JP4797581B2 - 回転角度検出装置 - Google Patents

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Description

この発明は、磁気感知素子を用いてクランク軸等の各種被検出回転体の回転角度を検出する回転角度検出装置に関する。
従来、この種の回転角度検出装置としては、例えば特許文献1に記載の回転角度検出装置が知られている。図8に、この特許文献1に記載されている回転角度検出装置も含めて、磁気感知素子を用いてクランク軸の回転角度を検出する従来一般の回転角度検出装置の概要を示す。
同図8(a)及び(b)に示すように、この装置は、磁気感知素子として一般によく用いられている横型ホール素子を採用しており、2つの横型のホール素子11a、11bがICチップ1a、1bとして各々樹脂モールドされるかたちで構成されている。また、これら2つのICチップ1a、1bは互いに90度の角度をもって配設され、N極とS極とが分離着磁された円盤状の着磁ロータRTと対向配設されている。すなわち、これらICチップ1a、1bは、該着磁ロータRTから上記ホール素子11a、11bに対して付与される磁気ベクトルMVの角度検出を通じて、同着磁ロータRTの中心軸でもあるクランク軸CSの回転角度を得る構成とされている。
図9は、このようなICチップ1a、1bの内部回路をブロック図として示したものであり、以下、同図9を併せ参照して、その電気的な構成、並びにその構成に基づく動作についてさらに説明する。なお、このような回転角度検出装置は、種々の電気的構成によって実現されるものであるが、ここではICチップ1a、1bの内部回路として特に現在実用されている回路を説明する。
同図9に示されるように、ICチップ1a、1bにあって、上記ホール素子11a、11bは、駆動回路10a、10bからの定電流、若しくは定電圧によってそれぞれ駆動される。ここで、これらホール素子11a、11bは、先の図8(b)に示した通り、互いの磁気感知面が直交するかたちで設けられている。また、これらホール素子11a、11bに付与される磁気ベクトルMVの向き(角度)は、上記着磁ロータRT(クランク軸CS)の回転角度が直接反映されたものとなっている。このような構成により、同ホール素子11a、11bからは、上記クランク軸CSの回動に伴って、図10(a)に示される90°だけ位相のずれたsin波形電圧(ホール電圧)A、Bがそれらの出力として取り出されるようになる。こうした出力信号A、Bは、これらICチップ1a、1bにおいて、増幅回路12a、12b、さらにはA/D変換器13a、13bに順次に取り込まれる。そして、上記増幅回路12a、12bでは各々所望に増幅され、上記A/D変換器13a、13bでは各々所要の分解能にて量子化されて後に離散的な値(デジタル値)に変換される。こうして離散化された2つの出力信号A、Bは、上記クランク軸CSの角度情報として当該ICチップ1a、1bの出力端子から各々取り出され、次いで、例えば車載エンジンの燃料噴射等の制御を行う電子制御装置20内の角度演算部24に取り込まれる。そして通常は、この角度演算部24において、図10(b)に示すように、上記クランク軸CSの回動に対して直線的に変化する信号にデジタル補正(補正演算)されることで、この信号に基づいて同クランク軸CSの回転角度が検出されるようになる。なお、この角度演算部24においては、例えば、上記着磁ロータRT(クランク軸CS)の回転角度をθとしたときの上記出力信号Aをsinθ、他方の出力信号Bをcosθとするとき、「θ=tan−1(A/B)」などといった各種のデジタル演算が行われる。
特開2004−340740号公報
このように、上記従来の回転角度検出装置によれば、上記クランク軸CSの回動に対して直線的に変化する信号に基づいて同クランク軸CSの回転角度は確かに検出される。ただし、このような信号は、「θ=tan−1(A/B)」など、上記ホール素子11a、11bによる出力信号A、Bに対して各種のデジタル演算を通じて得られるものであり、応答速度の面で改善の余地が残っている。
なお、ホール素子を用いた回転角度検出装置に限らず、例えば磁気抵抗素子などの他の磁気感知素子を用いて上記デジタル補正された信号を得る回転角度検出装置であっても、同磁気感知素子による出力信号を得てから上記回転角度を検出するまでのこうした演算負荷が無視できない傾向は概ね共通したものとなっている。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、要求される検出精度を維持しつつ、応答速度の好適な向上を図ることのできる回転角度検出装置を提供することにある。
