JP4788361B2 - 電子写真用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、及びプリンター等の、電子写真法を利用した装置の現像に用いることが出来る電子写真用トナーに関するものである。
複写機、ファクシミリ、及びプリンター等の、電子写真法を利用した画像形成装置では、感光体上に形成される静電潜像は、先ず、電子写真用トナー(以下単に「トナー」ともいう。)により現像され、次いで、形成されたトナー像は、紙等の記録材上に転写された後、加熱、加圧、溶剤蒸気など種々の方式により定着されることにより画像が形成される。
近年、これらの画像形成装置に対し、消費エネルギーの低減や、印刷の高速化が要求されている。電子写真方式による画像形成の工程の中で、特にエネルギーを多く消費する工程は、トナーを記録材に定着する工程(定着工程)である。定着の方式は、定着ロールにより加熱と加圧して定着を行なう方式が一般に用いられており、この方式では、通常、定着時の定着ロールの温度を高温にする必要がある。この定着時の定着ロールの温度を下げることが、省エネルギーの観点より求められている。さらに、低い温度で定着が可能であることは高速の印刷にも対応できるため、高速化の要求の観点からも定着時の定着ロールの温度を下げることが求められている。
トナーに対しては、最低定着温度の低いトナー、すなわち低温定着性に優れたトナーを得るために、従来、トナーのガラス転移温度を低下させる方法、低融点もしくは低分子量の樹脂等を添加する方法、ワックスなどの離型性を有する低軟化点物質をトナー中に含有させる方法等が提案されている。
一方、トナーに対しては、低温定着性と相反する特性として、トナーの保存性が求められている。保存性は、高温下でトナーを保存した際のトナーの凝集(ブロッキング)の起こりにくさを示す特性である。この特性は、トナーの輸送時や、印刷時に定着による発熱でプリンター内の温度が上昇した時に、トナーが凝集しないようにするために求められている。
上記の要求されている課題を解決すべく、添加する樹脂やワックスに関する技術が提案されている。
特許文献1には、DSC融点が70〜130℃、分子量Mnが100〜25,000、かつ分子量分布Mw/Mnが1.5〜3.0の、R’CH=CH(R’:炭素数1〜28のアルキル)で表わされる1−オレフィンから誘導される単位からなる1−オレフィンポリマーワックス、を含有するトナーが提案されており(請求項1)、DSC融点が81℃〜120℃のポリプロピレンワックスを含有するトナーが開示されている。
また、特許文献2には、着色剤、及びバインダー樹脂等からなるトナー粒子(着色樹脂粒子)を、炭素数19〜60のα−オレフィンを重合して成る重合体ワックスと結晶性ワックスを含む電気絶縁性媒体中に分散した湿式現像用の固形トナーが提案されている。
しかしながら、本発明者らが検討したところ、特許文献1記載のワックスを使用するトナーでは、最近のカラープリンターの普及に伴う従来の保存性を維持したままでの更なる低温定着性向上の要求に対しては、低温定着性がいまだ不十分であった。
また、特許文献2に記載のα−オレフィンを重合して成る重合体ワックスは、湿式現像用の固形トナーの媒体(すなわちトナーのマトリックス)として用いられるためのものであり、着色樹脂粒子の中に含有する成分として用いた場合、トナーの保存性が低下するという問題があった。
特開2000−352838号公報 特開平9−106113公報
本発明の課題は、トナーの保存性に優れ、かつ低い定着温度でも高い定着率を維持できる低温定着性に優れる電子写真用トナーを提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定の高級αオレフィン重合体を含有する着色樹脂粒子を含む電子写真用トナーにより、上述の問題を解決出来ることを見出した。
すなわち、本発明によれば、結着樹脂及び着色剤を含有する着色樹脂粒子を含む電子写真用トナーにおいて、
該着色樹脂粒子がさらに高級αオレフィン重合体を含有し、
該高級αオレフィン重合体は、
(1)炭素数が16〜24のαオレフィン単量体を重合してなる重合体であり、
(2)示差走査型熱量計(DSC)によるDSC曲線において、ピークのトップの温度と
して定義される融点(TmD)を1つ有し、かつ、
(3)該ピークの半値幅が12℃以内
であることを特徴とする電子写真用トナーが提供される。
また、本発明によれば、該高級αオレフィン重合体が、触媒としてメタロセン化合物の存在下で重合される重合体であることが好ましい。また、該高級αオレフィン重合体は、示差走査型熱量計(DSC)によるDSC曲線において、ピークのトップの温度として定義される融点(TmD)が40℃以上で80℃未満であることが好ましい。
さらに本発明によれば、該着色樹脂粒子は、好適には、湿式法により製造されるものであり、より好適には、コアシェル型の構造を有することを特徴とする電子写真用トナーが提供される。
本発明により、トナーの保存性に優れ、かつ低い定着温度でも高い定着率を維持できる低温定着性に優れる電子写真用トナーが提供される。
以下、本発明の電子写真用トナーとその製造方法について説明する。
本発明の電子写真用トナー(本発明において、「電子写真用トナー」のことを、単に「トナー」ともいう。)は、着色樹脂粒子を含有している。着色樹脂粒子は、結着樹脂及び着色剤を含有し、さらに、(1)炭素数が10以上のαオレフィン単量体を重合してなる重合体であり、(2)示差走査型熱量計(DSC)によるDSC曲線において、ピークのトップの温度として定義される融点(TmD)を1つ有し、かつ、(3)該ピークの半値幅が12℃以内である高級αオレフィン重合体を含有する。また、さらに、必要に応じて、帯電制御剤等のその他の添加物を含有していてもよい。
結着樹脂の具体例としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の従来からトナーに広く用いられている樹脂を挙げることができる。
