JP4791292B2 - 防水コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、アーク放電抑制用グリースを雄端子の外表面に塗布することが可能な防水コネクタに関する。
移動体としての自動車に用いられるワイヤハーネスは、雄型のコネクタハウジング(以下雄ハウジングと呼ぶ)と、筒状に形成された雌型のコネクタハウジング(以下雌ハウジングと呼ぶ)と、を嵌合(コネクタ結合)させて得られるコネクタを有している。前述した雄ハウジング及び雌ハウジングは、電線付きの端子を収容している。前記雄ハウジングと雌ハウジングとが互いに嵌合すると、前述した電線付きの端子同士は互いに接触して電気的に接続する。
前述したコネクタとして、特許文献1に開示されているように、前記端子同士が互いに接触した接触箇所に結露などの水滴が浸入することを防止する防水コネクタを用いることがある。この特許文献1に開示された防水コネクタは、前述した雄ハウジングと雌ハウジングとシール部材としてのパッキンとを有している。雄ハウジングは、雌端子を収容した本体部を有している。雌ハウジングは、筒状に形成された筒部の内側に棒状に形成された雄端子を収容している。パッキンは、筒部の奥壁(筒部の内面でかつ本体部の雄端子が挿抜される面と相対する面をいう。)に取り付けられている。このパッキンはゴムなどの弾性を有する合成樹脂で構成されている。この防水コネクタは、雄ハウジングの本体部が雌ハウジングの筒部内に挿入されかつ雌ハウジングの雄端子が雄ハウジングの雌端子内に挿入されて、雄ハウジングと雌ハウジングとが互いに嵌合する。また、パッキンは、ハウジング同士が互いに嵌合すると、雄ハウジングの本体部の雄端子が挿抜される面に密に接触して、本体部の雄端子が挿抜される面と筒部の奥壁との間を水密に保つ。
ところで、近年、自動車電源の標準電圧を通常の14Vから42Vへ昇圧することが検討されているが、このように高電圧化するに当たって上記特許文献1に開示された防水コネクタにおいては次のような問題点がある。即ち、コネクタハウジング同士の離脱時に端子間に発生するアーク放電により、該端子に損傷が生じ、コネクタハウジング同士の再嵌合が不能になったり、端子間の接続信頼性が低下する恐れがあるという問題点である。また、アークエネルギーは印加電圧が上昇するに従って指数関数的に上昇することから、上記防水コネクタを高電圧化した自動車に搭載する場合、前述したアーク放電に対する対策は必須であると考えられる。
また、本願出願人は、以前に、上記アーク放電を低減・防止することが可能なコネクタを提案している(特許文献2を参照。)。このコネクタは、挿抜自在に嵌合接続される雌ハウジング及び雄ハウジングで構成されているとともに、雄ハウジングの雄端子挿抜面に、アーク放電抑制剤を含浸させたスポンジが取り付けられている。このスポンジには、雌ハウジングの雄端子が摺接しながら通される貫通孔が設けられており、前記ハウジングの挿抜の度にその貫通孔を介してアーク放電抑制剤が雄端子の外表面に塗布される。このようなコネクタは、雄端子の外表面、即ち雄端子と雌端子との電気接点に塗布されるアーク放電抑制剤の作用により、アーク放電継続時間が短縮されるとともにこれら端子の外表面が保護されてアーク放電による損傷を低減することができる。
特開2001−257028号公報 特開2003−45555号公報
しかしながら、上記アーク放電抑制剤を含んだスポンジを有したコネクタ(特許文献2を参照。)は、前記スポンジを取り付けるスペースぶんコネクタが肥大化してしまうという問題がある。また、上記アーク放電抑制剤を含んだスポンジを、上記特許文献1に開示された防水コネクタに単純に組み合わせた場合、前記筒部の奥壁に取り付けられたパッキンと前記本体部の雄端子が挿抜される面に取り付けられたスポンジとが当接することになり、コネクタの防水性能が低下してしまうという問題もある。
したがって、本発明の目的は、コネクタハウジング同士の離脱時に端子間に発生するアーク放電を抑制することが可能でかつ簡素な構成の防水コネクタを提供することにある。
