JP4796872B2 - 直接輝度変調型光送信器とそれを使用した光通信システム - Google Patents

直接輝度変調型光送信器とそれを使用した光通信システム Download PDF

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本発明は光送信器とそれを使用した光通信システムに関し、特に、RF信号を中継局から末端加入者である家庭やオフィスまで光ファイバで伝送するFTTH(Fiber To The Home)システムやFTTO(Fiber To The Office)システムへ利用するのに適するものである。
(FTTH:Fiber To The Homeシステムの普及)
現在の光通信サービスは伝送容量の増大化、伝送速度の高速化、映像放送伝送の多チャンネル化の需要が高まったことから、図4のように幹線部分を光ファイバで送り中継局から末端の加入者までをメタルケーブルで送るこれまでの伝送システム(HFC:Hybrid Fiber Coax)から、図5のように幹線部分と中継局から末端の加入者までの全域を光ファイバで伝送するFTTH(Fiber To The Home)システムへと移行しつつある。又、これまではVHF、UHFと、BS・CS−IFは別々に伝送されていたが、今後はVHF、UHF、BS・CS−IF帯までの広帯域を同時に伝送可能なBS・CS−IF伝送の需要も高まるものと予想される。
現在、光通信用に最も普及している光ファイバケーブルは零分散波長(光の伝搬速度の波長依存性が零になり光伝送波形の劣化が最も小さい波長)が1.31μm帯にあるシングルモードファイバ(SMF)である。既設のSMFを有効利用することから、これまで映像配信に使用されている光送信器は分散値が零である1.31μm帯の光発振波長を持つレーザダイオード(LD)を使用したものが多い。しかし1.31μm帯は伝送損失が1.55μm帯に比べて大きく長距離伝送が難しい。また、現在は光伝送システムに使用される1.31μm帯の光送信器も開発されているが、普及率がまだ低いこともあり、生産台数が少なくなり高価になっているため、1.31μm帯の波長を利用した光伝送器はFTTHシステムに不向きと判断されてあまり使用されていない。
これに対して1.55μm帯の光送信器は1.31μm帯に比べて光ファイバの伝送損失が少なく長距離伝送が可能であること、多くの光増幅器が1.55μm帯の光信号増幅用であることから現在多くの光通信設備に導入され価格が比較的安価になっている。現在、多分配及び長距離配信、低コスト化の目的からFTTHシステムには主に1.55μm帯が使用されている。
しかし、1.55μm帯の光波長はシングルモードファイバ(SMF)内で生じる波長分散(一般に光ファイバはファイバ中を伝播する光の波長によって伝播速度が異なるため波長分散が発生する)によって伝送特性が劣化し易い。また、光送信器に使用されるレーザダイオードは単一波長であるが、光のスペクトルにある程度の幅を持っているため、波長分散により伝播速度に差が生じて伝送後の光信号の波形に変化をもたらす。波形変形した光信号が光受信機で電気信号に変換(O/E変換)されると主に2次歪が劣化した信号が抽出されて信号品質が劣化する。アナログ信号(VSB−AM)は2次歪の劣化により映像にビート障害(斜め縞)が発生するなどして映像品質が劣化する。
前記した波長分散特性の影響を低減し、伝送特性を維持するために開発され、現在FTTHシステムに使用されるようになったのが外部変調方式を用いた光送信器である。外部変調方式はレーザダイオードから出力される光スペクトルが狭い連続発信レーザ(CWレーザ)を使って光信号に輝度の強弱で変調を掛ける方式であり、光スペクトルが狭いことで波長分散の影響を格段に減少させた技術である(図6(a)、(b))。
