JP4694952B2 - 標識付き試薬を用いた分析方法、分析装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載された分析装置では、検体(抗原)に対して特異的に結合する試薬(抗体)が、標識が付いた状態で、多孔質キャリヤ(帯状の多孔質体)の第一区域に湿潤状態で移動可能に保持されている。また、同じ多孔質キャリヤの第一区域から空間的に区別される検出区域(反応部)に、検体に対して特異的に結合する試薬(抗体)が標識無しで固定されている。
特許文献3には、この種の分析装置で検体の検出感度を向上させる目的で、標識として着色ラテックス粒子を使用することが記載されている。
その手順としては、先ず、検体(抗原)と予め検体用の抗体が結合されたアクリル樹脂製マイクロビーズを反応させた後、これを更に、予めビオチンが結合された検体用の抗体と反応させることで、「マイクロビーズ/抗体/検体(抗原)/抗体/ビオチン」を得る。次に、これと「磁気粒子/デキストラン/アビジン」を反応させてアビジン/ビオチン結合を生じさせることにより、抗体でサンドイッチされた検体(抗原)を磁気粒子に結合する。この磁気粒子を特定の場所に磁力で引き寄せ、この引き寄せられた磁気粒子にレーザを照射し、その干渉縞の強度から検体(抗原)濃度を検出する。
本発明の課題は、複数の分析対象成分に併用できる分析装置用として好適な標識(磁気粒子)付き試薬を提供することにある。
また、標識として磁気粒子を用いた、複数種の抗原が結合可能な標識付き試薬であって、「複数種の抗原と特異的に結合する複数種の抗体が、一個の磁気粒子の表面に結合されている磁気粒子」の集合体からなることを特徴とする標識付き試薬を提供する。
本発明は、また、一個の磁気粒子の表面にn種(nは2以上の整数)の抗体が結合されている磁気粒子の集合体からなる標識付き試薬の製造方法であって、アビジン化された磁気粒子とビオチン化された第1の抗体とを反応させて、磁気粒子の表面にアビジン/ビオチン結合を介して第1の抗体が所定量結合された「第1の状態の磁気粒子」を得た後、「第1の状態の磁気粒子」とビオチン化された第2の抗体とを反応させて、「第1の状態の磁気粒子」の表面にアビジン/ビオチン結合を介して第2の抗体が所定量結合された「第2の状態の磁気粒子」を得ることを、「第nの状態の磁気粒子」が得られるまで繰り返すことを特徴とする標識付き試薬の製造方法を提供する。この方法は、本発明の標識付き試薬を製造する方法として好適である。
ポリアルキレングリコールは、磁気粒子(以下「磁気ビーズ」とも称する。)と、これに結合する抗体との間で、直鎖状の親水性スペーサーとして機能する。使用可能なポリアルキレングリコールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられるが、特にポリエチレングリコール(以下「PEG」と略称する。)を使用することが好ましい。
さらに、非特異吸着の少ないPEGを介して磁気ビーズと二次抗体を結合することにより、磁気ビーズの基材や一次抗体への非特異吸着特性を抑制することが可能であり、抗体の反応性向上とあわせて磁気標識化二次抗体反応の免疫反応S/N向上に寄与する。
一個の磁気粒子の表面に結合するn種の抗体のアビジン/ビオチン結合について、n=2の場合(抗体Aと抗体B)を例にとって説明する。抗体Aへのビオチン導入量および抗体Bへのビオチン導入量は、抗体1分子に対してビオチン0.5分子〜2分子となる範囲とする。磁気粒子が凝集した状態では、抗体1分子に対してビオチン0.8分子〜1.5分子とすることが好ましい。また、抗体−PEG−ビオチンとアビジン化された磁気粒子を反応させる際に、抗体−PEG−ビオチンを、磁気粒子1個の表面積当たり0.1〜15μg/cm2 の割合で反応させることが好ましい。
磁気粒子表面に結合されているn種の抗体(二次抗体)のいずれかと特異的に結合する抗原が、試料導入部から導入された液状試料に含まれている場合には、前記多孔体で、磁気粒子表面の対応する二次抗体と特異的に結合し、複合体となって前記流路に入る。そして、n個の反応部のうちの前記抗原に対応する反応部で、前記複合体の抗原と一次抗体が特異的に結合し、一次抗体、抗原、二次抗体を有する磁気粒子がサンドイッチ状となり、対応する反応部に標識が固定される。
