JP4792260B2 - パイル布の周縁加工方法、およびパイル布 - Google Patents

パイル布の周縁加工方法、およびパイル布 Download PDF

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本発明は、パイル布の周縁加工方法、およびこの加工方法によって得られるパイル布に関する。
従来より、パイル布は、その代表的な用途として、乗用自動車のフロアカーペットの上に敷設され、装飾や保護の働きをするフロアマットに用いられている。すなわち、このようなフロアマットとして、種々の意匠のものを嗜好や用途に応じて選択して用いることによって、乗員室内の意匠に変化をつけることが可能である。また、フロアマットを乗員の足下に敷設しておくことによって、フロアカーペットが摩耗したり、汚れたりするのを抑制することができる。また、例えば、乗員の靴に砂粒などが付着していた場合でも、それが主としてフロアマットに入り込むようにし、乗員室内に散乱するのを抑制することができる。この際、フロアマットに入り込んだ砂粒などは、フロアマットのみを取り外して車外に持ち出し、容易に除去することができる。
この種のフロアマットとしては、長繊維を不織布や粗織りとして製織した基布に、比較的毛足の長いパイル糸をタフティングして立毛調のマットとしたものが知られている。さらに、フロアマットの意匠性、質感を高め、また、基布からパイルが抜けるのを防止するために、基布の裏面に二次基布や樹脂の裏打ち材を裏打ち加工することも知られている。特に高級車に用いるものでは、パイルの長さをできるだけ長く(基布から起立するパイルの高さを高く、7〜10mm以上に)し、組織を密に(8〜10ゲージ以上に)し、触感をソフトにすることによって高級感が演出されている。
パイル布、特に、パイルの長さを長くし、組織を密にしたものにおいて、パイル布の中央側ではパイル同士が相互に支えあって、パイル群はほぼ垂直に起立した状態となる。一方、パイル布の周縁部では、外側にパイルを支えるものが無いために、パイルは内側のパイルの圧力でパイル布の外側に傾斜させられ、倒れた状態となる傾向がある。この際、個々のパイルがばらばらに倒れるため、見栄えが損なわれやすいという問題がある。このようにパイル布の周縁部においてパイルがばらばらに倒れるのを抑制するためには、周縁部分だけパイルの高さを低くすることが考えられる。
このように、パイルの長さを部分的に短くする典型的な従来技術として、特許文献1には、「面的広がりを持つ基体の表面に多数のパイルを有してなるパイル製品における前記パイルのうち一定部分における多数のパイルのパイル高を、それらのパイルに対する高周波加熱下の加圧によりそのパイルを少なくとも長さ方向に収縮した状態となすことにより低く形成することを特徴とするパイル製品の製法」が開示されている。さらに、この文献には、パイル布の周縁部に位置するパイル群の一部を高周波加熱により収縮させることによって、パイルの高さが周縁側に向かうほど短くなるようにし、パイル布の表面の周辺部に傾斜面を形成することが開示されている。
特開2002−155451号公報
しかしながら、上述の特許文献1に開示された従来技術では、パイルの長さが長くなるほど組織の中まで熱が伝わりにくくなるので、パイルを収縮させるためには、過大な加熱を行う必要が生じる。このようにパイルが過大に加熱されると、パイルが熱で溶けて、パイル本来の毛羽立ちや風合いなどが損なわれてしまう。また、この従来技術では、高周波加熱を利用することが開示されているが、それ以外の他の加熱方法、例えば熱風加熱や蒸気加熱を利用した場合には、パイルの先端側ほど過剰な加熱を受けるので、さらにパイルの意匠性が損なわれやすくなってしまう。
また、特許文献1に開示された従来技術では、パイルを収縮させるための加熱時に、加熱具によってパイルに圧力をかけている。このためパイルがばらばらな方向に倒れる傾向が生じ、それによって、加熱処理後の意匠性が低下する。
