801447B2 - 磁気センサを用いた測定装置及び測定方法 - Google Patents
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Description
現在、医療診断や環境計測等において、特異的結合を利用して試料中の検出すべき物質の量を測定することがなされている。なお、特異的結合とは、例えば、ある抗原と抗原に特有の抗体とだけが反応して結合する現象をいう。
接触ノイズは、ばねを使って磁気センサから磁性粒子までを一定の距離以上に保つことによって防ぐことも可能である。ただし、このようにした場合、ばねの使用によって装置構成が複雑になり、また、磁性粒子を固定する基材の構成に制限が生じて装置の汎用性が低下する。
また、このような発明によれば、基材が、液体を含むサンプルの状態を測定中容易に保持することができる。
また、本発明の磁気センサを用いた測定装置は、前記磁性粒子が、平均粒子径が0.1μm以上5μm以下であることを特徴とする。
このような発明によれば、サンプルの磁性体含有量を、免疫反応効率及び測定感度の点で望ましい値にすることができる。
であることを特徴とする。
このような発明によれば、熱可塑性樹脂の加工が容易であることから、任意の形状を持った基材を容易に製造することができる。
また、本発明の磁気センサを用いた測定装置は、任意の形状を持った基材が容易に製造でき、ひいては測定装置の製造を簡易にすることができる。
図1は、本実施形態の磁気センサを用いた測定装置(以下、単に測定装置と記す)の構成を説明するための図である。測定装置は、基材102を備え、基材102は、測定すべき物質(測定物質)との特異的結合を介して磁性粒子を固定しうる固定部101を備えている。なお、本実施形態でいう特異的結合とは、抗原と抗体、糖とレクチン、ヌクレオチド鎖とそれに相補的なヌクレオチド鎖、リガンドとレセプタ等の特異的な親和性を有する物質間での結合のことを指す。
また、本実施形態の測定装置は、固定部101を基材102と共に移動させる移動手段を備えている。本実施形態では、基材102を固定台107に固定し、固定部101と共にステッピングモータ104等によって移動させる構成を移動手段とする。なお、移動手段は、図中に示す矢線Aの方向に固定部101を移動させるものであって、移動の動作を固定部101の走査とも記す。
さらに、図1に示した構成は、磁気センサ103が出力した信号を増幅する増幅回路105、増幅された信号をデジタル化するA/Dコンバータ106を備えている。
ここで、図3を用い、磁気センサ103と磁性粒子の固定面との距離aについて説明する。図示するように、距離aは、固定面からセンサ部201の上面に降ろした垂線の長さで表される。
距離bは、外装体の厚みあるいはセンサ部からの信号を取り出すのに必要な信号配線のワイヤループ高さ等によって決定される。また、距離cは、外装体204の表面と基材102の裏面との接触を防ぐのに充分な距離を確保できるよう定められる。
本実施形態の測定装置は、センサ部201と磁性粒子の固定面との距離aを550μm以上、900μm以下に設定することにより、充分な精度が得られる大きさの信号を検出することができる。また、このような距離aは、基材の歪みが測定に影響しない厚さ(100μm程度)を充分確保することができる。さらに、センサ部201と基材102との接触を防ぐための距離のマージンをとって一定の値以上のS/N比をもった磁気信号の検出を可能にしている。
なお、距離aは、マイクロメータを用いて調節可能であり、また隙間ゲージなどを用いることにより容易に計測できる。
磁場発生部202には、永久磁石またはコイルに直流電流を流す形態の電磁石を適用することができる。ただし、磁場の安定性の点から永久磁石が好ましい。永久磁石を用いる場合、小型でありながら強い磁場がかけられるサマリウムコバルト磁石、ネオジウム磁石等を用いることが好ましい。
