JP4777036B2 - バルーンの製造方法およびバルーン - Google Patents

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Description

本発明は、バルーンカテーテル等に用いられるバルーンの製造方法およびバルーンに関する。
外科的手術が困難な部位の治療、または人体への低侵襲を目的とした治療には、先端部に拡張・収縮自在なバルーンが設置されたバルーンカテーテルが用いられる。
このようなバルーンカテーテルのうち、例えば血管拡張用バルーンカテーテルは、冠状動脈のような血管の狭窄部を拡張するPTCA術(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty:経皮的冠状動脈血管形成術)に適用される。このPTCA術においては、例えばセルジンガー法により大腿動脈を確保し、ガイドワイヤーを先行させつつガイディングカテーテルを目的病変部位である血管狭窄部付近まで挿入し、次いで、ガイディングカテーテルの内腔にバルーンカテーテルを挿通し、その先端部のバルーンを狭窄部に位置させ、カテーテル本体に形成されたルーメンを介してバルーン内に拡張用の流体を送り込んでバルーンを拡張させ、狭窄部の拡張治療を行う。
また、血管狭窄部の拡張治療には、ステントを留置する方法もある。ステントには、弾性体で構成された自己拡張型のものと、通常は縮径しているがステントの内側に設置されたバルーンの拡張により拡張して留置されるものとがある。後者のステントは、ステントデリバリー用バルーンカテーテルにより血管狭窄部まで移送され、そのバルーンを拡張することにより拡張されて留置される。
また、その他の種類として、大動脈内でバルーンを周期的に拡張・収縮させるバルーンポンピングにより心臓の拍動を補助するIABP(大動脈内バルーンポンピング)用のバルーンカテーテルも知られている。
このような各種のバルーンカテーテルに対しては、急峻に湾曲したり蛇行しりするカテーテル内や血管内を目的部位まで円滑に進めることができる追従性(トラッカビリティー)を有することが要求され、特に、設置されるバルーンについては、次のような性能が要求される。
1. バルーン拡張時の内圧や衝撃(急激な内圧上昇)に耐えられる十分な強度、耐衝撃性を有すること。特に、石灰化等の硬化した生体組織にバルーンが接触しても破損しないような強度を有すること。
2. 前記追従性を確保するために、適度な柔軟性を有すること。
3. 柔軟性を確保しつつ、一度所望の直径まで拡張した後は、それ以上膨張しない適度な非伸展性(コンプライアンス)を有すること。
4. 急峻に湾曲したり蛇行しりするカテーテル内を円滑に進めることができるよう、バルーン表面に自己潤滑性を有すること。
5. 拡張時の外径やバルーンを構成する膜の厚さが均一であること等の寸法安定性を有すること。
このような性能が要求される中で、従来のポリアミド製バルーンやポリエチレン製バルーンでは、柔軟性に富むものの、強度、耐衝撃性、非伸展性、自己潤滑性および寸法安定性のそれぞれが不十分であり、また、従来のポリエチレンテレフタレート製バルーンでは、非伸展性を有するものの、強度、耐衝撃性、自己潤滑性および寸法安定性のそれぞれが不十分である。
また、近年、延伸ポリテトラフルオロエチレンの層を有するバルーンが知られており(例えば、特許文献1)、このバルーンは、非伸展性および自己潤滑性を有するものの、耐衝撃性および寸法安定性が不十分である。さらに、ポリテトラフルオロエチレンは、融点が高いため、成形温度が高くなり、高温に耐え得るようにするために成形装置等が高価となる。
そして、これらのバルーンにおいて、強度および耐衝撃性を向上するには、バルーンの膜厚を厚くしなければならないが、この場合には、バルーンを折りたたんでカテーテルの外周に巻き付けた際に、その部分のカテーテルの外径が増大し、ガイディングカテーテル内や血管内への挿入の操作性を低下させてしまうという問題がある。
特表2005−520639号公報
本発明の目的は、薄くても高強度で耐衝撃性に優れ、適度なコンプライアンスを有し、寸法安定性に優れ、また、自己潤滑性を有するバルーンおよびその製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(12)の本発明により達成される。
) 医療用カテーテルに設置して使用されるバルーンの製造方法であって、
筒状をなすバルーン基材を成形型内に設置し、前記バルーン基材の内側および外側にそれぞれ流体を導入し、該流体を超臨界状態に維持しつつそれらの圧力差により前記バルーン基材を外径が増大するように拡張させるとともに、前記バルーン基材を長手方向に延伸してバルーンを形成することを特徴とするバルーンの製造方法。
) 前記バルーンの成形の際、バルーンの外表面を溶融、固化させて緻密化する上記(1)に記載のバルーンの製造方法。
) 前記バルーン基材は、1層または複数の層の積層体で構成され、バルーン基材を構成する層のうちの少なくとも1層が、超高分子量ポリオレフィンで構成されている上記(1)または(2)に記載のバルーンの製造方法。
) 前記超高分子量ポリオレフィンは、平均分子量が200万〜1000万の超高分子量ポリエチレンである上記(3)に記載のバルーンの製造方法。
) 前記流体は、COまたはこれらを含むものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
) 前記バルーン基材の内側における前記流体の温度および圧力は、それぞれ、30〜200℃、3〜36MPaである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
