JP4785104B2 - 薄肉成形体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、一方の面に高純度アルミニウムまたはアルミニウム合金を有し他方の面に電磁シールド性の優れた素材を有する薄肉成形体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子回路部品・素子の高集積化・高密度化等を背景にして、携帯電話機等の小形通信機器,ノート型あるいはモバイル型パソコン等の小形事務機器,その他多くの用途において、小型化・軽量化が盛んに試みられており、それら機器の筐体などにも小型化・軽量化が求められている。
高純度アルミニウムまたはアルミニウム合金(以下まとめてアルミという)や高純度マグネシウムまたはマグネシウム合金(以下まとめてマグネという)は、現在実用化されている金属材料の中で比重が小さい材料で、軽量化材料として各種用途、特に上記した携帯用の電子機器の筐体としてダイカスト法やチクソモールド法などの鋳造法で成形された筐体が使用されている。最近は軽量化とファッション性でマグネの筐体が採用されているが、酸化し易いため、表面の防食処理に気を付けなけねばならない。この点、アルミは、マグネほど酸化が激しくはないが、マグネに比べると、密度が大きく、軽量化に対してはマグネほどは貢献しない。
【0003】
しかし、マグネは、塑性加工が難しいので、現在では主に鋳造により成形体を得られている。マグネ溶湯を鋳造して得られる成形体は、その製法上の制約から、比較的厚肉のものに限定される。また、その製造過程中において、鋳造欠陥や酸化物を内部および表面に介在させてしまう恐れが大きい。もしも、これら欠陥等が介在していると、機械的強度の点で問題があり、また耐食性等についても問題が発生する。
マグネからなる薄肉成形体を得る他の方法として、マグネの薄板素材からの絞り加工が考えられる。マグネの薄板の絞り加工について開示されている文献としては、例えば、特開平6−55230号公報,特開平6−328155号公報などがある。これらの公報には、ポンチ、フランジ部共に表面温度が175℃以上、500℃以下の温度範囲に加熱された金型を用いて成形すると、マグネの薄板の深絞り成形が可能となることが開示されている。しかし、マグネの単一材の深絞りに関しての記載はあるが、鍛造加工による成形についての開示や示唆は無く、ましてクラッド材の鍛造加工についての示唆は全くない。
【0004】
クラッド材に関しては、特開平8―164488号公報に、多層クラッド板を成形し、それを用いた中空剛性ボードの製造方法がある。クラッドする際に圧着補助剤および圧着防止剤を用いることが、開示されているが、圧着補助剤は、Mg量が0.5%以下のアルミニウム合金としている。また、圧着方法は、熱間圧延方法を採用している。
【0005】
また、別のクラッドに関するものとして、特開平9―108851号公報および特開平9―108851号公報に、ステンレス鋼とアルミニウムの熱間固相接合で接合する記載がある。これは、フェライト系ステンレス鋼とアルミニウム又はアルミニウム合金板からなるクラッド板とアルミニウム又はアルミニウム合金板を熱間固相接合するので、常温時における容器底面の曲率が所望の寸法となり、寸法精度が高く、安定性が優れた容器を製造することが目的である。
【0006】
また、マグネシウム合金の素材に防食処理を施す公知例としては、特開2000―199089号公報に、マグネシウム合金を素材として形成したキャビネット構成材の外表面に、互いに異材質で形成された複数層の成膜層を形成し、この成膜層の表面に樹脂コーテイング層を形成、マグネシウム合金に防食加工することにより、マグネシウム合金特有の腐食性を防止し、極めて高級感あふれる金属表面を実現でき、長期間にわたって安定した性能を期待できることが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようにマグネで、筐体を成形すると、防食性に十分配慮しなくてはならないし、特に、人の手で触る携帯用電子機器に関しては、殊更防食に留意する必要がある。また、外観には、美感を高めることも必要である。
