JP4897958B2 - 光パルス成形器の設計方法及び光パルス成形器 - Google Patents

光パルス成形器の設計方法及び光パルス成形器 Download PDF

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Description

本発明は、光ファイバ通信システムに用いられる光パルス発生技術に適用される、或いは材料加工用途に用いられる光パルス発生技術に適用される光パルス成形器と該光パルス成形器の設計方法に関する。
近年、超短光パルスを生成して出力するための光パルス成形器の重要性が、光通信分野や光加工分野で急激に高まっている。
光通信分野に関しては、1チャネルあたりのビットレートが40Gb/sを超えるシステムでは、繰り返し周波数が十分大きいため、雑音や揺らぎ等がより少ない高品質な光パルスが要求される。また、光伝搬路中に挿入される中継器に対しては、伝搬中に生じる光パルスの波形劣化の回復を図るための光信号再生機能に局所クロックパルス列を発生させる必要がある。すなわち、40GHzを超える大きな繰り返し周波数のもとで、繰り返し特性や光パルスの波形品質が高く、しかもこの波形幅が非常に短い超短光パルス列が必要となる。
一方、光加工分野に関しては、光パルスの波形幅がフェムト秒オーダーの光パルスを用いた多光子吸収過程を応用することにより、従来では得られなかった加工方法の実現が期待されている。
また、従来の超短パルス発生技術は、共振器構造を用いるものと、共振器構造を用いないものとに大きく分けることができる。
共振器構造を用いる超短パルス発生技術には、チタンサファイアレーザ等の固体レーザ、光ファイバ自体によって共振器構造を構成するモード同期ファイバレーザ又は半導体を用いてモード同期構造を構成する半導体モード同期レーザ等が用いられている。
一方、共振器構造を用いない超短パルス発生技術は、種信号となる光パルスが光ファイバ中の非線形効果により圧縮される現象を用いるものであり、共振器構造を用いないことからトラベリングウェーブ(TW)方式とも呼ばれ、光ソリトン圧縮器やスーパーコンティニューム(SC)圧縮器等が知られている。
共振器構造を用いる超短パルス発生技術は、繰り返し周波数が共振器長で決定されるため、繰り返し周波数に対する柔軟性が少ない。更にパルス発振を継続させるためには、様々な安定化技術が必要な上に、外部環境の変化に応じて設定を微調整する必要があるという難点が伴う。
これに対し、共振器構造を用いない超短パルス発生技術(特に、光ファイバを用いたTW方式に基づく超短パルス発生技術)では、電気回路により生成される光パルスやビート光等の種信号の波形幅を圧縮するため、繰り返し周波数が可変である。また、共振器構造を用いないことから、光ファイバ自体の安定性に応じた極めて高い安定性を有する光パルスの出力が可能となる。
ここで、TW方式による光パルスの波形幅の圧縮は、SC圧縮や光ソリトン圧縮が知られている。
SC圧縮は、光パルスの周波数帯域を、分散値の小さな光ファイバの非線形効果によって大きく拡張させ、更に、この拡張された周波数帯域を分散補償することにより光パルスの波形幅を圧縮する。このSC圧縮を効率良く行うためには、光ファイバの分散値が、周波数に対し平坦であると共にファイバ長手方向に変化しないのが好ましい。
しかし、SC圧縮は、大きな圧縮率が得られるものの、圧縮された光パルスの波形にペデスタル成分が伴う等、パルス品質の低下を招く恐れが生じる等の困難が知られている。
一方、光ソリトン圧縮により生成される光ソリトンは、光ファイバの分散効果と非線形効果とが釣り合うことにより形成され、伝搬中に波形を変えない光パルスである。
光ソリトンの場合、ソリトン周期と呼ばれる距離に対し十分長いスパンで光ファイバの分散値を小さくする等して、分散効果をファイバ長手方向に緩やかに小さくしていくと、この弱まった分散効果を補償するようにパルス波形が自己整形され、結果的に光パルスの波形幅が小さくなる。或いは、光ファイバの分散値を一定に保ったままラマン増幅等による分布増幅を行うことにより光パルスの振幅をファイバ長手方向に緩やかに大きくすることで非線形効果が強められ、この強められた非線形効果を補償するようにパルス波形が自己整形され、結果的に光パルスの波形幅が小さくなる。このような現象(光ファイバの分散効果と非線形効果とが釣り合う現象)を用いた圧縮方法は、断熱ソリトン圧縮と呼ばれ、sech関数型の光ソリトンとしての光パルスが得られることが知られている。
断熱ソリトン圧縮は、sech関数型の波形、つまりペデスタルを有さない高品質な光パルス波形を常に生成できるため、通信用途に適している。
また、ペデスタルを有する光パルスと、ペデスタルを有さない光パルスとを比較すると、両者が同一のエネルギー及び電力半値幅を持つような場合には、ペデスタルを有さない光パルスの方が大きなピークパワーを持つ。このため、ペデスタルを有さない光パルスは、材料加工用途に適している。
ところで、断熱ソリトン圧縮を行う方法としては、前述したように光ファイバの分散値をファイバ長手方向に緩やかに変化させる方法が知られている。この場合、分散値がファイバ長手方向に連続的に減少するような光ファイバの製造は容易ではないため、幾つかの代替方法が考案されている。
例えば、光ファイバの分散値をファイバ長手方向に広がる幾つかの区間に分け、当該区間毎に該当する一定の分散値を持つ光ファイバを連結させることにより、当該減少する分散値を近似するという方法が考案されている。この方法により構成された光ファイバは、Step-like Dispersion Profiled Fiber(SDPF)と称される。この方法では、ステップ数を多くするほど近似の精度が高くなる反面、様々な分散値のファイバを数多く用意する必要が生じる。
また、他の方法としては、光ファイバの分散値を、ファイバ長手方向に広がる幾つかの区間に分け、当該各区間を二種類の分散値を持つ光ファイバを用いて近似するという方法が考案されている。この方法により構成された光ファイバは、分散値がファイバ長手方向に櫛状に変化することからComb-like Dispersion Profiled Fiber(CDPF)と称される(非特許文献1、2、特許文献1、2を参照)。
非特許文献1:S.V.Chernikov et al.、“Integrated all optical fibre source of multigigahertz soliton pulse train”、Electronics Letters、1993年、vol.29、p.1788
非特許文献2:S.V.Chernikov et al.、“Comblike dispersion-profiled fiber for soliton pulse train generation”、Optics Letters、1994年、vol.19、no.8、p.539-541
特許文献1:特開2000−347228号公報
特許文献2:特開2002−229080号公報
しかし、上記従来技術には、次のような問題点がある。
従来の超短光パルス発生技術に基づく光パルス成形器の設計では、ソリトン圧縮を行うための光ファイバの長さをどの程度に設定すればよいかが判定困難である。このため、現状では、試行錯誤により、光ファイバの長さの設定を行っている。
また、従来、光パルスに対し非線形効果を生じさせるための光ファイバの分散値はゼロ又はゼロに近ければよいとされているが、このゼロでない分散値の大きさによって、光パルスの波形に劣化(歪み)が生じ得る。このため、高品質な光パルスの出力が困難である。
また、従来の断熱ソリトン圧縮では、光パルスの波形に劣化(歪み)は生じないが、大きな圧縮率を得るのが困難である。このため、ペデスタル等が生じても高い圧縮率を得ようとする場合には不向きである。
本発明の課題は、出力される光パルスの波形に劣化によるノイズを生じさせることなく、所望の波形幅の光パルスが容易に得られる設計容易な光パルス成形器とその設計方法を提供することである。
上記課題を解決するため、この発明の光パルス成形器の設計方法の第1の態様は、非線形媒質と分散媒質とが連結された第1の光伝搬路ユニットを備えた光パルス成形器の設計方法であって、
第1の光伝搬路ユニットの設計仕様を特定するステップと、
前記特定した設計仕様に基づいて、前記第1の光伝搬路ユニットに対する入力光パルス及び出力光パルスの各波形が互いに相似となる準周期定常パルスを算出するステップとを含み、
前記設計仕様は、少なくとも、前記第1の光伝搬路ユニットの非線形媒質及び分散媒質が有する非線形係数、分散値及び光伝搬方向の長さと、前記入力光パルスのパワーピークとを含むことを特徴とする光パルス成形器の設計方法である。
この発明の光パルス成形器の設計方法の第2の態様は、前記第1の光伝搬路ユニットの後段に第2番目以降の光伝搬路ユニットが一又は複数直列に連結されて成る光パルス成形器の設計方法である。
この発明の光パルス成形器の設計方法の第3の態様は、前記算出した準周期定常パルスに基づいて、前記第2番目以降の光伝送路ユニットの設計仕様を特定するステップを更に含む光パルス成形器の設計方法である。
この発明の光パルス成形器の設計方法の第の態様は、前記第1の光伝搬路ユニットの設計仕様に含まれる非線形媒質、分散媒質の各一般化分散値をs、sとし、当該非線形媒質、分散媒質が各々有する各光伝搬方向の規格化長さをK、Lとすると、sは異常分散に属する値であると共に下記条件式を満たし、且つ、K、Lの各値は下記条件式を満たす光パルス成形器の設計方法である。
0≦|s|<<1<<s
<<K
|s|;sの絶対値
この発明の光パルス成形器の設計方法の第の態様は、前記複数の光伝搬路ユニットのうち前記第1の光伝搬ユニットから数えて第n番目(nは2以上の自然数)に連結された光伝搬路ユニットの設計仕様に含まれる非線形媒質、分散媒質の各一般化分散値をs1n、s2nとし、当該非線形媒質、分散媒質が各々有する各光伝搬方向の長さをK、Lとすると、s2nは異常分散に属する値であると共に下記条件式を満たし、且つ、L、Kの各値は下記条件式を満たす光パルス成形器の設計方法である。
1n=s/αn−1
2n=s/αn−1
=K/αn−1
=L/αn−1
α;圧縮率
この発明の光パルス成形器の設計方法の第の態様は、前記複数の光伝搬路ユニットのうち前記第1の光伝搬ユニットから数えて第n番目(nは2以上の自然数)に連結された光伝搬路ユニットの設計仕様に含まれる非線形媒質、分散媒質の各一般化分散値をs1n、s2nとし、当該非線形媒質、分散媒質が各々有する各光伝搬方向の長さをK、Lとすると、s2nは異常分散に属する値であると共に下記条件式を満たし、且つ、L、Kの各値は下記条件式を満たす光パルス成形器の設計方法である。
1n=s/αn−1
2n=s
=K/αn−1
=L/α2(n−1)
α;圧縮率
この発明の光パルス成形器の設計方法の第の態様は、前記入力光パルスは、準周期定常パルスに近い波形を有する光パルスである光パルス成形器の設計方法である。
この発明の光パルス成形器の設計方法の第の態様は、前記非線形媒質に係る非線形係数、損失係数を、それぞれν、δとすると、該非線形媒質は、ν、δが下記条件式を満たす高非線形媒質である光パルス成形器の設計方法である。
z=−(1/2δ)ln(1−(2δ/a ν)ζ)
z;光パルス成形器内における非線形媒質の光伝搬路方向の長さの総計を実距離で表現したもの
ζ;光パルス成形器内における非線形媒質の光伝搬路方向の長さの総計を無次元量の規格化距離で表現したもの
;非線形媒質が有する光パルスの入力端のパワー減衰係数
ln;自然対数
この発明の光パルス成形器の設計方法の第の態様は、前記非線形媒質に高非線形光ファイバを用い、前記分散媒質にシングルモード光ファイバを用いる光パルス成形器の設計方法である。
この発明の光パルス成形器の1つの態様は、上述した態様の何れか一つにおける光パルス成形器の設計方法に基づいて設計された、光パルス成形器である。
本発明により、非線形媒質及び分散媒質が連結された光伝搬路ユニットを備えた(例えば、光伝搬路ユニットが複数連結されて成る)光パルス成形器から出力される光パルスは、該光パルス成形器に供給されるパルス波形と略同一のピーク/ペデスタル比の波形となる。このため、光パルス成形器から出力される光パルスのパルス波形に生じ得る劣化(歪みの発生)が十分に抑制可能となり、非常に高精度な光パルス列が出力可能となる。
また、入力される光パルスが最初に伝搬する第1の光伝搬路ユニットの各媒質の分散値及び長さと、当該入力される光パルスのピークパワーとが決定されれば、後段に設けられる第2番目以降の光伝搬路ユニットの各媒質の分散値及び長さが一意に決定できるので、光パルス成形器の設計が非常に行い易くなる。
また、第1の光伝搬路ユニットの非線形媒質の分散値がゼロ若しくはゼロ近傍に値を持つような場合には、後段に設けられる第2番目以降の光伝搬路ユニットの各非線形媒質の分散値が当該第1の光伝搬路ユニットの非線形媒質の分散値に略同一(すなわち、ゼロ若しくはゼロ近傍の値)となるので、光パルス成形器の設計が更に容易となる。
図1は、本実施の形態における光パルス出力装置の構成を示す図である。 図2は、図1に示す光パルス成形器の構成を示す図である。 図3は、本実施の形態における分散マップの一例を示す図である。 図4は、入力光パルスのパワー値と該入力光パルスの瞬時周波数とを示す図である。 図5は、出力光パルスのパワー値と該入力光パルスの瞬時周波数とを示す図である。 図6は、図5に示す出力光パルスに変数変換を施した後の光パルスのパワー値と該光パルスの瞬時周波数とを示す図である。 図7は、図4に示す入力光パルスのパワー値を対数表示した波形を示す図である。 図8は、ピークパワー値と圧縮率との関係を示す図である。 図9は、ピークパワー値と半値全幅との関係を示す図である。 図10は、ピークパワー値が2の光パルスを示す図である。 図11は、圧縮率を2に固定して異常分散値を変化させて得られる収束解を示す図である。 図12は、異常分散値を変化させて得られる収束解の電力半値幅を示す図である。 図13は、分散マップを周期的に変化させた場合の分散マップと準周期定常パルスの振る舞いとを示す模式図である。 図14は、図13に示す分散マップに対し、分散光ファイバのファイバ長のみを変化させた場合の模式図である。 図15は、圧縮率が1.8に設計された光パルス成形器内を二周期伝搬した後の光パルスの波形を示す図である。 図16は、圧縮率が2.0に設計された光パルス成形器内を二周期伝搬した後の光パルスの波形を示す図である。 図17は、圧縮率が2.2に設計された光パルス成形器内を二周期伝搬した後の光パルスの波形を示す図である。 図18は、圧縮率が1.8に設計された光パルス成形器内を三周期伝搬した後の光パルスの波形を示す図である。 図19は、圧縮率が2.0に設計された光パルス成形器内を三周期伝搬した後の光パルスの波形を示す図である。 図20は、圧縮率が2.2に設計された光パルス成形器内を三周期伝搬した後の光パルスの波形を示す図である。 図21は、準周期定常パルスの波形を示す図である。図21(a)は、強度波形と瞬時周波数を示し、図21(b)は、自己相関波形を示し、図21(c)はスペクトルを示す。 図22は、パルス成型実験の実験系を示す図である。 図23は、入力および各段出力パルスのスペクトルを示す図である。図23(a)は、数値シミュレーション結果を示し、図23(b)は、実験結果を示す。 図24は、入力および各段出力パルスの自己相関波形を示す図である(線は数値シミュレーション結果、点は実験結果)。 図25は、各段出力パルスの自己相関波形を示す図である(点は実験結果、線は数値シミュレーション結果)。 図26は、準周期定常パルスの波形を示す図である。 図27は、パルス成型実験の実験系を示す図である。 図28は、入力および各段出力パルスのスペクトルを示す図である(実線:実験結果、点線:数値シミュレーション結果)。 図29は、入力および各段出力パルスの自己相関波形を示す図である(線:数値シミュレーション結果、点:実験結果)。 図30は、本発明による光パルス出力装置を用いたレーザー加工機の模式図である。 図31は、本発明による光パルス出力装置を用いた高精度計測器としての光サンプリングオシロスコープの模式図である。 図32は、本発明による光パルス出力装置を用いた高精度計測器としての光コヒーレンストモグラフィーの模式図である。
以下、本発明を適用した一実施の形態について説明する。
まず、本発明を適用した光パルス成形器30を備えた光パルス出力装置100の構成について説明し、次いで、光パルス成形器30の設計理論について説明し、最後に、この設計理論に基づく光パルス成形器30の詳細設計の具体例について説明する。
<光パルス出力装置100の構成>
まず、図1を参照して、後述する設計理論に基づく光パルス出力装置100の構成について説明する。
図1に示すように、光パルス出力装置100は、光パルス供給器101と、この光パルス供給器101から供給される光パルスの波形幅を圧縮成形するための光パルス成形器30とを備える。
光パルス供給器101は、2モードビート光光源(dual-frequency optical source)10と、光パルス整形器20とを備える。
2モードビート光光源10は、互いに異なる周波数のCW(Continuous Wave)光を各々発光する二つのLD(Laser Diode)10a、10bと、上記二つの周波数のCW光を合波してビート光(以下、単に「光パルス」ともいう)を出力する合波器10cと、該ビート光を増幅するEDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)10dとを備える。
光パルス整形器20は、光ファイバによって構成され、2モードビート光光源10から出力される光パルスを、後段に連結された光パルス成形器30に適した波形に整形する。
光パルス成形器30は、複数の異なる種類の光ファイバがファイバ長手方向に連結された光伝搬路を成す。光パルス整形器20から光パルス成形器30に入力された光パルスは、上記光伝搬路を伝搬する過程で圧縮成形される。
次に、図2を参照して光パルス成形器30の構成について説明する。
図2に示すように、光パルス成形器30は、互いに異なるパラメータ(分散値、非線形定数、ファイバ長手方向の長さ等であり、以下同じ)を有する光ファイバ、すなわち、非線形媒質としての非線形光ファイバ30a、30b、30cと、分散媒質としての分散光ファイバ31a、31b、31cとがファイバ長手方向に交互に連結されている。以下、非線形媒質と分散媒質が一つずつ連結された構成を「一周期」と定義する。図2における光パルス成形器30の例では、三周期の構成である。
非線形光ファイバ30aは、分散値を非線形係数で規格化した値である一般化分散値がs、ファイバ長手方向の長さに非線形係数を乗じた規格化長さがζであり、分散光ファイバ31aは、一般化分散値がs、ファイバ長手方向の規格化長さがζ−ζであり、非線形光ファイバ30bは、一般化分散値がs12、ファイバ長手方向の規格化長さがζ−ζである。また、分散光ファイバ31bは、一般化分散値がs22、ファイバ長手方向の規格化長さがζ−ζであり、非線形光ファイバ30cは、一般化分散値がs13、ファイバ長手方向の規格化長さがζ−ζであり、分散光ファイバ31cは、一般化分散値がs23、ファイバ長手方向の規格化長さがζ−ζである。
また、非線形光ファイバ30a、30b、30cには、光パルスu11(t)、光パルスu12(t)、光パルスu13(t)がそれぞれ入力し、分散光ファイバ31cからは光パルスu14(t)が出力される(tは時間)。
<光パルス成形器30の設計理論>
次に、上記構成を有する光パルス成形器30に対する設計理論について説明する。
まず、光パルス成形器30中の最初の周期である非線形光ファイバ30aおよび分散光ファイバ31aを伝搬する準周期定常パルス(パルスu12(t)の形状がu11(t)に相似である光パルス)の算出を行う。
一般に、光ファイバ中を伝搬する光パルスの振る舞いは、非線形シュレディンガー方程式

