JP4798917B2 - 乗物ルート計画方式 - Google Patents

Description

【０００１】
（政府の関与）
本発明はＮＡＳＡラングレーリサーチセンター裁定の米国協力契約第ＮＣＣ−１−２９１号の下に政府援助により開発された。米政府は本発明に何等かの権利を持ち得る。
【０００２】
（発明の属する技術分野）
本発明は乗物航法に関し、特に、表示と使用者との対話を含む、航空機ルートの計画に関する。
【０００３】
（技術的背景）
航空業界には今後１０年間に重大事故率を８０％減少させる目標がある。同時に空の交通量は増え続けており、国の空域システムは大きな変更下にある。特に航空機パイロットには、彼等自身で危険を避ける責任が更に課せられるであろう。
【０００４】
天候は航空機事故の第三の要因である。米国航空宇宙局（ＮＡＳＡ）は現在、より良好な天候情報を提供し、危険の特性化、状況の監視、データの表示、決断の援助を改善する多年度に亙り努力に着手した。現時点では管制官、運航管理者並びに航空交通管理者は民間業者若しくは政府機関からの多数の気象情報にアクセスし得る。大型定期旅客機上での気象情報のグラフィック表示は、搭載型気象レーダまたは気象報告書からの情報に限定される。途中での更新情報は、無線を介しての音声メッセージあるいは航空機に搭載した文字数字式のデータリンクのプリントアウトの何れかとして送られる。
【０００５】
概して飛行計画は複雑な仕事である。戦略的な計画や再計画のツールは、全飛行の各局面において航空機が飛行する航路、速度及び高度を記述したフライトプランを作成する。完全に自動化された方式で作成される基礎的なモデルあるいは仮定は不完全あるいは誤りを免れないものであるため、人的オペレータと対話する連動的なプランナーの広い概念を提案している。パイロットおよび運航管理者は一様に、危険情報を単に付加するのみでは航路選定の有効な決断の適切な援助とはならないと述べている。従って、航空機のルート計画を作成し修正し得る、安全の向上と使用の容易性との双方を達成するより進歩した設備が未だ必要である。
【０００６】
（発明の要旨）
本発明は気象上の危険や飛行中の他の条件を含む多数の要因に応じて航空機やそれと類似のビークルの経路を作成する方法とシステムとを提供する。
【０００７】
本発明は気象上および他の危険に対してインタラクティブ（対話的）にルート（経路）を計画するシステムおよび方法を提供する。また、到着時刻、燃料効率、旅客の快適性、領空飛行料、滑走路や他の設備の交通の密集度や閉鎖を含むターミナルの状況などのような、ルート計画に影響する要因についての、データ表現およびモデルを提供する。更には、飛行中の状態のデータの表示とルートの操作とを促進するインターフェイスを提供する。コンピュータ算出の提案ルートを修正するルートオプティマイザ（ルート最適化装置）と共に使用することもできる。
【０００８】
本発明は、手に入れたデータに応じて各種の危険を表示し、フライトプランを目的として、危険を特徴付ける境界や他の仕様を定義することにより、上記または他の目的を達成する。制御手段は、使用者が表示データの変更やルートの操作を行うことを可能にする。
【０００９】
（発明の詳細な説明）
ここでの説明と添付図面は当業者に発明を理解させ実施させるに充分な詳細さで、本発明を実施し得る特定の実施形態を示す。理論的、電気的、機械的諸変更を含む他の実施形態は当業者の技術範囲内にある。格別明記しない発明の他の利点若しくは特徴もまた当業者には明らかである。発明の範囲は添付の請求範囲によってのみ定義され、下記の特定の実施形態によって定義されるものではない。
【００１０】
図１は、本発明によるフライトプラン（飛行計画）情報処理用のシステム１００の高位ブロック図である。ブロック１１０は、フライトプランまたは企図するルートを表すデータの構成である。ブロック１２０は、フライトプランに関連する一以上の危険を表すデータを含む。コンピュータプログラムコード１３０は、ブロック１１０及び１２０にデータを入れたり、これらのブロックのデータを表示するためのインターフェイスをインプリメント（実現）する。ルートソース１４０は、燃料、フライトの長さ、および危険または問題の存在下での他の要因のうちの１又は複数のものを含む原価関数を最小化するためのフライトプランを自動的に作成するコンピュータプログラムコードを含むオプティマイザとすることができる。ここに参照用として組み入れるスティーブン・ジー・プラット及びゲーリー・エル・ハートマン（代理人整理番号Ｈ１６−２５４５８）による「フライトプラン等のための危険検出（Hazard Detection for Flight Plans and the Like）」という米国特許出願は、このようなオプティマイザの実施形態を記載する。