JP6251156B2 - 多次元量子もつれ状態発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、量子力学の原理により保証された安全性を有する暗号鍵交換技術における多次元量子もつれ状態発生装置に関する。
近年、量子力学の基本的な性質を直接応用することにより、新たな情報通信や信号処理を実現しようとする量子情報処理技術の研究が盛んに行われている。例えば、不確定性原理により、光子1つがどのような偏光状態にあるかを完全に測定することはできない。このことを利用した共有鍵暗号方式における鍵配送を行う暗号方式があり、「量子暗号通信」と呼ばれている。
量子力学的相関を有する複数の光子(量子もつれ光子)は、以上のような量子情報通信システムにおける重要な要素である。送信者と受信者との間で量子もつれ光子対を共有することで、盗聴者の存在を確実に検知することのできる物理法則に保証された安全性を有する暗号鍵配送が実現可能である。
光子を用いた量子情報処理技術においては、光子の何らかの物理状態に符号化された重ね合わせ状態を情報の基本単位として用いる。この物理量として、光の偏光、空間経路(空間位置)、時間位置、周波数、軌道角運動量などを用いることができる。例えば、偏光を用いた場合、横偏光状態と縦偏光状態の2状態系(状態数N=2)を構成することができ、光子は上記2状態の線形重ね合わせ状態をとることができる。このような2状態の重ね合わせは、量子ビットとして用いることができる。
時間位置を用いた場合、光子が存在しうる2個の時間スロットを用いた2状態系により量子ビットが構成できる。空間経路を用いた場合、空間的に離れた2つの位置を用いた2状態系により量子ビットが構成できる。量子ビットは、量子暗号通信に代表される量子情報プロトコルにおける基本的なリソースであり、量子ビットの発生や制御に関する研究が盛んにおこなわれている。
ここで、2状態系によって構成される量子もつれ状態について説明する。2つの光子が同時に存在し、各々の光子は、2状態の重ね合わせ状態をとっている状態を仮定する。例えば偏光の自由度を用いた場合、各々の光子は、横偏光と縦偏光の重ね合わせ状態をとる。これら2個の光子を、シグナル光子、アイドラ光子と呼ぶことにする。これらの光子が、量子もつれ状態にある場合、この状態は波動関数を用いて「|量子状態>=(|0〉s|0〉i+|1〉s|1〉i)/21/2・・・(0)」と表される。
式(0)において、|0〉sは、0番目の状態にシグナルの光子が1個存在する状態を表し、|0〉iは、0番目の状態にアイドラの光子が1個存在する状態を表し、|1〉sは、1番目の状態にシグナルの光子が1個存在する状態を表し、|1〉iは、1番目の状態にアイドラの光子が1個存在する状態を表す。例えば状態が光子の偏光状態の場合、0を水平偏光、1を垂直偏光に割り当てることができる。この場合、式(0)は、個々の光子の偏光は定まっていないが、2つの光子の偏光の関連性は定まっている状態を表す。
更に近年、N>3の重ね合わせ状態に符号化された量子状態、すなわち量子多状態系を用いる研究が注目されている。量子多状態系を用いることで、例えば、2状態系に比べて量子暗号通信の秘匿性を向上させることが可能である(非特許文献1参照)。従って、量子多状態系に基づく量子もつれ状態(多次元量子もつれ状態)の発生技術は、量子暗号通信などの応用上極めて重要である。
次の式(1)の波動関数で表される相関二光子の状態は、N次元量子もつれ状態に属する。
式(1)において、mは重ね合わせ状態を数え上げる番号、Nは重ね合わせ状態の総数、φmは各状態間の相対位相を表す(ただしφ0=0)。|m〉sは、相関二光子を形成するシグナル(s)光子がm番目の量子状態にあることを表し、|m〉iは、相関二光子を形成するアイドラ(i)光子がm番目の量子状態にあることを表す。
このような多次元量子もつれ状態を実現するための物理量として、光の空間経路(空間位置)、時間位置、周波数、軌道角運動量などを用いることができる。これらの自由度の中で、特に空間経路への符号化は重要である。なぜなら、空間経路に符号化された量子状態は、干渉計や位相シフタを組み合わせた光回路を用いることで、比較的容易に制御可能なためである(非特許文献2参照)。