また、本実施形態でいう磁気センサは、図2(b)に示したように、磁場発生部202の周囲に外装体204がない構成の磁気センサ203であってもよい。ただし、センサと磁石の距離が一定であることにより磁場発生部202を用いて高強度、かつ一様な磁場を安定に印加出来る点、また量産時において、センサと磁石の距離を一定にすることでセンサ出力の安定した測定装置を提供出来る点から図2(a)に示した磁気センサ103を用いることが好ましい。
半導体薄膜を用いたセンサ部201としては、例えば、インジウムアンチモンなどの化合物半導体、シリコンなどの半導体が適用できる。また、本実施形態では、センサ部201が磁場の変化を抵抗の変化として測定するものとしたが、本実施形態は、このような構成に限定されるものでなく、磁場の変化を電圧変化、電流変化として測定するものであってもよい。
なお、上記した強磁性体としては、例えば、鉄、コバルト、もしくはニッケル等の強磁性金属が挙げられる。また、強磁性金属を含む合金としては、例えば、非磁性体中に強磁性金属もしくは強磁性金属を含む合金を含有するもの、または強磁性金属中もしくは強磁性金属を含む合金中に非磁性体を含有するものが挙げられる。
また、測定すべき物質と磁性粒子との吸着は、固定部101への固定と同様に、周知の化学または物理的な方法のいずれで行うものであってもよい。
図6〜8は、基材102及び固定部101を説明するための図であって、図6及び図7は、基材102として機能する生化学反応容器の組み立て前の図、図8は、図6及び図7に示した構成を組み立てて形成された生化学反応容器、図9は、図8に示した生化学反応容器と異なる形態の生化学反応容器を示した図である。
さらに液体不浸透性材料によって形成された溝状の通路72、液体不浸透性材料74によって形成された溝状の通路75を具備している。いずれの樹脂を用いた場合も、特殊な条件を用いることなく汎用射出成型機で成形が可能であった。
基材6、基材7を嵌合して形成された生化学反応容器の内部にあって、基材6の上面(以下、底板と記す)には、図8に示したように、多孔体2、3、5及び反応面4が配置されている。また、図9は、図8に示した形態と異なる形態の多孔体2、3、5及び反応面4の配置を示している。
(多孔体2の準備)
グラスファイバー不織布を12mm×8mmに打ち抜き、多孔体2を得た。
(多孔体3の準備)
Biotin−PEG−CO2−NHS(米国シェアーウオーター社製、MW3400)を用いて抗体にPEG鎖を結合させた。Biotin−PEG−CO2−NHS(米国シェアーウオーター社製、MW3400)試薬2.9mgを計量し、200μlの蒸留水に溶解し、4.26mM水溶液を作成した。
欧州特許登録番号EP1104772号公報に開示されている抗マイコプラズマ抗体AMMP−1をPBSに脱塩・buffer交換したもの(抗体濃度6.99mg/ml)1.5mlと先に調製したBiotin−PEG−CO2−NHS4.26mM水溶液49.2μlとを混合し、室温で4時間反応させた。
(多孔体5の準備)
厚さ2mmのセルロース不織布を12mm×11mmの大きさに打ち抜いて多孔体5を得た。
上記で得られた基材のうちポリカーボネート樹脂で作成した基材7及び基材6を用いて、得られた多孔体2、3、5を両面テープにて基材6の所定の位置に固定した。また基材7をピン位置が合うように基材6と嵌合し、本発明の生化学分析容器を得た。勘合した状態での生化学分析容器の強度は十分なものであり、反応面4が汚染されることなくハンドリング可能なものであった。
上記の生化学分析容器の添加孔71に、抗原を含む液150μLを添加した。添加液は、多孔体2に吸収され、横流れ毛細管現象で多孔体3に到達し、多孔体3に担持された磁気ビーズ標識化二次抗体を解離して、ポリカーボネート樹脂31によって形成された溝状の通路32を通って反応面4を通過し、ポリカーボネート樹脂33によって形成された溝状の通路75を通って多孔体5に吸収されることが目視観測された。約15分で添加孔71、反応面4に残存していた液体はすべて多孔体5に吸収された。反応面4には、抗原−抗体反応を介して磁性粒子が固定される。
上記の手法で反応面4に磁性粒子が固定化された生化学反応容器と磁性粒子が全く固定化されていない生化学反応容器について、本発明の磁性粒子検出システムを用いて測定を行った。
