JP4790620B2 - 新規な鎮痛性化合物,これを含有する抽出物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は鎮痛性を有する新規化合物及びこれを含有する抽出物に関する。該化合物はバリングトニア(Barringtonia)属の植物から得られる。
バリングトニアは,サガリバナ科に含まれる植物の中で最大の属を成し,アジア,マレーシア及び太平洋の熱帯地方に広く分布する[1]。
バリングトニアは,2mから25mを超える範囲の大きさの木又は低木である。4種が北オーストラリアに存在することが知られており[2],そのうちの3種,B.ラセモサ[(L.)シュプレンク](B. racemosa [(L.) Spreng]),B.カリプトラタ[(ミエトルス)R.Br.ex バイレイ](B. calyptrate [(Mietrs.) R. Br. ex Bailey]),及びB.アシアチカ[(L.)クルツ](B. asiatica [(L.) Kurtz])は,北クイーンズランド由来のもののみが知られている。第4のオーストラリアの種であるB.アクタンギュラ[(L.)ガエルトン](B. acutangula [(L.) Gaertn])は,より広い分布を有し,北クイーンズランドから北西オーストラリアに至る北オーストラリア全域に見出されている。バリングトニア・アクタンギュラは,更に2つの亜種,B.アクタンギュラ亜種アクタンギュラ,及びB.アクタンギュラ亜種スピカータ(spicata)に分けられる[1]。後者はバリングトニア分布エリアの至る所で見つかるが,前者は北オーストラリアに制限される。
それらの分布範囲の全体にわたって,多くのバリングトニア属植物が地元住民によって種々の方法で使用されてきた。バリングトニア属植物の一般的な用途の1つは魚毒としてである[2〜5]。いくつかの種,例えばB.アクタンギュラ[2〜4,6〜11],B.スペシオサ(speciosa)[5],B.ラセモサ[2,3,10〜12],B.アシアトリカ[2,3,5,10,11]及びB.カリプトラタ[10]が魚毒として報告されている。この木の果実及び樹皮が魚毒としてよく使用されるが[2,3,5〜12],他のいくつかの植物器官,例えば葉[8,11],根[4,8,9,11],種子[2,9,10,12]及び木部[12]も使用されている。いくつかの種の葉,果実及び種子は食用であることが知られている[3,9,12〜15]。
バリングトニア属植物の他のいくつかの特性及び用途が報告されている。これらは,B.ラセモサのタンニン酸の存在によるなめし剤としての[3,12,16],及び,ニコチンの約半分の活性であると報告されている殺虫剤としての[12,16,17]使用を含んでいる。バリングトニアの果実は野生のブタを毒殺するために使用されてきた[12]。B.ラセモサの種子に加えてB.アシアチカの果実は自殺及び「...殺人を意図した...」投与のために使用されており[11,12],ココナッツミルクが解毒剤となる。これらの毒性は,B.アシアチカの核の中で高濃度で存在することが実証されている,HCNの存在によるかもしれない[11]。
バリングトニア属植物の多くは伝統薬として広範囲な用途が見出されてきており,B.アクタンギュラの果実は「ナースフルーツ」と呼ばれてきた[6]。この植物の全ての部分が使用され,内用及び外用の両方で投与されてきた。製剤の調製は,乾燥及び粉末化,熱水又は冷水による抽出,加熱や搾汁を含む[3,11,12,16,18]。外用としては,想像がつくように,皮膚病に対して注目される傾向がある。一般的な傷,リューマチ,湿疹,潰瘍,疥癬,輪癬,白癬,掻痒,炎症及びハンセン病などの病気が,バリングトニア属植物で治療されてきた[3,11,12,16,18]。粉末化した種子が,頭痛を緩和する吸入薬として使用されてきており,また,加熱した種子は芳香性で,疝痛及び分娩を助けるために使用されてきた[3]。眼炎,胸の風邪及び疼痛,喘息,熱,疝痛,鼓腸,非性病性狭窄,咽喉痛,及び胃痛を和らげる外用の用途も報告されてきた[3,6,11,12,16,18]。
バリングトニアの一般的な内用の用途は,下痢,赤痢及び胃痛の緩和のための,催吐剤,去痰剤,緩下剤としてのものである[3,6,8〜12,16,18,19]。ある種の製剤は苦味強壮薬として摂取され[3,8,9,11,18,19],B.ラセモサの種子は虫下しとして摂取される[18]。
魚毒として,バリングトニア属植物,特にB.アクタンギュラ[4]は,オーストラリアにおいて広範囲に使用されたが,バリングトニア属植物が存在する他の地方と比較して,この植物は医薬としてほとんど活用されなかったようである。オーストラリア人の中では,バリングトニア抽出物は,傷,おでき,そして水痘のような皮膚疾患に対して(B.ラセモサ及びB.アクタンギュラ),胸痛及び熱に対して(B.カリプラタ),眼炎,疝痛,出産において,また嘔吐を引き起こすため(B.アクタンギュラ)に使用されてきた[10,11,16,18]。バリングトニア属植物の用途のより詳細な説明は文献に見出し得る(例えば[3,12,18])。
バリングトニア属植物の薬用植物としての広い伝統的用途を考えると,生理活性成分の化学的性質がほとんど注目されていなかったことは驚くべきである。
B.インシングニス(insingnis),B.ブリーセイ(vriesei)及びB.ラセモサ中のサポニン様配糖体の存在は,早くも1898年に実証された([6]に報告された)。続いて,1901年には,サポニンがB.スペシオサから単離され,これは加水分解によりグルコース及びバリングトゲニン(barringtogenin)を生じた([6]ではB.スピノサ(spinosa)としてその種を報告しているが,[20]に報告されている)。同じ著者が,更に別のサポゲニン,すなわちバリングトゲニチン(barringtogenitin)の存在を報告した。ノゾエ(Nozoe)はB.アシアチカの種子からA−バリニン(barrinin)及びA−バリゲニン(barrigenin)を単離し,続いてA−バリニンのサポニンがグルコン酸,d−グルコース,d−ガラクトース及びメチルペントースを含むことを報告した[21,22]。A−バリゲニンのアルカリ加水分解により,チグリン酸及び新しいアグリコン,A−バリゲノール(barrigenol)が得られた[23]。また,A−バリゲニンのアセチル化により,別のアグリコン,A−バリゲノールが単離された[23]。
サポニンの高濃度の存在は,B.アクタンギュラ及びB.ラセモサの種子,葉及び樹皮由来のものについて報告された。また,3つのサポゲニンが同定された[20]。後に続いた研究の多くは,これらのサポニン類を単離し性質を特徴づけることを目的としたものであった。
1955年にコール他(Cole et al.)[24]によって最初に割り出されたA−バリゲノールの構造を,図1に示す。
1950年代には,出版物の数によって証拠づけられるように,サポニン及びサポゲニンに対する興味が増加し,主に分解技術を使用して,構造が割り出され,改定された。A及びA−バリンゲノールの後,バリングトニア属植物から単離された第1のサポゲニンは,B.ラセモサの果実から単離されたバリングトゲノール及びバリングトゲン(barringtogenic)酸であり[25],その構造は図2に示されている。
バリングトニア・アクタンギュラは,新規なサポニン及びサポゲニンの源であり続けた。再び,この種の果実から,一連の化合物,バリングトゲノールB,C,D及びEが単離され,それらの構造が調べられた[8,26〜34]。
バリングトゲノールCは,B.アクタンギュラ果実から単離され,化学技術によりその構造が既に記載したように割り出された(図4)(例えば[8,26,27,31〜34])。
更に,バリングトゲノールDは,やはりB.アクタンギュラ果実から単離され,バルア他(Barua et al.)によって記述され[26],構造はチャクラボルティ(Chakraborti)とバルアによって提示された[29,30](図5)。
バリングトゲノールEは,B.アクタンギュラの枝木から単離され,質量スペクトルと化学情報を用いて構造が割り出された(図6)[8,28]。バリングトゲノールEがおそらく自然から単離されたトリテルペン安息香酸塩の最初の例であることが注目された[8,28]。
B.アクタンギュラから単離された他の化合物は,図7に示すようにタンギノール(tanginol)を含み[8,35,36],図8に示すようにバリン酸(barrinic acid)を含む[37]。
更に,いくつかの化合物がB.アクタンギュラから単離され,それらの構造が部分的にNMRを使用して割り出された。これらはバリゲン(barrigenic)酸,バリン酸の19β異性体(果実)[36]及びアクタングル(acutangulic)酸及びタングル(tangulic)酸(葉)(図9)[38〜40]を含む。
1991年になって初めて[41],B.アクタンギュラ由来の手付かずのサポニンの構造が公表された。スペクトルと化学的データにより,その構造が導かれ,2α,3β,19α−トリヒドロキシ−オレアン−12−エン−二酸28−O−β−D−グルコピラノシドとして割り出された(図10)[41]。
この構造が公表された直後に,同じグループが,B.アクタンギュラ由来の更に3つのサポニンの完全な構造,バリングトシド(barringtosides)A,B及びCを公表した(図11)[42]。
このバリングトニア属植物は,広範囲の病気に対して薬用植物として使用されてきたが,単離されたトリテルペンのいずれについても生物活性に関する情報を突き止めることができなかった。しかしながら,トリテルペン類が,いくばくかの抗炎症作用を有することは知られている(例えば[43,44])。バリングトニアの樹皮の収斂性は,やはり抗微生物作用を有することが知られている(例えば[45])タンニン酸の存在によるものとされてきた[16,18]。皮膚傷,傷及び他の皮膚疾患に対する調合剤としてバリングトニア属植物が一般的に使用されるのは,これらのタンニン類の存在によるものかもしれない。これらの木由来の調合剤によって引き起こされる,報告されている効果は,ステロイドの活性(例えば抗炎症剤,抗喘息,抗リューマチなど)により説明することができ,バリングトニア属植物由来の抽出物中のβ−及び(−シトステロール及びスチグマステロール−3β−O−D−グルコシドの存在は,これらの活性のいくつかを説明するものかもしれない。また,サポニンが広範囲の生物活性を示すことも有名であり,その多くは,より早期に概説された(例えば[46,47]),観察された薬理作用を説明するものとなり得るものであった。
前の議論から明白なように,バリングトニアのこれまでの研究で見つかった化合物の主要な群は,サポニン類である。サポニン類は,植物及びより低級な海洋生物に広く認められる二次代謝産物の重要なクラスである。調査されたすべての植物のおよそ79%がサポニンを含むことが報告された[48]。更に,サポニンが植物によって防御剤として生産されることが提示された[48]。更に多くのサポニンがより低級な海洋生物から単離されるであろうが,今のところ,門棘皮動物門,特にナマコ(ナマコ綱)及びヒトデ(ヒトデ亜綱)から単離されている[46]。
サポニン類は3つの主成分,トリテルペン,ステロイド又はステロイダルアルカロイドのようなアグリコン(ゲニン又はサポゲニン),1つ以上の糖鎖,一般にD−グルコース,D−ガラクトース,D−グロクロン酸,D−ガラクツロン酸,L−ラムノ−ス,L−アラビノース,D−キシロース及びD−フコース,及び場合によりアンゲリカ酸及びチグリン酸のような酸からなる[46,47,49]。サポニン類は,更にアグリコンに付けられる糖鎖の数により,モノ−,ジ−又はトリ−デスモシド類(desmosides)に分類される[47]。
サポニン類の溶血性,軟体動物殺傷性及び魚類殺傷性は,よく特性が明らかにされており,植物及び動物抽出物の生物学的指標に基づく分画における検定技術としても利用されてきた(例えば[47,48,50,51])。しかしながら,溶血性についてはさまざまであるか,又はまったく存在しない場合もあり,また,軟体動物殺傷性は,サポニンの構造に多少依存する[46,47]。想像がつくように,サポニン類の生物学的及び薬理学的性質については,多くの発表があり,それらの例は[46,47]に見ることができる。
鎮痛活性は少数のサポニン類において実証された。下記は鎮痛効果があることが見出されたサポニン類のうちのいくつかの例である。酢酸ライジングテストを用いて,バルバトシド(barbatoside)A(ED50 95mg/kg)及びB(ED50 50mg/kg)といったダイアンサス・バルバタス(Dianthus barbatus)由来のクアイル酸(quaillic acid)の配糖体類が,アセチルサリチル酸(ED50 125mg/kg)よりも活性が高いことが示された[52]。ドリコス・ファルカタス(Dolichos falcatus)由来のサポニン調合剤を5mg/kgで腹腔内(ip)注射すると,マウスを55℃に曝露することにより惹起した疼痛に対して,著しい鎮痛効果を生じることが示された[53]。更に,プラチコドン・グランディフロラム(Platycodon grandiflorum)の抽出物は,2g/kgの服用量で皮下(sc)注射された時,マウスにおいて鎮痛効果を引き起こした[54]。その活性成分のうちの1つがプラチドディン(platicodin)であると記載され,また,マウスが受けた服用量は160mg/kgと同等であった。効果は100〜200mg/kgのアスピリンに匹敵した。パナクス・ノトジンセン(Panax notoginseng)由来の総合サポニン調合剤の注射(ip,100〜250mg/kg)は,モルヒネ及びl−テトラヒドロパルマチンより速効で短時間作用性であることが分かり,アミノピリン(150mg/kg)に匹敵するものであった[55]。サポニン調合剤が鎮静剤効果を引き起こし,睡眠誘導におけるペントバルビタールのED50を減少させ,チオペンタール誘導睡眠を延長させ,そしてCNS抑制においてクロルプロマジンとの相乗効果を示した[55]ことも注目された。多くのダイアノシド類(dianosides)が,ダイアンサス・スペルバス変種ロンギカリシナス(Dianthus superbus ver. longicalycinus)[56〜58]から単離され特徴づけされた。ダイアノシドA及びBは,10及び30mg/kg(sc)で,酢酸により惹起した苦痛を有意に抑制することが見出され,ダイアノシドBの方がより強い効力を有していた[56]。マエサ・チサ変種アウグスチフォリア(Maesa chisa var. augustifolia)から得られた配糖体分画についての薬理学的効果の詳細な試験において,ゴメス他(Gomes et al.)[59]は,とりわけマウスにおけるライジングテストでの鎮痛効果を実証した。酢酸で引き起こされた苦痛において52%の抑制を示したのとは対照的にp−フェニルキノノンで誘導された苦痛においては33%の抑制が観察された。ちなみにアスピリンは,p−フェニルキノン誘導の苦痛を85%,酢酸誘導の苦痛を80%阻害した。挙尾現象が無いこと,そして加熱板試験及びテイルフリック試験のいずれにおいても活性が欠如していることは,その配糖体分画によって生じた鎮痛が麻薬によって生じるそれとは異なるものであったことを示唆している。
発明の要約
本発明の一態様は,決して最も広義のものではないが,下記式(I)
Figure 0004790620

