JP4781426B2 - 量子もつれ光子対発生装置、及び、量子もつれ光子対発生方法 - Google Patents

量子もつれ光子対発生装置、及び、量子もつれ光子対発生方法 Download PDF

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Description

本発明は、量子もつれ光子対、特に、偏光方向についての量子相関をもつ量子もつれ光子対を発生させる、量子もつれ光子対発生装置、及び、量子もつれ光子対発生方法に関するものである。
近年、電子商取引や電子メール等による情報通信技術の進展が著しく、これに伴い、情報伝送における暗号技術についても研究開発が行われている。該暗号技術として、最近注目を集めているものとして、量子暗号がある。
量子暗号では、量子力学におけるハイゼンベルグの不確定性原理により、物理現象によって安全性が保証される。該不確定性原理では、観測によってその状態は変化するため、通信が盗聴(観測)されると、必ずそれが明らかになり、それに応じて通信を遮断するなどの処置が可能なため、盗聴が物理学的に不可能とされる。また、粒子を複製することも不確定性原理によって不可能である。
量子暗号における重要な要素として量子テレポーテーションがあげられる。量子テレポーテーションは、粒子の量子的な情報だけを別の場所に移す技術である。該量子テレポーテーションは、量子の絡み合い(量子もつれ)を利用して、光子同士が情報をやり取りすることにより実現される。量子もつれの状態にある光子対は、一方の量子状態が決まると、他方の量子状態も決まるという性質があり、この性質は、2光子間の距離に依存しない。
上述した量子テレポーテーションを実現するためには、量子もつれの状態にある光子対を生成することが必要不可欠となる。量子もつれの状態にある光子対は、二次の非線形光学過程の一つであるパラメトリック下方変換を利用して発生させることができる。
パラメトリック下方変換により量子もつれ光子対を発生させる技術として、タイプIIの位相整合条件に基づいて、偏光方向が互いに直交する光子からなる量子もつれ光子対を結晶から自発的に発生させる技術が、非特許文献1に開示されている。また、非特許文献2には、90度回転させて重ねられた2つの非線形光学結晶において、パラメトリック下方変換により、タイプIの位相整合条件に基づいて、偏光方向が互いに平行な光子からなる量子もつれ光子対を発生させる技術が開示されている。
また、非線形光学結晶によりポンプ光と同軸方向に出射された光子対を利用して量子もつれ光子対を発生させる技術として、マッハ・ツェンダー干渉計を用いた量子もつれ光子対発生装置が知られている(非特許文献3、非特許文献4参照)。これらの量子もつれ光子対発生装置においては、2つの非線形光学結晶から出射される光子対を、干渉計の出力側の偏光ビームスプリッタによって合成することによって、量子もつれ光子対が生成される。
"New high-intensity source of polarization-entangled photon pairs、" P.G. Kwiat、 et al.、 Phys. Rev. Lett. 75、 4337 (1995). "Ultrabright source of polarization-entangled photons、" P. G. Kwiat、 et al.、 Phys. Rev. A 60、 R773 (1999) "Interferometric Bell-state preparation using femtosecond-pulse pumped spontaneous parametric down-conversion、" Yoon-Ho Kim、 et al.、 Phys. Rev. A 63、 062301 (2001) "Generation of ultrabright tunable polarization entanglement without spatial、 spectral、 or temporal constrains、" M. Fiorentino、 et al.、 Phys. Rev. A 69、 041801(R) (2004)
しかしながら、パラメトリック下方変換により非線形光学結晶から量子もつれ光子対を発生させる上記従来の技術においては、導波路構造を用いるなどして、光子対の生成効率を上げることができないという問題があった。この問題に対して、導波路型擬似位相整合素子を用いて高効率に量子もつれ光子対を生成する技術も知られているが、この場合ポンプ光と同軸方向にしか光子対を生成をできないという問題を生じていた。
また、マッハ・ツェンダー干渉計を用いた従来の量子もつれ光子対発生装置においては、一組の量子もつれ光子対しか生成できず、多チャンネルの量子もつれ光子対を発生させることは不可能であるという問題があった。また、マッハ・ツェンダー干渉計を用いて量子もつれ光子対を発生させるためには、同様の結晶を二つ用意しなければならないという問題もあった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、偏光方向について量子相関をもつ多チャンネル(2チャンネル以上の任意チャンネル数)の量子もつれ光子対を、高い生成効率で発生させることが可能な量子もつれ光子対発生装置を実現することである。
