JP2008216369A - 量子もつれ光子対生成装置及び量子もつれ光子対生成方法 - Google Patents

量子もつれ光子対生成装置及び量子もつれ光子対生成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡単な構成で生成効率が高い量子もつれ光子対生成装置を提供する。
【解決手段】量子もつれ光子対生成装置1は、ポンプ光子4を出射する光源2と、光源2から出射されたポンプ光子4に基づいて、90度位相整合条件のもとで互いに垂直な方向に偏光し、縮退した波長のシグナル光子及びアイドラ光子を放出する非線形光学素子3とを備え、非線形光学素子3から同一角度に放出されたシグナル光子及びアイドラ光子のスペクトルが縮退波長を中心に十分に一致し、非線形光学素子3は、シグナル光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とアイドラ光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とが縮退した波長において交わる角度でシグナル光子及びアイドラ光子を放出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、量子もつれの状態にある光子対を生成する量子もつれ光子対生成装置及び量子もつれ光子対生成方法に関する。
近年、電子商取引や電子メール等による情報通信技術の進展が著しく、これに伴い、情報伝送における暗号技術についても研究開発が行われている。該暗号技術として、最近注目を集めているものとして、量子暗号がある。
量子暗号では、量子力学におけるハイゼンベルグの不確定性原理により、物理現象によって安全性が保証される。該不確定性原理では、観測によってその状態は変化するため、通信が盗聴(観測)されると、必ずそれが明らかになり、それに応じて通信を遮断するなどの処置が可能なため、盗聴が物理学的に不可能とされる。また、粒子を複製することも不確定性原理によって不可能である。
量子暗号における重要な要素として量子テレポーテーションがあげられる。量子テレポーテーションは、粒子の量子的な情報だけを別の場所に移す技術である。該量子テレポーテーションは、量子の絡み合い(量子もつれ)を利用して、光子同士が情報をやり取りすることにより実現される。量子もつれの状態にある光子対は、一方の量子的状態が決まると、他方の量子状態も決まるという性質があり、この性質は、2光子間の距離に依存しない。
上記量子テレポーテーションの技術では、量子もつれの状態にある光子対が必要不可欠である。
パラメトリック下方変換過程では、非線形結晶中で一つのポンプ光子(角周波数ω,波数ベクトルk)がある確率でシグナル光子(角周波数ω,波数ベクトルk)とアイドラ光子(角周波数ω,波数ベクトルk)との光子対に変換される。パラメトリック下方変換過程が引き起こされるためには下記の位相整合条件を満足しなければならない。
Figure 2008216369
その結果,シグナル光子とアイドラ光子とは位相整合条件によって決定される角度に放出され、その放出角に基づくシグナル光子とアイドラ光子との軌跡は円錐状をなす。
任意の波長において位相整合条件を満たす方法としては以下の二つの方法が存在する。
(1)光学軸に対する結晶角度を調整することによって位相整合条件を満たす方法(角度整合)。
(2)結晶の分極を周期的に反転し,擬似的に位相整合条件を満たす方法(擬似位相整合)。
この(2)の擬似位相整合の場合、上記(式2)で表される位相整合条件は以下のように書き換えられる。
Figure 2008216369
ここで,Λは分極反転の周期を表す。分極反転の周期Λを適当に制御することにより、任意の波長における位相整合を可能にする。
上記(1)の角度整合により偏光量子もつれ光子対を生成するには、以下の2つの手法が報告されている。
(1a)タイプIの位相整合条件を用いる方法。
(1b)タイプIIの位相整合条件を用いる方法。
上記(1a)のタイプIの位相整合条件の下ではシグナル光子とアイドラ光子とは同一の偏光を有する。この場合には、タイプIの位相整合条件の2個の非線形光学結晶を90度回転させて重ねることによって、量子もつれ光子対を発生させる方法が非特許文献1において報告されている。
図6は、従来の量子もつれ光子対生成装置90aの構成を示す模式図である。量子もつれ光子対生成装置90aは、ポンプ光の進行方向を軸として結晶角度を互いに90度回転させて重ねた非線形光学結晶93a・93bを備えている。非線形光学結晶93a・93bは、図示しない光源から出射されたポンプ光子94に基づいて、波長の縮退したシグナル光子95及びアイドラ光子96を放出する。