そのため、この分析装置によれば、磁気粒子の表面に結合されているn種の二次抗体に対応するn種の抗原の検出が可能となる。
本発明の分析装置を構成する磁気検出装置としては、市販の装置、例えば、ホール素子、半導体MR素子(SMR素子)、GMR (Giant magneto resistance) 素子等を備えたものを使用することができる。
図1は、この分析装置を構成する本体を示す縦断面図である。図2は、この本体を構成する箱体の、組立前の状態を示す斜視図である。図3は、第1多孔体1、第2多孔体2、反応部3a,3b、および吸収体4の、箱体内での配置を示す斜視図である。図4は、この分析装置を構成する磁気検出装置を示す概略構成図である。図5は、図4の磁気検出装置による信号処理を説明するための模式図である。
図1および2に示すように、この箱体は、ポリカーボネート(液体を浸透しない性質の材料)製の底板6と、ポリスチレン(液体を浸透しない性質の材料)製の蓋部7とで構成されている。
底板6の内面には、周縁部の6カ所に、蓋部7との連結用のピン67が固定されている。これらのピン67を入れる筒状のピン受け76が、蓋部7の内面に固定されている。蓋部7には、液状試料を入れるための試料導入口(試料導入部)71と、反応部3a,3bの上部に流路31を形成する流路形成部72が形成されている。これらの底板6および蓋部7は、汎用の射出成形機を用い、通常の条件で成形することができる。
底板6の内面は、反応部3a,3bを形成する部分(反応部形成面)30が、第1多孔体1を固定する部分10、第2多孔体2を固定する部分20、および吸収体4を固定する部分40よりも低く形成されている。符号50は、底板6の内面で最も低い面を示す。また、第1多孔体1を固定する部分10と第2多孔体2を固定する部分20は同じ高さで、吸収体4を固定する部分40は、これらの部分10,20よりも高くなっている。そのため、図2に示すように、底板6内面の吸収体4を固定する部分40は、周縁部と同じ高さの面6Aとして形成し、反応部形成面30、第1多孔体1を固定する部分10、および第2多孔体2を固定する部分20は、この面6Aに凹部10A,20A,30Aを設けることにより形成した。
第2多孔体2は、グラスファイバーの不織布に、下記の方法で得られた液体(濃度が0.05%の磁気ビーズ標識化二次抗体B&A分散液)を含浸した後に風乾することで得、これを両面テープで底板6の凹部20Aに固定する。
吸収体4は、セルロースの不織布を長方形に打ち抜くことで作製し、これを両面テープで底板6の凹部30Aに隣接する面6Aに固定する。
この状態の底板6の上に蓋部7を載せて、底板6のピン67を蓋7のピン受け76に入れることにより、図1に示すように分析装置の本体101が得られる。そして、この実施形態の分析装置は、本体101の反応部3a,3bの状態を、図4に示す磁気検出装置を用いて図1の矢印B方向から検出することで、試料導入口71から導入された液状試料の特定成分(抗体A,Bと特異的に結合する抗原)を分析する。
そして、例えば、第1多孔体1および第2多孔体2を固定する部分の厚さを1.0mmとし、反応部形成面30の部分の厚さを0.2mmとし、吸収体4を固定する部分の厚さを1.5mmとすることで、磁気センサによる検出感度および検出精度を良好にしながら、底板6の機械的強度を確保することができる。
また、蓋部7の流路形成部72により、反応部3a,3bの上部に流路31を形成することで、反応部3a,3bの汚染が防止される。
(1) 第1の抗体のPEGを介したビオチン化工程(「ビオチン−PEG−抗体A」を得る工程)
Biotin−PEG−CO2−NHS(米国シェアーウオーター社製、MW3400)を9.1mg計量して、400μlの蒸留水に溶解することにより、濃度が6.69mMである水溶液を調製した。この水溶液15.3μlと、抗体A(抗インフルエンザAウイルス抗体、フィッツジェラルド社製、Mouse IgG )をPBSに脱塩・buffer交換したもの(抗体濃度6.11mg/ml)0.625mlを混合して、室温で4時間反応させた。これにより、抗体AにBiotin−PEG鎖を結合した。