) 前記バルーン基材の外側における前記流体の温度および圧力は、それぞれ、30〜200℃、2〜35MPaである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
) 前記バルーン基材の周方向の延伸倍率が1.5〜10倍である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
) 前記バルーン基材の長手方向の延伸倍率が2〜12倍である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
10) 前記バルーン基材の長手方向の延伸速度は、5〜250mm/秒である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
11) 得られたバルーンの平均膜厚は、10〜120μmである上記(1)ないし(10)のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
12上記(1)ないし(11)のいずれかの方法により製造されたことを特徴とするバルーン。
本発明によれば、柔軟性に富んだバルーンが得られる。これにより、バルーンカテーテルを構成した際、バルーンの設置部分は、急峻に湾曲したり蛇行しりするカテーテル内や血管内を目的部位まで円滑に進めることができる優れた追従性が確保され、バルーンカテーテルの挿入操作等の操作性が向上する。
また、本発明によれば、膜厚の薄いバルーンでも、高強度、高耐圧性が確保され、耐衝撃性も優れる。そのため、通常の使用時における損傷、破裂が防止されることは勿論のこと、例えば、石灰化して硬化した生体組織(血管狭窄部)に接触した場合でも、破裂し難いバルーンを提供することができる。
また、本発明によれば、適度な非伸展性(コンプライアンス)を有するバルーンを提供することができる。これにより、血管狭窄部等の患部を過度な径に拡張することがないバルーンを提供することができる。
また、本発明によれば、寸法安定性に優れた、すなわち膜厚が均一なバルーンを提供することができる。これにより、高強度、高耐圧性、耐衝撃性がより一層向上する。
また、本発明によれば、自己潤滑性に優れたバルーンを提供することができる。これにより、カテーテル内や血管内において、摩擦抵抗が減少し、摺動性が向上するので、進退操作や回転操作をより円滑に行うことができ、追従性が向上するとともに、血管内壁へ損傷を与えることも防止される。
以下、本発明のバルーンの製造方法について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のバルーンの製造方法に用いるバルーン基材の斜視図、図2は、本発明のバルーンの製造方法に用いるバルーン成形装置の構成例を示す縦断面図、図3は、図2に示すバルーン成形装置にバルーン基材を装着した状態を示す斜視図、図4は、図2に示すバルーン成形装置にバルーン基材を装着し、成形を行っている状態を示す縦断面図、図5は、バルーン基材の端部を把持するチャックの構造を示す縦断面図、図6は、チャック移動装置(バルーン基材延伸装置)の概略構成を示す斜視図、図7は、本発明のバルーンの製造方法により製造されたバルーンの構成例を示す斜視図、図8は、本発明のバルーンを医療用カテーテルに設置した状態を示す斜視図である。
本発明のバルーンの製造方法は、まず、バルーン基材100を用意する。図1に示すように、バルーン基材100は、長手方向に沿って外径および内径がほぼ一定の円筒状(チューブ状)をなしている。このバルーン基材100は、好ましくは可撓性を有している。
バルーン基材100は、単層(1層)で構成されているもの、または複数の層の積層体で構成されているものが挙げられる。以下、単層で構成されているバルーン基材100について代表的に説明し、積層体の場合については、後に説明する。
バルーン基材100は、種々の高分子材料で構成することができるが、特に、超高分子量ポリオレフィンで構成されているのが好ましい。超高分子量ポリオレフィンは、バルーンに成形した際、耐衝撃性に優れ、また表面の自己潤滑性にも優れる他、耐薬品性も優れている。本来、超高分子量ポリオレフィン自体は、高強度ではあるが柔軟性に乏しい材料である。しかし、本発明では、この超高分子量ポリオレフィンに超臨界状態の流体(改質用の流体)を接触させてその材質を改質させつつ所定方向に延伸することにより、バルーンの機械的強度を損なうことなく優れた柔軟性を付与することができ、適度な非伸展性(コンプライアンス)を持たせることができる。以下、超臨界状態に維持された流体を「超臨界流体」と言う。
また、超高分子量ポリオレフィンは、比較的融点(軟化点)が低く、高温の加熱を行うことなく容易に成形できるという利点がある。
さらに、超高分子量ポリオレフィンによるバルーンは、カテーテル本体170への固着に際し、融着、接着剤による接着のいずれの方法においても、容易かつ確実に固着することができ、接着強度および接着部の気密性が高い。特に、融着により固着する場合には、比較的低温で容易に融着することができ、その作業を容易かつ確実に行うことができるという利点がある。そして、このような超高分子量ポリオレフィンの特性は、超臨界流体との接触による改質後および延伸後でも、そのまま維持されるので、好ましい。