そこで加熱処理をする替わりに、シャーリング機などを利用して、パイル布の周縁部においてパイルの先端を刈り揃えることが考えられる。しかしながら、発明者が実験した結果、パイルを単純に刈り揃えようとしたのでは、見栄えのよい仕上げを行うのは困難であることが判明した。
すなわち、パイル群の先端を刈り揃えようとすると、その際、個々のパイルがばらばらな向きに倒れてしまい、そのために見栄えが損なわれてしまう。また、このようにパイルがばらばらな向きに倒れた状態で、パイル群の先端を見掛け上刈り揃えても、各パイルは、パイルの倒れた方向や倒れ具合によって刈り揃えた時の長さが変化する。このため、互いに隣接するパイルは、実際上、必ずしも長さが揃わない。そのため、使用時、パイルに振動や押圧などの外力が加わってパイルの方向が変化した時に、パイル群の先端が不揃いになってしまう場合があり、そのために、見栄えが損なわれてしまう。
そこで、本発明の目的は、パイル布、特にパイルの長さが長く、組織が密なパイル布に対して、その周縁のパイルを見栄え良く仕上げる方法を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明による複数のパイルが基布に植え付けられたパイル布の周縁加工法は、パイル布の周縁部のパイルに、パイル布の周縁側に向かって、互いに隣接するもの同士が揃って傾斜するように、パイルの根元部分を加熱することによって傾斜ぐせをつける工程と、傾斜ぐせをつけられた一群のパイルの先端を、それが曲面を形成するように刈り揃える工程と、を有することを特徴とする。
このように、パイルに傾斜ぐせをつけた後にパイルを刈り揃えることによって、互いに隣接するパイルの長さが、ほぼ同じ長さになるようにすることができる。また、パイル布の使用時に多少の外力が加わっても、パイルの傾斜方向が変動するのを抑制することができる。
パイルの根元部分の加熱は、高周波電界の印加によって行うことができる。この手法を用いれば、高周波電界をパイルの根元部分に集中的に印加して、パイルの根元部分のみを集中的に加熱することが可能である。
より具体的には、剣山状の針を有し、電極に接続された加工端末を、針の先端が、パイル布のパイル間に差し入れるように配置して高周波電界を印加することによって、高周波電界をパイルの根元部分に集中的に印加することができる。また、剣山状の針によって、パイルの傾斜方向を揃える作用も得られる。
本発明によれば、周縁部のパイルの先端が流麗な曲面を形成している見栄えに優れたパイル布を安定して製造することができる。この際、本発明によるパイル布は、周縁部のパイルに傾斜ぐせがつけられているため、パイルの傾斜方向の変動が抑制される。また、傾斜方向が多少変動しても、互いに隣接するパイルの長さがほぼ同じ長さとなっているため、パイルの先端は滑らかな曲面状に保たれる。このため、本発明によるパイル布は、使用時に多少の外力が加わっても、優れた見栄えを維持することができる。
また、パイルには、その根元部分のみを加熱することによって効果的に傾斜ぐせをつけることができ、そのようにすることによって、パイルの先端側が加熱されるのを抑制し、パイルの先端側の、毛羽立ちや風合いなどを含む意匠性が、加熱によって損なわれるのを抑制することができる。
以下、図面をもとに本発明の好適な実施形態を説明する。
図1に、本実施形態の周縁加工の対象とする、加工前のパイル布10を示す。図1(a)は平面図、図1(b)は断面図である。
このパイル布10は、乗用自動車の乗員足下に配置されるフロアマットとなるものである。図1(a)には、矩形のものを示しているが、パイル布10の輪郭は、自動車の室内形状に合わせて種々の形状であってよい。
本実施形態におけるパイル布10は、基布25に、毛足の長い(高さの高い)パイル20をタフティング組織したタフテッドカーペットである。基布25は、長繊維を不織布または粗織りとして製織した織布である。
パイル布10の縁部には、符号fによって模式的に示すようにオーバーロック加工が施されている。すなわち、基布25の外周端縁が、加飾糸によってかがり縫いされ、ほつれ防止と意匠性の向上が図られている。オーバーロック加工は公知の手法で行うことができる。