式中:
は水素原子,O−ベンゾイル,O−チグロイル,又は
Figure 0004790620

であって,ここで,R及びRは各々独立して,ベンゾイル,チグロイル又は3−O−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリルから選択され;
は水酸基,O−アセチル,O−イソブチリル,O―ベンゾイル又O−チグロイルであり
はCHOH又はCHOCOCH であり
は水素,又は
Figure 0004790620

であり
ただし,a)1は水素原子であり,
次式
Figure 0004790620

で表される基を表し,R が次式:
Figure 0004790620

で表される基であるとき,
がO−アセチルであり,R がCH OHであり,R がベンゾイルであり,且つR が3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリル又はベンゾイルであるか;
がO−アセチルであり,R がCH OHであり,R がチグロイルであり,且つR が3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリルであるか;
がO−アセチルであり,R がCH OHであり,R が3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリルであり,R がチグロイルであるか;又は
が水素原子であり,R がCH OCOCH であり,R がベンゾイルであり,且つR がベンゾイル又は3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリルであり;
b)R が次式:

Figure 0004790620

であり,R が水素原子であるとき,
が水素原子であり,R がO−アセチルであり,R がCH OHであり,R がベンゾイルであり,且つR が3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリルであり;
c)R がO−ベンゾイル,R が次式:
Figure 0004790620

であるとき,
が水素原子であり,R がO−イソブチリル,O−ベンゾイル又はO−チグロイルであり,且つR がCH OHであるか;
が水素原子であり,R が水酸基であり且つR がCH OH又はCH OCOCH であるか;又は
がメチルであり,R がO−ベンゾイル又はO−チグロイルであり,且つR がCH OHであり;
d)R がO−チグロイルであるとき,R は水素原子又はメチルであり,R はO−チグロイルであり,R はCH OHであり,R は次式:

Figure 0004790620

であり;そして
e)R が水素原子のとき,R は水素原子であり,R はO−ベンゾイルであり,R はCH OHであり,R は次式:

Figure 0004790620

を表す化合物;もしくはそれらの薬理学的に許容される塩類を提供するものである。
「アルキル」は,1〜18個の炭素原子を有する直鎖,分岐鎖,環状及び二環式構造,又はそれらの組み合わせを表す。限定を目的としないアルキル基の例として,メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,s−及びt−ブチル,ペンチル,ヘキシル,ヘプチル,オクチル,ノニル,ウンデシル,ドデシル,トリデシル,テトラデシル,ペンタデシル,シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシル等が挙げられる。より好ましくは,アルキル基は,メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,s−及びt−ブチル,ペンチル及びヘキシルから選択される。
「アルケニル」は1〜7個の炭素原子を有する不飽和の直鎖構造又は分岐鎖構造,ならびにそれらの組み合わせを意味する。限定を目的としないアルケニル基の例としては,エテニル,プロペニル,イソプロペニル,ブテニル,s−及びt−ブテニル,ペンテニル,ヘキセニルが挙げられる。
「アルカノイル」は,1〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖構造のアルカノイル基を意味する。好ましくは,アルカノイルは,アセチル,プロピオノイル,ブチリル,イソブチリル,ペンタノイル及びヘキサノイルから選択される。より望ましいアルカノイルは,アセチル,プロピオノイル,ブチリル及びイソブチリルから選択される。
「アルケノイル」は,アルケニルが上記に定義されたものである,アルケニルカルボニルを意味する。好ましくは,アルケニルはペンテノイル,ヘキセノイル又はヘプテノイルから選択される。より好ましくは,アルケニルはペンテノイル(チグロイル)(tigloyl)又はヘキセノイル(アンゲロイル)(angeloyl)から選択される。
「ベンゾイルアルキル置換されたアルカノイル」の語は,少なくとも1つのベンゾイル及び少なくとも1つのアルキルで置換された直鎖又は分岐鎖C1〜C6アルカノイルを意味するものとして用いられ,ここで,ベンゾイルは,直鎖又は分岐鎖C1〜6アルキルに結合する。好ましくは,ベンゾイルアルキル置換されたアルカノイルはベンゾイルメチルイソブチリルである。
「複素環の」は,1〜4個のヘテロ原子を有する非芳香族環を意味し,ここで,環は単独であるか,又は0〜4個のヘテロ原子を含有する3〜7員の脂環式の環,アリール及びヘテロアリールから選択される第2の環に融合するものであり,前記ヘテロ原子は,各々独立にO,N及びSから選択される。限定を目的としない複素環の例としては,ピロリジニル,ピペリジニル,ピペラジニル,モルホリニル,テトラヒドロフラニル,イミダゾリニル,チオモルホリニル等が挙げられる。
「アリール」は,1〜3個のベンゼン環を含む6〜14員炭素環式芳香族環系を意味する。2つ以上の芳香族環が存在する場合,環はともに融合され,隣接した環は共通の結合を共有するようになっている。例としては,フェニル及びナフチルが挙げられる。アリール基は,各々独立にハロゲン,アルキル又はアルコキシから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
ここで使用される語「ヘテロアリール」は,O,S及びNから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する単一の環を含む5〜10員芳香族環系を表す。ヘテロアリールには,フラニル,ジアジニル,イミダゾリル,イソオキサゾリル,イソチアゾリル,ピリジル,ピロリル,チアゾリル,トリアジニル等が含まれるが,これらに限定されない。
好ましくは, が次式:
Figure 0004790620

