この場合、画像表示部を表示するステップは、端末装置での表示のスクロール操作に応じて、スクロール操作に起因して表示に必要になった部分画像をデータベースから通信ネットワークを介して取得して表示するステップを含む。このように構成すれば、スクロール操作の際にも、一度に大きなサイズの画像データを受信する必要がなく、スクロール操作により表示に必要になった部分画像の画像データを優先して受信すればよいので、表示に要する時間が長くなるのを抑制することができる。これにより、表示に要する時間が長くなることに起因するスクロール動作の遅延を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるバーチャルスライド(血液細胞画像)の表示方法を実現するためのシステムの全体構成を示した図である。なお、本実施形態では、本発明の標本画像の表示方法を血液細胞画像の表示方法に適用した場合の例について説明する。まず、図1を参照して、本発明の一実施形態によるバーチャルスライド(血液細胞画像)の表示方法を実現するためのシステムの全体構成について説明する。
本実施形態によるバーチャルスライド(血液細胞画像)の表示方法を実現するためのシステムは、図1に示すように、バーチャルスライド作成部1と、バーチャルスライド分割・管理部2と、バーチャルスライド運用部3とから構成されている。バーチャルスライド作成部1には、標本スライドの確認を行うための20倍および100倍の対物レンズを有する光学顕微鏡11と、画像の取り込みを行う3CCDカメラ12と、光学顕微鏡11をXYZ方向に位置制御するための自動ステージ13と、自動ステージ13の制御を行うためのコントロールユニット14およびジョイスティック15と、自動ステージ13の制御を行うとともにフォーカス合成および画像タイリングを行う自動ステージ制御用端末16とが設けられている。なお、光学顕微鏡11としては、たとえば、オリンパス製BX−50シリーズを用い、自動ステージ13としては、たとえば、PRIOR製H101BXを用いる。また、3CCDカメラ12としては、たとえば、VICTOR製KY−F70Bを用いる。また、自動ステージ制御用端末16は、画像信号伝送ケーブル17を介して3CCDカメラ12に接続されているとともに、コントロールユニット制御用ケーブル18を介してコントロールユニット14に接続されている。また、自動ステージ制御用端末16は、ネットワークケーブルとしてのLANケーブル4に接続されている。
また、バーチャルスライド分割・管理部2には、バーチャルスライドデータの管理や画像分割などを行うためのサーバ21が設けられている。また、サーバ21には、バーチャルスライドデータおよび分類カウント結果データを保存するためのデータベース21aが含まれている。また、サーバ21は、ネットワークケーブルとしてのLANケーブル4に接続されている。なお、各バーチャルスライドデータは検体番号などの識別情報と共にデータベース21aに保存されている。また、データベース21aには、識別情報と属性情報とを対応づけたテーブルが格納されている。ここで、属性情報とは、患者番号、患者名、性別、年齢、血液型、病棟、診療科、病名、病歴、担当医、所見などの患者属性情報や血液検査日、依頼番号、採取日、検体種別、検体コメントなどの検体属性情報である。また、サーバ21のデータベース21aに保存される分類カウント結果データとしては、分類カウントされた細胞の細胞画像、位置情報、分類名、分類日時、分類者名などがある。また、バーチャルスライド運用部3には、バーチャルスライドを用いた分類カウントを行うためのクライアント端末31が設けられている。このクライアント端末31は、マウス31aを有する。なお、クライアント端末31およびマウス31aは、それぞれ、本発明の「端末装置」および「ポインティングデバイス」の一例である。このクライアント端末31は、ネットワークケーブルとしてのLANケーブル4に接続されている。
図2は、本発明の一実施形態によるバーチャルスライド(血液細胞画像)の作成方法を説明するための概略図であり、図3は、本発明の一実施形態によるバーチャルスライド(血液細胞画像)の作成フローを説明するためのフローチャートである。次に、図1〜図3を参照して、バーチャルスライド(血液細胞画像)の作成方法について説明する。このバーチャルスライド(血液細胞画像)の作成は、図1に示したバーチャルスライド作成部1において行う。このバーチャルスライド(血液細胞画像)の作成フローは、図3に示すように、設定フェーズと処理フェーズとから構成されている。設定フェーズとしては、まず、ステップS1に示すように、自動ステージ13(図1参照)を有する光学顕微鏡11に標本をセットする。この標本としては、図2に示すように、標本スライドガラス41の表面上の所定領域に塗抹検体42が塗り広げられたものを用いる。次に、図3に示すステップS2において、自動ステージ制御用端末16を用いて、バーチャルスライド化する範囲(標本検体エリア:X方向およびY方向の距離)を設定する。そして、ステップS3において、自動ステージ制御用端末16を用いて、画像タイリングのための連続視野間の重なり率を設定する。この重なり率は、約10%以上約40%以下に設定するのが好ましい。この後、ステップS4において、自動ステージ制御用端末16を用いて、フォーカス合成のための焦点幅(Z方向の距離)と刻み幅とを設定する。この焦点幅と刻み幅との設定により、同一視野で取り込む画像の枚数が決定される。本実施形態では、焦点幅を約1mm以下に設定するとともに、刻み幅を0.1μm程度に設定している。上記したステップS1〜ステップS4の処理によって、バーチャルスライド(血液細胞画像)の作成フローの設定フェーズが完了する。
