JP4779805B2 - インクジェットプリンタ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば複数色の液体インクの微小なインク滴を複数のノズルから吐出してその微粒子(インクドット)を印刷媒体上に形成することにより、所定の文字や画像を描画するようにしたインクジェットプリンタに関するものである。
このようなインクジェットプリンタは、一般に安価で且つ高品質のカラー印刷物が容易に得られることから、パーソナルコンピュータやデジタルカメラなどの普及に伴い、オフィスのみならず一般ユーザにも広く普及してきている。
このようなインクジェットプリンタは、一般に、インクカートリッジと印字ヘッド(イ
ンクジェットヘッドともいう)とが一体的に備えられたキャリッジなどと称される移動体
が印刷媒体上をその搬送方向と交差する方向に往復しながらその印字ヘッドのノズルから液体インク滴を吐出(噴射)して印刷媒体上に微小なインクドットを形成することで、当該印刷媒体上に所定の文字や画像を描画して所望の印刷物を作成するようになっている。そして、このキャリッジに黒色(ブラック)を含めた4色(イエロー、マゼンタ、シアン)のインクカートリッジと各色毎の印字ヘッドを備えることで、モノクロ印刷のみならず、各色を組み合わせたフルカラー印刷も容易に行えるようになっている(更に、これらの各色に、ライトシアンやライトマゼンタなどを加えた6色や7色、或いは8色のものも実用化されている)。
また、このようにキャリッジ上のインクジェットヘッドを印刷媒体の搬送方向と交差する方向に往復させながら印刷を実行するようにしたタイプのインクジェットプリンタでは、1頁全体をきれいに印刷するためにインクジェットヘッドを10回程度から数十回以上も往復運動させる必要がある。これに対し、印刷媒体の幅と同じ寸法の長尺のインクジェットヘッド(一体である必要はない)を配置してキャリッジを使用しないタイプのインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドを印刷媒体の幅方向に移動させる必要がなく、所謂1パスでの印刷が可能となるため、レーザプリンタと同様な高速な印刷が可能となる。なお、前者方式のインクジェットプリンタを一般に「マルチパス(シリアル)型インクジェットプリンタ」、後者方式のインクジェットプリンタを一般に「ラインヘッド型インクジェットプリンタ」と呼んでいる。ラインヘッド型インクジェットプリンタでは、搬送ベルトの外周面に印刷媒体を載置して搬送するのが一般的である。
ところで、この種のインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドのキャビティ(圧力室)内に気泡が発生したり、浮遊する紙粉やゴミなどがノズル近傍に付着したり、ノズル(内のインク)が乾燥したりすると、ノズルからインク滴が吐出されず、印刷媒体にドットが形成されないことがある。インク滴の吐出不良を、一般に「ドット抜け」と呼んでいる。ドット抜けの現象が生じた場合には、クリーニング装置によって回復を図る。例えば、気泡の発生によってドット抜け現象が生じた場合には、クリーニングキャップと呼ばれる蓋体をインクジェットヘッドのノズル面に密着させた状態でポンプによってノズル内のインクを吸引してキャビティ内部の気泡を排出し、その後、ワイパと呼ばれる拭い部材でノズル面を走査することにより当該ノズル面に付着したインクを拭い、更にフラッシングと呼ばれるインク滴の非印字吐出を行って混色したインクを放出する。この一連のクリーニング工程によって、気泡や異物、インクの乾燥などによるドット抜け現象が回復する。
しかしながら、ワイパでインクジェットヘッドのノズル面を走査するときにはワイパをノズル面に押圧する分だけワイパが撓んでおり、この撓んだワイパがノズル面から外れる
ときに自己の弾性で元の形状に復元するのであるが、この復元の際、ワイパに付着しているインクが飛散する。インクの飛散は汚損の原因となるが、特にラインヘッド型インクジェットプリンタでは、印刷媒体の搬送経路中にインクジェットヘッドがあるので、ワイパに付着しているインクが飛散して、例えば印刷媒体を搬送する搬送ベルトに付着すると、その後の多くの印刷媒体が汚損するという問題が発生する。そこで、下記特許文献1に記載されるインクジェットプリンタでは、搬送ベルトの上方でインクジェットヘッドのノズル面をワイパで拭うにあたり、インクジェットヘッドの側方及び下方にインク受けを設け、飛散するインクをこれらのインク受けで受けて搬送ベルトへの付着を抑制するようにしている。また、ノズル面の隅に付着しているインクをインク吸収体で吸収する技術も開示されている(搬送ベルトの上方にて)。