により記述される。
ここで、Q(Z,T)[W1/2]は電場の包絡線振幅、Z[m]は光ファイバのファイバ長手方向の距離、T[s]は搬送波の群速度で伝搬する座標軸からの遅延時間である。
また、k′′(Z)[s/m]、γ(Z)[W−1m−1]、L(Z)[m−1]は、それぞれファイバの分
散値、非線形係数及び損失係数であり、ファイバ長手方向に対して変化するものとする。
そして、定数Z[m]、T[s]、P[W]を導入し、振幅、距離及び時間に対して無次元量

を定義して数式(1)を変数変換すると、

が得られる。
ここで、

は、それぞれ規格化された分散値、非線形係数及び損失係数であり、無次元量である。
また、光ファイバのパラメータを表現する際に一般に用いられる単位系に基づく分散値D[ps/nm/km]、非線形係数γ[W−1Km−1]、損失係数L[dB/km]と、上記各規格化値との関係は、


である。
ここで、λ[μm]は搬送波の真空中における波長、c[×10m/s]は光速である。以降はc=2.998[×10m/s]とし、さらに搬送波の波長をλ=1.555[μm]とするが、この条件によって一般性が失われることはない。
例として、Z=1[km]、T=1[ps]、P=1[W]とすると、規格化分散値d=1.284D、規格化非線形係数ν=γ、規格化損失係数δ=0.1151Lという関係が得られる。SMF(Single Mode Fiber)の場合、D=16[ps/nm/km]なる規格化分散値はd=20.54という値に、γ=1.3[W−1km−1]なる格化非線形係数はν=1.3という値に、そして、L=0.2[dB/km]なる規格化損失係数はδ=0.023という値に変換される。
上記規格化された数式(3)では、規格化分散値d(z)、規格化非線形係数ν(z)、規格化損失係数δ(z)の各々が、ファイバ長手方向に対して変化する関数となっているが、更に変数変換を施すことにより、当該各規格化係数が簡単化できる。
まず、

と定義される関数a(z)を用いて

とおくと、数式(3)は、

に変形される。ここで、a=a(0)>0とする。
更に、新たな距離スケールとして、

を定義する。
ここで、a(z)ν(z)は常に正であるから、ζとzとは一対一の対応関係を有する。従って、zは、z=f−1(ζ)と表される。ζは物理的な長さに非線形効果累積量の重みをかけたものであり、以下ではこれを一般化長さと称する。
このζを用いて数式(10)に対し、zの変数変換を施すと、