ここでは、各々の結晶から発生した縮退した光子対が同一の角度に放出されることが重要となる。タイプIの位相整合条件ではシグナル光子95とアイドラ光子96とが放出される方向がなす円錐の軸は、ポンプ光子94の方向と一致するため、放出される光子95・96は円錐の斜面全体にわたって偏光量子もつれ状態を形成している。そのため、量子もつれ光子対の生成効率は高い。
図7は、従来の他の量子もつれ光子対生成装置90bの構成を示す模式図である。量子もつれ光子対生成装置90bは、非線形光学結晶93cを備えている。非線形光学結晶93cは、図示しない光源から出射されたポンプ光子94に基づいて、波長の縮退したシグナル光子95及びアイドラ光子96を放出する。上記(1b)に示すタイプIIの位相整合条件において発生したシグナル光子とアイドラ光子との偏光は直交している。角度整合による方法では偏光の直交したシグナル光子とアイドラ光子とが放出される方向がなす円錐の軸は一致しないため、偏光量子もつれ光子対95・96が放出される方向は二つの円錐の交線方向に限られる(図7)。この構成によれば、単一の結晶93cによって量子もつれ光子対の生成が可能である。この手法は非特許文献2において報告されている。
また、上記(2)の擬似位相整合素子を用いる場合(擬似位相整合)、従来の研究ではポンプ光と同軸方向に光子対を高効率に生成させることに注目が集められてきた。ポンプ光と同軸方向に発生した光子対から偏光量子もつれ状態を得る方法としては以下の二つが報告されている。
(2a)発生した光子対を(分割比に偏光依存性の無い)無偏光ビームスプリッタで分割することにより偏光量子もつれ光子対を得る方法。この方法は、非特許文献3に報告されている。
(2b)干渉計内に擬似位相整合素子を配置する方法。この方法は、非特許文献4に報告されている。
特開2005−309012号公報(平成17年11月4日(2005.11.4)公開) "Ultrabright source of polarization−entangled photons," P. G. Kwiat, et al., Phys. Rev. A 60, R773 (1999) "New high−intensity source of polarization−entangled photon pairs," P.G. Kwiat, et al. Phys. Rev. Lett. 75, 4337 (1995) "High−flux source of polarization−entangled photons from a periodically poled KTiOPO4 parametric down−converter," C. E. Kuklewicz, et al., Phys. Rev. A 69, 013807 (2004) "Generation of ultrabright tunable polarization entanglement without spatial, spectral, or temporal constrains," M. Fiorentino, et al., Phys. Rev. A 69, 041801(R) (2004)
しかしながら、上記図6に示す構成では、同様の非線形結晶を2個用意しなければならないという問題がある。
図7に示す構成では、交線以外で発生した光子対は量子もつれ状態を形成していないため、その生成効率が低いという問題がある。
上記(2a)の方法では、無偏光ビームスプリッタにおいて確率的にしか光子対を分割することが出来ないため、たまたま分割された光子対のみを検出することで偏光量子もつれ状態を得る。そのため,無偏光ビームスプリッタにより分割されなかった光子対は量子もつれ状態を形成しておらず、損失となるという問題がある。
上記(2b)の方法では,発生した光子対を全て偏光量子もつれ状態に変換できるが、干渉計を用いるため光学系が複雑になるという問題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で生成効率が高い量子もつれ光子対生成装置及びその方法を実現することにある。
本発明に係る量子もつれ光子対生成装置は、上記課題を解決するために、ポンプ光子を出射する光源と、前記光源から出射されたポンプ光子に基づいて、90度位相整合条件のもとで互いに垂直な方向に偏光し、縮退した波長のシグナル光子及びアイドラ光子を放出する非線形光学素子とを備え、前記非線形光学素子から同一角度に放出された前記シグナル光子及びアイドラ光子のスペクトルが縮退波長を中心に十分に一致し、前記非線形光学素子は、前記シグナル光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線と前記アイドラ光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とが縮退した波長において交わる角度で前記シグナル光子及びアイドラ光子を放出することを特徴とする。