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の回転角度検出装置では、回転角度の検出対象とする回転軸の回動に伴って回動する磁石から発せられる磁気ベクトルの変化を各々位相の異なる正弦波信号として感知するように配置された複数の磁気感知素子と、前記複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号の直線性の高い角度領域が前記回転軸の回動に伴って順次に取り出されるかたちで前記回転軸の回転角度毎にそれら出力信号の1つを選択的に出力する信号処理部とを備え、該信号処理部からの信号に基づいて前記回転軸の回転角度を検出するにあたり、前記複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号の直線性の高い角度領域として、正弦波信号sinθの同一の角度領域を各々の磁気感知素子に対して1つ設定するとともに、前記複数の磁気感知素子の個数、及び前記複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号の直線性の高い角度領域の大きさを、前記回転軸の回動に対して「360°」の角度範囲での回転角度検出を可能ならしめる個数、及び大きさに各々設定することとした。
このような構成によれば、上記複数の磁気感知素子による出力信号に対しそれらの信号波形に前述の補正演算(例えば「θ=tan−1(A/B)」)を何ら施すことなく、所望の直線性の高い信号が得られるようになる。このため、要求される検出精度を維持しつつ、応答速度の好適な向上を図ることができるようになる。
また、複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号の直線性の高い角度領域として、正弦波信号sinθの同一の角度領域を各々の磁気感知素子に対して1つ設定することにより、上記信号処理部から取り出される信号の上記回転軸の回動に対する直線性がその広い角度範囲に亘ってより均一になり、同直線性(線形性)の向上、ひいては回転角度の検出
精度の向上が期待できるようになる。
さらに、複数の磁気感知素子の個数、及び複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号の直線性の高い角度領域の大きさを、回転軸の回動に対して「360°」の角度範囲での回転角度検出を可能ならしめる個数、及び大きさに各々設定することにより、上記回転軸の回動に伴う磁気ベクトルの角度変化に対して「360°」の角度範囲で直線的に変化する信号を得ることができるようになり、より汎用性に優れたものとなる。なお、このような回転角度検出装置としては、例えば、請求項に記載の回転角度検出装置によるように、前記複数の磁気感知素子が、各々の磁気感知面が「45°」ずつ傾くかたちで配設された8つの磁気感知素子からなり、前記複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号の直線性の高い角度領域として、正弦波信号sinθの「−22.5°≦θ≦+22.5°」の角度領域を各々設定するようにしたものなどがある。
また、請求項1または2に記載の回転角度検出装置において、請求項に記載の回転角度検出装置によるように、前記信号処理部から取り出される信号が前記回転軸の回転角度に対して固有の値を持つ信号となるように前記複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号に各々異なるオフセットを持たせるようにすれば、前記信号処理部によって選択された磁気感知素子が認識されなくとも、該信号処理部から取り出される信号の値だけで上記回転軸の回転角度を検出することができるようになる。
また、請求項に記載の回転角度検出装置において、請求項に記載の回転角度検出装置によるように、前記信号処理部から取り出される信号が前記回転軸の回動に伴って連続的に変化する信号となるように前記複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号に各々異なるオフセットを持たせるようにすれば、上記回転軸の回転角度の「360°」の角度範囲に対する角度変化率と、上記信号処理部から取り出される信号の「360°」の角度範囲に対する出力値変化率とがほぼ同等となり、同回転軸の回転態様のより詳細な解析が可能となる。