であり,R 及びR はベンゾイルを表すか,R がベンゾイル又はチグロイルを表し且つR が3−ベンゾイル−2−メチルブチリルを表すか,R が3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリルを表し且つR がチグロイルを表す。
ましくは,式(I)の化合物は下記から選択される;
a. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−[3−O−(3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリル)−4−O−ベンゾイル−α−L−アラビノピラノシル]−22−O−アセチルバリングトゲノールC;
b. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−ベンゾイルバリングトゲノールC;
c. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−ベンゾイル−28−O−アセチルバリングトゲノールC;
d. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−ベンゾイル−22−O−イソブチルバリングトゲノールC;
e. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−メチルグルクロノピラノシル−21,22−O−ジベンゾイルバリングトゲノールC;
f. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21,22−O−ジベンゾイルバリングトゲノールC;
g. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−メチルグルクロノピラノシル−21−O−ベンゾイル−22−O−チグロイルバリングトゲノールC;
h. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−ベンゾイル−22−O−チグロイルバリングトゲノールC;
i. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−メチルグルクロノピラノシル−21,22−O−チグロイルバリングトゲノールC;
j. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21,22−O−チグロイルバリングトゲノールC;
k. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−デオキシ−22−O−ベンゾイルバリングトゲノールC;
l. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[βD−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−[3,4−ジ−O−ベンゾイル−α−L−アラビノピラノシル]−22−O−アセチルバリングトゲノールC;
m. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−[3,4−ジ−O−ベンゾイル−α−L−アラビノピラノシル]−28−O−アセチルバリングトゲノールC;
n. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−[3−O−(3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリル)−4−O−チグロイル−α−L−アラビノピラノシル]−22−O−アセチルバリングトゲノールC;
o. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−[3−O−チグロイル−4−O−(3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリル)−α−L−アラビノピラノシル]−22−O−アセチルバリングトゲノールC;
p. 3−O−β−D−ガラクトピラノシル(1→2)−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−[3−O−(3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリル)−4−O−ベンゾイル−α−L−アラビノピラノシル]−22−O−アセチルバリングトゲノールC;もしくは,
q. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−[3−O−(3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリル)−4−O−ベンゾイル−α−L−アラビノピラノシル]−28−O−アセチルバリングトゲノールCである。
ここで使用される「薬理学的に許容可能な塩類」は,全身投与に対して毒物学的に安全な塩類を意味する。薬理学的に許容可能な塩類は,アルカリ及びアルカリ土類,アンモニウム,アルミニウム,鉄,アミン,グルコサミン,コリン,硫酸塩,硫酸水素塩,硝酸塩,クエン酸塩,酒石酸塩,酒石酸水素塩,リン酸塩,炭酸塩,重炭酸塩,リンゴ酸塩,マレイン酸塩,ナプシル酸塩,フマル酸塩,琥珀酸塩,酢酸塩,テレフタル酸塩,パモ酸塩,櫛状のs−メチルメチオニン塩類ピペラジン(pectinate and s-methyl methionine salts piperazine)等を含む群から選択され得る。
本発明の別の態様は,バリングトニア属の,好ましくはバリングトニア・アクタンギュラ種の植物又は植物の一部から抽出された式(I)の化合物を1つ以上含む組成物である。植物の一部としては,果実,種子,樹皮,葉,花及び木部が挙げられる。好ましくは,植物の一部は樹皮,花及び葉から選択される。より好ましくは,植物の部分は樹皮である。
本発明の他の態様は,有効量の1つ以上の式(I)の化合物と薬理学的に許容される担体を含む,痛みの治療及び/又はコントロールのための医薬組成物にある。
剤形としては,錠剤,分散剤,懸濁剤,注射剤,溶液,シロップ,トローチ,カプセル,坐薬,エアゾール,経皮的なパッチ等が挙げられる。これらの剤形には,更に,特に,医薬組成物を調節して放出することを企図した,もしくはそのために適応させた注射又はインプラント装置を含む。治療薬の調節された放出は,例えば,該組成物を,アクリル樹脂,ロウ,高級脂肪族アルコール,ポリ酢酸及びポリグリコール酸,及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなある種のセルロース誘導体といった,疎水性ポリマー類でコーティングすることにより達成してもよい。更に,調節された放出は,他のポリマーマトリックス,リポソーム及び/又はミクロスフェアの使用により達成してもよい。
また,全身投与用の薬理学的に許容される担体を,本発明の組成物に組み入れてもよい。
適切には,医薬組成物は薬理学的に許容される賦形剤を含む。「薬理学的に許容される賦形剤」は,全身投与において安全に使用され得る固体又は液体の充填剤,希釈剤又はカプセル化材料を意味する。特定の投与経路によって,当該分野でよく知られる種々の担体を使用し得る。これらの担体又は賦形剤は,糖類,デンプン類,セルロース及びその誘導体,麦芽,ゼラチン,タルク,硫酸カルシウム,植物油,合成油,多価アルコール類,アルギン酸,リン酸塩緩衝液,乳化剤,等張の食塩水,及び発熱物質を含まない水を含む群から選択され得る。
適切な投与経路はどのようなものでも,患者に本発明の医薬組成物を与えるために採用され得る。例えば,経口,直腸,非経口,舌下,口腔,静脈内,関節内,筋肉内,皮内,皮下,吸入,眼内,腹腔内,脳室内,経皮等が採用され得る。
投与に適する本発明の医薬組成物は,粉末又は顆粒として,又は水性液体,非水性液体,水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョン中の溶液もしくは懸濁液として,薬理学的に活性な本発明の化合物の1つ以上を所定量含むバイアル,カプセル,包袋又は錠剤のような個別的な単位で提供されてもよい。そのような組成物はいかなる調剤方法によって調合されてもよいが,方法はすべて,1つ以上の本発明の薬理学的に活性な化合物を,1つ以上の必須成分を組成する担体と結合させる工程を含む。一般的に,該組成物は本発明の薬剤を,液体担体又は微細に分散された固体担体又はその両方と均一かつ緊密に混合し,それから必要に応じて,生成物を成形して所望の外形とすることにより調製される。
式(I)の,及び本発明の組成物の活性化合物は,痛みを治療及び/又はコントロールするのに十分な量で存在する。式(I)の化合物,及びこれを含有する医薬組成物の適切な投与量は,当該分野の技術者により容易に決定され得るが,約0.002mg/kgから5.0mg/kg程度であり得る。
本発明の更に別の態様によると,痛みの治療及び/又はコントロールのための薬剤の製造における,式(I)の1つ以上の化合物の使途が提供される。
実験セクション
セクションA 疼痛検定
ホルマリン検定
ホルマリン検定は,ラット又はマウスの前後方の足への少量のホルマリンを皮下注射することを含み,この注射に対する行動的反応が疼痛反応の指標として記録される。この方法の変法が,ドゥビッソン(Dubuisson)及びデニス(Dennis)[60]により記載されており,行動的反応がラット及びネコの両方について詳述された。これとは別に,生じた疼痛は,最初に非常に強く,鋭く,刺すようであり,燃えるようであることが記載され,標準疼痛診断項目で3/5を占めた。約4,5分後に,この強烈な疼痛は,定常的で脈動的な疼痛となり,これは注射部位に軽い圧痛を残して,30〜60分間をかけて徐々に消失した[60]。
ホルマリン検定は,いくつかの理由から,この研究のために選択された。第1に,最も重要なこととして,この検定法は,「Pain」のようなジャーナルでしばしば報告されており,倫理的な問題点が克服されていることを示すものであろう。検定において観察された2つの明確な相が,痛覚の2つの明確な相を反映していることも実証された。第1相は,早期又は急性相で,ホルマリンの注射直後に始まり,約3〜5分持続する。この段階は痛覚受容器の直接の化学的刺激であると考えられる。この初期相に続き,最小活動期間が10〜15分間続く。続いて,第2の,後期又は持続相が始まり,20〜40分間続く。早期及び後期の両相で示される反応は,モルヒネ,コデイン,ネフォパム及びオルフェンダリン(orphendarine)のような既知の鎮痛剤を使用して減少させることができる[61]。後期相は,インドメタシン及びナプロキセンのような非ステロイド性の抗炎症性化合物,及びデキサメサゾン及びヒドロコルチゾンのようなステロイド類の両方によって影響を受けた(例えば[61])。興味深いことに,アスピリン及びパラセタモールは,ホルマリン試験の両相において,投与量に依存する形で鎮痛性を呈することが示された[61]。
この検定をいくつかの箇所で実行する場合,ホルマリン濃度を含め,実験対象及び注射部位を考慮する必要がある。
鎮痛剤としてモルヒネ及び他の目的化合物を使用して,雄のマウスについてホルマリン検定を行い,マウスにおける疼痛反応を測定する手段としてのこの検定の実行可能性及び信頼度を吟味した。
方法及び材料実験の対象 体重25〜35gのオスのクェッケンブッシュ(Quackenbush)マウスを使用した。それらを,コロニーケージ(400×300×130mm;ワイヤテナーズ(Wiretainers)社製)に収容し,エサ(標準のラット/マウス用ペレット;ノルコ・フィード(Norco Feed)社製)及び水に自由に接近できるようにした。短期間収容については,1つのケージ当たり最高15〜16匹のマウスが収容され,より長い期間については,この数が,1つのケージ当たり10匹未満のマウスに減らされた。床敷材は,かんな屑又はより一般には再生紙のペレット(ブリーダーズ・チョイス(Breeders Choice)社製)とした。
12時間の明暗サイクルを06:00時に明かりを点ける動物飼育設備において継続した。行動におけるいかなる日内変化も最小限にするために,試験はすべて明相の間に行った。設備の温度は21℃に,湿度は45から65%の間に維持した。
新規に得た動物は,試験のために使用する前に,最低2日間,該飼育設備に収容した。
試験化合物
ホルマリン(アジャックス(Ajax)社製)は,保存料として10%のメタノールを含む約37.5%のホルムアルデヒド溶液として供給した。この保存溶液は,水で1:20に希釈し,2%のホルムアルデヒド溶液(5%のホルマリン)とし,痛覚刺激剤として使用した。
塩酸モルヒネは,タスマニア・アルカロイズ・プロプライエタリーリミテッド(Tasmanian Alkaloids Pty. Ltd.)の一部門であるエクスタル(Extal)のご厚情により寄贈され,滅菌等張(0.9%)食塩水により希釈して適切な濃度とした。
試験方法
試験用の専用部屋がなかったため,試験は全て週末に研究所で,前記飼育設備における明相の最初の時間に合うように行った。これらの時間は,研究所の他の従業員による試験中の妨害を最小限にし,且つ,その日の時間による反応におけるあらゆる変動を最小限にするために選択した。
マウスは試験の少なくとも1時間前に研究所へ運ばれた。続いて,マウスを空のコロニーケージに個別に入れた。それらは観察部屋としても機能した。マウスはその環境を探索させるために更に30分間放置された。この間,及び試験の間,食物又は水は利用可能としなかった。
モルヒネ及び他の目的化合物は,ホルマリン投与の30分前に10mL/kgの量で腹腔内(ip)注射された。最小限に拘束して,20μLのホルマリン溶液を,右後足の背面に皮下(sc)注射した。マウスをケージに戻し,直ちに観察を始めた。記録された唯一の挙動反応は,5分の区画当たりに動物が注射された足又は脚部を噛む又は舐めるのに費やす時間量であった。各動物は,試験に一度だけ使用し,その後COにより安楽死させた。
結果−対照
この検定が文献に匹敵する結果を与えるかを確認するために,2つの対照実験を実施した。更にバックグラウンドとして,グルーミング動作が記録された。このデータは,マウスが両方の後ろ足を噛むか舐めるかに費やした時間量として記録され,平均値を正常なグルーミングバックグラウンドとした(図12)。マウスは,これらの観察用のために,生理食塩水をip投与した。
図12は,マウスがそれらの後足のグルーミングに費やす時間が5分毎に約4秒であることを示している。この時間にはいくらか小さな幅があったが,これらの値は有意ではなく,したがって更なる計算に含めないことが決定された。
第2の対照実験では,等張の食塩水のip注射が用いられ,続いて30分後にホルマリンの注射を行った。この対照実験の結果を図13に示す。以前の研究者により報告された反応の特徴的な二相性(例えば[61])を図13に示す。
この手法の有効性を確認するために行われた最終対照実験は,モルヒネについての用量反応曲線を構築することを目的とした。モルヒネの4用量,3mg/kg(n=8),6mg/kg(n=7),9mg/kg(n=6)及び12mg/kg(n=4)を採用した。総実験時間にわたる鎮痛活性の計算が,鎮痛剤としての抽出物を評価するために要求された。痛覚刺激反応についての急性及び持続相の間に認められたあらゆる相違に留意した。全実験時間(45分)について実験と対照における疼痛の持続を比較することが必要であった。
対照動物において疼痛反応を示すのに費やされた総時間は,451±28秒
Figure 0004790620
であった。この値を用いて,疼痛抑制パーセンテージが,下記式を使用して計算され得る。
疼痛反応(%)=(1−反応時間(秒)/対照時間)×100
=(1−反応時間(秒)/451)×100
ここで反応時間は,目的の化合物を投与した後に見られる45分間にわたって記録された平均疼痛反応時間である。全実験時間についてのモルヒネの用量反応曲線を,図14に示す(ED50=4.8mg/kg)。