また、美観を高めるための二層構造の材料として、装飾性、耐食性に富み比較的軽量で量産可能な建材として、特開平4―238990号公報に適宜形状に成形したアルミ材にこのアルミ材の形状に対応する形状に成形したステンレス材を被装する記載があるが、建築材料であり、電子機器とは異なっている。
【0008】
一方、携帯用電子機器から発生する電磁波は、アンテナなどの先端から放射される以外に、筐体内の本体の回路からも放射されて、それらが筐体外に漏出されていることが知られている。電磁波の人体に与える影響については、まだ明確ではないが、何らかの好ましくない影響があることも懸念される。また、電磁波により、他の電子機器に対し誤動作を起こさせる恐れもある。このため、電子機器特に携帯電話、デジタルカメラ、モバイルパソコンなどの電子機器には、電磁波対策を講じることが必要である。
【0009】
本願発明は、かかる従来技術における問題点等を解消するためになされたものであり、表面で人の手に触れる部分には耐食性の比較的良いアルミを用い、裏面には電磁シールド性の良い合金の材料で形成された薄肉成形体およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、上記目的を達成するために、種々の加工方法について検討を行った結果、一方の面をアルミの薄板で、他方の面に電磁シールド性の高い金属材料を配し、または、両方の金属の接合強さを増すために、中間に拡散層を形成する材料を介し、これを鍛造加工することにより、目的とする薄肉の成形体を作製できることを知見し、本願発明を完成したものである。特に裏面にアルミより軽いマグネを用いると軽量化にも貢献する。
【0012】
すなわち、具体的には、第一発明の薄肉成形体は、一方の面に高純度アルミニウムまたはアルミニウム合金を有し、亜鉛または亜鉛合金からなり厚さが1μm〜500μmの中間介在物を介した他方の面には、電磁シールド性の高い金属(高純度マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金)を配し、鍛造により形成されたことを特徴とする。
【0019】
第ニ発明の薄肉成形体は、第一発明における前記成形体の少なくとも一方の面に凸部を有することを特徴とする。
【0020】
次に、第三発明の薄肉成形体の製造方法は、アルミの薄板と電磁シールド性の高い金属(高純度マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金)の薄板の中間に介在物を配した素材を、100〜540℃の鍛造温度で、10〜500mm/秒の鍛造速度と、100〜3000N/mm2での成形荷重を負荷しながら75%以下の圧下率で鍛造加工により成形することを特徴とする。
【0021】
第四発明の薄肉成形体の製造方法は、アルミの薄板と電磁シールド性の高い金属(高純度マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金)の薄板の中間に介在物を配した素材を、100〜540℃の鍛造温度で、10〜500mm/秒の鍛造速度で鍛造加工することにより75%以下の圧下率で周壁部を有する有底形状荒鍛造成形体に成形する荒鍛造工程と、荒鍛造工程で得られた荒鍛造成形体を100〜540℃の鍛造温度で、100〜3000N/mm2 の成形荷重を負荷しながら圧下率30%以下の鍛造加工をする仕上鍛造工程とにより成形することを特徴とする。
【0022】
第五発明の薄肉成形体の製造方法は、成形される素材が、高純度のアルミニウムの薄板またはアルミニウム合金の薄板と電磁シールド性の高い金属(高純度マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金)の薄板とを、拡散層を形成する中間介在物を介し予めクラッドしてあることを特徴とする。このクラッドされた金属薄板は所定の形状にブランキングしてあってもよい。
【0023】