更に一般的には、ブロック１４０は、使用者がインターフェイス１３０へ手動で入力した標準プランのテンプレートとプランとを含む任意のフライトプランのソースで良いと考えられる。ブロック１１０〜１４０はデータを入力し表示する装置１５１〜１５３を有する、１５０で示されるパーソナルコンピュータのような汎用あるいは特定用途用の任意の好都合な型のコンピュータの一部を形成し得る。データの一部または全ては気象サービスのような外部ソースから来るものであり、通信装置１５３を介してコンピュータ１５０へ入力される。コンピュータ１５０の機能のいずれかを実現させるコードは、装置１５３からの信号のような媒体上に表されるものや、コンピュータ１５０の外部または内部のディスク１５４のような媒体に記憶されるものである。
【００１１】
図２は、システム１００で使用するデータを示す地理的領域２００の略図である。フライトプラン２１０は、予め選択した中間地点２１４〜２１７間の一連の線分（セグメント）２１１〜２１３として表わされる。中間地点は水平パラメータと垂直パラメータとの双方を有し、各々が緯度、経度および高度で定義される。フライトプランは、オペレーションセンター、運航管理者またはパイロット、あるいはオプティマイザー１４０のようなコンピュータプログラムによって作成することができる。
【００１２】
ここで「危険」とは、フライトプランが回避すべき特徴または状態に対する一般的用語である。重要な危険の多くは、例えば、対流、乱流、着氷のような気象に関するものである。他の大気状態には火山灰または成層圏のオゾン濃度が含まれる。軍用演習地や、領空飛行料を伴う地域や、規制区域のような政治的指定地もまた、危険と考えられている。システム１００に表示し得る状態であれば、現況においては実際上危険である。危険データは固定基地または航空機搭載の気象レーダ、民間および官設のオペレーション、航空図を含む多数のソースから入来する。本システムではまた、そのシステムオペレータがインタフェース１３０を介して直接に危険のデータ若しくはその型式を入力てもよい。
【００１３】
危険は、２２０のような多角形として実施形態が示される。多角形は頂点または縁線による簡潔な表示である。多角形は変化を表すために容易に変形でき、また容易に三次元に一般化できる。危険多角形は頂点２２１〜２２５の緯度と経度とによって定義される。縁線は隣接する一対の頂点間の大円接続である。縁線の数は任意である。所望される場合、三次元的に多面体（図示せず）によっても危険を表示でき、その場合の頂点は高度パラメータをも持つことになる。危険の運動は、多角形の重心の方向と速度を特定するベクトル２２６によって表される。２２６’のような付加的なベクトルを連続して加えて、ある時間間隔の経路を定義する。この実施形態は全ての多角が凸状であることを要求することによって、計算が簡素化されている。しかしながら、２３０のような更に複雑な形状でも多数の凸状角２３１、２３２等から構成できる。各気象区域すなわち多角形はまた、その激烈性、範囲、予報確率のような危険な点の程度を含む関連特徴データの組み合わせを含ませ得る。
【００１４】
図示のシステム１００は全フライトプランに亙って動作する計略的なプランナー（計画装置）であり、領域２００内の特徴を表すための格子（グリッド）の寸法２０１はフライトの長さによって変化する。計算の数を適正な数に低減するために、この実施形態では、例えば、５０００ｋｍの大陸横断フライトにおいて直径１ｋｍの対流域を縫うように通るようには構成されていない。しかし、計算速度の改善は結果的に個々の小さい危険の回避を可能とし、また戦術的な見地をこのシステムに統合することも可能とする。システムの戦略的特性はまた、結果として、フライトの巡航段階で発生する危険に優先順位をつける。例えば、ミクロバーストは航空機の性能に影響を与え得るが、その影響は通常は低高度、離陸と着陸の局面で発生するので、この実施形態において受ける注目度のレベルは低いものとなる。
【００１５】
幾つかの危険、特に気象上の危険は、変化する強度で現れる。この複雑性をプロセスに加えるよりはむしろ、本実施は、オペレータが危険であると考える危険のみを考慮し、オペレータに様々な危険に対する限界（閾値）を設定させて、閾値を越えるもののみが考慮のために表示されるようにする。これが使用者に対するデータ表示を簡素化し、危険の境界を直接的に処理することによって１４０のようなオプティマイザーを更に現実的に制御できるようにし、オプティマイザーによってなされるルートの決定の明瞭な視覚化を可能とする。更に、危険域周囲の境界の鮮明な視覚化は、同一の標準を多数のフライトに応用し得るようにし、運航管理者のような使用者に、全体としての全機オペレーションにおける１つのフライトのルート決定（人あるいはコンピュータによる）の効果をより良く理解させ得る。
