JP4800712B2 - 動画符号化装置、動画符号化方法及び動画撮像装置 - Google Patents
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Description
Qp[n+1]=(Cn/dstC)*Qp[n] (数式1)
Qp[n]は、フレームnの量子化に用いた量子化スケールである。Cnは、フレームnの発生符号量、dstCは、予め定められた1フレームの目標符号量である。
ISO/IEC-14496-2
この例では、フレーム1、11、21はイントラ符号化フレームであり、それ以外はインター符号化フレームである。上述の理由により、イントラ符号化フレームの直後、4フレームにわたり発生符号量にハンチングが生じている(図1(a))。
一般には、発生符号量が大きいほど画質が向上する関係にあるので、発生符号量のハンチングに伴い画質が不安定となる(図1(b))。その結果、映像が見苦しくなるという問題が生じる。
本発明は、イントラ符号化フレーム直後の数フレームにわたる発生符号量のハンチングを抑制することができる動画符号化装置、動画符号化方法及び動画撮像装置を提供することを目的とする。
従来技術では、第2のフレームの量子化スケールは、第1のフレームの予測符号化方式に関わらず、同じ方式(すなわち第1の方式)により導出される。
また、 前記第1の補正係数は、1であり、前記第2の補正係数は、1/5乃至1/3の範囲内で予め定められた固定値であることとしてもよい。
動画データでは、フレーム間の相関が高い場合、各フレームの発生符号量が目標符号量に対して低下する。上記構成によれば、このような場合であっても、発生符号量を増加させるような措置はとらない。したがって、動画データを記憶しておく記憶容量に余裕をもたせることができる。このようにすることで、フレーム間の相関が急に低下したとしても、記憶容量がオーバーフローする事態を回避することができる。
また、前記導出手段は、さらに、前記符号化手段がフレームをイントラ符号化しようとする場合には、当該フレームの量子化に用いる量子化スケールを、予め定められた固定値とすることとしてもよい。
また、前記導出手段は、さらに、前記符号化手段が第1のフレームを符号化した後に第2のフレームをイントラ符号化しようとする場合には、第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを、第1のフレームの発生符号量に前記第1の補正係数よりも大きな第3の補正係数を乗算して得られた補正符号量を用いて導出する第3の方式により導出することとしてもよい。
また、前記動画符号化装置は、さらに、前記符号化手段により符号化された動画データを記憶するバッファを備え、前記導出手段は、さらに、前記符号化手段が第1のフレームを符号化した後に第2のフレームをイントラ符号化しようとする場合において、前記バッファの空き容量が所定量より大きければ、第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを、予め定められた固定値とし、前記バッファの空き容量が所定量以下であれば、第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを、第1のフレームの発生符号量に前記第1の補正係数よりも大きな第3の補正係数を乗算して得られた補正符号量を用いて導出する第3の方式により導出することとしてもよい。
また、前記導出手段は、さらに、前記符号化手段が第1のフレームを符号化した後に第2のフレームをイントラ符号化しようとする場合には、第1のフレームの発生符号量に関わらず、第1のフレームの量子化に用いられた量子化スケールに予め定められた係数を乗算することにより第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを導出することとしてもよい。
また、 前記係数は、5/4乃至4/3であることとしてもよい。
所定値が大きいほど、イントラ符号化フレームの発生符号量の抑制効果が高くなるが、画質が低くなる。シミュレーションの結果、所定値が5/4乃至4/3の範囲内であれば、発生符号量の抑制効果と画質とを両立させることができることが判明した。
また、前記導出手段は、さらに、前記符号化手段が第1のフレームを符号化した後に第2のフレームをイントラ符号化しようとする場合には、前記第1のフレームの量子化スケールのみならず、第1のフレーム以前の所定数のフレームのそれぞれの量子化スケールに基づいて、前記イントラ符号化しようとするフレームの量子化に用いる量子化スケールを導出することとしてもよい。
