JP4801257B2 - ペプチドターン模倣構造体 - Google Patents

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Description

(技術分野)
本発明は、ペプチドターン模倣構造体となる新規化合物、ならびにペプチド模倣構造体、特にターン模倣構造体の合成に有用な新規化合物に関するものである。ペプチド模倣構造体は、生理活性ペプチド配列に含まれる重要な構造的・機能的要素を再現して、その生理活性ペプチドと比較して結合親和性、選択性、安定性および/または経口生物学的利用能が向上した新規な医薬品を開発するのに使用される。
【0001】
(背景技術)
逆ターン(βおよびγターンならびにβ湾曲(buldges))はタンパク質表面に局在し(Kuntz,1972)、タンパク質相互作用において重要である(Rose et al.,1985、Chalmers and Marshall,1995)(およびこの文献に含まれる参考文献)。さらに、逆ターンは、ペプチドホルモンおよび他の生理活性ペプチドならびに環状ペプチドの重要な構造である(Giannis and Kolter,1993;Olson et al.,1993;Kessler et al.,1995)。
【0002】
ペプチド模倣構造体およびペプチドターン模倣構造体の目的は、あるペプチド配列(ペプチドターン)を、生理活性に必須の要素を保持する新たな化合物と置き換えることで、すなわち可撓性があったり薬力学が不十分だったりするペプチドに固有の問題をなくすために新規な医薬品の開発を可能とするか、あるいはそれを促進することにある。生理活性の必須要素は、ペプチド側鎖基であると考えられており(Farmer and Ariens,1982;Ball and Alewood,1990)、従って、ペプチド模倣構造体には、生理活性を保持する可能性が最も高い側鎖基を有しなければならない。次に、ペプチド模倣構造体は、適切な配置で側鎖基を並べるための枠組の形態を取ることができる。
【0003】
逆ターンの大半がβターンである。βターンの一般に受け入れられている定義は、4個の残基からなる配列であって、残基(i)と残基(i+3)(と定義される)のα炭素間の距離が7Å未満であり、中央の残基(i+1、i+2)が非螺旋である配列である(Lewis et al.,1973)。その一般構造を以下に示してあるが、それには、ペプチド骨格の配座を説明するのに使用されるファイ(φ)およびブシー(ψ)骨格二面角を有する。βターンのβターン模倣構造体への模式的変換も示してある。この場合、ペプチド骨格が未定義の枠組に置き換わっている。
【0004】
【化49】
Figure 0004801257
【0005】
γターンは一般に、C=O(i)とN−H(i+2)との間に水素結合が存在することで、以下に示したような擬似7員環が形成されているものと定義される(Milner−White,1988)。βターンに等価な水素結合が存在する場合、擬似10員環が形成される。
【0006】
【化50】
Figure 0004801257
【0007】
それぞれが広範囲の可能な官能性を有する4個の独立したキラル基を持つ枠組の化学合成(例:βターン模倣構造体)は、提案されたほとんどのβターン模倣構造体が、側鎖官能基の導入に全く関与しないか、するとしても限られた数の位置で限られた範囲の官能基の導入に寄与するということからわかるように、非常に有意義な合成的試みである(Nakanishi and Kahn,1996)。これらの点についての説明は、バルおよびヘルツェマンの総説をすることができる(Ball and Alewood,1990;Hoelzemann,1991;Hoelzemann,1991)。側鎖官能基導入を行う模倣構造体の場合、合成は複雑かつ冗長である場合が多く、最も重大な場合は、異なる側鎖配列には異なる合成法が必要となる(すなわち、合成法に汎用性がない)。例えば、γターン模倣構造体に関するカラハン(Callahan)、ハフマン(Huffman)およびニューランダー(Newlander)の研究では、必要な側鎖配列に応じて合成法が変わっており、Gly−Phe−Leu模倣構造体の場合には10段階、Phe−Gly−Valには13段階、Ala−Phe−Alaには21段階である(Huffman et al.,1988;Callahan et al.,1992;Newlander et al.,1993)。20種類の天然アミノ酸から成る3個の残基配列の可能な組合せは8000通りであり(20×20×20)、4残基βターン配列の場合には160000通りであることを考慮すると、そのような非汎用的方法の使用には限界がある。カラハンおよびハフマンの方法にはさらに、当業界におけるほとんどの方法と同様に、キラル制御ができないという問題点があった。
【0008】
ペプチドターン模倣構造体の開発におけるさらに重要な問題は、特にβターンにおける各種ターン配座の多様性の再現である。ターン配座について説明する上での異なる方法がいくつか提案されており、従来の方法では、(i+1)および(i+2)残基の骨格二面角に基づいたいくつかのターン型がある。すなわち、I、II 、II、III 、III、IIII 、IV、V、VIa、VIb、VIIおよびVIIIであるが、このように型が多様であっても、ターン配座を説明するには不十分である(Richardson,1981;Wilmont and Thomton,1990;Ball et al.,1993)。単一の模倣構造体の枠組で、そのターンの多様性を正確に模倣できるものはなく、模倣構造体の枠組の選択が必要である。
【0009】
ペプチドターン合成の開発で遭遇する問題については、カーンらの総説(Kahn,1993)で議論されており、ペプチド模倣構造体に関する模倣物設計および開発の側面について論じた総説(Nakanishi and Kahn,”Design of Peptidomimetics”,1996)を参照することもできる。
【0010】
薬剤開発における逆ターン模倣構造体(および逆ターン模倣構造体を含むペプチドその他の化合物)の使用については当業界で報告があり、特にカーンとその共同研究者の刊行物(Kahn,1996;Nakanishi and Kahn,1996;Qabar et al.,1996)およびそれに盛り込まれている参考文献で報告されている。逆ターン模倣構造体利用の重要な例は、β−D−グルコースに基づく模倣構造体を用いてヒルシュマンとその共同研究者が説明している(Hirschmann et al.,1992;Hirschmann et al,1993)のような、公知の生理活性環状ペプチド(代表的にはペンタまたはヘキサペプチド類)の模倣構造体の製造である。
【0011】
生理活性を有する他のβターン模倣構造体が当業界で公知である。例えば、米国特許第4535169号には、(i+3)側鎖(のみ)に官能基の置換を組み込むことができるβターン模倣構造体の合成方法が開示されており、クリステナンスキーらは、モルヒネの1/3の効力を有する鎮痛活性を有する、この方法に基づいたロイシンエンケファリン模倣構造体を開示している(Krystenansky et al,1982)。
【0012】
広範囲な逆ターン模倣構造体の合成方法について記載した、米国特許第5475085号および第5618914号ならびに国際公開第WO96/22304号(いずれもKahn,M)を参照することもできる。これらの模倣構造体はいずれも、各種方法によって合成されるアミノ酸誘導体および各種ジペプチドアゼチジノン類に関するモジュール式合成法によって製造される。これら模倣構造体のすべての合成における重要な共通段階は、活性化エステル成分としてのアゼチジノン化合物が関与する環化反応である。環状ターン模倣構造体の環に可変な構成要素(「X」)を組み込むことで、これら模倣構造体の配座を変えることができる。留意すべき点として、2つの例外(X=NHを有し、10員環または11員環を有する親模倣構造体)があるが、これらの方法によって製造されるβターン模倣構造体は12員以上の環の大きさを有する。環がそのように大きいため、>7Åの多くの配座が可能となり、従って模倣構造体の配座はβターンの許容される定義(7Å未満の)から逸脱するようになるか、あるいはより重要な点として、その配座が、4.5Å〜6Åの範囲内のを有する最も一般的な逆ターン配座から逸脱する(Rose et al.,1985;Gardner et al.,1993)。エンケファリン模倣構造体が製造されており(Gardner et al.,1993)、HIVgp120の結合およびヒトリンパ球の感染を阻害するCD4のループの模倣構造体も製造されている(Chen et al.,1992)。これら模倣構造体の大半について記載されている合成方法は、(i)および(i+1)位置での可能な官能基に関して限られたものであるように思われ、実際、(i+1)位に官能基を持つ模倣構造体(−H=グリシン=側鎖なし以外)については、現時点では報告がないように思われる。
【0013】
二環式逆ターン模倣構造体の合成とそのような逆ターン模倣構造体を有する化学ライブラリーについて記載した国際公開第WO97/15577号(Kahn,M)を参照することもできる。その合成方法は簡潔ではあるが、その合成方法では、すべての位置でのキラリティー制御ができず、4つの位置のうちの2つでは、側鎖官能性の汎用性の程度に疑問がある。さらに、模倣構造体の構造は、それがペプチド配列中に容易に組み込むことができないこと、さらには理想的な形で側鎖基の相対的位置決定を再現しない(各側鎖結合位置は理想的には、ペプチドの場合のように、3共有結合だけ分離していなければならない)ことを意味している。
【0014】
(i+1)、(i+2)および(i+3)位に((i)位ではない)官能基を組み込むがペプチド配列への模倣構造体の組み込みはできない(すなわち、側鎖以外にアミノおよびカルボキシ末端基が存在しない)、ビルギリオら(Valle et al.,1989;Virgilio and Ellman,1994;Virgilio et al,1996)のターン模倣構造体を参照することもできる。
【0015】
γターン模倣構造体を有する生理活性化合物について記載し、逆ターン模倣構造体の一般的用途についても説明している米国特許第5438188号および第5470849号(CallahanおよびHuffman)を参照することもできる。
【0016】
恒温動物において保護免疫応答を起こさせるペプチドワクチンの合成におけるターン模倣構造体の使用について記載した国際公開第WO95/25120号を参照することもできる。
【0017】
上記の参考文献の方法および模倣構造体においては、いくつかの共通する問題があることが明らかである。すなわち、再現できる側鎖数が限られており、合成におけるキラリティー制御に限界があり、取り入れることができる側鎖官能基の範囲が限られている。さらに、記載されているターン模倣構造体合成の多くが、例えばすべての側鎖官能基を組み込まない場合であったとしても、比較的冗長かつ複雑であり、例えばある種のエンケファリン模倣構造体合成は約15〜21段階の範囲であった(Gardner et al.,1993)。従って、当業界では現在もなお、すべての位置に広範囲の側鎖官能基を組み込むことができ、キラリティー制御を行いながら容易に合成することができ、天然ペプチドで認められるものに相当する広範囲の配座を有するペプチド模倣構造体が必要とされている。
(発明の目的)
そこで本発明の目的は、生理活性なペプチドおよびタンパク質の配座的に制約された模倣構造体(ペプチド模倣構造体)として有用な、さらにはその模倣構造体の合成に有用な新規化合物を提供することにある。詳細には本発明は、すべての側鎖位置で広範囲の側鎖官能基を配置することができ、ペプチド配列に組み込むことができ、容易に合成することができ、各種配座を有する新規な化合物および新規なペプチド逆ターン模倣構造体の合成方法を提供する。
【0018】
(発明の概要)
本発明は、ペプチド模倣構造体の合成に有用な新規化合物について記載し、新規な逆ターン模倣構造体を合成するためのその化合物の使用について記載する。本発明の逆ターン模倣構造体は一般構造Xを有するか、あるいは好ましい実施態様では、一般構造I〜VIを有する(一般構造Xの小集合である。以下の記載および添付の図面の図1および図2参照。この概要以後の詳細な説明において構造を詳細に説明する)。
【0019】
【化51】
Figure 0004801257
【0020】
B−アリルジアルキルボラン類(例:Rg1a−i、図3)をイミン類3(図式1)と反応させて、高収率および非常に高レベルの化学的および立体的選択性で新規なアリルアミン類4a〜dが得られることが発見された。これらの良好な結果とは対照的に、関連するB−アリルジアルコキシボラン類(例:Rg1j、図3)またはアリル銅もしくはアリル亜鉛試薬を用いたアリル化では、ラセミ化や他の官能基での反応を伴って、不十分な結果が得られていることから、この結果は驚くべきものである。イミン類3の反応による化合物4a〜dの形成と関連化合物5〜8a〜d(いずれも、化合物4a〜dから製造される)の形成によって、本発明のすべての化合物の合成、従って本発明の基礎が形成される。このように、アリルアミン類4a〜dは、新規なペプチド模倣構造体、特に逆ターン模倣構造体の合成における極めて貴重な中間体であり、本明細書に記載の各種経路によって、本発明のかなり多様な新規な逆ターン模倣構造体(一般構造Xを有する)の合成を可能にする。本発明のすべての模倣構造体系は、ペプチド配列に組み込むことができるか(すなわち、それらが側鎖官能基に加えて、アミノおよびカルボキシ末端を有する)、あるいは所望に応じて、アミノ末端およびカルボキシ末端の少なくとも一方を模倣構造体から削除することができる。
【0021】
以上のように、天然逆ターンで認められる広範囲の配座をより良好に再現するには、非常に広範囲の異なる模倣構造体が必要である。本発明のターン模倣構造体は、非常に多様な新規の官能化環構造を有し、従ってそのそれぞれが、新規な配座特性を有する。さらに、ターン模倣構造体の多くの構造および環の大きさにより、それらは比較的一般的な天然逆ターン配座(4.5Å〜6Åのを有するもの)の幾何形状の再現に非常に適したものとなる。
【0022】
本発明に記載の合成方法は、合成における大幅な変更を伴わず、すべての側鎖位置において、広範囲の側鎖官能基を持つ能力に関して、先行技術より優れている。すなわちその方法は、真に汎用性が高くなっている。さらに、本発明の模倣構造体の合成におけるキラリティーの制御も先行技術より優れている。ジアステレオマー混合物は通常不適切であり、商業的規模で分離することが非実用的または不可能であることから、その点は、構造−活性相関の解明ならびに新規医薬品および他の商業的に有用なペプチド模倣構造体の開発において重量な参酌事項である。さらに、所定の配列を有する特定の模倣構造体について、広範囲の各種ジアステレオマーを選択的に得られるということで、各種配座の選択が可能となる。そこで、4個のキラル中心を有する模倣構造体では、合計16個(24 )の可能なジアステレオマーがあり、それぞれが異なる配座を有する。本発明の方法では、利用可能なキラル原料、非ラセミ化条件およびジアステレオマー選択的反応を用いることで、高レベルのキラル制御が可能となる。
【0023】
本発明は、ターン模倣構造体の製造、より一般的にはペプチド模倣構造体の製造に有用な、特に図式1の4〜8(a〜d)、図式2の10、図式3の11〜12、図式4の13〜14、図式5の16〜17、図式6の18〜19、図式7の21〜22、図式8の23(a〜d)〜25(a〜d)、図式11の27〜28、図式12の29〜34、図式13の35(a〜c)、36〜38、図式15の43〜46の製造に有用なすべての新規中間体を含む。
【0024】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明のペプチド模倣構造体は、以下の化学式で示すと共に以下に定義する、一般構造Xを有する。
【0025】
【化52】
Figure 0004801257
【0026】
式中、RおよびR2 基、ならびにR1 、R3 、R4 、Rn+3 およびRn+4 を含めた以下で言及する他のR基は、別段の断りがない限り、それぞれ独立に選択され、従って同一または異なっている(同一の模倣構造体における2個の別個のR基は、それらが独立に選択され同一でも異なっていても良いことを示すための異なる接尾辞を必要とはしない)アミノ酸側鎖基である。本明細書に使用する「アミノ酸側鎖基」の定義は、引用によって本明細書に含まれる国際公開第WO97/15577号、7〜9頁(Kahn,M)に記載の「アミノ酸側鎖部分または誘導体」の定義と同じである。アミノ酸側鎖基は代表的には、天然アミノ酸および誘導体や、さらには一般的な合成アミノ酸において認められるものに相当するものであるが、それらに限定されるわけではない。そこで、グリシンではR=水素、アラニンではR=メチル、フェニルアラニンではR=−CH2 Ph、ホモフェニルアラニンではR=−CH2 CH2 Ph、バリンではR=−CH(CH3 2 、ロイシンではR=−CH2 CH(CH3 2 、p−ニトロフェニルアラニンではR=−CH2 ((4−NO2 )Ph)、ナフチルアラニンではR=−CH2 −ナフチルなどである。可能な場合のみであるが、隣接する骨格窒素原子または等価な位置への環化が関与するプロリン、ヒドロキシプロリンおよびホモプロリンなどの環状アミノ酸側鎖も含まれる(すなわち、アミンまたは等価な原子が、複素環模倣構造体の枠組の一部としてまだ置換されていない)。
【0027】
Zは通常は、水素、メチル、エチル、ホルミルまたはアセチルであり、別の形として、Rまたは−CH2 Rまたは−C(O)R(Rはアミノ酸側鎖基である)であることができるか、あるいはZは、R2 に連結した環状アミノ酸側鎖基の一部である(例えば、(i+1)位のプロリン残基を模倣するため)。以下に言及するII(i)の場合、化合物が不安定であるために、Zは水素であることはできない。
【0028】
c は、模倣構造体のカルボキシ末端部分であり、代表的にはC(O)Pgc または水素あるいはアミノ酸側鎖基Rまたは−CH2 Rである。
Pgc (およびPgc' など)は、カルボン酸の保護基であり、代表的にはアルコキシ、ベンジルオキシ、アリルオキシ、フルオレニルメチルオキシ、容易に脱離可能なアミドを形成するアミン類または固相支持体への適切な開裂可能連結基、またはそのような支持体自体、あるいは水酸基、−OR、−NHRまたは以下に記載の模倣構造体系の残りのC末端部分などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
N は、模倣構造体のアミノ末端部分、すなわち−N(ZI )PgN である。 ZI は通常、水素、またはメチル(位置(i)のN−メチルアミノ酸残基を模倣するため)、あるいはR1 に連結した環状アミノ酸側鎖基の一部(例えば、位置(i)のプロリン残基を模倣するため)である。
【0030】
PgN (およびPgN ' )はアミンの保護基であり、代表的には、Boc、Cbz、Fmoc、Alloc、トリチル、あるいは固相支持体への適切な開裂可能連結基、あるいはそのような支持体自体、あるいは水素またはRもしくは−C(O)R(Rはアミノ酸側鎖基である)、あるいは以下に記載するような模倣構造体系の残りのN末端部分の一部もしくは全体などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
、Mは通常は水素であり、あるいは1以上がC1〜C4アルキル(好ましくはメチル)、塩素、C1〜C4アルコキシ(好ましくはメトキシ)であることができる。
【0032】
1 =R1 およびQ2 =Zであるか、あるいはQ1 からQ2 への環化があり、本発明の好ましい実施態様では、Q1 2 =CH(R)C(O)、−CH2 CH(R)C(O)−、または−CH2 CH2 CH(R)C(O)−である。Q1 2 はまた、−CH(R)CH2 −、−CH2 CH(R)CH2 −、−CH2 CH2 CH(R)CH2 −、−CH2 CH(R)−、−CH2 CH2 CH(R)−、−CH(R)CH2 CH2 −、−CH2 CH(R)CH2 CH2 −、−CH(R)CH2 C(O)−または−CH2 CH(R)CH2 C(O)−であってもよい。
【0033】
5 =水素、C1〜C4 アルキル、塩素またはC1〜C4 アルコキシであり、Q3 =Y、−C(O)NHCH(R)Y−、または−C(O)ENHCH(R)Y−であるか、あるいはQ3 =−C(O)N(Q5 )CH(R)Y−である場合には、Q5 はQ3 における窒素原子へのQ4 基からの共有結合である(二環系を形成する環化)。
【0034】
YはC(O)およびCH2 からなる群から選択され、Q4 は、CHMI 、C(O)、CH(Q5 )CH2 およびCH(Q5 )C(O)からなる群から選択される。ただし、(i)Q4 =CH(MI )の場合、YはC(O)であり、(ii)Q4 =C(O)の場合、YはCH2 であり、(iii)Q4 =CH(Q5 )CH2 の場合、YはC(O)であり、(iv)Q4 =CH(Q5 )C(O)の場合、YはCH2 である。
【0035】
E=−(AA)n −であり[nは1、2、3、4・・・である(n=1〜約300であるが、より代表的にはnは1〜30である]、AAはアミノ酸残基である(例:アラニンの場合、AA=−NHCH(CH3 )C(O)−)。従ってEは、模倣構造体系の残りの部分によって環に連結しているn個のアミノ酸から成るループである。そのループには、模倣構造体系に好ましい特性、例えば結合親和性の向上または検出、同定もしくは精製の容易さなどを与える非αアミノ酸類、α−ジアルキルアミノ酸類または他のアミノ酸をも含み得るものである。そのような大きいループで使用される場合に本発明は、アレニウスらの報告(Arrhenius et al.,1987)、さらには米国5807979号(Arrhenius et al.)にも記載のように、共有結合水素結合模倣構造体として機能する(本発明の別の態様)。本発明の好ましい実施態様は、図1および2に示し、表1で定義される構造I〜VIである。
【0036】
【表1】
Figure 0004801257
【0037】
