本発明をより詳細に説明するために、以下添付図面に従ってこれを説明する。
図1は本発明の一実施の形態を示すティーチングシステム1の構成図である。このティーチングシステム1は、データベース2と、データベース2にLANを介して接続されたオフラインティーチング装置であるCAD端末3と、CAD端末3にLANを介して接続された生産ライン端末4と、生産ライン端末4にそれぞれLANを介して接続された複数のロボットコントローラ5と、各ロボットコントローラ5にケーブルで接続されたワーク(車体パネル)を溶接する実溶接ロボット6と、ワークを位置決め支持する実治具7と、CAD端末3にLANを介して接続されたレーザー式三次元測定機8とから構成されている。
生産ライン端末4、ロボットコントローラ5、実溶接ロボット6、実治具7は工場の生産ラインに設置されており、レーザー式三次元測定機8は測定時に工場の生産ラインに設置され、データベース2及びCAD端末3はこれ以外の他の箇所に設置されている。
データベース2には、各種の車体設計データがCAD端末3上で認識可能なデータに変換されてライブラリーデータとして格納されている。さらに、このデータベース2には、各種の実溶接ロボットを構成するロボットデータおよびロボットに取り付けられワークに対し溶接を行うサーボガンデータ、各種の実治具設計図面データがそれぞれ三次元データにモデリングされてライブラリーデータとして格納されている。
CAD端末3はパーソナルコンピュータからなり、CAD端末本体301と、CAD端末本体301に接続されたCRT302、キーボード303、マウス304とから構成されている。そしてCAD端末本体301にはCRT302上に表示される基準座標(X、Y、Z)や、オフラインティーチングデータの作成プログラム等が記憶されている。
また生産ライン端末4もパーソナルコンピュータからなり、生産ライン端末本体401と、生産ライン端末本体401に接続されたCRT402、キーボード403とから構成されている。そして生産ライン端末本体401には本実施の形態にかかる送受信プログラム等が記憶されている。
またロボットコントローラ5は操作部505を備えており、この操作部505においてエコライジング代、ガン加圧動作、起動スイッチ等を操作するように構成されている。そしてこのロボットコントローラ5には、実溶接ロボット6を動作制御するプログラム等が記憶されている。
また実溶接ロボット6は、ロボット本体61と、ロボット本体61に回転可能に取り付けられたサーボガン62とから構成されている。ロボット本体61には各軸(6軸)にロータリーエンコーダが設けられている。
一方、サーボガン62はロボット本体61に回転可能に取り付けられたコ字状のアーム63と、アーム63の一端側に設けられて位置が固定された固定側ガン64と、アーム63の他端側に固定側ガン64と対向して設けられて固定側ガン64に対して進退する可動側ガン65とを備えている。
両ガン64、65は、図2(固定側ガン64のみ図示)に示すようにガン本体66と、ガン本体66の先端部に装着されたガンチップ67とから構成されており、ガンチップ67の先端67aが両ガン64、65の先端を構成している。
またガン本体66の内部には、ガン本体66に沿って冷却水路68が先端部まで形成されており、冷却水路68内には冷却水路68に沿って冷却水供給管が69が配置されている。
なお、図2は後述のアタッチメント83が装着された図となっている。
また前記実治具7は、図1や図3に示すように実ワークが上方に配置されるベース部71と、ベース部71の前後側を支持してフロアFに設けられた一対の支持部72、72と、ベース部71の側面に配置されたガイドレール(図示省略)上を移動する複数の可変スライド式位置決めポスト73とから構成されている。
ベース部71は、実ワークである車体パネルの前後方向に延在するように形成されている。そして図4に示すようにベース部71の上面71aには、固定側ガンチップ先端67a測定のための基準位置となる三点の基準位置R1、R2、R3が設定されているとともに、各基準位置R1、R2、R3を中心にした三つの挿入孔71bが設けられている。
一方、ポスト73は図3に示すように、ベース部71の側面に配置されたガイドレール(図示省略)上に前後方向に移動可能に配置されたポスト本体74と、ポスト本体74の移動方向と直交する方向(左右方向)に移動可能に設けられ、ポスト本体74から上方へ突出して設けられたロケートピン75とを備えている。
ロケートピン75は実ワークに設けられたロケート穴に差し込むように形成されており、実ワークを位置決めしている。これにより実ワークが実治具7に精度良く位置決めされ固定される。
また前記レーザー式三次元測定機8はレーザーを用いて測定対象物の三次元位置を測定するものであり、例えばAPI社、ライカ社のレーザートラッカー等が知られている。