が得られる。
ここで、

である。
数式(13)により定義されるs(ζ)は、規格化分散値dを、ファイバ損失によるパワー減衰係数a(z)(数式(8)の定義を参照)と、規格化非線形係数ν(z)とで割ることによって、分散値を再規格化して一般化したものである。このs(ζ)を、以下では一般化分散値と呼ぶ。また数式(12)で表される規格化空間上で特に断りがない場合は、一般化長さζと一般化分散値sを、それぞれ単に長さおよび分散値と称する。
結局、数式(12)のように変形された式では、分散値のみがファイバ長手方向に変動していることとなる。つまり、分散値D[ps/nm/km]、非線形係数γ[W−1km−1]、そして損失係数L[dB/km]がファイバ長手方向に任意のプロファイルを持つ場合であっても、数式(9)、(11)、(13)の変換を行うことにより、パワー損失が零で非線形係数がファイバ長手方向に一定値を持ち、分散値のみがファイバ長手方向に変化するような系(規格化空間)に変換が可能となる。逆に、上記規格化空間でなされた議論は、定数Z[m]、T[s]、P [W]を任意に設定した逆変換を施すことにより任意の実空間に適用することができる。
ここで、第1光伝搬路ユニット3aの分散値s(ζ)がファイバ長手方向ζに対して変化する様子を図3に示す(第2光伝搬路ユニット3b、3cについても以下同様)。当該図を、以下、分散マップと呼ぶ。
ζは非線形光ファイバ30aのファイバ長手方向の長さであり、ζは第1光伝搬路ユニット3aのファイバ長手方向の長さである。なお、0<|s|<<1<<sかつ1>>ζ−ζ>0で、ζは極端に大きくも小さくもない量であるとする。すなわち、所定の微小量0<ε<<1を用いて上記各値のオーダー(order)を定量的に表現すると、|s|〜O(ε)、s〜O(1/ε)、ζ〜O(1)、ζ−ζ〜O(ε)と表せる。また、数式(12)において、非線形効果を表す左辺第三項の係数は任意の点で1である。
以下、例えば、非線形光ファイバ30aにHNLF(Highly-NonLinear Fiber)(実空間における分散値D=0[ps/nm/km]、非線形係数γ=24[W−1Km−1]、規格化のための定数をZ=1[km]、T=1[ps]、P=1[W]とおいたときの規格化分散値d1= 0、規格化非線形係数ν=24)、分散光ファイバ31aにSMF(同様に、分散値D=16[ps/nm/km]、非線形係数γ=1.3[W−1Km−1]、規格化分散値d=20.544、規格化非線形係数ν=1.3)を用いた場合を考える。また、説明簡略化のため、非線形光ファイバ30a及び分散光ファイバ31aのエネルギー損失を考えず、数式(8)においてa(z) = 1とする。このとき、図3に示す一般化分散値は、s=d=0、s=d=15.8である。更に、距離ついては、実距離でZ= 50 [m]、Z = 62.5 [m] (Z−Z = 12.5 [m])の場合を考えると、z= 0.05、z = 0.0625により、ζ= 1.2、ζ= 1.21625(ζ−ζ= 0.01625)となり、ζ、ζに関する上記条件が満たされる。
O(1)のオーダー(order)の振幅及び波形幅を持つ光パルスが、当該分散マップにより表される第1光伝搬路ユニット3aを伝搬する場合、特に、非線形光ファイバ30aの区間0 < ζ < ζを伝搬する際には、分散の効果が小さく、非線形効果(Kerr効果)によってアップチャープが生じるため、結果として周波数帯域(スペクトルの拡がり)が拡張される。このとき、非線形効果の累積値のオーダーはO(1)となる。
すなわち、非線形係数を一定値1としているため、例えば光パルスのピークにおける非線形位相シフト(Δφ = γP zで与えられる。ここでは、非線形定数 γ= 1、電力P 〜 O(1)、距離z = ζ〜 O(1)としている。)の大きさがO(1)のオーダーとなることを意味する。上記非線形位相シフトの量に限らず、非線形効果によるアップチャープや、スペクトル拡がりの量もオーダーO(1)となる。
一方、上記O(1)のオーダーの振幅及び波形幅を持つ光パルスが、分散光ファイバ31aの区間ζ< ζ < ζを伝搬する際には、短距離のため非線形効果は弱くなる。また、当該区間における分散値が、大きな正の値(すなわち、異常分散値)に設定されていることから、この区間における光パルスの伝搬は、略線形的に振る舞い、上記非線形光ファイバ30aの区間0 < ζ < ζにおける非線形効果により生じたアップチャープが補償され、その結果、光パルスの波形幅が圧縮される。この場合、分散光ファイバ31aの分散値のオーダーがO(1/ε)に、距離のオーダーがO(ε)にそれぞれ設定されていることから、この場合の累積分散値のオーダーはO(1)となる。
ここで、表1に、非線形光ファイバ30aの区間0 < ζ < ζと、分散光ファイバ31aの区間ζ < ζ < ζとにおける、距離と、非線形効果の瞬時値と、累積値と、分散効果の瞬時値と、累積値とについてのオーダーを各々示す。
非線形光ファイバ30aの区間0 < ζ < ζにおける非線形効果の累積値のオーダーがO(1)であり、その後段に続く分散光ファイバ31aの区間ζ< ζ < ζにおける分散の累積値のオーダーがO(1)である点が、従来の光ソリトン(この場合、分散効果及び非線形効果の双方の累積値のオーダーはO(ε)である。「A. Hasegawa et al.、“Guiding-center soiton in optical fibers”、Optics Letters、Vol.15、p.1443、1990」を参照)や、分散マネージメントソリトン(この場合、分散効果の累積値のオーダーはO(1)だが、非線形効果の累積値のオーダーはO(ε)である。「M. J. Ablowitz et al.、“Multiscale pulse dynamics in communication systems with strong dispersion management”、Optics Letters、Vol.23、p.1668、1998」を参照。)が伝搬する光伝搬路と、本発明を適用した図3に示す分散マップにより表される第1光伝搬路ユニット3aとが決定的に違う点である。
また、第1光伝搬路ユニット3aを伝搬して圧縮された出力光パルスの波形が入力光パルスの波形と完全に相似形になるような光パルスは、平均化法と呼ばれる手法(「J.H.B.Nijhof et al.、“The averaging method for finding exactly periodic dispersion-managed solitons”、IEEE J. Sel. Top. Quantum Electron、vol.6、pp.330-336、2000」を参照)を用いた数式(12)による直接数値計算により求められる。
ここで、入力光パルスの波形と出力光パルスの波形とが相似であるとは、何れかの波形の振幅と時間とに対し所定の変数変換を行うと、もう一方の波形に一致することを意味する。すなわち、入力光パルスの波形uin(t)が第1光伝搬路ユニット3aを伝搬した後に出力される出力光パルスの波形をuout(t)とし、波形uin(t)を、所定の定数α(以下、圧縮率という)を用いて
と変数変換すると、u′(t) = uout(t)となる場合を言う。
数式(14)の変数変換は、入力光パルスの波形の振幅をα1/2倍、幅を1/α倍することに相当し、当該変換により、パルスエネルギーは保持されたまま、α>1の場合には波形幅が1/αに圧縮されることとなる。
次に、上記平均化を行う上での光パルスの初期波形(入力光パルスの波形)をu(t) =P 1/2 sech(t)とした場合について説明する。ここで、Pは光パルスのピークパワーを表す。この光パルスが第1光伝搬路ユニット3aを伝搬して出力される出力光パルスの波形u′(t)は、非線形効果によるスペクトル拡がりと、異常分散とによる二つの効果の相互作用により波形幅が圧縮され、ピークパワーはもとの値Pから、他の値P′に増大される。
そこで、α = P′/ Pとしてこのαを用い、圧縮された出力光パルスの波形u′(t)を、

のように変数変換する。
次に、光パルスの中心位置t = 0におけるu′′(t)の位相θ′′が、伝搬前の位相θに一致するよう、パルス全体の位相をシフトさせる。そしてu′′(t)のピークパワーP′′がもとの値Pに一致するように、パルスの振幅全体を増幅若しくは減衰させ、入力光パルスの波形u(t)と足し合わせて2で割ることにより平均化計算が一回終了する。
このようにして得られたu(t)を、式を用いて表すと、