【００１６】
図３は図１のシステム１００の全サイクル３００を示す。ブロック３１０は、上述したような外部ソースから危険データを得る。ブロック３２０は、インターフェース１３０を操作する使用者から情報を得、危険領域とその型式とを作成および削除し、かつ各種の形態の危険について閾値を設定する。異なるフライト状態は異なって扱われる。例えば、貨物フライトは、旅客機が旅客の快適性のために回避を望むような乱流域を飛ぶことを選択することもある。また、パイロットは、分散した対流の活動域を通って飛行したり、孤立した域を避けるために小規模な横方向への逸脱を行うことを決定することがある。他方、濃密な活動域全体を周航することもある。閾値設定に用いる共通の用語が在る。例えば、「隔離された」活動は単独のセル（域）を意味するものであり、「広く分散した」は、ある領域の２５％またはそれ以下のところにおいて生じる活動を意味するものであり、「分散した」は５４％までのところにおいて生じる活動を意味するものであり、「多数の」は５５％およびそれ以上のところにおいて生じる活動を意味する。確率の用語はまた一般に用いられるものであり、例えば、「僅かなチャンス」は降水の確率１０〜２０％、「チャンス」は３０〜５０％、そして「時折り」は少なくとも５０％の確率であるが、予報期間の半分以下にわたるものである。これらの用語は必ずしも異なる状況間で一貫性はなく、例えば、「時折り」の乱流は、或る時間の１／３より少ない期間発生するが、「断続して」は２／３まで発生し、「継続して」はそれ以上に発生する。幾つかの状況は航空会社の政策で決定され、例えば、旅客機が有害レベルを越えるオゾン濃度以下の高度で飛ぶことを規制している。着氷などのような他の状況は、或るレベル以上を回避するよう指定される。加えて、異なる着氷規制が異なる航空機に適用されており、本発明は運航管理者に、航空機ごとを基礎として着氷などに対して異なる規制を設定させている。
【００１７】
ブロック３３０は、ブロック３１０および３２０が提供する情報から、図２の領域２２０や２３０のような危険多角形の境界線を発生する。再び述べるが、境界線を凸状多角形（あるいは多面体）に制限することはオプティマイザーでの計算を簡素化するが、この概念における要求ではない。ブロック３４０はルートを表すデータを受信する。上述したように、ルートは、１４０のようなオプティマイザーや、記憶されたプランのライブラリーのような多くの異なるソースから、あるいは直接的にインターフェース１３０を介しての使用者入力から、入来する。ブロック３５０は、インターフェース１３０を介して危険領域と算出したフライトプランとを表示する。ブロック３６０は、次いで、使用者が望む場合に上記サイクルを繰り返す。ブロック３７０はフライトプランに関する図１の情報１１０を出力する。
【００１８】
図４は、図１のインターフェース１３０用のコンピュータ表示４００を示す。領域４０１は、ルートデータ１１０と危険データ１２０とを地理的なデータと状況に関連して有用な他のデータとの背景上に、横方向に概略的に示す表示を含む。領域４０２は、ルートを通じての垂直断面におけるルートおよび危険のデータを表示する。領域４０３は、領域４０１のデータ表示を操作するための標準コントロールアイコンの表示を含む。表示４００は、オペレーションを容易とするためにヒューマンファクタと人間中心デザイン戦略とを統合したものである。本実施形態におけるデザインは、可能なところでは、画一性を保つために航空機産業界で採用されている現行の規約を用いているが、その規約において本システムの機能を提供しない部分に関してはその規約に限定されない。全表示は、眼の疲れを減じて環境条件範囲全般で視認性を高めるために、通常のオペレーション用の和らげられた色彩を提唱する「暗いコックピット」の概念に従う。航空機器では殆ど世界的なように、表示要素の背景色として黒を使用する（図４は説明を明瞭にするために適した色彩を用いている）。
【００１９】
領域４０１は、この実施形態では東京成田（ＴＫＯ）空港からミネアポリス−セントポールリンドバーグ（ＭＳＰ）空港までのフライトの地理的領域の地図状の平面または横方向の描写を含む。大きい地理的領域については、横方向の描写は、ワールドエアロノーティックチャート（ＷＡＣ）が採用する変更型円錐投影図（modified conical projection）に従う。