本発明では、着色剤を用いるが、カラートナーを作製する場合、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの着色剤を用いることができる。
ブラックの着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びにマグネタイト、酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等の顔料を用いることができる。カーボンブラックは、一次粒径が20〜40nmであるものが好ましく、この範囲にあると、カーボンブラックをトナー中に均一に分散でき、かぶりも少なくなる。
シアンの着色剤としては、銅フタロシアニン化合物、その誘導体、及びアントラキノン化合物等が利用でき、C.I.ピグメントブルー2、同3、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同16、同17:1、及び同60等が挙げられる。
イエローの着色剤としては、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントイエロー3、同12、同13、同14、同15、同17、同62、同65、同73、同74、同83、同93、同97、同120、同138、同155、同180、同181、同185、及び同186等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントレッド31、同48、同57:1、同58、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同144、同146、同149、同150、同163、同170、同184、同185、同187、同202、同206、同207、同209、同251、及びC.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
それぞれの着色剤の量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部である。
本発明において、トナーの保存性、及び最低定着温度が低いこと、すなわち低温定着性を高いレベルで併せ持つトナーを得るため、特定の高級αオレフィン重合体を用いる。
本発明で用いる高級αオレフィン重合体は、炭素数が10以上のαオレフィン単量体を原料として得られる重合体であり、好適には、この炭素数は16以上であり、より好適には18以上24以下であり、さらに好適には22以上24以下である。炭素数が上記範囲内であると、本発明における特定の高級αオレフィン重合体を得やすい。この範囲を超えると、得られるトナーは低温定着性に劣る場合があり、この範囲未満であると保存性に問題がある場合がある。また、αオレフィン単量体は、蒸留等の方法により精製して、用いることが好ましい。
また、本発明で用いる高級αオレフィン重合体は、示差走査型熱量計(DSC)によるDSC曲線において、ピークのトップの温度として定義される融点(TmD)を1つ有し、かつ、該ピークの半値幅が12℃以内である。該ピークの半値幅は、好ましくは、10℃以内であり、より好ましくは8℃以内である。この範囲を超えると、得られるトナーは保存性が劣り、融着しやすくなる。該融点(TmD)は、40℃以上80℃未満が好ましく、45℃以上70℃未満がより好ましく、50℃以上65℃未満がさらに好ましい。なお、本発明の高級αオレフィン重合体は、DSC曲線において、上述のように1つのピークを有するものである。この1つのピークは、ショルダーを有していてもいいが、ショルダーを有していないことが好ましい。
本発明において、示差走査熱量計(DSC)による高級αオレフィン重合体の測定は、ASTM D3418−82に準拠して行ない、市販の示差走査熱量計を用いることができる。市販の示差走査熱量としては、例えば、示差走査熱量分析機(セイコーインスツル製、商品名:RDC−220)を用いることができる。また、測定は、−20℃から100℃まで10℃/分で昇温する条件により行なう。
本発明における高級αオレフィン重合体は、重量平均分子量Mwは、15,000〜110,000が好ましく20,000〜100,000がより好ましい。また、数平均分子量Mnに対するMwの比で表される分子量分布Mw/Mnが、好適には1.5〜3.0であり、より好適には1.6〜2.8である。
上記のMw及びMnは、ゲルパミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定され、具体的には、ポリマー濃度1mg/mLの1,2,4−トリクロロベンゼン(ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)300ppmを含む)溶液240μlを用い、カラムは混合ポリスチレンゲルカラム(例えば、東ソー(株)社製、商品名:GMH6HT)を使用し、カラム温度145℃、流速1.0ml/minの条件で測定することによって求める。なお、検出には赤外検出器を使用し、波長3.41μmを用いる。
本発明で用いる高級αオレフィン重合体は、前記の特定のαオレフィン単量体を重合して得られる。本発明における特定の高級αオレフィン重合体を得るため、αオレフィン単量体の重合は、触媒として、メタロセン化合物の存在下に行なわれることが好ましい。