特開2001−30508号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載されるインクジェットプリンタでは、依然として、搬送ベルトの上方でインクジェットヘッドのノズル面をワイパで拭うので、搬送ベルトにインクが付着する恐れがある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、搬送ベルトへのインクの付着を回避することが可能なインクジェットプリンタを提供することを目的とするものである。
[発明1]上記課題を解決するために、発明1のインクジェットプリンタは、印刷媒体の搬送方向に回転移動する複数の搬送ベルトを印刷媒体の搬送方向と交差する方向に並べて配設すると共に、それらの搬送ベルトの隙間部分にインクジェットヘッドのノズル面を配設し、それらの搬送ベルトの外周面に印刷媒体を載置して搬送し、インクジェットヘッドのノズルからインク滴を印刷媒体に吐出して印刷を行うと共に、インクジェットヘッドから吐出したインク滴を受容するか又はインクジェットヘッドからインクを吸引するためのクリーニングキャップ及びインクジェットヘッドのノズル面を走査してインクを拭うためのワイパをインクジェットヘッドのノズル面に対向して配設し、複数の搬送ベルトの隙間部分で当該搬送ベルトの上面より下方位置までインクジェットヘッドのノズル面を下降し、その状態でワイパをインクジェットヘッドのノズル面に当接し、且つ少なくともワイパを印刷媒体搬送方向又はその交差方向に移動してインクジェットヘッドのノズル面を走査するインクジェットプリンタであって、搬送ベルトの下方で且つワイパの走査方向先方にインク受けを配設すると共に、当該インク受けは、搬送ベルト及び印刷媒体の平面度を規制する平面規制板から下方に向けて突設された邪魔板と、この邪魔板の下端部に設けられた樋部とで構成されることを特徴とするものである。

この発明1に係るインクジェットプリンタによれば、印刷媒体の搬送方向に回転移動する複数の搬送ベルトを印刷媒体の搬送方向と交差する方向に並べて配設すると共に、それらの搬送ベルトの隙間部分にインクジェットヘッドのノズル面を配設し、それらの搬送ベルトの外周面に印刷媒体を載置して搬送し、インクジェットヘッドのノズルからインク滴を印刷媒体に吐出して印刷を行うと共に、インクジェットヘッドからインク滴を吐出するか、又はインクジェットヘッドからインクを吸引するためのクリーニングキャップ、及びインクジェットヘッドのノズル面を走査してインクを拭うためのワイパをインクジェットヘッドのノズル面に対向して配設し、複数の搬送ベルトの隙間部分で当該搬送ベルトの上面より下方位置までインクジェットヘッドのノズル面を下降し、その状態でワイパをインクジェットヘッドのノズル面に当接及び離間し、且つ少なくともワイパを印刷媒体搬送方向又はその交差方向に移動してインクジェットヘッドのノズル面を走査するインクジェットプリンタであって、搬送ベルトの下方で且つワイパの走査方向先方にインク受けを配設
すると共に、当該インク受けは、搬送ベルト及び印刷媒体の平面度を規制する平面規制板から下方に向けて突設された邪魔板と、この邪魔板の下端部に設けられた樋部とで構成されることとしたため、インクが搬送ベルトに落下して付着するのを回避できると共に、ワイパから飛散するインクを平面規制板、邪魔板、樋部で囲うようにして確実にインク受けで受けることができる。
[発明2]また、発明2のインクジェットプリンタは、前記発明1のインクジェットプリンタにおいて、前記インク受けのワイパ走査方向と交差する方向の幅を、少なくともワイパの幅より大きくすることを特徴とするものである。
この発明2に係るインクジェットプリンタによれば、インク受けのワイパ走査方向と交差する方向の幅を、少なくともワイパの幅より大きくすることにより、ワイパから飛散するインクをインク受けで確実に受けることができる。