基布25の裏面には、裏打ち30が施されている。裏打ち30は、軟質樹脂またはラテックスによって行うことができる。裏打ち30によって、パイル20の抜けの防止が図られている。また、裏打ち30の表面には、突起31が形成され、設置したパイル布10のすべり防止が図られている。
パイル20の構成部材としては、ポリオレフイン樹脂などの熱可塑性樹脂からなる糸を用いることができ、ポリアミド糸、ポリエステル糸、アクリル糸、ポリプロピレン糸などを用いてもよい。これらの糸の中から選択した1種以上の糸をパイル糸とし、このパイル糸を基布30に刺し通して植設することによって、パイル20が形成される。植設は、公知のタフティング機を用いて行うことができる。この際、後述するように、本発明ではパイル20を加熱するのに高周波加熱を好適に利用することができ、この場合、パイル20の構成部材には、高周波加熱に対して熱を発生しやすい、誘電損失の大きい素材を用いるのが特に適している。
パイル20は、ボリュームがあり、タフティングの間隔が比較的密であり、高さが比較的高いのが本発明に適している。パイル20をボリュームのあるものとするためには、上記のような糸を複数撚り合せて複合したものをパイル糸として用いることができる。具体的には、各パイル糸は500〜1500dtex(デシテックス)とするのが適し、また、タフティングの間隔は8〜10ゲージ以上、高さは、基布25からパイル20の先端までの高さで7〜10mm以上、特には10〜20mmとするのが適している。このように、パイル糸にボリュームがあり、パイル20の高さが高く、タフティング間隔が密なパイル布10は高級品であり、見栄え、触感に優れている。
ボリュームがあり、基布25からの高さが高いパイル20を密に組織したパイル布10の中央部においては、互いに隣接するパイル20同士の間隔が近く、パイル20同士が相互に支えあう。このため、パイル布10の中央部のパイル20は、図1(b)に示すように、基布25に対しておよそ直立している。これに対して、パイル布10の周縁付近では、最も外側のパイル20には隣接するパイル20が無いために、高さの高いパイル20は自身で起立した状態を保つのが困難である。このため、パイル布10の周縁付近のパイル20は、倒れた状態となる傾向がある。この際、最も外側のパイル20は、パイル布10の中央側で組織が密で隣接するパイル20間の圧力が高いため、これに押されて、およそパイル布10の周縁側に倒れる傾向があり、オーバーロック加工fによる縁取りの上に載る形になる。この最も外側のパイル20の倒れ込みに準じ、これより内側のパイル20も順次、パイル布10の端縁側に倒れ込む傾向を生じ、パイル布10の周縁付近のパイル20が全体として周縁側に倒れた状態となる。
しかし、パイル布10の周縁付近の各パイルが上記のように倒れる際、各パイル20毎に倒れ込む方向には多少のばらつきが生じ、また、そのために、倒れ込んだパイル10の先端の高さにもばらつきが生じる傾向がある。このように、倒れ込んだパイル20の先端の高さにばらつきが生じた状態では、見栄えがあまりよくない。そこで、本実施形態では、パイル布10の、このようにパイル20が倒れ込む傾向が生じている周縁部を加工する。この際、加工を施す周縁部は、図1(b)に示すように、パイル布10の各縁から所定の距離までの領域b,c,d,eに設定する。この周縁部b,c,d,eは、この領域に含まれるパイル20が倒れた状態となり、一方、残りの中央部aのパイル20がほぼ直立した状態となるように、パイル20の構成などに応じて適宜設定される。具体的には、周縁部b,c,d,eは、パイル布10の周縁から0〜20mm、または0〜30mmの範囲に設定すれば、おおよそ、倒れ込むパイル20の全てが周縁部b,c,d,e内に含まれ、中央部a内の全てのパイル20が直立した状態となって、妥当であることが多い。
次に、パイル布10の周縁部の、本実施形態による加工方法について説明する。本実施形態の加工方法は、大きく分けて、(1)パイル布10の周縁部のパイル20に傾斜ぐせをつける工程と、(2)傾斜ぐせをつけられたパイルを刈り揃える工程と、を有している。以下、各工程について詳細に説明する。