となる。
次いで、u(t)を入力光パルスの波形として上記平均化計算を再び行うことにより、u(t)が得られる。なお平均化計算の二回目以降では、一回目に決定した圧縮率αを用いる。
以上のような平均化計算を繰り返し行うことにより、圧縮後の出力光パルスの波形が入力光パルスの波形に相似となる。実際には、上記平均化計算を100回程度繰り返すことにより、入力光パルスと出力光パルスの各波形が高い精度で相似するような入力光パルスが得られる。
ここで、上記説明した準周期定常パルスを数値的に得る手順を、下記(i)〜(iv)にまとめる;
(i)図3に示す分散マップ(第1光伝搬路ユニット3aが有する分散マップ)を決める、(ii)得たい光パルスのピークパワーPを決める、(iii)入力光パルスとしてP 1/2 sech(t) を第1光伝搬路ユニット3aに伝搬させ、出力光パルスのピークパワーと入力光パルスのピークパワーとの比をとって、圧縮率αを決定する、(iv)決定した圧縮率αを用いて数式(15)の変数変換を行い、位相とピークパワーとを調整した後、平均化計算を繰り返し、周期定常解としての光パルスに収束させる。
こうして得られた光パルスの解は、予め設定するピークパワーPと、最初に伝搬する第1光伝搬路ユニット3aを伝搬後に特定される圧縮率αとを持つ、準周期定常パルスである。この準周期定常パルスは、本発明者らが発見したものであって、パルス伝搬に関して従来と異なり、まったく新しい様相を呈するものである。なお圧縮率αは最初に伝搬する第1光伝搬路ユニット3aを伝搬後に特定される値を必ずしも用いる必要はなく、平均化法を開始する前に任意の値を決めておいてもよい。
なお以上においては、厳密な周期定常解を得る方法として平均化法による手法を示したが、近似的な解を得る手段として、以下が考えられる。すなわち、伝送路のパラメータと圧縮率をあらかじめ決めておき、例えばパルス波形をガウス型関数とし、振幅、幅、チャープなどのパラメータを任意に変更して得られるそれぞれの光パルスに対して、与えた伝送路上で一周期伝搬させ、数式(15)の変数変換を行い、それぞれのパラメータが入力時の値に最も近くなるようなパラメータの組み合わせを探し出し、最適な組み合わせによって与えられるパルスをもって近似的な定常パルスとすることもできる。
次に、上記光パルスの準周期定常パルスを例示する。
図3に示す分散マップにおいて、s= 0、s = 15.8、ζ = 1.2、ζ = 1.21625
(ζ−ζ= 0.01625)を設定する。入力パルスu(t) = P 1/2 sech(t) のピークパワーをP= 2とすると、当該分散マップに対応する第1光伝搬路ユニット3aを伝搬した後の出力光パルスのピークパワーは、当初の1.97178倍の3.94356になる。
ここで、α=1.97178とする。この圧縮率αを用いて上記平均化計算を100回行って得られた光パルスの振幅の絶対値(実線)と瞬時周波数(破線)とを図4に示す。なお、瞬時周波数は、位相の時間微分に“−1”を乗じた値として定義される。
図5には、図4に示す波形を、第1光伝搬路ユニット3a中に更に伝搬させた波形であり、波形幅が1/α=0.507倍に圧縮されていることがわかる。
図6には、図5に示す波形に対して、数式(15)に相当する変数変換を行った後の波形である。この波形が図4に示す波形と正確に一致することから、圧縮前後の波形(すなわち、第1光伝搬路ユニット3aに対する入力光パルスの波形と出力光パルスの波形)が完全に相似であることが確認できる。
図4に示す波形は、第1光伝搬路ユニット3aを伝搬後に変数変換を行うと、もとの波形(入力光パルスの波形)に戻るので、準周期定常パルスである。
図4に示す波形の特徴としては、時間に対して非線形に変化する瞬時周波数(非線形チャープ。)を持つ点、特にパルスの中心付近ではダウンチャープを持つ点、そして、僅かなペデスタルを持つ点等がある。
また、図7に示す波形は、図4に示す波形を対数表示したものであり、中心付近の波形が放物線に近い形として表されている。この結果は、光パルスの中心部分がガウス型関数により精度よく近似できることを示している。
次に、上記算出した準周期定常パルスの特徴について説明する。以下では、更に、この準周期定常パルスと、従来知られている光ソリトン(すなわち、平均化ソリトン、分散マネージメントソリトン)との違いについても説明する。
平均化ソリトン ガイディングセンターソリトン;「A. Hasegawa et al.、“Guiding-center soliton in optical fibers”、Optics Letters、vol.15、p1443-1445、1990」を参照)は、短い周期(ソリトンの分散距離に比べて十分短い増幅器間隔、若しくは分散マネージメント周期。以下、0<ε<<1なるεを用いて、O(ε)と表現する)内で、オーダーがO(1)の摂動(すなわち、ファイバ長手方向に対して変動する非線形効果若しくは分散効果。)が加わるため、一周期(例えば、第1光伝搬路ユニット3aと同様な非線形光ファイバと分散光ファイバとが連結された光伝搬路)にわたる非線形効果及び分散効果の両効果の累積値は、それぞれO(ε)のオーダーとなる。
また、分散マネージメントソリトン(「N.J.Smith et al.、Electronics Letters、vol.32、p.54、1996」を参照)は、O(ε)のオーダーの短い周期(平均分散値に対応する分散距離、若しくは非線形距離と比較して十分短い距離)内で、大きな局所分散値(O(1/ε)のオーダーとする。)が加わるため、一周期(例えば、正常分散光ファイバと異常分散光ファイバとが連結された光伝搬路)にわたる摂動による分散効果の累積値のオーダーがO(1)で、非線形効果の累積値のオーダーがO(ε)となる。特にチャープに注目すると、例えば、大きな正常分散によって生じる線形アップチャープがオーダーO(1)の大きさで蓄積した後、大きな異常分散よって線形ダウンチャープが蓄積される。ここで、平均分散値が小さく設定されているので、当該二つの線形チャープはほぼキャンセルされる。このような性質から、分散マネージメントソリトンは、局所的には分散効果が支配的な線形パルスであるとみなせ、小さな非線形効果が分布的に分散効果と打ち消しあうことにより形成される周期定常解としてのパルスである。なお、正常分散と異常分散の順序は逆であってもよい。
一方、本実施の形態における第1光伝搬路ユニット3aを伝搬する準周期定常パルスは、オーダーがO(1)の距離(非線形光ファイバ30aの長さ)にわたり、オーダーがO(1)の強さで非線形効果が加わる。さらに、オーダーがO(ε)の距離(分散光ファイバ31aの長さ)にわたり、O(1/ε)のオーダーの強さで分散効果が加わると考えられる。このため、両効果の各々が一周期(第1光伝搬路ユニット3a)にわたって累積される量は、共にO(1)のオーダーとなる。従って、本実施の形態における準周期定常パルスは、平均化ソリトンや分散マネージメントソリトンとは、パルス伝搬メカニズムが決定的に異なる。
すなわち、本実施の形態における準周期定常パルスは、第1光伝搬路ユニット3aを伝搬することにより、スペクトル拡がりを伴う非線形効果によるアップチャープ(非線形チャープ)が引き起こされ、次に異常分散効果によるダウンチャープ(線形チャープ)により当該アップチャープが補償されて、チャープがもとの状態に回帰される。この際、光パルスの波形幅が圧縮されるという大きな特徴が生じる。
ここで、平均化ソリトン、分散マネージメントソリトン及び本実施の形態における準周期定常パルスの特徴を比較してまとめた結果を表2に示す。
分散マネージメント伝搬系において累積分散値を小さくしていくと、分散マネージメントソリトンは平均化ソリトンに漸近していくことが知られている。本実施の形態における準周期定常パルスの場合にも、一周期の長さを短くして、非線形効果と分散効果の累積値を小さくしていくと、圧縮率αは1に近づき、平均化ソリトンに漸近していく。このように圧縮率が小さい場合は、断熱ソリトン圧縮(「Chernikov et al.、Electronics Letters、vol.29、p.1788、1993」を参照)現象に対応する。
図4〜図7に示す波形は、図3においてs = 0(零分散)のときに得られる波形であるが、本実施の形態における準周期定常パルスは、sが、ゼロを含む略ゼロ近傍内の所定値を持つと、符号に応じてその特徴が変化する。
そこで次に、s = −0.05314、0、0.05314の三通りの場合に、入力光パルスをP 1/2 sech(t)としてピークパワーPを変化させたときの各収束解を、それぞれ平均化法により求める。ピークパワーPに対する圧縮率αと、収束解の電力半値幅とをそれぞれ図8、図9に示す。ここで、実線、破線、点線は、それぞれs = −0.05314、0、0.05314の結果を示す。
図8に示すように、P < 2.5の場合には、sに対する依存性は見られないが、P > 2.5の場合には、s = 0.05314(異常分散)の際に圧縮率が小さくなる。一方、収束した光パルスの波形幅は、s の値に対して定量的にある程度の依存性を示してはいるものの、定性的には大きな依存性は認められない。
図10に示すように、P = 2としたときの、sの上記各値に対する波形が示されているが、実線で示すs = −0.05314の波形が最もペデスタルが小さい。図8に示す結果により圧縮率はほぼα 〜 2であり、半値幅も大きく変わらないので、ペデスタルが小さな波形を得るためには、分散値sを負の値(正常分散)に設定するのが好ましい。
また、収束解としての光パルスの波形幅を変化させたい場合には、分散光ファイバ31aの分散値sを変化させればよい。ここで、P= 2及びα = 2に固定し、sを変化させて得られる収束解としての光パルスの波形を図11に示す。
図11に示すように、分散光ファイバ31aの分散値が大きくなると、ペデスタルの大きさは保たれたまま、波形幅が増大する。図12には、sに対する収束解の電力半値幅の値が示されており、sと電力半値幅とが、ほぼ比例関係となっている。
分散光ファイバ31aでは非線形効果が小さく無視でき、累積分散値のみがパルス伝搬に影響するとしてよいので、sを変化させる代わりに、ζ−ζ、つまり分散光ファイバ31aのファイバ長手方向の長さを変化させてもよい。
結局、ピークパワーP及び圧縮率αを任意に設定した後、分散光ファイバ31aの分散値若しくはファイバ長手方向の長さを変化させて累積分散値を適切に設定することにより、収束パルスの幅を変化させることができる。
上記のように、第1光伝搬路ユニット3aを伝搬した後の出力光パルスの波形に対して数式(15)の変数変換を行うと、入力光パルスの波形と完全に一致することから、光パルスは周期定常状態として第1光伝搬路ユニット3aを何回でも繰り返して伝搬可能となる(第1光伝搬路ユニット3aが複数連結されている場合を前提とする)。
一方、数式(15)の変数変換を行う代わりに図3に示す分散マップを一周期毎に(すなわち、光伝搬路ユニット毎に)変化させても、全く同じ結果が得られる。
以下、詳細に説明する。
分散マップs(ζ)として図3を考え、入力パルスをu(t)として数式(11)を再度書き下すと、

となる。
ここで、一周期伝搬後に波形幅が圧縮された光パルスの波形をu′(t)とすると、u(t)とu′(t)との関係は、圧縮率αを用いて

となっている。
一方、u′(t)が新たな分散マップs′(ζ)を伝搬する様子は、下記方程式により表される。
数式(19)に数式(18)を代入すると、
が得られる。
ここで、変数変換

