JP4798408B1 - 低濃度マンガンの簡易定量法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 試料水中に存在する低濃度のマンガンを現場で簡便且つ迅速に定量するための方法を提供する。
【解決手段】 試料水に酸化剤陰イオンを添加して、溶存マンガン化学種を有色の過マンガン酸イオンに酸化させ、続いて嵩高い陽イオンを添加して、過マンガン酸イオンと酸化剤陰イオンと嵩高い陽イオンの3成分から構成される疎水的なイオン会合体を生成させた後、抽出媒体としてナフタレンを用いずにその溶液を濾過膜に通過させて、疎水的なイオン会合体を濾過膜の表面に化学的に吸着捕集させ、その濾過膜の着色度合によりマンガン濃度を判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、地下水や河川水などの環境水や、飲料水、工業用水などに微量に含まれる溶存マンガン化学種の濃度を現場で迅速且つ簡便に定量する方法に関する。
マンガンは原子番号25の遷移金属であり、地殻中に鉱物として広く分布し、地下水や河川水などの環境水中にもイオンやコロイド状として普遍的に存在する。また、金属状マンガン(0価マンガン)が精錬の際の添加剤として用いられるほか、二酸化マンガン(4価マンガン)が乾電池や酸化剤として、過マンガン酸カリウム(7価マンガン)が強酸化剤や漂白剤として用いられるなど産業界で多用されており、まれに鉱山廃水や工場排水から検出されることもある。
水中のマンガンは微量で存在していても酸化によって着色し、いわゆる“黒い水”の原因となり、より高濃度では異臭味を呈する。このような障害を防止する観点から、例えば水道法によって、マンガン及びその化合物の濃度はマンガンの量に関して水道水1リットルあたり0.05mg以下と定められている。
近年では、河川及び湖沼の汚濁や酸性化によってマンガンをはじめとした金属類の溶出が促進されることが指摘されている。したがって、水道事業、飲料の製造、工業用水への影響が懸念されており、水中のマンガン濃度の迅速且つ定常的な把握が必要とされる。
水中に含有されているマンガンの定量法として、原子吸光光度法、誘導結合プラズマ発光分析法、誘導結合プラズマ質量分析法を用いた高精度な機器分析法(上水試験方法、JIS K 0101、JIS K 0102)が確立しており、浄水場などでの公式な測定に使用されている。これらの機器分析法は高感度且つ高精度な測定値が得られるが、高価且つ大型で不可搬な分析機器を必要とし、さらに操作に熟練を要する。したがって、これらの方法はオンサイト分析に適用できない。
また、発色試薬を用いる吸光光度法として、上水試験方法で指定されている過ヨウ素酸銀カリウム法のほか、ホルムアルドキシム法、アセトアルドキシム法などが提案されている。過ヨウ素酸銀カリウム吸光光度法は、マンガンに対して選択性に優れるが感度が悪い。したがって、水道水質基準値レベルのマンガンを測定するためには、前処理として酸を加えて煮詰めるという煩雑な加熱濃縮の操作が必須である。一方、ホルムアルドキシム法などの他の吸光光度法は感度に優れているが選択性が悪いため実試料への応用が難しい。
過ヨウ素酸銀カリウム法の原理を用いたマンガンのオンサイト分析に適した分析器具の一例として特許文献1に記載の簡易分析器具(パックテスト:登録商標)が広く用いられているが、感度が低いため水道水質基準、環境基準レベルのマンガンイオン濃度を測定するのは困難である。
前記記載のパックテスト(登録商標)とは、ポリエチレンチューブ内に特定の物質(対象物質)に反応して発色するように調合された試薬が密封された分析器具である。使用時にはポリエチレンチューブ端の溶着部に挟み込まれたライン(栓部材)を引き抜くことで内部との貫通穴を形成し、指でポリエチレンチューブを押しつぶして中の空気を押し出し、試料水1.5mLをスポイトのように吸い込む。吸い込んだ試料水は試薬類と化学反応して発色し、その色調は対象物質の濃度に依存する。これを所定時間後に濃度ごとに色分けされた標準色列と目視で比較して、最も近い色に対応する数値を読み取り、試料水に含まれている対象物質の濃度を得ることができる。
マンガンを対象物質とするパックテストの場合、pH7、常温、反応時間30秒間で溶存マンガン化学種を有色の過マンガン酸イオンに酸化し、その溶液の色の度合から濃度を求めることができる。これをオンサイト分析へ適用することが可能であるが、測定範囲は0.5〜20mg/Lであり感度が低い。
分析方法の感度が低い場合は、何らかの分離濃縮操作を組み合わせることで高感度化が達成でき、試料水中に低濃度で含有される対象物質の定量が可能になる場合がある。そのための手段として、たとえば加熱による蒸留や溶媒抽出などが挙げられるが、いずれも操作が煩雑でありオンサイト分析への適用は困難である。
