JP4402218B2 - バルーンカテーテル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、体内の管腔、例えば血管、消化管、泌尿器管などに発生した狭窄状態にある組織部位を物理的に拡張し、その末梢側の体液流通を改善するために使用するバルーンカテーテルに係り、さらに詳しくは、その先端部側に設けられたバルーンの構成材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、体内の管腔に発生した狭窄状態にある組織部位を物理的に拡張するために使用されているバルーンカテーテルは、シャフト部の先端部に膨張可能なバルーンを備えたカテーテルを、体内の管腔の狭窄状態にある部位に挿入し、留置した後、体外より適当な加圧手段によりシャフト部を介してバルーンに流体を注入し、加圧して膨張させ、狭窄状態の組織部位を拡張するものである。このようなバルーンカテーテルを使用すれば、大がかりな手術を行なわずに狭窄状態の組織部位の拡張が可能であるため、最近多数の治療に適応されている。
【0003】
特に冠状動脈の狭窄状態にある部位を拡張するバルーンカテーテルは、PTCA(経皮的冠状動脈形成術)バルーンカテーテルと呼ばれ、特開平5−305146号公報に開示されているバルーンカテーテルが一般的な形状であり、図1および図2(a)にそれを示す。
【0004】
図において、1はPTCAバルーンカテーテルで、外径が約1mmのシャフト部2と、その先端部側に設けられた円筒形のバルーン3と、シャフト部2の基部側に設けられバルーン3の膨張用の流体注入口4aおよびガイドワイヤー(図示せず)の挿入口4bを有するコネクター部4とによって構成されている。
【0005】
シャフト部2は、その基部(コネクター部4の挿入口4b)から最先端部まで貫通し、ガイドワイヤーが挿通されるとともに薬液や造影剤等を注入する場合に使用される細孔(第1のルーメン)5aを有する内管5と、基部(コネクター部4の液体注入口4a)からバルーン3の内腔3aに連通し、バルーン3の膨脹用液体の注入および加圧を行う場合に使用される細孔(第2のルーメン)6aを有する外管6とを備えた2重管構造に形成されている。そして、内管5のバルーン3の内腔3a内に位置する外壁には、X線透視下でバルーン3の位置を確認できるように、X線マーカー7が装着されている。
【0006】
なお、バルーン3が設けられたシャフト部2は、図2(a)に示すように、内管5および外管6を備えた2重管構造のものを示したが、図2(b)に示すように、外管6を省略し、第1のルーメン5aを有する内管5の管壁に、バルーン3の内腔3aに連通する第2のルーメン6aを設けた2ルーメン構造のシャフト部2としてもよい。
【0007】
このように構成されたPTCAバルーンカテーテル1は、冠状動脈の狭窄部位を拡張する場合、ガイディングカテーテル(図示せず)とガイドワイヤーとのセットで使用される。そして、その冠状動脈形成術は、まず、ガイディングカテーテルを大腿動脈から挿入して大動脈を経て冠状動脈の入口に先端を位置させた後、バルーンカテーテル1の内管5を貫通したガイドワイヤーを冠状動脈の狭窄部位を越えて前進させ、ついで、バルーンカテーテル1をガイドワイヤーに沿って前進させる。次に、バルーン3を狭窄部位に位置させた状態で外管6を介して膨脹用液体により膨脹させ、狭窄部位を拡張する。そして、バルーン3を収縮させた後、バルーンカテーテル1を体外に除去する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなPTCAバルーンカテーテル1は、屈曲し蛇行した血管に沿って目的の狭窄部位までバルーン3を円滑に押し進めるため、追従性(Trackability:トラッカビリティ)を有することが要求され、また、バルーン3は柔軟性とともに膨張圧に耐え得る充分な強度、例えば10気圧以上の圧力に耐え得る強靱な材料で形成することも要求される。
【0009】
これにより、PTCAバルーンカテーテル1のバルーン3の構成材料としては、可撓性を有する高分子材料が好ましく、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、シリコンゴム、ラテックスゴム等が従来より用いられているが、これらの高分子材料は柔軟性に富み、トラッカビリティは良好であるものの、耐圧強度が低いという問題があった。
【0010】
また、特公平3−639083号公報においては、2軸配向ポリエチレンテレフタレートが提案されているが、この2軸配向ポリエチレンテレフタレートは、高耐圧強度で寸法安定性に優れているが、柔軟性に乏しくトラッカビリティが劣るという問題があった。
【0011】