そしてこのレーザー式三次元測定機8は、図1に示すように溶接現場GのフロアFに設置された制御装置81と、制御装置81にケーブルを介して接続された測定機本体82と、実溶接ロボット6及び実治具7に取り付けられるアタッチメント83、84とから構成されている。
測定機本体82は、フロアFに立設して左右に回転する立設部82aと、立設部82aの上部に設けられて上下左右に回転するヘッド部82bと、ヘッド部82bに設けられてレーザーの照射及び受光をして検出を行う照射検出部82cとを備えているとともに、内部に自身の座標系を有している。
一方、制御装置81はパーソナルコンピュータからなり、測定機本体82にケーブル800を介して接続された制御装置本体801と、制御装置本体801に接続されたCRT802、キーボード803とマウス804が接続されている。そして制御装置本体801は、測定機本体82の動作を制御するとともに、測定機本体82で検出されたレーザーの検出信号が入力されるように構成されている。
また、溶接ロボット6に設けられたアタッチメント83は図2に示すように溶接ロボット6の固定側ガンチップ67に外嵌して取り付けられており、固定側ガンチップ67に外嵌する外嵌部831と、外嵌部831から固定側ガンチップ67より外側で固定側ガンチップ67の先端側延出方向Aに沿って延出して設けられたリフレクター取付部832と、リフレクター取付部832で固定側ガンチップ67の先方に位置するとともに延出方向Aに沿って上下に離間して取り付けられ、レーザーを反射させる一対のリフレクター833、834とから構成されている。
外嵌部831には固定側ガンチップ67に嵌入可能に形成された有底丸穴状の装着穴831dが設けられ、外嵌部831は固定側ガンチップ67に被せるように略縦断面コ字状に形成されている。またリフレクター取付部832は外嵌部831の上面831aから一体形成されて前記延出方向(A)に沿って延出した延出部832aが形成されている。
延出部832aには、延出方向Aに対して垂直に貫通した一対のリフレクター嵌入孔832c、832cが上下に離間して形成されている。またリフレクター833、834は、リフレクターに当たったレーザーを反射させるレーザー反射面を有するリフレクター本体833b、834bとリフレクター座833c、834cとから形成されており、リフレクター座833c、834cは断面T字状に形成されており、延出部832aの内側面832dに面接した基部833e、834eと、基部833e、834eからそれぞれ突出して形成され、延出部832aのリフレクター嵌入孔832c、832cに嵌入されたリフレクター嵌入脚部833f、834fとから構成されている。
一方、両リフレクター本体833b、834bはそれぞれリフレクター座833c、834cの基部833e、834eに取り付けられている。両リフレクター本体833b、834bには基部833e、834eと反対側の外側半分の部分にレーザー反射面を形成する断面L字状の凹面833a、834aが形成されており、この凹面833a、834aの中心が両リフレクター833、834の中心833z、834zを構成している。
また両リフレクター833、834は、外嵌部831が固定側ガンチップ67に外嵌した状態で、中心833z、834zが固定側ガンチップ67の先端67aから固定側ガンチップ67の先端側延出方向Aに沿って先方へ延びる延長線B上を通るようにリフレクター取付部832へ取付られている。
さらに両リフレクター833、834は、外嵌部831に形成された装着穴831dの内面831bで固定側ガンチップ67の先端67aに当接する当接部831cから下側のリフレクター834の中心834zまでの距離L1が、上側のリフレクター833の中心833zと下側のリフレクター834の中心834z間の距離L2と同じ距離となるようにリフレクター取付部832へ取付られている。
また、実治具7に取り付けられるアタッチメント84は図1や図4に示すようにベース部71の上面71aの基準位置R1、R2、R3に取り付けられるようになっており、該上面71aには基準位置R1、R2,R3を中心とした円形の挿入孔71bがそれぞれ明けられ、3箇所のそれぞれの挿入孔71bに挿入されるリフレクター座841と、リフレクター座841に取り付けられたリフレクター842とから構成されている。
リフレクター座841は断面T字状に形成されており、ベース部71の上面71aに面接した基部841aと、基部841aから突出して挿入孔71bに挿入された挿入部841bとから構成されている。
一方リフレクター842には、リフレクターに当たったレーザーを反射させるレーザー反射面を有するリフレクター本体842bが設けられ、このリフレクター本体842bには上半分の部分にレーザー反射面を形成する断面L字状の凹面842aが形成されている。そしてこの凹面842aの中心がリフレクター842の中心Oとなっており、この中心Oが各基準位置R1、R2、R3から上方へ延びる鉛直線C上を通るようにリフレクター842の取付位置が設定されている。
