JP4777131B2 - 取手装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば、自動車のラゲージルーム内に設置されるカーゴフロアボードなどの装着される取手装置に関する。
この種の取手装置としては、カーゴフロアボードにビス止めされる構成のものが一般に広く知られているが、取付け作業の簡素化を図る観点から特許文献1に開示されたような構造のものも提案されている。
特許文献1の取手構造は、具体的には図示しないが、被取付け対象である蓋体に貫通孔を開け、蓋体の裏面側から貫通孔にカバー部材を嵌め込むとともに、蓋体の表面側から貫通孔に取手部材を嵌め込むだけの作業で取付けが完了する。すなわち、取手部材にだ弾力性のある係止爪を形成するとともに、カバー部材に爪受け孔を形成し、両部材を蓋体の貫通孔に嵌め込むと同時に、係止爪が爪受け孔へ弾力的に係止される構成となっている。
特開2002−178411号公報
上述したように特許文献1の取手構造は、取付対象への取付け作業が簡単であるという利点を有している。しかし、取手部材およびカバー部材の蓋体(取付対象)への取付け状態が、係止爪と爪受け孔との間の弾力的な係合によってのみ維持される構造であったので、蓋体の持ち上げ操作などに際し、取手部材に過大な引張力が作用したとき、その引張力によって係止爪が弾力的に撓んでしまい、その結果、係止爪と爪受け部との間の係合状態が解除され、蓋体から取手部材とカバー部材が外れてしまうおそれがあった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、取付対象から外れてしまうことを確実の防止できる取手装置の提供を目的とする。
加えて、本発明は、取付対象への装着作業が容易な取手装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、開口部を有する取付対象に対し、当該開口部を表面側から覆うように装着される取手本体と、
前記取付対象に対し、前記開口部を裏面側から覆うように装着される裏カバーと、
前記取手本体に移動自在に組み込まれた移動体と、を備え、
前記移動体が、剛性を有する突部で形成された係止部を有するとともに、
前記裏カバーに、剛性を有する被係合部を設け、
前記係止部は、前記移動体が定常位置にあるときは、前記被係合部に対する前記係止部の係合状態が解除されており、前記移動体の定常位置からの移動に伴い前記被係合部へ係合し、前記取手本体と裏カバーとの間の相対位置を保持することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の記載を前提として、前記裏カバー又は取手本体のいずれか一方に弾力性のある装着爪を設けるとともに、他方に前記装着爪が係止される装着用被係合部を設け、
前記取付対象の開口部を介し前記装着爪が前記装着用被係合部に係合することで、前記取付対象に対する前記取手本体と裏カバーの装着状態が保持される構成であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2の記載を前提として、前記係止部が前記被係合部に当接して相互間における係合状態を形成し、これにより前記取手本体と裏カバーとの間の相対位置を保持する構成であることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3の記載を前提として、前記係止部が前記被係合部に面接触して相互間における係合状態を形成することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項3又は4の記載を前提として、前記被係合部へ前記係止部がくさび状に噛み込み相互間における係合状態を形成することを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5の記載を前提として、前記係止部と前記被係合部との間に、互いに当接して前記係止部の移動を規制するストッパ手段を設けたことを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6の記載を前提として、前記ストッパ手段が、前記係止部の先端と前記被係合部に設けられた壁部とで構成され、当該係止部の先端が当該壁部に当接して前記係止部の移動が規制されることを特徴とする。