外部変調方式の光送信器は長距離伝送可能であるが伝送周波数帯域が1,000MHzまでと狭いため、今後、需要が広がると思われるVHF、UHF、BS・CS−IF帯までの広帯域を同時に伝送可能なBS・CS−IF伝送には対応出来ず、また、高価であり導入コストが高くなるため小規模施設には敬遠されがちである。
広帯域伝送可能な光送信器として従来の直接輝度変調方式のものがある。直接輝度変調方式は伝送する伝送信号(RF信号)でレーザダイオードを直接変調する方式であり、伝送信号をレーザ駆動電流(バイアス)に重畳させて電気信号を光信号に変換し光の輝度の強弱で変調を掛ける方式であり、実現容易であるため普及してきた(図7(a)、(b))。直接輝度変調方式の光送信器は外部変調方式の光送信器に対して技術的に広帯域化が容易でありBS・CS−IF伝送に対応可能であり安価でもある。
しかし、直接輝度変調方式ではレーザを駆動するバイアス電流へ伝送信号(RF信号)を重畳することにより光スペクトルに揺らぎが生じる現象(チャーピング現象)が起きる(図8)。チャーピング現象が起きると光信号の光スペクトルが広くなるため単一波長である光信号が波長幅を持つ。波長幅があると光ファイバの波長分散特性によって光信号の伝播速度(伝播時間)に差が発生し伝送する映像信号が品質劣化する(図9(a)、(b))。この影響はレーザ発振波長に1.55μm帯を使用した直接輝度変調方式において受け易く、満足したシステム特性(伝送特性)が得られない。また、波長分散はファイバ長に大きく起因するため、システム特性を満足するためには伝送距離を短くして波長分散の影響を低減するしかない。このため、直接輝度変調方式の光送信器で安価なFTTHシステムを構築すると信号の品質保持の面から伝送範囲が限定される。現在、直接輝度変調方式の光送信器を用いたFTTHシステムは数百m〜数km程度の限られた範囲の施設構内(マンション内配信等)で利用されているのが実情である。
前記した各種実情から大規模な多分配且つ長距離伝送を行うFTTHシステムには1.55μm帯の発振波長を持つ外部変調型光送信器を使用することが望ましいが、外部変調型光送信器は伝送帯域が狭く、高価であるため加入者数の少ない小規模なFTTHシステムへの導入はコスト面から敬遠されている。
本願発明は1.55μm帯の発振波長を持つ直接輝度変調方式の特徴、即ち、広帯域伝送可能であり、光ファイバでの伝送損失が少なく長距離伝送が可能であり、比較的安価であることを活用し、同変調方式の課題、即ち、チャーピング現象による波長分散の影響、それによる映像信号の品質劣化、伝送距離の制約を改善して、外部変調方式の光送信器よりも低価格で、近年需要の高いVHF、UHF、BS・CS−IF帯までの広帯域同時伝送にも対応可能であり、また波長分散の影響を抑えて伝送距離を伸ばして、これまで伝送距離を伸ばせないことを理由に導入が見送られがちであったFTTHシステムやFTTOシステム、特に、小・中規模施設の光伝送システムに低コストで導入できるような直接輝度変調型光送信器と、それを使用して構築した光伝送システムを提供するものである。
本件発明者は、波長分散の影響、それによる映像信号の品質劣化、伝送距離の制約を改善するため、レーザダイオードから発振されるレーザを狭光線幅(低チャープ)化することに着目した。狭光線幅(低チャープ)のレーザとしては例えばEC−LD(External Cavity LD)がある。EC−LDはこれまで光測定器で波長可変光源などとして使用されてきたレーザであるが、光伝送用、特にアナログ信号の通信には使用されていなかった。その原因はEC−LD自身の伝送特性が格別良くなかったこと、光スペクトルが狭くまた狭光線幅(低チャープ)である光信号が光ファイバへ入力されるとファイバの非線形性で生じる誘導ブリリアン散乱(SBS:Stimulated Brilliant Scattering)の影響を受けてしまうこと等にあったと思われる。