簡便な吸光光度法の原理と分離濃縮法を組み合わせた先行技術として、発色生成物を濾過の操作によってメンブレンフィルターなどの濾過膜表面に捕集した後、そのフィルターの着色度合により低濃度で存在する目的成分の濃度を判定する方法が提案されており、例えばアンチモンやホルムアルデヒドを対象とした方法が報告されている(特許文献2、3参照)。これらの方法は比較的簡便であり、オンサイト分析への適用も可能であるが、マンガンを対象とした方法は現在までに確立されていない。
特許4125603号公報 特開2004−257806号公報 特開2007−218866号公報
水源地などの採水地点で測定を行なうことができるオンサイト分析の技術は、特別な設備を持たなくても簡便に利用することができるため、本試験に先立って対象物質の有無ないし濃度の概略値を把握するためのスクリーニング試験や、用水を対象とした自主的検査のために有用であるため、産業界でのニーズが大きい。その対象成分にはマンガンも含まれており、実用上の濃度領域として水道水質基準および環境水質基準、すなわち0.05mg/Lレベルが想定される。
しかしながら、試料水中に0.05mg/Lレベルの低濃度で存在するマンガンを対象としたオンサイト分析の技術は現在までに確立されていない。
本発明の課題は、試料水中に水道水質基準、環境基準レベルで存在する溶存マンガン化学種を選択性の高い過ヨウ素酸塩を用いた吸光光度法の原理によって有色の過マンガン酸イオンに変換させ、特定の試薬の添加と濾過の操作によって濾過膜の表面に化学的に吸着捕集させる濃縮操作を施し、濾過膜の着色度合によりマンガン濃度を判定するための簡便、迅速且つオンサイトで実施可能な方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、試料水中の溶存マンガン化学種を酸化剤陰イオンで有色の過マンガン酸イオンに酸化させた後、その溶液に嵩高い陽イオンを添加して濾過膜を通過させると、抽出媒体としてナフタレンを用いずに濾過膜表面に過マンガン酸イオンが化学的に吸着捕集され、その濾過膜の着色度合が溶存マンガン化学種濃度に概ね比例することを見出した。この科学的知見に基づいて本発明を完成するに至った。
本発明の低濃度マンガンの簡易定量法は、試料水に酸化剤陰イオンを添加して、溶存マンガン化学種を有色の過マンガン酸イオンに酸化させ、続いて嵩高い陽イオンを添加して、過マンガン酸イオンと酸化剤陰イオンと嵩高い陽イオンの3成分から構成される疎水的なイオン会合体を生成させた後、抽出媒体としてナフタレンを用いずにその溶液を濾過膜に通過させて、疎水的なイオン会合体を濾過膜の表面に化学的に吸着捕集させ、その濾過膜の着色度合によりマンガン濃度を判定することを特徴とする。
上記構成によれば、試料水に酸化剤陰イオンを添加して、溶存マンガン化学種を酸化し、有色の7価の過マンガン酸イオンに変換させる。
次に酸化を行った溶液に嵩高い陽イオンを添加して、陰イオンである過マンガン酸イオンと嵩高い陽イオンとの有色の疎水的なイオン会合体及び酸化剤陰イオンと嵩高い陽イオンとの疎水的なイオン会合体を生成させる。これらの疎水的なイオン会合体は、過マンガン酸イオン、酸化剤陰イオンそれぞれと嵩高い陽イオンが電気的に引き寄せあうことで形成される。これらの疎水的なイオン会合体は電気的に中性であり水に溶解しにくい。過マンガン酸イオンを含む疎水的なイオン会合体は、酸化剤陰イオンを含む疎水的なイオン会合体に定量的に取り込まれ、過マンガン酸イオンと酸化剤陰イオンと嵩高い陽イオンの3成分から成る疎水的なイオン会合体が生成する。
生成した疎水的なイオン会合体を含有する溶液を濾過膜に通過させて、疎水的なイオン会合体を濾過膜の表面に吸着捕集させる。これにより、疎水的なイオン会合体は水相から容易に分離濃縮される。これは濾過膜の材質と疎水的なイオン会合体との間に作用する化学的親和性によって濾過膜の表面に疎水的なイオン会合体が吸着して捕集されるためである。濾過膜表面は吸着捕集された疎水的なイオン会合体に含まれる過マンガン酸イオンにより着色する。
濾過膜の着色度合と溶存マンガン化学種の濃度との関係を予め求めておくことにより、濾過膜の着色度合を評価することで溶存マンガン化学種の濃度を判定する。
上記構成において、定量の対象となる溶存マンガン化学種とは、その化学構造中にマンガンを含有しており、酸化剤陰イオンの添加によって過マンガン酸イオンに変化する性質を有している化学種である。具体的には、試料水中で無機の遊離イオン状態で存在する1価から7価までのいずれかの酸化数を持つマンガン化学種が該当する。