この特徴により、光源から出射されたポンプ光子を受け取った非線形光学素子は、シグナル光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とアイドラ光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とが縮退した波長において交わる角度で、波長の縮退したシグナル光子及びアイドラ光子を放出する。
擬似位相整合では、分極反転の周期を調整することにより位相整合条件を満足させるため、結晶角度を調整する必要がない。そのため、任意の波長において光学軸に対して垂直に光を入射したときに位相整合が取れるように構成することが出来る。この様な位相整合は90°位相整合と呼ばれる。
本発明は、タイプIIかつ90°位相整合の条件下で、シグナル光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とアイドラ光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とが縮退した波長において交わる角度に放出される波長の縮退したシグナル光子とアイドラ光子とが、自然に偏光量子もつれ状態を形成している。これらの光子を検出すれば、単一の結晶によって、干渉計を使わずに、偏光量子もつれ光子対を100%の確率で直接得ることができる。
本発明に係る量子もつれ光子対生成装置では、前記非線形光学素子は、90度位相整合条件のもとで互いに垂直な方向に偏光した前記シグナル光子とアイドラ光子とを放出するための分極反転構造を有する擬似位相整合素子であることが好ましい。
上記構成によれば、非線形光学素子を容易に構成することができる。
本発明に係る量子もつれ光子対生成装置では、前記シグナル光子及びアイドラ光子は、互いに垂直な方向に偏光しており、前記非線形光学素子から放出された前記シグナル光子及びアイドラ光子の群速度の相異を補償する群速度補償素子をさらに備えることが好ましい。
上記構成によれば、互いに垂直な方向に偏光するシグナル光子及びアイドラ光子は、屈折率分散が異なるため、各々の光子の群速度も異なるが、群速度補償素子により、この群速度の差異を補償することができる。
本発明に係る量子もつれ光子対生成方法は、上記課題を解決するために、ポンプ光子を出射し、前記出射されたポンプ光子に基づいて、波長の縮退したシグナル光子及びアイドラ光子を放出させる量子もつれ光子対生成方法であって、前記シグナル光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線と前記アイドラ光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とが縮退した波長において交わる角度で前記シグナル光子及びアイドラ光子を放出させることを特徴とする。
この特徴により、出射されたポンプ光子を受け取り、シグナル光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とアイドラ光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とが交わる角度で、波長の縮退したシグナル光子及びアイドラ光子を放出する。
擬似位相整合では、分極反転の周期を調整することにより位相整合条件を満足させるため、結晶角度を調整する必要がない.そのため,任意の波長において光学軸に対して垂直に光を入射したときに位相整合が取れるように構成することが出来る。この様な位相整合は90°位相整合と呼ばれる。
本発明は、タイプIIかつ90°位相整合の条件下で、シグナル光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とアイドラ光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とが縮退した波長において交わる角度のついた方向に放出される波長の縮退したシグナル光子とアイドラ光子とが、自然に偏光量子もつれ状態を形成している。これらの光子を検出すれば、単一の結晶によって、干渉計を使わずに、偏光量子もつれ光子対を100%の確率で直接得ることができる。
