以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明をクライアント/サーバ・システムとして構成された文書処理システムに適用した場合について説明する。
〔システム構成〕
図1は、本実施の形態に係る文書処理システム90の全体概略構成を示す図である。
同図に示すように、文書処理システム90は、文書処理システム90において使用される電子データ(文書データに限らず、文書処理システム90で対応している他の電子的なデータの全てを含む)を処理するサーバシステム92と、文書処理システム90の利用者(後述するレビュアや作業実行者も含む。)が使用するクライアントシステム94と、を備えている。
サーバシステム92は、電子文書(以下、単に「文書」ともいう。)を管理する文書管理サーバ10及びアノテーションを管理するアノテーション管理サーバ20を有する。文書管理サーバ10は主として文書の保存と検索を行うサーバであり、アノテーション管理サーバ20は主として文書に付与(添付)されたアノテーションの保存と検索を行うサーバである。
このように、文書全体を管理する文書管理サーバ10と、電子文書に付与されたアノテーションを管理するアノテーション管理サーバ20とを設けることで、複数の電子文書に対する加筆修正が複数の利用者によって独自に行われる場合でも、最終的な電子文書や加筆修正等の内容に矛盾が生じることを回避することができる。
例えば、何れかの利用者が電子文書の原本のある部分にアノテーションとして補足説明を加え、その一方で、他の利用者が同じ部分を削除するような修正を加えたときでも、それらの編集部分を文書管理サーバ10で管理している電子文書本体と対応付けてアノテーション管理サーバ20により登録しておくことで、電子文書本体やこれに対応する加筆修正等の内容に矛盾が生じることなく情報の管理を行うことができる。
同図に示すように、文書管理サーバ10は、文書管理サーバ10全体の動作を司る制御部11と、各種情報を記憶するための主記憶部12と、液晶ディスプレイ等のディスプレイを含んで構成された表示部13と、キーボード及びマウス(ポインティング・デバイス)を含んで構成された操作部14と、後述する文書データベースDB1や各種プログラム、各種パラメータ情報等を記憶するための二次記憶部15と、外部装置との間での各種情報の授受を司る送受信部16と、を備えており、これら各部はシステムバスS1を介して電気的に接続されている。すなわち、本実施の形態に係る文書管理サーバ10は、通常のパーソナル・コンピュータ(以下、「PC」ともいう。)により構成されている。
また、アノテーション管理サーバ20も、アノテーション管理サーバ20全体の動作を司る制御部21と、各種情報を記憶するための主記憶部22と、液晶ディスプレイ等のディスプレイを含んで構成された表示部23と、キーボード及びマウスを含んで構成された操作部24と、後述する付箋用アノテーションデータベースDB2、ペン入力用アノテーションデータベースDB3や各種プログラム、各種パラメータ情報等を記憶するための二次記憶部25と、外部装置との間での各種情報の授受を司る送受信部26と、を備えており、これら各部はシステムバスS2を介して電気的に接続されている。すなわち、本実施の形態に係るアノテーション管理サーバ20もまた、通常のPCにより構成されている。
一方、本実施の形態に係るサーバシステム92は、電子掲示板(Bulletin Board System)として機能するメッセージ共有サーバ30を有している。メッセージ共有サーバ30は主として上記電子掲示板上で交わされたメッセージの保存と検索を行うサーバである。
同図に示すように、メッセージ共有サーバ30も、メッセージ共有サーバ30全体の動作を司る制御部31と、各種情報を記憶するための主記憶部32と、液晶ディスプレイ等のディスプレイを含んで構成された表示部33と、キーボード及びマウスを含んで構成された操作部34と、後述するメッセージデータベースDB4や各種プログラム、各種パラメータ情報等を記憶するための二次記憶部35と、外部装置との間での各種情報の授受を司る送受信部36と、を備えており、これら各部はシステムバスS3を介して電気的に接続されている。すなわち、本実施の形態に係るメッセージ共有サーバ30もまた、通常のPCにより構成されている。
ところで、本実施の形態に係る文書処理システム90は、電子文書に付与されたアノテーションを起点として、予め定められた複数のレビュア(レビュー者)によりレビューが行われるものとされており、当該レビューはメッセージ共有サーバ30によって提供される電子掲示板を用いて行われる。なお、ここでいう「レビュー」とは、ある目的をもった作業の成果物として作成された文書に対し、その文書が成果物として妥当なものであるかどうかを評価する作業を意味する。
そして、本実施の形態に係るサーバシステム92は、上記レビューに基づいて実行される作業の進捗状況の管理を行うと共に、当該作業を実行する作業者(以下、「作業実行者」という。)の管理を行う進捗管理サーバ40を有している。
同図に示すように、進捗管理サーバ40も、進捗管理サーバ40全体の動作を司る制御部41と、各種情報を記憶するための主記憶部42と、液晶ディスプレイ等のディスプレイを含んで構成された表示部43と、キーボード及びマウスを含んで構成された操作部44と、後述する作業者データベースDB5及び進捗管理データベースDB6や各種プログラム、各種パラメータ情報等を記憶するための二次記憶部45と、外部装置との間での各種情報の授受を司る送受信部46と、を備えており、これら各部はシステムバスS4を介して電気的に接続されている。すなわち、本実施の形態に係る進捗管理サーバ40もまた、通常のPCにより構成されている。
更に、本実施の形態に係るサーバシステム92は、文書データベースDB1及び付箋用アノテーションデータベースDB2に登録(記憶)されているデータと、これに関連するメッセージデータベースDB4に登録されているデータを連携させるためのデータ連携サーバ50を有している。
同図に示すように、データ連携サーバ50も、データ連携サーバ50全体の動作を司る制御部51と、各種情報を記憶するための主記憶部52と、液晶ディスプレイ等のディスプレイを含んで構成された表示部53と、キーボード及びマウスを含んで構成された操作部54と、後述するメッセージ連携情報データベースDB7及び文書連携情報データベースDB8や各種プログラム、各種パラメータ情報等を記憶するための二次記憶部55と、外部装置との間での各種情報の授受を司る送受信部56と、を備えており、これら各部はシステムバスS5を介して電気的に接続されている。すなわち、本実施の形態に係るデータ連携サーバ50もまた、通常のPCにより構成されている。
そして、クライアントシステム94は、ペン入力(手書き入力)を行う際に用いられるペン型のアノテーションデバイス67を各々有する、文書処理システム90の各利用者毎に設けられた複数のクライアント装置60を含んで構成されている。