得られた「ビオチン−PEG−抗体A」の「抗体A」1分子あたりのビオチン化率を「EZ-link Sulfo-NHS-Biotinylation Kit試薬( 米国ピアース社製) 」中のbiotin定量試薬を用いて測定したところ、1.1分子(IgG 濃度は7.97mg/ml )であった。
抗体Aに代えて抗体B(抗インフルエンザBウイルス抗体、フィッツジェラルド社製、Mouse IgG )を用いた以外は(1) の工程と同じ方法で、精製PEG−biotin化抗体B(「ビオチン−PEG−抗体B」)液を得た。
得られた「ビオチン−PEG−抗体B」の「抗体B」1分子あたりのビオチン化率を(1) と同じ方法で測定したところ、0.8分子(IgG 濃度は3.53mg/ml )であった。
Dynabeads MyOne Streptavidin(ノルウェー国Dynal社製の磁気ビーズ、直径1.0μm、超常磁性高分子ポリマービーズにストレプトアビジンを結合させたもの)を1%含有するPBS溶液を100μl、エッペンドルフチューブに計量し、これに、(2) 工程で得られた精製PEG−biotin化抗体B(「ビオチン−PEG−抗体B」)液を17.8μl添加した。さらに、PBSを32.2μl入れて、全液量を150μlとした後、室温で4時間攪拌しながら反応を行った。これにより、磁気ビーズ標識化二次抗体B(「磁気粒子−アビジン−ビオチン−PEG−抗体B」)液を得た。
このようにして得られた磁気ビーズ標識化二次抗体B分散液を50μl採取して、この分散液から、前記と同じ方法で磁気ビーズ標識化二次抗体Bのみを回収した。回収された磁気ビーズ標識化二次抗体BにPBSを200μl添加して洗浄し、この液体から同じ方法で磁気ビーズ標識化二次抗体Bのみを回収した。
(3) 工程で最終的に回収された磁気ビーズ標識化二次抗体BにPBSを100μl添加し、これに、(1) 工程で得られた精製PEG−biotin化抗体A(「ビオチン−PEG−抗体A」)液を26.3μl添加した。さらに、PBSを23.7μl入れて、全液量を150μlとした後、室温で4時間攪拌しながら反応を行った。これにより、図6に示す第2の状態の磁気粒子(磁気ビーズ標識化二次抗体B&A)を含有する液を得た。
この分散液に含まれている磁気ビーズ標識化二次抗体A&Bは、1個の磁気粒子にアビジン/ビオチン結合を介して「PEG−抗体A」と「PEG−抗体B」が結合されている粒子の集合体であって、「PEG−抗体A」の結合比率が約70%で「PEG−抗体B」の結合比率が約30%である。
前記と同じ抗体Aを、0.1質量%のシュークロースを含有する0.1mole/lのHEPES(pH8)緩衝液で、濃度が10μg/mlになるように希釈して希釈液Aを得た。また、抗体Aに代えて前記と同じ抗体Bを用い、同じ方法で、希釈液Bを得た。
次に、これらの希釈液A,Bを、底板6の内面の凹部30A上に5μlずつ、3mm開けて滴下した。この底板6を、直ぐに、予め45℃に加温しておいた減圧インキュベーター(EYEL社製、型番VOS−301SD)中に入れ、0.08MPaとなるまで減圧し、この圧力で正確に30分間保持することで減圧乾燥処理を行った。これにより、底板6の内面の凹部30Aに、反応部3a,3bを形成した。
この実施形態では、分析装置の本体101を保持する台12にモータ102を接続し、このモータ102の駆動により、台12に保持された本体101が、磁場中で図中の矢線Aで示す方向に移動されるようにした。本体101の下面が露出されるように、台12の底面は開口部12aとなっている。
センサ部103は、磁場の変化によって例えば電気抵抗が変化する半導体素子である。センサ部103から出力される信号は、磁場の変化の程度に応じて変化し、アナログ信号処理部108にアナログ信号aとして出力される。
A/D変換素子109は、アナログ信号bを入力し、デジタル変換した後にデジタル信号cとしてデジタルフィルタ110に出力する。このようなA/D変換素子109は、A/Dコンバータ等を用いることによって実現可能である。デジタル信号cは、A/D変換素子109からデジタルフィルタ110へ出力される。