本発明に係る動画符号化方法は、動画データのフレーム毎に、量子化を伴うインター符号化及び量子化を伴うイントラ符号化を選択的に施す符号化ステップと、前記符号化ステップが第1のフレームをインター符号化した後に第2のフレームをインター符号化しようとする場合には、第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを、第1のフレームの発生符号量に第1の補正係数を乗算して得られた補正符号量を用いて導出する第1の方式により導出し、前記符号化ステップが第1のフレームをイントラ符号化した後に第2のフレームをインター符号化しようとする場合には、第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを、第1のフレームの発生符号量に前記第1の補正係数よりも小さな第2の補正係数を乗算して得られた補正符号量を用いて導出する第2の方式により導出する導出ステップとを備える。
(実施の形態1)
<構成>
図2は、実施の形態1に係る動画撮像装置の構成を示す図である。
動画撮像装置は、撮影レンズ1、撮像素子2、動画符号化装置31、制御マイコン4、プログラム記憶メモリ5、動画ストリーム記憶メモリ6を備える。撮影レンズ1は、撮像素子2に被写体像を結像する。撮像素子2は、被写体を撮影して動画データを生成する。動画符号化装置31は、撮像素子2が生成した動画データを圧縮符号化して動画ストリームを生成する。制御マイコン4は、プログラム記憶メモリ5に記憶されたプログラムに従って動画撮像装置全体を制御する。動画ストリーム記憶メモリ6は、動画符号化装置31が生成した動画ストリームを記憶する。
符号化部11は、いわゆるMPEGエンコーダであり、動画データのフレーム毎に、インター符号化及びイントラ符号化を選択的に施す。インター符号化は、フレーム間予測符号化、DCT(Discrete Cosine Transform) 、量子化、可変長符号化を含む。イントラ符号化は、フレーム内予測符号化、DCT、量子化、可変長符号化を含む。インター符号化及びイントラ符号化の選択は制御マイコン4からの指示に従う。実施の形態1では、10フレーム毎に1フレームだけイントラ符号化し、残りの9フレームはインター符号化する例で説明する。
符号量補正部12は、各フレームの発生符号量を測定し、以下の補正方式(数式2、3)に従って発生符号量を補正する。
フレームnがイントラ符号化フレームの場合
Cn'=Cn*P1 (数式2)
フレームnがインター符号化フレームの場合
Cn'=Cn *P2 (数式3)
Cnは、フレームnが符号化されて発生した発生符号量である。P1及びP2は、補正係数であり、P1<P2の関係がある。実施の形態1では、P1=Pただし(0<P<1)、P2=1の場合について説明する。補正係数Pは、数式4を満たす係数とする。
Cinterは、あるフレームを、ある量子化スケールを用いてインター符号化した場合に発生する発生符号量である。Cintraは、同じフレームを、同じ量子化スケールを用いてイントラ符号化した場合に発生する発生符号量である。補正係数Pは、イントラ符号化した場合の発生符号量をインター符号化した場合の発生符号量に換算するための係数を意味する。
フレーム(n+1)がイントラ符号化フレームの場合
Qp[n+1]=Qpintra (数式5)
フレーム(n+1)がインター符号化フレームの場合
Qp[n+1]=(Cn'/dstC)*Qp[n] (数式6)
Qpintraは、予め定められた固定値である。dstCは、予め定められた目標符号量である。
符号量補正部12は、上述のようにフレームnがイントラ符号化フレームの場合には数式2に従って発生符号量を補正し、インター符号化フレームの場合には数式3に従って発生符号量を補正する。以下に、これを実現するための構成の一例を示す。
符号量補正部12は、符号量測定部121、フレーム符号量記憶メモリ122、レジスタR1、R2、セレクタS1、乗算器M1を備える。
符号量測定部121は、符号化部11により符号化されたフレームnの発生符号量Cnを測定する。レジスタR1には補正係数Pが保持され、レジスタR2には補正係数1が保持されている。セレクタS1は、制御マイコン4からの指示によりフレームnがイントラ符号化フレームであれば乗算器M1に補正係数Pを与え、フレームnがインター符号化フレームであれば乗算器M1に補正係数1を与える。
上記構成により、符号量補正部12は、フレームnがイントラ符号化フレームの場合には補正符号量Cn'=Cn*Pを出力し、フレームnがインター符号化フレームの場合には補正符号量Cn'=Cnを出力することができる。
<動作>
図4は、実施の形態1に係る動画符号化装置31の動作を示す図である。
動画符号化装置31は、フレーム符号量記憶メモリ122においてフレーム2の符号量を記憶する(ステップS16)。ここでは、インター符号化されているので、C2が記憶される。これ以降、動画符号化装置31は、制御マイコン4から撮像停止の指示があるまでステップS13からステップS17までの処理を繰り返す。
