JP2005084023A - 磁性粒子を利用した分析装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】 磁性粒子を用いた被検物質測定分野において、上記の問題点を解決し、高感度、かつ、高い汎用性を有する実用的な分析装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 (I)(イ)絶縁又は絶縁性の基板上に形成され、磁場を受けたときにその電気特性が磁界によるローレンツ力により変化する半導体薄膜を感磁部とする感磁体、及び(ロ)前記薄膜の表面上に設けられ、特異的結合により、被検出物質を介して磁性粒子を磁気センサに固定するための物質層、からなる磁気センサ、(II)磁気センサに磁界を与える手段、及び(III)磁気センサ表面の磁性粒子の有無に応じた信号又は磁性粒子の量に応じた信号を検出するための手段を有する分析装置。
【選択図】 図2。

Description

本発明は、標識として磁性粒子を用い、検出部として磁気センサを用いて試料中の被検出物質の濃度を測定する装置に関する。本発明は、医療診断・環境計測等に好適に用いられる。
特異的結合を介して試料中の被検出物質量を測定する方法として、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法等が広く用いられている。
酵素免疫測定法は、被検出物質と特異的に反応する物質を酵素で標識し、被検出物質が存在する場合には、例えば、酵素反応による発色を光学的に計測する方法である。しかしながら、この方法は、酵素の安定性及び検出系の感度が低い等の問題がある。
蛍光免疫測定法は、被検出物質と特異的に反応する物質を蛍光体で標識し、被検出物質が存在する場合には、蛍光体が発する蛍光強度を計測する方法である。蛍光法は一般的に高感度測定法として知られているが、迷光の影響を受け易くバックグラウンドノイズが高い、微弱信号を光学検出するために高価な測定機が必要となる、蛍光体の褪色、という問題がある。
上記の光学測定法に対して、近年、磁気センサと磁性粒子を用いて被検出物質を測定する磁気測定法が注目されている。磁気測定法においては、バックグラウンドノイズの発生源は磁性体のみであり、蛍光法に代表される光学測定法と比較すると、外部からのバックグラウンドノイズが低く、有効な測定法である。
特許文献1及び2には、巨大磁気抵抗素子(以下、GMR、と略記する)を用いた被検出物質測定装置が開示されている。この装置は、GMR上に被検出物質を介して磁性粒子を特異的結合を介して固定させ、その磁性粒子量を計測することにより被検物質の量を測定するものである。一般に上記のGMRを用いた測定では、素子をアレイ化して磁性粒子と素子を1対1に対応させて検出する方法が広く知られている。この場合、アレイ化する素子数に応じて、試料中に含まれる多種の被検出物質の測定が容易にできるという長所が考えられる。反面、5μm以下の磁性粒子を1対1に対応させて計測するため、素子の大きさが小さくなり、安定した微細加工プロセスが必要となる等の問題がある。そのため、現在のところ実用化には至っていない。
高感度磁気測定装置としては、超伝導量子緩衝装置(Superconducting Quantum Interface Device(以下、SQUID、と略記する)が知られている。しかしながら、SQUIDのピックアップループを冷却された温度に維持しなければならないという実用上の問題点がある。
特許文献3には、磁気センサを用いた磁性粒子検出装置が開示されているが、磁性粒子が特異的結合を介して固定される部分の形状と磁気センサの形状との間に高い整合性が要求される点で汎用性に問題がある。
米国特許第5,981,297号明細書 国際公開第97/45740パンフレット 米国特許第6,518,747号明細書
