JP4786303B2 - タンパク質のリフォールディング剤 - Google Patents
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Description
しかし、組換え体で発現させたタンパク質の多くは立体構造に秩序が無く、高次構造が制御されておらず、不活性な封入体(インクルージョンボディ)と呼ばれる小粒子顆粒を形成することが多い。このため、大腸菌による生産プロセスでは、インクルージョンボディを解きほぐし(アンフォールディング)、高次構造を整え、秩序だった立体構造を持つ可溶性タンパク質に変換する操作、すなわち、インクルージョンボディをアンフォールディングし、さらにリフォールディング(巻き戻し)することが必要である。
(例えば、非特許文献1)。
しかし、透析法は、外液にタンパク質溶液の百倍以上の容積が通常必要になり、また数日の時間を必要とするので、産業上実用的ではない。
J Biol Chem.2003 Mar 14;278(11):8979−8987. J ImMunol Methods.1998 Oct 1;219(1−2):119−129. Biochemistry,Vol.26(1987)3135−3141 Natl.Acad.Sci.USA,Vol.94(1997)3576−3578 Life Science News(Japan Ed.)Vol.3(2001)6−7 J.Am.Chem.Soc. Vol.117(1995)2373−2374 J.Biol.Chem. Vol.271(1996)3478−3487 FEBS Lett. Vol.486(2000)131−135 L,Pauling,"The Nature of the Chemical Bond",3rd ed.,Cornell Univ.Press(1960) 化学大辞典縮刷版第6巻(昭和38年)化学同人238−239
すなわち、本発明はリフォールディング剤で処理する工程を含んでなるアンフォールディングされたタンパク質のリフォールディング方法であって、リフォールディング剤が、モノリン酸、ピロリン酸及びトリポリリン酸並びにそれらの塩からなる群から選ばれる1種以上である化合物(A)からなり、該工程における系中の(A)の濃度が1.0〜6モル/Lであり、該工程における系中のタンパク質の濃度が0.2〜30mg/mLである、アンフォールディングされたタンパク質のリフォールディング方法である。
本発明における電気陰性度とは、Paulingが提唱した電気陰性度であり、分子内の結合にあずかる原子がが電子を引きつける能力のことを言う。異なる2原子から成る場合A−Bにおいて、AとBの電気陰性度の差が大きいほど電子は一方の原子に引きつけられ、結合A−Bのイオン性は増大する。(非特許文献9、非特許文献10参照)
Δχ = χa − χb
無機リン酸およびその塩としては、リン酸(pKa=2.15)、次亜リン酸、亜リン酸、次リン酸、ピロリン酸(pKa=0.8)、ピロ亜リン酸、メタリン酸、トリポリリン酸(pKa=2.0)、ポリリン酸、およびこれらの塩が挙げられる。
塩としてはアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩など)、アンモニウム塩、アミン塩(1級アミン塩、2級アミン塩、3級アミン塩)、および4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩など)が挙げられる。
無機リン酸塩の具体例としては、リン酸1水素2ナトリウム塩、リン酸2水素1ナトリウム塩、リン酸1水素2カリウム塩、リン酸2水素1カリウム塩、リン酸アンモニウム塩、リン酸テトラメチルアンモニウム塩、リン酸テトラエチルアンモニウム塩、リン酸トリエチルアミン塩およびリン酸トリエタノールアミン塩などのリン酸塩;
亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸アンモニウム塩、亜リン酸テトラメチルアンモニウム塩、亜リン酸テトラエチルアンモニウム塩、亜リン酸トリエチルアミン塩および亜リン酸トリエタノールアミン塩などの亜リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム塩、ピロリン酸カリウム塩、ピロリン酸テトラメチルアンモニウム塩、ピロリン酸テトラエチルアンモニウム塩、ピロリン酸トリエチルアミン塩およびピロリン酸トリエタノールアミン塩などのピロリン酸塩;などが挙げられる。
(1)炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルリン酸エステル:
メチルリン酸エステル、エチルリン酸エステル、プロピルリン酸エステル、2−プロピルリン酸エステル、ブチルリン酸エステル、2−ブチルリン酸エステル、t−ブチルリン酸エステル、ペンチルリン酸エステル、ヘキシルリン酸エステル、シクロヘキシルリン酸エステル、オクチルリン酸エステル、ノニルリン酸エステルおよびデシルリン酸エステルなど;
(2)炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルピロリン酸エステル:
メチルピロリン酸エステル、エチルピロリン酸エステル、プロピルピロリン酸エステル、2−プロピルピロリン酸エステル、ブチルピロリン酸エステル、2−ブチルピロリン酸エステル、t−ブチルピロリン酸エステル、ペンチルピロリン酸エステル、ヘキシルピロリン酸エステル、シクロヘキシルピロリン酸エステル、オクチルピロリン酸エステル、ノニルピロリン酸エステルおよびデシルピロリン酸エステルなど;
(3)炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルトリポリリン酸エステル:
メチルトリポリリン酸エステル、エチルトリポリリン酸エステル、プロピルトリポリリン酸エステル、2−プロピルトリポリリン酸エステル、ブチルトリポリリン酸エステル、2−ブチルトリポリリン酸エステル、t−ブチルトリポリリン酸エステル、ペンチルトリポリリン酸エステル、ヘキシルトリポリリン酸エステル、シクロヘキシルトリポリリン酸エステル、オクチルトリポリリン酸エステル、ノニルトリポリリン酸エステルおよびデシルトリポリリン酸エステルなど;
(4)上記アルキルリン酸エステルの塩:
塩としては、前述と同様の塩が挙げられる。
炭素数1〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸(蟻酸(pKa=3.55)、酢酸(pKa=4.56)、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ベラルゴン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、2−エチルヘキサン酸など);炭素数3〜36の脂肪族不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸など);炭素数3〜36の脂肪族オキシモノカルボン酸(グリコール酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸など); 炭素数2〜36の脂肪族飽和ジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)およびそれらのモノアルキルエステル;炭素数4〜36の脂肪族不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸、イタコン酸など);並びに、3価以上(好ましくは3〜12価)の脂肪族多価カルボン酸(クエン酸、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸など);などが挙げられる。
炭素数7〜36の芳香族モノカルボン酸(安息香酸、桂皮酸、ヒドロキシ安息香酸など);炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸など);炭素数9〜36の芳香族トリカルボン酸およびテトラカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など);が挙げられる。
R1−O−(R2O)p−R3COOH (4)
R1としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基およびデシル基などが挙げられる。
R2としては、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基などが挙げられる。R3としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基が挙げられる。pは好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜4である。
塩としてはアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩など)、アンモニウム塩、アミン塩(1級アミン塩、2級アミン塩、3級アミン塩)、および4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩など)が挙げられる。
エーテルカルボン酸塩としては、ポリオキシエチレンヘキシルエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンデシルエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンデシルヒドロキシエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシプロピレンヘキシルエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシプロピレンオクチルエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシプロピレンノニルエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシプロピレンデシルエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシプロピレンドデシルエーテルカルボン酸ナトリウムなどが挙げられる。
カルボン酸アルキルエステルを構成するカルボン酸としては、上記(A2)のカルボン酸が挙げられる。