第六発明の薄肉成形体の製造方法は、第三の発明乃至第五の発明において、前記鍛造温度を100〜350℃として、荒鍛造または仕上鍛造などの鍛造加工を行うことを特徴とする。特に中間介在物が亜鉛または亜鉛合金である場合には、鍛造温度は100〜350℃が望ましい。これは、亜鉛は、100℃未満では延性に乏しく、また融点が419℃と低いため、350℃を超えると溶け出してしまう恐れがあるからである。
【0024】
第七発明の薄肉成形体の製造方法は、第三発明乃至第六発明において、前記中間に配する介在物が薄膜であることを特徴とする。
【0025】
第八発明の薄肉成形体の製造方法は、第七発明において、前記薄膜が亜鉛薄膜または亜鉛合金薄膜であることを特徴とする。
【0026】
第九発明の薄肉成形体の製造方法は、第三発明乃至第八発明において、前記中間に配する介在物が、高純度アルミニウムまたはアルミニウム合金と電磁シールド性の高い金属(高純度マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金のいずれか)との少なくとも合わせ面に両方あるいは片方のどちらかに予め蒸着またはめっきされていることを特徴とする。
【0027】
第十発明の薄肉成形体の製造方法は、第九発明において、前記中間に配する介在物の蒸着またはめっきされている材質が、亜鉛または亜鉛合金であることを特徴とする。
【0029】
本願発明において、裏面の電磁シールド性の高い合金としては、マグネまたは銅合金等が適している。また、チタン、或いはチタン合金でも適用可能である。
軽量化を図る上ではマグネが好ましい。中間介在物としては、拡散層を作りやすい亜鉛であることが好ましい。
【0030】
上記の素材薄板は、目的とする薄肉成形体の底部面積とほぼ同じ若しくはやや大きい程度の形状に作製した素材の薄板を使用することが好ましい。薄板素材が大きすぎる場合には、成形体隅部にしわ等の欠陥が発生しやすく、また材料歩留まりも悪くなる。一方、小さすぎる場合には、隅部や周壁部のボスにおいて良好なメタルフローが得られず、充填不足や欠けなどが発生して良好な性状のボス部が形成できなくなることがある。
【0031】
本願発明において、アルミの薄板と電磁シールド性の良い合金薄板素材または荒鍛造成形体は、加熱して鍛造用金型内に載置する。薄板素材は、鍛造温度に適した温度の100〜540℃(炉内雰囲気温度)に均一加熱する。100℃未満の温度では鍛造時のメタルフローが円滑に得られず、ポンチとダイから構成される空間部に薄板素材の合金が充満して展伸しないので、薄肉化が困難であると共に隅部や周壁部のボスを良好に形成することが出来ないことが多い。一方、540℃を超えると結晶粒の粗大化を招き、また、加工率によっては発火し燃焼する恐れもあるので、540℃を上限温度とする。好ましくは、中間介在物に亜鉛または亜鉛合金を用いる場合には100〜350℃が好ましい。
上記本願発明において、合金薄板素材または荒鍛造成形体の加熱は、大気中で行うと表面が酸化して、鍛造性,耐食性,外観等に悪影響を及ぼす恐れがある。このため、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気で行うことが望ましい。また、予備加熱には、雰囲気の制御がし易い電気式加熱炉を用いると良い。
【0032】
本願発明において、鍛造加工は、成形荷重100〜3000N/mm2 、鍛造速度1〜500mm/秒の条件で鍛造加工することが望ましい。すなわち、鍛造速度が500mm/秒を越えるような速い速度の場合には、メタルフローが鍛造速度に円滑に追随できなくなり、メタルフローに乱れを生じて所望の形状が得られなくなるので、鍛造速度の上限は500mm/秒とする。一方、1mm/秒未満の鍛造速度では、薄板素材の温度が低下して良好な鍛造精度のものが得にくく、また生産性の低下も招くので、鍛造速度の下限を1mm/秒とする。
本願発明において、生産性を重視する荒鍛造加工は10〜500mm/秒の鍛造速度で行い、成形性を重視する仕上鍛造加工は1〜200mm/秒の鍛造速度で行うことが好ましい。
【0033】
本願発明において、3000N/mm2 を超える成形荷重を負荷した場合には、製品および金型への負荷が過大となるため、成形荷重の上限を3000N/mm2 とする。一方、100N/mm2 未満の成形荷重では成形しにくくなるため、成形荷重の下限を100N/mm2 とする。