よって、請求項1の発明にあっては、剛性を有する突部で形成された係止部を、剛性を有する被係合部へ係合することで、前記取手本体と裏カバーとの間の相対位置を保持するので、過大な外力がこの係合部分に作用しても係止部や被係合部が弾力的に撓んで係合状態が解除してしまうおそれがなく、よって取手装置が取付対象から外れてしまうことを確実に防止することができる。また、係止部が剛性を有していても、移動体の移動に伴い当該係止部を被係合部へ係合するので、無理なく確実に係止部を被係合部へ係合することができる。なお、係止部および被係合部は、想定される外力の作用に対し破壊しない強度を有していることは勿論である。
請求項2の発明によれば、弾力性のある装着爪が装着用被係合部に係合するだけで、ビス等の締結具を使用することなく取手本体および裏カバーを取付対象へ装着できるので、装着作業が容易となる。
請求項3の発明にあっては、係止部と被係合部が係合する状態において、係止部が被係合部に当接しているので、取手本体と裏カバーとの間の相対位置をがたつきなく保持することができる。
請求項4の発明にあっては、係止部と被係合部が係合する状態において、さらに係止部が被係合部に面接触しているので、取手本体と裏カバーとの間の相対位置をいっそうがたつきなく保持することができる。
請求項5の発明にあっては、被係合部へ係止部がくさび状に噛み込むので、取手本体と裏カバーとの間に取付誤差等があっても、係止部が被係合部へ当接する状態を形成でき、よって取手本体と裏カバーとの間の相対位置をがたつきなく保持することができる。
上記のとおり被係合部へ係止部がくさび状に噛み込む構成とした場合、係止部が必要以上に噛み込み方向へ移動すると、被係合部に作用する噛み込み荷重が過大となって破損するおそれもある。
そこで、請求項6および請求項7の発明にあっては、係止部の移動を規制するストッパ手段を設け、これにより、係止部が必要以上に噛み込み方向へ移動することを阻止し、被係合部の破損を防止している。
以上説明したように、本発明によれば、過大な外力が係合部分に作用しても係止部や被係合部が弾力的に撓んで係合状態が解除してしまうおそれがなく、よって取手装置が取付対象から外れてしまうことを確実に防止することができる。
また、請求項2の構成を付加することにより、弾力性のある装着爪が装着用被係合部に係合するだけで、ビス等の締結具を使用することなく取手本体および裏カバーを取付対象へ装着できるので、装着作業が容易となる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
本実施形態の取手装置1は、例えば、図9に示すように、ワゴンタイプの自動車のカーゴフロアに設けられているスペアタイヤや工具などの収納凹部2を覆うフロアボード3(取付対象)に、図10に示す状態で装着されるものである。
当該取手装置1は、図1乃至図4に示すように、樹脂成形された取手本体10と裏カバー20とを有している。これら取手本体10と裏カバー20とが取り付けられるフロアボード3には、図4に示すように開口部3aが形成してあり、この開口部3aを覆うように表面側から取手本体10が装着され、一方、フロアボード3の裏面側からは同じく開口部3aを覆うように裏カバー20が装着される。
ここで、裏カバー20には、図3に示すように、弾力性のある装着爪21が複数箇所(図では4箇所)に突出形成してある。一方、取手本体10には、図2に示すように、これら装着爪21と対応して複数箇所に凹溝からなる装着用被係合部11が形成してある。図4に示すように、フロアボード3の表面側から開口部3aに嵌め込まれた取手本体10に対し、フロアボード3の裏面側から裏カバー20を押し込んで装着すると、装着爪21が弾力的に撓んで装着用被係合部11まで至り、当該装着用被係合部11に係合する(図4参照)。このようにして、取手本体10と裏カバー20は、ワンタッチでフロアボード3に装着することができる。
なお、取手本体10に装着爪21を、裏カバー20に装着用被係合部11をそれぞれ形成することもできる。
また、取手本体10には、支軸12を中心に回動自在なハンドル30(移動体)が組み込まれている(図1、図4参照)。ハンドル30の先端部から中央部分にかけては、操作用の把持部31が切欠き形成されている。
このハンドル30は、取手本体10の表面に形成した収納凹部13に収まった状態位置を定常位置としており(図4(a)参照)、この定常位置から図4の時計周りの方向へ先端部側を持ち上げることで(図4(b)参照)、収納凹部13から露出した把持部31を掴んでフロアボード3を持ち上げられるようになっている。
ハンドル30は、図示しないねじりコイルばねによって図4の反時計周りの方向に付勢されており、フリーにするとこの付勢力をもって定常位置へ戻る。