【００２０】
提案されたフライトプランのルート４１０は、図４においてそれぞれ太線と小黒丸で示される多数の中間地点間の線分（セグメント）を有する。この図では、データ表示は中間地点の高度を直接に示していない。シンボル４１１は、現在の時間指標での航空機位置を示す。複数のルート（図示せず）を、所望により、相互の差異を付けるために例えば点描のような特徴付けによって、同時に表示できる。使用者は、命令または強制された中間地点を挿入したり、中間地点を移動や削除することにより、フライトプラン４１０を操作できる。マウスのようなデータ挿入装置１５１による従来のクリックやドラッグの動作により、この機能を実現できる。用語「マウス」は、トラックボール、ジョイスティック等の各種のカーソル位置決め装置を含むものとして広範囲に理解されるべきである。
【００２１】
集合的に４２０で示される領域は、回避すべき危険または他の状態の各種の形態を表示する。これら領域の境界は不規則な線で示される。実際の表示では、各種の形態の危険が、激烈度を示すために濃淡を付けた異なる色または色相で示される。特定の色と濃淡とが、特定環境における視認性を高めるために選定される。例えば、明るい方の濃淡は、表示４００において高い激烈性レベルを示し、選択した暗い背景との対照を強めるようにしている。また、気象現象は同じ付近で発生する傾向があるため、危険領域は表示上でしばしば密集する。従って、危険領域の表示順序は重要度で割当た順序に従い、火山活動を最高位にし、対流活動をレベル３に、着氷をレベル３に、乱流をレベル４に、オゾンをレベル２で最低とする。色彩の透明性（即ちアルファ軸）もまた、同一の位置に生じうる気象と陸とのような複数の要素の認知を容易にする。また後述のように、オペレータは、各種の現象をフィルターにかけて、現在対象とするもののみを視ることができる。表示４００は全ての激烈性レベルの危険を含むが、望まれる場合は幾つかのレベルを除外することもできる。図４は、異なる色彩を象徴するために境界線を異なるパターンとした例示的な３種の危険域を示しており、４２１〜４２３におけるような実線は対流気象を表し、点線４２４〜４２６は着氷を表し、鎖線（dot-dash line）４２７〜４２９は乱流を表す。各領域に関連させて四角で囲んだ数字は、危険の激烈性および確率の少なくともいずれかを表す。変化する点描の量のような視覚効果が４２７’でのように用いられて、区画された境界線内での危険のおよぶ大きいまたは小さい領域を示す。
【００２２】
多角形または他の境界線４３０は危険領域４２０を囲む。オペレータは、マウスまたは他の入力装置で点を選択し、それを引きずって個々の多角形４３１〜４３９を描く。危険多角形はまた、フライトプランを構築する者以外のオペレータによっても描かれ、また、危険情報をシステム１００に提供するソースによって自動的に生成される。これらの危険はまた、特性ボックスを生じるファイル内の特性をも含む。この情報の一部または全部はデフォルト値または名目値として含むことができる。
【００２３】
旅行の方向と速度との少なくともいずれかを、多角形の中心を選定してベクトルを引きずる（ドラッグする）ことによって、多角形に付加することができる。複数の連続するベクトルの経路も挿入することができる。単独の多角形は、複数の気象区域を含むことができ、例えば、多角形４３２は、区域全体の洞察を防げるほどに接近していると考えられる複数の域（セル）を有するスコール線を包含する。本システム内に組み込んだ危険以外の危険は「カスタム（注文）」型として定義され入力される。
【００２４】
オペレータは、多角形の特性ボックスを、多角形をダブルクリックすることによって開くことができる。図５はその特性ボックスの一例５００を示す。オペレータは危険に関連する情報を入力することができ、その情報は、名称、激烈性レベル、説明、危険が続く時間、垂直方向の寸法、および備考を含む。危険を動かすためには、特性は下記のものを含む。
・描出した頂点が危険の位置を表すものである、初期時間値。典型的には、この時間値は未来にあり、頂点は気象モデルまたは他の予報情報を組み込むものである。
・危険多角形の動きの中心を表す点の位置。
・中心位置における多角形の動きの方向と速さ。動きは、航程線ではなく大圏に沿って生じるため、方向は大きな距離で変化する。