上述した目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、棒状の雄端子を有する第1コネクタハウジングと、前記雄端子を収容して該雄端子と電気的に接続する筒状の雌端子を有するとともに前記第1コネクタハウジングと嵌合する第2コネクタハウジングと、前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとのうち一方に取り付けられかつ前記雄端子との間を水密に保つシール部材と、を有した防水コネクタにおいて、前記シール部材が、アーク放電抑制用グリースを含んで構成されかつ前記雄端子を通す貫通孔を有しており、前記雄端子が前記貫通孔の内面に摺接することにより前記アーク放電抑制用グリースが前記雄端子の外表面に塗布されるとともに、前記アーク放電抑制用グリースが、フッ素系オイルを除くベースオイルを含んで構成された絶縁性のグリースであることを特徴とする防水コネクタである。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記シール部材が、前記第2コネクタハウジングの前記雄端子が挿抜される雄端子挿抜面に取り付けられたことを特徴とするものである。
請求項1に記載された発明によれば、雄端子が、フッ素系オイルを除くベースオイルを含んで構成された絶縁性のアーク放電抑制用グリースを含んだシール部材の貫通孔を通過する際、及び、他方のコネクタハウジングがシール部材に突き当たって該シール部材が圧縮された際に、雄端子の外表面にシール部材からにじみ出した前記アーク放電抑制用グリースが塗布され、その後、コネクタハウジング同士が嵌合することにより外表面に前記アーク放電抑制用グリースが塗布された雄端子が雌端子と電気的に接続される。そして、コネクタハウジング同士の離脱時(抜き時)、雄端子の外表面、即ち雄端子と雌端子との電気接点、に塗布された前記アーク放電抑制用グリースが、これら端子間に発生するアーク放電の継続時間を短縮するとともにこれら端子の表面を保護するので、アーク放電の影響を低減することができる。また、シール部材が防水機能とアーク放電抑制用グリース塗布機能との双方を有していることから、アーク放電抑制用グリース塗布構造を別に設ける必要がなく、コネクタの構成を簡素化することができる。さらにこのような防水コネクタは、シール部材に前記グリースを含ませた以外は従来の防水コネクタと同様の構成であるので、従来の防水コネクタ組付ラインにて組み付けることができ、低コストで組付けることができる。
請求項2に記載された発明によれば、コネクタハウジング同士の嵌合時(挿入時)、及び、コネクタハウジング同士の離脱時(抜き時)に、雄端子が前記貫通孔を通過して該雄端子の外表面にアーク放電抑制用グリースが塗布される。このようにアーク放電抑制用グリースが、コネクタハウジング同士が嵌合する度、及び、離脱する度に雄端子の外表面に塗布されることから、アーク放電抑制の効果が経時及びコネクタハウジング同士の挿抜の繰り返しにより薄れてしまうことはない。よって、繰り返しコネクタハウジング同士の挿抜を行ってもアーク放電抑制の効果を維持できる防水コネクタを提供することができる。
本発明の第1の実施形態にかかる防水コネクタを図1ないし図3を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態にかかる防水コネクタの雌ハウジングと雄ハウジングが嵌合された状態を示す断面図である。図2は、図1に示された防水コネクタの雌ハウジングと雄ハウジングが嵌合されていない状態を示す断面図である。図3は、図1に示された防水コネクタのパッキンを示す斜視図である。
図1及び図2に示す防水コネクタ1は、自動車などに配索されるワイヤハーネスを構成する。防水コネクタ1は、第1コネクタハウジングとしての雌型のコネクタハウジング(以下雌ハウジングと呼ぶ)2と、第2コネクタハウジングとしての雄型のコネクタハウジング(以下雄ハウジングと呼ぶ)3と、シール部材としてのパッキン4と、を有している。
上記雌ハウジング2は、合成樹脂で構成されるとともに、本体部5と、筒状の筒部6と、を有している。なお、本明細書では、筒状に形成されて内側に雄ハウジング3の後述の本体部11などが挿入される筒部6を有したコネクタハウジングを雌型のコネクタハウジングと呼ぶ。