そして、リフレクター座841の基部841aの下端841c、すなわちベース部71の上面71aからリフレクター842の中心Oまでの距離Hが制御装置本体801に上下方向(Z座標方向)寸法値(z)として記憶されている。
かかる構成において、CAD端末3、生産ライン端末4、ロボットコントローラ5、及びレーザー式三次元測定機8に基づく実溶接ロボット6のティーチングデータ作成にかかる処理を図5から図6に示すフローチャートに従って説明する。
まずCAD端末3上にオフラインティーチングを行うためのシミュレーションモデルを構築する(図5ステップSA1)。この工程は以下の手順で行う。
まず最初にキーボード303とマウス304を操作してCAD端末3へ、データベース2から実溶接ロボット6の溶接対象となる実ワークである車体パネルのモデル(CADデータ)、実治具7のモデル(CADデータ)、実溶接ロボット6を構成するロボット本体61及びサーボガン62のモデル(CADデータ)をLANを介して取り込む。
次に、CRT302上にCAD端末3自身が有する基準座標を表示させ、CAD端末3自身が有する基準座標上に図7に示すように、オフラインティーチンを行う対象の溶接現場の溶接ロボットに実治具、実ワークの設定位置の基準となっている溶接現場の基準位置と対応する位置に基準位置T(sX、tY、uZ)を設定する(基準座標は図示せず)。例えば、この基準位置Tが、左右方向X、前後方向Y,上下方向Zいずれも0位置とすれば0X、0Y、0Xと設定する。そして実治具のモデル7mをCRT302上に呼び出し、基準位置T(sX、tY、uZ)に合わせてこの基準座標上の実治具が配置されている位置に対応した位置に配置する。
次にロボット本体のモデル61m、サーボガンのモデル62mをCRT302上に呼び出し、実溶接ロボット6の取付図を見ながらロボット本体のモデル61mにサーボガンのモデル62mを取り付けて実溶接ロボットのモデル6mを組み立てた後、このモデル6mを前記基準座標上に実治具のモデル7mの周囲の実溶接ロボットが配置されている位置に対応した位置に配置する。
次にワークのモデルWmをCRT302上に呼び出し、実治具のモデル7mのポスト73mのロケートピン75mに、ワークのモデルWmに開けられたロケート穴(図示せず)を差しこんでこのモデルWmを配置し、シミュレーションモデルMを構築する。
続いてこのシミュレーションモデルMによりオフラインティーチングを行う(図5ステップSA2)。すなわち溶接工程表を見ながら図8に示すようにCRT302上の実溶接ロボットのモデル6mを操作し、サーボガンのモデル62mの移動の障害になる実治具のモデル7mのボスト73mやワークのモデルWmの部分を迂回させたり、サーボガンのモデル62mの向きを変える等してワークのモデルWmの溶接打点位置Waに至るまでのサーボガンのモデル62mの移動経路(パス)P(P1、P2・・・)を記録しつつ、溶接打点位置Waに固定ガンチップのモデル67mの先端67maを当ててティーチングする。なお、図8中、Pa(Pa1,Pa2,Pa3)は移動経路(パス)の方向が変化する等の経路変化点を示す。
そして前記先端67maが当接するワークのモデルWmの溶接打点位置Wa
をワークのモデルWmの座標系を基準にして表示して記録する。次に、次の溶接打点位置Waに実溶接ロボットのモデル6mを操作して同様に次の溶接打点位置Waを表示して記録する。この操作を溶接打点数繰り返す。またこのティーチングは設置されている各実溶接ロボットのモデル6m毎に行う。
このように各溶接打点位置Waおよび、各溶接打点位置Waに至るサーボガンのモデル62mの各移動経路(パス)Pをティーチングすることによってオフラインティーチングデータが作成される(図5ステップSA3)。したがってこの図5のステップSA1〜SA3にかかる処理がオフラインティーチングデータ作成工程となる。
次に、作成したオフラインティーチングデータを、溶接現場Gに設置された実溶接ロボット6が動作可能なデータへ変換し(図5ステップSA4)、変換したデータをLANを介して生産ライン端末4へ送信する(図5ステップSA5)。 生産ライン端末4はCAD端末3から送信された変換データを受信し(図5ステップSB1)、さらにこのデータをLANを介してロボットコントローラ5へ送信する(図5ステップSB2)。ロボットコントローラ5は生産ライン端末4から送信された変換データを受信して格納する(図5ステップSC1)。
次に、三次元測定機用アタッチメント設置工程を行う(ステップSD1)。すなわち図4や図9に示すように、実治具7のベース上面71aに、基準位置R1、R2、R3を中心にして予め設けられた各挿入孔71bにレーザー式三次元測定機8で基準位置R1、R2、R3を測定するためのアタッチメント84を挿入して取り付ける。