を行うと、数式(20)は、
となる。
ここで、仮に、αs′(ζ′/α) =s(ζ′)とするならば、数式(22)は、ζ′、τの座標系で数式(17)に一致する。換言すると、s′(ζ) =s(αζ) /αであるから、一周期毎に分散マップのファイバ長手方向の長さと分散値とをそれぞれ1/α倍すれば、数式(18)の変数変換が一周期毎に行われることとなり、光パルスは、一周期毎に互いに相似な波形として伝搬する。
この状況を模式図として図13に示す。ここで、n>=2、ζ = 0とすると、ζ2n−1−ζ2n−2 = (ζ2n−3−ζ2n−4) / α = ζ / αn−1、ζ2n−ζ2n−1 = (ζ2n−2−ζ2n−3) / α = (ζ−ζ) / αn−1である。
一方、図3に示す分散マップおいて、0 < |s| << 1 << s且つζ >> ζ−ζの場合を考えているので、第1光伝搬路ユニット3aの区間ζ<ζ<ζでは分散効果が支配的で、非線形効果はほぼ無視できる。そこで、一周期毎に、ファイバ長手方向の長さと分散値とをそれぞれ1/α倍する代わりに、分散値を変えずにファイバ長手方向の長さのみを1/α倍にしても等価な結果が得られる。この場合の分散マップと光パルスの伝搬の様子とを模式図として図14に示す。ここで、n>=2、ζ = 0とすると、ζ2n−1−ζ2n−2 = (ζ2n−3−ζ2n−4) / α= ζ / αn−1、ζ2n−ζ2n−1 = (ζ2n−2−ζ2n−3) / α= (ζ−ζ) / α2(n−1)である。
ここで、sが十分小さい値(ゼロ若しくはゼロ近傍の値)の場合は、s=s12=s13=…としても、同様の結果が得られる。
<光パルス成形器30の設計の具体例>
図13に示すような、一周期毎に分散値とファイバ長手方向の長さとがそれぞれ1/α倍される分散マップを有する光パルス成形器30に対し、数値計算によって得られる、圧縮率αの準周期定常パルスの波形に近い状態の入力光パルスを用いれば、準周期定常パルスに近い圧縮形態が実際に得られる。以下、このような光パルス成形器30の設計の具体例を示す。
本発明における方法に基づく設計においては、様々なパラメータに対する任意性が存在する。よって先に、いくつかの設計指針に対する実際の手順について、簡単に説明する。まず行うべきことは、規格化された空間上における仮の伝搬路を設定し、当該伝搬路を伝搬する光パルスの準周期定常パルスを求めることである。この手順を経て圧縮率αを導出してもよいし、独立に任意のαを設定してもよいが、圧縮率αは実空間でも同じ値である。前者のようにαを決める場合は、所望の圧縮率αを得るために、当該仮の伝搬路設定と準周期定常パルスのパラメータ設定とを行う必要がある。仮の伝搬路は、一般化分散値がやはり図3の形態で与えられる。非線形光ファイバ30aのファイバ長手方向の規格化長さζと、準周期定常パルスのピークパワーとを決定する上で重要なのは、非線形光ファイバ30aにおける光パルスの非線形位相シフト量Δφである。なぜなら、図8のように圧縮率αはΔφにほぼ比例した形をとるため、結果的に非線形光ファイバ30aのファイバ長手方向の規格化長さζとピークパワーとの積とが圧縮率αを支配する。よってそれぞれの値は、後に考慮する設計指針に応じて、任意に設定可能である。分散光ファイバ31aにおける累積分散値と、準周期定常パルスの幅についても図12のようにほぼ比例の関係であるため、やはりそれぞれの値は任意に設定可能である。では、いくつかの設計指針の例を挙げる。
(1)実空間上のファイバパラメータが決まっている場合で、さらに光パルス成形器30の一周期目における非線形光ファイバ30aおよび分散光ファイバ31aの長さが定められている場合:実空間上における伝搬路が設定されているので、規格化空間上の伝搬路は一意に得られる。規格化空間上の準周期定常パルスのピークパワーを変更することで、図8および図9から得られる値に応じた圧縮率αおよび波形幅が得られる。所望の圧縮率αまたは波形幅を選択した後、実空間に変換すると、入力光パルスの条件と二周期目以降の設計が決定される。なお、圧縮率αの値が増すことでピーク−ペデスタル比が増大して都合が悪いようであれば、あえて小さな圧縮率αを選び、光パルス成形器30内の周期数を増やすことで最終的に所望の圧縮率αを実現するとしてもよい。
(2)実空間上のファイバパラメータが決まっている場合で、さらに入力光パルスの条件が定められている場合:非線形光ファイバ30aおよび分散光ファイバ31aのファイバ長手方向の長さは任意に変更可能であることから、規格化空間上でも、それぞれの長さを任意に変更してよい。そこで、実空間に変換した後の光パルスが定められた条件にあうような、規格化空間上の準周期定常パルスが得られるよう、それぞれの光ファイバの規格化空間上のファイバ長手方向の長さを調整する。具体的には、ピークパワーと波形幅を規格化空間上で定めておき、それらの値に対して所望の圧縮率αに相当する非線形位相シフト量を与える非線形光ファイバ30aのファイバ長手方向の規格化長さζと、既定の累積分散値を与える分散光ファイバ31aのファイバ長手方向の規格化長さζ−ζ を決めることができる。これにより実空間上の設計が確定可能となる。
以上の例のように、与えられた設計指針に対して規格化空間上でしかるべき設定、つまり所望の条件を満足する最適値を導出し、これを現実的な設計に反映させるという手順が考えられる。以下では、上記(1)の例に沿った場合の具体例について述べる。ただし伝搬路に関しては段落0063に記載のように予め決定されていて、さらに所望の圧縮率αの値としては、段落0083に定められた値を考える。つまり、段落0121、0122に記載のような条件設定となる。
まず、光ファイバのパワー損失を考慮しない場合について説明する。
以下、一例として、P = 2、s = 0としたときの準周期定常パルスの伝搬に基づく設計を考える。ここで、準周期定常パルスの半値全幅を1.43119とし、圧縮率αを上記算出した1.97178とする。
まず、図3に示す分散マップ(すなわち、第1光伝搬路ユニット3a)において、s = d= 0、s = d =15.8、ζ = νz= 1.2、ζ = νz + ν (z−z) = 1.21625とし、d= 0とする。そして、ν= 24、ν = 1.3とすると、d = 20.54、z = 0.05、z = 0.0625が定まる。
次に、変数変換を行うパラメータを、Z = α[km]、T = α [ps]、P = α−n [W]に設定すると(nは任意の整数)、規格化分散値d、規格化非線形係数ν、ファイバ長手方向の長さz、時間軸t、振幅qは、実空間においてそれぞれD[ps/nm/km] = 0.784αd、γ[W−1km−1] = ν、Z [km] = αz、T [ps] = αt、Q [W1/2] = α−n/2qのように変換される。
更に、分散光ファイバ31aでは非線形効果が無視できると仮定し、分散値を変化させずにファイバ長手方向の長さのみを変化させる方法を用いて(図14に示す分散マップを参照)、例えば、分散値とファイバ長手方向の長さとを、それぞれD[ps/nm/km] = 0.784d、Z [km] = α2nzとしてもよい。
ここで、仮に、n=0とすれば、D = 0[ps/nm/km]、γ = 24[W−1km−1]、D = 16[ps/nm/km]、γ = 1.3[W−1km−1]、Z = 0.05[km]、Z= 0.0625[km]となる。また、規格化空間でピークパワーが2、電力半値幅が1.43119の光パルスは、実軸空間でピークパワー2[W]、電力半値幅1.43119[ps]という値を持つ。この場合の分散値及び非線形係数は、非線形光ファイバ30a、30b、30cにHNLF(分散値0ps/nm/km、非線形係数24W−1km−1)、分散光ファイバ31a、31b、31cにSMF(分散値16ps/nm/km、非線形係数1.3W−1km−1)を用いる際に都合がよい。
一方、n=1とすれば、D = 0[ps/nm/km]、γ= 24[W−1km−1]、D = 31.55[ps/nm/km]、γ = 1.3[W−1km−1]、Z = 0.098589[km]、Z= 0.1232362[km]となる。また、規格化空間でピークパワーが2、電力半値幅が1.43119の光パルスは、実軸空間でピークパワー1.0143[W]、電力半値幅2.822[ps]という値を持つ。なお、分散光ファイバ31aでは分散効果が支配的であるとすると、D = 16[ps/nm/km]、Z = 0.147188[km]としても等価である。
このように、nの値を変えることで、任意のスケールで入力光パルスのパラメータと、分散マップの一周期目(すなわち、第1光伝搬路ユニット3a)の設計を決めることができる。
次に、n=1の場合について、具体的な設計例と、当該設計例に基づいて行った数値計算による光パルスの圧縮の様子を示すシミュレーション結果とを示す。
準周期定常パルスは、パルス中心付近についてはガウス型関数で近似できるが小さなペデスタルと非線形チャープとを有する(図4を参照)。しかし、以下では、入力光パルスとして、ピークパワーが1.0143[W]、電力半値幅が2.822[ps]であるチャープフリーのガウス型パルスを考える。
一周期目の伝搬路(すなわち、第1光伝搬路ユニット3a)の設計は、上記内容から、D = 0[ps/nm/km]、γ= 24[W−1km−1]、D = 16[ps/nm/km]、γ = 1.3[W−1km−1]、Z = 0.098589[km]、Z= 0.147188[km]として設計する。
二周期目以降の伝搬路(すなわち、第2光伝搬路ユニット3b、3c以降)の設計は、圧縮率αの値と、図14の分散マップに示す方法とを用いて決定できる。
この場合、圧縮率αとしては、上記算出した圧縮率α = 1.97178を用いるのが好ましいが、有効性を確かめるために、圧縮率をα′ = 1.8、2.0、2.2として二周期目以降の伝搬路設計を行った場合の、光パルスの圧縮の様子を、数式(1)の直接数値計算を行うことによって調べる。ここで、ファイバ損失や高次の分散性及び高次の非線形性を無視する。
ここで、表3に、上記圧縮率α′の各値につき、HNLF長、SMF長、出力パルスの幅及び圧縮率(入出力光パルスそれぞれの波形幅の比)を示す。入力光パルスと一周期目の伝搬路とは、全てのα′の値に対し共通であるとする。
圧縮率が理想値に近いα′ = 2.0の場合には、三周期目の出力光パルス(すなわち、第3光伝搬路ユニット3cから出力される光パルス)の波形幅が0.371psに圧縮されるのに対して、圧縮率がα′ = 1.8の場合には、波形幅が0.459psまでしか圧縮されない。一方、圧縮率がα′ = 2.2の場合には、三周期目の出力光パルスの波形幅が0.351psにまで圧縮される。
上記圧縮率α′の各値につき、二周期目及び三周期目の出力光パルスの波形の時間とパワーとを規格化したものを、図4に示す数値的に得られた準周期定常パルスと重ねて図15〜図20にプロットして示す。実線は、当該圧縮率α′を用いた場合のパルス圧縮の結果を示し、破線は図4に示す準周期定常パルスを示す。
また、図15〜図20に示すように、圧縮率がα′= 2.0の場合には、光パルスの波形は、準周期定常パルスに最も近い波形を保ちながら圧縮されている。波形が準周期定常パルスからズレが生じると、光パルスが周期を重ねて伝搬する毎に該光パルスの圧縮波形に大きな歪みが生じることとなり、好ましくない。また、光パルスのパワーが準周期定常パルスに比べて減少しているが、これは入力光パルスと準周期定常パルスとの間のズレに起因するパワー損失であると考えられる。このパワー損失は、実際に光パルスの圧縮を行う際には、光パルスのパワーにプリエンファシス(準周期定常パルスは非線形チャープ、特に中心付近ではダウンチャープを持っているが、これを分散補償することでチャープフリーの状態に近づけたときに、ピークパワーはある程度大きくなる。入射パルスがそのときのピークパワーを持つように調整することを、プリエンファシスを加えることと定義する)を加えることにより補償可能である。
ここで、入力光パルスにチャープフリーガウシアンパルスを用いても、実際の出力光パルスは準周期定常パルスに近いものとなる。このため、入力光パルスの波形にはある程度のマージンがあり、例えば、sech型パルス等を用いた場合でも、得られる結果に大差はない。
更に、準周期定常パルスの中心部分はダウンチャープを持つため、HNLFへの入射時には光パルスがダウンチャープを有していることが必要となる。SMF長はそのように設計されなければならないが、表3に示す設計結果は、この点が反映されたものとなっている。
なお、表3に示す内容では、二周期目や三周期目の出力光パルスの幅が1psより小さくなっているが、このような場合、厳密には高次分散やラマン自己周波数シフト等の高次効果の影響を考慮しなければならない。
次に、光ファイバのパワー損失を考慮した場合について説明する。
光ファイバ自体に生じるパワー損失や光ファイバ同士の接続部に生じるパワー損失等によるパワー低下が生じるような場合には、その低下分に合わせて非線形光ファイバ30aのファイバ長手方向の長さ長くすることにより(effective lengthに相当、「G.P.Agrawal、“Nonlinear Fiber Optics”、Academic Press、3rd.ed.、p98、2001」を参照)、当該パワー低下が容易に補償可能となる。そのため、図13に示す分散マップでは非線形光ファイバのファイバ長手方向の長さは一周期毎に1/α倍されていくが、一周期の総パワー損失が所定閾値を超えると、次周期のファイバ長は前周期のファイバより長くなることもあり得る。このため、HNLFのようにγ/δが大きなものでないと、所望の圧縮が得ら
れないという結論に至る。
以下、上記結論について詳細に説明する。なお、分散光ファイバは非線形光ファイバに比べて一般に損失が小さく、またファイバ長は表1に示すように極めて短いので、パワー損失を考える上では無視してよい。
まず、第1光伝搬路ユニット3a、3b、3c等、n個の光伝送路ユニットが連結された光パルス成形器30に対して光パルスを伝搬させると、圧縮率はαとなる。この際の非線形光ファイバの規格化空間上の総長(ファイバ長手方向の長さの総計、以下同じ)ζAnは、ζ = 0として、
となる。
非線形光ファイバの非線形係数ν、損失係数δが共にファイバ長手方向の長さによらず一定値をとるとすると、数式(8)からa(z) = a (0)exp[−δz]となり、数式(11)から規格化空間上の距離ζと実距離zとの関係は、
となる。
数式(24)から、損失係数δを考慮した場合の実距離zは規格化空間上の距離ζを用いて、

と表される。
得られた数式(25)のζにζn−1を代入すると、n周期目の非線形光ファイバの実距離(ファイバ長手方向の実距離)zが算出される。よって、n回圧縮するために必要な非線形光ファイバの実空間におけるファイバ長zAnは、数式(23)を数式(25)に代入して、