本発明に係る量子もつれ光子対生成装置は、以上のように、光源から出射されたポンプ光子に基づいて、波長の縮退したシグナル光子及びアイドラ光子を放出する非線形光学素子とを備え、非線形光学素子は、シグナル光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とアイドラ光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とが縮退した波長において交わる角度でシグナル光子及びアイドラ光子を放出するので、単一の結晶によって、干渉計を使わずに、偏光量子もつれ光子対を100%の確率で直接得ることができるという効果を奏する。
本発明に係る量子もつれ光子対生成方法は、以上のように、出射されたポンプ光子に基づいて、波長の縮退したシグナル光子及びアイドラ光子を放出させ、シグナル光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とアイドラ光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とが縮退した波長において交わる角度でシグナル光子及びアイドラ光子を放出するので、単一の結晶によって、干渉計を使わずに、偏光量子もつれ光子対を100%の確率で直接得ることができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について図1ないし図5に基づいて説明すると以下の通りである。図1は、本実施の形態に係る量子もつれ光子対生成装置1の構成を示す模式図である。量子もつれ光子対生成装置1は、光パルス光源2を備えている。光パルス光源2は、ピコ秒チタンサファイアレーザーとその第二高調波発生ユニットとを有しており、中心波長400.4nmの第1偏光のポンプ光4を非線形光学素子3に向かって出射する。
図2は、非線形光学素子3の構成を説明するための模式図である。非線形光学素子3は、ニオブ酸リシウム(LiNbO)結晶に分極反転構造を施した周期分極反転LiNbO(PPLN)(擬似位相整合素子)によって構成されている。LiNbO結晶の結晶光学軸であるZ軸方向に電界を印加することにより周期的な分極反転構造を形成し、結晶光学軸であるZ軸に対して垂直なX軸方向に第1偏光のポンプ光子4を入射することにより90°位相整合条件を満たした。また,分極反転構造の周期Λを8.9μmとすることによりタイプIIの位相整合条件を満たすように構成した。このようにして作製されたPPLN(非線形光学素子3)は、波長400.4nmのポンプ光子4をX軸に沿って入射した場合に、結晶温度165℃でポンプ光子4と同軸方向に縮退した第1偏光と第2偏光とを有する光子対(光子5、光子6)を放出する。例えば、光子5がシグナル光子であり得、光子6がアイドラ光子であり得るが、量子もつれ状態では、光路16aの光子5と光路16bの光子6とが、シグナル光子であるかアイドラ光子であるか区別がつかないことを特徴としている。このため、以下の説明では、単に光子5、光子6と表記する。
図3は、結晶温度165℃でのシグナル光子及びアイドラ光子の波長と放出角との関係をシミュレーションで求めた結果を示す図である。横軸は、シグナル光子及びアイドラ光子の波長を示しており、縦軸は、シグナル光子及びアイドラ光子の非線形光学素子3からの放出角を示している。800nm(0.8μm)よりも短波長側の放物線15aは、第1偏光のシグナル光子の波長に対する放出角度を表しており、長波長側の放物線15bは第2偏光のアイドラ光子の波長に対する放出角度を表している。
図4は、結晶温度125℃でのシグナル光子及びアイドラ光子の波長と放出角との関係を示す図である。ここで、本実施の形態における提案を実現するために、PPLN結晶(非線形光学素子3)の温度を125℃まで下げた。LiNbO結晶の屈折率は、結晶温度により変化する。このため、シグナル光子およびアイドラ光子の放出角と波長との関係を制御することが出来る。図4は、このときの放出角と波長との関係をシミュレーションにより求めた結果を示している。これにより、シグナル光子の放物線15aは、より長波長側へシフトし、また、アイドラ光子の放物線15bは短波長側へシフトしている様子が分かる。ここで、二つの放物線15a・15bの交点に着目すると、波長の縮退したシグナル光子とアイドラ光子とが±1.3度の角度に放出されることが分かる。つまり、この角度に放出される光子5・6は、第1偏光(|H>)なのか、第2偏光(|V>)なのかの区別がつかないために、下記の偏光量子もつれ状態を形成する。
Figure 2008216369