にQ基が繰り返し出ているのは、環化を示している。そこで、模倣構造体VおよびVIは、Q1 とQ2 の間に環化を有し、模倣構造体IVはQ3 とQ5 の間に模倣構造体を有する。これらの表では、Q1 〜Q5 基およびYは上記で定義した通りであり、他の基は本明細書で定義の通りである。
【0038】
本発明の化合物は、ペプチドまたはタンパク質鎖に組み込むことができるように、あるいはペプチド模倣構造体の生理活性その他の特性を向上させるのに有用であると考えられる分子または基への共有結合的結合ができるよう設計されている。従って、模倣構造体には代表的には、側鎖官能基とは独立にアミノ末端およびカルボキシ末端を有する。「模倣構造体の残りのC(またはN)末端部分」という用語は、模倣構造体に共有結合的に結合された任意の基、分子、連結基、支持体、ペプチド、タンパク質、ヌクレオシド、グリコシドまたはそれらの組合せである。代表的にはそのような残りの部分は、ペプチドまたはペプチドと他の模倣構造体の組合せ、あるいは検出もしくは同定を容易にしたり、模倣構造体系の薬力学その他の有用な特徴を改善する化合物であると考えられる。
【0039】
さらに、R基(アミノ酸側鎖基)は、固相支持体または固相支持体への連結基への結合箇所として、あるいは模倣構造体の残りのCまたはN末端部分について前述した、模倣構造体の生理活性その他の特性向上に有用であると考えられる分子に関して、共有結合的結合箇所として役立ち得る。
【0040】
「開裂可能連結基」および「固相支持体」という用語は、国際公開第WO97/1557号に定義の通りである。
一般構造XおよびI〜VIならびに図および図式での他の構造における、キラル中心にある結合の一つでの波線の使用は、その中心が(R)または(S)配置であるか、あるいは何らかの割合での(R)および(S)配置の混合であることができることを示している。例えばより有効なスクリーニングを目的として(混合物を使用することで)または合成上の便宜上、ジアステレオマー混合物を提供することを意図する場合を除き、ほとんどの状況で、立体配置の混合物を回避することが好ましい。本発明の化合物におけるアミノ酸側鎖位置での(例:R1 〜R4 での)キラリティーは、キラル原料(LまたはDアミノ酸)の使用およびラセミ化を引き起こす合成条件の回避によって制御される。模倣構造体合成で形成されるキラル中心の配置はいくつかの要素によって決まるものであり、物理的手段によって分離できる可能性があるいくつかの場合には制御することができるが、他の場合には、ジアステレオマー混合物が得られる。本発明の非常に大きい利点は、模倣構造体におけるキラル中心で可能なキラル制御レベルが高くなっているという点である。
【0041】
模倣構造体の好ましい実施態様の例
γターン模倣構造体I(i)a、I(ii)a(M、M、M、ZおよびZ =水素)。
【0042】
【化53】
Figure 0004801257
【0043】
βターン模倣構造体II(i)a、II(iii)a(M、M、MおよびZ=水素、Z=メチル)。
【0044】
【化54】
Figure 0004801257
【0045】
β湾曲模倣構造体III(i)a、III(iii)a(M、M、MおよびZ=水素、Z=メチル)。
【0046】
【化55】
Figure 0004801257
【0047】
二環式βターン模倣構造体IV(i)a、IV(ii)a(M、M、M”、ZおよびZ=水素)。
【0048】
【化56】
Figure 0004801257
【0049】
二環式βターン模倣構造体V(i)a、VI(i)a、V(ii)a、VI(ii)a、(M、MおよびM=水素)。
【0050】
【化57】
Figure 0004801257
【0051】
本明細書に記載のすべての模倣構造体の合成は最初に、図式1に示したように、共通中間体形成のための同じ一般合成手順、すなわちアリル金属試薬Rg1(好ましくはアリルボラン類)とイミン類3との反応によって新規なアリルジアミン類4を得る手順で進めることができる。図式1の他の化合物(すなわち、5〜8)はいずれも、図式1および以下の説明に記載の方法に従って、アリルジアミン類4から誘導することができる。本発明の範囲内であるイミン類3のアリル化反応は、その温和さおよび選択性において優れており、それによって、広範囲の官能基を分子の残りの部分に存在させることができる。これはペプチド模倣構造体合成において非常に重要な参酌事項である。アリルボラン類とイミン類3との反応の別の重要な特徴は、R1 およびR2 がいずれも水素ではない立体障害のある一般的な場合(すなわち、グリシンを含まないジペプチドのすべての模倣構造体の場合)に、良好な収率(例:単離収率>50%)でその反応が進行することである。図式1および後述のすべての図式には、RN =NHPgN およびRC =C(O)PgC (図1および2)の好ましい場合を示してあり、一般的な場合に同様の方法が適用される。
【0052】
図式1に関して、イミン類3の製造は、アミノ酸アルデヒド(化合物1)とアミン(2a〜d)との縮合によって完了する。アルデヒド類1は、相当するN−保護アミノアルコールからの酸化的手順、あるいはN−保護アミノ酸誘導体の還元(Fehrentz and Castro,1983)によって製造することができ、各種方途について総説が出されている(Jurczak and Golebiowski,1989)(Goel et al.,1988,Org. Syn.67,69も参照)。アミン類2aはアミノ酸エステル類(または他の酸保護アミノ酸誘導体)であり、それは市販されているか、あるいはアミノ酸から標準的手順によって合成することができる)。アミン類2b〜2dは、アミン2aおよびアミノ酸アルデヒド1の還元的アミノ化によって製造される。
【0053】
【化58】
Figure 0004801257
【0054】
アミン類2dは、ペプチド合成の標準的方法である繰り返しカップリング/脱保護段階(2bから2cへの変換のように)によって製造される。
アルデヒドによるアミンのアルキル化のための還元的アミノ化法は、当業界で公知である(例えば、Sasaki and Coy,1987,Peptides 8 119参照)、好ましい試薬は水素化シアノホウ素ナトリウム(Borch et al.,1971;Hutchins and Natale,1979;Gribble and Nutatis,1985)またはより好ましくはジクロロエタン中の水素化ホウ素トリアセトキシ(Abdel−Magid et al.,1996)である。
【0055】
アミド結合の形成方法(カップリング)は、当業界で公知である。比較的立体障害の大きいアミンのカップリングでは、例えば1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールに基づいたもの(Ehrlich et al.,1993;Carpino et al.,1994)などのある種の試薬の使用、あるいはアミノ酸フッ化物(Carpino et al.,1990;Wenschuh et al.,1994)の使用が有効である。
【0056】
ペプチド類およびペプチド模倣構造体の合成における保護ストラテジーは当業界で公知であり、例えば、ソマスタチン模倣構造体の合成においては、ヒルシュマンおよびその共同研究者が5次元直交ストラテジーを用いている(Hirschmann et al.,1996)。保護/脱保護に関するより一般的な参考文献は、グリーンおよびワッツの研究論文である(Greene and Wuts,1991)。
【0057】
本明細書に記載の合成例では、液相化学を用いる。類似の固相法または固相法と液相法との組合せによって模倣構造体を合成することもできるか、あるいは標準的な保護アミノ酸誘導体と同じ方法で、通常の固相ペプチド合成に模倣構造体を組み込むことができる。フリュヒテルおよびユングによる総説(Fruchtel and Jung,1996)には、固相有機合成における最新技術が詳細に記載されている(1996年)。
【0058】
本発明の模倣構造体は、その一般的合成方法のために、組合せ化学法(combinatorial chemistory technique、より具体的には、組合せ有機合成)ならびにある種の関連する同定法およびスクリーニング法の利用に適していることは、当業者には明らかであろう。薬剤発見への組合せ法および関連技術の利用は当業界では公知であり、総説が出されている。例えば、ギャロップらおよびゴードンらによる論文ならびにそれらの論文中の参考文献(引用によってこれらは本明細書に含まれるものとする)を参照する(Gallop et al.,1994;Gordon et al.,1994)。さらに、小分子ライブラリーの合成および利用に関するトンプソンおよびエルマンによる総説ならびにそれにおける参考文献(これらは引用によって本明細書に含まれるものとする)を参照することができる(Thompson and Ellman,1996)。
【0059】
イミン類3は、例えばCH2 Cl2 またはジエチルエーテルなどの適切な溶媒中、水を除去しながらアミンとアルデヒドを混合すると、室温で急速に生成する。水は乾燥剤(例:脱水MgSO4 )によって除去し、その乾燥剤は後に濾去する。次に、得られたイミンをアリル金属試薬(Rg1)と反応させて、後処理後に化合物4を得る(図式1)。
【0060】
試薬Rg1に関しては、アリルマグネシウムブロマイドなどの標準的なアリル有機金属は、3にやはり存在するカルボン酸誘導基(エステル、アミド)と比較してイミン官能基に対する選択性がないことから、イミン3との反応には適さない。イミン類との選択的反応にはアリル銅試薬およびアリル亜鉛試薬が用いられているが(Bocoum et al.,1991;Basile et al.,1994)、イミン3の場合、これらの試薬は、α−イミンキラル中心でかなりのラセミ化を起こし、かなりの程度でイミンに存在するエステルを攻撃する。所望の目的物4の中には、多くのアリル金属試薬を3と反応させることで製造できるものがあるが、反応生成物には、4種類のジアステレオマーの混合物とさらにはカルボン酸誘導基(特にエステル)での反応による副生成物が含まれるのが普通である。これらの結果とは対照的に、B−アリル−9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(アリル−9−BBN)、Rg1aなどのアリルボラン化合物とイミン3の反応は、非常に良好な結果と妥当なジアステレオマー選択性(粗アルデヒドに基づいた単離収率>50%であり、R1 がHでない場合には約80:20のジアステレオマー選択性である)を与える。
【0061】
【化59】
Figure 0004801257
【0062】
B−アリル−ジイソピノカンフェイルボラン(アリル−DIP、Rg1bおよびRg1c)あるいはジイソカラニルボラン類Rg1d〜eなどの適切なキラルアルキル基を有するアリルトリアルキルボラン化合物を用いることで、良好な収率および純度で主生成物のみ(1種類のジアステレオマー、>99:1)を得ることが可能である。天然(S)配置アミノ酸由来のアルデヒドを用いた場合には、新たな立体中心での配置は(R)であると決定され、調べたすべての場合で、キラルホウ素配位子の効果や他のアミノ酸キラリティの効果より、α−アルデヒドキラル中心によって行われる立体制御が支配的であった。(+)DIP試薬Rg1bは、Rg1c((−)DIPから)より、天然(S)配置アルデヒド由来のイミンに関して高いジアステレオマー選択性を与えた。アリル化生成物4aの純度は、エステル保護基PgC を除去して、所望の純度まで再結晶でき、次に保護することができる結晶アミノ酸を得ることで高めることもできる。
【0063】
【化60】
Figure 0004801257
【0064】
クロチル(Rg1f、Rg1h〜i)、メタリル(Rg1g)または他の置換アリル誘導体を使用することで、置換模倣構造体(M、MおよびMのうちの1以上が水素でない模倣構造体)が架橋されて、立体制御がさらに行いやすくなる。反応性の比較的低いボロン酸アリルであるアリルジメトキシボロン(Rg1j)が、アリルトリアルキルボラン化合物と比較して、不十分な結果を与えることが認められた(Cα(i)でのかなりのエピマー化)。文献には多くのボロン酸アリルおよび関連試薬(例:Rg1k〜m)が記載されており、その中には、3から4への変換に関して、アリルジメトキシボロンより効果的であると考えられるものもある。アリル金属を用いる選択的反応については、ヤマモトらによる総説が出されており、その総説の表IVおよびV(2224〜2230頁)には、非常に多様なアリルホウ素試薬が挙げてある(Yamamoto and Asao,1993)。アリル−9−BBNおよび他のアリルトリアルキルボラン類の製造については、ブラウンらの報告に記載されている(Kramer and Brown,1977
;Brown and Jadhav,1983;Brown and Jadhav,1984;Brown and Bhat,1986;Brown,Randad et
al.,1990)。アリルトリアルキルボラン類は、相当するB−クロロまたはB−メトキシ誘導体とアリルマグネシウムブロマイドとの反応(−78℃、ジエチルエーテル)によって製造することもでき、イミンとin situで反応する(Yamamoto
and Asao,1993)。2個の非グリシン誘導体(すなわち、R1およびR2がHではない)から形成されるイミン類3は、イミン窒素周囲でかなり立体障害されており、嵩高いホウ素配位子(ジイソピノカンフェニルなど)を用いると反応収率が低下し得る。高い収率および選択性を得るには、2,5−ジメチルボラシクロペンタンに基づくものなどの比較的小さいキラルB−アリル化合物が好ましい(例:Rg1n、図3)。
【0065】
化合物4および5の保護および脱保護に関して、ホルムアルデヒド溶液を4に加えることで、イミダゾリジン化合物5が急速に形成される。アリル化の主生成物4における相対的立体配置は、4,5−シス置換イミダゾリン5である。この保護ストラテジーは、これら化合物をさらに反応させる上で重要である。保護基は、酸の水溶液(例:メタノール性酢酸水溶液)で処理することで除去される。
【0066】
【化61】
Figure 0004801257
【0067】
同様の保護系には、ナップらのジベンジルトリアゾン基があり(Knapp et al., 1992)、その論文には他の脱保護条件が記載されており、その内容は引用によって本明細書に含まれるものとする。別の脱保護法には、イミダゾリジン系のアミンN−メチル基への水素化を行うものがあり(約0.28MPa(40psi)H2 、Pd−C、MeOH、48時間)、その変換を用いて、Z=Meの模倣構造体を得ることができる。
【0068】
アルケン5の酸化に関しては、アルケン5の酸化的開裂によって直接、例えばRuCl3 /NaIO4 によって酸6を合成することができる。アルデヒド/ケトン8は、オゾン化によって5から直接合成することができるが(酸化方法については例えば、ハドリキー(Hudlicky)による研究論文およびその研究論文中の参考文献を参照する)、その方法の選択性は不十分であり、過剰に酸化が進行して、他の副生成物が生成する。好ましいのは、ジヒドロキシル化(OsO4 、N−メチルモルホリン−N−オキサイド(NMO)、tBuOH/水)(VanRheenen et al.,1976;Ray and Matteson,1980)による7の形成と、それに続く酸化的開裂(ベンゼン中でのPb(OAc)4 またはTHF中でのH5 IO6 )(Hudlicky,1990)という2段階法である。酸化反応の生成物を調べたところ、(Pb(OAc)4 を用いた開裂によって、原料のようにシスではなく、トランスの4,5−置換基を有する異性化生成物が得られるという驚くべき発見があった。脱水THF中でのH5 IO6 によるジオールの酸化によって、アルデヒド生成物8において4,5−シス配置が保持されることも発見された。触媒の酸(例:CHCl3 中のHCl)で処理することで、得られたシスアルデヒドをトランス体に異性化することもできる。
【0069】
【化62】
Figure 0004801257
【0070】
これらの重要な発見によって、アルデヒド8および酸6の8種類の可能なジアステレオマーすべてを選択的に得ることが可能となり、従って、本発明に記載のすべての模倣構造体系におけるキラリティの大半を制御することができる。
【0071】
アルデヒド8から酸6への酸化に関しては、例えば重クロム酸ピリジニウム(Hudlicky,1990)などの多くの酸化試薬によって、その変換を行うことができる。グリコール7は、例えばRuCl3 /NaIO4 によって、直接酸化して酸とすることもできる。酸6のアルデヒド8への還元に関しては、上記の保護α−アミノアルデヒドの形成に用いたものと同じ一般法によって、カルボン酸6をアルデヒドに変換することができる(Jurczak and Golebiowski,1989)。ボランを使用することで、カルボン酸エステル存在下に、カルボン酸を選択的に還元してアルコールとし(Brown and Krishnamurthy,1979)、それを次に、前述の方法に従って酸化してアルデヒドとすることができる(Jurczak and Golebiowski,1989)。
【0072】
図式2に関して、前述の方法に従って、アルデヒド/ケトン8についてアミノエステル9による還元的アミノ化を行う。好ましい方法は、ジクロロエタンに溶解させたNaBH(OAc)3 (室温)である。驚くべきことに、4,5−シスイミダゾリジンアルデヒド類8の還元的アミノ化によって、4,5−トランスアミン類10が形成されることが発見された(約9:1トランス:シス)。還元的アミノ化反応がわずか数分間で完結することから、この異性化反応は急速である(アルデヒド8の場合よりかなり速い)。さらに、酸を厳しく排除しながらのアルデヒド8とアミン9との間のイミンの前形成(MeOH中、室温で2〜4時間)と、それに続く水素化ホウ素ナトリウムによる還元によって異性化反応を防止することで、シスアルデヒドからシスアミン10を得ることができることも発見された。この発見により、4,5−シスアルデヒド8を原料として、アミン10の4,5−シスジアステレオマーまたは4,5−トランス(シスとの比が9:1)ジアステレオマーを選択的に合成することができる。
【0073】
【化63】
Figure 0004801257
【0074】
理解しておくべき重要な点として、上記の方法によって、化合物8および6の16種類の相対的および絶対的ジアステレオマーすべて、ならびに化合物10の32種類のジアステレオマーすべての選択的合成が可能となる。これらジアステレオマーを選択的に合成する能力は、本発明のかなり重要な利点である。
【0075】
図式3に関しては、10の脱保護は、前述のような全体的な保護ストラテジーと一致する標準的方法によって行う。11から12への環化を行うには、多くのカップリング試薬が好適であり、代表的条件としては、THF、BOPもしくはHBTUまたはHATU、EtN(i−Pr)2 (DIEA)である。次に、イミダゾリジン基について、Z=Meの場合には水素化(MeOH、H2 −Pd/C)によって、Z=Hの場合には加水分解(H+ 、H2 O)によって脱保護を行う(前述のように)(他のZ基は、脱保護2級アミンのアシル化またはアルキル化によって導入することができる)。
【0076】
図式4に関しては、脱保護ならびに6bから13、14およびI(ii)への環化−標準的な脱保護およびカップリング(環化)法を用いる。他の変換は前述の通りである。
【0077】
図式5に関しては、前述のように、比較的立体障害の大きい(通常は2級)アミンへのカップリング反応では、カルピノらの報告に記載のような(Carpino et al.,1990;Wenschuh et al.,1994)酸フッ化物15などの特殊なカップリング条件を用いる必要がある場合が多い。保護基PgN ' およびPgC ' (16において)は代表的には、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)およびベンジルエステルであり、水素化によって同時に脱保護し(0.1M HClのEtOH溶液、H2 −Pd/C)、THFまたはDMF中でBOPカップリング試薬を用いて環化させ、次に前述の方法に従った水素化によって、イミダゾリジンをN−Meに変換する(脱保護)。
【0078】
図式6に関しては、前述のような標準的な脱保護/カップリング条件である。
図式7に関しては、R4 α−分岐アミノ酸側鎖(バリンなど)である場合、6aおよび20のカップリングには、前述のように、嵩高い側鎖基が存在する場合に立体障害カップリングに好適なHATUその他の系を使用する必要がある。21から19への変換における条件および保護基は、16の図式5のII(i)への変換の場合と同様である。
【0079】
図式8に関しては、アルケンのハイドロボレーションは当業界で公知である(例えば、ブラウンによる著作を参照(Brown,1975;Pelter et al.,1988))。得られたアルキルボランを酸化してアルコールを得ることができる(アルカリ性過酸化水素を用いて、あるいは好ましい実施態様では、トリメチルアミンオキサイドその他のアミンオキサイドを用いてホウ酸エステルを形成し、次の段階でエステル変換によってアルコールを遊離させる)(Soderquist and Najafi,1986)。別法として、酸性重クロム酸塩または好ましい実施態様では、重クロム酸ピリジニウム(PCC)でボランを処理することで、アルデヒドを得る(Brown et al.,1980;Brown et al.,1986)。そうして形成されたアルデヒドを、前述の方法によって還元的にアミノ化して、アミン9とすることができる。
【0080】
図式9〜11に関しては、前述の標準的な合成法である。
β湾曲模倣構造体(n=1、III(i〜iv))および比較的高いループ模倣構造体(n>1)の合成方法は、相当するβターン模倣構造体II(i〜iv)の合成方法に従う。適切な保護基を選択して、III(i)模倣構造体の合成について図式11に示したように、環化に先だって、追加の残基を系に付加することができる。
【0081】