同図に示すように、クライアント装置60も、クライアント装置60全体の動作を司る制御部61と、各種情報を記憶するための主記憶部62と、ディスプレイを含んで構成された表示部63と、キーボード及びマウスを含んで構成された操作部64と、各種情報等を記憶するための二次記憶部65と、外部装置との間での各種情報の授受を司る送受信部66と、を備えており、これら各部はシステムバスS6を介して電気的に接続されている。
クライアント装置60は、主記憶部62や二次記憶部65から読み出したデータや、送受信部66を介してサーバシステム92等から取得したデータに基づいて画像を表示部63に表示するように構成されている。
なお、本実施の形態に係るクライアント装置60は、ディスプレイ表面にタッチパネル(図示省略。)が重ねられて構成されたタッチパネル・ディスプレイが設けられた表示部63を採用した、所謂タブレットPCとして構成されており、表示部63における表示面上をアノテーションデバイス67によって直接指示(手書き入力)することができる。
このように、クライアント装置60は、紙の文書を読む際に当該文書に好きな形で下線や丸等のマークを付けたり、コメントを書き込んだりするのと同様に、アノテーションデバイス67を用いて書き込み入力が可能となっている。
また、クライアント装置60は、以上のようなアノテーションデバイス67を用いた手書き入力機能の他、表示部63により文書を表示させた状態において、当該文書の任意の位置に所定形状(本実施の形態では、矩形状)の付箋を添付した状態とすることのできる付箋添付機能を備えている。ここで、当該付箋には、任意のコメントを直接記述したり、コメントや関連記事等のリンク先を示すリンク情報を関連付けたりすることができる。なお、付箋にリンク情報を関連付けた場合、当該リンク情報により示されるリンク先の情報が付箋に表示される。この場合に本実施の形態に係る文書処理システム90では、付箋添付機能によって文書に添付された付箋をアノテーションとしている。
このように、クライアント装置60は、紙の文書を読む際に当該文書に付箋を貼り付けるのと同様に、注目すべき箇所や補足説明を要する箇所等の任意の位置に対して付箋を添付した状態とすることができる。
文書処理システム90は、以上のような文書管理サーバ10、アノテーション管理サーバ20、メッセージ共有サーバ30、進捗管理サーバ40、データ連携サーバ50、及び複数のクライアント装置60が、各々に備えられた送受信部を介し、ネットワーク96によって電気的に接続されて構成されている。なお、本実施の形態に係る文書処理システム90では、ネットワーク96としてインターネットを適用しているが、これに限らず、イントラネット、LAN、VAN、電話回線網、エコーネット、HomePNA等の各種ネットワークを単独又は組み合わせて適用することもできる。
本実施の形態に係る文書管理サーバ10、アノテーション管理サーバ20、メッセージ共有サーバ30、進捗管理サーバ40、及びデータ連携サーバ50はHTTP(Hypertext Transfer Protocol)サーバとして機能し、各クライアント装置60はHTTPクライアントとして機能するものとされており、文書管理サーバ10、アノテーション管理サーバ20、メッセージ共有サーバ30、進捗管理サーバ40、データ連携サーバ50及び各クライアント装置60はネットワーク96を介して相互にアクセスすることができる。
そして、クライアント装置60においてアノテーションデバイス67を用いて手書き入力されたアノテーション(以下、「手書き入力アノテーション」ともいう。)や、付箋として添付されたアノテーション(以下、「付箋アノテーション」ともいう。)に関する情報は主記憶部62に一旦保持された後、所定のタイミングでアノテーション管理サーバ20にネットワーク96を介して送信され、文書本体と対応付けられて記憶される。そして、後にクライアント装置60において当該文書を読み出し表示する際には、当該文書に対して過去に付与されたアノテーションに関する情報に基づいて、当該文書と共にアノテーションを表示することができるものとされている。
〔クライアント装置60の表示画面の構成〕
図2は、本実施の形態に係るクライアント装置60の表示部63によるアノテーションの添付に関する表示画面の概略構成を示す図である。
同図に示すように、当該表示画面では、クライアント装置60の表示部63における表示エリア63Aに対して、各々所定の役割を有する複数のボタンを表示するためのエリアであるボタン表示エリア63Bと、アノテーションの添付対象とする文書84を表示するためのエリアである文書表示エリア63Cとが設けられている。
本実施の形態に係るクライアント装置60では、上記複数のボタンとして、文書管理サーバ10において管理(記憶)されている文書を読み込む際に指定される文書読込みボタン70と、付箋アノテーションを文書に添付する際に指定される付箋ボタン72と、文書表示エリア63Cに表示された付箋アノテーション86や手書き入力アノテーション88を保存する際に指定される保存ボタン74と、アノテーション管理サーバ20において管理(記憶)されているアノテーションを検索して文書表示エリア63Cに表示させる際に指定される検索ボタン76とが、ボタン表示エリア63Bに表示される。
また、上記複数のボタンとして、更に、後述する連携処理プログラムを実行させる際に指定される連携ボタン78と、後述するメッセージ再現処理プログラムを実行させる際に指定される再現ボタン80と、表示されている文書のページを前後に捲るための前ページ送りボタン82A及び次ページ送りボタン82Bからなるページ捲りボタン82とが、ボタン表示エリア63Bに表示される。
クライアント装置60は、本を読むようにページを捲りながらページ単位で表示を切り替えていく機能(ページ捲り表示機能)が搭載されており、このページ捲り表示機能を利用することで、例えば、取り込んだ多数の情報の中から所望の情報を素早く検索できるように構成されている。
すなわち、このクライアント装置60における情報検索時には、前ページ送りボタン82A及び次ページ送りボタン82Bの2つのボタンをアノテーションデバイス67や、操作部64のキーボード、マウス等によりポインティング指定することによって、ページ捲り操作を行いながら所望のページ情報を表示部63に表示させることができる。
また、クライアント装置60は、ページ捲りボタン82以外のボタンについても、アノテーションデバイス67や、操作部64のキーボード、マウス等によりポインティング指定することによって、当該ボタンに割り当てられた機能を実行させることができる。
以上のように、本実施の形態に係るクライアント装置60では、表示部63の表示エリア63Aに表示させることで各種機能を実行させるためのボタンをソフトウェア的に設けているが、これに代えて、表示部63や操作部64等にハードウェアのボタンを設けたり、操作部64のキーボードにおける所定キーを各ボタンとして利用する形態とすることもできることは言うまでもない。
なお、本実施の形態に係るクライアント装置60では、前述したように、付箋アノテーションにリンク情報を関連付けた場合には当該リンク情報により示されるリンク先の情報が付箋アノテーションに表示されるが、この場合、当該情報を起点としたレビューが、予め定められた複数のレビュアによりメッセージ共有サーバ30によって提供される電子掲示板を用いて行われる。