上記構成において、酸化剤陰イオンとは、水溶液中で溶存マンガン化学種を過マンガン酸イオンに酸化させるために十分な酸化還元電位を持ち、且つ水溶液中で陰イオンとして存在する化学種である。
上記構成において、嵩高い陽イオンとは、水溶液中で過マンガン酸イオン及び酸化剤陰イオンと疎水的なイオン会合体を形成する性質を持った陽イオンである。このような性質を持った陽イオンの特徴として、水和イオン半径が大きい、炭素鎖などの疎水的な構造を分子内に有する、電荷が小さくイオン内で非局在化している、といった性質を有する。
上記構成において、疎水的なイオン会合体とは、陰イオンと嵩高い陽イオンが電気的に引き寄せあい、全体として電気的に中性となった親水性の弱い化合物である。
さらに、本発明の低濃度マンガンの簡易定量法は、前記嵩高い陽イオンが、第四級アンモニウムイオン又は第四級ホスホニウムイオンである。
上記構成によれば、嵩高い陽イオンとして最適なものが選択される。
また、本発明の低濃度マンガンの簡易定量法は、前記酸化剤陰イオンが、過ヨウ素酸イオン、過塩素酸イオン又はペルオキソ二硫酸イオンである。
上記構成によれば、酸化剤陰イオンとして最適なものが選択される。
また、本発明の低濃度マンガンの簡易定量法は、試料水に酸化剤陰イオンを添加して、溶存マンガン化学種を有色の過マンガン酸イオンに酸化させた後、懸濁物質及び/又は鉄分に由来する着色物質のみを濾過によって除去してから、過マンガン酸イオンと酸化剤陰イオンと嵩高い陽イオンの3成分から成る疎水的なイオン会合体を生成させる。
上記構成によれば、試料水に酸化剤陰イオンを添加して溶存マンガン化学種を有色の過マンガン酸イオンに酸化させた後、試料水由来の懸濁物質及び/又は鉄分に由来する着色物質、並びに試料水に酸化剤陰イオンを添加して溶存マンガン化学種を有色の過マンガン酸イオンに酸化させる工程において生成した懸濁物質及び/又は鉄分に由来する着色物質を濾過によって除去する。その濾液に対して引き続き過マンガン酸イオンと酸化剤陰イオンと嵩高い陽イオンの3成分から成る疎水的なイオン会合体を生成させる。これにより、溶存マンガン化学種以外の物質による濾過膜の着色を防ぐことができる。
さらに、本発明の低濃度マンガンの簡易定量法は、前記懸濁物質及び/又は鉄分に由来する着色物質を除去するための濾過を、疎水的なイオン会合体を吸着捕集する濾過膜と同一濾過膜を用い、且つ疎水的なイオン会合体を吸着捕集する面の裏面側を用いて実施することを特徴とする。
上記構成によれば、前記懸濁物質及び/又は鉄分に由来する着色物質を除去するための濾過を、疎水的なイオン会合体を吸着捕集する濾過膜と同一の濾過膜の裏面を用いて実施する。その濾過膜の表面には、疎水的なイオン会合体が吸着捕集され、同一の濾過膜の裏表で着色物質の除去と、疎水的なイオン会合体の吸着捕集の2つの目的を達成する。
さらに、本発明の低濃度マンガンの簡易定量法は、前記濾過膜がメンブレンフィルターである。
上記構成によれば、メンブレンフィルターに疎水的なイオン会合体が吸着捕集される。
本発明の低濃度マンガンの簡易定量法は、前記濾過膜の着色度合を予め作成した標準色列と目視で比較することで評価することによりマンガン濃度を判定することを特徴とする。
上記構成によれば、濾過膜の着色度合は試料水中に含有していた溶存マンガン化学種の濃度によって一義的に決定される。濾過膜の着色度合は溶存マンガン化学種の濃度に応じて変化する。濾過膜の着色度合と溶存マンガン化学種の濃度との関係を予め求めて標準色列を作成しておくことにより、標準色列と濾過膜の着色度合を比較し、評価することで溶存マンガン化学種の濃度をただちに判定できる。
また、本発明の低濃度マンガンの簡易定量法は、前記濾過膜の着色度合を計測器により測定し、予め作成した検量線により評価することによりマンガン濃度を判定することを特徴とする。
上記構成によれば、濾過膜の着色度合は計測器により反射吸光度や色差として測定され、予め作成した検量線により濾過膜の着色度合を評価することによりマンガン濃度を判定できる。
本発明の低濃度マンガンの簡易定量法によれば、所定量の試料水に対して、酸化剤陰イオン及び嵩高い陽イオンを順に添加し、濾過膜に溶液を通過させることにより、試料水中の溶存マンガン化学種を濾過膜表面に定量的に捕集することが可能となり、さらに溶存マンガン化学種に由来する濾過膜表面の着色度合を評価することで、迅速に溶存マンガン化学種の濃度を判定することができる。試料水中に含有されていた溶存マンガン化学種を微小な濾過膜表面に捕集しているため、濃縮による高感度化が達成されている。このため、原子吸光光度計、誘導結合プラズマ発光分析計、誘導結合プラズマ質量分析計、分光光度計などの高額な分析機器を使用することなく、水道水質基準および環境基準として規定されている0.05mg/L程度といった低濃度領域の測定が可能である。さらに、市販の簡易分析器具、予め小分けされた試薬を添加するための器具、濾過を簡易に行なうための器具などを併用することで、専門的な知識や設備を有しない場合でも全操作3分程度で簡便に測定を実施することが可能であり、オンサイト分析にも適用できる。