そこで、柔軟性に富み高耐圧強度である成形性高分子材料として、ハードセグメントとソフトセグメントからなるブロック共重合体(ブロックコポリマー)を、バルーンの構成材料として使用することが考えられ、特表平9−509860号公報においては、このブロックコポリマーを用いたものが開示されている。具体的には、ハード(硬い)セグメントがC10-12 の有機ジアミンのポリアミドであり、ソフト(柔らかい)セグメントがC4-6 のジオールのポリエーテルであるブロックコポリマーが好適であることが示されている。
【0012】
このブロックコポリマーは、耐圧強度とトラッカビリティの要求物性をほぼ満足させることができるので、現在の市販バルーンカテーテルに使用されているが、300kgf/cm2 の引張強度を得ようとすれば、ショア硬度がA75以上となり、狭窄屈曲の激しい部位への初期挿入には不適当である。また、この特表平9−509860号公報に記載の特許請求の範囲においては、ハードセグメントがポリアミドまたは芳香族ポリエステルとなってはいるものの、実施例において使用されているものはポリアミドである。
【0013】
特開平10−314297号公報においては、バルーンを、ハードセグメントがポリエステル、ポリアミドまたはポリウレタンのうちから選ばれた1種であり、ソフトセグメントがポリエステルである熱可塑性エラストマーから構成された材質で作られたことが開示されている。
【0014】
この熱可塑性エラストマーは、引張強度が300kgf/cm2 以上で、ショア硬度がD50以上の範囲の物性をもつものであり、これを用いることにより、柔軟でトラッカビリティに優れ、同時に耐圧強度を満足させることができるバルーンの製造の可能性が示唆されている。しかしながら、この場合も300kgf/cm2 以上の引張強度を得ようとすると、ショア硬度がA90以上となってしまい、成形されたバルーンの硬さのために、狭窄部位に挿入する際、血管内壁などの組織に損傷を与えるおそれが残っている。また、特開平10−314297号公報に記載の特許請求の範囲においては、ハードセグメントがポリエステル、ポリアミドまたはポリウレタンのうちから選ばれた1種となってはいるものの、実施例において使用されているものは、ハードセグメントが芳香族ポリエステルで、ソフトセグメントが脂肪族ポリエステルのブロックコポリマーである。
【0015】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、高耐圧強度でかつ柔軟性に優れ、トラッカビリティの良いバルーンを有し、組織に損傷を与えず確実に目的部位まで挿入しかつ拡張することのできるバルーンカテーテルを提供することを目的としたものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るバルーンカテーテルは、膨脹バルーンを備え、このバルーンを狭窄状態にある組織部位において膨脹させ、組織部位を拡張させるバルーンカテーテルにおいて、バルーンを、ハードセグメントがポリアミドからなり、ソフトセグメントが脂肪族ポリエステルからなるポリエステルアミドブロックコポリマーによって構成したものである。
【0017】
また、本発明に係るバルーンカテーテルは、バルーンを、引張強度が250〜900kgf/cm2 、好ましくは350〜500kgf/cm2 の範囲内であり、ショア硬度がA50〜A85の範囲内であるポリエステルアミドブロックコポリマーによって構成したものである。
【0018】
さらに、本発明に係るバルーンカテーテルは、先端部側にバルーンを有し、基部側にコネクター部を備え、内部に長さ方向に貫通した第1のルーメンおよび先端が前記バルーン内に連通する第2のルーメンが設けられたシャフト部からなるものである。
【0019】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0020】
本発明に係るバルーンカテーテルの全体構造は、図1および図2に示した従来のものと同じであるが、この例に限定されるものではなく、同等もしくは類似の機能を有するものであればよい。例えばモノレールタイプと呼ばれている第1のルーメンがシャフト部の先端側にのみ設けられたバルーンカテーテルも本発明の範囲内である。
【0021】
本発明に係るバルーンを構成するポリエステルアミドブロックコポリマーは、ハードセグメントがポリアミドからなり、ソフトセグメントが脂肪族ポリエステルからなる。また、その物性は、引張強度が250〜900kgf/cm2 、好ましくは350〜500kgf/cm2 の範囲内であり、ショア硬度がA50〜A85の範囲内である。
これは、引張強度が250kgf/cm2 未満であるとバルーンの耐圧強度が低くなってしまい、900kgf/cm2 を越えると耐圧強度は高くなるもののゴワゴワと硬くなってしまって柔軟性が得られない。また、ショア硬度の場合も引張強度と同じであり、ショア硬度がA50未満であると耐圧強度が低くなり、A85を越えると耐圧強度は高くなるものの硬くなってしまって柔軟性が得られない。