次に、治具座標系設定工程を行う(ステップSD2)。これは以下の手順で行う。まず、図9に示すように実治具7にアタッチメント84を挿入して取り付けた後、レーザー式三次元測定機8の測定機本体82を図外から実治具7の外側に設置して起動させる。なおこの測定機本体82の設置位置は特に限定されず、機械上(生産ラインの中)に設置しても良い。また機械上に測定機本体82を設置するときには機械上に測定機本体82をボルト止めする。
そして測定機本体82を起動したら、制御装置81のキーボード803とマウス804を操作して立設部82aを左右に回転させるとともにヘッド部82bを上下に回転させて、アタッチメント84のリフレクター842の中心O(図4参照)に照準を合わせる。そして照射検出部82cからレーザーをリフレクター842の中心Oへ照射し、リフレクター842の中心Oから反射されたレーザーを再び照射検出部82cで検出する。
照射検出部82cで検出した検出信号は制御装置本体801へ出力され、制御装置801は、入力された検出信号に基づき照射検出部82cからリフレクター842の中心Oまでの距離と、照射角度であるヘッド部82bの回転角度を算出し、さらにこの距離と角度から三角関数によりリフレクター842の中心Oを測定機本体82自身の座標系を基準にして算出する。
このような方法でレーザ式三次元測定機8は、三点のリフレクター842の中心Oの位置(Rx1、Ry1、Rz1)、(Rx2、Ry2 、Rz2 )、(Rx3、Ry3、Rz3)を測定する(図4、図9参照)。
ここで各リフレクター842の中心Oはベース部上面71aから鉛直線C上に位置するのでZ座標値については、制御装置本体801に記憶されている上下方向の位置差である距離H、すなわち上下方向(Z座標方向)寸法値(z)の差を求める。
そして、測定結果、3箇所の基準位置R1〜R3が算出される。
したがって制御装置本体801は、各リフレクター842中心Oの位置(Rx1、Ry1、Rz1)、(Rx2、Ry2 、Rz2 )、(Rx3、Ry3、Rz3)からそれぞれZ座標値(z)を減算することにより、基準位置R1(Rx1、Ry1、Rz1 −z)、基準位置R2(Rx2、Ry2、Rz2−z)、基準位置R3(Rx3、Ry3 、Rz3−z)を算出する。
次にこれらの三点の基準位置R1〜R3に基づいてレーザー式三次元測定機8に実治具7の座標系を設定する。まず図10に示すように、測定した二点の基準位置R1、R2において、治具図面に記載されている実治具7における左右方向X、前後方向Y、上下方向Z座標の図面値を制御装置81から測定機本体82へそれぞれ入力する。すなわち、1点の基準位置R1にax、by、czを入力、2点の基準位置R2にax、by、czを入力する。これにより実治具7のベース部上面71aにおける二点の基準位置R1、R2のXYZ値が定義されるとともにX座標のプラス方向、マイナス方向が定義され測定器本体82へ記憶される。
次に残り一点の基準位置R3に同様に治具図面に記載されている実治具7における左右法X、前後方向Y、上下方向Z座標の図面値を制御装置81から測定器本体8へ入力する。すなわち、3点目の基準位置R3にdX,eY,cZを入力する。これにより一点の基準位置R3のXYZ値が定義され、Y方向のプラス方向(図10中の矢印Y+方向)、マイナス方向が定義され測定機本体82に記憶される。これによりX、Yの方向が定まりベース部71の上面71aに基準線X、Yが引かれたことになる。またZ方向は上下方向のためおのずと定まり、基準位置R3の垂直方向に基準線Zが引かれたこととなる。測定器本体82には、測定器本体82の機械座標X′Y′Z′を持つが、この結果、測定機本体82の該機械座標には実治具7の座標が定義され設定される。また以後レーザ式三次元測定機8により測定した測定位置は実治具7の座標系を基準にして表示、記録される。
次にロボット空動作工程を行う(図5ステップSC2)。この工程は以下の手順で行う。まず溶接現場Gにおいて図2に示すように実溶接ロボット6の固定ガンチップ67にアタッチメント83を取り付けた後、ロボットコントローラ5の操作部505(図1参照)においてパラメータとしてエコライジング代「0」、ガン加圧動作を「切り」と入力して溶接ロボット6の起動スイッチをONする。
ここで、エコライジング代を「0」、ガン加圧動作を「切り」と入力するのは、次の工程で固定ガンチップ先端67aの位置を測定するに際し、固定ガンチップ先端67aがワークに接触した位置にあることが必要であり、エコライジング代を「0」とするとともに、ガン加圧動作をさせないためガン加圧動作を「切り」を入力するものである。これにより、ロボットコントローラ5は、エコライジング代およびガン加圧動作の入力値、生産ライン端末4からの変換データに基づいて実溶接ロボット6を動作させる。
具体的にはロボットコントローラ5は、実溶接ロボット6の各軸(6軸)の値がエンコーダ値になるように各軸の位置を移動させることにより、各ステップ毎にオフラインティーチングした位置へ再生移動させる(プレイバックという)。このようにして固定側ガンチップ先端67aをオフラインティーチングデータの各溶接打点位置Waに順次停止させる。