既に,モルヒネの効果は,ホルマリン分析における,早期すなわち急性相に於いてよりも,後期すなわち持続相に於いて,より大きくなることが示されている。4〜5mg/kgの間のモルヒネのおおよそのED50値が,マウスにおける急性相について報告されているが,持続相についてはモルヒネの2〜3mg/kgが必要とされている(例えば[62])。全実験時間については,皮下投与のモルヒネで,4.8mg/kgというED50値が与えられ[63],また,ほとんど完全な鎮痛性が,6mg/kgで誘導されたことが注目された[64]。本研究で得られた結果は,同様の傾向を示した。
要約
要約すると,このホルマリン検定は信頼性が高く,実行するのが容易であることが見出され,最小数の実験対象から十分な情報をもたらした。検定の対照の結果は,他の研究者のものと遜色の無いものであった。この方法はISAP[65,66],及びグリフィス(Griffith)大学動物実験倫理委員会(GUECEA)の倫理ガイドラインに適合するものである。
セクションB バリングトニアからの本発明の化合物の単離
イントロダクション
バリングトニアからの粗抽出物及び分画を,マウスホルマリン検定を用いて,疼痛抑制における有効性に関して試験した。
サポニンの単離及びその後の特性評価には精巧な技術を用いることが要求される。サポニンの精製は,後述する多くの方法により達成されるが(例えば[67〜69]),一般的には下記を含む(図15)。すなわち,水性アルコール(メタノール又はエタノール)での抽出,これに先行する又はこれに続く脱脂工程,溶剤の除去及び残留物の水飽和n−ブタノールへの懸濁である。この段階に於いて,サポニンは,ジエチルエーテルで沈殿させることができるが,この工程は省略してもよい。続いて,残留物をクロマトグラフィーにかける。この最後の工程は,セファデックスLH20,シリカ,ジオール又は逆相(C8及びC18)クロマトグラフィーなどのいくつかの技術を単独で又は組み合わせて含み得る。向流クロマトグラフィー及びその変法(DCCC,RLCC,CPC)の技術は,サポニンの単離においても適用できることが見出されている。
クロマトグラフィーの技術を使用するサポニンの単離に関連する大きな問題は,UV検出用の適切な発色団の不足である。RI,質量検出の使用により,及び誘導体化とUV検出により,これらの問題を克服することができるが,これらの技術の各々は,さまざまなところで議論されているそれら固有の長所及び難点を有する[67]。
しかしながら,精製を導くために生物検定を用いることで,使用される単離方法が決定され得る。このセクションは,バリングトニア・アクタンギュラの樹皮の水抽出物からいくつかの純粋なサポニンの単離に結びつく方法を記載する。
実験一般的な方法及び材料
前記のように,マウスホルマリン検定を実行した。検定結果は,対照と比較した疼痛反応の抑制率(%)(セクションAを参照)として報告した。
特記しない限り,溶剤及び試薬はすべてAR等級であった。純水(ddHO)(パームチット(Permutit) オーストラリア),導電率<0.07:S/cm)をすべての分離において使用した。高純度の(オムニソルブ(Omnisolve)社製,EMサイエンス(EM Science))メタノール(MeOH)及びアセトニトリル(MeCN)をすべての分析的なHPLC分離のために使用し,AR等級のMeOH及びHPLC等級のMeCNを,セミ分取及び分取処理のために使用した。水を含め,すべての溶剤は,使用の前にろ過した(0.45μmのナイロン,アクチボン(Activon)社製)。
バリアン(Varian)社製の200MHz(ジェミニ(Gemini)200),400MHz(ユニティ(Unity)),500mHz(ユニティ・イノヴァ(Unity Inova))又は600MHz(ウルトラ・シムズ(Ultra Shims)を取り付けたユニティ・イノヴァ)システムを使用し,重水素化した溶剤(CDOD,CDN,d−DMSO)を使用して,NMRを行った。少量の試料しか利用できない場合は,DO又はDMSOに合わせたシゲミ(Shigemi)社製のNMRチューブ(3又は5mm)を,より濃縮された試料をNMRに提供するために使用した。化学シフトはすべて百万分率(ppm)で報告した。標準のバリアンのパルスシークエンスをすべての実験のために使用した。
低解像度エレクトロスプレー質量分析法(LR−ESMS)を,ウォーターズ(Waters)600HPLCシステムに接続されたフィソンズ(Fisons)社製のVGプラットフォームLCMS上で実行した(メタノール,流量0.9mL/min)。スペクトルは,コーン電圧(±50V,±100V,±150V及び±200V)の範囲で,陰イオン及び陽イオンの両方のモードで集め,マスリンクス(MassLynx)ソフトウェアを使用して分析した。高分解能ESMS(HR−ESMS)は,クイーンズランド,タウンズビル(Townsville)の,オーストラリア海洋科学研究所(Australian Institute of Marine Science)で実行された。この装置は,アナリティカ・オブ・ブランフォード(Analytica of Branford)(ブランフォード(Branford),コネチカット,米国)の外部エレクトロスプレー源を備えたブルカー(Bruker)社(ビレリカ(Billerica)マサチューセッツ,米国)製のバイオアペックス(BioApex)47eFTMSであった。この装置は,試料注入の前に,ポジティブ及びネガティブモードで較正され,分子量は5ppm以内で報告された。
植物材料
植物試料は,バリングトニア・アクタンギュラ(L.)ゲトルン亜種アクタンギュラ(Barringtonia acutangula(L.)Gaetrn spp. acutangula)であると確認され,証書はクイーンズランド植物標本館に提出された(#AQ595351)。この木は北オーストラリアにわたって見つかるが,このプロジェクトで使用された試料は,北西オーストラリアのキンバリー(Kimberley)地区から集められた。この木からの樹皮の最初のコレクションは1989年7月14日に作られ,また,その後のコレクションは1994年に作られた。同様の特性を保証するために,収集は,同じエリアで,及びその年の同時期に行われた(1994年7月18日)。花と葉の少量の試料も入手した。
B.アクタンギュラの花は小さく,更なる研究に十分な材料を供給するためには多数必要であった。この木の花は,洪水となり収穫が困難となる雨季に咲く。したがって,それ以上,収集は不可能であり,花に存在する活性については,研究が待たれる状態のままである。大量の樹皮が,初期の収集から入手でき,そこから活性の存在が実証された。したがって,この研究は,樹皮中の鎮痛活性を特徴づけることを目標とした。
樹皮は,与える損傷を最小にして,木の連続した成長を保証するような方法でそのエリアに住んでいる原住の人々によって木から剥がされた。樹皮試料は最高温度50℃で,空気乾燥又はオーブン乾燥した。乾燥試料は粗粉末に粉砕し,粉末化試料は,抽出に使用するまで室温で気密容器に貯蔵した。
少量の花及び葉の試料は,乾燥し,粉末化し,樹皮と同様の方法で貯蔵した。
植物材料の抽出
乾燥し,粉末化した樹皮を,約10倍容量(w/v)の脱塩水(dHO)に数時間浸漬した。生じた混合物を,複数層のモスリンで濾過し,遠心分離し(ダモン社IECディビジョン(Damon IEC Division)DPR6000,4500g,45分),上清を凍結乾燥した(ヴィルティス(Virtis)フリーズモバイル(Freezemobile)12)。乾燥した抽出物は,気密容器に4℃で貯蔵した。
花(0.25g)及び葉(1.35g)は,樹皮の水抽出と同様の方法の中でdHOで抽出した。
いくつかの方法を,樹皮HO抽出物を分画化するために使用したが,それらを以下に記載する。
方法1
検定若しくは更なる精製のために,水抽出物をddHO中に再溶解させた。かなりの量(〜30%)は溶解しないまま残ったが,遠心分離(ソルバール(Sorvall)RC5B Plus,12,000g,20分間)によって除去し,続いて濾過(0.45μmのナイロン,アクチボン)を行った。必要な場合は,該抽出物のHO不溶部分を懸濁液として検定に供した。
Oに加えて,いくつかの代替溶剤を使用し,また,これらの抽出物からの濾液(0.45μmのナイロン,アクチボン)を続いて検定に供した。代替溶剤としては,MeOH,CHCl,MeOH:CHCl(1:9),MeOH:トリフルオロ酢酸(TFA,0.5%),酢酸エチル(EtOAc),1%のアンモニア溶液(NHOH),ジメチルスルホキシド(DMSO)及びジメチルホルムアミド(DMF)などが挙げられた。HO不溶性部分のアセチル化,加水分解及び音波破砕について以下に記載する。抽出物は前述のように検定に供された。
方法2
方法1のように調製された,乾燥した水抽出物を,1%のアンモニア溶液(アジャックス)に溶解し,遠心分離(ソルバールRC5B Plus,12,000g,20分間)にかけて,全ての不溶性物質(〜22%)を除去した。上澄みを,TSKHW40Sカラム(下記参照)にかけ,1%のNHOHを用いて5mL/minで溶出した。最初は,水を移動相として使用したが,少量のアンモニアが,より鋭い,良好な分離のピークを生じることがわかった。抽出物がカラム上に沈殿することに起因するあらゆる問題を最小限にするために,水抽出物を移動相に溶解させた。得られたクロマトグラムから,最初にTSK−1,TSK−2,TSK−3,TSK−4及びTSK−5とラベルされた5つの分画を収集した。しかしながら,TSK−5からTSK−4を一定して分離するのに困難が生じたため,これらの分画の両方をTSK−4aとしてプールすることにした。抽出物は,既に記載したように検定に供された。
ゲル浸透カラムで活性な分画(TSK−4a)をMeOHに溶解し,ろ過し(0.45μmのナイロン,アクチボン),分取C18カラム(下記参照)にかけた。該カラムは,ddHO中のMeOHのステップ勾配(0,35,70及び100%のMeOH)により溶出し,得られたクロマトグラムにより分画を収集した。
方法3
このセクションの中で利用された方法は,全ての点で方法2に類似している。唯一の違いは分取C18クロマトグラフィーのために使用されたステップ勾配にある。ここでは,ステップ勾配は,ddHO中のMeOH(0〜100%のMeOH)の増分10%から成る勾配が使用された。
方法4
この方法では,ゲル浸透ステップの必要性を無視して,水抽出物をC18分取カラムに直接かけた。水抽出物を,dHOに溶解し,遠心分離(ソルバール社製RC5B Plus,12000g,20分間)にかけ,上澄みを,C18分取カラム(下記参照)にかけた。カラムは方法3のように溶出された。
活性分画の分離
粗製の活性分画から純粋な化合物を分離するために使用される方法を個別に開発した。分離を容易にするために使用されるカラムとしては,C18,C8,ジオール及びフェニル基結合シリカなどが挙げられた。適切な移動相としては,MeOH,MeCN,イソプロパノール(i−PrOH),ヘキサン,EtOAc,HO,0.01MのHAc及び1%のTFAなどが挙げられた。一般的に,使用される手法として,C8又はC18のカラム,及びMeOH又はMeCNの,HO又は1%のTFAによる勾配から始めた(初期の分離は,0.01MのHAcを使用した)。異なるカラム(例えば,フェニル基又はジオール)を使用することが必要になるまで方法の修正がなされ,最上限の分離及び分別を提供するために該処理を繰り返した。各分画のために採用された方法は,結果と検討のセクションの,適切な箇所で議論される。
クロマトグラフィー
分析及びセミ分取クロマトグラフィー
セミ分取及び分析クロマトグラフィーを,フォトダイオードアレイ検出器(PDA996),オートサンプラー(717plus)及びフラクションコレクターを備えたウォーターズ社600HPLCシステムを使用して実行した。クロマトグラフィーの情報は,ミレニアム(Millenium)社製の2010クロマトグラフィーマネージャーソフトウェア(バージョン2.10)を使用して,集められ,保存された。
分析的なクロマトグラフィーは,ダイナマックス(Dynamax)カラムを用い,2つのフォーマットのうちの一方において実行された。逆相(C18又はフェニル基)カラムは,4.6×250mm(8μmの不揃いシリカ,60Åの孔径,1mL/min),又は4.6×50mm(「ショート・ワンズ(Short Ones)」,3μmの球状シリカ,60Åの孔径,1mL/min)のいずれかであった。同様に,セミ分取クロマトグラフィーは,10×250mm(8μmの不揃いシリカ,60Åの孔径,4mL/min)又は10×50mm(「ショート・ワンズ」,3μmの不揃いシリカ,60Åの孔径,4mL/min)のいずれかである逆相(C18又はフェニル基)カラムを使用して実行された。分析及びセミ分取クロマトグラフィーのために使用された溶剤はすべて,ヘリウムを噴霧することにより脱気させた。
分取クロマトグラフィー
大規模分取クロマトグラフィー(ゲル浸透及びC18−シリカ)は,拡張フローキットを備えたギルソン(Gilson)(モデル303ポンプ,804圧力モジュール)又はウォーターズ600HPLCシステムのいずれかを使用して実行された。両方のシステムとも,UV検知器(254nm,吸光度モード)(エルマ・オプチカル・ワークス(ERMA Optical Works)ERC7215),フラクションコレクター(イスコ・フォクシー(ISCO Foxy)又はウォーターズ),及びチャートレコーダー(オムニスクライブ(Omniscribe)シリーズD5000)又はインテグレーター(C−R6A クロマトパック(Chromatopac),シマズ(Shimadzu))のいずれかに接続した。
ゲル浸透クロマトグラフィーは,49×350mmのガラスカラム(ビューチ(Buchi)社製)(流量5mL/min,4分分画)内において,TSKHW40S充填剤(メルク(Merck))を使用して実行した。
C18シリカ分取クロマトグラフィーは,26×230mmのガラスカラム(ビューチ)(流量 12.5mL/min)を使用して実行し,分画は得られたクロマトグラムによって集めた。研究の初期の段階の間は,分離は研究所で調製したC18−シリカ充填剤を使用して行い,一方,後期の分離は,C18−ダビシル(Davisil)(オールテック(Alltech)社製)充填材料が使用された。C18シリカの調製については,以下に記載する。
初期の分取クロマトグラフィーに用いるC18シリカの調製
全ての処理は,乾燥した窒素雰囲気の下で行なわれた。トルエン(AR等級,アジャックス社製)はナトリウムワイヤーで乾燥され,蒸留され,ナトリウムワイヤー及び3Åシーブ(アジャックス社製)上で貯蔵された。MeOH及びジクロロメタン(DCM)は,蒸留され,3Åシーブ上に貯蔵された。乾燥トルエン(400mL)及び乾燥したシリカゲル(200g,40〜63μm,メルク)を使用してスラリーを作り,これに,オクタデシルトリクロロシラン(40mL,フルカ(Fluka))を加え,その混合物を24時間撹拌した。このスラリーを,ブフナー漏斗(Bucher funnel)で続いて濾過し,生成物を各々400mLの乾燥トルエン,乾燥MeOH及び乾燥DCMで連続して洗浄した。最後に,この末端非キャップC18シリカ生成物を,37℃で24時間乾燥した。末端キャップは,末端非キャップC18シリカを400mLの乾燥トルエンに懸濁し,40mLのトリメチルクロロシラン(フルカ)を加え,その混合物を24時間放置することにより行った。最終生成物は,更に24時間,37℃で乾燥する前に,400mLの乾燥トルエン及び400mLの乾燥DCMで連続的に洗浄した。
水抽出物の不溶性成分のアセチル化