カルボン酸アルキルエステルの具体例としては;
炭素数1〜12のアルキル基を有する脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル(アルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基もしくはデシル基などを有するカルボン酸エステル:例えば、蟻酸メチル、酢酸メチル、蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ステアリン酸メチルおよびステアリン酸n−ブチルなど); 炭素数1〜12のアルキル基を有する脂肪族ジカルボン酸ジアルキルエステル(アルキルとして上記アルキル基を有するもの:例えば、シュウ酸ジメチル、コハク酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、コハク酸ジエチルおよびアジピン酸ジメチルなど);並びに、炭素数1〜12のアルキル基を有する3価以上の脂肪族多価カルボン酸の全てのカルボキシル基がエステル化されているもの(アルキルとして上記アルキル基を有するもの:例えば、クエン酸トリメチルおよびエチレンジアミン四酢酸テトラメチルなど);などが挙げられる。
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記)およびブチレンオキサイドが挙げられる。
モノカルボン酸のEO付加物(ギ酸EO1〜10モル付加物、酢酸EO1〜10モル付加物、プロピオン酸EO10モル付加物、酪酸EO1〜10モル付加物、カプロン酸EO2〜20モル付加物、ラウリル酸EO1〜20モル付加物など);オキシカルボン酸のEO付加物(グリコール酸EO1〜20モル付加物、乳酸EO1〜20モル付加物、酒石酸PO1〜5モル付加物など);脂肪族多価カルボン酸のEO付加物(シュウ酸EO1〜20モル付加物、マロン酸EO1〜20モル付加物、コハク酸EO1〜20モル付加物、グルタル酸EO1〜20モル付加物、クエン酸EO1〜20モル付加物、マレイン酸EO1〜20モル付加物など);芳香族カルボン酸のEO付加物(フタル酸EO1〜30モル付加物、テレフタル酸EO1〜30モル付加物など);が挙げられる。
本発明の化合物(A)のうち、ケイ酸またはその塩としては、ケイ酸、メタケイ酸およびそれらの金属塩(例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、アルミノケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウムなど)が挙げられる。
なお、タンパク質が、分子内にS−S結合を含むタンパク質である場合には、塩酸グアニジンおよび/または尿素以外に、さらに2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール、シスチンまたはチオフェノールを加えてアンフォールディングされたタンパク質であってもよい。
化合物(A)のPauling電気陰性度の差(Δχ)が0.87〜1.54、好ましくは0.90〜1.54であることによりアンフォールディングされたタンパク質の構造を正常な構造に戻す作用がある。(Δχ)が0.87未満または1.54を超えるとリフォールディング効果が乏しい。
上記範囲のΔχの化合物を用いることで初めて高いリフォールディング効果(アンフォールディングされたタンパク質をリフォールディングすることができる割合)と高純度のタンパク質を得ることができる。
本発明における化合物(A)は、上記範囲のΔχを有する構造であることにより、
タンパク質との特異的な水素結合が形成されやすくなり、リフォールディング効果が高くなるものと推定される。
界面活性剤としては、下記の非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤または両性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の添加はタンパク質の凝集抑制の観点から好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)付加物[炭素数8〜24の高級アルコール(デシルアルコール、ドデシルアルコール、ヤシ油アルキルアルコール、オクタデシルアルコールおよびオレイルアルコールなど)のエチレンオキサイド(以下、EOと略記)1〜20モル付加物など]、炭素数6〜24のアルキルを有するアルキルフェノールのAO付加物、ポリプロピレングリコールEO付加物およびポリエチレングリコールPO付加物、プルロニック型界面活性剤、および脂肪酸AO付加物、多価アルコール型非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤
およびアミン塩型カチオンカチオン性界面活性剤などが挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、炭素数8〜24の炭化水素基を有する、エーテルカルボン酸またはその塩、硫酸エステルもしくはエーテル硫酸エステルおよびそれらの塩、スルホン酸塩、スルホコハク酸塩、脂肪酸塩、アシル化アミノ酸塩、並びに天然由来のカルボン酸およびその塩(たとえばケノデオキシコール酸、コール酸、デオキシコール酸など)が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ベタイン型両性界面活性剤およびアミノ酸型両性界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤としては、上記の他に特公昭57−39678号公報記載の界面活性剤が挙げられる。
なお、リン酸緩衝剤を使用する場合は、リン酸緩衝剤がリン酸塩であるため本発明における(A)と重複するが、前述のようにリン酸緩衝剤の添加濃度は高くても0.05モル/Lであるので、(A)とリン酸緩衝剤とを併用する場合は(A)の系内濃度は0.2〜5.95モル/Lであることが好ましい。
還元剤としては2−メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、アスコルビン酸、還元型グルタチオンおよびシステインなどが挙げられる。
ポリオール類としてはグリセリン、ブドウ糖、ショ糖、エチレングリコール、ソルビトールおよびマンニトールなどが挙げられる。
金属イオンとしてはマグネシウムイオン、マンガンイオンおよびカルシウムイオンなどの2価金属イオンが挙げらる。
キレート試薬としてはエチレンジアミン4酢酸(EDTA)およびグリコール
エーテルジアミン−N,N,N’,N’−4酢酸(EGTA)などが挙げられる。
pH調整剤の添加量は、(A)の添加量に対し通常100%以下、リフォールディング効果の観点から0.01〜100%が好ましく、0.1〜30重量%がさらに好ましい。
酵素安定化剤の添加量は、(A)の添加量に対し通常10%以下、リフォールディング効果の観点から0.001〜10%が好ましく、0.01〜1%がさらに好ましい。なお、酵素安定化剤がカルボン酸である場合は、その使用量は本発明の化合物(A)の使用量に合計される。
リフォールディング工程における系中の(A)の濃度を0.01〜6モル/Lにすることでより高いリフォールディング効果(アンフォールディングされたタンパク質をリフォールディングすることができる割合)と高純度のタンパク質を得ることができる。
本発明における化合物(A)は、系中での濃度が0.01モル/Lになると、化合物(A)とタンパク質との特異的な水素結合が形成されやすくなるための平衡濃度に達するものと推定される。
また、系中の(A)の濃度が6モル/Lを超える濃度になると、系の粘度が高くなり易いため、後工程のタンパク質の産生工程におけるタンパク質の分離精製のし易さの観点から好ましくない。
なお、本発明における「該タンパク質をリフォールディング剤で処理する工程」とは、該タンパク質とリフォールディング剤とを不均一部分が無くなる程度に撹拌・混合する工程であり、その後、リフォールディングをより充分に進めるために必要により一定時間静置することも含まれる。静置時間は例えば1〜50時間である。
また、(A)の、タンパク質の重量に対する添加量(重量)は、タンパク質100部に対して好ましくは10〜3,000部、リフォールディング効果の観点からさらに好ましくは30〜2,000部である。
本発明のタンパク質産生方法で得られるタンパク質は、上記のリフォールディング方法で得られるため、従来よりも純度が高く、また大希釈を行う必要がないため高い収量を得ることができる。
本発明のタンパク質の産生方法としては、例えば、以下のような順序の工程による産生方法が挙げられる。
(1)タンパク質の培養工程:大腸菌などのタンパク質生産体に酵素または組み換えタンパク質を培養させる。
(2)溶菌工程:溶菌剤などの使用によってでタンパク質生産体内のインクルージョンボディを取り出す。
(3)アンフォールディング工程;インクルージョンボディ懸濁液(例えば10mgタンパク質/mL)に0.5モル/L以上のアンフォールディング剤および20ミリモル/L以下の還元剤を加え軽くかきまぜ室温で数時間放置する。
(4)リフォールディング工程:アンフォールディングされたタンパク質懸濁液に、0.2〜6モル/Lの濃度になるように(A)を加えて軽くかき混ぜ、室温で1晩放置しリフォールディングを行う。
(5)分離・取り出し工程:懸濁液から目的とする正常なタンパク質をカラムクロマトグラフィーなどによって分離して取り出す。
細菌細胞としては、連鎖球菌属(streptococci)、ブドウ球菌属(staphylococci)、エシェリヒア属菌(Escherichia)、ストレプトミセス属菌(streptomyces)およびバチルス属菌(Bacillus)細胞、真菌細胞:例えば酵母細胞およびアスペルギルス属(Aspergillus)細胞、昆虫細胞:例えばドロソフィラS2(DrosophilaS2)、スポドプテラSf9(SpodopteraSf9)細胞、動物細胞:例えば、CHO、COS、Hela、C127、3T3、BHK、293およびボウズ(Bows)メラノーマ細胞、ならびに植物細胞等が挙げられる。