そしてこのロボット空動作工程に合わせてガン先端測定工程を行う(図5ステップSD3)。すなわち、固定側ガンチップ先端67aが各溶接打点位置Waに停止した時の先端67a位置をレーザ式三次元測定機8で測定する。またこの測定はワークをセットせずに(ワークレス)測定するため、ポスト73が測定の邪魔になる場合はポスト73が前後左右上下に移動するのでポスト73を邪魔にならない位置に移動させて測定する。また、経路(パス)は測定せず溶接打点位置Waに停止した位置のみを測定する。そしてこの測定は以下の手順で行う。
まず、制御装置81のキーボード803とマウス804を操作して測定機本体の立設部82aを左右に回転させるとともにヘッド部82bを上下に回転させて固定側ガンチップ67に取り付けられているアタッチメント83の上側のリフレクター833の中心833zに照準を合わせる。
そして照射検出部82cからレーザーをリフレクター833の中心833zに照射し、リフレクター833の中心833zから反射されたレーザーを再び照射検出部82cで検出する(図11参照)。
照射検出部82cで検出した検出信号は制御装置本体801へ出力され、制御装置本体801は、入力された検出信号に基づいて照射検出部82cからリフレクター833の中心833zまでの距離と、照射角度であるヘッド部82bの回転角度を算出し、さらにこの距離と角度から三角関数によりリフレクター833の中心833zの位置(Ra、Rb、Rc)を実治具7の座標系を基準にして算出する(図2、図11参照)。次に、レーザ式三次元測定機8は、前述した手順と同様な手順で下側のリフレクター834の中心834zの位置(Rd、Re、Rf)を測定する。
ここで、外嵌部831の当接部831c(ガンチップ先端67a)から下側のリフレクターの中心834zまでの距離L1と両リフレクターの中心833z、834z間の距離L2とが同じ距離であり、かつ、当接部831c、両リフレクターの中心833z、834zは延長線B上にある。
このことから、両リフレクター833、834の中心833z、834zの位置の差分と、固定側ガンチップ先端67aの位置と下側のリフレクター834の中心834zの位置との差分が同じになる。
したがって、下側のリフレクター834の中心834zの位置(Rd、Re、Rf)から、両リフレクター833、834の中心833z、834zの位置の差分(Ra−Rd、Rb−Re、Rc−Rf)を減算することによって得られる値(Rd−(Ra−Rd)、Re−(Rb−Re)、Rf−(Rc−Rf)がそれぞれ固定側ガンチップ先端67aの左右方向Xの位置、前後方向Yの位置、上下方向Zの位置を示し、この固定側ガンチップ先端67aが実ワークの溶接打点位置の測定値Wat(Watx,Waty,Watz)となる。
なお、両リフレクターの中心833z、834zは延長線B上に設定されていることからサーボガン62が傾斜したり上下反回転したりしても、固定側ガンチップ先端67aの位置が測定可能である。
次に誤差値算出工程を行う(図6ステップSD4)。すなわち、制御装置本体801は、各溶接打点位置Wa(Wx,Wy,Wz)から、この溶接打点位置Waに対応する実ワークの溶接打点位置の測定値を減算することにより、誤差値が算出される。
この実ワークの溶接打点位置の測定値は、前記固定側ガンチップ先端67aの測定値であるので、その対応する実ワークの溶接打点位置の測定値を前記Watとすることにして説明する。そうすると、実ワークの溶接打点位置の測定値は前記固定側ガンチップの先端67aの測定値Wat(Watx,Waty,Watz)がそれにあたることになる。また、測定値との誤差値の算出は、X,Y,Z座標値について行う。
そして、溶接打点位置Wa(Wx,Wy,Wz)に対応する固定ガンチップ先端67aの位置Wat(Watx,Waty,Watz)から溶接打点位置Wa(Wx,Wy,Wz)を減算することにより誤差値Wau(Waux,Wauy,Wauz)を算出する。
すなわち、X座標値における誤差値Wauxは、Watx−Wa、Y座標値における誤差値Wauyは、Waty−Wy、Z座標値における誤差値Wauzは、Watz−Wzでそれぞれ算出し、誤差値Wauは(Watx−Wx,Waty−Wy,Watz−Wz)となる。そして、各溶接打点位置Waに対する誤差値を算出したら、これらの誤差値をLANを介してCAD端末3へ送信する(図6ステップSD5)。
また、各溶接打点位置Waに対する誤差値を算出する都度CAD端末3へ送信してもよい。
この後、溶接現場Gからレーザ式三次元測定機8をかたづけ、実治具7からアタッチメント84を取り外し、実溶接ロボット6の固定ガンチップ67からアタッチメント83を取り外してかたづける。またレーザ式三次元測定機8を使用した測定に際して移動したポスト73を元の位置に戻す。
一方、CAD端末3は、レーザ式三次元測定機8から送信された誤差値を受信し(図6ステップSA6)、この誤差値に基づいてオフラインティーチングデータの補正工程を行う。