上記本体部5は、複数の雄型の端子金具(以下雄端子と呼ぶ)7を収容する。本体部5は、互いに並設された複数の端子収容室8を有している。端子収容室8はそれぞれ直線状に延びており、前述した雄端子7を収容する。
上記雄端子7は、銅材などで構成される既知構成のものであって、棒状に形成されかつ後述の雌端子13の弾性接触片13a,13bと接触する電気接触部71と、電線を圧着し接続する電線接続部(図示は省略する。)と、を有している。なお、この雄端子7は、後述のアーク放電抑制用グリースが塗布されていない状態で雌ハウジング2に組み付けられる。
上記筒部6は、内側に雄ハウジング3の後述する本体部11を受け入れる。筒部6は、本体部5の外縁それぞれに連なる周壁9により箱状(筒状)に形成されている。即ち、筒部6は、本体部5に連なっている。周壁9の本体部5から離れた縁部は、雄ハウジング3の本体部11を受け入れるための開口部10を形成している。また、本明細書では、本体部5の外縁でかつ筒部6の内面をなす部分21を「奥壁」と呼ぶ。奥壁21は平らに形成されている。また、上記端子収容室8は奥壁21を貫通して周壁9で囲まれた空間、即ち筒部6の内側に連通している。即ち、雄端子7が本体部5側から端子収容室8に収容されると、筒部6の内側に電気接触部71が突出するようになっている。
上記雄ハウジング3は、合成樹脂で構成されるとともに、本体部11を有している。なお、本明細書では、筒状の雌ハウジング2内に挿入される本体部11などを有したコネクタハウジングを雄型のコネクタハウジングと呼ぶ。
本体部11は、図1などに示すように、複数の雌型の端子金具(以下雌端子と呼ぶ)13を収容する。本体部11は、互いに並設された複数の端子収容室14を有している。端子収容室14はそれぞれ直線状に延びており、前述した雌端子13を収容する。
上記雌端子13は、銅材などで構成される既知構成のものであって、中空角筒状に形成されかつ上記雄端子7の電気接触部71を内側に受け入れる電気接触部15と、電線を圧着し接続する電線接続部(図示は省略する。)と、を有している。また、電気接触部15の内部には、互いに相対する一対の弾性接触片13a,13bが設けられている。そして、電気接触部15内に挿入された雄端子7の電気接触部71は、これら弾性接触片13a,13bの間に挟まれることによりこれら弾性接触片13a,13bと弾性的に接触する。なお、この雌端子13は、後述のアーク放電抑制用グリースが塗布されていない状態で雄ハウジング3に組み付けられる。
また、本明細書では、本体部11の外壁でかつ上記雌ハウジング2の奥壁21と相対する面32を「雄端子挿抜面」と呼ぶ。この雄端子挿抜面32には、上記雄端子7の電気接触部71を上記雌端子13の電気接触部15内に通すための貫通孔31が設けられている。さらに、雄端子挿抜面32には、後述のパッキン4が取り付けられるとともに、このパッキン4を固定するためのフック33が複数形成されている。
上記雄端子挿抜面32に取り付けられる上記パッキン4は、ゴム、ウレタン等の弾性変形可能な合成樹脂で構成されるとともに、図3に示すように、板状に形成されている。また、パッキン4は、複数の貫通孔41を有している。これらの貫通孔41は、パッキン4が雄端子挿抜面32に取り付けられた状態で上記貫通孔31と重なる位置に設けられており、雄端子7の電気接触部71が通される。また、貫通孔41は、雄端子7の電気接触部71が通過する際に、貫通孔41の内面42と電気接触部71の外表面とが摺接する程度の大きさに開口形成されている。また、前記「摺接」とは、弾性的に接触しながら接点が移動することを意味する。また、貫通孔41を囲む外周部43は、他の部分よりも肉厚に形成されており、ハウジング2,3が互いに嵌合した際にこの外周部43が奥壁21に密に接触することにより、奥壁21と雄端子挿抜面32との間が水密に保たれるとともに、奥壁21及び雄端子挿抜面32と雄端子7との間が水密に保たれる。