そして、各レビュアにより当該電子掲示板を用いて交わされたメッセージは、対応する付箋アノテーションをアノテーションデバイス67や操作部64のキーボード、マウス等によりポインティング指定し、所定の操作を行うことによって、表示部63の表示エリア63Aに表示することができる。
なお、上記レビューは、コメントが直接記述された付箋アノテーションや、手書き入力アノテーションを起点として実施することも可能であるが、錯綜を回避するために、以下では、メッセージ共有サーバ30により提供される電子掲示板をリンク先としたリンク情報が関連付けられた付箋アノテーションのみを対象としてレビューを行うものとして説明する。
一方、本実施の形態に係るクライアント装置60には文書編集用の汎用のアプリケーション・プログラム(以下、「文書編集用AP」という。)がインストールされており、電子文書を編集する際には、当該文書編集用APを実行させることにより、編集対象とする電子文書が表示された状態の文書編集画面(図示省略。)を表示部63の表示エリア63Aに表示させた状態で編集作業を行うことになる。
そして、本実施の形態に係るクライアント装置60は、表示エリア63Aに複数の画面が表示できるものとして構成されており、電子文書に対する編集作業を当該電子文書に添付されたアノテーションを参照しつつ行う場合には、文書編集用APによる文書編集画面と、一例として図2に示したアノテーションの添付に関する表示画面とを、双方とも表示エリア63Aに表示して行うことになる。
〔文書管理サーバ10及び文書データベースDB1〕
ところで、本実施の形態に係る文書管理サーバ10は、電子文書を登録する「登録」と、「文書読込み」を外部からの指示に応じて受け付ける。
上記「登録」は、例えば‘http://datacenter.company.co.jp/access.cgi?DocumentID=8gjk3cl3’等のように、文書データベースDB1に登録したい文書の格納場所を示すアドレスを示したURL(Uniform Resource Locators)等のパスやディレクトリへのパスと共に外部から与えることとする。
文書管理サーバ10は、与えられたパスが示す文書(群)に対し、順次、文書IDを付与し、各文書ID毎に、文書名と文書本文を文書データベースDB1に登録する。なお、本実施の形態に係る文書管理サーバ10では、上記文書IDとして文書データベースDB1に格納する文書毎にユニークなID番号が割り振られる。また、文書管理サーバ10は、登録指示された文書の文書ファイル名が同じでも複数回文書データベースDB1に投稿されていれば、異なる文書IDで登録するものとされている。
一方、本実施の形態に係る文書処理システム90では、当該文書処理システム90を用いて共通の目的を達成するために複数の利用者が共同で登録文書を用いた作業を行う単位を「タスク」と称し、登録文書が何れのタスクに属するかを示すタスク情報を各文書毎に文書データベースDB1に登録することができる。なお、上記タスク情報は、対応する文書を文書データベースDB1に登録する際や、登録後の任意のタイミングで、クライアント装置60を介するか、又は文書管理サーバ10によって直接に登録することができる。
このとき、文書データベースDB1内のデータ構造は、一例として図3に示すようなものとなる。ここで、文書名又は文書本文はURL等の文書へのパスであってもよい。
なお、本実施の形態に係る文書処理システム90では、上記レビュアを、レビューの起点となった付箋アノテーションが添付されている文書が属するタスクに属される利用者であるものとしている。
一方、何れかのクライアント装置60において文書読込みボタン70が指定されたことを検知すると、当該クライアント装置60は、その旨を示す情報を文書管理サーバ10に通知する。これに応じて文書管理サーバ10は、文書データベースDB1内の文書名の一覧を作成し、アクセス元のクライアント装置60に送信する。
これに応じて当該クライアント装置60は、文書名の一覧をリストボックス等で表示し、利用者に選択を促す。これに応じて利用者により所望の文書名がアノテーションデバイス67や、操作部64のキーボード、マウス等によりポインティング指定されると、クライアント装置60は、指定された文書名を文書管理サーバ10に送信する。
これに応じて文書管理サーバ10は、当該クライアント装置60から受信した文書名に対応する文書本文及び文書IDを文書データベースDB1から読み出してクライアント装置60に送信する。これによって、クライアント装置60の表示部63における文書表示エリア63Cには、指定した文書名に対応する文書の本文が表示されることになる。
〔アノテーション管理サーバ20、付箋用アノテーションデータベースDB2、ペン入力用アノテーションデータベースDB3〕
一方、本実施の形態に係るアノテーション管理サーバ20は、「保存」と「検索」を外部からの指示に応じて受け付ける。
すなわち、何れかのクライアント装置60において表示部63により文書が表示された状態で当該文書に対してアノテーションが付与され、保存ボタン74が指定されたことを検知すると、当該クライアント装置60は、その旨を示す情報をアノテーション管理サーバ20に通知する。これにより、アノテーション管理サーバ20は、保存を指示されたアノテーションに関する情報を、当該アノテーションが付与された文書に対応付けて、当該アノテーションが付箋アノテーションである場合は付箋用アノテーションデータベースDB2に、当該アノテーションが手書き入力アノテーションである場合はペン入力用アノテーションデータベースDB3に、各々登録(格納)する。
すなわち、例えば、何れかのクライアント装置60から「保存」の指示を受け付けたときにアノテーション管理サーバ20では、保存対象とするアノテーションが付箋アノテーションである場合には、以下に示すようにアノテーションの登録処理が行われる。
まず、アノテーション管理サーバ20は、保存対象とするアノテーションの付与されている位置を示す位置情報、当該アノテーションにリンクが張られている場合のリンク先、アノテーションが付与された文書の文書ID、及び当該保存の指示を行ったクライアント装置60の端末IDがクライアント装置60から与えられる。また、このとき、保存対象とするアノテーションを付与した利用者のユーザ名(又はユーザID)及びアノテーションが付与された時刻(生成時刻)もクライアント装置60から与えられる。
そして、アノテーション管理サーバ20は、アノテーションID、端末ID、ユーザID(又はユーザ名)、文書ID、位置情報、リンク先、生成時刻、及び進捗管理IDを、テーブル形式で付箋用アノテーションデータベースDB2に保存する。
このとき、付箋用アノテーションデータベースDB2内のデータ構造は、一例として図4に示すようなものとなる。
同図において、アノテーションIDは、個々のアノテーションを管理するものであり、1付箋分のアノテーション毎にユニークなID番号が割り振られる。ここで、アノテーションIDは、クライアントシステム94側で発行する方式や、アノテーション管理サーバ20側で発行する方式がある。なお、少なくとも、アノテーションIDと文書IDの2つ組みで唯一である必要がある。与えられたアノテーションID又は上記2つ組みが新規でない場合は、そのアノテーションID又は上記2つ組みで示される行を上書きするものとする。