ここで、本発明に用いることができる超高分子量ポリオレフィンは、平均分子量が100万以上のポリオレフィンを言い(以下これを単に「超高分子量ポリオレフィン」と言う)、例えば、エチレン、プロプレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどのモノオレフィン炭化水素化合物、1,3−ブタジエン、2−メチル−2,4−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,4−ヘキサジエン、3−メチル−2,4−ヘキサジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンなどの共役ジエン系炭化水素化合物、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−エチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘプタジエン、4−エチル−1,4−ヘプタジエン、5−メチル−1,4−ヘプタジエン、4−エチル−1,4−オクタジエン、4−n−プロピル−1,4−デカジエンなどの非共役ジエン系炭化水素化合物、1,3,5−ヘキサトリエン、1,3,5,7−オクタテトラエン、2−ビニル−1,3−ブタジエンなどの共役ポリエン系炭化水素化合物、スクアレンなどの非共役ポリエン系炭化水素化合物、その他ジビニルベンゼン、ビニルノルボルネンなどのように分子内に少なくとも2個の不飽和結合(好ましくは二重結合)を有する炭化水素化合物の単独重合体あるいは共重合体が挙げられるが、この中でも特に、超高分子量ポリエチレンが好ましい。
そして、この超高分子量ポリエチレンとしては、平均分子量が200万〜1000万程度のものが好ましく、250万〜600万程度のものがより好ましい。このような超高分子量ポリエチレンを用いることにより、柔軟性、耐衝撃性および加工性がより一層向上する。
また、バルーン基材100の構成材料で上記以外のものとしては、例えば、フッ素樹脂、ポリウレタンが挙げられる。さらに、これらの高分子材料のうちの少なくとも1種と前述した超高分子量ポリオレフィンとの共重合体や、ポリマーブレンド、ポリマーアロイも、バルーン基材100の構成材料として用いることができる。
次に、バルーン基材100をバルーン成形装置1に装着する。まず、バルーン成形装置1の構成について、図2〜図4を参照しつつ説明する。
バルーン成形装置1は、バルーン基材100を成形してバルーンを得るための成形型2と、バルーン基材100の両端部をそれぞれ把持するチャック(把持手段)10A、10Bとで構成されている。
成形型2は、内部に成形空間(キャビティ)30を有する型本体3と、型本体3の外周に設置され、内管41と外管42とを有する2重管構造をなす円筒体4と、円筒体4の内管41と外管42との間の空間に設置されたヒータ5と、ヒータ5と外管42との間に設置された冷却管6と、成形空間30に連通する超臨界流体の注入ポート7および排出ポート8と、一対のシール部材9とを備えている。また、注入ポート7の上流側および排出ポート8の下流側には、それぞれ、これらのポートを開閉するバルブ(図示せず)が設置されている。
型本体3は、図2中の中央部に位置する第1の型31と、その両側部に位置する第2の型32および第3の型33とを有する。第1の型31、第2の型32および第3の型33は、いずれも、金属材料(例えば、鉄または鉄系合金、銅または銅系合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金)で構成されているのが好ましい。これにより、優れた熱伝導性が得られる。
第1の型31には、バルーンの最大外径部を形成する円柱状の空間310が形成されている。第2の型32および第3の型33には、それぞれ、バルーンの最小外径部(両端付近)を形成する円柱状の小径の空間320、330と、該小径の空間320、330と第1の型31の空間310とを繋ぐテーパ状の空間321、331とが形成されている。
また、第2の型32には、注入ポート7と小径の空間320とを連通する流路322が形成され、第3の型33には、排出ポート8と小径の空間330とを連通する流路332が形成されている。
また、第2の型32および第3の型33には、それぞれ、小径の空間320および330の内面に露出するようにシール部材9、9が設置されている。バルーン基材100を装着した際、シール部材9、9がバルーン基材100の外周面に密着し、バルーン基材100と型本体3の内面との間に注入された超臨界流体の漏れを防止する。シール部材9としては、例えば各種ゴム材料のような弾性体で構成されたものが好ましい。
円筒体4は、良好な熱伝導性を得るために、金属材料(例えば、鉄または鉄系合金、銅または銅系合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金)で構成されているのが好ましい。
ヒータ5としては、例えば面状ヒータを用いることができるが、これに限定されるものではない。ヒータ5を作動すると、内管41を介して型本体3が所定の温度(型温度)に加熱される。
また、冷却管6は、ヒータ5の外周に螺旋状に巻きつけられており、その両端部は外管42を貫通して円筒体4の外部に突出している。冷却管6の一端部61より冷媒(例えば、水等の液体または空気、その他冷却ガス)を供給すると、この冷媒が冷却管6内を流れ、冷却管6の他端部62より排出される。これにより、ヒータ5および内管41を介して型本体3が所定の温度まで冷却される。
図5に示すように、チャック10Aは、バルーン基材100の一端部を挟持、固定し得るように構成されたものであり、固定部材11と、固定部材11に対し回転し得るほぼ円筒状の回転部材12と、固定部材11の開口110から突出するよう設置された超臨界流体の注入ポート14と、固定部材11の内部において注入ポート14の側部に連結された側管141と、回転部材12の内周部に設置された環状の弾性体16とを有している。
弾性体16は、例えば各種ゴム材料のような弾性材料で構成されている。また、固定部材11、回転部材12、注入ポート14および側管141は、各種金属材料や各種硬質樹脂等の硬質材料で構成されている。