(1)傾斜ぐせつけの工程
傾斜ぐせつけの工程は、図2に示す高周波ウェルダー装置100を用いて行うことができる。この高周波ウェルダー装置100は、高周波の発振器101と、発振器101に接続された上下の電極板102a,102bを有している。上側の電極板102aはパイル布10の、パイル20が植設された表側に、下側の電極板102bは、裏打ち30が施された裏側に配置される。
上側の電極板102aには、パイル布10に面する側に加工端末(ウェルダー型)103が連結されている。加工端末103は、パイル布10側に向かって剣山状に突出した多数の針103aと、針103aの基台103bを有しており、少なくとも針103aは導電性材料から形成され電極板102aに電気的に接続されている。針103aは、先端が先細になっており、電極102aをパイル布10に平行に配置した使用時の状態で、パイル布10の周縁側に向かって5〜30度程度の所定の角度だけ少し傾斜して延びている。基台103bの、パイル布10側の面は、使用時の状態で、パイル布10の周縁側ほど高く(パイル布10側に近く)なった傾斜面103cとなっている。なお、図2は、パイル布10の一縁部分のみの断面図であるが、加工端末103は、パイル布10の全周の周縁部を同時に加工できるようにパイル布10の全周にわたって延びているものとすることができる。また、図2では、図をわかりやすくするために、オーバーロック加工fの図示を省略している。加工端末103の針103aの向きは、基布25に対して垂直な方向でもよいが、図2に示すように少し傾斜させたほうがよい場合がある。これは、後述するように、加工端末103の針103aがパイル布10の上方向から降りてきてパイル20の群の中に入る際に、針103aの先でパイル20を少し押し、パイルを周縁側に倒し気味にしながらパイル20の群の中に入るようにする効果が得られるためである。
高周波ウェルダー装置100は、電極板102a,102bの間隔を10〜30mm程度の所定の間隔とし、針103aをパイル20内に差し入れ、基台103bの傾斜面103cによってパイル20の先端を押さえつけるようにした状態で使用される。針103aの長さは、この時に、針103aの先端がパイル布10の基布25から1〜3mmの所でパイル10の根元付近に位置するように、パイル20の長さに応じて設定されており、5〜15mm程度である。針103aの形成密度は、パイル20の植設密度に応じて設定されており、10〜30本/cm2程度である。発振器101は、針103aの先端と下側の電極102bの間に形成される高周波電界によって、パイル20に所定の加熱を加えることができる仕様を有しており、周波数が20〜40MHz、出力が5〜10kW程度の公知の構成のものであってよい。
次に、傾斜ぐせつけの工程の手順について説明する。
まず、パイル布10を、その周縁部が高周波ウェルダー装置100の、下側の電極102b上に位置するように配置し、上側の電極102aが接続された加工端末103をパイル布10上に押し当てる。この際、針103aが上述のように傾斜して形成されていることによって、針103aは、周縁部のパイル20内に、パイル20との間に大きな抵抗を生じることなく入り込む。
次に、発振器101を作動させて、両電極102a,102b間に高周波電力を供給する。これによって、前述のように誘電損失の比較的大きい樹脂材から構成されたパイル20が加熱される。この際、発生する高周波電界の出力Pは、
P(出力)=〔tanδ(損失係数)×ε(誘電率)×E2(電圧)×f(周波数)〕/d(電極間距離)
によって与えられる。このように、高周波電界の出力は、電極間距離の短い部分で大きくなり、したがって、本実施形態の構成では、電極間距離が顕著に短くなる、針103aの先端部と下側の電極102b間の部分で支配的に大きくなる。このために、本実施形態の構成では、針103aの先端部と下側の電極102b間に位置する、パイル20の根元部分に、パイル20の先端側に比べて支配的に大きな電界が印加され、この部分が集中的に加熱される。その結果、パイル20の先端側は、ほとんど加熱を受けることがなく、したがって、毛羽立ちや風合いなどを含む意匠性はほとんど損なわれることがなく、パイル20の外観は良好に保たれる。