本発明は、磁性粒子を用いた被検出物質測定分野において、上記の問題点を解決し、高感度、かつ、高い汎用性を有する実用的な分析装置を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するため、磁気センサの感磁部上に被検出物質との特異的結合を介して磁性粒子を固定しうる物質層を具備し、前記物質層に前記磁性粒子を特異的結合を介して固定することにより磁気センサ感磁部と磁性粒子との距離を極めて近づけ、さらに外部磁場により前記磁性粒子を磁化させることにより高感度に被検出物質が検出できることに着目した。
また、磁気センサの感磁部上に被検出物質との特異的結合を介して前記磁性粒子を固定しうる物質層を具備することにより、磁性粒子が特異的に吸着する部分の形状と磁気センサの形状の整合性が必然的に保証され、より汎用的に被検出物質を測定できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1) (I)(イ)絶縁又は絶縁性の基板上に形成され、磁場を受けたときにその電気特性が磁界によるローレンツ力により変化する半導体薄膜を感磁部とする感磁体、及び(ロ)前記薄膜の表面上に設けられ、特異的結合により、被検出物質を介して磁性粒子を磁気センサに固定するための物質層、からなる磁気センサ、(II)磁気センサに磁界を与える手段、及び(III)磁気センサ表面の磁性粒子の有無に応じた信号又は磁性粒子の量に応じた信号を検出するための手段、を有する分析装置。
(2) 感磁体が、磁界によるローレンツ力による電気特性の変化を抵抗変化として検出する形態の半導体磁気抵抗素子である(1)に記載の分析装置。
(3) 感磁体が、磁界によるローレンツ力による電気特性の変化をホール起電力として検出する形態のホール素子である(1)に記載の分析装置。
(4) 半導体薄膜は、In、Sb及びInSbから選ばれる少なくとも一種を主成分とするものである(1)に記載の分析装置。
(5) 半導体薄膜に、Si、Te、S、Sn、Ge及びSeから選ばれる少なくとも一種のドナーアトムが含まれている(4)に記載の分析装置。
(6) 磁性粒子の平均粒子径が0.001〜5μmである(1)に記載の分析装置。
本発明に用いられる、磁場を受けたときにその電気特性が磁界によるローレンツ力により変化する半導体薄膜を感磁部とする感磁体を備えた磁気センサは、前記感磁部上に被検出物質を介して磁性粒子が特異的結合が可能な物質層を有しているため、磁性粒子が特異的に吸着する部分の形状と磁気センサの形状の整合性は必然的に保証される。そのため、本発明の分析装置は汎用性が高い。
本発明の分析装置を用いることによって、高感度で被検出物質の分析を行うことができる。
本発明の分析装置における磁気センサは、(イ)絶縁又は絶縁性の基板上に形成され、磁場を受けたときにその電気特性が磁界によるローレンツ力により変化する半導体薄膜を感磁部とする感磁体、及び(ロ)前記薄膜の表面上に、特異的結合により、被検出物質を介して磁性粒子を磁気センサに固定するための物質層で構成されている。
磁場を受けたときにその電気特性が磁界によるローレンツ力により変化する半導体薄膜は、高い電気抵抗変化率及び高いホール起電力を得るために、高い電子移動度を有するという条件を備えたものである。
磁場を受けたときに、磁界によるローレンツ力により変化する電気特性としては、磁界によるローレンツ力を受けたときに生ずる電気抵抗の変化、ホール起電力等が挙げられる。この電気抵抗、ホール起電力等の変化は、電圧変化、電流変化または抵抗変化として測定することができる。
このような半導体薄膜として、国際公開第00/08695号パンフレットに開示されている、In、Sb及びInSbから選ばれる少なくとも一種を主成分とする半導体薄膜が好ましい。具体的な半導体薄膜としては、In x Ga 1-x Sb (0<x≦1) 、In As 1-y Sby(0<y≦1)、In x Ga 1-x As 1-y Sby(0.5<x≦1、0.5<y≦1)、InSbからなる半導体薄膜等が挙げられる。
