JP4782458B2 - 植物根寄生植物の防除方法 - Google Patents
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Description
本発明の方法に用いられ得る製剤は、植物根寄生植物の発芽刺激物質を含み、該発芽刺激物質の放出を制御し得る製剤である。この製剤は、通常、水が実質的に存在しない状態においては該発芽刺激物質を安定に保持し、かつ水との接触により該発芽刺激物質を放出する性質を有する。この製剤は、好ましくは、水との接触により所定時間後、例えば2〜10日間に該発芽刺激物質の放出を開始する。このように、含有される発芽刺激物質の放出が制御される。このような製剤の形態は特に限定されないが、シームレスカプセル、軟カプセル、硬カプセルなどのカプセル剤;錠剤;顆粒剤;ビーズ;キューブ;シートなどの形態であり得る。
植物根寄生植物の発芽刺激物質としては、ストライガ科およびオロバンキ科の植物の発芽刺激物質が好適であり、それには、ストリゴール、ソルゴラクトン、アレクトール、オロバンコール、ジャスモン酸、ブラシノライド、ブラシノステロイド(カスタステロン等)、ククルビン酸、ジヒドロソルゴレオン、コチレニン、フシコクシン、GR−7、GR−24、ニーメゲン−1などが挙げられる。これらの中でも、天然物であるストリゴールおよびソルゴラクトン、ならびに合成物であるGR−7およびGR−24の活性が高いため、特に好適である。ストリゴール、ソルゴラクトン、GR−7、およびGR−24の構造を次に示す。
(1.2.1) シームレスカプセル
シームレスカプセルは、発芽刺激物質を非水性溶媒に溶解させて得られる溶液を内容液とし、これを皮膜で取り囲む構造を有している。
軟カプセルは、シームレスカプセルの場合と同様、発芽刺激物質の非水性溶媒溶液を内容液とし、皮膜シートでこれを取り囲む構造を有する。
硬カプセルは、あらかじめ成形して得られるカプセル本体のボディ部分に、内容物として、発芽刺激物質および賦形剤を含む粉末、あるいは発芽刺激物質および非水性溶媒を含む内容液を充填し、これにカプセル本体のキャップをかぶせて封止することにより製造される。カプセル本体の基材としては、ゼラチン、コラーゲン、メチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−アクリルメチルエステルなどが用いられる。上記賦形剤としては、無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、乳糖、コーンスターチ、結晶セルロースなどが挙げられる。発芽刺激物質および非水性溶媒を含む内容液としては、上記シームレスカプセルの場合と同様の内容液が用いられ得る。内容液を含有させる場合には、通常、内容液が漏出しないように、ボディ部分をキャップにより封止した後、シーリングが行われる。
マイクロカプセルは、シームレスカプセルと同様に、発芽刺激物質を非水性溶媒に溶解させて得られる溶液を内容液とし、これを皮膜で取り囲む構造を有するが、その粒子が後述のように極めて微細であることがシームレスカプセルと異なる。
ビーズは、シームレスカプセルの製造における発芽刺激物質を含む内容液を、皮膜を形成するための基材を溶媒中に含む液状物に懸濁させ、これを球状に整形して得られる。このビーズは、当該分野で一般に利用される技術で調製することができる。例えば、上記懸濁液を、針の先から空気中を経て、凝固油中に噴出させることによって、ビーズが調製される。あるいは、後述のキューブを調製後、これを湿潤させ、温度をかけて、製丸器を用いて球状に成形することによっても得られる。
錠剤および顆粒剤は、上記発芽刺激物質を用い、当該分野で使用される錠剤および顆粒剤の一般的な製造方法を利用して製造され得る。
シートは、軟カプセルの製造時に調製されるシートと同様の方法でシートを調製することにより得られるが、このときに発芽刺激物質および必要に応じて遮光剤を含有させ、これらの材料を含有するシートとされる。キューブは、このようなシートをやや厚手に調製し、これを常法に従いカッティングし、立方体状とすることにより得られる。
上記で得られた製剤は、植物根寄生植物を枯死させる目的で、植物栽培土壌に散布される。ここで、植物栽培土壌とは、植物の栽培を目的とする土壌であって、田、畑などを包含する。上記散布量は、特に限定されないが、通常、植物栽培土壌1m2あたり、発芽刺激物質換算で0.5μg〜10μgである。
GR−24の10mgを大豆油1kgに溶解させ、シームレスカプセルの内容液を得た。シームレスカプセルの外層の調製に用いる皮膜材料懸濁液は、ゼラチン350g、二酸化チタン(平均粒径270nm)50g、および分子量が約400であるポリエチレングリコール100gを蒸留水2kgに加え、60℃にて攪拌して懸濁させることにより得た。
ストリゴール10mgをナタネ油300gに溶解させて、軟カプセルの内容液を得た。軟カプセルの皮膜に用いるゼラチン膜は、ゼラチン370g、二酸化チタン(平均粒径270nm)20g、グリセリン100gを、蒸留水200gに加えて、60℃で攪拌して懸濁させ、これをシート状に成形することにより得た。このゼラチン膜が一対の回転円筒型金型の間に送られ、これと連動するポンプで内容液をゼラチン膜間に噴出することにより、カプセルの調製を行った。得られたカプセル400gを転動造粒器に入れ、セラック10gおよびヒマシ油1gをメタノール−酢酸エチル(1:1)混液400gに溶解させた溶液を、被覆膜厚0.3mmとなるように噴霧した。このようにして、長径4mm、短径3mmの被覆軟カプセルを400g得た。
ストリゴール10mgをコーンスターチ300gに分散させて、硬カプセルの内容物を得た。硬カプセルの本体としては、市販の二酸化チタン含有局方5号のカプセルを用いた。上記内容物を常法によりカプセル本体に充填し、得られたカプセル100gを転動造粒器に入れ、セラック10gおよびヒマシ油1gを1:1メタノール−酢酸エチル混液400gに溶解させたものを、被覆膜厚0.3mmとなるように噴霧し、被覆硬カプセルを100gを得た。