また、端末IDは、クライアント装置60を唯一に識別するID番号である。ここで、端末IDは、利用者が使用しているクライアント装置60のハードウェアを直接示す場合もあれば、IP(Internet Protocol)アドレスやホスト名に対応するものであってもよい。また、ユーザID(又はユーザ名)は、クライアント装置60を操作している利用者を一意に識別するための情報であり、例えば、ログインユーザ名等に対応する。更に、文書IDは、対応するアノテーションが付与された文書の文書データベースDB1に登録されている文書IDである。
一方、位置情報は、1付箋分のアノテーションの付与位置(添付位置)を示す情報である。本実施の形態では、対応する文書IDにより示される文書内のページ番号と、当該ページ番号によって示されるページにおける位置座標(ここでは、アノテーションの左上角点及び右下角点の2点の座標)との組み合わせによって示される。なお、本実施の形態では、文書表示エリア63Cを横方向及び縦方向に、文書表示エリア63Cに表示されている文書の横方向サイズ及び縦方向サイズを基準としたサイズ(ここでは、横方向に表示文書の横方向サイズの1/50(50分の1)で、縦方向に表示文書の縦方向サイズの1/60(60分の1)のサイズ)の矩形領域でマトリクス状に区分し、各区分領域に対して、左上端部の区分領域から横方向に順に連続し、かつ右端部の区分領域が次の行の左端部の区分領域に連続するように番号が予め付与されており、当該番号を上記位置座標として適用している。
また、リンク先は、アノテーションに関連付けられたリンク情報を示す。なお、本実施の形態に係る文書処理システム90では、上記リンク情報を、一例として同図に示すように‘http://MessageServer/threadViewer?MessageId=1517’等のようにURL等のパスやディレクトリへのパスで与えることとする。
利用者は、付与するアノテーション毎にリンク先を設定することができる。なお、このリンク先は、アノテーションを付与する度に、或いはアノテーションの保存指示を発する度に設定可能である。
なお、本実施の形態に係る文書処理システム90では、リンクが張られている付箋アノテーションを、リンク先の情報が内部に表示された状態で表示するようにしていることは前述した通りである。例えば、図2に示す例では、‘他アプリ併用時に触れては?’等がリンク先の情報として付箋アノテーション86に表示されている。
また、生成時刻は、クライアント装置60において1付箋分のアノテーションが付与された(表示エリア63Aに描画された)時刻であり、日付と時間からなる。これは、1付箋分のアノテーション毎に、クライアント装置60上で保存ボタン74を指定して保存した時刻とは別にサーバで一元的に管理されるようになっている。
更に、進捗管理IDは、上記電子掲示板にリンクが張られている付箋アノテーションについて、リンク先の情報を起点として行われるレビューに基づいて実行される作業の進捗状況を管理するためのものであり、メッセージ共有サーバ30によって提供される電子掲示板上の異なるメッセージにリンクが張られている1付箋分の付箋アノテーション毎にユニークなIDが割り振られる。ここで、進捗管理IDは、クライアントシステム94側で発行する方式や、アノテーション管理サーバ20側で発行する方式がある。また、本実施の形態に係る文書処理システム90では、付箋アノテーションに対してメッセージ共有サーバ30により提供される電子掲示板のメッセージにリンクが張られたタイミングで、当該付箋アノテーションに対する進捗管理IDを付箋用アノテーションデータベースDB2に登録するようにしている。
以上が保存対象とするアノテーションが付箋アノテーションである場合についての説明であるが、これに対し保存対象とするアノテーションが手書き入力アノテーションである場合には、アノテーション管理サーバ20において以下に示すようにアノテーションの登録処理が行われる。
まず、アノテーション管理サーバ20は、保存対象とするアノテーションのアノテーション内容と当該アノテーションの位置情報と色や形状、アノテーションが付与された文書の文書ID及び当該保存の指示を行ったクライアント装置60の端末IDがクライアント装置60から与えられる。また、このとき、保存対象とするアノテーションを付与した利用者のユーザ名(又はユーザID)及びアノテーションが付与された時刻もクライアント装置60から与えられる。
そして、アノテーション管理サーバ20は、アノテーションID、端末ID、ユーザID(又はユーザ名)、文書ID、位置情報、アノテーション内容、色形状、線種、及び生成時刻を、テーブル形式でペン入力用アノテーションデータベースDB3に保存する。このとき、ペン入力用アノテーションデータベースDB3内のデータ構造は、一例として図5に示すようなものとなる。
同図において、アノテーションID、端末ID、ユーザID、文書ID、位置情報、及び生成時刻は、前述した付箋用アノテーションデータベースDB2と同様のものである。但し、アノテーションIDに関しては、付箋用アノテーションデータベースDB2で登録されるものが1付箋毎に割り振られるものであるのに対し、ペン入力用アノテーションデータベースDB3では1ストローク毎に割り振られるものである点のみが異なる。
一方、同図におけるアノテーション内容は、1ストロークのアノテーションの軌跡情報であって、描画されたアノテーションを再現するために利用されるデータであり、例えば、ビットマップやベクトルデータ等のデータとなる。また、色形状は、アノテーションに使用されたインクの色や、円や四角等の形状情報である。更に、線種は、アノテーションの太さや実線或いは点線等といった線種を示す。
一方、クライアント装置60は、表示部63の文書表示エリア63Cに文書が表示された状態において検索ボタン76が指定されたことを検知すると、その旨を示す情報をアノテーション管理サーバ20に通知する。これに応じてアノテーション管理サーバ20は、検索を指示されたアノテーションに関する情報を付箋用アノテーションデータベースDB2及びペン入力用アノテーションデータベースDB3から読み出す。
すなわち、アノテーション管理サーバ20は、クライアント装置60から「検索」の指示を受け付ける。このとき、アノテーション管理サーバ20は、文書IDとアノテーション付与範囲に関する情報をクライアント装置60から受け取る。そして、アノテーション管理サーバ20は、これらの情報(検索条件)に基づき、付箋用アノテーションデータベースDB2及びペン入力用アノテーションデータベースDB3を検索し、表示対象となり得るアノテーションに関する情報を読み出してアクセス元のクライアント装置60に送信する。
これに応じて当該クライアント装置60では、アノテーション管理サーバ20から受信した情報によって示されるアノテーションを閲覧中の文書に重ねて表示する。なお、図2では、以上の処理によって文書84に付箋アノテーション86及び手書き入力アノテーション88が重ねて表示された状態の一例が示されている。