ここで,φは二つの光子の間の相対位相を表す。また、+は+側の角度に光子が放出されることを表し、−は−側の角度に光子が放出されることを表す。ここで,設定した角度±1.3度は一例であって、結晶温度及び反転分極周期Λを調整することによって他の放出角度でも量子もつれ光子を検出することは可能である。ただし、角度が大きくなるにつれて二つの放物線15a・15bが縮退波長近傍において交わらなくなる。そのような角度において光子を検出してもシグナル光子とアイドラ光子との波長が異なるため、偏光量子もつれ状態にはならない。つまり、この手法は、シグナル光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とアイドラ光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とが縮退した波長において交わる角度において有効である。
非線形光学素子3の後段には、群速度補償素子7が配置されている。PPLN(非線形光学素子3)中ではタイプIIの位相整合条件の下、光子5と光子6との光子対が発生するが、第1偏光の光子と第2偏光の光子とでは屈折率分散が異なるため、各々の光子の群速度も異なる。つまり、結晶を進行するにつれ、光子5と光子6とが、ビームの進行方向に対して分離してしまう。この分離を補償するために、PPLN3の後ろに群速度補償素子7を挿入する。
群速度補償素子7を通り過ぎた光子5の光路16aに沿って虹彩絞り9aが配置されており、光子6の光路16bに沿って虹彩絞り9bが配置されている。虹彩絞り9a・9bによって、結晶内部において±1.3度の方向に放出された光子のみを選択する。
虹彩絞り9aの後段には、干渉フィルタ12aが配置されており、虹彩絞り9bの後段には、干渉フィルタ12bが配置されている。干渉フィルタ12aの後段には、光子検出器13aが配置されており、干渉フィルタ12bの後段には、光子検出器13bが配置されている。光子検出器13a・13bには、同時計数装置14が接続されている。
光子検出器13a・13bの前に設置した干渉フィルタ12a・12bによって、縮退した光子5と光子6とのみを選択する。また、二つの光子検出器13a・13bからの信号を同時計数装置14に入力することにより、二光子検出をおこなう。
図5は、検光子の角度を掃引しながら二光子検出を行った結果を示す図である。虹彩絞り9aと干渉フィルタ12aとの間には、光子検出器8aが設けられている。光子検出器8aは、半波長板10aと、半波長板10aの後段に設けられた偏光ビームスプリッタ11aとを有している。虹彩絞り9bと干渉フィルタ12bとの間には、光子検出器8bが設けられている。光子検出器8bは、半波長板10bと、半波長板10bの後段に設けられた偏光ビームスプリッタ11bとを有している。
このようにして生成、検出された光子対が偏光量子もつれ状態にあることを検証するために、偏光相関測定を行なった。ここでは,半波長板10a・10bと偏光ビームスプリッタ11a・11bによって構成される検光子8a・8bをそれぞれ光路16aと光路16bとに設置する。ここで,光路16bに設置された検光子8bの角度(θ)は+45°方向に固定する。一方で,光路16aの検光子8aの角度(θ)を掃引しながら、二光子検出を行なった結果を図5に示す。この結果において光子対による明瞭な干渉波形が観測されていることから、本実施の形態の提案どおりの偏光量子もつれ状態が生成されていることが確認できた。また、得られた波形の形状は生成された偏光量子もつれ状態が下記の式で表されることを示唆している。
Figure 2008216369
この式において、1、2は光路16aおよび光路16bの光子5・6の偏光状態であることを表す。
以上のように、本実施の形態では、非線形光学素子によって量子もつれ光子対生成装置を構成しており、擬似位相整合では分極反転の周期を調整することにより位相整合条件を満足させるため、結晶角度を調整する必要がない。そのため、任意の波長において光学軸に対して垂直に光を入射したときに位相整合が取れるように構成することが出来る。この様な位相整合は90°位相整合と呼ばれる。
本実施の形態では、タイプIIかつ90°位相整合の条件下で、シグナル光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とアイドラ光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とが縮退した波長において交わる角度のついた方向に放出される波長の縮退したシグナル光子5とアイドラ光子6とが自然に偏光量子もつれ状態を形成しており、これらの光子5・6を検出すれば、単一の結晶によって干渉計を使わずに直接偏光量子もつれ光子対を100%の確率で得ることができるという効果を奏する。さらに、放出される光子の方向がなす円錐の斜面全体にわたって偏光量子もつれ状態を形成しているため、非特許文献1において報告されているタイプIIの位相整合条件による単一の結晶を使った方法と比較すると、偏光量子もつれ光子対の生成効率を高めることができるという効果を奏する(図2)。