本発明に係る量子もつれ光子対発生装置は、上記課題を解決するために、異なるN個(N≧2)の入射光路から入射する光子対であって、偏光方向の異なる光子からなる光子対の重ね合わせ状態を生成する重ね合わせ状態生成手段と、上記N個の入射光路から入射する光子対を第1の偏光方向をもつ光子と第2の偏光方向をもつ光子とに分離し、i番目の入射光路から入射した第1の偏光方向をもつ光子と、N−i+1番目の入射光路から入射した第2の偏光方向をもつ光子とを、同一光路長の光路を介してi番目(1≦i≦N)の出射光路に導く導光手段と、を備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、重ね合わせ状態生成手段の作用により、異なるN個(N≧2)の入射光路から入射する光子対|H1、V1〉、|H2、V2〉、…、|HN、VN〉の重ね合わせ状態|Ψin〉が生成される。ここで、|Hi、Vi〉は、i番目の入射光路から入射する第1の偏光方向(例えば水平偏光)をもつ光子|Hi〉と、i番目の入射光路から入射する第2の偏光方向(例えば垂直偏光)をもつ光子|Vi〉とからなる光子対の状態ベクトルである。
上記の構成によれば、導光手段の作用により、各光子対|Hi、Vi〉は、第1の偏光方向をもつ光子|Hi〉と、第2の偏光方向をもつ光子|Vi〉とに分離される。そして、1番目の入射光路から入射した第1の偏光方向をもつ光子|H1〉は1番目の出射光路に導かれ、2番目の入射光路から入射した第1の偏光方向をもつ光子|H2〉は2番目の出射光路に導かれ、・・・、N番目の入射光路から入射した第1の偏光方向をもつ光子|HN〉はN番目の出射光路に導かれる。一方、1番目の入射光路から入射した第2の偏光方向をもつ光子|V1〉はN番目の出射光路に導かれ、2番目の入射光路から入射した第2の偏光方向をもつ光子|V2〉はN−1番目の出射光路に導かれ、・・・、N番目の入射光路から入射した第2の偏光方向をもつ光子|VN〉は1番目の出射光路に導かれる。従って、導光手段によって光子の偏光方向が変化しないものとすると、光子対|H1、V1〉、|H2、V2〉、…、|HN、VN〉の重ね合わせ状態|Ψin〉は、光子対|H1´、VN´〉、|H2´、VN−1´〉、…、|HN´、V1´〉の重ね合わせ状態|Ψout〉に変換される。ここで、|Hi´、Vj´〉は、i´番目の出射光路から出射する第1の偏光方向をもつ光子|Hi´〉と、j´番目の出射光路から出射する第2の偏光方向をもつ光子|Vi´〉とからなる光子対の状態ベクトルを表す。
すなわち、上記の構成によれば、上記量子もつれ光子対発生装置は、偏光方向についての量子相関をもつ、Nチャンネルの量子もつれ光子対|Ψout〉を発生させることができるという効果を奏する。
なお、本発明の導光手段は、光子を入射光路から出射光路に導く過程で、第1の偏光方向をもつ光子の偏光方向を第2の偏光方向に変換し、第2の偏光方向をもつ光子の偏光方向を第1の偏光方向に変換するものであっても良い。この場合でも、上記導光手段は、光子対|H1、V1〉、|H2、V2〉、…、|HN、VN〉の重ね合わせ状態|Ψin〉を、光子対|V1´、HN´〉、|V2´、HN−1´〉、…、|VN´、H1´〉の重ね合わせ状態|Ψout〉に変換するので、やはり、偏光方向についての量子相関をもつ、Nチャンネルの量子もつれ光子対|Ψout〉を発生させることができる。
なお、上記導光手段は、例えば、マイケルソン干渉計により実現することができる。
本発明に係る量子もつれ光子対発生装置において、上記重ね合わせ状態生成手段は、入射したポンプ光により光子対を生成する非線形光学結晶と、上記非線形光学結晶により生成された光子対を個別の光子に分離することなく通過させ、該光子対の光路を上記N個の入射光路に分岐させるスリットと、を備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、スリットの作用により、異なるN個(N≧2)の入射光路から入射する光子対|H1、V1〉、|H2、V2〉、…、|HN、VN〉の重ね合わせ状態|Ψin〉が実現される。従って、上記構成によれば、Nチャンネルの量子もつれ光子対|Ψout〉を発生させることができる量子もつれ光子対発生装置を、容易に、かつ、安価に実現することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る量子もつれ光子対発生装置において、上記重ね合わせ状態生成手段は、入射したポンプ光の光路をN個の光路に分岐させるビームスプリッタと、上記ビームスプリッタにより分岐されたポンプ光により光子対を生成して上記入射光路に入射させるN個の導波路を有する導波路型擬似位相整合素子と、を備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、上記ビームスプリッタにより分岐されたポンプ光により、上記導波路型擬似位相整合素子のN個の導波路内で光子対が発生し、発生した光子対は上記N個の入射光路に入射される。従って、異なるN個(N≧2)の入射光路から入射する光子対|H1、V1〉、|H2、V2〉、…、|HN、VN〉の重ね合わせ状態|Ψin〉が実現される。