このような状況に鑑み、最近、空間経路符号化型の多次元量子もつれ光子対源が提案されている(非特許文献3参照)。以下、この多次元量子もつれ光子対源について、図5を用いて説明する。図5は、非特許文献3のFig.1である。まず、図5に示すように、共通のポンプ光であるλを分岐させるためのN×Nカプラと、相関光子対を発生する非線形光導波路(ppLN1〜ppLNN)と、相関光子対をシグナル光とアイドラ光に分離するN個の波長分離フィルタ(DWDM)とを備える。
この光源では、複数の非線形光導波路から発生した相関光子対の各々を、波長分離フィルタを用いて異なる経路に分離させた後、右端の破線の位置で多次元量子もつれ状態を得る。量子多状態系を実現する物理量は、上記光源において、光子がどの出力導波路に存在するかという空間的な位置に相当する。
特開2009−069513号公報 特開2012−042849号公報
N. J. Cerf et al., "Security of Quantum Key Distribution Using d-Level Systems", Physical Review Letters, vol.88, no.12, 127902, 2002. M. Reck and A. Zeilinger, "Experimental Realization of Any Discrete Unitary Operator", Physical Review Letters, vol.73, no.1, pp.58-61, 1994. C. Schaeff et al., "Scalable fiber integrated source for higherdimensional path-entangled photonic quNits", Optics Express, vol.20, no.15, pp.16145-16153, 2012. C. R. Doerr and K. Okamoto, "Advances in Silica Planar Lightwave Circuits", Journal of Lightwave Technology, vol.24, no.12, pp.4763-4789, 2006.
しかしながら、上述した非特許文献3の技術においては、N個の量子もつれの状態数を得るためにN個の波長分離フィルタを使用しており、波長分離フィルタの数は発生させる量子もつれの状態数だけ必要となる。しかしながら、多次元量子もつれ状態発生装置の更なる小型化・低コスト化のためには、必要とされる素子(=波長分離フィルタ)の数を大幅に減少させることが要求される。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、より少ない素子数で、多次元の量子もつれの状態が形成できるようにすることを目的とする。
本発明に係る多次元量子もつれ状態発生装置は、出射するポンプ光の光強度が調整可能とされた光源と、光源より出射されたポンプ光をN(Nは2以上の自然数)個の入力光に分岐するスプリッタと、スプリッタで分岐されたN個の入力光が各々入力され、光導波路長が各々等しいN本の非線形光導波路と、N本の非線形光導波路が接続されるアレイ光導波路回折格子と、アレイ光導波路回折格子に接続された2N本の出力光導波路とを備える。
上記多次元量子もつれ状態発生装置において、非線形光導波路は、自然放出四光波混合により、入力したポンプ光よりシグナル光子およびアイドラ光子を発生するものであればよい。
上記多次元量子もつれ状態発生装置において、N本の非線形光導波路のうちの1つの非線形光導波路で(入力したポンプ光により)発生したシグナル光子とアイドラ光子は量子力学的相関を有する量子もつれ光子であるとともに、シグナル光子とアイドラ光子とポンプ光はアレイ導波路回折格子の同一の入力ポートに入力され、シグナル光子とアイドラ光子はアレイ導波路回折格子の異なる出力ポートに出力されるようにしてもよい。
上記多次元量子もつれ状態発生装置において、N本の非線形導波路のうち1つの非線形光導波路でシグナル光子とアイドラ光子が発生するときは、残りのN−1本の非線形光導波路ではシグナル光子とアイドラ光子が発生することが無い状態に、ポンプ光の光強度が調整されるようにすればよい。
上記多次元量子もつれ状態発生装置において、出力光導波路を出射するシグナル光子、アイドラ光子は、それらの間の規格化された周波数重なり積分が1%以下とされているとよい。