動画符号化装置31は、制御マイコン4からの指示がフレーム(n+1)をインター符号化する指示であり(ステップS141:インター)、かつ、フレームnがインター符号化されていれば(ステップS142:インター)、フレーム(n+1)の量子化に用いる量子化スケールQp[n+1]を(Cn/dstC)*Qp[n]とする(ステップS143)。また、フレームnがイントラ符号化されていれば(ステップS142:イントラ)、フレーム(n+1)の量子化に用いる量子化スケールQp[n+1]を(Cn*P/dstC)*Qp[n]とする(ステップS144)。
<効果>
図6は、実施の形態1に係る量子化スケール、符号量、画質及び総符号量の時間的推移を示す図である。
図6(a)は、量子化スケールを示す。実施の形態1では、イントラ符号化フレームの量子化スケールは固定値Qpintraである(図5:ステップS145参照)。したがって、図6(a)に示すように、フレーム1、11、21の量子化スケールは同じ大きさになっている。通常、固定値Qpintraは、イントラ符号化フレームの発生符号量が目標符号量よりも大きくなるような値に設定される。これは、イントラ符号化フレームの発生符号量は、動画全体の画質に与える影響が大きく、発生符号量が小さすぎると動画全体にわたり画質が劣化するからである。
図6(d)は、総符号量を示す。実施の形態1では、イントラ符号化フレームの量子化スケールは固定値Qpintraである。Qpintraは、イントラ符号化フレームの発生符号量は目標符号量よりも大きくなるように設定されている。したがって、総符号量は累積目標符号量よりも大きくなる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、イントラ符号化フレームの量子化スケールは固定値Qpintraである。実施の形態2では、イントラ符号化フレームの量子化スケールも適宜調整することとする。
<構成>
実施の形態2に係る動画符号化装置は、その構成については実施の形態1に係る動画符号化装置とほぼ同様なので、実施の形態1と同じく図2を用いて説明する。
フレーム(n+1)がインター符号化フレームであり、フレームnがイントラ符号化フレームの場合
Cn'=Cn*P1 (数式7)
フレーム(n+1)がインター符号化フレームであり、フレームnがインター符号化フレームの場合
Cn'=Cn *P2 (数式8)
フレーム(n+1)がイントラ符号化フレームである場合
Cn'=Cn*P3 (数式9)
P1、P2、P3は、補正係数であり、P1<P2<P3の関係がある。実施の形態2では、P1=Pただし(0<P<1)、P2=1、P3=1/Pの場合について説明する。補正係数Pは、数式4を満たす係数である。
Qp[n+1]=(Cn'/dstC)*Qp[n] (数式10)
<動作>
図7は、実施の形態2に係る量子化スケール決定処理の詳細を示す図である。
<効果>
図8は、実施の形態2に係る量子化スケール、符号量、画質及び総符号量の時間的推移を示す図である。
図8(c)は、画質を示す。発生符号量のハンチングが抑制されるため画質は安定するが、イントラ符号化フレーム(フレーム11、21)の発生符号量が小さく抑えられているため、画像全体の画質は悪くなる。
(実施の形態3)
実施の形態1では、画質劣化を防止するためイントラ符号化フレームの発生符号量を目標符号量よりも大きくなるように設定する。そのため、総符号量が累積目標符号量を上回ることとなる。
<構成>
図9は、実施の形態3に係る動画撮像装置の構成を示す図である。
実施の形態3に係る動画符号化装置33は、実施の形態1に係る動画符号化装置31に累積差分符号量算出部14と目標符号量補正部15とを追加した構成となっている。それ以外の構成要素については、実施の形態1と同様なので説明を省略する。
IntC=Σ(Cn-dstC) (数式11)
目標符号量補正部15は、累積差分が0より大きい場合には、累積差分が大きいほど目標符号量が小さくなるように補正し、累積差分が0以下の場合には、目標符号量の補正をしない。具体的には、以下の数式12、13に従う。
dstC'=dstC-IntC/d (数式12)
IntCが0以下である場合
dstC'=dstC (数式13)
dは、1よりも大きな範囲内で予め定められた調整パラメータである。
フレーム(n+1)がイントラ符号化フレームの場合
Qp[n+1]=Qpintra (数式14)
フレーム(n+1)がインター符号化フレームの場合
Qp[n+1]=(Cn'/dstC')*Qp[n] (数式15)
なお、符号量補正部12は実施の形態1と同様に動作し、補正符号量Cn'を量子化スケール決定部13に与える。
図10は、累積差分符号量算出部14と目標符号量補正部15との詳細な構成の一例を示す図である。
累積差分符号量算出部14は、符号量測定部141、レジスタR1、R2、加算器A1、A2を備える。
発生符号量Cnは、加算器A1においてdstCが差し引かれる。加算器A1から出力された(Cn-dstC)は、加算器A2においてレジスタR2に保持されている累積差分と加算される。加算器A2の出力する累積差分IntCは、レジスタR2に新たに保持されるとともに目標符号量補正部15に出力される。