また、信号出力部111は、デジタル信号dのプラス信号またはマイナス信号のいずれか一方だけを出力する。
また、微分型アナログフィルタから出力されたアナログ信号をA/Dコンバータによりデジタル信号化し、デジタル信号の出力の際に高速フーリエ変換によりオフセット周波数を除去し、さらに逆フーリエ変換して出力した。
(A1)ビオチン濃度が異なる4種類の「磁気粒子−アビジン−ビオチン−BSA」溶液の調製工程
先ず、250mlのPBSに、米国ピアース社製のビオチン化牛血清アルブミン(以下、「ビオチン化BSA」と称する。)試薬「Immuno Pure Biotinylated Bovine Serum Albumin」25mgを溶解し、濃度が100μg/mlのビオチン化BSA(Bovine Serum Albumin)溶液を得た。また、この溶液をPBSで希釈して、濃度が50μg/ml、25μg/ml、12.5μg/mlである各ビオチン化BSA溶液を得た。このようにして、4種類の濃度のビオチン化BSA溶液を調製した。
streptavidin」(直径1.0μm、超常磁性高分子ポリマービーズにストレプトアビジンを結合させたもの)を1%含有するPBS溶液を200μlずつ、4本のエッペンドルフチューブに入れた。各チューブに、各濃度のビオチン化BSA溶液を358μl添加し、さらにPBSを42μl入れて全液量600μlとした後、室温で4時間攪拌しながら反応を行った。これにより、ビオチン濃度が異なる4種類の磁気ビーズ標識化BSA(「磁気粒子−アビジン−ビオチン−BSA」)溶液を得た。
(A2-1)磁気ビーズ標識化BSAのHRP−Biotin標識化
先ず、1.25mlのPBSに、米国ピアース社製のビオチン化西洋わさび過酸化酵素(以下、「ビオチン化HRP」と称する。)「Immuno Pure Biotinylated Horseradish Peroxidase」試薬を5mg溶解して、濃度が4mg/mlのビオチン化HRP溶液を調製した。
これらのエッペンドルフチューブをノルウェー国Dynal社製のMPC(磁石を用いた磁性粒子収集装置)にかけて、上澄み液を除去することにより、それぞれ磁気ビーズ(磁気ビーズ標識化BSA、BSAが結合されていない磁気ビーズ)を回収した。次に、各エッペンドルフチューブにPBSを100μl添加して洗浄し、各液体から同じ方法でそれぞれ磁気ビーズを回収した。最終的に、各エッペンドルフチューブ(4種類の磁気ビーズ標識化BSAがそれぞれ入った4本と、BSAが結合されていない磁気ビーズが入った1本の計5本)に、1%PBSを42μl入れた。
次に、これらのエッペンドルフチューブに対して前記と同じ処理を行うことにより、磁気ビーズの回収と洗浄を行い、最終的に1%BSA/PBS溶液を入れて濃度0.5%とされた5種類の磁気ビーズ分散液を得た。
得られた5種類の磁気ビーズ分散液4μlにPBSを250μl添加して希釈し、各希釈液を100μlずつ別の5本のエッペンドルフチューブに入れた。次に、これらのエッペンドルフチューブをノルウェー国Dynal社製のMPCにかけて、上澄み液を除去することにより、それぞれのエッペンドルフチューブに磁気ビーズを回収した。次に、これらのエッペンドルフチューブに、TMB(3,3',5,5' -Tetra Methyl Benzidine )KIT(米国KPL社製)を添加して3分間攪拌した後、1mole/l硫酸(和光純薬社製)100μlを添加して呈色反応を停止させた。
そして、各測定値についてNo. 5の吸光度を「100%」とした相対値を算出して、その値を呈色強度とした。その結果を下記の表1に示す。No. 5の磁気ビーズでは、全てのアビジンがビオチン化BSAと結合していないため、「未反応ストレプトアビジン量」は100%である。よって、呈色強度の相対値は各磁気ビーズの「未反応ストレプトアビジン量」に相当する。
(A3)磁気ビーズ標識化BSA(磁気粒子−アビジン−ビオチン−BSA)の「ビオチン−BSA」が結合されていないアビジンに抗体Aを結合させる工程