【0022】
ここで、バルーンカテーテルのバルーンの形成方法について説明する。
まず、押出成形により、バルーンの素材となる管状パリソンを、ハードセグメントがポリアミドで、ソフトセグメントが脂肪族ポリエステルであるポリエステルアミドブロックコポリマーにより作製する。ついで、バルーンに十分な耐圧強度を付与するために、作製したパリソンを長さ方向に延伸させた後、図3に示すような回転無限軌道形(または繭形)の金型8を用いて、適切な条件下でブロー成形を行なう。この工程により、バルーン3(パリソン9)は2軸延伸され、前述した物性の範囲内の引張強度を付与させることが可能となる。そして、延伸されたパリソン9はその両端細径部10で切断され、図2に示したバルーン力テーテル1のシャフト部2の先端部側の第2のルーメン6aの先端開口部を覆う位置に装着されて、両端細径部10でシャフト部2に接合され、バルーン3が形成される。なお、接合の方法は接着剤を用いてもよいが、溶着による方法が好ましい。
【0023】
パリソンの寸法は、バルーンカテーテルの使用目的(体内管腔の部位)等によっても異なり、特に限定されるものではないが、一例として、脈管特に冠状動脈拡張用に用いられるPTCAバルーン力テーテルでは、内径0.3〜1.0mm、外径0.6〜2.0mmであり、肉厚は0.05〜0.20mmの範囲無いが好ましい。肉厚がこの範囲内を越えるとバルーン樹脂層が硬くなりすぎてしまい、その結果ブロックコポリマーを使用した効果が低減する。一方、肉厚が上記範囲内より薄くなると、バルーンの耐圧性が低下し、使用時等において破損するなどのおそれがある。
【0024】
パリソンを長さ方向に延伸する工程の雰囲気温度は室温近辺でよいが、好ましくは20〜40℃の範囲内がよい。また、延伸倍率としては、1.5〜5倍の範囲内で行なうものであるが、好ましくは2〜4倍が適当である。このような条件のもとで延伸を行なうことにより、ポリエステルアミドブロックコポリマーでは延伸方向に配向が起こり、次のブロー成形と併わさってバルーンは2軸配向構造をとり、物性の向上、すなわち耐圧強度の向上をもたらすことができる。
【0025】
長さ方向に延伸したパリソンをブロー成形する成形時のパリソンの温度は、通常は80〜180℃で、好ましくは90〜120℃の範囲内である。80℃以下では、成形温度が低すぎるため成形性が悪く、一方、180℃以上では温度が高すぎる、あるいは融点以上となってしまうため成形が十分に行なわれず、パリソンの溶融によりブロー成形の際にバルーンの破裂等を生ずる結果となる。
【0026】
パリソンの長さ方向の延伸とブロー成形からなる2段階の工程を、バルーンの肉厚が所定の肉厚になるまで繰り返す。この繰り返しによって、バルーンの端部の嵩張りを防止することが可能となる。このようにして得られたバルーンは、外径が2〜4mmの円筒状の形であり、またその肉厚は5〜40μmで、好ましくは10〜30μの範囲内に調整するのがよい。
【0027】
本発明に係るバルーンカテーテルのシャフト部は、バルーンと同じ材料で構成してもよく、また、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド等の従来から使用されている樹脂材料で構成してもよい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用いて具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を越えない限り、以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
実施例1
まず、ポリエチレンからなる内管と、ポリアミド系エラストマーからなる外管とを組み合わせて2重管とし、外径2.8フレンチの力テーテルのシャフト部を作製した(図1および図2参照)。
次に、ハードセグメントがポリアミドで、ソフトセグメントが脂肪族ポリエステルのポリエステルアミドブロックコポリマーである、引張強度が490kgf/cm2 で、ショア硬度がA80の積水化学製S−TPE 48B(商品名)を用い、押出成形によりブロー成形用パリソンとなるチューブを作製した。このとき、押出成形の温度は、スクリューからヘッドの間において180℃〜230℃であった。そして、得られたパリソンの寸法は、外径が1.5mm、内径が1.3mm、肉厚は0.1mmであった。なお、このポリエステルアミドブロックコポリマーの製造方法は、例えば特開平7−62090号公報に開示されている。
【0030】