[発明3]また、発明3のインクジェットプリンタは、前記発明1又は2のインクジェットプリンタにおいて、前記複数の樋部を連結して廃インクタンクに接続したことを特徴とするものである。
この発明3に係るインクジェットプリンタによれば、複数の樋部を連結して廃インクタンクに接続したことにより、インク受けで受けた廃インクを効率よく回収することができる。
[発明4]また、発明4のインクジェットプリンタは、前記発明1乃至3のインクジェットプリンタにおいて、前記樋部の底にインク吸収体を配設したことを特徴とするものである。
この発明4に係るインクジェットプリンタによれば、樋部の底にインク吸収体を配設したことにより、傾いたり揺れたりしても樋部内の廃インクがこぼれるのを防止することができる。
[発明5]また、発明5のインクジェットプリンタは、前記発明1乃至4のインクジェットプリンタにおいて、前記クリーニングキャップ、ワイパ、及びインク受けを、下方が閉じた略箱形状の筐体に内包させたことを特徴とするものである。
この発明5に係るインクジェットプリンタによれば、クリーニングキャップ、ワイパ、インク受けを、下方が閉じた筐体に納めたことにより、万が一、インク受けからインクが漏れ出しても筐体外部への漏れ出しを完全に防止することができ、インクジェットプリンタの汚染を防止することが可能となる。
次に、本発明のインクジェットプリンタの第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のインクジェットプリンタの概略構成図であり、図1aは、その平面図、図1bは正面図、図1cは図1aのC−C断面図である。図1a、bにおいて、印刷媒体1は、図の右方から左方に向けて図の矢印方向に搬送され、その搬送途中の印刷領域で印刷される、ラインヘッド型インクジェットプリンタである。但し、本実施形態のインクジェットヘッドは一カ所だけでなく、二カ所に分けて配設されている。
図中の符号2は、印刷媒体1の搬送方向上流側に設けられた第1インクジェットヘッド、符号3は、同じく下流側に設けられた第2インクジェットヘッドであり、第1インクジェットヘッド2の下方には印刷媒体1を搬送するための第1搬送部4が設けられ、第2インクジェットヘッド3の下方には第2搬送部5が設けられている。第1搬送部4は、印刷媒体1の搬送方向と交差する方向(以下、ノズル列方向とも称す)に所定の間隔をあけて配設された5本の第1搬送ベルト6で構成され、第2搬送部5は、同じく印刷媒体1の搬
送方向と交差する方向(ノズル列方向)に所定の間隔をあけて配設された4本の第2搬送ベルト7で構成される。
5本の第1搬送ベルト6と同じく4本の第2搬送ベルト7とは、互いに交互に隣り合うように、所謂千鳥状に配設されている。そして、第1搬送ベルト6及び第2搬送ベルト7の重合部に駆動ローラ8が配設され、それより上流側に第1従動ローラ9が配設され、下流側に第2従動ローラ10が配設されている。第1搬送ベルト6は駆動ローラ8及び第1従動ローラ9に巻回され、第2搬送ベルト7は駆動ローラ8及び第2従動ローラ10に巻回されており、駆動ローラ8には図示しない電動モータが接続されている。従って、電動モータによって駆動ローラ8を回転駆動すると、第1搬送ベルト6で構成される第1搬送部4及び第2搬送ベルト7で構成される第2搬送部5は、互いに同期し且つ同じ速度で移動する。なお、図中の符号20は、第1及び第2搬送ベルト6,7に張力を付与するテンションローラである。
なお、図中、第2搬送ベルト7は、印刷媒体1の搬送面が切断されたように示されているが、これは後述するクリーニング装置を分かり易く説明するためであり、本来は第1搬送ベルト6と同様に連続体となっている。
第1インクジェットヘッド2及び第2インクジェットヘッド3は、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の6色の各色毎に、印雑媒体1の搬送方向にずらして配設されている。各インクジェットヘッド2,3には、図示しない各色のインクタンクからインク供給チューブを介してインクが供給される。各インクジェットヘッド2,3には、印刷媒体1の搬送方向と交差する方向に、複数のノズルが形成されており(即ちノズル列方向)、それらのノズルから同時に必要箇所に必要量のインク滴を吐出することにより、印刷媒体1上に微小なインクドットを形成出力する。これを各色毎に行うことにより、第1搬送部4及び第2搬送部5で搬送される印刷媒体1を一度通過させるだけで、所謂ワンパスによる印刷を行うことができる。即ち、これらのインクジェットヘッド2,3の配設領域が印刷領域に相当する。なお、これらのインクジェットヘッド2,3は、図示しない昇降装置によって昇降されるように構成されている。また、第1インクジェットヘッド2及び第2インクジェットヘッド3は、何れも第1搬送部4の5本の第1搬送ベルト6の間、及び第2搬送部5の4本の第2搬送ベルト7の間を通過できる大きさに形成してある。