(A1)工程で得られた4種類の磁気ビーズ標識化BSA分散液を40μl、それぞれエッペンドルフチューブに入れた。このエッペンドルフチューブをノルウェー国Dynal社製のMPCにかけて、上澄み液を除去することにより、それぞれ磁気ビーズを回収した。次に、各エッペンドルフチューブにPBSを200μl添加して洗浄し、各液体から同じ方法でそれぞれ磁気ビーズを回収した。最終的に、各エッペンドルフチューブ(No. 1〜4の磁気ビーズ標識化BSAがそれぞれ入った4本)に、PBSを40μl入れた。
(A1)工程で得られた4種類の磁気ビーズ標識化BSA分散液を40μl、それぞれエッペンドルフチューブに入れた。このエッペンドルフチューブをノルウェー国Dynal社製のMPCにかけて、上澄み液を除去することにより、それぞれ磁気ビーズを回収した。次に、各エッペンドルフチューブにPBSを200μl添加して洗浄し、各液体から同じ方法でそれぞれ磁気ビーズを回収した。最終的に、各エッペンドルフチューブ(No. 1〜4の磁気ビーズ標識化BSAがそれぞれ入った4本)に、PBSを40μl入れた。
先ず、前記(1) 工程で用意した抗体Aを0.1Mの燐酸ナトリウムbuffer(pH7)に10μg/ml濃度になるよう溶解し、この溶液を50μl、ポリスチレン製の平板(1cm×1cm×厚さ1mm)上に滴下した。次に、この平板を室温・湿潤箱に入れて1時間保持することにより、ポリスチレン平板の上に抗体Aを固定した。
次に、蒸留水で各平板の表面(抗体Aおよび牛血清アルブミンが固定された側の面)を洗浄し、10分間ドラフト内で風乾した。
このようにして、ポリスチレン平板の表面に反応部(抗体Aおよび牛血清アルブミンが固定された部分)を形成した。同様にして、反応部が形成された8枚の平板1A〜8Aを用意した。
8枚のうちの4枚の平板1A〜4Aには、インフルエンザAウィルス(A/北九州/159/93、107.75TCID50/ml)の生理食塩水による2倍希釈液を、残りの4枚の平板5A〜8Aには生理食塩水を、反応部にそれぞれ20μl滴下して、室温にて10分間反応させた。
次に、各平板の表面を蒸留水にて洗浄し、ペーパーパッドにて軽く水分をふき取った。これにより、4枚の平板1A〜4Aについては、平板の表面に固定された抗体A上にインフルエンザAウィルス(抗原)が捕捉された。
先ず、前記(1) 工程で用意した抗体Bを0.1Mの燐酸ナトリウムbuffer(pH7)に10μg/ml濃度になるよう溶解し、この溶液を50μl、ポリスチレン製の平板(1cm×1cm×厚さ1mm)上に滴下した。次に、この平板を室温・湿潤箱に入れて1時間保持することにより、ポリスチレン平板の上に抗体Bを固定した。
このようにして、ポリスチレン平板の表面に反応部(抗体Bおよび牛血清アルブミンが固定された部分)を形成した。同様にして、反応部が形成された8枚の平板1B〜8Bを用意した。
8枚のうちの4枚の平板1B〜4Bには、インフルエンザBウィルス(B/門真/506/99、107.0TCID50/ml)の生理食塩水による10倍希釈液を、残りの4枚の平板5B〜8Bには生理食塩水を、反応部にそれぞれ20μl滴下して、室温にて10分間反応させた。
次に、各平板の表面を蒸留水にて洗浄し、ペーパーパッドにて軽く水分をふき取った。これにより、4枚の平板1B〜4Bについては、平板の表面に固定された抗体B上にインフルエンザBウィルス(抗原)が捕捉された。
(A6)工程後の平板1A〜8Aおよび(A8)工程後の平板1B〜8Bの表面を、反応部に結合された磁気ビーズが剥がれないように蒸留水で洗浄し、風乾した。
次に、各平板の反応部を、斜めからの散乱光の存在下、CCDカメラで10倍に拡大して観察し、磁気ビーズが存在しているかどうかを調べた。
また、図4の磁気検出装置を用いて、各平板の反応部の下側に磁気センサ106を配置し、反応部に存在する磁気ビーズの量を示す出力信号を検出した。
これらの結果を表2〜5に示す。
底板6の厚さは、第1多孔体1および第2多孔体2を固定する部分の厚さを1.0mmとし、反応部形成面30の部分の厚さを0.2mmとし、吸収体4を固定する部分の厚さを1.5mmとした。また、第1多孔体1の大きさは12mm×8mm×厚さ2mm、第2多孔体2の大きさは12mm×5mm×厚さ2mm、吸収体4の大きさは12mm×11mm×厚さ2mmとした。