まず、各溶接打点位置Wa(Wx,Wy,Wz)に、ステップSD4で算出された誤差値Wau(Waux,Wauy,Wauz)の分、その誤差と反対方向にそれぞれ加算して補正して、新しい溶接打点位置Was(Wasx,Wasy,Wasz)を算出する(ステップSA7)。
この新しい溶接打点位置Wasも、X,Y,Z座標値について行うので、X座標値における新しい溶接打点位置Wasxは、Wx−(Waux)、Y座標値における新しい溶接打点位置Wasyは、Wy−(Wauy)、Z座標値における新しい溶接打点位置Waszは、Wz−(Wasz)でそれぞれ算出し、新しい溶接打点位置Was(Wx−(Waux)、Wy−(Wauy)、Wz−(Wauz))となる。この算出方法について具体的な数値を用いて説明する。例えば溶接打点位置Waが(695.479,257.648,452.101)であって、この溶接打点位置Waに基づいて測定された固定側ガンチップ先端67aの位置(測定値)Watが(695.340,260.140,457.270)である場合、まず、X座標値については、誤差値が695.340−695.479=−0.139となる。
したがって、図12(a)に示すようにマイナス方向に0.139の誤差が出ているので、新しい溶接打点位置WasのX座標値は、溶接打点位置WaのX座標値695.479をプラス方向に0.139補正した695.618となる。
Wasx=695.479−{(695.340)−(695.479)}=695.618
次に、Y座標値については、誤差値が260.140−257.648=2.492
したがって、図12(b)に示すようにプラス方向に2.492の誤差が出ているで、新しい溶接打点位置WasのY座標値は、溶接打点位置WaのY座標値257.648をマイナス方向に2.492補正した255.156となる。
Wasy=257.648−{(260.140)−(257.648)}=255.156
最後にZ座標値については、誤差値が457.270−452.101=5.169
したがって、図12(c)に示すようにプラス方向に5.169の誤差が出ているので、新しい溶接打点位置WasのZ座標値は、溶接打点位置WaのZ座標値452.101をマイナス方向に5.169補正した446.932となる。
Wasz=452.101−{(457.270)−(452.101)}=446.932
したがって、この例の場合は、新しい溶接打点位置Was(695.618,255.156,446.932)となる。
次にCAD端末3は、図8に示すように補正した各溶接打点位置Wasを結ぶ経路(パス)のうち、溶接打点位置Wasにくる直前の経路(パス)であるP4をこの溶接打点位置Wasに合わせて自動補正し、オフラインティーチングデータの補正を終了する(図6ステップSA8)。
このように本実施の形態では、実溶接ロボット6を空中で動作させ、オフラインティーチングされた各溶接打点位置Waで止めてその位置を測定することで、実溶接ロボット6で再現されたオフラインティーチングの各溶接打点位置とCAD端末3上のオフラインティーチング溶接打点位置Waとの差を算出し、各オフラインティーチング溶接打点位置Waをその差分値、反対方向へ補正することで実溶接ロボット6に合わせた溶接打点位置の補正ができる。
またこの補正を全て(実溶接ロボット6で再現されたオフラインティーチングの溶接打点位置Waがロボット溶接作業上で許容できる誤差の範囲であっても)の各オフラインティーチング溶接打点位置Waについて行う。そしてこの補正により補正後の溶接打点位置Wasは、溶接現場Gの実治具7に実ワーク(車体パネル)を位置決め保持した状態で実溶接ロボット6を作動させて各溶接打点位置で止め実ワークの各溶接打点位置に対する誤差を計測した結果、各溶接打点位置に対しX,Y,Z方向ともに−2mmから+2mmの範囲内に収まっており、ロボット溶接作業上で許容できる誤差の範囲であることが分かった。
また溶接打点位置Waだけ補正して、実溶接ロボットのモデル6mのアームの動き等経路の補正をしないのは、CAD端末3上の実溶接ロボットのモデル6mのアーム等の動きは、幾つかのステップに区切られて入力されている。溶接打点位置Waの補正に伴うステップの補正は、この幾つ(何段階)かのステップの内、溶接打点位置Wa直前のステップ(最後のステップ)が補正されれば良く、この溶接打点位置Wa直前のステップは、溶接打点位置Wが補正されると自動的に補正されるようになっている。
なお補正後の溶接打点位置Wasは、CAD端末3上においてはワークのモデルWmに食い込んだ位置や離間した位置に表示されるが、補正前の溶接打点位置Waに対する誤差が加味された結果であり、溶接現場Gにおいては実治具7に位置決め支持された実ワークの溶接打点位置となっている。
そして、この補正したオフラインティーチングデータを溶接現場Gに設置された実溶接ロボット6が動作可能なデータへ変換する(図6ステップSA9)。変換後、溶接等の作業条件(溶接電流値、通電時間)を選択付加して最終的なティーチングデータを作成し、このデータをLANを介して生産ライン端末4へ送信する(図6ステップSA10)。