次に、処理フェーズとしては、まず、ステップS5において、同一視野に対し、ステップS4で決定した枚数分の画像を、3CCDカメラ12を介して自動ステージ制御用端末16に取り込むとともに、自動ステージ制御用端末16において、フォーカス合成画像を作成する。ここで、フォーカス合成とは、焦点位置の異なる画像(同一視野)に対し、各画像からピントの合っている画素を抽出し全体的にピントの合った1枚の画像を作成する処理のことを意味する。本実施形態では、このフォーカス合成を、取り込まれた全視野の画像に対して行うことによって、図2に示すように、1360dot×1024dotの解像度のフォーカス合成画像を作成する。このフォーカス合成画像の画像形式としては、TIF形式を用いる。その後、図3に示したステップS6において、ステップS2で設定した全範囲のフォーカス合成画像が作成できたか否かが判断され、作成できていないと判断された場合には、ステップS7において、視野を移動した後、再びステップS5のフォーカス合成を行う。ステップS2で設定した全範囲のフォーカス合成画像が作成できるまで、この処理が繰り返される。
そして、ステップS6において、全範囲のフォーカス合成画像が作成できたと判断された場合には、ステップS8において、自動ステージ制御用端末16を用いて、ステップS3で設定した重なり率を考慮して、図2に示すように、フォーカス合成画像同士を画像タイリングする。この画像タイリング時に、隣接するフォーカス合成画像の重なり部分が画像認識されることによって、フォーカス合成画像同士がつなぎ目が目立たないように貼り合わされる。そして、ステップS9において、ステップS2で設定した範囲全てに対して画像タイリング処理を行うことによって、図2に示されるようなバーチャルスライド(血液細胞画像)50が完成される。なお、このバーチャルスライド(血液細胞画像)50は、本発明の「標本画像」および「血液標本画像」の一例である。このバーチャルスライド(血液細胞画像)50の画像形式としては、BMP形式を用いる。なお、ステップS9で作成したバーチャルスライド50のサイズは、220,000dot×134,000dot程度である。また、この自動ステージ制御用端末16を用いて作成したバーチャルスライド(血液細胞画像)50は、LANケーブル4を介して、サーバ21に保存される。
図4は、バーチャルスライド(血液細胞画像)の分割および管理方法を説明するための概略図であり、図5は、バーチャルスライド(血液細胞画像)の分割フローを説明するためのフローチャートである。このバーチャルスライド(血液細胞画像)の分割および管理は、図1に示したバーチャルスライド分割・管理部2のサーバ21において行う。バーチャルスライド(血液細胞画像)の分割方法としては、まず、図5に示したステップS11において、サーバ21に保存された220,000dot×134,000dot程度のサイズを有するバーチャルスライド50(図4参照)の中から、分割するバーチャルスライド50を選択する。そして、ステップS12において、分割サイズを決定する。本実施形態では、図4に示すように、500dot ×500dot/枚に分割する。なお、分割サイズはクライアント端末31の画面解像度がSXGA(1280×1024)の場合、500dot×500dot〜1300dot×1300dotが好ましい。この分割サイズはクライアント端末31の画面解像度、端末のスペック、および、通信回線速度によって総合的に決定される。そして、ステップS13において、ステップS12で決定した分割サイズに合わせてバーチャルスライド50を分割することによって、図4に示すような分割画像51が作成される。なお、分割画像51は、本発明の「部分画像」の一例である。この分割画像51の画像形式としては、JPEG形式(Photoshop Version7.0.1での圧縮率10程度)を用いる。
また、ステップS14において、低倍率用画像52(図4参照)を作成する。具体的には、図4に示すように、分割画像51の個々の画像を数枚(本実施形態では4枚)つなぎ合わせて広視野画像(低倍率用画像52)を作成する。そして、作成された広視野画像(低倍率用画像52)の解像度を落とすことによって、ファイルサイズを小さくする。たとえば、低倍率用画像52として、光学顕微鏡11(図1参照)の100倍の対物レンズを用いて作成したバーチャルスライド50の分割画像51から60倍、40倍、20倍および10倍の低倍率用画像52を作成する。なお、この低倍率用画像52は、本発明の「部分画像」の一例である。この低倍率用画像52の画像形式としては、JPEG形式(Photoshop Version7.0.1での圧縮率10程度)を用いる。
この後、ステップS15において、ステップS11、S13およびS14で作成した全体イメージ画像としてのバーチャルスライド50、部分画像としての分割画像51および低倍率用画像52を、図1に示したサーバ21内のデータベース21aに同一検体(同一患者)の標本画像として、その検体の識別情報とともに保存する。なお、この場合にデータベース21aに保存する全体イメージ画像としてのバーチャルスライド(血液細胞画像)50は、解像度を650dot ×250dot 程度まで下げる。なお、バーチャルスライド50、分割画像51および低倍率用画像52を蓄積するサーバ21内のデータベース21aとしては、たとえば、リレーショナルデータベースを用いる。
図6は、本発明の一実施形態によるバーチャルスライド(血液細胞画像)を用いた白血球の分類カウント動作を説明するためのフローチャートであり、図7〜図11は、本発明の一実施形態による白血球の分類カウント動作の際にクライアント端末に表示される画面を示した図であり、図12は、本発明の一実施形態による白血球の分類カウント時の分類カウント項目を説明するための図である。以下、図1〜図4および図6〜図12を参照して、本実施形態によるバーチャルスライド(血液細胞画像)を用いた白血球の分類カウント動作について説明する。本実施形態による白血球の分類カウント動作は、クライアント端末31で行う。なお、クライアント端末31に後述するバーチャルスライドの部分画像を表示するためには、本実施形態によるバーチャルスライドの表示方法を実行するためのプログラムが格納されたFDやCDなどの記録媒体をクライアント端末31に組み込むかまたは上記記録媒体からクライアント端末31にプログラムをインストールする必要がある。