ついで、このチューブ(パリソン)を、室温下で長さ方向に2倍の延伸を行ない、これを90〜100℃の温度に保った図3に示すキャビティの内径が2.5mm、長さが20mmの金型8に通して、25kgf/cm2 の窒素ガス加圧下で拡張を行ない、長さが20mm、外径が3mm、平均肉厚が12.24μの回転無限軌道形の成形物、バルーンを作製した。そして、図1に示すように、このバルーン3をシャフト部2の先端部側に接合し、実施例1のPTCAバルーンカテーテル1を作製した。
【0031】
比較例1
まず、実施例1と同一寸法で同一材料からなるカテーテルのシャフト部を作製した。
次に、ポリエステルである、引張強度が1500kgf/cm2 で、ロックウェル硬度が125の日本ユニペット社製RT580(商品名)を用い、実施例1と同じ仕様条件で押出成形により、実施例1と同一寸法のブロー成形用パリソンとなるチューブを作製した。そして、このチューブ(パリソン)を実施例1と同様に延伸して金型8に通し、長さが20mm、外径が3mm、平均肉厚が13.02μの回転無限軌道形の成形物、バルーンを作製した。そして、図1に示すように、このバルーン3をシャフト部2の先端部側に接合し、比較例1のPTCAバルーンカテーテル1を作製した。
【0032】
比較例2
まず、実施例1と同一寸法で同一材料からなるカテーテルのシャフト部を作製した。
次に、引張強度が210kgf/cm2 で、ショア硬度がD52の架橋ポリエチレンを用い、実施例1と同じ仕様条件で押出成形により、実施例1と同一寸法のブロー成形用パリソンとなるチューブを作製した。そして、このチューブ(パリソン)を実施例1と同様に延伸して金型8に通し、長さが20mm、外径が3mm、平均肉厚が13.88μの回転無限軌道形の成形物、バルーンを作製した。そして、図1に示すように、このバルーン3をシャフト部2の先端部側に接合し、比較例2のPTCAバルーンカテーテル1を作製した。
【0033】
比較例3
まず、実施例1と同一寸法で同一材料からなるカテーテルのシャフト部を作製した。
次に、引張強度が220kgf/cm2 で、ショア硬度がA75のポリエステルアミドブロックコポリマーを用い、実施例1と同じ仕様条件で押出成形により、実施例1と同一寸法のブロー成形用パリソンとなるチューブを作製した。そして、このチューブ(パリソン)を実施例1と同様に延伸して金型8に通し、長さが20mm、外径が3mm、平均肉厚が14.36μの回転無限軌道形の成形物、バルーンを作製した。そして、図1に示すように、このバルーン3をシャフト部2の先端部側に接合し、比較例3のPTCAバルーンカテーテル1を作製した。
【0034】
作製した実施例1および比較例1〜3のPTCAバルーンカテーテル1において、以下に示す方法により、バルーンの耐圧および挿入荷重を測定し、その結果により耐圧強度とトラッカビリティを評価した。
【0035】
[耐圧強度]
水圧加圧ポンプにてバルーン3内に蒸留水を充填し、所定の圧力に60秒間保持し、バルーン3の外観の異常、水の漏出がないかを観察する。ついで、異常が認められなかった場合は順次水圧を上昇させていき、同様の観察を行う。そして、バルーン3に穿孔、破裂を生じた水圧を当該バルーンの「耐圧」とし、試料数5個の平均値を求めた。その結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
[トラッカビリティ]
図4に示すように、透明のポリ塩化ビニルからなりほぼU字状に曲がった内径15mmの第1の外筒11と、その一方の先端部近傍の側壁に第1の外筒11の内腔に連通するように設けられ、透明のポリ塩化ビニルからなりほぼS字状に曲がった内径3mmの第2の外筒12とにより、試験装置Xを組み立てる。
ついで、市販のガイディングカテーテル(コーディス社製ブライトチップ・ガイディングカテーテル:外径8フレンチ)13を、第1の外筒11および第2の外筒12の内腔に、その先端部が第1の外筒11と第2の外筒12との連結部に位置するように挿着する。また、試料のPTCAバルーンカテーテル1の第1のルーメンに外径0.014インチのPTCA用ガイドワイヤー(アドバンスト・カーディオバスキュラー・システムズ社製ハイトルクフロッピーII商品名))14を挿通して後端部を固定する。そして、第1および第2の外筒11,12、ガイディングカテーテル13およびPTCAバルーンカテーテル1の内腔に37℃の温水を充填し、外部加熱装置(図示せず)により試験装置Xを37℃に保持する。
【0038】
次に、ガイドワイヤー14をガイディングカテーテル13に沿って挿入し、その先端部が第2の外筒12の先端部近傍に位置するまで押し進める。ついで、PTCAバルーンカテーテル1をガイドワイヤー14に沿って100mm押し進め、押し込むのに要する荷重(gf)をPTCAバルーンカテーテル1のコネクター部4に設けた荷重計15で測定する。この測定を図4に示すA〜Eの地点で行い、試料数5個の平均値を求めた。その結果を図5のグラフに示す。このとき、荷重の変化が滑らかで直線状に近く、かつ増加の勾配が緩やかなものを「トラッカビリティ」がよいものとする。