判定部151は、累積差分IntCが0より大きいか否かを判定して、判定結果をセレクタS1の制御端子に出力する。
セレクタS1は、判定部151からの判定結果によりIntCが0より大きければ乗算器M1に累積差分IntCを与え、IntCが0以下であれば乗算器M1にレジスタR4に保持されている0を与える。
上記構成により、目標符号量補正部15は、累積差分が0より大きい場合には、累積差分が大きいほど目標符号量が小さくなるように補正し、累積差分が0以下の場合には、目標符号量の補正をしないという処理を実現することができる。
<動作>
図11は、実施の形態3に係る動画符号化装置33の動作を示す図である。
動画符号化装置33は、フレーム符号量記憶メモリ122においてフレーム2の符号量を記憶する(ステップS37)。ここでは、インター符号化されているので、C2が記憶される。これ以降、動画符号化装置33は、制御マイコン4から撮像停止の指示があるまでステップS33からステップS38までの処理を繰り返す。
累積差分符号量算出部14は、累積差分IntCを算出する(ステップS341)。
目標符号量補正部15は、累積差分IntCが0より大きければ(ステップS342:Yes)、目標符号量を補正してdstC-IntC/dとする(ステップS343)。一方、目標符号量補正部15は、累積差分IntCが0以下であれば(ステップS342:No)、目標符号量を補正せずにdstCのままとする(ステップS344)。
<効果>
図13は、実施の形態3に係る量子化スケール、符号量、画質及び総符号量の時間的推移を示す図である。
図13(a)は、量子化スケールを示す。実施の形態3では、イントラ符号化フレームの量子化スケールは固定値Qpintraである。
フレーム2の発生符号量C2は、補正目標符号量dstC'にほぼ一致する。
また、実施の形態3は、累積差分IntCを用いるので、あるフレームにおいて急激に符号量が増加した場合であっても、その後のフレームの符号量をなめらかに推移させることができる。このことは、イントラ符号化フレーム直後に限らず、インター符号化フレームが続く範囲であっても同様である。例えば、フレーム26では、発生符号量が急激に増加しているが、その後のフレーム27、28では、発生符号量がなめらかに推移している。
図13(d)は、総符号量を示す。実施の形態3では、累積差分IntCが0より大きい場合に、それが大きいほど目標符号量が小さくなるように補正する。イントラ符号化フレームで発生符号量が超過したとしても、その後の数フレームの発生符号量が目標符号量よりも小さくなるので、総符号量は累積目標符号量に近づく。
(実施の形態4)
実施の形態4では、イントラ符号化フレームの量子化スケールを固定値とする第1モードと、適宜調整する第2モードとを、バッファの空き容量に応じて切り替える。
<構成>
図14は、実施の形態4に係る動画撮像装置の構成を示す図である。
空き容量測定部16は、バッファ17の空き容量を測定して、量子化スケール決定部に測定結果を通知する。
量子化スケール決定部13は、以下の数式16、17によりフレーム(n+1)の量子化に用いる量子化スケールを決定する。
Qp[n+1]=Qpintra (数式16)
フレーム(n+1)がイントラ符号化フレームの場合であってバッファ17の空き容量が所定量以下である場合、及び、フレーム(n+1)がインター符号化フレームの場合
Qp[n+1]=(Cn'/dstC)*Qp[n] (数式17)
Cn'は、数式7、8、9に従う。
<動作>
図15は、実施の形態4に係る量子化スケール決定処理の詳細を示す図である。
<効果>
イントラ符号化フレームの量子化に用いる量子化スケールが固定値の場合、バッファがオーバーフローしそうであっても、イントラ符号化フレームの発生符号量を調整することができない。一方、イントラ符号化フレームの量子化に用いる量子化スケールを適宜調整する場合、その発生符号量を小さく抑えることができる。
(実施の形態5)
実施の形態5では、目標符号量の補正をしない第1モードと、目標符号量の補正をする第2モードとを、バッファの空き容量に応じて切り替える。
<構成>
図16は、実施の形態5に係る動画撮像装置の構成を示す図である。
空き容量測定部16、バッファ17、転送部18は実施の形態4で説明したものと同様である。
フレーム(n+1)がイントラ符号化フレームの場合
Qp[n+1]=Qpintra (数式18)
フレーム(n+1)がインター符号化フレームの場合であってバッファ17の空き容量が所定量より大きい場合
Qp[n+1]=(Cn'/dstC)*Qp[n] (数式19)
フレーム(n+1)がインター符号化フレームの場合であってバッファ17の空き容量が所定量以下の場合
Qp[n+1]=(Cn'/dstC')*Qp[n] (数式20)