また、嵩高い陽イオンとして第四級アンモニウムイオン又は第四級ホスホニウムイオンを用いることで、過マンガン酸イオンを定量的に含有する疎水的なイオン会合体を効率よく生成させることができる。
また、酸化剤陰イオンとして過ヨウ素酸イオン、過塩素酸イオン又はペルオキソ二硫酸イオンを用いることで、溶存マンガン化学種の過マンガン酸イオンへの酸化を定量的に行なうと同時に、過マンガン酸イオンを効率よく捕集するための担体として作用する疎水的なイオン会合体の構成要素を溶液中に提供することができる。
さらに、酸化剤陰イオンを添加した後に濾過膜で濾過を施し、その濾液に対して嵩高い陽イオンを添加することにより、試料水中の溶存マンガン化学種に由来する濾過膜の着色度合に影響を及ぼさず、懸濁物質及び/又は鉄分に由来する着色物質のみを除去することが可能であり、マンガン濃度の判定を精度よく行なうことができる。このため、地下水や河川水などの環境水や、飲料水、工業用水などの懸濁物質及び/又は鉄分を含有する試料水にも広く適用することができる。
また、試料水中の懸濁物質及び/又は鉄分に由来する着色物質を除去するための濾過と、過マンガン酸イオンを含有した疎水性イオン会合体を捕集するための濾過を、同一の濾過膜の裏面と表面を用いてそれぞれ実施することにより、着色物質の除去及び疎水的なイオン会合体の捕集を効率よく且つ迅速に実施することができる。
また、濾過膜としてメンブレンフィルターを用いることで、溶液中に疎水的なイオン会合体として存在する過マンガン酸イオンを濾過膜の表面に色ムラなく定量的に捕集することができる。
また、予め作成した標準色列と濾過膜の色彩を目視で比較することよって濾過膜の着色度合を評価することで、分析機器を一切必要とせずに現場でただちに溶存マンガン化学種濃度を判定することができる。
また、濾過膜の着色度合を計測器により反射吸光度または色差などとして測定し、予め作成した検量線によって濾過膜の着色度合を評価することで、光源の影響を受けず、且つ着色度合の評価に個人差を受けずに溶存マンガン化学種濃度を判定することができる。
本発明の実施形態に係わる低濃度マンガンの簡易定量法を概略的に示すフロー図である。 試料水中の塩化ベンゼトニウム濃度と、濾過膜に捕集された過マンガン酸イオンを含む疎水的なイオン会合体に由来する反射吸光度の関係を示す。 濾過膜に過マンガン酸イオンを含む疎水的なイオン会合体を捕集するときのpHの影響を示す。 種々の濃度のマンガン(II)イオンにより濾過膜に捕集された過マンガン酸イオンを含む疎水的なイオン会合体の着色を示す。 試料水中のマンガン(II)イオンの濃度と、濾過膜に捕集された過マンガン酸イオンを含む疎水的なイオン会合体に由来する反射吸光度の関係図を示す。 温泉水を試料として、パックテスト(登録商標)を用いた場合の発色と、溶存マンガン化学種の酸化に酸化剤陰イオンを含有する市販の簡易分析器具であるパックテスト(登録商標)を用いて本発明を実施したときの濾過膜の着色を示す。 本発明により温泉水を測定したときの濾過膜の着色を示す。 本発明により温泉水を懸濁物質及び/又は鉄分を除去するための濾過を行わずに測定したときの濾過膜の着色を示す。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1に示すように、本発明は、(イ)所定量の試料水に所定量の酸化剤陰イオンを添加して、試料水中に含有されている溶存マンガン化学種を過マンガン酸イオンに変換させる第一工程、(ロ)(イ)で得られた溶液に嵩高い陽イオンを添加して、過マンガン酸イオンと酸化剤陰イオンと嵩高い陽イオンの3成分から成る疎水的なイオン会合体を生成させる第二工程、(ハ)(ロ)で得られた溶液を濾過膜に通過させることによって濾過膜表面に前記イオン会合体を捕集させる第三工程、及び(ニ)予め作成した標準色との目視比較あるいは反射吸光度の測定などにより(ハ)で得られた濾過膜の着色度合を評価してマンガン濃度を判定する第四工程からなる。
本発明において対象とする試料水は、水道水や飲料用の原水、あるいは着色の影響が懸念される工業用水などが想定されるため、0.05mg/Lといった水道水質基準付近で高い精度が発揮できるように、測定に使用される試料水量を設定することができ、各試薬添加量は試料水量に応じて決定される。試料水量を多くするほど濃縮倍率を高めることができ、より低濃度のマンガンの測定が可能になる。その具体的な数値に制約はないが、濾過にかかる時間や必要とする試薬量を減らして簡便化する観点から1mL〜100mLが望ましい。
