JP4796490B2 - Irsプロテインキナーゼ阻害剤またはアゴニストの同定方法 - Google Patents

Irsプロテインキナーゼ阻害剤またはアゴニストの同定方法 Download PDF

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Description

本発明は、IRSプロテインキナーゼ阻害剤またはアゴニストの同定方法、並びに、PKC−ζ、および、その他のIRSセリンキナーゼのためのリン酸化部位を含む、選択されたIRSペプチド、および、2型糖尿病の治療のための医薬組成物を同定するための、上記ペプチドの使用に関する。
非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)は、成人で優勢に発症し、血液からグルコースを排除できる組織の感受性の減少を特徴とする。インスリン依存性 糖尿病(IDDM、I型糖尿病)に対して、II型糖尿病は、膵臓のベータ細胞からのインスリン分泌の障害を特徴としない。
インスリン感受性、または、さらにインスリン抵抗性の低下を引き起こす分子メカニズムは、大学と医薬産業の両方において研究者による徹底的な研究が行われているにもかかわらず、まだ知られていない。近年の研究では、II型糖尿病において、活性化インスリン受容体をGLUT4のトランスロケーションとグルコース輸送に繋げる第2のメッセンジャー経路が障害を起こしていることが解明されている。特に、インスリン受容体基質(IRS)タンパク質において、複数のチロシン残基が、活性化インスリン受容体、インスリン様成長因子受容体およびJAK1/2によってリン酸化されており、インスリンシグナル伝達下流のプロセスにおいて重要な役割を果たしている(1,2,3)。特にIRS−1およびIRS−2内のホスホチロシンモチーフが、Grb2、細胞内PTPアーゼSHP−2、Nck、Crkおよびホスファチジルイノシトール−3キナーゼ(PI−3キナーゼ)を含むSrc相同2(SH2)ドメインを有する一連のアダプタータンパク質のドッキング部位として役立つ(4〜6)。PI−3キナーゼは、110kDaの触媒サブユニット(p110)と、2つのSH2ドメインを含む85kDaの調節サブユニット(p85)とで構成され、SH2ドメインは、IRSタンパク質内のチロシン−リン酸化pYMXMおよびpYXXMモチーフに結合し、PI−3キナーゼ活性化を誘導する(7)。これにより、セリン/スレオニンキナーゼPKB/Akt(8,9)と、異常なプロテインキナーゼCアイソフォーム−ζおよび−λ(PKC−ζ/λ)(10,11)とを含むさらに下流のキナーゼが、ホスホイノシチド依存性キナーゼ1によって刺激される。PKBおよびPKC−ζ/λとその下流のシグナルの活性化が、インスリンの代謝作用、例えばGLUT4のトランスロケーションおよびグルコース輸送(10,11)、GSK3セリンリン酸化およびグリコーゲン合成(12)、PDEセリンリン酸化および抗脂肪分解(13,14)、ならびに、mTOR活性化およびタンパク質合成(15,16)の仲介に重要な役割を果たすことが示されている。
インスリンシグナル伝達系の異常調節は、インスリン抵抗性と2型糖尿病を発生させるIRSタンパク質を伴う多因子性のプロセスであり、主要な標的となり得る(17)。従って、IRSタンパク質のセリン/スレオニンリン酸化は、インスリンシグナルのフィードバック阻害と、細胞のインスリン抵抗性の発達の両方において重要な役割を果たすことが提唱されている(総論として、17〜19を参照)。セリン/スレオニンにおけるIRS−1の共有結合の修飾が、そのインスリン誘導性のチロシンリン酸化、PI3−キナーゼの活性化、および、グルコース輸送の刺激を損なうことが示されている(20)。刺激されていない状態において、IRS−1のセリン/スレオニンリン酸化は、細胞中で構成的に発生し(21)、これは、シグナル伝達を阻害するサイトカインや代謝産物、例えば、腫瘍壊死因子(TNF)α(22)、遊離脂肪酸、グルコースまたはセラミド(23)によってさらに促進される。その上、セリン/スレオニン残基におけるIRS−1の過剰リン酸化は、インスリン抵抗性と2型糖尿病において共通して見出される(24)。
インスリン抵抗性の発達に重要な役割を果たすにもかかわらず、IRS−1のセリンリン酸化は、十分には理解されておらず、これは主に、IRS−1に含まれる可能性のあるセリンリン酸化部位が100を超えることと、これらは、多くのプロテインキナーゼ、例えばc−JunN末端キナーゼ(JNK)(25)、IカッパBキナーゼ−β(26)、MAPキナーゼ(27)、カゼインキナーゼ(28)、グリコーゲンシンターゼキナーゼ(29)、ホスホイノシトール−3−キナーゼ(30)、プロテインキナーゼA(31)、プロテインキナーゼC(32)、プロテインキナーゼB(PKB)(33)、および、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)(34)の基質の一つであることが示されていることが原因である。興味深いことに、PKBとAMPKの両方が、IRS−1機能の正の調節因子として作用することが発見され、これは、IRS−1のセリン/スレオニンリン酸化は、インスリンシグナル伝達を増強するか、または停止させる二重の役割を有する、という考察を証明するものである(35)。このようなインスリン作用における極めて複雑な調節段階に関する我々の理解は、異なる刺激に応答してセリンリン酸化を受けたIRS−1の異なるドメイン内の残基を同定することにより改善された。それによれば、JNK(25)などのストレス活性化キナーゼの標的として、ホスホチロシン結合(PTB)ドメインの近辺に位置するSer307が、同定されており、これはまた、インスリン作用の負のフィードバック調節因子としての役割も果たす(36)。Ser789は、AMPKによって標的化され、インスリン作用を正に調節するが(34)、未同定のキナーゼによるSer789のリン酸化もまた、インスリンシグナル伝達を弱めることが発見された(37)。Ser612、Ser632、Ser662、および、Ser731は、PI3−キナーゼ相互作用ドメイン内に、または、その近辺に位置するが、これらの部位の機能的な関連は、未だ解明されていない(38〜40)。
上述のプロテインキナーゼに対して、プロテインキナーゼC(PKC)−ζは、セリン/スレオニンキナーゼのPKCファミリーの異常な構成要素であり、これは、インスリンシグナルの下流での導入と、IRS−1機能の負のフィードバックコントロールの両方に関与しているようである(11,41〜44)。従って、PKC−ζは、GLUT4と共局在化しており、骨格筋(41)および脂肪細胞(11)において、インスリンで調節されたGLUT4のトランスロケーションとグルコース輸送に必須であることが発見された。さらに、PKC−ζの不完全な活性化は、骨格筋のインスリン抵抗性の肥満症依存性を発症させる一因となる可能性がある(42)。Quonとその協力者による近年のデータ(43)によれば、IRS−1は、PKC−ζの新規の基質の一つであることが示され、それと平行する研究において、Zickとその協力者(44)は、このプロセスはPI3−キナーゼ活性化を阻害することを発見しており、これは、PKC−ζは、インスリン作用の負のフィードバックコントロールにおける重要な構成要素を示すことを示唆している。
まとめると、IRS、特にIRS−1はPKC−ζと相互作用することが当業界既知であるにもかかわらず、この相互作用の本質はわかっていない。その結果として、IRS−PKC−ζ相互作用と相互作用する当業界既知の物質はない。しかしながら、IRSとPKC−ζの相互作用を阻害することによって、IRS、さらに下流のPI3−キナーゼの阻害がダウンレギュレーションされ、それによって順に、GLUT4のトランスロケーションとグルコース輸送が改善される可能性が極めて高いために、上述したような物質の必要性は極めて高いと考えられる。
従って、本発明の目的は、IRSプロテインキナーゼ阻害剤またはアゴニストの同定方法を提供することである。
本発明によれば、この目的は、
a)PKC−ζと、PKC−ζ−Ser−リン酸化部位を少なくとも1つ含むIRSペプチドの少なくとも1種とを、少なくとも1種の推定の阻害剤の存在下で接触させる工程、および、
b)PKC−ζ−Ser−リン酸化部位のリン酸化を測定する工程、
を含むIRSプロテインキナーゼ阻害剤の同定方法によって達成される。
本発明は、驚くべきことに、IRSの配列中で、PKC−ζによって特異的に認識される特異的なセリンリン酸化部位が同定されたことに基づく。その結果として、本発明に関して、IRS−PKC−ζ相互作用を提供する分子メカニズムが同定された。その上、c−JunN末端キナーゼ(JNK)、IカッパBキナーゼ−β、MAPキナーゼ、カゼインキナーゼ、グリコーゲンシンターゼキナーゼ、ホスホイノシトール−3−キナーゼ、プロテインキナーゼA、プロテインキナーゼC、プロテインキナーゼB8PKB)、および、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)のようなその他のプロテインキナーゼも、これらのリン酸化部位を認識できる可能性が高い。それゆえに、プロテインキナーゼ、特にPKC−ζによってリン酸化されるセリン部位を決定することによって、アンタゴニストまたはアゴニスト様式のいずれかで、この相互作用を妨害する分子の同定が可能になる。