しかし、近年のEC−LDは伝送特性が良くなったことで従来のDFB−LD(Distributed FeedBack LD)よりも長距離伝送に使用可能であるが、波長分散の影響を抑えるために光信号の光スペクトルを狭くして狭線幅化すると伝送媒体である光ファイバの非線形性によって誘導ブリリアン散乱(SBS)が発生する。誘導ブリリアン散乱の発生要因として狭線幅の光スペクトルで高い光パワーが入射されることが挙げられる。誘導ブリリアン散乱が起こると伝送損失の劣化によって受信器側への到達光レベルが低下し映像品質が低下する。誘導ブリリアン散乱が発生しないようにするためには光ファイバへ高い光パワーを入射せず、伝送損失の劣化を含めて受信器側の到達光レベルを基準値となるように伝送路設計を行うことを考えたが、そのようにすると伝送距離が短くなる。長距離伝送するために、光増幅器の台数を増設または送出側の光分配数を増やし、端末側の光分配数を減らすといったシステム構成にしなければならずコストが上がるという新たな課題が発生する。
そこで本件発明者は、狭光線幅(低チャープ)のレーザを使用して、狭線幅の光スペクトルで高パワーの光を光ファイバへ入射して伝送可能距離を長くしても誘導ブリリアン散乱光の影響を抑えることができるようにするため、光信号に適度なチャープ広がりを持たせるようにした。前記したように直接輝度変調では伝送信号をバイアスに重畳することで電気信号を光信号に変換(E/O変換)しているため、変調度(重畳する信号とレーザの輝度との関係)を高くすることでチャープ広がりを発生させることができる(変調度とチャープ幅は比例関係にある。)そのため、チャープに広がりをもたせるためにはレーザへの信号入力レベルを増やせばよい。しかし、次のような理由から単純に増やすことはできなかった。
1.レーザダイオードの特性を最適に運用できる変調度があり、CATVのように多数の信号波を周波数多重している場合、信号波の数と信号レベルの関係である程度の変調度が決定される。
2.現状のCATVで使われている光送信器の信号は地域や設備規模によって入力波数が異なる。
3.一度設置した機器においても伝送信号の入力波数がいつも一定であるとは限らない。
4.厳密にはCATVの入力信号レベルさえ一定では無い。
本件発明者は、前記状況において、常に最適なチャープを保つために、次のようにして変調度を制御することを考えた。
1.光送信器へ入力される信号レベルを最適な変調度になるように、全体の信号電力を検知して制御する(図10)。
2.任意の信号(パイロット信号など)のみを検出して制御する(図11)。
しかし、前記制御方法では1波(1ch)当りの変調度(信号レベル)が上がるため信号受信器側である光/電気変換機の出力信号レベルが光送信器の入力波数及びレベルによって変動する。これではFTTHシステムのように加入者宅に光受信器を設置している場合、光受信器からTVまでの機器接続がどのようになっているか把握できないため、最終的にTVへ伝送されるまでに信号が品質劣化する可能性が出てくる(図12)。
実際には光受信器側においても、全信号電力を検知しまたは特定の1波の信号(パイロット信号など)を基準として検波して出力レベルをコントロールすることで、光受信器から出力される電気信号のレベルを一定にすることはできる(図13)。しかしこれでは受信器側に制御機能の追加や使用される光送信器(全信号電力制御)に対応している専用の光受信器が必要になってくる。しかし、制御機能を追加するのではコスト高になり、FTTHシステム導入が躊躇される一因となる。そこで本願発明は入力信号に関しての1波当りの変調度を変化させることなく、レーザダイオードへの最適な変調度を維持する制御方法として以下の方法を開発した。
本願発明の直接輝度変調型光送信器は請求項1記載のように、直接輝度変調型の光送信器において、レーザダイオードに発振波長1.55μm帯の狭光線幅レーザを発振するレーザダイオードが使用され、光送信器へ入力されるRF信号の全電力が検知され、その検知電力で前記光送信器内の発振器で発振される内部信号又は前記光送信器の外部より入力された外部信号のレベルを制御し、その制御済みの内部信号を前記RF信号に合波して前記レーザダイオードへの入力信号とすることにより、レーザダイオードに入力される光信号レベルが調節されて直接輝度変調の光変調度が制御され、前記内部信号又は外部信号の制御レベルは、SBSの発生を抑制できるチャープを持った狭光線幅のレーザが前記レーザダイオードから発振される変調度となるレベルに設定されるものである