定量の対象となる溶存マンガン化学種は、試料水中で無機の遊離イオン状態で存在する1価から7価までのいずれかの酸化数を持つマンガン化学種であるが、試料水中で沈殿や錯体の形態として存在しているマンガンを対象とする場合は必要に応じて溶解処理を施して溶存マンガン化学種とした上で定量することができる。
(イ)第一工程
先ず、所定量の試料水に酸化剤陰イオンを添加する。この工程によって、試料水中の溶存マンガン化学種は酸化されて、赤紫色を有する過マンガン酸イオンに変換される。この化学反応の分析化学的応用は従来技術であり、前記の上水試験方法における過ヨウ素酸銀カリウム吸光光度法をはじめ、工業用水試験方法(JIS K 0101)および工場排水試験方法(JIS K 0102)などで広く利用されているものである。この工程では、上記の試験方法や、上記の試験方法を応用した酸化剤陰イオンを含有する市販の簡易分析器具を用いることができる。
酸化剤陰イオンとしては、強酸化剤である過ヨウ素酸イオン、過塩素酸イオン、過酢酸イオン、過硝酸イオン、過ホウ酸イオン、過臭素酸イオン又はペルオキソ二硫酸イオン(過硫酸イオン)を使用することができる。特に限定されるものではないが、添加する試薬としては過ヨウ素酸カリウムが望ましい。
酸化剤陰イオンは、溶存マンガン化学種を過マンガン酸イオンに変化させる酸化剤としての作用のほか、濾過膜で捕集可能な形態である疎水的なイオン会合体を生成させるためにも必要なので、対象物質である溶存マンガン化学種と比較して大過剰必要である。過ヨウ素酸カリウムを用いる場合、試料水中の過ヨウ素酸カリウム濃度が1mM〜10mMになるように添加するのが望ましい。
この第一工程では、試料水中の溶存マンガン化学種が定量的に過マンガン酸イオンに変換されるだけの反応時間が必要である。この反応時間は、酸化剤陰イオンの種類や溶液の温度、pHによって異なるが、試料液の酸性化や触媒の併用によって、数分以内に完了することができる。なお、ここでいう定量的とは必ずしも反応が100%完了することを意味するわけではなく、再現性のある結果が得られるならば反応の完了を待たなくとも迅速性を重視して構わない。
(ロ)第二工程
次に、第一工程で得られた溶液に嵩高い陽イオンを添加する。この工程によって、過マンガン酸イオンと酸化剤陰イオンと嵩高い陽イオンの3成分から成る疎水的なイオン会合体を生成させる。この工程は、後述する第三工程において濾過膜に過マンガン酸イオンを捕集するために必要である。
第一工程を完了した溶液に嵩高い陽イオンを添加すると、溶液中に低濃度で存在する陰イオンである過マンガン酸イオンと嵩高い陽イオンとの有色の疎水的なイオン会合体が生成する。一方、過マンガン酸イオンと反応しなかった嵩高い陽イオンは、第一工程において大過剰に添加された酸化剤陰イオンと疎水的なイオン会合体を多量に生成し、析出して白濁を生じる。前者の過マンガン酸イオンを含む有色のイオン会合体の生成量は試料水中の溶存マンガン化学種濃度に依存するため、微量であるが疎水性が強い。そのため後者の酸化剤陰イオンを含む疎水性のイオン会合体の白濁に定量的に取り込まれる。
過マンガン酸イオンを定量的に取り込んだ疎水的なイオン会合体は、電気的に中性であり水に溶解しにくい。そのため、第三工程の濾過の操作によって濾過膜表面に容易に吸着捕集されるため、水相から容易に分離濃縮することが可能である。
嵩高い陽イオンとして、炭素数がある程度大きく分子内に疎水的な部位を有する第四級アンモニウムイオン、第四級ホスホニウムイオン又は正の電荷を持つアミン類を用いることができる。添加する試薬としては、特に限定されないが、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウムなどが挙げられ、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムが好適に用いられる。
この第二工程において、嵩高い陽イオンをまったく添加しない場合は、過マンガン酸イオンは濾過膜にほとんど吸着しない。また、嵩高い陽イオンの添加量が多すぎる場合には、第三工程において濾過の際に詰まりやすくなり、且つ生成した疎水的なイオン会合体のすべてが濾過膜上に保持されず、一部が濾液に流出する。したがって、嵩高い陽イオンの添加量は適切な範囲が存在し、特に限定されるものではないが、塩化ベンゼトニウムを用いる場合、試料液中の塩化ベンゼトニウム濃度が0.3mM〜3mMになるように添加するのが望ましい。もしくは、塩化ベンゼトニウムは過ヨウ素酸カリウムに対し、モル比で0.1〜1倍になるように添加することが望ましい。図2に塩化ベンゼトニウム濃度を変化させたときの濾過膜表面に捕集された疎水的なイオン会合体の反射吸光度を示す。反射吸光度の値は疎水的なイオン会合体として捕集された過マンガン酸イオンに由来する。