しかも、上記構成によれば、導波路型擬似位相整合素子の導波路内に閉じ込めたられたポンプ光により光子対を発生させることができるので、光子対の発生率を上昇させることができるという更なる効果を奏する。しかも、上記構成によれば、N個の導波路内で光子対が発生し得るので、単に1つの導波路で光子対を発生させる場合に比べ、さらに光子対の発生率を高めることができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る量子もつれ光子対発生方法は、上記課題を解決するために、異なるN個(N≧2)の入射光路から入射する光子対であって、偏光方向の異なる光子からなる光子対の重ね合わせ状態を生成する重ね合わせ状態生成工程と、上記N個の入射光路から入射する光子対を第1の偏光方向をもつ光子と第2の偏光方向をもつ光子とに分離し、i番目(1≦i≦N)の出射光路に、i番目の入射光路から入射した第1の偏光方向をもつ光子とN−i+1番目の入射光路から入射した第2の偏光方向をもつ光子とを、同一光路長の光路を介して導く導光工程と、を有していることを特徴としている。
上記の構成によれば、重ね合わせ状態生成工程において、異なるN個(N≧2)の入射光路から入射する光子対|H1、V1〉、|H2、V2〉、…、|HN、VN〉の重ね合わせ状態|Ψin〉が生成される。ここで、|Hi、Vi〉は、i番目の入射光路から入射する第1の偏光方向(例えば水平偏光)をもつ光子|Hi〉と、i番目の入射光路から入射する第2の偏光方向(例えば垂直偏光)をもつ光子|Vi〉とからなる光子対の状態ベクトルである。
上記の構成によれば、導光工程において、各光子対|Hi、Vi〉は、第1の偏光方向をもつ光子|Hi〉と、第2の偏光方向をもつ光子|Vi〉に分離される。そして、1番目の入射光路から入射した第1の偏光方向をもつ光子|H1〉は1番目の出射光路に導かれ、2番目の入射光路から入射した第1の偏光方向をもつ光子|H2〉は2番目の出射光路に導かれ、・・・、N番目の入射光路から入射した第1の偏光方向をもつ光子|HN〉はN番目の出射光路に導かれる。一方、1番目の入射光路から入射した第2の偏光方向をもつ光子|V1〉はN番目の出射光路に導かれ、2番目の入射光路から入射した第2の偏光方向をもつ光子|V2〉はN−1番目の出射光路に導かれ、・・・、N番目の入射光路から入射した第2の偏光方向をもつ光子|VN〉は1番目の出射光路に導かれる。従って、導光工程において、光子の偏光方向が変化しないものとすると、光子対|H1、V1〉、|H2、V2〉、…、|HN、VN〉の重ね合わせ状態|Ψin〉は、光子対|H1´、VN´〉、|H2´、VN−1´〉、…、|HN´、V1´〉の重ね合わせ状態|Ψout〉に変換される。ここで、|Hi´、Vj´〉は、i´番目の出射光路から出射する第1の偏光方向をもつ光子|Hi´〉と、j´番目の出射光路から出射する第2の偏光方向をもつ光子|Vi´〉とからなる光子対の状態ベクトルを表す。
すなわち、上記量子もつれ光子発生方法により、偏光方向についての量子相関をもつ、Nチャンネルの量子もつれ光子対|Ψout〉を発生させることができるという効果を奏する。
なお、本発明の導光工程においては、第1の偏光方向をもつ光子の偏光方向が第2の偏光方向に変換され、第2の偏光方向をもつ光子の偏光方向が第1の偏光方向に変換されても良い。この場合でも、光子対|H1、V1〉、|H2、V2〉、…、|HN、VN〉の重ね合わせ状態|Ψin〉を、光子対|V1´、HN´〉、|V2´、HN−1´〉、…、|VN´、H1´〉の重ね合わせ状態|Ψout〉に変換されるので、やはり、偏光方向についての量子相関をもつ、Nチャンネルの量子もつれ光子対|Ψout〉を発生させることができる。
本発明の他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分分かるであろう。また、本発明の利点は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
本発明の実施形態を示すものであり、量子もつれ光子対発生装置の概略構成を示す概略構成図である。 本発明の実施形態を示すものであり、4チャンネルの量子もつれ光子対を発生することができる量子もつれ光子対発生装置の概略構成を示す概略構成図である。 本発明の実施形態を示すものであり、導波路型疑似位相整合素子にて光子対を生成する重ね合わせ状態生成手段の概略構成を示した概略構成図である。 本発明の実施形態を示すものであり、4チャンネルの量子もつれ光子対を発生することができる量子もつれ光子対発生装置に適用可能な導波路型疑似位相整合素子の概略構成を示す概略構成図である。 本発明の実施例を示すものであり、本発明の量子もつれ光子対発生装置が、偏光方向についての量子相関を有する量子もつれ光子対を発生することを実験的に検証するために用いた、実験装置の構成図である。 本発明の実施例を示すものであり、本発明の量子もつれ光子対発生装置が、偏光方向についての量子相関を有する量子もつれ光子対を発生することを実証するグラフである。
符号の説明
100、200 量子もつれ光子対発生装置
110 重ね合わせ状態生成手段
101 レーザー光源
102 非線形光学結晶
103 スリット板
120 導光手段
104 偏光ビームスプリッタ
104´ 機能面
105、107 1/4波長板
106 反射ミラー
108 折り返しミラー
109 分割ミラー
130 重ね合わせ状態生成手段
132 ビームスプリッタ
133 導波路型疑似位相整合素子
本発明の量子もつれ光子対発生装置の一実施形態について、図1に基づいて説明する。