Cn'は、数式7、8、9に従う。dstC'は、数式12、13に従う。
<動作>
図17は、実施の形態5に係る動画符号化装置35の動作を示す図である。
動画符号化装置35は、得られた目標符号量に基づいてフレーム2の量子化スケールを決定する(ステップS56)。そして決定された量子化スケールを用いてフレーム2をインター符号化する(ステップS57)。
<効果>
実施の形態5に係る動画符号化装置は、バッファがオーバーフローしそうになれば、フレームn以前の超過量に応じてフレーム(n+1)の発生符号量を減少させる方向に働かせる。したがって、バッファがオーバーフローする確率を下げることができる。
(実施の形態6)
実施の形態6では、フレーム(n+1)をイントラ符号化する場合、量子化スケールは、フレームnの量子化スケールに基づいて決定される。この点が実施の形態1と異なる。これ以外については、実施の形態1と同様なので説明を省略する。
<構成>
符号量補正部12は、フレーム(n+1)がイントラ符号化フレームである場合、発生符号量の補正を行わない。
フレーム(n+1)を、インター符号化する場合
Qp[n+1]=(Cn'/dstC)*Qp[n] (数式21)
フレーム(n+1)を、イントラ符号化する場合であって、フレームnがインター符号化されている場合
Qp[n+1]=Pq1 *Qp[n] (数式22)
フレーム(n+1)を、イントラ符号化する場合であって、フレームnがイントラ符号化されている場合
Qp[n+1]=Pq2 *Qp[n] (数式23)
ここで、Pq1、Pq2は、それぞれ、予め定められた係数である。具体的には、係数は、5/4乃至4/3の範囲内で定められている。
<動作>
図18は、実施の形態6に係る量子化スケール決定処理の詳細を示す図である。
<効果>
図19は、実施の形態6に係る量子化スケール、符号量、画質の時間的推移を示す図である。
図19(c)は、画質を示す。発生符号量のハンチングが抑制されるため画質は安定するが、イントラ符号化フレーム(フレーム11、21)の発生符号量が小さく抑えられているため、画像全体の画質は悪くなる。
実施の形態6では、イントラ符号化する場合、量子化スケールが適応的に調整される。したがって、実施の形態2と同様に、画質や符号量が安定するという効果を得ることができる。
さらに、実施の形態6では、イントラ符号化する場合、量子化スケールは、直前のフレームの発生符号量に関わらずに導出される。したがって、実施の形態2に比べて、動画符号化装置の処理負荷を軽減することができる。
(実施の形態7)
実施の形態7では、フレーム(n+1)をイントラ符号化する場合、量子化スケールは、フレームnの量子化スケールに基づいて決定される。この点が実施の形態1と異なる。これ以外については、実施の形態1と同様なので説明を省略する。
<構成>
図20は、実施の形態7に係る動画撮像装置の構成を示す図である。
テーブル記憶部19は、フレームnの量子化スケールとフレーム(n+1)の量子化スケールとを対応付けて記憶している。
量子化スケール決定部13は、フレーム(n+1)をイントラ符号化する場合には、テーブル記憶部19を参照して、フレームnの量子化スケールからフレーム(n+1)の量子化スケールを決定する。
フレームnがインター符号化されていれば、フレーム(n+1)の量子化スケールは、Qnew1の中から決定される。フレームnがイントラ符号化されていれば、フレーム(n+1)の量子化スケールは、Qnew2の中から決定される。
<動作>
図22は、実施の形態7に係る量子化スケール決定処理の詳細を示す図である。
<効果>
実施の形態7では、実施の形態6と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態8)
実施の形態8では、ブロックライン毎に量子化スケールを調整する。ブロックラインとは、画像中において行列状に配されたマクロブロックの一行分のことである。
<構成>
図23は、実施の形態8に係る動画撮像装置の構成を示す図である。
符号量補正部12は、各ブロックラインの発生符号量を測定し、以下の補正方式(数式24)に従って発生符号量Cnを補正する。なお、実施の形態8では、ブロックライン(n+1)の量子化スケールを決定するために、先行する所定数のブロックラインの発生符号量を参照する。ここでは、1フレームが7ブロックラインからなり、量子化スケールを決定するために参照するブロックラインを、直前の7ブロックラインとする例で説明する。
CAnaは、7ブロックラインにおいて発生した発生符号量のうち、イントラ符号化されたブロックライン相当分の発生符号量である。CAnbは、7ブロックラインにおいて発生した発生符号量のうち、インター符号化されたブロックライン相当分の発生符号量である。P1及びP2は、補正係数であり、P1<P2の関係がある。実施の形態8では、P1=Pただし(0<P<1)、P2=1の場合について説明する。補正係数Pは、数式4を満たす係数とする。
