JP4785040B2 - 光波形成型器 - Google Patents
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Description
CPF光波形成形器を構成する異常分散ファイバとして、従来は通常の伝送用シングルモードファイバ(SMF)が用いられていた。ここでいうシングルモードファイバ(SMF)は,ITU−T勧告におけるG652型光ファイバのことを指している。
T. Inoue et al., "Design of comb-like profiled fiber for efficient pulse compression based on stationary rescaled-pulse propagation," Proc. OFC2005, JWA7 (2005).
また、CPF光波形成形器では、伝搬光が光波形成型器の設計波長から離れると異常分散ファイバの2次分散β2の波長依存性により累積分散値が異なるので、従来の構造では光波形成型器が正常動作する波長範囲がかなり狭まかった。ここで、分散値Dは、群遅延量β1が波長λに対して変化する値でありdβ1/dλで定義されるが、正確には,光波形成型器の特性は,群遅延量β1が周波数ωに対して変化する量、つまりdβ1/dωで定義される2次分散β2の累積値で特性が決定されるので、パルス圧縮動作の波長依存性を議論する場合には、2次分散β2の波長依存性で議論する。
一方、高非線形ファイバの分散の波長依存性は、それ自体の分散が非常に小さいため、パルス圧縮動作の波長依存性にほぼ無関係である。
本発明の第2の態様は、波長1550nm付近の任意の波長範囲を設定し、前記波長範囲内のある波長における2次分散値を前記波長範囲内での2次分散の偏差で割った値の絶対値がシングルモードファイバより大きい分散媒体用光ファイバと、前記分散媒体用光ファイバに接続される非線型媒体用光ファイバとを有することを特徴とする光波形成形器である。
本発明の第4の態様は、波長1550nmにおける非線形定数がシングルモードファイバより小さい分散媒体用光ファイバと、前記分散媒体用光ファイバに接続される非線型媒体用光ファイバとを有することを特徴とする光波形成形器である。
本発明の第5の態様は、波長1550nmでの曲げ半径15mmにおける曲げ損失がシングルモードファイバより小さい分散媒体用光ファイバと、前記分散媒体用光ファイバに接続される非線型媒体用光ファイバとを有することを特徴とする光波形成形器である。
本発明の第7の態様は、第1乃至第6のいずれかの態様において、前記非線形媒体用光ファイバとして非線形定数が25/W/kmより大きい光ファイバを用いることを特徴とする。
本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記非線形媒体用光ファイバは、コア領域の周囲のクラッドに空孔が形成された構造を有していることを特徴とする。
また、波長1550nm付近に設定された任意の波長範囲内のある波長における2次分散をその波長範囲内での2次分散の偏差で割った値の絶対値が従来のシングルモードファイバよりも大きな光ファイバを光波形成形器の分散媒体として用いているので、光波形成形器の広帯域動作が可能となる。
また、従来のシングルモードファイバよりも曲げ損失が小さい光ファイバを光波形成形器の分散媒体として用いているので、光波形成形器を構成する分散媒体のファイバボビンの小型化が可能になり、光波形成形器を小さくすることが可能になる。
さらに、光波形成形器の非線形媒体として、従来よりも非線形定数の大きい光ファイバを用いることにより、ファイバ長が従来よりも短くなり、これにより光波形成形器の作成が容易になる。そのような光ファイバとして、コアの周囲に空孔を有する光ファイバがある。
図1は、本発明の実施形態に係る光波形成形器を含むパルス発生器の構成図である。
図1において、パルス発生器1はパルス供給器2と光波形成形器3を有している。
光波形成形器3は、図2に示すように、高非線形媒体3Aである高非線形ファイバと分散媒体3Bである異常分散ファイバを接続した構成を一段として、これを複数段、例えば図1に示すように4段で接続した櫛状プロファイルファイバ(CPF)3a〜3dから構成されている。
まず、従来のCPFについて考察する。