本発明に関して、用語「IRSプロテインキナーゼ阻害剤」は、IRSとプロテインキナーゼ(例えばPKC−ζ)との相互作用を妨害する物質を意味する。
本発明に関して、用語「IRSペプチド」は、IRSの少なくとも5個、好ましくは7個、好ましくは少なくとも10個のアミノ酸からなる伸長を含むペプチドを意味する。用語「IRSペプチド」は、IRSペプチドは、IRS由来のアミノ酸の伸長に加えて、IRS由来ではない追加のアミノ酸を含んでもよいことを含む。
本発明の方法はいずれも、好ましくは、インビトロで行われる。
PKC−ζは市販されており、例えばカルバイオケム(Calbiochem,サンディエゴ,カリフォルニア州,米国)から市販されている。さらに、PKC−ζの単離方法は、本願で引用された文献で説明されている。
様々な種由来のIRS、特にIRS−1およびIRS−2の配列は、当業界既知である。本発明において、ラットIRS−1配列は、配列番号16で示される。
タンパク質の生産方法、および、その結果としてIRSの生産方法は、当業界既知であり、例えば、適切な細胞でのcDNAからのタンパク質発現、または、それに続く最初のアミノ酸へアミノ酸を付加することによる生産を含む(Current Protocols,ジョン・ワイリー&サンズ社(John Wiley & Sons,Inc.),ニューヨークを参照)。
その上、タンパク質フラグメントの生産方法は、当業界既知であり(上記参照)、適切なプロテアーゼでのタンパク質の切断、または、そのタンパク質フラグメントをコードする核酸フラグメントの生成、および、それに続くそのフラグメントの適切な細胞での発現を含む。
例えば、1またはそれ以上のアミノ酸を置換すること、または、アミノ酸の伸長を欠失させることによる成熟タンパク質の生産方法は、当業界既知である(上記参照)。これらの方法は、IRS遺伝子の部位特異的変異誘発、および、改変された遺伝子の適切な細胞での発現を含む。
好ましい実施形態によれば、前記少なくとも1種の推定の阻害剤の非存在下におけるリン酸化と比較して減少しているPKC−ζ−Ser−リン酸化部位のリン酸化は、前記推定の阻害剤の阻害特性に関する指標である。
好ましくは、PKC−ζは、哺乳動物由来、好ましくはげっ歯類またはヒト由来、より好ましくはラットまたはヒト由来である。
本発明の好ましい実施形態によれば、IRSペプチドは、哺乳動物由来の、好ましくはヒトまたはげっ歯類由来の、より好ましくはラット由来のIRS、好ましくはIRS−1から誘導される。
好ましくは、IRS−1は、ラット由来であり、少なくとも1つのPKC−ζ−Ser−リン酸化部位は、Ser458、469、481、498、522、526、530、536、538、539、542、560、570、577、599、600、612、620、632、635、662、および、664からなる群より選択され、前記配列番号は、配列番号16に示されるラットIRS−1に相当する。
さらに、IRS−1は、ヒト由来であってもよく、少なくとも1つのPKC−ζ−Ser−リン酸化部位は、上記のラットIRS−1のSer残基に相当するSer残基から選択される。
好ましくは、本発明に関して、PKC−ζ−Ser−リン酸化部位は、Ser498、Ser570、および、Ser612からなる群より選択することもでき、より好ましくはSer570である。
本発明の最も好ましい実施形態によれば、前記ペプチドは、rIRS449-664である(配列番号17)。
好ましくは、前記阻害剤は、結合ペプチド、抗体、および、低分子量の化合物(LMW)からなる群より選択される。
用語「結合タンパク質」または「結合ペプチド」は、IRSと結合し、阻害するタンパク質またはペプチドのクラスを意味し、例えば、これらに限定されないが、IRSに対して向けられたポリクローナルまたはモノクローナル抗体、抗体フラグメントおよびタンパク質の足場、例えばIRSに対して向けられたアンチカリン(anticalin)が挙げられる。
抗体または抗体フラグメントを製造する手順は、当業者周知の方法に従って実行され、例えば、必要に応じて、例えばフロインドアジュバントおよび/または水酸化アルミニウムゲルの存在下で、哺乳動物(例えばウサギ)をIRSで免疫化することによって実行される(例えば、Diamond,B.A.等(1981年)The New England Journal of Medicine:1344〜1349を参照)。その後、免疫反応の結果として動物中で生産されるポリクローナル抗体は、周知の方法を用いて血液から単離することができ、例えば、カラムクロマトグラフィーによって精製することもできる。モノクローナル抗体は、例えば、WinterおよびMilsteinの既知の方法に従って製造することができる(Winter,G.およびMilstein,C.(1991年)Nature,349,293〜299)。
本発明に係る用語「抗体」または「抗体フラグメント」はまた、それらの抗体または抗原結合部も意味するものと理解され、これらは組換えによって製造され、必要に応じて改変されており、例えばキメラ抗体、ヒト化抗体、多機能抗体、二重特異性または多重特異性抗体、一本鎖抗体およびF(ab)、または、F(ab)2フラグメントが挙げられる(例えば、EP−B1−0368684、US4,816,567、US4,816,397、WO88/01649、WO93/06213、または、WO98/24884を参照)。
また、典型的な抗体の代りとして、例えば、IRSに対するタンパク質の足場、例えば、リポカリンをベースとしたアンチカリンを使用することも可能である(Beste等(1999年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,96,1898〜1903)。リポカリン(例えばレチノール結合タンパク質またはビリン結合タンパク質)の天然のリガンド結合部位は、例えば「コンビナトリアルタンパク質設計」アプローチによって、そのような部位が選択されたハプテン(ここではIRS)に結合するように改変することができる(Skerra,2000年,Biochim.Biophys.Acta,1482,337〜50)。その他の既知のタンパク質の足場が、分子認識のための抗体の代用として知られている(Skerra(2000年)J.Mol.Recognit.,13,167〜187)。
LMWは、タンパク質、ペプチド抗体または核酸ではない分子であり、分子量が、5000Da未満、好ましくは2000Da未満、より好ましくは2000Da未満、最も好ましくは500Da未満を示す分子である。このようなLMWは、ライブラリーから開始するハイスループット法で同定することもできる。
阻害剤は、天然産物の抽出物の形態が可能であり、未精製の形態でも精製した形態のいずれでもよい。このような抽出物は、標準的な手法に従って生産でき、例えば水および/またはアルコールおよび/または有機溶媒抽出、および/または、カラムクロマトグラフィー、および/または、動物、植物または微生物源(例えばヘビ毒、葉または微生物の発酵液)からの沈殿によって生産できる。
本発明に関して、IRSおよびPKC−ζは、例えば分析システムに提供され、試験化合物(特に生化学的または化学的試験化合物)と、例えば化学物質ライブラリーの形態で、直接または間接的に接触させる。次に、IRSのリン酸化に関する試験化合物の影響が測定または検出される。その後、適切な阻害剤を、解析および/または単離することができる。
化学物質ライブラリーをスクリーニングするために、ハイスループット分析の使用が好ましく、これらは当業者既知であるか、または市販されている。
本発明に係る用語「化学物質ライブラリー」は、化学合成された分子や天然産物などの複数の源のいずれかから収集した、または、コンビナトリアルケミストリー技術で生成した複数種の化学物質を意味する。
一般的に、相互作用に対する試験化合物の影響は、IRSペプチドのリン酸化度を決定することによって測定または検出される。これは、リン特異的抗体を用いることによって実行可能である。このような抗体は、当業界既知であり、例えば、クロンテック(Clonetech)、サンタクルーズ(Santa Cruz)およびセルシグナル(Cellsignal)から市販されている。
あるいは、リン酸化度は、分析において放射標識されたATPを用いて測定してもよい。このようなATPは、32−Pまたは33−Pで標識することができ、IRSに取り込まれた放射性のリン酸量は、当業界既知の方法によって測定することができる(実施例2、9を参照)。例えば、オートラジオグラフィで測定されたシグナル強度をリン酸化度の指標とすることができる。