〔メッセージ共有サーバ30及びメッセージデータベースDB4〕
一方、本実施の形態に係るメッセージ共有サーバ30は、文書処理システム90の利用者による電子掲示板として機能するものである。
すなわち、文書処理システム90で取扱い対象としている何れかのクライアント装置60から上記電子掲示板に対してメッセージが書き込まれると、メッセージ共有サーバ30は、当該メッセージに関する情報をメッセージデータベースDB4に登録する。
電子掲示板では、通常、最初のメッセージが何れかの利用者によってタイトルと共に書き込まれ、それを参照した他の利用者から当該メッセージに関するメッセージが書き込まれ、更に、このメッセージに関するメッセージが他の利用者や最初にメッセージを書き込んだ利用者等によって書き込まれる、といったことが適宜行われる。この際、最初のメッセージ以外のメッセージには、最初のメッセージに設けられたタイトルに応じたタイトルが設けられることにより、タイトルを参照することによって、あるいは返信を作成する際に、返信メッセージに親となったメッセージのIDを埋め込むことで各メッセージの親子関係を把握することができる。
メッセージ共有サーバ30では、このように電子掲示板に対して各利用者から書き込まれたメッセージを当該メッセージに対応するタイトルと共にメッセージデータベースDB4に順次登録する。このとき、メッセージデータベースDB4内のデータ構造は、一例として図6に示すようなものとなる。
同図において、メッセージIDは、個々のメッセージを管理するものであり、各メッセージ毎にユニークなID番号が割り振られる。ここで、メッセージIDは、クライアントシステム94側で発行する方式や、メッセージ共有サーバ30側で発行する方式がある。
また、更新時刻は、電子掲示板にメッセージが書き込まれた時刻を示す情報であり、日付と時間からなる。なお、本実施の形態では、当該更新時刻を、メッセージ共有サーバ30の制御部31に設けられている不図示のタイマによって計時されている日時情報を利用して登録するものとされているが、これに限らず、メッセージの書き込み元であるクライアント装置60からメッセージの書き込み時刻を示す情報が与えられ、これを登録する形態とすることもできる。
また、直前メッセージIDは、対応するメッセージの親に当たるメッセージに割り振られたメッセージIDを示す情報であり、直後メッセージIDは、対応するメッセージの子に当たるメッセージに割り振られたメッセージIDを示す情報である。なお、本実施の形態に係る文書処理システム90では、対応するメッセージが最初のメッセージであり、親のメッセージを有しない場合の直前メッセージIDと、対応するメッセージが共通のタイトルに対する最後のメッセージであり、子のメッセージを有しない場合の直後メッセージIDとして、メッセージIDとして取り得ない情報(本実施の形態では‘0’)を登録するものとしている。
同図に示す例では、各々メッセージIDが‘1517’、‘1518’、‘1519’とされたメッセージは直前メッセージIDが‘0’とされているため、最初のメッセージであることが分かる。また、メッセージIDが‘1519’とされたメッセージは、直前メッセージID及び直後メッセージIDの双方が‘0’とされているため、最初のメッセージであり、かつ子のメッセージを有しない、単一のメッセージであることが分かる。更に、メッセージIDが‘1520’とされたメッセージは、直前メッセージIDが‘1517’とされており、かつ直後メッセージIDが‘0’とされているため、メッセージIDが‘1517’とされたメッセージの子にあたるメッセージであり、かつ子のメッセージを有しないメッセージであることが分かる。
一方、タイトルは、対応するメッセージに設けられたタイトルを示す情報であり、メッセージは、メッセージ本文を示す情報である。
一方、メッセージ共有サーバ30は、何れかのクライアント装置60から電子掲示板の表示が指示されると、メッセージデータベースDB4から各メッセージに関する情報を読み出し、親子関係を識別可能に各メッセージのタイトルを一覧表示させることのできる情報を作成してアクセス元のクライアント装置60に送信する。これに応じて当該クライアント装置60では、受信した情報を用いて各メッセージのタイトルを一覧表示するので、当該クライアント装置60の利用者は、所望のタイトルをアノテーションデバイス67や、操作部64のキーボード、マウス等によりポインティング指定することによって当該タイトルに対応するメッセージを表示させたり、当該表示されたメッセージに対するメッセージの書き込み等を行うことができる。
〔進捗管理サーバ40、作業者データベースDB5、進捗管理データベースDB6〕
一方、本実施の形態に係る進捗管理サーバ40は、作業実行者の管理を行うと共に、レビュー(ここでは、メッセージ共有サーバ30により提供される電子掲示板にリンクが張られた付箋アノテーションのリンク先の情報を起点としたレビュー)に基づいて実行される作業の進捗状況の管理を行うものである。
すなわち、何れかのクライアント装置60から作業実行者の登録の指示が行われた場合、進捗管理サーバ40は、当該作業実行者を作業者データベースDB5に登録する。なお、本実施の形態に係る文書処理システム90では、作業実行者がレビュアと兼任しているが、これに限らず、レビュア以外の文書処理システム90の利用者を作業実行者とすることもできる。
図7には、本実施の形態に係る作業者データベースDB5のデータ構造の一例が示されている。
同図において、タスク情報は、登録対象とする作業実行者を属させるタスクを特定するための情報であり、本実施の形態に係る進捗管理サーバ40では、前述した文書データベースDB1のタスク情報と同様のものを適用している。また、作業者IDは、個々の作業実行者を管理するものであり、各作業実行者毎にユニークなIDが割り振られる。ここで、作業者IDは、クライアントシステム94側で発行する方式や、進捗管理サーバ40側で発行する方式がある。すなわち、本実施の形態に係る文書処理システム90では、作業実行者をタスク単位で管理している。
また、同図における担当分野は、対応する作業実行者の専門分野を示すものであり、進捗管理サーバ40で取扱い対象としている専門分野(一例として、「コンピュータ分野」、「自然科学分野」、「政治分野」、「歴史分野」等)毎に予め割り当てられている数値情報が登録される。
なお、本実施の形態に係る文書処理システム90では、クライアント装置60によって作業実行者の登録を行う際に、当該クライアント装置60の利用者に対して、登録すべき作業実行者、当該作業実行者を属させるタスク及び当該作業実行者の担当分野の各情報を入力させ、これによって入力された情報を進捗管理サーバ40に送信するようにしており、進捗管理サーバ40では、クライアント装置60から受信された情報に基づいて作業者データベースDB5への作業実行者の登録を行うようにしているが、これに限定されず、例えば、当該情報を進捗管理サーバ40により直接入力して登録する形態とすることもできる。