が得られる。
更に、この際の入力光パルスのパワーに対する出力光パルスのパワーの比a(zAn) / a は(以下、パワー損失の割合という)、

となる。
ここで簡単のため、a = a(0) = 1としても、一般性は失われない。このとき数式(25)は、規格化空間における一周期目の非線形光ファイバ30aのファイバ長手方向の長さζ、圧縮率α及び周期数nと、実空間における非線形光ファイバ3の損失係数δ、非線形係数ν及び総長zAnとの関係を与える。
例えば、非線形光ファイバ30aのファイバ長手方向の長さζ、圧縮率α、周期数nを決めて総長zAnに対する条件を与えると、損失係数δと非線形係数νとが満たすべき条件が得られる。具体例として、上述のζ= 1.2、α = 1.97、n = 3の場合を考え、非線形光ファイバとしてHNLF(γ = 20W−1Km−1、L = 1.5dB/km)とDSF(Dispersion Shifted Fiber)(γ = 2W−1Km−1、L = 0.2dB/km)とを用いた場合の総長zAnについて比較する。
数式(6)及び数式(7)で規格化に用いる定数をz = 1 [km]、P= 1 [W]とし、数式(25)を用いてそれぞれのファイバの総長zAnを計算すると、HNLFの場合には0.12256 km、DSFは1.23443 kmであり、残留パワーの割合はそれぞれ0.95855(= −1.5 [dB/km] × 0.12256 [km] = −0.18384 [dB])、0.94474(= −0.2 [dB/km] × 1.23443 [km] = −0.246886 [dB])であり(数式(26)からも計算可能)、HNLFの方がDSFよりもパワーロスが少ないことがわかる。この結果は、局所的な損失係数δは、HNLFの方がDSFよりも大きいが、それ以上に総長zAnが十分短いために、結果的に総パワー
損失が小さくなることを意味している。逆に、あるパルス成型器を実現する際にパワー損失の許容値が設定される場合、HNLFを用いると実現可能であるが、DSFでは不可能となる場合も存在し得る。
以上より、非線形光ファイバのファイバ長手方向の長さの総計及びパワー損失の両面から、HNLFを用いた方がDSFを用いるよりも有利であることが計算により確認できる。
光パルス成型の実験結果
以下では本発明で開示した方法、すなわち準周期定常パルス伝搬に基づくパルス成型器設計方法にしたがってパルス成型器を作製し、光パルス成型実験を行った結果について示す。
(実験結果1)四段構成の偏波非保持型パルス成型器を用いて、40GHz繰り返し逆相パルス列の幅を、7psから0.360psに圧縮する。
入力パルスのピークパワーは357mWとする。
一段あたりの圧縮率αは、(7/0.36)1/4=2.1とする。
このとき準周期定常パルスの各段におけるパルス幅とピークパワーは表4のように決定できる。
四段構成のパルス成型器の中である一段の設計を決めれば、他段の設計もただちに決められる。
ここでは成型器の三段目の設計を決めるため、圧縮率がα=2.1で、ピーク非線形位相シフト量が2.4radの準周期定常パルスを求める。
図3に示す規格化空間上の伝送路において、s=−0.0824、s=118.17、ζ=0.25、ζ=0.25213とし、α=2.1、ピークパワーが9.6である準周期定常パルスを平均化法により求めた。図21にその波形を示す。図21 (a)強度時間波形と瞬時周波数、図21(b)自己相関波形、(c)スペクトルを示す。
図21に示した準周期定常パルスの電力半値幅は、1.442である。
高非線形ファイバ(HNLF)とシングルモードファイバ(SMF)からなる、実空間上のパルス成型器において、図21のパルスが伝搬するようにそれぞれのファイバの長さを決める。
HNLFとSMFの分散値、非線形定数、損失を表5に示す。
まずは損失を無視して考える。
規格化空間上の伝送路パラメータと準周期定常パルスパラメータを、表5に示したファイバパラメータ、および表4に示した実空間上のパルスパラメータに置き換えると、パルス成型器三段目のHNLFとSMFの長さはそれぞれ77mと14.7mとなる。
これから一段目、二段目、および四段目のファイバ長は、先に述べた変換によって求められ、表6のようになる。
ファイバ損失がなく、HNLFとSMFの接続損失もない場合、表6の設計どおりにパルス成型器を作製すればよい。
しかし現実には、損失による光パワーの減衰が大きな影響を及ぼすため、それを考慮して設計しなければ、各段で所定の非線形位相シフト量が得られず、所望の圧縮特性を達成することができない。
そこで、表5に示したファイバ損失と、HNLFとSMFの接続損失を考慮して、表6の設計を見直す。
なおHNLFとSMFの接続損失は測定の結果、典型値として1箇所につき0.15dBという値が得られた。
ファイバ損失による光パワーの減衰を補償して、各段で所定の非線形位相シフト量を実現するための方法としては、成型器の中に光増幅器を組み込んだ構成で減衰した光パワーを増幅する方法と、減衰したパワーに応じてHNLF長を長くする方法がある。
ここでは後者の方法を用い、パルス成型器の各段でパルスが受けるピーク非線形位相シフトが所定の2.4radとなるように、各段のHNLF長を調整する。
表7に損失を考慮して各段のHNLF長を長くした設計結果を示す。
表6と表7の結果と比較すると、HNLF長が各段で長くなっていることがわかる。
表7の設計結果にしたがって、実際にパルス成型器を作製し、パルス成型実験を行った。
実験系を図22に示す。
発振波長が1550nm付近で、それぞれ0.32nm(周波数に換算すると40GHz)異なる二つのDFBレーザー(LD)から発生された連続光は、それぞれ偏波コントローラ(PC)と3dBカプラを経て合波され、繰り返し周波数が40GHzのビート光となる。
ビート光は、ファンクションジェネレータ(F.G.)から得られる1GHzの正弦波で駆動されるLN位相変調器(LNM)を通過することで、1GHzの位相変調を受ける。
この位相変調により、ファイバ中の誘導ブリルアン散乱(SBS)を抑圧できる。
なおSBSを抑圧するには、位相変調器による位相変調を行う他に、パルス成型器中の適当な箇所に少なくとも一つの光アイソレータを挿入する方法もある。
LNMから出力された光は、EDFA(Erbium doped fiber amplifier)によって増幅され、帯域通過フィルタ(BPF)によって自然放出光雑音を除去した後、三段パルス成型器に入力される。
この三段パルス成型器は、次の文献によって公知である。
K. Igarashi他, "Wideband-tunable highly pure 40 GHz picosecond soliton train generation by short comb-like profiled fiber", CLEO2004, paper CFC2, San Francisco, CA, U.S.A., May 2004.
三段パルス成型器の出力光は隣接するパルスどうしが逆位相で、繰り返し周波数が40GHz、電力半値幅が7psであり、波形がsech関数のパルス列である。
可変光減衰器(VOA)によって平均光パワーを21.13dBmに調整した後、そのパルス列を本発明によって設計したパルス成型器に入力し、各段でのスペクトル波形と自己相関波形を、それぞれ光スペクトラムアナライザ(OSA)と自己相関波形測定器(A.C.)で測定する。
また実験と同様の条件のもとで、パルス成型に関する数値シミュレーションを行い、実験結果と比較した。
ただし数値シミュレーションでは、単一直線偏光の光波を仮定し、ファイバの高次分散や高次非線形性、複屈折の効果は考慮していない。
シミュレーションと実験のそれぞれについて、図23に各段出力パルスのスペクトル波形、図24に自己相関波形を示す。
ただし図23(a)は数値シミュレーション結果、図23(b)は実験結果を示す。
また図24で、線は数値シミュレーション結果、点は実験結果を示す。
また各段出力パルスのパルス幅(電力半値幅)について理論値、数値シミュレーション結果、実験結果をまとめたものを表8に示す。
ただし理論値は、入力値を7ps、段数をnとして、7´α−n=7´2.1−nより得られる値であり、一方実験値は、図24のように得られた自己相関波形に対して、入力パルスのみsech関数、各段出力パルスはGauss関数の強度自己相関関数でフィッティングを行い、電力半値幅を導出したものである。
図23と図24から、実験結果とシミュレーション結果がよい精度で一致している。
また表8から、ほぼ理論通りにパルス幅が圧縮されていると言える。
さらに四段目出力パルスの波形に注目すると、スペクトルと自己相関波形ともに、図21に示した準周期定常パルスの波形に近いことがわかる。
入力パルスの形状はsech関数型であり、準周期定常パルスの波形とは正確に一致しないにもかかわらず、圧縮されたパルスの波形が準周期定常パルスのそれに近いということは、パルスが成型器を伝搬中に、定常状態としての準周期定常パルスに収束しつつあるということである。
よって成型器の段数をさらに増加すると、パルス波形はより正確に準周期定常パルスに漸近するものと考えられる。
一方、四段目出力パルスについて、シミュレーション結果に対して実験結果のスペクトル帯域がわずかに狭い。
その原因は、ひとつには、偏波の影響がある。
パルス成型器中のパルス伝搬に関する数値シミュレーションにおいては、光パルスは常に単一偏波であり、複屈折を無視することで偏波が保持されることを仮定した。
しかし実際はファイバの複屈折の効果により、入力時は単一偏波であった光波が、直交する二つの偏波成分に分離し、しかもそれらが群遅延を持つことで、結果的にパルス幅の増大と、ピークパワーの減少につながる。
この効果は偏波モード分散(PMD)として知られている。
パルスのピークパワーが下がると、パルス成型器のある段で所定のピーク非線形位相シフトを達成することができず、帯域が狭く、時間幅が大きいパルスが出力される。
もしパルス成型器の段数をさらに増やすならば、小さいパルス幅のためにPMDの影響が相対的に大きくなることから、所望の圧縮特性を実現できない可能性がある。
よってパルス成型器を設計する際は、ファイバ損失と接続損失に加えて、ファイバの複屈折の影響も考慮して行うことで、設計どおりの実験結果を得ることができる。
次に、成型器入力時にパルスに付加された雑音と、出力光のパルス列が持つタイミングジッタの関係について述べる。
図24では、遅延時間を-12.5psから12.5psの範囲として、各段出力パルスの自己相関波形を示した。
範囲を-30psから30psまで広げた場合の各段出力パルスの自己相関波形を、実験結果(点)および数値シミュレーション結果(線)の両方について示す。
図25は、各段出力パルスの自己相関波形であり、点は実験結果、線は数値シミュレーション結果を示す。
遅延時間が-25, 0, および25psのときに自己相関波形のピークが存在し、段数を増すごとに、-25および25psにおけるピークの値が減少していることがわかる。
このピーク値の減少は、40GHzパルス列がタイミングジッタ(時間位置揺らぎ)を持っていることを意味している。
このタイミングジッタの原因は、以下のように考えられる。
光パルスにASE雑音が付加されている場合、パルスと雑音成分の干渉により光パルス波形が歪むが、その歪みは時間スロットごとにランダムである。
その歪みは、光パルスの中心周波数からより離れた周波数成分のASE(高周波雑音成分)が付加されている場合により顕著である。
光パルス波形が歪んだ結果、時間軸におけるパルスの一次モーメント(パルス位置の重心を表す)が各時間スロットに対してランダムとなる(ジッタを持つ)。
一方、本発明のパルス成型器によってパルスの幅を圧縮する場合、出力パルスのピーク位置は、入力パルスの重心位置にほぼ一致することが、シミュレーション結果より示される。
数値シミュレーションでパルス成型器各段出力パルスを計算した際、時間軸におけるパルス列の中の個々のパルスの一次モーメントとピーク位置について、時間スロット中心位置に対するずれ量の標準偏差をそれぞれ求め、入力および各段出力でまとめた結果を表9に示す。
表9から入力パルスについて、雑音との干渉のために波形が歪んだ結果、パルスのピーク位置標準偏差が大きいことがわかる。
しかしパルス成型器の段数を増すごとに、一次モーメント標準偏差はほとんど変化がなく、一方でピーク位置標準偏差は一次モーメントのそれに近づいていくことがわかる。
パルスのタイミングジッタは、パルスの電力半値幅に対する割合が大きくなると、パルス列の品質を悪化させる。
換言すれば、タイミングジッタの量が一定値の場合、パルスの幅が大きければほとんど問題にならないが、幅が小さくなるとジッタが相対的に大きくなる。
例えば入力パルスについては、一次モーメントの標準偏差が67.9fsであるのに対して、幅が7psであるからジッタはほとんど無視でき、図25の入力自己相関波形で-25および25psにおけるピーク値は、0psにおけるそれとほぼ同じである。
逆に、例えば四段目出力パルスについては、一次モーメント標準偏差が70.6fsであるのに対してパルスの幅が367fsであるから、幅に対するジッタ量の割合が大きくなって、図25の自己相関波形で-25および25psにおけるピーク値は0psにおけるそれより小さくなるのである。
したがって、パルス成型器によってパルスの幅を圧縮する場合に、出力パルスのタイミングジッタの影響を抑圧するためには、入力パルスのタイミングジッタ量、すなわち時間軸における一次モーメントのジッタ量を極力低減することが非常に重要である。
そのためにはEDFAで光増幅する際にBPFによってASE雑音(特に高周波雑音成分)を除去する方法が有効である。
あるいは図22でビート光を発生させる二つのLDそれぞれに対して、EDFAで十分な光パワーに増幅した後、狭帯域BPFでできるだけ雑音を除去してから合波し、その後は雑音付加をともなう光増幅を行わない構成や、雑音付加をともなわない光増幅を行う構成なども考えられる。