インクジェットヘッドの各ノズルからインクを吐出出力する方法としては、静電方式、ピエゾ方式、膜沸騰インクジェット方式などがある。静電方式は、アクチュエータである静電ギャップに駆動信号を与えると、キャビティ内の振動板が変位してキャビティ内に圧力変化を生じ、その圧力変化によってインク滴がノズルから吐出出力されるというものである。ピエゾ方式は、アクチュエータであるピエゾ素子に駆動信号を与えると、キャビティ内の振動板が変位してキャビティ内に圧力変化を生じ、その圧力変化によってインク滴がノズルから吐出出力されるというものである。膜沸騰インクジェット方式は、キャビティ内に微小ヒータがあり、瞬間的に300℃以上に加熱されてインクが膜沸騰状態となって気泡が生成し、その圧力変化によってインク滴がノズルから吐出出力されるというものである。本発明は、何れのインク出力方法も適用可能であるが、駆動信号の波高値や電圧増減傾きを調整することでインク滴の吐出量を調整可能なピエゾ素子に特に好適である。
第1インクジェットヘッド2のノズル(ノズル面)は第1搬送部4の5本の第1搬送ベルト6の間の4カ所にだけ形成されており、第2インクジェットヘッド3のノズル(ノズル面)は第2搬送部5の4本の第2搬送ベルト7の間及びその両側の5カ所にだけ形成されている。これは、後述するクリーニング装置によって各インクジェットヘッド2,3をクリーニングするためであるが、このようにすると、どちらか一方のインクジェットヘッ
ドだけでは、ワンパスによる全面印刷を行うことができない。そのため、互いに印刷できない部分を補うために第1インクジェットヘッド2と第2インクジェットヘッド3とを印刷媒体1の搬送方向にずらして配設しているのである。なお、全てのノズルは独立したアクチュエータを有し、その夫々に選択スイッチが設けられている。
従って、このインクジェットプリンタによれば、例えば図示しない帯電装置で第1搬送ベルト6の外周面及び第2搬送ベルト7の外周面を帯電し、その状態で給紙部から印刷媒体1を給紙し、印刷媒体1を第1搬送ベルト6に押し付けると、誘電分極の作用によって印刷媒体1は第1搬送ベルト6の外周面に吸着される。この状態で、電動モータによって駆動ローラ8を回転駆動すると、その回転駆動力が第1搬送ベルト6を介して第1従動ローラ9に伝達される。
このようにして印刷媒体1を吸着した状態で第1搬送ベルト6を搬送方向下流側に移動し、印刷媒体1を第1インクジェットヘッド2の下方に移動し、当該第1インクジェットヘッド2に形成されているノズルからインク滴を吐出して印刷を行う。この第1インクジェットヘッド2による印刷が終了したら、印刷媒体1を搬送方向下流側に移動して第2搬送部5の第2搬送ベルト7に乗り移らせる。前述したように、第2搬送ベルト7も図示しない第2ベルト帯電装置によって外周面が帯電しているので、誘電分極の作用によって印刷媒体1は第2搬送ベルト7の外周面に吸着される。
この状態で、第2搬送ベルト7を搬送方向下流側に移動し、印刷媒体1を第2インクジェットヘッド3の下方に移動し、当該第2インクジェットヘッド3に形成されているノズルからインク滴を吐出して印刷を行う。この第2インクジェットヘッドによる印刷が終了したら、印刷媒体1を更に搬送方向下流側に移動し、図示しない分離装置で印刷媒体1を第2搬送ベルト7の外周面から分離しながら排紙部に排紙する。
第1インクジェットヘッド2の各ノズル面の下方に配設されているのが当該第1インクジェットヘッド2をクリーニングする第1クリーニングキャップ12、第2インクジェットヘッド3の下方に配設されているのが当該第2インクジェットヘッド3をクリーニングする第2クリーニングキャップ13である。即ち、第1クリーニングキャップ12は、第1搬送部4の5本の第1搬送ベルト6の間の4カ所に配設されており、第2クリーニングキャップ13は第2搬送部5の4本の第2搬送ベルト7の間及びその両側の5カ所に配設されている。