なお、上記信号処理部による上記複数の磁気感知素子の選択にかかる処理態様については、基本的には任意である。ただし、上記回転軸の回動態様が、上記複数の磁気感知素子
の別に得られる出力信号の推移に直接反映されることに鑑みれば、請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転角度検出装置において、請求項に記載の回転角度検出装置によるように、前記信号処理部が、前記複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号の各出力値に基づいて前記回転軸の回転角度毎にそれら出力信号の1つを選択的に出力するようにすることが、応答速度を好適に維持する上で実用上望ましい。
ただし、この場合には特に、請求項に記載の回転角度検出装置によるように、前記信号処理部が、前記複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号を所定の閾値電圧との比較に基づきそれぞれ2値化し、それら2値化信号の出力レベルの組み合わせのパターンに基づいて前記回転軸の回転角度毎にそれら出力信号の1つを選択的に出力するようにすることがより望ましい。すなわち、このような構成では、2値化信号の出力レベルの組み合わせのパターンから一義的に選択すべき1つの出力信号を認識することが可能となり、例えば同選択に際して上記回転軸の回動方向をモニタする必要がなくなるなど、演算負荷の好適な軽減を図ることができるようになる。
また、回転角度の検出対象とする回転軸の回動に伴って回動する磁石や、磁気感知素子については、基本的に任意である。ただし、請求項に記載の回転角度検出装置によるように、前記磁石が、そのN極とS極とが分離着磁されるかたちで前記回転軸と一体に形成された円盤状の着磁ロータからなり、前記複数の磁気感知素子及び前記信号処理部が、1つの半導体チップとして集積回路化されてなり、前記磁気感知素子が、ホール効果に基づき半導体基板面に平行な磁気ベクトルを感知する縦型ホール素子からなるようにすれば、当該回転角度検出装置としての集積化(小型化)を容易に図ることができるようになる。また、半導体プロセスを通じて、各ホール素子の配置関係をより正確に設定することができるようになる。
また、磁気感知素子としてこのような縦型ホール素子を採用するようにした場合には、請求項に記載の回転角度検出装置によるように、複数の磁気感知素子を同一の半導体基板上に環状に配設することができるようになるなど、限られたスペースにより多くの磁気感知素子を配設することが可能となる。
以下、この発明にかかる回転角度検出装置の一実施の形態について、図1〜図5を参照して詳細に説明する。
はじめに、図1を参照して、この回転角度検出装置の構成について詳述する。なお、図1(a)は、この装置の側面構造を示す側面図であり、図1(b)は、この装置の平面構造を示す平面図である。
図1(a)に示されるように、この実施の形態にかかる回転角度検出装置は、磁気感知素子としていわゆる縦型ホール素子を採用するセンサ部111およびその信号処理部が1つのICチップ100として集積回路化されてなり、N極とS極とが分離着磁された円盤状の着磁ロータ(磁石)200と対向配設されている。すなわち、この回転角度検出装置を構成するICチップ100は、該着磁ロータ200から上記センサ部111に対して付与される磁気ベクトルMVの角度検出を通じて、同着磁ロータ200の中心軸でもあるクランク軸300の回転角度を得る構成とされている。
ただし、この実施の形態にかかる回転角度検出装置にあって、上記センサ部111は、図1(b)に示されるように、磁気ベクトルMVの変化を感知する磁気感知面が各々「45°」ずつ傾くかたちで同一の半導体基板上にて環状に配置された8つのホール素子111a〜111hから構成されている。センサ部111としてのこのような構成では、クランク軸300の回動に伴って上記磁気ベクトルMVが変化するとき、該センサ部111からは、各々位相の異なる8つの正弦波信号(ホール電圧信号)A〜Hが取り出されるようになる。