図1は、量子もつれ光子対発生装置100の概略構成を示した概略構成図である。図1に示したように、量子もつれ光子対発生装置100は、概略的に、(1)異なる2つの入射光路から入射する、偏光方向の異なる光子からなる光子対の重ね合わせ状態を生成する重ね合わせ状態生成手段110と、(2)上記2つの入射光路から光子対を水平偏光をもつ光子と垂直偏光をもつ光子とに分離し、1番目の出射光路に、1番目の入射光路から入射した水平偏光をもつ光子と、2番目の入射光路から入射した垂直偏光をもつ光子とを導き、2番目の出射光路に、2番目の入射光路から入射した水平偏光をもつ光子と、1番目の入射光路から入射した垂直偏光をもつ光子とを導く導光手段120とを備えている。以下、重ね合わせ状態生成手段110と、導光手段120とについて、順に説明する。
(重ね合わせ状態生成手段)
量子もつれ光子対発生装置100の重ね合わせ状態生成手段110は、図1に示したように、レーザ光源101、非線形光学結晶102、および、スリット板103を含んでいる。
レーザー光源101は、非線形光学結晶102に対してレーザー光を出射する。レーザー光源101から出射されたレーザー光は、該レーザー光の光軸上に設けられた非線形光学結晶102に入射する。非線形光学結晶102は、入射したレーザー光をポンプ光とし、パラメトリック下方変換過程によって光子対を生成する。ここで、非線形光学結晶102により生成される光子対は、互いに直交した偏光方向を有する2光子からなる光子対である。
量子もつれ光子対発生装置100における重ね合わせ状態生成手段110は、図1に示したように、さらにスリット板103を含んでいる。スリット板103は、ダブルスリット、すなわち、2つのスリット103aとスリット103bとを備えたスリット板であり、非線形光学結晶102から出射された光子対の光路を、スリット103aを通る入射光路Laと、スリット103bを通り入射光路Laに平行な入射光路Lbとに分岐する。
ここで、スリット103aおよびスリット103bは、それぞれ、光子対を2つの光子に分離することなく通過させるスリットである。従って、非線形光学結晶102から出射された光子対は、2つの光子対に分離されることなく、スリット103aとスリット103bとのうち何れか一方を通過する。従って、スリット通過後の光子対の状態|Ψin〉は、2つの光子がともにスリット103aを通過した状態|Ha、Va〉と、2つの光子がともにスリット103bを通過した状態|Hb、Vb〉との重ね合わせ状態になる。
Figure 0004781426
ここで、φは状態ベクトル|Hb、Vb〉の状態ベクトル|Ha、Va〉に対する相対位相である。
スリット103通過直後の光子対の状態|Ψin〉は、空間的な量子もつれ状態を形成しているが、偏光に関する量子もつれ状態を形成してはいない。すなわち、光子対を構成する2つの光子は、通過するスリットについての量子相関をもつが、偏光方向についての量子相関はもたない。
(導光手段の構成)
量子もつれ光子対発生装置100における導光手段120は、偏光ビームスプリッタ104、1/4波長板105・107、反射ミラー106、折り返しミラー108、及び、分割ミラー109を含む、マイケルソン干渉計である。導光手段120について、以下、図1を参照しながら、詳細に説明する。
スリット103a・bから出射する光子の入射光路La・Lb上には、偏光ビームスプリッタ104が配置されている。入射光路La(Lb)が偏光ビームスプリッタに入射する位置にはポートP1(P2)が設けられており、スリット103a(103b)を通過した光子対は、このポートP1(P2)を通って偏光ビームスプリッタ104に入射する。
この偏光ビームスプリッタ104は、水平偏光もつ光子を透過し、垂直偏光をもつ光子を反射する機能面104´を備えている。該機能面104´は、その法線が入射光路La・Lbと45度をなすように配置されており、入射光路La(Lb)から入射した垂直偏光をもつ光子を反射して、ポートP6(P5)を介して、入射光路Laと直交する光路Le(Lf)に導く。一方、入射光路La(Lb)から入射した水平偏光をもつ光子は、偏光ビームスプリッタ104の機能面104´を透過して直進し、ポートP3(P4)を介して、光路Lc(Ld)へと導かれる。すなわち、偏光ビームスプリッタ104は、対になって入射した水平偏光をもつ光子と垂直偏光をもつ光子とを分離し、水平偏光をもつ光子を光路LcまたはLdに導き、垂直偏光をもつ光子を光路LeまたはLfに導く。
上記光路Lc・Ld上には、1/4波長板105と反射ミラー106とが配置されている。反射ミラー106の反射面は光路Lc・Ldと直交しており、光路Lc(Ld)を経て反射ミラー106に入射する光子は、該反射ミラー106により反射され、同一の光路Lc(Ld)を経て再び偏光ビームスプリッタ104に入射する。1/4波長板105は、偏光ビームスプリッタ104側から入射する水平偏光を円偏光に変換し、反射ミラー106側から再入射する円偏光を垂直偏光に変換する作用を持つ。従って、ポートP3(P4)から出射された水平偏光をもつ光子は、往路と復路とで1/4波長板105の上記作用を受け、垂直偏光となってポートP3(P4)から偏光ビームスプリッタ104に再入射する。そして、ポートP3(P4)から再入射した光子は、垂直偏光であるが故に機能面104´に反射され、光路Lc(Ld)と直交する出射光路La´(Lb´)に導かれる。