本実施形態による白血球の分類カウントをクライアント端末31で行う場合、まず、図6に示したフローチャートのステップS21において、画像表示機能を起動する。具体的には、クライアント端末31の画面上の画像表示機能を起動させるためのアイコン(図示せず)をクリックすることにより、図7に示すように、クライアント端末31にユーザIDおよびパスワードの入力画面が表示される。この入力画面において、ユーザIDおよびパスワードを入力した後、マウス31aを用いて「OK」をクリックすることにより、画像表示機能を起動させる。これにより、ステップS22において、クライアント端末31に、図8に示すバーチャルスライド選択画面が表示される。このバーチャルスライド選択画面上のファイル名としては、バーチャルスライドの特定が可能なように、たとえば、検査日(6桁)−検体番号(7桁)−染色方法(アルファベット2文字または3文字)からなるファイル名を用いる。次に、ステップS23において、図8に示したバーチャルスライド選択画面上で所定のバーチャルスライドデータが格納されたファイルを選択した後、マウス31aを用いて「開く」をクリックする。これにより、ステップS24において、図9に示すように、画像表示部のウィンドウが表示される。この場合、画像表示部の上部には、選択したバーチャルスライドの20倍(弱拡大)の部分画像がスクロール可能に表示される。また、画像表示部の下部には、画像表示部の上部に表示された20倍のバーチャルスライドの中央部分に対応する100倍(強拡大)のバーチャルスライドの部分画像が、スクロール可能に表示される。
ここで、本実施形態では、クライアント端末31にバーチャルスライドの部分画像を表示する際に、サーバ21からは、バーチャルスライドを構成する100倍の分割画像51(図4参照)および20倍の低倍率用画像52のうち、部分画像の表示に必要な分割画像51および低倍率用画像52の画像データが優先的にクライアント端末31に配信され、配信された部分画像51および低倍率用画像52が表示されている間に、バーチャルスライドの残りの画像データがバックグラウンドで配信される。この場合、画像表示部のウィンドウに表示される範囲よりも少し広い範囲の分割画像51および低倍率用画像52をサーバ21からクライアント端末31に優先的に受信する。これにより、所定の部分画像(分割画像51および低倍率用画像52)が表示されている状態で、少しだけスクロール操作を行う場合には、新たな部分画像(分割画像51および低倍率用画像52)をサーバ21からLANケーブル4を介して取得することなく、既に取得した部分画像(分割画像51および低倍率用画像52)を表示するだけでよいので、スクロール操作をより円滑に行うことが可能になる。
また、ステップS24でバーチャルスライドの部分画像を表示する際に、複数の分割画像51(低倍率用画像52)を動的にタイリングすることにより表示を行う。この動的にタイリングとは、クライアント端末31の画面上で動的に個々の画像を張り合わせることを意味する。この動的タイリングを行う場合には、バーチャルスライド50(図2参照)の作成時に既にタイリングし、その後分割した分割画像51(低倍率用画像52)を、再度貼り合わせるだけであるので、隣り合う画像にずれは生じない。したがって、動的タイリング時には、ステップS8(図3参照)のバーチャルスライド作成時の画像タイリングと異なり、画像認識処理を行う必要がないため、タイリング時間を短くすることが可能である。また、部分画像の表示に必要な分割画像51(低倍率用画像52)を優先してクライアント端末31にダウンロードするので、表示に要する時間が長くなるのが抑制される。
なお、図6に示したステップS24での画像表示部の上部および下部に表示されるバーチャルスライドの部分画像のデフォルトの拡大率は、予め設定された複数種類の倍率から任意に選択可能である。たとえば、デフォルトの拡大率は、10倍、20倍、40倍、60倍、100倍から選択可能である。本実施形態では、画像表示部の上部および下部に表示されるバーチャルスライドのデフォルトの拡大率として、20倍および100倍が選択されているので、それぞれ、ステップS14(図5参照)で作成された20倍の低倍率用画像52およびステップS13で作成された100倍の分割画像51を受信して動的にタイリングすることにより表示する。なお、本実施形態において、画像表示部の上部に100倍などの強拡大の細胞画像を表示するとともに、画像表示部の下部に20倍や40倍の弱拡大の細胞画像を表示するようにしてもよい。
また、ステップS24で表示されたバーチャルスライドの部分画像のスクロール(視野移動処理)を行う場合には、マウス31aなどにより、任意方向へのスクロール(視野移動)を行う。この場合、まず、ステップS24で読み込んだ画像範囲外に視野を移動させたか否かが判断される。そして、読み込んだ画像範囲外に視野を移動させたと判断された場合には、クライアント端末31からサーバ21のデータベース21aにアクセスして、サーバ21からLANケーブル4を介してクライアント端末31に、スクロール操作によって新たに表示に必要になった視野に対応する個々の部分画像(分割画像51または低倍率用画像52)を取り込む。この場合にも、画面(ウィンドウ)に表示される範囲よりも少し広い範囲の分割画像51または低倍率用画像52をサーバ21からクライアント端末31に優先して受信する。これにより、スクロール操作後に、さらに少しだけスクロール操作を行う場合に、新たな部分画像(分割画像51または低倍率用画像52)をサーバ21からLANケーブル4を介して取得することなく、先のスクロール操作の際に取得した部分画像(分割画像51または低倍率用画像52)を表示するだけでよいので、スクロール操作をより円滑に行うことが可能になる。そして、動的にタイリングしながら視野を移り変える。