以上説明したことにより、本発明によれば、より少ない素子数で、多次元の量子もつれの状態が形成できるという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態における多次元量子もつれ状態発生装置の構成を示す構成図である。 図2は、実施例1における非線形光導波路103および出力光導波路105の配置を説明するための構成図である。 図3は、実施例2における非線形光導波路103および出力光導波路105の配置を説明するための構成図である。 図4は、実施例3における非線形光導波路103および出力光導波路105の配置を説明するための構成図である。 図5は、非特許文献3に示された多次元量子もつれ光子対源の構成を示す構成図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における多次元量子もつれ状態発生装置の構成を示す構成図である。この多次元量子もつれ状態発生装置は、光源101、スプリッタ102、N本の非線形光導波路103、アレイ光導波路回折格子104、2N本の出力光導波路105を備える。
光源101は、出射するポンプ光の光強度が調整可能とされている。光源101は、例えば、パルス光を出射する。スプリッタ102は、光源101より出射されたポンプ光をN(Nは2以上の自然数)個の入力光に分岐する。ポンプ光は、入力光導波路106を介してスプリッタ102に入力される。N本の非線形光導波路103は、各々等しい光導波路構造および光導波路長を有する。また、N本の非線形光導波路103には、スプリッタ102で分岐されたN個の入力光が各々入力される。
アレイ光導波路回折格子104は、入力端にN本の非線形光導波路103が接続され、出力端には、2N本の出力光導波路105が接続される。アレイ光導波路回折格子104は、第1スラブ111、光導波路アレイ112、第2スラブ113から構成されている。
光源101を出射した励起光としてのポンプ光(パルス)が、入力光導波路106へと入力し、スプリッタ102でN本の非線形光導波路103へ等しく分岐されて入射する。ポンプ光が入射した各々の非線形光導波路103において、非線形光学効果により時間相関光子対が生成される。ここで、2本以上の非線形光導波路103から同時に光子対が発生することのないように、ポンプ光強度を調整する。
時間相関光子対を発生するためには、2次あるいは3次の非線形光導波路103とすればよい。例えば、3次の非線形光導波路103としては、シリコン光導波路における自然放出四光波混合過程(SFWM;Spontaneous Four Wave Mixing)を用いた量子相関光子対の発生が可能である(特許文献1参照)。
この自然放出四光波混合過程について説明する。3次の非線形光導波路103に、光周波数fpのポンプ光が入力されると、「2fp=fs+fi・・・(2)」を満たす、光周波数fsのシグナル光子および光周波数fiのアイドラ光子が発生する(ただしfs>fi)。このシグナル光子とアイドラ光子から構成される光子対は、時間位置(発生時刻)に関して量子力学的な相関を有し、時間相関光子対を形成する。以降、簡単のため、3次の非線形光導波路103の場合について説明する。なお、SFWMは、例えばポンプ光1パルスに対し、0.1光子が発生する程度である。この発生効率は、ポンプ光強度(パルスの場合にはピーク強度)の2乗に比例する。従って、光源101より出射するポンプ光強度の調整により、2本以上の非線形光導波路103から同時に光子対が発生することがない状態に設定できる。
上述したSFWMにより、いずれかの非線形光導波路103で発生した光子対は、ポンプ光とともにアレイ光導波路回折格子104の第1スラブ111へと入射したのち、第1スラブ111において拡散する。この後、光導波路アレイ112を経て、第2スラブ113の出力端側にそれぞれ集光する。光導波路アレイ112における分散により、第2スラブ113の出力端側における集光位置は、光周波数(波長)依存性をもつ。
この結果、各々異なる周波数を持つポンプ光、シグナル光子、アイドラ光子は、第2スラブ113の出力端上の異なる位置に空間的に分離して集光される。第2スラブ113に接続された出力光導波路105を、上述したように発生した各光のうち、シグナル光子およびアイドラ光子のみを取り出すような位置に設置すれば、ポンプ光を除き、シグナル光子およびアイドラ光子を取り出すことができる。