半導体薄膜に対して高い熱安定性を保証するために、半導体薄膜中にSi、Te、S、Sn、Ge及びSeから選ばれる少なくとも一種のドナーアトムが含まれていることが好ましい。ドナーアトムは、陽イオン化することにより半導体薄膜中に伝導電子を供給し、伝導電子の数が2×1016/cmから1×1018/cmとなる範囲で半導体薄膜中に含まれていることが好ましい。
本発明の感磁部である半導体薄膜は、絶縁又は絶縁性の基板上に形成されている。絶縁又は絶縁性の基板としては、通常、GaAs、InP等の化合物半導体が用いられる。また絶縁性の表面やシート抵抗値の高い表面層を有するSi単結晶基板、フェライト基板、セラミック基板等も用いることができる。
磁気センサに設けられている物質層とは、被検出物質と特異的結合が可能な物質の層である。すなわち、被検出物質存在下で、物質層と被検出物質とは、特異的結合により結合されており、物質層を構成する物質は、被検出物質に応じて選ばれる。特異的結合とは、特異的な親和性を有する物質間での結合のことである。特異的結合の例として、抗原と抗体、糖とレクチン、ヌクレオチド鎖とそれに相補的なヌクレオチド鎖、リガンドとレセプター等の結合が挙げられる。例えば、被検出物質が抗原の場合、物質層は抗体により形成される。
磁性粒子には、被検出物質と特異的結合する物質、例えば、被検出物質が抗原の場合は抗体が、化学的吸着または物理的吸着により付与されており、被検出物質存在下で、磁性粒子もまた、被検出物質と特異的結合を介して結合されている。磁性粒子に付与されている抗体と物質層の抗体とは同じでも、異なっていてもよい。その結果、磁性粒子は、特異的結合により被検出物質を介して磁気センサと結合し、固定されている。磁性粒子に、被検出物質と特異的に結合する物質を付与するには、公知の方法を採用することができる。
本発明の分析装置は、前記磁気センサに磁界を与える手段及び磁気センサ表面の磁性粒子の有無に応じた信号又は磁性粒子の量に応じた信号を検出するための手段を有する。
被検出物質の検出においては、磁気センサの有する物質層に固定された磁性粒子量と被検出物質量との間に相関があるため、前記物質層に固定された磁性粒子からの信号を測定し、その信号強度を解析することにより被検出物質の有無及び被検出物質量を計測することができる。
以下に、磁性粒子量の計測について説明する。本発明の分析装置が与える磁界中において、前記物質層に磁性粒子が固定されると磁性粒子により磁界が収束され、磁気センサの有する感磁体部の磁場強度が増大する。その結果、磁性粒子が固定されていない場合に比べて磁気センサの電気特性が変化し、この変化量から磁性粒子量が計測できる。感磁体が半導体磁気抵抗素子の場合は、磁性粒子が前記物質層に固定された場合に生じる電気抵抗の変化量から磁性粒子量を計測できる。感磁体がホール素子の場合は、磁性粒子が前記物質層に固定された場合に生じるホール起電力の変化量から磁性粒子量を計測できる。
本発明で用いられる磁性粒子は、少なくとも外部から磁場を作用させた際に磁化する粒子であればよい。磁性粒子としては、強磁性体を単独で粒子状に成形した粒子、強磁性体を核として、その表面をポリスチレン、シリカゲル、ゼラチン、ポリアクリルアミド等の高分子物質で被覆した粒子、ポリスチレン、シリカゲル、ゼラチン又はアクリルアミド等の高分子物質の粒子を核として強磁性体を被覆した粒子、赤血球、リポソーム又はマイクロカプセル等の閉じた袋状の物質に強磁性体を封入した粒子等を挙げることができる。
前記の強磁性体としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属;前記強磁性金属を含む合金;非磁性体中に前記強磁性金属又は前記強磁性金属を含む合金を含有するもの;前記強磁性金属中又は前記強磁性金属を含む合金中に非磁性体を含有するもの等を挙げることができる。