また、本願発明において、特に成形荷重が必要となる荒鍛造では300〜3000N/mm2 成形荷重が小さくても十分である仕上鍛造では100〜3000N/mm2 とすることが望ましい。
本願発明において、荒鍛造加工時の圧下率を75%以下としたのは、75%を越える圧下率で鍛造した場合は、特にマグネの場合は、加工による発熱が付加されて、発火・燃焼する恐れがあるためである。安全性を考慮すれば、荒鍛造時の圧下率は、50%以下とするのが好ましい。一方、仕上鍛造加工においては、荒鍛造加工時の比較的大きな立ち上がり角部の半径を、目標とする極めて小さな半径に成形するなど、加工量よりも成形性が重要なため、圧下率は50%以下,好ましくは30%以下とするのがよい。このようにすることにより、成形体の加工硬化を最小限に押さえることができる。
【0034】
本願発明による薄肉成形体は、鍛造加工後に、所望のトリミング、打ち抜き加工及び機械加工を施し、更に、仮防食、塗装や陽極酸化皮膜処理を行うことが望ましい。アルミやマグネの鍛造品は、表面性状が良く金属光沢に優れるが、鍛造後に酸化して表面が金属光沢を失う恐れがあるためである。特に本願発明による薄肉成形体は、アルミである外表面が粗度に優れており、底部および/または側壁部の外側表面に陽極酸化皮膜処理を施すことにより金属素地自体の光沢を活かした成形体を実現できる。また、アルミは、化成被膜を付ける際に、外表面の色合いも種々の色を選択できる。
【0035】
アルミの硫酸浴交流アルマイトを金属塩浸漬着色したときの色としては、酒石酸ナトリウム・アンチモンではオレンジ色、クエン酸アンモニウム・ビスマスでは黄褐色、硫酸銅では緑、酢酸コバルトでは黒、酢酸カドミウムではカナリヤ・イエローなど周知の金属塩に浸漬させれば、好みの色を選択できる。
【0036】
アルミの薄板としては、JISに規定されている1000番台、5000番台、6000番台の薄板などが適用可能であり、マグネの薄板は、MP1,MP4などが適用可能である。しかし、薄板の材質は上記の材質に限られるものではない。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下本願発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態)
図2は、本願発明により作製しようとする薄肉成形体の一例を説明するための概略構成斜視図である。図2において、1は周壁部3および隅部にボス4a、4bおよび5を持つ薄肉成形体であり、基本的な形状として、底部2と周壁部3を有し、図3に示すA−A断面のように、ほぼ凹状の成形体である。また、底部2および周壁部3の肉厚tが1.5mm以下と極めて薄肉である。
【0038】
図1は、本願発明の製造方法を実施するための荒鍛造用金型の一例を示す概略構成説明図である。図1において、10はアルミの薄板で、8は中間に配された中間介在物で、9は電磁シールド性の良い金属薄板である。二つの重ね合わせた形態の素材を合金薄板素材11とする。電磁シールド性の良い金属材料としては、マグネが、軽量化という観点からも最適であるが、この他、銅、銅合金、チタン、チタン合金なども適用可能である。中間介在物8としては、鍛造工程中に拡散層を形成しやすい亜鉛の箔、薄板が最適であるが、これに限られることはない。中間介在物8による拡散層ができることにより、アルミの薄板10と電磁シールド性のよい金属薄板9との密着度が高まる。ここでは中間介在物8を配しているが、アルミと電磁シールド性の良い金属の合わせ面の面粗度をある程度高くしておけば、鍛造条件を選択することにより中間介在物を用いなくとも、必要な接合強度を得ることができる。
前記合金薄板素材11は、下金型12に設けられた凹部(以下、「ダイ部」とも称す)13上に載置される。上金型15にはポンチ17と呼ばれる凸部が有り、このポンチ17には、周壁部や隅部にあるボス4a、4b、や5に相当する位置に窪み18a、18bが設けられている。図1では、底面部寸法よりも少し大きな形状の合金薄板素材11を使用して凹部13の底面との間に若干隙間があるように設置されているが、本願発明は、このような戴置方法に限定されるものではない。