ブロックライン(n+1)がイントラ符号化される場合
Qp[n+1]=Qpintra (数式25)
ブロックライン(n+1)がインター符号化される場合
Qp[n+1]=(Cn'/dstC')*Qp[An] (数式26)
Qp[An]は、参照する7つのブロックラインに係る量子化スケールの平均値、又は、7つのブロックラインに係る量子化スケールの最頻値である。
図24は、符号量補正部12の詳細な構成の一例を示す図である。
符号量補正部12は、符号量測定部121、ブロックライン符号量記憶メモリ123、レジスタR1、R2、セレクタS1、乗算器M1、加算器A1を備える。
符号量測定部121は、符号化部11により符号化されたブロックラインnの発生符号量Cnを測定する。レジスタR1には補正係数Pが保持され、レジスタR2には補正係数1が保持されている。セレクタS1は、制御マイコン4からの指示によりブロックラインnがイントラ符号化フレームであれば乗算器M1に補正係数Pを与え、ブロックラインnがインター符号化フレームであれば乗算器M1に補正係数1を与える。
ブロックライン符号量記憶メモリ123は、7つのレジスタからなるシフトレジスタである。乗算器M1からの乗算結果は順番にブロックライン符号量記憶メモリ123に記憶される。加算器A1は、ブロックライン符号量記憶メモリ123の各レジスタの記憶値を加算する。加算結果が補正符号量Cn'となる。
この場合、加算器A1の加算結果は、数式27のようになる。
Cn'=(C5+C6+C7)*P+(C8+C9+C10+C11) (数式27)
C5+C6+C7は、イントラ符号化されている各ブロックラインの発生符号量の合計CAnaである。また、C8+C9+C10+C11は、インター符号化されている各ブロックラインの発生符号量の合計CAnbである。
<動作>
図25は、実施の形態8に係る動画符号化装置38の動作を示す図である。
動画符号化装置38は、制御マイコン4からの指示により符号化を開始し、最初にブロックライン1をイントラ符号化する(ステップS82)。ブロックライン1は先行するブロックラインがないため必然的にイントラ符号化される。量子化スケールの初期値は、実施の形態8ではイントラ符号化する場合の量子化スケールであるQpintraを用いる。その後、動画符号化装置38は、ブロックライン符号量記憶メモリ123においてブロックライン1の符号量を記憶する(ステップS83)。ここでは、イントラ符号化されているので、C1*Pが記憶される。
ブロックライン7のイントラ符号化が完了すれば、動画符号化装置38は、目標符号量を補正し(ステップS86)、ブロックライン1から7までの符号量の合計、量子化スケール及び補正後の目標符号量に基づいてブロックライン8の量子化スケールを決定する(ステップS87)。そして決定された量子化スケールを用いてブロックライン8をインター符号化する(ステップS88)。
図26は、実施の形態8に係る量子化スケール決定処理の詳細を示す図である。
一方、動画符号化装置38は、制御マイコン4からの指示がブロックライン(n+1)をイントラ符号化する指示であれば(ステップS851:イントラ)、ブロックライン(n+1)の量子化に用いる量子化スケールQ[n+1]をQpintraとする(ステップS853)。
<効果>
図27は、実施の形態8に係る符号量の時間的推移を示す図である。
ブロックライン12の量子化スケールを決定する場合、区間A5に含まれる7ブロックラインの発生符号量(C5からC11まで)が参照される。そのうち区間A5aに含まれるブロックライン(5から7まで)は、イントラ符号化されているので補正の対象となる。区間A5bに含まれるブロックライン(8から11まで)は、インター符号化されているので補正されない。
(実施の形態9)
実施の形態9では、動画符号化装置39は、実施の形態1から8までの量子化スケール決定方式を全て含み、これらはユーザの指定により任意に適用される。
<構成>
図28は、実施の形態9に係る動画撮像装置の構成を示す図である。
モード切替釦7は、実施の形態1から8までの量子化スケール決定方式のうちいずれかの指定を受け付ける。当該指定は、制御マイコン4を通じて動画符号化装置39に通知される。動画符号化装置39は、指定された量子化スケール決定方式を適用して動画データを符号化する。
(1)実施の形態では、Qp[n+1]=(Cn*P/dstC)*Qp[n]を実現するために、符号量補正部12がCnに補正係数Pを乗じて補正をするという立場で説明している。しかしながら、当該数式の解釈はこれに限らない。例えば、符号量の補正はせずに、フレームnがイントラ符号化フレームの場合には目標符号量をP/dstCに補正するという解釈でもよい。この場合、図1の符号量補正部12が無くなり、量子化スケール決定部が、目標符号量として、イントラ符号化の場合にはP/dstCを選択し、インター符号化の場合には1/dstCを選択する仕様となる。