有利には、本発明の方法は、ロボットシステムで行われ、これらは、例えば、ロボット式プレーティング、および、例えばマイクロフルイディクス(すなわちチャネル型の構造を持つ)を用いた、ロボット式の液体トランスファーシステムを含む。
その他の本発明の実施形態において、本方法は、ハイスループットスクリーニングシステムの形態で行われる。このようなシステムにおいて、有利には、スクリーニング方法は自動化かつ小型化されており、特に、小型化されたウェルと、ロボット制御されたマイクロフルイディクスを利用している。
本発明はさらに、IRSアゴニストの同定方法に関し、本方法は、
a)少なくとも1つのPKC−ζ−Ser−リン酸化部位を含む推定のアゴニストの少なくとも1種の存在下で、PKC−ζと、PKC−ζ−Ser−リン酸化部位を少なくとも1つ含むIRSペプチドの少なくとも1種とを接触させる工程、および
b)推定のアゴニストのPKC−ζ−Serリン酸化部位のリン酸化を測定する工程、を含む。
この本発明の方法において、PKC−ζおよびIRSに関しては、上記で開示された方法に関するものと同じ実施形態が適用される。好ましい実施形態において、前記アゴニストは、ペプチドである。本発明に関して用いることができるペプチドライブラリーは、当業界既知である。
この本発明の方法の好ましい実施形態によれば、前記IRSペプチドのPKC−ζ−Ser−リン酸化部位のリン酸化と比較して増加している前記アゴニストのPKC−ζ−Ser−リン酸化部位のリン酸化は、前記推定のアゴニストの特性に関する指標である。
本発明はさらに、PKC−ζ活性の決定方法に関し、本方法は、
a)PKC−ζを、PKC−ζ−Ser−リン酸化部位を少なくとも1つ含むIRSペプチドの少なくとも1種とを、少なくとも1種の推定の阻害剤の存在下で接触させる工程、および
b)PKC−ζ−Ser−リン酸化部位のリン酸化を測定する工程、
含む。
その結果として、本発明は、PKC−ζ活性を測定する方法を提供する。このような方法は、患者、特に糖尿病患者におけるシグナル伝達系に関するより多くの情報を得るために、異なる患者からのPKC−ζの活性を測定しなければならない場合に特に有用である。
この本発明の方法において、PKC−ζは、好ましくは哺乳動物由来、より好ましくはヒト由来である。
この本発明の方法と、そこで用いられるIRSに関しては、上記で開示された本発明のその他の方法に関する同じものが適用される。
本発明はさらに、Ser570、好ましくは、配列番号17で示されたIRS−1449-664を含むIRS−1ペプチド、または、そのヒト相同体に関する。
本発明において、この本発明のペプチドは、特に、IRS類似体または阻害剤を同定するのに有用であることが判明した。
本発明はさらに、キットを提供し、本キットは、
a)少なくとも1種のIRSペプチド、
b)PKC−ζ調製物、および
c)少なくとも1種の推定のIRSプロテインキナーゼ阻害剤またはアゴニスト、
を含む。
すでに上述したように、このようなキットは、IRSプロテインキナーゼ阻害剤の同定に極めて有用である。その個々の成分は、すでに上述している。
さらなる形態において、本発明は、Ser570および/またはSer612が、好ましくはアラニンに突然変異しているIRS−1ペプチドを提供する。このようなペプチドは、インビトロまたはインビボでPKC−ζ活性をブロックするのに有用である。
本発明はさらに、好ましくはPKC−ζ−Ser−リン酸化部位に対する、好ましくはSer498、Ser570、および、Ser612に対する、より好ましくはSer570に対する抗体を生産するための、上記で定義されたIRSペプチドの使用に関する。
その結果として、本発明で定義されたIRSペプチドの補助で、IRS特異的抗体、特に、PKC−ζリン酸化部位に対して向けられた抗体を生産することが可能である。このような抗体は、インビトロでの診断法、同様に、医薬組成物のの両方で役立つ可能性がある。
さらなる形態において、本発明は、2型糖尿病の治療のための医薬組成物を製造するための、上記で定義されたIRSペプチド、または、上記で定義された突然変異したSer部位を含むIRS−1ペプチドの使用に関する。このようなペプチドは、IRSとPKC−ζとの相互作用を阻害する可能性があるため、IRSリン酸化のアンタゴニストとして役立つ可能性がある。
上記医薬組成物を製造するために、本発明で同定されたIRSプロテインキナーゼ阻害剤またはアゴニスト、または、本発明のペプチドは、一般的に、投与様式に応じて、1またはそれ以上の製薬上許容できる添加剤または補助剤、例えば生理緩衝溶液、例えば塩化ナトリウム溶液、脱塩水、安定剤、例えばプロテアーゼまたはヌクレアーゼ阻害剤、好ましくはアプロチニン、ε−アミノカプロン酸もしくはペプスタチンA、または、金属イオン封鎖剤、例えばEDTA、ゲル化剤、例えば白色ワセリン、低粘度パラフィンおよび/または黄色ワックスなどと共に製剤化される。
さらなる適切な添加剤としては、例えばトリトンX−100またはデオキシコール酸ナトリウムのような界面活性剤、、それに加えて、例えばポリエチレングリコールまたはグリセロールのようなポリオール、例えばスクロースまたはグルコースのような糖類、両性イオン性化合物、例えばグリシン、または、特にタウリンもしくはベタインのようなアミノ酸、および/または、例えばウシまたはヒト血清アルブミンのようなタンパク質が挙げられる。好ましくは、界面活性剤、ポリオールおよび/または両性イオン性化合物である。
好ましくは、生理緩衝溶液のpHは、約6.0〜8.0、特に約6.8〜7.8、特に約7.4であり、および/または、生理緩衝溶液の浸透圧モル濃度は、約200〜400ミリオスモル/リットル、好ましくは約290〜310ミリオスモル/リットルである。本医薬組成物のpHは、一般的に、適切な有機または無機緩衝液を用いて、例えば、好ましくは、リン酸緩衝液、トリス緩衝液(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、HEPES緩衝液([4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ]メタンスルホン酸)、または、MOPS緩衝液(3−モルホリノ−1−プロパンスルホン酸)を用いて調節される。それぞれの緩衝液の選択は、一般的に、緩衝液の望ましいモル濃度に依存する。例えば注射および輸液には、リン酸緩衝液が適切である。
本医薬組成物は、従来の方式で投与することが可能であり、例えば錠剤またはカプセルのような経口投与形態によって、皮下に埋め込まれたデポジットの形態で粘膜(例えば鼻または口腔)を介して、本発明に係る医薬組成物を含む注射、輸液またはゲルによって投与することが可能である。さらに本医薬組成物は、場合によりリポソーム複合体の形態で、局部的に、および、局所的に投与することも可能である。その上、治療は、医薬組成物の一時的な制御放出を可能にする経皮吸収型製剤(TTS)によって行うこともできる。TTSは、例えば、EP0944398A1、EP0916336A1、EP0889723A1、または、EP0852493A1に記載されている。
注射液は、一般的に、比較的少量の溶液または懸濁液(例えば約1〜約20ml)しか体に投与されない場合に用いられる。輸液は、一般的に、大量の溶液または懸濁液(例えば1リットルまたはそれ以上)を投与する予定の場合に用いられる。輸液に対して、注射液の場合、数ミリリットルしか投与されないため、注射液における血液または組織液のpHおよび浸透圧とのわずかな差は、それ自体問題ではないか、または、それ自体、痛みの感覚に関してわずかな程度の問題でしかない。それゆえに、本発明に係る製剤の使用前の希釈は、通常は必要ない。しかしながら、比較的大量を投与する場合、本発明に係る製剤は、投与直前に、少なくともほぼ等張の溶液が得られるような程度に希釈すべきである。等張溶液の例としては、0.9%濃度の塩化ナトリウム溶液が挙げられる。輸液の場合、希釈は、例えば滅菌水を用いて行うことができ、投与は、例えばいわゆるバイパスを介して行うことができる。
本発明はさらに、医薬組成物の製造方法に関し、本方法は、
a)上記で定義されたIRSプロテインキナーゼ阻害剤またはアゴニストを同定する工程、
b)適量の前記IRSプロテインキナーゼ阻害剤を提供する工程、および
c)IRSプロテインキナーゼ阻害剤を、場合により製薬上許容できるキャリアーと組み合わせて、医薬組成物に製剤化する工程、
を含む。
以下の実施例と図で、本発明をさらに説明するが、これらは、本発明の範囲を限定することを目的としない。
実施例1:材料