図10は、実験で用いた磁気センサ901を説明するための図である。磁気センサ901は、磁場発生部903に永久磁石を用い、センサ部902a、902bに村田製作所製磁気抵抗素子BS05を用い、磁場発生部903及びセンサ部902a、902bをアルミニウム製の外装体204で包囲して構成されている。
電気抵抗変化検出は、図11に示すように、2つのセンサ部902a、902bを直列に接続し、バイアス1001に5V、もう一方の端子1002をグランドに接続し、中点Pの電位の変化から検出した。実験においては、図10に示したように、センサ部902a及び902b上を固定部101に固定された磁性粒子を図中に示した矢線の方向に走査した。
図12は、以上のようにして行った実験の結果、固定部101に磁性粒子が固定された場合に得られる信号と、磁性粒子が固定されていない場合に得られる信号との比を示したものである。図12の縦軸は、磁性粒子が固定された生化学反応容器からの出力をA、磁性粒子が固定されていない生化学反応容器からの出力をBとしたときのA/B比を示している。また、横軸は、磁気センサ901の外装体表面と基材102の底面との距離を示している。図12によれば、磁気センサ901外装体表面と基材102の底面との距離が150μm以上、500μm以下の範囲にあるときに比較的大きいA/B比が得られることが分かる。なお、信号の高A/B比は、信号のS/N比が高いことを示している。
したがって、本実施形態の測定装置は、センサ部902a、902bと反応面4との距離の範囲を550μm以上、900μm以下に制限することによって高S/N比の信号を得られる。
Claims (5)
- 液体浸透性を持たない有機高分子材料でなる基材上に設けられ、測定すべき物質と特異的結合をする物質を介して前記測定すべき物質と磁性粒子とが固定される固定面を有する固定部と、
前記固定部を前記基材と共に移動させる移動手段と、
前記基材を挟んで前記固定部と反対側に設けられ、前記移動手段によって移動された前記固定部が通過する位置を含む領域に磁場を印加する磁場発生手段と、
前記基材と前記磁場発生手段との間に設けられ、前記磁場発生手段によって印加された前記磁場の変化を検出する半導体薄膜からなる半導体磁気抵抗素子と、を備えてなり、
前記半導体磁気抵抗素子は、外装体によって包囲され、
前記基材は、前記外装体表面と所定の距離を隔てて保持され、
前記半導体磁気抵抗素子は、前記固定面から前記半導体磁気抵抗素子の前記基材の側の面に下ろした垂線の長さで表される最短距離が550μm以上、900μm以下になる位置に配置されることを特徴とする測定装置。 - 前記半導体磁気抵抗素子と前記磁場発生手段とは前記外装体によって一体に包囲されてなることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
- 前記磁性粒子は、平均粒子径が0.1μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の測定装置。
- 前記有機高分子材料は、熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の測定装置。
- 液体浸透性を持たない有機高分子材料でなる基材上に設けられ、測定すべき物質と特異的結合をする物質を介して前記測定すべき物質と磁性粒子とが固定される固定面を有する固定部を、前記基材と共に移動させる移動工程と、
前記移動工程において、前記基材の下に設けられる磁場発生手段によって前記固定部が通過する位置を含む領域に磁場を印加する磁場発生工程と、
前記固定面から半導体磁気抵抗素子の上面に下ろした垂線の長さで表される最短距離が550μm以上、900μm以下になる位置に配置され、前記磁場発生手段上で該磁場発生手段と共に一体的に外装体に包囲され、前記外装体の表面が前記基材と所定の距離を隔てて保持されてなる半導体磁気抵抗素子により、前記磁場発生工程において印加された前記磁場の変化を検出する磁気検出工程と、を含むことを特徴とする測定方法。
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