(実験結果2:偏波保持ファイバを使用したパルス成型器)
別の実施例として、本発明の方法で設計したパルス成型器を、偏波保持型のHNLFとSMFで実現する。
入力パルスの幅を8psとし、四段構成のパルス成型器で2psに圧縮するように設計する。
入力パルスのピークパワーは420mWとする。
一段当たりの圧縮率をα=1.4とし、ピーク非線形位相シフト量が1radとなる準周期定常パルスが伝搬するように、設計を行う。
各段における準周期定常パルスのパルス幅とピークパワーの値を表10に示す。
図3に示す伝送路においてs=−0.024、s=6.92、ζ=1、ζ=1.08とし、α=1.4、ピークパワーが1である準周期定常パルスを平均化法により求めた。
図26にその波形を示す。準周期定常パルスの波形、時間強度波形とスペクトル波形を示す。
図26に示した準周期定常パルスの電力半値幅は、1.974である。
表11に偏波保持型のHNLFおよびSMFのパラメータを示す。
先の実施例と示した方法と同様に、まずは損失を無視して考える。
四段構成のパルス成型器のうち、二段目の設計を決める。
規格化空間上の伝送路パラメータと準周期定常パルスパラメータを、表11に示したファイバパラメータ、および表10に示した実空間上のパルスパラメータに置き換えると、パルス成型器二段目のHNLFとSMFの長さはそれぞれ164.3mと212.1mとなる。
これから一段目、三段目、および四段目のファイバ長は、先に述べた変換によって求められ、表12のようになる。
表11に示したファイバ損失と、HNLFとSMFの接続損失を考慮した場合のパルス成型器設計結果を表13に示す。
なおHNLFとSMFの接続損失は測定の結果、典型値として1箇所につき0.6dBという値が得られた。
ファイバ損失と、HNLFとSMFの接続損失を無視した場合の設計では、表6や表12のように、HNLF長が段ごとに短くなる。
また、それらの損失を考慮した場合でも、比較的小さい場合は表7の設計結果のように、やはりHNLF長は段ごとに短くなる。
ところがHNLFとSMFの接続損失が0.6dBという、比較的大きな値の場合には、表13のようにHNLF長が段ごとに長くなるという結果になる。
表13に示した設計にもとづいてパルス成型器を作製し、パルス圧縮実験を行った。その実験系を図27に示す。
直接変調DFBレーザー(LD)に、ファンクションジェネレータ(F.G.)から発生された508MHzの正弦波クロック信号を加えると、ゲインスイッチング動作によって繰り返し周波数が508MHzの光パルス列が発生される。
この光パルスは1553nmと1551nmそれぞれを中心とする二つの周波数成分を含んでいるが、後者の成分をBPFにより抑圧する。
BPFより出力された光パルスは周波数チャープを持っているが、600m のDCFを伝搬させることでチャープ補償して、幅が13.3psのパルスを得る。
これをEDFAで光増幅し、雑音除去のため帯域幅が3nmのBPFを通過させ、実験1でも用いた三段パルス成型器に入力して、幅が8psのパルスを得る。
偏波コントローラ(PC)を調整し、偏光子(Pol.)を通過させて得られる単一直線偏波の光パルスの平均パワーが1.8dBmとなるように調整した後、本発明の偏波保持ファイバからなる四段パルス成型器に入射する。
入力パルスと各段出力パルスの光スペクトルと自己相関波形をそれぞれ測定し、実験結果とあわせて数値シミュレーション結果も示す。
図28は、 入力および各段出力パルスのスペクトル(実線:実験結果、点線:数値シミュレーション結果)を示す。
図29は、入力および各段出力パルスの自己相関波形(点:実験結果、線:数値シミュレーション結果)を示す。
図28は入力および各段出力パルスのスペクトルを示しており、実線が実験結果、点線が数値シミュレーション結果を表す。
また図29では入力および各段出力パルスの自己相関波形を示しており、点が実験結果、線が数値シミュレーション結果を表す。
それぞれの図で、実験結果と数値シミュレーション結果がかなりの精度で一致していることがわかる。
また各段出力パルスの電力半値幅について、理論値、数値シミュレーションにより得られた計算値、そして実験値をまとめた結果を表14に示す。
表14から、ほぼ設計どおりにパルス圧縮が行われていることが確認できる。
偏波非保持ファイバを用いたパルス成型器では、四段目出力パルスのスペクトルに関して、図23に示したように、実験により得られた帯域幅がシミュレーションにより得られたそれより小さいことを先に述べた。
ところが、図28の四段目出力スペクトル波形について、実験結果と数値シミュレーション結果がほぼ一致している。
この理由としては、パルス成型器に偏波保持ファイバを用いたことが考えられる。
つまりパルスが成型器を伝搬中、偏波が常に保持されているので、PMDなど複屈折による悪影響が発生しなかったため、計算どおりのパルス伝搬特性が得られたということである。
よって、偏波保持ファイバを用いたパルス成型器を作製することで、設計どおりの動作を実現することができ、パルス成型器を製作する際の大きな利点となる。
最後に、本実施の形態における光パルス成形器30を応用した、波形整形器の可能性、断熱パルス膨張器、放物線自己相似パルス生成器の実現可能性と、正常分散に属する光ファイバを必要としない分散マネージメント伝搬の可能性とについて述べる。
<波形整形器の可能性>
上述したように、本実施の形態においては、一周期毎に圧縮される準周期定常パルスを用いた断熱圧縮について説明した。具体設計例においても示したように、準周期定常パルスに完全に一致しない光パルスを入射しても、図16や19に示した数値シミュレーション結果や、図23、24、28,29に示した実験結果とそれをシミュレートする計算結果のように、複数周期伝搬することで定常パルスに近づいて行くことがわかる。これを利用すると、なんらかの理由で波形が歪んだパルスを入射したとき、定常パルスに近づいて行くことで、結果的に波形整形が行われる。任意の点で光フィルタなどを用いることによる周波数帯域制御を適用することで、効率のよい波形整形器が実現でき、波形歪みを伴う光伝送に対して有効である。
<断熱パルス膨張器の可能性>
上述したように、本実施の形態においては、一周期毎に圧縮される準周期定常パルスを用いた断熱圧縮について説明した。そこでは、オーダーO(1)の摂動を加える順序として、まず非線形光ファイバ30a等により非線形効果を与え、次に分散光ファイバ31a等により分散効果を与えるとしてきた。しかし、オーダーO(1)の摂動を加える順序として、逆に、まず異常分散効果を与え、次に非線形効果を与えるとすると、一周期毎に光パルスの波形幅が膨張する準周期定常パルスが見つかることが予想される。このとき、数式(14)の変数変換における圧縮率αは0以上1未満となる。これを用いれば、ファイバ損失以外にエネルギー損失の発生が生じない、周期毎に波形幅が膨張する「断熱パルス膨張器」の作成が可能となる。従来では、主に帯域通過光フィルタを用いて、光パルスの波形幅を増大させており、このため、エネルギーの損失が生じていた。しかし、光パルス出力装置100を応用した方法によりエネルギー損失の問題が劇的に改善可能となる。
<放物線自己相似パルス生成器の可能性>
さらに、オーダーO(1)の摂動を加える順序として、まず正常分散効果を与え、次に非線形効果を与えるとすると、放物線パルスが定常解として得られることが予想される。これは正常分散によって線形アップチャープが生じたパルスが、非線形効果によるアップチャープをさらに加えるような状態で、定常解になり得る波形としては、放物線が考えられるためである。このとき、数式(14)の変数変換における圧縮率αはやはり0以上1未満となる。圧縮率が1に近い設計を行ったとき、「長手方向に分散が減少する正常分散ファイバ中の自己相似放物線パルス伝搬」(T. Hirooka et al.、“Parabolic pulse generation by use of a dispersion-decreasing fiber with normal group-velocity dispersion”、Optics Letters、vol.29、no.5、pp.498-500、2004)や、それと等価である「利得を有する正常分散ファイバ中の自己相似放物線パルス伝搬」(M. E. Fermann et al.、“Self-Similar Propagation and Amplification of Parabolic Pulses in Optical Fibers”、Physical Review Letters、vol.84、no.26、pp.6010-6013、2000)を論じた文献で知られているような、自己相似放物線パルス伝搬現象に漸近するものと考えられる。
<正常分散に属する光ファイバを必要としない分散マネージメント伝搬の可能性>
非線形効果によるアップチャープを異常分散で補償することにより、分散マネージメント伝搬が可能になる。なお、光パルスの波形幅は周期毎に圧縮されるため、帯域制限光フィルタ等で、光パルスの波形幅をもとに戻す必要がある。
以上説明したように、本実施の形態の光パルス成形器30によれば、非線形光ファイバ30a、30b、30cの各々に入力する光パルスu11(t)、u12(t)、u13(t)の波形は互いに相似となるため、光パルス成形器30から最終的に出力される光パルスは、光パルス成形器30に入力する光パルス波形と略同一のピーク/ペデスタル比の波形として出力される。このため、光パルス成形器30から出力される光パルスのパルス波形に生じ得る劣化(歪みの発生)が十分に抑制可能となり、非常に高精度な光パルス列が出力可能となる。
また、本実施の形態の光パルス成形器30を用いる場合、一周期当たりの圧縮率を大きくとることができ、従来知られている断熱ソリトン圧縮方式と比較してはるかに効率の高いパルス成型が可能となる。
また、第1光伝搬路ユニット3aに係る分散値s、s及びファイバ長手方向の長さζ、ζと、第1光伝搬路3aに入力される光パルスのパワーピーク値とが決定されれば、分散光ファイバ31aの後段に連結される第2、第3光伝搬路ユニットに係る分散値及びファイバ長手方向の長さが一意的に決定できるので、光パルス出力装置100(特に、光パルス成形器30)の設計が非常に行い易くなる。
また、第1光伝搬路ユニット3aの非線形光ファイバ30aの分散値がゼロ若しくはゼロ近傍に値を持つような場合には、後段に設けられる第2、第3光伝搬路ユニットの各非線形光ファイバ30b、30cの分散値が当該第1光伝搬路ユニット3aの非線形光ファイバ30aの分散値に略同一(すなわち、ゼロ若しくはゼロ近傍の値)となるので、光パルス成形器30の設計が更に容易となる。
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る光パルス成形器及びその設計方法の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における光パルス成形器30の細部構成及び詳細動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では、光ファイバの高次分散、高次非線形性、偏波モード分散等を考慮に入れていないが、数式(1)を変更することにより高次分散、高次非線形性、偏波モード分散等を考慮に入れることは容易である。特に、圧縮によって波形幅が小さくなった光パルスを伝搬させる場合、分散スロープ(3次分散)の影響を第1に考えねばならないが、例えば非線形光ファイバと分散光ファイバとで互いに逆の分散スロープを持つように設計すれば、当該二つの分散スロープによる影響を打ち消すことが可能となる。
また、非線形効果を与える媒体としては、非線形光ファイバ30a、30b、30cに限らず、「屈折率が電場強度に比例する」ものであれば他の媒体、例えばフォトニック結晶ファイバやその他の導波路型デバイスであってもよい。また、異常分散を与える媒体としては、シングルモード分散光ファイバ31a、31b、31cに限らず、高次モードファイバ(S. Ramachandran, “Dispersion Management with Higher Order Mode Fibers” OECC 2003, paper 15D4-1, Shanghai, China, October 2003参照)、ファイバブラッググレーティング(FBG)や、プリズムを用いた空間系における波長分散媒体等を用いてもよい。
また、非線形効果がアップチャープを伴って光スペクトルが拡げられた場合とは逆に、ダウンチャープを伴って光スペクトルが拡げられた状態、例えば非線形光ファイバを通過した後に、任意の非線形媒質(例えば、光ファイバ)中におけるポンプ光と光パルスとのパラメトリックプロセスによるアイドラ光が発生する場合を考える。このような場合、位相が反転しているため上述の状態となるが、分散を与える媒体(例えば、光ファイバ)としては、異常分散媒体ではなく、正常分散媒体が用いられる。
また、光パルス成形器30中の任意の点で、波長変換を行う設計を施すことで、容易に波長可変な構成をとることができる。
また、図13或いは図14に示す構成を持つ光パルス成形器30は、少なくとも一周期分の伝搬路(第1光伝搬路ユニット3a等)から構成されるが、この一周期分の伝搬路の後段には、他の異なる準周期定常パルスが得られるような伝搬路を二周期目以降に連結させてもよい。例えば、一周期目は圧縮率α = 1.5の構成で、二周期目は圧縮率α = 2の構成としてもよい。
また、入力光パルスのパラメータは数値的に得られる準周期定常パルスに近いものが好ましく、また光伝搬路(第1光伝搬路ユニット3a、3b,3c)も図13或いは図14に示す分散マップに基づいて設計されるのが好ましいが、何れの場合においてもパラメータのズレについてはマージンが大きいため、厳密に設計されてなくても光パルス出力装置100が実現可能である。
また、実際に光パルス成形器30を作る際に、入力光パルスを準周期定常パルスに近づける方法を以下に述べる。大きく分けて二つのアプローチが考えられ、一つはパルス強度を準周期定常パルスに近づけること、もう一つはチャープを準周期定常パルスに近づけることである。前者に関しては、ピークパワーや時間幅、もしくはペデスタルの形が準周期定常パルスのそれに近づくよう、光増幅器の出力を調整したり、あるいは強度変調器や、光パルス成形器30を別に用いたりすることで、調整すればよい。特に、例えば圧縮率を大きく設定するときはガウス関数の形に、逆に小さく設定するときは、sech関数の形に調整することも加えることで、本発明をより効率的に実施することが可能になる。一方後者に関しては、パルス中心付近でダウンチャープとなる非線形チャープを加えるために、例えば位相変調器を用いて所望の形に近いチャープを与えたり、あるいは光パルスを異常分散媒質中で伝搬させ、線形ダウンチャープを与えることで所望のチャープを近似したりすることが考えられ、これによってやはり本発明を効率的に実施することが可能になる。
本発明により作製されたパルス成型器を含むパルス光源において、種光となる光パルスを生成する手段は、前に述べたビート光発生による方法以外には、単一レーザーより出力された連続光に対してLN型もしくは電界吸収型等の外部変調器を用いて強度変調を行うことでパルスを発生する方法、あるいは直接変調型DFBレーザーに対して正弦波電気信号を加え、利得スイッチング動作によってパルスを発生させる方法、あるいは何らかの共振器構造を有する、ファイバリング型もしくは半導体共振器型などのモードロックレーザーからパルスを発生する方法などが考えられる。
本発明により作製されたパルス成型器から出力される光パルスの応用事例として、光通信における信号源やクロック光等の用途の他には、電力半値幅がフェムト秒オーダーの超短パルスを用いたレーザー加工や、超広帯域性を用いた高精度計測、例えば光サンプリングオシロスコープや光コヒーレンストモグラフィー(OCT)などがある。
図30に本発明による光パルス出力装置を用いたレーザー加工機の模式図を示す。本発明の短パルス出力装置(パルス光源)より出力された光パルスは、光増幅器によって高パワーに増幅され、レンズ等の空間出力器を経て被加工物に照射される。被加工物に照射された短パルス光は、二光子吸収過程などのプロセスによって、加工が実現される。
図31に本発明による光パルス出力装置を用いた高精度計測器としての光サンプリングオシロスコープの模式図を示す。本発明の短パルス出力装置(パルス光源)より出力された光パルスは、被測定信号とともに光信号処理器に入力される。光信号処理器では、例えばカプラによって光パルスと被測定信号を合波し、光ファイバ中の非線形効果によって二つの光波の論理和をとり、得られた光の強度を電気信号として出力し、これを時間軸で周期的に繰り返すことで光サンプリングが可能となる。
図32に本発明による光パルス出力装置を用いた高精度計測器としての光コヒーレンストモグラフィーの模式図を示す。制御機器によって出力時間が制御された本発明の短パルス出力装置(パルス光源)より出力された光パルスは、カプラによって二分岐され、一方がレンズ等の空間出力器を経て被測定物に照射される。被測定物からの反射光はレンズ等の空間入力器を経て、分岐されたもう一方の光パルスとともに干渉計に入力される。干渉計の出力は制御機器によって制御された信号処理器に入力される。信号処理器では、干渉計の出力信号に対してアナログ−デジタル変換を行い、デジタル化された信号を解析することで、被測定物の断層情報が得られる。