従来構造の光波形成形器を構成するシングルモードファイバ(SMF)と高非線形ファイバ(HNLF)について波長1550nmの入力光における分散値、分散スロープ、非線形定数、損失を表1に示す。
例えば、分散媒体として分散値が+17ps/nm/kmのシングルモードファイバを使用する場合に、累積分散値+10ps/nmを得るためには588mのファイバ長が必要となってしまい、損失が大きくなったり、コストがかかったり、さらに、光ファイバを収納するためのスペースが大きくなってしまう。
累積分散値は設計値にある程度近くなければならないが、波長が設計波長から離れるにしたがって累積分散値も設計値から離れることになり、累積分散値がある誤差に達した時に、光波形成形器が正常に動作しなくなる。
分散媒体として使用される従来のシングルモードファイバでは、設計波長1550nmの2次分散を、設計波長1550nmと1575nmの2次分散の偏差で割った値(β2/Δβ2)の絶対値は13程度が上限である。累積分散値の誤差の絶対値は、13の逆数である7.7%となり、例えば、累積分散値の誤差が7.7%以内で光波形成形器が正常動作するとすれば、設計波長から長波長側の帯域は15nmと狭くなる。
しかし、分散媒体における非線型定数の下限は、1/W/km程度であり、特に、光パルスのピークパワーが大きくなってくると、非線形効果が無視できず、設計値との誤差が大きくなる。さらに、光パルスのピークパワーが特に大きくなった場合には、非線形効果が特に大きくなり、光波形成形器として動作させるための必要な分散値も特に大きくなるが、分散媒体自身による非線形効果が、分散による効果より大きくなってしまった場合には、もはや光波形成形器を構成することができなくなる。つまり、異常分散ファイバの非線形定数の下限によって、光波形成型器を構成することができる光パルスのピークパワーの上限が決定される。
この空孔を持つ光ファイバ31,34によれば、+34ps/nm/kmの分散値を持つ光ファイバの作成が可能である。そこで、そのような空孔を持つ光ファイバを表2に示す構成の分散媒体であるシングルモードファイバ(SMF)の代わりに使用すると、各段のCPF3a〜3dの分散媒体3Bである光ファイバの損失が変わらないと仮定した場合に、各段のCPF3a〜3dの分散媒体3Bの長さは表3のように250m以下となり、各段の空孔を有する光ファイバ31(34)は分散値に反比例して短くなる。
なお、シングルモードファイバと高非線形ファイバにさらに分散スロープ補償ファイバを接続する構造も考えられる。これによれば、波長1610nmでの累積分散値は7.98ps/nmであり、累積2次分散は−11.0ps2となり、設計波長を基準として誤差は−5.9%となって、分散スロープ補償ファイバを用いることによるパルス幅の変動は少なくなるが、ファイバ長や損失が増加してしまう。
表3によれば、波形成形器3の1段目のCPF3aの分散媒体3Bのシングルモードファイバの代替として図3に示すような空孔33,36を有する光ファイバ31,34を用いる場合に236mのファイバ長で足りるが、波長1610nmにおける分散は37.94ps/nm/km、つまり2次分散は−52.17ps2/kmとなり、設計波長である1550nmでの2次分散−43.85ps2/kmと比べて、誤差は従来のシングルモードファイバとくらべて小さい−19.0%となる。その誤差は、設計波長における2次分散β2を2次分散の偏差Δβ2で割った値(β2/Δβ2)の絶対値に反比例するが、従来のシングルモードファイバではβ2/Δβ2の絶対値は3.15であるのに対して、空孔を設けた光ファイバではβ2/Δβ2の絶対値は5.26となり、波長を変化させた場合の誤差が0.6倍程度になっていることがわかる。従って、図3に例示するような空孔を持つ光ファイバ31,34を分散媒体として使用することにより、波形成形器3に入力する波長が設計波長から離れた場合の出力光パルス幅の増加量を小さくすることが可能である。
通常、シングルモードファイバの曲げ損失は、例えば曲げ半径15mmにおいて、10dB以上であるが、図3に示すような空孔を有する光ファイバ31,34において、曲げ半径15mmにおける波長1550nmの曲げ損失が0.001dB/turn程度であり、単位を換算すると、0.01dB/mとなる。