(2)実施の形態では、補正係数Pを固定値としているが、これに限らない。例えば、数式28のように、参照するフレームの量子化スケールが小さいほど補正係数Pが大きくなるようにしてもよい。
ここで、b、cは調整パラメータである。
また、数式28に近似される直線、定数、または量子化スケール毎に与えられたテーブルを参照して決定してもよい。
(3)実施の形態6では、目標符号量の補正を1フレーム毎に行うが、これに限らず1ブロックライン毎に行ってもよい。
(4)符号化部11は、MPEGエンコーダとして説明しているが、予測符号化と量子化とを併用して符号化するものであれば、これに限らない。
(5)実施の形態では、フレーム(n+1)の量子化スケールを演算により導出しているが、本発明は、これに限らない。例えば、フレームnの予測符号化方式、量子化スケール及び発生符号量の全ての組み合わせに対応付けられた量子化スケールの中からフレーム(n+1)の量子化スケールを決定してもよい。この場合には、フレーム毎に演算することなく、量子化スケールを導出することができる。
(6)実施の形態では、フレーム(n+1)の量子化スケールを導出するために、フレームnの各パラメータ(予測符号化方式、量子化スケール及び発生符号量)が参酌されているが、フレームn以前のフレームであれば、これに限らない。例えば、フレーム(n−1)の各パラメータを参酌してもよい。
(7)実施の形態では、量子化スケールを導出するために、1のフレームの各パラメータが参酌されているが、複数のフレームの各パラメータを参酌しても構わない。複数のフレームの各パラメータを参酌すれば、動画符号化装置の処理負荷は増加するが、ハンチング抑制効果はより増大すると考えられる。
2 撮像素子
4 制御マイコン
5 プログラム記憶メモリ
6 動画ストリーム記憶メモリ
7 モード切替釦
11 符号化部
12 符号量補正部
13 量子化スケール決定部
14 累積差分符号量算出部
15 目標符号量補正部
16 容量測定部
17 バッファ
18 転送部
19 テーブル記憶部
31乃至39 動画符号化装置
121 符号量測定部
122 フレーム符号量記憶メモリ
123 ブロックライン符号量記憶メモリ
141 符号量測定部
151 判定部
Claims (13)
- 動画データのフレーム毎に、量子化を伴うインター符号化及び量子化を伴うイントラ符号化を選択的に施す符号化手段と、
前記符号化手段が第1のフレームをインター符号化した後に第2のフレームをインター符号化しようとする場合には、第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを、第1のフレームの発生符号量に第1の補正係数を乗算して得られた補正符号量を用いて導出する第1の方式により導出し、
前記符号化手段が第1のフレームをイントラ符号化した後に第2のフレームをインター符号化しようとする場合には、第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを、第1のフレームの発生符号量に前記第1の補正係数よりも小さな第2の補正係数を乗算して得られた補正符号量を用いて導出する第2の方式により導出する導出手段と
を備えることを特徴とする動画符号化装置。 - 前記第1の補正係数は、1であり、
前記第2の補正係数は、1/5乃至1/3の範囲内で予め定められた固定値であること
を特徴とする請求項1に記載の動画符号化装置。 - 前記動画符号化装置は、さらに、
第1のフレーム以前の各フレームで発生した発生符号量の累積量と当該各フレームに定められた目標符号量の累積量との差分を取得する差分取得手段を備え、
前記導出手段における第1の方式及び第2の方式は、前記差分が前記第1のフレームの発生符号量に対して大きいほど、第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを大きくすること
を特徴とする請求項1に記載の動画符号化装置。 - 前記導出手段における第1の方式及び第2の方式は、さらに、前記発生符号量の累積量が前記目標符号量の累積量を超過していなければ、前記差分に関わらず、前記第1のフレームの発生符号量が大きいほど、第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを大きくすること
を特徴とする請求項3に記載の動画符号化装置。 - 前記動画符号化装置は、さらに、
前記符号化手段により符号化された動画データを記憶するバッファを備え、
前記導出手段における第1の方式及び第2の方式は、さらに、前記バッファの空き容量が所定量より大きければ、前記差分に関わらず、前記第1のフレームの発生符号量が大きいほど、第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを大きくすること
を特徴とする請求項3に記載の動画符号化装置。 - 前記導出手段は、さらに、