危険多角形は大圏経路に沿って移動するため、表示プログラムは、その座標を地球座標系から、大圏に一致する基準座標系へと変換し、それを、指定された速度で移動した距離に対応する角度たげ回転させ、次いで、座標を元の地球座標系に戻して領域４０１に表示するようにする。本実施例では危険多角形を動かすため一定の形を用いる。しかしながら、望まれる場合には、様々な時間に対して複数の形状を定めることも可能である。複雑性を加えることに価値があるならば、時間にわたって、コース、速度や他の特性を変えることもできる。
【００２５】
領域４０１はまた、地理的、地形的、政治的な特徴、あるいは他の特徴をも表示することができる。例えば、線分４４１および４４２は、弱めた透明色により広い陸地の海岸線を示す。
【００２６】
領域４０１はまた、幾つかのデータおよび制御アイコン４５０を含む。説明文４５１はフライトの日付と時刻を示す。従来の形態のムービープレーヤーコントロール４５２は、危険形状４２０および４３０の位置と航空機シンボル４１１の位置とを示すための現在時間インデックスを示す。組み合わされたスライダー（スライド部）は、オペレータの制御下で時間インデックスを変化させ、フライトプランは、従来のレコーダー型ボタン群によって時間を追って示されるようにされ、移動する危険と航空機シンボルとが動くようにされる。ボタン群は、連続動作（連続プレイ）、休止（ポーズ）、開始、および終了を選択するものである。コントロール４５３は、領域４０１に示される空間の水平方向断面の高度を示し且つ変更するものであり、スライダーを最大限に移動させると全高度を示す。
【００２７】
浮動するウインド４５４は、各種の形態の危険についての制御と色彩および濃淡の規約とを含む。テキストラベルは、危険の形態の名称を付すものであり、オペレータが定めた「カスタム」型式を含む。バー（棒）は、区域４２０と多角形４３０の中のそれぞれの危険の型式を指定するために用いられる色合いと、それぞれの危険の様々な激烈性レベルを示すために用いられる濃淡を表す（明瞭にするため、色彩の指定は図４の区域と多角形から省略している）。ウインド４５４内のチェックボックスは、対応する形態の危険を表示すべきかどうかを、オペレータが選択することを可能にする。
【００２８】
領域４０２はフライトプラン４１０’のセグメントに沿ったスライスを通して取り出したルートの垂直表示であり、中間地点と航空機位置指示体（インジケータ）４１１’とを含む。垂直方向寸法は水平方向寸法より大きく誇張されている。明るい水平線４６０は、フライトレベルにマークした（即ち、数１００フィート）、平均海面レベル上の高度の増分を表す。点線４６１のレベルは、コントロール４５３の高度スライダによって設定される。ルート４１０’と交差する危険領域４２１’、４２５’および４２８’ならびにそれらの多角形４３１’、４３５’および４３８’の垂直投影が、領域４０２に示される。
【００２９】
領域４０３は、フライトプランに影響するデータ値と制御構造とを含む。フライトとルート反復数（route iteration number）とを表す一般的情報が、一般情報クラスタ４７０に含められる。オペレータは、フライトを選択し、ドロップダウンボックスで幾つかの代替ルートから選択を行う。このサブエリア（副領域）はまた、出発地、目的地および中間地点に関する情報を含む。スクロールボックスは、中間地点、例えば中間地点の名前（「ｗｐｔ３」等）、方位、途中の予測時刻、および残留燃料に関する情報を含む。使用者は、要求される到着時刻（ＲＴＡ）、高度、および他の制限を同様にここに入力することができる。閾値クラスタ４８０は、対流気象（Ｃｏｎ）、着氷（Ｉｃｅ）、オゾン濃度（Ｏｚｎ）、乱流（Ｔｒｂ）、火山灰（Ａｓｈ）およびカスタムゾーン（Ｃｚ）などのような多数の異なる型式の危険について、激烈性の閾値をオペレータに設定させることを可能にするスライダを含む。推奨される最大値が各スライダの上のボックス内に現われる。使用者は、スライダをスライドさせて、フライトプランにおいて回避させようとする閾値を設定する。これらの値はオプティマイザ１４０へ通信され得る。
【００３０】
副領域４９０は、危険区域４２１〜４２９の一つに関する情報を、対応する多角形４３１〜４３９上でのマウスの１回のクリックに応答して、含む。図４は、副領域４９０の最上部のエントリ（記入項目）に、“アイシングブラボー”と名付けた区域４２６の情報を示す。他のエントリは、激烈性レベル、フライト経路との予想される交差時刻、危険多角形の中心位置、危険区域内に見られる激烈性レベルの範囲、危険が存在する時間帯、そして危険の激烈性の傾向を示す。使用者はこの副領域の最下部にタイムスタンプ付きの備考（メモ）を入力することができる。他のエントリの幾つかはまた、データを直接に入力して編集することができるが、幾つかのものはそれが禁止され、他のものも一定のデータ値に制約される。後者の場合、エントリのテキストフィールドをクリックして保持すると、そのエントリについての可能な値のドロップダウンメニューが引き出される。「危険」エントリ上でクリックして保持すると、全ての表示された危険の名称と、表示に危険を追加するための「新たな危険」の選択肢とのドロップダウンリストを生じる。「危険」のドロップダウンリスト内でのいずれかの選択肢の選択もまた、領域４０１内のその危険についての特性ボックス５００を生成する。