ゼラチン85g、アラビアガム9g、酸化亜鉛5gおよび蒸留水810gを50℃で混合し、36℃に冷却した。得られた水性液に、GR−24を0.01%の割合で含有する大豆油750gを混合し、撹拌することにより0.2mmの粒径の油滴を形成させた。次いで、これに36℃の蒸留水4kgを添加した。得られた混合物をゆっくり20℃に冷却し、該混合物の5倍容量のトランスグルタミナーゼ(味の素(株)製:アクティバTG−S)1%水溶液を添加して、300分間撹拌し、架橋を行った。生じた固体を濾過によって回収し、乾燥することにより、約0.4mmの粒径のマイクロカプセルを1.2kg得た。
ストリゴール10mg、乳糖250g、コーンスターチ45gおよびカルボキシメチルセルロースカルシウム20gを転動造粒機に入れ、予熱混合し、ヒドロキシプロピルセルロース1.7gを含む水溶液34gをスプレーして、造粒末を得た。ここにカルボキシメチルセルロースカルシウム100gおよびタルク40gを加えて混合し、この混合末を打錠機により打錠し、裸錠を得た。メタノール800gにセラック40gおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース40gを溶解させ、得られた溶液に酸化亜鉛10gを分散させて被覆液を得た。上記裸錠にこの被覆液を噴霧し、被覆膜厚0.3mmの錠剤を得た。
実施例1.5と同様の操作により、ストリゴール、乳糖、コーンスターチ、およびカルボキシメチルセルロースカルシウムを含み、ヒドロキシプロピルセルロースでコートされた造粒末を得た。この造粒末を、押出成型器を用いて顆粒とした。これとは別に、メタノール800gにセラック40gおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース40gを溶解させ、得られる溶液に二酸化チタン10gを分散させ、被覆液を得た。次いで、上記顆粒にこの被覆液を噴霧し、被覆膜厚0.3mmの顆粒剤を得た。
ストリゴール10mg、ゼラチン225g、二酸化チタン(平均粒径 270nm)15g、およびグリセリン60gを、蒸留水400gに60℃において溶解させ、これを厚さ1.3mmのシートに成形した。得られたシートを1.3mm角に裁断した後、充分水洗し、35℃に暖めた製丸器を用いてビーズとした。得られたビーズ50gを、1Lの0.5%のグルタルアルデヒド水溶液中に加えて20℃で40秒間撹拌して架橋させた。ビーズを再度水洗後、ドラム乾燥することにより、粒径1mmのビーズを21g得た。
遮光剤である二酸化チタンまたは酸化亜鉛の代わりにデキストリンを用いたこと以外は、各々実施例1.1〜1.7と同様に操作し、各々の形態の製剤を得た。実施例2.3においては、二酸化チタンを含有せずデキストリンを含有すること以外は局方5号と同様のカプセルを用いた。
架橋を行わなかったこと、あるいは被覆を行わなかったこと以外は、各々実施例1.1〜1.7と同様に操作し、各種製剤を得た。
実施例1.1〜1.7、実施例2.1〜2.7、および比較例1.1〜1.7で得られた製剤を、次に示すストライガ(S. hermonthica)の種子の発芽活性試験に供した。
実施例1.1〜1.7で得られた製剤を用い、実施例3に準じて発芽試験を行った。この試験は、90mmの濾紙に含ませる蒸留水を、0.05Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸(pH8.0)緩衝液に変更したこと以外は、実施例3と同様である。ストライガ種子の発芽率を表2に示す。
実施例1.1〜1.7、および実施例2.1〜2.7で得られた製剤を静置し、蛍光灯照射下(5000lux)、40℃にて3ヶ月間保持した。次いで、実施例3と同様の試験を行い、ストライガ種子の発芽率を計算した。その結果を表3に示す。
Claims (8)
- 植物根寄生植物の発芽刺激物質を含み、タンパク質を含む皮膜をアルデヒドまたは酵素で架橋処理する表面処理が施されている、植物根寄生植物発芽制御用製剤であって、該発芽刺激物質が、ストリゴール、ソルゴラクトン、GR−7およびGR−24でなる群から選択される少なくとも1種である、製剤。
- 前記アルデヒドが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキサール、およびグルタルアルデヒドでなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の製剤。
- 前記酵素がトランスグルタミナーゼである、請求項1に記載の製剤。
- 植物根寄生植物の発芽刺激物質を含み、セラック、あるいはセラックおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて被覆処理する表面処理が施されている、植物根寄生植物発芽制御用製剤であって、該発芽刺激物質が、ストリゴール、ソルゴラクトン、GR−7およびGR−24でなる群から選択される少なくとも1種である、製剤。
- 前記製剤が、シームレスカプセル、軟カプセル、硬カプセル、マイクロカプセル、ビーズ、錠剤、顆粒剤、キューブ、およびシートでなる群から選択される、請求項1から4のいずれかに記載の製剤。
- 遮光剤をさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の製剤。
- 前記遮光剤が、二酸化チタン、酸化亜鉛、および炭酸カルシウムでなる群から選択される少なくとも1種である、請求項6に記載の製剤。
- 請求項1から7のいずれかに記載の製剤を植物栽培土壌に散布する工程を包含する、植物根寄生植物の防除方法。
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