戴置位置は使用する合金薄板素材11の形状寸法に応じて定められ、凹部13の底面に接するように載置したり、凹部13を覆うようにして凹部13の上端部に戴置しても良い。
使用する合金薄板素材11は、目標とする薄肉成形体1の肉厚t、周壁部3の高さ,金型温度および圧下率などの鍛造条件などから、適正な厚さと大きさのものを選択する。通常、得ようとする薄肉成形体1の底部形状よりも少し大きめの合金薄板素材11を使用することが好ましい。
【0039】
仕上鍛造工程の金型(図示せず)も荒鍛造工程の金型とほぼ同じ構成である。仕上鍛造工程金型は、最終製品となる寸法に仕上がるよう、仕上しろ、削りしろなどを付加した寸法となっている。
なお、上記鍛造加工により得られた薄肉成形体1には、通常周壁部3の上端部等に鍛造バリが発生しているので、パンチ等により鍛造バリを除去するトリミングを行うことが必要である。また、必要に応じて、所望の箇所に適宜機械加工を施す。
薄肉成形体1は、鍛造後においても酸化して金属光沢を失うおそれがあるので、仮防食、塗装等の表面処理を行うが、特に、陽極酸化皮膜処理により酸化皮膜を形成することで、通常行われている塗装では得られない優れた防食性および合金素地を生かした金属光沢を有する薄肉成形体1とするのが好ましい。特に、アルミの化成処理は、種々あり、好みの色を出す化成処理を選択することで、防食性がよく、外観も美観を備えた薄肉成形体1とすることができる。
【0040】
【実施例】
(実施例1)
まず、下金型の凹部(ダイ部)13を持つ下金型12と、周壁部ボス4a、4b、隅部ボス5に対応する部分の窪み18a、18bを持つ上金型の凸部(ポンチ部)17を有する荒鍛造用金型、および、図示しないが、下金型の凹部(ダイ部)を持つ下金型と、荒鍛造金型と同じ位置に設けた夫々の隅部ボス、または周壁部ボスに対応する窪みを有する上金型の凸部(ポンチ部)を持つ仕上鍛造用金型とを準備した。
【0041】
次に、板厚0.8mm、75×100mmのアルミニウム合金薄板JIS1050と板厚0.8mmの平板状AZ31Bマグネシウム合金薄板の中間に、亜鉛の0.2mmの薄板を配した合金薄板素材をアルゴンガスで充満した電気式加熱炉内に装入し、250℃に均一加熱した。次いで、素材を電気式加熱炉内から取り出し、下金型のダイ部に載置し、金型温度250℃,鍛造速度200mm/秒,成型荷重1000N/mm2 の鍛造条件で荒鍛造を行った結果、底部の概略面積が60×90mm、周壁部の有効高さが8mm、肉厚1.4mm、隅部ボスおよび周壁部ボスを持つ外観上欠陥のない荒鍛造成形体が得られた。
【0042】
次に、得られた荒鍛造成形体を電気式加熱炉に装入して250℃に加熱し、金型温度250℃、鍛造速度50mm/秒、成形荷重1000N/mm2 の鍛造条件で仕上鍛造を行った結果、底部の面積が60×90mm、周壁部の有効高さが8mm、主要部の肉厚が1.2mm、隅部ボスおよび周壁部ボスを有する外観上欠陥のない薄肉成形体を得ることができた。
【0043】
(実施例2)
実施例1と同じ荒鍛造金型、仕上鍛造金型を準備した。
一方の面には板厚0.8mmの高純度アルミニウムを、他方の面に銅合金で板厚0.8mm、中間介在物として厚さ0.2mmの亜鉛薄板(箔)で、大きさが夫々75×100mmのものを準備し、電気式加熱炉で大気雰囲気中で350℃に均一に加熱し350℃の荒鍛造金型でたの鍛造条件は実施例1と同じで荒鍛造を行った。更に、得られた荒鍛造成形体を、荒鍛造と同じく温度条件を夫々350℃とし、他の条件は実施例1と同じ条件で仕上鍛造を行った。この場合も実施例1と同じく底部の面積が60×90mm、周壁部の有効高さが8mm、主要部の肉厚1.2mm、隅部ボスおよび周壁部ボスを有する外観上欠陥の無い薄肉成形体を得ることが出来た。
【0044】
【発明の効果】