該メタロセン化合物としては、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’− ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’− ジメチルシリレン)(3−トリメチルシリルメチル−インデニル)(インデニル)ジルコニウムジクロライド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’− ジメチルシリレン)ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’− ジメチルシリレン)ビス(3−n−ブチル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’− ジメチルシリレン)(n−ブチル−インデニル)(インデニル)ジルコニウムジクロライド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’− ジメチルシリレン)ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、1,1’−ジメチルシリレンビス[2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]ジルコニウムジクロライド、及びジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)ジルコニウムジクロライド等のジルコニウムジクロライド化合物、並びにこれらのジルコニウムジクロライド化合物のジクロライドをジメチルあるいはジベンジルに置換した化合物等のジルコニウム化合物;並びにこれらのジルコニウム化合物のジルコニウムをチタニウムに置換したチタニウム化合物;等が挙げられる。また、上記のメタロセン化合物は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。さらにまた、この触媒として、メタロセン化合物に加えて、トリイソブチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート等の有機ホウ素化合物を用いることが、本発明における特定の高級αオレフィン重合体を得るために好ましい。
また、αオレフィン単量体としては、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ナノデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセンが挙げられ、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセンが好ましい。
本発明では、着色樹脂粒子の製造方法としては、粉砕法等の乾式法、及び乳化重合凝集法、分散重合法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法が挙げられ、画像再現性などの印字特性に優れたトナーが得られやすいことから湿式法が好ましい。中でも、乳化重合凝集法、分散重合法、及び懸濁重合法等の重合法が、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つことから、より好ましく、懸濁重合法がさらに好ましい。
湿式法としては、乳化重合凝集法は、乳化させた重合性単量体を重合し、樹脂微粒子を得て、着色剤等と凝集させ、着色樹脂粒子を製造する。また、溶解懸濁法は、結着樹脂や着色剤等のトナー成分を有機溶媒に溶解又は分散した溶液を水系媒体中で液滴形成し、該有機溶媒を除去して着色樹脂粒子を製造する方法であり、それぞれ公知の方法を用いることが出来る。
本発明のトナーを製造するより好ましい方法である懸濁重合法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行なわれる。まず、重合性単量体、着色剤、及び高級αオレフィン重合体、さらに必要に応じて帯電制御剤等のその他の添加物を混合して、重合性単量体組成物とする。この重合性単量体組成物を、分散安定剤を含む水系媒体に入れた後、液滴形成を行なう。その後、重合開始剤の存在下に重合を行ない、着色樹脂粒子の水分散液が得られる。この水分散液を、洗浄・脱水・乾燥し、乾燥した着色樹脂粒子を得る。この乾燥した着色樹脂粒子を、必要に応じて分級を行ない、外添剤と混合し、必要に応じてさらにキャリアを添加して、トナーを得る。
重合性単量体は、結着樹脂となる主成分であり、重合可能な化合物のことをいう。
重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、及びフッ化ビニル等のハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン;酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、及びビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、及びメチルイソプロペニルケトン等の、ビニルケトン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、及びN−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル化合物;が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルが、好適に用いられる。
モノビニル単量体は、それを重合して得られる、重合体のガラス転移温度(以下、Tgと表す)が80℃以下になるように選択することが好ましい。モノビニル単量体を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することにより、重合体のTgを所望の範囲に調整することができる。
ホットオフセット改善のために、重合性単量体の一部として、モノビニル単量体とともに、任意の架橋性単量体を用いることが好ましい。架橋性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性単量体としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の多価アルコールの不飽和ポリカルボン酸エステル;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等のその他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。架橋性単量体は、モノビニル単量体100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