また、上記パッキン4は、液状の前記合成樹脂にアーク放電抑制用グリース(以下、単にグリースと呼ぶ。)が練り込まれたものが製造型内に流し込まれ、固形に固められることにより得られる。このグリースは、パッキン4の貫通孔41の内面42を雄端子7の電気接触部71が摺接すること、及び、ハウジング2,3が互いに嵌合した際に奥壁21がパッキン4に突き当たってこのパッキン4が圧縮されること、によりパッキン4からにじみ出して電気接触部71の外表面に塗布される。また、外表面にグリースが塗布された雄端子7が雌端子13と電気的に接続されることにより、雄端子7に塗布されたグリースが雌端子13に付着して、雄端子7と雌端子13との電気接点にグリースが塗布される。このことにより、ハウジング2,3の離脱時に雄端子7と雌端子13との間に生じるアーク放電が抑制される。
上記グリースとしては、フッ素系オイルを除くベースオイル95〜70重量%と、増ちょう剤及び添加剤5〜30重量%と、を含んで構成された絶縁性のもの(グリース全体を100重量%とする。)を用いることができる。
上記ベースオイルとしては、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、ポリ−α−オレフィン(PAO)油、ジエステル油、ポリオールエステル油、ジフェニルエーテル油、ポリアルキレングリコール油から選択された1種又は2種以上から構成されたものを用いることが好ましく、さらに好ましくは、低粘度のポリオールエステル油、低粘度のポリアルキレングリコール油から選択された1種又は2種から構成されたものである。また、低粘度のオイルが好ましい理由は、糸引き性が小さく前記電気接点の金属(即ち端子7,13の表面)への濡れ性に優れるため、端子7,13同士が離れる速度が速い場合でもこれらの電気接点の金属(即ち端子7,13の表面)に十分な油膜が形成されるためである。そして、電気接点の金属(即ち端子7,13の表面)に十分な油膜が形成されることによりアーク放電のエネルギーが小さくなる。また、本明細書では、動粘度が8〜100mm2/S(40℃)の範囲であることを「低粘度である」と言う。
上記増ちょう剤としては、リチウム石けん、カルシウム石けん、ウレア化合物、アルミニウム石けん、カルシウム複合石けん、有機化ベントナイトから選択された1種又は2種以上から構成されたものを用いることが好ましく、さらに好ましくは、有機化ベントナイト、カルシウム複合石けんから選択された1種又は2種から構成されたものである。
上記添加剤としては、酸化防止剤、帯電防止剤、増粘剤から選択された1種又は2種以上から構成されたものを用いることが好ましい。また、前記帯電防止剤としては、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系とカチオン系との混合界面活性剤から選択された1種又は2種以上から構成されたものを用いることが好ましい。
また、上記増ちょう剤及び上記添加剤の配合率については、上記ベースオイルに対して、上記増ちょう剤が15重量%以下であり、上記添加剤が10重量%以下であることが好ましい。上記範囲が好ましい理由は、増ちょう剤を多く含んだグリースを端子7,13同士の電気接点に塗布すると、グリースを塗布しない時に比べてアーク放電のエネルギーは減少するが、端子7,13同士の通電性能が悪化してしまうためである。なお、本願の発明者らは、端子7,13同士の電気接点に各種のグリースを塗布し、この電気接点に荷重89〜100gfをかけ、この電気接点間の接触抵抗が40mΩ以下であれば通電良好とする通電性能試験を行った。この通電性能試験によると、ベースオイルに対して増ちょう剤が5〜11重量%配合されたグリースは通電良好であり、増ちょう剤の割合が15重量%で通電性能が低下し始め、それ以上、例えば、ベースオイルに対して増ちょう剤が5〜11重量%配合されたグリースは通電性能が悪化することが分かった。また、上記添加剤は必ずしも含まれていなくても良い。