一方、上記信号処理部は、このような出力信号(正弦波信号)A〜Hの直線性の高い角度領域を上記クランク軸300の回動に伴って順次に取り出す部分であり、同クランク軸300の回転角度毎にそれら出力信号A〜Hの1つを選択的に出力する構成とされている。
図2は、この実施の形態にかかる信号処理部について、センサ部111との関係も含めて、その概要を示すブロック図である。
同図2に示されるように、信号処理部は、大きくは、
・上記ホール素子111a〜111hの出力経路の別にトランジスタなどのスイッチング素子(図示略)を配置し、それらスイッチング素子のオン/オフの切り替えを通じて、上記ホール素子111a〜111hの別に得られる出力信号A〜Hの1つを選択的に出力するスイッチング回路121。
・上記ホール素子111a〜111hの別に得られる出力信号A〜Hの各出力値に基づいて、上記各スイッチング素子のオン/オフの切替制御を行う切替制御部122。
等々、を備えて構成されている。
図3(a)〜(h)は、上記センサ部111から取り出される出力信号A〜Hも含めて、切替制御部122による切替制御に供される信号とクランク軸300の回転角度との関係を8つのホール素子111a〜111hの別に示したものである。
ここで、上記切替制御部122は、図3(a)〜(h)に示されるように、上記ホール素子111a〜111hの別に得られる出力信号A〜Hの直線性の高い角度領域として、正弦波信号sinθの「−22.5°≦θ≦+22.5°」の角度領域を各々設定している(図3(a)〜(h)中、出力信号A〜Hの実線にて示される角度領域)。また、同切替制御部122は、クランク軸300の回動に伴って上記出力信号A〜Hのこのような角度領域を順次に取り出すべく、正弦波信号sinθの「−22.5°」の電圧レベルに対応するかたちで閾値電圧th1〜th8をそれら出力信号A〜Hの別に設定している。そして、出力信号A〜Hを、同閾値電圧th1〜th8との比較に基づきそれぞれ2値化し、それら2値化信号CA〜CHの出力レベルの組み合わせのパターンに基づいて上記クランク軸300の回転角度毎にそれら出力信号A〜Hのいずれを出力すべきかを判定する構成とされている。
すなわち、こうした2値化信号CA〜CHを得るようにすれば、上記クランク軸300の回転角度を、
・2値化信号CA、CE〜CHの出力レベルが「H(ハイ)」レベルであり、2値化信号CB〜CDの出力レベルが「L(ロー)」レベルである角度領域AA。
・2値化信号CA、CB、CF〜CHの出力レベルが「H(ハイ)」レベルであり、2値化信号CC〜CEの出力レベルが「L(ロー)」レベルである角度領域AB。
・2値化信号CA〜CC、CG、CHの出力レベルが「H(ハイ)」レベルであり、2値化信号CD〜CFの出力レベルが「L(ロー)」レベルである角度領域AC。
・2値化信号CA〜CD、CHの出力レベルが「H(ハイ)」レベルであり、2値化信号CE〜CGの出力レベルが「L(ロー)」レベルである角度領域AD。
・2値化信号CA〜CEの出力レベルが「H(ハイ)」レベルであり、2値化信号CF〜CHの出力レベルが「L(ロー)」レベルである角度領域AE。
・2値化信号CB〜CFの出力レベルが「H(ハイ)」レベルであり、2値化信号CA、CG、CHの出力レベルが「L(ロー)」レベルである角度領域AF。
・2値化信号CC〜CGの出力レベルが「H(ハイ)」レベルであり、2値化信号CA、CB、CHの出力レベルが「L(ロー)」レベルである角度領域AG。
・2値化信号CD〜CHの出力レベルが「H(ハイ)」レベルであり、2値化信号CA〜CCの出力レベルが「L(ロー)」レベルである角度領域AH。
といった8つの角度領域AA〜AHにて表わすことができるようになり、これら角度領域AA〜AHは、上記出力信号A〜Hの直線性の高い角度領域(図3(a)〜(h)中、出力信号A〜Hの実線にて示される角度領域)とそれぞれ一致する。この点、この実施の形態にかかる切替制御部122では、図5に示されるように、上記出力信号A〜Hが、上記2値化信号CA〜CHの出力レベルの組み合わせのパターンに対応して関連付けられたテーブルを有しており、このテーブルに基づいて上記クランク軸300の回転角度毎に上記スイッチング素子のオン/オフの切替制御を行う。信号処理部としてのこのような構成では、上記スイッチング回路121からは、図4に示されるように、上記クランク軸300の回動に対して直線的に変化する信号Voutが取り出されるようになり、この信号Voutに基づいて同クランク軸300の回転角度を検出することができるようになる。