エシェリヒア属菌(Escherichia)としては、大腸菌(E.coli)K12DH1〔プロシージング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.)60巻、160頁(1968年)を参照〕、JM103〔ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Research)9巻、309頁(1981年)を参照〕、JA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology)120巻、517頁(1978年)を参照〕、HB101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology)41巻、459頁(1969年)を参照〕、C600〔ジェネティックス(Genetics)39巻、440頁(1954年)を参照〕、MM294〔ネイチャー(Nature)217巻、1110頁(1968年)を参照〕などが挙げられる。
バチルス属菌(Bacillus)としては、枯草菌(Bacillussubtilis)MI114〔ジーン、24巻、255頁(1983年)を参照〕、207−21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry)95巻、87頁(1984年)を参照〕などが挙げられる。
(i)目的タンパク産生細胞からメッセンジャーRNA(mRNA)を分離し、該mRNAから単鎖のcDNAを、次に二重鎖DNAを合成し、該相補DNAをファージまたはプラスミドに組み込む。
(ii)得られた組み換えファージまたはプラスミドで宿主を形質転換し、培養後、目的タンパクの一部をコードするDNAプローブとのハイブリダイゼーション、あるいは抗体を用いたイムノアッセイ法により目的とするDNAを含有するファージあるいはプラスミドを単離する。
(iii)その組み換えDNAから目的とするクローン化DNAを切りだし、該クローン化DNAまたはその一部を発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することによって製造することができる。
その後、適当な方法により、宿主を発現ベクターで形質転換し培養する。培養は通常15〜43℃で3〜24時間行い、必要により通気、攪拌を加えることもできる。
なお、タンパク質が、分子内にS−S結合を含むタンパク質である場合には、還元剤として塩酸グアニジンおよび/または尿素以外に、さらに2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール、シスチンまたはチオフェノールなどを加えてもよい。
本発明のタンパク質産生方法で得られるタンパク質としては、酵素、組み換えタンパク質および核酸などが挙げられる。
加水分解酵素としては、プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、グルコアミラーゼなどが挙げられる。
異性化酵素としては、グルコースイソメラーゼが挙げられる。
酸化還元酵素としては、ペルオキシダーゼなどが挙げられる。
転移酵素としては、アシルトランスフェラーゼ、スルホトランスフェラーゼなどが挙げられる。
合成酵素としては、脂肪酸シンターゼ、リン酸シンターゼ、クエン酸シンターゼなどが挙げられる。
脱離酵素としては、ペクチンリアーゼなどが挙げられる。
タンパク製剤としては、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターロイキン1〜12、成長ホルモン、エリスロポエチン、インスリン、顆粒状コロニー刺激因子(G−CSF)、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、ナトリウム利尿ペプチド、血液凝固第VIII因子、ソマトメジン、グルカゴン、成長ホルモン放出因子、血清アルブミン、
カルシトニン等が挙げられる。
ワクチンとしては、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、C型肝炎ワクチン等が挙げられる。
核酸としては、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)が挙げられる。
以下の実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。下記の実施例1〜7および比較例1〜3の方法でリフォールディングを行いタンパク質を得た。得られたタンパク質の酵素活性を測定した。
10ml容の滅菌済み試験管に、10mgのリパーゼ(「リリパーゼ」ナガセケムテックス社製:以下、同様のものを使用)および6モル/L塩酸グアニジン(和光純薬製:以下、同様のものを使用)水溶液を1ml加えて、室温で1晩放置しリパーゼをアンフォールディングさせた。このアンフォールディングされたタンパク質溶液に1.2モル/Lトリポリリン酸ナトリウム(和光純薬製)を5ml加えて(系中の化合物(A)の濃度=1.0モル/L)、室温で1晩放置してリフォールディングを行った。
(リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
1.2モル/Lトリポリリン酸塩のかわりに0.24モル/Lトリポリリン酸ナトリウム(和光純薬製)を加えること以外は実施例1と同様の方法でリフォールディングをおこなった。(リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