固定部材11と回転部材12とは、雌ネジと雄ネジとが螺合した螺合部13により連結されている。弾性体16の一端および他端は、それぞれ、固定部材11および回転部材12の端部に当接しており、回転部材12を所定方向に回転して、回転部材12を固定部材11に接近させると、弾性体16は、その長さが減少するように圧縮され、弾性体16の内径が減少する。側管141は、弾性体16の内腔に挿通されている。
図5に示すように、バルーン基材100の端部を開口120より回転部材12内に挿入し、側管141に嵌入する。この状態で、回転部材12を所定方向に回転して、回転部材12を固定部材11に接近させると、弾性体16が圧縮されて内径が減少しようとする。これにより、バルーン基材100の端部は、側管141と弾性体16との間に挟持され、固定される。
注入ポート14の上流側には、注入ポート14を開閉するバルブ(図示せず)が設置されており、このバルブを開いた状態で、注入ポート14より超臨界流体を注入すると、この超臨界流体は、側管141内を経てバルーン基材100の内部に導入される。
チャック10Bは、チャック10Aとほぼ同様の構成であるため、相違点についてのみ説明する。チャック10Bは、注入ポート14に代えて、超臨界流体を排出する排出ポート15が設置されている。排出ポート15の下流側には、排出ポート15を開閉するバルブ(図示せず)が設置されており、このバルブを開くと、バルーン基材100内の超臨界流体がチャック10B内の側管141を経て排出ポート15より排出される。
チャック10Aおよび10Bは、それらの距離が離間するように移動される。図6には、チャック移動装置によりチャック10Aおよび10Bをそれらが離間するように移動してバルーン基材100を長手方向に延伸する操作が示されている。
同図に示すように、チャック移動装置(バルーン基材延伸装置)20は、基台21と、基台21の両端部にそれぞれ固定された一対のモータ22A、22Bと、モータ22A、22Bの駆動によりそれぞれ回転する一対のスクリュー軸23A、23Bと、一対のガイド棒24A、24Bと、ガイド棒24A、24Bに沿ってそれぞれ移動する一対のスライダ25A、25Bとを備えている。
スライダ25Aには、ガイド棒24Aを挿通する孔とスクリュー軸23Aを挿通する孔とが形成されて、後者の内面には、スクリュー軸23Aの雄ネジと螺合する雌ネジが形成されている。同様に、スライダ25Bには、ガイド棒24Bを挿通する孔とスクリュー軸23Bを挿通する孔とが形成されて、後者の内面には、スクリュー軸23Bの雄ネジと螺合する雌ネジが形成されている。
チャック10Aは、その固定部材11がスライダ25Aに固定され、スライダ25Aと共に移動する。同様に、チャック10Bは、その固定部材11がスライダ25Bに固定されており、スライダ25Bと共に移動する。
モータ22Aを駆動すると、スクリュー軸23Aが所定方向に回転し、スクリュー軸23Aに螺合しているスライダ25Aがガイド棒24Aに沿って図6中の矢印X方向に移動する。同様に、モータ22Bを駆動すると、スクリュー軸23Bが所定方向に回転し、スクリュー軸23Bに螺合しているスライダ25Bがガイド棒24Bに沿って図6中の矢印Y方向に移動する。
バルーン基材100の長手方向の延伸倍率および延伸速度は、モータ22A、22Bの回転量および回転速度により設定することができる。
図3〜図5に示すように、成形型2の成形空間30内にバルーン基材100を挿通し、バルーン基材100の両端部をそれぞれチャック10A、10Bにより把持する。このとき、必要に応じ、ヒータ5を作動して型本体3を所望の温度に加熱する。この温度は、好ましくは、バルーン基材100を構成する材料(超高分子量ポリオレフィン)の融点以上の温度、例えば、130〜160℃程度とされるが、樹脂の分子が流動でき、バルーンの形になる温度であればこれに限定されるものではない。
次に、注入ポート7より超臨界流体を注入するとともに、チャック10Aの注入ポート14より超臨界流体を注入する。ここで、排出ポート8および15は、いずれもバルブにより閉状態とされている。
注入ポート7より注入された超臨界流体は、流路322および小径の空間320を経てバルーン基材100の外側(外周)の空間、すなわちバルーン基材100の外周面と型本体3の内面との間の空間に導入される。一方、注入ポート14より注入された超臨界流体は、バルーン基材100の内側の空間に導入される。
なお、注入ポート7および注入ポート14より注入される流体(改質用の流体)は、それぞれ、注入時に超臨界状態を呈していても、呈していなくてもよく、後者の場合には、流体をバルーン基材100の外側の空間やバルーン基材100の内側の空間に注入後、超臨界状態を生成すればよい。
ここで、バルーン基材100の内側および外側の空間に注入された流体は、気体と液体が共存できる臨界温度(Tc)以上および臨界圧力(Pc)以上に維持された超臨界状態の流体であり、気体の性質と液体の性質との両方の性質を示し、気体のように拡散し易くかつ液体の溶解性を示す。本発明で使用し得る超臨界流体は、バルーン基材100の構成材料等に応じて適宜選択されるが、バルーン基材100の分解温度以下の臨界温度(Tc)を有するものが好ましく、通常は、炭酸ガス(Tc=31.1℃、Pc=7.38MPa)またはこれを主とするガスが好ましい。また、その他の例として、亜酸化窒素(Tc=36.5℃、Pc=7.26MPa)、エタン(Tc=32.3℃、Pc=4.88MPa)、ヘリウム(Tc=−267.9℃、Pc=2.26MPa)、水素(Tc=−239.9℃、Pc=12.8MPa)、窒素(Tc=−147.1℃、Pc=33.5MPa)等を用いることもできる。