図式12に関しては、例えばトリフェニルホスフィンおよびアゾジカルボン酸ジアルキル(ミツノブ(Mitsunobu)試薬)(Carlock and Mack,1978;Robinson,Barry et al.,1983)またはTsCl/NaOH/PhCH2 NEt3 + Cl-(Szeja,1985)などの多くの試薬を用いて、1,2−ジオール7からエポキシド29への変換(脱水)を行うことができる。エタノール溶液またはDMSO溶液中で加温することで、エポキシド29によるアミン9のアルキル化を行って、アミノアルコール30を得る。次に、グリフィスおよびレイの方法(Griffith and Ley,1990)によって、N−メチルモルホリン−N−オキサイドのCH2 Cl2 /アセトニトリル溶液とともにTRAP(過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム)を使用することで、アルコールを酸化してケトン32とすることができる。代表的にはPgN ' =CbzおよびPgC ' =O−ベンジルである32については、接触水素化条件(EtOH、H2 −Pd/C)を用いることで、両方の保護基を脱離させると、遊離アミンのケトンへの分子内還元的アミノ化が起こり、33が得られる。BOP試薬(または他の好適な条件)を用いるカップリングとそれに続く前述のようなイミダゾリジン基の脱保護によって、二環式模倣構造体IV(i)が得られる。温和な酸化試薬を用いて別途合成を行って、グリコールをカルボニル化合物に変換し、次に還元的アミノ化を行うことができる(Frigerio and Sangostino,1994)。
【0082】
図式13に関しては、IBXなどのある種の温和な試薬(Frigerio and Sangostino,1994)を使用することで、炭素−炭素結合の開裂を起こすことなく、1,2ジオールを酸化することができる。分子内還元的アミノ化によって35cから36への変換を進行させるか、あるいは別法として、図示しているように、35aを還元的にアミノ化して2bとすることができる。還元的アミノ化、カップリングおよび脱保護は、前述の方法に従って行う。
【0083】
二環式βターン模倣構造体系VおよびVIの合成は、R1 側鎖基がアスパラギン酸(V)またはグルタミン酸(VI)誘導体に由来する相当するγターン模倣構造体系Iから行う。
【0084】
【化64】
Figure 0004801257
【0085】
模倣構造体VおよびVIの合成は、アルデヒド成分1(図式1)を1dまたは1e(図式14)の形のものとし、R基およびPg基を上記で定義した通りとして、図式1に記載の方法に従って進行させる。この合成は、γターン模倣構造体系Iの合成に従い、図式15に示した方法によって完了させる。
【0086】
アルキル化アスパラギン酸誘導体およびグルタミン酸誘導体1dおよび1eの製造に関しては、当業界で公知の多くの方法によって、アルキル化誘導体39〜42を製造することができる。選択する方法を図式16および17にまとめてある。ラポポートおよびその共同研究者は、N−フェニルフルオレニル保護アスパラギン酸誘導体およびN−フェニルフルオレニルグルタミン酸誘導体の選択的アルキル化方法を開発している(Koskinen and Rapoport,1989;Wolf and Rapoport,1989)。サルジナらの総説およびそれに含まれる参考文献には、アルキル化アスパラギン酸誘導体およびアルキル化グルタミン酸誘導体の合成方法がいくつか記載されている(これらは引用によって本明細書に含まれるものとする)(Sardina and Rapoport,1996)。アルデヒド1の製造に関して前述した方法によって、誘導体39〜42をアルデヒド1dおよび1eに変換する。
【0087】
標準的な化学的方法、特にアルント−アイステルト(Arndt−Eistert)ホモロゲーション反応(Meier and Zeller,1975)およびカルボン酸からアルデヒドへの還元(Jurczak and Golebiowski,1989)、さらにはアミド−C(O)N(OMe)Meからのケトン−C(O)Rの合成(Nahm and Weinreb,1981)を用いることで、アスパラギン酸およびグルタミン酸、またはそれらのアルキル化誘導体を修飾するか、あるいはホモグルタミン酸などの合成アミノ酸の同様な誘導体を使用することで、−Q1 2 −(一般構造Xで)が環系の一部を形成している本発明の他の化合物を合成することができる。−Q1 2 −は、−CH2 CH2 CH(R)C(O)−(側鎖アルキル化ホモグルタミン酸から)、−CH(R)CH2 −(γ−カルボキシレートの還元と還元的アミノ化によって、アスパラギン酸から)、−CH2 CH(R)CH2 −(δ−カルボキシレートの還元と還元的アミノ化によって、グルタミン酸から)、−CH2 CH2 CH(R)CH2 −(ホモグルタミン酸から同様に)、−CH2 CH(R)−(還元的アミノ化によってアスパラギン酸側鎖ケトン−CH2 C(O)Rから)、−CH2 CH2 CH(R)−(還元的アミノ化によってグルタミン酸側鎖ケトンCH2 CH2 C(O)Rから)、−CH(R)CH2 C(O)−(アルキル化後側鎖ホモロゲーションしたアスパラギン酸)、−CH2 CH(R)CH2 C(O)−(アルキル化後側鎖ホモロゲーションしたグルタミン酸)、−CH(R)CH2 CH2 −または−CH2 CH(R)CH2 CH2 −(還元アルキル化後側鎖ホモロゲーションしたアスパラギン酸またはグルタミン酸の還元的アミノ化から)である。
【0088】
図式18に関しては、図式18に示したように、R1が水素であり、M、MおよびMも水素である場合には、中間体化合物10(または相当物)合成の別途手順を用いることができる。化合物49はある種のN保護基を有して市販されているか、あるいはN−保護グリシンをN,O−ジメチルヒドロキシルアミンとカップリングさせることで製造することができる。ラポポートらの一般法と同様にしてビニルマグネシウムブロマイドと反応させることで(Cupps et al.,1985;Boutin and Rapoport,1986)、α,β−不飽和ケトン50が生成する。アミノ酸エステル9の共役付加(0℃、THF)によってアミノケトン51が生成し、それを標準的な手順によってN保護することでケトン52を形成し、その後にアブデル−マギド(Abdel−Magid et al.,1996)らの報告に記載の条件下でのアミノ酸エステル9の還元的アミノ化を行って(NaBH(OAc)3、ジクロロエタン)、54を形成することができる。脱保護を行って55とし、カップリングを行うことで、図式に示したγターン模倣構造体I(i)a(R1=H)が得られる。別法として、アミノケトン51をアミノ酸フッ化物15でアシル化することで化合物53を得て、それを脱保護し、温和な酸条件下での水素化(H2/Pd−C、0.1M HClのEtOH溶液)によって環化(還元的アミノ化)することができる。この還元的アミノ化−環化はジアステレオマー選択的であり、模倣構造体I(i)aの1種類のジアステレオマーのみが53から形成され、その新たな立体中心での立体配置はR2立体中心によって制御された。それとは対照的に、還元的アミノ化によるアミン54の形成は相対的に低い選択性(約3:1)で進行し、R2が(S)の場合には、主ジアステレオマーは(R)配置を有する。これらの発見から、ターン模倣構造体合成における立体制御の機会がさらに得られる。図式18に示したように、化合物10(R1=H)合成の別法は、化合物54の脱保護とTHF中でのホルマリンとの反応である。
【0089】
合成実施例
実施例(A):一般的手順によるγターン模倣構造体I(i)の合成
エンケファリン類で認められる配列HTyr−Gly−Gly−Pheに対する模倣構造体を、Tyr−Gly−Glyトリペプチドに基づいたγターン模倣構造体を用いて合成した。同様の模倣構造体では、オピエート受容体で活性が示されている(Huffman,Callahan et al.,1988;Huffman et al.,1989)。
【0090】
その合成を以下の図式にまとめてある。
【0091】
【化65】
Figure 0004801257
【0092】
56の製造
室温でHBTU試薬(1当量)およびDIEA(2当量)を用いて、DMF/CH2 Cl2 (1:5)中、1当量のN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩とのカップリングによって、市販のBoc−チロシン(OBn)OHからアミド56を合成した。CH2 Cl2 を減圧下に留去し、残留物をジエチルエーテルとNaHCO3 水溶液との間で分配した。水層を分液し、次にエーテル相を1N HCl(2回)、NaHCO3 水溶液、ブラインの順で洗浄し、MgSO4 で脱水した。濾過および減圧下での溶媒除去によって、収率>90%で白色結晶固体として生成物アミド56を得た。酢酸エチル/石油エーテルを溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーまたはエーテルからの再結晶によってさらに精製を行った。
【0093】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ7.46−7.28,5H,m,OBn;7.08,2H,d,J=8.5Hz,TyrAr;6.90,2H,d,J=8.5Hz,Tyr Ar;5.15,bd,J=8Hz,NH;5.04,2H,s,)OCH2 Ph;4.91,1H,bm,Pheα;3.65,3H,s,OCH3 ;3.16,3H,bs,NCH3 ;3.00,1H,dd,J=6,13.5Hz,Pheβ;2.83,1H,dd,J=7,13.5Hz,Pheβ;1.40,9H,s,Boc;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ172.3;157.6,TyrAr−O;155.1,カーバメート;137.0,イプソ;130.4;128.8;128.5;127.8;127.4;114.7;79.5,tBoc;69.89,OCH2 Ph;61.43,Tyrα;51.55,OCH3 ;37.89,NCH3 ;32.00,Tyrβ;28.26,Boc。
【0094】
57の製造
以下に記載のように、フェーレンツおよびカストロ(Fehrentz and Castro,1983)の方法によってアルデヒド57を製造した。アミド56(4.2g)の脱水ジエチルエーテル(100mL)溶液を0℃まで冷却して撹拌しながら、それに水素化リチウムアルミニウム0.51gを加えた。10分後、NaHSO4 (1.5g)の水溶液(水30mL)を加えた。反応混合物を追加のエーテルで希釈し、1M HCl、飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。揮発分を減圧下に除去して、ロウ状固体を得た。それを冷エーテル/ヘキサンから再結晶して、57(2.6g、72%)を白色固体として得た。
【0095】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ9.62,1H,s,アルデヒド;7.50−7.25,5H,m,Ar(OBn);7.10,d,J=8Hz,Ar(Tyr);6.93,2H,d,J=8Hz,Ar(Tyr);5.10,1H,b,NH;5.05,2H,s,OCH2 Ph;4.39,1H,q,J=7Hz;Tyrα;3.06,2H,d(ABX),J=7Hz,Tyrβ;1.44,9H,s,Boc;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ199.6;157.8,TyrOAr;155.3,カーバメート;136.9,イプソ;130.3;128.5,127.9,127.4:ArCH;115.0,ArCHTyr;80.08,tBoc;69.69,OCH2 Ph;60.82,Tyrα;34.51,Tyrβ;28.22,Boc。
【0096】
58の製造
CH2 Cl2 (10mL)中、1当量のグリシンベンジルエステルとアルデヒド57(1.4g)との反応によって(室温で1時間撹拌)、イミン58を形成し、生成した水を硫酸マグネシウムで除去し、硫酸マグネシウムは濾去した。
【0097】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ7.68,1H,s,イミン;7.49−7.30,10H,Ar;7.15,2H,d,J=8Hz,TyrAr;6.92,2H,d,J=8Hz,TyrAr;5.67,1H,bd,J=6Hz,NH;5.20,2H,s,OCH2 Ph;5.05,2H,s,OCH2 Ph;4.51,1H,bm,Tyrα;(4.26,4.22),2H,AB,J=15.5Hz,Glyα;3.15,1H,bdd,J=5.0,13.5Hz,Tyrb;2.93,1H,dd,J=8.0,13.5Hz,Tyrb;1.48,9H,s,Boc;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ169.3;167.4,CHイミン;157.5;155.1;136.9,135.3:2個のイプソ;130.4,CHAr;128.8,Tyrイプソ;128.44,128.39,128.26,128.19,127.76,127.29,114.65:ArCH;79.22,tBoc;69.81,TyrOCH2 Ph;66.60,GlyOCH2 Ph;60.48,Tyrα;54.73,Glyα;37.97,Tyrβ;28.23,Boc。
【0098】
59の製造
乾燥窒素下に脱水ジエチルエーテル中、1当量の(+)DIP−Clにアリルマグネシウムブロマイドを加えることで、アリルボラン試薬d Ipc2 Bアリル(Rg1b)の0.5M溶液を調製した(Brown and Jadhav,1983)。イミン58のCH2 Cl2 溶液を乾燥窒素下に撹拌しながら−78℃まで冷却し、調製しておいたd Ipc2 Bアリル溶液1当量を加えた。混合物を徐々に昇温させて室温とした(終夜)。揮発分を減圧下に除去し、残留物をTHFに溶かし、氷酢酸1mLを加えた。混合物を終夜還流し、揮発分を減圧下に除去した。粗生成物をCH2 Cl2 /石油エーテルに溶かし、沈殿を濾去した。残留油状物について、溶離液を酢酸エチル/石油エーテルとするフラッシュシリカでのクロマトグラフィーを行って、59(1.3g、57に基づいた収率60%)を得た。
【0099】
TLC 1:2 EtOAc:石油エーテル、Rf =0.40;
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ7.48−7.30;10H,Ar;7.13,2H,d,J=8.5Hz,TyrAr;6.91,2H,d,J=8.5Hz,TyrAr;5.84,1H,m,ビニルCH;5.17,2H,s,TyrOCH2 Ph;5.16,2H,m,ビニルCH2 ;5.05,2H,s,GlyOCH2 Ph;4.90,1H,bd,J=8.5Hz,NHBoc;3.95,1H,bm,Tyrα;3.54,2H,s,Glyα;3.82,1H,dd,J=4.5,14.4Hz,Tyrβ;2.73,3H,be:NH(アミン),Tyrβ,CH(ホモアリル);2.28,2H,m,アリル;1.35,9H,Boc;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ172.1;157.3;155.6;137.1,135.4:イプソ;134.9,CHビニル;130.6,イプソTyr;130.0,128.5,128.4,128.3,127.8,127.3:ArCH;117.8,CH2ビニル;114.7,TyrArCH;79.05,tBoc;69.90,TyrOCH2 Ph;66.51,GlyOCH2 Ph;59.38,Tyrα;53.46,CH;49.28,Glyα;35.44:重複アリル炭素とTyrβ;28.20,Boc;
質量スペクトル(ISMS)m/z545.1(MH+ ),C32453 5 の計算値544。
【0100】
60の製造
アミン59(930mg、1.7mmol)を酢酸エチル(15mL)に溶かし、37%ホルムアルデヒド水溶液(1mL)を加えた。溶液を室温で1時間(または反応が完結するまで)よく撹拌し、エーテル(100mL)で希釈し、次にNaHCO3 水溶液、水(3回)、ブラインの順で洗浄し、脱水した(MgSO4 )。減圧下に溶媒を除去することで、ほぼ定量的収率の(950mg)の粗生成物60を得て、それを次の反応に用いたか、あるいは溶離液を10%から15%酢酸エチル/石油エーテルとするフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。TLC33%EtOAc:石油エーテル、Rf =0.56。NMRスペクトルはCDCl3 では非常に広く、約2:1の比でアミド回転異性体が存在した。
【0101】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ7.50−7.27,10H,m' s,Ar;7.09,2H,m,Ar;6.90,2H,d,J=8.5Hz,Ar;5.64,1H,bm,ビニルCH;5.19,2H,s,OCH2 Bn;約5.1,2H,m,ビニルCH2 ;5.05,2H,s,OCH2 Bn;4.59,1H,bm,環NCH2 N(a);4.17,1H,bm,環NCH2 N(b);4.06,1H,bm,Tyrα;3.70,1H,d,J=17Hz,Glyα(a);3.42,1H,bd,J=17Hz,Glyα(b);3.16,1H,bm,TyrC' H(環);2.84,2H,bm,Tyrβ;2.31,2H,m,アリルCH2 ;1.38,約3H,bs,Boc副回転異性体;1.19,約6H,s,Boc主回転異性体。
【0102】
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ(カーバメート回転異性体によるピークは括弧内に示し、主回転異性体を最初に示した)169.8(エステル);157.2(チロシンO−イプソ);(153.1,152.8)カーバメート;137.2(イプソ);135.4(イプソ);134.2(CHビニル);131.3(イプソ);130.5,128.5,128.4,128.3,127.8,127.4,127.3,126.9:ArCH;117.5(ビニルCH2 );114.7(2×TyrArCH);79.52(Boc3級);69.93(CH2 );66.95(CH2 );66.46(CH2 );64.27(CH);(59.65,58.76)(CH);51.60(CH2 );34.34(CH2 );(32.20,31.93)(CH2 );(27.93,28.25)(Boc3×CH3 );
質量スペクトル(ISMS)m/z557.1(MH+ ),C34 402 5 の計算値556;分画(OR60):501.1,(−tBu)。
【0103】
61の製造
60(220mg)に、N−メチルモルホリン−N−オキサイド(NMO)60mg、四酸化オスミウムの2.5重量%t−ブタノール溶液40mgおよび水0.5mLを加えた。反応が完結するまで(約24時間)、混合物を室温で撹拌した。10%NaHSO3 3mLを加え、溶液を10分間撹拌し、重炭酸ナトリウムで中和し、ブラインで希釈し、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた抽出液をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。減圧下に揮発分を除去して、粗ジオールを良好な収率で油状物として得た。それを次の反応に使用することができたか、あるいは必要に応じて、溶離液を酢酸エチルとするシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。質量スペクトル(ISMS)m/z591.(MH+ )、C34422 7 の計算値590。
【0104】
Pb(OAc)4 を用いたジオールの酸化:前記ジオール(100mg、0.17mmol)を脱水ベンゼン(4mL)に溶かし、Pb(OAc)4 (85mg、酢酸で湿らせたもの)を加えた。室温で10分間撹拌後、反応液を濾過し、溶媒を減圧下に除去し、残留物について、25%EtOAc/石油エーテルを溶離液とするフラッシュクロマトグラフィー精製を行った。アルデヒド61の収率は32%(30mg)であった。(収率至適化の努力は行わなかった。例えば、塩基水溶液とEtOAcとの間で粗反応混合物を分配して、不溶塩の濾過の際にアミン生成物で失われるものがないようにすることで、収率を向上させることができると考えられる)。TLC50%EtOAc/石油エーテルRf =0.51。NMR分析(NOESY実験)では、4,5−トランス環配置が示された(すなわち、4(S)異性体)。
【0105】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ9.52,1H,t,J=1.5Hz,アルデヒド;7.50−7.25,10H,m,ArH;6.92,2H,d,J=9Hz,TyrAr;5.15,2H,s,OCH2 Ph;5.05,2H,s,OCH2 Ph;4.65,1H,bm,環CH2 (i);3.88,1H,bm,Tyrα;3.80,1H,bm,環CH2 (ii);3.45,1H,d,J=16Hz,Glyα;3.44,1H,m,環CH(βアルデヒド);3.28,bd,J=16Hz,Glyα;3.17,1H,bm,Tyrβ;2.80,1H,dd,J=9.0,13.5Hz,Tyrβ;2.51,1H,J=6,17Hz,αアルデヒド;2.28,1H,dd,J=17,4.5Hz,αアルデヒド;1.50,9H,Boc;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ),(回転異性体):δ200.5;169.9;157.5;153.1;136.9;135.3;130.5,129.6,128.6,128.5,128.4,127.6,127.4,115.0:Ar;80.21,tBoc;69.92,OCH2 Ph;(67.08,66.86)br,CH2 ;66.58,OCH2 Ph;(62.93,62.56)br,CH;(61.35,60.72)br,CH;52.14,CH2 ;46.36,CH2 ;(38.5,37.27)br,CH2 ;28.38,Boc.