上述の配合のグリースは、基本的には不導体であるため電気を流さない。しかしながら、電気接触部71の外表面、即ち端子7,13同士の電気接点にグリースが塗布されている場合であっても、油膜が薄い箇所では通電する。そして、これら端子7,13が互いに乖離する際(嵌合状態から離脱される際)、端子7,13各々の最終乖離点に電流が集中し、この部分がジュール熱により融解してブリッジを形成する。端子7,13を更に離すと、ブリッジは破断され、電気が空気層を通過する状態になってアーク放電が発生する。この時、グリースが端子7,13同士の電気接点に塗布されていると、アーク放電継続時間が短縮されるとともに端子7,13の表面がそれらの油膜によって保護され、アーク放電の影響が低減される。
また、本発明のグリースを構成するベースオイルとしてフッ素系オイルを用いることが好ましくない理由は、フッ素系オイルは、アーク放電による発熱によって熱分解されてフッ酸に転化され、生成されたフッ酸がアーク放電継続時間を延ばし、端子7,13同士の電気接点及びその近傍に腐食等を発生させる原因になるからである。
上記構成の防水コネクタ1において、雌ハウジング2と雄ハウジング3との嵌合時(挿入時)及び離脱時(抜き時)の作用は次のようになる。
ハウジング2,3の嵌合時(挿入時)には、雄端子7の電気接触部71がパッキン4の貫通孔41の内面42に接触しながらその貫通孔41を通過する。この時、雄端子7の電気接触部71の外表面には、油膜状にグリースが塗布される。その後、外表面にグリースが塗布された雄端子7は、雌端子13と電気的に接続される。また、このことにより、雄端子7に塗布されたグリースが雌端子13に付着して、雄端子7と雌端子13との電気接点にグリースが塗布される。
これに対しハウジング2,3の離脱時(抜き時)には、雄端子7と雌端子13との電気的な接続が解除されるとともに、上記同様、雄端子7の電気接触部71がパッキン4の貫通孔41の内面42に接触しながらその貫通孔41を通過する。そして、この時、雄端子7の電気接触部71の外表面にグリースが塗布される。
以上のようにして雄端子7の外表面、即ち雄端子7と雌端子13との電気接点にグリースが塗布された防水コネクタ1は、アーク放電継続時間が短縮されるとともにアーク放電による損傷が低減される。
本実施形態の防水コネクタ1によれば、アーク放電抑制用グリースが雄端子7の外表面、即ち端子7,13同士の電気接点に塗布されることにより、これら端子7,13間に発生するアーク放電の継続時間を短縮するとともにこれら端子7,13の表面を保護して、アーク放電の影響を低減する。さらに、ハウジング2,3の嵌合時及び離脱時に、即ちハウジング2,3の挿抜の度に雄端子7にグリースが塗布されるようになることから、アーク放電抑制の効果が経時及び挿抜の繰り返しにより薄れてしまうことはない。言い換えれば、防水コネクタ1は、ハウジング2,3の挿抜を複数回通電状態で繰り返しても、従来のような挿抜不能の状態になるようなことはない。また、パッキン4が防水機能とグリース塗布機能との双方を有していることから、グリース塗布構造を別に設ける必要がなく、防水コネクタ1の構成を簡素化することができる。さらにこのような防水コネクタ1は、パッキン4にグリースを含ませた以外は従来の防水コネクタと同様の構成であるので、従来の防水コネクタ組付ラインにて組み付けることができ、低コストで組付けることができる。
次に、本発明の発明者らは、図4に示す試験装置105及び図5に示す試験片102,103を用いてアーク放電エネルギーを測定し、本発明の効果を確認した。試験装置105は、図4に示すように、直流電源106に可変抵抗108、試験片102,103、を直列に接続し、電流計107と電圧計109とを組み込んだ電気回路である。試験片102,103は、図5に示すように、一方の試験片103に、ハウジング2,3の端子7,13の接点を模擬したインデント104を設け、もう一方のプレート状試験片102と接触させるようにした。図4及び図5中の101はこれら試験片102,103同士の電気接点を示している。また、これら試験片102,103の材質は純銅を使用しており、表面処理は施していない。この電気接点101及びその近傍に、本発明に係るグリース1〜12及び比較例のグリース13〜15をそれぞれ塗布した後、試験片102,103を接続状態から500mm/minの速度で乖離させてアーク放電を発生させ、その際の試験片102,103間電圧変動及び電流値を測定して電気接点101に発生するアーク放電エネルギーを算出した。結果を表1に示す。また、表1には記載していないが、電気接点101にグリースを塗布しない場合のアーク放電エネルギーは6.5Jであった。