このようにして、パイル20を所定時間の間加熱することによって、パイル20は、傾斜した状態にくせづけられる。この際、加工端末103の基台103bの傾斜面103cによって、パイル20の倒れ込みが促進される。また、パイル20内に差し入れられた針103aの先端の先細になった部分の側面が、櫛状の定規のような働きをして、各パイル20の傾きが、針103aのこの側面にほぼ平行になるように揃えられる。その結果、各パイル20は、全てがパイル布10の周縁側に向かい、互いに隣接するもの同士がほぼ同じ角度で揃って傾斜した状態にくせづけられる。全体として見ると、パイル布10の周縁部b,c,d,eのパイル20の内、中央側に近いものほど直立に近い状態にあり、端縁に近い側にいくにつれて傾斜角度が徐々に大きくなった状態となる。
加熱時間は、パイル20の素材などに応じて適宜設定することができる。例えば、パイル20の素材がナイロンの場合、20〜40秒の加熱時間で、パイル20の根元部分を150〜240℃に昇温するのが適している。
(2)刈り揃えの工程
刈り揃えの工程では、上記の傾斜ぐせつけの工程により、向きと角度が揃うように傾斜ぐせがつけられた、周縁部b,c,d,eの一群のパイル20を刈り揃える。刈り揃えは、図3に示すように(図3においてパイル20の白い部分は最終的に刈り取られる部分を示している)、一群のパイル20の先端が、周縁側に向かって徐々に低くなる流麗な所定の曲面を形成する(図1の破線Xも参照)ように行う。この曲面は、デザインや見栄えの観点から適宜決定することができるが、パイル布10の周縁に交差する面での断面で、周縁部b,c,d,e部分におけるパイル20の先端の描く曲線が、全ての部分において0より大きい曲率を有するようにするのが好ましい。
また、パイル20は、傾斜ぐせをつけられ、刈り揃えられる前の状態では、図2に示すように、最も外側のものが、縁取りのオーバーロック加工f上に倒れ、オーバーロック加工fを乗り越えて、基布25の周縁よりも外側に飛び出した状態となっている。これに対して、刈り揃えた後には、パイル20の先端が描く曲面が、図3に示すように、オーバーロック加工fが形成する曲面に滑らかに続くようにするのが好ましい。
いずれにしても、パイル20は、概ね、パイル布10の周縁側にあるほど刈り取られる長さが長く、パイル20の長さは短くなる。
このような刈り揃えは、図3に示す工業用のバリカン200を用いて行うことができる。バリカン200は、ヘッド201の角度を調節可能となっており、バリカン200の基部202は、パイル布10の周縁に沿って延びるレール205に、それに沿って往復移動できるように支持されている。バリカン200を、レール205の位置とヘッド201の角度を調節することによってヘッド201の、パイル20への接触位置と接触角度を変えて複数回往復移動させながら、パイル20の先端を刈り取る。それによって、パイル20の先端を、所定の曲面を形成するように刈り揃えることができる。この際、パイル20に予め傾斜ぐせがつけられていることによって、刈り揃える前から、パイル20の先端はほぼ揃った状態となっており、また、パイル20は、多少の力が加わっても傾斜方向が維持されやすくなっている。このため、刈り揃えを、安定して良好に実行することができる。
このようなバリカン200の動作は、制御装置によって制御することができる。この場合、制御装置に予めティーチングしておくことによって、曲率が周縁側に向かって徐々に変化するような複雑な曲面であっても、容易に形成することができる。
以上説明した本実施形態によれば、パイル20の先端が熱によって損なわれるのを抑制しながら、周縁部のパイル20の先端が所定の流麗な曲面を形成している見栄えのよいパイル布10を製造することができる。この際、パイル20は、加熱処理によって傾斜ぐせが付けられているので、パイル布10の使用時にパイル布10に多少の振動や押圧力などの外力が加わっても、傾斜方向が変化するのを抑制できる。また、傾斜ぐせを付けた後に刈り揃えを行うことによって、パイル20は、任意の、互いに隣接するもの同士の長さがほぼ揃っているので、多少傾斜方向が変動しても、互いに隣接するパイル20の高さに大きな差が生じることがない。したがって、パイル20の先端によって形成される、パイル布10の表面は、滑らかな曲面状に保たれる。これらのことから、本実施形態のパイル布10は、自動車のフロアマットなどとして使用して、多少の外力が加えられても、見栄えが良好に保たれる。