質量スペクトル(ISMS)m/z559.1(MH+ ),C33382 6 の計算値558。
【0106】
62および63の製造
アルデヒド61(30mg、50μmol)を1,2−ジクロロエタン(5mL)に溶かし、グリシンメチルエステル塩酸塩(50mg)およびNaBH(OAc)3 (50mg)を加えた。反応液を室温で撹拌したところ、反応は数分で完結した(<15分)。反応液を酢酸エチルで希釈し、次にNaHCO3 水溶液、水、ブラインの順で洗浄し、脱水した(MgSO4 )。溶媒を留去して、粗生成物62を透明油状物として得た。TLC1:1EtOAc:石油エーテルRf =0.17。質量スペクトル(ISMS)m/z632.3(M+ H+ ),C32453 5 の計算値631。生成物または終夜放置後の反応混合物の分析から、目的の環化物63(MH+ =524Da)に相当する質量スペクトルを有する新たな生成物が生成していることが明らかになった。そこで、アミン生成物62は単離せずに、直接63に変換した。塩基(i−Pr2 NEt)を加えることで、自然環化を促進させた。溶媒を減圧下で留去した後、生成物について溶離液を20%EtOAc/石油エーテルとするフラッシュクロマトグラフィー精製を行った。TLC1:1EtOAc:石油エーテルRf =0.51。
【0107】
1 H NMR(300MHz,CD3 CN):δ7.47−7.29,5H,m,ArH;7.12,2H,m,Tyr;6.92,2H,m,Tyr;5.07,2H,s,OC 2 Ph;4.35,1H,d,J=5.4Hz;ABq υ a =4.05,υ b =4.02,JAB=17.4Hz;3.70−3.52,6H,重複シグナル(3.65,3H,s;3.58,1H,dd,J=11.2,15.2Hzを含む);3.49−3.32,2H,brm' s;3.15,1H,brdd,J=5.5,15.5Hz;2.99,1H,brdd,J=13.4,14.9Hz;2.80,1H,vbrm;2.68,1H,vbrm;1.64,1H,m;1.46,10H,s+ m,Boc共鳴によって多重線が不明瞭;
13C NMR(75MHz,CD3 CN),比率約3:2での回転異性体、一部のピークは分裂しており、それは括弧内に示してある:δ173.3;171.5;158.8;155.0,br;138.9;132.0;129.9;129.2;129.0;116.1;80.84;71.01;(70.87,69.99);(68.12,67.45);(65.47,64.89);55.76;52.93;51.45;49.95;(39.00,37.53);31.87;28.97(Boc);
質量スペクトル(ISMS)m/z524.3(M+ H+ ),C29373 6 の計算値523。
【0108】
化合物64〜66の製造
生成物63をLiOH/H2 O/MeOHで加水分解して酸64とし(質量スペクトルMH+ =510)、標準的な手順および後処理を行って、フェネチルアミンとカップリングさせて(DMF/CH2 Cl2 /HBTU/DIEA)65を得た。65のイミダゾリジン環を、酢酸−メタノール−水溶液で脱保護して(約1:1:1、数日間にわたって非常に薄い溶液として撹拌してから、凍結乾燥)、粗66を白色非晶質固体として得た。質量スペクトル(ISMS)m/z601(M+ H+ ),C35444 6 の計算値600。
【0109】
実施例(B):ジオールの酸化による(4,5)−シスイミダゾリジンアルデヒドの合成
【0110】
【化66】
Figure 0004801257
【0111】
4,5−シスアルデヒド68(この場合、4(R)異性体)の製造では、アルケン60から製造したジオール67(前述の方法に従って)(1mmol)をTHF(10mL)に溶かし、H5 IO6 (1mmol)のTHF(約20mL)溶液を加え、反応液を室温で撹拌した。ヨウ素酸の沈殿が急速に生成し、反応は<5分で完結した。THF溶液をエーテルで希釈し、次に10%Na2 CO3 水溶液、水、ブラインの順で洗浄し、脱水した(MgSO4 )。生成物のアルデヒド68が高収率および高純度で形成された。酸との接触を最小限として、トランスアルデヒドへの異性化および/または分解を防止しなければならない。例えば、酸除去を行って間もないものでない限り、NMR溶媒としてのクロロホルム使用を回避する。収率は60〜80%であった。TLC50%EtOAc/石油エーテルRf =約0.5。
【0112】
1 H NMR(300MHz,CD3 CN):δ(中等度に広いピーク;Bocピークは非対称で非常に広かったが、Boc回転異性体は分割しなかった)9.48,1H,bm,アルデヒド;7.5−7.3,10H,m,2個のBn;7.09,2H,bd,J=7.5Hz,TyrAr;6.88,d,8.2Hz,TyrAr;5.13,s,2H,OCH2 Ph;5.05,s,2H,OCH2 Ph;4.38,1H,d,6.0Hz,NCH2 N(a);4.22,1H,m,Tyrα;4.02,1H,br,NCH2 N(b);3.56,1H,bd,J=17.2Hz,Glyα(a);3.48,1H,m,TyrC' H;3.29,1H,bd,J=17.2Hz,Glyα(b);2.57−2.88,4H,e,Tyrβ,CH2 およびα−アルデヒドCH2 ;2.22,s,H2 O;1.48−1.08(1.20ピーク),9H,vbr,Boc3個のCH3 .;
13C NMR(75MHz,CD3 CN):δ201.9;171.4;158.7;154.3;139.0;137.6;132.6;131.9,129.92,129.85,129.6,129.2,128.9,116.0:ArCH;80.41(Boctert.);70.99(CH2 );67.62(br,CH2 );67.44(br,CH2 );60.29(2個のCH,相対強度によって決定される重複ピーク);52.99(br,CH2 );43.58(br,CH2 );35.94(br,CH2 );28.78(br,Boc3個のCH3 )。
【0113】
実施例(C):短い方法によるGly−Phe−Leu配列のγターン模倣構造体I(i)の合成(R1 =水素の場合に使用することができる)
【0114】
【化67】
Figure 0004801257
【0115】
69の製造
室温でHBTU試薬(1当量)およびDIEA(2当量)を用いて、DMF/CH2 Cl2 (1:5)中、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩とBoc−グリシンとをカップリングさせた。CH2 Cl2 を減圧下に留去し、残留物をジエチルエーテルとNaHCO3 水溶液との間で分配した。水層を分液し、エーテル層を1M HCl(2回)、NaHCO3 水溶液、ブラインの順で洗浄し、MgSO4 で脱水した。濾過および減圧下での溶媒除去によって、生成物アミド69を粘稠油状物として得た。それは徐々に結晶化したロウ状固体となり、シリカゲルでのクロマトグラフィーによってさらに精製した。収率は>90%であった。
【0116】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ5.3,1H,bs,NH;4.09,2H,bd,α2 ;3.72,3H,s,OCH3 ;3.20,3H,s,NCH3 ;1.46,9H,s,Boc.
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ79.6;61.4;41.7;32.4;28.3。
【0117】
70の製造
250mL丸底フラスコに窒素下で入ったBoc−グリシンN,O−ジメチルヒドロキシルアミン11.6g(53mmol)の脱水THF(70mL)溶液を氷浴で撹拌・冷却した。それに、ビニルマグネシウムブロマイドのTHF溶液(1M溶液約120mmol)を注射器によって10分間かけて加えた。溶液を2時間撹拌し、砕いた氷と1M HClの混合物に投入することで反応停止し、それをCH2 Cl2 によって抽出した(2回)。有機抽出液を水/ブライン(2回)、NaHCO3 水溶液、水/ブラインで洗浄し、次にMgSO4 で脱水した。溶媒留去によって可動性の油状物9.6g(粗収率98%)を得た。それはNMRにより、約95%のケトン生成物70であった。その取得物をそれ以上精製せずに、共役付加段階に用いた。
【0118】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ6.37,2H,m(ABX,Jab=2.5Hz,Jax/bx =9.0,17.5Hz),ビニルCH2 ;5.95,1H,dd,J=2.5,9.0Hz,ビニルCH;5.37,1H,bs,NH;4.26,2H,d,J=4.6Hz,グリシルα2 ;1.46,9H,s,Boc;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ194.9ケトン;155.8カーバメート;133.6ビニル;129.6ビニル;79.8tBoc;48.32Glyα;28.28Boc。
【0119】
71の製造
粗70(3.0g、約15mmol)のTHF(40mL)溶液に、ロイシンメチルエステル塩酸塩3.4g(約1.2当量)およびジイソプロピルエチルアミン2.4g(1.2当量)を加えた。2時間後、反応液をエーテル(200mL)で希釈し、冷1M HClで抽出した(50mLで3回)(このエーテル層は廃棄)。水層抽出液を直ちに固体NaHCO3 を用いて中和し、その溶液をエーテルで逆抽出し、エーテルを水(3回)そして最後にブラインで洗浄し、MgSO4 で脱水した。溶媒留去によって、生成物71(約5.3g)を非常に良好な収率で、少量のロイシンメチルエステルを不純物として含む油状物として得た。アミンとアミノケトンとが同時に溶出する傾向があったために、フラッシュクロマトグラフィーによる生成物分離はあまり奏功しなかった。TLC EA/LP Rf =0.35。
【0120】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ5.36,1H,bm,NHBoc;4.03,2H,d,J=5Hz,Glyα;3.72,3H,s,OCH3 ;3.26,1H,t,7.5Hz,Leuα;2.93,1H,dt,J=12,6Hz;2.72,1H,dt,J=12,6Hz;2.50,2H,m;2.0,1H,bs,NH;1.69,1H,m,Leuγ;1.45,11H,m,Boc(9H)およびLeuβ(2H);0.90,6H,m,Leuδ
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ205.1;176.1;155.5:79.8tBoc;60.04;51.64;50.53;42.63;42.57;40.55;28.26Boc;24.81;22.63;22.17;
質量スペクトル(ISMS)m/z331.4(M+ H+ ),C16 302 5 の計算値330;フラグメント(OR60):275.2(−tBu)。
【0121】
72の製造
以下に記載のような標準的手順によって、アミン71をベンジルカーバメートとして保護した。粗アミン生成物71(1.68g、約5mmol)を酢酸エチル(30mL)に溶かし、それにKHCO3 (1.2g)の水溶液(水15mL)を加えた。この混合物をよく撹拌し、氷浴で冷却し、それにクロロギ酸ベンジル(95%溶液780uL、5.2mmol)を5分間かけて滴下した。反応液をさらに15分間撹拌し、昇温させて室温とし、さらに2時間撹拌した。その後、混合物をエーテル(100mL)で希釈し、水層を分液し、有機層を1M HCl、NaHCO3 水溶液、ブラインで洗浄し、MgSO4 で脱水した。溶媒留去によって、粗油状物約2.6gを得て、それについて溶離液として25%EtOAc/石油エーテルを用いるフラッシュクロマトグラフィー精製を行った。主要分画を混合して、収率86%で72を得た(2.02g)。TLC EA:2LP Rf =0.56。アミド回転異性体(約1:1)のために分裂しているNMRシグナルは、可能な場合は括弧内に示した。
【0122】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ7.40−7.23,5H,Ar;5.28−5.02,3H,m' s,CH2 Ph+ NH;(4.64,m,4.43,m)1H;(3.98,bs,3.88,bs)2H;3.72−3.51,4H,(3.67,s,3.55,s)OCH3 + 1Hを含む;3.45,1H,m;2.78,2H,m;1.75,2H,m;1.53,1H,m;1.43,9H,s,Boc;0.91,6H,m,Leuδ CH3 ×2;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ(204.9,204.5)ケトン;(172.5,172.3)エステル;(156.1,155.8)カーバメート;155.6,カーバメート;(136.2,136.0)イプソ;128.5,128.2,128.1,128.0:ArCH;79.80,tBoc;67.48;(58.50,58.32);52.12;50.30;(41.37,39.87,39.78,38.87,38.60,37.98)3C;28.23,Boc;(24.83,24.67);23.09;(21.46,21.39);
質量スペクトル(ISMS)m/z465.3(MH+ ),C24362 7 の計算値464;フラグメント(OR70):409.2,(−tBu);365.2,(−Boc)。
【0123】
アミン73の製造
72(700mg、1.5mmol)の1,2−ジクロロエタン(15mL)溶液に、フェニルアラニンベンジルエステルp−トルエンスルホン酸塩(900mg、2.1mmol)および水素化ホウ素トリアセトキシナトリウム(850mg、4.0mmol)を加えた。混合物を室温で24時間撹拌し、溶媒を減圧下に除去し、残留物を酢酸エチルとNaHCO3 水溶液との間で分配し、水層を分液し、有機相を水と次にブラインで洗浄し、MgSO4 で脱水した。溶媒留去によって粗油状物1.2gを得て、それについて溶離液を25%から40%EtOAc/石油エーテルとするフラッシュクロマトグラフィー精製を行って、生成物を収率76%(800mg)で得た。生成物である複数のジアステレオマー73はこのクロマトグラフィー条件では分離しなかった。TLC 40%EA/LP Rf =0.48。
【0124】
1 H NMR(300MHz,CD3 CN):δ(回転異性体/ジアステレオマーが存在するために、あまり有用なデータではない)7.45−7.05芳香族プロトン;(5.46m,5.31m)約1/2H;5.15−5.00,約4H,m,OCH2 Ph;4.95,約1/4H,m;(4.51,m,4.37,m):1H;3.85−3.10,約5H,e(3.63,s,3.58,s:3H,OCH3 を含む);3.10−2.70,5H,e;2.45水の広いピーク;1.80−1.45,5H,m' s;1.40,9H,s,Boc;0.90,6H,bs,Leuδ
13C NMR(75MHz,CD3 CN):δ(異なるジアステレオマー/回転異性体において、妥当な形で等価な炭素に割り当てることができる場合、シグナルは括弧内に入れてある)(175.6,175.4(br));173.6;157.4,157.2(br);(139.0,139.2,138.5,138.3,137.3)3×イプソ;130.8,130.7,129.9,129.71,129.66,129.3,129.0,128.0:ArCH;(79.87,79.62)Boctert;68.22(CH2 ,OBn);67.75(CH2 ,OBn);(61.67,61.55)(CH);59.39(CH);(56.51,55.82,55.61)(CH);53.11(OCH3 );(45.56,45.16,44.73,44.61,44.43,44.24,43.42,43.04)(2×CH2 );(40.77,40.15,40.03,39.42,39.27)(2×CH2 );(39.66,32.60,32.45,31.44)(CH2 );29.04(CH3 Boc);29.93(CH);23.88(CH2 );22.36(CH2 );
質量スペクトル(ISMS)m/z704.4(M+ H+ ),C4053 3 8 の計算値703。
【0125】
74および75の製造
【0126】
【化68】
Figure 0004801257
【0127】
エピマーアミン混合物73(260mg、0.4mmol)をメタノール(20mL)に溶かし、10%パラジウム/炭素を加えた(100mg)。溶液を室温で3時間水素化して(約0.28MPa(40psi)H2 )、脱保護アミノ酸(MH+ =480Da)を得た。濾過後、溶媒を除去し、残留物をDMF(5mL)に溶かし、CH2 Cl2 (50mL)で希釈した。その溶液に、HBTU(180mg、0.48mmol)およびDIEA(150mg、1.2mmol)を加えた。室温で10分間撹拌後、溶液をNaHCO3 水溶液で希釈し、水層を分液し、有機層を水(3回)および次にブラインで洗浄し、MgSO4 で脱水した。溶媒を留去することで油状物を得て、それについて溶離液を20%から40%EtOAc/石油エーテルとするフラッシュクロマトグラフィー精製した。生成物のジアステレオマー混合物はこの条件下で分離可能であり、最初に少量成分のジアステレオマー75が収率18%(30mg)で溶出し、次に主成分のジアステレオマー74が収率50%(85mg)で溶出した。TLC EA:LP 1:1 Rf =0.43、0.29。
【0128】
1 H NMR(300MHz,CD3 CN):δ異性体75:7.29,4H,m,ArH;7.22,1H,m,ArH;5.17,1H,dd,J=6.5,8.4Hz;5.08,1H,m;3.65,3H,s,OCH3 ;3.61,1H,dd,J=11.4,15.6Hz;3.27,1H,ddd,J=1.5,5.7,15.9Hz;3.12,1H,dd,.J=4.5,14.3Hz;2.98,1H,bm;2.72,1H,m;2.64,1H,dd,J=9.9,14.3Hz;2.57,1H,bm;(2.17,H2 O);1.68,3H,m;1.60,1H,m,Leuγ;1.36,9H,s,Boc;1.16,1H,m;0.95,3H,d,J=6.4Hz,Leuδ;0.93,3H,d,J=6.6Hz;異性体74:7.29,4H,m,ArH;7.22,1H,m,ArH;5.11,1H,dd,J=5.6,9.4Hz;4.29,1H,br,NHBoc;3.81,1H,dd,J=4.6,9.8Hz;3.65,3H,s,OCH3 ;3.59,1H,dd,J=10.8,15.2Hz;3.19,1H,dd,J=5.5,15.2Hz;3.13,1H,dd,J=4.5,13.8Hz;2.94,2H,m' s;2.71,1H,m;2.64,1H,dd,J=10.3,13.3Hz;(2.17,H2 O);1.76,1H,m;1.69,2H,m;1.57,2H,m;1.36,9H,s,Boc;0.93,6H,d,J=6.5Hz;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ異性体75(5S):175.2;172.5;155.9;138.9;129.3;128.5;126.4;79.2;60.91;60.62;55.65;52.19;45.70;43.98;38.12;37.99;33.46;28.30,Boc;25.01;23.10; 21.93。異性体75(5R):175.1;172.5;155.7;139.3;129.3;128.7;126.8;78.9;56.01;55.80;53.05;52.14;42.07;40.70;38.01;37.98;31.51;28.26,Boc;25.03;23.11,21.74;