このようにして得られた200μlの液状試料(第1のサンプル)を、分析装置の本体101の試料導入口71に滴下した。
ここで、第2多孔体2には、前述のように、磁気ビーズ標識化二次抗体B&Aが湿潤状態で移動可能に保持されている。この磁気ビーズ標識化二次抗体B&Aは、1個の磁気粒子にアビジン/ビオチン結合を介して「PEG−抗体A」と「PEG−抗体B」が結合されている粒子の集合体であって、「PEG−抗体A」の結合比率が約70%で「PEG−抗体B」の結合比率が約30%である。
このようにして得られた200μlの液状試料(第2のサンプル)を、分析装置の本体101の試料導入口71に滴下した。
ここで、第2多孔体2には、前述のように、磁気ビーズ標識化二次抗体B&Aが湿潤状態で移動可能に保持されている。この磁気ビーズ標識化二次抗体B&Aは、1個の磁気粒子にアビジン/ビオチン結合を介して「PEG−抗体A」と「PEG−抗体B」が結合されている粒子の集合体であって、「PEG−抗体A」の結合比率が約70%で「PEG−抗体B」の結合比率が約30%である。
滴下された液状試料は、第1多孔体1に吸収された後、毛細管現象で横方向に移動して第2多孔体2に入り、流路232を通って流路31に入り、反応部3a,3bの両方に接触してから、流路342を通って吸収体4に吸収された。
また、図4の磁気検出装置を用いて、反応部3a,3bに存在する磁気ビーズの量を示す出力信号を検出した。その結果、反応部3aの出力信号値は80mVであり、反応部3bの出力信号値は45mVであった。
10 第1多孔体を固定する部分
10A 凹部
2 第2多孔体
20 第2多孔体を固定する部分
20A 凹部
231 流路形成部材
232 溝状の流路
3A,3b 反応部
30 反応部を形成する部分(反応部形成面)
30A 凹部
31 反応部上部の流路
341 流路形成部材
342 溝状の流路
4 吸収体
40 吸収体を固定する部分
50 底板の内面で最も低い面
6 箱体の底板
67 ピン
7 箱体の蓋部
71 試料導入口
72 流路形成部
76 ピン受け
6A 底板内面の周縁部と同じ高さの面
101 本体
12 台
12a 開口部
102 モータ
103 センサ部
104 静磁場発生部
105 基体
106 磁気センサ
108 アナログ信号処理部
109 A/D変換素子
110 デジタルフィルタ
111 信号出力部
Claims (2)
- 液体を浸透しない材料からなる基材上に固定された多孔体に、一個の磁気粒子の表面にn種(nは2以上の整数)の抗体が結合されている磁気粒子の集合体からなる標識付き試薬を、湿潤状態で移動可能に保持し、
前記基材上の前記多孔体の下流側に、前記n種の抗体がそれぞれ固定されたn個の反応部を形成し、
液状試料を、前記多孔体に吸収させて前記標識付き試薬とともに毛細管現象により移動させた後、前記n個の反応部に接触させ、前記反応部に生じた前記標識付き試薬が有する前記磁気粒子の凝集を検出することにより、前記液体試料に前記磁気粒子の表面に結合されているn種の抗体に対応するn種の抗原が含まれているかどうかを検出する、抗原抗体反応を利用した分析方法。 - 液体を浸透しない材料からなる基材上に固定された多孔体に、一個の磁気粒子の表面にn種(nは2以上の整数)の抗体が結合されている磁気粒子の集合体からなる標識付き試薬が、湿潤状態で移動可能に保持され、
前記基材上の前記多孔体の下流側に、前記n種の抗体がそれぞれ固定されたn個の反応部が形成され、
液状試料を導入して毛細管現象により前記多孔体に向かわせる試料導入部と、前記多孔体に吸収された液状試料を前記n個の反応部に接触して移動させる流路と、前記n個の反応部の状態を検出する磁気検出装置と、を備えたことを特徴とする分析装置。
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- 2005-11-17 JP JP2005332528A patent/JP4694952B2/ja not_active Expired - Fee Related
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