特に炭酸ガスは、超高分子ポリオレフィンに対する超臨界状態での溶解性、膨潤性が適度であり、安全性が高いので好ましい。
超臨界流体の温度および圧力は、諸条件に応じて適宜決定されるが、通常は、使用する超臨界流体の臨界温度(Tc)以上と臨界圧力(Pc)以上、好ましくはTc〜Tc+100℃の範囲の温度、Pc〜Pc+30MPaの範囲の圧力で使用される。
バルーンの成形の際、型本体3の成形空間30内では、バルーン基材100の内側の空間における超臨界流体の圧力を外側の空間における超臨界流体の圧力より高くする。この圧力差により、バルーン基材100の空間310、テーパ状の空間321および331内に位置する部位は、それらの空間の内面を限度として外径が拡張する(図4参照)。すなわち、バルーン基材100は、周方向に延伸される。
バルーン基材100の内側の空間における超臨界流体の温度および圧力は、それぞれ、30℃以上、3〜36MPaであるのが好ましく、35〜80℃、3〜15MPaであるのがより好ましい。これにより、バルーン基材100を適度に可塑化することができるという効果が得られる。
バルーン基材100の外側の空間における超臨界流体の温度および圧力は、それぞれ、30℃以上、2〜35MPaであるのが好ましく、35〜80℃、2〜14MPaであるのがより好ましい。これにより、バルーン基材100を適度に可塑化することができるという効果が得られる。
バルーン基材100を成形空間30内で拡張させるため、バルーン基材100の内側の空間と外側の空間の圧力差は、1〜5MPa程度とするのが好ましく、1.2〜3MPa程度とするのがより好ましい。これにより、バルーン基材100の拡張を迅速にかつ適度に行うことができ、特に、バルーン基材100を成形型2の内面に十分に密着させることができる。
また、バルーン基材100の周方向の延伸倍率(最大)は、特に限定されないが、1.5〜10倍程度であるのが好ましく、2.5〜7.0倍程度であるのがより好ましい。この延伸倍率が低すぎると、バルーン基材100が厚くなりすぎ、バルーンをたたむことが困難となり、また、高すぎると、バルーン基材100が薄くなりすぎ、十分な強度が確保できず、破損または破裂し易くなるおそれがある。
また、前記基材100の周方向の延伸とほぼ同時に、チャック10A、10B間の距離が増大するように、チャック10A、10Bの少なくとも一方をバルーン基材100の長手方向(軸方向)に移動し、バルーン基材100を長手方向に延伸する。
すなわち、図4および図6に示すように、チャック10Aおよび10Bがバルーン基材100の両端部をそれぞれ把持した状態で、スライダ25Aの矢印X方向への移動および/またはスライダ25Bの矢印Y方向への移動を行うと、チャック10Aおよび10Bは、それぞれ、スライダ25Aおよび25Bの移動に伴って移動するので、バルーン基材100が長手方向に延伸される。
バルーン基材100の長手方向の延伸倍率は、特に限定されないが、1.5〜12倍であるのが好ましく、1.5〜5.0倍であるのがより好ましい。この延伸倍率が低すぎると、バルーン基材100が厚くなりすぎ、バルーンをたたむことが困難となり、また、高すぎると、バルーン基材100が薄くなりすぎ、十分な強度が確保できず、破損または破裂し易くなるおそれがある。
また、バルーン基材100の長手方向の延伸速度は、特に限定されないが、5〜250mm/秒程度が好ましく、15〜200mm/秒程度がより好ましい。延伸速度が速すぎると、バルーンの膜厚が不均一となるおそれがあり、また、遅すぎると製造時間が長くなる。
以上の操作により、バルーン基材100は、その内周面および外周面が超臨界流体と接触しつつ延伸(周方向および長手方向に延伸)され、改質される。バルーン基材100が超高分子量ポリオレフィンで構成されている場合についてより詳しく説明すると、超高分子量ポリオレフィンは、ラメラ構造(縞状の層)をなしており、ラメラ層間に非晶質領域が存在するが、超高分子量ポリオレフィン中の主に非晶質領域中に超臨界流体(例えば炭酸ガス)が浸透し、後述する冷却によって多数の微小な気泡が形成され、可塑化(軟質化)される。これにより、延伸と相まって、超高分子量ポリオレフィンに柔軟性が付与される。
バルーン基材100は、成形空間30内で拡張し、空間310、テーパ状の空間321および331に対応した形状に成形される。ここで、前述したように、ヒータ5の作動により、型本体3がバルーン基材100の構成材料(超高分子量ポリオレフィン)の融点以上の温度に加熱されていると、バルーン基材100の外表面が型本体3の内周面に接触して加熱され、当該外周面付近は、構成材料(超高分子量ポリオレフィン)が溶融、固化され、緻密化する。その結果、得られたバルーン150の外表面は、緻密化した薄層が形成されたものとなり、バルーン150の自己潤滑性(摺動性)が向上するとともに、耐衝撃性がより向上する。
また、バルーン150の外表面が緻密化されることにより、バルーン150を透過する気体の透過率が下がる。そのため、バルーン150の内圧を上昇させたとき、バルーン150の膜を透過してバルーン150外へ漏れ出す気体の量を低減することができるという効果もある。
冷却管6の一端部61より冷媒を供給し、冷却管6内を流通させた後、他端部62より排出して、ヒータ5および内管41を介して型本体3を例えば常温付近まで冷却する。また、これとほぼ同時に、排出ポート8および15のバルブを開き、バルーン基材100の内側および外側の超臨界流体を排気し、成形空間30を大気圧に復帰させる。
このような操作により、バルーン基材100が冷却され、構成材料中に浸透していた超臨界流体による多数の微小な気泡が形成される。これにより、柔軟性が得られる。また、前述したように、バルーン基材100の表層は、緻密化されている。