また、さらに、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、保存性と低温定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、1,000〜30,000の反応性の、オリゴマーまたはポリマーである。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる、重合体のTgよりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。マクロモノマーの量は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部である。
本発明において、着色樹脂粒子は、帯電制御剤を含有することが好ましい。負帯電性のトナーを製造する場合、負帯電性の帯電制御剤を主に用い、正帯電性のトナーを製造する場合、正帯電性の帯電制御剤を主に用いる。主として用いる帯電制御剤の極性と逆の極性の帯電制御剤を少量併用して使用してもよい。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物、イミダゾール化合物、及びポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩の基含有共重合体等の帯電制御樹脂等がある。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、並びに、スルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩の基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩の基含有共重合体等の帯電制御樹脂等がある。
本発明において、帯電制御剤は、トナーの印字耐久性が良好になることから、帯電制御樹脂が好ましい。帯電制御樹脂を用いる場合、その添加量は、結着樹脂100重量部に対して、通常0.01〜30重量部であり、好ましくは0.3〜25重量部である。
重合性単量体の重合に際して、その他の添加物として、分子量調整剤を使用することが好ましい。分子量調整剤としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタンが挙げられる。
以上のようにして得られた、重合性単量体組成物を、分散安定剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行なう。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、インライン型乳化分散機(荏原製作所製、商品名:エバラマイルダー)、高速乳化分散機(特殊機化工業製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行なう。
水系媒体は、水単独でもよいが、低級アルコール及び低級ケトン等の水に溶解可能な溶剤を併用することもできる。
水系媒体には、分散安定剤を含有させる。分散安定剤としては、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の金属化合物や、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;カチオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機化合物が挙げられる。上記分散安定剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、金属化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを含有する分散安定剤は、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができ、洗浄後の分散安定剤残存量が少ないため、得られるトナーは、画像を鮮明に再現することができ、環境安定性を悪化させないことから好ましい。
重合性単量体組成物の重合に用いられる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物が挙げられる。また、上記重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を用いてもよい。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、耐久性も良いことから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
重合開始剤は、前記のように、重合性単量体組成物が水系媒体中へ分散された後、液滴形成前に、添加されても良いが、重合性単量体組成物へ添加されても良い。
重合性単量体組成物の重合に用いられる重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部であり、さらに好ましくは0.3〜15重量部であり、最も好ましくは1.0〜10重量部である。
上記のようにして、重合性単量体組成物の液滴形成を行ない、得られた重合性単量体組成物の液滴を含む水系媒体を加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液が得られる。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
着色樹脂粒子は、そのままトナーに用いてもよいが、この着色樹脂粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型の着色樹脂粒子とすることが好ましい。コアシェル型の着色樹脂粒子は、低軟化点の物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、最低定着温度の低温化(低温定着性)と保存時の凝集防止(保存性)とのバランスを取ることができる。