一方、上記光路Le・Lf上には、1/4波長板107と折り返しミラー108とが配置されている。折り返しミラー108は、直交する2つの反射面108a・bにより構成されている。反射面108bは、光路Lf上、上述した偏光ビームスプリッタ104の機能面104´と平行に配置されている。一方、反射面108aは、光路Le上、反射面108bと直交するように配置されている。従って、光路Leを経て折り返しミラー108に入射した光子は、反射面108aに反射され、光路Lgに導かれ、さらに反射面108bに反射されて光路Lfへと導かれる。逆に、光路Lfを経て折り返しミラー108に入射した光子は、反射面108bに反射され、光路Lgに導かれ、さらに反射面108aに反射されて光路Leへと導かれる。ただし、光路Le・Lf上には、1/4波長板107が配設されている。従って、ポートP6(P5)から出射された垂直偏光をもつ光子は、上記1/4波長板105と同様の1/4波長板107の作用により、水平偏光となってポートP5(P6)から偏光ビームスプリッタ104に再入射する。そして、ポートP5(P6)から再入射した光子は、水平偏光であるが故に機能面104´を透過し、上述の出射光路Lb´(La´)に導かれる。
従って、導光手段120は、1番目の入射光路Laと2番目の入射光路Lbとから入射する光子対を、水平偏光(第1の偏光方向)をもつ光子と垂直偏光(第2の偏光方向)をもつ光子とに分離する。そして、導光手段120は、1番目の出射光路La´に、1番目の入射光路Laから入射した水平偏光をもつ光子と、2番目の入射光路Lbら入射した垂直偏光をもつ光子とを導き、2番目の出射光路Lb´に、2番目入射光路Lbから入射した水平偏光をもつ光子と、1番目の入射光路Laら入射した垂直偏光をもつ光子とを導く。ただし、入射時と出射時とでは、全ての光子の偏光方向が、垂直偏光から水平偏光へと、あるいは、水平偏光から垂直偏光へと逆転される。
出射光路La´と出射光路Lb´との光路上に、さらに分離ミラー109を配置することにより、出射光路La´と出射光路Lb´とから出射される光子を任意の方向に反射して導くことができる。図1に示した例では、反射面109aと109bとを直交するように配置し、出射光路La´と出射光路Lb´とから出射される光子を互いに逆方向に導いている。
(導光手段の作用)
次に、2つの光子がともにスリット103aを通過した状態|Ha、Va〉と、2つの光子がともにスリット103bを通過した状態|Hb、Vb〉とに対する、上記導光手段120の作用について説明する。以下、ポートPiに局在する水平偏光をもつ1光子の状態ベクトルを|HPi〉、ポートPiに局在する垂直偏光をもつ1光子の状態ベクトルを|VPi〉と記す。
状態|Ha、Va〉にある光子対、すなわち入射光路Laから入射する光子対は、ポートP1から偏光ビームスプリッタ104に入射する(|HP1〉|VP1〉)。一方、状態|Hb、Vb〉にある光子対、すなわち入射光路Lbから入射する光子対は、ポートP2から偏光ビームスプリッタ104に入射する(|HP2〉|VP2〉)。
ポートP1から偏向ビームスプリッタ104に入射した光子対|HP1〉|VP1〉は、機能面104´の作用により、水平偏向をもつ光子と垂直偏向をもつ光子とに分離され、水平偏向をもつ光子はポートP3から出力され(|HP3〉)、垂直偏向をもつ光子はポートP6から出力される(|VP6〉)。
ポートP3から出力された光子|HP3〉は、1/4波長板105の作用により、光路Lcを往復する過程で偏向方向を90度変換され、垂直偏向となってポートP3に再入射する(|VP3〉)。そして、機能面104´により反射されて、ポートP8から、出射光路Lb´に出力される(|VP8〉)。
結果、入射光路Laから入射する水平偏向をもつ光子|Ha〉は、以下の各状態を経て、垂直偏向に変換されて、出射光路La´に導かれる。
|Ha〉→|HP1〉→|HP3〉→|VP3〉→|VP8〉→|Va´〉
一方、ポートP6から出力された光子|VP6〉は、1/4波長板107の作用により、光路Le、Lg、Lfを経る過程で偏向方向を90度変換され、水平偏向となってポートP5に入射する(|HP5〉)。そして、機能面104´を透過して、ポートP7から、出射光路Lb´に出力される(|VP7〉)。
結果、入射光路Laから入射する垂直偏向をもつ光子|Va〉は、以下の各状態を経て、水平偏向に変換されて、出射光路Lb´に導かれる。
|Va〉→|VP1〉→|VP6〉→|HP5〉→|HP7〉→|Hb´〉
ポートP2から偏向ビームスプリッタ104に入射した光子対|HP2〉|VP2〉は、機能面104´の作用により、水平偏向をもつ光子と垂直偏向をもつ光子とに分離され、水平偏向をもつ光子はポートP4から出力され(|HP4〉)、垂直偏向をもつ光子はポートP5から出力される(|VP5〉)。
ポートP4から出力された光子|HP4〉は、1/4波長板105の作用により、光路Ldを往復する過程で偏向方向を90度変換され、垂直偏向をとなってポートP4に再入射する(|VP4〉)。そして、機能面104´により反射されて、ポートP7から、出射光路La´に出力される(|VP7〉)。
結果、入射光路Lbから入射する水平偏向をもつ光子|Hb〉は、以下の各状態を経て、垂直偏向に変換されて、出射光路Lb´に導かれる。
|Hb〉→|HP2〉→|HP4〉→|VP4〉→|VP7〉→|Vb´〉
一方、ポートP5から出力された光子|VP5〉は、1/4波長板107の作用により、光路Lf、Lg、Leを経る過程で偏向方向を90度変換され、水平偏向をもってポートP6に入射する(|HP6〉)。そして、機能面104´を透過して、ポートP8から、出射光路La´に出力される(|VP8〉)。