ちなみに、この実施の形態では、同図4からも明らかなように、上記8つのホール素子111a〜111hの別に得られる出力信号A〜Hには、上記スイッチング回路121から取り出される信号Voutが、
(イ)上記クランク軸300の回転角度に対して固有の値を持つ。
(ロ)上記クランク軸300の回動に伴って連続的に変化する。
の論理積条件を満たす信号となるように各々異なるオフセットが持たせられている。なお、こうしたオフセットの付与手段(図示略)は、種々の構成によって実現可能なものであり、例えば、
・スイッチング回路121への入力に際し、出力信号A〜Hに各々異なるオフセットを持たせる手段。
・出力信号A〜Hのいずれかが選択されて後に、その選択に応じたオフセットを持たせる手段。
等々、といった手段によって実現できる。
以上説明したように、この実施の形態にかかる回転角度検出装置によれば、以下に記載するような優れた効果が得られるようになる。
(1)ホール素子111a〜111hを、着磁ロータ200から発せられる磁気ベクトルMVの変化を各々位相の異なる正弦波信号として感知するように各々配置した。そして、それらホール素子111a〜111hの別に得られる出力信号A〜Hの直線性の高い角度領域を上記クランク軸300の回動に伴って順次に取り出すようにした。このような構成では、ホール素子111a〜111hによる出力信号A〜Hに対しそれらの信号波形に前述の補正演算(例えば「θ=tan−1(A/B)」)を何ら施すことなく、クランク軸300の回転角度毎に上記出力信号A〜Hを切り替えるだけで所望の直線性の高い信号が得られるようになる。このため、要求される検出精度を維持しつつ、応答速度の好適な向上を図ることができるようになる。
(2)ホール素子111a〜111hの別に得られる出力信号A〜Hの直線性の高い角度領域として、正弦波信号sinθの同一の角度領域(「−22.5°≦θ≦+22.5°」)を各々設定することとした。このため、スイッチング回路121から取り出される信号Voutの上記クランク軸300の回動に対する直線性がその広い角度範囲に亘ってより均一になり、同直線性(線形性)の向上、ひいては回転角度の検出精度の向上が期待できるようになる。
(3)8つのホール素子111a〜111hを、各々の磁気感知面が「45°」ずつ傾くかたちで配設するとともに、出力信号A〜Hの直線性の高い角度領域として、正弦波信号sinθの「−22.5°≦θ≦+22.5°」の角度領域を各々設定するようにした。このため、上記クランク軸300の回動に伴う磁気ベクトルMVの角度変化に対して「360°」の角度範囲で直線的に変化する信号Voutを得ることができるようになり、より汎用性に優れたものとなる。
(4)スイッチング回路121から取り出される信号Voutが上記クランク軸300の回転角度に対して固有の値を持つ信号となるように、ホール素子111a〜111hの別に得られる出力信号A〜Hに各々異なるオフセットを持たせるようにした。このため、スイッチング回路121から取り出される信号Voutの値だけで上記クランク軸300の回転角度を検出することができるようになる。
(5)スイッチング回路121から取り出される信号Voutが上記クランク軸300の回動に伴って連続的に変化する信号となるように、ホール素子111a〜111hの別に得られる出力信号A〜Hに各々異なるオフセットを持たせるようにした。このため、上記クランク軸300の回転角度の「360°」の角度範囲に対する角度変化率と、上記スイッチング回路121から取り出される信号Voutの「360°」の角度範囲に対する出力値変化率とがほぼ同等となり、同クランク軸300の回転態様のより詳細な解析が可能となる。
(6)切替制御部122は、図5に示されるテーブルに基づいて上記クランク軸300の回転角度毎に上記スイッチング素子のオン/オフの切替制御を行うこととした。このため、上記クランク軸300の回動方向をモニタする必要がなくなるなど、応答速度をより好適に維持することができるようになる。
(7)ホール素子として縦型ホール素子を採用し、8つのホール素子111a〜111hを同一の半導体基板上に環状に配設することとしたため、配設スペースを有効的に利用できるようになる。
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・スイッチング回路121から取り出される信号Voutは、図6に示すように、上記クランク軸300の回動に対して必ずしも連続的に変化しなくてもよい。このような場合であれ、同信号に基づいて上記クランク軸300の角度検出を行うことは可能である。