Claims (23)

  1. 非線形媒質と分散媒質とが連結された第1の光伝搬路ユニットを備えた光パルス成形器の設計方法であって、
    第1の光伝搬路ユニットの設計仕様を特定するステップと、
    前記特定した設計仕様に基づいて、前記第1の光伝搬路ユニットに対する入力光パルス及び出力光パルスの各波形が互いに相似となる準周期定常パルスを算出するステップと
    を含み、
    前記設計仕様は、少なくとも、前記第1の光伝搬路ユニットの非線形媒質及び分散媒質が有する非線形係数、分散値及び光伝搬方向の長さと、前記入力光パルスのパワーピークとを含むことを特徴とする光パルス成形器の設計方法。
  2. 前記第1の光伝搬路ユニットの後段に第2番目以降の光伝搬路ユニットが一又は複数直列に連結されて成ることを特徴とする請求項1に記載の光パルス成形器の設計方法。
  3. 前記算出した準周期定常パルスに基づいて、前記第2番目以降の光伝送路ユニットの設計仕様を特定するステップを更に含むことを特徴とする請求項2に記載の光パルス成形器の設計方法。
  4. 前記第1の光伝搬路ユニットの設計仕様に含まれる非線形媒質、分散媒質の各一般化分散値をs、sとし、当該非線形媒質、分散媒質が各々有する各光伝搬方向の規格化長さをK、Lとすると、sは異常分散に属する値であると共に下記条件式を満たし、且つ、K、Lの各値は下記条件式を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光パルス成形器の設計方法。
    0≦|s|<<1<<s
    <<K
    |s|;sの絶対値
  5. 前記複数の光伝搬路ユニットのうち前記第1の光伝搬ユニットから数えて第n番目(nは2以上の自然数)に連結された光伝搬路ユニットの設計仕様に含まれる非線形媒質、分散媒質の各一般化分散値をs1n、s2nとし、当該非線形媒質、分散媒質が各々有する各光伝搬方向の長さをK、Lとすると、s2nは異常分散に属する値であると共に下記条件式を満たし、且つ、L、Kの各値は下記条件式を満たすことを特徴とする請求項に記載の光パルス成形器の設計方法。
    1n=s/αn−1
    2n=s/αn−1
    =K/αn−1
    =L/αn−1
    α;圧縮率
  6. 前記複数の光伝搬路ユニットのうち前記第1の光伝搬ユニットから数えて第n番目(nは2以上の自然数)に連結された光伝搬路ユニットの設計仕様に含まれる非線形媒質、分散媒質の各一般化分散値をs1n、s2nとし、当該非線形媒質、分散媒質が各々有する各光伝搬方向の長さをK、Lとすると、s2nは異常分散に属する値であると共に下記条件式を満たし、且つ、L、Kの各値は下記条件式を満たすことを特徴とする請求項に記載の光パルス成形器の設計方法。
    1n=s/αn−1
    2n=s
    =K/αn−1
    =L/α2(n−1)
    α;圧縮率
  7. 前記入力光パルスは、準周期定常パルスに近い波形を有する光パルスであることを特徴とする請求項1〜のうち何れか一項に記載の光パルス成形器の設計方法。
  8. 前記非線形媒質に係る非線形係数、損失係数を、それぞれν、δとすると、該非線形媒質は、ν、δが下記条件式を満たす高非線形媒質であることを特徴とする請求項1〜のうち何れか一項に記載の光パルス成形器の設計方法。
    z=−(1/2δ)ln(1−(2δ/a ν)ζ)
    z;光パルス成形器内における非線形媒質の光伝搬路方向の長さの総計を実距離で表現したもの
    ζ;光パルス成形器内における非線形媒質の光伝搬路方向の長さの総計を無次元量の規格化距離で表現したもの
    ;非線形媒質が有する光パルスの入力端のパワー減衰係数
    ln;自然対数
  9. 前記非線形媒質に高非線形光ファイバを用い、前記分散媒質にシングルモード光ファイバを用いることを特徴とする請求項1〜のうち何れか一項に記載の光パルス成形器の設計方法。
  10. 請求項1〜のうち何れか一項に記載の設計方法に基づいて設計されたことを特徴とする光パルス成形器。
  11. 一段あたりで生じるパルスのピーク非線形位相シフト量がO(1)であることを特徴とする、請求項10に記載のパルス成型器。
  12. 非線形媒質または分散媒質の伝搬損失や、異媒質どうしの接続損失を含む、各種媒質の接続損失を考慮して非線形媒質の長さを設定したことを特徴とする、請求項10に記載のパルス成型器。
  13. 非線形媒質または分散媒質の伝搬損失や、異媒質どうしの接続損失を含む、各種媒質の接続損失によって失われた光パワーを補償するために、任意の箇所に光増幅器が挿入されていることを特徴とする、請求項10に記載のパルス成型器。
  14. パルス光源、光増幅器、狭帯域帯域通過フィルタが順次連結されて、入力光の雑音を低減することを特徴とする、請求項10に記載のパルス成型器。
  15. DFBレーザーダイオード、光増幅器、狭帯域帯域通過フィルタが順次連結された2つの部材によってビート光を発生し、前記ビート光が入力されることを特徴とする、請求項10に記載のパルス成型器。
  16. 偏波保持ファイバを用いることを特徴とする、請求項10に記載のパルス成型器。
  17. 前記非線形媒質としてフォトニック結晶ファイバを用いることを特徴とする、請求項10から16の何れか1項に記載のパルス成型器。
  18. 前記分散媒質としてファイバブラッググレーティングを用いることを特徴とする、請求項10から16の何れか1項に記載のパルス成型器。
  19. 分散媒質として高次モードファイバを用いることを特徴とする、請求項10から16の何れか1項に記載のパルス成型器。
  20. 請求項10から19の何れか1項に記載のパルス成型器を含むことを特徴とするパルス出力装置
  21. 請求項10から19の何れか1項に記載のパルス成型器を含むことを特徴とするレーザー加工器。
  22. 請求項10から19の何れか1項に記載のパルス成型器を含むことを特徴とする計測器。
  23. 請求項10から19の何れか1項に記載のパルス成型器を含むことを特徴とする光サンプリングオシロスコープ。
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