この第二工程において、疎水的なイオン会合体を生成させる反応は数秒程度で迅速に完了する。
この第二工程において、イオン会合体の形成時の溶液のpHはpH7以下が望ましい。図3にpHを変化させたときの濾過膜に捕集されたイオン会合体の反射吸光度を示す。
(ハ)第三工程
続いて、第二工程で得られた溶液を濾過膜に通過させる。この工程によって、過マンガン酸イオンを含有する疎水的なイオン会合体が濾過膜の表面に吸着して捕集される。
濾過膜はメンブレンフィルター(精密濾過膜)、濾紙、固相抽出剤を充填した固相抽出カラム、ポリエチレン焼結フィルター、不織布、合成繊維網(ナイロンメッシュ等)などが該当する。特に限定されないが、色ムラなくイオン会合体を捕集するためにはメンブレンフィルターが望ましい。
メンブレンフィルターの材質にはセルロース混合エステル、酢酸セルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン又はナイロンなどが挙げられる。特に限定されないが、疎水的なイオン会合体と強い親和性を示すセルロース混合エステルやナイロンが望ましい。
濾過膜に疎水的なイオン会合体を含有する溶液を通過させる方法としては、一般的な濾過で用いられる減圧式濾過、加圧式濾過、重力式濾過などのうち、使用目的にあった方法を選択することができる。同様に、そのために必要な器具としては、濾過膜の着色度合が観測可能であれば特に限定されないが、濾過膜を装填した小型濾過用器具や、シリンジに容易に着脱可能であるセパラブルフィルターユニット、フィルターホルダー及びシリンジフィルターなどが推奨される。
前記の濾過膜を装填した小型濾過用器具とは、広口の開口部に濾過膜が装填されており、濾過膜表面が開口部から直視できるように表出され、開口部の反対側は中空の円錐部が設けられているものである。開口部と円錐部の間には濾過膜を支持するための焼結体が備えられている。さらに開口部とシリンジを接続するための誘導部材を備えている。
濾過膜の有効濾過面積は特に限定されないが、疎水的なイオン会合体の捕集後における濾過膜の着色度合に影響を及ぼすので、所定の値を設定しておく必要がある。試料水の液量や溶存マンガン化学種濃度などの条件が一定の場合、濾過膜の着色度合と有効濾過面積は概ね反比例の関係にある。したがって、有効濾過面積を小さく設定すると感度が高まるため、より低濃度のマンガンの測定が可能になる。有効濾過面積は0.1cm2〜20cm2が望ましい。
(二)第四工程
最後に、第三工程で得られた濾過膜の着色度合を評価する。
濾過膜の着色度合の評価は、濾過膜の色と標準色列とを目視により比較することで実施できる。濾過膜の色と標準色列を目視により比較することにより着色度合を評価し、マンガン濃度を判定する。標準色列は、測定範囲における溶存マンガン化学種の濃度と、それに対応する色を段階的に提示したものであり、測定者が濾過膜の着色と最も類似した色を選択することにより、濃度の判定を極めて簡便に行なうことができる。
あるいは、濾過膜の表面の着色度合を計測器により反射吸光度や色差として測定し、予め作成した検量線によってマンガン濃度を判定する。濾過膜表面の着色の度合を反射計、色彩色差計、分光測色計、デンシトメーターおよびTLCスキャナーなどの計測器により測定することが可能である。
濾過膜の着色度合は少なくとも30分程度は一定であるが長時間放置すると徐々に退色が起こる。濾過膜の着色度合が変化するとマンガン濃度の判定に影響を及ぼすので、第三工程が完了した後はなるべく迅速に第四工程に移ることが望ましい。
試料水に懸濁物質及び/又は鉄分が多く含有されている場合、それらに由来する着色物質が濾過膜表面に捕集されて、マンガンに由来する着色度合に変化を及ぼし、マンガン濃度の判定を困難にすることがある。
このような場合、第一工程が完了した段階で濾過膜を用いて濾過を行ない、その濾液に対して引き続き第二工程以下を施すことで懸濁物質及び/又は鉄分に由来する着色物質を除去することができる。この発明によってマンガンに由来する着色度合に影響を及ぼさず、且つ懸濁物質及び/又は鉄分に由来する着色物質のみを除去することが可能であり、マンガン濃度の判定を精度よく行なうことができる。前記のような懸濁物質及び/又は鉄分を多く含有する試料水に対して有効な方法である。
上記の懸濁物質及び/又は鉄分に由来する着色物質を除去するための濾過は、第三工程で使用する濾過膜とは異なる濾過膜、あるいは異なる濾過面を用いて実施しなければならない。また、簡便且つ迅速に作業するために、前記濾過と疎水性イオン会合体を吸着捕集するための濾過を、同一の濾過膜の裏面と表面でそれぞれ実施することが好ましい。