Figure 0004791292
表1中のグリース1は、ベースオイルとして動粘度が40℃で68mm2/Sのパラフィン系鉱油1を含んで構成されたグリースである。
表1中のグリース2は、ベースオイルとして動粘度が40℃で66mm2/Sのパラフィン系鉱油2を含んで構成されたグリースである。
表1中のグリース3は、ベースオイルとして動粘度が40℃で235mm2/Sのナフテン系鉱油を含んで構成されたグリースである。
表1中のグリース4は、ベースオイルとして動粘度が40℃で30mm2/Sのポリ−α−オレフィン油1を含んで構成されたグリースである。
表1中のグリース5は、ベースオイルとして動粘度が40℃で400mm2/Sのポリ−α−オレフィン油2を含んで構成されたグリースである。
表1中のグリース6は、ベースオイルとして動粘度が40℃で10.6mm2/Sのジエステル油を含んで構成されたグリースである。
表1中のグリース7は、ベースオイルとして動粘度が40℃で20mm2/Sのポリオールエステル油1を含んで構成されたグリースである。
表1中のグリース8は、ベースオイルとして動粘度が40℃で71.7mm2/Sのポリオールエステル油2を含んで構成されたグリースである。
表1中のグリース9は、ベースオイルとして動粘度が40℃で44mm2/Sのジフェニルエーテル油1を含んで構成されたグリースである。
表1中のグリース10は、ベースオイルとして動粘度が40℃で97mm2/Sのジフェニルエーテル油2を含んで構成されたグリースである。
表1中のグリース11は、ベースオイルとして動粘度が40℃で64.5mm2/Sのポリアルキレングリコール油1を含んで構成されたグリースである。
表1中のグリース12は、ベースオイルとして動粘度が40℃で351mm2/Sのポリアルキレングリコール油2を含んで構成されたグリースである。
表1中のグリース13は、ベースオイルとして動粘度が40℃で17mm2/Sの直鎖型のフッ素系オイル1を含んで構成されたグリースである。
表1中のグリース14は、ベースオイルとして動粘度が40℃で85mm2/Sの直鎖型のフッ素系オイル2を含んで構成されたグリースである。
表1中のグリース15は、ベースオイルとして動粘度が40℃で345mm2/Sの分岐型のフッ素系オイル3を含んで構成されたグリースである。
表1によれば、電気接点101にグリースを塗布しない場合はアーク放電エネルギーが6.5Jであったが、グリース1〜12を電気接点に塗布した場合には、アーク放電エネルギーが2.7〜4.1Jの範囲に収まることが明らかとなった。また、特に、ベースオイルとしてポリアルキレングリコール油、ポリオールエステル油を使用した場合にアーク放電エネルギーが低くなることが明らかとなった。
また、表1によれば、電気接点101にベースオイルとしてフッ素系オイルを使用したグリース13〜15を塗布した場合には、アーク放電エネルギーが9.01〜9.33Jの範囲になり、また、試験後の電気接点101の腐食が見られたことから、フッ素系オイルは、アーク放電による損傷の抑制の点から考慮すると、本発明のグリースのベースオイルとして用いることが好ましくないことが明らかとなった。
続いて、本発明の第2の実施形態にかかる防水コネクタを図6を参照して説明する。図6は、本発明の第2の実施形態にかかる防水コネクタの雌ハウジングと雄ハウジングが嵌合されていない状態を示す断面図である。
図6に示すように、本実施形態にかかる防水コネクタ1’は、雌ハウジング2と、雄ハウジング3と、シール部材としてのパッキン4’と、を有している。このパッキン4’は、第1の実施形態で示したパッキン4と同様にゴム、ウレタン等の弾性変形可能な合成樹脂により板状に形成され、かつ、接着剤により雌ハウジング2の奥壁21に取り付けられている。また、パッキン4は、複数の貫通孔41’を有している。これらの貫通孔41’は、パッキン4’が奥壁21に取り付けられた状態で端子収容室8と重なる位置に設けられており、雄端子7の電気接触部71が通される。また、貫通孔41’は、雄端子7の電気接触部71が通過する際に、貫通孔41’の内面42’と電気接触部71の外表面とが摺接する程度の大きさに開口形成されている。そして、ハウジング2,3が互いに嵌合した際にパッキン4’に雄端子挿抜面32が突き当たることにより、奥壁21と雄端子挿抜面32との間が水密に保たれるとともに、奥壁21及び雄端子挿抜面32と雄端子7との間が水密に保たれる。