オリゴヌクレオチドプライマーを、MWG−バイオテック(MWG−Biotech,エベルスベルグ(Ebersberg),ドイツ)から得た。BL21コドン・プラス(Codon Plus)およびクイックチェンジ(QuikChange)TM部位特異的変異誘発キットを、ストラタジーン(Stratagene,ラホヤ,カリフォルニア州,米国)から購入した。ワン・ショット・トップ10(One Shot TOP10)コンピテント細胞を、インビトロジェン(Invitrogen,カールスルーエ,ドイツ)から得た。プラスミド・ミニプレップ・キットを、キアゲン(Qiagen,ヒルデン,ドイツ)から得た。ポリクローナル抗IRS−1抗血清は、J.A.マッセン博士(Dr.J.A.Maassen,ライデン,オランダ)からの寄贈品であった。ホースラディッシュペルオキシダーゼにカップリングされる抗ホスホチロシン抗体(RC20)と抗p85α抗体を、トランスダクション・ラボラトリーズ社(Transduction Laboratories,Inc.,レキシントン,ケンタッキー州,米国)から得た。モノクローナル抗IRp抗体を、オンコジーン(Oncogene,ケンブリッジ,マサチューセッツ州,米国)より購入した。抗IRS−1pS616抗体を、バイオソース(Biosource,カマリロ,カリフォルニア州,米国)から得た。エンハンスト・ケミルミネセンス(ECL)検出の二次抗体としての、HRP標識抗ウサギおよび抗マウスIgG抗体を、プロメガ社(Promega Corp.,マンハイム,ドイツ)から得た。ラット脳由来のプロテインキナーゼC(PKC−rb)、組換えヒトプロテインキナーゼC−ζ、ビスインドリルマレイミドI(BIM)、および、PKC−ζ偽基質の阻害剤を、カルバイオケム(サンディエゴ,カリフォルニア州,米国)から得た。アルファトロンビンを、アップステート・バイオテクノロジー社(Upstate Biotechnology Inc.,レイクプラシッド,ニューヨーク州,米国)から購入した。分子生物学のための酵素、完全プロテアーゼ阻害剤カクテル、および、改変トリプシン(配列解析グレード)を、ロシュ(Roche,マンハイム,ドイツ)から得た。オカダ酸、ホスファチジルセリン、および、小麦胚芽アグルチニン(Triticum vulgaris)を、シグマ(SIGMA,ミュンヘン,ドイツ)から購入した。IRS−1ペプチドは、ホフマン博士(Dr.Hoffmann,BMFZ,デュッセルドルフ大学(University of Duesseldorf),デュッセルドルフ,ドイツ)によって合成された。SDS−PAGEのための化学物質、GST遺伝子融合ベクターpGEX−5X−3、グルタチオンセファロース(R)4B、および、[γ−32P]ATPを、アマシャム・バイオサイエンス(Amersham Biosciences,フライブルグ,ドイツ)から購入した。ゲルコード・ブルー(GelCode Blue)染色試薬、リストアー(Restore)TMウェスタンブロットストリッピング緩衝液、および、スーパーシグナル(SuperSignal)基質を、ピアース(Pierce,ロックフォード,米国)から得た。ビアコア(Biacore)XおよびセンサーチップCM5は、ビアコア(Biacore,フライブルグ,ドイツ)の商品である。その他全ての化学物質は、市販の最高グレードのものである。
実施例2
方法1)融合タンパク質の構築および発現
発現ベクターpGEX−2TにクローニングしたウシPI3−キナーゼの調節p85αサブユニットは、P.シェパード博士(Dr.P.Shepherd,ロンドン,英国)からの親切な寄贈品であった。ラットIRS−1(rIRS−1449-664、分子量51.2kDa)のアミノ酸449-664を含むグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質を、SmithおよびJohnson(40)によって説明された方法に基づき、pGEX−5X−3ベクターを用いて製造した。対応するラットCDNAを、鳥類の骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素を用いた逆転写によってラット心臓から単離されたRNAから生成し、続いて、PwoDNAポリメラーゼと、以下のオリゴヌクレオチドプライマー:5’−プライマー、ATATTGTCGACCAC−ACCCCACCAGCCAGG、3’−プライマー、ATGTACTACTACAGAGGGTC−ACGCCGGCGTAAGAATA(配列番号1および2)を用いてポリメラーゼ連鎖反応で増幅した。PCR産物を単離し、適切な制限酵素で消化し、pGEX−5X−3にサブクローニングした。ラットIRS−1クローンの同一性を、制限エンドヌクレアーゼ解析とヌクレオチド配列解析によって確認した。このベクターとp85α−pGEX−2Tコンストラクトを用いて、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)BL21を形質転換した。形質転換細胞を、0.1mg/mlアンピシリンが添加された2×YTA媒体(16g/lのトリプトン、10g/lの酵母、5g/lのNaCl)中でA600mnが0.6〜0.8になるまで成長させ、0.1mMイソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)で2時間誘導した。融合タンパク質を、グルタチオン−セファロースカラムでのアフィニティークロマトグラフィーによって精製し、50mMトリスHCl(pH8.0)中の10mMグルタチオンで溶出させた。p85αGST−融合タンパク質のGST部分を、PBS中で、ウシトロンビンを用いてタンパク質分解によって除去した。プロテアーゼを、グルタチオンセファロースカラムに結合した融合タンパク質に添加し、室温で2時間インキュベートし、次に、溶出液を回収した。バイオ・ラッド(Bio−Rad)タンパク質分析の改変法を用いて、タンパク質を測定した。全てのGST融合タンパク質が、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によって解析した際の予想分子量を有していた。
2)インスリン受容体キナーゼの製造
ラット肝臓を迅速に取り出し、液体窒素中で即座に凍結し、(41)で説明されているようにして加工した。簡単に言えば、50mMのHepes(pH7.4)、1%トリトン(Triton)X−100、および、2×完全プロテアーゼ阻害剤からなる、氷冷した緩衝液(3.5vol/wt)を添加し、肝臓を、UltraturraxおよびPotter−Elvehjemホモジナイザーを用いてホモジナイズし、続いて、4℃で、10,000×gで10分間遠心分離した。得られた上清を、室温で60分間ゆっくり撹拌し、次に、再度、4℃で、100,000×gで90分間遠心分離した。次に、上清を、アガロースに結合させた小麦胚芽アグルチニン(WGA)カラムにアプライした。カラムを50mMのHepes(pH7.4)と0.1%トリトンX−100で洗浄し、WGAカラムから、0.3MのN−アセチルグルコサミンを含む上記緩衝液で結合した糖タンパク質を溶出させた。
3)インビトロでのリン酸化分析
インスリン受容体によるrIRS−1449-664のリン酸化のために、WGAで精製した糖タンパク質分画(5μg)を、20mMのHepes(pH7.4)、1mMのDTT、10mMのMgCl2、100μg/mlのウシ血清アルブミン、0.2mMのNa3VO4、1.7mMのCaCl2、0.6mg/mlのホスファチジルセリン、および、0.5μg/mlのオカダ酸を含むリン酸緩衝液中の100nMのインスリンと、30℃で30分間プレインキュベートした。自己リン酸化を、濃度50μMのATPの添加により開始させ、30℃で10分間継続した。基質のリン酸化を、同じ緩衝液中で、50μMのATPの存在下でPKCアイソフォームによる前処理(30分間)を行って、または、行わないで、等量のrIRS−1449-669(1μg)を添加することによって開始させ、30℃で10分間進行させた(最終容量50μl)。6×サンプル緩衝液(0.35MのトリスHCl(pH6.8)、10.28%(w/v)SDS、36%(v/v)グリセロール;0.6MのDTT、0.012%(w/v)ブロモフェノールブルー)を添加し、5分間沸騰させたることによって反応を止めた。SDS−PAGEでタンパク質を分離し、ニトロセルロースにトランスファーした後に、抗ホスホチロシン抗体を用いた免疫検出で解析した。様々なPKCアイソフォームによるrIRS−1449-664のセリン/スレオニンのリン酸化を、50μMのATPと2μCi[γ−32P]ATPの存在下で、rIRS−1449-664(1μg)と、PKC−rbまたはPKC−ζ(0.5μg)とをリン酸緩衝液中で30℃で30分間インキュベートすることによって(容積20μl)評価した。SDS−PAGEでタンパク質を解析し、染色して乾燥させたゲルをオートラジオグラフィで処理した。リン酸取り込みの程度を、切り出したフラグメントのチェレンコフカウンターによって測定した。
4)GSTプルダウンアッセイ
インビトロでリン酸化されたrIRS−1449-664を、グルタチオンセファロースビーズと、ローター上で、4℃で1時間インキュベートした。ペレットを、結合緩衝液(50mMトリス(pH7.4)、150mMのNaCl、1%(v/v)ノニデット(Nonidet)P−40、1mMのEDTA、1mMのNaF、1mMのNa3VO4)で3回洗浄した。次に、組換えp85α(0.5μg)を添加し、4℃で2時間インキュベートし続けた。3回洗浄した後に、結合したタンパク質を2×サンプル緩衝液20μlで溶出させ、SDS−PAGEで分離した。