上述した、重合法により得られる着色樹脂粒子を用いて、コアシェル型の着色樹脂粒子を製造する方法としては、特に制限がなく、従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル型の着色樹脂粒子の製造法を以下に説明する。
重合法により得られた着色樹脂粒子が分散している水系媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述のモノビニル単量体と同様なものが使用できる。その中でも、スチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレート等の、Tgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の、過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の、アゾ系開始剤;等の水溶性重合開始剤を挙げることができる。重合開始剤の量は、シェル用重合性単量体100重量部に対して、好ましくは、0.1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部である。
重合により得られた、着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、濾過、分散安定剤の除去を行なう洗浄、脱水、及び乾燥の操作が行われ、重合法による着色樹脂粒子が得られる。
上記の洗浄の方法としては、分散安定剤として無機水酸化物等の無機化合物を使用した場合、着色樹脂粒子の水分散液への酸、又はアルカリの添加により、分散安定剤を水に溶解し除去することが好ましい。分散安定剤として、難水溶性無機水酸化物のコロイドを使用した場合、酸を添加して、着色樹脂粒子水分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸等の無機酸、並びに蟻酸、及び酢酸等の有機酸を用いることができる。
脱水、濾過の方法は、種々の公知の方法などを用いることが出来、特に限定されない。例えば、遠心濾過法、真空濾過法、加圧濾過法等を挙げることが出来る。また、乾燥の方法も、特に限定されず、種々の方法が使用できる。
乾式法である粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスで行なう。詳しくは、まず、結着樹脂、着色剤、高級αオレフィン重合体並びに、所望により、さらに帯電制御剤を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、ヘンシェルミキサー、高速ディゾルバ、インターナルミキサー等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、一軸押出混練機、二軸押出混練機、ローラなどを用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、及びローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、及び高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕したのち、風力分級機、及び気流式分級機等の分級器により所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。粉砕法で用いる着色剤、並びに所望により使用される、帯電制御剤は、前述の重合法で挙げたものを用いることができ、これらの通常用いる添加量及び好ましい添加量は、モノビニル単量体100重量部基準を、結着樹脂100重量部基準として読み替えた、同じ重量部である。
上記により得られる粉砕法による着色樹脂粒子は、前述の重合法に得られる着色樹脂粒子と同じく、in situ重合法等の方法によりコアシェル型の着色樹脂粒子とすることもできる。
本発明のトナーは、着色樹脂粒子のまま、あるいは着色樹脂粒子とキャリア粒子(フェライト、及び鉄粉等)によりトナーとしてもいいが、トナーの帯電性、流動性、保存性等を調整するために、高速撹拌機(例えば、商品名:ヘンシェルミキサー(三井鉱山製)等)を用いて、着色樹脂粒子、及び外添剤を混合し、一成分トナーとするか、もしくは、着色樹脂粒子、及び外添剤、さらに、キャリア粒子を混合し、二成分トナーとすることが好ましい。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び酸化セリウム等の無機微粒子が挙げられる。この中では、シリカ及び酸化チタンが好ましく、シリカがより好ましい。
外添剤の添加量は、着色樹脂粒子100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部であり、好ましくは、0.2重量部以上5.0重量部以下である。外添剤として、2種類以上の微粒子を併用することが好ましい。
トナーの体積平均粒径(Dv)が好ましくは3〜15μmであり、更に好ましくは4〜12μmである。Dvがこれらの範囲未満であるとトナーの流動性が低下し、転写性が悪化したり、カスレが発生したり、画像濃度が低下する場合があり、これらの範囲を超えると画像の解像度が低下する場合がある。
本発明のトナーの粒径分布を表す、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dp)との比(Dv/Dp)が、好ましくは1.00〜1.30であり、更に好ましくは1.00〜1.20である。Dv/Dpがこれらの範囲を超えると、カスレが発生したり、転写性、画像濃度及び解像度の低下が起こったりする場合がある。Dv、及びDpは、例えば、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザーII)等を用いて測定することができる。
本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
本実施例において行った試験方法は以下のとおりである。