一方、本実施の形態に係る進捗管理サーバ40では、メッセージ共有サーバ30によって提供される電子掲示板上のメッセージにリンクが張られている付箋アノテーションについて、リンク先の情報を起点としたレビューに基づいて行われる作業の進捗状況を管理するための情報を進捗管理データベースDB6に登録する。
図8には、本実施の形態に係る進捗管理データベースDB6のデータ構造の一例が示されている。
同図において、進捗管理IDは、管理対象とする作業を特定するための情報であり、本実施の形態に係る進捗管理サーバ40では、前述した付箋用アノテーションデータベースDB2の進捗管理IDと同様のものを適用しており、進捗管理IDが付箋用アノテーションデータベースDB2に登録された際に当該進捗管理データベースDB6にも登録されるものとされている。
また、進捗度は、対応する進捗管理IDによって特定される作業の進捗の度合いを示す情報であり、本実施の形態に係る進捗管理サーバ40では、デフォルトとして作業の開始前の状態を示す情報(ここでは、‘0’)が登録され、作業が開始された後に作業実行者自身によって作業の進捗の度合いを示す情報(ここでは、作業終了の度合いを100%としたときのおおよその度合い)を、クライアント装置60を介して入力することによって更新されるものとしている。なお、当該進捗度の設定は、このような自己申告型に限らず、作業項目が複数存在する場合の全作業項目数に対する終了した作業項目数の割合として算出する形態等の、進捗管理サーバ40が自動的に算出して適宜更新する形態とすることもできる。
また、ステータスは、対応する進捗管理IDによって特定される作業の進捗状況を予め定められた複数の段階で示す情報であり、本実施の形態に係る進捗管理サーバ40では、レビューの受け付け中である段階を示す「受付」、作業内容の検討中である段階を示す「検討」、実行した作業の承認待ちの段階を示す「承認待」、実行した作業の承認が得られて当該作業が完了した段階を示す「完了」の4段階を適用している。なお、実行した作業を承認する権限を有する承認者として、本実施の形態に係る文書処理システム90では、作業の実行対象とする文書が属するタスクに属される作業実行者のうちの予め定められたリーダとしているが、これに限らず、作業の承認者として予め定められた他の利用者を適用することもできる。
一方、作業実行者は、対応する進捗管理IDによって特定される作業を実行する作業実行者を特定するための情報であり、納期は、当該作業の完了期限日を示す情報であり、状態変更時刻は、対応するステータスが変更された日時を示す情報であり、更に状態変更者は、上記ステータスの更新者を示す情報である。
なお、本実施の形態に係る進捗管理サーバ40では、上記ステータスのデフォルトとして「受付」を示す情報を登録するようにしている。更に、本実施の形態に係る進捗管理サーバ40では、上記作業実行者として、作業者データベースDB5の作業者IDと同様の情報を適用している。また、本実施の形態に係る文書処理システム90では、作業実行者自身によってステータスを「検討」や、「承認待」、「完了」に変更するものとしている。また、本実施の形態に係る文書処理システム90では、予め定められたレビュア(例えば、タスクのリーダ等)によって上記作業実行者を登録するものとしている。
また、本実施の形態に係る進捗管理サーバ40では、進捗管理IDが登録された時点から所定期間後(例えば、2週間後)の日を上記納期として自動的に登録しているが、これに限らず、レビュアの何れか(例えば、タスクのリーダ等)によって、この情報を登録する形態とすることもできる。更に、本実施の形態に係る進捗管理サーバ40では、上記状態変更者として、作業者データベースDB5の作業者IDと同様の情報を適用している。
〔データ連携サーバ50、メッセージ連携情報データベースDB7、文書連携情報データベースDB8〕
一方、本実施の形態に係るデータ連携サーバ50は、文書データベースDB1及び付箋用アノテーションデータベースDB2に登録されているデータとメッセージデータベースDB4に登録されているデータを連携させるものである。
すなわち、何れかのクライアント装置60において連携ボタン78が指定された場合、データ連携サーバ50は、後述する連携処理プログラムを実行することにより、その時点で当該クライアント装置60にて表示されている文書84(以下、「処理対象文書」という。)に関して文書データベースDB1に登録されているデータと、当該処理対象文書に添付されている付箋アノテーション86(以下、「処理対象アノテーション」という。)からリンクが張られているメッセージ(以下、「処理対象メッセージ」という。)に関してメッセージデータベースDB4に登録されているデータを連携させるための情報をメッセージ連携情報データベースDB7及び文書連携情報データベースDB8に登録する。
図9には、本実施の形態に係るメッセージ連携情報データベースDB7のデータ構造の一例が示されている。
同図において、文書IDは、処理対象文書の文書データベースDB1に登録されている文書IDであり、アノテーションIDは、処理対象アノテーションの付箋用アノテーションデータベースDB2に登録されているアノテーションIDである。
また、同図におけるメッセージID、更新時刻、直前メッセージID、直後メッセージID、タイトル、及びメッセージは、対応する処理対象アノテーションにリンクが張られている処理対象メッセージ及び当該メッセージを起点とした全ての返信メッセージのメッセージデータベースDB4に登録されている同名のデータである。
一方、図10には、本実施の形態に係る文書連携情報データベースDB8のデータ構造の一例が示されている。
同図において、メッセージIDは、処理対象メッセージのメッセージデータベースDB4に登録されているメッセージIDであり、アノテーションIDは、対応するメッセージがリンク先とされた処理対象アノテーションの付箋用アノテーションデータベースDB2に登録されているアノテーションIDであり、文書IDは、処理対象文書の文書データベースDB1に登録されている文書IDであり、位置情報は、対応する処理対象アノテーションの付箋用アノテーションデータベースDB2に登録されている位置情報であり、更に、文書本文は、処理対象文書の文書データベースDB1に登録されている文書本文である。
〔データ再現機能〕
ところで、前述したように、本実施の形態に係る文書処理システム90は、一例として図11に模式的に示すように、電子文書に添付されている付箋アノテーションに対して、メッセージ共有サーバ30による電子掲示板に書き込まれたメッセージ(コメント)にリンクするためのリンク情報を関連付けすることができる。
そして、文書処理システム90は、当該文書処理システム90によって取扱い対象としている文書及びメッセージを再現して表示することのできるデータ再現機能を有している。
本実施の形態に係るデータ連携サーバ50では、データ再現機能を実現するために、一例として図12に模式的に示すように、処理対象メッセージに関する情報をメッセージデータベースDB4から取得し、これを処理対象文書に対応付けてメッセージ連携情報データベースDB7に文書用仮想データとして記憶する一方、処理対象文書に関する情報を文書データベースDB1及び付箋用アノテーションデータベースDB2から取得し、これを処理対象メッセージに対応付けて文書連携情報データベースDB8にメッセージ用仮想データとして記憶する、連携処理プログラムを実行する。