本願発明による薄肉成形体は、人の手が触れる表面が高純度アルミニウムまたはアルミニウム合金であり、化成処理を施すことで、強い耐食性と、好みの色彩を選択でき、裏面には電磁シールド性の良い合金を配しているので、電子機器用の筐体に最適である。特に裏面にマグネシウム合金を使用した場合は、軽量化でも貢献が大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の製造方法に係る荒鍛造用金型の要部概略構成説明図である。
【図2】本願発明に係る薄肉成形体の一例を示す概略構成斜視図である。
【図3】図2のA−A断面を示す模式図である。
【符号の説明】
1 薄肉成形体
2 底部
3 周壁部
4a、4b ボス(周壁部)
5 ボス(隅部)
8 中間介在物
9 電磁シールド性の良い金属薄板
10 アルミの薄板
11 合金薄板素材
12 下金型
13 下金型の凹部(ダイ)
15 上金型
17 上金型の凸部(ポンチ)
18a、18b ボス部に対応するポンチの窪み
t 成形体肉厚
Claims (10)
- 一方の面に高純度アルミニウムまたはアルミニウム合金を有し、亜鉛または亜鉛合金からなり厚さが1μm〜500μmの中間介在物を介した他方の面に電磁シールド性の高い金属(高純度マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金のいずれか)を配し、鍛造により形成されたことを特徴とする薄肉成形体。
- 前記成形体は、少なくとも一方の面に凸部を有することを特徴とする請求項1に記載の薄肉成形体。
- 高純度アルミニウムの薄板またはアルミニウム合金の薄板と電磁シールド性の高い金属(高純度マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金のいずれか)の薄板の中間に介在物を配した素材を、100〜540℃の鍛造温度で、10〜500mm/秒の鍛造速度と、100〜3000N/mm2 の成形荷重を負荷しながら75%以下の圧下率で鍛造加工により成形することを特徴とする薄肉成形体の製造方法。
- 高純度アルミニウムの薄板またはアルミニウム合金の薄板と電磁シールド性の高い金属(高純度マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金のいずれか)の薄板の中間に介在物を配した素材を、100〜540℃の鍛造温度で、10〜500mm/秒の鍛造速度で鍛造加工することにより75%以下の圧下率で周壁部を有する有底形状荒鍛造成形体に成形する荒鍛造工程と、荒鍛造工程で得られた荒鍛造成形体を100〜540℃の鍛造温度で、100〜3000N/mm2 の成形荷重を負荷しながら圧下率30%以下の鍛造加工をする仕上鍛造工程とにより成形することを特徴とする薄肉成形体の製造方法。
- 前記素材は、高純度のアルミニウムの薄板またはアルミニウム合金の薄板と電磁シールド性の高い金属(高純度マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金のいずれか)の薄板とを、拡散層を形成する中間介在物を介し予めクラッドし、所定の形状にブランキングしてあることを特徴とする請求項3または4記載の薄肉成形体の製造方法。
- 前記鍛造温度が100〜350℃であることを特徴とする請求項3乃至5記載の薄肉成形体の製造方法。
- 前記中間に配する介在物が、薄膜であることを特徴とする請求項3乃至6に記載の薄肉成形体の製造方法。
- 前記薄膜が、亜鉛薄膜または亜鉛合金薄膜であることを特徴とする請求項7に記載の薄肉成形体の製造方法。
- 前記中間介在物が、高純度アルミニウムまたはアルミニウム合金と電磁シールド性の高い金属(高純度マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金のいずれか)との少なくとも合わせ面の両方あるいはどちらかに予め蒸着またはめっきされていることを特徴とする請求項3乃至8に記載の薄肉成形体の製造方法。
- 前記蒸着またはめっきされている中間介在物が、亜鉛または亜鉛合金であることを特徴とする請求項9に記載の薄肉成形体の製造方法。
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