生産ライン端末4は、CAD端末3から送信された変換データを受信し(図6ステップSB3)、さらにLANを介してこの変換データをロボットコントローラ5へ送信する(図6ステップSB4)。
ロボットコントローラ5は生産ライン端末4から送信された変換データを受信して格納し(図6ステップSC3)、ロボットコントローラ5によって実溶接ロボット6を動作させることができる。
また溶接現場Gの実溶接ロボット6が4機設置され、4機同時に、かつ、別々に動作するため、各実溶接ロボット6動作時に各実溶接ロボット6のアーム63、ガン62等が互いに干渉しないように、ある実溶接ロボット6の動作域が重なる動作干渉域に、他の実溶接ロボット6のアーム63、ガン62等が入っている間、この実溶接ロボット6のアーム63、ガン62が干渉域に入る前に動作を停止して待機させるインターロックの確認をする。
そして、ロボットコントローラ5は、各実溶接ロボット6毎に設定されているが、各ロボットコントローラ5間は接続され、ある実溶接ロボット6の動作範囲に他の実溶接ロボット6があるとき、この実溶接ロボット6がその間待機するインターロック制御が行われる。
そして、ロボットコントローラ5の操作部505でパラメータとしてエコライジング代の値(例えば4mm)、及びガン加圧動作を「入」と入力して溶接ロボットの起動スイッチをONにする。これによりロボットコントローラ5は、エコライジング代およびガン加圧動作の入力値、生産ライン端末4からのデータに基づき、実溶接ロボット6を動作させて実ワークの溶接を行うことが可能となる。
次に、実治具7に設けられたポスト73のロケートピン75を実ワークのロケート穴に挿入して実治具7に実ワークを位置決めし固定する。次に実溶接ロボット6を動作させて実治具7上の実ワークの溶接を行う(図6ステップSC4)。
このように本実施の形態においては、ティーチングデータを作成する際に実溶接ロボット6を動作させることで生じるあらゆる誤差、すなわちCAD端末3上の実溶接ロボットのモデル6mと溶接現場Gの実溶接ロボット6との間に生じる誤差(位置誤差、アーム寸法誤差、実溶接ロボット6の姿勢や撓みによる誤差、サーボガン62の撓みによる誤差、溶接打点位置の誤差)を吸収してオフラインティーチングデータの各溶接打点位置Waを補正している。
このため、補正したオフラインティーチングデータの各溶接打点位置Waと溶接現場Gでの実ワークの各溶接打点位置との誤差を常になくすことができる。よって、本実施の形態のティーチング方法においては、溶接現場Gにおける実ワークに対するティーチングデータの精度の低下を防ぐことができる。またこの結果、実ワークの溶接作業を適正に行うことができる。
また実ワークは実治具7にポスト73を介して位置決め支持されることから実治具7の座標系と実ワークの座標系とはほとんど誤差のないものとなる。このため、実治具7の座標系を基準にして固定側ガンチップ先端67a位置を測定しても、そのまま用いて溶接打点位置Waの補正に利用することができる。よって、本実施の形態のティーチング方法においては、従来のティーチング方法のようにワークの座標系を基準にして実溶接ロボット6に座標系を設定するという面倒な作業がないので、溶接打点位置Waの補正を容易に行うことができる。
また、実ワーク(車体パネル)が無い状態でオフラインティーチングデータを補正できるため、オフラインティーチングデータの補正を実ワークの形成と並行して実施することが可能となる。よって、実ワーク形成終了後、オフラインティーチングデータで実溶接ロボットを動作させて溶接打点位置Waの補正を行うのに比べ、実ワークの形成を待たずに実施できるため、オフラインティーチングデータ作成にかかる期間を短縮することができる。
また、オフラインティーチングデータの補正は、溶接打点位置Waに対する固定側ガンチップ先端位置とのずれ(誤差値)を演算し、各溶接打点位置Wa毎にCAD端末3上の溶接打点位置Waを誤差値分、誤差の方向と逆方向に補正(逆方向に補正する際、XYZの値を各々狂った分(差分)だけ(XYZの座標)で加算)することで行えるため、補正を容易かつ正確に行うことができる。よって、ティーチングデータの作成を容易かつ正確に行うことができる。
また、本実施の形態のレーザ式三次元測定機8は、固定側ガンチップ67から離れ、かつ、ガンチップ先端67aから延出方向Aに沿って先方へ延長された延長線B上に設定された両リフレクター833、834の位置を測定することでガンチップ先端67aの位置を算出するので、サーボガン62の傾斜、反回転等姿勢状態に関係なくガンチップ先端67a位置を容易に測定することができる。