上記のようにステップS24においてバーチャルスライドの部分画像を表示した後、ステップS25において、分類カウント機能が起動済みか否かを判断し、起動されていないと判断された場合には、ステップS26において、分類カウント機能を起動する。この分類カウント機能は、たとえば、マウス31aの右クリックでポップアップ表示される機能リストから分類カウントメニューを選択することにより起動する。これにより、図9の画像表示部のウィンドウに隣接する位置に、図10に示すように、分類カウント表示部が別のウィンドウとして表示される。この分類カウント表示部には、白血球の20種類の小分類のカウント数および割合(%)と、白血球の4種類の大分類(Class1〜Class4)のカウント数および割合(%)とが表示される。なお、この小分類は、「分類項目」の一例である。
ここで、図10に示した白血球の20種類の小分類は、図12に示すように、Blast(芽球)、Promyelo(前骨髄球)、Myelo(骨髄球)、Meta(後骨髄球)、 Band(杆状核球)、Seg(分葉核球)、Eosino(好酸球)、Baso(好塩基球)、Lymph(リンパ球)、A.Lymph(異型リンパ球)、Mono(単球)、EBL−Pro(前赤芽球)、EBL−Baso(好塩基性赤芽球)、EBL−Poly(多染性赤芽球)、EBL−Orth(正染性赤芽球)、Plasma(形質細胞)、 Reticulum(細網細胞)、Mast(肥満細胞)、Mitosis(有糸細胞)およびOther(その他)である。また、図10に示した白血球の4種類の大分類は、上記した20種類の小分類のうち、Blast(芽球)、Promyelo(前骨髄球)、Myelo(骨髄球)、Meta(後骨髄球)、 Band(杆状核球)およびSeg(分葉核球)が属するClass1(骨髄系)と、Eosino(好酸球)、Baso(好塩基球)、Lymph(リンパ球)、A.Lymph(異型リンパ球)およびMono(単球)が属するClass2(骨髄系以外の白血球)と、EBL−Pro(前赤芽球)、EBL−Baso(好塩基性赤芽球)、EBL−Poly(多染性赤芽球)およびEBL−Orth(正染性赤芽球)が属するClass3(赤芽球系)と、Plasma(形質細胞)、 Reticulum(細網細胞)、Mast(肥満細胞)、Mitosis(有糸細胞)およびOther(その他)が属するClass4(その他の白血球)とからなる。
なお、検査技師または検査医は、血液細胞(白血球)をカウントする際、その細胞がどの大分類に属するかを判断した後、詳細な小分類を考えるので、図12に示した大分類および小分類の階層化は、カウントする際の思考に沿っている。
また、分類カウント表示部には、サーバ21のデータベース21aから取得した検査日、依頼番号、検体番号、患者名、生年月日、性別、年齢、血液型、検体コメント等の属性情報が表示される。また、この分類カウント表示部で属性情報を入力することも可能である。属性情報を入力する場合、「検体属性入力」ボタンをクリックすることにより、入力画面(図示せず)が別のウィンドウとして表示される。この入力画面において、属性情報を入力することにより、入力した属性情報が分類カウント表示部に表示される。また、分類カウント表示部のMegakaryo(巨核球)欄には、Megakaryo(巨核球)が多い(+)か少ない(−)かを入力および表示可能である。また、分類カウント表示部では、M系細胞とE系細胞との比率を示すM/E比(M/E ratio)および合計カウント(Total)も表示される。また、分類カウント表示部の「設定」ボタンをクリックすると、小分類の項目名やその小分類がどの大分類に属するのかについての設定を行うことが可能である。
また、分類カウント表示部の「保存」ボタンおよび「OK」ボタンは、分類結果をクライアント端末31に保存するときに用いる。また、「キャンセル」ボタンは、分類結果をクライアント端末31に保存しない場合に用いる。また、「カウントDOWN」のチェックボックスは、分類結果を修正(編集)する場合に用いる。
上記した分類カウント機能を起動した後、ステップS27において、ステップS22で選択したバーチャルスライドに対して、分類カウントを行う。なお、ステップS25において、分類カウント機能が起動済みと判断された場合にも、ステップS27の分類カウントが行われる。
ここで、ステップS27におけるバーチャルスライドを用いた分類カウントの方法について詳細に説明する。本実施形態では、図10に示した画像表示部の下部に表示された100倍(強拡大)のバーチャルスライドおよび画像表示部の上部に表示された20倍(弱拡大)のバーチャルスライドを用いて分類カウントを行う。この画像表示部の上部および下部には、細胞画像の位置の基準となる位置基準線61および62が表示されている。また、画像表示部の上部および下部の上端部および左側端部には、位置基準線61および62によって区画される領域を示す文字としてのアルファベット(「A」、「B」)および数字(「1」および「2」)が表示されている。なお、位置基準線61および62は、表示/非表示の切替が可能である。
分類カウントを行う場合には、まず、画像表示部の上部に表示されたバーチャルスライド中の分類しようとする細胞の位置(細胞特定位置)63に、マウスカーソルを合わせる。そして、この細胞特定位置63でマウス31aの左ボタンを押すとともに、その左ボタンを押した状態で少しだけマウスカーソルを移動させると、図10および図11に示すように、細胞特定位置63を中心にしてほぼ円形に取り囲むように、白血球の20種類の分類細胞名(小分類)を示す文字がたとえば黒色でポップアップ表示される。この文字は、文字が表示された領域の細胞画像が視認可能なように、背景を透かした態様で表示される。