本願発明の直接輝度変調型光送信器は請求項2記載のように、前記直接輝度変調型光送信器において、内部信号或は外部信号の周波数がRF信号のレベルに影響のない周波数にすることができる。
本願発明の直接輝度変調型光送信器は請求項3記載のように、直接輝度変調型の光送信器において、レーザダイオードに発振波長1.55μm帯の狭光線幅レーザを発振するレーザダイオードが使用され、光伝送システムのヘッドエンドのシグナルプロセッサへ入力されるRF信号のレベルが低下又は遮断されたときに当該シグナルプロセッサに擬似信号が送出されてシグナルプロセッサが通常通り作動し、入力レベル低下時又は遮断時でもシグナルプロセッサに入力される信号レベルが正常時と同様に保持され、その入力信号により直接輝度変調の光変調度が制御され、その入力信号レベルが、レーザダイオードから発振されるレーザがSBSを抑制できるチャープを持った狭光線幅となるように設定した。この場合、請求項4記載のように、擬似信号を入力レベル低下又は遮断となったRF信号と同一周波数及び同一レベルとすることができる。請求項5記載のように、前記直接輝度変調型光送信器において、レーザダイオードをEC−LDとすることができる。
本願発明の光送信システムは請求項6記載のように、センターや中継局に光送信器を備えたFTTHシステム又はFTTOシステムの光通信システムにおいて、前記いずれかに記載の直接輝度変調型光送信器を使用したものである。
本件出願の請求項1〜5記載の直接輝度変調型光送信器は次のような効果がある。
1.直接輝度変調型であり、レーザダイオードが発振波長1.55μm帯の狭光線幅レーザを発振するものであるため次のような効果がある。
(1)広い帯域伝送が可能であり、近年需要の高まっているBS・CS−IF帯の一括送信が可能となる。
(2)光ファイバ内での伝送損失が少なく長距離伝送が可能となり、多分配が可能になる。
(3)外部変調方式の光送信器に比べて安価であり、FTTHシステム或はFTTOシステムへの導入コストの削減が可能となる。
(4)狭光線幅レーザを発振するため1.55μm帯の直接輝度変調で問題となる波長分散の影響による2次歪の防止、2次歪による映像品質の劣化も防止できる。
2.光送信器へ入力されるRF信号の全電力を検知し、検知されたRF信号電力に基づいてレーザダイオードが適度のチャープを持つのに適するようにレーザダイオードへの入力信号レベルを増減して光変調度を制御するので次のような効果がある。
(1)狭光線幅レーザが適度のチャープを持つので誘導ブリリアン散乱の影響を受けにくく画像が品質劣化しにくい。
(2)1波(1ch)当りの変調度(信号レベル)が上がることにはならないため、信号受信器側である光/電気変換機の出力信号レベルが光送信器の入力波数及びレベルによって変動することがない。このため、FTTHシステムや或はFTTOシステムのように加入者宅に光受信器が設置されており、しかも光受信器からTVまでの機器接続がどのようになっているか把握できない場合であっても、最終的にTVへ伝送されるまでに信号が品質劣化することがない。また、受信器側に制御機能を追加するとか使用される光送信器(全信号電力制御)に対応している専用の光受信器を設ける必要がないためコスト高になることがなく、FTTHシステムやFTTOシステムに導入し易い。
(4)適度なチャープを発生させることで高パワーの光信号を入射しても、ブリリアン散乱の影響を受けにくく、安定した光伝送サービスが可能となる。