前記符号化手段がフレームをイントラ符号化しようとする場合には、当該フレームの量子化に用いる量子化スケールを、予め定められた固定値とすること
を特徴とする請求項1に記載の動画符号化装置。 - 前記導出手段は、さらに、
前記符号化手段が第1のフレームを符号化した後に第2のフレームをイントラ符号化しようとする場合には、第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを、第1のフレームの発生符号量に前記第1の補正係数よりも大きな第3の補正係数を乗算して得られた補正符号量を用いて導出する第3の方式により導出すること
を特徴とする請求項1に記載の動画符号化装置。 - 前記動画符号化装置は、さらに、
前記符号化手段により符号化された動画データを記憶するバッファを備え、
前記導出手段は、さらに、
前記符号化手段が第1のフレームを符号化した後に第2のフレームをイントラ符号化しようとする場合において、
前記バッファの空き容量が所定量より大きければ、第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを、予め定められた固定値とし、
前記バッファの空き容量が所定量以下であれば、第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを、第1のフレームの発生符号量に前記第1の補正係数よりも大きな第3の補正係数を乗算して得られた補正符号量を用いて導出する第3の方式により導出すること
を特徴とする請求項1に記載の動画符号化装置。 - 前記導出手段は、さらに、
前記符号化手段が第1のフレームを符号化した後に第2のフレームをイントラ符号化しようとする場合には、第1のフレームの発生符号量に関わらず、第1のフレームの量子化に用いられた量子化スケールに予め定められた係数を乗算することにより第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを導出すること
を特徴とする請求項1に記載の動画符号化装置。 - 前記係数は、5/4乃至4/3であること
を特徴とする請求項9に記載の動画符号化装置。 - 前記動画符号化装置は、さらに、
第1のフレームの量子化スケールと第2のフレームの量子化スケールとが対応付けられたテーブルを記憶している記憶手段を備え、
前記導出手段は、さらに、前記符号化手段が第1のフレームを符号化した後に第2のフレームをイントラ符号化しようとする場合には、前記テーブルを参照することにより、第1のフレームの量子化に用いた量子化スケールから第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを導出すること
を特徴とする請求項9に記載の動画符号化装置。 - 被写体を撮像して動画データを生成する撮像素子と、
前記撮像素子が生成した動画データのフレーム毎に、量子化を伴うインター符号化及び量子化を伴うイントラ符号化を選択的に施す符号化手段と、
前記符号化手段が第1のフレームをインター符号化した後に第2のフレームをインター符号化しようとする場合には、第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを、第1のフレームの発生符号量に第1の補正係数を乗算して得られた補正符号量を用いて導出する第1の方式により導出し、
前記符号化手段が第1のフレームをイントラ符号化した後に第2のフレームをインター符号化しようとする場合には、第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを、第1のフレームの発生符号量に前記第1の補正係数よりも小さな第2の補正係数を乗算して得られた補正符号量を用いて導出する第2の方式により導出する導出手段と
を備えることを特徴とする動画撮像装置。 - 動画データのフレーム毎に、量子化を伴うインター符号化及び量子化を伴うイントラ符号化を選択的に施す符号化ステップと、
前記符号化ステップが第1のフレームをインター符号化した後に第2のフレームをインター符号化しようとする場合には、第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを、第1のフレームの発生符号量に第1の補正係数を乗算して得られた補正符号量を用いて導出する第1の方式により導出し、
前記符号化ステップが第1のフレームをイントラ符号化した後に第2のフレームをインター符号化しようとする場合には、第2のフレームの量子化に用いる量子化スケールを、第1のフレームの発生符号量に前記第1の補正係数よりも小さな第2の補正係数を乗算して得られた補正符号量を用いて導出する第2の方式により導出する導出ステップと
を備えることを特徴とする動画符号化方法。
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