この磁性粒子は、一般的に超常磁性体といわれるもので、外部から磁石を作用させている間は磁化し、外部からの磁石の遮断により 速やかに減磁する性質を持つことが特に好ましい。そのような磁性粒子としては、例えば、Dynal社製Dynabeads (登録商標)M-450、Dynabeads (登録商標)M-280、Dynabeads(登録商標)Myone(商標)、Merck Chime, S.A.,S社製Estapor(登録商標)M1-070-40、Estapor(登録商標)M1-070-60、Estapor(登録商標)M1-030-40、Seradyn社製Sera-mag(商標)等が挙げられる。磁性粒子は、適用される免疫反応物質等の種類に応じて、適切な表面処理がなされたもの、適切な官能基を有するもの等が選択される。
磁性粒子の粒子径は、免疫反応効率の点から大きすぎないことが好ましく、測定感度の点から、小さすぎないことが好ましい。したがって、本発明の磁性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.001〜5μm、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒子径は、動的光散乱法、電子顕微鏡等の公知の方法で測定することができる。磁性粒子の形状は球形であっても非球形であってもよい。
次に、抗原-抗体反応を例に挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は抗原-抗体反応に限られるものではない。抗原-抗体反応の場合、本発明の磁気センサが有する特異的結合を介して磁性粒子を固定しうる物質層は、例えば、被検出物質が抗原であれば抗原と反応しうる抗体層である。
また、本発明における磁気センサが有する磁場を受けたときにその電気特性が磁界によるローレンツ力により変化する半導体薄膜を感磁部とする感磁体を、半導体磁気抵抗素子(以下、SMR、と略記する)として説明するが、本発明の磁気センサの感磁体はSMRに限られるものではない。
図1は、本発明の磁気センサの断面の模式図である。磁気センサ30は、感磁体であるSMR1の表面上に、被検出物質である抗原と特異的結合が可能な抗体2からなる物質層を有する。図2に示すように、磁気センサに被検出物質である抗原3と、被検出物質である抗原3と特異的結合が可能な分子(抗体)が吸着された磁性粒子4を作用させると、被検出物質の存在下では図2に示すように抗原抗体反応によりSMR1上にサンドイッチ結合を生じ、前記磁性粒子4はSMR1上に特異的結合を介して固定される。
その後、抗原抗体反応により前記磁性粒子が特異的結合を介して固定された磁気センサ30を図3に示すように、電磁石5で発生した磁界中に静止させる。この場合、前記磁気センサの感磁体であるSMR1の大きさに対して、磁石で作られる磁界の範囲が十分大きく、また磁界は一様であることが好ましい。電磁石のかわりに永久磁石を用いてもよい。図3において、接続部6及び接続部7は交流電源又は直流電源に接続されている。
試料中に被検出物質が存在し、SMR1上に磁性粒子が特異的結合を介して固定されると、電磁石からの磁界は前記磁性粒子により収束され、SMR1は収束した磁界からローレンツ力を受け、その電気特性が変化する。
電磁石5で発生する磁界中における抗原抗体反応前のSMR1の抵抗値をR1、抗原抗体反応により磁性粒子が特異的結合を介してSMR1上に固定された場合の抵抗値をR2とすると、抵抗変化量△R=(R2−R1)から、SMR1上に特異的結合を介して固定された磁性粒子量が求まり、被検出物質量を定量的に測定できる。抵抗変化量を、電圧変化量又は電流変化量として測定してもよい。
抵抗変化量の測定において、参照抵抗体として、例えば、固定抵抗を磁気センサ30の感磁体であるSMR1に直列に接続して、該接続点の電気特性変化から磁性粒子量を検出することも可能である。