水抽出物の水不溶性部分の試料1gを,5mLの乾燥ピリジン(ナトリウムワイヤー上で還流,4Åシーブ上に貯蔵)に添加した。その混合物を0℃に冷却し,1mLの無水酢酸を加え,該混合物は室温(RT)で一晩撹拌した。氷(1〜2g)を,反応を止めるために加えた。その混合物を,酢酸エチル(25mLのddHO及び25mLの酢酸エチル)で分液した。有機相は,各々10mLの1M HCl,ddHO,飽和NaHCO,そして再びddHOで連続的に洗浄した。最後に,有機相をNaSO又はMgSOで乾燥し,溶剤は蒸発乾燥させた。
水抽出物の不溶性成分の塩基加水分解
この処理の概略図を図16に示す。活性な水不溶性の水抽出物の部分の試料(0.5g)を20mLの0.5MのNaOHに添加し,1時間撹拌し,続いて遠心分離にかけた(12000g,15分間)。濾液が透明になるまで,ペレット(360mg)をddHOで繰り返し洗浄した。このペレットの一部(330mg)をDCM20mLで抽出し,前記のように遠心分離にかけ,ペレット(320mg)を回収した。そのペレット(100mg)を2MNaOH10mLに添加し,2時間還流し,一晩冷却した。その混合物を,DCM(20mL)及びn−ブタノール(20mL)で連続的に分液し,溶剤を真空下で蒸発させた。水相のpHを1M HClで7に調節した。再び,水相を,DCM及びn−ブタノールで連続的に分液し,溶剤は真空下で除去した。最後に,水相を1MのHClで酸性(pH1)にし,DCM及びn−ブタノールで分液し,また,溶剤は前記のように除去した。水相中に残る溶剤も,真空下で除去した。すべてのステップから得た試料を,活性の検定に供した。
水抽出物の不溶性成分の酸加水分解
酸加水分解のための操作は,塩基加水分解のために概説された操作に準拠する。活性な,水不溶性の水抽出物の一部を,塩基加水分解処理と同様に処理し,ペレットの一部(100mg)を,図16に概説したような酸加水分解にかけた。
水抽出物の不溶性成分の超音波処理
活性な不溶性材料の試料を,水中で音波粉砕した(20kHz,300Wで10分間)。可溶性材料及び不溶性材料の両方を分析した。
結果と検討
水抽出物の鎮痛効果を試験し,続いて活性の原因である化合物を精製し,特徴づけることを目的とする。
花と葉
花及び葉の水抽出物は,各々花抽出物が12.8mg及び葉抽出物が139.6mgであり,それらは前記したホルマリン検定に使用した。検定の結果を図17に示す。
花の活性は,5mg/kgにおいて非常に高かったが(〜70%の抑制),葉は同じ投与量で活性が低かった(〜18%の抑制)。
方法1
粉末化した樹皮をdHOで抽出し,粗水抽出物(9.8%)を得た。その粗水抽出物を,10mg/mL/kgの濃度でddHOに溶解し,前記のように鎮痛性について検定した。これらの結果は図18で見ることができる。
図18より,対照(セクションA参照)と比較すると,この抽出物が疼痛反応をかなり減少(78%)させたことが明らかである。ホルマリン検定によって測定したところでは,疼痛反応がかなり減少し,急性段階に限定されることも認められ得る。しかしながら,この抽出物が粒状物質を含んでおり,該抽出物の総重量の約40%であったことが注目された。この懸濁液はろ過され,可溶性及び不溶性材料を10mg/mL/kgの投与量で別々に検定した。鎮痛性が,可溶性物質(45%)より不溶性物質(66%)においてより高いことがわかった。しかしながら,抽出物の水溶性の部分でより顕著なものであったが,両方の場合において,検定の持続相において疼痛反応が観察された(図18)。
水抽出物の,活性な水不溶性部分のアセチル化により,活性が66%から28%の疼痛抑制に減少した。従って,これは活性成分の分離において有用な技術であるとは証明されなかった。
これらの結果によると,活性のかなりの量が,水に不溶性であるようである。種々の溶媒を用いて,不溶性成分樹皮から活性を抽出する試みがなされた(表1)。全ての抽出物は,既に記載したように,10mg/mL/kgで検定された。
メルクインデックス(Merck Index)には,DMSOが抗炎症作用を有しており,鎮痛剤として提示されており,化合物の吸収を増強するために浸透性担体として使用されていることが記載されている。DMSO抽出物は凍結乾燥されたが,常にいくらかの残留DMSOが残った。したがって,残留DMSOが検定に干渉したかどうかを判断することが重要であった。高い投与量が用いられたが(5%),DMSOは疼痛反応を57%減少させることがわかった。したがって,あらゆる干渉を回避するために,DMSOはそれ以降のいかなる抽出についても取り上げられなかった。したがって,表1からわかるように,水抽出物は,マウスホルマリン分析において,少なくとも他の溶剤からの抽出物と同じくらい活性であった。他の溶剤による追加の抽出を行うことはできなかったので,水抽出物での鎮痛性の活性を特徴づけることが決定された。
この時,水溶性抽出物及び水不溶性抽出物の両方の用量反応曲線を作成し,結果(図20)を比較することが決定された。これらの結果から,疼痛反応を50%減少させるのに必要な抽出物の量(ED50)が,約36mg/kg(可溶性)及び5mg/kg(不溶性)であることがわかる。これらの結果は,抽出の容易さと相俟って,更に精製する努力を水溶性材料に集中させる決定を支持した。
方法2
この方法は,水溶性抽出物の分取ゲル浸透分離を含むものであった。最初に,5つの分画が集められ,出発物質であるHO抽出物に対して,下記の平均収率が得られた。TSK−1:0.4%,TSK−2:15%,TSK−3:23%,TSK−4:0.7%,TSK−5:20%及び不溶性部分(22%)。分画TSK1〜5は,100mg/kgの粗水溶性等価物の投与量で(即ち,該ED50の約2.5倍)で検定され,結果は表2に見ることができる。
疼痛反応の最も大きな明白な減少は分画2(74%)で認められたが,これは物質を15.8mg/kg必要とした。対照的に,分画4では,疼痛反応を31%抑制するのに0.7mg/kgの物質が必要とされ,分画4が分画2よりおよそ10倍強力だったことを示唆した。しかしながら,TSK−4として溶出した小さなピークは,しばしばTSK−5のはるかにより強いピークによって不明瞭になった。したがって,TSK−5からの分画TSK−4の分離は,一定しないことがわかり,後の分離では,それらが集められ,TSK−4aと名づけられた。出発物質としてのHO抽出物に対して,下記の平均収率が得られた。TSK−1:1.7%,TSK−2:23%,TSK−3:20%,TSK−4a:16%及び不溶性な部分(17%)(図21)。
この時点で,用量反応曲線が,分画TSK−4aについて作成された(図22)。このグラフから,この抽出物のED50が約1.8mg/kgであることが示された。これは,全精製処理を経ての鎮痛性が,樹皮の粗水溶性抽出物の30倍程度であることを示す。
活性分画(TSK−4a)の更なる分離は,HO中,0,35,70及び100%のMeOHのステップ勾配を用いた分取C18カラムによる溶出によって達成された。クロマトグラムの結果を図23に示す。
この分画はクロマトグラムによって確認されて集められ,真空下で乾燥され,検定された。出発物質TSK−4aに対して下記の収率が得られた。0%−MeOH:54%,35%−MeOH:17%,70%−MeOH:2.4%,100%−MeOH:0.7%及び不溶性部分2.2%。分析に使用された投与量は,3mg/kgのTSK−4aと等価な量(即ち,ED50の約2倍)であった。検定の結果は表3に示される。
これらの結果はカラムから溶出されたすべての分画の中で活性を示すものであったが,0%で溶出された活性は他の分画と比較して小さかった。(70%のメタノールで溶出した分画がマウスを鎮静させたが,他の分画はそうではなかったことは,興味深く,注目すべきである)。更に各分画を分離する試みにより,予期されたことであるが,各分画がまだ多数の化合物を含むことを示された。
方法3
分画TSK−4aで実証された活性を分離するために分取C18シリカカラムを使用して,勾配のステップ数を4から11に増加した(10%の増分,HO中の0〜100%のMeOH)。クロマトグラムの結果は,図24に示され,TSK−4a出発物質を基にした収率は,0%−MeOH(F0):61.5%,10%−MeOH(F10):3.6%,20%−MeOH(F20):3.2%,30%−MeOH(F30):2.9%,40%−MeOH(F40):2.6%,50%−MeOH(F50):1.6%,60%−MeOH(F60):0.9%,70%−MeOH(F70):2.4%,80%−MeOH(F80):0.2%,90%−MeOH(F90):0.1%,100%−MeOH(F100):0.2%及び不溶性部分3.1%であった。
再度,各分画を検定した。結果は表4に見ることができる。これらの分析の結果は,抽出物の%抑制率/mgを基にした,最も強力な分画は,70,80及び90%のMeOHで溶出されたものであることが示された。
しかしながら,これらの分画の各々が,まだ多数の化合物を含み,この方法によって得られた収率では,更なる分析に見合う純粋な化合物を供給するのには不十分であることがすぐに明らかになった。単離ステップの間の累積的なロスが低い収率に帰着したことが疑われた。したがって,C18上の直接クロマトグラフィーによる大規模処理を行って,更なる分画化のために大量目的物を得た。
方法4
ほとんどの活性が,移動相として70,80及び90%のMeOHを使用して,C18カラムから溶出されたことが証明された。したがって,ゲル浸透ステップは省略され,また,水溶性の抽出物は遠心単離とろ過によって全ての不溶性部分を除去した後に,C18分取カラムに直接かけた。クロマトグラムの結果を,図25に示す。
この方法を使用して実行された最初の分離は,研究所で製剤されたC18シリカを使用し,一方,後の分離は,市販品として入手可能なC18充填材料(オールテック・ダビシル)を使用して実行された。両方の充填材料を使用して得られた収率の比較を,表5に示す。
予め決定されたように,使用する動物の数を最小限にするために,鎮痛活性についてそれ以上の試験は行わなかった。したがって,この工程から溶出された各々の分画の活性は確認されなかった。しかしながら,HO中の70,80及び90%のMeOHでC18カラムから溶出された分画に活性がある場合は,より低い濃度であるとしても,それより前の分離段階が省略されたとしても,活性成分が同じ分画に見出されると考えてよいことになることに留意されたい。研究において,分取C18カラムからHO中のMeOHの70,80及び90%で溶出したこれらの分画を調べ続けたのは,この根拠によるものであった。全ての分画の予備的H−NMRにより,集められた分画中の主な化合物がサポニン類とタンニン類であることが示唆された。タンニン類は,低濃度のMeOHで溶出した分画で検出されたが,サポニン類はより高いMeOH濃度でC18カラムから溶出される傾向があった。最初に,この研究を,70,80及び90%でMeOHで溶出した分画に限定することが決定されていた。しかしながら,多くの化合物がこれらの各分画に存在することが明白になった。
集めた分画の番号付けの概要
今回の研究で集められた分画及び化合物を確実に同定するために,次の番号付け方式が採用された。最初の3つの数字は,C18分取カラムから元の分画を溶出したメタノールのパーセンテージを示す。残りの数字は,続いての分画化において集められたピークを示す。これは,図26に,分画F70.2.5.2について,図式的に示されている。
70%のメタノールで溶出された分画(F70)
70%のMeOHで溶出した分画(F70)を,MeOH:1%のトリフルオロ酢酸(TFA)勾配を使用して,C18セミ分取カラム(25cm)で更に分離した。TFAはクロマトグラム中のピークを鋭くするために移動相に加えた。このプロジェクトにおける初期段階の分離では,単一波長の検出器及びチャート記録計を使用し,分離能を改善するために酢酸(0.01M)を使用した。しかしながら,残余の酢酸を除去することが残余のTFAを除去することよりも困難だったことがわかった後は,TFAを後の分離のために選択した。この時点で,フォトダイオードアレイ検出器(PDA)を使用することの利点が明らかになった。従来のUV検出器は,通常,単一の波長で分離をモニターすることができる。しかしながら,PDAは,いくつかの波長で同時に分離をモニターすることができた。例として,図27に示されるクロマトグラムを参照する。一般的に,サポニン類はUV発色団を有さず,210nmに近接する波長で,より検出されやすい。しかしながら,233nmで高い吸光度をもたらし得ることがわかった。実際,抽出物のある分離については,抽出物中に存在するサポニン類がUV活性な発色団を含んでいたことを示しており,254nmで適切に観察することができた。図26は,分離のために使用された条件で,示された3つの波長を使用して,抽出物が,5つの別個の分画へ抽出物を分離され得ることを示す。勾配条件を変えてもピークを更に分離する結果は得られず,したがって,更なる精製ステップに適用するものとして,これらの5つのピークを集めた。表6に,得られた収率,及びこの時点では純粋な化合物が単離されなかったことを示す予備的H−NMRの結果を示す。
分画F70.2
分画F60からのかなりのキャリーオーバが存在することをH−NMRが示唆したので,分画F70.1は更に調査されなかった。移動相中のMeOHのパーセンテージを変化させることによりF70.2(25cmのC18)を分離することを試みたが,分画F70.2を更に分離する結果とはならなかった。移動相を,アセトニトリル(MeCN):1%のTFA混合物に変えると,よりうまくいくことがわかり,1%のTFA中の40%のMeCNでの無勾配操作では,この分画を8つのピークに分離する結果となった(図28及び表7)。
予備的H−NMRにより,分画F70.2.3,F70.2.4,F70.2.6及びF70.2.7がほぼ単一の化合物であり,同一の条件を使用してクロマトグラフィーを繰り返すことにより,構造の解明を始めるために十分な材料となる純粋な化合物が得られた。しかしながら,そのままでは,d−DMSO中のNMR試料は,少量の不純物を含んでいることが分かった。これは,おそらく乾燥で完全には除去されなかった残余のTFAにより,化合物に幾ばくかの少量の加水分解が生じていることを示唆した。存在した少量の不純物は,構造の解明に障害とならず,また,得られた純粋な化合物の量が少なかったので,不純物を除去する試みはそれ以上行わなかった。220,233及び254nmで記録された分画F70.2.6のクロマトグラフ純度を表すクロマトグラムを,図29に示す。
前記のように,すべての分画の純度は,NMR溶剤としてd−ピリジンを用いたH−NMRにより決定された。しかしながら,溶媒を凍結乾燥によって除去すると,分画内の1つ以上の化合物がNMR溶媒と反応して明るいピンクの錯体を生じていたことがわかった。これは,分画F70.2.2で特に顕著であった。この錯体のH−NMRは,分画中の化合物が変化していなかったことを示唆する傾向を示したが,かなりの量のピリジンが残留した。この分画の再クロマトグラフィーではこのピンクの発色は除去されず,また,より長時間の凍結乾燥によって,もしくは少量のベンゼン又はトルエンを用いてピリジンを共沸させることによって,残留したピリジンを除去しようと試みたが,成功しなかった。したがって,構造の解明に十分な化合物を得るために,繰り返し抽出を行い,後の全てのNMRスペクトルを溶剤としてd−DMSOを用いることにより得た。
分画F70.2.1は,大部分は分画F70.1からキャリーオーバされた化合物から成ることをH−NMRが示唆したので,それ以上分画しなかった。分画F70.2.2を,移動相としてHO又は1%のTFA中のMeOH又はMeCNを用い,C18又はC8のカラムを使用して,更に分画することはできなかった。しかしながら,予備的H−NMRでは,芳香族のシグナルの存在が示された。フェニル基を結合したシリカを使用した分離は,p相互作用に基づく。したがって,フェニルカラム(5cm)を分画F70.2.2を図30及び表8の中で示されるように,8つの分画に分離するために使用した。F70.2.2から得た分画は混合物であったが,F70.2.2.3,F70.2.2.6とF70.2.2.7のピークはH−NMRによるとほぼ単一の化合物であった。しかしながら,構造を解明するべく十分に純粋な化合物を得るために分画を再度クロマトグラフィーで分離するには,不十分な材料しか得られなかった。