5)イムノブロッティング
8〜18%勾配のゲルを用いたSDS−PAGEでタンパク質を分離し、続いて、半乾性のブロッティング装置中でニトロセルロースにトランスファーさせた。次に、このメンブレンを、0.05%トゥイーン20と、1%BSAまたは5%脱脂粉乳とを含むトリス緩衝食塩水中で60分間ブロックし、適切な抗体(抗IRS−1、抗pTyr、抗p85α)で探査した。大規模に洗浄した後、このメンブレンを、ホースラディッシュペルオキシダーゼ標識二次抗体とインキュベートし、再度洗浄し、次に、タンパク質のバンドを、エンハンスト・ケミルミネセンス(ECL)法によって、ルミイメージャー・ワークステーション(Lumilmager workstation)(ベーリンガー,マンハイム,ドイツ)上で可視化した。ルミイメージャー・ソフトウェアを用いて、全てのブロットを定量した。報告された 差の有意性を、帰無仮説と、対になっていないデータに関してはt統計量を用いることによって評価した。0.05未満のp値を、統計学的に有意とみなした。
6)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、および、エレクトロスプレーイオン化マススペクトロメトリー(ESI−MS)によるホスホペプチドマッピング
PKC−ζ50U(40μg)を用いて、上述の条件化で、5nmolのrIRS−1449-664タンパク質を、50μMのATPと0.25mCi/ml[γ−32P]ATPで、60分間リン酸化した。タンパク質を、SDS−PAGEで分離し、リン酸化したrIRS−1449-664を、切り出したゲル片中で、トリプシン100μgで30℃で一晩消化した。ペプチドを、50mMのNH4HCO3、50%アセトニトリルで溶出させ、陰イオン交換カラム(ヌクレオゲル(Nucleogel)SAX1000−8/46,50×4.6mm,Macherey&Nagel,デューレン,ドイツ)で、ベックマン(Beckman)の金溶媒デリバリーシステムを用いて分離した。HPLCの流速は、0.5ml/分であった。サンプル注入後、ペプチドを、100%緩衝液A(20mMのNH4CH3COOH、pH7.0)と0%緩衝液B(1MのKH2PO4、pH4.0)で開始させて溶出させた。緩衝液Bの量は、40分間までに10%増加させ、その後の75分間の間に10%から50%に増加させた。0.5mLの分画を回収し、放射活性を、チェレンコフカウンターで測定した。放射性の分画を、逆相HPLCで処理した。ペプチドを、C18−逆相カラム(ヌクレオシル(Nucleosil)300−5C18、250mm×2mm、粒度5μm、孔径300A、Macherey&Nagel,デューレン,ドイツ)で分離した。HPLC流速を、0.33ml/分に調節した。サンプルをアプライした後に、溶出を、100%の溶液A(0.1%TFA)と0%の溶液B(アセトニトリル/TFA(84/0.1;v/v))で開始させた。溶液Bの含量を、120分間までに100%に高めた。再度、回収された分画の放射活性を測定した。放射標識したペプチドを含む分画を、ESI−TOFマススペクトロメトリーで処理した。エレクトロスプレー四重極飛行時間型マススペクトロメトリー(QSTAR Pulsar I,アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems),フォスターシティー,カリフォルニア州,米国)上に、ナノスプレー源(プロタナ(Protana),オーデンセ,デンマーク)を用いてマススペクトルを記録した。選択されたペプチドを、タンデムマススペクトロメトリー様式で解析し、配列と翻訳後修飾をマニュアルの説明によって検索した。
7)部位特異的変異誘発
rIRS−1449-664の、セリン570からアラニンへの突然変異体と、セリン612からアラニンへの突然変異体を、部位特異的変異誘発によって、クイックチェンジTM部位特異的変異誘発キットを製造元の説明書に従って用いて、テンプレートとしてpGEX−5X−3/rIRS−1449-664を用いて生成した。以下のプライマーを用いた:S570A、5’−CCCGGCTACCGGCATGCCGCCTTCGTGCCCACC(配列番号3)、および、3’−GGGCCGATGGCCGTACGGCGGAAGCACGGGTGG(配列番号4);S612A、5’−GGCTACATGCCCATGGCTCCCGGAGTGGCTCC(配列番号5)、および、3’−CCGATGTACGGGTACCGAGGGCCTCACCGAGG(配列番号6)。
キアゲン配列解析サービス(ヒルデン,ドイツ)により組換え分子を配列解析して、望ましい突然変異の存在を確認した。
8)表面プラズモン共鳴技術による相互作用研究
これまでに、ビアコア(BIAcore)TMバイオセンサー(ビアコア,フライブルグ,ドイツ)の操作原理が説明されている(42)。融合タンパク質のGST部分の干渉性の二量体化を回避するために、精製の際にそれらをトロンビンで切断した。SH2−ドメインのホスホペプチドへの極めて迅速な会合速度がわかっているため、関連する親和性を競合分析によって評価した(43)。それゆえに、一定濃度のp85α(100nM)を、ランニング緩衝液(0.01MのHepes(pH7.4)、0.15MのNaCl、3mMのEDTA、0.005%界面活性剤P20(HBS−EP))中で、CM5センサーチップ表面に結合したものと同一な競合するペプチドの濃度を様々に変えて(50nM〜10μM)インキュベートした。室温で1時間プレインキュベートした後に、様々な混合物を、HBS−EP緩衝液中で、流速5μl/分、25℃で連続的に注入した。用いられたペプチドDDGYMPMSPGV(配列番号7)、DDGpYMPMSPGV、DDGYMPMpSPGV、および、DDGpYMPMpSPGVは、ラットIRS−1のアミノ酸605〜615を示しており、これを、アプライド・バイオシステムズのモデル433ペプチドシンセサイザーで合成した。全てのペプチドを、製造元が説明しているような標準的なアミンカップリング法によって、濃度5mg/ml、100mMのH3BO4(NaOH,pH8.5)中で、1μl/分で固定した。各結合実験の後に、6M塩酸グアニジンを2分間注入することによって再生が行われた。pY608とpY606〜pS612の相互作用を用いたp85αの反応速度論解析を、BIAエバリュエーション(BIA evaluation)3.1ソフトウェア(ビアコア,フライブルグ,ドイツ)と、グラフパッド・プリズム(GraphPad Prism)3.0(サンディエゴ,カリフォルニア州,米国)を用いて行った。
9)PKCによるrIRS−1 449-664 のセリン/スレオニンリン酸化の測定
様々なPKCアイソフォームによるrIRS−1449-664のセリン/スレオニンリン酸化を、適量のrIRS−1449-664(1μg)と、PKC−ζまたはPKC−ラット脳(0.1〜1.0μg)を、μlの2×リン酸緩衝液(20mMのHepes(pH7.4)、1mMのDTT、10mMのMgCl2、100μg/mlのウシ血清アルブミン、0.2mMのNa3NO4、1.7mMのCaCl2、0.6mg/mlのホスファチジルセリン、および、0.5μg/mlのオカダ酸、50μMのATP+2μCi[γ−32P]ATP)にピペッティングすることによって評価した。この混合物を、最終容積が20μlから必要なATP容積を引いた値になるように、水で調節した。次に、ストック溶液からのATPを、最終濃度50μMのATP+2μCi[γ−32P]ATPになるように添加することによってリン酸化反応を開始させ、30℃で30分間インキュベートした。6×サンプル緩衝液4μl(0.35MのトリスHCl(pH6.8)、10.28%(w/v)SDS、36%(v/v)グリセロール;0.6MのDTT、0.012%(w/v)ブロモフェノールブルー)を添加し、5分間沸騰させることによって反応を止めた。次に、このタンパク質をSDS−PAGEで解析し、染色して乾燥させたゲルを、解析のためにオートラジオグラフィで処理した。
実施例3
IRS−1ドメインは、インスリン受容体によってリン酸化され、PI3−キナーゼと相互作用する
IRS−1とインスリン受容体およびPI3−キナーゼとの相互作用におけるセリン/スレオニンリン酸化の作用を決定するために、我々は、組換えp85αとGST−プルダウンアプローチを用いたインビトロでのリン酸化、および、PI3−キナーゼ相互作用分析を開発した。ラットIRS−1タンパク質の選択された部分をクローニングし、GST−融合タンパク質として発現させ、E.coliから精製した。このGST−融合タンパク質(rIRS−1449-664)は、主要なPI3−キナーゼ結合部位Tyr608およびTyr628を含むYMXMまたはYXXMコンセンサスモチーフ内に可能性のあるチロシンリン酸化部位を含むラットIRS−1タンパク質の216個のアミノ酸(449〜664)からなるドメインをカバーする(39)(図1を参照)。コードされた融合タンパク質の構造に基づき、分子量は51.2kDaと計算され、SDS−PAGEにより見かけの重量は55kDaと決定された。インビトロでのリン酸化とp85α相互作用分析の実験手順を、図2Aに示す。