次に、図13を参照して、連携処理プログラムを実行する際のデータ連携サーバ50の作用を詳細に説明する。なお、図13は、何れかのクライアント装置60において連携ボタン78(図2も参照。)がアノテーションデバイス67等によりポインティング指定され、その旨を示す指示情報が受信された際に、これに応じてデータ連携サーバ50の制御部51により実行される連携処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは二次記憶部55の所定領域に予め記憶されている。また、クライアント装置60は、連携ボタン78がポインティング指定された際に上記指示情報と共に、処理対象文書の文書ID、処理対象アノテーションのアノテーションID、及び処理対象メッセージのメッセージIDをデータ連携サーバ50に送信する。
まず、同図のステップ100では、処理対象メッセージ及び当該メッセージを起点とした全ての返信メッセージに対応するメッセージID、更新時刻、直前メッセージID、直後メッセージID、タイトル、及びメッセージの各情報をメッセージデータベースDB4から読み出し、次のステップ102にて、読み出した情報とアクセス元のクライアント装置60から上記指示情報と共に受信した文書ID及びアノテーションIDを用いて文書用仮想データを構成し、更に、次のステップ104にて、構成した文書用仮想データをメッセージ連携情報データベースDB7に記憶する。
次のステップ106では、処理対象文書に対応する文書本文を文書データベースDB1から読み出すと共に、処理対象アノテーションに対応する位置情報を付箋用アノテーションデータベースDB2から読み出し、次のステップ108にて、読み出した情報とアクセス元のクライアント装置60から上記指示情報と共に受信したメッセージID、文書ID及びアノテーションIDを用いてメッセージ用仮想データを構成し、更に、次のステップ110にて、構成したメッセージ用仮想データを文書連携情報データベースDB8に記憶した後、本連携処理プログラムを終了する。
以上の連携処理プログラムの実行により、図9に示されるメッセージ連携情報データベースDB7及び図10に示される文書連携情報データベースDB8が逐次構築される。
次に、図14を参照して、データ再現機能を実行する際のデータ連携サーバ50の作用を詳細に説明する。なお、図14は、何れかのクライアント装置60において再現ボタン80(図2も参照。)がアノテーションデバイス67等によりポインティング指定され、その旨を示す指示情報が受信された際に、これに応じてデータ連携サーバ50の制御部51により実行されるメッセージ再現処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムも二次記憶部55の所定領域に予め記憶されている。また、クライアント装置60は、再現ボタン80がポインティング指定された際に上記指示情報と共に、処理対象文書の文書IDをデータ連携サーバ50に送信する。
まず、同図のステップ200では、アクセス元のクライアント装置60から受信した文書IDに対応する文書用仮想データをメッセージ連携情報データベースDB7から読み出し、次のステップ202にて、読み出したデータを用いて、予め定められた構成とされたメッセージ表示用画面を表示することのできる画面情報を作成し、次のステップ204にて、作成した画面情報をアクセス元のクライアント装置60に送信することにより、当該クライアント装置60に対して上記メッセージ表示用画面を表示させた後、本メッセージ再現処理プログラムを終了する。
本メッセージ再現処理プログラムの実行により、アクセス元のクライアント装置60の表示部63には、一例として図12に示す電子掲示板と同様の構成とされたメッセージ表示用画面が表示されることになる。
ところで、本実施の形態に係る文書処理システム90では、データ再現機能の一部として、クライアント装置60によりメッセージ共有サーバ30によって提供される電子掲示板を参照している際に、参照しているメッセージがリンク先とされている付箋アノテーション86と、これが添付されている文書を再現表示することができる。
次に、図15を参照して、この際のデータ連携サーバ50の作用を詳細に説明する。なお、図15は、何れかのクライアント装置60において上記電子掲示板を参照している際に当該クライアント装置60の表示部63に表示されている不図示の再現ボタンがアノテーションデバイス67等によりポインティング指定され、その旨を示す指示情報が受信された際に、これに応じてデータ連携サーバ50の制御部51により実行される文書再現処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムも二次記憶部55の所定領域に予め記憶されている。また、クライアント装置60は、当該再現ボタンがポインティング指定された際に上記指示情報と共に、表示中のメッセージのメッセージIDをデータ連携サーバ50に送信する。
まず、同図のステップ300では、アクセス元のクライアント装置60から受信したメッセージIDに対応するメッセージ用仮想データを文書連携情報データベースDB8から読み出し、次のステップ302にて、読み出したデータを用いて、予め定められた構成とされた文書表示用画面を表示することのできる画面情報を作成し、次のステップ304にて、作成した画面情報をアクセス元のクライアント装置60に送信することにより、当該クライアント装置60に対して上記文書表示用画面を表示させた後、本文書再現処理プログラムを終了する。
本文書再現処理プログラムの実行により、アクセス元のクライアント装置60の表示部63には、一例として図12に示す文書と同様の構成(アノテーションが添付された状態の文書構成)とされた文書表示用画面が表示されることになる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、データ構造が異なり、かつ相互に関連する複数種類のデータ(ここでは、付箋アノテーションが添付された文書のデータと、当該付箋アノテーションからリンクが張られたメッセージのデータの2種類のデータ)を対応付けて記憶手段(ここでは、二次記憶部15、二次記憶部25、及び二次記憶部35)に記憶し、前記複数種類のデータの少なくとも1つ(ここでは、全てのデータ)について、対応付けられている前記データを再現することができる再現情報(ここでは、文書用仮想データ及びメッセージ用仮想データ)を作成し、作成した前記再現情報を当該再現情報の作成対象とされた前記複数種類のデータに対して添付(ここでは、ID情報(文書ID、メッセージID)による対応付けによる添付)しているので、異なるデータ構造のデータに対して情報の欠落を招くことなく統一的にアクセスすることを可能とすることができる。