結果、入射光路Lbから入射する垂直偏向をもつ光子|Vb〉は、以下の各状態を経て、水平偏向に変換されて、出射光路La´に導かれる。
|Vb〉→|VP2〉→|VP5〉→|HP6〉→|HP8〉→|Ha´〉
導光手段120は、上記各光子の光路について、ポートP1あるいはポートP2に入射してから、ポートP7あるいはポートP8から出射されるまでの光路長が同一になるよう設計されている。従って、ポートP1とポートP2とに同時に入射した光子は、ポートP7とポートP8とから同時に出力される。
このように、導光手段120の作用により、入射光路Laから入射した水平偏光をもつ光子|Ha〉と入射光路Lbから入射した垂直偏光をもつ光子|Vb〉とは、同時に出力光路La´に導かれる。また、入射光路Lbから入射した水平偏光をもつ光子|Hb〉と入射光路Laから入射した垂直偏光をもつ光子|Va〉とは、同時に出力光路Lb´に導かれる。従って、2つの光子がともにスリット103aを通過した状態|Ha、Va〉と、2つの光子がともにスリット103bを通過した状態|Hb、Vb〉との重ね合わせ状態は、導光手段120の作用により、状態|Va´、Hb´〉と状態|Vb´、Ha´〉との重ね合わせ状態|Ψout〉に変換される。
Figure 0004781426
ここで、φ´は、状態ベクトル|Va´、Hb´〉に対する状態ベクトル|Vb´、Ha´〉の相対位相である。
変換後の状態|Ψout〉は、偏光の量子もつれ状態である。すなわち、出力光路La´に出力される光子の偏光方向と出力光路Lb´に出力される光子の偏光方向とは量子相関を持ち、何れか一方の出射光路において光子の偏光方向の観測を行えば、他方の出射光路に出力される光子の偏光方向が定まる。図1に示したように、分割ミラー109によって2つの光子が互いに逆方向に出射され、2光子間の距離が任意に大きくなった状態でも、この2光子間の量子相関は保たれ続ける。
(変形例1)
上記量子もつれ光子対発生装置100においては、2つのスリット103a・bを有するスリット板103により光子対の光路を2つの光路に分岐する構成を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明の量子もつれ光子対発生装置における重ね合わせ状態生成手段は、光子対の光路を、3つ以上のスリットにより分岐するものであっても良い。また、多数のスリットをもつスリット板として、ポンプ光の光軸方向に対して直交する方向に周期構造をもつ一次元回折格子を採用することも可能である。
一例として、スリット板103のスリット数を4つに変更した量子もつれ光子対発生装置200の概略構成を図2に示す。図1の量子もつれ光子対発生装置100と、図2に示した量子もつれ光子対発生装置200との相違点は、スリット板103のスリット数のみであるので、対応する部材には共通の部材番号を付すことで、その説明は省略する。
図2に示したように、量子もつれ光子対発生装置200のスリット板103は、入射する光子対の光路を、4つの入射光路La〜Ldに分岐する。量子もつれ光子対発生装置200の導光手段120は、量子もつれ光子対発生装置100と同様マイケルソン干渉計として構成されており、4つの入射光路La〜Ldから入射する光子対を水平偏光をもつ光子と垂直偏光をもつ光子とに分離し、分離した光子を4つの出射光路La´〜Ld´に導く。
量子もつれ光子対発生装置100と同様の原理により、量子もつれ光子対発生装置200の導光手段120は、1番目の入射光路Laから入射した水平偏光をもつ光子|Ha〉と、4番目の入射光路Ldから入射した垂直偏光をもつ光子|Vb〉とを、1番目の出力光路La´に導く。また、2番目の入射光路Lbから入射した水平偏光をもつ光子|Hb〉と、3番目の入射光路Lcから入射した垂直偏光をもつ光子|Vc〉とを、2番目の出力光路Lb´に導く。また、3番目の入射光路Lcから入射した水平偏光をもつ光子|Hc〉と、2番目の入射光路Lbから入射した垂直偏光をもつ光子|Vb〉とを、3番目の出力光路Lc´に導く。また、4番目の入射光路Ldから入射した水平偏光をもつ光子|Hd〉と、1番目の入射光路Laから入射した垂直偏光をもつ光子|Va〉とを、4番目の出力光路Ld´に導く。1/4波長板105あるいは1/4波長板107の作用により、入射時と出射時とで偏光方向が逆転されるので、量子もつれ光子対発生装置200の導光手段120は、入射時の重ね合わせ状態|Ψin〉を、偏光の量子もつれ状態|Ψout〉に変換する。
Figure 0004781426
Figure 0004781426
すなわち、量子もつれ光子対発生装置200は、多チャンネルの量子もつれ光子対を発生する。
(変形例2)
上記量子もつれ光子対発生装置100・200では重ね合わせ状態生成手段としてスリットあるいは一次元回折格子を採用したが、本発明の重ね合わせ状態生成手段はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明の重ね合わせ状態生成手段として、スリット板103の代わりに、ビームスプリッタ132と導波路型疑似位相整合素子133とを含む、図3に示した重ね合わせ状態生成手段131を採用することも可能である。