(示差走査熱量分析(DSC)によるワックスの熱特性の測定)
ワックスの融点などの熱特性を、示差走査熱量分析機(セイコーインスツル製、商品名:RDC−220)を用いて測定を行なった。試料用ホルダーにワックスを6〜8mg計量し、−20℃から100℃まで10℃/分で昇温する条件により測定しDSC曲線を得た。これより、融点(TmD)及びピークの半値幅を得た。
なお、表1において、融点(TmD)が2つ記載されているワックスは、DSC曲線において、ピークが2つ有することを示している。また、複数のピークを有するワックスの半値幅は、各ピークが分離している場合は各ピークの半値幅の総和を、各ピークの最も高いピークの半値でピークが重なっている場合はその重なった部分の幅を、表1に記載した。
(トナー粒径)
トナーの体積平均粒径Dv、及び体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dpとの比Dv/Dpで表される粒径分布は、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザーII)により測定する。測定条件は、アパーチャー径=100μm、媒体=アイソトンII、濃度=10%、測定粒子数=100,000個で行った。具体的には、トナーサンプル5〜20mgをビーカーに取り、界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸0.1〜1ml加える。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを0.5〜2ml加え、トナーを湿潤させた後、更にアイソトンIIを10〜30ml加え、超音波分散器で1〜3分間分散させてから上記の粒径測定器による測定を行なった。
(トナーの保存性)
トナー10gを密閉可能な容器(ポリエチレン製、容量:100ml)に入れて、密閉した後、該容器を55℃の温度に保持した恒温水槽の中に沈めた。15時間経過した後、恒温水槽から該容器を取り出し、容器内のトナーを42メッシュの篩上へ置いた。この際、容器内でのトナーの凝集構造を破壊しないように、容器内からトナーを静かに取り出し、かつ、注意深く篩上に移して置くようにする。トナーを置いた篩を、前記の粉体測定機を用いて、振幅1mmの条件で、30秒間振動した後、篩上に残ったトナーの重量を測定し、凝集トナーの重量とした。最初に容器に入れたトナーの重量に対する凝集トナーの重量の割合(重量%)を算出した。1サンプルにつき3回測定し、その平均値を保存性の指標とした。
(トナーの体積固有抵抗)
トナーの体積固有抵抗は、誘電体損測定器(安藤電気社製、商品名:TRS−10型)を用い、温度30℃、周波数1kHzの条件下で測定した。
(トナーの最低定着温度(低温定着性))
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(A4 22枚/1分の印刷スピード)の定着ロール部の温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着試験を行った。定着試験は、黒ベタ(印字濃度100%)を印字して、改造プリンターの定着ロールの温度を変化させて、それぞれの温度でのトナーの定着率を測定し、温度−定着率の関係を求めて行った。
定着率は、黒ベタ(印字濃度100%)の印字領域においてテープ剥離を行ない、テープ剥離前後の画像濃度の比率から計算した。すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID(前)、テープ剥離後の画像濃度をID(後)とすると、定着率は、次式により算出できる。
定着率(%)=(ID(後)/ID(前))×100
ここで、テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分に粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。また、画像濃度は、反射式画像濃度測定機(マクベス社製、商品名:RG914)を用いて測定した。
この定着試験において、定着率が80%を超える最低の定着ロール温度をトナーの最低定着温度と評価した。
(製造例1) ワックスA
(触媒製造例)
(a)(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドの製造
窒素気流下、200mlのシュレンク瓶に、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(インデン)2.5g(7.2mmol)と、エーテル100mlを入れた後、−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(濃度1.6mol/l)9.0ml(14.8mmol)加え、再び室温に戻して12時間攪拌した。
得られた溶液から溶媒を留去し、残留した固体をヘキサン20mlで洗浄した後、減圧乾燥することにより、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(インデン)のリチウム塩を白色固体として定量的に得た。
次に、シュレンク瓶中で、得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(インデン)のリチウム塩(6.97mmol)をテトラヒドロフラン(THF)50mlに溶解し、室温でヨードメチルトリメチルシラン2.1ml(14.2mmol)をゆっくりと滴下し、12時間攪拌した。
攪拌後、溶媒を留去し、エーテル50ml加えた。さらに、そこへ、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、洗浄し、水相を分液後、有機相を乾燥し、溶媒を除去して、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)3.04g(5.9mmol)を得た(収率84%)。