ハンドル30の基端部には、フック状の係止部32が突出形成されている。この係止部32は、充分な肉厚をもって形成され、弾力的に撓むことのない剛性と大きな強度を有している。取手本体10の底壁には、ハンドル30を定常位置から回動させたとき係止部32が干渉しないように、係止部32の移動経路に沿って切欠口14が設けてある。
一方、裏カバー20の内底部には、充分な肉厚をもった環状のブリッジ22によって剛性を有する被係合部が形成されている(図3、図4参照)。ハンドル30の基端部に形成された係止部32は、ハンドル30の回動操作に伴い、このブリッジ22(被係合部)の内部空間に入り込んでブリッジ22の天井部に当接して係合する(図4(b)参照)。ブリッジ22も係止部32と同じく、弾力的に撓むことのない剛性と大きな強度を有している。
上述したように、ハンドル30は、取手本体10の表面に形成した収納凹部13に収まった状態位置を定常位置としており(図4(a)参照)、この定常位置において係止部32がブリッジ22に係合することはない。よって、フロアボード3へ取付本体10と裏カバー20を装着する際に、係止部32とブリッジ22が障害にならず、装着作業を円滑におこなうことが可能となる。
また、ハンドル30は、定常位置から図4の時計方向へ先端部側を持ち上げた状態で(図4(b)参照)、把持部31を掴んでフロアボード3の持ち上げ操作に利用される。フロアボード3を持ち上げる際には、ハンドル30に大きな外力が作用する。このとき、本実施形態では、係止部32がブリッジ22の内部空間に入り込んでその天井部に当接した状態で係合しているので、ハンドル30に作用する外力が係止部32を介してブリッジ22(すなわち、裏カバー20)に伝えられる。その結果、取手本体10と裏カバー20との間の相対位置が保持されるため、フロアボード3からの取手本体10と裏カバー20が外れてしまうことを防止できる。
このとき、係止部32はブリッジ22の天井部に当接しているので、ハンドル30(すなわち、取手本体10)と裏カバー20との間にがたつきを生じるおそれもない。
図5は本実施形態における係止部32と被係合部の変形例を示す断面側面であり、(a)はハンドル30が定常位置にある状態を示し、(b)はハンドル30が回動して係止部32が被係合部へ係合している状態を示している。
係止部32は、ハンドル30の回転支軸12を中心とする円弧状に被係合部への当接面32aが形成してある。また、被係合部を形成しているブリッジ22の天井部22aは、係止部32の当接面32aが面接触するとともに、くさび状に噛み込んでいくように勾配をつけた曲面で形成されている。
このように構成することで、取手本体10と裏カバー20との間に取付誤差等があっても、係止部32がブリッジ22の天井部22aへ当接する状態を形成でき、よって取手本体10と裏カバー20との間の相対位置をいっそうがたつきなく保持することができる。
図6は本実施形態における被係合部の他の変形例を示す断面側面であり、(a)はハンドル30が定常位置にある状態を示し、(b)はハンドル30が回動して係止部32が被係合部へ係合している状態を示している。
被係合部を形成するブリッジ22は背面に壁部22bが形成してあり、回動してきた係止部32の先端がこの壁部22bに当接して、それ以上の回動が規制される構造となっている。すなわち、ブリッジ22に形成した壁部22bと係止部32の先端とが、係止部32の移動を規制するストッパ手段を構成している。
このようなストッパ手段を構成することで、係止部32が必要以上に噛み込み方向へ移動することを阻止でき、ブリッジ22や係止部32の破損を防止できる。
〔第2実施形態〕
図7および図8は本発明の第2実施形態を示す図である。なお、先に示した第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、その部分の詳細な説明は省略する。
本実施形態では、取手本体10の表面に手掛け部15となる壁を形成してあり、手掛け部15の内側は中空部16となっている。中空部16は、取手本体10の表面に形成した切欠口17と連通しており、図8(b)に示すように、切欠口17から中空部16へと手の指を差し入れて手掛け部15を持つことができる。
取手本体10の中空部16には、移動体40がスライド自在に配置されている。移動体40は、図8の左右方向へ直線的にスライド自在となっており、圧縮コイルばね41によって図8の左方向へ常時付勢されている。移動体40は、切欠口17に近い移動端(図8の左方向の移動端)を定常位置としている。