融合タンパク質をWGAで精製したインスリン受容体に接触させることによって、インスリンで刺激されたrIRS−1449-664の顕著なチロシンリン酸化が誘導された(図2B,上部のパネル)。定量化により、基準(n=10、図2C)を超える8.8±1.1倍の刺激が示された。GST−プルダウン分析により、PI3−キナーゼのp85α調節サブユニットと、チロシンリン酸化されたrIRS−1449-664との相互作用の顕著な増加が解明された(図2B、中央のパネル)。
実施例4
様々なPKCアイソフォームが、rIRS−1 449-664 のインスリンで刺激されたチロシンのリン酸化、および、それに続くp85αへの会合を阻害する
プロテインキナーゼCが、インビトロでrIRS−1449-664をリン酸化することができる場合を評価するために、我々は、まず、融合タンパク質と、PKCラット脳およびPKC−ζとを、[32P]ATPの存在下でインキュベートした。次に、rIRS−1449-664を、SDS−PAGEとオートラジオグラフィによって解析し(図3A)、PKCによるrIRS−1449-664の顕著なリン酸化が検出可能になった。PKC阻害剤の存在下で、同量のPKCとインキュベートしたrIRS−1449-664は、顕著なリン酸取り込みを示さなかった(図3A)。次に、PKC量を高めた場合の用量応答曲線を決定し、最大リン酸化条件を確立し、最大リン酸化条件は、0.5μgのPKCラット脳またはPKC−ζで観察された(データ示さず)。この条件を用いて、次に、我々は、rIRS−1449-664のセリンリン酸化の、それに続く自己リン酸化されたIRによる活性化への影響を調査した。それゆえに、rIRS−1449-664を、PKCを用いて、または用いないで処理し、次に、WGAで精製したIRとインキュベートした。その後、p85αの会合を、rIRS−1449-664を、そのGST部分を介してグルタチオンセファロースビーズにカップリングし、p85α(0.5μg)とインキュベートすることによって測定した(概要を図2Aに示す)。サンプルを、SDS−PAGEと、ホスホチロシン(pTyr)、p85αおよびIRS−1に対する抗体と免疫ブロッティングすることによって解析した。図3Bで示されるように、PKCラット脳でのrIRS−1449-664の前処理により、インスリンで刺激されたチロシンリン酸化の減少と、p85αとの相互作用が引き起こされる。rIRS−1449-664のTyr−リン酸化の減少は、27±4%(n=9)であり、p85αの会合はより顕著な阻害を示した(49±8%)(図3C)。ビスインドリルマレイミド(BIM)の添加によるrIRS−1449-664のリン酸化後のPKC−rbの阻害は、この結果に影響を与えなかった(図3C)。
さらにPKCの作用をIRのレベルで遮断するために、β−サブユニットの自己リン酸化を試験した。自己活性化した受容体を、PKC−rbまたはPKC−ζの存在下で30℃で10分間インキュベートした場合、コントロールと比較して、IRの自己リン酸化の顕著な変更は検出可能にはならなかった(図4)。
次に、図3Bで説明されている実験法をPKC−ζに関しても繰り返した。PKC−rbと比較しても、なおより顕著な、rIRS−1449-664のチロシンリン酸化、およびp85αとの相互作用の減少が観察された(図5A)。データの定量化により、チロシンリン酸化の阻害は、46±5%(n=3)、それに付随するp85αのIRS−1への結合の阻害は、81±1%であることが示された(図5B)。
実施例5
PKCによって標的化されたIRS−1のセリンリン酸化部位の同定および機能的な解析
以前の研究で、プロテインキナーゼCによるインスリンシグナル伝達の負の調節は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ、および、IRS−1のセリン612のリン酸化に関与することが示されている(26)。セリン612は、Y608における主要なYMXMモチーフのすぐ隣に局在しており、これは、PI3−キナーゼの主要な相互作用部位の一つであると説明されている(39)。
我々は、特異的IRS−1ホスホセリン612抗体(αpS612)を用いたこの部位のPKCによる修飾を評価した。ラット脳由来のPKCおよびPKC−ζと30℃で30分間インキュベートした後、rIRS−1449-664を、αpS612で強く免疫ブロットした(図6A);BIMでのPKCの阻害により、このセリンのリン酸化は明らかに妨害された。
IRS−1のホスホセリン612の、PI3−キナーゼとの相互作用に対する影響を特徴付けるために、表面プラズモン共鳴(SPR)技術を用いた。この目的のために、ラットIRS−1のアミノ酸605〜615を示す配列DDGYMPMSPGV(配列番号7)を含むペプチドを合成し、標準的なアミンカップリングによってチップ表面に固定した。SH2ドメインのGSTへの融合は、それらのホスホペプチドへの結合に影響を与えるため、結合親和性を過大評価する恐れがあることが報告されている(44)。それゆえに、組換えp85α融合タンパク質のGST部分を切断した。様々な濃度の精製p85αをバイオセンサーチップにアプライし、そこにペプチドを異なるリン酸化型でカップリングすることによって、p85αの上記ペプチドへの結合を研究した。これらの実験により、p85αは、上記ペプチドのチロシンリン酸化型にのみ結合することが示され(図6BおよびC)、これは文献と一致する(45)。
次に、我々は、競合する可溶性ペプチドの存在下で、100nMのp85αの、ペプチドpY608(DDGpYMPMSPGV)およびpY608−pS612(DDGpYMPMpSPGV)への結合をモニターすることによって、上記反応の関連する結合親和性を決定した(図6D、E、F)。SPR応答440sを、注入後に、平衡に対して対数ペプチド濃度でプロットすることによって、半最大阻害濃度(IC50)を得た。両方のペプチドは、測定可能な結合活性を示した(図6D対6E)。可溶化したペプチドは、p85αの固定されたペプチドへの結合をマイクロモル濃度で阻害した。ペプチド濃度が〜10μMで、完全な阻害が達成された。2つの部位の競合に関する方程式を用いて測定された読み取り値をフィッティングしたところ、0.26μモル/lおよび16.56μモル/lのpY608に関するIC50(r2=0.9983)、および、0.15μモル/l、2.88μモル/lのpY608−pS612に関するIC50(r2=0.9989)が得られた。このデータから、ペプチドpY608−pS612が、よりよい効率でp85αの結合を阻害したことは明白であり、上記ホスホチロシンの位置+4でのホスホセリン残基が存在していても、IRS−1ホスホペプチドに関するp85αSH2−ドメインの親和性を増加させることが示される。インビトロ系における、インスリンで刺激されたチロシンリン酸化の阻害を促進する可能性があるrIRS−1449-664におけるさらなるPKC−ζリン酸化部位を同定するために、rIRS−1449-664をPKC−ζとインキュベートし、SDS−PAGEで分離した。リン酸化されたrIRS−1449-664をトリプシンで消化し、ゲルから抽出した。消化によって得られたペプチドを、二次元 HPLCによって解析し、その分画における放射活性の含量を、チェレンコフカウンターによってモニターした。最初の陰イオン交換カラムを用いた分離のHPLCプロファイルは、6個の再現可能な主要なピークを示した(図7A)。共に移動するペプチドを分離するために、各ピークの放射性の分画を溶出プロファイルに従ってプールし、逆相(RP)−HPLCで処理した(図7B)。これにより、10の別個の放射標識したRP−HPLC分画が生じ、その後これを、エレクトロスプレーイオン化マススペクトロメトリー(ESI−MS)で処理した。MS解析により得られた結果を、表1にまとめた。rIRS−1449-664配列の37%をカバーする8種のペプチドを同定することができた。2種のホスホセリンが発見され、それらは、陰イオン交換HPLCのピーク4におけるセリン358(全長IRS−1中のセリン570)(LPGYRHpSAFVPTHSYPEEGLEMHHLER(配列番号8))、および、ピーク5および6におけるセリン286(セリン498)(YIPGATMGTpSPALTGDEAAGAADLDNR(配列番号9))であった。セリン358/570を含むホスホペプチドは、取り込まれた放射活性の約19%に相当した。ホスホセリン286/498を含むペプチドは、測定された全放射活性の11%を占めた。