残りのピークのうち,F70.2.5のみが,更に分離を試みるために十分な量で得られた。C18とC8のカラムを使用してF70.2.5を分離する試みは失敗に終わったが,フェニル基を結合したシリカ(5cm)では,1%のTFA中のMeOH勾配を用いることにより,F70.2.5を8つのピークに分別した(図31及び表9)。
この分画についての全収率は,前の分離から期待されていたものより低かった。しかしながら,F70.2.5は,完全にはMeOHに溶融せず,したがって,材料の一部はろ過時に失われてしまったことに留意されたい。F70.2.5から得られた8つのピークのうち,F70.2.5.2のみが構造を割り出すために十分な純度及び量で分離された。ピークF70.2.5.3も十分な量で分離されたが,このピークはH−NMRによると2つの化合物を含んでおり,更に分別することはできなかった。H−NMRによると,ピークF70.2.5.5とF70.2.5.6はほぼ単一の化合物であったが,それらは,更に分画を試みたところ,いくつかの化合物を含んでいることがわかった。従って構造の解明には不十分な材料しか入手できなかった。
分画70.3
F70.2の場合と同様に,分画F70.3は,MeOH/1%のTFA混合液を用いても十分に分離することはできなかった。再度,1%のTFA中MeCN勾配を用いることとし,セミ分取C18シリカ(25cm)を使用して,F70.3を7つの分画に分離した(図32及び表10)。分離は今度も233nmで首尾好くモニターすることができた。
この段階では,HPLCやH−NMRによって化合物を100%純粋なものとすることはできなかったが,同じ条件でクロマトグラフィーを繰り返すことにより,最終的に5つのピークを得た(F70.3.2,F70.3.5,F70.3.6,及びF70.3.7)。図4.18は,分画F70.3.5及びF70.3.7のクロマトグラムであり,試料を乾燥させた直後のH−NMRによって明らかとされる,純粋な化合物を含むピークが示されている。F70.3.7として単離されたピークはH−NMRやHPLCによって純粋物であると思われたが,その化合物は分解され,F70.3.6及びF70.3.5のものと同じ滞留時間で溶出されるピークを生じた(図33)。
C18カラム(25cm)にて移動相としてMeCN/1%のTFAを用いて,F70.3.4は,図34ならびに表11に示した8つのピークに分離された。8つ全てのピークを回収したが,F70.3.4.2とF70.3.4.5の化合物だけが,構造の割り出しに見合うだけの十分な量と純度で得ることができた。
分画F70.3.3のH−NMRによって,該分画が3つの主要な化合物からなることが明らかとなった。このピークは,これらの化合物を分離するために更なるクロマトグラフィーに供したが,更に分別することはできなかった。
分画F70.4
F70.4についての最初の分離は,C18セミ分取カラム(25cm)にて70%のMeOH/1%のTFA勾配を用いて行った(図35及び表12)。視認できるように,分画F70.4.2は,単一の大きなピークから成っていたが,その内実はHPLCやH−NMRによれば,いくつかの化合物から成ることが判明した。C18もしくはC8カラムにてMeOHもしくはMeCN勾配を用いてもF70.4.2は,更に分離することはできなかったが,H−NMRによって,F70.4.2中に芳香族プロトンの存在が判明したので,フェニルカラム(5cm)を用いることとした。1%のTFA中の35%のMeCNを非勾配移動相として用いて,F70.4.2を4つの主要なピークに分離した(図36及び表12A)。
同じ条件でクロマトグラフィーを繰り返すことにより,F70.4.2.2,F70.4.2.3,及びF70.4.2.4が,構造の割り出しに十分な量及び純度で得られた。図35から,及びH−NMRからも明らかなように,F70.4.2.3は2つ以上の化合物を含有していた。C18もしくはC8逆相カラムにてMeOHもしくはMeCN勾配を用いてもこの分画の分離程度は改善されなかったが,フェニルカラム(5cm)を用いると更に分離することができた。MeOHもしくはMeCN勾配のどちらを移動相として用いても分離が達成されたが,1%のTFA勾配中のMeCNを用いて達成された分離において,ピークの好い分別が為された(図37及び表13)。
図37のクロマトグラムから明らかなように,F70.4.3.1は,予期されたとおり,混合化合物であった。少なくとも5つのピークがクロマトグラム中に認められたが,この分画の更なる分離は試みられなかった。分画F70.4.3.2,F70.4.3.4,及びF70.4.3.5を同じ条件で繰り返しクロマトグラフィーにかけることにより,これら分画を,構造の解明に十分な量で得ることができた。分画F70.4.3.3は,主として2つの化合物の混合物であったが,これらをうまく分離することはできなかった。
分画F80
F80の予備分離は,C18逆相カラム(25cm)を用いて行い,そのクロマトグラムは図38に示され,また収率は,表14に示されている。まず,6つのピークが集められたが,F80.2とF80.3は,時間が経つと,クロマトグラムにおいて,ピークが消失している(図38)ことから裏付けられるように,不安定なものであることが判った。このため,これらの化合物については,構造に関する情報を得ることができなかった。
F80.4として溶出してきたピークは,クロマトグラムが証明するように明らかに2つ以上の化合物を含んでおり,それはH−NMRによって確認された。この分画については,25cmのC18カラムを用いて,MeOHやMeCNを使用しても,分離状態が更に改善されることは無かった。しかしながら,短尺のC18カラム(5cm)に変更し,MeCN/1%のTFA勾配を用いると,この分画を6つのピークに分離することができた(図39及び表15)。F80.4.5で溶出したピークを更に同じ条件でのクロマトグラフィーに供したところ,単一の純粋な化合物が得られた(F80.4.5.2)。
F80.5について,同じ条件(25cmのC18)でのクロマトグラフィーを繰り返したところ,単一の化合物を精製することができた。
F80.6は,クロマトグラフィーからは単一化合物のように思われたが,H−NMRからは,この分画がいくつかの化合物の混合物であることが示唆された。F80.6のH−NMR分析において,芳香族シグナルが存在していたので,フェニル基を結合させたシリカカラム(5cm)が有用であることが示唆された。1%のTFA中MeOH及びMeCNの両方を移動相として用いた。また,最も良い分離が,無勾配(1%のTFA中40%のMeCN)を用いて達成されることが判った。これによって,F80.6を8つの分画に分離することができた(図40及び表16)。これら8つのピークから,5つの純粋な化合物(F80.6.2,F80.6.3,F80.6.4,F80.6.6,及びF80.6.7)を,構造の割り出しを試みるのに十分な量で得ることができた。
要約
このプロジェクトでは,21の大きな及び微小なピークが,純粋に,もしくは化合物の構造解析ができるほど十分な純度で単離された。表17は,単利された化合物の番号と重量を示す。構造解析を始める前に,それぞれの化合物は,その純度の安定性を確認するために,それらが単離されたのと同じ条件の下でHPLCを行うことによって検査された。
前述の検討から視認できるように,表17に示した化合物以外にも,本プロジェクトの過程で,多くの分画が単離された。これらの分画の多くは,H−NMRによって,あるいはクロマトグラムの状況(例えば多くの分別されないピーク)によって明らかなように,多くの化合物を含んでいた。これらのピークのいくつかは,H−NMRによって判別されたように,少数の化合物だけ,あるものは1つか2つだけを含むものであった。しかしながら,これらの分画の精製を続けるには,入手できた植物材料は不十分であった。表18は,より多くの植物材料が将来的な研究のために入手できた際,それらの分画が更なる研究をする価値があるかどうかについての情報を提供するものである。
セクションC−化合物の構造の割り出し
序文
サポニンとして構造を割り出すには,分子を構成する各部とそれらが存在する配列を同定する必要がある。これらの考察事項は以下のように表現することができる。
−純粋なアグリコン構造
−糖残基の数
−単糖鎖における糖の性質と配列
−各糖単位のアノマー配置
−グリコシド結合間の配置と高次構造
−アグリコンへの糖鎖の付加
−分子におけるあらゆる酸の性質と位置[1,2,6]
しかしながら,NMRを単独で用いてサポニン類の完全な構造を求めることは可能であったが,配置の割り当ては,可能な場合には,別の方法で行われるべきであることに留意すべきである。
構造解析は,既知のUV,IR,MS及びNMR分析法を用いて実施された。
分画F70.3.6−化学的解析
この研究において最初に単離された化合物のなかの1つは,F70.3.6であり,これについては比較的大量に得ることができた(152.6mg)。以下は,F70.3.6の構造を割り出すために使われた技術及び方法の要点である。
材料及び方法
F70.3.6の単離及び構造解析に用いられた材料及び方法は,セクションBにおいて詳述されている。
加水分解を,10mgの試料を1M HCl(アジャックス製)で還流することにより実行した。その溶液を冷却し,容量5mLのジクロロメタン(DCM)で3回抽出した。水層をAgCOで中和し,ろ過した。いくつかの移動相を糖類の分離を達成するために試したところ,クロロホルム(CHCl):MeOH:酢酸(AcOH):HO(7:3:1:0.5)混合液を用いて,シリカTLCプレート上で行うのが良好であった(図41)。使用した標準糖溶液は,β−D−グルクロン酸,β−D−フコース,β−D−グルコース,∀−L−アラビノース,β−D−ガラクトース,∀−L−ラムノース,β−D−ガラクツロン酸,及びβ−D−キシロースであった。
TLCプレートは,フェノール硫酸溶液(3gのフェノールと5mLの97%のHSOを95mLエタノールに溶解したもの)で発色させた。プレートをその溶液中に浸漬し,スポットが視認できるようになるまで(10〜15分)110℃で加熱した。
機器
NMRやESMSで用いられた方法及び機器については,セクションBにおいて詳述されている。F70.3.6の化合物は,陽陰両方のイオンモードでの高速原子衝撃(FAB)MSにも供した(クラトス(Kratos)社製コンセプト(Concept)ISQ高分解/四重極タンデム質量分析装置,タスマニア大学中央科学研究所(Central Science Laboratory University of Tasmania))。マトリックスとして,メタ−ニトロベンジルアルコール(MNBA)を用いた。
70.2.5由来の下位分画を分析にかけ,特にH,13C,及びH,13C−gHSQC(gHSQC)スペクトルを用いて,上記分画70.3.60で用いたのと同様の方法で,構造を割り出した。得られた構造は,3つのカテゴリー,すなわち,アグリコン類,モノデスモシド類,ビデスモシド類に収まった。それらの構造の記載は,アグリコンから始めるものとする。モノ−及びビ−デスモシド類における糖残基がF70.3.6と同等の構造及び相対立体化学配置を有するものであった場合,絶対立体化学配置も同じであるものとした。
UVスペクトル
UVスペクトル(図42)やFTIRスペクトル(図43)からは,構造の情報を判別することは,ほとんどできなかった。UVスペクトルでは,205.9nm(Abs.=1.78,ε=11226)と229.8nm(Abs.=2.28,ε=14430)に強い吸光が2つ,及び274.6nm(Abs.=0.17,ε=1076)と280.0nm(Abs.=0.14,ε=886)に弱い吸光が2つ認められた(図41)。これらの吸光は,芳香族系に認められるKバンド(B→B遷移)及びBバンドに合致するものである。
FTIRスペクトル
化合物そのままを薄膜としてFTIRにかけた結果を図43に示す。3400cm−1を中心とする広いバンドは,O−H伸展を示し,2820から3400cm−1の間のピーク群は,C−H伸展を示唆するものである。エステルカルボニル伸展が,1723及び1709cm−1の強いピークにより示され,また,C−O伸展が,1275と1039cm−1の間に認められた。
NMR法
当初は,文献に記載されているNMR溶媒,主としてメタノール(MeOH−d)及びピリジン−dを使用することが決定された。しかし,すぐに,両溶媒が,この研究で単離したサポニン類と問題を生じることが明らかとなった。MeOH−dで直面した2つの問題は,溶解性と,交換性プロトンの消失であった。単離されたサポニン類の内,いくつかはMeOH−dに溶解せず,いくつかは溶解してもやがてNMRチューブ中で沈殿を生じてしまった。H−NMRにおいて,多数のオーバーラップシグナルが存在したため,多くのシグナルについて,特に糖質分子によるシグナルについて,その帰属を割り出すことができなかった。
交換性プロトンによるシグナルは,全体構造の情報を得るのに貢献し得るものでもあり、又は、複雑化するものでもあり得る。しかしながら,今回は,既に複雑なスペクトルに対して更に情報を付与するものとなったが,交換性プロトンが最終的な構造の割り出しに寄与するものであると考えた。そのため,文献において最適な溶媒であると思われたピリジン−dで研究を行った。しかしながら,溶媒のシグナルは,スペクトルにおいて芳香族シグナルとオーバーラップする傾向を示した。溶媒の除去についても,解決が難しいことが判った。溶媒を真空凍結乾燥によって除去したが,数日経ってもかなりの量が残留した。この溶媒はまた,化合物のいくつかと反応してしまうようであり,明るいピンク色の錯体を生成してしまった。H−NMRからは,化合物自体が変化を生じたかどうかは不明であったが,かなりの量のピリジンが残留していることが視認された。少量のベンゼンもしくはトルエンを加えてピリジンを共沸させてみたが,回転蒸発によっても凍結乾燥によっても,この問題を解決できなかった。
最終的に,比較の目的について有用な文献情報はほとんど無かったが,ジメチルスルフォキシド(DMSO−d)をNMR溶媒として使用することが決定された。化合物F70.3.6のDMSO−dH−NMRのスペクトルは,図44に見ることができる。該スペクトルは,おおまかに3つの領域に分割することができる。第1の最も遮蔽された領域(*0.00〜*2.20)は,主として,メチルのシグナルに関係している。6つのメチルの一重項がこの領域において,*0.71(3H),*0.79(3H),*0.84(3H),*0.94(3H),*0.97(6H)及び*1.33(3H)の化学シフトで明らかである。
第2の領域(*2.20〜*6.00)は,酸素に結びついている炭素に極めて接近しているプロトンを含んでおり,4つのアノマープロトンに特徴的な二重項が*7.43,*7.52,*7.59,*7.66,*7.89及び*7.94で顕著であった。最後の,第3の最も非遮蔽的領域(*7.40〜*8.00)は,*7.43,*7.52,*7.59,*7.66,*7.89及び*7.94で,6つの芳香族プロトンを示している。
13Cスペクトル(図45)は,Hスペクトルよりも込み入っておらず,いろいろなタイプの炭素を容易に同定することができた。これらには,5つのカルボニル炭素(*164.2,*164.3,*168.5,*169.6,及び*171.9),2つのオレフィン炭素(*121.6,及び*141.7),8つの芳香族炭素(*127.8,*127.9,*128.4,*128.5,*129.1,*129.5,*132.5,及び*132.8)及び,4つのアノマー炭素(*101.8,*102.4,*102.8,及び*v103.4)が含まれていた。
F70.3.6の化合物のそれぞれの領域は,H,H−dqfCOSY(dqfCOSY)及び13C−gHMBC(gHMBC)スペクトル解析を用いて分析した。