移動体40には、中空部16内に差し込まれた手の指先が当接する押圧壁42が形成してあり、さらにこのこの押圧壁42から延出して係止部43が形成してある。係止部43の先端部分は斜面となっており、移動体40の移動に伴い、この係止部43が被係合部を形成するブリッジ22の天井部にくさび状に噛み込んで係合する(図8(b))。
本実施形態では、取手本体10の切欠口17から中空部16へと手の指を差し入れて手掛け部15を持ち、この状態でフロアボード3を持ち上げる。このとき、中空部16に差し入れた手の指で移動体40が押されて図8の右方向に移動し、この移動に伴い係止部43がブリッジ22の天井部にくさび状に噛み込んで当接し係合する(図8(b))。このため、フロアボード3を持ち上げる際に、取手本体10に作用する外力が、移動体40の係止部43からブリッジ22へと伝えられる。その結果、取手本体10と裏カバー20との間の相対位置が保持されるため、フロアボード3から取手本体10と裏カバー20が外れてしまうことを防止できる。
本発明の第1実施形態に係る取手装置の外観を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る取手装置の取手本体およびハンドルを示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る取手装置の裏カバーを示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る取手装置の側面断面図である。 係止部と被係合部の変形例を示す断面側面である。 被係合部の他の変形例を示す断面側面である。 本発明の第2実施形態に係る取手装置の外観を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る取手装置の側面断面図である。 本発明の各実施形態に係る取手装置の使用状態を示す斜視図である。 本発明の各実施形態に係る取手装置のフロアボードへの装着状態を示す斜視図である。
符号の説明
3:フロアボード(取付対象)、3a:開口部
10:取手本体、11:装着用被係合部、12:支軸、13:収納凹部、14:切欠口、15:手掛け部、16:中空部、17:切欠口
20:裏カバー、21:装着爪、22:ブリッジ(被係合部)、
30:ハンドル(移動体)、31:把持部、32:係止部、
40:移動体、41:圧縮コイルばね、42:押圧壁、43:係合部

Claims (6)

  1. 開口部を有する取付対象に対し、当該開口部を表面側から覆うように装着される取手本体と、
    前記取付対象に対し、前記開口部を裏面側から覆うように装着される裏カバーと、
    前記取手本体に移動自在に組み込まれた移動体と、を備え、
    前記移動体が、剛性を有する突部で形成された係止部を有するとともに、
    前記裏カバーに、剛性を有する被係合部を設け、
    前記係止部は、前記移動体が定常位置にあるときは、前記被係合部に対する前記係止部の係合状態が解除されており、前記移動体の定常位置からの移動に伴い前記被係合部に当接して相互間における係合状態を形成し、これにより前記取手本体と裏カバーとの間の相対位置を保持する構成であることを特徴とする取手装置。
  2. 前記裏カバー又は取手本体のいずれか一方に弾力性のある装着爪を設けるとともに、他方に前記装着爪が係止される装着用被係合部を設け、
    前記取付対象の開口部を介し前記装着爪が前記装着用被係合部に係合することで、前記取付対象に対する前記取手本体と裏カバーの装着状態が保持される構成であることを特徴とする請求項1の取手装置。
  3. 前記係止部が前記被係合部に面接触して相互間における係合状態を形成することを特徴とする請求項1又は2の取手装置。
  4. 前記被係合部へ前記係止部がくさび状に噛み込み相互間における係合状態を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項の取手装置。
  5. 前記係止部と前記被係合部との間に、互いに当接して前記係止部の移動を規制するストッパ手段を設けたことを特徴とする請求項の取手装置。
  6. 前記ストッパ手段は、前記係止部の先端と前記被係合部に設けられた壁部とで構成され、当該係止部の先端が当該壁部に当接して前記係止部の移動が規制されることを特徴とする請求項の取手装置。
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