1.2モル/Lトリポリリン酸塩のかわりに1.2モル/L酢酸ナトリウム塩(和光純薬製)を加えること以外は実施例1と同様の方法でリフォールディングをおこなった。(リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
1.2モル/Lトリポリリン酸塩のかわりに0.6モル/L酢酸ナトリウム(和光純薬製)を加えること以外は実施例1と同様の方法でリフォールディングをおこなった。(リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
1.2モル/Lトリポリリン酸塩のかわりに0.6モル/Lリン酸塩(リン酸1水素2ナトリウム:リン酸2水素ナトリウム=1:1モル比)(ともに和光純薬製:以下、同様のものを使用)を加えること以外は実施例1と同様の方法でリフォールディングをおこなった。(リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
加えるリン酸塩を、6モル/Lリン酸塩5mLとした(系中の化合物(A)の濃度=5モル/L)こと以外は実施例1と同様にしてリフォールディングを行った。
(リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
[ホウ酸塩によるリフォールディング]
1.2モル/Lトリポリリン酸塩のかわりに1.2モル/Lメタホウ酸塩(メタホウ酸ナトリウム)(和光純薬製)を加えること以外は実施例1と同様の方法でリフォールディングをおこなった。(リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
[稀釈法によるリフォールディング]
10ml容の滅菌済み試験管に、10mgのリパーゼ「リリパーゼ」および6モル/L塩酸グアニジン水溶液を1ml加えて、室温で1晩放置しリパーゼを十分アンフォールディングさせた。210ml容の滅菌瓶に上記酵素溶液1mlと、0.1モル/L Trisバッファー(pH=7)200mlを入れ軽くかき混ぜ室温で1晩放置した。
(リフォールディング工程のタンパク質濃度=0.05mg/mL)
[透析法によるリフォールディング]
10ml容の滅菌済み試験管に、10mgのリパーゼ「リリパーゼ」および6モル/L塩酸グアニジン水溶液を1ml加えて、室温で1晩放置しリパーゼを十分アンフォールディングさせた。上記酵素溶液1mlを透析装置に入れ、0.1モル/L Trisバッファー(pH=7)を徐々に加え、徐々に希釈していきリフォールディングをおこなった。200mlのTrisバッファーを加えたところで終了した。
(リフォールディング工程のタンパク質濃度=0.05mg/mL)
[硫酸塩によるリフォールディング]
1.2モル/Lトリポリリン酸塩のかわりに1.2モル/L硫酸塩(硫酸ナトリウム)(和光純薬製)を加えること以外は実施例1と同様の方法でリフォールディングをおこなった。(リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度=1.7mg/mL)
10ml容の滅菌済み試験管に、0.1モル/L Trisバッファー(pH=7)2mlと実施例1〜7または比較例1〜3で得られたタンパク質溶液を5μlマイクロピペットで加えて軽くかき混ぜた。さらに3.5ミリモル/Lp−ニトロフェニル酢酸塩溶液を1ml加え、加水分解生成物であるp−ニトロフェノールの吸光度(400nm)を紫外可視分光光度計(島津製作所製、UV−2550)で3分毎に12分間測定し、時間に対する吸光度の増加割合から加水分解反応の初速度を算出した。
また実施例1〜7または比較例1〜3のそれぞれのタンパク質濃度と同濃度の天然リパーゼ水溶液を調製し、それらを用いて上記と同様にp−ニトロフェニル酢酸塩の加水分解反応の初速度を算出した。
実施例1〜7および比較例1〜3の酵素活性(%)を以下の式で算出した。
酵素活性(%)=[実施例および比較例で得られたタンパク質を使用した場合の初速度/天然リパーゼを使用した場合の初速度]×100
タンパク質の生産性を以下の指標で定義し、評価した。結果を表1に示す。
生産性指標
=リフォールディング工程のタンパク質の系中濃度(mg/mL)×酵素活性(%)
本発明のタンパク質産生方法で得られるタンパク質としては、酵素、組み換えタンパク質および核酸などが挙げられる。
Claims (2)
- リフォールディング剤で処理する工程を含んでなるアンフォールディングされたタンパク質のリフォールディング方法であって、
リフォールディング剤が、モノリン酸、ピロリン酸及びトリポリリン酸並びにそれらの塩からなる群から選ばれる1種以上である化合物(A)からなり、
該工程における系中の(A)の濃度が1.0〜6モル/Lであり、
該工程における系中のタンパク質の濃度が0.2〜30mg/mLである、
アンフォールディングされたタンパク質のリフォールディング方法。 - 化合物(A)がモノリン酸塩、ピロリン酸塩及びトリポリリン酸塩からなる群から選ばれる1種以上である請求項1に記載のリフォールディング方法。
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