〈第一工程をJIS K 0102に基づいて実施した場合〉
マンガン(II)イオンが含まれる試料水10mLをガラス製ビーカーに取り、これに1Mの硫酸を0.3mLと過ヨウ素酸カリウム10mgを加え、10分程度煮沸し、過マンガン酸イオンを生成させた。
過マンガン酸イオンを生成させた溶液1.5mLを別の容器に取り、これに40mMの塩化ベンゼトニウム水溶液を50μL加え、過マンガン酸イオンを含む疎水的なイオン会合体を生成させた。その溶液は白濁を呈した。
白濁した溶液をシリンジで吸い上げ、ナイロン製メンブレンフィルターを装填した小型濾過用器具(有効濾過面積12mm2、孔径1.2μm)と溶液を吸い込んだシリンジを誘導部材により接続し、溶液を通過させた。
過マンガン酸イオンを含む疎水的なイオン会合体はメンブレンフィルター表面に捕集され、メンブレンフィルターの表面は色ムラなく均一に赤紫色に着色した。図4はマンガン(II)イオン濃度が0、0.02、0.05、0.1及び0.2mg/Lの試料水を本発明により測定した濾過膜表面の着色を示す。
また、メンブレンフィルター表面の520nmの反射吸光度を分光測色計(コニカミノルタ株式会社製 製品名:CM−2600d)で測定し、赤紫色の着色度合を評価した。図5はマンガン(II)イオン濃度が0、0.02、0.05、0.1、0.2、0.5及び1mg/Lの試料水を本発明により測定した結果を示す。
〈第一工程をパックテスト(登録商標)で実施した場合〉
マンガン(II)イオンが含まれる試料水1.5mLをパックテスト(株式会社共立理化学研究所製 製品名:パックテストマンガン)のポリエチレンチューブ内に吸い込み、pH7、常温、反応時間30秒で過マンガン酸イオンを生成させた後、その溶液全量をポリエチレンチューブから別の容器に押し出した。
ナイロン製メンブレンフィルターを装填した小型濾過用器具(有効濾過面積12mm2、孔径1.2μm)の開口部に50mM塩化ベンゼトニウムを50μL滴下してフィルターの表面側に含浸させた。小型濾過用器具とシリンジを誘導部材により接続し、小型濾過用器具の円錐部先端を容器に出した溶液に浸し、プランジャーを引き上げることによりメンブレンフィルターの裏面側から表面側に向かって溶液を通過させた。溶液はメンブレンフィルターを通過すると同時にベンゼトニウムイオンと過マンガン酸イオンを含む疎水的なイオン会合体を形成し、シリンジ内で白濁した。
続いてシリンジのプランジャーを押し戻すことにより、白濁した溶液をメンブレンフィルターの表面側から裏面側に向かって通過させた。溶液を通過させたメンブレンフィルターからシリンジと誘導部材をはずし、メンブレンフィルター表面に捕集された過マンガン酸イオンを含む疎水的なイオン会合体の赤紫色の着色と標準色を比較した。
この結果、0.02mg/L以上のマンガンイオンの検出が可能であり、0.02、0.05、0.1、0.2、0.5および1mg/Lの判定を行なうことができた。
マンガンイオンを対象とするパックテストの測定範囲は0.5、1、2、5、10及び20mg/Lであり、マンガンイオン濃度が0.5mg/L未満では呈色が淡くパックテストでは濃度を確認できないが、本発明を実施することにより感度が約20倍上昇した。
〈温泉水への適用〉
実試料への応用として、実施例2記載の操作を温泉水に適用した。すなわち、懸濁物質及び鉄分を多く含有しており褐色を呈している温泉水1.5mLをパックテストのポリエチレンチューブ内に吸い込み、pH7、常温、反応時間30秒で過マンガン酸イオンを生成させた後、溶液全量をポリエチレンチューブから別の容器に押し出した。
予めナイロン製メンブレンフィルターを装填した小型濾過用器具(有効濾過面積12mm2、孔径1.2μm)の開口部に50mM塩化ベンゼトニウムを50μL滴下してフィルターの表面側に含浸させた。小型濾過用器具とシリンジを誘導部材により接続し、小型濾過用器具の円錐部先端を容器に出した溶液に浸し、シリンジのプランジャーを引き上げることにより、メンブレンフィルターの裏面側から表面側に向かってその溶液を通過させた。その溶液はメンブレンフィルターを通過すると同時にベンゼトニウムイオンと過マンガン酸イオンを含む疎水的なイオン会合体を形成しシリンジ内で白濁した。このとき、試料水中に含有されていた懸濁物質及び鉄分に由来する着色物質は小型濾過用器具に備えられた焼結体およびメンブレンフィルターの裏面側に捕捉された。続いてシリンジのプランジャーを押し戻すことにより、白濁した溶液をメンブレンフィルターの表面側から裏面側に向かって通過させた。