以上のようにして所望の形状に成形されたバルーン基材100をバルーン成形装置1から取り外し、両端の不要部分を切除して、図7に示す本発明のバルーン150を得る。
以上のような製造方法によれば、柔軟性に富み、厚さが薄くても高強度で耐衝撃性に優れており、また、自己潤滑性を有し、寸法安定性に優れたバルーンが得られる。特に、バルーン基材100を超臨界流体の存在下で成形することにより、バルーン基材100の構成材料に劣化、分解、破壊等の悪影響を与えるような厳しい条件で加工をすることなく、比較的低温(バルーン基材の構成材料の融点付近の温度で)、低圧で成形することができるため、バルーン基材100の構成材料が本来持っている特性を生かしたバルーンを得ることができる。そして、低温、低圧での成形が可能であるということは、成形装置の構成を簡素化したり、成形条件を緩和したりすることに寄与するので、バルーンをより容易に、短時間で製造することができ、製造コストも安価となるという利点がある。
また、バルーン基材100の外表面を成形型に接触させて加熱し、表面を溶融、固化することにより、バルーン150の表面付近は超臨界流体との接触による改質で発生した気泡を消失または減少させた緻密層を成形することができ、その結果、バルーン基材100の構成材料自体が本来持っている特性(特に、自己潤滑性)が発揮され、目的病変部へのバルーンカテーテルの追従性が向上し、バルーンカテーテル挿入時における血管内面の損傷のおそれもなくなる。さらに、バルーン150の気体透過性も低減し、バルーン150を拡張するためにバルーン150内に注入された気体の透過による漏れもより確実に防止される。
また、本発明により製造されたバルーン150は、柔軟性を有しつつも、高強度で耐衝撃性に優れており、特に、石灰化等により硬化した血管の内面に接触しても、損傷、破裂等を生じることがないので、バルーンカテーテルの適用範囲(症例)が広がるという利点がある。
バルーン基材100として、複数の層の積層体を用いる場合、例えば、次のようなものが挙げられる。
1.2層積層体
内層として超高分子量ポリオレフィン、外層として、他の高分子材料を用いたもの。あるいは、外層として超高分子量ポリオレフィン、内層として、他の高分子材料を用いたもの。
2.3層積層体
内層および外層として超高分子量ポリオレフィン、中間層として、他の高分子材料を用いたもの。外層および中間層として超高分子量ポリオレフィン、内層として、他の高分子材料を用いたもの。外層として超高分子量ポリオレフィン、内層および中間層として、他の高分子材料を用いたもの。
上記1.2.において、他の高分子材料としては、例えば、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー等の各種熱可塑性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
このように、バルーン基材100(それより成形されたバルーン150)を複数の層の積層体で構成した場合、各層の利点を併有することができるという効果がある。特に、柔軟性の高い材質の層を内層、外層または中間層としてを用いることにより、バルーン150全体の柔軟性をより向上させることができ、気体不透過性に優れた層を内層、外層または中間層としてを用いることにより、バルーン150の気体不透過性を高めることができる。
本発明のバルーン150は、例えば図8に示すような医療用のカテーテル160に設置して使用される。カテーテル160は、可撓性を有するカテーテル本体170と、カテーテル本体170の基端に接続されたハブ180とで構成されている。バルーン150は、カテーテル本体170の先端部に、例えば融着、接着等の方法で固着される。
カテーテル本体170の内部には、ガイドワイヤ等を挿通したり液体を供給・排出したりするための第1ルーメン(図示せず)と、バルーン150内にバルーン拡張用の流体(気体、液体)を送り込むための第2ルーメン(図示せず)とが形成されている。また、ハブ180は、主ポート181と、分岐ポート182とを有しており、主ポート181は前記第1ルーメンに連通し、分岐ポート182は第2ルーメンに連通している。
分岐ポート182よりバルーン拡張用の流体を注入すると、該流体は第2ルーメンを通ってバルーン150内に送り込まれ、バルーン150の内圧が上昇してバルーン150が拡張する。逆に、分岐ポート182よりバルーン拡張用の流体を抜き取ると、バルーン150内から流体が排出され、バルーン150は収縮する。カテーテル160が未使用の状態では、バルーン150は収縮しており、折り畳まれるかまたはカテーテル本体170の外周に巻き付けられている。
以下、本発明を具体的実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
(実施例1)
まず、平均分子量が約330万、融点が136℃の超高分子量ポリエチレン(三井石油化学社製、商品名:HIZEX MILLION)を用い、内径2.0mm、外径4.0mm、長さ370mmのチューブ状バルーン基材に成形した。
一方、図2〜図5に示す構造で、最大内径が8mmの成形空間を有する金属製の型本体を備えたバルーン成形装置および図6に示す構造のチャック移動装置を用意し、該装置の成形空間内に前記バルーン基材を挿通し、その両端部をそれぞれチャックで把持した。
バルーン成形装置のヒータを作動して、成形型の型本体を150℃に加熱、昇温した後、一方のチャックに設けられた排出ポートのバルブを閉じ、他方のチャックの注入ポートより二酸化炭素による超臨界流体を注入し、バルーン基材の内側空間に導入した。かかる超臨界流体の温度は、40℃、圧力は、7.8MPa、保持時間は、30秒であった。