上記で得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)3.04g(5.9mmol)とエーテル50mlを、窒素気流下、シュレンク瓶に入れ、−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(1.6モル/リットル)を7.4ml(11.8mmol)を加えた後、室温に戻し、12時間攪拌した。
攪拌後の溶液から、溶媒を留去し、残留した固体をヘキサン40mlで洗浄して、リチウム塩のエーテル付加体3.06gを得た。
このリチウム塩のエーテル付加体の1H−NMRを求めたところ、次の結果が得られた。
1H−NMR(90MHz,THF−d8):δ0.04(s,−SiMe,18H),0.48(s,−MeSi−,12H),1.10(t,−CH,6H),2.59(s,−CH−,4H),3.38(q,−CH−,4H),6.2−7.7(m,Ar−H,8H)
窒素気流下、上記で得られたリチウム塩のエーテル付加体3.06gをトルエン50mlに懸濁させ、−78℃に冷却し、ここへ予め−78℃に冷却した四塩化ジルコニウム1.2g(5.1mmol)のトルエン(20ml)懸濁液を滴下したのち、室温に戻し6時間攪拌した。
得られた溶液の溶媒を留去後、残留した固体を、ジクロロメタンにより再結晶化して、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドの黄色微結晶0.9g(1.33mmol)を得た。(収率26%)
この黄色微結晶の1H−NMRを求めたところ、次の結果が得られた。
1H−NMR(90MHz,CDCl):δ0.0(s,―SiMe−,18H),1.02,1.12(s,−MeSi−,12H),2.51(dd,−CH−,4H),7.1−7.6(m,Ar−H,8H)
(α−オレフィン重合)
加熱乾燥した10リットルオートクレーブに、α−オレフィン(出光興産(株)製、商品名:「リニアレン2024」(主として炭素数Cが20、22、24のα−オレフィンの混合体であり、その組成は、C18以下:4.2%、C20:41.9%、C22:36.2%、C24:16.9%、C26:0.8%。))を3L、ヘプタン3Lを入れ、重合温度80℃まで昇温した後、トリイソブチルアルミニウム15mmol、上記の触媒製造例で得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを60μmol(トルエンスラリー[20μmol/mL,3mL])、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート240μmol
(トルエンスラリー[20μmol/mL,12mL])を加え、水素0.08MPaを導入し、4時間とも重合した。
重合反応終了後、反応物をアセトンにて沈殿させた後、加熱、減圧下、乾燥処理することにより、高級αオレフィン重合体2.0kgを得て、ワックスAとした。得られたワックスAのMw=48,000、Mw/Mn=1.9、TmD=52.0℃、半値幅8℃であった。
(製造例2) ワックスB
(モノマー調整)
上記製造例1で用いた、α−オレフィン(出光興産(株)製、商品名:「リニアレン2024」)を、減圧下(2〜14mmHg)、留出温度140〜230℃で蒸留し、組成が炭素数C22:63.5%、C24:36.5%のα−オレフィンの留分を得た。加熱乾燥した5リットルのシュレンクに、得られたα−オレフィンの留分を導入し乾燥窒素および活性アルミナにて8時間脱水処理した。
(α−オレフィン重合)
加熱乾燥した10リットルオートクレーブに、脱水処理されたα−オレフィンの留分5リットルを入れ、重合温度75℃まで昇温した後、トリイソブチルアルミニウム12mmol、上記の触媒製造例で得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを25μmol(トルエンスラリー[20μmol/mL,1.25mL])、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート100μmol(トルエンスラリー[20μmol/mL,5mL])を加え、水素0.05MPaを導入し、4時間とも重合した。
重合反応終了後、反応物をアセトンにて沈殿させた後、加熱、減圧下、乾燥処理することにより、高級α−オレフィン共重合体1.7kgを得て、ワックスBとした。得られたワックスBのMw=53,000、Mw/Mn=1.9、TmD=62.0℃、半値幅6℃であった。
参考例1
モノビニル単量体としてスチレン81部及びn−ブチルアクリレート19部(これらの
単量体を共重合して得られた共重合体のTg=55℃)、マクロモノマーとしてポリメタ
クリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6、Tg=94
℃)0.3部、架橋性単量体としてジビニルベンゼン0.5部、分子量調整剤としてt−
ドデシルメルカプタン1.2部、及びブラックの着色剤としてカーボンブラック(三菱化
学社製、商品名:#25B)7部を、メディア式分散機を用いて湿式粉砕を行った。湿式
粉砕により得られた混合物に、帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:
アクリベース FCA−207P)1部と製造例1で得られたワックスA 10部を添加
し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を得た。
他方、イオン交換水170部に塩化マグネシウム8.1部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム4.5部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製した。
一方、メチルメタクリレート(得られる重合体のTg=105℃)1部と水65部を超音波乳化機にて微分散化処理して、シェル用重合性単量体の水分散液を得た。