さらに、ガンチップ67が取り付けられるガン本体66の先端部には、冷却戻り水路68、冷却水供給管69が設けられており、ガンチップ67を外してアタッチメント83をガン本体66の先端部に設定しようとすると、これら冷却戻り水路68、冷却水供給管69に当たらないようにしたり、冷却水が漏れないように固定側ガン64を加工する必要があるが、本実施の形態では、アタッチメント83は固定側ガンチップ67に外嵌して取り付けられることからアタッチメント83を取り付けるために固定側ガン64を加工する必要がない。このため、固定側ガン先端67aの位置を測定する際のコストをアタッチメント83の製造コストのみにすることができる。
なお、本実施の形態では実治具7に取り付けるアタッチメントとしてベース上面71aに取り付けるアタッチメント84を使用したが、他の実施の形態として実治具7のポスト73にアタッチメントを取り付ける場合には、図13に示すようにポスト本体74のロケート部75aの上端面に設けられた実ワーク(車体パネル)が当接し、着座されるワーク着座面75b上であって、この着座面75bから上方に突出し、ワークのロケート穴に挿入され、実ワークを位置決めするロケートピン75の中心に基準位置R10を設定し、この基準位置R10を中心にしてロケート部75a上に取り付けるアタッチメント90を使用する。
このアタッチメント90は、ロケートピン75を挟んでロケート部75aのワーク着座面75b上に載置されたアタッチメント本体91と、アタッチメント本体91の上部に取り付けられたリフレクター座841と、リフレクター座841に取り付けられたレーザーを反射させるリフレクター842とから構成されている。なおアタッチメント90は、リフレクター座841、リフレクター842、が、実治具7のベース部上面71aに開けられた挿入孔71bに挿入して使用されるアタッチメント84のリフレクター座841、リフレクター842と同じ構造であるので、同じ符号を付してある。
アタッチメント本体91は筒状に形成されている。この筒状のアタッチメント本体91の内周面91aからロケートピン75へ向かって突出形成されてロケートピン75に当接し、ロケートピン75の中心の鉛直線C上に後述するリフレクター842の中心Oが位置するように内周面91aからの突出量を同一に形成された複数(本実施の形態の場合、三方向から突出)の当接位置決め部92が設けられており、これら複数の当接位置決め部92によってロケートピン75はアタッチメント本体91に挟まれている。さらにアタッチメント本体91の上面91bの中央部には、基準位置R10を中心にして明けられた挿入孔91cが設けられている。
またリフレクター座841は断面T字状に形成されており、アタッチメント本体91の上面91bに面接した基部841aと、基部841aから突出して挿入孔91cに挿入された挿入部841bとから構成されている。
一方リフレクター842には、リフレクターに当たったレーザーを反射させるレーザー反射面を有するリフレクター本体842bが設けられ、このリフレクター本体842bには上半分の部分にレーザー反射面を形成する断面L字状の凹面842aが形成されている。そしてこの凹面842aの中心がリフレクター842の中心Oとなっており、この中心Oが基準位置R10から上方へ延びる鉛直線C上を通るようにリフレクター842の取付位置が設定されている。
そして、基準位置R10が設定されたロケート部75aのワーク着座面75bからリフレクター842の中心Oまでの距離Kが、制御装置本体801にZ座標値(za)として記憶されている。
かかる構成においてこのアタッチメント90を使用して基準位置R10を得るには、レーザー式三次元測定機8の測定機本体82を起動してリフレクター842の中心Oにレーザーを照射し、反射されたレーザーを受け取って中心Oの位置(Rh、Ri、Rj)を測定機本体82の座標系を基準にして測定する。
ここでリフレクター842の中心Oはワーク着座面75bから鉛直線C上に位置するのでZ座標値については、制御装置本体801に記憶されている上下方向の位置差である距離K、すなわち上下方向(Z座標方向)寸法値(za)の差を求める。そして、測定結果、基準位置R10が算出される。したがって制御装置本体801は、リフレクター842の中心O(Rh、Ri、Rj)からZ座標値(za)を減算することにより、基準位置R10(Rh、Ri、Rj−za)を算出する。
このように実治具7を構成するポスト73にアタッチメント90を取り付けても基準位置R10を測定することができるので、レーザー式三次元測定機8に実治具7の座標系を設定することができる。
また、本実施の形態においてはLANを介してCAD端末3、生産ライン端末4、ロボットコントローラ5、レーザ式三次元測定機8を接続した。しかし、これらの装置を接続せずに各装置にフレキシブルディスク等の記憶媒体を着脱自在に設け、この記憶媒体に必要なプログラムやデータ等を記憶させた後、この記憶媒体を取り出して送信相手となる次の装置に装着させてデータの遣り取りを行うようにしてもよい。これによりLANが構築されていない環境下においても、本発明に係るティーチング方法を実施することができる。