また、細胞特定位置63を通るように、ほぼ円形に表示された小分類が属する4つの大分類(Class1(骨髄系)(67)、Class2(骨髄系以外の白血球)(68)、Class3(赤芽球系)(69)およびClass4(その他の白血球)(70))を区画する互いに直交する大分類区画線64および65が表示される。また、バーチャルスライド中には、細胞特定位置63を中心にした小分類選択領域と大分類選択領域との境界を規定する正方形状の境界規定線66が表示される。この境界規定線66は、目視が容易なように、たとえば、赤色で表示される。
このように大分類および小分類が表示された状態で、マウス31aの左ボタンを押した状態を維持しながら、境界規定線66の内側の小分類選択領域内で、選択する小分類の分類細胞名を示す文字に対応する位置にマウスカーソルを移動させることにより、選択された小分類の分類細胞名(たとえば、EBL−Orth(正染性赤芽球))が黒色から赤色に反転する。これにより、小分類が選択される。また、その細胞がどの小分類に属するかの判断が困難な場合には、大分類67〜70および小分類が表示された状態で、マウス31aの左ボタンを押した状態を維持しながら、境界規定線66の外側の大分類選択領域で選択する大分類の区画領域にマウスカーソルを移動させることにより、選択された大分類に属するすべての小分類の分類細胞名が黒色から赤色に反転する。これにより、大分類が選択される。このようにして、小分類または大分類の選択が行われる。この後、マウス31aの左ボタンを離すことにより、選択された小分類または大分類がカウントされるとともに、図10の分類カウント表示部の選択された小分類または大分類に対応する項目に合計のカウント値が表示される。このカウントと同時に、カウント値、カウントされた細胞の細胞画像、位置情報、分類名、分類日時、分類者名などの分類カウント結果がクライアント端末31に保存される。この場合、細胞画像は、80dot×80dot、JPEG形式、フルカラーで保存され、位置情報としては、バーチャルスライド上の(X、Y)位置が保存される。
このように、本実施形態では、分類のカウントと同時に、カウントされた細胞の細胞画像および位置情報などがクライアント端末31に保存されるので、記憶した位置情報に基づいてその細胞画像を容易に検索する(探す)ことが可能になる。また、上記のように、バーチャルスライドがスクロール可能に表示されたクライアント端末31の画像表示部に、マウス31aのボタン操作により、白血球の20種類の小分類を含むポップアップメニューを表示させて小分類を選択し、かつ、選択された小分類に対応するカウント値を分類カウント表示部に表示することによって、バーチャルスライドのスクロール操作のみならず、小分類の選択などの分類カウント作業もマウス31aを用いて行うことが可能になるので、操作性が向上される。これにより、バーチャルスライドを用いる分類カウント作業を効率的に行うことが可能になる。また、マウス31aによる1回のクリック動作(ボタンを押して離す動作)で分類カウント作業を行うことが可能になるので、操作性がより向上される。
なお、選択された大分類を保存する際に、4つの大分類で互いに保存時の音を異ならせるようにしてもよい。これにより、視覚的のみならず、聴覚的にもどの大分類が保存されたかを認識することが可能になるので、大分類を誤って選択した場合に、その誤選択を視覚的に気付かなかった場合にも、その誤選択を聴覚的に気付くことが可能になる。これにより、分類カウント時の誤選択を減少させることが可能になる。
なお、分類カウントが保存された細胞画像には、分類カウント済みの細胞であることを示す円形のマーク(後述)が赤色で表示される。このようにして、1つの細胞についてステップS27の分類カウントが終了する。
次に、ステップS28において、選択されたバーチャルスライドについて、予め設定されたカウント数の分類カウントが終了したか否かが判断され、終了していないと判断された場合には、上記したステップS27の分類カウント動作が繰り返される。なお、分類カウントは、末梢血の場合には、100カウント程度に設定され、骨髄血の場合には、500〜1000カウント程度に設定される。このカウント数は、図10に示した分類カウント表示部のプルダウンメニューのタブ71をクリックすることにより表示される複数のカウント数の中から選択することにより設定する。また、ステップS28において、選択されたバーチャルスライドについて、予め設定されたカウント数の分類カウントが終了したと判断された場合には、ステップS29において、他の検体(バーチャルスライド)を分類するか否かを判断する。
ステップS29において、他の検体(バーチャルスライド)を分類すると判断した場合には、ステップS23〜ステップS28の動作を繰り返す。具体的には、他の検体(バーチャルスライド)を分類すると判断した場合には、図10に示した画面の上部のメニューバーの「ファイル(F)」をマウス31aでクリックすることにより、画面上にメニューリストが表示される。そして、そのメニューリスト中の「開く(O)」メニューをマウス31aでクリックすることにより、図8に示したバーチャルスライド選択画面が表示される。この状態から、上記したステップS23〜ステップS28の動作を繰り返すことにより、他の検体(バーチャルスライド)についての分類カウントが行われる。