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液(水酸化マグネシウムコロイド量3.3部)に、重合性単量体組成物を投入し、さらに攪拌して、そこへ重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−イソブチレート(日本油脂社製、商品名:パーブチルIB)6部を添加した。重合開始剤が添加された分散液を、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:エバラマイルダーMDN303V)により回転数15,000rpmにて、分散を行ない重合性単量体組成物の液滴を形成した。
液滴形成された分散液を、反応器に入れ、95℃に昇温して重合反応を行ない、重合転化率がほぼ100%に達した後、前記シェル用重合性単量体の水分散液にシェル用重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド)(和光純薬社製、商品名:VA−086、水溶性)0.1部を溶解し、それを反応器に添加した。さらに、95℃で4時間維持して重合を継続した後、水冷して反応を停止し、コアシェル型の着色樹脂粒子の水分散液を得た。
得られた着色樹脂粒子の水分散液を攪拌しながら、pHが4.5以下(25℃、10分間)となるまで硫酸を添加する酸による洗浄を行なった後、濾過脱水し、さらに乾燥を行ない、乾燥した着色樹脂粒子を得た。
乾燥した着色樹脂粒子100部に、環状シラザンで疎水化処理されたシリカ微粒子1部(個数一次平均粒径:7nm)と、アミノ変性シリコーンオイルで疎水化処理されたシリカ微粒子(個数一次平均粒径:35nm)1部とを添加し、高速攪拌機(三井鉱山社製、商品名:ヘンシェルミキサー)を用いて混合し、非磁性1成分の電子写真用トナーを調製した。試験結果を表2に示す。
(実施例2)
参考例1において、ワックスAの代わりに製造例2で得られたワックスBを用いた以外
は、参考例1と同じ方法で電子写真用トナーを調製した。試験結果を表2に示す。
(比較例1)
参考例1において、ワックスAの代わりに市販品のワックスC(東洋ペトロライト社製、商品名:VYBER253)を使用し、ワックスの溶解から重合の際の昇温まで、重合性単量体組成物あるいはその液滴を分散した分散液を、加温しながら50℃に保持して処理した以外は、参考例1と同じ方法で電子写真用トナーを調製した。試験結果を表2に示す。
(比較例2)
参考例1において、ワックスAの代わりにワックスD(日本精鑞社製、商品名:WEISSEN−T−68)を使用し、ワックスの溶解から重合の際の昇温まで、重合性単量体組成物あるいはその液滴を分散した分散液を、加温しながら50℃に保持して処理した以外は、参考例1と同じ方法で電子写真用トナーを調製した。試験結果を表2に示す。
(比較例3)
参考例1において、ワックスAの代わりに市販品のワックスE(日本油脂社製、商品名:WEP6)を使用し、ワックスの溶解から重合の際の昇温まで、重合性単量体組成物あるいはその液滴を分散した分散液を、加温しながら50℃に保持して処理した以外は、参考例1と同じ方法で電子写真用トナーを調製した。試験結果を表2に示す。
本発明の実施例で使用した上記の製造例で得られたワックスA及びワックスB、さらに比較例において使用した市販のワックスC、ワックスD、及びワックスEの物性を以下の表1に示す。
Figure 0004788361
Figure 0004788361
表2に記載されている試験結果より、以下のことがわかる。
示差走査型熱量計(DSC)によるDSC曲線において、ピークのトップの温度として定義される融点(TmD)を2つ有するワックスCを含有する比較例1のトナーでは、保存性試験によりトナーが完全に凝集し、最低定着温度は高く、保存性及び低温定着性ともに不十分であった。
また、ワックスCと同様に融点(TmD)を2つ有し、ピークの半値幅が10℃を超えているワックスDを含有する比較例2のトナーでは、保存性試験によりトナーが完全に凝集し、最低定着温度は比較例1のトナーより高く、保存性及び低温定着性ともに不十分であった。
さらに、エステルワックスであるワックスEを含有する比較例3のトナーでは、保存性は良好であったものの、最低定着温度は高く、低温定着性が不十分であった。
これに対して、本発明で規定する特定の高級αオレフィン重合体を含有する実施例のトナーでは、保存性及び低温定着性ともに良好であった。
本発明により得られた電子写真用トナーは、ファクシミリ、複写機、及びプリンター等の電子写真法による画像形成装置において、現像剤として用いることができる。

Claims (5)

  1. 結着樹脂及び着色剤を含有する着色樹脂粒子を含む電子写真用トナーにおいて、
    該着色樹脂粒子がさらに高級αオレフィン重合体を含有し、
    該高級αオレフィン重合体は、
    (1)炭素数が16〜24のαオレフィン単量体を重合してなる重合体であり、
    (2)示差走査型熱量計(DSC)によるDSC曲線において、ピークのトップの温度として定義される融点(TmD)を1つ有し、かつ、
    (3)該ピークの半値幅が12℃以内である
    ことを特徴とする電子写真用トナー。
  2. 該高級αオレフィン重合体が、触媒としてメタロセン化合物の存在下で重合される重合体であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
  3. 該融点(TmD)が40℃以上で80℃未満であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真用トナー。
  4. 該着色樹脂粒子が、湿式法により製造されるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  5. 該着色樹脂粒子が、コアシェル型の構造を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電子写真用トナー。
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