図6に示すように、SMR1と固定抵抗24とを、接続点10を介して直列に接続し、片側をバイアス電圧8に接続し、もう一方をグラウンド9に接続することもできる。磁性粒子を計測する際、図4に示すように、磁気センサ30を電磁石5で発生した磁界中に静止させ、固定抵抗24は磁界の影響を受けないように磁界外部においてもよいし、図5に示すように磁気センサ30と固定抵抗24を磁界中に静止して計測してもよい。この場合、磁気センサ30と固定抵抗の磁界中の配置形態は限定されないが、同程度の磁界を受ける形態が好ましい。
電磁石5における磁界中において、バイアス電圧をV4、抗原抗体反応前のSMR1の抵抗値をR6、抗原抗体反応により特異的結合を介してSMR1上に固定された場合の抵抗値をR7、固定抵抗24の抵抗値をR8とした場合、接続点10における抗原抗体反応前の電圧V5は、V5=V4×R6 /( R6+R8)である。抗原抗体反応後の電圧V6はV6=V4×R7/(R7+R8)である。電圧変化量△V=(V6−V5)から、SMR1上に特異的結合を介して固定されたの磁性粒子量が求まり、被検物質量を定量的に測定できる。電圧変化量を、抵抗変化量又は電流変化量として測定してもよい。
電磁石5による磁界中おける抗原抗体反応前のSMR1の抵抗値R7と固定抵抗24の抵抗値R8は同程度であることが好ましい。固定抵抗24をグラウンドに、SMR1をバイアス電圧に接続しても、出力の位相が反転するだけで同一の信号強度が得られる。
ここで参照抵抗体として固定抵抗を例として説明したが、固定抵抗に限らず抵抗をもつものであれば限定されない。
本発明の磁気センサは2つ以上のSMRを有していてもよい。この場合、磁気センサ内で複数のSMRが直列に接続された形態をとり、該接続点での電気特性変化から磁性粒子を検出することが可能となる。例えば、磁気センサが感磁体として2つのSMRを持つ場合には、一方のSMRを参照抵抗体として用いることにより磁性粒子による抵抗変化量を測定することができる。
以下、参照抵抗体としてのSMRを参照用素子、もう一方のSMRを免疫反応用素子とした場合について説明をする。この場合、本発明の磁気センサが有する参照用素子は抗原又は磁性粒子が接触しない形態をとる。例えば、図7に示すように、参照用素子12上に存在する抗体層2を、抗原又は磁性粒子と接触しないように吸着阻害層23でマスクする方法がある。この場合、吸着阻害層23は、抗体層2を被覆できるものであれが限定されないが、抗原及び磁性粒子を非特異的に吸着しない材質のものが好ましい。図7では、参照用素子12上に存在する抗体層2が抗原又は磁性粒子と接触しないように吸着阻害層23でマスクする形態を示したが、抗体層2が抗原又は磁性粒子と接触しないのであれば、図7に示した形態に限定されない。
図7に示すように、参照用素子上の抗体層2を吸着阻害層23でマスクした条件下で免疫反応用素子11と参照用素子12に、被検出物質量である抗原3と、被検出物質量である抗原3と特異的結合が可能な分子(抗体)が吸着した磁性粒子4を作用させると、被検出物質の存在下では、図8に示すように抗原抗体反応により免疫反応用素子上にサンドイッチ結合を生じ、特異的結合を介して免疫反応用素子上に磁性粒子が固定される。
その後、図9に示すように、抗原抗体反応により前記磁性粒子が特異的結合を介して固定された免疫反応用素子11と参照用素子12を、電磁石5で発生した磁界中に静止させる。この際、免疫反応用素子のみを電磁石5による磁界中に静止させてもよい。その場合は、上記のSMR1と、例えば、固定抵抗を直列に接続した場合(図4の場合)と同様と考えればよい。素子の大きさに対して、磁石による磁界の範囲が十分大きく、磁界は一様であることが好ましい。図9において、接続部6、接続部7を交流電源又は直流電源に接続する。電磁石のかわりに永久磁石を用いてもよい。