これらのクリーニングキャップ12,13は、例えばインクジェットヘッド2,3の下面、即ちノズル面に形成されているノズルを覆い且つ当該ノズル面に密着可能な方形有底のキャップ体21と、その底部に配設されたインク吸収体22と、ノズル列方向のキャップ体21を連結する連結部材17と、クリーニングキャップ12,13を収納する、下方が閉じたケース18と、キャップ体21の底部に接続された図示しないチューブポンプと、キャップ体21を昇降する図示しない昇降装置とを備えて構成されている。そこで、昇降装置によってキャップ体21を上昇すると共に昇降装置によってインクジェットヘッド2,3を搬送ベルト6,7の下方位置まで下降してインクジェットヘッド2,3のノズル面に密着する。その状態で、チューブポンプによってキャップ体21内を負圧にすると、インクジェットヘッド2,3のノズル面に開設されているノズルからインク滴や気泡が吸い出され、インクジェットヘッド2,3をクリーニングすることができる。これをインク吸引によるクリーニング処理と称す。また、インク吸引以外にも、印刷媒体1がインクジェットヘッド2,3の下方にない状態で各インクジェットヘッド2,3のノズルからインク滴を吐出する、所謂フラッシングによってもインクジェットヘッド2,3をクリーニングすることができる。これをフラッシングによるクリーニング処理と称す。
第1クリーニングキャップ12のキャップ体21の近傍には、第1インクジェットヘッド2のノズル面を拭う第1ワイパ14が配設され、第2クリーニングキャップ13のキャップ体21の近傍には、第2インクジェットヘッド3のノズル面を拭う第2ワイパ15が配設されている。第1及び第2ワイパ14,15は、例えばシリコンゴムなどの弾性体からなり、第1クリーニングキャップ12及び第2クリーニングキャップ13のキャップ体21に対して、印刷媒体搬送方向と交差する方向、即ち図1aの上方に配設されている。また、第1ワイパ14及び第2ワイパ15は、第1クリーニングキャップ12及び第2クリーニングキャップ13のキャップ体21とは個別のスライド部材16に立設されており、スライド部材16は、図示しないスライド装置によって、印刷媒体搬送方向と交差する方向、即ちノズル列方向に往復移動する。従って、昇降装置によって第1及び第2インクジェットヘッド2,3が第1及び第2搬送ベルト6,7の下方位置まで下降し且つ昇降装置によってキャップ体21が下降している状態で、スライド装置によってスライド部材16をノズル列方向、具体的には図1cの右方から左方に移動すると、第1及び第2ワイパ14,15が第1及び第2インクジェットヘッド2,3のノズル面に当接し、そのままノズル面をなでてノズル面に付着しているインクや異物を拭う。この処理をワイピング処理と称す。
また、本実施形態では、印刷領域における第1及び第2搬送ベルト6,7の下方に、当該搬送ベルト6,7幅程度で且つ当該搬送ベルト6,7及びそれに搬送される印刷媒体1の平面度を規制するための平面規制板(一般にプラテンと称する)23が配設されている。そして、この平面規制板23から下方に向けて邪魔板24が突設され、その邪魔板24の下端部右側、つまり第1及び第2ワイパ14,15の走査方向先方に樋部25が設けられ、この邪魔板24と樋部25により(厳密には平面規制板23の裏面も合わせて)第1及び第2ワイパ14,15から飛散するインクを受けるインク受け26が構成される。なお、樋部25の底には、前記インク吸収体22と同様のインク吸収体が敷設されている。また、複数の樋部25は、図示しない位置で連結され、更に図示しない廃インクタンクに接続されている。また、インク受け26の印刷媒体搬送方向の幅、つまり第1及び第2ワイパ14,15の走査方向と交差する方向の幅は、当該第1及び第2ワイパ14,15の幅より広くしてある。
なお、平面規制板23は、クリーニングキャップ12,13、ワイパ14,15、インク受け26等を内包するケース18に延伸接続されており、ケース18下方は閉じた箱形状となっている。