また、ステップS29において、他の検体を分類しないと判断した場合には、ステップS30において、ステップS27の分類カウント結果をサーバ21(図1参照)にアップロードするとともに、データベース21aに登録する。具体的には、図10に示した画面の上部のメニューバーの「ファイル(F)」をマウス31aでクリックすることにより、画面上にメニューリストが表示される。そして、そのメニューリスト中の「最終登録(O)」メニューをマウス31aでクリックすることにより、クライアント端末31に保存されたそれまでの分類カウント結果がサーバ21(図1参照)に登録される。
図13は、分類結果の確認動作(再判断動作)を説明するためのフローチャートであり、図14は、分類結果の確認時に表示される画面の一例である分類名表示画面を示した図である。また、図15は、分類結果の確認時に表示される画面の他の例である分類画像参照画面(サムネイル画面)を示した図である。図13〜図15を参照して、次に、分類結果の確認動作(再判断動作)について説明する。分類カウントの確認を行う場合、まず、図13に示したフローチャートのステップS41〜S44の動作を行う。このステップS41〜S44の動作は、図6に示した分類カウント動作のステップS21〜ステップS24と同様である。すなわち、まず、ステップS41において、クライアント端末31に表示されたユーザIDおよびパスワードの入力画面(図7参照)において、ユーザIDおよびパスワードを入力して「OK」をクリックすることにより、画像表示機能を起動させる。これにより、ステップS42において、バーチャルスライド選択画面(図8参照)が表示される。次に、ステップS43において、バーチャルスライド選択画面上で分類カウント結果を確認(再判断)するバーチャルスライドを選択して「開く」をクリックする。これにより、ステップS44において、図9に示すように、画像表示部のウィンドウの上部および下部に、それぞれ、選択したバーチャルスライドの20倍および100倍の部分画像がスクロール可能に表示される。
次に、ステップS45において、分類カウント結果の確認方法の選択を行う。具体的には、所定の操作によりメニューリストに表示された[数値形式]表示、[分類名表示形式]表示または[分類画像参照形式]表示の中から分類カウント結果の確認方法を選択する。ステップS45において、[数値形式]表示を選択した場合には、ステップS46において、分類カウント機能を起動させる。具体的には、マウス31aの右クリックでポップアップ表示される機能リストから分類カウントメニューを選択することにより、図9の画像表示部のウィンドウに隣接する位置に、図10に示すように、分類カウント表示部が別のウィンドウとして表示される。そして、ステップS47において、分類カウント表示部により、分類カウント結果を数値形式で確認する。
また、ステップS45において、[分類名表示形式]表示を選択した場合には、ステップS48において、図14に示すような分類名表示画面が起動される。この分類名表示画面では、分類名表示部と分類カウント表示部とが表示される。図14に示す分類名表示部には、図10に示した画像表示部と同様の細胞画像が表示されるとともに、分類カウントされた各細胞画像の近傍に小分類または大分類の分類名が表示される。これにより、細胞画像と、その細胞画像についてカウントされた分類名と、その細胞画像の周辺の画像とを見ながら、その細胞画像を再判断する作業を行うことが可能になる。また、分類カウントされた各細胞画像には、分類カウントされた細胞であることを示す識別マークとしての円形のマーク72が赤色で表示されている。なお、分類名表示部の分類名および円形のマーク72は、表示/非表示の切り替えが可能である。そして、ステップS50において、分類名表示部に表示された細胞画像およびその細胞画像に対応する分類名に基づいて、分類カウント結果を確認または再判断する。そして、ステップS51において、分類カウントの修正(編集)を行うか否かを判断する。
ステップS51において、分類カウントの編集(修正)を行うと判断した場合には、ステップS52において、分類結果編集フロー(図16のステップS61)に進む。そして、図16のステップS61において、分類結果を修正する。具体的には、まず、分類カウント表示部(図14参照)のカウントダウン(カウントDOWN)にマウスカーソルを合わせてチェックを入れた状態で、修正すべき細胞画像の赤色の円形のマーク72をクリックすることにより、その細胞画像の分類カウント結果が削除される。その後、カウントダウン(カウントDOWN)にマウスカーソルを合わせてチェックを外す。そして、図10に示した分類カウント時の方法と同様の方法により、修正すべき細胞画像を新たに分類カウントし直す。そして、ステップS62において、分類結果の修正が終了したか否かを判断する。そして、終了したと判断した場合には、ステップS63において、ステップS30(図6参照)と同様の方法により、修正済みの分類カウント結果をサーバ21(図1参照)にアップロードするとともに、データベース21aに登録する。これにより、分類名表示画面における分類結果編集動作が終了する。
図13のステップS51において、分類結果を編集しないと判断した場合には、ステップS53において、他の分類カウント結果を確認するか否かを判断する。ステップS53において、他の分類カウント結果を確認しないと判断した場合には、そのまま終了し、確認すると判断した場合には、ステップS43以降の動作が行われる。