例えば、N本のシグナル光子出力光導波路Smを、N本のうちのいずれかの非線形光導波路NLWGmより発生したシグナル光を収集する位置に配置し、N本のアイドラ光子出力光導波路Imを、N本のうちのいずれかの非線形光導波路NLWGmより発生したアイドラ光を収集する位置に配置すればよい(m=1〜N)。例えば、式(1)におけるmを、上述したシグナル光子出力光導波路Smおよびアイドラ光子出力光導波路Imに対応させればよい。これにより、光経路(空間)に符号化された多次元量子もつれ状態を得ることができる。
実施の形態1における量子もつれ光子対発生装置では、SFWMにより、量子相関光子対(時間相関光子対)が非線形光導波路103で発生する。例えば、非線形光導波路103としてシリコン光導波路を用いることができる。シリコン光導波路の非線形屈折率n2は9×10-182/Wであり、コアの実効断面積Aeffは0.033μm2である。このようなシリコン光導波路において、ポンプ光として、波長1550nm、パルス幅100ps、ピークパワー100mWの光パルスを用い、帯域幅25GHzの光子対をパルス当たり0.1ペア発生するために必要な光導波路長は約2mmとなる。シグナル光子とアイドラ光子の周波数差は、波長に換算すると最大100nm程度となっているものもある。これは、周波数差に直すと約17THzになる。
以下、非線形光導波路103および出力光導波路105の配置例について実施例を用いて説明する。
[実施例1]
はじめに、実施例1の非線形光導波路103および出力光導波路105の配置について、図2を用いて説明する。図2は、実施例1における非線形光導波路103および出力光導波路105の配置を説明するための構成図である。なお、図2では、アレイ光導波路回折格子104を簡略化して示している。
また、図2に示すように、複数(5)本の非線形光導波路103は、間隔Diで等間隔に配置している。また、実際には図1に示した第1スラブ111の入力端面、第2スラブ113の出力端面は、曲率のある弧を描く形状とされており、非線形光導波路103および出力光導波路105は、各々の弧の法線に沿って設置されるが、図2では簡略化している。
実施例1では、同一の非線形光導波路103から出射したポンプ光とシグナル光子の間の第2スラブ113出力端における集光位置ずれD0と、第1スラブ111に接続されている非線形光導波路103の間隔Diとの間に、「D0<Di/2・・・(3)」の関係が成立する。
簡単のため、第1スラブ111と第2スラブ113は対称形状とする。D0は、ポンプ光波長とシグナル光子波長との差Δλ=|c/fp−c/fs|による以下の式で示される(非特許文献4参照)。
式(4)において、Ncは光導波路アレイ112部を構成する各光導波路の群屈折率、Rは第1および第2スラブ113の各端面の曲率半径、ΔLは光導波路アレイ112を構成する光導波路の隣り合う光導波路間の光導波路長さの差、nsは第1および第2スラブ113の実効屈折率、dは第1スラブ111および第2スラブ113とアレイ光導波路との接続部におけるアレイ光導波路間隔である。
また、各非線形光導波路103(NLWG1〜NLWG5)から出射した「λ0=ncΔL/k」の条件を満たす波長λ0をもつ光は、第2スラブ113の出力端の対称な位置に集光される(非特許文献4参照)。上記条件の式において、ncは、図1に示した光導波路アレイ112を構成する各光導波路の実効屈折率、kは整数である。ポンプ光波長λp=c/fpとλ0とが等しくなるように、光導波路アレイ112を設計する(cは真空中の光速度)。
上述したように構成した実施例1では、非線形光導波路103から出射したポンプ光は、第2スラブ113出力端の対称な位置に集光される。図2において、NLWG1〜NLWG5のそれぞれの非線形光導波路103から出射したポンプ光の、AWG入力端141とAWG出力端142の間の集光位置関係を、破線で示す。光導波路アレイ112における位相差により、ポンプ光と波長の異なるシグナル光子およびアイドラ光子は、ポンプ光と異なる位置に集光される。シグナル光子のAWG入力端141とAWG出力端142の間の集光位置関係を、点線で示す。また、アイドラ光子のAWG入力端141とAWG出力端142の間の集光位置関係を、一点鎖線で示す。