このインクジェットプリンタは、前述したような印刷処理やクリーニング処理を行うために制御装置を備えている。図2には、代表して、本実施形態の制御装置で行われる第1インクジェットヘッド2のクリーニング処理のシーケンスの一例を示す(第2インクジェットヘッド3でもクリーニング処理のシーケンスは同様)。このシーケンスでは、例えば図2aに示すように昇降装置によって第1クリーニングキャップ12を上昇し、個別の昇降装置によって第1インクジェットヘッド2を上昇して、第1インクジェットヘッド2のノズル面と第1クリーニングキャップ12とが離間している状態で印刷処理やフラッシングによるクリーニング処理を行う。
この状態から昇降装置によって第1インクジェットヘッド2を第1搬送ベルト6の下方位置まで下降し、図2bに示すように、第1インクジェットヘッド2のノズル面に第1クリーニングキャップ12のキャップ体21を密着し、その状態で、前述したインク吸引によるクリーニング処理を行う。インク吸引によるクリーニング処理が終了したら、昇降装置によって連結部材17、即ちキャップ体21を下降し、図2cに示すように、第1インクジェットヘッド2のノズル面から第1クリーニングキャップ12のキャップ体21を離間すると共に、スライド部材16がキャップ体21の上方に位置するまで下降する。
この状態で、スライド装置によってスライド部材16を印刷媒体搬送方向と交差する方向、具体的には図2dの左方向にスライド(移動)すると、図2dに示すように、第1ワイパ14の上端部が第1インクジェットヘッド2のノズル面に当接し、例えば当該ノズル面に付着しているインクや異物を拭う。このとき、シリコンゴムなどの弾性体からなる第1ワイパ14は、上端部が印刷媒体搬送方向と逆方向に反るように弾性変形している。
更に、スライド装置によってスライド部材16を印刷媒体搬送方向と交差する方向にスライド(移動)すると、図2eに示すように、第1ワイパ14が第1インクジェットヘッド2のノズル面から外れる。このようにして第1インクジェットヘッド2のノズル面を第1ワイパ14でワイピング処理したら、図2fに示すように、昇降装置によって第1インクジェットヘッド2を上昇し、次いで図2gに示すように、スライド装置によってスライド部材16、即ち第1ワイパ14を、先ほどと逆方向で且つ印刷媒体搬送方向と交差する方向にスライド(移動)し、次に昇降装置によって第1クリーニングキャップ12のキャップ体21を上昇して図2aの状態に復帰する。
例えば図2eのように第1ワイパ14が第1インクジェットヘッド2のノズル面から外れると、弾性体からなる第1ワイパ14は垂直な状態に復元するが、図3に詳細に示すように、その復元の勢いで、拭われて第1ワイパ14に付着しているインクが第1ワイパ14の走査方向下流側に飛ぶ。しかしながら、第1ワイパ14の走査方向先方に、邪魔板24、樋部25からなる(平面規制板23の裏面も合わせて)インク受け26が待機しているので、第1ワイパ14から飛んだインクはインク受けに受けられる。
このように、本実施形態のインクジェットプリンタによれば、印刷媒体1の搬送方向に回転移動する複数の搬送ベルト6,7を印刷媒体1の搬送方向と交差する方向に並べて配設すると共に、それらの搬送ベルト6,7の隙間部分にインクジェットヘッド2,3のノズル面を配設し、それらの搬送ベルト6,7の外周面に印刷媒体1を載置して搬送し、インクジェットヘッド2,3のノズルからインク滴を印刷媒体1に吐出して印刷を行うと共に、インクジェットヘッド2,3から吐出したインク滴を受容するか、又はインクジェットヘッド2,3からインクを吸引するためのクリーニングキャップ12,13、及びインクジェットヘッド2,3のノズル面を走査してインクを拭うためのワイパ14,15をインクジェットヘッド2,3のノズル面に対向して配設し、複数の搬送ベルト6,7の隙間部分で当該搬送ベルト6,7の上面より下方位置までインクジェットヘッド2,3のノズル面を下降し、その状態でワイパ14,15をインクジェットヘッド2,3のノズル面に当接及び離間し、且つ少なくともワイパ14,15を印刷媒体搬送方向又はその交差方向に移動してインクジェットヘッド2,3のノズル面を走査するにあたり、搬送ベルト6,7の下方で且つワイパ14,15の走査方向先方にインク受け26を配設すると共に、当該インク受け26は、搬送ベルト6,7及び印刷媒体1の平面度を規制する平面規制板23から下方に向けて突設された邪魔板24と、この邪魔板24の下端部に設けられた樋部25とで構成されることとしたため、インクが搬送ベルト6,7に落下して付着するのを回避できると共に、ワイパ14,15から飛散するインクを平面規制板23、邪魔板24、樋部25で囲うようにして確実にインク受けで受けることができる。