溶液を通液させたメンブレンフィルターからシリンジと誘導部材をはずし、メンブレンフィルター表面の赤紫色の着色と標準色列を比較した。その結果、温泉水中のマンガンイオンがおよそ1mg/Lであることが判定できた。
図6は温泉水を試料としたときのパックテストのポリエチレンチューブ内の発色と、第一工程にパックテストを用いて本発明を実施し、ナイロン製メンブレンフィルターに疎水的なイオン会合体を捕集させた後の着色を比較したもので、メンブレンフィルターによる濃縮操作を施すことで色の濃さが約20倍に上昇したことを示している。
図7は温泉水を対象としたときに、メンブレンフィルターの着色度合を予め作成した標準色列とメンブレンフィルター表面の着色を比較して判定することによりマンガン濃度を求めている様子を示す。
第一工程が完了した段階で濾過膜を用いて濾過を行なうことによる懸濁物質及び/又は鉄分に由来する着色物質の除去効果を評価するため、比較として実施例3記載の操作を第一工程後の濾過を行なわない方法で実施した。
すなわち、温泉水1.5mLをパックテストのポリエチレンチューブ内に吸い込み、pH7、常温、反応時間30秒で過マンガン酸イオンを生成させた後、その溶液全量をポリエチレンチューブから別の容器に押し出した。別の容器に押し出した溶液に50mMの塩化ベンゼトニウム水溶液を50μL加え、過マンガン酸イオンを含む疎水的なイオン会合体を生成させた。この溶液は白濁を呈した。
白濁した溶液をシリンジで吸い上げ、ナイロン製メンブレンフィルターを装填した小型濾過用器具(有効濾過面積12mm2、孔径1.2μm)と溶液を吸い込んだシリンジを誘導部材により接続し、溶液をメンブレンフィルターの表面側から裏面側に向かって通過させた。
メンブレンフィルターの表面は、過マンガン酸イオンに由来する赤紫色に加え、温泉水に含まれる懸濁物質及び鉄分により橙色に着色し、標準色列とは異なる着色となり、標準色列との比色が困難であった。図8は温泉水を対象としたときの温泉水由来の懸濁物及び鉄分がメンブレンフィルター表面に捕集されて着色し、それが予め作成した標準色列とは異なる色彩になった様子を示している。
本発明は、上記の実施形態又は実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での条件が技術的範囲に含まれる。

Claims (8)

  1. 試料水に酸化剤陰イオンを添加して、溶存マンガン化学種を有色の過マンガン酸イオンに酸化させ、続いて嵩高い陽イオンを添加して、過マンガン酸イオンと酸化剤陰イオンと嵩高い陽イオンの3成分から構成される疎水的なイオン会合体を生成させた後、抽出媒体としてナフタレンを用いずにその溶液を濾過膜に通過させて、疎水的なイオン会合体を濾過膜の表面に化学的に吸着捕集させ、その濾過膜の着色度合によりマンガン濃度を判定することを特徴とする低濃度マンガンの簡易定量法。
  2. 前記嵩高い陽イオンが、第四級アンモニウムイオン又は第四級ホスホニウムイオンである請求項に記載の低濃度マンガンの簡易定量法。
  3. 前記酸化剤陰イオンが、過ヨウ素酸イオン、過塩素酸イオン又はペルオキソ二硫酸イオンである請求項1又は2に記載の低濃度マンガンの簡易定量法。
  4. 試料水に酸化剤陰イオンを添加して、溶存マンガン化学種を有色の過マンガン酸イオンに酸化させた後、懸濁物質及び/又は鉄分に由来する着色物質のみを濾過によって除去してから、過マンガン酸イオンと酸化剤陰イオンと嵩高い陽イオンの3成分から成る疎水的なイオン会合体を生成させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の低濃度マンガンの簡易定量法。
  5. 前記懸濁物質及び/又は鉄分に由来する着色物質の除去するための濾過を、疎水的なイオン会合体を吸着捕集する濾過膜と同一濾過膜を用い、且つ疎水的なイオン会合体を吸着捕集する面の裏面側を用いて実施することを特徴とする請求項4に記載の低濃度マンガンの簡易定量法。
  6. 前記濾過膜が、メンブレンフィルターである請求項1〜5のいずれか1項に記載の低濃度マンガンの簡易定量法。
  7. 前記濾過膜の着色度合を予め作成した標準色列と目視で比較することで評価することによりマンガン濃度を判定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の低濃度マンガンの簡易定量法。
  8. 前記濾過膜の着色度合を計測器により測定し、予め作成した検量線により評価することによりマンガン濃度を判定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の低濃度マンガンの簡易定量法。
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