質量スペクトル(ISMS)m/z462.3(MH+ ),C3245 3 5 の計算値461,フラグメント(OR70):406.2(−tBu)。
【0129】
実施例(D):短い方法による3(S),5(S)ジアステレオマー75の選択的合成
上記の方法に従って形成される少量(副)生成物である3(S)5(S)ジアステレオマーは、以下に記載の分子内還元的アミノ化−環化を用いることで選択的に合成することができる。
【0130】
【化69】
Figure 0004801257
【0131】
76の製造
以下のようにして、一般的文献法(Carpino et al.,1990;Wenschuh et al.,1994)によって、Z−フェニルアラニン酸フッ化物を製造した。ジエチルアミノ硫黄三フッ化物(DAST)1.1当量を、窒素下に0℃でZPheOHの脱水塩化メチレン溶液に加えた。15分間撹拌後、氷水に投入することで反応停止し、有機層を分液し、冷水で1回洗浄し、MgSO4 で脱水した。生成物を、エーテル/石油エーテルから沈殿させることで精製し、真空乾燥した。
【0132】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ7.36,8H,m' s;7.28,2H,m;5.30,1H,bd;J=7.5Hz,NH;5.13,2H,s,OCH2 Ph;4.85,1H,m,αH;3.20,2H,m,β2
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ161.8,d,1 CF=370Hz;155.5;135.7;134.2;129.1;129.0;128.5;128.3;128.1;127.7;67.36;53.50,d,2 CF=59Hz;36.70。
【0133】
77の製造
アミン71(2.7g、8.2mmol)のCH2 Cl2 (40mL)溶液に、Z−フェニルアラニン酸フッ化物76(前述の方法に従って製造)(3.0g、10mmol)およびDIEA(1.3g、10mmol)を加え、溶液を窒素下に室温で30時間撹拌した。溶媒を減圧下に留去し、残留物をエーテルに溶かし、次に1M HCl(2回)、10%Na2 CO3 水溶液(2回)、そしてブラインの順で洗浄し、MgSO4 で脱水した。溶液を濾過し、溶媒を減圧下に除去した。得られた油状物について、溶離液を20%から40%酢酸エチル/石油エーテルとするフラッシュクロマトグラフィー精製して、目的物77を収率約80%で透明油状物として得た。TLC 40%EA:LP Rf =0.40。
【0134】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ7.41−7.13,10H,Ar;5.48,1H,bd,J=9.2Hz,NHCbz;5.19,1H,bm,NHBoc;5.09,2H,s,OCH2 Ph;4.76,1H,dt,J=6.4,8.9Hz,Pheα;4.38,1H,dd,J=5.2,9.3Hz,Leuα;3.92,2H,d,J=4.5Hz,Glyα;3.60,3H,s,OCH3 ;3.54,1H,m;3.38,1H,m;3.08,1H,dd,J=8.4,13.3Hz;2.93,1H,dd,J=6.1,13.1Hz;2.65,2H,m;2.80,1H,m;2.64,1H,m;1.46,9H,s,Boc;約1.38,1H,m;0.90,6H,2個のd,J=6.6,6.5,Leuδ
13C NMR(75MHz,CDCl3 )アミド回転異性体(約5:1):回転異性体ピーク対の主要ピークのみ記載;δ204.1;172.1;171.4;156.7;155.6;136.2;135.8;129.4−127.1:ArCH;79.8;66.52;58.15;52.25;52.05;50.28;41.32;39.58(相対強度、シフトおよび両方の少量成分回転異性体ピークの存在によって決定した2個の重複シグナル);37.82;28.23,Boc;24.67;23.08;21.67;
質量スペクトル(ISMS)m/z612.3(M+ H+ ),C33453 8 の計算値611;フラグメント(OR60):556.3(−tBu);512.3(−Boc)。
【0135】
75〜77の選択的製造
ケトン77(1mmol)を0.1Mメタノール性HCl(30mL)に溶かし、10%パラジウム/活性炭(200mg)を加えた。溶液を約0.21MPa(30psi)H2 (室温)で8時間水素化し、次にNaHCO3 水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水(2回)および次にブラインで洗浄し、MgSO4 で脱水した。濾過および減圧下での溶媒除去によって粗生成物75を良好な収率および純度で得た。NMRおよびTLCによる粗生成物の分析では、ジアステレオマー74は認められなかった。反応は>95%立体選択的であると推定された。
【0136】
実施例(E):Arg−Gly−Asp配列の生理活性γターン模倣構造体の合成
【0137】
【化70】
Figure 0004801257
【0138】
78の製造
αβ−不飽和ケトン70(1.0g、5.4mmol、前述の方法に従って製造)をTHF中、フェネチルアミン塩酸塩(1.07g、6.8mmol)およびDIEAと反応させた。粗生成物78をそれ以上精製せずに次の反応に用いた。質量スペクトル(ISMS)m/z307.2(MW),C17 2 6 2 3 の計算値306;フラグメント(OR60):250.9(−tBu)。
【0139】
79の製造
Boc−アスパラギン酸β−ベンジルエステル(3.23g、10mmol)のCH2 Cl2 (10mL)溶液を撹拌しながら、それにジシクロヘキシルカルボジイミド(0.5MCH2 Cl2 溶液10mL)を室温で加えた。ただちに、ジシクロヘキシル尿素の沈殿が多量に生成した。10分後、溶液を濾過し、溶媒を減圧下に除去した。残留油状物を粗78(1.3g)のTHF溶液に加え、次にDIEA(645mg、5mmol)を加え、溶液を4時間撹拌した。反応混合物をエーテル/酢酸エチルで希釈し、1M HCl、NaHCO3 水溶液、水、ブラインで洗浄し、MgSO4 で脱水した。粗生成物について、溶離液を30%から50%エチルエーテル/石油エーテルとするフラッシュクロマトグラフィー精製を行って、79を妥当な収率で(78に基づいて80%と推算される)透明油状物として得た。
【0140】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ,アミド回転異性体が存在):δ7.38−7.16,10H,m,Ar;5.37,1H,bd,J=9Hz,AspNHBoc(副回転異性体5.33,J=10Hz);5.25,m,1H(GlyNH);5.10,2H,m,OCH2 Ph;4.89,1H,m;3.93,2H,d,J=4.4Hz,Glyα;3.67−3.53,3H,m' s;3.47,1H,m;2.95−2.52,6H,m' s(2.88,2H,m;2.63,2H,ABX,J=15.8,7.3,5.8Hz,β2 Aspを含む);1.44,18H,複数の1重線2個のBoc;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ(主回転異性体のみ)204.7;171.0;170.3;155.6;154.8;137.7;135.5;128.9,128.6,128.5,128.2,126.6:ArCH;80.06;79.73(2個のtBoc);66.57;50.55;50.33;46.99;42.24;37.69(2個のシグナル);35.50;28.22(2個のBoc);
質量スペクトル(ISMS)m/z612.3(MH+ ),C33453 8 の計算値611;フラグメント(OR60):556.1(−tBu);512.1(−Boc)。
【0141】
80の製造
ケトン79(390mg、0.64mmol)のCH2 Cl2 (2mL)溶液をトリフルオロ酢酸(2mL)で処理し、溶液を室温で30分間撹拌した。揮発分を減圧下に除去し、CH2 Cl2 (3mL)を加え、減圧下に除去した(2回)。残留油状物を1,2−ジクロロエタン(5mL)に溶かし、NaBH(OAc)3 (270mg、1.3mmol)を加えた。混合物を20分間撹拌し、溶媒を除去し、残留物を酢酸エチルに溶かし、Na2 CO3 水溶液と次にブラインで洗浄し、MgSO4 で脱水した。粗生成物80(溶媒除去後210mg、84%)はMSおよびNMRで良好な収率であり、1種類のジアステレオマーのみが認められた(>95%ジアステレオマー選択性)。
【0142】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ7.39−7.10,10H,m,Ar;{5.20,5.16,5.14,5.10},2H,AB,J=12.5Hz)OCH2 Ph;3.86,1H,t,J=6.3;3.76−3.43,3H,m' s;3.14,1H,bdd,J=15,5Hz;2.98−2.76,5H,e;2.70,1H,dd,J=7.4,16Hz;2.46,1H,m;1.64,1H,bm;1.06,1Hbm;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ173.9;172.0;138.9;135.9;128.7,128.4,128.0,126.3:Ar;66.16;60.49;56.55;51.24;48.39;45.14;38.05;34.15;33.01;
質量スペクトル(ISMS)m/z396.2(MH+ ),C23293 3 の計算値395。
【0143】
81の製造
DMF/CH2 Cl2 (5mL)中、BOP試薬(188mg)およびDIEA(55mg)を用いて、粗アミン生成物80(140mg、約0.35mmol)をBocArg(Tos)OH(182mg、1.2当量)とカップリングさせた。CH2 Cl2 を減圧下に留去し、残留物をジエチルエーテル/酢酸エチルとNaHCO3 水溶液との間で分配した。水層を分液し、有機層を1M HCl(2回)、水(2回)、NaHCO3 水溶液、ブラインの順で洗浄し、MgSO4 で脱水した。濾過および減圧下での溶媒除去によって粗生成物アミド81を得た。それについて溶離液を5%から10%エタノール/酢酸エチルとするフラッシュクロマトグラフィー精製を行った(収量260mg、90%)。TLC 10%EtOH/EtOAc Rf =0.38。
【0144】
1 H NMR(300MHz,CD3 OD):δ7.74,2H,d,J=7Hz;7.4−7.15,12H,m' s;5.15,2Habq,J=11Hz,OBn;4.26,1H,m;4.03,1H,m;3.73,2H,m;3.48−3.07,7H,e;3.07,1H,m;2.92−2.73,3H,m' s;1.92,1H,m;1.73,1H,m;1.66−1.45,4H,e;1.42,9H,s,Boc;
13C NMR(75MHz,CD3 OD):δ176.1;172.5;172.0(br);158.8;158.1;143.7;142.2;140.3;137.5;130.4;130.1;129.72;129.68;129.4;128.4;127.6;127.3;127.2;80.92(t);67.75(CH2 );62.55(CH);57.27(CH);56.00(CH);52.55(CH2 );48.74(CH2 );44.42(CH2 );41.22(br,CH2 );37.00(CH2 );35.10(CH2 );32.41(CH2 );30.15(CH2 );28.87(BocCH3 );27.24(br,CH2 );21.57(CH3 );
質量スペクトル(ISMS)m/z806.4(MH+ ),C41557 8 Sの計算値805。
【0145】
82の製造
アミン81(50mg、0.06mmol)のTHF(0.6mL)溶液をドライアイス−アセトン浴で冷却し、アンモニア約30mLが凝縮されるまでアンモニアガスを吹き込んだ。金属ナトリウムの小片数個(3〜6mg)を、青色が維持されるまで加えた。炭酸アンモニウム(25mg)を加えることで反応停止し、ドライアイス浴を外し、溶媒を室温で蒸発させた。残留物(粗質量スペクトルを得たところ、生成物の質量が唯一の大きいピークであった)を、85%溶媒A(=0.1%CF3 COOH/H2 O):15%溶媒B(=0.1%CF3 COOHおよび約10%H2 O/CH3 CN)を2分間とそれに続いて2%/分の勾配を用いる溶離液での逆相HPLC(Vydac C18)によって精製した。質量スペクトル(ISMS)m/z562.3(M+ H+ ),C27437 6 の計算値。
【0146】
83の製造
アミン81をCH2 Cl2 /CF3 COOH(2mL、1:1)に溶かし、室温で30分間撹拌し、その後Boc基を脱離させた。次に、CH2 Cl2 10mLを加え、揮発分を減圧下に除去した(1回繰り返し)。残留物を再度CH2 Cl2 に溶かし、無水酢酸(2当量)をジイソプロピルエチルアミン(DIEA、5当量)とともに加え、反応液を室温で2時間撹拌した。揮発分を減圧下に除去し、残留物を酢酸エチルに溶かし、NaHCO3 水溶液と次にブラインで洗浄し、MgSO4 で脱水した。濾過および減圧下での溶媒除去によって、粗生成物83を妥当な純度で油状物として得た。1 H NMRは、室温での通常の溶媒ではひどく広がったものであった。
【0147】
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ173.7;172.4;171.9;171.0;157.0;142.1;140.4;138.8;135.8;129.2,128.7,128.4,128.1,128.0,126.3,125.8:ArCH;66.22,OCH2 Ph;60.08,CH;56.09,CH;52.94,br,CH;51.06,CH2 ;48.21,CH2 ;44.31,CH2 ;40.13,br,CH2 ;37.79,CH2 ;34.16,CH2 ;32.97,CH2 ;(29.59,29.50)1C,br,CH2 ;25.64,br,CH2 ;22.91,CH3 ;21.32,CH3
質量スペクトル(ISMS)m/z748.2(MH+ ),C37497 7 Sの計算値は747。
【0148】
84の製造
上記の82の製造について記載した方法に従って、金属還元剤を溶かすことで、83から化合物84を製造した。82の場合と同じ条件下でのHPLCによって、精製を行った。
【0149】
ヒト血小板に富んだ血漿(PRP)における血小板凝集阻害についてのArg−Gly−Asp模倣構造体82および84の試験
ペプチド配列アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)は、血小板表面で認められるGPIIb-IIIa受容体などのある種のインテグリン受容体に対するタンパク質の結合にとって重要である。RGD配列を有するいくつかの環状ペプチドは、GPIIb-IIIa受容体への血漿タンパク質の結合に拮抗することで、血液凝固を阻害することが認められている。GPIIb-IIIa拮抗薬は、抗血栓薬としての可能性を有する治療薬であり、いくつかが初期の臨床試験段階にある(Humphries, Doyle et al.,1994)。Asp残基を中心とするδターン構造に基づいた模倣構造体が奏功しており、その構造を選択して、本発明の化合物の試験を行った。
【0150】
被験化合物の溶液を水溶液で調製した。ヒトPRP中でアデノシン二リン酸(ADP、10μM)によって誘発される血小板凝集を、血小板凝集計で測定される凝集時の光散乱減少によって測定した。テトラペプチドAc−Arg−Gly−Asp−Ser−NH2 を陽性対照として用いた(Callahan et al.,1992)。化合物82および84はいずれも、用量依存的に血小板凝集を阻害することが認められ、いずれも対照ペプチドより強力な阻害を示した。化合物84が最も強く、試験条件下では、Ac−Arg−Gly−Asp−Ser−NH2 の約5倍強力な阻害活性を有していた。
【0151】
実施例(F):4(R)配置および4(S)配置の両方におけるPhe−Leu−Ala配列の完全置換γターン模倣構造体の合成
4(R)および4(S)ジアステレオマーのための最終共通中間体であるアルデヒド93までの合成を以下にまとめてある。
【0152】
【化71】
Figure 0004801257
【0153】
Boc−フェニルアラニンおよびN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩から前述の方法に従って、一般的な液相カップリング法によって、BocフェニルアラニンN,O−ジメチルヒドロキシルアミン85を合成した。収率はほぼ定量的であった。精製は、溶離液をエーテルとする短いシリカカラムで行った。
【0154】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ7.33−7.12,5H,m,Ar;5.20,1H,bd,J~ 7Hz,NH;4.95,1H,bm,Pheα;3.66,3H,s,OCH3 ;3.17,3H,s,NCH3 ;3.06,1H,dd,J=6,13.5Hz,Pheβ;2.88,1H,dd,J=7.5,13.5Hz;1.40,9H,s,Boc;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ172.2;155.1;136.5;129.4;128.2;126.7;79.5;61.4;51.4;38.8,Pheβ;32.0;28.2,Boc。
【0155】
アミド85を、フェーレンツおよびカストロの方法(Fehrentz and Castro,1983)によってBocフェニルアラニンアルデヒド86に還元した。すなわち、アミド(2mmol)を脱水エーテル(20mL)に溶かし、冷却し、窒素下に氷浴で、LiAlH4 (95mg、2.5mmol)を加え、15分間撹拌を続けた。次に、KHSO4 (477mg、3.5mmol)の水溶液(水10mL)を加え、次にエーテル150mLを加え、1M HCl(冷)(3回)、NaHCO3 水溶液、ブラインで洗浄し、MgSO4 で脱水した。溶媒を除去することで固体のアルデヒドを約90%の粗収率で得たが、それには無視できない量の不純物として過剰に還元が進んだ固体アルデヒドが少量含まれていた。TLC EtOAc:石油エーテル Rf =0.5。
【0156】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):□9.63,1H,s,アルデヒド;7.37−7.13,5H,m,Ar;5.07,1H,bs,NH;4.43,1H,m,Phe□;3.11,2H,d(AB)Phe□;1.43,9H,s,Boc;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):□199.4,アルデヒド;155.3,カーバメート;135.7,イプソ;129.3,128.7,127.1:ArCH;80.2,tBoc;60.8,Phe□;35.5,Phe□;28.2,Boc。
【0157】