この重ね合わせ合わせ状態生成手段130について、図3を参照しながら説明する。ビームスプリッタ132は、入力ポート132aから入射されたポンプ光を分割し、分割されたポンプ光を出力ポート132bと出力ポート132cとから出射する。出力ポート132b(132c)から出射されるポンプ光の光路上には、ミラー134a(134b)が配置されており、該ポンプ光を導波路型疑似位相整合素子133に設けられた導波路133a(133b)へと導く。ここで、ビームスプリッタ132、導波路型疑似位相整合素子133、及び、ミラー134a・bは、出力ポート132bから導波路入力ainまでの光路長と、出力ポート132cから導波路入力binまでの光路長とが同一になるように配置・調整されている。従って、導波路133a・133bからは、導波路133aで生成される光子対|Ha、Va〉と導波路133bで生成される光子対|Hb、Vb〉との重ね合わせ状態|Ψin〉が出力される。
上記重ね合わせ状態生成手段130を利用した場合、原理的には、導波路中で発生した光子対のすべてを偏光量子もつれ光子対へと変換できる。すなわち、重ね合わせ状態生成手段にスリットを採用した場合と比べ、偏光量子もつれ光子対の発生効率を向上することができる。これは、導波路型疑似位相整合素子133にて光子対を生成する場合、スリットを透過できずにマイケルソン干渉計に入力されない光子対が現れることがないためである。また、上記重ね合わせ状態生成手段130を採用した場合、ポンプ光を狭い空間(導波路)に閉じ込めたまま伝播させるので、高い効率で光子対を発生させることができる。そのため、導波路中で2光子からなる光子対だけでなく、4光子、6光子といった多光子からなる光子対が生成される確率を高めることができる。
なお、導波路型疑似位相整合素子133により光子対を生成する重ね合わせ合わせ状態生成手段131においても、導波路型疑似位相整合素子133に設けられている導波路を多数化することにより、3以上の入射光路から入射する光子対の重ね合わせ状態を生成することができる。一例として、4つの導波路133a〜dを備えている導波路型疑似位相整合素子133を図4に示す。図4に示した導波路型疑似位相整合素子133を量子もつれ光子対発生装置200に適用すれば、高い効率で4チャンネルの量子もつれ光子対を発生することができる量子もつれ光子対発生装置を実現することができる。このように多数の導波路を備えている導波路型疑似位相整合素子を利用した量子もつれ光子対発生装置においては、別々の導波路で同時に光子対が2組、3組と発生する確率も高めることが出来る。
(実施例)
最後に、本発明の量子もつれ光子対発生装置が、偏光方向についての量子相関を有する光子対を発生することを実証する実験結果を示す。
図5は、当該実験に用いた実験装置の構成を示した図である。
図5に示したように、当該実験では、モード同期レーザー(Ti:サファイア)111から発振されたレーザー光を、LBO(Lithium Triborate)結晶112を介して非線形光学結晶102に入射させ、ポンプ光とした。また、非線形光学結晶102にて生成され、スリット板103の2つのスリットを通過した光子の光路上にコリメートレンズ113を設け、該コリメートレンズ113を透過した光子を導光手段120に入射させるようにした。導光手段120としては、図1に示した導光手段120と同様に構成されたマイケルソン干渉計を用いた。
また、図5に示したように、当該実験では、分割ミラー141a・b、偏光子142a・b、反射ミラー143a・b、バンドパスフィルター144a・b、アバランシェフォトダイオード145a・b、および、同時計数器146からなる観測装置140を用いた。なお、バンドパスフィルター144a・bとしては、中心波長が800nmの3nm‐バンドパスフィルターを用いた。
観測装置140において、ポートP7から出射された光子は、分割ミラー141aにより、偏光子142aに導かれる。そして、偏光方向θA´を有する光子のみが偏光子142aを透過し、バンドパスフィルター143を介してアバランシェフォトダイオード145aに入射する。一方、ポートP8から出射された光子は、分割ミラー141bにより、偏光子142bに導かれる。そして、偏光方向θB´を有する光子のみが偏光子142bを透過し、バンドパスフィルター143bを介してアバランシェフォトダイオード145bに入射する。アバランシェフォトダイオード145aおよび145bが光子を検出すると、電気信号が同時計数器146に入力される。同時計数器146は、アバランシェフォトダイオード145aおよび145bにて光子が同時に検出された回数をカウントする。
当該実験では、偏光方向θA´を+45°に固定した上で、偏光方向θB´を変えながら光子計数率を測定した。ここで測定した光子計数率は、アバランシェフォトダイオード145aおよび145bにて光子が同時に検出された回数を、同時計数器146により10秒間に渡ってカウントしたものである。
図6は、光子計数率の測定結果を示すグラフである。図6に示したように、光子計数率は、θB´に対して正弦的な変化を示し、θB´=+45°(θA´)で極大値をとることが確認された。すなわち、ポートP7およびポートP8から出射された光子が、偏光方向についての量子相関を有することが確認された。なお、図6に示した干渉縞のコントラスト(可視性)は、〔数2〕により与えられる三重項状態に従って、85%となった。