化学構造の割り出しは,立体化学配置も含め,NMRに基づいており,他の得られたスペクトルは,既知の技術を用いて為されたものである。F70.3.6の分画は,以下に示す図46の構造に帰属するものとされた。
質量分析
F70.3.6の構造は,1D及び2D NMR技術により決定されたが,該構造を支持する証明が必要であった。UVやFTIRスペクトルは,分子中にある官能基を呈示することで構造の帰属をいくらか支持するものとはなったが,質量分析(MS)により,構造の帰属をよりよく確認することができた。これは,高分解能MSで決定した分子の質量をNMRで割り出された構造と比較することにより行うことができた。更に,MSにおいて生じた断片の質量も,NMRに基づく構造を指示するものであった。
イオン化源としてエレクトロスプレー(ES)を用いて,陽陰両方のイオンモードにおける情報を得た。エレクトロスプレーは,穏和なイオン化技術であり,ESを用いると,通常の実行条件下で起こる分子の断片化を最小限に抑えることができる。正確な分子量の定量も,高分解能ES−MSを用いて可能である。分子のイオンは,陽イオンモードにおいては陰イオンモードにおけるほど著明ではなく,断片化が陽イオンモードでより多く認められることが判った。ESにおいては化合物が,特に陽イオンでナトリウムと,陰イオンで塩素と付加化合物を生成することは,稀である。このことは,MSにおけるピークを断片に割り当てる際には,考慮する必要がある。
文献では,サポニン類については陰イオンモードでのMSについて最も報告されており,従って,まずこのモードを試してみた。陰イオン高分解能(HR)ES−MSでは,全てのピークを,1つの13Cを含む化合物の,モノアイソトピック質量と質量の対で示した(図47)。親イオンは,2つのピークとして,m/z値1441.6472及び1442.6529のところで出現した。この質量は,分子式C7310229(計算値1442.6507)と合致するものであり,NMR法で割り出された構造を支持するものであった。
他分画の構造の解明
他の分画を,上記F70.3.6と同様の方法で分析し,以下の化合物の構造が解明された。
アグリコン類
化合物F70.2.5.2:−この化合物は,7.2mgの非結晶質の白い粉末として単離された。
F70.2.5.2に関連する化合物,2α,3β,19α−トリヒドロキシ−オレアン−12−エン−23,28−二酸28−O−β−D−グルコピラノシドが,以前,バリングトニア・アクタンギュラより単離されていた[1]。その化合物は,C28にある酸がグルコピラノシド分子を有しているという点でF70.2.5.2と異なる。従って,本化合物は,2α,3β,19α−トリヒドロキシ−オレアン−12−エン−23,28−二酸である(図48)。
第2のアグリコン(F70.2.5.3)は,このプロジェクトにおいて,1.4mgの白い物質として単離された。化合物の質量は,m/z485.2912([M−1])であり,これは,分子式C3046(計算m/z値486.3345)と合致するものであった。このことは,F70.2.5.2から2つの水酸基が無くなっているものであることを示唆するものであったが,さらなる構造の情報を提供するには,不十分な材料しか得られなかった。
モノデスモシド類
以下のセクションに記載されるモノデスモシド化合物は,当該アグリコンのC21及びC22の官能性に基づいて分類される。
21に安息香酸とC22に水酸基
化合物F70.2.3.2とF70.3.2は,C21のところに安息香酸成分を,C22のところに水酸基を有していることが示された。両化合物とも,非結晶質の白い固体として,少量(それぞれ8.5mg及び26.3mg)単離された。
21に安息香酸とC22にイソ酪酸
化合物F70.3.4.2:−この化合物は,11.7mgの非結晶質の白い粉末として単離された。
21とC22の両方に安息香酸:このグループの化合物は,それぞれ安息香酸の官能基をC21とC22の両方に有していた。4つのこのような化合物がこのプロジェクトで単離された。これら4つの化合物のそれぞれは,非結晶質の白い物質として単離され,その重量は,F70.4.3.5.2(2.7mg),F70.4.2.4.2(4.9mg),F80.6.4(11.7mg)及びF80.6.7(3.9mg)であった。
21に安息香酸とC22にチグリン酸−このグループの化合物は,C21の安息香酸とC22のチグリン酸によって特徴付けられた。4つのこのような化合物がこのプロジェクトにおいて,それぞれ非結晶質の白い塊として,F70.4.2.3−42.7mg;F70.4.3.4.2−6.4mg;F80.6.3−25.8mg;F80.6.6−4.3mgで単離された。
21とC22の両方にチグリン酸−この系列において単離された2つの化合物,F70.4.3.2.2(2.8mg)及びF80.6.2(7.4mg)は,C21とC22の両方のチグリン酸基によって特徴付けられた。
他の化合物:
分画F70.3.3が,47.8mgの非結晶質の白い塊として単離され,これは,1D及び2D NMRにより,いくつかの化合物を含有していることが示された。これらの化合物を分別しようといくつかの試みが為され,6.6mgの分画F70.3.3.2.2を回収したが,これは1D及び2D NMRによれば,まだ3つの化合物を含有していた。しかしながら,これらの化合物の中の1つについての構造を,他の化合物についてと同様の手法を用いて割り出すことができた。
ビデスモシド類−C21に糖成分を有するいくつかの化合物が,このプロジェクトにおいて単離された。全ての例において,この糖は,アラビノースとして割り出された。
化合物F70.2.6.2:本プロジェクトにおいて単離された他の化合物と比べると,F70.2.6.2の収率は,比較的高いものであった。この化合物は,38.5mgの非結晶質の白い粉末として単離された。
化合物F70.3.4.5:少量(2.7mg)のF70.3.4.5が,非結晶質の白い化合物として単離された。F70.3.4.5の構造は,図60に示されている。
化合物F70.3.5.2:この化合物は,12.2mgの非結晶質の白い化合物として単離された。
化合物F70.3.7.2:
化合物F80.4.5.2及びF80.5.2:これらの化合物は,2.8mg(F80.4.5.2)及び20.1mg(F80.5.2)の非結晶質の白い塊として単離された。
要約
このセクションは,本プロジェクトで単離された化合物の構造の割り出しを要約するものである。全部で,1のアグリコン,10のモノデスモシド(monodesmoside)及び6のビデスモシドが単離され,特徴付けされた。構造もしくは分子量に基づいて入手可能な文献を調べたが,いずれのモノ−もしくはビ−デスモシドも見つけ出すことはできず,それらは,これを書いている時点では,新規の構造のものであると思われた。アグリコンは,言及したように,バリングトニア・アクタンギュラ由来の既知の構造のものであった。抽出物には,多くの微量の化合物が含まれており,それらも特徴付けられる必要がある(前セクションを参照)。これは,相当量の樹皮の収集及び大規模な分取クロマトグラフィによって可能になるであろう。
セクションD−F70.3.2及びF70.3.6の鎮痛活性
試験化合物F70.3.2及びF70.3.6の静脈内投与が,ラットでの炎症性疼痛のモデルにおいて,痛みを緩和する効果を生じるかどうかについての予備的研究。
方法
動物
成体のオスのスプレーグ−ドーリーラット(Sprague-Dawley Rat)を,12時間/12時間の明/暗サイクルで,かつ,エサと水の両方に自由に行き着けるようにしてある温度調節室(21±2℃)に収容した。この研究に対する倫理的承認は,クイーンズ大学動物実験倫理委員会(Animal Experimentation Ethics Committee of The University of Queensland)から与えられた。
試薬と材料
イソフルラン(フォーサン(Forthane)R)を,アボット・オーストラレーシア・プロプライエタリーリミテッド(Abbott Australasia Pty Ltd)(オーストラリア,シドニー)より入手した。ベンジルペニシリンナトリウムのバイアル(600mg)は,CSL社(CSL Ltd)(オーストラリア,メルボルン)より購入した。通常生理食塩水のアンプルは,デルタ・ウエスト・プロプライエタリーリミテッド(Delta West Pty Ltd)(オーストラリア,パース)より入手し,ヘパリン添加生理食塩水(50IU/5ml)は,アストラ・ファーマシューティカルズ・プロプライエタリーリミテッド(Astra Pharmaceuticals Pty Ltd)(オーストラリア,シドニー)より購入した。
単一ルーメンポリエチレン管状材料(内径0.5mm,外径1.00mm)は,オーバーン・プラスチックス・アンド・エンジニアリング・プロプライエタリーリミテッド(Auburn Plastics and Engineering Pty Ltd)(オーストラリア,シドニー)より購入した。シリコン処理した滅菌シルク縫合糸(ダイシルク(DysilkTM))は,ダイネック・プロプライエタリーリミテッド(Dynek Pty Ltd)(南オーストラリア州,アデレード)より入手した。
後足への炎症誘発
ラットに3%のイソフルラン:97%の酸素で短時間の吸入麻酔を施し,フロイントの完全アジュバント(Freund’s complete Adjuvent)(FCA,0.15mL)を足底に注射(i.pl.)することにより,ラットの後ろ足に炎症を誘発させた。炎症性の疼痛を,足押圧テストを用いて評価した(詳細は下記参照)。試験化合物は,FCAのi.pl.投与の後,5日目もしくは6日目に投与された。
足の体積の測定
左足及び右足のそれぞれの体積を,プレチスモメーターを用い,FCAのi.pl.投与前の日及びFCA投与後5日目の薬物(もしくは生理食塩水)の静脈内注射の直前に測定した。
外科処置
頸静脈挿管
ラットに3%のイソフルラン:97%のOで吸入麻酔を施し,調節器付きトリレン気化器(Trilen vapouriser)を用いて維持しながら,頸静脈挿管を行った。ポリエチレンカニューレ(予めヘパリン添加生理食塩水を満たしたもの)を,静脈内薬物投与のために,右総頚静脈に挿入した。カニューレは,肩甲骨間の領域に作った切開部まで皮下(s.c.)をくぐらせて露出させ,その基部が肩甲骨の間の皮下ポケットに位置するように設けたステンレスばねで保護した。切開部は,滅菌シルク縫合糸で閉じた。外科処置の後,ラットは代謝試験用ケージに一匹ずつ収容され,次の実験の前に,最低でも2時間,術後回復させた。この回復期間中,エサと水は自由に摂取可能にさせた。
投与された薬物
化合物F70.3.2及びF70.3.6のそれぞれを,滅菌生理食塩水に溶解した。目的化合物は,まず,0.01mg/kgを0.5mLの注入量として投与した。この予備試験においては,他に,以下の静脈投与量で投与を行った。
F70.3.2 0.002mg/kg,0.005mg/kg,0.01及び0.02mg/kg
F70.3.6 0.002mg/kg,0.005mg/kg,0.01mg/kg,0.02mg/kg及び0.05mg/kg
対照ラットには,注入量の生理食塩水の静脈内投与が施された。
痛覚抑制検査:足押圧テスト
足押圧テストのために,ラットを静かにタオルの下に静止させ,機械的増分押圧(最大250g)を後足の甲の面に加えた。足の引込みを惹起するのに要した圧力,すなわち足押圧力閾値(PPT)を定量した。10秒あけて3回連続して測定した平均値を求めた。それから同様の操作を,順序効果を排除するように対象の側を交互に変えながら,対側についても行った。同様にラットを静かにタオルの下に静止させ,プレチスモメーターを用いて足の体積を測定した。
データ分析
試験化合物(F70.3.2及びF70.3.6)のそれぞれを注入量にて静脈内投与したのに続いて,足引込閾値(g)を,薬物の投与の直前に定量した個々の基準PWT値を差し引いて,正規化した。正規化した対時間PWT曲線の面積(AUC)を台形公式を用いて計算した。用量反応曲線は,F70.3.2とF70.3.6のそれぞれについて,静脈内投与量に対するAUC値をプロットすることにより作成した。
図65は,同側の後足について,用量に相関してF70.3.2の痛覚抑制力(antinociceptive potency)に増加が見られたことを示している。反対に,対向側の後足においては,痛覚抑制が認められなかった。
図66は,同側の後足では,0.002〜0.01mg/kgの用量範囲において,用量に相関してF70.3.6の痛覚抑制力に増強が見られたことを示している。しかしながら,投与量を更に多くしていっても,痛覚抑制反応は増強するどころか,むしろ減少してしまった。化合物F70.3.2と同様に,対向側の後足においては,痛覚抑制が認められなかった。
生理食塩水のみを注射されたラットについてまとめた図67の結果から,実験操作そのものが,有意に痛覚抑制を惹起することは無かったことを示している。
図68に示すように,上記技術を用いたところでは,化合物F70.3.6及びF70.3.2の痛覚抑制効果は,明瞭に増強しそれから頭打ちになる。
図69は,FCA投与後5日目までに,同側の後足の平均(±SEM)体積が,3.3(±0.1)mLから6.0(±0.1)mLまで,約2倍に増加したことを示している。一方,FCA投与後5日目で対向側の後足の平均(±SEM)体積(3.3±0.1mL)は,同側の後足に炎症を惹起する以前に測定した値((3.2)±0.1mL)から,有意な差を生じなかった。
副作用の範囲が,化合物F70.3.2及びF70.3.6について,下記表19及び20にまとめたように,観察された。
本明細書全体を通じて,いずれか1つの実施形態もしくは特定の特徴を集めたものに制限することなく,発明の好ましい実施形態を記載することを企図している。
この明細書全体を通じて,文脈中に特に記載が無ければ,用語「からなる(comprises)」及び,「からなる(comprise)」や「からなっている(comprising)」のような派生語は,記載された数値もしくは数値の群もしくはステップが含まれることを意味するが,他の数値や数値のグループを除外することを意味しているわけではないことが,理解されるであろう。
図70及び71にも言及すると,それらは本発明の更に他の化合物の構造を示している。図70は,図示のとおり,A,B,C及びDの基を有することを特徴とする化合物(1)〜(7)を示している。これらの化合物は,前述のように,Bアクタンギュラの乾燥樹皮の水抽出物から調製されたものであり,やはり前述したように割り出された構造を有している。同様の所見が,図71の化合物にも該当する。
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図1は、A1−バリンゲノールの構造を示し;
図2は、バリングトゲン酸及びバリングトゲノールの構造を示し;
図3は、バリングトゲノールβの(a)当初の,及び(b)改定された構造を示し;
図4は、バリングトゲノールCの構造を示し;
図5は、バリングトゲノールDの構造を示し;
図6は、バリングトゲノールEの構造を示し;
図7は、B.アクタンギュラ由来の化合物を示し;
図8は、バリン酸の構造を示し;
図9は、アクタングル酸,タングル酸及びバリンゲン(barringenic)酸を含むB.アクタンギュラ由来の化合物を示し;
図10は、2a,3β,19aトリヒドロキシ−オレアン−12−エン二酸28−O−β−Dグルコピラノシドの構造を示し;
図11は、バリングトシドA,バリングトシドB及びバリングトシドCの構造を示し;
図12は、ホルマリン検定における対照としての正常なグルーミング反応を示し;
図13は、ホルマリン検定における対照値
Figure 0004790620
を示し;
図14は、モルヒネの用量対照曲線
Figure 0004790620
を示し;
図15は、粗サポニン混合物の調製の概要図を示し;
図16は、水抽出物の不溶性活性部分の酸及び塩基加水分解の概要を示し;
図17は、B.アクタンギュラの花及び葉の鎮痛性の活性を示し
Figure 0004790620