メチルロイシネート塩酸塩(0.80g、4.4mmol)を10%Na2 CO3 水溶液(25mL)で中和し、溶液をブライン(25mL)と混合し、CH2 Cl2 で抽出した(20mLで3回)。有機抽出液をMgSO4 で脱水し、溶媒のほとんどを減圧下に除去した(残留物約2mL)。このメチルロイシネート溶液をBocフェニルアラニンアルデヒド86(1.1g、4.4mmol)のCH2 Cl2 (5mL)溶液に加えた。撹拌溶液は水の分離のために直ちに濁ったが、無水MgSO4 (500mg)を加えたところ、溶液は透明となった。30分後、溶液を窒素下に乾燥フラスコ内に濾過して入れた。NMR分析では、すべてのアルデヒドがイミン87に変換されており、ラセミ化はほとんど起こっていなかったことが明らかになった。そのイミンをそれ以上精製せずに、アリル化反応に用いた。
【0158】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ7.61,1H,d,J=1.3Hz,イミン;7.32−7.14,5H,m,Ar;5.69,1H,bd,J=4.5Hz,NH;4.49,1H,m,Pheα;3.85,1H,dd,J=5.5,8.5Hz,Leuα;3.69,3H,s,OCH3 ;3.20,1H,dd,J=5.0,14.5Hz,Pheβ;2.96,1H,dd,J=8.0,13.5Hz;Pheβ;1.63,1H,m;1.46,9H,s,Boc;1.42,1H,m;1.30,1H,m;0.88,3H,d,J=6.5Hz,Leuδ;0.80,3H,d,J=6.5Hz,Leuδ
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ171.7,エステル;164.3,CH,イミン;154.6,カーバメート;136.1,イプソ;128.9,127.7,126.0:ArCH;78.56,tBoc;69.51;54.08;51.32;41.02,CH2 ;38.04,CH2 ;27.73,Boc;22.35;22.48;20.63。
【0159】
クレーマーの方法(Kramer and Brown,1977)によって、B−メトキシ−9−ボラビシクロノナン(9−BBN(Kramer and Brown,1974)のメタノール処理から順次合成))から、B−アリル−9−ボラビシクロノナンRg1aを合成することができる。別法として、以下の9−BBNからの1容器合成を行った。9−BBN(結晶二量体、8.97g、73.5mmol)の脱水エーテル(75mL)懸濁液を窒素下に撹拌し、冷却して0℃とした。メタノール(3.3mL、81mmol)を注射器によってゆっくり加え(ガス発生)、よく撹拌を約3時間続けた(9−BBNは徐々に溶け、ガス発生は止む)。アリルマグネシウムブロマイドのエーテル溶液(1.0M溶液81mL)を溶液(やはり0℃に冷却)にゆっくり加えた(厚い灰色沈殿が生成し、撹拌が困難となる場合がある)。撹拌を1時間続け、溶液を昇温させて室温とし、エーテルを中等度の減圧(約300−>20hPa(mbar))下にポンプ吸引で除去した。残留物を脱水ヘキサン(100mL)に再度懸濁させ、その後撹拌を停止してマグネシウム塩を沈降させた。既知量のメチルフェニルケトンのエーテル溶液との反応によって溶液の推算を行った(約0.57Mであることが認められた。収率78%に相当)。イミンのアリル化には、そのB−アリル−9−BBNの透明溶液をそのまま用いた(この手順は、ラクレラおよびブラウン(Rachlera and Brown)の報告に記載のものから採用したものである(Racherla et al.,1992))。イミン87(約23mmol)を窒素下に脱水ジエチルエーテル(100mL)に溶かし、撹拌溶液を冷却して−78℃とした。B−アリル−9−BBN(約0.57Mヘキサン溶液47.5mL、約27mmol)を加え、溶液を1時間撹拌し、さらに1時間にわたって撹拌しながら昇温させて室温とした。氷酢酸(1.5mL)を加え、エーテルを減圧下に除去した。残留物をアセトニトリル(100mL)に溶かし、追加の氷酢酸(5mL)を加えた。ボラン付加物がすべてアミンに変換されるまで(約24時間、TLCでモニタリング:1.5EtOAc:石油エーテルでRf 付加物>Rf アミン=0.32)、溶液を還流させた。アセトニトリルを減圧下に除去し、残留物をエーテル/石油エーテルと10%Na2 CO3 水溶液との間で分配した。有機層を再度10%Na2 CO3 水溶液で洗浄し、25%メタノールの0.5M HCl溶液で抽出し(3回)、中性反応生成物を含む有機層を廃棄した。水層の酸抽出液を固体NaHCO3 を用いて直ちに中和し、エーテルで抽出した。エーテル溶液を水と次にブラインで洗浄し、MgSO4 で脱水した。溶媒留去によってアミン生成物(5.9g)を得た。それについて溶離液として7.5%から15%酢酸エチル/石油エーテルを用いるフラッシュクロマトグラフィー精製をさらに行って、イミン形成で用いた粗アルデヒド86に基づいてアミン88を50%を超える収率で得た。クロマトグラフィーではジアステレオマーの若干の分離が認められたが、あまり分割されなかった。別法として、粗アミンを前述の方法に従って加水分解してアミノ酸とし、再結晶によって精製した。
【0160】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ),主ジアステレオマー:δ7.32−7.13,5H,m,Ar;5.84,1H,m,ビニルCH;5.11,2H,m,ビニルCH2 ;5.00,1H,d,J=8Hz,NHBoc;3.88,1H,m,Pheα;3.66,3H,s,OCH3 ;3.40,1H,t,J=7Hz,Leuα;2.87,1H,dd,J=5,13Hz,Pheβ;2.69,2H,m' s:Pheβ+ CH(ホモアリル);2.23,2H,m,アリル;1.7,1H,b,NH(アミン);(1.65,1H,m;1.47,2H,m)Leuβ+ γ;1.33,9H,s,Boc;0.90,6H,t(2個の2重線)J=7,7Hz,Leuδ
13C NMR(75MHz,CDCl3 ),主異性体:δ176.1;155.4;138.6,イプソ;135.2,CHビニル;129.2,128.2,126.1:CHAr;117.4,CH2 ビニル;78.8,tBoc;58.94;58.56;54.10;51.71;42.87;36.52;35.61;28.24,Boc;24.78;22.68;22.23;
質量スペクトル(ISMS)m/z419.2(MH+ ),C32453 5 の計算値418;フラグメント(OR65):363.2,(−tBu)。
【0161】
粗アミン生成物88(1.7g、約4mmol)をメタノール/水に溶かし、LiOH・H2 O(800mg、19mmol)を加えた。加水分解が完了するまで(12時間)溶液を室温で撹拌し、1M HCl(19mL)で中和した。放置していると白色沈殿が生成し、それを濾去し、水で洗浄した。固体をエタノール−水(約95:5)から再結晶して、(主として)主ジアステレオマー89(第1の取得塊1g)の微細針状物を得た。融点:175〜177℃。必要に応じて、生成物をさらに再結晶した。
【0162】
1 H NMR(300MHz,CD3 OD):δ(基準3.31ppm)7.33−7.18,5H,m;5.90,1H,m;5.35,1H,d,J=17.1Hz;5.26,1H,d,J=10.2Hz;4.31,1H,m;3.65,1H,dd,J=5.7,7.9Hz;3.27,1H,m;2.92,1H,dd,J=5.2,14.0Hz;2.76,1H,dd,J=10.1,14.0Hz;2.59,1H,m;1.82,1H,m;1.37,9H,s,(Boc);0.97,3H,d,J=7Hz;0.94,3H,d,J=7Hz;
13C NMR(75MHz,CD3 OD):δ(基準49.15ppm)173.7;159.4;138.8;134.5;130.33;129.8;128.0;120.5;81.34;63.65;55.84;41.19;37.90;32.70;28.78;26.11;23.56;
質量スペクトル(ISMS)m/z405(MH+ ),の計算値C23362 4 :404。
【0163】
ボダンスキーおよびボダンスキー(Bodansky and Bodansky,1984)の方法により、以下のようにして、アミノ酸89をエステル化して90とした。アミノ酸89(400mg、1mmol)をメタノール/水に溶かし、Cs2 CO3 (300mg)で中和し、溶媒を減圧下に除去し、DMFを加え、減圧下に除去した。残留物をDMF(10mL)に溶かし、臭化ベンジル(190mg、1.1mmol、塩基性アルミナの短いカラムに通すことで精製)を撹拌溶液に加えた。2時間後、反応液をNaHCO3 水溶液で希釈し、1:1EtOAc:石油エーテルで抽出した。有機層をNaHCO3 水溶液、水(2回)、ブラインの順で洗浄し、MgSO4 で脱水した。溶媒を留去することで、生成物90を透明油状物として得た。それは放置することで固化して、低融点固体となった(融点:約55℃)。TLC 25%EtOAc/石油エーテル Rf =0.57。
【0164】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ7.38−7.32,4H,m;7.28−7.14,6H,m;5.82,1H,m;5.19−5.05,4H,m' s,(OBnABq,J=12.5Hz,δ =5.16,δ =5.12ppm);4.9,1H,br;3.88,1H,br;3.44,1H,bt,J=7Hz;2.88,1H,dd,J=5,14Hz;2.77−2.60,2H,bm;1.63,1H,m;1.56−1.35,m,2H;1.33,9H,bs(Boc);0.88,3H,d,J=6.5Hz;0.85,3H,d,J=6.5Hz;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ175.5;155.5;138.6;135.8;135.2;129.2;128.5;128.2;126.1;117.4;78.90;66.40;58.96;58.49;54.25;42.83;36.33;35.71;28.27(Boc);24.77;22.63;22.32;
質量スペクトル(ISMS)m/z495(M+ H+ ),C30422 4 の計算値494。
【0165】
アミン90(500mg、1mmol)を酢酸エチル(20mL)に溶かし、37%ホルムアルデヒド水溶液(0.5mL)を加えた。溶液を12時間撹拌し、石油エーテル(40mL)で希釈し、NaHCO3 水溶液、水(2回)およびブラインの順に洗浄し、脱水した(MgSO4 )。溶媒を減圧下に除去することで、生成物91をほぼ定量的収率で透明油状物として得た。10%酢酸エチル/石油エーテルを溶離液とするフラッシュクロマトグラフィーによって、さらに精製を行った。
【0166】
1 H NMR(500MHz,CD3 CN):δ(回転異性体が7:3の比で存在していた)7.36,4H,m,Ar;7.27−7.11,6H,Ar;5.70,1H,m,ビニルCH;5.17−4.97,4H,m' s,ビニルCH2 およびOCH2 Ph;4.44,0.7H,d,J=5.0Hz,環CH2 (a),主回転異性体;4.33,0.3H,d,J=4.4Hz,環CH2 (a),副回転異性体;4.19,0.7H,d,J=5.0Hz,環CH2 (b),主回転異性体;4.09,0.3H,d,J=4.6Hz,環CH2 (b),副回転異性体;4.06,0.3H,m,Pheα,少量(副);4.02,0.7H,m,Pheα,主;3.74,0.7H,dd,J=9.8,6.0Hzおよび3.69,0.3H,m,Leuα;3.10,1H,m,環メチン(ホモアリル);2.88,0.3H,m,Pheβ(a);2.84,0.7H,dd,J=4.1,13.4,Pheβ(a);2.72,0.3H,dd,J=6.5,13.5,Pheβ(b);2.65,0.7H,dd,J=9.5,13.2,Pheβ(b);2.49,1H,m,アリル(a);2.15,1H,m,アリル(b);1.76−1.42,3H,m' s,Leuβ+ γ;1.33,2.5H,s,Boc,副回転異性体;1.09,6.5H,s,Boc,主回転異性体;0.97−0.84,6H,d' s,Leuδ(主回転異性体:0.94,J=6.3Hz;0.90,J=6.2Hz);
13C NMR(75MHz,CD3 CN),示してある場合を除き、主回転異性体のみ報告:δ(基準:118.69ppm)173.3;154.2;140.9;137.8;136.3(CH);131.3;129.9;129.7;129.6;129.5;127.2;118.2(CH2 );79.98(Boc3級);67.17(CH2 );63.49(CH);62.47(CH2 );60.91(CH);57.68(CH);40.34(CH2 );36.04(CH2 );33.18(CH2 );(29.08Boc副回転異性体);28.61(Boc主回転異性体);25.98(CH);23.79(CH3 );22.36(CH3 );
質量スペクトル(ISMS)m/z507(MH+ ),C3 1422 4 の計算値506。
【0167】
60のジヒドロキシ化の場合に前述した方法に従って、tBuOH/水中でOsO4 /N−メチルモルホリン−N−オキサイドを用いて、アルケン91をジヒドロキシ化した。粗生成物92を次の反応にそのまま使用した。TLC 1:1EtOAc:石油エーテル Rf =0.36。
【0168】
質量スペクトル(ISMS)m/z541(M+ H+ ),C3 14 4 2 6
の計算値540。
グリコール92(87mg、0.16mmol)をTHF(4mL)に溶かし、H5 IO6 (37mg、0.16mmol)のTHF(3mL)溶液を加え、反応液を室温で撹拌した。ヨウ素酸の沈殿が直ちに生成し、反応は<5分で完結した。THF溶液をエーテルで希釈し、10%Na2 CO3 水溶液、水、ブラインの順で洗浄し、脱水した(MgSO4 )。生成物のアルデヒド93は良好な純度のものであったが、保存安定性はあまり高くなかった。微量の酸も厳重に排除して、トランス異性体への異性化を防止しなければならない。少量について、溶離液を15%EtOAc/石油エーテルとするフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。TLC 15%EtOAc/石油エーテル Rf =0.27。収率は良好であった(>80%)。アミン回転異性体の存在がNMRスペクトルで明らかで、その存在比は約3:1であった。別段の断りがない限り、主回転異性体によるピークのみを記載する。
【0169】
1 H NMR(300MHz,CD3 CN,基準1.94ppm):δ9.53,1H,s;7.42−7.10,10H,m' s;5.11,2H,s,(OCH2 Ph);4.41,1H,br;4.25,1H,q,J=6.3Hz;4.15,1H,br;3.56,1H,dt,J=8.5,5.7Hz;3.54,1H,bm;2.90−2.58,4H,m;1.75−1.45,3H,bm;1.37,bs,Boc副回転異性体;1.20,bs,Boc主回転異性体;0.92,3H,d,J=6Hz;0.88,3H,d,J=5.7Hz;
13C NMR(75MHz,CD3 CN,基準118.69ppm):δ202.0;173.1;154.2;140.4;137.6;131.1;129.9;129.62;129.55;127.26;80.28(Boc3級);67.31(CH2 );61.90(CH2 );60.43(CH);58.56(CH);57.95(CH);43.75(CH2 );40.36(CH2 );36.48(CH2 );28.66(Boc);25.83(CH);23.67(CH3 );22.25(CH3 );
質量スペクトル(ISMS)m/z509(MH+ ),C30402 5 の計算値508。
【0170】
4,5−シスアルデヒド93の4,5−シス4(S)アミン生成物への変換を、以下に図示したように、2段階の還元的アミノ化法によって行った。
【0171】
【化72】
Figure 0004801257
【0172】
アラニンメチルエステル塩酸塩(120mg、0.86mmol)を1:1ブライン:10%Na2 CO3 水溶液に溶かし、CH2 Cl2 で抽出した(2回)。有機抽出液を脱水し(MgSO4 )、濾過し、大半の溶媒を減圧下に除去して揮発性アミンを得た。それを、製造したばかりのアルデヒド93(100mg、0.2mmol)のメタノール(約7mL、厳密に酸を含まないもの)溶液に加えた。溶液を室温で2時間撹拌し、その時点でNaBH4 で還元した少量試験サンプルの分析から、イミン形成が完了していることが示された(アルデヒドの還元時に形成されるアルコールが検出されなかった)。固体のNaBH4 (50mg、1.3mmol)を溶液に加え、撹拌を10分間続け、反応液を酢酸エチルと水/ブライン/10%Na2 CO3 水溶液混合液との間で分配した。水相を分液し、有機層を水(2回)と次にブラインで洗浄し、脱水した(MgSO4 )。粗生成物のNMR分析では、相当するトランス(S)ジアステレオマーは検出されなかった(<5%)。溶媒を留去することで油状物を得た。それについて、溶離液をEtOAc/石油エーテルとするフラッシュクロマトグラフィー精製を行って、94を収率60〜70%で得た。TLC 40%EtOAc:石油エーテル Rf =0.43。NMRスペクトルでは約3:1の比で回転異性体が認められた。示した場合のみ、副回転異性体のために分離したシグナルのみを記載している。
【0173】
1 H NMR(300MHz,CD3 CN,基準1.94ppm):δ7.37,4H,m,;7.3−7.1,6H,m;5.12,5.09:2H,ABq,J=12Hz;4.39(主回転異性体),4.29(副):1H,d,J=5Hz;4.15,1H,J=5Hz;4.06,1H,m,PheHα;3.75−3.57,4H,m,LeuHα+ OCH3 ;3.25−3.10,1H,m;3.03,1H,m;2.87−2.60,2H,m,Pheβ;2.52−2.25,2H,m;1.81,1H,m;1.67,1H,m;1.6−1.38,2H,m;1.34,bs,Boc副回転異性体;1.19,m,Alaβ;1.15,bs,Boc主回転異性体;0.93,3H,d,J=6.6Hz;0.89,3H,d,J=6.3Hz;
13C NMR(75MHz,CD3 CN,基準118.69ppm):δ177.3;173.4;154.2;141.0;137.7;131.2;130.9;129.9;129.7;129.6;129.5;127.1;80.02(Boc3級);67.18(CH2 );62.55(CH);62.25(CH2 );60.75(CH);57.67(2個のCH,重複シグナル);52.55(OCH3 );45.96(CH2 );40.96(CH2 );36.15(CH2 );29.00(Boc,副回転異性体);28.73(CH2 );28.62(Boc,主回転異性体);25.96(CH);23.66(CH3 );22.35(CH3 );19.7(CH3 );
質量スペクトル(ISMS)m/z596(M+ H+ ),C34503 6 の計算値595。
【0174】
ジクロロエタン中でのNaBH(OAc)3 によるアルデヒド93(すなわち4,5−トランス異性体)の還元的アミノ化によって、比率1:9で生成物94と95の混合物が生じた。
【0175】
【化73】