さらに、以上のようにして得られた、偏光方向についての量子相関を有する光子対を用いて、Bellの不等式(CHSH不等式)を検証した。結果、BellパラメータSとして、古典極限S=2を超える値、S=2.28±0.07が得られた。すなわち、Bellの不等式の破れが確認された。
上記の実験により、干渉縞のコントラストとして85%という値が得られたこと、および、BellパラメータSとして、古典極限S=2を超える値S=2.28±0.07が得られたことから、本発明の量子もつれ光子対発生装置から生成された光子対が、純度の高い量子もつれ状態を形成していることが実証された。これにより、本発明の量子もつれ光子対発生装置および方法を、量子暗号や量子テレポーテーション技術をはじめとした、量子もつれ光子を用いて実現される量子通信のための装置、および方法に十分に適用可能であることが確認された。
(付記事項)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明に係る量子もつれ光子対発生装置は、以上のように、異なるN個(N≧2)の入射光路から入射する、偏光方向の異なる光子からなる光子対の重ね合わせ状態を生成する重ね合わせ状態生成手段と、上記N個の入射光路から入射する光子対を第1の偏光方向をもつ光子と第2の偏光方向をもつ光子とに分離し、i番目(1≦i≦N)の出射光路に、i番目の入射光路から入射した第1の偏光方向をもつ光子と、N−i+1番目の入射光路から入射した第2の偏光方向をもつ光子とを、同一光路長の光路を介して導く導光手段と、を備えているので、偏光方向についての量子相関をもつ、Nチャンネルの量子もつれ光子対|Ψout〉を発生させることができる。
また、本発明に係る量子もつれ光子対発生方法は、以上のように、異なるN個(N≧2)の入射光路から入射する、偏光方向の異なる光子からなる光子対の重ね合わせ状態を生成する重ね合わせ状態生成工程と、上記N個の入射光路から入射する光子対を第1の偏光方向をもつ光子と第2の偏光方向をもつ光子とに分離し、i番目(1≦i≦N)の出射光路に、i番目の入射光路から入射した第1の偏光方向をもつ光子と、N−i+1番目の入射光路から入射した第2の偏光方向をもつ光子とを、同一光路長の光路を介して導く導光工程と、を有しているので、偏光方向についての量子相関をもつ、Nチャンネルの量子もつれ光子対|Ψout〉を発生させることができる。
発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
本発明の量子もつれ光子対発生装置は、量子もつれ光子を用いて実現される量子通信のための装置、あるいは、方法に適用することが可能である。

Claims (6)

  1. 重ね合わせ状態生成手段と導光手段とを備えた量子もつれ光子対発生装置であって、
    上記重ね合わせ状態生成手段は、互いに平行な異なるN個(N≧2)の入射光路を介して同一方向より上記導光手段に入射する光子対であって、偏光方向の異なる光子からなる光子対の重ね合わせ状態を生成し、
    上記導光手段は、上記N個の入射光路を介して同一方向より入射する光子対を第1の偏光方向をもつ光子と第2の偏光方向をもつ光子とに分離し、i番目(1≦i≦N)の入射光路から入射した第1の偏光方向をもつ光子と、N−i+1番目の入射光路から入射した第2の偏光方向をもつ光子とを、同一光路長の光路を介してi番目の出射光路に導く、
    ことを特徴とする量子もつれ光子対発生装置。
  2. 上記重ね合わせ状態生成手段は、
    入射したポンプ光により光子対を生成する非線形光学結晶と、
    上記非線形光学結晶により生成された光子対を個別の光子に分離することなく通過させ、該光子対の光路を上記N個の入射光路に分岐させるスリットと、
    を備えていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の量子もつれ光子対発生装置。
  3. 上記重ね合わせ状態生成手段は、
    入射したポンプ光の光路をN個の光路に分岐させるビームスプリッタと、
    上記ビームスプリッタにより分岐されたポンプ光により光子対を生成して上記入射光路に入射させるN個の導波路を有する導波路型擬似位相整合素子と、
    を備えていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の量子もつれ光子対発生装置。
  4. 上記導光手段は、マイケルソン干渉計である、
    ことを特徴とする請求の範囲第1項から第3項までの何れか1項に記載の量子もつれ光子対発生装置。
  5. 上記Nは3以上である、
    ことを特徴とする請求の範囲第1項から第4項までの何れか1項に記載の量子もつれ光子対発生装置。
  6. 互いに平行な異なるN個(N≧2)の入射光路を介して同一方向より導光手段に入射する光子対であって、偏光方向の異なる光子からなる光子対の重ね合わせ状態を生成する重ね合わせ状態生成工程と、
    上記導光手段を用いて、上記N個の入射光路を介して同一方向より入射する光子対を第1の偏光方向をもつ光子と第2の偏光方向をもつ光子とに分離し、i番目(1≦i≦N)の出射光路に、i番目の入射光路から入射した第1の偏光方向をもつ光子と、N−i+1番目の入射光路から入射した第2の偏光方向をもつ光子とを、同一光路長の光路を介して導く導光工程と、
    を有していることを特徴とする量子もつれ光子対発生方法。
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