図18は、粗水抽出物の鎮痛活性を示し
Figure 0004790620

図19は、粗水抽出物の水可溶性部分(n=9)と水不溶性部分(n=4)の鎮痛活性を示し
Figure 0004790620

図20は、水抽出物における用量反応曲線を示し
Figure 0004790620

図21は、分取ゲル浸透カラムを示し;
図22は、TSK−4aの用量反応曲線
Figure 0004790620
を示し;
図23は、TSK−4aのC18分離を示し;
図24は、TSK−4aのC18の分取分離を示し;
図25は、HO抽出物の分取C18クロマトグラムを示し;
図26は、化合物F70.2.5.2に至る様々な分画に対する番号付与方法の概略を示し;
図27は、70%のMeOHで溶出した分画(F70)の分離を示し;
図28は、分画70.2.(1%のTFA中の40%のMeCN溶液)の分離を示し;
図29は、F.70.2.6のクロマトグラムを示し;
図30は、分画F.70.2.2の254nm(左)及び233nm(右)における分離を示し;
図31は、分画F70.2.5の220nm(左)及び233nm(右)における分離を示し;
図32は、分画F70.3の分離を示し;
図33は、F.70.3.5とF70.3.7のクロマトグラムを示し;
図34は、分画F.70.3.4(ほぼ単一の化合物)の分析的分離を示し;
図35は、F70.4の分離を示し;
図36は、F70.4.2の分離を示し;
図37は、F70.4.3の分離を示し;
図38は、ピークF.80.2とF.80.3の消失を示す分取クロマトグラムを示し;
図39は、F.80.4の分取クロマトグラムを示し;
図40は、フェニル逆相カラムを使用した分画F.80.6の分離を示し;
図41は、加水分解操作において使用されるTLCプレートであり,F.70.3.6の単離及び構造解析のための標準糖を示し,;
図42は、F.70.3.6のUVスペクトルを示し;
図43は、F.70.3.6のFRIRスペクトルを示し;
図44は、化合物F.70.3.6のH−NMRを示し;
図45は、化合物F.70.3.6の13C−NMRを示し;
図46は、化合物F.70.3.6の構造の完全な配置を示し;
図47は、F.70.3.6の陰イオンHR−ESMSを示し;
図48は、化合物F.70.2.52を示し;
図49は、化合物F.70.2.3を示し;
図50は、化合物F.70.3.2を示し;
図51は、化合物F.70.3.4.2を示し;
図52は、化合物F.70.4.3.5.2/F.80.6.7を示し;
図53は、化合物F.80.6.4/F70.4.2.4.2を示し;
図54は、化合物F.70.4.3.4.2/F.80.6.6を示し;
図55は、化合物F.70.4.2.3/F80.6.3を示し;
図56は、化合物F.70.4.3.2.2を示し;
図57は、化合物F.80.6.2を示し;
図58は、化合物F.70.3.3.2.2bを示し;
図59は、化合物F.70.2.6.2を示し;
図60は、化合物F.70.3.4.5を示し;
図61は、化合物F.70.3.5aを示し;
図62は、化合物F.70.3.5bを示し;
図63は、化合物F.70.3.7.2を示し;
図64は、化合物F.80.4.5.2/F.80.5.2を示し;
図65は、FCAラットの,(A)同側の(炎症のある)及び(B)対向側の(非炎症の)の後足についての,平均(±SEM)足引込み閾値の時間に対する曲線のグラフであり;
図66は、FCAラットの,(A)同側の(炎症のある)及び(B)対向側の(非炎症の)の後足についての,平均足引込み閾値(±SEM)の時間に対する曲線のグラフであり;
図67は、生理食塩水の単回静脈内注入を受けたFCA処理した成人のオスのスプレーグ−ドーリーラット(n=3)における同側の(炎症のある)及び対向側の(非炎症の)の後足についての,平均(±SEM)足引込み閾値の時間に対する曲線であり;
図68は、FCAラットの同側の後足におけるF70.3.2及びF70.3.6の静脈内投与の痛覚抑制効果についての平均値(±SEM)用量反応曲線であり;
図69は、FCA処理前及び処理後足の体積のグラフである。

Claims (25)

  1. 式(I)
    Figure 0004790620
    の化合物であって,
    式中:
    は水素原子,O−ベンゾイル,O−チグロイル,又は
    Figure 0004790620
    であり,ここで,R及びRは各々独立して,ベンゾイル,チグロイル又は3−O−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリルから選択され;
    は水酸基,O−アセチル,O−イソブチリル,O―ベンゾイル又O−チグロイルであり
    はCHOH又はCHOCOCH であり
    は水素,又は
    Figure 0004790620
    であり
    ただし,a)1は水素原子であり,
    次式
    Figure 0004790620
    で表される基を表し,R が次式:
    Figure 0004790620
    で表される基であるとき,
    がO−アセチルであり,R がCH OHであり,R がベンゾイルであり,且つR が3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリル又はベンゾイルであるか;
    がO−アセチルであり,R がCH OHであり,R がチグロイルであり,且つR が3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリルであるか;
    がO−アセチルであり,R がCH OHであり,R が3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリルであり,R がチグロイルであるか;又は
    が水素原子であり,R がCH OCOCH であり,R がベンゾイルであり,且つR がベンゾイル又は3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリルであり;
    b)R が次式:
    Figure 0004790620
    であり,R が水素原子であるとき,
    が水素原子であり,R がO−アセチルであり,R がCH OHであり,R がベンゾイルであり,且つR が3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリルであり;
    c)R がO−ベンゾイル,R が次式:
    Figure 0004790620
    であるとき,
    が水素原子であり,R がO−イソブチリル,O−ベンゾイル又はO−チグロイルであり,且つR がCH OHであるか;
    が水素原子であり,R が水酸基であり且つR がCH OH又はCH OCOCH であるか;又は
    がメチルであり,R がO−ベンゾイル又はO−チグロイルであり,且つR がCH OHであり;
    d)R がO−チグロイルであるとき,R は水素原子又はメチルであり,R はO−チグロイルであり,R はCH OHであり,R は次式:
    Figure 0004790620
    であり;そして
    e)R が水素原子のとき,R は水素原子であり,R はO−ベンゾイルであり,R はCH OHであり,R は次式:
    Figure 0004790620
    を表す化合物;もしくはそれらの薬理学的に許容される塩類。
  2. が,O−ベンゾイルである請求項1記載の化合物。
  3. が次式:
    Figure 0004790620
    であり,R 及びR はベンゾイルを表すか,R がベンゾイル又はチグロイルを表し且つR が3−ベンゾイル−2−メチルブチリルを表すか,R が3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリルを表し且つR がチグロイルを表す請求項1記載の化合物。
  4. がO−チグロイルである請求項1記載の化合物。
  5. 水素原子である請求項1記載の化合物。
  6. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−[3−O−(3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリル)−4−O−ベンゾイル−α−L−アラビノピラノシル]−22−O−アセチルバリングトゲノールCである請求項1記載の化合物。
  7. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−ベンゾイルバリングトゲノールCである請求項1記載の化合物。
  8. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−ベンゾイル−28−O−アセチルバリングトゲノールCである請求項1記載の化合物。
  9. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−ベンゾイル−22−O−イソブチリルバリングトゲノールCである請求項1記載の化合物。
  10. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−メチルグルクロノピラノシル−21,22−O−ジベンゾイルバリングトゲノールCである請求項1記載の化合物。
  11. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21,22−O−ジベンゾイルバリングトゲノールCである請求項1記載の化合物。
  12. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−メチルグルクロノピラノシル−21−O−ベンゾイル−22−O−チグロイルバリングトゲノールCである請求項1記載の化合物。
  13. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−ベンゾイル−22−O−チグロイルバリングトゲノールCである請求項1記載の化合物。
  14. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−メチルグルクロノピラノシル−21,22−O−チグロイルバリングトゲノールCである請求項1記載の化合物。
  15. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21,22−O−チグロイルバリングトゲノールCである請求項1記載の化合物。
  16. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−デオキシ−22−O−ベンゾイルバリングトゲノールCである請求項1記載の化合物。
  17. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[βD−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−[3,4−ジ−O−ベンゾイル−α−L−アラビノピラノシル]−22−O−アセチルバリングトゲノールCである請求項1記載の化合物。
  18. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−[3,4−ジ−O−ベンゾイル−α−L−アラビノピラノシル]−28−O−アセチルバリングトゲノールCである請求項1記載の化合物。
  19. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−[3−O−(3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリル)−4−O−チグロイル−α−L−アラビノピラノシル]−22−O−アセチルバリングトゲノールCである請求項1記載の化合物。
  20. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−[3−O−チグロイル−4−O−(3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリル)−α−L−アラビノピラノシル]−22−O−アセチルバリングトゲノールCである請求項1記載の化合物。
  21. 3−O−β−D−ガラクトピラノシル(1→2)−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−[3−O−(3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリル)−4−O−ベンゾイル−α−L−アラビノピラノシル]−22−O−アセチルバリングトゲノールCである請求項1記載の化合物。
  22. 3−O−β−D−キシロピラノシル(1→3)−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−[3−O−(3−ベンゾイルオキシ−2−メチルブチリル)−4−O−ベンゾイル−α−L−アラビノピラノシル]−28−O−アセチルバリングトゲノールCである請求項1記載の化合物
  23. 治療上の有効量の,請求項6又は8記載の化合物と,薬理学的に許容される担体とを含む,痛みの治療及び/又はコントロールのための医薬組成物。
  24. 前記担体が薬理学的に許容される賦形剤である,請求項23記載の医薬組成物。
  25. みを治療及び/又はコントロールする医薬の製造のための請求項6又は8記載の化合物の使用
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