例えば、一例として図16に模式的に示されるように、予め用意された汎用の文書閲覧ソフトを用いることにより、アノテーションが添付された状態の文書を支障なく閲覧することができる一方、メッセージ連携情報データベースDB7に登録した文書用仮想データについては、メッセージ共有サーバ30によって提供される電子掲示板を閲覧できる汎用のメッセージ閲覧ソフトやプラグイン等により支障なく閲覧することができる。従って、一例として図17に模式的に示されるように、例えば、何らかの理由でクライアント装置60がメッセージ共有サーバ30にアクセスすることができなくなった場合であっても、メッセージ共有サーバ30により保持されているメッセージを上記メッセージ閲覧ソフト等により閲覧することができる。
また、本実施の形態では、前記再現情報を当該再現情報で再現対象とされている前記データのデータ構造と同様の構造を示すように作成しているので、より再現性を向上させることができる結果、利便性を向上させることができる。
また、これにより、一例として図18に示されるように、異なるデータ構造の複数種類のデータ(同図では、フォーマットA及びフォーマットBの2種類の文書データ)に対して、共通のデータ構造とされた仮想データ(同図では、文書用仮想データ)にマッピングすることになり、対応可能なデータ構造の種類数を容易に増加することができる。
また、本実施の形態では、前記再現情報の作成指示(ここでは、連携ボタン78が指定された際にクライアント装置60から送信される指示情報)が入力された場合に前記再現情報を作成しているので、前記再現情報の作成タイミングを指定することができ、利便性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、前記再現情報に基づいて当該再現情報で再現対象とされている前記データを再現しているので、更に利便性を向上させることができる。
特に、本実施の形態では、前記再現対象とされている前記データを表示手段(ここでは、表示部63)により表示することによって再現しているので、当該データを容易に把握することができる。
更に、本実施の形態では、前記複数種類のデータを、アノテーションが添付可能に構成された文書データ、及び電子掲示板によりやりとりされ、かつ返信関係が階層構造で表されるメッセージデータとしているので、これらのデータに対して、情報の欠落を招くことなく統一的にアクセスすることを可能とすることができる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
例えば、上記実施の形態では、実行される文書変更作業のステータスを「受付」、「検討」、「承認待」、「完了」の4段階で表す場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの4段階に新たな段階を加えたり、上記4段階のうちの何れかを削除する形態とすることもできる。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、付箋アノテーションに表示されている情報を起点としてレビューを行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、手書き入力アノテーションにより示される情報を起点としてレビューを行う形態とすることもできる。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、付箋アノテーションにリンク先のメッセージ(電子掲示板上の起点メッセージ)を表示する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、当該付箋アノテーションに対して、利用者にメッセージを直接入力させ、当該メッセージに関して電子掲示板上で交わされたメッセージの起点メッセージをリンクするリンク情報を関連付ける形態とすることもできる。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、付箋アノテーションに電子掲示板上で交わされた起点メッセージにリンクするリンク情報を関連付けした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、当該起点メッセージに代えて、当該起点メッセージを起点として交わされた他のメッセージにリンクするリンク情報を関連付けする形態とすることもできる。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、本発明をクライアント/サーバ・システムに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、P2P(Peer to Peer)システムに適用する形態や、単体(スタンドアロン)の情報処理装置に適用する形態とすることもできる。ここで、本発明をP2Pシステムに適用する場合は、上記実施の形態で説明したサーバシステム92における各サーバの処理を各クライアント装置において実行可能とする。また、本発明を単体の情報処理装置に適用する場合にも、上記実施の形態で説明した各サーバの処理を当該情報処理装置において実行可能とするが、この場合は、各装置間の情報の送受を行うための処理や構成は必要がなくなる。これらの場合にも、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、文書管理サーバ10、アノテーション管理サーバ20、メッセージ共有サーバ30、進捗管理サーバ40及びデータ連携サーバ50の各サーバを別体として構成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、PC、ワークステーション等の単体(スタンドアロン)の情報処理装置にて各サーバの機能を実現する形態とすることもできる。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、データ再現機能をソフトウェアによって実現した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、当該機能をハードウェアにより実現する形態とすることもできる。この場合は、上記実施の形態に比較して、データ再現機能の高速化が期待できる。
また、上記実施の形態で示した各データベースのデータ構造(図3〜図10参照。)も一例であり、必要に応じて記憶する項目を追加したり、不要な項目を削除したりすることができることは勿論のこと、各項目の記憶内容も適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、上記実施の形態で示した各種表示画面の構成も一例であり、必要に応じて表示する項目を追加したり、不要な項目を削除したりすることができることは勿論のこと、各項目の表示内容も適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、上記実施の形態で示した各種プログラムの処理の流れ(図13〜図15参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することができることも言うまでもない。
更に、システムを構築する上で各機能要素をサーバシステム92及びクライアントシステム94にどのように振り分けるかは上記実施の形態で説明したものに限定されず、システムを構築する上で都合のよい振り分けを行えばよいことも言うまでもない。