0<Di/2を満たすので、NLWG1〜NLWG5のいずれかの非線形光導波路103より発生したシグナル光子およびアイドラ光子は、隣の非線形光導波路103より発生したポンプ光、シグナル光子およびアイドラ光子と空間的に重ならない位置に集光される。これらを収集するような位置に、出力光導波路105を上から順にS5、I5、S4、I4、・・・、S1、I1の順に設置することで、式(1)に示す多次元量子もつれ状態を得ることができる。
実施例1では簡単のためN=5の場合を示したが、これに限られることなく任意のNの場合において実現することができる。また、ポンプ光の中心波長λpは、波長λ0に一致するとしたが、この条件に限ることのない実施が可能である。これらは、以降の実施例においても同様とする。
[実施例2]
次に、実施例2の非線形光導波路103および出力光導波路105の配置について、図3を用いて説明する。図3は、実施例2における非線形光導波路103および出力光導波路105の配置を説明するための構成図である。なお、図3においても、アレイ光導波路回折格子104を簡略化して示している。
また、図3に示すように、5本の非線形光導波路103は、間隔Diで等間隔に配置している。また、前述同様に、図1に示した第1スラブ111の入力端面、第2スラブ113の出力端面は、曲率のある弧を描く形状とされており、非線形光導波路103および出力光導波路105は、各々の弧の法線に沿って設置されるが、図3では簡略化している。
実施例2では、同一の非線形光導波路103から出射したポンプ光とシグナル光子の間の第2スラブ113出力端における集光位置ずれD0と、第1スラブ111に接続されている非線形光導波路103の間隔Diとの間に、「Di/2<D0<Di・・・(5)」の関係が成立する。
実施例2においても、NLWG1〜NLWG5のいずれかの非線形光導波路103より発生したシグナル光子およびアイドラ光子は、隣の非線形光導波路103より発生したポンプ光、シグナル光子およびアイドラ光子と空間的に重ならない位置に集光される。
しかし、実施例2では、ある非線形光導波路103より出射したポンプ光の集光位置に対して、同じ非線形光導波路103より発生したシグナル光子(あるいはアイドラ光子)は、隣の非線形光導波路103より発生したアイドラ光子(あるいはアイドラ光子)よりも外側の離れた位置に集光される。これら発生した光子を収集するために、出力光導波路105を上から順にS5、S4、I5、S3、I4、・・・、S1、I2、I1の順に設置することで、式(1)に示す多次元量子もつれ状態を得ることができる。
[実施例3]
次に、実施例3の非線形光導波路103および出力光導波路105の配置について、図4を用いて説明する。図4は、実施例3における非線形光導波路103および出力光導波路105の配置を説明するための構成図である。なお、図4においても、アレイ光導波路回折格子104を簡略化して示している。
また、図4に示すように、5本の非線形光導波路103は、間隔Diで等間隔に配置している。また、前述同様に、図1に示した第1スラブ111の入力端面、第2スラブ113の出力端面は、曲率のある弧を描く形状とされており、非線形光導波路103および出力光導波路105は、各々の弧の法線に沿って設置されるが、図4では簡略化している。
実施例3では、同一の非線形光導波路103から出射したポンプ光とシグナル光子の間の第2スラブ113出力端における集光位置ずれD0と、第1スラブ111に接続されている非線形光導波路103の間隔Diとの間に、「D0>(N−1)Di・・・(6)」の関係が成立する。
式(6)の関係が成立している実施例3では、シグナル光子およびアイドラ光子は、NLWG1〜NLWG5のいずれの非線形光導波路103から出射するポンプ光よりも、外側の位置に集光される。従って、図4に示すように、出力光導波路105を上から順にS5、S4、・・・、S1、I5、I4、・・・、I1の順に設置することで、式(1)に示す多次元量子もつれ状態を得ることができる。