また、ステップS45において、[分類画像参照形式]表示を選択した場合には、ステップS49において、図15に示すような分類画像参照画面(サムネイル画面)が起動される。この分類画像参照画面では、分類画像一覧表示部(サムネイル表示部)と分類カウント表示部とが表示される。分類画像一覧表示部(サムネイル表示部)には、分類カウントされた各細胞画像の一覧が表示されるとともに、各細胞画像毎に小分類または大分類の分類名が表示される。これにより、容易に、一覧表示された細胞画像の中から、再度判断(確認)すべき細胞画像を検索することが可能になる。そして、ステップS50において、分類画像一覧表示部により、分類カウント結果を確認または再判断する。なお、一覧の中から再度判断すべき細胞画像をクリックすることにより、図15の分類画像一覧表示部に代えて図14の分類名表示部が表示され、記憶されたその細胞の位置情報に基づいて、分類名表示部のバーチャルスライド上の中心位置に、クリックされた細胞画像に対応する細胞が表示される。これにより、再度判断すべき細胞画像とその細胞画像の周辺の細胞画像とを含む標本画像が表示されるので、容易に、その細胞画像を再度判断する作業を行うことが可能となる。そして、ステップS51において、分類カウントの修正(編集)を行うか否かを判断する。
ステップS51において、分類カウントの編集(修正)を行うと判断した場合には、ステップS52の分類結果編集フロー(図16のステップS61)に進む。分類画像一覧表示部(サムネイル表示部)において、分類結果を修正する場合には、まず、修正すべきサムネイル画像を選択した後、マウス31aの右ボタンを押すことにより表示させた削除メニューを選択することによって、細胞画像の分類カウントを消去する。そして、図10に示した分類カウント時の方法と同様のマウス操作により、修正すべき細胞画像を新たに分類カウントし直す。すなわち、サムネイル画像中の分類する細胞の位置にマウスカーソルを合わせてマウスの左ボタンを押した状態で少しだけマウスカーソルを移動させることにより、分類細胞名(小分類)を示す文字を表示させた後、マウスカーソルを小分類選択領域内でさらに移動させることにより、分類細胞名(小分類)を選択する。その後、マウスの左ボタンを離すことにより、図15の分類カウント表示部の選択された小分類に対応する項目に数字がカウントされるとともに、カウントされた細胞の細胞画像、位置情報、分類名、分類日時、分類者名などの分類カウント結果がクライアント端末31に保存される。なお、サムネイル画像のみで再判断が困難な場合には、修正すべきサムネイル画像をクリックすることにより、バーチャルスライド上のその細胞の位置に移動させた後、図10に示した分類カウント時の方法と同様のマウス操作により、修正すべき細胞画像を新たに分類カウントし直す。その後、ステップS62において、分類結果の修正が終了しているか否かを判断する。そして、終了したと判断した場合には、ステップS63において、ステップS30(図6参照)と同様の方法により、修正済みの分類カウント結果をサーバ21(図1参照)にアップロードするとともに、データベース21aに登録する。これにより、分類画像一覧表示部(サムネイル表示部)における分類結果編集動作が終了する。
なお、ステップS51において分類結果を編集しないと判断した場合の動作は、上記した分類名表示画面における場合の動作と同様である。
次に、図17を参照して、バーチャルスライドデータの運用ネットワークの一例について説明する。図17に示した運用ネットワークは、バーチャルスライドおよび分類カウント結果が格納されたデータベース21aを含むサーバ21と、検査技師、検査医および臨床医の各クライアント端末31とが、LAN、インターネットや専用線(図示せず)により接続されている。サーバ21のデータベース21aに保存されたバーチャルスライドや分類カウント結果は、検査技師、検査医および臨床医の各クライアント端末31により、閲覧できるように構成されている。これにより、検査技師と検査医と臨床医とが、ネットワークを介して、情報交換できるように構成されている。
図17を参照して、典型的な運用の流れとしては、まず、サーバ21のデータベース21aから分類カウントを行うべきバーチャルスライドを検査技師のクライアント端末31に取り込むか、または、サーバ21からクライアント端末31にバーチャルスライドをリアルタイムで配信する。そして、検査技師は、マウス31aを有するクライアント端末31に表示されたバーチャルスライドを用いて分類カウントを行う。また、検査技師は、必要に応じて、分類カウント結果の修正(編集)を行う。そして、検査技師は、その分類カウント結果を、ネットワークを介して、サーバ21のデータベース21aに保存する。一方、検査医は、そのサーバ21のデータベース21aに保存された分類カウント結果をクライアント端末31に取り込んで確認および再判断を行うとともに、必要に応じて、分類カウント結果の修正(編集)を行う。そして、分類カウント結果の修正を行った場合には、検査医は、サーバ21のデータベース21aに修正済みの分類カウント結果をアップロードする。また、検査医は、ネットワークを介して、分類カウント結果に関して、検査技師から相談を受ける(コンサルテーション)とともに、検査技師への指導を行う。この場合、検査技師および検査医のクライアント端末31のそれぞれに図14に示した分類名表示画像を表示させた状態で相談および指導を行うことによって、分類名表示画面の分類名表示部には、細胞画像の位置の基準となる位置基準線61および62(図14参照)と、位置基準線61および62によって区画される領域を示す文字(アルファベットおよび数字)とが表示されるので、位置基準線61および62と区画される領域を示す文字とを用いて細胞の位置を容易に特定することができる。その結果、検査医と検査技師との間での相談および指導を円滑に行うことができる。
また、検査医による分類カウント結果の確認または編集後、臨床医は、その分類カウント結果を、ネットワークを介して、サーバ21のデータベース21aから臨床医のクライアント端末31に取り込んで確認する。そして、臨床医は、ネットワークを介して、分類カウント結果に関して検査医と意見交換(ディスカッション)を行う。この臨床医と検査医とのディスカッションの際にも、図14に示した位置基準線61、62および区画される領域を示す文字を含む分類名表示画面を表示させることにより、細胞の位置を容易に特定することができる。これにより、臨床医と検査医とのディスカッションを円滑に行うことができる。