図9に示すように、免疫反応用素子11と参照用素子12を磁界中に静止させた場合には、被検出物質量存在下では、免疫反応用素子11上に磁性粒子が特異的結合を介して固定されており、前記電磁石の磁界は前記磁性粒子により前記免疫反応用素子11に収束され、磁束密度は密へと変化する。一方、参照用素子12上の磁束は免疫反応用素子11へ収束されるため、磁束密度は疎へと変化する。その結果、免疫反応用素子11は、参照用素子12ともに磁界からうけるローレンツ力が変化し、その抵抗値が変化する。
図10に示すように、磁気センサ内では、直列に接続された免疫反応用素子11と参照用素子12を接続点15を介して接続し、片側をバイアス電圧13へ接続し、もう一方をグラウンド14に接続する。
電磁石5による磁界中におけるバイアス電圧をV1、抗原抗体反応前の免疫反応用素子11の抵抗値をR3、抗原抗体反応により磁性粒子が特異的結合を介して免疫反応用素子11上に固定された場合の抵抗値をR4、抗原抗体反応前の参照用素子12の抵抗値をR5、抗原抗体反応により磁性粒子が特異的結合を介して免疫反応用素子11上に固定された場合の参照用素子の抵抗値をR10とした場合、図10の接続点15における抗原抗体反応前の電圧V2は、V2=V1×R3 /( R3+R5)となり、抗原抗体反応後の電圧V3はV3=V1×R4 /(R4+R10)となる。電圧変化量△V=(V3−V2)から免疫反応用素子11上の該磁性粒子量が求まり、被検出物質量を定量的に測定することができる。
電圧変化量は、抵抗変化量又は電流変化量として測定してもよい。参照用素子12をグラウンドに、免疫反応用素子11をバイアス電圧に接続しても、出力の位相が反転するだけで同一の信号強度が得られる。
以上、特異的結合が抗原抗体反応である場合を例に、本発明の分析装置及びその使用法を説明したが、その他の反応を用いる場合も、同様に適用できる。
本発明の磁気センサの感磁体上の物質層、すなわち、被検出物質量と特異的結合が可能な前記物質層を形成する物質は、感磁体表面上に直接吸着させてもよいし、吸着用基材として、例えば、高分子膜をコートして高分子膜上に間接的に吸着させてもよい。吸着方法は、一般に広く知られた方法で行うことが可能であり、物理吸着でも化学吸着でもよい。
前記感磁体をSMRとして抗原抗体反応を例として説明すると、図1に示すように前記SMR1上に直接吸着させる他に、図11に示すように、前記SMR1上に吸着用基材16をコートし、吸着用基材16上に抗体2を吸着させてもよい。吸着用基材16の厚みは、通常、100μm以下であり、好ましくは0.1μm以下である。吸着用基材の種類としてはシロキサン類等が用いられるが、これに限定されない。
磁性粒子検出時の外部磁場発生手段としては、永久磁石、電磁石等が用いられる。外部磁場に同期した磁場信号を取り出すことができ、高いS/N比が得られる点で電磁石が好ましい。永久磁石を用いる場合には、特開平4−216466号公報に開示されているように、磁石のS極及びN極を対峙させ、一様な磁場を発生させるのが好ましい。永久磁石としては、強い磁場がかけられるサマリウムコバルト磁石等の希土類磁石が好ましい。電磁石は、強くて安定した磁場が発生できるフェライト環状コアタイプ又はそれの類似タイプが好ましい。
電磁石を用いる場合には、一様な磁場を発生させるために、1つのギャップをもつ形が好ましい。例えば、図3及び図9に示すように、環状の電磁石の一部にギャップを設け、ギャップ間に生じる一様な磁場を使用することが好ましい。電磁石の形状は環状に限らず、コの字型、E型等があり、限定されない。電磁石を用いる場合には、交流磁場を発生させ、ロックインアンプで同期させて磁場変化をとりだすことが好ましい。
印加する外部磁場の強さは、通常、10〜5000ガウスであり、使用する磁気センサ・電磁石を使用する場合にはその安定性等に応じて磁場強度を選択する。例えば、磁気センサの感磁体としてSMRを用いる場合には、SMRが強磁界で高感度であることから、印加する外部磁場強度は、好ましくは100ガウス以上、より好ましくは1000ガウス以上である。