・スイッチング回路121から取り出される信号Voutは、図7に示すように、上記クランク軸300の回転角度に対して必ずしも固有の値を持たなくてもよい。このような場合であれ、上記切替制御部122による切替制御の内容と、その選択された信号とに基づいて上記クランク軸300の角度検出を行うことは可能である。しかもこの場合、上記出力信号A〜Hに所定のオフセットを持たせる必要がなくなる。
・ホール素子の個数、及びホール素子の別に得られる出力信号の直線性の高い角度領域の大きさは、検出対象となる回転軸の回動に対して「360°」の角度範囲での回転角度検出を必ずしも可能ならしめる個数、及び大きさに各々設定されなくてもよい。例えば、検出対象となる回転軸が360°よりも小さい角度範囲で回動するものである場合には、ホール素子の個数、及びホール素子の別に得られる出力信号の直線性の高い角度領域の大きさを、その回転軸の回動範囲に合わせて各々設定してもよい。
・ホール素子の別に得られる出力信号の直線性の高い角度領域として、正弦波信号sinθの同一の角度領域を必ずしも設定しなくてもよい。すなわち、回転角度検出装置にあって、上記スイッチング回路121から取り出される信号の直線性さえ確保されれば、少なくとも上記(1)の効果を得ることはできる。
・正弦波信号sinθの「−45°≦θ≦+45°」のうちの「θ=0°」を含む所定の角度領域、若しくは「135°≦θ≦225°」のうちの「θ=180°」を含む所定の角度領域であれば、任意の角度領域を上記直線性の高い角度領域として設定してもよい。このような角度領域として、要は、正弦波信号sinθの「θ=0°」若しくは「θ=180°」付近の角度領域を各々設定するようにすれば、上記スイッチング回路121から得られる信号の直線性は好適に確保される。
・上記センサ部は、着磁ロータ200から発せられる磁気ベクトルMVの変化を各々位相の異なる正弦波信号として感知するように配置された複数のホール素子を備えるものであればよく、その構成も任意である。この意味では、ホール素子として、ホール効果に基づき半導体基板面に垂直な磁気ベクトルを感知する横型ホール素子を採用してもよい。ただしこの場合、回転角度検出装置としての集積化は困難となる。
・上記センサ部は、ホール素子に代えて、磁気抵抗素子(MRE)を採用してもよい。要は、磁気ベクトルの変化を感知する複数の磁気感知素子を備えるものであればよい。
・上記信号処理部は、複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号の直線性の高い角度領域が上記検出対象となる回転軸の回動に伴って順次に取り出されるかたちで同回転軸の回転角度毎にそれら出力信号の1つを選択的に出力するものであればよく、その構成も任意である。例えば、センサ部と1つの半導体チップとして集積回路化されるものでなくてもよい。
・磁石として着磁ロータ200を採用したが、回転角度の検出対象とする回転軸の回動に伴って回動する磁石であればよい。また、電磁石であってもよい。
・クランク軸300の回転角度のほか、スロットルバルブの開度量など、各種回転体の回転角度を検出対象としてもよい。また、変位量を回転角度に変換可能なものであれば、回転体以外の物体を被検出回転体として採用することも可能である。
(a)は、この発明にかかる回転角度検出装置の一実施の形態について、磁石との関係も含めて、その側面構造を模式的に示す側面図。(b)は、この発明にかかる回転角度検出装置の一実施の形態について、磁石との関係も含めて、その平面構造を模式的に示す平面図。 同実施の形態の信号処理部について、センサ部との関係も含めて、その概要を示すブロック図。 (a)〜(h)は、センサ部から取り出される出力信号、及びそれら出力信号の別に設定される閾値電圧、及び同出力信号と閾値電圧との比較に基づいて算出される2値化信号を、ホール素子の別に、クランク軸の回転角度毎に示したグラフ 同実施の形態のスイッチング回路から取り出される信号を、クランク軸の回転角度毎に示したグラフ。 選択すべき出力信号が、2値化信号の出力レベルの組み合わせのパターンに対応して関連付けられたテーブル。 スイッチング回路から取り出される信号の別例を示すグラフ。 スイッチング回路から取り出される信号の別例を示すグラフ。 (a)は、従来の回転角度検出装置の側面構造を模式的に示す側面図。(b)は、従来の回転角度検出装置の平面構造を模式的に示す平面図。 従来の回転角度検出装置の内部回路を示すブロック図。 (a)は、従来のホール素子対による出力信号をクランク軸の回転角度毎に示すグラフ。(b)は、「θ=tan−1(A/B)」の補正演算を通じて得られる信号をクランク軸の回転角度毎に示すグラフ。