90度位相整合を利用することに対する利点を説明する。一般に、非線形光学素子は複屈折性の結晶であり、そのため水平偏光と垂直偏光とでは屈折率が異なる。複屈折性の結晶では光子の偏光に依存して光子の進行方向によって屈折率が変化しない常光線と光子の進行方向によって屈折率が変化する異常光線とが存在する。異常光線では光子の波数ベクトルの方向とポインティングベクトルの方向とが結晶軸以外では一致しない。つまり、(式2)において表される位相整合条件を満たす方向と実際に光子が進行する方向とが異なる。このことはウォークオフ効果として知られる。一般に、結晶軸以外の角度において位相整合条件を満たす角度整合(非特許文献1および2)による方法ではウォークオフ効果により良好な空間モードをもつ量子もつれ光子対を得ることは難しいが、本発明にて利用する90度位相整合では、ポンプ光を結晶軸に沿って入射させるためウォークオフ効果を回避できる。そのため本発明により得られる量子もつれ光子対は良好な空間モードを有する。良好な空間モードを有することは、光ファイバー素子へ量子もつれ光子対を高効率に入射させることや、量子テレポーテーション技術等で利用される量子干渉効果を高い精度で実現できるという利点を持つ。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、量子もつれの状態にある光子対を生成する量子もつれ光子対生成装置及びその方法に適用することができる。
本実施の形態に係る量子もつれ光子対生成装置の構成を示す模式図である。 上記量子もつれ光子対生成装置に設けられた非線形光学素子の構成を説明するための模式図である。 結晶温度165℃でのシグナル光子及びアイドラ光子の波長と放出角との関係を示す図である。 結晶温度125℃でのシグナル光子及びアイドラ光子の波長と放出角との関係を示す図である。 検光子の角度を掃引しながら二光子検出を行った結果を示す図である。 従来の量子もつれ光子対生成装置の構成を示す模式図である。 従来の他の量子もつれ光子対生成装置の構成を示す模式図である。
符号の説明
1 量子もつれ光子対生成装置
2 光パルス光源(光源)
3 非線形光学素子
4 ポンプ光子
5 光子
6 光子
7 群速度補償素子
8a 検光子
8b 検光子
9a、9b 虹彩絞り
10a、10b 半波長板
11a、11b 偏光ビームスプリッタ
12a、12b 干渉フィルタ
13a、13b 光子検出器
14 同時計数装置
15a、15b 曲線
16a、16b 光路

Claims (4)

  1. ポンプ光子を出射する光源と、
    前記光源から出射されたポンプ光子に基づいて、90度位相整合条件のもとで互いに垂直な方向に偏光し、縮退した波長のシグナル光子及びアイドラ光子を放出する非線形光学素子とを備え、
    前記非線形光学素子から同一角度に放出された前記シグナル光子及びアイドラ光子のスペクトルが縮退波長を中心に十分に一致し、
    前記非線形光学素子は、前記シグナル光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線と前記アイドラ光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とが縮退した波長において交わる角度で前記シグナル光子及びアイドラ光子を放出することを特徴とする量子もつれ光子対生成装置。
  2. 前記非線形光学素子は、90度位相整合条件のもとで互いに垂直な方向に偏光した前記シグナル光子とアイドラ光子とを放出するための分極反転構造を有する擬似位相整合素子である請求項1記載の量子もつれ光子対生成装置。
  3. 前記シグナル光子及びアイドラ光子は、互いに垂直な方向に偏光しており、
    前記非線形光学素子から放出された前記シグナル光子及びアイドラ光子の群速度の相異を補償する群速度補償素子をさらに備える請求項1記載の量子もつれ光子対生成装置。
  4. ポンプ光子を出射し、
    前記出射されたポンプ光子に基づいて、波長の縮退したシグナル光子及びアイドラ光子を放出させる量子もつれ光子対生成方法であって、
    前記シグナル光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線と前記アイドラ光子の波長と放出角との間の関係を表す曲線とが縮退した波長において交わる角度で前記シグナル光子及びアイドラ光子を放出させることを特徴とする量子もつれ光子対生成方法。
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