本実施形態では、上記のように、クライアント端末31に、細胞形態が認識可能な倍率で撮影されたバーチャルスライドをスクロール可能に表示するとともに、分類カウント時に、バーチャルスライド中の所定の細胞の少なくとも位置情報を記憶することによって、その位置情報に基づいてその細胞画像を容易に検索する(探す)ことができるので、その細胞画像を再度判断する作業を容易に行うことができる。
また、本実施形態では、分類カウントと同時に分類済の細胞の細胞画像および位置情報を記憶することにより、容易に、分類済の細胞の細胞画像および位置情報を記憶することができる。
また、本実施形態では、上記のように、サーバ21のデータベース21aに保存された部分画像(分割画像51または低倍率用画像52)のうち、クライアント端末31における表示に必要な部分画像(分割画像51または低倍率用画像52)を優先してサーバ21からLANケーブル4を介して取得して表示することによって、表示のためにクライアント端末31において、一度に大きなサイズの画像データを受信する必要がなく、表示に必要な部分画像(分割画像51または低倍率用画像52)の画像データを優先して受信すればよいので、表示に要する時間が長くなるのを抑制することができる。これにより、通信ストレスを低減することができる。また、クライアント端末31での表示のスクロール操作に応じて、スクロール操作に起因して表示に必要になった部分画像が未だクライアント端末31に配信されていない場合には、必要になった部分画像を優先してサーバ21からLANケーブル4を介して取得して表示することによって、スクロール操作の際にも、表示のために一度に大きなサイズの画像データを受信する必要がなく、表示に必要な部分画像(分割画像51または低倍率用画像52)の画像データを優先して受信すればよいので、表示に要する時間が長くなることに起因するスクロール動作の遅延を抑制することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、本発明を血液細胞画像の表示方法に適用する例について説明したが、本発明はこれに限らず、血液細胞画像以外の標本画像の表示方法としても同様に適用可能である。
また、上記実施形態では、ポインティングデバイスの一例としてのマウスを用いて細胞の位置情報および細胞画像を記憶するようにしたが、本発明はこれに限らず、他のポインティングデバイスを用いて細胞の位置情報および細胞画像を記憶するようにしてもよい。他のポインティングデバイスとしては、操作面に露出したボールを手で回転させることによりカーソルを移動させるトラックボール、平面のプラスチック板を指でなぞることによりカーソルを移動させるトラックパッドや、専用の台の上でペンなどの小型の指示装置を移動させることによりカーソルを移動させるタブレットなどが挙げられる。
また、上記実施形態では、分類カウントを行う際に、マウスを用いて血液細胞の分類を選択するようにしたが、本発明はこれに限らず、キーボードとマウスとを併用することにより、血液細胞の分類を選択するようにしてもよい。たとえば、キーボードにより大分類を選択した後、その大分類に属する小分類をマウスカーソル位置にポップアップメニューで表示し、そのポップアップメニューの中からマウスの操作により小分類を選択するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、分類カウントの際に、マウスカーソルを細胞に合わせた後、マウスの左ボタンを押した状態で少しだけマウスカーソルを移動させることにより、左ボタンを押した位置を取り囲むように、分類細胞名(小分類)を示す文字が表示されるようにしたが、本発明はこれに限らず、マウスカーソルを細胞に合わせた後、マウスの左ボタンを押すだけで、押した位置を取り囲むように、分類細胞名(小分類)を示す文字が表示されるようにしてもよい。このように構成すれば、分類カウント動作の操作性をより向上させることができる。また、マウスの左ボタンを押した位置を取り囲むように分類細胞名(小分類)を示す文字を表示する際に、円形以外の四角形状などの形状で取り囲むように表示してもよい。
また、上記実施形態では、分類カウントを行う際に、マウスの左ボタンを押した状態で、マウスカーソルを選択する分類の対応する位置に移動させることにより、小分類または大分類の選択を行った後、マウスの左ボタンを離すことにより、分類結果をカウントするようにしたが、本発明はこれに限らず、マウスをクリックするだけで、1つ前と同じ分類結果をカウントするか、または、1つ前と同じ分類結果を画面に表示するようにしてもよい。このように構成すれば、1つ前の細胞と同じ分類に属する細胞を分類カウントする場合の作業をより簡略化することができるので、バーチャルスライドを用いる分類カウント作業をより効率的に行うことができる。
また、上記実施形態では、白血球を分類カウントする場合について説明したが、本発明はこれに限らず、白血球以外の血液細胞を分類カウントする場合にも、同様に適用可能である。
また、上記実施形態では、図1に示した構成において、自動ステージ制御用端末、サーバおよびクライアント端末をLANケーブルに接続することによってネットワークを構成する例を示したが、本発明はこれに限らず、LANケーブルに代えてインターネット回線や専用線を用いることも可能である。
また、上記実施形態では、自動ステージ制御用端末でフォーカス合成および画像タイリングを行った後、作成したバーチャルスライドをサーバに保存する例を示したが、本発明はこれに限らず、自動ステージ制御用端末でフォーカス合成を行った後、そのフォーカス合成画像をサーバに保存し、サーバにおいて画像タイリングを行うことによりバーチャルスライドを作成するようにしてもよい。