本願発明の直接輝度変調型光送信器は、光送信器へ入力されたRF信号と光送信器内で生成される内部信号もしくは光送信器の外部より入力された外部信号とを合波してレーザへの入力信号とし、その合波信号のレベルを調節することにより直接輝度変調の光変調度を制御し、前記合波信号レベルが、レーザダイオードから発振されるレーザがSBSを抑制するのに適するチャープを持った狭光線幅となるように設定したので、前記効果の他に、光送信器へ入力されるRF信号のレベル変動に拘わらず常にSBSを抑制するのに適するチャープを持った狭光線幅レーザが発振され、SBSの影響を受けにくく画像品質が劣化しにくくなる、という効果がある。
本願発明の請求項記載の直接輝度変調型光送信器は、前記直接輝度変調型光送信器における内部信号或は外部信号の周波数がRF信号のレベルに影響がない周波数としたので、これら信号を光送信器の外部より入力された外部信号或いは内部信号と合波してレーザへの入力信号としてもRF信号に悪影響が無い。
本願発明の請求項記載の直接輝度変調型光送信器は、光伝送システムのヘッドエンドのSPへのRF信号の入力レベルが低下或は遮断されたときに当該SPに無変調搬送波または他の信号に影響を与えない変調搬送波の擬似信号を送出してSPを通常通り作動させて、入力レベル低下時或は遮断時でもSPから光送信器に入力される信号レベルを正常時と同様に保持し、その入力信号により直接輝度変調の光変調度を制御し、その入力信号レベルが、レーザダイオードから発振されるレーザがSBSを抑制するのに適するチャープを持った狭光線幅となるように設定したので、前記効果の他に次のような効果もある。即ち、放送終了後に停波もしくは送出信号のレベルが低下しても、光送信器に入力される信号レベルを正常時と同様の状態になり、光送信器の変調度設定がアナログ信号に割合が多くなっている場合に容易に誘導ブリリアン散乱を抑圧することができる、という効果もある。ちなみに、SPにはスケルチ機能があり、放送終了後に停波もしくは送出信号のレベルが低下するとスケルチ機能がONとなって、SPからの出力がOFFになることがある。この場合は光送信器の入力が減ってしまいレーザダイオードの変調度が低下して誘導ブリリアン散乱が発生し伝送特性が劣化する。
本願発明の請求項記載の直接輝度変調型光送信器は、前記擬似信号を入力レベルが低下或は遮断したRF信号と同一周波数及び同一レベルにしたため、擬似信号への切替え後も歪特性に変化がなく、RF信号に基いて変調度を制御する場合と同じ状態で変調度を制御することができる。
本願発明の請求項6記載の光送信システムは、前記光送信器をFTTHシステム或はFTTOシステム等の光通信システムにおけるセンターや中継局等の光送信器が光通信システムに利用したので、それら光送信器の特徴を備えた光送信システムとなる。
(実施形態1)
本発明の直接輝度変調型光送信器の第1の実施例を図1に基づいて説明する。この実施例の光送信器はレーザダイオード1に発振波長1.55μm帯の狭光線幅レーザを発振するレーザダイオードを使用し、光送信器2の入力端(RF input)3へ入力されるRF信号の全電力でレーザダイオード1を直接輝度変調する方式である。この場合、前記入力RF信号の一部を分岐器4で分岐して検知器5で検知し、その検知電力で増幅器6の増幅度を増減(制御)して、光送信器2内の発振器7で発振される内部信号のレベルを常に一定に制御し、その制御済みの内部信号を合波器8で前記RF信号(増幅器9、10で増幅されたRF信号)に合波してレーザダイオード1への入力信号とし、レーザダイオード1で直接輝度変調する。前記内部信号のレベル制御はSBSを抑制するのに適するチャープを持った狭光線幅のレーザがレーザダイオード1から発振される変調度となるようにする。レーザダイオード1で直接輝度変調されたRF信号を含む出力信号は光送信器2の出力端(RFoutput)11より外部へ伝送される。
前記レーザダイオード1には例えばEC−LDを使用することができる。EC−LDの光線幅は400kHz程度であり、本発明で実用化可能な狭光線幅の光信号が得られる。DFB−LDの光線幅は数MHz(約3MHz程度)と広いが、最近はDFB−LDの狭線幅化が進められているため、近い将来はDFB−LDも本発明に使用可能となる。