なお、上述の実施形態において、パイル20に傾斜ぐせをつけるための加熱は、例えば、熱風または加熱蒸気をパイル20の間に吹き込む方法や、熱治具によってパイル20を撫でる手法を用いて行ってもよい。これらの場合、パイル20の先端側が加熱されるのを回避するのは困難であるので、パイル布10の意匠性が損なわれないように加熱条件を設定する必要がある。一方、上述の実施形態に示した高周波ウェルダー装置100を用いた手法では、前述のように、パイル20の根元部分のみが集中的に加熱され、その結果、比較的強い加熱を行っても、パイル20の先端側に熱が加わることはほとんどない。したがって、この手法は、効果的に傾斜ぐせをつけることを可能としながら、パイル20の先端側の加熱を抑制しパイル布10の意匠性を良好に保つことができ、好ましいものである。
熱可塑性樹脂素材の加熱手法として、高周波加熱を利用すること自体は公知である。しかしながら、このような従来技術は、形状の安定したシート状の素材やフイルム状の素材を加熱、溶着、あるいは溶断するのに用いられており、パイル布のような毛羽のある不定形の素材を加熱するのには不向きと考えられていた。パイル布に対して高周波加熱を行う例としては、パイル布の、所定領域のパイルを実質的に完全に溶かして潰し、ロゴなどの模様づけを行うといった特殊な例しか知られてない。上記の実施形態におけるように、高周波加熱を利用して、パイルの根元部分を集中的に加熱する手法は、本発明者によって初めて見出されたものである。
本発明の一実施形態による周縁加工方法を適用するパイル布を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のI−I線に沿った断面図である。 図1のパイル布に対する傾斜ぐせつけの工程を示す図である。 図1のパイル布に対する刈り揃えの工程を示す図である。
符号の説明
10 パイル布
a 中央部
b,c,d,e 周縁部
f オーバーロック加工
20 パイル
25 基布
30 裏打ち
31 突起
100 高周波ウェルダー装置
101 発振器
102a,102b 電極板
103 加工端末
103a 針
103b 基部
103c 傾斜面
200 バリカン
201 ヘッド
202 基部
205 レール

Claims (4)

  1. 複数のパイルが基布に植え付けられたパイル布の周縁加工法であって、
    前記パイル布の周縁部の前記パイルに、前記パイル布の周縁側に向かって、互いに隣接するもの同士が揃って傾斜するように、前記パイルの根元部分を加熱することによって傾斜ぐせをつける工程と、
    傾斜ぐせをつけられた一群の前記パイルの先端を、それが曲面を形成するように刈り揃える工程と、
    を有する、パイル布の周縁加工方法。
  2. 前記パイルの根元部分を、それに高周波電界を印加することによって加熱する、請求項に記載の、パイル布の周縁加工方法。
  3. 剣山状の針を有し、電極に接続された加工端末を、前記針の先端が、前記パイル布の前記パイル間に差し入れられるように配置して高周波電界を印加する、請求項に記載の、パイル布の周縁加工方法。
  4. 基布と、該基布に植え付けられた複数のパイルとを有するパイル布であって、
    前記パイル布の周縁部の前記パイルが、前記パイル布の周縁に向かって、互いに隣接するもの同士が揃って傾斜するように、前記パイルの根元部分を加熱することによって傾斜ぐせがつけられており、傾斜ぐせがつけられた前記パイルの先端が、曲面を形成するように刈り揃えられているパイル布。
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