一方、成形型の排出ポートのバルブを閉じ、成形型の注入ポートより前記と同様の超臨界流体を注入し、バルーン基材の外側空間に前記と同様の超臨界流体を導入した。かかる超臨界流体の温度、圧力および保持時間は、前記バルーン基材の内側空間と同様とした。
次いで、バルーン基材の内側空間にさらに超臨界流体を注入してその圧力を9.2MPaまで高めた(バルーン内外の圧力差=1.4MPa)。これにより、バルーン基材の成形空間内に位置する部位は、成形空間の内面に接触するまで拡張した(周方向に延伸された)。また、これと同時に、チャック移動装置を作動して、バルーン基材の両端部を把持している両チャックをそれぞれ外方(XおよびY方向)へ移動し、バルーン基材を長手方向に延伸速度15mm/秒でゆっくりと延伸した。バルーン基材の周方向の最大延伸倍率および長手方向の延伸倍率は、それぞれ、4.0倍および3.5倍であった。
次いで、バルーン基材の内側および外側の加圧状態を保持したまま、冷却手段を作動して(冷却管に水を流して)、成形型の型本体およびこれに接触するバルーン基材を常温まで冷却した後、前記両バルブを開いてバルーン基材の内側および外側の圧力を徐々に下げ、それぞれ常圧まで戻した。
その後、2軸延伸されたバルーン基材(バルーン)をバルーン成形装置から取り出し、両端部の不要部分を切断除去して、図7に示すような本発明のバルーンを得た。このバルーンの拡張部の最大外径は8mm、膜厚は40μmであった。
得られたバルーンのコンプライアンス(伸展性)を調べた。バルーンの一端を閉じ、他端より空気を送り込んで、バルーンの膜の伸びを測定した。その結果、バルーンは、内圧が約1気圧から約4〜5気圧の圧力範囲内で、1気圧あたり約0.18〜0.30mmの伸展性を有し、内圧が約6気圧から約10〜12気圧の圧力範囲内で、1気圧あたり約0.15〜0.25mmの伸展性を有していた。
(実施例2)
バルーン基材の外側空間に導入した超臨界流体の温度を170℃、圧力を7.8MPaとし、バルーン基材の内側空間に導入した超臨界流体の温度を70℃、圧力を9.6MPaとした(バルーン内外の圧力差=1.8MPa)以外は、実施例1と同様にしてバルーンを製造した。
また、前記と同様の方法でバルーンのコンプライアンス(伸展性)を調べたとところ、バルーンは、内圧が約1気圧から約4〜5気圧の圧力範囲内で、1気圧あたり約0.25〜0.32mmの伸展性を有し、内圧が約6気圧から約10〜12気圧の圧力範囲内で、1気圧あたり約0.30〜0.33mmの伸展性を有していた。
(実施例3)
バルーン基材を長手方向に延伸する際、延伸速度を18mm/秒とし、延伸倍率を5.2倍とした以外は実施例1と同様にしてバルーンを製造した。
また、前記と同様の方法でバルーンのコンプライアンス(伸展性)を調べたとところ、バルーンは、内圧が約1気圧から約4〜5気圧の圧力範囲内で、1気圧あたり約0.15〜0.28mmの伸展性を有し、内圧が約6気圧から約10〜12気圧の圧力範囲内で、1気圧あたり約0.10〜0.21mmの伸展性を有していた。
(実施例4)
バルーン基材を長手方向に延伸する際、延伸速度を18mm/秒とし、延伸倍率を5.7倍とした以外は実施例3と同様にしてバルーンを製造した。
また、前記と同様の方法でバルーンのコンプライアンス(伸展性)を調べたとところ、バルーンは、内圧が約1気圧から約4〜5気圧の圧力範囲内で、1気圧あたり約0.10〜0.19mmの伸展性を有し、内圧が約6気圧から約10〜12気圧の圧力範囲内で、1気圧あたり約0.15〜0.27mmの伸展性を有していた。
(実施例5)
3層積層体によるバルーンを製造した。内層および外層には、それぞれ実施例1と同様の超高分子量ポリエチレンを用い、中間層には、ポリアミドエラストマーを用いた。これら3層を共押出して積層した、内径2.0mm、外径4.2mm、長さ370mmのチューブ状バルーン基材を用意し、実施例1と同様の方法および条件でバルーンを製造した。このバルーンの拡張部の最大外径は8mm、膜厚は60μmであった。
また、前記と同様の方法でバルーンのコンプライアンス(伸展性)を調べたとところ、バルーンは、内圧が約1気圧から約7〜8気圧の圧力範囲内で、1気圧あたり約0.18〜0.25mmの伸展性を有し、内圧が約9気圧から約12〜14気圧の圧力範囲内で、1気圧あたり約0.15〜0.26mmの伸展性を有していた。
(比較例1)
従来のポリアミド(ナイロン12)製バルーンを用意した。このバルーンの拡張部の最大外径は8mm、膜厚は40μmであった。
また、前記と同様の方法でバルーンのコンプライアンス(伸展性)を調べたとところ、バルーンは、内圧が約1気圧から約3〜4気圧の圧力範囲内で、1気圧あたり約0.13〜0.16mmの伸展性を有し、内圧が約5気圧から約10〜12気圧の圧力範囲内で、1気圧あたり約0.14〜0.17mmの伸展性を有していた。
(比較例2)
従来のポリエチレンテレフタレート製バルーンを用意した。このバルーンの拡張部の最大外径は8mm、膜厚は68μmであった。
また、前記と同様の方法でバルーンのコンプライアンス(伸展性)を調べたとところ、バルーンは、内圧が約1気圧から約4〜5気圧の圧力範囲内で、1気圧あたり約0.13〜0.15mmの伸展性を有し、内圧が約6気圧から約10〜12気圧の圧力範囲内で、1気圧あたり約0.14〜0.19mmの伸展性を有していた。
(比較例3)
従来の延伸ポリテトラフルオロエチレン製バルーンを用意した。このバルーンを構成するポリテトラフルオロエチレンの平均分子量は、約50万であった。このバルーンの拡張部の最大外径は8mm、膜厚は60μmであった。
また、前記と同様の方法でバルーンのコンプライアンス(伸展性)を調べたとところ、バルーンは、内圧が約1気圧から約4〜5気圧の圧力範囲内で、1気圧あたり約0.18〜0.30mmの伸展性を有し、内圧が約6気圧から約10〜12気圧の圧力範囲内で、1気圧あたり約0.15〜0.25mmの伸展性を有していた。