なお、上述した実施例1〜3に限るものではなく、例えば、「Di<D0<(N−1)Di・・・(7)」の条件が成立する構成においても、ポンプ光、シグナル光子、アイドラ光子の全てが空間的に異なる位置に集光されるという条件を満たす場合においては、出力光導波路105を適切に設置することにより、式(1)に示す多次元量子もつれ状態を得ることができる。
上記実施例において、発生するシグナル光子およびアイドラ光子の光周波数fsおよびfiは、ポンプ光周波数fpが与えられれば、非線形光導波路103の自然放出四光波混合過程の条件によって定まるとした。しかし実際には、シグナル光子とアイドラ光子が広い帯域に渡って発生することがある。この場合、光子対の発生帯域内で、式(2)の条件を満たすような位置に出力光導波路105を設置することにより、上記と同様にして時間相関光子対を取り出すことができる。
上記実施例において、入力光導波路106および非線形光導波路103は、コアの断面構造を、ポンプ光波長においてシングルモード条件を満たすようにすればよい。また、シグナル光子を集光するS1〜SNおよびアイドラ光を集光するI1〜INの出力光導波路105は、シグナル光子の波長およびアイドラ光子の波長において、シングルモード条件を満たすようにすればよい。
上記実施例において、出力光導波路105から出力されるシグナル光子およびアイドラ光子は単一の周波数成分を有していると仮定した。しかし実際には、これら光子は、有限の周波数帯域幅Δν(半値全幅)をもって出力されることが多い。Δνは、例えば、非線形光導波路103中の自然放出四光波混合過程の条件、あるいは出力光導波路105のコア断面寸法とアレイ光導波路回折格子104の構造との関係で決まる透過帯域幅である。
このように、シグナル光子およびアイドラ光子が有限の周波数帯域幅をもって出力される場合においても、シグナル光子、およびアイドラ光子との間の周波数重なりが小さくなる条件(例えば、規格化された重なり積分が1%以下になる条件)のもとで出力光導波路105を設置すれば、高い純度の多次元量子もつれ状態を得ることができる。
より具体的には、式(3)、式(5)、式(6)、式(7)を以下のように変更すればよい。
式(3)→0<D0<Di/2−ΔD0/2
式(5)→Di/2+ΔD0/2<D0<Di−ΔD0/2
式(6)→D0>(N−1)Di+ΔD0/2
式(7)→Di+ΔD0/2<D0<(N−1)Di−ΔD0/2
なお、ΔD0はΔνから次の式(8)により得られる値である。
また、aは、シグナル光子とアイドラ光子との間の規格化された周波数重なり積分が、1%以下になるような値を任意にとることができる。
次に、光源について説明する。ポンプ光を得るための光源101は、例えば、半導体レーザーであり、光周波数がfpのポンプ光を出力する。また、ポンプ光はパルス形状を有していてもよい。また、一般には、ポンプ光の強度は、シグナル光子およびアイドラ光子の強度より大きいため、ポンプ光のアレイ光導波路回折格子104での散乱光成分が出力光導波路105に混入する可能性がある。これを防ぐため、各出力光導波路105に、ポンプ光を選択的に減衰させるポンプ光減衰手段を設けるようにしてもよい。ポンプ光減衰部は、例えば、ファイバーブラッググレーティングなどから構成すればよい。
アレイ光導波路回折格子104をはじめとする各部分の回路レイアウト設計によっては、複数の非線形光導波路103の各入力部から対応する出力光導波路105の各出力部までの光学的な長さが異なる場合がある。この場合、各出力光導波路105に、各々異なる長さの光遅延手段を備え、上記光学的な長さの差を無くすようにすればよい。光遅延手段としては、曲げ光導波路や、空間光学型の光遅延線などを用いればよい。
また、上記では、非線形光導波路103を構成する3次非線形光導波路としてシリコン光導波路を挙げたが、これに限らず、コア材料が半導体である光導波路を用いることができる。特に、単結晶ゲルマニウム、シリコンとゲルマニウム混晶、インジウムとガリウムとヒ素の混晶(InGaAs)などをコア材料とする光導波路が適している。
また、コア材料がアモルファス構造を持つ光導波路を用いることもできる。特に、アモルファスシリコンやカルコゲナイドガラス、石英光導波路をコア材料とする光導波路が適している。また、非線形光導波路103として光ファイバーを用いることができる。これら光導波路のクラッド部分としては、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、ポリイミド等の有機物、酸化アルミニウム、酸化チタン、樹脂、水、空気、またはフォトニック結晶構造などが挙げられる。