Figure 0004801257
【0176】
アルデヒド93(50mg、0.1mmol)を1,2−ジクロロエタン(5mL)に溶かし、アラニンメチルエステル(約2当量)および酢酸(1滴、約14mg)を加えた。混合物を室温で5分間撹拌し、NaBH(OAc)3 (40mg、2当量)を加え、撹拌を30分間続けた。溶媒を減圧下に除去し、残留物をEtOAcと10%Na2 CO3 水溶液との間で分配し、有機層を水およびブラインで洗浄し、脱水した(MgSO4 )。生成物には比率約9:1トランス:シスで両方のジアステレオマーが含まれていた。生成物について、溶離液をEtOAc/石油エーテルとするフラッシュクロマトグラフィー精製を行った。TLC 40%EtOAc:石油エーテル Rf =0.43(副ジアステレオマー、94、シス)、0.23(主ジアステレオマー、95、トランス)。合計収率は約60%であった。回転異性体は認められなかった。ただし、相当するトランスアルデヒドの場合に認められたように、かなりのピーク広がりがあった。主生成物の立体配置は、NMR(NOESY実験)によって決定した。
【0177】
1 H NMR(300MHz,CD3 CN,基準1.94ppm):δ7.24−7.14,10H,m' s;5.13,2H,s,OCH2 Ph;4.38,1H,br,環メチレン(i);3.97,1H,bd,環メチレン(ii);3.61,3H,s,OCH3 ;3.75,1H,ddd,J=2.7,4.3,8.7Hz,PheHα;3.50,1H,m,LeuHα;3.13,1H,m,PheC' H(環);2.97−2.88,2H,m,AlaHα+ PheHβ(i);2.72,1H,dd,J=2.9,8.7Hz,PheHβ(ii);2.33,1H,ddd,J=11.5,7.3,5.5Hz,CH2 NH(架橋)(i);1.98,1H,m(dt,溶媒ピークと重なり),CH2 NH(架橋)(ii);1.53,2H,m,Leuβ+ γ;1.43,9H(s)+ 1H(m),Boc+ Leuβ;1.35,1H,m,架橋CH2 (i);1.29,1H,m,架橋CH2 (ii);1.06,3H,d,J=7.0Hz,Alaβ;0.88,6H,m,Leuδ
13C NMR(75MHz,CD3 CN,基準118.69ppm):δ177.2;174.6;154.5;140.1;137.6;131.0;129.9;129.7;129.6;127.6;80.61(Boc3級);67.50(CH2 );63.62(CH2 );63.5(CH,br);62.4(CH,v.br);60.67(CH);57.70(CH);52.47(CH2 );45.15(CH2 );40.65(CH2 ,v.br);39.76(CH2 );32.81(CH2 );29.00(CH3 ,Boc);26.21(CH);23.47(CH3 );22.88(CH3 );19.62(CH3 );
質量スペクトル(ISMS)m/z596(MH+ ),C34493 6 の計算値595。
【0178】
以下に記載の方法に従って、ジアステレオマーアミンを、保護γターン模倣構造体96および97に変換した。
【0179】
【化74】
Figure 0004801257
【0180】
4,5−ジスアミン94(42mg、0.07mmol)を酢酸エチル:エタノール10:3(13mL)に溶かし、10%パラジウム/活性炭35mgを加え、混合物を約0.22MPa(32psi)のH2 で3時間水素化して、ベンジルエステルの脱保護を行うことでアミノ酸を得た(MH+ =506Da)。溶液を濾過し、溶媒を減圧下に除去し、残留物をDMF(2mL)に溶かし、CH2 Cl2 (15mL)に溶かし、DIEA(50mg、約0.4mmol)およびBOP試薬(50mg、0.11mmol)を室温で撹拌溶液に加えた。環化は数分以内に完了した。CH2 Cl2 を減圧下に除去し、残留物を酢酸エチルで希釈し、10%Na2 CO3 水溶液/ブライン、水(2回)、ブラインの順で洗浄し、脱水し(MgSO4 )、溶媒を減圧下に除去して透明油状物を得た。それについて、溶離液として20%EtOAc/石油エーテルを用いるフラッシュクロマトグラフィー精製を行って、96(25mg、70%)を得た。TLC 1:1EtOAc:石油エーテル約0.45。室温でCD3 CN中でのNMRスペクトルはかなり広がり、NMR時間スケールでは配座の相互変換が遅いことを示していた。
【0181】
1 H NMR(300MHz,CD3 CN):δ7.32−7.15,5H,m,Ar;4.88,1H,q,J=7.1Hz,Alaα;4.20,1H,bd,J=4.8Hz,NCH2 N(a);4.13,1H,m,Pheα;4.09,1H,bd,J=5.0Hz,NCH2 N(b);3.72,1H,m,Leuα;3.65,3H,s,OCH3 ;3.52,1H,bdd,J=10.6,15.2Hz,bridgeCH2 CH2 N(a);3.30−3.21,2H,m' s,CH2 CH2 N(b)およびPheC' H;2.94,1H,bm,Pheβ(a);2.76,1H,bm,Pheβ(b);2.25水ピーク;1.9−1.4,5H,e,Leuβ+ γおよび架橋CH2 CH2 N;1.29,3H,d,J=7.1Hz,Alaβ;3.25,9H,vbr,Boc;0.92,6H,d,J=6.2Hz,Leuδ
13C NMR(75MHz,CD3 CN):δ173.5(アミンとエステルのピークが重なっているように思われる);154.9(カーバメート,br);140.7;130.7(br);129.6;127.3;80.54;66.47;63.83(br);62.36;60.4(非常に広い);56.29;52.97;44.77;(36.96,36.40)非常に広い,わずかに分離;33.3(非常に広い);28.78(Boc,br);26.86;23.90(br);22.63;15.47;
質量スペクトル(ISMS)m/z250.2(M+ H+ ),C28373 6 の計算値511;フラグメント(OR60):441,(−tBu);397,(−Boc)。
【0182】
97の合成は、トランスアミン95を用いた以外、96の場合と同様であった。TLC 1:1EtOAc:石油エーテル Rf =0.53。CD3 CN中でのNMRスペクトルは分解能が良好であり、回転異性体が11:9の比で存在した。異なる回転異性体で同じ炭素に帰属するシグナルは、可能な場合には括弧内に入れてある。
【0183】
1 H NMR(300MHz,CD3 CN,基準1.94ppm):δ7.34−7.16,5H,m;4.69,1H,m;4.13,1H,d,J=4.4Hz;3.92,1H,m;(3.83,d,J=4.4;3.79,d,J=4.4Hz),1H;3.76−3.60,2H,m' s;(3.61,s;3.81,s),3H,OCH3 ;3.26,1H,m;3.15,1H,m;2.99,1H,m;2.77,1H,m;1.85−1.49,3H,m' s;(1.44,s;1.41,s),9H,Boc;1.30,3H,d,J=7.2Hz,Alaβ;1.36−1.24,2H,m;0.98−0.91,6H,m;
13C NMR(75MHz,CD3 CN,基準118.69ppm):δ174.4;173.3;154.6;(140.54,140.49);130.7;130.6;129.8;127.6;(80.65,80.54),Boc3級;(66.12,65.48,65.21,64.90)2個のCH;60.67,CH2 ;(56.82,56.74),CH;(56.41,56.24),CH;52.87,CH3 ;(46.19,46.12),CH2 ;(40.72,39.84),CH2 ;39.16,CH2 ;30.44,CH2 ;(29.03,28.93)Boc;(25.64,25.58),CH;24.19,CH3 ;22.43,CH3 ;15.76,CH3
質量スペクトル(ISMS)m/z488(MH+ ),C28373 6 の計算値487。
【0184】
実施例(G):アルデヒド93の酸触媒異性化
【0185】
【化75】
Figure 0004801257
【0186】
触媒のHCl存在下に、シスジアステレオマー93の酸触媒異性化によって、トランス(4(S))アルデヒドを得た。この異性化条件下では、かなりの分解が起こって、複数の未同定副生成物(ほとんどが高いRf を有する)が生じる。生成物について、溶離液を15%酢酸エチル/石油エーテルとするフラッシュクロマトグラフィー精製を行って、粗93から約35%の収率で98を得た。
【0187】
1 H NMR(300MHz,CD3 CN,基準1.94ppm):δ9.41,t,J=1.8Hz;7.45−7.10,10H,m;5.12,2H,m,OCH2 Ph;4.46,1H,br;4.01,1H,bd;3.82,1H,m;3.62−3.46,2H,m;2.95,1H,bdd,J=13.0,4.4Hz;2.81,1H,dd,J=13.2,8.0Hz;2.37,2H,m(ABqofdd,JAB=31,JddA=4.6,1.8Hz;JddB=7.2,2.1Hz),δ−アルデヒド;1.75−1.25,12H,e(1.4,bs,Boc);0.9,6H,bm;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ202.9;174.5;154.4;139.7;137.5;131.0;129.9;129.8;129.7;127.7;80.81;67.61;64.03(br);63.1860.49;59.9(br);47.0(br);45.95;39.88;28.96(Boc);26.12;23.25;22.97。
【0188】
実施例(H):βターン模倣構造体II(i)の合成
【0189】
【化76】
Figure 0004801257
【0190】
化合物70を前述の方法に従って製造し、71の合成について前述した方法と同じ方法を用いて、アラニンメチルエステルと反応させて、99を形成した。粗アミノケトン99(1.22g)をCbz−グリシン対称無水物(CbzGlyOH1.95gとジシクロヘキシルカルボジイミドの0.5M塩化メチレン溶液9.3mLから合成)およびDIEA(0.6g)と塩化メチレン中で反応させた。反応液を室温で10時間撹拌し、エーテルで希釈し(DCU沈殿はすべて濾去)、エーテル溶液を1M HCl、重炭酸ナトリウム水溶液および次にブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム(濾過によって除去)で脱水し、揮発分を減圧下に除去して粗生成物を油状物として得た。それについて、溶離液を2:1酢酸エチル:石油エーテルとするフラッシュクロマトグラフィー精製を行って、100を得た(1.8g、90%)。BocLys(Fmoc)OBnの脱保護から得られた101を用いた100の還元的アミノ化(TFA、CH2 Cl2 )を、73の形成について前述した方法によって行う(溶離液を2:1から3:1酢酸エチル:石油エーテルとするフラッシュクロマトグラフィー後で収率71%)。生成物のアミン102を酢酸エチルに溶かし、その撹拌溶液にホルマリンを加えて、イミダゾリン104を形成した。酢酸エチル溶液を重炭酸ナトリウム水溶液、水(2回)、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム(濾過によって除去)で脱水し、揮発分を減圧下に除去して、粗生成物を油状物として得た。それについて、溶離液を3:2酢酸エチル:石油エーテルとするフラッシュクロマトグラフィー精製を行った(収率>75%)。保護前環化化合物103(400mg)を0.1Mエタノール性HCl(20mL)に溶かし、10%Pd−C250mgで水素化した。水素化は7時間後に完結した(約0.28MPa(約40psi)H2 、室温)。溶液をセライト層濾過して触媒を除去し、DMF50mLを加えた。揮発分(エタノール)を減圧下に除去し、BOP試薬(300mg)およびDIEA(300mg)のDMF(150mL)溶液を加え、混合物を室温で15分間撹拌した。ほとんどのDMFを減圧下に除去し、残留物を酢酸エチルに溶かし、1M HCl、重炭酸ナトリウム水溶液、水(2回)、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム(濾過によって除去)で脱水し、揮発分を減圧下に除去して、粗生成物104を約300mg得た。粗生成物をメタノール性HCl(0.1M)30mLに溶かし、24時間水素化することで(Pd−C200mg、約0.28MPa(40psi)H2 )、イミダゾリジンをN−メチル基に還元した。触媒を濾去し(セライト)、溶媒を減圧下に除去し、残留物をTHF中テトラブチルアンモニウムフルオライドで処理して、FMOC基を脱離させた。クロロギ酸ベンジル(65mg)およびDIEA(100mg)を加えることで、遊離アミンを再度保護した。1時間撹拌後、酢酸エチルを加え、有機層を1M HCl、水および次にブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム(濾過によって除去)で脱水し、揮発分を減圧下に除去して油状物を得た。それについて、溶離液として3%から5%エタノール/クロロホルムを用いるフラッシュクロマトグラフィー精製を行って、103に基づいて約40%の収率で105を得た。
【0191】
添付資料
γターン模倣構造体系I(i)についての既報の報告
γターン模倣構造体としての各種複素環系の好適性に関する理論的研究が発表されている(Alkorta et al.,1996)。その研究には、1,3,5−置換−1,4−ジアザ−2−オキソシクロヘプタン系が用いられている(本明細書に記載のγターン模倣構造体の基礎)。この模倣構造体系に関して、その論文には合成についての説明も言及もなく、合成について言及している他の公知の模倣構造体とは対照的である。
【0192】
γターン系の置換に関するケミカル・アブストラクツ(Chemical Abstracts)登録ファイルの検索では、上記のモデリング研究のみが得られたが、本発明者らは、異なる合成方途によるγターン模倣構造体系の合成についての報告があることを把握している。その別途法については、1994年の第23回欧州ペプチドシンポジウム(23rd European Peptide Symposium)で発表されたポスターに記載されており、発表された総説(Bulletin of the Chemical Society of Belgium, Guibourdenche et al.,1994)で再度公表され、翌年にも再度公表された(Ma et al.,1995)。本発明者らの研究と他の文献結果によれば、この別法は支持されず、上記の報告は誤りであって、実際に起こるものではない。本発明者らは、マーら(Ma et al.,1995)記載の環化反応を追試し、NMR分析と化学的変換によって、実際の生成物は構造異性体であって、主張されているγターン模倣構造体ではないことを確認した。マーらの方法が実際には起こらないという主張を裏付ける合成および分析ならびに他の資料を以下に示す。
【0193】
【化77】
Figure 0004801257
【0194】
図式A1:マーら(Ma et al.,1995)提唱の1,4−ジアゼピンγ模倣構造体の合成
マーら(Ma et al.,1995)提唱の合成における重要な段階は、ミツノブ(Mitsunobu)試薬を用いたA1から保護目的物A2への環化である。本発明者らは、以下に記載の方法に従って、本発明者ら自身の方法によって、環化前駆体の合成を追試した。
【0195】
アルコールA1は、図式A1に示したものより、前述した共役付加法によって簡便に製造した(4段階対6段階)。用いた手順を図式A2にまとめてある。
【0196】
【化78】
図式A2
Figure 0004801257
【0197】
そこで、以下の手順によって、Bocイソロイシンのワインレブ(Weinreb)アミドを、THF中でビニルグリニャルと反応させて、αβ不飽和ケトンA3を得た。Boc−イソロイシン−N−メトキシ−N−メチルアミド(2.25g、8.2mmol)を脱水THF(20mL)に溶かし、窒素下に冷却して0℃とした。その撹拌溶液に、ビニルマグネシウムブロマイドのTHF溶液(約1M溶液20mL)を5分間かけて加えた。反応液を非常にゆっくり昇温させて0℃とし(1時間かけて判別できないほどの速度で)、それよりかなり速く室温とした(20分後に約70%の生成物)。室温で90分間撹拌後、反応液を砕いた氷/1M HClに投入し、エーテルで抽出した。有機層を0.5M HCl、水、NaHCO3 水溶液、次にブラインで洗浄し、MgSO4 で脱水した。粗生成物が良好な収率および純度で得られ、それを次の反応にそのまま用いた。TLC 25%EA/石油エーテル Rf =0.64。
【0198】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ6.50,1H,dd,J=10,17Hz;6.37,1H,dd,J=1,17Hz;5.85,1H,d,J=10Hz;5.23,1H,bd,J=7Hz;4.58,1H,dd,J=4,8Hz;1.88,1H,m;1.45,9H,s;1.32,1H,m;1.10,1H,m;0.98,3H,d,J=7Hz;0.90,3H,d,J=7Hz;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ199.0;155.7;134.0;129.6;79.60;61.71;37.50;28.28(Boc);24.09;16.04;11.61。
【0199】
以下の手順によって、エタノール中、グリシンエチルエステルとA3とを反応させて、A4を得た。グリシンエチルエステル塩酸塩(1.0g、7.1mmol)を、エタノール(20mL)中、室温で終夜にわたって、A3(1.1g、約4.7mmol)およびDIEA(450mg、3.5mmol)と反応させた。反応液をエーテル(100mL)で希釈し、NaHCO3 水溶液および水(3回)の順で抽出した。石油エーテルを加え(100mL)、溶液を0.5M HCl:MeOH4:1で抽出した(3回)(有機層は廃棄)。酸性洗浄液を固体NaHCO3 でただちに中和し、酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を水と次にブラインで洗浄し、MgSO4 で脱水した。溶媒を減圧下に留去して、次の反応で使用するのに十分な純度の粗生成物800mg(約50%)を得た。TLC EtOAc Rf =0.52。
【0200】
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):δ209.0;171.7;155.8;79.57;63.95;60.76;50.67;43.69;40.82;36.74;28.19(Boc);24.05;16.01;14.08;11.51;
質量スペクトル(ISMS)m/z345(MH+ ),C17 3 2 2 5 の計算値344。
【0201】
CH2 Cl2 /THF中でHBTU試薬およびDIEAを用いる標準的な液相カップリング法を行って、アミノケトンA4(690mg、2mmol)をZ−アラニンとカップリングさせてA5を得た。粗生成物について、溶離液を30%EtOAc/石油エーテルとするフラッシュクロマトグラフィー精製を行って、収率94%(1.03g)で生成物を得た。TLC EtOAc:石油エーテル1:2 Rf =0.25。