シングルモードファイバでは曲げ半径100mm以上が必要であり、ファイバボビンのサイズは最低でも直径220mmの大きさが必要となる。
曲げ損失の小さい光ファイバは、空孔を有する光ファイバに限られるものではなく、コアの屈折率を高めた光ファイバでも実現されており、そのような光ファイバでも曲げ半径を小さくすることが可能であって、これによりファイバボビンのサイズを従来よりも小型にすることが可能になる。
よって、コアの屈折率を高めた光ファイバは、空孔を有する光ファイバを用いた場合と同様に、ファイバボビンの直径を50mm程度まで小型化が可能である。
表1に示した非線形定数が15.7/W/kmの高非線形ファイバを用いて表2に示す光波形成形器を作成した場合には高非線形ファイバの全長が512m必要であったのに対し、非線形定数が62/W/kmの光ファイバを使用すると必要なファイバ長は130mとなり、1/4体程度の長さに短尺化が可能になる。
光波形成形器3を構成する分散媒体3Bの光ファイバとして、設定した波長範囲における2次分散を、その波長範囲内での2次分散の偏差で割った値の絶対値がシングルモードファイバ(ITU−T勧告におけるG652型光ファイバ)より大きい光ファイバを用いることにより、図4に示すように光波形成形器3の動作帯域を従来の1.7倍以上に広くすることが可能になる。
光波形成形器3を構成する分散媒体3Bとして曲げ半径15mmでの曲げ損失が0.1dB/m未満の光ファイバを用いることにより、光波形成形器3を小さくできる。
さらに、光波形成形器3を構成する分散媒体3BとしてNZDSFを用いることにより、光波形成形器3の動作帯域を広くすることが可能になる。
光波形成形器3を構成する高非線形媒体3Aとして、非線形定数が25/W/kmより大きい光ファイバを用いることにより非線形媒体としての高非線形ファイバを短くすることができる。
さらに、光波形成形器3を構成する高非線形媒体3Aとして図3(b)に示すようにコア35の周囲に空孔36を有する光ファイバを用いることにより、非線形媒体として高非線形ファイバを短くすることができる。
2:パルス供給器
3:光波形成形器
3a〜3d:櫛状プロファイルファイバ
3A:高非線形媒体
3B:分散媒体
31、34:光ファイバ
33,36:空孔
Claims (8)
- 波長1550nmにおける分散値がシングルモードファイバより大きい分散媒体用光ファイバと、
前記分散媒体用光ファイバに接続される非線型媒体用光ファイバと
を有することを特徴とする光波形成形器。 - 波長1550nm付近の任意の波長範囲を設定し、前記波長範囲内のある波長における2次分散を前記波長範囲内での2次分散の偏差で割った値の絶対値がシングルモードファイバより大きい分散媒体用光ファイバと、
前記分散媒体用光ファイバに接続される非線型媒体用光ファイバと
を有することを特徴とする光波形成形器。 - 前記分散媒体用光ファイバは、ノンゼロ分散シフトファイバであることを特徴とする請求項2に記載の光波形成形器。
- 波長1550nmにおける非線形定数がシングルモードファイバより小さい分散媒体用光ファイバと、
前記分散媒体用光ファイバに接続される非線型媒体用光ファイバと
を有することを特徴とする光波形成形器。 - 波長1550nmでの曲げ半径15mmにおける曲げ損失がシングルモードファイバより小さい分散媒体用光ファイバと、
前記分散媒体用光ファイバに接続される非線型媒体用光ファイバと
を有することを特徴とする光波形成形器。 - 前記分散媒体用光ファイバは、コア領域の周囲のクラッドに複数の空孔が形成された構造を有していることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4、請求項5のいずれか1つに記載の光波形成形器。
- 前記非線形媒体用光ファイバとして非線形定数が25/W/kmより大きい光ファイバを用いることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の光波形成形器。
- 前記非線形媒体用光ファイバは、コア領域の周囲のクラッドに空孔が形成された構造を有していることを特徴とする請求7に記載の光波形成形器。
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