また、非線形光導波路103以外の要素(入力光導波路106、スプリッタ102、アレイ光導波路回折格子104、出力光導波路105)を構成するコア材料についても、上述の非線形光導波路103を構成するコア材料の候補の中から選択することができる。また、非線形光導波路103と同一のコア材料を選択する必要はない。
また、図1に示した多次元量子もつれ状態発生装置の構成要素を全て1つの光回路基板上に集積してもよい。この場合、例えば、特許文献1に挙げられているような技術を用いることで集積化が可能となる。全ての素子を1つの基板上に集積することで、経路長揺らぎの安定した多次元量子もつれ状態発生素子とすることができる。
以上に説明したように、本発明によれば、複数の非線形光導波路を用いることで、ポンプ光より時間相関光子対を発生させ、アレイ光導波路回折格子で波長分離するようにしたので、より少ない素子数で、多次元量子もつれ状態が形成できるようになる。
非特許文献3に示された多次元量子もつれ状態発生装置においては、シグナル光とアイドラ光を異なる経路へと分離する波長分離回路を、発生させる量子もつれの次元数Nと等しい数だけ用意する必要があった。これに対し、本発明によれば、発生させる量子もつれの次元数Nを増やすためには、非線形光導波路および出力導波路を増やすだけですむので、素子数の増大が抑制でき、コストおよびサイズを低減させることができる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
101…光源、102…スプリッタ、103…非線形光導波路、104…アレイ光導波路回折格子、105…出力光導波路、106…入力光導波路、111…第1スラブ、112…光導波路アレイ、113…第2スラブ。

Claims (5)

  1. 出射するポンプ光の光強度が調整可能とされた光源と、
    前記光源より出射されたポンプ光をN(Nは2以上の自然数)個の入力光に分岐するスプリッタと、
    前記スプリッタで分岐されたN個の入力光が各々入力され、光導波路長が各々等しいN本の非線形光導波路と、
    N本の前記非線形光導波路が接続されるアレイ光導波路回折格子と、
    アレイ光導波路回折格子に接続された2N本の出力光導波路と
    を備えることを特徴とする多次元量子もつれ状態発生装置。
  2. 請求項1記載の多次元量子もつれ状態発生装置において、
    前記非線形光導波路は、自然放出四光波混合により、入力したポンプ光よりシグナル光子およびアイドラ光子を発生する
    ことを特徴とする多次元量子もつれ状態発生装置。
  3. 請求項1または2記載に多次元量子もつれ状態発生装置において、
    前記N本の非線形光導波路のうちの1つの非線形光導波路で(入力したポンプ光により)発生したシグナル光子とアイドラ光子は量子力学的相関を有する量子もつれ光子であるとともに、
    前記シグナル光子と前記アイドラ光子と前記ポンプ光はアレイ導波路回折格子の同一の入力ポートに入力され、
    前記シグナル光子と前記アイドラ光子はアレイ導波路回折格子の異なる出力ポートに出力される
    ことを特徴とする多次元量子もつれ状態発生装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の多次元量子もつれ状態発生装置において、
    前記N本の非線形導波路のうち1つの非線形光導波路でシグナル光子とアイドラ光子が発生するときは、
    残りのN−1本の非線形光導波路ではシグナル光子とアイドラ光子が発生することが無い状態に、ポンプ光の光強度が調整される
    ことを特徴とする多次元量子もつれ状態発生装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の多次元量子もつれ状態発生装置において、
    前記出力光導波路を出射するシグナル光子、アイドラ光子は、それらの間の規格化された周波数重なり積分が1%以下とされている
    ことを特徴とする多次元量子もつれ状態発生装置。
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