【0202】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):δ7.34,5H,m;5.68,1H,bm;5.18−5.02,3H,m' s;4.72,0.5H,m;4.48−4.07,5H,m' s;3.88−3.54,2.5H,m' s;2.75−2.05,2H,m' s;1.89,1Hbs;1.44,1.43:9H,2s,Boc;1.38,1.5H,d,J=6.9Hz(alaHβ,1個の回転異性体);1.34−1.28,5.5H,m' s;1.07,1H,m;1.00−0.82,6H,m' s;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ),異なる回転異性体における等価な炭素によるシグナルを、可能な場合には括弧内で群分けしてある:δ(209.0,207.9);(173.39,173.25);(169.15,168.84);155.75,155.67,155.56,155.33:カーバメートシグナル;136.20;128.31;127.91;127.80;(79.72,79.57);66.60;(64.01,63.85);(61.61,61.09);(50.96,48.65);(46.63,46.57);(43.75,43.23);(40.02,39.07);(36.56,36.29);28.14(Boc);(24.09,24.03);18.74;15.92;13.85;(11.44,11.38);
質量スペクトル(ISMS)m/z550(MH+ ),C28433 8 の計算値549。
【0203】
ケトンA5(430mg、0.78mmol)をエタノール(5mL)に溶かし、NaBH4 (15mg、0.40mmol)を、室温で撹拌溶液に加え、撹拌を1時間続けた。溶媒を減圧下に除去し、残留物を酢酸エチルに溶かし、1M HCl、水、NaHCO3 水溶液、ブラインで洗浄し、MgSO4 で脱水した。溶媒留去後の残留物について、溶離液を酢酸エチル:石油エーテル約1:1とするフラッシュクロマトグラフィー精製を行って(ジアステレオマーの分離がわずかにできた)、定量的収率でアルコールA1を得た。TLC EtOAc:石油エーテル1:1 Rf =0.28。
【0204】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ),遅く溶出する分画、回転異性体/ジアステレオマー>2:1:δ7.39−7.29,5H,m;5.80,1H,d,J=9Hz;5.15,1H,d,J=12Hz;5.11−5.49,約1H,m;4.96,約1H,d,J=12Hz;4.67−4.42,約1H,m' s;4.19,約2H,bq,J=7.2Hz;4.03−3.88,約2H,bm;3.88−3.40,約4H,m' s;3.30−3.09,1H,m;1.96−1.66,約2H,m;1.55,約1H,m;1.42,9H,s,(Boc);1.331.33,d,J=7Hz;1.28,t,J=7.2Hz;1.15,d(副異性体),J=6.8Hz;1.37−1.05約8H;1.0−0.82,約6H,m' s;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ),別段の断りがない限り、主ピークのみを示した:δ174.0;169.0;156.4;156.3;135.9;128.4;128.1;(128.0,副異性体);127.9;78.92;66.96;(66.56,副異性体);66.11;61.26;59.49;47.74;46.10;45.24;34.38;31.31;28.30(Boc);22.29;18.85;16.41;14.00;11.90;
質量スペクトル(ISMS)m/z552(M+ H+ ),C28453 8 の計算値551。
【0205】
以下のようにして、マーら(Ma et al.,1995)に記載の方法(図式4.37)に従って、ミツノブ試薬とアルコールA1とを反応させた。アルコールA1(150mg、早く溶出した分画)を脱水THFに溶かし、トリフェニルホスフィン(71mg)を加えた。窒素下に室温で溶液を撹拌しながら、それにDEAD(43uL)を加え、撹拌を24時間続けた。粗反応液の分析から、中等度の収率で脱水生成物(M+H+ =534Da)が形成されていることがわかった。追加の1当量トリフェニルホスフィン/DEADを加え、撹拌をさらに48時間続けた。溶媒を減圧下に除去し、残留油状物をエーテル/石油エーテルに溶かし、放置して、トリフェニルホスフィンオキサイドおよびジエトキシカルボニルヒドラジン(白色固体、濾去)の沈殿を促進した。濾液の溶媒留去後に残った油状物について、溶離液として石油エーテルおよび10%から100%エーテル/石油エーテルを用いるフラッシュクロマトグラフィー精製を行って、収率約40%(60mg)で生成物を得た。TLCエチルエーテルRf =0.61。可能なジアステレオマー/回転異性体の混合物から予想できるように、NMRスペクトルは非常に複雑であった。しかしながら、4.71ppmにHα(1H、広い5重線、J=約8Hz)を有するアラニンスピン系を明瞭に確認することができた。1Dデカップリング実験を行った。4.7ppmでの照射によって、2個のシグナルが1重線、1.40ppmを中心とする2重線(J=7Hz、アラニンHβ)および5.62ppmの広い2重線(1H、J=8Hz)(アラニンNH)となった。これらの割り当ては、4.71ppmの多重線をJ=8Hzの2重線にした1.4ppmでの照射によって確認した。アラニンスピン系におけるNHプロトンの存在から、生成物の可能な構造としてマーら(Ma et al.,1995)が提唱しているγターン模倣構造体A2は除外され、本発明者らが真の構造としてより可能性の高い生成物であると考えているA6またはA7(図式A3)の可能性が残されている。
【0206】
1 H NMR(300MHz,CDCl3 ):(選択ピーク)δ5.62,約1H,bd,J=8Hz;4.71,約1H,m(q);1.40,d,J=6.8Hz。デカップリング実験:照射4.71ppm→1.4=2重線,J=8Hz;照射4.71ppm→1.4=1重線,5.62=1重線;
13C NMR(75MHz,CDCl3 ):回転異性体/ジアステレオマー、ピークの広がりおよび同時に溶出する不純物のために、スペクトルの分析は困難であった。注目すべき特徴が2つあった。すなわち(i)恐らくはカーバメート由来のオキサゾリジン炭素(カーバメート共鳴がただ一つ認められた。155.5ppm)によるものと考えられる160.7ppmの比較的異常なシフトでの新たなピークの出現と(ii)NHBoc3級炭素シフトが通常のように80ppmの高磁場側シフトにある(例:アルコール前駆体での78.9)のに対して、81.22ppmに認められた3級Boc炭素共鳴の低磁場側シフトである。
【0207】
質量スペクトル(ISMS)m/z534(MH+ ),C28433 7 の計算値533。
NMR分析の結果を確認するため、さらに実験を行った。生成取得物を水素化して(EtOH、Pd−C)Z基を脱離させた。生成物が構造A6またはA7を有する場合、そのような系で理解しやすい反応で、ジケトピペラジンA8を形成することができるようになる(図式3)。目的のγターン模倣構造対A2が存在する場合は、それが脱保護されて、(非常に安定な)遊離アミンA9となり、イオン噴射質量分析(ISMS)で容易に検出される。水素化からの生成物混合物の分析からは、ジケトピペラジンに相当する質量ピーク(MH+ =354Da)が認められたが、A9のものは痕跡も認められなかった(MH+ =400Da)。
【0208】
【化79】
図式A3
Figure 0004801257
【0209】
最後に、環化生成物(本発明者らがA6であると提唱しているもの)は、希酸水溶液(例:室温での0.1%TFA水溶液、12時間)によって容易に加水分解されて、アルコールA1(または同じ質量の化合物)に戻ることも認められた。オキサゾリンの方が酸水溶液による簡単な加水分解を受けやすく、その簡単な加水分解はマーら(Ma et al.,1995)が提唱している構造A2とは全く一致しないものであることから、この最後の所見は、生成物の構造がアジリジンA7ではなく、オキサゾリンA6であるという考えと良好に一致する。
【0210】
生成物構造としてのA6をさらに裏付けるものとして、A1と構造的に類似したペプチドアルコールが、例えばオキサゾリン類を形成することが報告されている(Galeotti et al.,1992)。
【0211】
【化80】
Figure 0004801257
【0212】
マーら(Ma et al.,1995)が提唱している、ミツノブ反応によるA2の形成に対する他の反証を以下に示す。
(1)ミツノブ反応を介しての7員環形成の困難さ
(a)先行文献
ミツノブ反応による環状アミンおよびアミドの形成に関する文献には、3〜6員環形成の例が多くあるが(Carlock and Mack 1978;Robinson,Barry et al.1983;Pfister 1984;Kelly,Eskew et al.1986;Henry,Marcin et al.1989;Bernotas and Cube 1991)、7員環形成の例は非常に少ない。アミノアルコールの環化に関するある論文では、簡単な7員の目的物が形成されないことを具体的に記載してある(Bernotas and Cube,1991)。ミツノブ反応に関する有機反応の入門書では(Hughes,1992)、炭素−窒素結合形成による7員環形成の例が3例記載されている。その3例いずれにおいても1級アルコールが関与しており、2例は多環系でのものであって特殊な場合であると思われ、第3番目の例では、ヒドロキサミドのアルキル化が関与していて、それはNHの酸性が相対的に高いことから、アミドよりはるかに進行が容易である。
簡単なアミドまたはカーバメート窒素についての7員環形成に関しては、先行文献はないように思われる。さらに、A2形成で起こっていると提唱されているような、立体障害のある2級アルコールを用いた2級アミドN−アルキル化については、先行文献はほとんどない。
(b)合成研究
本発明者らの研究室では、提唱されている合成について知る以前に、目的の系形成のためのミツノブ反応使用に関して広範囲の研究を行った。本発明者らとしては、この方途は有効ではなかった。重要な反応について、図式A4およびA5に示してある。
【0213】
【化81】
図式A4
Figure 0004801257
【0214】
【化82】
図式A5
Figure 0004801257
【0215】
分子間反応でアルキル化生成物の形成にやや成功したが(図式A4)、その成功は環状系では再現されなかった(図式A5)。目的の環状生成物A10またはA11はほとんど検出されなかった。
(2)競争反応−オキサゾリジンとアジリジンの形成
β−ラクタム−A13の形成を目的としたβ−ヒドロキシアミド誘導体A12の環化によっても、図式A6に示したアジリジンA14生成物およびオキサゾリンA15生成物が形成される(Hughes,1992)。オキサゾリン形成の別の例については前述している(Galeotti et al.,1992)。
【0216】
【化83】
図式A6
Figure 0004801257
【0217】
ミツノブ反応は大きさの小さい環の形成には比較的有効であることから、他の因子が同じであれば、アジリジン類およびオキサゾリン類の形成が他の可能な環化と競合するのは、非常に可能性が高い。そのような競合は提唱の合成において起こり得るものであり、生成物はA6および/またはA7になると考えられる(図式A3)。アジリジンとオキサゾリジンはいずれも、目的化合物A2と異性体の関係にあることから、目的物との混同が生じる可能性があるが、本発明者らが前記で示したように、1 H NMRによって状況は容易に解明される。
要約すると、前記の提唱法は以下の点から誤っている。
【0218】
・本発明者らはその環化を追試し、生成物が目的物の構造異性体、恐らくはオキサゾリンA6であることが認められた。
その所見は、
・文献的な禁忌(競合する環化が優先)、先行文献の不在(ミツノブ反応によって7員環を形成することが困難である)
・ミツノブ反応がγ模倣構造体の合成には効果がないことを示す、本発明者らの研究室での広範囲の研究
によって裏付けられる。
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【0219】
【化84】
図式1
Figure 0004801257
【0220】
【化85】
図式2
Figure 0004801257
【0221】
【化86】
図式3
Figure 0004801257
【0222】
【化87】
図式4
Figure 0004801257
【0223】
【化88】
図式5
Figure 0004801257
【0224】
【化89】
図式6
Figure 0004801257
【0225】
【化90】
図式7
Figure 0004801257
【0226】
【化91】
図式8
Figure 0004801257
【0227】
【化92】
図式9
Figure 0004801257
【0228】
【化93】
図式10
Figure 0004801257
【0229】
【化94】
図式11
Figure 0004801257
【0230】
【化95】
図式12
Figure 0004801257
【0231】
【化96】
図式13
Figure 0004801257
【0232】
【化97】
図式14
Figure 0004801257
【0233】
【化98】
図式15
Figure 0004801257
【0234】
【化99】
図式16
Figure 0004801257
【0235】
【化100】
図式17
Figure 0004801257
【0236】
【化101】
図式18
Figure 0004801257

【図面の簡単な説明】
【図1】 模倣構造体系の一般構造ならびに好適な環状ターンおよびループ模倣構造体系。
【図2】 二環式βターン模倣構造体系。
【図3】 特定のアリルアリルボロン(ホウ素)試薬。

Claims (13)

  1. 式I(i)aの構造を有するペプチド模倣構造体。
    Figure 0004801257
    [式中、
    1およびR2 は、同一でも異なっていても良いアミノ酸側鎖基であり、
    PgNはアミンの保護基、固相支持体への開裂可能連結基、該固相支持体、水素、R、C(O)Rまたは模倣構造体の残りのN末端部分からなる群から選択され、
    Rはアミノ酸側鎖基であり、
    Pgはカルボン酸の保護基であり、
    はアミノ酸側鎖基である。]
  2. およびRがH以外である請求項1に記載のペプチド模倣構造体。
  3. 式4a〜dの構造を有する化合物。
    Figure 0004801257
    [式中、
    1およびR2 は、同一でも異なっていても良いアミノ酸側鎖基であり、
    M、M’、およびM”は同一でも異なっていても良く、水素、C〜C4 アルキル、塩素およびC〜C4 アルコキシからなる群から選択され、
    Pgはアミンの保護基、固相支持体への開裂可能連結基、該固相支持体、水素、R、C(O)Rまたは模倣構造体の残りのN末端部分からなる群から選択され、
    Rはアミノ酸側鎖基であり、
    Eは(AA)であって、nは1または2であり、AAはアミノ酸残基であり、
    Pgはカルボン酸の保護基であり、
    、R、Rn+3及びRn+4はそれぞれ独立してアミノ酸側鎖基である。]
  4. 式5a〜dの構造を有する化合物。
    Figure 0004801257
    [式中、
    、R、M、M’、M”、Pg、およびGは請求項3で定義されている。]
  5. 請求項3に記載の4a〜dの製造方法であって、イミン3a〜dのアリルボロン試薬との反応によって化合物4a〜dを得る段階を有する方法。
    Figure 0004801257
    [式中、
    、R、M、M’、M”、Pg、およびGは請求項3で定義されている。]
  6. イミン3a〜dを、アミノ酸アルデヒド1とアミン2a〜dの縮合によって製造する請求項に記載の方法。
    Figure 0004801257
    [式中、
    、R、M、M’、M”、Pg、およびGは請求項3で定義されている。]
  7. 請求項3に記載の化合物4a〜dにホルムアルデヒド溶液を加えることで、イミダゾリジン5a〜dを得る請求項4に記載の化合物5a〜dの製造方法。
    Figure 0004801257
    [式中、
    、R、M、M’、M”、Pg、およびGは請求項3で定義されている。]
  8. 最初に化合物49を化合物50に変換し、化合物50を次に、化合物9と反応させることで化合物51を得て、化合物51を次に化合物52に変換し、次に化合物52について化合物9による還元的アミノ化を行って前記化合物54を得、
    Figure 0004801257
    さらに、PgN’基およびPgC’基の脱離によって化合物54を化合物55に変換し、化合物55を次に、ZおよびR1 がHである模倣構造体I(i)aに変換する、
    Figure 0004801257
    模倣構造体I(i)aの製造方法。
    [式中、
    R、R、及びPgは請求項1で定義されており、Pg及びPgC’はそれぞれ独立してカルボン酸の保護基、固相支持体への開裂可能連結基、該固相支持体、−OH、−OR、−NHRまたは模倣構造体の残りのC末端部分からなる群から選択され、PgN’はアミンの保護基、固相支持体への開裂可能連結基、該固相支持体、水素、R、C(O)
    Rまたは模倣構造体の残りのN末端部分からなる群から選択される。]
  9. 化合物49をビニルマグネシウムブロマイドと反応させて化合物50とし、化合物50を次に化合物9と反応させて化合物51を形成し、化合物51を次に化合物15と反応させて化合物53を形成し、次に化合物53をPgN’の脱保護後に還元的アミノ化することによって模倣構造体I(i)aに変換する、模倣構造体I(i)aの立体特異的製造方法(R1=Hである模倣構造体I(i)aのみに適している方法)。
    Figure 0004801257
    [式中、
    R、R、及びPgは請求項1で定義されており、Pg及びPgC’はそれぞれ独立してカルボン酸の保護基、固相支持体への開裂可能連結基、該固相支持体、−OH、−OR、−NHRまたは模倣構造体の残りのC末端部分からなる群から選択され、PgN’はアミンの保護基、固相支持体への開裂可能連結基、該固相支持体、水素、R、C(O)Rまたは模倣構造体の残りのN末端部分からなる群から選択される。]
  10. PgC が、アルコキシ、ベンジルオキシ、アリルオキシ、フルオレニルメチルオキシ、容易に脱離可能なアミドを形成するアミン類、固相支持体への開裂可能連結基、前記固相支持体、水酸基もしくはNHR、R、OR、または模倣構造体の残りのC末端部分からなる群から選択される請求項1に記載のペプチド模倣構造体。
  11. PgCがメトキシまたはエトキシである請求項1に記載のペプチド模倣構造体。
  12. PgN がアミンの保護基である請求項1に記載のペプチド模倣構造体。
  13. PgN が、Boc、Cbz、Alloc、およびトリチルからなる群から選択される請求項1に記載のペプチド模倣構造体。
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