信号検出は、直流検出でも交流検出でもよいが、バックグラウンドノイズを低減するという点で交流検出が好ましい。電磁石を用いる場合には、電磁石により変調磁場を発生させて検出信号を変調し、変調磁場に同期した信号成分を検出することにより交流検出が達成され、低いバックグラウンドでの検出が可能となる。永久磁石を用いる場合には、磁気検出信号を処理する回路内で検出する信号を変調することにより交流検出が達成される。
本発明の半導体磁気抵抗素子のパターンとしては、螺旋型、長方形型等が挙げられる。
図12に螺旋型パターンを示す。磁性粒子に起因する磁場変化は、図12における接続部17と接続部18の間の抵抗変化量から測定できる。抵抗変化量は、電圧変化量又は電流変化量により測定することができる。
図13に長方形型のパターンを示す。磁性粒子に起因する磁場変化は、図13における接続部19と接続部20の間の抵抗変化量から測定できる。抵抗変化量は、電圧変化量又は電流変化量により測定することができる。
図14に、他の長方形型のパターンを示す。磁性粒子に起因する磁場変化は、図14における接続部21と接続部22の間の抵抗変化量から測定できる。抵抗変化量は、電圧変化量又は電流変化量により測定することができる。
図12〜14に磁気抵抗素子のパターン例を示したが、磁気抵抗素子のパターンはこれらに限定されない。
本発明の分析装置は、医療診断・環境計測等において分析溶液中の被検物質を高感度、かつ、簡便に測定できる。
本発明の磁気センサの断面模式図である。 本発明の抗原抗体反応後の磁気センサの断面模式図である。 磁気センサを磁石の磁界内に配置した図である。 半導体磁気抵抗素子を磁界内に、固定抵抗を磁界外に配置した図である。 半導体磁気抵抗素子及び固定抵抗を磁界外に配置した図である。 磁気抵抗素子と抵抗体を直列に接続した図である。 参照用素子と免疫反応用素子を有する磁気センサの、参照用素子上をマスク した図である。 図7において、磁気センサの免疫反応後を示す図である。 図7に示す磁気センサを磁石の磁界内に配置した状態を示す図である。 免疫用反応素子と参照用素子を直列に接続した図である。 吸着用基材を用いた際の磁気センサの断面模式図である。 螺旋型磁気抵抗素子の平面図である。 長方形型磁気抵抗素子の平面図である。 長方形型磁気抵抗素子の他の例の平面図である。

Claims (6)

  1. (I)(イ)絶縁又は絶縁性の基板上に形成され、磁場を受けたときにその電気特性が磁界によるローレンツ力により変化する半導体薄膜を感磁部とする感磁体、及び(ロ)前記薄膜の表面上に設けられ、特異的結合により、被検出物質を介して磁性粒子を磁気センサに固定するための物質層、からなる磁気センサ、(II)磁気センサに磁界を与える手段、及び(III)磁気センサ表面の磁性粒子の有無に応じた信号又は磁性粒子の量に応じた信号を検出するための手段、を有する分析装置。
  2. 感磁体が、磁界によるローレンツ力による電気特性の変化を抵抗変化として検出する形態の半導体磁気抵抗素子である請求項1記載の分析装置。
  3. 感磁体が、磁界によるローレンツ力による電気特性の変化をホール起電力として検出する形態のホール素子である請求項1記載の分析装置。
  4. 半導体薄膜は、In、Sb及びInSbから選ばれる少なくとも一種を主成分とするものである請求項1記載の分析装置。
  5. 半導体薄膜に、Si、Te、S、Sn、Ge及びSeから選ばれる少なくとも一種のドナーアトムが含まれている請求項4記載の分析装置。
  6. 磁性粒子の平均粒子径が0.001〜5μmである請求項1記載の分析装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005106480A1 (en) * 2004-04-28 2005-11-10 Canon Kabushiki Kaisha Detector and detecting method
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