また、インク受け26のワイパ走査方向と交差する方向の幅を、少なくともワイパ14,15の幅より大きくすることにより、ワイパ14,15から飛散するインクをインク受けで確実に受けることができる。
また、複数の樋部25を連結して廃インクタンクに接続したことにより、インク受け26で受けた廃インクを効率よく回収することができる。
また、樋部25の底にインク吸収体を配設したことにより、傾いたり揺れたりしても樋部25内の廃インクがこぼれるのを防止することができる。
また、クリーニングキャップ12,13、ワイパ14,15、インク受け16を、下方の閉じたケース18に納めたことにより、万が一、インク受け16から廃インクが漏れ出してもケース18外部への漏れ出しを完全に防止することができ、インクジェットプリンタの汚染を防止することができる。
なお、ワイパ14,15の走査方向は前記に限定されるものではなく、例えば印刷媒体の搬送方向と同じ方向であってもよい。
本発明のインクジェットプリンタを適用したラインヘッド型インクジェットプリンタの第1実施形態を示す概略構成図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)のC−C断面図である。 図1のインクジェットプリンタの印刷処理及びクリーニング処理及びワイピングのシーケンス図である。 図2のシーケンスでワイパがインクジェットヘッドのノズル面から外れた時の状態の説明図である。
符号の説明
1は印刷媒体、2,3はインクジェットヘッド、4,5は搬送部、6,7は搬送ベルト、8は駆動ローラ、9,10は従動ローラ、12,13はクリーニングキャップ、14,15はワイパ、16はスライド部材、17は連結部材、18はケース、21はキャップ体、22はインク吸収体、23は平面規制板、24は邪魔板、25は樋部、26はインク受け

Claims (5)

  1. 印刷媒体の搬送方向に回転移動する複数の搬送ベルトを印刷媒体の搬送方向と交差する
    方向に並べて配設すると共に、それらの搬送ベルトの隙間部分にインクジェットヘッドの
    ノズル面を配設し、それらの搬送ベルトの外周面に印刷媒体を載置して搬送し、インクジ
    ェットヘッドのノズルからインク滴を印刷媒体に吐出して印刷を行うと共に、インクジェ
    ットヘッドから吐出したインク滴を受容するか又はインクジェットヘッドからインクを吸引するためのクリーニングキャップ及びインクジェットヘッドのノズル面を走査してインクを拭うためのワイパをインクジェットヘッドのノズル面に対向して配設し、複数の搬送ベルトの隙間部分で当該搬送ベルトの上面より下方位置までインクジェットヘッドのノズル面を下降し、その状態でワイパをインクジェットヘッドのノズル面に当接し、且つ少なくともワイパを印刷媒体搬送方向又はその交差方向に移動してインクジェットヘッドのノズル面を走査するインクジェットプリンタであって、搬送ベルトの下方で且つワイパの走査方向先方にインク受けを配設すると共に、当該インク受けは、搬送ベルト及び印刷媒体の平面度を規制する平面規制板から下方に向けて突設された邪魔板と、この邪魔板の下端部に設けられた樋部とで構成されることを特徴とするインクジェットプリンタ。
  2. 前記インク受けのワイパ走査方向と交差する方向の幅を、少なくともワイパの幅より大きくすることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
  3. 前記複数の樋部を連結して廃インクタンクに接続したことを特徴とする請求項1又は2
    に記載のインクジェットプリンタ。
  4. 前記樋部の底にインク吸収体を配設したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項
    に記載のインクジェットプリンタ。
  5. 前記クリーニングキャップ、ワイパ、及びインク受けを、下方が閉じた略箱形状の筐体
    に内包させたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のインクジェットプリ
    ンタ。
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