次に、前記各実施例および各比較例のバルーンについて、以下のような性能評価を行った。その結果を、下記表1に示す。
1.強度、耐衝撃性
アイゾット衝撃試験(ASTMD256に準拠)を行い、各バルーンの図7中矢印Zで示す箇所のアイゾット衝撃値を測定した。
2.自己潤滑性
各バルーンの外表面の5箇所について摩擦係数を測定し(ASTMD1894に準拠)、その平均値を求めた。
3.寸法安定性
各バルーンの膜厚の均一性(バラツキ)を調べた。バルーンの20箇所の膜厚を測定し、それらの標準偏差σを求めた。
Figure 0004777036
表1に示すように、実施例1〜5のバルーンは、いずれも、膜厚が薄くても強度および耐衝撃性が高く、外表面が低摩擦係数で自己潤滑性を有し、膜厚が均一で寸法安定性に優れ、また、適度なコンプライアンスを有している。
これに対し、比較例1のバルーンは、耐衝撃性、自己潤滑性および寸法安定性が劣り、比較例2のバルーンは、耐衝撃性および自己潤滑性が劣り、比較例3のバルーンは、耐衝撃性および寸法安定性が劣っている。
本発明のバルーンの製造方法に用いるバルーン基材の斜視図である。 本発明のバルーンの製造方法に用いるバルーン成形装置の構成例を示す縦断面図である。 図2に示すバルーン成形装置にバルーン基材を装着した状態を示す斜視図である。 図2に示すバルーン成形装置にバルーン基材を装着し、成形を行っている状態を示す縦断面図である。 バルーン基材の端部を把持するチャックの構造を示す縦断面図である。 チャック移動装置(バルーン基材延伸装置)の概略構成を示す斜視図である。 本発明のバルーンの製造方法により製造されたバルーンの構成例を示す斜視図である。 本発明のバルーンを医療用カテーテルに設置した状態を示す斜視図である。
符号の説明
1 バルーン成形装置
2 成形型
3 型本体
30 成形空間
31 第1の型
310 空間
32 第2の型
320 小径の空間
321 テーパ状の空間
322 流路
33 第3の型
330 小径の空間
331 テーパ状の空間
332 流路
4 円筒体
41 内管
42 外管
5 ヒータ
6 冷却管
61 一端部
62 他端部
7 注入ポート
8 排出ポート
9 シール部材
10A、10B チャック
11 固定部材
110 開口
12 回転部材
120 開口
13 螺合部
14 注入ポート
141 側管
15 排出ポート
16 弾性体
20 チャック移動装置
21 基台
22A、22B モータ
23A、23B スクリュー軸
24A、24B ガイド棒
25A、25B スライダ
100 バルーン基材
150 バルーン
160 カテーテル
170 カテーテル本体
180 ハブ
181 主ポート
182 分岐ポート

Claims (12)

  1. 医療用カテーテルに設置して使用されるバルーンの製造方法であって、
    筒状をなすバルーン基材を成形型内に設置し、前記バルーン基材の内側および外側にそれぞれ流体を導入し、該流体を超臨界状態に維持しつつそれらの圧力差により前記バルーン基材を外径が増大するように拡張させるとともに、前記バルーン基材を長手方向に延伸してバルーンを形成することを特徴とするバルーンの製造方法。
  2. 前記バルーンの成形の際、バルーンの外表面を溶融、固化させて緻密化する請求項1に記載のバルーンの製造方法。
  3. 前記バルーン基材は、1層または複数の層の積層体で構成され、バルーン基材を構成する層のうちの少なくとも1層が、超高分子量ポリオレフィンで構成されている請求項1または2に記載のバルーンの製造方法。
  4. 前記超高分子量ポリオレフィンは、平均分子量が200万〜1000万の超高分子量ポリエチレンである請求項3に記載のバルーンの製造方法。
  5. 前記流体は、COまたはこれらを含むものである請求項1ないし4のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
  6. 前記バルーン基材の内側における前記流体の温度および圧力は、それぞれ、30〜200℃、3〜36MPaである請求項1ないし5のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
  7. 前記バルーン基材の外側における前記流体の温度および圧力は、それぞれ、30〜200℃、2〜35MPaである請求項1ないし6のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
  8. 前記バルーン基材の周方向の延伸倍率が1.5〜10倍である請求項1ないし7のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
  9. 前記バルーン基材の長手方向の延伸倍率が2〜12倍である請求項1ないし8のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
  10. 前記バルーン基材の長手方向の延伸速度は、5〜250mm/秒である請求項1ないし9のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
  11. 得られたバルーンの平均膜厚は、10〜120μmである請求項1ないし10のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
  12. 請求項1ないし11のいずれかの方法により製造されたことを特徴とするバルーン。
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