【0039】
表1および図5の結果から明らかなように、比較例1においては、その耐圧が20kgf/cm2 以上であり耐圧強度は高いが、挿入荷重は先に進むにしたがって急激に増加しており、例えば実際に手技を行った場合は、血管内壁に対して損傷を与えるおそれがあるなど、柔軟性に欠けトラッカビリティが低いことがわかる。また、比較例2においては、挿入荷重の変化が滑らかでかつ増加の勾配が緩やかなものであるので、柔軟性がありトラッカビリティは高いが、耐圧は12kgf/cm2 以下であるため、目的部位を確実に拡張することができないおそれがあるなど、本用途で必要とされる耐圧強度としては不十分なものであった。さらに、比較例3においては、その耐圧が比較例2の耐圧よりもかなり低い値となっているため、目的部位の十分な拡張に至る前にバルーン3の破裂が生じ、本用途で必要とされる耐圧強度にはかなりかけ離れたものであった。なお、この比較例3は、耐圧強度の試験によりPTCAバルーンカテーテルとして適さないことが明らかなため、トラッカビリティの評価試験は省略した。
【0040】
これらに対して、実施例1は、平均耐圧が19.84kgf/cm2 と本用途で必要とされる耐圧強度としては十分であり、挿入荷重の変化も滑らかで直線状に近く、かつ増加の勾配も緩やかであるので、柔軟性に優れトラッカビリティも高いことがわかる。
【0041】
よって、実施例1に係るPTCAバルーンカテーテル1は、狭窄部位に挿入する際、血管内壁などの組織に損傷を与えることなく確実に目的部位まで挿入でき、かつ目的部位を十分に拡張することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように本発明に係るバルーンカテーテルは、膨脹バルーンを備え、このバルーンを狭窄状態にある組織部位において膨脹させ、組織部位を拡張させるバルーンカテーテルにおいて、バルーンを、ハードセグメントがポリアミドからなり、ソフトセグメントが脂肪族ポリエステルからなるポリエステルアミドブロックコポリマーによって構成し、そのポリエステルアミドブロックコポリマーは、引張強度が250〜900kgf/cm2 、好ましくは350〜500kgf/cm2 の範囲内であり、ショア硬度がA50〜A85の範囲内のものである。
【0043】
また、本発明に係るバルーンカテーテルは、先端部側にバルーンを有し、基部側にコネクター部を備え、内部に長さ方向に貫通した第1のルーメンおよび先端が前記バルーン内に連通する第2のルーメンが設けられたシャフト部からなるものである。
【0044】
これにより、高耐圧強度であり、柔軟性に優れてトラッカビリティの高いバルーンを有するバルーンカテーテルを得ることができ、屈曲した脈管の狭窄状態にある部位に対して組織の拡張を行なう場合でも、従来のバルーンカテーテルよりも少ない挿入抵抗で血管内壁等に対して損傷を与えることなく確実に目的部位まで挿入することができるとともに、高い圧力を適用して十分な組織の拡張を行うことができ、特に初期拡張用としては最適なバルーンカテーテルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】PTCAバルーンカテーテルの一般的な形状を示す側面図である。
【図2】図1の要部の拡大断面図およびその要部の変形例の拡大断面図である。
【図3】本発明に係るバルーンを作製する場合に用いられる金型の断面図およびその作用説明図である。
【図4】トラッカビリティ評価のために用いられる試験装置および試料となるバルーンカテーテルの作用説明図である。
【図5】トラッカビリティ評価におけるバルーンカテーテルの挿入荷重の変化を示す線図である。
【符号の説明】
1 バルーンカテーテル
2 シャフト部
3 バルーン
4 コネクター部
5 内管
5a 第1のルーメン
6 外管
6a 第2のルーメン
Claims (2)
- 膨脹バルーンを備え、該バルーンを狭窄状態にある組織部位において膨脹させ、該組織部位を拡張させるバルーンカテーテルにおいて、
前記バルーンを、ハードセグメントがポリアミドからなり、ソフトセグメントが脂肪族ポリエステルからなり、引張強度が350〜500kgf/cm 2 の範囲内であり、ショア硬度がA50〜A85の範囲内であるポリエステルアミドブロックコポリマーによって構成したことを特徴とするバルーンカテーテル。 - 先端部側にバルーンを有し、基部側にコネクター部を備え、内部に長さ方向に貫通した第1のルーメンおよび先端が前記バルーン内に連通する第2のルーメンが設けられたシャフト部からなる請求項1記載のバルーンカテーテル。
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