本願発明では前記内部発振信号の代わりに外部信号、例えばパイロット信号を使用することもできる。この場合は光送信器2へ入力されるRF信号レベルを検知し、その検知レベルに基づいて外部信号レベルをSBSを抑制するのに適するチャープを持った狭光線幅のレーザがレーザダイオード1から発振される変調度となるように制御する。この場合は、受信器側で利用するRF信号のレベルを変化させること無く変調度を制御することができる。
(実施形態2)
本発明の直接輝度変調型光送信器の第2の実施例を図2、3に基づいて説明する。この光送信器も直接輝度変調方式であり、レーザダイオードに発振波長1.55μm帯の狭光線幅レーザを発振するレーザダイオードを使用する。近年のFTTHシステムの伝送方法ではアナログ信号とデジタル信号の双方が伝送されている。この場合、アナログ信号の入力レベルがデジタル信号の入力レベルよりも高いためアナログ信号の方が変調度にかかわる割合が多い。CATVシステムではアナログ信号を伝送するときはヘッドエンドに自動利得調節(AGC)付きのシグナルプロセッサ(SP:図3)が設置されているため昼間の番組放送時には光送信器への入力レベルはほぼ一定である。しかし、深夜になると、アナログ信号を使用した番組は放送局によっては放送終了後に停波もしくは送信信号のレベルを低くすることがある。通常、SPには入力レベルが所定以下になると入力信号が無いと判断して出力をOFFにするスケルチ機能がついている。このため、前記のように停波もしくは送信信号がレベル低下して光送信器の入力が低減するとレーザダイオードの変調度が低下してSBSが発生し、伝送特性が低下する(図3)。図2に示す第2の実施形態の光送信器はこのような状態においてもレーザダイオードの変調度が低下せず、SBSが発生しにくく、伝送特性が低下しにくくなるようにしたものである。
図3の実施形態では停波時もしくはレベル低下時にSPに擬似信号を送って、SPのスケルチ機能が動作せずSPが正常時と同様に動作するようにした。そのため、例えば、SPのスケルチ回路部分に切替え器などを設けて、この切替え器が停波時もしくはレベル低下時に自動的に擬似信号発生器側に切替わって擬似信号発生器から擬似信号が発生され、それがSPに自動的に送出されるようにする。この擬似信号には光送信器へ入力されていたRF信号(運用信号)と同一周波数及び同レベルの無変調搬送波或は変調搬送波を使用するのが望ましく(図2)、そのようにすることによりRF信号がある場合と同じ状態でダイオード1から適度のチャープの光信号が発振される。ちなみに、停波もレベル低下もしない通常放送時のチャープ幅の広がりは約1.2GHzであったのに対し、VHFの10波(1〜12ch)が停波したときは700MHzであった。この実施形態に基づいて停波時に擬似信号を入力するとチャープ幅が通常時と同様に1.2GHzとなった。
(光送信システムの実施形態)
本願発明の光送信システムは、FTTHシステム或はFTTOシステム等の光送信システムのセンターや中継局等の光送信器に前記実施形態の光送信器を導入したものである。
(本件発明の実験例)
本件発明者が実際に開発した光送信器の伝送特性を使用して多チャンネル信号を伝送した実験結果を表1に示す。表1は横軸に伝送路であるファイバの距離を、縦軸に2次歪(CSO)の劣化度合いを示してある。ファイバのない状態を0としてファイバの距離を増やすことによる劣化を確認した。波長分散による影響を受けた場合は主に2次歪の劣化となるため表1には複合2次歪(CSO:Composite Second Order)の測定結果を表示した。表1よりEC−LDは直接変調型ではあるが同じ直接変調型であるDFB−LDに比べて2次歪の劣化が少なく、外部変調器(EXT−MOD)はファイバの距離による影響を余り受けていないことがわかる。
Figure 0004796872