ホスホセリン358をESI−MS/MSで同定した。親イオンに対して質量差が97.9Daのフラグメントイオンが、ホスホペプチドを示す(図8A)。質量差97.9Daは、リン酸の損失に関連する。フラグメントイオンb9とb10からのリン酸基(HPO3)とリン酸(H3PO4)の損失から、リン酸化部位を同定した。このフラグメントイオンの脱リン酸化は、リン酸化は、Y355またはS358によってのみ起こることを示す。S358は、ホスホアミノ酸であり、なぜなら、b4イオンからの脱リン酸化は検出されず、Y355でのリン酸化が示されたためである(データ示さず)。
ホスホセリン612は、リン酸部位に特異的な抗体によって検出されたにもかかわらず、マススペクトロメトリーでは検出することができなかったが(図6A)、この部位を含むペプチドは、3つの追加のペプチドと共に、ピーク2で見出された。ピーク1およびピーク3は、1つのペプチドしか含んでおらず、これらは、それぞれ放射活性の13%および21%をカバーしていた(THSAGTSPTISHQK、および、TPSQSSVVSIEEY−TEMMPAAYPPGGGSGGR)(配列番号10および11)。
見出されたリン酸化部位がセリン570および612であることをさらに確認するために、セリンからアラニンへの突然変異を含む2種の追加のGST融合タンパク質を生成した。これらのGST融合タンパク質をPKC−ζと接触させ、野生型に匹敵するレベルで酵素によってリン酸化した(データ示さず)。その一方で、セリン358/570をアラニンに変換することによって、陰イオン交換HPLCにおけるピーク4が大幅に減少しており(図9B)、これは、IRS−1のセリン570は、PKC−ζによって標的化される新規のリン酸化部位であることを示す。セリン400/612のアラニンへの突然変異により、ピーク2の減少が起こり(図9C)、これは、リン酸特異的な抗血清を用いて得られたデータを確認するものである。
実施例6
rIRS−1 449-664 におけるセリン残基570および612の機能的な関連
同定されたリン酸部位の機能的な関連を決定するために、rIRS−1449-664のセリン358/570からアラニンおよびセリン400/612への突然変異体を、インビトロでのリン酸化とp85α相互作用分析で試験した(図10A)。PKC−ζで前処理した後のIRによるチロシンリン酸化の結果を比較したところ、野生型rIRS−1449-664に匹敵する減少(30〜40%)と、2種の突然変異体が示された(図10B,左のパネル)。しかしながら、2種の突然変異体とp85αとの相互作用を比較した場合、有意差が明らかになった。従って、p85αのS570Aへの結合は、PKC−ζ処理によってコントロールの43±4%(n=3)に減少し、rIRS−1449-664のS612A突然変異体に関しては28±3%に減少した(図10B,右のパネル)。
用いられる略語は以下の通り:GST、グルタチオンS−トランスフェラーゼ;HPLC、高速液体クロマトグラフィー;IR、インスリン受容体;IRS、インスリン受容体基質;ESI−MS、エレクトロスプレーイオン化マススペクトロメトリー;p85、ホスファチジルイノシトール(PI)−3キナーゼの調節サブユニット;PAGE、ポリアクリルアミドゲル電気泳動;PI3−キナーゼ、ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼ;RP、逆相;PKC、プロテインキナーゼC;PKB、プロテインキナーゼB;RTK、受容体チロシンキナーゼ;SH2、src−相同ドメイン2;WGA、小麦胚芽アグルチニン;SDS、ドデシル硫酸ナトリウム;ECL、エンハンスト・ケミルミネセンス。
図1:IRS−1の概略図(既知の相互作用パートナー、および、既知のセリン/スレオニンリン酸化部位を含む)である。
上部のパネル:関連するプレクストリン相同(PH)、および、ホスホチロシン結合(PTB)ドメインの位置は、多数のチロシンリン酸化部位を含むC末端のテールの次に示される。PI3−キナーゼ、Grb2およびSHP−2を含む可能性のある結合パートナーもまた示される。中央のパネル:既知の(S307、612、632、789)、および、可能性のあるセリンリン酸化部位は、強調表示される。下部のパネル:ラットIRS−1の、主要なPI3−キナーゼの結合部位を含むaa449-664を含むGST−融合タンパク質の構築。
図2:rIRS−1449-664のチロシンリン酸化、および、PI3−キナーゼのp85αサブユニットとの相互作用である。
(A)実験手順の概略図。IR(5μg)を、100nMインスリンで30分間プレインキュベートした後に、リン酸緩衝液中で、30℃で10分間自己リン酸化させた。その後、基質のリン酸化を、自己リン酸化されたIRをrIRS−1449-664のアリコート(1μg)に添加することによって開始させた。反応を10分間進行させ、次に、グルタチオンセファロースビーズを添加し、サンプルを、4℃で、ローター上で1時間インキュベートした。ペレットを結合緩衝液で3回洗浄し、組換えp85α(0.5μg)を添加し、インキュベートを2時間継続した。洗浄の後に、2×サンプル緩衝液を添加し、続いて5分間沸騰させることによって結合したタンパク質を溶出させた。(B)方法の章で詳述したように、溶出したタンパク質をSDS−PAGEによって解析し、ホスホチロシン、p85αおよびIRS−1に対する抗体を用いて免疫ブロッティングによって解析した。6回の独立した実験のうち代表的なブロットを示す。(C)rIRS−1449-664のチロシンリン酸化の定量化を、ルミイメージャー・ソフトウェアを用いて得た。データは平均値±SEMである(n=10)。
図3:ラット脳由来のPKCの、rIRS−1449-664のチロシンリン酸化、および、p85αとの相互作用に対する作用である。
(A)方法において詳述したように、rIRS−1449-664(1μg)を、ラット脳由来のPKC(PKC−rb)(0.5μg)、または、PKC−ζ(0.5μg)と、2μCi(32P)−ATPの存在下(最終濃度50μM)でインキュベートした。PKC−rbまたはPKC−ζにとってそれぞれビスインドリルマレイミドI(BIM)または偽基質ペプチドによって反応を阻害させた。タンパク質をSDS−PAGEによって解析し、オートラジオグラフィで処理した。(B)IRによるrIRS−1449-664のチロシンリン酸化、および、p85αとの相互作用を、図2で説明されているようにして測定した。rIRS−1449-664を、PKC−rb(0.5μg)と30分間プレインキュベートした。代表的なブロットを示す。(C)インスリンによって刺激されたチロシンリン酸化に対するPKC−rbの阻害作用、および、インスリンで刺激された値とのp85αの相互作用の定量化を、100%と設定した。存在する場合、IRによる基質のリン酸化を開始する前に、BIMを10分間添加した(図2を参照)。データは平均値±SEMである(n=6〜9)。
図4:PKCアイソフォームの、IRの自己リン酸化に対する作用である。
(A)図2で概説されているようにして、IRの自己リン酸化を行った。10分間自己リン酸化した後に、PKC−rbまたはPKC−ζのいずれかを添加し、インキュベートをさらに10分間継続した。次に、IRのβ−サブユニットのチロシンリン酸化を免疫ブロッティングで解析した。(B)ブロットの定量化をルミイメージャー・ソフトウェアを用いて得た。データは平均値±SEMである(n=4〜6)。
図5:PKC−ζの、rIRS−1449-664のチロシンリン酸化に対する作用、および、p85αとの相互作用である。
(A)rIRS−1449-664を、PKC−ζ(0.5μg)と30分間プレインキュベートした。図2で概説したように、IRによるチロシンリン酸化、および、p85αとの相互作用を免疫ブロッティングで測定した。(B)図3で説明されているように、PKC−ζの阻害作用の定量化を行った。データは平均値±SEMである(n=3)。
図6:表面プラズモン共鳴を用いた、PKCの標的としてのIRS−1のセリン612の同定、および、p85αとの相互作用の解析である。
(A)rIRS−1449-664(0.5μg)を、様々なPKC(0.5μg)と30℃で30分間インキュベートし、ホスホセリン612に対する抗体を用いて免疫ブロットした。代表的な実験を示す。(B)表面プラズモン共鳴を用いた、p85αの固定されたペプチド(ホスホチロシン608を含む、IRS−1のアミノ酸605〜615に相当する)への結合、または、(C)p85αの上記ペプチド(ホスホチロシンを含まない)への結合(pY608−DDGpYMPMSPGV、および、Y608−DDGYMPMSPGV)。用いられたp85αのタンパク質濃度は、(上から下へ):1、5、10、25、50、100、250、500nMであった。(D)可溶性ペプチドpY608−DDGpYMPMSPGVと競合させることによるp85α結合の阻害、または、(E)pY608−pS612−DDGpYMPMpSPGVと競合させることによるp85α結合の阻害。また、可溶性ペプチドも、チップに固定した。(F)半最大阻害濃度(IC50)を、SPR応答を、平衡(注入後の440s)に対する対数ペプチド濃度でプロットすることにより得た。pY608に関するIC50は、0.26μモル/l、16.56μモル/lであり、pY608−pS612に関するIC50は、0.15μモル/l、2.88μモル/lであった。