符号の説明
100…ICチップ、 111a〜111h…ホール素子、121…スイッチング回路、122…切替制御部、200…着磁ロータ、300…クランク軸、AA〜AH…角度領域、MV…磁気ベクトル。

Claims (8)

  1. 回転角度の検出対象とする回転軸の回動に伴って回動する磁石から発せられる磁気ベクトルの変化を各々位相の異なる正弦波信号として感知するように配置された複数の磁気感知素子と、前記複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号の直線性の高い角度領域が前記回転軸の回動に伴って順次に取り出されるかたちで前記回転軸の回転角度毎にそれら出力信号の1つを選択的に出力する信号処理部とを備え、該信号処理部からの信号に基づいて前記回転軸の回転角度を検出する回転角度検出装置であって、
    前記複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号の直線性の高い角度領域として、正弦波信号sinθの同一の角度領域が各々の磁気感知素子に対して1つ設定されてなるとともに、
    前記複数の磁気感知素子の個数、及び前記複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号の直線性の高い角度領域の大きさは、前記回転軸の回動に対して「360°」の角度範囲での回転角度検出を可能ならしめる個数、及び大きさに各々設定されてなる
    ことを特徴とする回転角度検出装置。
  2. 前記複数の磁気感知素子は、各々の磁気感知面が「45°」ずつ傾くかたちで配設された8つの磁気感知素子からなり、前記複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号の直線性の高い角度領域として、正弦波信号sinθの「−22.5°≦θ≦+22.5°」の角度領域が各々設定されてなる
    請求項に記載の回転角度検出装置。
  3. 前記複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号には、前記信号処理部から取り出される信号が前記回転軸の回転角度に対して固有の値を持つ信号となるように各々異なるオフセットが持たせられる
    請求項1または2に記載の回転角度検出装置。
  4. 前記複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号には、前記信号処理部から取り出される信号が前記回転軸の回動に伴って連続的に変化する信号となるように各々異なるオフセットが持たせられる
    請求項に記載の回転角度検出装置。
  5. 前記信号処理部は、前記複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号の各出力値に基づいて前記回転軸の回転角度毎にそれら出力信号の1つを選択的に出力する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転角度検出装置。
  6. 前記信号処理部は、前記複数の磁気感知素子の別に得られる出力信号を所定の閾値電圧との比較に基づきそれぞれ2値化し、それら2値化信号の出力レベルの組み合わせのパターンに基づいて前記回転軸の回転角度毎にそれら出力信号の1つを選択的に出力する
    請求項に記載の回転角度検出装置。
  7. 前記磁石は、そのN極とS極とが分離着磁されるかたちで前記回転軸と一体に形成された円盤状の着磁ロータからなり、前記複数の磁気感知素子及び前記信号処理部は、1つの半導体チップとして集積回路化されてなり、前記磁気感知素子は、ホール効果に基づき半導体基板面に平行な磁気ベクトルを感知する縦型ホール素子からなる
    請求項1〜のいずれか一項に記載の回転角度検出装置。
  8. 前記複数の磁気感知素子は、同一の半導体基板上に環状に配設されてなる
    請求項に記載の回転角度検出装置。
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