本発明の直接輝度変調型光送信器、光送信システムは、CATV以外のFTTHシステムやFTTOシステムといった光送信システム以外の光通信システムにも利用可能である。
本発明の直接輝度変調型光送信器の第1の実施形態を示す説明図。 本発明の直接輝度変調型光送信器の第2の実施形態を示す説明図。 通常のシグナルプロセッサの動作説明図。 従来のHFC伝送システムの説明図。 従来のFTTH伝送システムの説明図。 (a)は外部変調方式の説明図、(b)は外部変調方式と波長分散による伝送後の時間差の様子を示す説明図。 (a)、(b)は直接輝度変調方式の説明図。 チャーピング現象と波長分散による伝送後の時間差の様子を示す説明図。 (a)は1.31μm帯レーザ伝送時の波長分散による伝送後の時間差の様子を示す説明図、(b)は1.55μm帯レーザ伝送時の波長分散による伝送後の時間差の様子を示す説明図。 全信号電力制御方式のブロック説明図。 光送信器への入力信号中の任意信号(パイロット信号)検出型制御ブロックの構成図。 加入者側の接続状況説明図。 光受信器側における任意信号(パイロット信号)検出型制御ブロックの構成図。
1 レーザダイオード
2 光送信器
3 光送信器の入力端(RF input)
4 分岐器
5 検知器
6 増幅器
7 発振器
8 合波器
9、10 RF信号用の増幅器
11 送信器の出力端(RF output)

Claims (6)

  1. 直接輝度変調型の光送信器において、
    レーザダイオードに発振波長1.55μm帯の狭光線幅レーザを発振するレーザダイオードが使用され、光送信器へ入力されるRF信号の全電力が検知され、
    その検知電力で前記光送信器内の発振器で発振される内部信号又は前記光送信器の外部より入力された外部信号のレベルを制御し、その制御済みの内部信号を前記RF信号に合波して前記レーザダイオードへの入力信号とすることにより、レーザダイオードに入力される光信号レベルが調節されて直接輝度変調の光変調度が制御され、前記内部信号又は外部信号の制御レベルは、SBSの発生を抑制できるチャープを持った狭光線幅のレーザが前記レーザダイオードから発振される変調度となるレベルに設定されことを特徴とする直接輝度変調型光送信器。
  2. 請求項1記載の直接輝度変調型光送信器において、内部信号或は外部信号の周波数がRF信号のレベルに影響のない周波数であることを特徴とする直接輝度変調型光送信器。
  3. 直接輝度変調型の光送信器において、レーザダイオードに発振波長1.55μm帯の狭光線幅レーザを発振するレーザダイオードが使用され、光伝送システムのヘッドエンドのシグナルプロセッサへ入力されるRF信号のレベルが低下又は遮断されたときに当該シグナルプロセッサに擬似信号が送出されてシグナルプロセッサが通常通り作動し、入力レベル低下時又は遮断時でもシグナルプロセッサに入力される信号レベルが正常時と同様に保持され、その入力信号により直接輝度変調の光変調度が制御され、その入力信号レベルが、レーザダイオードから発振されるレーザがSBSを抑制できるチャープを持った狭光線幅となるように設定されたことを特徴とする直接輝度変調型光送信器。
  4. 請求項記載の直接輝度変調型光送信器において、擬似信号が入力レベル低下又は遮断となったRF信号と同一周波数及び同一レベルであることを特徴とする直接輝度変調型光送信器。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の直接輝度変調型光送信器において、レーザダイオードがEC−LDであることを特徴とする直接輝度変調型光送信器。
  6. センターや中継局に光送信器を備えたFTTHシステム又はFTTOシステムの光通信システムにおいて、前記光送信器が、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の直接輝度変調型光送信器であることを特徴とする光通信システム。
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