図7:PKC−ζによるrIRS−1449-664のリン酸化から誘導されたトリプシンのホスホペプチドのHPLC解析である。
5ナノモルのrIRS−1449-664を、0.5nmolのPKC−ζを用いて60分間リン酸化した。タンパク質をSDS−PAGEで分離し、切り出したrIRS−1449-664をトリプシンで消化した。回収した32P−放射標識ペプチド混合物を、イオン交換(A)、および、C18逆相HPLG(B)で分離した。回収された分画の放射活性を、チェレンコフカウンターで測定した。逆相HPLCの後、放射性の分画をマススペクトロメトリーによって解析した。
図8:ホスホペプチド352〜378からのESI−MS/MSスペクトルである。
(A)親イオンからのリン酸の損失が[M+4H]4+=818.11であることは、リン酸化を示す。(B)フラグメントイオンb9およびb10の脱リン酸化は、リン酸化部位を示す。
図9:rIRS−1449-664、および、突然変異体S570AおよびS612AのトリプシンのホスホペプチドのHPLC解析である。
組換えPKC−ζでリン酸化された、野生型rIRS−1449-664(A)、rIRS−1449-664S570A(B)、および、rIRS−1449-664S612A(C)から得られたトリプシンペプチドのHPLC解析を示す。代表的なHPLCプロファイルを示す。
図10:セリン570およびセリン612の機能的な解析である。
(A)図5で概説されているように、rIRS−1449-664、および、指定された突然変異体を、PKC−ζでプレインキュベートし、IRでのチロシンリン酸化で処理し、p85αと相互作用させた。代表的なウェスタン、ブロットを示す。(B)ルミイメージャー・ソフトウェアを用いてブロットを定量し、データを、インスリンで刺激されたコントロール値(100%と設定された)と相関させて示した。結果は平均値±SEMである(n=3)。
Figure 0004796490
IRS−1の概略図(既知の相互作用パートナー、および、既知のセリン/スレオニンリン酸化部位を含む)である。 rIRS−1449-664のチロシンリン酸化、および、PI3−キナーゼのp85αサブユニットとの相互作用を示す図である。 ラット脳由来のPKCの、rIRS−1449-664のチロシンリン酸化、および、p85αとの相互作用に対する作用を示す図である。 PKCアイソフォームの、IRの自己リン酸化に対する作用を示す図である。 PKC−ζの、rIRS−1449-664のチロシンリン酸化に対する作用、および、p85αとの相互作用を示す図である。 表面プラズモン共鳴を用いた、PKCの標的としてのIRS−1のセリン612の同定、および、p85αとの相互作用の解析を示す図である。 PKC−ζによるrIRS−1449-664のリン酸化から誘導されたトリプシンのホスホペプチドのHPLC解析を示す図である。 ホスホペプチド352〜378からのESI−MS/MSスペクトルを示す図である。 rIRS−1449-664、および、突然変異体S570AおよびS612AのトリプシンのホスホペプチドのHPLC解析を示す図である。 セリン570およびセリン612の機能的な解析を示す図である。

Claims (21)

  1. a)PKC−ζと、配列番号16のSer570およびSer612からなる群、または、他の種由来のIRS−1ペプチドのこれらに相当するSer残基からなる群より選択されるPKC−ζ−Ser−リン酸化部位を少なくとも1つ含むIRS−1ペプチドの少なくとも1種とを、少なくとも1種の想定される阻害剤の存在下で接触させる工程、ここで、該IRS−1ペプチドはIRS−1の断片である、および、
    b)配列番号16のSer570およびSer612からなる群、または、他の種由来のIRS−1ペプチドのこれらに相当するSer残基からなる群より選択される残基において、PKC−ζ−Ser−リン酸化部位のリン酸化を測定する工程、
    を含む、IRS−1プロテインキナーゼ阻害剤の同定方法。
  2. 少なくとも1種の想定される阻害剤の非存在下におけるリン酸化と比較して減少しているPKC−ζ−Ser−リン酸化部位のリン酸化は、想定される阻害剤の阻害特性に関する指標である、請求項1に記載の方法。
  3. PKC−ζは、哺乳動物由来である、請求項1または2に記載の方法。
  4. IRS−1ペプチドは、哺乳動物由来のIRS−1から誘導される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. IRS−1ペプチドは、rIRS−1449-664(配列番号17)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 阻害剤は、抗体、結合ペプチド、低分子量の化合物(LMW)からなる群より選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. a)PKC−ζと、配列番号16のSer570およびSer612からなる群、または、他の種由来のIRS−1ペプチドのこれらに相当するSer残基からなる群より選択されるPKC−ζ−Ser−リン酸化部位を少なくとも1つ含むIRS−1ペプチドの少なくとも1種とを、少なくとも1つのPKC−ζ−Ser−リン酸化部位を含む想定されるアゴニストの少なくとも1種の存在下で接触させる工程、ここで、該IRS−1ペプチドはIRS−1の断片である、および、
    b)配列番号16のSer570およびSer612からなる群、または、他の種由来のIRS−1ペプチドのこれらに相当するSer残基からなる群より選択される残基において、想定されるアゴニストのPKC−ζ−Ser−リン酸化部位のリン酸化を測定する工程、を含む、IRS−1アゴニストの同定方法。
  8. IRS−1ペプチドのPKC−ζ−Ser−リン酸化部位のリン酸化と比較して増加しているアゴニストのPKC−ζ−Ser−リン酸化部位のリン酸化は、想定されるアゴニストの特性に関する指標である、請求項7に記載の方法。
  9. PKC−ζは、哺乳動物由来である、請求項7または8に記載の方法。
  10. IRS−1ペプチドは、哺乳動物由来のIRS−1から誘導される、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. IRS−1ペプチドは、rIRS−1449-664(配列番号17)である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. a)PKC−ζと、配列番号16のSer570およびSer612からなる群、または、他の種由来のIRS−1ペプチドのこれらに相当するSer残基からなる群より選択されるPKC−ζ−Ser−リン酸化部位を少なくとも1つ含むIRS−1ペプチドの少なくとも1種とを、少なくとも1種の想定される阻害剤の存在下で接触させる工程、ここで、該IRS−1ペプチドはIRS−1の断片である、および、
    b)配列番号16のSer570およびSer612からなる群、または、他の種由来のIRS−1ペプチドのこれらに相当するSer残基からなる群より選択される残基において、PKC−ζ−Ser−リン酸化部位のリン酸化を測定する工程、
    を含む、PKC−ζ活性の決定方法。
  13. PKC−ζは、哺乳動物由来である、請求項12に記載の方法。
  14. IRS−1ペプチドは、哺乳動物由来のIRS−1から誘導される、請求項12または13に記載の方法。
  15. IRS−1ペプチドは、rIRS−1449-664(配列番号17)である、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. rIRS−1449-664(配列番号17)である、IRS−1ペプチド。
  17. )rIRS−1449-664(配列番号17)であるIRS−1ペプチド、および
    b)PKC−ζ調製物、を含む、IRS−1プロテインキナーゼ阻害剤またはIRS−1アゴニストを同定するためのキット。
  18. 少なくとも1種の想定されるIRS−1プロテインキナーゼ阻害剤またはIRS−1アゴニストをさらに含む、請求項17に記載のキット。
  19. PKC−ζは、哺乳動物由来である、請求項17に記載のキット。
  20. IRS−1ペプチドは、哺乳動物由来のIRS−1から誘導される、請求項18または19に記載のキット。
  21. er570、または、Ser570およびSer 612 がアラニンに突然変異しているIRS−1ペプチドであって、ここで、該IRS−1ペプチドは、Ser 570 およびSer 612 の少なくとも1つを含むIRS−1の断片である、IRS−1ペプチド。
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