さらに、本実施形態のパッキン4’も第1の実施形態で示したアーク放電抑制用グリースを含んで構成されている。このグリースは、グリースが塗布されていない状態の雄端子7が雌ハウジング2に組み付けられる際に電気接触部71が貫通孔41’の内面42’を摺接すること、及び、ハウジング2,3が互いに嵌合した際に雄端子挿抜面32がパッキン4’に突き当たってこのパッキン4が圧縮されること、によりパッキン4’からにじみ出して電気接触部71の外表面に塗布される。
このように、本発明では、アーク放電抑制用グリースを含んで構成された防水用のパッキン4,4’が、雄ハウジング3の雄端子挿抜面32に取り付けられていても良く、雌ハウジング2の奥壁21に取り付けられていても良い。
上述した第1,2の実施形態では、外表面にアーク放電抑制用グリースを塗布していない状態の雌端子13及び雄端子7をそれぞれのハウジング2,3に組み付けて防水コネクタ1,1’を組み立てている。しかしながら本発明では、予め外表面にアーク放電抑制用グリースを塗布した状態の雌端子13及び雄端子7をそれぞれのハウジング2,3に組み付けて防水コネクタ1,1’を組み立てても良い。
また、上述した第1の実施形態では、パッキン4をフック33で固定することにより雄端子挿抜面32に取り付けるようにしていたが、本発明では、パッキン4を接着剤や接着シートにより雄端子挿抜面32に取り付けるようにしても良い。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
本発明の第1の実施形態にかかる防水コネクタの雌ハウジングと雄ハウジングが嵌合された状態を示す断面図である。 図1に示された防水コネクタの雌ハウジングと雄ハウジングが嵌合されていない状態を示す断面図である。 図1に示された防水コネクタのパッキンを示す斜視図である。 本発明のアーク放電抑制効果を確認するためのアーク放電エネルギーを測定する試験装置を示す回路図である。 図4に示された試験装置に接続される試験片を示す概略説明図である。 本発明の第2の実施形態にかかる防水コネクタの雌ハウジングと雄ハウジングが嵌合されていない状態を示す断面図である。
符号の説明
1,1’ 防水コネクタ
2 雌ハウジング(第1コネクタハウジング)
3 雄ハウジング(第2コネクタハウジング)
4,4’ パッキン(シール部材)
6 筒部
7 雄端子
11 本体部
13 雌端子
32 雄端子挿抜面
41,41’ 貫通孔
42,42’ 内面

Claims (2)

  1. 棒状の雄端子を有する第1コネクタハウジングと、前記雄端子を収容して該雄端子と電気的に接続する筒状の雌端子を有するとともに前記第1コネクタハウジングと嵌合する第2コネクタハウジングと、前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとのうち一方に取り付けられかつ前記雄端子との間を水密に保つシール部材と、を有した防水コネクタにおいて、
    前記シール部材が、アーク放電抑制用グリースを含んで構成されかつ前記雄端子を通す貫通孔を有しており、前記雄端子が前記貫通孔の内面に摺接することにより前記アーク放電抑制用グリースが前記雄端子の外表面に塗布されるとともに、
    前記アーク放電抑制用グリースが、フッ素系オイルを除くベースオイルを含んで構成された絶縁性のグリースであることを特徴とする防水コネクタ。
  2. 前記シール部材が、前記第2コネクタハウジングの前記雄端子が挿抜される雄端子挿抜面に取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載の防水コネクタ。
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