【００３１】
（発明の効果）
本発明は危険の存在下における航空機または他の物体のルートを表示および操作するためのシステムならびに方法を提供する。本発明の範囲内において多くの変更と一般化が当業者には可能である。特に、用語「フライトプラン」は、他の乗物（ビークル）のルートと、危険の存在下での操作のための類似の計画とを含むよう、広く解釈されねばならない。同様に、危険とは、ルートの計画に影響を与えうる状態として広く定義される。危険は、例えば、気象とこれに類似する諸現象に加えて、政治的な領域やその他の領域を含む。この用語は、完全に回避すべき領域のみというよりは、周囲の領域（即ち損失を含む）よりも望ましいであろう領域を含む。ある危険は、地理的範囲や物理的境界を有する領域以外のものであり、例えば、中間での停止はフライトの総費用を増加させる着陸料を課することとなる、と言うようなものでもあり得る。危険の境界線または他の指定は、多角形または他の直線的な構造以外によっても表示し得る。複数の入れ子状の多角形は、危険領域の異なるレベルに関連した異なるコストを表示し得る。上記において説明したシステムと方法とが上記のようにブロックに分割されていることは、他の分割が不可能あるいは望ましくないことを意味するものではない。或る構成成分あるいは工程が好都合であるまたは望ましい、という表明は、他のものが望ましくないまたは特許請求の範囲内にはない、ということを意味するものではない。説明の中および特許請求の範囲の記載におけるブロックの順序は、特定の時間的順序を暗示するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図１】 図１は本発明によるシステムの高位のブロック図である。
【図２】 図２は本発明で用いるデータ表現を示す簡略図である。
【図３】 図３は図１のシステムの動作を示す高位のフローチャートである。
【図４】 図４は図１のシステムのコンピュータ表示である。
【図５】 図５は図４の表示の特性ボックスを示す。

Claims (3)

1. プログラム化したコンピュータにより実施する、危険の存在下において使用者によりルートを計画する方法であって、
   乗物のルートを表すデータを受け取るステップと、
   前記ルートに関連する危険を表すデータを受け取るステップであって、前記危険の前記データは固定した危険および動く危険を表すデータを含むものであり、前記危険のそれぞれは複数の異なる形態を有するものである、ステップと、
   前記ルートの前記データと前記危険の前記データとの地理的表現を共に表示するステップと、
   表示した前記危険の前記データの少なくとも一部についての使用者からの詳述を入力し表示するステップと
   を備える方法。
2. 危険の存在下でルートを計画するための、コンピュータを用いて実現されるシステムであって、
   乗物のルートを表すデータと、
   前記ルートに関する危険を表すデータであって、前記危険の前記データは固定した危険および動く危険を表すデータを含むものであり、前記危険のそれぞれは複数の異なる形態を有するものである、データと、
   前記危険の前記データと前記ルートの前記データの地理的表示と、前記ルートの前記データおよび前記危険の前記データを処理するための制御および前記危険の少なくとも一部に関連する詳述を入力するための制御とを含むインターフェースと
   を備えるシステム。
3. 使用者による飛行計画の処理のための装置であって、
   航空機のルートを表すデータを受け取る手段と、
   前記ルートに関する危険を表すデータを受け取る手段であって、前記危険の前記データは固定した危険および動く危険を表すデータを含むものである、手段と、
   前記危険に関連する詳述を使用者に入力させる手段と、
   前記ルートの前記データと、前記危険の前記データと、境界との地理的表現を表示する手段と
   を備える装置。

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